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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  B43L
管理番号 1321465
審判番号 無効2015-800078  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-03-27 
確定日 2016-09-05 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5190007号発明「インタラクティブボード」の特許無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 特許第5190007号の明細書,特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書,特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項[1,3-7]及[8,10-16]からなる,一群の請求項ごとに訂正することを認める。 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
手続の経緯の概要は以下のとおりである。
平成21年 3月 4日 出願(特願2009-50405号)
平成25年 1月 7日 特許査定
平成25年 2月 1日 設定登録(特許第5190007号)
平成27年 3月27日 本件無効審判の請求
平成27年 6月15日 答弁書(被請求人)
訂正請求
平成27年 7月21日 弁駁書(請求人)
平成27年12月 1日 口頭審理陳述要領書(請求人)
平成27年12月 1日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成27年12月15日 手続補正書(被請求人)
平成28年 1月 5日 上申書(請求人)
平成28年 1月 5日 上申書(被請求人)

なお、被請求人が提出した平成27年12月15日付け手続補正書は、 補正できる期間内に提出されたものではないため、当該手続補正書内の補 正事項については、採用しないものとする。

第2 訂正の可否に対する判断
1 請求の趣旨及び訂正の内容
平成27年6月15日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は,本件特許第5190007号(以下「本件特許」という。)の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を,訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり,請求項1乃至7,請求項8乃至16のそれぞれ一群の請求項ごとに訂正することを求めるものである。
そして,その訂正内容は,以下のとおりである(下線は,当審で付した。以下も同じ。)。

2 請求項1乃至7からなる一群の請求項に係る訂正
訂正事項1
訂正前の【請求項1】の「プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと,マーカー,スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと,パソコン置き台とを備えて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボードであって,前記位置検知センサーが,前記プロジェクターハンガーに一体に設置されていることを特徴とするインタラクティブボード」を,
「既設又は新設の壁面固定型又は移動式の黒板,ホワイトボードその他のボードに,プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと,マーカー,スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと,パソコン置き台とを備え付けて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボードであって,
前記プロジェクタハンガーは,前記ボードに対して横方向に移動可能に設置され,前記位置検知センサーが,前記プロジェクターハンガーに一体に設置されていることを特徴とするインタラクティブボード。」と訂正する。

訂正事項2
請求項2を削除する。

訂正事項3
訂正前の段落【0009】の「上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は,プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと,マーカー,スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと,パソコン置き台とを備えて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボードであって,前記位置検知センサーが,前記プロジェクターハンガーに一体に設置されていることを特徴とするインタラクティブボードである。」を
「上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は,既設又は新設の壁面固定型又は移動式の黒板,ホワイトボードその他のボードに,プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと,マーカー,スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと,パソコン置き台とを備え付けて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボードであって,前記プロジェクタハンガーは,前記ボードに対して横方向に移動可能に設置され,前記位置検知センサーが,前記プロジェクターハンガーに一体に設置されていることを特徴とするインタラクティブボードである。」

3 請求項8乃至16からなる一群の請求項に係る訂正
訂正事項4
訂正前の【請求項8】の「プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと,マーカー,スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと,パソコン置き台とを備えて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボードであって,前記パソコン置き台が,前記プロジェクターハンガーに一体に設置されていることを特徴とするインタラクティブボード。」を,
「既設又は新設の壁面固定型又は移動式の黒板,ホワイトボードその他のボードに,プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと,マーカー,スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと,パソコン置き台とを備え付けて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボードであって,
前記プロジェクターハンガーは,前記ボードに対して横方向に移動可能に設置され,前記パソコン置き台が一体に設置されていることを特徴とするインタラクティブボード。」と訂正する。

訂正事項5
請求項9を削除する。

訂正事項6
訂正前の段落【0010】の「上記課題を解決するための請求項8に記載の発明は,プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと,マーカー,スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと,パソコン置き台とを備えて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボードであって,前記パソコン置き台が,前記プロジェクターハンガーに一体に設置されていることを特徴とするインタラクティブボードである。」を
「上記課題を解決するための請求項8に記載の発明は,既設又は新設の壁面固定型又は移動式の黒板,ホワイトボードその他のボードに,プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと,マーカー,スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと,パソコン置き台とを備え付けて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボードであって,
前記プロジェクターハンガーは,前記ボードに対して横方向に移動可能に設置され,前記パソコン置き台が一体に設置されていることを特徴とするインタラクティブボードである。」

2 当審の判断
(1)請求項1乃至7からなる一群の請求項に係る訂正
ア 訂正事項1について
訂正事項1は複数の訂正箇所を含んでおり,それぞれ異なる発明特定事項に関係する訂正であるため,以下のとおり,分けて判断する。
(ア) 訂正事項1-1
「既設又は新設の壁面固定型又は移動式の黒板,ホワイトボードその他のボードに,プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと,マーカー,スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと,パソコン置き台とを備え付けて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボード」
これは,壁面固定型又は移動式のインタラクティブボードが,設置されている,もしくは設置される態様として,「既設又は新設」と限定し,
該インタラクティブボードの具体的な形態として「黒板,ホワイトボードその他のボード」と限定するものである。
次に,「備え付けて」について検討する。
一般に,訂正前の「備え」は,「設備として持つ」という意味を持っているのに対して,訂正後の「備え付け」は,「ある場所に置いて使えるようにしておく。」との意味を持つとされており,訂正前よりも,使用を前提とした設置の意味合いが,より限定されているといえる。
したがって,訂正事項1-1は,特許請求の範囲の減縮に該当し,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものである。
そして,願書に添付した明細書の段落【0014】には「本発明に係るインタラクティブボードは,…超音波・赤外線型,光学・赤外線型及びレーザ光線型等の送受信センサー方式による位置検知式送受信機能を用いたインタラクティブボードでありながら,タッチパネルセンサー方式を用いたインタラクティブボードと同様に,各種の黒板やホワイトボードにつき,既設,新設を問わず採用可能」と,同段落【0024】には「プロジェクターハンガー2は,電子黒板,ホワイトボード,スクリーンボード等の各種ボードの機能を有するボード5の画像投影面に向けて支持するためのアーム11を有し」と記載されているとおり,本願発明が既設又は新設のインタラクティブボードに適用可能であること,黒板,ホワイトボード以外の「スクリーンボード」を例示し,さらに「各種ボード」と,インタラクティブボードとして例示した複数種類のボードを一般化している点についても記載があるから,訂正事項1-1によって限定された事項は,願書に添付した明細書又は図面に記載された事項に基づいたものであって,願書に添付した明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなく,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであるから,訂正事項1-1は特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
また,訂正事項1-1によって,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもなく,訂正事項1-1は特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

(イ) 訂正事項1-2
「前記プロジェクタハンガーは,前記ボードに対して横方向に移動可能に設置」
これは,訂正事項2において削除された訂正前の請求項2に記載された発明特定事項であって,プロジェクタハンガーの具体的態様として「(プロジェクタハンガーは)ボードに対して横方向に移動可能に設置」と,限定したものであるから,特許請求の範囲の減縮に該当し,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものである。
そして,限定された発明特定事項は,訂正前の請求項2に記載された発明特定事項であるから,願書に添付した明細書又は図面に記載された事項に基づいたものであって,願書に添付した明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではなく,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであるから,訂正事項1-2は特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
また,訂正事項1-2によって,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもなく,訂正事項1-2は特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

イ 訂正事項2について
訂正事項2は請求項の削除であるため,,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮に該当し,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものである。
そして,当該訂正事項は特許明細書に記載された事項の範囲内のものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ウ 訂正事項3について
訂正事項3は,本件特許請求の範囲における請求項1を訂正事項1のとおりに訂正したことに伴い,訂正された請求項1の記載と整合性を取るために,願書に添付した明細書のうち関連する発明の詳細な説明の段落【0009】の記載を訂正するものであるから,明瞭でない記載の釈明に該当し,特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
そして,訂正事項1と同じ理由により,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないから,特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

エ 一群の請求項について
特許請求の範囲の請求項1,3乃至7は,上記訂正事項を含む請求項1の記載を請求項3乃至7が直接又は間接的に引用するものであるから,一群の請求項である。
そして,本件の訂正請求は,請求項1,3乃至7からなる一群の請求項ごとに特許請求の範囲の訂正を請求するものである。

オ まとめ
したがって,請求項1,3乃至7からなる一群の請求項についての訂正は,特許法第134条の2ただし書き第1号又は3号に掲げる事項を目的とし,かつ,特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第3項,5項及び第6項の規定に適合ので,当該訂正を認める。

(2)請求項8乃至16からなる一群の請求項に係る訂正
ア 訂正事項4について
訂正事項4の訂正内容は,訂正事項1と同じであるから,「ア 訂正事項1について」で述べた理由のとおり,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,「ア 訂正事項1について」で述べた理由のとおり,特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

イ 訂正事項5について
訂正事項5は,請求項の削除であるため,,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮に該当し,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものである。
そして,当該訂正事項は特許明細書に記載された事項の範囲内のものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ウ 訂正事項6について
訂正事項6は,本件特許請求の範囲における請求項8を訂正事項4のとおりに訂正したことに伴い,訂正された請求項8の記載と整合性を取るために,願書に添付した明細書のうち関連する発明の詳細な説明の段落【0010】の記載を訂正するものであるから,明瞭でない記載の釈明に該当し,特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものである。
そして,訂正事項4と同じ理由により,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないから,特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

エ 一群の請求項について
特許請求の範囲の請求項8,10乃至16は,上記訂正事項を含む請求項1の記載を請求項10乃至16が直接又は間接的に引用するものであるから,一群の請求項である。
そして,本件の訂正請求は,請求項8,10乃至16からなる一群の請求項ごとに特許請求の範囲の訂正を請求するものである。

オ 小括
したがって,請求項8,10乃至16からなる一群の請求項についての訂正は,特許法第134条の2ただし書き第1号又は3号に掲げる事項を目的とし,かつ,特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第3項,5項及び第6項の規定に適合するので,当該訂正を認める。

3 訂正請求についてのまとめ
以上のとおり,請求項1,3乃至7からなる一群の請求項に係る訂正及び請求項8,10乃至16からなる一群の請求項に係る訂正は,特許法第134条の2ただし書き第1号又は3号に掲げる事項を目的とし,また,特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので,当該訂正を認める。

