• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A62B
管理番号 1321946
審判番号 不服2015-12879  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-06 
確定日 2016-11-24 
事件の表示 特願2010-255302「蓄光体を備えた非常用表示サインを有するトンネル」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月 7日出願公開、特開2012-105737〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件出願は、平成22年11月15日の出願であって、平成26年7月22日付けで拒絶理由が通知され、平成27年4月1日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成27年7月6日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、平成27年11月13日に上申書が提出され、当審において平成28年5月19日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成28年7月19日に意見書が提出されるとともに手続補正書が提出されたものである。

第2 本件発明

本件出願の請求項1ないし6に係る発明は、平成27年7月6日に提出された手続補正書により補正された明細書、平成28年7月19日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものと認められ、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。

「 【請求項1】
路上における自動車の車輪が通過する位置のみに設置された圧電体を備え、自動車などの路上通過によって前記圧電体に加えられる力を用いて発電する圧電発電部と、
圧電発電部にて発電した電力のみを蓄電する蓄電部と、
蓄光体を備え、圧電発電部にて発電した電力または蓄電部にて蓄電した電力のみを用いて、自動車などの通行が途絶えている間のみ前記蓄光体を発光させる路肩内壁に備えられた非常用表示サインと、
を有し、
圧電発電部の圧電体は路面に描かれる樹脂を主成分とする標識中に埋め込まれているトンネル。」

第3 刊行物
1 刊行物
(1)特開2001-20852号公報(以下、「引用文献1」という。)
(2)特開2002-63685号公報(以下、「引用文献2」という。)

2 刊行物の記載
(1)引用文献1の記載
(1-1)引用文献1の記載事項
本件の出願前に頒布された刊行物である引用文献1には、「発電装置及び標識装置」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

1a 「【0002】
【従来の技術】従来、道路標識や工事標識の夜間の被視認性を高めるために標識灯や表示灯が使用されており、その電源としては商用電源の他、エンジン発電機や電池などがある。ところが、商用電源では工事や保守に費用がかかるし、そもそも引込線が近くまで来ていないと利用できない。また、エンジン発電機や電池では燃料補給や電池交換に工数がかかるといった問題がある。このため、近年では、メンテナンスの手間をかけなくても済むように太陽電池を備えたソーラー式標識灯(道路鋲なども含む。)の使用が増えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ソーラー式標識灯は、日陰やトンネルなどを設置場所に選ぶことができず、また、日照の良い場所に設置しても天気の悪い日が続くと機能を発揮できなくなるという問題がある。
【0004】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、天候等の外的要素に影響を受けず安定した電力供給を可能とするべく道路通行体を利用して発電することを一つの目的とし、また、その電力にて道路に関する設置物を発光させる標識装置の提供をもう一つの目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このために、以下のような発電装置及び標識装置を創作した。すなわち、第1の発明は、路面に設置され道路通行体による外部荷重を受ける受圧部と、その受圧部が外部荷重から受けたエネルギーを電力に変換する電力変換部とを備えてなる発電装置である。上記の「道路通行体」は、道路を通行する自動車、自動二輪車、自転車等の車両及びそれらの付属物は勿論、通行人等も広く含む意である。また、ここでいう「道路」は公道に限らず、道路通行体の通行が予定される場所、例えば歩道、自転車専用路、私道、構内通路、道路以外の場所への出入り口等の全てを含む。
【0006】上記の発電装置は、道路通行体による外部荷重を受圧部で受け、その物理エネルギーを電力変換部にて電力に変換する。すなわち、天候等の不確定要素に左右されずに道路通行体を利用して発電するものであるから、得た電力を外部負荷に供給して、例えば、標識灯や表示灯を点けたり道路標識等の照明用電源として利用することができる。
【0007】ところで、上記受圧部と電力変換部との間に以下のような伝達機構を好適に備えることができる。
(1) 受圧部に連結するラックと、電力変換部が有する発電機軸に連結するピニオンとが歯合するように構成したもの。この伝達機構は、一方向に加えられる外部荷重をラック・ピニオンで回転運動に変えて発電機軸を回転駆動する。なお、必要に応じて伝達機構に増速機構、はずみ車、復帰用スプリング等を介在させることができる。
【0008】(2) 管路内を流動する作動流体にて電力変換部が有する発電機軸に連結する回転体を回すように構成したもの。この伝達機構では、作動流体を介してタービン等の回転体にエネルギー伝達がなされる。したがって、受圧部及び伝達機構を、例えば、柔軟な袋体やチューブで形成することができ、それらを路面等に載置することができるので設置や移設が容易になる。
【0009】(3) 受圧部に弾性体を介して接続されその受圧部とともに振動可能に形成された振動部材によって電力変換部が有するコイルとマグネットを相対運動させるように構成したもの。この伝達機構では、受圧部に外部から振動が加えられたときに振動部材が振動し、その振動部材によって電力変換部のコイルとマグネットが相対運動して発電する。すなわち、振動エネルギーを電力に変換するのに適する。
【0010】また、第2の発明は、路面に設置され道路通行体による外部荷重を受ける受圧部と、その受圧部が外部荷重から受けたエネルギーを電力に変換する電力変換部と、その電力変換部より電力の供給を受けて発光する道路設置物とを備えてなる標識装置である。ここでいう「道路通行体」は、前記した請求項1の場合と同様に定義される。また、「道路設置物」は、道路標識、警告表示標識、視線誘導標識、中央分離帯、ガードレール、道路縁石、道路鋲その他の道路に関する設置物であって自ら発光して被視認性を高めるように形成されたもののほか、当該設置物自身あるいは付近を照明するランプ類やLED等の照明具、及び標識灯、表示灯、回転灯などの発光体を含む。
【0011】上記の標識装置では、車両等の外部荷重が受圧部にかかったときのエネルギーを電力変換部にて電力に変換し、その電力でもって道路設置物を発光させている。すなわち、車両等が乗り上げたりあるいは通過することにより作動するものとなり、天候の影響を受けずに確実に発光して標識としての機能を発揮することができる。なお、電力変換部と発光装置の位置関係は、道路に関する設置物(例えば道路標識)の用途によって異なり、両者をほぼ同じ位置に設けても良いし、適宜な距離をとるようにしても構わない。
【0012】また、第3の発明は、請求項2に記載の標識装置において、前記受圧部の変位を前記電力変換部に伝達する伝達機構を備え、かつ、前記受圧部から外部荷重が取り除かれたときにその受圧部を変位前の位置に復帰せしめる付勢機構を備えたことを特徴とする。
【0013】この標識装置は、受圧部を変位させる外部荷重のエネルギーが伝達機構を介して電力変換部へ伝達され、また、変位した受圧部は、外部荷重が取り除かれると、ばね等の付勢機構の作用で変位前の位置に復帰する構成であるから、一方向の外部荷重が不定期かつ間欠的にかかる場合に適する。」(段落【0002】ないし【0013】)

