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審決分類 審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A47C
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  A47C
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A47C
審判 全部無効 2項進歩性  A47C
審判 全部無効 1項2号公然実施  A47C
管理番号 1322203
審判番号 無効2014-800190  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-11-18 
確定日 2016-11-24 
事件の表示 上記当事者間の特許第5255004号発明「リクライニング椅子」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5255004号の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件の手続の経緯の概略は、以下のとおりである。

平成22年 1月28日 本件特許出願(特願2010-17488号)
平成25年 4月26日 本件特許の登録(特許第5255004号)
平成26年11月18日 本件審判請求、証人尋問申出書及び尋問事項書
提出
平成26年12月25日 上申書及び証言予定書提出
平成27年 2月 9日 審判事件答弁書提出
5月 7日 審理事項通知
5月22日 口頭審理陳述要領書(請求人)提出、証人尋問
申出書(2)、尋問事項書(2)及び証言予定
書(2)提出
5月28日 口頭審理陳述要領書(被請求人)提出
6月 4日 第1回口頭審理
6月18日 上申書(請求人)提出
6月18日 上申書(被請求人)提出
6月30日 上申書(請求人)、陳述書及び尋問事項書提出
9月17日 上申書(請求人)及び陳述確認書(同年9月1
5日付け)提出
9月29日 審理事項通知
11月13日 口頭審理陳述要領書(請求人)提出
11月26日 口頭審理及び証拠調べ(証人尋問)
12月18日 上申書(被請求人)提出


第2 本件特許発明
本件特許第5255004号の請求項1乃至請求項4に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至請求項4に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
レッグレストを備え、アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子であって(構成要件A)、
レッグレストフレームと(構成要件B)、
バックレストフレームと(構成要件C)、
前記バックレストフレームの下端部に後端部位がピンP4により枢支される座部フレームと(構成要件D)、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と(構成要件E)、
後端側をピンP2により前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレームとを具備し(構成要件F)、
前記座部フレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部14cが形成され(構成要件G)、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており(構成要件H)、
前記レッグレストフレームが前記座部フレームの前方から引き出し可能であり(構成要件I)、
該レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ(構成要件J)、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており(構成要件K)、前記レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止するものである(構成要件L)ことを特徴とするリクライニング椅子(構成要件M)。
【請求項2】
引き出し可能な前記レッグレストフレームが前記座部フレームの下方に収納されている(構成要件N)ことを特徴とする請求項1に記載のリクライニング椅子(構成要件O)。
【請求項3】
引き出し可能な前記レッグレストフレームが前記座部フレームの内部に収納されている(構成要件P)ことを特徴とする請求項1に記載のリクライニング椅子(構成要件Q)。
【請求項4】
前記座部フレームは、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンP3によって前記前脚フレームの略中間部に枢支され(構成要件R)、その対向する側部の後端部位がピンP4によって前記バックレストフレームの下端近傍に枢支され(構成要件S)、前記後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位がピンP5によって連結リンクに枢支され(構成要件T)、前記ピンP1ないし前記ピンP5を枢軸としてリクライニング椅子が折り畳まれる(構成要件U)ことを特徴とする、請求項1?3のいずれか1項に記載のリクライニング椅子(構成要件V)。」(審決注:以下、請求項1乃至請求項4に係る各発明を、それぞれ、「本件特許発明1」乃至「本件特許発明4」といい、これらを総称して「本件特許発明」という。構成要件A乃至構成要件Vは当審により付与した。以下同じ。)


第3 請求人の主張
1.請求の理由の要約
(1)無効理由1
(請求項1)構成要件A?Mは甲第1号証?甲第7号証に記載されているため、本件特許発明1は甲第1号証?甲第7号証に記載の発明と同一である。また、本件特許発明1に係る製品は、本件特許の出願前より販売され、公然実施された発明となっていた(証人尋問予定)。従って、本件特許発明1は、特許法第29条第1項第2号及び第3号の規定に該当する。
(請求項2)構成要件Nは甲第1号証?甲第7号証に記載され、構成要件Oは本件特許発明1に対応しているため、本件特許発明2は甲第1号証?甲第7号証に記載の発明と同一である。また、本件特許発明2に係る製品は、本件特許の出願前より販売され.公然実施された発明となっていた(証人尋問予定)。従って、本件特許発明2も、特許法第29条第1項第2号及び第3号の規定に該当する。
(請求項3)構成要件Pは甲第1号証?甲第7号証に記載され、構成要件Qは本件特許発明1に対応しているため、本件特許発明3は甲第1号証?甲第7号証に記載の発明と同一である。また、本件特許発明3に係る製品は、本件特許の出願前より販売され.公然実施された発明となっていた(証人尋問予定)。従って、本件特許発明3も、特許法第29条第1項第2号及び第3号の規定に該当する。
(請求項4)構成要件R?Uは甲第1号証?甲第7号証に記載され、構成要件Vは本件特許発明1?3に対応しているため、本件特許発明4は甲第1号証?甲第7号証に記載の発明と同一である。また、本件特許発明4に係る製品は、本件特許の出願前より販売され、公然実施された発明となっていた(証人尋問予定)。従って、本件特許発明4も、特許法第29条第1項第2号及び第3号の規定に該当する。
(審判請求書5頁2?32行)

(2)無効理由2
(請求項1)構成要件A?F、I、Mについては甲第9号証に記載され、構成要件G、H、J?Lについては、甲第10号証に記載されると共に、甲第1号証?甲第7号証に開示された周知技術であり、本件特許発明1は当業者が容易に想到し得る発明である。
(請求項2及び3)請求項2及び3に係る構成要件は、甲第9号証及び甲第10号証に示され、甲第1号証?甲第7号証のいずれにも記載があるから、本件特許発明2及び3は当業者が容易に想到し得る発明である。
(請求項4)請求項4に係る構成要件は甲第9号証に示され、甲第1号証?甲第7号証のいずれにも記載があるから、本件特許発明4は当業者が容易に想到し得る発明である。
(審判請求書8頁5?19行)

(3)無効理由3
(3-1)特許法第36条第6項第2号(特許法第123条第1項第4号)
本件特許請求の範囲の請求項1(本件特許発明1)には、「所望の位置」、「滑らかに」、「徐々に」、「座席フレームの湾曲部」なる用語が使用されており、特許請求の範囲の記載が不明確である。本件特許請求の範囲の請求項2及び3(本件特許発明2及び3)自体には不明確な記載はないが、本件特許発明1の記載が不明確なため、本件特許発明1を引用する本件特許発明2?4も自ずと不明確になる。
また、本件特許請求の範囲の請求項4(本件特許発明4)における「略」、「前記ピンP1」なる記載により、当該請求項4に記載の発明が不明確である。
以上のことより、本件特許発明1?4はいずれも、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない。
(3-2)特許法第36条第4項第1号(特許法第123条第1項第4号)
本件特許請求の範囲の請求項1(本件特許発明1)の「内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部」における「所望の位置に係止可能とした係止部」について、明細書の段落【0006】にその記載はあっても、単なる記載のみであり、「所望の位置に係止可能とした」なる記載の定義付けや具体的な説明が明細書中にない。
請求項1(本件発明1)の「滑らかに」、「徐々に」なる記載についても、単に明細書中に記載があるのみで、如何なる現象若しくは作用を以て定義するのかが明細書中に実質的な説明がない。
請求項4(本件特許発明4)の「略」なる記載についても、単に明細書中に記載があるのみで、如何なる現象若しくは作用を以て定義するのかが明細書中に実質的な説明がない。
以上のことより、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に明確かつ十分に記載された発明とは言えず、特許法第36条第4項第1号の規定を満たしていない。当該本件特許発明1に従属する本件特許発明2?4もまた、特許法第36条第4項第1号の規定を満たしていないことは自ずと明らかである。
(審判請求書8頁20行?9頁18行)

2.請求理由の詳細
(1)無効理由1
ア.先行技術発明が存在する事実及び証拠(甲第1号証?甲第7号証)の説明
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(朝日新聞、1997年(平成9年)8月24日 日曜日発刊、日曜版6面の広告欄写真及びその説明記事)、甲第2号証(朝日新聞(夕刊)、1999年(平成11年)2月20日 土曜日発刊、2版6面の広告欄及びその説明記事)、甲第3号証(スポーツ報知、1999年(平成11年)6月7日(月曜日)発刊、6版14面の広告欄写真及びその説明記事)、甲第4号証(毎日新聞、2009年(平成21年)3月16日(月)発刊、12版広告欄20面の広告欄写真及びその説明記事)、甲第5号証(朝日新聞、2009年(平成21年)12月5日 土曜日発刊、13版24面の広告欄写真及びその説明記事)、甲第6号証(朝日新聞、2009年(平成21年)12月29日 火曜日発刊、13版22面の広告欄写真及びその説明記事)及び甲第7号証(財団法人日本文化用品安全試験所 平成9年9月25日付け発行の「試験成績報告書」)のいずれにも、本件特許発明1の構成要件A?Mが記載されているため、本件特許発明1はこれら刊行物記載の発明と同一である。
また、本件特許発明2の構成要件Nは甲第1号証?甲第7号証に記載され、構成要件Oは本件特許発明1に対応しているため、本件特許発明2は甲第1号証?甲第7号証に記載の発明と同一である。本件特許発明3の構成要件Pは甲第1号証?甲第7号証に記載され、構成要件Qは本件特許発明1に対応しているため、本件特許発明3は甲第1号証?甲第7号証に記載の発明と同一である。
更に、本件特許発明4の構成要件R?Uは甲第1号証?甲第7号証に記載され、構成要件Vは本件特許発明1?3に対応しているため、本件特許発明4は甲第1号証?甲第7号証に記載の発明と同一である。
(審判請求書14頁6?下から2行)

イ.甲第1号証について(参考図1)
甲第1号証に対応する参考図1の中央部Xには、スライド式オットマンの本格リクライニングチェアの全体写真が斜視図で示され、その左側のY部には折り畳んだ状態のリクライニングチェアが示され、右下のZ部には9段階のリクライニング機能について、人が使用している状態が3段階で示されているので、当該リクライニングチェアは傾倒・起立でき、折り畳み可能である。
参考図1には、レッグレストBを備え、アームレストA1の操作によりバックレストCを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子が示されている。つまり、参考図1には、本件特許発明1の構成要件Aが開示されている。また、参考図1には、スライド式オットマンであるレッグレストBと、9段階リクライニングのバックレストCと、バックレストCの下端部に後端部位がピンP4により枢支される座部Dとが示されている。座部Dの後端部位にピンP4が示されており、折り畳み可能(Y部の写真)とリクライニング機能を有していることからも、座部DはピンP4により回動可能に枢支されている。枢支されていなければ、バックレストCを傾倒・起立させることができず、折り畳むこともできない。つまり、参考図1には、本件特許発明1の構成要件B,C,Dが開示されている。
また、参考図1には、前脚フレーム15と後脚フレーム16の左右上方端部の交差部をピンP1により枢支して成る脚部が示されているので、参考図1は、本件特許発明1の構成要件Eを開示している。交差部がピンP1により枢支されていなければ、傾倒・起立させたり、折り畳むことができない。そして、参考図1には、後端側をピンP2によりバックレストCに枢支され、前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストA1が示されている。アームレストA1がピンP2によりバックレストCに枢支されている点、アームレストA1の前端側が上方に回動可能となっている点は、Z部の3枚の写真で示されているように、リクライニング機構を具備し、交差部の位置がアームレストA1に対して変化していることから明らかである。また、「内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有する」点は、X部の写真により、脚部上部の交差部がピンP1により結合されていることが明確に示され、交差部がアームレストA1の下方側に位置していること、Z部の3枚の写真によれば3枚のリクライニング角度によって、交差部がアームレストA1の異なる位置に移動していることからも推認できる。
なお、脚部の交差部をアームレストA1に係止可能とする点は、甲第9号証における「従来技術」を示す図9及びその説明である段落[0004]?[0005]にも示されているように、本件特許出願当時のリクライニングチェアの分野における当業者の技術常識ないし周知技術である。よって、本件特許発明1の構成要件Fは、参考図1に開示されている。
更に、参考図1には、座部Dの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた丸みを帯びた湾曲部14cが形成され、該湾曲部14cの端部には連結棒14aが取り付けられており、レッグレストBが座部Dの前方から引き出し可能(スライド式オットマン)であることが示されている。つまり、本件特許発明1の構成要件G,H,Jが開示されている。
該レッグレストBの開放する側の両端部近傍には連結棒19aが取り付けられ、連結棒19aの両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材19cが取り付けられており、レッグレストBが引き出される際には、その当接部材19cが座部Dの湾曲部14cに滑らかに当接して徐々に停止するようになっている。湾曲部14cは鈍角状に丸みを持ってなだらかに湾曲しているので、レッグレストBは滑らかに徐々に停止し、決して引っ掛かったり、衝突して急激に停止することはない。参考図1は全体の外観を示しているため、連結棒19aの詳細は明瞭とは言えないが、当接部材19cが取り付けられていなければレッグレストBを引き出した際、レッグレストBは座部D位置に停止せず、脱落してしまうので欠陥商品となる。欠陥商品は、当然に販売することができない。
なお、参考図1は販売用の製品の外観ないし使用状態を示しているため、レッグレストフレーム、アームレストフレーム、バックレストフレーム、座部フレームを開示していないが、レッグレスト、アームレスト、バックレスト、座部それぞれが構造基体となるフレームを有することは、本件特許の出願時において当業界の技術常識ないし周知技術であり、各フレームにクッション部材が装着されて若しくは装着されるようにして販売されていたことも周知の事実である。
(平成27年6月18日付け上申書(請求人)3頁19行?5頁下から2行)
甲第1号証の左下欄には、…スライド式オットマンの構造として、レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には当接部材が取り付けられており、レッグレストフレームが引き出される際に当接部材が座部フレームの湾曲部に当接するようになっている。
(審判請求書15頁2?10行)

ウ.甲第2号証乃至甲第7号証について(参考図2乃至参考図7)
甲第2号証乃至甲第7号証についても、上記「イ.甲第1号証について(参考図1)」と同様に、本件特許発明の各構成要件が開示されている。
(審判請求書15頁19行?20頁1行及び平成27年6月18日付け上申書(請求人)5頁最下行?19頁8行)

エ.甲第7号証について
(ア)先ず、本審判請求人代表者が甲第7号証を有している理由を説明する。甲第7号証の発行時、本審判請求人代表者は、イタリア・ミラノにおいて、明和グラビア株式会社のイタリア代理店社長(ドイツ人)とCREATEX S.R.L社を共同経営しており、イタリア・メタルファール社及びマルガ社の椅子の日本向け代理店を行っていた。具体的には、株式会社ヤマザキにはメタルファール社及びマルガ社の椅子やカプチーノクレーマを株式会社フレンドリーを通じて、アキテーヌジャパン株式会社にはイタリア・ジグフレックス社の電動ベッドを輸出しており、日本においては椅子の安全性確保の点より財団法人日本文化用品安全試験所の認定を受ける必要があり、株式会社ヤマザキがその認定を受け、代理店となっているCREATEX S.R.L社の本審判請求人代表者(亀井正博)にその結果を、株式会社フレンドリーより報告を受けた次第である。
なお、甲第7号証には製品名は出ていないが、甲第2号証からも、本号証の椅子はイタリア・マルガ社製の「折りたたみリクライニング椅子」である。
(審判請求書19頁2?16行)

(イ) 審判請求書でも述べたように、椅子等の日用生活用品を日本国内で販売するためには、日用生活用品の安全性を確保するために、財団法人日本文化用品安全試験所(現一般財団法人日本文化用品安全試験所)の認定を受ける必要がある。一般財団法人日本文化用品安全試験所のホームページに拠れば、財団法人日本文化用品安全試験所の設置・運営目的は、「日用生活用品の安全性を確認する試験・検査等を通じて、その製品の品質、性能の維持及び向上を図ることにより、我が国の日用生活用品にかかる流通の促進、消費活動の健全化、及び安全かつ保証された家庭生活の発展に寄与すること、さらには、私たちが健康で文化的な生活を営めること、環境の保全に貢献することを目的としています。」とのことである。従って、財団法人日本文化用品安全試験所における椅子等の試験・検査等の結果は当事者だけの秘密・秘匿事項に属するものではなく、また、営業秘密に属するものでもなく、逆に、一般公衆に積極的に報知せしめて、日用生活用品の安全性を広く積極的にアピールすべきものと言わざるを得ない。つまり、「試験成績報告書」の内容は、誰でもが知り得る状態におかれていなければ、その存在価値はないのである。日用生活用品の安全性が問題化・表面化してから、試験成績を公表しても意味がない。「試験成績報告書」の公表によって、日用生活用品の安全性の確保が担保されていることにより、一般公衆は安心して当該日用生活用品を購入することができるからである。アピールする主体は、当事者に限定されるべきものでもない。この意味において、財団法人日本文化用品安全試験所の「試験成績報告書」は、公衆に対し頒布により、その内容を公開することを前提としているというべきである。甲第7号証そのものは、財団法人日本文化用品安全試験所から(株)ヤマザキに対するものであるが、複製された文書、図面としての公開情報として、本審判請求人が保持している理由は、審判請求書の上記(エ)で詳細に述べた通りである。
なお、甲第7号証の「試験成績報告書」には、「本成績書の内容を広告物その他に掲載する時は、予め本試験所理事長の承認を受けて下さい。」との注意書きの記載があるが、「本成績書」ではなく、「本成績書の内容」となっており、また、「広告物その他に掲載」という条件からしても、「試験成績報告書」を公衆に対し頒布により公表させないとの趣旨ではなく、商品の広告・宣伝等に成績書の内容を悪用させないための防止・喚起事項と解すべきである。
よって、甲第7号証の「試験成績報告書」は、特許法上の「頒布された刊行物」に該当する。
(平成27年5月22日付け口頭審理陳述要領書(請求人)2頁8行?3頁18行)

