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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F01N
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 F01N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01N
管理番号 1321785
審判番号 不服2015-18000  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-02 
確定日 2016-11-18 
事件の表示 特願2011-524149号「触媒コンバーター装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 3月 4日国際公開、WO2010/022507、平成24年 1月12日国内公表、特表2012-500927号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2009年8月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2008年8月27日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年2月25日に国内書面が提出され、平成23年4月22日に国際出願翻訳文提出書により、明細書、特許請求の範囲、要約書の翻訳文及び図面の翻訳文が提出され、平成25年7月18日付けで拒絶理由が通知され、平成25年12月2日に意見書及び手続補正書が提出され、平成26年5月20日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成26年11月25日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年5月29日付けで平成26年11月25日提出の手続補正書でした補正についての補正却下の決定がされるとともに同日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成27年10月2日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成27年10月2日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年10月2日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
[1]本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成25年12月2日提出の手続補正書により補正された)下記の(1)に示す請求項1を下記の(2)に示す請求項1に補正することを含むものである。(なお、平成26年11月25日の手続補正は、平成27年5月29日付けの補正却下の決定により却下された。)

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
内燃機関の排気系に用いられ、該内燃機関からの排気ガスストリームを受入れる触媒コンバーター装置であって、該装置は、
一つのガスの入口および一つのガスの出口を含む筐体と、
前記筐体内に配置され、触媒材料と、それぞれが前記入口と前記出口を流体通流するように接続する略独立した流体通路を画成する複数のゾーンを含む基体要素と、
前記複数のゾーン間を少なくとも部分的に仕切り、前記ゾーン間の熱の流れを抑制するように構成され、前記ゾーン間のガス流を略通さない少なくとも一つの壁部を具え、前記基体要素が一体の基体要素であり、前記複数のゾーンが、使用時に、前記ストリームを複数の個別ストリームに分離させる、
装置。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
内燃機関の排気系に用いられ、該内燃機関からの排気ガスストリームを受入れる触媒コンバーター装置であって、該装置は、
一つのガスの入口および一つのガスの出口を含む筐体と、
前記筐体内に配置され、触媒材料と、それぞれが前記入口と前記出口を流体通流するように接続する独立した流体通路を画成する複数のゾーンを含む基体要素と、
前記複数のゾーン間を少なくとも部分的に仕切り、前記ゾーン間の熱の流れを抑制するように構成され、前記ゾーン間のガス流を通さない少なくとも一つの壁部を具え、
前記基体要素が一体のセラミック基体であり、
前記複数のゾーンが、使用時に、前記ストリームを複数の個別ストリームに分離させる、
装置。」(下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

[2]本件補正の目的について
本件補正後の請求項1は、特許請求の範囲の請求項1に関して、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における「基体要素が一体の基体要素であり」の記載を「基体要素が一体のセラミック基体であり」とするものであるから、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明特定事項である「基体要素」の材質を限定するものであるといえる。
よって、特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定したものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明とは産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
さらに、本件補正は、平成26年5月20日付け拒絶理由における理由1に示す事項について、本件補正前の「略独立した」を、明りょうでない部分である「略」を省いて本件補正後の「独立した」とし、本件補正前の「略通さない」を、明りょうでない部分である「略」を省いて本件補正後の「通さない」とすることにより、明りょうでない記載を明りょうなものとしたのであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第4号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当する。

そして、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むものであるから、本件補正によって補正された請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかどうか)について、以下に検討する。

[3]独立特許要件の判断
A.特許法第29条第1項第3号
1.刊行物
(1)刊行物の記載事項
原査定の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2003-161136号公報(以下、「刊行物」という。)には、「ハニカム構造体及びその製造方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

1a)「【請求項1】 隔壁により仕切られた、軸方向に貫通する多数の流通孔を有するハニカム構造体であって、流路セパレーターが形成されていることを特徴とするハニカム構造体。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】)

1b)「【請求項7】 窒化ケイ素、炭化珪素、珪素-炭化珪素系複合材料、ムライト、炭化珪素-コージェライト系複合材料、アルミナから選ばれた1種又は2種以上の材料を主成分とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のハニカム構造体。」(【特許請求の範囲】の【請求項7】)