1b 「【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕図1は、ラック・ピニオン式の伝達機構を有する発電装置10の構成を示す図である。同図に示すように、路面Rに埋設されるフレーム11の案内部11aにラック部材12が上下方向にスライド自在に支持され、ラック部材12のラックに噛み合うピニオン13がフレーム11の支持部11bに回動自在に軸支されている。ラック部材12の上端には受圧部を構成する受圧板14が設けられ、受圧板14は付勢機構としてのスプリング15にて上向き、すなわち、路面から突出するように付勢される。フレーム11には発電機16が取り付けてあり、発電機軸16aとピニオン13の間がベルト17等の伝動部材にて接続されている。なお、ベルト17を掛けるベルト車13a,16bは適宜な増速比に設定される。
【0015】路面Rから盛り上がって位置する受圧板14にはゴム等の柔軟なカバー18を被せて、異物の噛み込みを防ぐとともに、なだらかな裾を形成して通行車両が乗り越え易いようにする。なお、通行車両に及ぼすショックをなるべく小さくするために、受圧板14の設置高さは路面Rから7mmを越えないのが良い。
【0016】この発電装置10は、上述したように、路面Rに埋設して使用する。そして、通行車両のタイヤが受圧板14を踏みつけると、その荷重により受圧板14と共にラック部材12が下降してピニオン13が回転し、ピニオン13を回転させるトルクはベルト17を介して発電機軸16aに伝達され、発電機16が回って発電がなされる。発電機16には配電盤(図示省略)が接続されており、外部の負荷に対して電力を供給することができる。車両が通過した後は、受圧板14はスプリング15のばね力で変位前の元の高さ位置に持ち上げられる。
【0017】すなわち、発電装置10の電力変換部は上記のように構成され、一方向に加えられる外部荷重をラック・ピニオン式の伝達機構で回転運動に変えて発電機を回転駆動する一方、外部荷重が取り除かれたときには付勢機構の作用で元の状態に復帰するようになっている。したがって、通行車両による路面荷重のように、不定期かつ間欠的にかかる一方向荷重を動力源にして発電する用途に適している。なお、伝達機構にワンウェイクラッチやはずみ車を備えて運転を滑らかにすることができる。
【0018】〔第2実施形態〕図2は、作動流体を媒体とする伝達機構を備えた発電装置20の構成を示す図である。同図に示すように、ゴム等で柔軟な袋状に形成され作動流体(本例では油)を充満した容器21が路面Rに載置され、容器21には作動流体を外部に導いて循環させるための2本の配管22a,22bが接続されている。吐出側の配管22aは逆止め弁23aを介してモータ(本例では油圧モータ)24に接続され、流入側の配管22bは逆止め弁23bを介してタンク25に接続されている。また、モータ24は発電機26に連結され、モータ24を回した作動流体は配管22cでタンク25へ導かれる。なお、容器21内には、外部荷重が取り除かれたときに容器21の上面を持ち上げて膨らますためのスプリング28が装着されていて、タンク25内の作動流体が容器21に戻るようになっている。作動流体としては、油以外に水あるいは適宜な液体を選択することができる。なお、作動流体の使用量は比較的少量で済むが、たとえ少量でも故障時に環境汚染の心配のない液体を使用することが好ましい。
【0019】上記のように、発電装置20は作動流体を媒体とする伝達機構を備えている。したがって、受圧部及び伝達機構(上記の例では容器21と配管22a,22b)を、例えば、柔軟な袋体やチューブで形成してそれらを路面等に載置することができるので設置が容易になる。また、移設も簡単にできる。
【0020】〔第3実施形態〕図3は、振動部材を有する伝達機構を備えた発電装置30の構成を示す図である。同図に示す受圧板31は、端部が路面に設けられた窪みの周縁部に支持された状態で設置されており、その上を通行車両が通過したときに受圧板31が大きくたわむように形成されている。その受圧板31の下面に取り付けられたスプリング32を介して振動部材33が支持され、振動部材33に固定されたマグネット34がコイル35に挿通されている。すなわち、受圧板31が変位すると振動部材33と共にマグネット34がコイル35の軸線に沿って上下に振動する。コイル35は制御装置36に接続され、マグネット34の振動により発電した電力を制御装置36から外部の負荷に供給する。なお、制御装置36は整流回路及び電圧調整回路を有しており、付属のバッテリー37を充電するようになっている。
【0021】上記の発電装置30は、振動部材によってコイルとマグネットを相対運動させるように構成したものであり、構成が簡素であるから故障し難く、また、外部荷重が取り除かれても振動が減衰するまで発電をすることが可能である。なお、上記のスプリング32は必須ではなく、受圧板31自体が弾性体で形成されあるいは弾性体部を有し、吊り下げたマグネット34を容易に振動させるものとしても良い。なお、マグネットではなくコイルを振動させても構わない。
【0022】また、前記発電装置20,30を組み合わせて、作動流体によってコイルとマグネットを相対運動させるように構成することができる。この場合は、コイルあるいはマグネットの運動方向を任意(例えば水平)に設定できるので設計上の自由度が増す。
【0023】この他の電力変換部として、受圧部に圧電素子を配し、圧電効果を発電に利用することも考えられる。」(段落【0014】ないし【0023】)