第3 請求人の主張及び証拠方法
請求人は,審判請求書において,「特許第5190007号の請求項1ないし16項に係る特許(以下「特許第5190007号の請求項1ないし16項に係る特許を,請求項の項番にしたがって「本件発明1」?「本件発明16」という。)を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め」(請求の趣旨),以下の理由により,本件発明1?16は特許を受けることができないものであるから,特許法第123条第1項第2号の規定により無効にされるべきである旨主張し,証拠方法として甲第1?13号証を提出した。

1 請求の理由の概要
(1)無効理由
ア 請求書による請求の根拠は,「本件特許の請求項1乃至7に係る特許発明は,甲第1号証乃至甲第11号証に記載された発明に基づいて,出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の記載により特許を受けることができないものであり,特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。」となっているが,訂正により請求項2の発明特定事項が請求項1に限定されるとともに請求項2が削除されたため,以下のように読み替えるものとする。
「本件特許の請求項1,3乃至7に係る特許発明は,甲第1号証乃至甲第11号証に記載された発明に基づいて,出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の記載により特許を受けることができないものであり,特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。」(以下「無効理由1」という。)

イ 上記「ア」と同様の理由により,請求書による請求の根拠は,以下のように読み替えるものとする。
「本件特許の請求項8,10乃至16に係る特許発明は,甲第1号証乃至甲第13号証に記載された発明に基づいて,出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の記載により特許を受けることができないものであり,特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。」(以下「無効理由2」という。)

また,請求書において下記甲第1号証?13号証が提出された。
甲号証
(1) 甲第 1号証:特表2002-538508号公報
(2) 甲第 2号証:特開2007-17543号公報
(3) 甲第 3号証:特開2004-94569号公報
(4) 甲第 4号証:特開2007-188511号公報
(5) 甲第 5号証:特開2004-102455号公報
(6) 甲第 6号証:特開平9-93570号公報
(7) 甲第 7号証:実開昭63-26173号公報
(8) 甲第 8号証:特開2000-137448号公報
(9) 甲第 9号証:特開2006-53491号公報
(10)甲第10号証:特開2003-330108号公報
(11)甲第11号証:実用新案登録第3114090号公報
(12)甲第12号証:特開2008-296564号公報
(13)甲第13号証:特開平10-222578号公報

なお,被請求人は,甲第1ないし13号証の成立を認めている。

第4 被請求人の主張
被請求人は,「本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め,請求人が主張する上記無効理由は,いずれも理由がない旨の主張をした。

第5 本件発明
本件請求項1,3ないし8,10ないし16に係る発明(以下,それぞれを「本件訂正発明1」乃至「本件訂正発明16」といい,これらを総称して「本件訂正発明」という。)は,上記「第2 訂正の可否に対する判断」に記載したとおり,訂正を認めたため,平成27年6月15日に提出された訂正請求書に記載されたとおりの次のものと認める。
「【請求項1】
既設又は新設の壁面固定型又は移動式の黒板,ホワイトボードその他のボードに,プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと,マーカー,スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと,パソコン置き台とを備え付けて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボードであって,
前記プロジェクタハンガーは,前記ボードに対して横方向に移動可能に設置され,前記位置検知センサーが,前記プロジェクターハンガーに一体に設置されていることを特徴とするインタラクティブボード。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記プロジェクターハンガーの横方向への移動は,前記ボードの上辺及び下辺に沿って設置されたスライドレールに沿って行われる,請求項2に記載のインタラクティブボード。
【請求項4】
前記上辺のスライドレール及び/又は下辺のスライドレールは,そのスライド面が同じ方向を向くようにされた又は異なる方向を向くようにされた2本の平行なレールである,請求項3に記載のインタラクティブボード。
【請求項5】
前記プロジェクターハンガーは,プロジェクターを映写に好適な位置に移動させ,且つ
,好適な向きに向けることが可能な状態にて前記プロジェクターを吊持するアームを有する,請求項1乃至4のいずれかに記載のインタラクティブボード。
【請求項6】
前記アームは,前記プロジェクターが,上下方向及び/又は前記アームの長さ方向に移動し得るように吊持すると共に,前記プロジェクターが,所望の方向に向けて回動し得るように支持することを特徴とする,請求項5に記載のインタラクティブボード。
【請求項7】
スライドコンセントを備えている,請求項1乃至6のいずれかに記載のインタラクティブボード。
【請求項8】
既設又は新設の壁面固定型又は移動式の黒板,ホワイトボードその他のボードに,プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと,マーカー,スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと,パソコン置き台とを備え付けて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボードであって,
前記プロジェクターハンガーは,前記ボードに対して横方向に移動可能に設置され,前記パソコン置き台が一体に設置されていることを特徴とするインタラクティブボード。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
前記位置検知センサーは,前記プロジェクターハンガーに一体に設置される,請求項8又は9に記載のインタラクティブボード。
【請求項11】
前記位置検知センサーは,前記ボードのボード面又は枠部分に設置される,請求項8又は9に記載のインタラクティブボード。
【請求項12】
前記プロジェクターハンガーの横方向への移動は,前記ボードの上辺及び下辺に沿って設置されたスライドレールに沿って行われる,請求項9乃至11のいずれかに記載のインタラクティブボード。
【請求項13】
前記上辺のスライドレール及び/又は下辺のスライドレールは,そのスライド面が同じ方向を向くようにされた又は異なる方向を向くようにされた2本の平行なレールである,請求項12に記載のインタラクティブボード。
【請求項14】
前記プロジェクターハンガーは,プロジェクターを映写に好適な位置に移動させ,且つ,好適な向きに向けることが可能な状態にて前記プロジェクターを吊持するアームを有する,請求項8乃至13のいずれかに記載のインタラクティブボード。
【請求項15】
前記アームは,前記プロジェクターが,上下方向及び/又は前記アームの長さ方向に移動し得るように吊持すると共に,前記プロジェクターが,所望の方向に向けて回動し得るように支持することを特徴とする,請求項14に記載のインタラクティブボード。
【請求項16】
スライドコンセントを備えている,請求項8乃至15のいずれかに記載のインタラクティブボード。」

第6 無効理由1について
1 各甲号証に記載された発明
(1)甲第1号証について
請求人が提出し,本件の出願前に頒布された甲第1号証(特表2002-538508号公報)には,以下の記載がある。
ア 「【0031】
反射投影システム100は,フレーム104に取り付けられた専用高利得投影スクリーン102を含む。投影ヘッド106は,アーム108により,ヒンジユニット110においてフレーム104の中央の一番高い部分にピボットで取り付けられる。アーム108は90°回転して,投影ヘッド106が閉位置,つまり収納位置から,開位置,つまり投影位置に旋回できるようにしてもよい。
【0032】
スクリーン102は投影ヘッドに光学的に連結される。スクリーン102は,フレーム104上に延びる柔軟な材料であっても,あるいは剛直な部品であっても構わない。他の実施形態では,スクリーンとフレームの両方が一体成形シートでできている。スクリーン102は,消去可能なホワイトボードとして使用できるように,積層または特殊コーティングを含んでいても構わない。」
イ 「【0037】
アーム108の動きとプロジェクターシステム100の各機能は,制御パネル114,遠隔制御(図示されていない),またはその他の制御機構で制御してもよい。投影システム100のアーム108は単一点でピボットで固定されているが,明細書を読んだ当業者は,様々な種類の連動/旋回機構が本発明の精神の範囲内で具現化できることをすぐに知るだろう。他の実施形態では,ヘッドとアームが他のヒンジまたは伸縮的な動きを含んでいても構わず,またアームはフレームの他の部分または壁や柱に連結しても構わない。」
ウ 「【0063】
図12と13は,本発明の投影システムの多機能性を示している。図12は,本発明に基づく投影システム600と,スタイラス653などの入力デバイスとを含んだデジタルホワイトボードシステム601を示している。投影システム600は,注釈システム652用の集積回路とUV式,IR式,レーザ式,またはその他のタイプのセンサー654を含む。センサー654は,スクリーンの表面上でスタイラス653の移動を追跡するようキャリブレーションされる。スタイラス653も同様に,追跡を補助し,電子回路652とのタイミングまたは制御信号を調整するための送信機またはセンサー,あるいはその両方を含んでいても構わない。スクリーン602は,消去可能なホワイトボードとして使用できるようコーティングしてもよい。集積電子回路652はCPUを含んでいてもよい。」
なお,【図12】に記載されるデジタルホワイトボードシステム601において,部材602,604,606,608,610が,それぞれ何であるかは,発明の詳細な説明において明記されていない。
しかしながら,甲第1号証の第1実施例の部材102,104,106,108,110が,それぞれ,スクリーン,フレーム,投影ヘッド,アーム,ヒンジユニットであり,段落【0058】に「参照数字の同じ最後の2桁は,すべての実施形態の類似要素を示している。」と記載されていることから,602はスクリーン,604はフレーム,606は投影ヘッド,608はアーム,610はヒンジユニットであることは,自明である。
また,【図12】から,センサー654はスクリーン602の縁近傍に設置されていることが看て取れる。

上記記載を含む甲第1号証全体の記載からみて,甲第1号証には,第1実施形態として,以下の発明が開示されていると認められる。
「フレーム104と,該フレーム104に取り付けられたスクリーン102とからなるホワイトボードと,アーム108及びヒンジユニット110とによってフレーム104の中央の一番高い部分にピボットで取り付けられた投影ヘッド106とからなる投影システム100とを備え,
前記アーム108が90°回転することで,投影ヘッド106が閉位置,つまり収納位置から,開位置,つまり投影位置に旋回できる投影システム100。」
そして,上記甲第1号証に記載された発明に照らして,【図12】に記載された第6実施形態として,以下の発明が開示されていると認められる。
「フレーム604と,該フレーム604に取り付けられたスクリーン602とからなるホワイトボードと,アーム608及びヒンジユニット610とによってフレーム604の中央の一番高い部分にピボットで取り付けられた投影ヘッド606とからなる投影システム600とを備え,スタイラス653などの入力デバイスとスクリーンの表面上でスタイラス653の移動を追跡するようキャリブレーションされたUV式,IR式,レーザ式,またはその他のタイプのセンサー654をさらに備え,
前記アーム608が90°回転することで,投影ヘッド606が閉位置,つまり収納位置から,開位置,つまり投影位置に旋回でき,前記センサー654はスクリーン602の縁近傍に設置されているデジタルホワイトボードシステム601。」
(以下,第6実施形態に基づいて認定した発明を「甲第1号証発明」という。)