(ウ)財団法人日本文化用品安全試験所の「試験成績報告書」について
財団法人日本文化用品安全試験所(現一般財団法人日本文化用品安全試験所)は、インターネットのホームページ(甲第14号証の1)によれば「国民の皆様の信頼に応える試験検査分析機関です。」となっており、また、「永年の検査実績に基づくノウハウと、優れた熟練検査員の技術力、そして最新の設備・検査機器類を保有し、日用生活用品の安全性を確認する試験・検査等を通じて当財団は社会に貢献いたします。」と説明されている。つまり、国民の信頼に応え、社会に貢献することが大きな業務内容となっている。
そして、一般企業等がリクライニングチェアなどの日用生活用品を製造・販売するためには、国民の日用生活用品の安全性を確保して生活の安定を維持するために、当財団の認定を受ける必要がある。一般財団法人日本文化用品安全試験所の定款(甲第14号証の2)に記載された目的及び事業からして、当財団における椅子等の試験・検査等の結果は当事者だけの秘密・秘匿事項に属するものではなく、また、営業秘密に属するものでもなく、逆に、一般公衆に積極的に報知せしめて、日用生活用品の安全性を広く社会的にアピールすべきものである。そのような積極的な報知が国民の信頼に応え、社会貢献に直結するからである。当財団の「試験成績報告書」の内容は、誰でもが知り得る状態におかれていなければ、その存在価値はないと言わざるを得ない。
一般財団法人日本文化用品安全試験所は、依頼人と被依頼人との信頼関係からして、道義的に、当該「試験成績報告書」を自ら積極的に公衆に対して頒布することはできないにしても、依頼人においては、当該日用生活用品の安全性が確保されており、国民が購入して使用しても問題のないことを積極的に公表することが、依頼人の業務にも利益を供与し社会(日用生活用品の使用)への貢献にも繋がる。「試験成績報告書」の公表によって、日用生活用品の安全性の確保が担保されていることにより、一般公衆は安心して当該日用生活用品を購入して使用することができ、社会秩序が維持されるからである。
なお、財団法人日本文化用品安全試験所の「定款」は甲第14号証の2に示されているが、成績書の内容を秘匿し、当事者が秘密状態を保持しなければならないといった秘密保持条項は、存在しない。仮に、一般財団法人日本文化用品安全試験所が当該「試験成績報告書」を公表したとしても、何ら違法性はない。また当然、依頼人において、当該「試験成績報告書」を公表することを禁止する条文若しくはそれに対応した規定もない。
よって、財団法人日本文化用品安全試験所(現一般財団法人日本文化用品安全試験所)が依頼人に渡す「試験成績報告書」は、当財団が依頼人に渡した時点以降において何ら秘密保持としての性格を有しておらず、不特定な第三者に公表することが法的に許されており、公衆に対し頒布により公開することを目的として複製された文書・図面(写真)であり、特許法上の「頒布された刊行物」に該当する。
(平成27年6月18日付け上申書(請求人)2頁5行?3頁18行)

ケ.公然実施された発明について
(ア)証人の証言(甲第12号証)及びそれを疎明する甲第8号証の1?甲第8号証の6について
本審判請求人は、本件特許に係るリクライニングチェアが、本件特許出願前より日本国内で販売され、公然実施された発明になっていたことを証明するために、本審判請求と同時に証人尋問申出書を提出している。上記申出書の開催予定の証人尋問において、証人より得る証言(甲第12号証)の概略は、同時提出の尋問事項書に記載の通りであり、本件特許がその出願前から日本国内で販売されて公然実施された発明であったことは、その証人尋問において明らかになる。
証人尋問において、証人に関連する資料として株式会社アテックスの業務内容を示す冊子(甲第8号証の1)、株式会社アテックスが販売するマッサージチェア(型番ATX-157,ATX-158及びATX-160)の取扱説明書(甲第8号証の2)、マルガ・ジャパン株式会社のリクライニングチェアの朝日新聞1999(平成11年)2月20日発刊土曜版(甲第8号証の3(甲第2号証))、1999年におけるマルガ・ジャパン株式会社のリクライニングチェアの新聞広告(甲第8号証の4)、イタリア・MARGA社製のローレッグス・チェアの日刊スポーツ1997(平成9年)8月28日発刊木曜版の新聞広告(甲第8号証の5)、株式会社アテックスに対するマルガ・ジャパン株式会社からの警告書(甲第8号証の6)を提示する。
甲第8号証の1には、株式会社アテックスが「くつろぎマッサージチェアー」を販売していたことが示されている。甲第8号証の2には、株式会社アテックスが、1999年当時販売していたマッサージチェアの写真が示されており、そのマッサージチェアはスライド式足マットを備えている。甲第8号証の3及び甲第8号証の4には、甲第2号証で説明したと同一のスライド式オットマン付リクライニングチェアが示され、甲第8号証の5にもイタリア・MARGA社製のローレッグス・チェア「商品番号:10950」が示されている。甲第8号証の6は、1999年(平成11年)当時、株式会社アテックスがマルガ・ジャパン株式会社の販売製品と同一の「くつろぎマッサージチェアー」を販売していたために、当該代理人より受けた警告書である。
(審判請求書20頁2行?21頁4行)

(イ)証人尋問について
(イ-1)証人(國川星太郎氏)
a.本証人尋問で証明すべき事項は、証人が属する株式会社アテックスが、本件特許発明1?4に係るリクライニング椅子と同一若しくは類似の製品を本件特許出願日である平成22年(2010年)1月28日よりも前から日本国内で販売しており、本件特許発明は本件特許出願日前に日本国内で公然実施をされた発明であり、本件特許発明1?4はいずれも特許法29条第1項第2号の規定に該当することである。
b.証人(國川星太郎氏)の主張(予定)は、以下の通りである。
証人は、マルガ・ジャパン株式会社を知っており、マルガ・ジャパン株式会社が、平成9年(1997年)当時リクライングチェアを輸入販売していたこと、マルガ・ジャパン株式会社がイタリアのMARGA社製のリクライングチェアを輸入販売していたこと、MARGA社の型式「ART.096CBC」のリクライングチェアの特徴がレッグレストのオットマンであったことを知っている。
また、証人は、株式会社アテックスがリクライングチェアを販売していたこと、株式会社アテックスが、イタリアのMARGA社製のリクライングチェア「ART.096CBC」と同一若しくは類似の製品を輸入販売したことがあること、その輸入販売製品がレッグレストを備えていること、アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子であること、レッグレストフレーム、バックレストフレームを備えていること、バックレストフレームの下端部に後端部位がピンP4により枢支される座部フレームを備えていること、前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部を備えていること、後端側をピンP2によりバックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能となっていること、内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレームを具備していること、座部フレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成されていること、湾曲部の端部には連結棒が取り付けられていること、レッグレストフレームが座部フレームの前方から引き出し可能であること、レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられていること連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられていること、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座部フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止するものであることを証言する。
さらに、証人は、マルガ・ジャパン株式会社とイタリアのMARGA社の関係について、マルガ・ジャパン株式会社はMARGA社の製品を輸入し日本国内で販売していたこと、そのため、株式会社アテックスはマルガ・ジャパン株式会社(代理人)より警告書を受けたことがあること、その警告書の内容は、甲第8号証の6に間違いないこと、警告書を受けたため、株式会社アテックスはその後販売を停止したことを証言する。
(イ-2)甲第8号証について
甲第8号証の1は発行日を特定できないが、株式会社アテックスの営業指針や業務内容などを示す冊子であり、株式会社アテックスが「くつろぎマッサージチェア」を取り扱っていることを示している。従って、甲第8号証の1の発行日は、本証人尋問において、特に重要な問題ではない。
甲第8号証の2は「くつろぎマッサージチェアー」(型式ATX-160.ATX-158)、「リラックスマッサージチェアー」(型式ATX-160)の取扱説明書(実物は1枚の冊子で、表裏に印刷)であり、その裏面には使用状態及び収納(折り畳んだ状態)が示されている。即ち、中央部にはスライド式マットが座部下に収納され、背もたれが少し傾斜した状態が示され、スライド式マットは引き出し可能であること、右上には背もたれが11段階でリクライニングする機能を有していること、右下にはコンパクトに折り畳んで収納できることが写真と共に示されている。かかるマッサージチェアーはパイプ椅子にクッション形状を合わせたものであり、その構造・機能について、証人の確認を得る。
株式会社アテックスはかつて、イタリアのMARGA社の製品と同一若しくは類似の製品を日本国内で販売していたことがあり、甲第8号証の3?甲第8号証の5には、イタリアのMARGA社の製品が示されている。従って、株式会社アテックスが扱っていたマッサージチェアーが、甲第8号証の3?甲第8号証の5に示されるリクライニングチェアと同一若しくは類似しているかを、証言により確認する。
また、甲第8号証の6は株式会社アテックスに対する警告書であり、マルガ・ジャパン株式会社及びマルガ社(イタリア法人)代理人より発送された。株式会社アテックスはかかる警告書を受けたため、株式会社アテックス並びに証人は、イタリアのMARGA社の製品と当該自社製品を検討した結果、販売を停止した。
(イ-3)証人尋問及び甲第8号証について(審判事件答弁書18頁15行?21頁13行)
請求人が甲第8号証の1?甲第8号証の6を提示して証人尋問(証人國川星太郎氏)を請求する理由は、証人自身がリクライニングチェアを販売していたこと、或いは甲第8号証の1?甲第8号証の6に本件特許発明1?4が示されていることを証明するためではなく、証人が取締役社長を務める株式会社アテックスが、本件特許の出願日より前から、本件特許発明1?4と同一若しくは類似するリクライニングチェアを日本国内で公然と販売をしており、本件特許発明1?4が日本国内で公然実施をされた発明となっていたこと、その結果、本件特許発明1?4は特許法第29条第1項第2号の規定に該当することである。
(平成27年5月22日付け口頭審理陳述要領書15頁6行?17頁20行、19頁下から3行?20頁18行、30頁下から2行?31頁9行)

コ.結び
以上のように、本件特許発明1?4は、その出願前に頒布された甲第1号証?甲第7号証のいずれかに記載された発明と同一発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないと共に、本件特許出願前から日本国内で販売されて公然実施された発明であるから、特許法第29条第1項第2号の規定により特許を受けることができないものである。
従って、特許法第123条第1項第2号に該当し、本件特許は無効となるべきものである。
(審判請求書21頁5?14行)

(2)無効理由2
ア.先行技術発明が存在する事実及び証拠(甲第9号証及び甲第10号証)の説明
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第9号証(特開2006-181053号公報、平成18年7月13日公開)には、本件特許発明1については、その構成要件A?Mのうち構成要件A?F、I及びMが開示されており、本件特許発明2については構成要件Nが開示されており、本件特許発明3については構成要件Pが開示されており、本件特許発明4については構成要件R?Uが開示されている。
また、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第10号証(実用新案登録第3046819号公報、平成10年3月24日公開)には、本件特許発明1については構成要件G,H及びJ?Lが開示されており、本件特許発明2については構成要件Nが開示されており、本件特許発明3については構成要件Pが開示されており、本件特許発明4については構成要件R?Uが開示されている。
(審判請求書21頁16行?22頁3行)

イ.本件特許発明と甲第9号証との対比
甲第9号証には、概ね、アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニングチェアであって、バックレストフレームにクッション部材を装着してなるバックレストと、バックレストフレームの下端部に位置し水平方向に延設された座部フレームにクッション部材を装着して成る座部と、前方脚部フレームと後方脚部フレームの左右上方端部を傾倒位置決め用のピンP1により枢支して成る脚部と、肘側をピンP2により前記バックレストフレームに枢支して指先側を上方に回動可能とし、かつ該指先側内部又は外部にピンP1を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレームにクッション部材を装着して成るアームレストとを具備して成るリクライニングチェアが開示されている。
即ち、甲第9号証の段落[0023]?[0050]及び図1?図5に示されるように、フットレスト250(本件特許のレッグレスト19’に相当)を備え、アームレスト240(本件特許のアームレスト17に相当)の操作によりバックレスト210(本件特許のバックレストクッション部12aに相当)を傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニングチェアが開示されている。よって、甲第9号証には、本件特許発明1の構成要件Aが開示されている。
また、甲第9号証の段落[0023]?[0050]及び図1?図5に示されるように、フットレストフレーム251(本件特許のレッグレストフレーム19に相当)と、バックレストフレーム211(本件特許のバックレストフレーム13に相当)と、バックレストフレーム211の下端部に後端部位がピンP5(本件特許のピンP4に相当)により枢支される座部フレーム221(本件特許の座部フレーム14に相当)と、前方脚部フレーム231(本件特許の前脚フレーム15に相当)と後方脚部フレーム232(本件特許の後脚フレーム16に相当)の左右上方端部の交差部を枢支して成る脚部230とが開示されている。よって、甲第9号証には、本件特許発明1の構成要件B?Eが開示されている。
甲第9号証の段落[0023]?[0050]及び図1?図5に示されるように、後端側をピンP2(本件特許のピンP2に対応)によりバックレストフレーム211に枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部(図2参照)に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部242(本件特許の17bに相当)を有するアームレストフレーム241(本件特許のアームレスト17に相当)が開示されている。つまり、甲第9号証には、本件特許発明1の構成要件Fが開示されている。
また、甲第9号証の段落[0023]?[0050]及び図1?図5に示されるように、フットレストフレーム251(本件特許のレッグレストフレーム19に相当)は、座部フレーム221(本件特許の座部フレーム14に相当)の前方から引き出し可能であり、甲第9号証はリクライニング椅子(リクライニングチェア)である。よって、甲第9号証は、本件特許発明の構成要件I及びMを開示している。
更に、甲第9号証の段落[0023]?[0050]及び図1?図5に示されるように、引き出し可能なフットレストフレーム251(本件特許のレッグレストフレーム19に相当)が座部フレーム221(本件特許の座部フレーム14に相当)の下方に収納されているので(図1及び図2参照)、甲第9号証は本件特許発明2の構成要件N及びOを開示している。甲第9号証では、引き出し可能なフットレストフレーム251(本件特許のレッグレストフレーム19に相当)が座部フレーム221(本件特許の座部フレーム14に相当)の内部に収納されているので(図2参照)、甲第9号証は本件特許発明3の構成要件P及びQを開示している。
更にまた、甲第9号証の段落[0023]?[0050]及び図1?図5に示されるように、座部フレーム221(本件特許の座部フレーム14に相当)は、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンP3(本件特許のピンP3に対応)によって前方脚部フレーム231(本件特許の前脚フレーム15に相当)の略中間部に枢支され、その対向する側部の後端部位がピンP4(本件特許のピンP5に相当)によってバックレストフレーム211(本件特許のバックレストフレーム13に相当)の下端近傍に枢支され、後方脚部フレーム232(本件特許の後脚フレーム16に相当)の略中間部よりやや下方の部位がピンP5(本件特許のピンP4に相当)によって連結リンクに枢支され、ピンP1ないしピンP5(本件特許のピンP1?P3,P5,P4に対応)を枢軸としてリクライニング椅子が折り畳まれる構造が示されている。よって、甲第9号証には、本件特許発明4の構成要件R?Vが開示されている。
(平成27年6月18日付け上申書(請求人)19頁10行?21頁16行)

ウ.本件特許発明と甲第10号証との対比
甲第10号証には、概ね、座部フレーム(1)と、背もたれフレーム(2)と、これと回転自在に枢支したひじ掛け部(3)と、座部フレーム(1)に回転自在に枢支する前方脚部(4)と、後方脚部(5)、座部フレーム(1)の幅方向両側に形成した下方に屈曲する屈曲部(1a1)と、その下方に設けた支持部(1c)と、座部フレーム(1)の幅方向両側に設けたガイド杆(10)と、足台フレーム(11)と、屈曲部(1a1)の下方側に当接する当接部(12a)と、支持部(1c)の上方側より係合する係合凹部(12b)とを前後にずらした、足台縦方向フレーム部(11a)の後端に装着するた終端部材(12)とから成り、背もたれフレーム2を略平行位置になるように多数段に角度調整可能としたリクライニングチェアが開示されている。
即ち、甲第10号証の段落[0010]?[0035]及び図1?図9には、足台フレーム11(本件特許のレッグレストフレーム19に相当)と、背もたれフレーム2(本件特許のバックレストフレーム13に相当)と、背もたれフレーム2の下端に後端が枢支部P1(本件特許のピンP4に相当)により枢支連結される座部フレーム1(本件特許の座部フレーム14,14’に相当)と、前方脚部4(本件特許の前脚フレーム15に相当)及び後方脚部5(本件特許の後脚フレーム16に相当)から成る脚部と、後端を枢支部P2(本件特許のピンP2に対応)により背もたれフレーム2に枢支連結されるひじ掛け部3(本件特許のアームレスト17に相当)とを有し、座部フレーム1(本件特許の座部フレーム14,14’に相当)の前端箇所に下方に屈曲する屈曲部1a1(本件特許の湾曲部14cに相当)が形成され、該屈曲部1a1には、本件特許における連結棒14aに相当する支持部1c(図2には、足台フレーム11よりも下方の屈曲部1a1に小さい丸印が付されており、図6(A)では、足台フレーム11よりも下方の屈曲部1a1に丸印が付され、“1c”と参照符号が付されている)が形成され、足台フレーム11が座部フレーム1の前方から引き出し可能であり、足台フレーム11の後端には終端部材12(本件特許の当接部材19cに相当)が装着され、屈曲部1a1に終端部材12が当接するソファー(リクライニング椅子)が開示されている。
つまり、甲第10号証には、座部フレーム1(本件特許の座部フレーム14,14’に相当)の開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた屈曲部1a1(本件特許の湾曲部14cに相当)が形成され(本件特許発明1の構成要件G)、該屈曲部1a1(本件特許における湾曲部14cに相当)の端部には支持部1c(本件特許の連結棒14aに相当)が取り付けられており(本件特許発明1の構成要件H)、足台フレーム11(本件特許のレッグレストフレーム19に相当)の開放する側の両端部近傍には支持部1c(本件特許の連結棒14aに相当)が取り付けられ(本件特許発明1の構成要件J)、支持部1c(本件特許の連結棒14aに相当)の両端部には、それぞれ終端部材12(本件特許の当接部材19cに相当)が取り付けられており(本件特許発明1の構成要件K)、足台フレーム11(本件特許のレッグレストフレーム19に相当)が引き出される際には、その終端部材12(本件特許の当接部材19cに相当)が座部フレーム1の屈曲部1a1に滑らかに当接して徐々に停止すること(本件特許発明1の構成要件L)が開示されている。
甲第10号証に示されている座部フレーム1の屈曲部1a1は、図9(A)及び(B)に示されるように明らかに90°以上の鈍角に丸みを帯びて湾曲しており、しかも当接部12aも丸みを帯びており、当接部12aが屈曲部1a1に衝突して急激に停止することはない。つまり、当接部12aと屈曲部1a1の構造上、滑らかに当接して徐々に停止すると理解することは、技術的若しくは科学的な常識事項と言える。
(平成27年6月18日付け上申書(請求人)21頁18行?23頁14行)