1c 「【0024】次に、本発明の実施形態に係る標識装置を図面に基づいて説明する。
〔第4実施形態〕図4は、標識装置の構成を示す図である。同図に示すように、標識装置は、発電装置50から延びるケーブル52が標識体(本発明でいう道路設置物)53の表示灯(発光体ともいう)53aに接続されてなる構成である。発電装置50には前述した発電装置10,20,30のいずれかを使用し、表示灯53aには、ランプやLED等を使用する。図示した標識体53にはスタンド付きのものを例示したが、発光機能を有する道路標識や案内標識でも良く、それらの標識を照明灯で照らす構成であっても良い。なお、ケーブル52を無くして、表示灯53aと発電装置50を一体化することも可能である。
【0025】上記の標識装置では、路面Rを走行する車両Cのタイヤが受圧部51を踏むことにより発電がなされ、その電力でもって表示灯53aが点灯し、あるいは付設されている標識が照らし出される。すなわち、車両等が乗り上げあるいは通過することにより作動するものであるから、天候の影響を受けずに確実に発光して、標識の被視認性を高めることができる。すなわち、この標識装置は、従来の太陽電池式のものでは雨天や降雪時に機能が発揮できないという不都合を回避でき、バッテリー式のものが必要とするメンテナンスが不用であり、例えば、電源のない山間地で仮設の信号機等を低コストで設置することが可能になる。
【0026】〔その他の実施形態〕上述の実施形態に係る発電装置はいずれも路面に設置されているが、道路通行体が発電装置を有していても良い。その例としては、靴に設けた受圧部と、歩行による体重の変化によりその受圧部が受けたエネルギーを電力に変換する電力変換部と、その電力変換部より電力の供給を受けて発光する発光体とを備えた構成の標識装置を挙げることができる。なお、受圧部、電力変換部及び発光体は、前述の実施形態で説明したものと同様のものを小型化して使用する。
【0027】この標識装置は移動可能であり、道路作業員や交通整理員の靴底に受圧部を設け、電力変換部と発光体及び付随する制御装置は身につけるように形成して、例えば安全チョッキに装着したLED等を歩行時に発電した電力でもって点滅させて安全確保を図ることができる。この他、当業者の知識に基づき、種々の変更を加えた態様で本発明を実施し得ることは勿論である。
【0028】
【発明の効果】本発明の発電装置によれば、車両等が通過するときの外部荷重を利用して簡易かつ確実に発電することができる。また、本発明の標識装置は、天候等に左右されず車両等の通過に基づいて発光するから、場所を選ばず設置でき、確実に作動して標識の被視認性を高めることができる。」(段落【0024】ないし【0028】)