(2)甲第2号証について
請求人が提出し,本件の出願前に頒布された甲第2号証(特開2007-17543号公報)には,以下の記載がある。
ア 「【0031】
本実施の形態にかかるプレゼンテーションシステム1000は,プレゼンテーション装置100と,プレゼンテーション装置100を遠隔操作する操作リモコン20と,プロジェクタ30と,デジタルカメラ40と,パーソナルコンピュータ50とを備え,ネットワーク60を介して図示しないプリントサーバやメールサーバに接続している。
【0032】
プロジェクタ30は,プレゼンテーション装置100を介してパーソナルコンピュータ50より取得したプレゼンテーション画像をホワイトボード1に投影するものである。プレゼンテーション画像とは,ホワイトボード1に投影すべき画像である。プロジェクタ30は,本発明における外枠投影手段を構成する。
【0033】
プレゼンテーションの説明者は,ホワイトボード1に投影された投影画像上にマーカペン4で線,円,矢印のような図形や文字などの筆記画像3を書き込みしながら,プレゼンテーションを行う。投影画像とは,プロジェクタ30によってホワイトボード1に投影された画像である。筆記画像とは,ホワイトボード1上に描かれた線,円,矢印のような図形や文字のみの画像である。
【0034】
デジタルカメラ40は,この手書きされた筆記画像3を撮影する。デジタルカメラ40は,本発明における筆記撮像手段,外枠撮像手段を構成する。プレゼンテーション装置100は,デジタルカメラ40から撮像された筆記画像3を取得し,パーソナルコンピュータ50から取得したプレゼンテーション画像と筆記画像を合成する。」
また,【図1】(【図9-1】,【図9-2】)から,デジタルカメラ40は,その筐体上面にプロジェクタ30を積載している点が看て取れる。

上記記載を含む甲第2号証全体の記載からみて,甲第2号証には,以下の記載事項が開示されていると認められる。
「パーソナルコンピュータ50より取得したプレゼンテーション画像がプロジェクタ30によって投影されるホワイトボード1上に,マーカーペン4で描かれる筆記画像3を撮像するデジタルカメラ40の筐体上面にプロジェクタ30を積載したプレゼンテーション装置100。」(以下,「甲第2号証記載事項」という。)

(3)甲第3号証について
請求人が提出し,本件の出願前に頒布された甲第3号証(特開2004-94569号公報)には,以下の記載がある。
ア 「【0003】
図9は,従来の対話型の電子黒板装置の一例を示す模式図である。この電子黒板装置の黒板本体201は,脚部に移動用のキャスター204を具備し,会議室等の使用場所への移動が可能であり,壁等の支えや固定も不要な自立式可動型のものである。図9において,202は,電子黒板装置の制御部であり,電子黒板装置を駆動する電源スイッチ,複写スイッチ,黒板本体201の記載面の送りスイッチ等の操作部及び複写用のプリンタ部等が搭載されている。203は,黒板本体201の記載部であり,固定した記載面を持つものや複数の記載面を持つものがある。複数の記載面を持つものは通常,ベルト状の記載面が,操作部202に設けた記載面送りスイッチを操作することにより,右又は左方向に移動し,あらかじめ設定された複数のポジションに自動的に停止し,数面の異なる記載面を順次使用できるような構造になっている。記載面への書き込みは通常,フェルトペン等で行われる。205および206は,それぞれ超音波受信部と赤外線受信部を持つ一対の検出部であり,記載部203の上部の左右にそれぞれ配置されている。207は,超音波発振子と赤外線発光部とを有する電子ペンであり,ペン先を記載面に押し付けた時スイッチが入り,赤外線及び超音波が発せられる構造になっている。
【0004】
黒板本体201を単体で使用する際には,黒板本体201を使用場所に設置し,記入者はフェルトペンで記載部203に情報を記載し会議を進行する。もし不要な記載が発生すれば,専用のイレーサーで消すことも可能である。記載内容を複写する場合,要求に応じて操作部202にある複写キーを押すことにより,記載面の内容を内蔵のイメージセンサー等により電気的に読み,内蔵された感熱式等のプリンタによりに記載面の記載内容を縮小複写することができる。また複数の記載面を持ち,操作部202に設けられた記載面送りスイッチを操作することにより記載面であるフィルムを右又は左に送り新たな記載面を設定した後,その設定した記載面に情報を記載し会議を続行することが可能である。このように黒板本体201を単体で使用すれば効果的に会議の進行を行うとともに,議事録など資料をその場で複写作成することができる。
【0005】
一方,対話型の電子黒板装置としての使用形態は,黒板本体201と投射装置208及びパソコン209とを併用して使用する。電子ペン207から発せられた赤外線と超音波とを超音波受信部と赤外線受信部を備えた検出部205および206とで受信する。その受信した赤外線と超音波の伝播時間差により,検出部205,206と電子ペン207間の距離を求め電子ペン207の位置を検出する。この検出した電子ペン207の軌跡を文字データ等の記載情報としてパソコン209に取り込む。そして,パソコン209に取り込まれた記載情報を,併用する投射装置208を通じて投影し電子ペン207の記載位置に投影表示する。このように,対話型の電子黒板装置を使用すれば,電子データとしての記載内容の取り込みが可能になる,あるいは,ネットワーク等を通じて離れた場所への記載内容の電気的な伝送が可能になり,会議の効率化及び情報伝達の効率化が可能となる。」
また,【図9】から,検出部205および206は,黒板本体201の上縁部に設けられている点が看て取れる。

上記記載を含む甲第3号証全体の記載からみて,甲第3号証には,以下の記載事項が開示されていると認められる。
「電子ペン207から発せられた赤外線と超音波とを受信する超音波受信部と赤外線受信部を備えた検出部205および206を黒板本体201の上縁部に設け,該検出部205,206は,検出部205,206と電子ペン207間の距離を求め電子ペン207の位置を検出し,該電子ペン207の軌跡を文字データ等の記載情報としてパソコン209に取り込む電子黒板装置。」(以下,「甲第3号証記載事項」という。)

(4)甲第4号証について
請求人が提出し,本件の出願前に頒布された甲第4号証(特開2007-188511号公報)には,以下の記載がある。
ア 「【0003】
図3にその典型的な従来例を示し,動作を説明する。
スクリーン1に取り付けられた,信号処理部2には赤外光受光部21,超音波受信部22,超音波受信部23が設けられている。電子ペン3からは,同時に赤外光パルス4と超音波パルス5(ここでパルスとは一瞬だけ出力される信号という意味でつかう)が出力される。そうすると,雷の光が見えてから音が聞こえるまでの時間で雷までの距離がわかる原理を利用し,信号処理部2は赤外光受光部20に赤外光パルス4が入力されてから,超音波受信部21,22に超音波が入力されるまでの時間を測ることで,電子ペン3から超音波受信部21,22までの距離を知ることができる。超音波受光部21,22は信号処理部2に固定されていることから,超音波受信部21,22からみた電子ペン3の位置は三角測量の原理から求めることができる(異なる2点から特定の点への距離が分かればその特定点の位置は算出できる)。
【0004】
そこで,プロジェクタでホワイトボードに映像を投写し,まず,投写映像左上61,投写映像右上62,投写映像左下63,投写映像右下64を電子ペン3で指定し,投写映像6の位置を信号処理部2に記憶させる(座標の初期化)。その後,電子ペン3を投写映像6の中で使用すれば,投写映像の位置と電子ペン3を比較することで,映像のどの位置に電子ペン3があるかを算出でき,その結果,パソコンのマウスカーソルを動かしたり,画面上のアイコンを指定したりということが可能になる。以上が従来例の仕組みである。」

上記記載を含む甲第4号証全体の記載からみて,甲第4号証には,以下の記載事項が開示されていると認められる。
「スクリーン1に取り付けられた,赤外光受光部21,超音波受信部22,超音波受信部23からなる信号処理部2は,電子ペン3から同時に出力される赤外光パルス4と超音波パルス5を検出することで,電子ペン3から超音波受信部21,22までの距離を測定し,スクリーン1に投写された投写映像の位置と電子ペン3を比較することで,映像のどの位置に電子ペン3があるかを算出し,パソコンのマウスカーソルを動かしたり,画面上のアイコンを指定したりすることが可能な電子黒板。」(以下,「甲第4号証記載事項の1」という。)

イ 「【0010】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に本発明のプロジェクションシステムの実施の形態を示す。このプロジェクションシステムは,スクリーン1と,スクリーン上で図形を描く電子ペン3と,プロジェクタ7とからなる。電子ペン3は,赤外光発光部と超音波発生部を持つ。
【0011】
また,プロジェクタ7の構成ブロックを図2に示す。
プロジェクタ7は,信号処理部10と,投写光学系40と,CPU30から構成される。信号処理部10は,赤外光受光部70と,超音波受信部71,72と,スクリーンまでの距離測定手段73と,これらの出力から電子ペン3までの距離を算出する距離演算部50から構成される。」
ウ 「【0016】
次にプロジェクタの動作を説明する。
プロジェクタ7は,スクリーン1上に入力画像を投写する。
電子ペン3の位置を取得する動作原理は,信号処理器をスクリーン設けた従来例と同様だが,従来例と違って超音波受信部71,72がスクリーン面上になく2次元上での三角測量の原理が使用できない。実際に超音波パルス51,52によって電子ペン3から超音波受信部71,72までの2つの距離がわかっても,超音波受信部による電子ペンの位置8に見られるように2つの超音波受信部71,72を結んだ直線の一部を中心とし直線に垂直な円周上に電子ペン3が位置するということしかわからない。
このため,スクリーン上での電子ペン3の位置を得るためには超音波受信部71,72からスクリーンまでの距離を得る必要がある。この距離がわかれば,超音波受信部による電子ペンの位置8が描く円周とスクリーン面の交点9から電子ペン3の位置が限定できる。面と円周の交点は2点あり電子ペン3が交点90に位置する可能性もあるが現実的には交点9の方だけ考えればよい。
スクリーン上の投影画像の位置は,プロジェクタとスクリーン間の距離よりCPU2にて計算される。この位置を基準にして電子ペン3の位置を正規化し,座標データとして出力する。したがってプロジェクタ7がスクリーン1へ画像を投写しなくても電子ペンの位置は取得できる。
【0017】
本実施例では,画面サイズを可変することを想定して距離取得手段73を用いてスクリーンまでの距離を取得しているが,プロジェクタ本体が固定設置されている場合はスクリーンまでの距離を直接プロジェクタに入力する方法でもよい。
また,信号処理部10は,プロジェクタ7に実装されている場合を説明したが,オプションの一つとして,必要に応じて装備する付属部品とすることもできる。」