エ.周知技術について
甲第1?7号証はいずれもリクライニングチェア(椅子)であり、いずれもレッグレストBを備え、アームレストA1の操作によりバックレスト(背もたれ)Cを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニングチェアである。また、レッグレストB(若しくはレッグレストフレーム)は甲第1?7号証のいずれにも開示されており、バックレストC(若しくはバックレストフレーム)も甲第1?7号証のいずれにも開示されている。そして、甲第1?7号証のリクライニングチェアはいずれも人が座るものであることから、座部D(若しくは座部フレーム)を具備しており、バックレストCが傾倒・起立し、折り畳み可能なことから、座部Dの後端部位がピンP4によりバックレストCに枢支されている。甲第1?7号証のリクライニングチェアには、目視部分としては小さいが、座部Dの後端部位がピンP4によりバックレストCに枢支された部位が認められる。
また、甲第1?7号証に示されるリクライニングチェアはいずれも、脚部としての前脚フレーム15及び後脚フレーム16を具備しており、前脚フレーム15と後脚フレーム16の左右上方端部の交差部がピンP1により枢支されている。交差部が枢支されている理由は、リクライニングチェアは折り畳み可能であり、交差部が固定されていては動作しないこと、甲第1?7号証には、目視部分としては小さいが、左右上方端部の交差部がピンP1により枢支されている部位が認められるからである。交差部がリクライニング角度によって、アームレストA1中を移動することは明確に示されている。
そして、甲第1?7号証にはいずれもアームレストA1が示され、アームレストA1の後端側はピンP2によりバックレストCに枢支され、アームレストA1の前端側を上方に回動可能とし、かつ上記脚部の交差部を係止可能とする係止部が設けられている。アームレストA1の後端側がピンP2によりバックレストCに枢支され、アームレストA1の前端側を上方に回動可能としていることは、甲第1?7号証に示されるリクライニングチェアが傾倒・起立の機能を備え、折り畳み可能な構造になっていることから導かれると共に、甲第1?7号証にはいずれもアームレストA1の後端側がピンP2によりバックレストCに枢支された部位が認められる。甲第1?7号証に示されるリクライニングチェアのアームレストA1では、脚部の交差部を係止可能とする係止部がアームレストA1内に設けられている点は明示されていないが、係止部はアームレストA1の下側に位置していると共に、脚部の交差部がアームレストA1に固定されていたのでは折り畳むことができず、また、バックレストCを傾倒・起立させることもできないのであるから、当業者であれば、脚部の交差部を係止可能とする係止部がアームレストA1に設けられていると推認することができる。また、脚部の交差部を係止可能とする点は、甲第9号証でも示されるように、本件特許出願当時のリクライニングチェアの分野における当業者の技術常識ないし周知技術である。
更に、甲第1?7号証はいずれも、座部Dの開放する側の両端部が下方に鈍角状に丸みを持って折り曲げられた湾曲部14cが形成され、該湾曲部14cの端部に連結棒14aが取り付けられたリクライニングチェアを開示している。甲第1?7号証のリクライニングチェアはいずれも鈍角状(90°以上に角度を付けられた)の丸みを持った湾曲部14cを具備しており、湾曲部14cの端部に連結棒14aが取り付けられている。湾曲部14cの端部に連結棒14aが取り付けられている点は、甲第1号証(参考図1)、甲第6号証(参考図6)及び甲第7号証(参考図7)を除いて明確には認められないが、甲第10号証でも示されるように、本件特許出願当時のリクライニングチェアの分野における当業者の技術常識ないし周知技術である。また、連結棒の有無は、本件特許における重要な要素でもない。
甲第1?7号証に示されるリクライニングチェアのレッグレストBはいずれも、座部Dの前方から引き出し可能であり、該レッグレストBの開放する側の両端部近傍には連結棒19aが取り付けられている。連結棒19aがレッグレストBに取付けられている点は、甲第1号証(参考図1)、甲第6号証(参考図6)及び甲第7号証(参考図7)を除いて明確に認められないが、レッグレストBに連結棒19aを取付けることは、甲第9号証で示されるように、また、レッグレストBの軽量化ないしは補強の観点からも、本件特許出願当時のリクライニングチェアの分野における当業者の技術常識ないし周知技術である。
甲第1?7号証に示されるリクライニングチェアでは、いずれも、連結棒19aの両端部にそれぞれ当接部材19cが取り付けられており、レッグレストBが引き出される際には、その当接部材19cが座部Dの湾曲部14cに滑らかに当接して徐々に停止する機構が示されている。仮に、連結棒19aの両端部に当接部材19cが取り付けられている点が明確に認められないとしても、座部Dに湾曲部14cが取り付けられている点は明瞭であるから、湾曲部14cに当接する当接部材を設けることは、上述のような構造の湾曲部14cをわざわざ設ける意味からも、また、引き出し可能なレッグレストBを備えたリクライニングチェアの機能からも、湾曲部14cに対応する部材が存在しなければならないことは容易に推認できる。なお、連結棒19aの存在の有無は、本件特許における重要な要素でもなく、連結棒19a自体は甲第10号証でも示されるように、本件特許出願当時のリクライニングチェアの分野における当業者の技術常識ないし周知技術と言えるものである。
以上より、以下の周知技術が導かれる。
「レッグレスト(B)を備え、アームレスト(A1)の操作によりバックレスト(C)を傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子であって、レッグレスト(B)と、バックレスト(C)と、前記バックレスト(C)の下端部に後端部位がピン(P4)により枢支される座部(D)と、前脚フレーム(15)と後脚フレーム(16)の左右上方端部の交差部をピンP1により枢支してなる脚部と、後端側をピン(P2)により前記バックレスト(C)に枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ前記交差部を係止可能とした係止部を有するアームレスト(A1)とを具備し、前記座部(D)の開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部(14c)が形成され、該湾曲部(14c)の端部には連結棒(14a)が取り付けられており、前記レッグレスト(B)が前記座部(D)の前方から引き出し可能であり、該レッグレスト(B)の開放する側の両端部近傍には連結棒(19a)が取り付けられ、連結棒(19a)の両端部には、それぞれ当接部材(19c)が取り付けられており、前記レッグレスト(B)が引き出される際には、その当接部材(19c)が座部(D)の湾曲部(14c)に滑らかに当接して徐々に停止するものであることを特徴とするリクライニング椅子。」は周知技術である。
(平成27年6月18日付け上申書(請求人)23頁16行?26頁末行)

オ.動機付けについて
(オ-1)甲第9号証と甲第10号証
甲第9号証はリクライニングチェアに関するものであり、本件特許発明のリクライニング椅子と全く同一の技術分野である。甲第10号証の考案の名称は「ソファー」になっているが、課題を説明する段落【0004】に「背もたれが座部に対して所定の範囲で角度調整可能としたリクライニングタイプのソファー」と記載されていること、構成を説明する段落【0010】?【0012】に「(前略)図1、図2に示すように、主に、座部フレ?ム1と、背もたれフレーレム2と、ひじ掛け部3と、(中略)枢支部P_(1)により枢支連結されている(図2参照)。」と記載されていること、図1及び図2の形態が、本件特許公報の図1、図2図4に示されるリクライニング椅子と何ら変わりのないこと、甲第10号証のソファーにおいても座部や背もたれ、ひじ掛け、足台フレームが存在し、人がリクライニングのために座る機能を有していることなどから、甲第10号証の技術分野はリクライニングチェアに関するものであり、甲第9号証と同一である。
このように、甲第10号証は甲第9号証と全く同一の技術分野であり、甲第9号証に甲第10号証の技術を適用して、本件特許の構成とする動機付けがある。
(オ-2)甲第9号証と周知技術(甲第1?7号証)
甲第9号証はリクライニングチェアに関するものであり、前述したように甲第1?7号証で示される周知技術もリクライニングチェアに関するものである。よって、甲第9号証に周知技術(甲第1?7号証)を適用して、本件特許の構成とする動機付けがある。
(平成27年5月22日付け口頭審理陳述要領書27頁4?末行)

(3)無効理由3
(3-1)本件特許における特許請求の範囲の記載要件違反
ア.本件特許発明1に「前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部」なる記載があるが、如何なる基準を以て「所望の」位置とするのかが不明確である。
イ.本件特許発明1に「滑らかに」、「徐々に」なる記載があるが、両記載とも相対的な用語であり、如何なる基準を以て「滑らかに(当接する)」、「徐々に(停止する)」とするのかが不明確である。
ウ.本件特許発明1に「座席フレームの湾曲部」なる記載がある。ここで、該記載における「座席フレーム」が、同本件特許発明1中の「座部フレーム」と関連するのか否か、また、該記載における「湾曲部」が、同本件特許発明1中の「湾曲部14c」と関係するのか否かが明瞭でない。
エ.本件特許発明4に「略中間部」と「やや下方の」なる記載があるが、それぞれの記載における「略」と「やや」は、相対的な用語であり、如何なる基準を以て「略中間部」、「やや下方の」とするのかが不明確である。
オ.本件特許発明4に「前記ピンP1ないし前記ピンP5」なる記載がある。ここで、該記載については、「前記ピンP1、前記ピンP2、前記ピンP3、前記ピンP4又は前記ピンP5」と書き換えられるのは、文法上自明である。このことを鑑みた場合、ピンP2、ピンP3、ピンP4及びピンP5については、当該本件特許発明4又は当該本件特許発明4が引用する本件特許発明1ないし3に記載はあるが、ピンP1については、当該本件特許発明4又は当該本件特許発明4が引用する本件特許発明1ないし3のいずれにもその記載がない。従って「前記ピンP1」なる記載が不明確である。
カ.以上のことより、少なくとも本件特許発明1及び4の記載は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない。本件特許発明1及び4が特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない故、当該本件特許発明2及び3もまた、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていないことになる。
従って、本件特許発明1?4は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない。

(3-2)本件特許における明細書の記載要件違反
ア.本件特許発明1に「前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部」なる記載がある。
本件特許の明細書の記載を検討しても、「所望の位置に」なる記載は、明細書の段落【0006】に当該本件特許発明1に合わせた記載があるのみで、当該記載の意味を具体的に説明する記載は、本件特許明細書の他の箇所及び図面を検討しても何ら記載がない。
イ.本件明細書段落【0026】の第2文及び第3文に、次の記載がある。
「図6(A)、(B)に示すように、係止突起17a間には前述したピンP1の両端部P1aが係止され、これによりバックレスト13の傾倒位置、すなわち傾倒角度が決定される。
このようにピンP1の両端部P1aが前後方向に移動され、係止突起17a間に係止されるとき、係止突起17aの先端部が鋸刃状に形成されているので、ピンP1の両端部P1aの移動及び係止が容易かつ確実に行うことができる。」
ここで、本件特許明細書の段落【0026】の第2文及び第3文の記載を鑑みた場合、上記第2文及び第3文の記載内容は、「交差部(正確には交差部を枢支しているピンP1)を係止可能にしているのは係止突起17aの間」と読み取れる。つまり、交差部を係止可能にしているのは係止突起と読み取れる。言い換えると、交差部を係止可能にしているのは、係止部ではないということになる。
一方、本件特許明細書の段落【0026】の第1文に「アームレストフレーム17の側部の各内面には、図6(A)、(B)に示すように、側面視で鋸刃状をなす複数個の係止突起17aが形成された係止部17bが設けられている。」なる記載がある。しかしながら、図6(A)及び(B)の記載を見ても、係止突起17aと係止部17bとが同一箇所に見て取れる。それ故に、係止部17bと、係止突起17aとの関係性もまた、不明瞭である。
ウ.本件特許発明1に、「その当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止するものである」なる記載がある。ここで、該記載の「滑らかに(当接して)」及び「徐々に停止する」なる記載が不明確であるということは先述の通りだが、本件特許の明細書の記載を検討しても、明細書の段落【0006】に当該本件特許発明1の記載と同じ記載があるのみであり、如何なる事象を以て「滑らかに」当接するのか、及び当接部材が「徐々に停止」するのかという定義づけ等が、本件特許の明細書中には何ら記載がない。
エ.本件特許発明4に「略中間部」、「やや下方」なる記載がある。ここで、「略」、「やや」なる記載が相対的であるが故、記載として不明確であることは上述の通りである。
そして、本件特許の明細書にも「略中間部」、「やや下方」なる記載があるが、本件特許の明細書の記載を検討しても、本件特許の明細書段落【0012】並びに「発明を実施するための形態」には、単にその記載のみであり、如何なる事象を以て「略(中間部)」、「やや(下方)」とするのかという定義づけ等が、本件特許の明細書中には何ら記載がない。
以上のことから、少なくとも本件特許発明1及び本件特許発明4は、その特許明細書中に明確かつ十分に記載された発明ではない。また、本件特許発明1が、その特許明細書中に明確かつ十分に記載された発明ではない故、当該本件特許発明1を引用する本件特許発明2及び3もまた、その特許明細書中に明確かつ十分に記載された発明ではないものである。
従って、本件特許発明1?4は、特許法第36条第4項第1号の規定を満たしていない。

(3-3)結び
以上のことより、本件特許発明1?4は、その特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていないので特許を受けることができないものであり、更に本件特許発明1?4は、その特許請求の範囲に係る発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号の規定を満たしていないので特許を受けることができない。
従って、本件特許は、特許法第123条第1項第4号の規定により無効とされるべきものである。
(審判請求書25頁22行?29頁8行)

3.証拠方法
請求人が本件審判請求にあたり提示した証拠方法は、以下のとおりである。
[書証]
(1)平成26年11月18日付けの審判請求書に添付されたもの
ア.甲第1号証 朝日新聞、1997年(平成9年)8月24日 日 曜日発刊、日曜版6面の広告欄写真及びその説明記 事
イ.甲第2号証 朝日新聞(夕刊)、1999年(平成11年)2月 20日 土曜日発刊、2版6面の広告欄及びその説 明記事
ウ.甲第3号証 スポーツ報知、1999年(平成11年)6月7日 (月曜日)発刊、6版14面の広告欄写真及びその 説明記事
エ.甲第4号証 毎日新聞、2009年(平成21年)3月16日( 月)発刊、12版広告欄20面の広告欄写真及びそ の説明記事
オ.甲第5号証 朝日新聞、2009年(平成21年)12月5日 土曜日発刊、13版24面の広告欄写真及びその説 明記事
カ.甲第6号証 朝日新聞、2009年(平成21年)12月29日 火曜日発刊、13版22面の広告欄写真及びその説 明記事
キ.甲第7号証 財団法人日本文化用品安全試験所 平成9年9月2 5日付け発行の「試験成績報告書」
ク.甲第8号証の1 株式会社アテックスの業務内容を示す冊子
ケ.甲第8号証の2 株式会社アテックスが販売するマッサージチェア( 型番ATX-157,ATX-158及びATX- 160)の取扱説明書
コ.甲第8号証の3 マルガ・ジャパン株式会社のリクライニングチエア の新聞広告(朝日新聞(夕刊)、1999年(平成 11年)2月20日 土曜日発刊、2版6面の広告 欄及びその説明記事)
サ.甲第8号証の4 マルガ・ジャパン株式会社のリクライニングチェア の新聞広告(クーポン券有効期限’99/3月末)
シ.甲第8号証の5 イタリア・MARGA社製のローレッグス・チェア の新聞広告(日刊スポーツ、1997年(平成9年 )8月28日 木曜日発刊、【広告のページ】)
ス.甲第8号証の6 1999年8月5日付け株式会社アテックスに対す るマルガ・ジャパン株式会社からの警告書
セ.甲第9号証 特開2006-181053号公報
ソ.甲第10号証 実用新案登録第3046819号公報
タ.甲第11号証 特願2010-017488号に対する平成25年 3月28日付け提出の意見書
なお、被請求人は、甲第1?11号証の成立を認めている。

(2)平成27年6月18日付けの上申書(請求人)に添付されたもの
ア.甲第14号証の1 一般財団法人日本文化用品安全試験所のインターネットのホームページ(表紙)
イ.甲第14号証の2 一般財団法人日本文化用品安全試験所の定款
また、参考図1?7(甲第1号証?甲第7号証のそれぞれを拡大し、説明用の符号を記入したものたもの)が添付されている。
なお、被請求人は、甲第14号証の1及び2の成立を認めている。

[人証] 國川星太郎

第4 被請求人の主張
1.無効理由1に対する反論
(1)本件特許発明1と甲第1号証に記載された発明との対比
本件特許発明1と甲第1号証とを比較すると、まず甲第1号証には、本件特許発明1の発明特定事項のうち、少なくとも「(F)、(H)、(J)、(K)及び(L)」の構成を備える点については記載がない。以下、審判請求人の主張する事項に対応させて反論を行うこととする。
ア.審判請求人は、「本件特許発明1の構成要件A?Mについては、甲第1号証に記載されている。」(審判請求書第15頁第1?2行目)と主張しているが、少なくとも、アームレストフレームが内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有している点(発明特定事項(F))については、甲第1号証のリクライニングチェアの全体写真に、アームレストフレームに相当する部位の内部構造が示されていない以上、全く不明というしかない。
従って、発明特定事項(F)が甲第1号証に記載されているとは到底言えない。
イ.審判請求人は、「レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には当接部材が取り付けられており、」(審判請求書第15頁第7?9行目)と主張しているが、甲第1号証のリクライニングチェアの全体写真からは、湾曲部の端部に連結棒が取り付けられている点(発明特定事項(H))、及び、レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍に連結棒が取り付けられている点(発明特定事項(J))は不明であり、当然のこと、当接部材が連結棒の両端部から突出する先端に取り付けられている点(発明特定事項(K))までも認識できるものではない。
従って、発明特定事項(H)、(J)及び(K)が甲第1号証に記載されているとは言えない。
ウ.審判請求人は、「レッグレストフレームが引き出される際に当接部材が座部フレームの湾曲部に当接するようになっている。」(審判請求書第15頁第9?10行目)と主張しているが、甲第1号証の写真からは、当接部材らしきものは認めるが、それが、レッグレストフレームが引き出される際に、当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止する(発明特定事項(L))ものであるとまでは到底言えない。
従って、発明特定事項(L)が甲第1号証に記載されているとは言えない。
(平成27年2月9日付け審判事件答弁書9頁24行?10頁末行)

(2)本件特許発明1と甲第2号証乃至甲第6号証に記載された発明との対比
甲第2号証乃至甲第6号証についても、上記「(1)本件特許発明1と甲第1号証に記載された発明との対比」と同様に、本件特許発明1の発明特定事項のうち、少なくとも「(F)、(H)、(J)、(K)及び(L)」の構成を備える点については記載がない。
(平成27年2月9日付け審判事件答弁書11頁1行?16頁下から3行)

(3)本件特許発明1と甲第7号証に記載された発明との対比
ア.まず、審判請求人は、「先ず、本審判請求人代表者が甲第7号証を有している理由を説明する。?(略)?具体的には、株式会社ヤマザキにはメタルファール社及びマルガ社の椅子やカプチーノクレーマを株式会社フレンドリーを通じて、アキテーヌジャパン株式会社にはイタリア・ジグフレックス社の電動ベッドを輸出しており、」(審判請求書第19頁第2?9行目)と主張しているが、そもそも被請求人は株式会社フレンドリーとの取引は無く、これらの記載は全く存じ得ない事項である。
ちなみに、被請求人がイタリア・ジグレフレックス社から日本メタルファール社を通じて輸入していた電動ベッド(乙第1号証)は、本件特許とは全く異なるものである。

イ.甲第7号証についても、上記「(1)本件特許発明1と甲第1号証に記載された発明との対比」と同様に、本件特許発明1の発明特定事項のうち、少なくとも「(F)、(H)、(J)、(K)及び(L)」の構成を備える点については記載がない。
(平成27年2月9日付け審判事件答弁書16頁下から2行?18頁14行)