(1-2) 引用文献1の記載事項及び図面に示された内容から分かること

1A 上記(1-1)の1aの段落【0003】には、【発明が解決しようとする課題】として、「しかしながら、上記ソーラー式標識灯は、日陰やトンネルなどを設置場所に選ぶことができず」と記載されており、上記(1-1)の1cの段落【0028】には、【発明の効果】として、「また、本発明の標識装置は、天候等に左右されず車両等の通過に基づいて発光するから、場所を選ばず設置でき、確実に作動して標識の被視認性を高めることができる」と記載されていることからみて、引用文献1は、標識装置の設置場所としてトンネルを想定していることが明らかである。
したがって、引用文献1には標識装置の設置場所としてのトンネルが記載されていることが分かる。

1B 上記(1-1)の1b及び1c(特に、段落【0023】及び【0025】)並びに図1ないし4の記載から、トンネルは、路面Rにおける車両Cのタイヤが踏む位置に設置された圧電素子を備えた発電装置50を備えていることが分かる。

1C 上記(1-1)の1aないし1c(特に、段落【0011】、【0023】及び【0025】)並びに図1なしい4の記載を上記1Bとあわせてみると、トンネルの発電装置50は、車両等のタイヤが受圧部51を踏むことによって圧電素子にかかった車両等の外部荷重を用いて発電することが分かる。

1D 上記(1-1)の1a及び1c(特に、段落【0002】及び【0025】)並びに図1ないし4の記載から、トンネルの発電装置50は、発電装置50以外の電源を備えていないことが分かる。
したがって、上記(1-1)の1aないし1c(特に、段落【0002】、【0020】及び【0025】)並びに図1ないし4の記載から、トンネルの発電装置50は、発電装置50にて発電した電力のみを充電するバッテリー37を備えていることが分かる。

1E 上記(1-1)の1aないし1c(特に、段落【0002】、【0020】、【0024】及び【0025】)並びに図1ないし4の記載を上記1Dとあわせてみると、トンネルの発電装置50は、発電装置50にて発電した電力またはバッテリー37にて充電した電力のみを用いて発光させる標識装置を備えていることが分かる。

1F 上記(1-1)の1b及び1c(特に、段落【0023】及び【0025】)並びに図1ないし4の記載から、トンネルの発電装置50の圧電素子は路面Rに設置されていることが分かる。

(1-3) 引用文献1に記載された発明
したがって、上記(1-1)及び(1-2)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用文献1発明」という。)が記載されていると認める。

<引用文献1発明>
「路面Rにおける車両Cのタイヤが踏む位置に設置された圧電素子を備え、車両等のタイヤが受圧部51を踏むことによって圧電素子にかかった車両等の外部荷重を用いて発電する発電装置50と、
発電装置50にて発電した電力のみを充電するバッテリー37と、
発電装置50にて発電した電力またはバッテリー37にて充電した電力のみを用いて発光させる標識装置とを有し、
発電装置50の圧電素子は路面Rに設置されているトンネル。」

(2)引用文献2
(2-1) 引用文献2の記載事項
本件の出願前に頒布された刊行物である引用文献2には、「車両センサ及び車両センサの敷設方法」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

2a 「【0010】本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、簡易な構成、かつ、敷設工事が容易な車両センサ及び車両センサの敷設方法を提供することにある。」(段落【0010】)