1c)「【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、内燃機関、ボイラー等の排ガス中の微粒子捕集フィルター等に用いられるハニカム構造体及びその製造方法に関し、特に使用時の熱応力により破損することが少なく、経済的に有利な工程により製造することができるハニカム構造体及びその製造方法に関する。」(段落【0001】)

1d)「【0012】 図1(a)?(c)及び図2(a)、(b)は、本発明のハニカム構造体の一形態を示す模式図であり、図1(a)、(c)及び図2(a)?(c)において、上側が流入孔側端部42、即ち排ガスなどの被処理流体が流入する側の端部である。本発明のハニカム構造体は、隔壁2により仕切られたX軸方向に貫通する多数の流通孔3を有する。図1(a)?(c)及び図2(a)、(b)に示すDPF用のハニカム構造体は、さらに、端面が市松模様状を呈するように、流通孔の端部31において隣接する流通孔3が互いに反対側となる一方の端部で目封じ材5により目封じされている。本発明の重要な特徴は、ハニカム構造体に流路セパレーター6が形成されていることである。流路セパレーターとは、流路セパレーター6を挟んだ両側の流通孔3において、一方の流通孔3から他方の流通孔3へ被処理流体の流通が実質的に起こらない層、又は流通を大きく阻害する層である。なお、本願における流路セパレーターは、セグメントに分割されたハニカム構造体を接合する際に形成される接合層とは異なるものであって、このような接合層は、本願の流路セパレーターからは除かれる。この様な流路セパレーター6を備えることにより、流路セパレーター6を挟んだ流体の流通が実質的に遮断され又は阻害され、被処理流体の流路が流路セパレーター6により分離される。さらに、流路セパレーター6が断熱層となり、流路セパレーターを挟んだ熱の移動が妨げられる。また、流路セパレーター部が十分な熱容量を持つことによりスートの燃焼熱を吸収かつ熱拡散に寄与して急激なスート燃焼を制御する働きをする。これらの効果により、本発明のハニカム構造体を特にDPFとして用いた場合に、堆積したスート燃焼の連鎖が抑制され、爆発的なスートの燃焼などによる熱的な暴走を防止することができる。流路セパレーターによりこの様な効果が得られることから、ハニカム構造体をセグメントに分割せずに、又は少ない分割数で熱応力による破損を抑制することが可能となる。なお、上述のような流路セパレーターの効果は、ハニカム構造体をDPFとして用いた場合に、より効果的に得られるが、その他の用途、例えば触媒担体や他のフィルターとして用いた場合にも本発明の効果が得られることはいうまでもない。」(段落【0012】)

1e)「【0018】 本発明において、ハニカム構造体1の主成分は、強度、耐熱性等の観点から、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素、炭化珪素-コージェライト系複合材料、珪素-炭化珪素系複合材料、窒化珪素、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、Fe-Cr-Al系金属及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる少なくとも1種の材料からなることが好ましいが、熱伝導率の高い炭化珪素や珪素-炭化珪素系複合材料は、放熱し易いという点で特に好ましく、特に、炭化珪素は放熱し易い点で好ましい一方、熱膨張係数が比較的大きいために局所的な高温化が生じた場合の熱応力に対する対策が必要であるという点からも、本発明のハニカム構造体に特に適している。ここで、「主成分」とは、ハニカム構造体の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上を構成することを意味する。」(段落【0018】)

1f)「【0022】 本発明のハニカム構造体を、触媒担体として内燃機関等の熱機関若しくはボイラー等の燃焼装置の排気ガスの浄化、又は液体燃料若しくは気体燃料の改質に用いようとする場合、本発明のハニカム構造体に触媒、例えば触媒能を有する金属を担持させることが好ましい。触媒能を有する金属の代表的なものとしては、Pt、Pd、Rhが挙げられ、これらのうちの少なくとも1種をハニカム構造体に担持させることが好ましい。」(段落【0022】)

1g)「【0034】 実施例1?8及び比較例1?3で得られたDPF用ハニカム構造体を、直噴式3リットルディーゼルエンジンの排気管に接続し、30ppmのローディア社製Ce燃料添加剤を含有する軽油を用いてエンジンを運転し、5g/リットルのスートをハニカム構造体に溜めた後、ポストインジェクションによって500℃以上に排気ガス温度を上げることでスートの再生処理を行った。この時のDPF内出口側の最高温度を計測するとともに試験後のDPFにクラックが発生しているかどうかを光学式の実体顕微鏡で確認した。この結果を表2に示す。」(段落【0034】)