上記記載を含む甲第4号証全体の記載からみて,甲第4号証には,以下の記載事項が開示されていると認められる。
「プロジェクタ7に取り付けられた,赤外光受光部70,超音波受信部71,72からなる信号処理部10は,電子ペン3から同時に出力される赤外光パルス4と超音波パルス51,52を検出することで,電子ペン3から超音波受信部71,72までの距離を測定し,スクリーン1に投写された投写映像の中における電子ペン3の位置を算出する電子黒板であって,前記信号処理部10は付属部品とする電子黒板。」(以下,「甲第4号証記載事項の2」という。)

(5)甲第5号証について
請求人が提出し,本件の出願前に頒布された甲第5号証(特開2004-102455号公報)には,以下の記載がある。
ア 「【請求項1】
パソコンの情報を表示し,専用ペンおよび指先で文字や画像を入力するタッチパネルを有するタッチパネル付きディスプレイ装置において,
電子黒板モードにより文字や図形をタッチパネルから入力する入力手段と,
「エリア設定」指定と「挿入場所設定」指定の選択をする選択手段と,
ディスプレイに表示された手書き文字列の文字や図形状態のまま,他の手書き文字や図形を挿入する挿入手段とを有し,
挿入される文字列の途中に他の文字列を挿入する場合,ユーザが前記「エリア設定」で挿入文の範囲を指定することにより挿入エリア文字列を決定し,決定した前記挿入エリア文字列を,ユーザが「挿入場所設定」で挿入したい場所を指定することにより決定する前記挿入される文字列の挿入場所に挿入し,挿入された前記挿入エリア文字列以降の文章を,前記挿入される文字列において,挿入エリアで指定された文章の長さ分をシフトして,前記挿入エリア文字列の後続に接続することを特徴とするタッチパネル付きディスプレイ装置。」
また,【図2】から,大型のリアプロジェクター1及びタッチパネル2からなるタッチパネル付きディスプレイ装置の下部にパソコン収容棚3が設けられていることが看て取れ,該パソコン収容棚3にパソコンが収容されているであろうことは自明である。

上記記載を含む甲第5号証全体の記載からみて,甲第5号証には,以下の記載事項が開示されていると認められる。
「大型のリアプロジェクター1及びタッチパネル2からなるタッチパネル付きディスプレイ装置の下部に設けられた,パソコンを収容するパソコン収容棚3。」(以下,「甲第5号証記載事項」という。)

(6)甲第6号証について
請求人が提出し,本件の出願前に頒布された甲第6号証(特開平9-93570号公報)には,以下の記載がある。
ア 「【0024】
【発明の実施の形態】以下,図に沿って本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の構成を示す説明図である。テレビカメラ1は,レール2に懸架された台車3に支持されており,台車3がレール2上を走行しながら,予めセットされている複数の監視ポイントに順次,停止して,識別マーカ4?6とともに監視対象物7,8を撮影する。具体的な動作としては,各監視ポイントごとに,予め,台車3の停止位置と,カメラ1の左右首振りのパン角度,上下首振りのチルト角度,ズームレンズの倍率をセットしておく。」
また,【図1】から,台車3の移動方向は,横方向に並んだ監視対象物7,8と同じ横方向であることが看て取れる。

上記記載を含む甲第6号証全体の記載からみて,甲第6号証には,以下の記載事項が開示されていると認められる。
「レール2に懸架された台車3に支持され,台車3がレール2上を横方向に走行することで,予めセットされている複数の監視ポイントに順次,停止して,識別マーカ4?6とともに監視対象物7,8を撮影するテレビカメラ1。」(以下,「甲第6号証記載事項」という。)

(7)甲第7号証について
請求人が提出し,本件の出願前に頒布された甲第7号証(実開昭63-26173号公報)の実用新案登録請求の範囲の記載,第1?4図から,以下の点が読み取れる。
ア 「電子黒板装置であること」
イ 「光電変換装置本体3aを支持するブラケット3b及びシャフト3eが,ガイドレール2に沿って移動すること」
ウ 「ガイドレール2は,情報記入板1の上縁に横方向に延在すること」

上記記載を含む甲第7号証全体の記載からみて,甲第7号証には,以下の記載事項が開示されていると認められる。
「情報記入板1の上縁に横方向に延在するガイドレール2に沿って,光電変換装置本体3aを支持するブラケット3b及びシャフト3eが移動する電子黒板装置。」(以下,「甲第7号証記載事項」という。)

(8)甲第8号証について
請求人が提出し,本件の出願前に頒布された甲第8号証(特開2000-137448号公報)には,以下の記載がある。
ア 「【請求項1】 有色微粒体を表示媒体上にディジタル情報に応じて接着させて複数色のカラー記録を行う記録手段と,前記表示媒体上の記録を拭取り,剥離若しくは接着力を落とすことで消去する消去手段を備えたことを特徴とする書換え可能ディスプレー。
(中略)
【請求項6】 前記消去手段の消去は,繊維状の消去用媒体を前記表示用媒体上を移動させて行うことを特徴とする請求項1記載の書換え可能ディスプレー。」
イ 「【0006】また,請求項4に記載の発明は,前記記録手段の記録ヘッドが,圧力飛翔型であることを特徴としている。この構成によれば,ピエゾ素子の変形圧力等により有色微粒体を媒体に向け飛翔させ吹き付けて記録することができる。,また,請求項5に記載の発明は,前記記録手段の記録ヘッドが,インクジェット型であり,前記有色微粒体は液体に分散または溶解していることを特徴としている。
この構成によれば,液体化した有色微粒体をノズルから発射して媒体上に吹き付け記録することができる。また,請求項6に記載の発明は,前記消去手段の消去は,繊維状の消去用媒体を前記表示用媒体上を移動させて行うことを特徴としている。この構成によれば,黒板消しの要領で消去パッドにより有色微粒体を拭き取り記録を消去できる。」
ウ 「【0008】
【発明の実施の形態】以下,本発明の第1の実施の形態について図を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る書換え可能ディスプレーの斜視図である。図1において,1は黒板/白板方式のディスプレーで,2は記録表示用の黒板(又は白板)等のボードである。3はチョーク,マーカーペン等の形態のカラー顔料又は染料をそのまま,または,固形化,あるいは液中に分散ないし溶解または加熱で溶解した状態の色剤(以下,「有色微粒体」という)を使用したペンであり,8のXY移動装置によってペンプロッタやドットインパクト等の方式により,ボード上にカラー記録する記録ヘッドである。4は複数色のチョーク等の顔料で記録した表示を布等で拭き取って消去する消去パッドである。
【0009】つぎに動作について説明する。先ず,画像メモリ等からのディジタル画像情報に従って,ペンプロッター様のドットインパクト方式によりXY移動装置8で複数色分用意したチョークペンにXY情報を与えてボード2上を画像様に動かし色換えしてカラー表示を行う。又,ボード2上の表示を消去する場合は,布で構成する消去パッド4を,ボード2上をスキャンさせることによって,有色微粒体を拭き取り消去する。なお,消去の方法としては,その他に,粘着ローラ若しくは粘着シート等により有色微粒体を接着剥離することも可能であり,この場合は布製の消去パッド4による消去よりも,有色微粒体が周囲に飛散しないという利点がある。」
また,【図1】から,XY移動装置8はボード2に対して上下方向と左右方向に移動可能であり,消去パッド4はボード2に対して左右方向に移動可能であることが看て取れる。

上記記載を含む甲第8号証全体の記載からみて,甲第8号証には,以下の記載事項が開示されていると認められる。
「記録手段である記録ヘッドを備えたXY移動装置8をボード2に対して上下方向と左右方向に移動可能とし,消去手段である消去パッド4をボード2に対して左右方向に移動可能としたディスプレー。」(以下,「甲第8号証記載事項」という。)

(9)甲第9号証について
請求人が提出し,本件の出願前に頒布された甲第9号証(特開2006-53491号公報)には,以下の記載がある。
ア 「【0021】
左右移動機構30は,プロジェクター台20を支持すると共にプロジェクター台20をY軸方向に移動可能とする移動機構である。本実施形態における左右移動機構30は,図1及び図3に示すように,Y軸方向に延在されるとともにガイド溝部32を有する長尺状の移動体31と,ガイド溝部32に沿ってY方向に移動自在であるとともに前述したプロジェクター台20を支持するスライダー34とを備えている。」
イ 「【0031】
そして,図1に示すように,移動体31の両端部において孔部33の内部に回転または摺動可能に保持されたボール44の上部および下部が,移動体31の上面および下面よりも僅かに突出されるとともに,互いに略平行に設けられた一対のガイドレール42に延在されたガイド溝43内でボール44が回転する。これにより,移動体31を介してプロジェクター台20は,X軸方向(前後方向)にも移動可能となって構成されている。」

上記記載を含む甲第9号証全体の記載からみて,甲第9号証には,以下の記載事項が開示されていると認められる。
「互いに略平行に設けられた一対のガイドレール42に延在されたガイド溝43内を移動体31の両端部において孔部33の内部に回転または摺動可能に保持されたボール44が回転することにより,X軸方向(前後方向)に移動可能としたプロジェクター台20。」(以下,「甲第9号証記載事項」という。)

(10)甲第10号証について
請求人が提出し,本件の出願前に頒布された甲第10号証(特開2003-330108号公報)には,以下の記載がある。
ア 「【0065】さらに,接続アーム部1300は,図4(a)に示すように回転できる支持部を複数備えるので,図4(b)に示すように折り畳みが可能である。そして,接続アーム部1300を折り畳むことにより,プロジェクタ部1100は,スクリーン部1200の箱型ケース1220内に収納され,前面投写型表示装置を使用しない場合は,埃などから保護される。さらに,接続アーム部1300は,不図示の電動モータにより折り畳みが可能で,その電源は,電気コンセント1221から供給される電気であり,スクリーン部1200との電源の共有化がされている。」

上記記載を含む甲第10号証全体の記載からみて,甲第10号証には,以下の記載事項が開示されていると認められる。
「プロジェクタ部1100は,該プロジェクタ部1100を支持する接続アーム部1300を折り畳むことにより,スクリーン部1200の箱型ケース1220内に収納される前面投写型表示装置。」(以下,「甲第10号証記載事項」という。)

(11)甲第11号証について
請求人が提出し,本件の出願前に頒布された甲第11号証(実用新案登録第3114090公報)には,以下の記載がある。
ア 「【0011】
図1に示すように,本実施の形態では,店舗の天井20に設置されたスライドコンセントレール30に本考案の照明装置10が複数係止されている。
【0012】
図2は,スライドコンセントレール30の断面図である。図2に示すように,スライドコンセントレール30は,略C字状に形成され,天井20と反対側に開口が位置するように天井20に設置されている。スライドコンセントレール30は,給電レール31と給電レールより開口側に形成された係止レール32を備える。給電レール31は,図示しない外部電源によって給電されている。
【0013】
照明装置10は,図3に示すように,係止レール32に移動可能に係止される係止部40と,上面に係止部40が固定された支柱50と,支柱50の下端に取り付けられたソケット60と,支柱50の表面に形成されたスイッチ70を備える。」