2b 「【0024】(第1の実施の形態)図1?図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る車両センサについて説明する。
【0025】図1は本発明の実施の形態に係る車両センサを道路上に設置した様子を示す模式的平面図であり、図2は図1中AA断面図の一部であり、図3は本発明の第1の実施の形態に係る車両センサの模式的断面図(図2における車両センサの部分の拡大詳細図)である。
【0026】図1中、10は道路を示しており、20は道路上に設けられた中央線を示し、30は道路上に塗装される塗装線(区画線や道路標示に類するもの)を示している。
【0027】本実施の形態に係る車両センサ1は、図1および図2に示すように塗装線30に埋設されるものである。
【0028】本実施の形態に係る車両センサ1は、図3に示すように、概略、圧電手段としての圧電素子2と、この圧電素子2を挟んで両側にそれぞれ設けられる第1ケース部材4及び第2ケース部材5と、圧電素子2と共に第1ケース部材4及び第2ケース部材5に収納される弾性部材3と、を備えている。
【0029】圧電素子2は、圧電効果を示す素材から構成されており、応力を受けた場合に、これを電気的な信号に転換できることのできるものである。なお、圧電素子2はシート形状とすることによって車両センサ1を薄く構成することができ、また、樹脂コーティング(樹脂ラミネート)を施したシート状のものを好適に使用できる。
【0030】弾性部材3は、ゴム等の弾性を有する素材から構成されており、圧電素子2を覆うように配置されており、第1ケース部材4と第2ケース部材5との間に隙間となるギャップGを形成させている。
【0031】また、弾性部材3は、第1ケース部材4と第2ケース部材5に対して、ギャップGを縮める方向に荷重が作用した場合に、圧電素子2が破損してしまわないように荷重を緩和しつつ圧電素子2に荷重を伝達する役割を備えている。
【0032】さらに、弾性部材3は、外部から異物(水やダスト等)が圧電素子2まで侵入することを防止する密封機能をも備えている。
【0033】第1ケース部材4及び第2ケース部材5は、金属で構成された断面コ字状の部材であり、コ字上の内側がそれぞれ向かい合うように配置されるもので、まず、道路上に第2ケース部材5を設置して、第2ケース部材5の内側の溝に圧電素子2を配置し、その上に弾性部材3を配置して、第1ケース部材4を配置することで、圧電素子2と弾性部材3を保護しつつ収納する。
【0034】この時、上述したように、第1ケース部材4の両端部と、第2ケース部材5の両端部との間にはギャップGが形成されるように設定されている。
【0035】なお、第1ケース部材4及び第2ケース部材5を、その断面形状がコ字状となるようにしたことによって、第1ケース部材4及び第2ケース部材5に対して荷重が作用した場合に、第1ケース部材4は第2ケース部材5に移動するが、ギャップGがなくなる位置で規制され、ストッパとしての機能を発揮し、内部に収納した圧電素子2及び弾性部材3に対する荷重が所定以上にならないようにすることができる。
【0036】このように、圧電素子2及び弾性部材3に対する荷重を制限することによって、耐久性を向上させることができる。
【0037】ただし、コ字状以外の形状としてストッパ機能を発揮させるようにすることもできるし、ケース部材自体にストッパ機能を備えなくても、他の専用部材によってストッパ機能を発揮させるようにしても良い。
【0038】以上のように構成された車両センサ1を、上述したように道路上の塗装線30に埋設しておけば、車両が塗装線30上を通過すると、塗装線30を介して第1ケース部材4が押圧されて、弾性部材3は圧縮されて、弾性部材3によってその圧縮応力を適度な量に緩和しつつ圧電素子2に伝達する。
【0039】そして、圧電素子2がスパイク状の電圧を出力するため、適当な閾値電圧を設定しておくことにより車両の通過を検知することができる。
【0040】また、車両センサ1を適当な間隔で複数配置しておくことによって、間隔の距離と、通過した検知時間差によって車両の走行スピードを検出することも可能であり、例えば、出会い頭衝突を防止するシステムには有効である。
【0041】以上のように、安価な圧電素子を用いて、これを弾性部材で覆いつつケース部材により収納するというような、非常に簡易に車両センサを構成することができ、従来技術のようにカメラを利用する場合に比べて非常に安価に構成することができる。
【0042】また、カメラを利用する場合のように支柱等の設置工事を必要とすることなく、道路に溝を切る等の工事も必要とすることなく、道路上に塗装線を塗装する際に埋設するというように、非常に容易に敷設することができる。
【0043】本実施の形態に係る車両センサ1においては、シート状の圧電素子を用いることで車両センサ1自体を非常に薄く構成できるため、車両の走行に支障をきたすようなこともない。
【0044】なお、場合によっては、道路上に溝を形成して、溝内に本実施の形態に係る車両センサ1を敷設するようにしても、センサとしての機能を損なうわけではないことは言うまでもない。
【0045】また、圧電手段としては、受けた応力を電気的信号に変換できるものであれば特に圧電素子に限定されるものではなく、例えばケーブルスイッチを用いても同様の効果を期待できる。」(段落【0024】ないし【0045】)