(2)上記(1)及び図面から分かること
1h)上記(1)1f)から、ハニカム構造体1に触媒能を有する金属が担持させることにより、内燃機関の排気ガスの浄化を行うことが分かる。

1i)上記(1)1g)から、ハニカム構造体1は、内燃機関の排気管に接続され、排気ガスを流入させるものであることが分かる。

1j)上記(1)1d)及び図1ないし図16の記載から、ハニカム構造体1は、流路セパレータ6により軸方向に分割されたことにより、それぞれが流入孔側から流出口孔側へと被処理流体が通流するように接続するとともに、被処理流体の流路が互いに分離されるような複数の部分を含むものであることが分かる。

1k)上記(1)1d)から、ハニカム構造体1に流路セパレータ6を設けることにより、複数の部分における被処理流体の流路を互いに分離し、ハニカム構造体1の複数の部分間の熱の移動を妨げ、ハニカム構造体1の複数の部分間の流体の流通が遮断されることが分かる。

1l)上記(1)1e)及び図1ないし図16の記載から、ハニカム構造体は、一体のセラミックスからなるものであることが分かる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)並びに図1ないし図16の記載を総合すると、刊行物には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「内燃機関の排気管に接続されており、内燃機関からの排気ガスを流入させる、触媒能を有する金属による排気ガス浄化装置であって、排気ガス浄化装置は、
触媒能を有する金属と、それぞれが流入孔側から流出口孔側へと被処理流体が通流するものであって、被処理流体の流路が互いに分離されるような複数の部分を含むハニカム構造体1と、
ハニカム構造体1の複数の部分の間を互いに分離し、ハニカム構造体1の複数の部分の間の熱の移動を妨げるようにし、ハニカム構造体1の複数の部分間の流体の流通が遮断されるような流路セパレーター6を備え、
ハニカム構造体1が一体のセラミックスからなるものであり、
ハニカム構造体1の複数の部分が、排気ガスを複数の流路に分離する排気ガス浄化装置。」

2.本願補正発明と引用発明との対比・判断
引用発明における「内燃機関」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願補正発明における「内燃機関」に相当する。以下同様に、「排気管に接続されており」は「排気系に用いられ」に、「排気ガス」は「排気ガスストリーム」に、「流入させる」は「受入れる」に、「触媒能を有する金属による排気ガス浄化装置」は「触媒コンバーター装置」に、「触媒能を有する金属」は「触媒材料」に、「被処理流体の流路が互いに分離される」は「独立した流体通路を画成する」に、「複数の部分を含む」は「複数のゾーンを含む」に、「ハニカム構造体1」は「基体要素」に、「ハニカム構造体1の複数の部分」は「複数のゾーン」に、「互いに分離し」は「少なくとも部分的に仕切り」に、「熱の移動を妨げるようにし」は「熱の流れを抑制するように構成され」に、「流体の流通が遮断されるような」は「ガス流を通さない」に、「流路セパレーター6」は「少なくとも一つの壁部」に、「備え」は「具え」に、「セラミックスからなるもの」は「セラミック基体」に、「排気ガスを複数の流路に分離する」は「使用時に、ストリームを複数の個別ストリームに分離させる」に、それぞれ相当する。

したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「内燃機関の排気系に用いられ、内燃機関からの排気ガスストリームを受入れる触媒コンバーター装置であって、装置は、
触媒材料と、それぞれが独立した流体通路を画成する複数のゾーンを含む基体要素と、
複数のゾーン間を少なくとも部分的に仕切り、ゾーン間の熱の流れを抑制するように構成され、ゾーン間のガス流を通さない少なくとも一つの壁部を具え、基体要素が一体のセラミック基体であり、
複数のゾーンが、使用時に、ストリームを複数の個別ストリームに分離させる、
装置。」

[相違点]
本願補正発明においては、触媒コンバータ装置が「一つのガスの入口および一つのガスの出口を含む筐体」を備えており、さらに、「基体要素」が「筐体内に配置され」ており、基体要素が筐体の「入口と出口を流体通流するように接続する」ものであるのに対して、
引用発明においては、排気ガス浄化装置が、「一つのガスの入口および一つのガスの出口を含む筐体」を備えるものであるか不明であり、よって、「ハニカム構造体1」が「筐体内に配置され」ているか、及び、「ハニカム構造体1」が筐体の「入口と出口を流体通流するように接続する」かも不明である点(以下、「相違点」という。)。