上記記載を含む甲第11号証全体の記載からみて,甲第11号証には,以下の記載事項が開示されていると認められる。
「略C字状に形成されたスライドコンセントレール30は,給電レール31と給電レールより開口側に形成された係止レール32を備え,該係止レール32に移動可能に係止される係止部40と,上面に係止部40が固定された支柱50と,支柱50の下端に取り付けられたソケット60と,支柱50の表面に形成されたスイッチ70からなる照明装置10。」(以下,「甲第11号証記載事項」という。)

(12)甲第12号証について
請求人が提出し,本件の出願前に頒布された甲第12号証(特開2000-37265号公報)には,以下の記載がある。
ア 「【0021】
図6に本体下側面のレール状スリットに,プリンタ配置台12を配置した実施例を示す。
通常の電子黒板装置では,プリンタは,電子黒板装置に固定された位置しか配置することができない。
これに対し,本実施例装置のようなレール状スリットにプリンタ配置台12を配置するような構成の場合,電子黒板本体の右側,左側,或いは中央と,所望の位置にプリンタを配置することが可能となる。
また,プリンタが不要となった場合,プリンタ配置台12を取外し,電子黒板装置をシンプルなデザインで使用することが可能となる。」

上記記載を含む甲第12号証全体の記載からみて,甲第12号証には,以下の記載事項が開示されていると認められる。
「電子黒板本体下側面のレール状スリットにプリンタ配置台12を配置し,該電子黒板本体の右側,左側,或いは中央など所望の位置にプリンタを配置することを可能とした電子黒板装置。」(以下,「甲第12号証記載事項」という。)

(13)甲第13号証について
請求人が提出し,本件の出願前に頒布された甲第13号証(特開平10-222578号公報)には,以下の記載がある。
ア 「【0030】図中符号20は,大人の身長大の縦長函型のフレームである。フレーム20は,底部四隅にキャスタ21………を取り付け,頂板および底板とともにその腰位置よりやや下に棚22を設ける。そして,その棚22下に収納室23を形成し,その収納室23の左右側面を塞ぐとともに,正面側には左右に開閉する両開きの扉24・24を設けてなる。図4では,開いた状態を実線で示し,閉じた状態を鎖線で示す。
【0031】収納室23内には,パソコン10のパソコン本体18と,液晶プロジェクタ11および第1反射鏡25と,クリーナ液タンク26とを右左に並べて設ける。液晶プロジェクタ11は正面側に向け,その手前側に立てて矩形平面状の第1反射鏡25を設け,ともに後方へとスライド自在なスライド台27上に取り付けてなる。」
イ 「【0032】棚22上には,引き出し30を手前側に引き出し自在に設け,その引き出し30上に,パソコン10のキーボード31と,載置台32上に乗せた複数の筆記具33………およびシート拭き具34と,クリーナ液付着容器35とを載置してなる。また,引き出し30の横には,マウス台36に載せてマウス37を設ける。
【0033】そして,そのようなフレーム20の正面側上部に,横長矩形で薄い箱型の表示ボード40を取り付ける。表示ボード40は,正面に大きな矩形窓41を有し,その矩形窓41の左枠には上下にスイッチ42………を並べた操作部43を設けてなる。また,次の説明で用いる図6から判るとおり,背面にも大きな矩形窓44を有する。」

上記記載を含む甲第13号証全体の記載からみて,甲第13号証には,以下の記載事項が開示されていると認められる。
「表示ボード40が正面側上部に取り付けられたフレーム20の腰位置よりやや下に棚22を設け,該棚22下に収納室23を形成し,収納室23内にはパソコン10のパソコン本体18が設けられているプレゼンテーション装置。」(以下,「甲第13号証記載事項」という。)

2 本件訂正発明1についての検討
(1)対比
本件訂正発明1と甲第1号証発明とを比較する。
後者の「ホワイトボード」は,前者の「黒板,ホワイトボードその他のボード」に相当する。
以下同様に,「投影ヘッド606」は「プロジェクター」に,
「アーム608及びヒンジユニット610」は「プロジェクターハンガー」に,
「スタイラス653」は「マーカー,スタイラスその他の入力手段」に,
「センサー654」は「位置検知センサー」に,
「デジタルホワイトボードシステム601」は「インタラクティブボード」に,それぞれ相当する。
したがって,本件訂正発明1と甲第1号証発明は,
「黒板,ホワイトボード,その他のボードに,プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと,マーカー,スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと,位置検知センサーを備え付けて成るインタラクティブボード。」
の点で一致し,以下の点で相違する。
相違点1
本件訂正発明1のボードは,「既設又は新設の壁面固定型又は移動式」であるのに対して,甲第1号証発明は,そのようなものではない点。
相違点2
本件訂正発明1のインタラクティブボードは,「パソコン置き台」を備えるものであるのに対して,甲第1号証発明は,そのようなものではない点。
相違点3
本件訂正発明1のプロジェクタハンガーは,「ボードに対して横方向に移動可能」であるのに対して,甲第1号証発明は「アーム608が90°回転することで,投影ヘッド606が閉位置,つまり収納位置から,開位置,つまり投影位置に旋回」するものの,横方向に移動するものではない点。
相違点4
本件訂正発明1の位置検知センサーが「プロジェクターハンガーに一体に設置」されているものであるのに対して,甲第1号証発明は「スクリーン602の縁近傍」に設置されている点。

(2)判断
ア 相違点1についての検討
本件訂正発明1において,「既設又は新設の壁面固定型又は移動式」は,「既設の壁面固定型又は移動式」又は「新設の壁面固定型又は移動式」の意味である。
そして,甲第1号証発明のデジタルホワイトボードシステム601は,何らかの施設に既に設置されているか,もしくは新しく設けるものであるかのいずれかであることは自明である。
また,一般にホワイトボードは固定型又は移動式であるから,甲第1号証のデジタルホワイトボードシステム601を,固定型又は移動式とすることは,当業者が適宜定める程度の設計的事項にすぎない。
また,相違点1に係る本件訂正発明1の発明特定事項によって,格別の作用効果が生じるものではない。
したがって,本件訂正発明1の相違点1に係る構成については,甲第1号証発明から当業者が容易に想到し得たものである。

イ 相違点2についての検討
本件訂正発明1が属する技術分野である黒板,ホワイトボードその他のボードに限らず,一般にパソコンを使用する装置にパソコン置き台を備え付けることは,周知技術(以下,「周知技術1」という。)であって,例えば,甲第5号証に記載されているとおりである。
そして,本件訂正発明1において,インタラクティブボードにパソコン置き台を備え付けたことによって,格別の作用効果が生じたものでもなく,甲第1号証発明に上記周知技術1を適用することに格別の技術的困難性があったものでもない。
よって,本件訂正発明1の相違点2に係る構成については,甲第1号証発明と上記周知技術1とから当業者が容易に想到し得たものである。

ウ 相違点3についての検討
本件訂正発明1において,プロジェクタハンガーが「ボードに対して横方向に移動可能」であることによって,プロジェクターハンガーに支持されたプロジェクターもボードに対して横方向に移動可能になっていることは当業者にとって自明であって,本件の【図1】及び【図3】に記載される「画像投影面14」が移動していることから理解できるように,当該構成によって,ボードの所望の位置に投影できるようになっていることも自明である。
これに対して,甲第1号証発明では,フレーム604にピボットで取り付けられたヒンジユニット610によってアーム608が90°回転して,投影ヘッド606が投影位置に旋回するものであって,投影ヘッド606をスクリーン602に対して横方向に移動させるものではなく,ボードの所望の位置に投影できるようになっているものでもない。
甲第6号証には「テレビカメラ1」を「監視対象物7,8」に対して横方向に移動可能にした点が,甲第7号証には「光電変換装置本体3a」を「情報記入板1」に対して横方向に移動可能にした点が,甲第8号証には「記録ヘッドを備えたXY移動装置8もしくは消去パッド4」を「ボード2」に対して横方向に移動可能にした点が記載されているが,いずれも本件訂正発明1の「プロジェクター」に相当する構成を横方向に移動させるものではなく,ボードの所望の位置に投影する点についても何ら記載も示唆もない。
してみると,甲第1号証発明に甲第6?8号証記載事項を適用しても,相違点3に係る本件訂正発明1の発明特定事項を導き出すことはできない。
また,相違点3に係る本件訂正発明1の発明特定事項が,当業者にとって設計的事項であるとする根拠もない。
なお,甲第2?5,9?13号証のいずれにも,「(プロジェクタハンガーが)ボードに対して横方向に移動可能」である点については,記載も示唆もない。

エ 相違点4についての検討
甲第1号証では「スクリーン602の縁近傍」に,甲第2号証では「プロジェクタ30を筐体上面に積載したデジタルカメラ40」に,甲第3号証では「黒板本体201」に,甲第4号証では「スクリーン1」もしくは「(スクリーン1の前面の)プロジェクタ7」に,それぞれセンサーが設けられているから,「ボード上における入力位置を検知する位置検知センサーが,ボード上における入力が検知可能な『ボード上の』様々な位置に配置可能であること」が周知技術と認めることができたとしても,「(位置検知センサーを)プロジェクターハンガーに一体に設置」することが周知技術とまではいえず,甲第1?4号証のいずれにも,位置検知センサーが「プロジェクターハンガーに一体に設置」されている点について,記載も示唆もない以上,相違点4に係る本件訂正発明1の発明特定事項が,当業者が適宜選択し得る単なる設計的事項ということはできない。
してみると,甲第1号証発明に甲第2から4号証記載事項を適用しても,相違点4に係る本件訂正発明1の発明特定事項を導き出すことはできない。
なお,甲第5?13号証のいずれにも,位置検知センサーが「プロジェクターハンガーに一体に設置」されている点については,記載も示唆もない。

(3)小括
以上によれば,相違点3及び相違点4に係る本件訂正発明1の発明特定事項を備えるものとすることが,当業者にとって容易に想到し得るものではないから,本件訂正発明1についての特許は,無効理由1により無効とすることはできない。
そして,本件訂正発明3?7は,本件訂正発明1の発明特定事項をその発明特定事項の一部とするものであって,上記のとおり,本件訂正発明1が,当業者にとって容易に発明することができたものとはいえないのであるから,同様に本件訂正発明3?7は,当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