2c 「【0070】図7は本発明の第5の実施の形態に係る車両センサの模式的断面図(図2における車両センサの部分の拡大詳細図)である。
【0071】本実施の形態に係る車両センサ1dにおいては、概略、圧電手段としての圧電素子2dと、この圧電素子2dを収納するケース部材5dと、圧電素子2dに隣接するように設けられる弾性部材3dと、を備えている。
【0072】上記第1の実施の形態では、圧電素子及び弾性部材に対して設置時において上下方向にそれぞれケース部材を設けることによって、圧電素子及び弾性部材を収納かつ保護する構成であったが、例えば上述のように塗装線に埋設する場合には、塗装線(塗装する膜)自体がケースとしての機能を発揮するため、受ける荷重や各構成部材の素材特性等の条件が揃えば、上部側のケース部材は特に必要はない。
【0073】そこで、上記のように上部側のケース部材が必要ない場合を考慮して、本実施の形態に係る車両センサ1dは、設置時における下部側にのみケース部材5dを設ける構成として、より一層構成の簡略化を図ることができた。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の車両センサは、簡易かつ低価格で構成することができ、耐久性に優れると共に、敷設工事を容易に行うことができる。
【0075】第1ケース部材と第2ケース部材との間隔を規制するストッパを設ければ、ケース部材に収納された部材への負荷を制限でき、一層耐久性を向上できる。
【0076】弾性部材に密封機能を持たせれば、別途専用部材を設けることなく、圧電手段を異物から保護できる。
【0077】圧電手段をシート状の圧電素子とすれば、車両センサを薄く構成でき、車両の走行を妨げることなく道路上に設置できる。
【0078】また、本発明の車両センサの敷設方法は、車両センサを、道路上の塗装線に埋設すれば良いので、大掛かりな工事を伴うことなく容易に車両センサを敷設することができる。」(段落【0070】ないし【0078】)

(2-2) 引用文献2の記載事項及び図面に示された内容から分かること

2A 上記(2-1)の2aの記載から、引用文献2には車両センサが記載されていることが分かる。

2B 上記(2-1)の2aないし2c並びに図1、図2及び図7の記載から、車両センサは、道路上に塗装される塗装線30に埋設される圧電素子2を備えていることが分かる。

(2-3) 引用文献2に記載された技術
したがって、上記(2-1)及び(2-2)を総合すると、引用文献2には次の技術(以下、「引用文献2技術」という。)が記載されていると認める。

「圧電素子2は道路上に塗装される塗装線30に埋設される車両センサ。」

第4 対比・判断
本件発明と引用文献1発明を対比すると、引用文献1発明における「路面R」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本件発明における「路上」に相当し、以下同様に、「車両C」は「自動車」に、「タイヤ」は「車輪」に、「タイヤが踏む位置」は「車輪が通過する位置」に、「圧電素子」は「圧電体」に、「車両等」は「自動車など」に、「タイヤが受圧部51を踏むこと」は「路上通過」に、「圧電素子にかかった車両等の外部荷重」は「圧電体に加えられる力」に、「発電装置50」は「圧電発電部」に、「充電」は「蓄電」に、「バッテリー37」は「蓄電部」に、「発光」は「発光」に、「路面R」は「路面」に、「トンネル」は「トンネル」それぞれ相当する。

また、引用文献1発明における「発電装置50にて発電した電力またはバッテリー37にて充電した電力のみを用いて発光させる標識装置」は、本件発明における「蓄光体を備え、圧電発電部にて発電した電力または蓄電部にて蓄電した電力のみを用いて、」「蓄光体を発光させる路肩内壁に備えられた非常用表示サイン」と、「圧電発電部にて発電した電力または蓄電部にて蓄電した電力のみを用いて、発光させる標識装置」という限りにおいて一致する。

さらに、引用文献1発明における「発電装置50の圧電素子は、路面Rに設置されている」は、本件発明における「圧電発電部の圧電体は路面に描かれる樹脂を主成分とする標識中に埋め込まれている」と、「圧電発電部の圧電体は路面に設置されている」という限りにおいて一致する。