上記相違点について検討する。

[相違点について]
内燃機関の排気ガスを浄化する触媒において、触媒を担持させたハニカム構造体等の基体を、「一つのガスの入口および一つのガスの出口を含む筐体」内に配置して排気管に接続することは、本願の優先日前に、ごく一般的に行われていること(以下、「常套手段」という。特開平7-251079号公報(特に図5)及び特開2007-255344号公報(特に図1)等参照。)である。
そして、引用発明の「ハニカム構造体1」を筐体に収容せずに単独で排気管に接続して排気ガスの流れの中に配置することは技術常識に照らしてみても、極めて困難と云わざるを得ないし、
引用発明における「ハニカム構造体1」を備えた「排ガス浄化装置」は、「内燃機関の排気管に接続され」るものであるから、上記常套手段に照らせば、「排ガス浄化装置」において、「一つのガスの入口および一つのガスの出口を含む筐体」内に「ハニカム構造体1」が配置されて排気管に接続されるものとなることは明らかである。
さらに、「ハニカム構造体1」自体は、「それぞれが流入孔側から流出口孔側へと被処理流体が通流するものであって、被処理流体の流路が互いに分離されるような複数の部分を含む」ものであるから、「ハニカム構造体1」を筐体内に配置した際、筐体の「入口と出口を流体通流するように接続する」ものとなることは明らかである。
そうすると、上記相違点は実質的な相違点ではないから、本願補正発明は、刊行物に記載された発明である。

3.まとめ
したがって、本願補正発明は、刊行物に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当するから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

B.特許法第29条第2項
1.刊行物
(1)刊行物の記載事項
刊行物の記載事項は、上記「A.1.(1)」に記載したとおりである。
(2)上記(1)及び図面から分かること
上記(1)及び図面から分かることは、上記「A.1.(2)」に記載したとおりである。
(3)引用発明
引用発明は、上記「A.1.(3)」に記載したとおりである。

2.本願補正発明と引用発明との対比・判断
本願補正発明と引用発明との対比、並びに両者の[一致点]及び[相違点]については、上記「A.2.」に記載したとおりである。

上記相違点について検討する。

[相違点について]
内燃機関の排気ガスを浄化する触媒において、触媒を担持させたハニカム構造体等の基体を、「一つのガスの入口および一つのガスの出口を含む筐体」内に配置して排気管に接続することは、本願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術1」という。特開平7-251079号公報(特に図5)及び特開2007-255344号公報(特に図1)等参照。)である。
さらに、触媒を担持させたハニカム構造体等の基体に排気管を接続して排気ガスを通流させるためには、ハニカム構造体等そのものを単独で排気管に接続するのではなく、ハニカム構造体等の両端部を排気管に接続することを容易にするとともに、触媒を担持させたハニカム構造体等の保護を図るなどの目的で、筐体の内部に触媒を担持させたハニカム構造体等の基体を配置することが必要であることは技術常識からみて明らかである。
よって、引用発明において、「ハニカム構造体1」を含む「排気ガス浄化装置」を排気管に接続するため、あるいは、触媒を担持させたハニカム構造体等の保護を図るためなどの目的で、上記周知技術1を適用することにより、「一つのガスの入口および一つのガスの出口を含む筐体」を「排気ガス浄化装置」において備えるものとし、さらに、「一つのガスの入口および一つのガスの出口を含む筐体」内に「ハニカム構造体1」を配置して、「ハニカム構造体1」が筐体の入口と出口を流体通流するように接続することにより、上記相違点に係る本願補正発明とすることは当業者が容易になし得たことである。
さらに、引用発明のハニカム構造体を筐体に収容したものが解決する課題について検討する。
まず、内燃機関の排気ガス浄化装置において、始動時の触媒温度は低く、昇温するまでは触媒反応が起きずに排ガスが浄化されないから、始動時の排ガスを早期に浄化するために触媒温度を急速に必要な温度まで昇温させるという課題は、普遍的課題であるから、引用発明においても当然に内在する課題であるといえる。
そして、その課題を解決するために触媒の一部分を周辺部分に先行して排ガスにより加熱することにより早期に活性化する触媒コンバータとすることは本願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術2」という。特開平11-132037号公報及び実公平7-40649号公報参照。)であって、
さらに、排ガスのフィルタあるいは触媒を筐体に装着した場合に、排ガス流の中心部分が周辺部と比較して流速が速く、排ガス流の中心部分に対応する触媒の一部分が早く加熱されることは当業者にとって自明の事項(以下、「自明の事項」という。特開2006-90221号公報(特に段落【0004】の記載)及び特開平8-303232号公報(特に段落【0047】の記載)参照。)であるから、
引用発明のハニカム構造体を筐体に収容したものにおいて、上記周知技術2及び上記自明の事項に照らせば、ハニカム構造体の一部分が周辺部分に先行して加熱されることによって、流路セパレータによって仕切られたハニカム構造体の一部分が熱損失を最小化しつつ活性化して、触媒部分で排ガスの効率的な浄化が起きるまでの作動時間を減らすという本願補正発明と同様の効果を奏することは、当業者であれば当然予測し得ることである。