ウ.甲第7号証が頒布されるものか否かについて意見を申し述べます。
請求人は、平成27年5月22日付口頭審理陳述要領書において、「従って、財団法人日本文化用品安全試験所における椅子等の試験・検査等の結果は当事者だけの秘密・隠匿事項に属するものではなく、また、営業秘密に属するものでもなく、逆に、一般公衆に積極的に報知せしめて、日用生活用品の安全性を広く積極的にアピールすべきものと言わざるを得ない。つまり、「試験成績報告書」の内容は、誰でもが知り得る状態におかれていなければ、その存在価値はないのである。日用生活用品の安全性が問題化・表面化してから、試験成績を公表しても意味がない。「試験成績報告書」の公表によって、日用生活用品の安全性の確保が担保されていることにより、一般公衆は安心して当該日用生活用品を購入することができるからである。アピールする主体は、当事者に限定されるべきものでもない。この意味において、財団法人日本文化用品安全試験所の「試験成績報告書」は、公衆に対し頒布により、その内容を公開することを前提としているというべきである。」(第2頁第18行目?第3頁第5行目)と主張しているが、この主張は根拠がなく、単なる憶測に基づくものでしかない。
抑々、財団法人日本文化用品安全試験所のホームページを見れば、その点が明らかである。
すなわち、財団法人日本文化用品安全試験所のホームページの「試験・検査依頼書一覧」をクリックすると、「依頼書一覧」のページが現れ
(http://www,mgsl.or.jp/index/documents/tabi/8/Default.aspx)、
その試験・検査項目の「15.試験・検査のご依頼に際して(東京事業所化学分析センター)」のところにアップデートされたPDFファイルをクリックすると、「試験・検査のご依頼に際して」という文書ファイル(参考資料)が開き、その「7.報告書等に係る留意事項について (2)検査の秘密保持」(第5頁第5行目?第7行目)には、「当試験所は、受託した検査により知り得た事項を、ご依頼者様及びご指定いただいた者以外に開示いたしません。]と記載されている。
この記載から、財団法人日本文化用品安全試験所の「試験成績報告書」は、頒布されるべきものでないことが明らかである。
なお、被請求人であるアキテーヌジャパン株式会社の専務取締役、井上純氏が、平成27年6月5日11時10分に財団法人日本文化用品安全試験所に電話にて確認した結果、担当者から、
・試験成績報告書は、試験を依頼した者(当事者)にのみ原本を渡している。
・試験成績報告書は、日本文化用品安全試験所として自ら開示することはなく、当事者以外(第三者)からの依頼があっても一切開示しない。
・試験成績報告書は、その内容を広告物その他に掲載する場合は、予め本試験所理事長の承認を必要とする。
との回答を得ている。
以上、甲第7号証は、頒布されるものではないため、いわゆる刊行物には相当しない。
(平成27年6月18日付け上申書(被請求人)2頁2行?3頁下から3行)

(4)公然実施された発明について
ア.本件特許発明1と甲第8号証の1?甲第8号証の5に記載された発明との対比
審判請求人は、甲第8号証の1?甲第8号証の6を提示し、「本審判請求人は、本件特許に係るリクライニングチェアが本件特許出願前より日本国内で販売され、公然実施された発明になっていたことを証明するために、本審判請求と同時に証人尋問申出書を提出している。」(審判請求書第20頁第4?7行目)と主張している。
しかしながら、本件特許発明1と甲第8号証の1?甲第8号証の5とを比較すると、甲第8号証の1?甲第8号証の5には、本件特許発明1の発明特定事項のうち、少なくとも「(F)、(H)、(J)、(K)及び(L)」の構成を備える点については記載がない。
(ア)まず、甲第8号証の1は、公開日が明らかでない。
また、甲第8号証の1の第4頁右下にある「くつろぎマッサージチェアー」の写真からは、アームレストフレームが内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有している点(発明特定事項(F))、湾曲部の端部に連結棒が取り付けられている点(発明特定事項(H))、レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍に連結棒が取り付けられている点(発明特定事項(J))、当接部材が、連結棒の両端部から突出する先端に取り付けられている点(発明特定事項(K))、及び、レッグレストフレームが引き出される際に、当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止する点(発明特定事項(L))が何れも不明であるため、発明特定事項(F)、(H)、(J)、(K)及び(L)が甲第8号証の1に記載されているとは言えない。
(イ)甲第8号証の2の第1頁の「くつろぎマッサージチェアー」の写真からは、アームレストフレームが内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有している点(発明特定事項(F))、湾曲部の端部に連結棒が取り付けられている点(発明特定事項(H))、レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍に連結棒が取り付けられている点(発明特定事項(J))、当接部材が、連結棒の両端部から突出する先端に取り付けられている点(発明特定事項(K))、及び、レッグレストフレームが引き出される際に、当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止する点(発明特定事項(L))が何れも不明であり、発明特定事項(F)、(H)、(J)、(K)及び(L)が甲第8号証の2の第1頁に記載されているとは言えない。
また、甲第8号証の2の第2頁の「マッサージチェアー」は、甲第3号証の「くつろぎマッサージチェア」と同じ医療用承認番号(34BY0018)である。
従って、上記「(1)本件特許発明1と甲第1号証に記載された発明との対比」と同様の理由により、発明特定事項(F)、(H)、(J)、(K)及び(L)が甲第8号証の2の第2頁に記載されているとは言えない。
(ウ)甲第8号証の3の第2頁目の「ロータイプチェアベッド」は、甲第2号証の「ロータイプチェアベッド」と同じ商品番号(ART.096CBC)である。
従って、上記「(1)本件特許発明1と甲第1号証に記載された発明との対比」と同様の理由により、発明特定事項(F)、(H)、(J)、(K)及び(L)が甲第8号証の3に記載されているとは言えない。
(エ)甲第8号証の4の「ロータイプチェアベッド」は、甲第2号証の「ロータイプチェアペッド」と同じ商品番号(ART.096CBC)である。
従って、上記「(1)本件特許発明1と甲第1号証に記載された発明との対比」と同様の理由により、発明特定事項(F)、(H)、(J)、(K)及び(L)が甲第8号証の4に記載されているとは言えない。
(オ)甲第8号証の5の「イタリア製ローレッグス・チェアー」の写真からは、アームレストフレームが内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有している点(発明特定事項(F))、湾曲部の端部に連結棒が取り付けられている点(発明特定事項(H))、レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍に連結棒が取り付けられている点(発明特定事項(J))、当接部材が、連結棒の両端部から突出する先端に取り付けられている点(発明特定事項(K))、及び、レッグレストフレームが引き出される際に、当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止する点(発明特定事項(L))が何れも不明であり、発明特定事項(F)、(H)、(J)、(K)及び(L)が甲第8号証の5に記載されているとは言えない。
(カ)審判申請人は証人尋問の申し出を行っているが、しかし、本件特許発明の発明特定事項を具備しないところの第8号証の1?甲第8号証の5に記載された「くつろぎマッサージチェア」について証人尋問を行っても、その証人尋問は、本件特許発明の新規性を阻却することを証拠づけるものとはならない。
なお、念のため、次の点を指摘して置く。
まず、イタリアのMARGA社製のリクライングチェア「ART.096CBC」については、本件特許発明の発明特定事項が記載された明確な図面、写真等提出されていなく、その構造が特定できない。
また、イタリアのMARGA社製のリクライングチェア「ART.096CBC」と同一ではなく類似の製品とは如何なるものか、これについても、本件特許発明の発明特定事項が記載された明確な図面、写真等提出されていなく、その構造が特定できない。
さらに、証人である株式会社アテックス、取締役社長國川星太郎についても、当時、販売に携わっていたという証拠はなく、また、販売の事実を裏付ける帳票等も不明である。
さらにまた、警告の対象である「くつろぎマッサージチェアーATX-151」とは、如何なるものか全く不明であり、その警告書の位置づけは、理解に苦しむ。
なお、念のために言うと、甲第8号証の2に記載の「くつろぎマッサージチェアー」は、ATX-157、ATX-158、ATX-160であり、甲第8号証の6でいう「くつろぎマッサージチェアーATX-151」は、記載されていない。
(平成27年2月9日付け審判事件答弁書18頁15行?21頁13行)

イ.本証人尋問は、平成27年11月13日付口頭審理陳述要領書の「6.陳述の要領」の記載を踏まえると、
(A)本件特許発明1?4に係るリクライニング椅子と「くつろぎマッサージチェアーATX-151」とが同一であること、及び、
(B)「くつろぎマッサージチェアーATX-151」を販売していた事実、
を証明しようとするものである。
(ア)上記(A)について
証人國川氏は、証人尋問において、本件特許の内容について、請求人等から説明を受けたと答え、本件特許について、新しい点は全くないと答えているが、証人が描いた図面には本件特許の特徴的部分が記載されておらず、また、証人本人も、アームレストの内部構造はわからないと述べており、オットマンの横のローラーの先の下に向いた部分はローラーがスムーズに下側に下りるためにあると述べており、更に、その部分の技術的なことはわらかないと述べているので、証人は、本件特許の公知技術の部分のみを見て、新しい点は全くないと述べたものと考えられる。
また、証人が描いた図面は、上記のように本件特許の特徴的な部分が全く記載されていないため、このリクライニングチェアーを以て、本件特許発明1?4に係るリクライニング椅子と同一であると認めることはできない。
また、証人が図面に描いた「くつろぎマッサージチェアーATX-151」は、請求人がこれまで本審判で提出された甲第8号証の1の「くつろぎマッサージチェアーATX-151」の図、又は、平成27年6月30日付陳述書の「くつろぎマッサージチェアーATX-151」を示す図A、と異なるものであるため、くつろぎマッサージチェアーATX-151の構造についての上記証拠の信憑性を疑わざるを得ない。
なお、反対尋問でも述ぺたように、平成27年6月30日付陳述書の図A、図B、図Dは、本件特許明細書の図1、図3、図13等に酷似しており、更には、改鼠の跡も伺えるものである。このことから、上記陳述書の図は、販売していたというリクライニングチェアーではなく、本発明のリクライニング椅子に似せたいという意図があるため、前提として、本件特許明細書の図を用いたものと推測される。
(イ)上記(B)について
証人の証言から、何らかのリクライニングチェアーを販売していたことは、反論するつもりはないが、どのような構造のものをくつろぎマッサージチェアーATX-151と呼んで販売していたのかは、全く不明である。そのため、今回の証言がくつろぎマッサージチェアーATX-151の販売の事実を裏付けるものとはいえない。
(平成27年12月18日付け上申書(被請求人)2頁4行?3頁末行)

(5)結び
以上のように、本件特許請求の範囲の請求項1に係る発明(本件発明1)は、その出願前に頒布された甲第1号証?甲第7号証の何れかに記載された発明と同一とはいえないから、特許法第29条第1項第3号の規定には該当しない。
また、甲第8号証の1?甲第8号証の5の何れかに記載された発明とも同一とはいえないから、特許法第29条第1項第2号の規定にも該当しない。
なお、本件特許請求の範囲の請求項2?4に係る発明(本件発明2?4)は、本件発明1に更に技術的限定を加えたものであるので、特許法第29条第1項第2号及び第3号に該当しないことは明らかである。
(平成27年2月9日付け審判事件答弁書21頁14?24行)

2.無効理由2に対する反論
(1)本件特許発明1と甲第9号証及び甲第10号証に記載された発明との対比
本件特許発明1と甲第9号証及び甲第10号証とを比較すると、甲第9号証及び甲第10号証には、本件特許発明1の発明特定事項のうち、少なくとも「(J)、(K)及び(L)」の構成を備えていない。

本件特許発明1においては、レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒19aが取り付けられているが(発明特定事項(J))、甲第10号証の足台フレームには、その連結棒を備えていない(図7(B)参照)。
また、本件特許発明1においては、当該連結棒19aの両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材19cが取り付けられているが(発明特定事項(K))、甲第10号証においては、当接部材に相当する終端部材12が連結棒に取り付けられてなく、足台縦方向フレーム部11aに装着されている(図7(B)参照)。
因みに、審判請求人が指摘する甲第10号証の支持部1cは、発明特定事項(H)の該湾曲部の端部に取り付けられた連結棒14aに相当するものである。
さらに、本件特許発明1においては、当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止する(発明特定事項(L))としているが(本件特許明細書(図9)参照)、甲第10号証においては、係合凹部12bが支持部1cの上方より係合すると、同時に、当接部12aは屈曲部1a1の下側のカーブにいきなり当接して停止するものであり、本願発明のように湾曲部14cに滑らかに当接し徐々に停止していくものでは全くない(甲第10号証(図9)参照)。
本願特許発明1においては、これらの発明特定事項(J)、(K)及び(L)を備えることにより、当接部材は座部フレームの湾曲部に滑らかに当接し、鈍角状の湾曲部により徐々に停止していくので、強く引き出しても衝撃が生じないのである。
従って、甲第9号証と甲第10号証とにより本願特許発明を容易になし得るとすることはできない。
また、甲第1号証?甲第7号証については、前述したように本願特許発明1の発明特定事項(F)、(H)、(J)、(K)及び(L)が記載されていないのであるから、甲第9号証と合わせても本願特許発明を容易になし得るとすることはできない。
(2)本件特許発明2?4
本件特許発明2?4は、本件特許発明1に更に技術的限定を加えたものであるので、特許法第29条第2項に該当しないことは明らかである。
(3)結び
以上のように、甲第9号証と、甲第10号証又は甲第1号証?甲第7号証とを組み合わせても、本願特許発明とはならないことは明らかであり、更に、上述したように、本願特許発明1は、発明特定事項(J)、(K)及び(L)に基づいて、有利な効果を奏するものである。
従って、本件特許請求の範囲の請求項1に係る発明(本件発明1)は、その出願前に頒布された甲第9号証及び甲第10号証に基づいて、或いは甲第9号証及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは言えないので、特許法第29条第2項の規定には該当しない。
(平成27年2月9日付け審判事件答弁書22頁5行?24頁2行)

3.無効理由3に対する反論
(1)本件特許における特許請求の範囲の記載要件について
ア.本件特許発明1の「所望の」について
「所望の」位置とは、使用者が望むところの位置のことである。
すなわち、パックレストの傾倒角度を使用者が好む度合いとするため、それに対応するように、交差部を(使用者の)所望の位置に係止するのである。
本願発明は、使用者が好みに応じてバックレストの傾倒角度を調製することが可能であるから、「前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部」の「所望の位置」とすることの意味も明らかであり、これを以て本件特許発明1の範囲が不明確になっているとは言えない。
イ.本件特許発明1の「滑らかに」、「徐々に」について
「滑らかに」とは、周知のとおり、「すらすらと通るさま。つかえないさま。よどまないさま。」(広辞苑第五版、第2003頁)という意味であり、本件特許発明1の「当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して」を言い換えると、当接部材が座席フレームの湾曲部にすらすらとつかえないように当接して、という意味になる。このように、「滑らかに(当接する)」は、当接する際の状態を限定したものである。
一方、「徐々に」とは、周知のとおり、「ゆっくり。だんだん。」(広辞苑第五版、第1346頁)という意味であり、本件特許発明1の「徐々に停止するものである」を言い換えると、ゆっくりだんだんと停止するものである、という意味になる。このことから、「徐々に(停止する)」は、停止する際の状態を限定したものであるといえる。
したがって、これらの記載は、その意味が容易に理解できるものであり、これを以て本件特許発明1の範囲が不明確であるとは言えない。
ウ.本件特許発明1の「座席フレーム」、「座部フレーム」について
明細書の全趣旨からして、「座席フレーム」は、「座部フレーム」の誤記であることが明らかであるから、このような軽微な記載の瑕疵を以て本件特許発明1の範囲が不明確であるとは言えない。
エ.本件特許発明1の「湾曲部」、「湾曲部14c」について
「湾曲部14c」は、偶々、この箇所の「湾曲部」に番号を付したに過ぎない。
したがって、「湾曲部14c」は、「湾曲部」と全く同義であることは明らかであるから、これを以て本件特許発明1の範囲が不明確であるとは言えない。
オ.本件特許発明4の「略中間部」、「やや下方の」について
「(側部の)略中間部」については、側部の中間を基準とし、その付近を含むことを意味していることは明らかである。なお、「前脚フレームの略中間部」及び「後脚フレームの略中間部」についても同様である。
これらは、それらの正確な中間部としなくても、リクライニング椅子を折り畳む機能が維持できることから、中間部とせずに、便宜的に略中間部としたものである。
一方、「やや下方の」については、後脚フレームの中間部を基準とし、その部位がピンP5によって連結リンクに枢支されるため、連結リンクのサイズの範囲内で、「やや下方の」としたまでである。
したがって、これらの記載は、その意味が容易に理解できるものであり、これを以て本件特許発明4記載の発明の範囲が不明確であるとは言えない。
カ.本件特許発明4の「前記ピンP1ないし前記ピンP5」
明細書の全趣旨からして、「前記ピンP1」は「前記ピンP2」の誤記であることは明らかであるから、このような軽微な記載の瑕疵を以て本件特許発明4記載の発明の範囲が不明確であるとは言えない。
キ,以上述べたとおり、特許請求の範囲の記載自体は、その用語の意味が曖昧とは言えず、特許法第36条第6項第2号違反となるものではない。
(平成27年5月28日付け口頭審理陳述要領書(被請求人)3頁4行?5頁15行)

(2)本件特許における明細書の記載要件について
ア.本件特許明細書の段落【0024】には「そして、図4に示すように、前脚フレーム15と後脚フレーム16との左右上端部は交差しており、この交差部は後述する傾倒位置決め用のピンP1によって枢支されている。」と図面を用いた説明が記載されており、段落【0026】には「アームレストフレーム17の側部の各内面には、図6(A),(B)に示すように、側面視で鋸刃状をなす複数個の係止突起17aが形成された係止部17bが設けられている。図6(A),(B)に示すように、係止突起17a間には前述したピンP1の両端部P1aが係止され、これによりバックレスト13の傾倒位置、すなわち傾倒角度が決定される。このようにピンP1の両端部P1aが前後方向に移動され、係止突起17a間に係止されるとき、係止突起17aの先端部が鋸刃状に形成されているので、ピンP1の両端部P1aの移動及び係止が容易かつ確実に行うことができる。」とこれも図面を用いた説明が記載されている。
このような図面と対応させた解釈から、「所望の位置」とは、複数個の係止突起17aの間のうちの何処か1つの位置をいうことは容易に理解できるところである。
ちなみに、特許請求の範囲に「所望の」という単語を用いて登録になった特許発明は、多数存在することは言うまでもない。
イ.本件特許明細書の段落【0032】には「レッグレストフレーム19が座部フレーム14に対して前後方向に引き出され、あるいは押し込まれる際、レッグレストフレーム19の円形当接部材19cは座部フレーム14の下面に沿って移動する。そして、図9(A),(B)に示すように、レッグレストフレーム19が座部フレーム14の前方に最大限に引き出されると、円形当接部材19cは座部フレーム14の湾曲部14cの基端部に滑らかに当接する。すなわち鈍角状の湾曲部14cにより徐々に停止していくので、強く引き出しても衝撃がない。」と図面を用いた説明が記載されている。
このような図面と対応させた解釈から、「滑らかに」及び「徐々に」の意味は容易に理解できる。
ウ.本件特許明細書の段落【0027】には「(略)?そして、図5に示すように、座部フレーム14の対向する側部の後端部位がピンP4によってバックレストフレーム13の下端近傍に枢支され、後脚フレーム16の略中間部よりやや下方の部位がピンP5によって連結リンク18に枢支されている。」と図面を用いた説明が記載されており、段落【0036】には「(略)?また、座部フレーム14は、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンP3によって前脚フレーム15の略中間部に枢支され、その対向する側部の後端部位がピンP4によってバックレストフレーム13の下端近傍に枢支され、後脚フレーム16の略中間部よりやや下方の部位がピンP5によって連結リンク18に枢支され、ピンP1ないしピンP5を枢軸としてリクライニング椅子10が折り畳まれるので、持ち運びや設置等の取り扱いが容易となり、また、不使用時の保管に際しスペースを取らない。」とこれも図面を用いた説明が記載されている。
このような図面と対応させた解釈から、「略」及び「やや」の意味は容易に理解できる。
(平成27年2月9日付け答弁書24頁13行?26頁末行)