第7 無効理由2について
1 各甲号証に記載された発明は,「第6 無効理由1について」に記載したとおりのものである。

2 本件訂正発明8についての検討
(1)対比
本件発明8と甲第1号証発明とを比較する。
後者の「ホワイトボード」は,前者の「黒板,ホワイトボードその他のボード」に相当する。
以下同様に,「投影ヘッド606」は「プロジェクター」に,
「アーム608及びヒンジユニット610」は「プロジェクターハンガー」に,
「スタイラス653」は「マーカー,スタイラスその他の入力手段」に,
「センサー654」は「位置検知センサー」に,
「デジタルホワイトボードシステム601」は「インタラクティブボード」に,それぞれ相当する。
したがって,本件訂正発明8と甲第1号証発明は,
「黒板,ホワイトボードその他のボードに,プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと,マーカー,スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと,を備え付けて成るインタラクティブボード。」
の点で一致し,以下の点で相違する。
相違点1
本件訂正発明8のボードは,「既設又は新設の壁面固定型又は移動式」であるのに対して,甲第1号証発明は,そのようなものではない点。
相違点2
本件訂正発明8のインタラクティブボードは,「パソコン置き台」を備えるものであるのに対して,甲第1号証発明は,そのようなものではない点。
相違点3
本件訂正発明8のプロジェクタハンガーは,「ボードに対して横方向に移動可能」であるのに対して,甲第1号証発明は「アーム608が90°回転することで,投影ヘッド606が閉位置,つまり収納位置から,開位置,つまり投影位置に旋回」するものの,横方向に移動するものではない点。
相違点4
本件訂正発明8のパソコン置き台が「プロジェクターハンガーに一体に設置」されているものであるのに対して,甲第1号証発明は,そもそも「パソコン置き台」を備えるものではないから,該パソコン置き台がプロジェクターハンガーに一体に設されたものではない点。

(2)判断
ア 相違点1についての検討
本件訂正発明8において,「既設又は新設の壁面固定型又は移動式」は,「既設の壁面固定型又は移動式」又は「新設の壁面固定型又は移動式」の意味である。
そして,甲第1号証発明のデジタルホワイトボードシステム601は,何らかの施設に既に設置されているか,もしくは新しく設けるものであるかのいずれかであることは自明である。
また,一般的にホワイトボードは固定型又は移動式であるから,甲第1号証のデジタルホワイトボードシステム601を,固定型又は移動式とすることは,当業者が適宜定める程度の設計的事項にすぎない。
また,相違点1に係る本件訂正発明8の発明特定事項によって,格別の作用効果が生じるものではない。
したがって,本件訂正発明8の相違点1に係る構成については,甲第1号証発明から当業者が容易に想到し得たものである。

イ 相違点2についての検討
本件訂正発明8が属する技術分野である黒板,ホワイトボードその他のボードに限らず,一般にパソコンを使用する装置にパソコン置き台を備え付けることは,本件訂正発明1の「(2)判断 相違点2についての検討」で検討したように,周知技術1であって,例えば,甲第5号証に記載されているとおりである。
そして,本件訂正発明8において,インタラクティブボードにパソコン置き台を備え付けたことによって,格別の作用効果が生じたものでもなく,甲第1号証発明に上記周知技術1を適用することに格別の技術的困難性があったものでもない。
よって,本件訂正発明8の相違点2に係る構成については,甲第1号証発明と上記周知技術1とから当業者が容易に想到し得たものである。

ウ 相違点3についての検討
本件訂正発明1において,プロジェクタハンガーが「ボードに対して横方向に移動可能」であることによって,プロジェクターハンガーに支持されたプロジェクターもボードに対して横方向に移動可能になっていることは当業者にとって自明であって,本件の【図1】及び【図3】に記載される「画像投影面14」が移動していることから理解できるように,当該構成によって,ボードの所望の位置に投影できるようになっていることも自明である。
これに対して,甲第1号証発明では,フレーム604にピボットで取り付けられたヒンジユニット610によってアーム608が90°回転して,投影ヘッド606が投影位置に旋回するものであって,投影ヘッド606をスクリーン602に対して横方向に移動させるものではなく,ボードの所望の位置に投影できるようになっているものでもない。
甲第6号証には「テレビカメラ1」を「監視対象物7,8」に対して横方向に移動可能にした点が,甲第7号証には「光電変換装置本体3a」を「情報記入板1」に対して横方向に移動可能にした点が,甲第8号証には「記録ヘッドを備えたXY移動装置8もしくは消去パッド4」を「ボード2」に対して横方向に移動可能にした点が記載されているが,いずれも本件訂正発明1の「プロジェクター」に相当する構成を横方向に移動させるものではなく,ボードの所望の位置に投影する点についても何ら記載も示唆もない。
してみると,甲第1号証発明に甲第6?8号証記載事項を適用しても,相違点3に係る本件訂正発明8の発明特定事項を導き出すことはできない。
また,相違点3に係る本件訂正発明8の発明特定事項が,当業者にとって設計的事項であるとする根拠もない。
なお,甲第2?5,9?11号証のいずれにも,「(プロジェクタハンガーが)ボードに対して横方向に移動可能」である点については,記載も示唆もない。

エ 相違点4についての検討
甲第5号証では「(パソコン収容棚が)大型リアプロジェクターと一体」に,甲第12号証では「(プリンタ配置台が)電子黒板の下辺枠部」に,甲第13号証では「(パソコン収納室が)フレームの下部分」に設けられているから「対話型の電子表示装置またはプレゼンテーション装置において,当該装置と連動して用いられる電子機器が表示画面の下部に設置可能なように,収納棚,配置台,または収納室が設置されていること」が周知技術と認めることができたとしても,「(パソコン置き台を)プロジェクターハンガーに一体に設置」することが周知技術とまではいえず,甲第5,12,13号証のいずれにも,パソコン置き台が「プロジェクターハンガーに一体に設置」されている点について記載も示唆もない以上,相違点4に係る本件訂正発明8の発明特定事項が,当業者が適宜選択し得る単なる設計的事項ということはできない。
してみると,甲第1号証発明に甲第5,12,13号証記載事項を適用しても,相違点4に係る本件訂正発明8の発明特定事項を導き出すことはできない。
なお,甲第2?4,6?11号証のいずれにも,位置検知センサーが「プロジェクターハンガーに一体に設置」されている点については,記載も示唆もない。

(3)小括
以上によれば,相違点3及び相違点4に係る本件訂正発明8の発明特定事項を備えるものとすることが,当業者にとって容易に想到し得るものではないから,本件訂正発明8についての特許は,無効理由2により無効とすることはできない。
そして,本件訂正発明10?16は,本件訂正発明8の発明特定事項をその発明特定事項の一部とするものであって,上記のとおり,本件訂正発明8が,当業者にとって容易に発明することができたものとはいえないのであるから,同様に本件訂正発明10?16は,当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

第8 むすび
以上のとおりであるから,請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては本件特許発明1,3ないし7,及び8,10ないし16についての特許を無効にすることはできない。