したがって、本件発明と引用文献1発明は、
「 路上における自動車の車輪が通過する位置に設置された圧電体を備え、自動車などの路上通過によって前記圧電体に加えられる力を用いて発電する圧電発電部と、
圧電発電部にて発電した電力のみを蓄電する蓄電部と、
圧電発電部にて発電した電力または蓄電部にて蓄電した電力のみを用いて、発光させる標識装置と、
を有し、
圧電発電部の圧電体は路面に設置されているトンネル。」である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点1>
本件発明においては「圧電体」が「路上における自動車の車輪が通過する位置のみに設置され」ているのに対し、引用文献1発明においては「圧電素子」が「路面Rにおける車両Cのタイヤが踏む位置」のみ「に設置され」ているのか不明な点(以下、「相違点1」という。)。

<相違点2>
「圧電発電部にて発電した電力または蓄電部にて蓄電した電力のみを用いて、発光させる標識装置」に関し、本件発明においては「蓄光体を備え、圧電発電部にて発電した電力または蓄電部にて蓄電した電力のみを用いて、」「蓄光体を発光させる路肩内壁に備えられた非常用表示サイン」であるのに対し、引用文献1発明においては「発電装置50にて発電した電力またはバッテリー37にて充電した電力のみを用いて発光させる標識装置」である点(以下、「相違点2」という。)。

<相違点3>
本件発明においては「蓄電部にて蓄電した電力のみを用いて、自動車などの通行が途絶えている間のみ」「非常用表示サイン」を「発光させる」のに対し、引用文献1発明においては「バッテリー37にて充電した電力のみを用いて」どのような条件の時に「標識装置」を「発光させる」のかが不明な点(以下、「相違点3」という。)。

<相違点4>
「圧電発電部の圧電体は路面に設定されている」ことに関し、本件発明においては「圧電発電部の圧電体は路面に描かれる樹脂を主成分とする標識中に埋め込まれている」のに対し、引用文献1発明においては「発電装置50の圧電素子は路面Rに設置されている」点(以下、「相違点4」という。)。

上記相違点について検討する。
<相違点1について>
上記第3の2(1)(1-1)の1cの段落【0025】には、「路面Rを走行する車両Cのタイヤが受圧部51を踏むことにより発電がなされ、その電力でもって表示灯53aが点灯し、あるいは付設されている標識が照らし出される。」と記載されていることから、引用文献1発明においては、受圧部51(圧電素子)を車両Cのタイヤが踏まないと発電は行われないことは明らかである。
つまり、車両Cのタイヤが踏まない位置に受圧部51(圧電素子)を設けても、その受圧部51(圧電素子)は発電に何ら寄与しないにもかかわらず、設置コストが増加することとなる。
そして、標識装置が設置されたトンネルという技術分野において、コストの低減は自明の課題であるから、引用文献1発明においてコストを低減するために、受圧部51(圧電素子)の設置位置を車両Cのタイヤが踏む位置のみとし、相違点1に係る本件出願の請求項1に係る発明の発明特定事項とすることは、当業者が通常有する創作能力を発揮することにより、容易に想到できたことである。

<相違点2について>
道路トンネル内における誘導標示板の設置については、道路構造令第34条第3項(昭和45年政令第320号)で、トンネルにおける車両の火災その他の事故により交通に危険を及ぼすおそれがある場合においては、必要に応じ、通報施設、警報施設、消火施設その他の非常用施設を設けるものとするとされており、これを受け、国土交通省では、「道路トンネル非常用施設設置基準について(昭和56年4月21日、都市局長・道路局長、最近改正 平成11年9月30日 都街発第60号、道企発第94号)」を通知し、その中で、トンネル等級がB等級以上のトンネルについては誘導標示板を原則として設置することとしている。
つまり、道路トンネル内に誘導標示板を設置することは法令により求められているのであるから、引用文献1発明におけるトンネル内に誘導標示板が設置されていることは当然に想定されることである。
また、トンネル内の誘導標示板はいわゆる非常用表示サインであり(必要ならば特開平10-21716号公報の段落【0079】及び【0083】並びに図12及び図13等を参照。)、トンネル内の誘導標示板の設置箇所として路肩内壁はごく普通に選択される箇所にすぎない。
さらに、蓄光体を備え、発電した電力または蓄電した電力を用いて蓄光体を発光させる誘導標示板は、本件出願前に周知の技術(必要ならば、特開2009-231091号公報[段落【0018】ないし【0026】、段落【0030】、段落【0031】、図1及び図2]並びに登録実用新案第3143094号公報[段落【0011】ないし【0020】、段落【0025】、図1及び図2]等を参照。以下、「周知技術1」という。)である。
そして、引用文献1発明における発電した電力または充電した電力のみを用いて発光させる標識装置について、法令により設置が求められている誘導標示板として路肩内壁に設置するとともに、その具体的な構成として周知技術1の誘導標示板を採用し、相違点2に係る本件出願の請求項1に係る発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば、容易に想到できたことである。