4.証拠方法
被請求人が本件審判請求にあたり提示した証拠方法は、以下のとおりである。
(1)平成27年2月9日付けの審判事件答弁書に添付されたもの
乙第1号証 「試験成績報告書」平成9年8月7日、財団法人日本文化用品 安全試験所
なお、請求人は、乙第1号証の成立を認めている。


第5 主な各甲号証に記載されている事項
1.甲第1号証
本件特許の出願前である1997年8月24日に頒布された甲第1号証には、写真とともに、次の事項が記載されている。
(1)「イタリア製多機能リラックスチェア」(左下広告欄の左下四角囲い)
(2)「足も投げ出せるスライド式オットマンの本格リクライニングチェア」(左下広告欄の見出し)
(3)「…そんな方にピッタリなのが、ここにご紹介するイタリアの大手家具メーカーの<多機能リラックスチェア>です。おすきな角度でくつろげる9段階リクライニング機能を持ち、座部の下のスライド式オットマンを引き出せば、ゆったりと足をあずけながら極楽気分でお昼寝ができます。…折りたたみ式なので、持ち運びもラクラク、レジャーやアウトドアでも大活躍。」(左下広告欄の記事2?12行)
(4)「折りたためば奥行わずか17cm。狭い場所でも収納できます。」(左下広告欄の左側写真付き四角囲い)
(5)「9段階リクライニング 背もたれの角度が9段階(90?130度)に調整でき、自分の好みの姿勢でくつろげます。しかもひじ掛けの先端部分を引き上げるだけと、操作もラクラク。」(左下広告欄の中央四角囲いPoint 2)
(6)左下広告欄の写真(参考図1参照。)から、「イタリア製多機能リラックスチェア」には、「スライド式オットマンのフレーム」、「座部のフレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームとが左右上方端部の交差部で連結されていること」、「前脚フレームと後脚フレームと交差部とから脚部が構成されていること」、「ひじ掛けのフレーム」、「座部のフレームの端部は下方に鈍角状に折り曲げられていること(すなわち、湾曲部)」及び「後脚フレームの中間部よりやや下方の部位に連結リンク」が看取できる。
(7)上記(5)より、「イタリア製多機能リラックスチェア」は、「ひじ掛け操作式のリクライニングチェア」といえる。
(8)左下広告欄の写真(参考図1参照。)からは、「背もたれ」のフレームは看取できないが、椅子の構造上、「背もたれ」に「フレーム」があることは明らかである。
(9)左下広告欄の写真(参考図1参照。)から、「背もたれの下端部に座部のフレームの後端部位が位置すること」が看取できる。また、上記(3)及び(4)より、「座部のフレーム」は、「背もたれ」との角度が変化していることが示されているから、「座部のフレーム」は、「背もたれのフレームの下端部に後端部位が枢支される」といえる。
(10)上記(5)及び左下広告欄の右下写真(参考図1参照。)の比較から、「ひじ掛け」の「前端側が上方に回動」することが看取できる。また、「ひじ掛け」と「背もたれ」との角度が変化していることが示されているから、「ひじ掛けのフレーム」は、「後端側を背もたれのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能」であるといえる。
(11)上記(4)、左下広告欄の写真(参考図1参照。)の比較及び折り畳み式の椅子の一般的な構造から、「脚部」の「交差部」が「枢支」されていること、「座部のフレーム」の「対向する側部の略中間部の前側部位」が「前脚フレームの略中間部」に「枢支」されていること、「座部のフレーム」の「対向する側部の後端部位」が「背もたれのフレームの下端近傍」に「枢支」されていること、「後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位」が「連結リンク」に「枢支」されていること、及び「枢支」の機構が「ピン」によるものであること、並びに「ピンを枢軸としてリクライニングチェアが折り畳まれる」ことは明らかである。
(12)上記(3)(9段階リクライニング機能)、(9)及び(10)(座部のフレームと背もたれのフレームが枢支構造であること及びひじ掛けのフレームと背もたれのフレームとが枢支構造であること)、左下広告欄の右下写真(参考図1参照。)の比較並びにリクライニング椅子におけるリクライニングすることに伴い各パーツの相対位置が変化するという一般的な機構から、「背もたれ」を9段階の好きな角度にリクライニングすることに伴い、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」の「ひじ掛けのフレーム」との相対位置は物理的に変化せざるを得ないから、「交差部を所望の位置に位置する」といえる。そして、「ひじ掛けのフレーム」が「上方に回動」して傾斜した状態で、「交差部」が「ひじ掛けのフレーム」の「所望の位置」という特定の位置に位置するのであるから、「ひじ掛けのフレーム」は「内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有する」といえる。
(13)左下広告欄の写真(参考図1参照。)から、一方の「座部のフレームの端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」しか看取できないが、一般に、左右対称に構成される椅子の構造上、「座部のフレームの両端部」に「湾曲部」が形成されていることは明らかである。
(14)左下広告欄の写真(参考図1参照。)に関して、「イタリア製多機能リラックスチェア」は、スライド式オットマンを具備し、少なくともスライド式オットマンが引き出された状態であって、甲第1号証が新聞の広告欄であることから、参考図1は、スライド式オットマンを最大限に引き出された状態の写真であると推認できる。ここで、スライド式オットマンのフレームが落下しないように、支持機構を設ける必要があって、しかも、そのような支持機構は、座部のフレームの端部に設けることが一般的であり、支持機構として、簡単な構造で堅固で一般的なのは棒状の部材であることから、座部のフレームの湾曲部の端部には支持機構として連結棒が取り付けられていることは明らかである。
(15)左下広告欄の写真(参考図1参照。)から、スライド式オットマンのフレームが引き出されると、その重心はスライド式オットマンのフレームの引き出し方向先端に移動することは明らかである。そして、それに伴い、スライド式オットマンのフレームの引き出し方向後端は上方に持ち上げられ、その後端部が座部のフレームに当接することとなる。そうすると、座部のフレームに当接するスライド式オットマンのフレームの引き出し方向後端部に当接部材が設けられていることは、明らかである。
(16)スライド式オットマンのフレームが引き出されるにつれ、スライド式オットマンのフレームの引き出し方向後端部と座部のフレームとの当接圧が増していき、スライド式オットマンのフレームが最大限に引き出された際の当接圧は、着座者の脚部の荷重も相まって、相当な負荷がかかることは明らかである。そうすると、座部のフレームに当接するスライド式オットマンのフレームの引き出し方向後端部を、フレームに相当する部材で連結し、堅固な構造とすることは当然のことである。そうすると、座部のフレームに当接するスライド式オットマンのフレームの引き出し方向後端部に連結棒が設けられていることは、明らかである。
(17)上記(15)及び(16)から、「スライド式オットマンのフレーム」には、「スライド式オットマンのフレームの両端部近傍の連結棒」及び「連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」が取り付けられているものと推認できる。
そして、上記(14)のとおり、参考図1の中央の写真が、スライド式オットマンを最大限に引き出された状態の写真であると推認できることから、「スライド式オットマンのフレームが引き出される際には、その当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止する」といえる。
(18)上記(3)及び左下広告欄の写真(参考図1参照。)の比較から、「スライド式オットマンのフレームが座部のフレームの下方に収納されていること」ことが看取できる。

上記記載事項(1)?(18)を含む甲第1号証全体の記載から、甲第1号証には、次の発明が記載されているものと認められる。

「スライド式オットマンを備え、ひじ掛けを引き上げることにより背もたれの角度を9段階(90?130度)に調整できるようにしたひじ掛け操作式のリクライニングチェアであって、
スライド式オットマンのフレームと、
背もたれのフレームと、
背もたれの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部のフレームと、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンにより背もたれのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に交差部を所定の位置に係止可能とした係止部を有するひじ掛けのフレームとを具備し、
前記座部のフレームの両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の両端部には連結棒が取り付けられており、
前記スライド式オットマンのフレームが前記座部のフレームの前方から引き出し可能であり、
該スライド式オットマンのフレームの両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており、前記スライド式オットマンのフレームが引き出される際には、その当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止するものであり、
引き出し可能なオットマンのフレームが座部のフレームの下方に収納されており、
前記座部のフレームは、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンによって前記前脚フレームの略中間部に枢支され、その対向する側部の後端部位がピンによって前記背もたれのフレームの下端近傍に枢支され、前記後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位がピンによって連結リンクに枢支され、前記ピンを枢軸としてリクライニングチェアが折り畳まれる、リクライニングチェア。」(審決注:以下「甲第1号証発明」という。)

2.甲第2号証
本件特許の出願前である1999年2月20日に頒布された甲第2号証には、写真とともに、次の事項が記載されている。
(1)「マルガ社オリジナルの12段階リクライニング イタリア製リクライニングチェア ロータイプチェアベッド」(下段広告欄の中央)
(2)「楽なヒジ掛け付き」(下段広告欄の上側の左から2番目の写真記事)
(3)「頭が楽なハイバック」及び「スライド式オットマン」(下段広告欄の上側の左から3番目の写真記事)
(4)「12段階リクライニングだからお好きな姿勢に調節。」(下段広告欄の中央黒丸内、白抜き文字)
(5)「脚部は…角型スチールパイプを採用。」(下段広告欄の下側記事)
(6)「厚さ24cmとコンパクトに折りたため、軽量(約8.5kg)なので移動も簡単。」(下段広告欄の上側の左から2番目の写真記事)
(7)下段広告欄の写真(参考図2参照。)から、「リクライニングチェア」には、「スライド式オットマンのフレーム」、「ハイバックのフレーム」、「座部のフレーム」、「前脚の角形スチールパイプ」、「後脚の角形スチールパイプ」、「前脚の角形スチールパイプと後脚の角形スチールパイプとが左右上方端部の交差部で連結されていること」、「脚部は前脚の角形スチールパイプと後脚の角形スチールパイプと交差部とから構成されていること」、「ヒジ掛けのフレーム」、「座部のフレームの端部は下方に鈍角状に折り曲げられていること(すなわち、湾曲部)」、「L字状部材」及び「後脚の角形スチールパイプの中間部よりやや下方の部位に連結リンク」が看取できる。
(8)下段広告欄の写真(参考図2参照。)から、「ハイバックのフレームの下端部に座部のフレームの後端部位が位置すること」が看取できる。また、上記(4)及び(6)より、「座部のフレーム」は、「ハイバックのフレーム」との角度が変化していることが示されているから、「座部のフレーム」は、「ハイバックのフレームの下端部に後端部位が枢支される」といえる。
(9)下段広告欄の写真(参考図2参照。)の比較から、「ヒジ掛け」の「前端側が上方に回動」することが看取できる。また、「ヒジ掛け」と「ハイバックのフレーム」との角度が変化していることが示されているから、「ヒジ掛けのフレーム」は、「後端側をハイバックのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能」であるといえる。
(10)上記(6)、下段広告欄の写真(参考図2参照。)の比較及び折り畳み式の椅子の一般的な構造から、「脚部」の「交差部」が「枢支」されていること、「座部のフレーム」の「対向する側部の略中間部の前側部位」が「前脚フレームの略中間部」に「枢支」されていること、「座部のフレーム」の「対向する側部の後端部位」が「ハイバックのフレームの下端近傍」に「枢支」されていること、「後脚の角形スチールパイプの略中間部よりやや下方の部位」が「連結リンク」に「枢支」されていること、及び「枢支」の機構が「ピン」によるものであること、並びに「ピンを枢軸としてリクライニングチェアが折り畳まれる」ことは明らかである。
(11)上記(4)(12段階リクライニングを好きな姿勢に調節できること)、(8)及び(9)(座部のフレームとハイバックのフレームが枢支構造であること及びヒジ掛けのフレームとハイバックのフレームとが枢支構造であること)、下段広告欄の写真(参考図2参照。)の比較並びにリクライニング椅子におけるリクライニングすることに伴い各パーツの相対位置が変化するという一般的な機構から、「ハイバック」を12段階の好きな姿勢に調節することに伴い、「脚部角形スチールパイプの左右上方端部の交差部」の「ヒジ掛けのフレーム」との相対位置は物理的に変化せざるを得ないから、「交差部を所望の位置に位置する」といえる。そして、「ヒジ掛けのフレーム」が「上方に回動」して傾斜した状態で、「交差部」が「ヒジ掛けのフレーム」の「所望の位置」という特定の位置に位置するのであるから、「ヒジ掛けのフレーム」は「内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有する」といえる。
(12)下段広告欄の写真(参考図2参照。)に関して、「マルガ社オリジナルの12段階リクライニング イタリア製リクライニングチェア ロータイプチェアベッド」は、スライド式オットマンを具備し、スライド式オットマンが引き出された状態であって、甲第2号証が新聞の広告欄であることから、参考図2は、スライド式オットマンを最大限に引き出された状態の写真であると推認できる。ここで、スライド式オットマンのフレームが落下しないように、支持機構を設ける必要があって、しかも、そのような支持機構は、座部のフレームの端部に設けることが一般的であり、支持機構として、簡単な構造で堅固で一般的なのは棒状の部材であることから、座部のフレームの湾曲部の端部には支持機構として連結棒が取り付けられていることは明らかである。
(13)下段広告欄の写真(参考図2参照。)から、スライド式オットマンのフレームが引き出されると、その重心はスライド式オットマンのフレームの引き出し方向先端に移動することは明らかである。そして、それに伴い、スライド式オットマンのフレームの引き出し方向後端は上方に持ち上げられ、その後端部が座部のフレームに当接することとなる。そうすると、上記「L字状部材」が、座部のフレームに当接するスライド式オットマンのフレームの引き出し方向後端部の部材として設けられていることは、明らかである。
(14)スライド式オットマンのフレームが引き出されるにつれ、スライド式オットマンのフレームの引き出し方向後端部と座部のフレームとの当接圧が増していき、スライド式オットマンのフレームが最大限に引き出された際の当接圧は、着座者の脚部の荷重も相まって、相当な負荷がかかることは明らかである。そうすると、座部のフレームに当接するスライド式オットマンのフレームの引き出し方向後端部を、フレームに相当する部材で連結し、堅固な構造とすることは当然のことである。そうすると、座部のフレームに当接するスライド式オットマンのフレームの引き出し方向後端部に連結棒が設けられていることは、明らかである。
(15)上記(13)及び(14)から、「スライド式オットマンのフレーム」には、「スライド式オットマンのフレームの両端部近傍の連結棒」及び「連結棒の両端部から突出する先端のL字状当接部材」が取り付けられているものと推認できる。
そして、上記(12)のとおり、参考図2が、スライド式オットマンを最大限に引き出された状態の写真であると推認できることから、「スライド式オットマンのフレームが引き出される際には、そのL字状当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止する」といえる。
(16)上記(3)及び下段広告欄の写真(参考図2参照。)の比較から、「引き出し可能なスライド式オットマンのフレームが座部のフレームの下方に収納されていること」ことが看取できる。
(17)下段広告欄の写真(参考図2参照。)から、一方の「座部のフレームの端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」しか看取できないが、一般に、左右対称に構成される椅子の構造上、「座部のフレームの両端部」に「湾曲部」が形成されていることは明らかである。同様に、「スライド式オットマンのフレームの引き出す側と反対側の両端部近傍」にそれぞれ「L字状当接部材」が取り付けられていることは明らかである。

上記記載事項(1)?(17)を含む甲第2号証全体の記載から、甲第2号証には、次の発明が記載されているものと認められる。

「スライド式オットマンを備え、ハイバックが12段階リクライニングするリクライニングチェアであって、
スライド式オットマンのフレームと、
ハイバックのフレームと、
前記ハイバックのフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部のフレームと、
前脚の角形スチールパイプと後脚の角形スチールパイプの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンによりハイバックのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部が所望の位置に係止可能とした係止部を有するヒジ掛けのフレームとを具備し、
前記座部のフレームの両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており、
前記スライド式オットマンのフレームが前記座部のフレームの前方からスライド可能であり、
該スライド式オットマンのフレームの両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれL字状当接部材が取り付けられており、前記スライド式オットマンのフレームが引き出される際には、そのL字状当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するものであり、
引き出し可能なオットマンのフレームが座部のフレームの下方に収納されており、
前記座部のフレームは、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンによって前記前脚の角形スチールパイプの略中間部に枢支され、その対向する側部の後端部位がピンによって前記ハイバックのフレームの下端近傍に枢支され、前記後脚の角形スチールパイプの略中間部よりやや下方の部位がピンによって連結リンクに枢支され、前記ピンを枢軸としてリクライニングチェアが折り畳まれる、リクライニングチェア。」(審決注:以下「甲第2号証発明」という。)