3.まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明、周知技術1、周知技術2及び自明の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

C.むすび
以上A、Bのとおり、本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、[補正却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、国際出願翻訳文提出書による明細書の翻訳文及び平成25年12月2日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに国際出願翻訳文提出書による図面の翻訳文及び国際出願時の図面からみて、上記「第2[理由][1](1)」に記載したとおりのものである。

2.刊行物
(1)刊行物の記載事項
刊行物の記載事項は、上記「第2[理由][3]A.1.(1)」に記載したとおりである。

(2)上記(1)及び図面から分かること
上記(1)及び図面から分かることは、上記「第2[理由][3]A.1.(2)」に記載したとおりである。

(3)引用発明
「内燃機関の排気管に接続されており、内燃機関からの排気ガスを流入させる、触媒能を有する金属による排気ガス浄化装置であって、排気ガス浄化装置は、
触媒能を有する金属と、それぞれが流入孔側から流出口孔側へと被処理流体が通流するものであって、被処理流体の流路が互いに分離されるような複数の部分を含むハニカム構造体1と、
ハニカム構造体1の複数の部分の間を互いに分離し、ハニカム構造体1の複数の部分の間の熱の移動を妨げるようにし、ハニカム構造体1の複数の部分間の流体の流通が遮断されるような流路セパレーター6を備え、
ハニカム構造体1が一体のハニカム構造体1であって、
ハニカム構造体1の複数の部分が、排気ガスを複数の流路に分離する排気ガス浄化装置。」

3.本願発明と引用発明との対比・判断
引用発明における「内燃機関」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願補正発明における「内燃機関」に相当する。以下同様に、「排気管に接続されており」は「排気系に用いられ」に、「排気ガス」は「排気ガスストリーム」に、「流入させる」は「受入れる」に、「触媒能を有する金属による排気ガス浄化装置」は「触媒コンバーター装置」に、「触媒能を有する金属」は「触媒材料」に、「被処理流体の流路が互いに分離される」は「略独立した流体通路を画成する」に、「複数の部分を含む」は「複数のゾーンを含む」に、「ハニカム構造体1」は「基体要素」に、「ハニカム構造体1の複数の部分」は「複数のゾーン」に、「互いに分離し」は「少なくとも部分的に仕切り」に、「熱の移動を妨げるようにし」は「熱の流れを抑制するように構成され」に、「流体の流通が遮断されるような」は「ガス流を略通さない」に、「流路セパレーター6」は「少なくとも一つの壁部」に、「備え」は「具え」に、「排気ガスを複数の流路に分離する」は「使用時に、ストリームを複数の個別ストリームに分離させる」に、それぞれ相当する。

したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「内燃機関の排気系に用いられ、内燃機関からの排気ガスストリームを受入れる触媒コンバーター装置であって、装置は、
触媒材料と、それぞれが略独立した流体通路を画成する複数のゾーンを含む基体要素と、
複数のゾーン間を少なくとも部分的に仕切り、ゾーン間の熱の流れを抑制するように構成され、ゾーン間のガス流を略通さない少なくとも一つの壁部を具え、基体要素が一体の基体要素であり、複数のゾーンが、使用時に、ストリームを複数の個別ストリームに分離させる、
装置。」