<相違点3について>
標識装置において標識装置に対する電力の供給が途絶えている間(停電している間)のみ内蔵された電池の電力のみを用いて光源を点灯することは、本件出願前に周知の技術(必要ならば、特開2009-231091号公報の段落【0031】並びに登録実用新案第3143094号公報の段落【0014】等を参照。以下、「周知技術2」という。)である。
また、引用文献1発明において、「車両等のタイヤが受圧部51を踏」まない間、すなわち、「自動車などの通行が途絶えている間」は発電装置50で発電が行われないから、標識装置に対する電力の供給が途絶えている間となる。
そして、引用文献1発明において標識装置に対する電力の供給が途絶えている間となる「車両等のタイヤが受圧部51を踏」まない間においても標識装置が発光するように、周知技術2に基づき、「車両等のタイヤが受圧部51を踏」まない間のみ「バッテリー37にて充電した電力のみを用いて」「標識装置」を「発光させる」構成とし、相違点3に係る本件出願の請求項1に係る発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば、容易に想到できたことである。

なお、上記検討は、相違点3に係る本件出願の請求項1に係る発明の発明特定事項における「圧電発電部にて発電した電力または蓄電部にて蓄電した電力のみを用いて」という構成のうち、「または」の後の構成である「蓄電部にて蓄電した電力」のみを用いる構成(以下、「後者」という。)を対象とした。その理由は、次のとおりである。
相違点3に係る本件出願の請求項1に係る発明の発明特定事項における「圧電発電部にて発電した電力または蓄電部にて蓄電した電力のみを用いて」という構成において、「または」の前の構成である「圧電発電部にて発電した電力」のみを用いる構成(以下、「前者」という。)を対象とした場合、「自動車などの通行が途絶えている間」には「圧電発電部にて発電した電力」は発生しないことが明らかであるため、「標識装置」の「発光」に「圧電発電部にて発電した電力」を用いることはできず、請求項1に係る発明における構成間で整合性が取れないため、後者について検討したものである。

なお進んで検討すると、本件明細書の段落【0100】の「さらに、蓄電部に蓄電した電力を利用することで、自動車が通過していないタイミングであっても非常用表示サインを発光させることができる。」という記載及び平成28年7月19日提出の意見書の第3ページ10行ないし13行の「そして、これら構成を有機的に組み合わせることで、本願発明は、外部からの電力供給を得ることができず、かつ、車両の通行の途絶によって、新たな発電、蓄電を行うことができない非常事態において、それまでに発電、蓄電した電力を用いて非常用サインの発光を行うことができるという独自の効果を奏することができます。」という記載から、「圧電発電部にて発電した電力」が、「それまでに圧電発電部にて発電した電力」を意味するものであると一応理解することもできる。
しかしながら、電力は蓄電しておかないと消失してしまうのであるから、「それまでに圧電発電部にて発電した電力」を「標識装置」の「発光」に用いるためには、蓄電部に蓄電しておく必要があることは明らかであり、「それまでに圧電発電部にて発電した電力」とは、結局は、後者のうち、「蓄電部にて蓄電した電力」に他ならない。

<相違点4について>
道路の塗装線は通常、樹脂を主成分とするものであり、引用文献2には塗装線の成分については何ら特定がされていないことから、引用文献2技術における塗装線30は、樹脂を主成分とするものと考えるのが合理的かつ自然である。
そして、引用文献1発明と引用文献2技術とは、路面に設置された圧電素子という共通の技術分野に属し、引用文献2技術における敷設工事を容易に行うという課題は引用文献1発明においても内在している課題であるから、引用文献1発明に引用文献2技術における「圧電素子2は道路上に塗装される塗装線30に埋設される」構成を適用して、相違点4に係る本件出願の請求項1に係る発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば、容易に想到できたことである。

そして、本件発明は、全体としてみても、引用文献1発明、引用文献2技術、周知技術1及び周知技術2から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

したがって、本件発明は、引用文献1発明、引用文献2技術、周知技術1及び周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第5 むすび

以上のとおり、本件発明は、引用文献1発明、引用文献2技術、周知技術1及び周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本件出願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-09-29 
結審通知日 2016-09-30 
審決日 2016-10-13 
出願番号 特願2010-255302(P2010-255302)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A62B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木原 裕二八木 誠水野 治彦  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 梶本 直樹
松下 聡
発明の名称 蓄光体を備えた非常用表示サインを有するトンネル  
代理人 工藤 一郎  
代理人 工藤 一郎  
代理人 工藤 一郎  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