3.甲第3号証
本件特許の出願前である1999年6月7日に頒布された甲第3号証には、写真とともに、次の事項が記載されている。
(1)「くつろぎマッサージチェア」(右広告欄の右下)
(2)「11段階リクライニング」(右広告欄の上見出し)
(3)「ラクな姿勢でくつろげるスライド式足マット付。」(右広告欄の左下)
(4)「折りたたんで収納できます。」(右広告欄の右上)
(5)「…11段階のリクライニング機能やリモコンもついた本格派です。しかも折りたたんでちょっとした隙間に収納でき、持ち運びもラクにできるのでお好きな場所で使用できます。」(右広告欄の記事3?6行)
(6)右広告欄の写真(参考図3参照。)から、「くつろぎマッサージチェア」には、「アームレスト」、「バックレスト」、「スライド式足マットのフレーム」、「座部のフレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームとが左右上方端部の交差部で連結されていること」、「脚部は前脚フレームと後脚フレームと交差部とから構成されていること」、「座部のフレームの両端部は下方に鈍角状に折り曲げられていること(すなわち、湾曲部)」、「L字状部材」、「湾曲部の端部に取り付けられた連結棒」及び「後脚フレームの中間部よりやや下方の部位に連結リンク」が看取できる。
(7)右広告欄の写真(参考図3参照。)からは、「バックレスト」及び「アームレスト」のフレームは看取できないが、椅子の構造上、「バックレスト」及び「アームレスト」に「フレーム」があることは明らかである。
(8)右広告欄の写真(参考図3参照。)から、「バックレストの下端部に座部のフレームの後端部位が位置すること」が看取できる。また、上記(4)及び(5)より、「座部のフレーム」は、「バックレスト」との角度が変化していることが示されているから、「座部のフレームのフレーム」は、「バックレストのフレームの下端部に後端部位が枢支される」といえる。
(9)右広告欄の写真(参考図3参照。)の比較から、「アームレスト」の「前端側が上方に回動」することが看取できる。また、「アームレスト」と「バックレスト」との角度が変化していることが示されているから、「アームレストのフレーム」は、「後端側をバックレストのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能」であるといえる。
(10)上記(6)、右広告欄の写真(参考図3参照。)の比較及び折り畳み式の椅子の一般的な構造から、「脚部」の「交差部」が「枢支」されていること、「座部のフレーム」の「対向する側部の略中間部の前側部位」が「前脚フレームの略中間部」に「枢支」されていること、「座部のフレーム」の「対向する側部の後端部位」が「バックレストのフレームの下端近傍」に「枢支」されていること、「後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位」が「連結リンク」に「枢支」されていること、及び「枢支」の機構が「ピン」によるものであること、並びに「ピンを枢軸としてくつろぎマッサージチェアが折り畳まれる」ことは明らかである。
(11)上記(5)(11段階のリクライニング機能)、(8)及び(9)(座部のフレームとバックレストのフレームが枢支構造であること及びアームレストのフレームとバックレストのフレームとが枢支構造であること)、右広告欄の写真(参考図3参照。)の比較並びにリクライニング椅子におけるリクライニングすることに伴い各パーツの相対位置が変化するという一般的な機構から、「バックレスト」を11段階のいずれかの角度にリクライニングすることに伴い、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」の「アームレストのフレーム」との相対位置は物理的に変化せざるを得ないから、「交差部を所望の位置に位置する」といえる。そして、「アームレストのフレーム」が「上方に回動」して傾斜した状態で、「交差部」が「アームレストのフレーム」の「所望の位置」という特定の位置に位置するのであるから、「アームレストのフレーム」は「内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有する」といえる。
(12)右広告欄の写真(参考図3参照。)に関して、「くつろぎマッサージチェア」は、スライド式足マットを具備し、スライド式足マットが引き出された状態であって、甲第3号証が新聞の広告欄であることから、参考図3は、スライド式足マットを最大限に引き出された状態の写真であると推認できる。ここで、スライド式足マットのフレームが落下しないように、支持機構を設ける必要があって、しかも、そのような支持機構は、座部のフレームの端部に設けることが一般的であり、支持機構として、簡単な構造で堅固で一般的なのは棒状の部材であることから、座部のフレームの湾曲部の端部には支持機構として連結棒が取り付けられていることは明らかである。
(13)右広告欄の写真(参考図3参照。)から、スライド式足マットのフレームが引き出されると、その重心はスライド式足マットのフレームの引き出し方向先端に移動することは明らかである。そして、それに伴い、スライド式足マットのフレームの引き出し方向後端は上方に持ち上げられ、その後端部が座部のフレームに当接することとなる。そうすると、上記「L字状部材」が、座部のフレームに当接するスライド式足マットのフレームの引き出し方向後端部の部材として設けられていることは、明らかである。
(14)スライド式足マットのフレームが引き出されるにつれ、スライド式足マットのフレームの引き出し方向後端部と座部のフレームとの当接圧が増していき、スライド式足マットのフレームが最大限に引き出された際の当接圧は、着座者の脚部の荷重も相まって、相当な負荷がかかることは明らかである。そうすると、座部のフレームに当接するスライド式足マットのフレームの引き出し方向後端部を、フレームに相当する部材で連結し、堅固な構造とすることは当然のことであって、甲第3号証においては、上記「連結棒」が相当すると推認できる。
(15)上記(13)及び(14)から、「スライド式足マットのフレーム」には、「スライド式足マットのフレームの両端部近傍の連結棒」及び「連結棒の両端部から突出する先端のL字状当接部材」が取り付けられているものと推認できる。
そして、上記(12)のとおり、参考図3が、スライド式足マットを最大限に引き出された状態の写真であると推認できることから、「スライド式足マットのフレームが引き出される際には、その当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止する」といえる。
(16)上記(3)及び右広告欄の写真(参考図3参照。)の比較から、「引き出し可能なスライド式足マットのフレームが座部のフレームの下方に収納されていること」ことが看取できる。

上記記載事項(1)?(16)を含む甲第3号証全体の記載から、甲第3号証には、次の発明が記載されているものと認められる。

「スライド式足マットを備え、バックレストを11段階リクライニングさせるようにしたくつろぎマッサージチェアであって、
スライド式足マットのフレームと、
バックレストのフレームと、
前記バックレストのフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部のフレームと、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンによりバックレストのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部有するアームレストのフレームとを具備し、
前記座部のフレームの両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており、
スライド式足マットのフレームが座部のフレームの前方から引き出し可能であり、
該スライド式足マットのフレームの両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれL字状当接部材が取り付けられており、前記スライド式足マットのフレームが引き出される際には、そのL字状当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止するものであり、
引き出し可能なスライド式足マットのフレームが座部のフレームの下方に収納されており、
前記座部のフレームは、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンによって前記前脚フレームの略中間部に枢支され、その対向する側部の後端部位がピンによって前記バックレストのフレームの下端近傍に枢支され、前記後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位がピンによって連結リンクに枢支され、前記ピンを枢軸としてくつろぎマッサージチェアが折り畳まれる、くつろぎマッサージチェア。」(審決注:以下「甲第3号証発明」という。)

4.甲第4号証
本件特許の出願前である2009年3月16日に頒布された甲第4号証には、写真とともに、次の事項が記載されている。
(1)「イタリア製アームチェア」(左下広告欄の右下)
(2)「6段階リクライニング」(左下広告欄の上見出し)
(3)「肘掛けを上げながら背もたれを押せば、6段階で角度調節OK。」(左下広告欄の上記事)
(4)「引き出し式フットレスト」(左下広告欄の中上見出し)
(5)「収納時は折り畳み可能」(左下広告欄の中下見出し)
(6)「ハイバックの大きな背もたれ、…座面下からフットレストを引き出して足を乗せられるので、…両肘掛けを上げるだけで6段階のリクライニングもOK。」(左下広告欄の左下記事)
(7)左下広告欄の写真(参考図4参照。)から、「イタリア製アームチェア」には、「座部のフレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームとは左右上方端部の交差部で連結されていること」、「前脚フレームと後脚フレームと交差部とから脚部が構成されていること」、「肘掛けのフレーム」、「座部のフレームの両端部は下方に鈍角状に折り曲げられていること(すなわち、湾曲部)」及び「後脚フレームの中間部よりやや下方の部位に連結リンク」が看取できる。
(8)上記(6)より、「イタリア製アームチェア」は、「両肘掛け操作式のアームチェア」といえる。
(9)左下広告欄の写真(参考図4参照。)からは、「フットレスト」及び「背もたれ」のフレームは看取できないが、椅子の構造上、「フットレスト」及び「背もたれ」に「フレーム」があることは明らかである。
(10)左下広告欄の写真(参考図4参照。)から、「背もたれの下端部に座部のフレームの後端部位が位置すること」が看取できる。また、上記(3)、(5)及び(6)より、「座部のフレーム」は、「背もたれ」との角度が変化していることが示されているから、「座部のフレーム」は、「背もたれのフレームの下端部に後端部位が枢支される」といえる。
(11)左下広告欄の写真(参考図4参照。)の比較から、「肘掛けのフレーム」の「前端側が上方に回動」することが看取できる。また、「肘掛けのフレーム」と「背もたれ」との角度が変化していることが示されているから、「肘掛けのフレーム」は、「後端側を背もたれのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能」であるといえる。
(12)上記(5)、左下広告欄の写真(参考図4参照。)の比較及び折り畳み式の椅子の一般的な構造から、「脚部」の「交差部」が「枢支」されていること、「座部のフレーム」の「対向する側部の略中間部の前側部位」が「前脚フレームの略中間部」に「枢支」されていること、「座部のフレーム」の「対向する側部の後端部位」が「背もたれのフレームの下端近傍」に「枢支」されていること、「後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位」が「連結リンク」に「枢支」されていること、及び「枢支」の機構が「ピン」によるものであること、並びに「ピンを枢軸としてアームチェアが折り畳まれる」ことは明らかである。
(13)上記(3)(アームチェアにおける6段階角度調節機構)、(10)及び(11)(座部のフレームと背もたれのフレームが枢支構造であること及び肘掛けのフレームと背もたれのフレームとが枢支構造であること)、左下広告欄の写真(参考図4参照。)の比較並びにリクライニング椅子におけるリクライニングすることに伴い各パーツの相対位置が変化するという一般的な機構から、「背もたれ」を6段階のいずれかの角度にリクライニングすることに伴い、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」の「肘掛けのフレーム」との相対位置は物理的に変化せざるを得ないから、「交差部を所望の位置に位置する」といえる。そして、「肘掛けのフレーム」が「上方に回動」して傾斜した状態で、「交差部」が「肘掛けのフレーム」の「所望の位置」という特定の位置に位置するのであるから、「肘掛けのフレーム」は「内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有する」といえる。
(14)左下広告欄の写真(参考図4参照。)に関して、「イタリア製アームチェア」は、引き出し式フットレストを具備し、引き出し式フットレストが引き出された状態であって、甲第4号証が新聞の広告欄であることから、参考図4は、引き出し式フットレストを最大限に引き出された状態の写真であると推認できる。ここで、フットレストのフレームが落下しないように、支持機構を設ける必要があって、しかも、そのような支持機構は、座部のフレームの端部に設けることが一般的であり、支持機構として、簡単な構造で堅固で一般的なのは棒状の部材であることから、座部のフレームの湾曲部の端部には支持機構として連結棒が取り付けられていることは明らかである。
(15)左下広告欄の写真(参考図4参照。)から、フットレストのフレームが引き出されると、その重心はフットレストのフレームの引き出し方向先端に移動することは明らかである。そして、それに伴い、フットレストのフレームの引き出し方向後端は上方に持ち上げられ、その後端部が座部のフレームに当接することとなる。そうすると、座部のフレームに当接するフットレストのフレームの引き出し方向後端部に当接部材が設けられていることは、明らかである。
(16)フットレストのフレームが引き出されるにつれ、フットレストのフレームの引き出し方向後端部と座部のフレームとの当接圧が増していき、フットレストのフレームが最大限に引き出された際の当接圧は、着座者の脚部の荷重も相まって、相当な負荷がかかることは明らかである。そうすると、座部のフレームに当接するフットレストのフレームの引き出し方向後端部を、フレームに相当する部材で連結し、堅固な構造とすることは当然のことである。そうすると、座部のフレームに当接するフットレストのフレームの引き出し方向後端部に連結棒が設けられていることは、明らかである。
(17)上記(14)及び(15)から、「フットレストのフレーム」には、「フットレストのフレームの両端部近傍の連結棒」及び「連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」が取り付けられているものと推認できる。
そして、上記(14)のとおり、参考図4が、引き出し式フットレストを最大限に引き出された状態の写真であると推認できることから、「フットレストのフレームが引き出される際には、その当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止する」といえる。
(18)上記(4)及び左下広告欄の写真(参考図4参照。)の比較から、「引き出し可能なフットレストのフレームが座部のフレームの下方に収納されていること」ことが看取できる。

上記記載事項(1)?(18)を含む甲第4号証全体の記載から、甲第4号証には、次の発明が記載されているものと認められる。

「引き出し式フットレストを備え、両肘掛けを上げるだけで背もたれを6段階リクライニングさせるようにした両肘掛け操作式のアームチェアであって、
引き出し式フットレストのフレームと、
背もたれのフレームと、
前記背もたれのフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部のフレームと、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンにより背もたれのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ、内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有する肘掛けのフレームとを具備し、
前記座部のフレームの両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており、
前記引き出し式フットレストのフレームが前記座部のフレームの前方から引き出し可能であり、
該引き出し式フットレストのフレームの両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており、前記引き出し式フットレストのフレームが引き出される際には、その当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止するものであり、
引き出し可能な引き出し式フットレストのフレームが座部のフレームの下方に収納されており、
前記座部のフレームは、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンによって前記前脚フレームの略中間部に枢支され、その対向する側部の後端部位がピンによって前記背もたれのフレームの下端近傍に枢支され、前記後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位がピンによって連結リンクに枢支され、前記ピンを枢軸としてアームチェアが折り畳まれる、アームチェア。」(審決注:以下「甲第4号証発明」という。)

5.甲第5号証
本件特許の出願前である2009年12月5日に頒布された甲第5号証には、写真とともに、次の事項が記載されている。
(1)「リクライニングチェア デラックス(格納式オットマン付き)」(右下広告欄の下)
(2)「リクライニング角度が6段階に調節でき…お好みの姿勢でリラックスできます。さらに、出し入れ自在の格納式オットマン付き。」(右下広告欄の記事3?6行)
(3)「背もたれオートリターン機能」(右下広告欄の中央)
(4)「折りたたんでコンパクトに収納。」(右下広告欄の左下)
(5)右下広告欄の写真(参考図5参照。)から、「リクライニングチェア」には、「アームレスト」、「座部のフレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームとは左右上方端部の交差部で連結されていること」、「前脚フレームと後脚フレームと交差部とから脚部が構成されていること」、「アームレストのフレーム」、「座部のフレームの両端部は下方に鈍角状に折り曲げられていること(すなわち、湾曲部)」及び「後脚フレームの中間部よりやや下方の部位に連結リンク」が看取できる。
(6)右下広告欄の写真(参考図5参照。)から、「オットマン」及び「背もたれ」のフレームは看取できないが、椅子の構造上、「オットマン」及び「背もたれ」に「フレーム」があることは明らかである。
(7)右下広告欄の写真(参考図5参照。)から、「背もたれの下端部に座部のフレームの後端部位が位置すること」が看取できる。また、上記(4)及び右下広告欄の写真(参考図5参照。)より、「座部のフレーム」は、「背もたれ」との角度が変化していることが示されているから、「座部のフレーム」は、「背もたれのフレームの下端部に後端部位が枢支される」といえる。
(8)右下広告欄の写真(参考図5参照。)の比較から、「アームレストのフレーム」の「前端側が上方に回動」することが看取できる。また、「アームレスト」と「背もたれ」との角度が変化していることが示されているから、「アームレストのフレーム」は、「後端側を背もたれのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能」であるといえる。
(9)上記(4)、右下広告欄の写真(参考図5参照。)の比較及び折り畳み式の椅子の一般的な構造から、「脚部」の「交差部」が「枢支」されていること、「座部のフレーム」の「対向する側部の略中間部の前側部位」が「前脚フレームの略中間部」に「枢支」されていること、「座部のフレーム」の「対向する側部の後端部位」が「背もたれのフレームの下端近傍」に「枢支」されていること、「後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位」が「連結リンク」に「枢支」されていること、及び「枢支」の機構が「ピン」によるものであること、並びに「ピンを枢軸としてリクライニングチェアが折り畳まれる」ことは明らかである。
(10)上記(3)(リクライニングチェアにおける背もたれオートリターン機能)、(7)及び(8)(座部のフレームと背もたれのフレームが枢支構造であること及びアームレストのフレームと背もたれのフレームとが枢支構造であること)、右下広告欄の写真(参考図5参照。)の比較並びにリクライニング椅子におけるリクライニングすることに伴い各パーツの相対位置が変化するという一般的な機構から、「背もたれ」を6段階のいずれかの角度にリクライニングすることに伴い、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」の「アームレストのフレーム」との相対位置は物理的に変化せざるを得ないから、「交差部を所望の位置に位置する」といえる。そして、「アームレストのフレーム」が「上方に回動」して傾斜した状態で、「交差部」が「アームレストのフレーム」の「所望の位置」という特定の位置に位置するのであるから、「アームレストのフレーム」は「内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有する」といえる。
(11)右下広告欄の写真(参考図5参照。)に関して、「リクライニングチェア デラックス(格納式オットマン付き)」は、格納式オットマンを具備し、格納式オットマンが引き出された状態であって、甲第5号証が新聞の広告欄であることから、参考図5は、格納式オットマンを最大限に引き出された状態の写真であると推認できる。ここで、オットマンのフレームが落下しないように、支持機構を設ける必要があって、しかも、そのような支持機構は、座部のフレームの端部に設けることが一般的であり、支持機構として、簡単な構造で堅固で一般的なのは棒状の部材であることから、座部のフレームの湾曲部の端部には支持機構として連結棒が取り付けられていることは明らかである。
(12)右下広告欄の写真(参考図5参照。)から、オットマンのフレームが引き出されると、その重心はオットマンのフレームの引き出し方向先端に移動することは明らかである。そして、それに伴い、オットマンのフレームの引き出し方向後端は上方に持ち上げられ、その後端部が座部のフレームに当接することとなる。そうすると、座部のフレームに当接するオットマンのフレームの引き出し方向後端部に当接部材が設けられていることは、明らかである。
(13)オットマンのフレームが引き出されるにつれ、オットマンのフレームの引き出し方向後端部と座部のフレームとの当接圧が増していき、オットマンのフレームが最大限に引き出された際の当接圧は、着座者の脚部の荷重も相まって、相当な負荷がかかることは明らかである。そうすると、座部のフレームに当接するオットマンのフレームの引き出し方向後端部を、フレームに相当する部材で連結し、堅固な構造とすることは当然のことである。そうすると、座部のフレームに当接するオットマンのフレームの引き出し方向後端部に連結棒が設けられていることは、明らかである。
(14)上記(12)及び(13)から、「オットマンのフレーム」には、「オットマンのフレームの両端部近傍の連結棒」及び「連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」が取り付けられているものと推認できる。
そして、上記(11)のとおり、参考図5が、格納式オットマンを最大限に引き出された状態の写真であると推認できることから、「オットマンのフレームが引き出される際には、その当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止する」といえる。
(15)上記(2)及び右下広告欄の写真(参考図5参照。)の比較から、「引き出し可能なオットマンのフレームが座部のフレームの下方に収納されていること」ことが看取できる。

上記記載事項(1)?(15)を含む甲第5号証全体の記載から、甲第5号証には、次の発明が記載されているものと認められる。

「格納式オットマンを備え、背もたれをリクライニングさせるようにしたリクライニングチェアであって、
格納式オットマンのフレームと、
背もたれのフレームと、
前記背もたれのフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部のフレームと、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンにより背もたれのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストのフレームとを具備し、
前記座部のフレームの両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており、
前記格納式オットマンのフレームが前記座部のフレームの前方から引き出し可能であり、
該格納式オットマンのフレームの両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており、前記格納式オットマンのフレームが引き出される際には、その当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止するものであり、
引き出し可能な格納式オットマンのフレームが座部のフレームの下方に収納されており、
前記座部のフレームは、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンによって前記前脚フレームの略中間部に枢支され、その対向する側部の後端部位がピンによって前記背もたれのフレームの下端近傍に枢支され、前記後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位がピンによって連結リンクに枢支され、前記ピンを枢軸としてリクライニングリラックスチェアが折り畳まれる、リクライニングチェア。」(審決注:以下「甲第5号証発明」という。)