審判に関する費用については,特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。

よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
インタラクティブボード
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタラクティブボード、より詳細には、電子黒板、ホワイトボード、スクリーンボード等の投影表示面を有するボードで、超音波・赤外線型、光学・赤外線型及びレーザ光線型等の送受信センサー方式による位置検知式送受信機能を備えたインタラクティブボードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、学校等の教育関連施設や病院等の公共施設、あるいは、企業等において、インタラクティブボードが広く使用されるようになってきている。このインタラクティブボードは、コンピュータのデスクトップを投影する二次元表面型のデバイスであって、ユーザーがその表面上に行ったことをコンピュータに入力する機能を備えたものである。もちろん電子黒板としての使用も可能であるが、それにプロジェクターを装備して使用することで、汎用的な対話型コンピュータスクリーンとなり得るものである。
【0003】
このインタラクティブボードにおける、機器間の双方向通信のための位置検知方式としては、デジタル感圧型や電磁気型等のタッチパネルセンサー方式のものと、超音波・赤外線型、光学・赤外線型及びレーザ光線型等の送受信センサー方式のものとがある。このうち後者のものにあっては、ホワイトボ?ド、電子黒板あるいはスクリーン面等の投影表示面に、位置検出用の送受信センサー機器をポータブル型として単独で貼り付け設置するか、センサー機器自体を投影表示面本体に埋設したりするかして、インタラクティブボードとしての機能を実現させて、市場への製品提供がなされている。
【0004】
しかるに、これらの従来のインタラクティブボードの使用環境を整える場合、投影表示面に映像等の情報の投写をする必要から、多くの場合プロジェクターを、天井や壁等のボード以外の場所に固定していた。そのために、各種のプロジェクター吊り下げ固定装置の配設工事をしたり、その都度ボードの前面に机等のプロジェクター設置台を配置したりする必要があり、それは、使用者にとって煩わしい作業であった。
【0005】
このように使用者にとって煩わしく、手間の掛かる映像情報の表示のための事前準備作業を省略するため、タッチパネルセンサー式を用いたインタラクティブボードにつき、電子ボード自体にプロジェクターの可動式吊り下げ装置を実装させる提案が、本願出願人によって種々なされると共に(特願2008-318419号、特願2007-291736号、特願2007-291826号等)、使用者に対する利便性や機器省略等による環境性の向上を図った製品も既に市場に提供されている。
【0006】
しかしながら一方、超音波・赤外線型、光学・赤外線型及びレーザ光線型等の送受信センサー方式による位置検知式送受信機能を用いたインタラクティブボードについては、上述した使用者の利便性は十分に考慮されておらず、また一方で、機器の据付設置工事の施工業者等に対する利便性の考慮も不足しており、利用者及び施工業者の双方を満足させる仕様を実現し得る製品は、未だ市場に提供されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2008-318419号
【特許文献2】特願2007-291736号
【特許文献3】特願2007-291826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記背景の下になされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、超音波・赤外線型、光学・赤外線型及びレーザ光線型等の送受信センサー方式による位置検知式送受信機能を用いたインタラクティブボードでありながら、タッチパネルセンサー方式を用いたインタラクティブボードと同等の仕様であり、各種の黒板やホワイトボードにつき、既設、新設を問わず採用可能であって、使用者だけでなく施工業者にとっても利便性が高く、しかも環境に優しいインタラクティブボードを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、既設又は新設の壁面固定型又は移動式の黒板、ホワイトボードその他のボードに、プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと、マーカー、スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと、パソコン置き台とを備え付けて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボードであって、前記プロジェクターハンガーは、前記ボードに対して横方向に移動可能に設置され、前記位置検知センサーが、前記プロジェクターハンガーに一体に設置されていることを特徴とするインタラクティブボードである。
【0010】
上記課題を解決するための請求項8に記載の発明は、既設又は新設の壁面固定型又は移動式の黒板、ホワイトボードその他のボードに、プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと、マーカー、スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと、パソコン置き台とを備え付けて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボードであって、前記プロジェクターハンガーは、前記ボードに対して横方向に移動可能に設置され、前記パソコン置き台が、前記プロジェクターハンガーに一体に設置されていることを特徴とするインタラクティブボードである。
【0011】
一実施形態においては、前記プロジェクターハンガーの横方向への移動は、前記ボードの上辺及び下辺に沿って設置されたスライドレールに沿って行われ、前記上辺のスライドレール及び/又は下辺のスライドレールは、平行に複数本敷設されることがあり、その場合、前記複数本敷設されるスライドレールのスライド面は、同じ方向を向く場合と互いに異なる方向を向く場合とがある。そして、前記パソコン置き台は、前記プロジェクターハンガーに一体に設置され、あるいは、前記プロジェクターハンガーと切り離して設置される。
【0012】
また、一実施形態において前記プロジェクターハンガーは、プロジェクターを映写に好適な位置に移動させ、且つ、好適な向きに向けることが可能な状態にて前記プロジェクターを吊持するアームを有し、前記アームは、前記プロジェクターが、上下方向及び/又は前記アームの長さ方向に移動し得るように吊持すると共に、前記プロジェクターが、所望の方向に向けて回動し得るように支持する。前記アームは、水平方向に旋回可能に軸支され、また、上下方向に移動可能に支持される。
【0013】
本インタラクティブボードは、壁面固定式のものであってもよいし、移動式のものであってもよい。また、好ましくは、スライドコンセントを備え付けたものとされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述したとおりであって、本発明に係るインタラクティブボードは、プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと、マーカーやスタイラス等の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと、パソコン置き台とを備えて成るので、超音波・赤外線型、光学・赤外線型及びレーザ光線型等の送受信センサー方式による位置検知式送受信機能を用いたインタラクティブボードでありながら、タッチパネルセンサー方式を用いたインタラクティブボードと同様に、各種の黒板やホワイトボードにつき、既設、新設を問わず採用可能であり、且つ、使用者並びに施工業者にとって利便性が高く、しかも環境に優しいインタラクティブボードを提供し得る効果がある。
【0015】
また、別途パソコン台を用意することなく、プロジェクター、ボード、パソコンを三位一体として即時プロジェクターの使用が可能となり、プロジェクターの使用者が、最適な状態にて映写するために、映写ボード面に対するプロジェクターの高さ位置、傾斜角度、前後方向の位置、旋回角度等の調節を任意に行うことができて、使用者の利便性を飛躍的に高めることができる効果がある。
【0016】
更に、新規設置の場合に限らず、既存の黒板補修時等の機会においても、容易に据付設置が可能で、既存の黒板等の機能を拡大し得る効果があり、請求項13に記載の発明においては、電源コード類が散乱して見苦しくなることを回避できて、周辺の安全性を向上させ得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るインタラクティブボードの一実施形態(壁面固定型)を示す概略正面図である。
【図2】図1に示す実施形態の変形例を示す概略正面図である。
【図3】図1に示す実施形態の他の変形例を示す概略正面図である。
【図4】本発明に係るインタラクティブボードの他の実施形態(移動式)を示す概略側面図である。
【図5】本発明に係るインタラクティブボードにおけるスライドレールとスライダーとの係合関係を示す図である。
【図6】図2に示す実施形態における並走レールのそれぞれ異なる構成例を示す断面図である。
【図7】本発明に係るインタラクティブボードにおけるプロジェクターハンガーの構成例を示す図である。
【図8】本発明に係るインタラクティブボードにおいて用いることのあるプロジェクター吊持具の構成例を示す図である。
【図9】本発明に係るインタラクティブボードにおいて用いることのあるプロジェクター吊持具の他の構成例を示す図である。
【図10】本発明に係るインタラクティブボードにおいて用いることのあるスライドコンセント及び集中電源コンセントの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面に依拠して説明する。本発明に係るインタラクティブボードは、プロジェクター1を支持するためのプロジェクターハンガー2と、マーカーやスタイラス等の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサー3と、パソコン置き台4とを備えていることを特徴とするものである。
【0019】
本発明は、壁面固定型と移動型のいずれのボードに対しても適用可能である。図1及び図2に示される第1の実施形態は、既設の壁面固定型の大型平面黒板についてのものであり、プロジェクターハンガー2をボード5に沿って横方向に移動可能にしたものである。この実施形態における位置検知センサー3は、プロジェクターハンガー2に一体に設置されるが、後述する第2の実施形態におけるように、別体にて設置することもできる(図3参照)。
【0020】
図1に示す例では、壁面に固定されたボード5の上辺及び下辺に沿ってスライドレール6、7がそれぞれ1本ずつ敷設され、各スライドレール6、7に、摺動又は転動可能なスライダー8、9が設置される。また、更に使用上の利便性を高めるために、図2に示す例のように、スライドレール6、7を、それぞれ複数(図では2本)ずつ敷設することもある。図2においては、その利用例として、下側のスライドレール7の下段に、フック型吊下げ具32が取り付けられ、そこに配線コード33を吊下げる例が示されている。
【0021】
スライドレール6、7とこれに係合するスライダー8、9の構成は任意で、例えば、スライドレール6、7として断面が角C字形のものを用い、スライダー8、9として、スライドレール6、7内に係止されて転動するコロ8a、9aを備えたブロックとすることができる(図5参照)。あるいは、スライドレール6、7としてLMガイドを用い、スライダー8、9として、LMボールを備えたブロックとすることもできる。
【0022】
図6は、スライドレール6、7をそれぞれ複数並走させる場合におけるスライドレール6、7の断面形状例を示すもので、(A)に示す例は、正面向きレールを二段近接させて設けたもので、(B)に示す例は、正面向きレールを二段離隔させて設けたもので、(C)に示す例は、上段を上向きレールとし、下段を正面向きレールとしたもので、(D)に示す例は、上段を正面向きレールとし、下段を下向きレールとしたものであり、他にも、用途に応じて種々の組み合わせが可能である。また、図示してないが、更に必要に応じて、スライドレール6、7の他に、ボード5の側辺に縦レールを配することもできる。
【0023】
第1の実施形態においては、スライダー8、9は連結支柱10によって連結され、スライダー8とスライダー9とが一体となって、スライドレール6、7に沿って移動する。例えば、位置検知センサー3は、この連結支柱10に固定されることで、プロジェクターハンガー2に一体化され、プロジェクターハンガー2と共に移動可能となる。
【0024】
プロジェクターハンガー2は、電子黒板、ホワイトボード、スクリーンボード等の各種ボードの機能を有するボード5の画像投影面に向けて支持するためのアーム11を有し、通例該アーム11は、上側のスライダー8に設置される。アーム11は、プロジェクター1が映写に好適な位置に移動し、且つ、好適な向きに向くように、例えば、プロジェクター1が、上下方向及び/又はアーム11の長さ方向に移動し得るように支持すると共に、水平方向及び/又は垂直方向に旋回し得るように支持する。
【0025】
好ましくはアーム11は、それ自体がボード5に対して旋回可能となるようにしてスライダー8に設置される。そのためには、例えば、スライダー8にパイプ状の軸支筒16を埋設し、アーム11を軸支筒16内に旋回可能に挿入するようにすればよい。その場合、アーム11を所望の旋回位置並びに高さ位置に固定するための手段を配することが好ましい。
【0026】
その手段としては、軸支筒16の上端部に、アーム11を取り巻いて緊締可能な締付バンド13を配設する構成(図7(A)参照)、軸支筒16の外側から止めネジをねじ込み、その先端でアーム11を押圧してその動きを制止させる構成、外側からスプリング付きピン41を差し込み、そのスプリングの作用でピンの先端がアーム11に適宜穿設されたピン孔42内に進入してロックする構成(図7(B))、その他任意のロック手段を採用することができる。あるいは、それらのロック手段を配することなく、例えば、アーム11の外周面と軸支筒16の内周面とのクリアランスを約0.6mmとすると共に、アーム11の挿入深さを250mm以上確保することによって、両周面間に十分な摺動抵抗を持たせる方法を採用することもできる。