[相違点]
本願発明においては、触媒コンバータ装置が「一つのガスの入口および一つのガスの出口を含む筐体」を備えており、さらに、「基体要素」が「筐体内に配置され」ており、基体要素が筐体の「入口と出口を流体通流するように接続する」ものであるのに対して、
引用発明においては、排気ガス浄化装置が、「一つのガスの入口および一つのガスの出口を含む筐体」を備えるものであるか不明であり、よって、「ハニカム構造体1」が「筐体内に配置され」ているか、及び、「ハニカム構造体1」が筐体の「入口と出口を流体通流するように接続する」かも不明である点。(以下、「相違点」という。)

上記相違点について検討する。

[相違点について]
内燃機関の排気ガスを浄化する触媒において、触媒を担持させたハニカム構造体等の基体を、「一つのガスの入口および一つのガスの出口を含む筐体」内に配置して排気管に接続することは、本願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術1」という。特開平7-251079号公報(特に図5)及び特開2007-255344号公報(特に図1)等参照。)である。
さらに、触媒を担持させたハニカム構造体等の基体に排気管を接続して排気ガスを通流させるためには、ハニカム構造体等そのものを単独で排気管に接続するのではなく、ハニカム構造体等の両端部を排気管に接続することを容易にするとともに、触媒を担持させたハニカム構造体等の保護を図るなどの目的で、筐体の内部に触媒を担持させたハニカム構造体等の基体を配置することが必要であることは技術常識からみて明らかである。
よって、引用発明において、「ハニカム構造体1」を含む「排気ガス浄化装置」を排気管に接続するため、あるいは、触媒を担持させたハニカム構造体等の保護を図るためなどの目的で、上記周知技術1を適用することにより、「一つのガスの入口および一つのガスの出口を含む筐体」を「排気ガス浄化装置」において備えるものとし、さらに、「一つのガスの入口および一つのガスの出口を含む筐体」内に「ハニカム構造体1」を配置して、「ハニカム構造体1」が筐体の入口と出口を流体通流するように接続することにより、上記相違点に係る本願補正発明とすることは当業者が容易になし得たことである。
さらに、引用発明のハニカム構造体を筐体に収容したものが解決する課題について検討する。
まず、内燃機関の排気ガス浄化装置において、始動時の触媒温度は低く、昇温するまでは触媒反応が起きずに排ガスが浄化されないから、始動時の排ガスを早期に浄化するために触媒温度を急速に必要な温度まで昇温させるという課題は、普遍的課題であるから、引用発明においても当然に内在する課題であるといえる。
そして、その課題を解決するために触媒の一部分を周辺部分に先行して排ガスにより加熱することにより早期に活性化する触媒コンバータとすることは本願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術2」という。特開平11-132037号公報及び実公平7-40649号公報参照。)であって、
さらに、排ガスのフィルタあるいは触媒を筐体に装着した場合に、排ガス流の中心部分が周辺部と比較して流速が速く、排ガス流の中心部分に対応する触媒の一部分が早く加熱されることは当業者にとって自明の事項(以下、「自明の事項」という。特開2006-90221号公報(特に段落【0004】の記載)及び特開平8-303232号公報(特に段落【0047】の記載)参照。)であるから、
引用発明のハニカム構造体を筐体に収容したものにおいて、上記周知技術2及び上記自明の事項に照らせば、ハニカム構造体の一部分が周辺部分に先行して加熱されることによって、流路セパレータによって仕切られたハニカム構造体の一部分が熱損失を最小化しつつ活性化して、触媒部分で排ガスの効率的な浄化が起きるまでの作動時間を減らすという本願補正発明と同様の効果を奏することは、当業者であれば当然予測し得ることである。

4.まとめ
したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1、周知技術2及び自明の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上第3のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。

よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-06-24 
結審通知日 2016-06-27 
審決日 2016-07-08 
出願番号 特願2011-524149(P2011-524149)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F01N)
P 1 8・ 113- Z (F01N)
P 1 8・ 121- Z (F01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谷川 啓亮今関 雅子  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 槙原 進
松下 聡
発明の名称 触媒コンバーター装置  
代理人 木下 洋平  
代理人 亀卦川 巧  
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