6.甲第6号証
本件特許の出願前である2009年12月29日に頒布された甲第6号証には、写真(別添参考図6参照。なお、手書きの記号は請求人が付したものであり、必要に応じて当審も用いることとする。)とともに、次の事項が記載されている。
(1)「イタリア メタルファール社製 リクライニング リラックスチェアDX」(右下広告欄の左下)
(2)「背もたれオートリターン・6段階快適リクライニング」(右下広告欄の上見出し)
(3)「オットマンを引き出し…6段階のリクライニング、背中を起こし左右の肘掛を軽く上げるだけで背もたれが戻るオートリターン機構」(右下広告欄の記事4?8行)
(4)「折り畳めば隙間スペースに収納でき、場所をとりません。」(右下広告欄の左中見出し)
(5)「格納式オットマンで快適リクライニング」(右下広告欄の右下)
(6)右下広告欄の写真(参考図6の図A参照。)から、「リクライニング リラックスチェアDX」には、「オットマンのフレーム」、「背もたれのフレーム」、「座部のフレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームとは左右上方端部の交差部で連結されていること」、「前脚フレームと後脚フレームと交差部とから脚部が構成されていること」、「肘掛のフレーム」、「座部のフレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられていること(すなわち、湾曲部)」、「棒状部材19a」、「円形部材19c」及び「後脚フレームの中間部よりやや下方の部位に連結リンク」が看取できる。
(7)上記(3)より、「リクライニング リラックスチェアDX」は、「肘掛操作式のリクライニングチェア」といえる。
(8)右下広告欄の写真(参考図6の図A参照。)から、「背もたれのフレームの下端部に座部のフレームの後端部位が位置する」ことが看取できる。また、上記(2)乃至(4)より、「座部のフレーム」は、「背もたれのフレーム」との角度が変化していることが示されているから、「座部のフレーム」は、「背もたれのフレームの下端部に後端部位が枢支される」といえる。
(9)右下広告欄の写真(参考図6の図A、図B及び図D参照。)の比較から、「肘掛のフレーム」の「前端側が上方に回動」することが看取できる。また、「肘掛のフレーム」と「背もたれのフレーム」との角度が変化していることが示されているから、「肘掛のフレーム」は、「後端側を背もたれのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能」であるといえる。
(10)上記(4)、右下広告欄の写真(参考図6の図A及び図C参照。)の比較及び折り畳み式の椅子の一般的な構造から、「脚部」の「交差部」が「枢支」されていること、「座部のフレーム」の「対向する側部の略中間部の前側部位」が「前脚フレームの略中間部」に「枢支」されていること、「座部のフレーム」の「対向する側部の後端部位」が「背もたれのフレームの下端近傍」に「枢支」されていること、「後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位」が「連結リンク」に「枢支」されていること、及び「枢支」の機構が「ピン」によるものであること、並びに「ピンを枢軸としてリクライニングリラックスチェアが折り畳まれる」ことは明らかである。
(11)上記(3)(リクライニングチェアにおける肘掛操作式のオートリターン機構)、(8)及び(9)(座部のフレームと背もたれのフレームが枢支構造であること及び肘掛のフレームと背もたれのフレームとが枢支構造であること)、右下広告欄の写真(参考図6の図A、図B及び図D参照。)の比較並びにリクライニング椅子におけるリクライニングすることに伴い各パーツの相対位置が変化するという一般的な機構から、「背もたれ」を6段階のいずれかの角度にリクライニングすることに伴い、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」の「肘掛のフレーム」との相対位置は物理的に変化せざるを得ないから、「交差部を所望の位置に位置する」といえる。そして、「肘掛のフレーム」が「上方に回動」して傾斜した状態で、「交差部」が「肘掛のフレーム」の「所望の位置」という特定の位置に位置するのであるから、「肘掛のフレーム」は「内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有する」といえる。
(12)右下広告欄の写真(参考図6の図A参照。)に関して、「イタリア メタルファール社製 リクライニング リラックスチェアDX」は、格納式オットマンを具備し、図Aは少なくとも格納式オットマンが引き出されており、甲第6号証が新聞の広告欄であることから、参考図6の図Aは、格納式オットマンを最大限に引き出された状態の写真であると推認できる。ここで、オットマンのフレームが落下しないように、支持機構を設ける必要があって、しかも、そのような支持機構は、座部のフレームの端部に設けることが一般的であり、支持機構として、簡単な構造で堅固で一般的なのは棒状の部材であることから、座部のフレームの湾曲部の端部には支持機構として連結棒が取り付けられていることは明らかである。
(13)右下広告欄の写真(参考図6の図A参照。)から、オットマンのフレームが引き出されると、その重心はオットマンのフレームの引き出し方向先端に移動することは明らかである。そして、それに伴い、オットマンのフレームの引き出し方向後端は上方に持ち上げられ、その後端部が座部のフレームに当接することとなる。そうすると、上記「円形部材19c」が、座部のフレームに当接するオットマンのフレームの引き出し方向後端部の部材として設けられていることは、明らかである。
(14)オットマンのフレームが引き出されるにつれ、オットマンのフレームの引き出し方向後端部と座部のフレームとの当接圧が増していき、オットマンのフレームが最大限に引き出された際の当接圧は、着座者の脚部の荷重も相まって、相当な負荷がかかることは明らかである。そうすると、座部のフレームに当接するオットマンのフレームの引き出し方向後端部を、フレームに相当する部材で連結し、堅固な構造とすることは当然のことであって、甲第6号証においては、上記「棒状部材19a」が相当すると推認できる。
(15)上記(13)乃至(14)から、「オットマンのフレーム」には、「オットマンのフレームの開放する側の両端部近傍の連結棒」及び「連結棒の両端部から突出する先端の円形当接部材」が取り付けられているものと推認できる。
そして、上記(12)のとおり、参考図6の図Aが、格納式オットマンを最大限に引き出された状態の写真であると推認できることから、「オットマンのフレームが引き出される際には、その当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止する」といえる。
(16)上記(3)及び右下広告欄の写真(参考図6の図A及び図B参照。)の比較から、「引き出し可能なオットマンのフレームが座部のフレームの下方に収納されていること」ことが看取できる。

上記記載事項(1)?(16)を含む甲第6号証全体の記載から、甲第6号証には、次の発明が記載されているものと認められる。

「オットマンを備え、肘掛を軽く上げるだけで背もたれが戻るオートリターン機構を有する肘掛操作式のリクライニングリラックスチェアであって、
オットマンのフレームと、
背もたれのフレームと、
前記背もたれのフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部のフレームと、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンにより背もたれのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有する肘掛のフレームとを具備し、
前記座部のフレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており、
前記オットマンのフレームが前記座部のフレームの前方から引き出し可能であり、
該オットマンのフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ円形当接部材が取り付けられており、前記オットマンのフレームが引き出される際には、その円形当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止するものであり、
引き出し可能なオットマンのフレームが座部のフレームの下方に収納されており、
前記座部のフレームは、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンによって前記前脚フレームの略中間部に枢支され、その対向する側部の後端部位がピンによって前記背もたれのフレームの下端近傍に枢支され、前記後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位がピンによって連結リンクに枢支され、前記ピンを枢軸としてリクライニングリラックスチェアが折り畳まれる、リクライニングリラックスチェア。」(審決注:以下「甲第6号証発明」という。)

7.甲第7号証
本件特許の出願前である平成9年9月25日に発行された甲第7号証には、写真とともに、次の事項が記載されている。
(1)「折りたたみリクライニング椅子」(試験品名及び数量欄)
(2)「座面」、「足置き」、「背」及び「肘」(試験項目欄)
(3)「…足置きを最大に引き出し…」(No.3 試験方法 2.)
(4)試験品写真(参考図7参照。)から「折りたたみリクライニング椅子」には、「足置きのフレーム」、「背のフレーム」、「座面のフレーム」、「前脚のフレーム」、「後脚のフレーム」、「前脚のフレームと後脚のフレームとが左右上方端部の交差部で連結されていること」、「脚部は前脚のフレームと後脚のフレームと交差部とから構成されていること」、「肘のフレーム」、「交差部は肘のフレームに位置していること」、「座面のフレームの両端部は下方に鈍角状に折り曲げられていること(すなわち、湾曲部)」及び「後脚フレームの中間部よりやや下方の部位に連結リンク」が看取できる。
(5)試験品写真(参考図7参照。)から「背のフレームの下端部に後端部位が位置する座面のフレーム」が看取できる。
(6)「注 本成績書の内容を広告物その他に掲載する時は、予め本試験所理事長の承認を受けて下さい。」
(7)「折りたたみリクライニング椅子」であるから、「背」が「傾倒・起立する」こと、「背」に対する「座面」及び「肘」の角度が変化することは明らかであるから、「座面のフレーム」は、「背のフレームの下端部に後端部位が枢支される」といえ、また、「肘のフレーム」は、「後端側を背のフレームに枢支される」といえる。
(8)上記(1)、試験品写真(参考図7参照。)及び折り畳み式の椅子の一般的な構造から、「脚部」の「交差部」が「枢支」されていること、「座面のフレーム」の「対向する側部の略中間部の前側部位」が「前脚のフレームの略中間部」に「枢支」されていること、「座面のフレーム」の「対向する側部の後端部位」が「背のフレームの下端近傍」に「枢支」されていること、「後脚のフレームの略中間部よりやや下方の部位」が「連結リンク」に「枢支」されていること、及び「枢支」の機構が「ピン」によるものであること、並びに「ピンを枢軸としてリクライニング椅子が折り畳まれる」ことは明らかである。
(9)試験品写真(参考図7参照。)から、椅子の構造から、「座面のフレーム」は、「背のフレームの下端部に後端部位が枢支される」といえ、「肘のフレーム」は、「後端側を背のフレームに枢支され」ていることは明らかである。
(10)上記(3)及び試験品写真(参考図7参照。)から、「足置きのフレームが座面のフレームの前方から引き出し可能である」ことは明らかである。
(11)試験品写真(参考図7参照。)に関して、「折りたたみリクライニング椅子」は、引き出しできる足置きを具備し、一般に、写真を撮るなら、足置きが引き出された状態か、格納した状態の,いずれかであることから、参考図7は、足置きが引き出された状態であって、甲第7号証は、足置きを最大限に引き出された状態の写真であると推認できる。ここで、足置きのフレームが落下しないように、支持機構を設ける必要があって、しかも、そのような支持機構は、座面のフレームの端部に設けることが一般的であり、支持機構として、簡単な構造で堅固で一般的なのは棒状の部材であることから、座面のフレームの湾曲部の端部には支持機構として連結棒が取り付けられていることは明らかである。
(12)試験品写真(参考図7参照。)から、足置きのフレームが引き出されると、その重心は足置きのフレームの引き出し方向先端に移動することは明らかである。そして、それに伴い、足置きのフレームの引き出し方向後端は上方に持ち上げられ、その後端部が座面のフレームに当接することとなる。そうすると、座面のフレームに当接する足置きのフレームの引き出し方向後端部に当接部材が設けられていることは、明らかである。
(13)足置きのフレームが引き出されるにつれ、足置きのフレームの引き出し方向後端部と座面のフレームとの当接圧が増していき、足置きのフレームが最大限に引き出された際の当接圧は、着座者の脚部の荷重も相まって、相当な負荷がかかることは明らかである。そうすると、座面のフレームに当接する足置きのフレームの引き出し方向後端部を、フレームに相当する部材で連結し、堅固な構造とすることは当然のことである。そうすると、座面のフレームに当接する足置きのフレームの引き出し方向後端部に連結棒が設けられていることは、明らかである。
(14)上記(12)及び(13)から、「足置きのフレーム」には、「足置きのフレームの両端部近傍の連結棒」及び「連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」が取り付けられているものと推認できる。
そして、上記(11)のとおり、参考図7が、足置きを最大限に引き出された状態の写真であると推認できることから、「足置きのフレームが引き出される際には、その当接部材が座面のフレームの湾曲部に当接して停止する」といえる。
(15)上記(3)及び試験品写真(参考図7参照。)から、「引き出し可能な足置きのフレームが座面のフレームの下方に収納されていること」ことが看取できる。

上記記載事項(1)?(15)を含む甲第7号証全体の記載から、甲第7号証には、次の発明が記載されているものと認められる。

「足置きを備え、背が傾倒・起立する折りたたみリクライニング椅子であって、
足置きのフレームと、
背のフレームと、
前記背のフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座面のフレームと、
前脚のフレームと後脚のフレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンにより背のフレームに枢支され、かつ交差部が位置する肘のフレームとを具備し、
前記座面のフレームの両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており、
足置きのフレームが座面のフレームの前方から引き出し可能であり、
該足置きのフレームの両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており、前記足置きのフレームが引き出される際には、その当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止するものであり、
引き出し可能な足置きのフレームが座面のフレームの下方に収納されており、
前記座面のフレームは、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンによって前記前脚フレームの略中間部に枢支され、その対向する側部の後端部位がピンによって前記背のフレームの下端近傍に枢支され、前記後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位がピンによって連結リンクに枢支され、前記ピンを枢軸としてリクライニング椅子が折り畳まれる、
リクライニング椅子。」(審決注:以下「甲第7号証発明」という。)

8.甲第9号証
(1)「【請求項1】
アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニングチェアであって、バックレストフレームにクッション部材を装着してなるバックレストと、前記バックレストフレームの下端部に位置し水平方向に延設された座部フレームにクッション部材を装着してなる座部と、前方脚部フレームと後方脚部フレームの左右上方端部を傾倒位置決め用のピンP1により枢支してなる脚部と、肘側をピンP2により前記バックレストフレームに枢支して指先側を上方に回動可能とし、かつ該指先側内部又は外部に前記ピンP1を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレームにクッション部材を装着してなるアームレストとを具備し、前記ピンP1と前記ピンP2との間に引張りコイルバネを懸架してなることを特徴とするリクライニングチェア。

【請求項4】
前記座部フレームの下方に引き出し式のフットレストが収納されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のリクライニングチェア。」(【特許請求の範囲】)
(2)「【0032】
フットレスト250は、金属製のパイプにより後端側が開放されてコの字状に形成されたフットレストフレーム251及びこのフットレストフレーム251間に懸架されたバネ部材252を布製のクッション部材253で装着してなり、図2に矢印Y4で示すように、ケース状の座部フレーム(兼フットレスト収納ケース)221内から必要な長さだけ引き出して使用され、使用後は座部フレーム(兼フットレスト収納ケース)221内に収納される。このようなフットレスト250を使用すると、長時間に渡り膝を伸ばしながら一段とリラックスして座ることができる。
【0033】
…このように、本リクライニングチェア200は、バックレスト210、座部220、フットレスト250を含む座部220、脚部230、そしてアームレスト240の夫々が、ピンP1ないしピンP5のいずれかを介し、相互に枢動可能に枢支されているので、バックレスト210(ないしバックレストフレーム211)と座部220(ないし座部フレーム221)とを図2に矢印Y5で示すように相対的に動かして合わせると、図4に斜視図で示すようにチェア全体を平坦に折り畳むことができる。…」
(3)上記(2)及び【図2】より、バックレストフレームの下端部に後端部位がピンP5により枢支される座部フレームが看取できる。

上記記載(1)?(3)及び図面を含む甲第9号証全体の記載から、甲第9号証には、次の発明が記載されているものと認められる。

「アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニングチェアであって、バックレストフレームにクッション部材を装着してなるバックレストと、前記バックレストフレームの下端部に位置し水平方向に延設された座部フレームにクッション部材を装着してなる座部と、前方脚部フレームと後方脚部フレームの左右上方端部を傾倒位置決め用のピンP1により枢支してなる脚部と、肘側をピンP2により前記バックレストフレームに枢支して指先側を上方に回動可能とし、かつ該指先側内部又は外部に前記ピンP1を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレームにクッション部材を装着してなるアームレストとを具備し、前記ピンP1と前記ピンP2との間に引張りコイルバネを懸架し、前記座部フレームの下方に引き出し式のフットレストが収納され、フットレストは、金属製のパイプにより後端側が開放されてコの字状に形成されたフットレストフレーム及びこのフットレストフレーム間に懸架されたバネ部材を布製のクッション部材で装着してなり、ケース状の座部フレーム(兼フットレスト収納ケース)内から必要な長さだけ引き出して使用され、バックレストフレームの下端部に後端部位がピンP5により枢支される座部フレームを具備するリクライニングチェア。」(審決注:以下「甲第9号証発明」という。)

9.甲第10号証
(1)「【請求項4】 座部フレームと、背もたれフレームと、その長手方向一端が前記背もたれフレームに回転自在に枢支したひじ掛け部と、前記座部フレームに回転自在に枢支する前方脚部と、後方脚部と、前記前方脚部と後方脚部との頂部交点を回転自在に連結するジョイント部材と、該ジョイント部材に設けた角度調整爪部と、前記ひじ掛け部の下面側に装着し,複数の連続する係合歯部を長手方向に形成し,該係合歯部に前記角度調整爪部が係合し,且つ上方移動にて離間する傾斜調整部材と、前記座部フレームの幅方向両側に形成した下方に屈曲する屈曲部と、該屈曲部の下方に設けた支持部と、前記座部フレームの幅方向両側に設けたガイド杆と、該ガイド杆が軸長方向に挿通する足台縦方向フレーム部を幅方向両側に有する足台フレームと、前記屈曲部の下方側に当接する当接部と,前記支持部の上方側より係合する係合凹部とを前後にずらして設け,前記足台縦方向フレーム部の後端に装着するた終端部材とからなり、前記背もたれフレームを座部フレームに対して略直角位置から略平行位置になるように多段階に角度調整可能としたことを特徴とするソファー。」(【実用新案登録請求の範囲】)
(2)「【0011】
その座部フレーム1は、鋼管により適宜に屈曲形成されたもので、平面的に見て略「コ」字形状をなしている(図1参照)。その鋼管の断面形状は、上下方向が長軸となるように略楕円状或いは「0」字形状をなしている。そして、その座部フレーム1は、幅方向両側にて、その前後方向を軸長とする座部縦フレーム部1^(a),1^(a)と、横方向で座部フレーム1の後部に位置する座部横フレーム部1^(b)とから構成され、座部縦フレーム部1^(a),1^(a)と座部横フレーム部1^(b)とで前述の略「コ」字形状を構成する。
【0012】
次に、背もたれフレーム2は、図1に示すように、前記座部フレーム1と同様に鋼管にて形成され、該鋼管は前述したように、その断面形状が略楕円状或いは「0」字形状をなしている。そして、この背もたれフレーム2は、幅方向両側の背もたれ縦フレーム部2^(a),2^(a)と、背もたれ横フレーム2^(b)とから構成され、前記座部フレーム1と同様に平面的に見て略「コ」字形状をなしている。その座部フレーム1の後端と背もたれフレーム2の下端とがリクライニング機構及び折畳可能となるように回動自在にピン軸等を使用した枢支部P_(1)により枢支連結されている(図2参照)。
【0013】
次に、ひじ掛け部3,3は、その後端が背もたれフレーム2の両背もたれ縦フレーム部2^(a),2^(a) に回動自在となるようにピン軸等を使用した枢支部P_(2)により枢支連結されている(図2参照)。そのひじ掛け部3,3の下面側には、後述する傾斜調整部材9が装着され、該傾斜調整部材9を介して、さらに後述する前方脚部4と後方脚部5に連結する構成となっている(図2参照)。」
(3)「【0016】
その前方脚部4の前方脚縦フレーム4^(a),4^(a) と後方脚部5の後方脚縦フレーム5^(a),5^(a) との上端が互いに回動自在となるようにジョイント部材6にて連結されている。該ジョイント部材6は、カバー状に形成されており、該ジョイント部材6に前方脚縦フレーム4^(a),4^(a) の上端が回動自在となるようにピン軸等を使用した枢支部P_(4),P_(4)にて枢支連結されている(図1,図2参照)。
(4)「【0029】
その足台縦方向フレーム部11^(a),11^(a)の後端には、図8(A),(B)に示すように、終端部材12,12が装着されている。該終端部材12は、当接部12^(a)と係合凹部12^(b)よりなり、被挿入部12^(c)に前記足台縦方向フレーム部11^(a)が挿入する構造となっている。そして、当接部12^(a)及び係合凹部12^(b)とは、前後方向に寸法Lだけずれており、その当接部12^(a)が係合凹部12^(b)より後方側に位置している〔図9(A)参照〕。
【0030】
該当接部12^(a)は円弧状面12^(a1)が形成されており、該円弧状面12^(a1)が上方を向いている。その寸法Lのずれによって、足台フレーム11に人の足が載った状態でもその重量に十分に耐えうることができる。
【0031】
その係合凹部12b は、下面を向いている。また、前記座部フレーム1の座部縦フレーム部1a,1a の前端箇所に下方に屈曲する屈曲部1a1,1a1が形成され、該屈曲部1a1, 1a1は前記当接部12a の円弧状面12a1が当接するようになっている。また、屈曲部1a1,1a1には支持部1c が形成され、該支持部1c と前記終端部材12の係合凹部12b が係合する構造となっている。
【0032】
【作用】
背もたれの座部に対する角度調節を行なうには、まず、ひじ掛け部3,3を上方に軽く持ち上げる。その両ひじ掛け部3,3とともに両傾斜調整部材9,9が上方に移動し、傾斜調整部材9の係合歯部9^(b),9^(b),…と角度調整爪部8との係合が解除される〔図4(A)参照〕。その角度調整爪部8と係合歯部9^(b),9^(b),…とが解除された状態でひじ掛け部3,3を前後方向に移動させる。
【0033】
このときひじ掛け部3,3は、該ひじ掛け部3,3に枢支部P_(2),P_(2)で連結された背もたれフレーム2を座部フレーム1に対して角度が変化するように回動させる。そして、背もたれフレーム2を座部フレーム1に対して所望の角度となったときに、再度そのひじ掛け部3,3を下方に移動し、係合歯部9^(b),9^(b),…と角度調整爪部8とを係合させる。これによって、背もたれフレーム2は、枢支部P_(1),枢支部P_(2)及び角度調整爪部8と傾斜調整部材9との係合箇所の三点にて支持固定される(図2参照)。
【0034】
次に、足台フレーム11の使用については、まず足台フレーム11を座部フレーム1より前方に引き出す。このとき足台フレーム11の足台縦方向フレーム部11^(a),11^(a) が、座部縦フレーム部1^(a),1^(a) に設けたガイド杆10,10に沿って移動する。そして、足台フレーム11を座部フレーム1の前方に最大に出し切ったときに、終端部材12の当接部12^(a) が足台縦方向フレーム部11^(a) 先端の屈曲部1^(a1)に位置し、当接部12^(a) が屈曲部1^(a1)の下方より当接し、係合凹部12^(b) は、支持部1cの上方より係合する〔図9(B)参照〕。
【0035】
このようにして足台フレーム11は、座部フレーム1より前方に引き出されて、固定される。その固定状態は、座部フレーム1に装着した終端部材12の当接部12^(a) と係合凹部12^(b) とが寸法Lをおいて前後方向にずれて形成されたもので支持部1cと係合凹部12^(b) との係合箇所を支点とし、当接部12^(a) と屈曲部1^(a1)との当接箇所を力点とし、足台フレーム11に足を載せたときに作用点となり、足台フレーム11を強固に固定する。」