【0027】
このような構成とすることによりアーム11は、緊締手段等を緩めた状態において、スライダー8に軸支されて旋回可能且つ上下動可能となり、その先端に取り付けられるプロジェクター1を任意の高さ及び向きに配置することが可能となる。なお、通例、このアーム11の旋回及び上下動は手動で行うが、シリンダーやモーター等による機械的駆動によって行うようにすることもできる。
【0028】
アーム11の先端部に対するプロジェクター1の取り付けは、直接、あるいは、プロジェクター吊持具21を介して行う。例えば、プロジェクター吊持具21は、アーム11を進入させることによってアーム11に設置される筒状のスライド枠22と、垂直方向に向けてスライド枠22に付設される摺動支持筒23と、摺動支持筒23内に摺動可能に挿入される吊持軸24と、吊持軸24の下端に取り付けられて吊持軸24と直交方向にスライドするスライド棒25と、スライド棒25に吊持されるプロジェクター固定板26とで構成される(図8参照)。
【0029】
この場合アーム11は、スライド枠22内を摺動可能、換言すれば、スライド枠22はアーム11に沿って移動可能となる。このスライド枠22の移動は、固定ネジ27を緩めることにより行うことができ、また、吊持軸24の摺動は、摺動支持筒23にねじ込まれた固定ネジ28を緩めることにより行うことができる。スライド棒25は、フレキシブルクランプ29を介して吊持軸24の下端部に取り付けられる。フレキシブルクランプ29は、2軸を所望の角度にして連結し得る金具であり、垂直状態の吊持軸24に対してスライド棒25を水平状態、あるいは、任意の傾斜状態にすることが可能である。
【0030】
図9は、アーム11に対するプロジェクター吊持具21の他の取付方法を示すものである。それは、基板35の一方の面に、プロジェクター吊持具21の吊持軸24を挿通するための軸挿入部36を設け、その他方の面に、アーム11の先端部を吊持軸24と直交方向に挿入して受けるU型ベンダーボルト37を設けたアーム取り付け具34を用いるもので、その軸挿入部36には緊締ネジ38がねじ付けられ、また、基板34を通り抜けるU型ベンダーボルト37の一端部に緊締ナット39がねじ付けられる。
【0031】
この場合は、軸挿入部36の緊締ネジ38を緩めることで、軸挿入部36に挿通されている吊持軸24を上下動させることができ、また、U型ベンダーボルト37の緊締ナット39を緩めることで、そこに挿通されているアーム11の先端部を摺動可能となり、それぞれの操作で、プロジェクター1の横方向位置及び高さ位置の調整が可能となる。
【0032】
なお、プロジェクター固定板26としては、あらゆるメーカーのプロジェクターに対応可能となるという意味において、パンチングメタルを採用し、これを適宜折曲して用いることが好ましい。
【0033】
以上の構成によりプロジェクター1は、アーム11の長さ方向に移動可能であると共に上下方向に移動可能である。また、プロジェクター1はプロジェクター固定板26を介してスライド棒25に連結されているので、フレキシブルクランプ29の締め付けネジを緩めてスライド棒25の傾斜角度を変更することにより、プロジェクター1の傾斜角度を任意に設定することができ、以て、アーム11を旋回させることと相俟って、プロジェクター1を映写に最適な位置及び角度に配置する操作を、容易且つ迅速に行うことが可能となる。
【0034】
プロジェクター吊持具21としては、上記の他に、吊持軸24とスライド棒25とを自在軸継手(ユニバーサルジョイント)を介して連結する構成、あるいは、スライド棒25を省略し、吊持軸24に自在軸継手を介して直接プロジェクター1(又はプロジェクター固定板26)を連結する構成も考えられる。この自在軸継手を用いた構成の場合は、プロジェクター1の首振り動作の自由性がより高まる。
【0035】
位置検知センサー3は、図1及び図2に示される第1の実施形態におけるように、プロジェクターハンガー2に一体に設置される場合のほか、図3に示す第2の実施形態におけるように、プロジェクターハンガー2とは独立したものとして、別個にボード5のボード面又は枠部の適宜位置に設置されることもある。その設置は、恒久的な埋設方法であってもよいし、脱着可能な方法であってもよい。
【0036】
パソコン置き台4も、プロジェクターハンガー2に一体に設置される構成と、別体にて設置される構成とがあり、図1及び図2には前者の例が示されている。その場合のパソコン置き台4は、下側のスライダー9と一体に設置されていて、スライダー9と共にスライドレール7に沿って移動可能である。
【0037】
パソコン置き台4をプロジェクターハンガー2とは別体にする場合は、ボード5の下部等に固定的に設置することとしてもよいし(後述する移動式ボードの場合には、スタンドに設置することも可能)、スライドレール7又はこれに平行に敷設される別のスライドレールに、スライド可能に設置することとしてもよい。
【0038】
上記いずれの場合においても、パソコン置き台4は、不使用時には邪魔にならないように折り畳み収納可能にし、パソコン使用時に起こしたり、引き出したりして水平状態にすることができるような構成にすることが好ましい。そのためのパソコン置き台4の構成としては種々のものが考えられ、L型蝶番の水平部を介して水平に支持させる構成、周回可能に取り付けて水平位置においてロックする機構を設ける構成、パソコン置き台4と連結支柱10とにそれぞれ設けた角型パイプ同士を、挿入角度を変えて抜き差し可能にする構成、あるいは、航空機や新幹線の座席に設置されているような、引出し式テーブルの如き構成等を採用することができる。
【0039】
特に、図1乃至図3に示されるような大型の固定式黒板においては、ボードの上辺部及び/又は下辺部、あるいは、側辺部の沿面等に、スライドコンセントを設置することが好ましい(図10(A)参照)。このスライドコンセントは、導電レールを内設した絶縁レールに対し、導電レールに摺接する導電端子を有する絶縁プラグを係合させたもので、絶縁プラグを絶縁レールに沿って任意の位置にずらし動かして使用することができる。また同時に、螺旋コード付き集合電源コンセント(図10(B)参照)を用いることが好ましい。このスライドコンセントを配設し、また、集合電源コンセントを使用することにより、電源コード類が散乱して見苦しくなることを回避することができ、また、適宜照明器具を設置したりすることもでき、周辺の安全性を向上させることが可能となる。
【0040】
なお、図中の符号12は、上側のスライダー8に取り付けられたスピーカーであり、符号13は、スライダー9をロックして固定するためのロック機構の例であり、また、符号14は、プロジェクター1による投影面を表わしている。
【0041】
図1乃至図3に示されるような大型の固定式黒板においては、プロジェクターハンガー2、位置検知センサー3、パソコン置き台4、スライダー8、9、連結支柱10等の構成を、左右対称に一対設けることとしてもよい。その場合は、状況に応じて、左右いずれかのセットを利用することができ、また、左右のセットを同時に使用することもできる。
【0042】
なお、黒板には、複数の筆記面を有するものとして、上げ下げ式黒板や引き分け式黒板があるが、本発明は、これらの構成の場合にも適用可能である。即ち、上げ下げ式黒板の場合は、前面側の上下動するボードに、また、引き分け式黒板の場合は、やはり前面側のボードに、それぞれ上記プロジェクターハンガー2、位置検知センサー3、パソコン置き台4、スライダー8、9、連結支柱10等の構成を設置することができる。
【0043】
図4に示す第3の実施形態は、ボード5をキャスター付きスタンド(支持脚)21に設置することによって移動可能にした、移動式インタラクティブボードに関するものである。そこにおいて、上述した図1乃至図3に示される実施形態におけると同じ符号を付した部分の構成は、上記実施形態における構成に準じるので、説明を省略する。
【0044】
この図4に示された実施形態においては、パソコン置き台4はスタンド31に設置されているが、スライダー9に設置することができることは、上述した実施形態の場合と同様である。
【0045】
このように本発明に係るインタラクティブボードは、プロジェクター1を支持するためのプロジェクターハンガー2と、マーカーやスタイラス等の入力手段のボード5上における位置を検知する位置検知センサー3と、パソコン置き台4とを備えて成るので、超音波・赤外線型、光学・赤外線型及びレーザ光線型等の送受信センサー方式による位置検知式送受信機能を用いたインタラクティブボードでありながら、タッチパネルセンサー方式を用いたインタラクティブボードと同様に、各種の黒板やホワイトボードにつき、既設、新設を問わず採用可能であり、且つ、使用者並びに施工業者にとって利便性が高いものである。
【0046】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【符号の説明】
【0047】
1 プロジェクター
2 プロジェクターハンガー
3 位置検知センサー
4 パソコン置き台
5 ボード
6、7 スライドレール
8、9 スライダー
10 連結支柱
11 アーム
14 画像投影面
21 プロジェクター吊持具
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設又は新設の壁面固定型又は移動式の黒板、ホワイトボードその他のボードに、プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと、マーカー、スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと、パソコン置き台とを備え付けて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボードであって、
前記プロジェクターハンガーは、前記ボードに対して横方向に移動可能に設置され、前記位置検知センサーが、前記プロジェクターハンガーに一体に設置されていることを特徴とするインタラクティブボード。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記プロジェクターハンガーの横方向への移動は、前記ボードの上辺及び下辺に沿って設置されたスライドレールに沿って行われる、請求項2に記載のインタラクティブボード。
【請求項4】
前記上辺のスライドレール及び/又は下辺のスライドレールは、そのスライド面が同じ方向を向くようにされた又は異なる方向を向くようにされた2本の平行なレールである、請求項3に記載のインタラクティブボード。
【請求項5】
前記プロジェクターハンガーは、プロジェクターを映写に好適な位置に移動させ、且つ、好適な向きに向けることが可能な状態にて前記プロジェクターを吊持するアームを有する、請求項1乃至4のいずれかに記載のインタラクティブボード。
【請求項6】
前記アームは、前記プロジェクターが、上下方向及び/又は前記アームの長さ方向に移動し得るように吊持すると共に、前記プロジェクターが、所望の方向に向けて回動し得るように支持することを特徴とする、請求項5に記載のインタラクティブボード。
【請求項7】
スライドコンセントを備えている、請求項1乃至6のいずれかに記載のインタラクティブボード。
【請求項8】
既設又は新設の壁面固定型又は移動式の黒板、ホワイトボードその他のボードに、プロジェクターを支持するためのプロジェクターハンガーと、マーカー、スタイラスその他の入力手段のボード上における位置を検知する位置検知センサーと、パソコン置き台とを備え付けて成る壁面固定型の又は移動式のインタラクティブボードであって、
前記プロジェクターハンガーは、前記ボードに対して横方向に移動可能に設置され、前記パソコン置き台が、前記プロジェクターハンガーに一体に設置されていることを特徴とするインタラクティブボード。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
前記位置検知センサーは、前記プロジェクターハンガーに一体に設置される、請求項8又は9に記載のインタラクティブボード。
【請求項11】
前記位置検知センサーは、前記ボードのボード面又は枠部分に設置される、請求項8又は9に記載のインタラクティブボード。
【請求項12】
前記プロジェクターハンガーの横方向への移動は、前記ボードの上辺及び下辺に沿って設置されたスライドレールに沿って行われる、請求項9乃至11のいずれかに記載のイン
タラクティブボード。
【請求項13】
前記上辺のスライドレール及び/又は下辺のスライドレールは、そのスライド面が同じ方向を向くようにされた又は異なる方向を向くようにされた2本の平行なレールである、請求項12に記載のインタラクティブボード。
【請求項14】
前記プロジェクターハンガーは、プロジェクターを映写に好適な位置に移動させ、且つ、好適な向きに向けることが可能な状態にて前記プロジェクターを吊持するアームを有する、請求項8乃至13のいずれかに記載のインタラクティブボード。
【請求項15】
前記アームは、前記プロジェクターが、上下方向及び/又は前記アームの長さ方向に移動し得るように吊持すると共に、前記プロジェクターが、所望の方向に向けて回動し得るように支持することを特徴とする、請求項14に記載のインタラクティブボード。
【請求項16】
スライドコンセントを備えている、請求項8乃至15のいずれかに記載のインタラクティブボード。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-06-30 
結審通知日 2016-07-04 
審決日 2016-07-25 
出願番号 特願2009-50405(P2009-50405)
審決分類 P 1 113・ 121- YA (B43L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 荒井 隆一  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 吉村 尚
山本 一
登録日 2013-02-01 
登録番号 特許第5190007号(P5190007)
発明の名称 インタラクティブボード  
代理人 谷 昌樹  
代理人 齋藤 貴広  
代理人 齋藤 晴男  
代理人 永田 貴久  
代理人 齋藤 貴広  
代理人 齋藤 晴男  
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