上記記載(1)?(4)及び図面を含む甲第10号証全体の記載から、甲第10号証には、次の発明が記載されているものと認められる。

「略「コ」字形状を構成する座部フレームと、背もたれフレームと、その長手方向一端が前記背もたれフレームに回転自在に枢支したひじ掛け部と、前記座部フレームに回転自在に枢支する前方脚部と、後方脚部と、前記前方脚部と後方脚部との頂部交点を回転自在に連結するジョイント部材と、該ジョイント部材に設けた角度調整爪部と、前記ひじ掛け部の下面側に装着し、複数の連続する係合歯部を長手方向に形成し、該係合歯部に前記角度調整爪部が係合し、且つ上方移動にて離間する傾斜調整部材と、前記座部フレームの幅方向両側に形成した下方に屈曲する屈曲部と、該屈曲部の下方に設けた支持部と、前記座部フレームの幅方向両側に設けたガイド杆と、該ガイド杆が軸長方向に挿通する足台縦方向フレーム部を幅方向両側に有する足台フレームと、前記屈曲部の下方側に当接する円弧状面が形成された当接部と、前記支持部の上方側より係合する係合凹部とを前後にずらして設け、前記足台縦方向フレーム部の後端に装着するた終端部材とからなり、前記背もたれフレームを座部フレームに対して略直角位置から略平行位置になるように多段階に角度調整可能とし、座部フレームの後端と背もたれフレームの下端とがリクライニング機構及び折畳可能となるように回動自在にピン軸等を使用した枢支部P_(1)により枢支連結され、ひじ掛け部は、その後端が背もたれフレームの両背もたれ縦フレーム部に回動自在となるようにピン軸等を使用した枢支部P_(2)により枢支連結され、ひじ掛け部の下面側には、傾斜調整部材が装着され、該傾斜調整部材を介して、さらに前方脚部と後方脚部に連結する構成となり、前方脚部の前方脚縦フレームと後方脚部の後方脚縦フレームとの上端が互いに回動自在となるようにジョイント部材にて連結され、該ジョイント部材は、カバー状に形成されており、該ジョイント部材に前方脚縦フレームの上端が回動自在となるようにピン軸等を使用した枢支部P_(4),P_(4)にて枢支連結され、背もたれの座部に対する角度調節を行なうには、まず、ひじ掛け部を上方に軽く持ち上げ、足台フレームの使用については、まず足台フレームを座部フレームより前方に引き出し、このとき足台フレームの足台縦方向フレーム部が、座部縦フレーム部に設けたガイド杆に沿って移動し、足台フレームを座部フレームの前方に最大に出し切ったときに、終端部材の当接部が足台縦方向フレーム部先端の屈曲部に位置し、当接部の円弧状面が屈曲部の下方より当接し、係合凹部は、支持部の上方より係合するソファー。」(審決注:以下「甲第10号証発明」という。)


第6 証人國川星太郎の証言について
1.書証(甲第8号証の1乃至6)から認められる事実
1999年8月5日前に、株式会社アテックスは「くつろぎマッサージチェアーATX-151」を販売していたことが認められる。

2.証人:國川星太郎氏の陳述内容
平成27年11月26日に行われた証拠調べにおける証人:國川星太郎氏の陳述は、DVD-R(1枚)に記録されているところ、以下、証人:國川星太郎氏の陳述において、判断に必要な箇所を、以下に摘記する。
(2-1)主尋問
「○審判長
031 今の件についても、立証しようとするものの構造ですので、まず、陳述書の図をごらんになっていただく前に、図面を書いていただいて、それをもとに説明をしていただきたいと思いますので、紙を渡していただけますか。
(廷吏、用紙を証人に渡す。)
では、そこに御社で発売していたリクライニングチェアの構造を、ちょっと書いていただけますでしょうか。
はい。
(証人、図面(別紙)を作成する)
032 コピーお願いいたします。ちょっと中断しますのでお待ちください。
ちょうど肘当てのところを、肘のところを上に引っ張り上げることによってリクライニングすると。で、裏側のところもローラーで、ローラーと言ってまして、右側と左側に……。
033 ローラーというのはどれですか。
その黒い丸になっているんですけれども。
034 そこがローラー……。
黒い丸がローラーです。これが、このおりるところに対してスムーズに入っていくんで、出し入れが非常にやりやすいと。ここに前に出ているのがオットマンですけれども、オットマンで足をくつろげるように前に出せると。
035 ちょっと確認ですけれども、オットマンでよろしいですか、ここの出すところですね。左右に矢印が書いてある上のところですね。はい、わかりました。

○請求人代理人
037 この椅子は折りたたみは可能なんですか。
可能です。両方とも折りたたんで1つの箱に同梱してデリバリーしてましたから。
038 それから、リクラインニングの背もたれですけど、これをリクライニングすると当然前後するということですけど、そのときの動作を説明していただけますか。
肘の部分を上げて、そのままリクライニングができてました。肘の部分って、何というのですかね、アーム……、この肘当ての部分を上に上げ……。

○審判長
040 これ、何て言ったか。アームレストですか。じゃ、そこアームレストという形にしますので。
はい。アームレストを引っ張り上げてリクライニングするようになっていました。

○請求人代理人
042 それから、オットマンがあるというのはお聞きしましたけども、オットマンは引き出し、中に入れたり出したり可能でしょうか。
はい。それは1つのうたい文句で販売していました。
043 そのときには、このオットマンのいわば図にあります黒丸ですけども、黒丸は何のためにあるか御存じでしょうか。
がたんと急に音がしないようにするか、スムーズに入れるためにあるんじゃないかなと思っていたんですけれども、そこまではちょっと僕も会長のほうに確認をしてませんでした。

○審判長
046 まず、それは一体何なのか。図面を見ながら、この黒くなっていますよね。先ほどローラーとおっしゃったんだと思うんですが、そこからちょっと先に何か下向きに出ていますけども、この部分はどういうものなんでしょうか。
僕も詳しくはわからないんですけども、出すときにローラーがそこを通ってスムーズにおりるためにあるんじゃないかなと思っているんですが。

○請求人代理人
048 それから、オットマンを引き出すときに衝撃等はありましたでしょうか。
えー、衝撃があるというのは全く感じないです。余り記憶にないですね。そこが引っかかった覚えはないです。

○請求人
060 はい。それは何のために使われているかは御存じでしょうか。
僕は本当にその当時のことで考えれば、正直言ってそこには余り興味がなかったので、どうして曲がっているだとかということは余り突っ込んで聞いてないです。
○請求人代理人
065 品番まではわからないんですね。
c151。」

(2-2)合議体からの尋問
「○陪席審判官
105 繰り返しになるかもしれませんが、まず、國川さんのこれまでの略歴をお教えいただけますでしょうか。
伊藤忠からで。
106 はい。何年に入社されたとか、退職されたとか……。
1986年、伊藤忠商事に入社、配属部門が繊維原料部134課という部署でした。そこでずっと、最終、課長までなりまして、2008年、そこの課長から上海伊藤忠副総経理、現青島伊藤忠商事の総経理という形で中国のほうに4年間ほど駐在と。その後アテックスに入ってきまして、入社したんですが最初の1年半だけ出向……。

109 今お伺いになった内容からしますと、リクライニングチェアのいわば技術的な専門家というお立場ではなかった。
私は違います、はい。
○審判長
110 営業を主に……。
もう営業だけです、はい。

○陪席審判官
122 もうちょっとリクライニングチェアの構造についてお伺いしたいと思うんですけども、この黒丸のところの構造について、もう少し詳しくは覚えていらっしゃいませんか。書けませんか。
本当にイメージだけで……。
123 はい、では結構です、無理には。
済みません。今日、その後も特許の話で書類を見せてもらって、この黒丸なんかも亀井さんにいっぱい説明をもらったんですけれども、あんまり僕も、そんなこと別に、どっちでもいいんじゃないのと思っていたんで、やっていたかやっていないかの、アテックスで、それだけ証明すればいいんじゃないかなと思っていたんで、そこを勉強する気もなくて、あんまり役立たないんですよ。本当の事実で。
124 先ほどの話からしますと、ATX-151については、國川さんは実際にご覧になられたんですか。
見てます、はい。
126 折りたたんだり、オットマンを引き出したりはされましたか。
オットマンは引き出しました。引き出したの覚えています。折りたたんだやつは、ここの開発の人が目の前で折りたたんだり、一生懸命こうやってくれていましたので、広げてセットした状態で座らせてもらいました。で、アームの確認と、それから引き出すやつも全部やってみました。
127 リクライニングはされましたか。
やりました。
132 実際にオットマンを引き出されたときの挙動といいますか、どのようにオットマンが止まったか。
止まったかといっても、進み出したら、そのまんま出したら、ここで引っかかるんじゃないですか。で、恐らくここで引っかかるからと思うんですが、出した、そこでとまったと。そのときにスムーズさとかいうのは、音だとかいうのは、余りガタンとなることもないし、余りそこに引っかかるものは商品価値としてこれは悪いなとかいうイメージは全くなかったです。普通に出てくると。ただし、ここの裏にワイヤーみたいなのが入っていたり、スプリングとかも、ここスプリングと書いていますけども、この辺も非常に細いし、ここら辺がパイプに当たって、クシャンクシャンクシャンクシャンというイメージがあったので、オットマンを出したとはいえ、「大丈夫かな」というのは不安だったことを、リクライニングしたときに、フラットの状態にしたときに、「これ、ほんとに倒れへんかな」とかいうのはちょっと不安でしたね。それは覚えています。
133 先ほど主尋問の際に、この件のオットマンを引き出したときに、この図面にある黒丸のローラーが下におりるというご発言をされたんですが…。
おりるって、そこまで僕も余り見てないから。
134 ああ、そうですか。
はい、申しわけないですけど。
135 じゃ、そこについては特段どういう……。
構造になっているかとか、そこまでは僕は、聞いたんですけど、正直あんまり覚えてないんです。」

上記証言内容(2-1)及び(2-2)によると、証人は、1998?1999年当時、伊藤忠商事に在職し、株式会社アテックスの販売担当をしていた。そして、証人はリクライニングチェアの技術的な専門家ではなく、営業担当であった。
また、オットマンを引き出すための細部構造については、「僕は本当にその当時のことで考えれば、正直言ってそこには余り興味がなかったので、どうして曲がっているだとかということは余り突っ込んで聞いてないです。」、「済みません。今日、その後も特許の話で書類を見せてもらって、この黒丸なんかも亀井さんにいっぱい説明をもらったんですけれども、あんまり僕も、そんなこと別に、どっちでもいいんじゃないのと思っていたんで、やっていたかやっていないかの、アテックスで、それだけ証明すればいいんじゃないかなと思っていたんで、そこを勉強する気もなくて、あんまり役立たないんですよ。本当の事実で。」及び「構造になっているかとか、そこまでは僕は、聞いたんですけど、正直あんまり覚えてないんです。」と曖昧な証言に終始していた。
してみると、証人の専門性、及び証人の証言内容から、リクライニングチェアの外観から明確に分かる構造及び外観の変化に関しては、信用に足る証言と認められるものの、リクライニングチェアの細部の構造及び外観の変化に伴うメカニズム並びにその機能・作用については、具体的な証言は得られなかったものと認められる。
よって、上記証言内容(2-1)及び(2-2)並びに証人:國川星太郎氏作成の図面(平成27年11月26日第2回口頭審理及び証拠調べ調書に添付の別紙)の記載から、次の事項(以下「証言事項」という。)が認められる。

ア.証人が証明しようとする事実の製品は「リクライニングチェアATX-151」であること。
イ.リクライニングチェアは、アームレストを引っ張り上げてリクライニングするようになっていたこと。
すなわち、端側を上方に回動可能なアームレストであって、アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式リクライニングチェアといえる。
ウ.証人:國川星太郎氏作成の図面(添付別紙参照。)から、「リクライニングチェア」の構成要素として、「座部の前方から引き出し可能なオットマン」、「アームレスト」、「バックレスト」、「バックレストの下端部の座部」、「前脚」、「後脚」、「前脚と後脚の左右上方端部の交差部」、「前脚と後脚と交差部とからなる脚部」、「座部の一端に下方におりるところが形成されていること」及び「オットマンの両端部に取り付けられた黒丸のローラ」が看取できる。
エ.椅子の構造上、「座部の前方から引き出し可能なオットマン」、「アームレスト」、「バックレスト」、「バックレストの下端部の座部」、「前脚」及び「後脚」に「フレーム」があることは明らかである。
オ.上記ウ及びエより、「座部の一端に下方におりるところ」は「座部のフレームの端部の下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」といえる。
カ.折りたためる椅子の構造から、「脚部」の「交差部」を含め、「座部の前方から引き出し可能なオットマン」、「アームレスト」、「バックレスト」及び「バックレストの下端部の座部」各々が「ピン」により「枢支」されていることは明らかである。
キ.上記オ及び國川星太郎氏作成の図面(添付別紙参照。)より、「バックレストのフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部のフレーム」、「前脚フレームとと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部」、「後端側をピンによりバックレストのフレームに枢支され」、「オットマンのフレームが前記座面のフレームの前方から引き出し可能であり」及び「オットマンの両端部には、それぞれ黒丸のローラが取り付けられており」といえる。
ク.証言内容から、オットマンを引き出した際の挙動(特に、黒丸のローラの動作)に関して、明確な証言が得られたとは認められない。

よって、上記証言事項から、次の発明が認められる。

「オットマンを備え、アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニングチェアATX-151であって、
オットマンのフレームと、
バックレストのフレームと、
前記バックレストのフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部のフレームと、
前脚のフレームと後脚のフレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンによりバックレストのフレームに枢支され前端側を回動可能としたアームレストのフレーム、
前記座部のフレームの両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、
前記オットマンのフレームが前記座面のフレームの前方から引き出し可能であり、
該オットマンの両端部には、それぞれ黒丸のローラが取り付けられている、リクライニングチェアATX-151。」(審決注:以下「公用発明」という。)

第7 当審の判断
1.無効理由1について:特許法第29条第1項第2号及び第3号
(1)甲第6号証について
ア.本件特許発明1と甲第6号証発明との対比
本件特許発明1と甲第6号証発明とを対比すると
(ア)後者の「オットマン」、「肘掛」、「背もたれ」、「リクライニングリラックスチェア」、「オットマンのフレーム」、「背もたれのフレーム」、「座部のフレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「係止部」、「肘掛のフレーム」、「座部のフレームの開放する側の両端部の下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」、「座部のフレームの湾曲部の端部の連結棒」、「オットマンのフレームの連結棒」及び「オットマンの連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」は、それぞれ前者の「レッグレスト」、「アームレスト」、「バックレスト」、「リクライニング椅子」、「レッグレストフレーム」、「バックレストフレーム」、「座部フレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「係止部」、「アームレストフレーム」、「座部フレームの開放する側の両端部の下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」、「座部フレームの湾曲部の端部の連結棒」、「レッグレストフレームの連結棒」及び「レッグレストフレームの連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」に相当する。
(イ)後者は、「肘掛を軽く上げるだけで背もたれが戻るオートリターン機構を有する肘掛操作式の」リクライニングリラックスチェアであるから、「アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子」といえる。
(ウ)後者の「座部のフレーム」は、「背もたれのフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される」ものであるから、「バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレーム」といえる。
(エ)後者の「脚部」と前者の「脚部」とは、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる」ものである点で一致する。
(オ)後者の「肘掛のフレーム」は、「後端側をピンにより背もたれのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有する」ものであるから、「後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレーム」といえる。
(カ)後者の「湾曲部」と前者の「湾曲部」とは、「座部フレームの開放する側の両端部が下方に鈍角状に折り曲げられたもの」である点で一致する。
(キ)後者の「オットマンのフレーム」と前者の「レッグレストフレーム」とは、「座部フレームの前方から引き出し可能であ」る点、及びその「開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられて」いる点で一致する。
(ク)後者は、「オットマンのフレームが引き出される際には、その当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止するものである」から、「レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するものである」といえる。

したがって本件特許発明1のうち、
「レッグレストを備え、アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子であって、
レッグレストフレームと、
バックレストフレームと、
前記バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレームと、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレームとを具備し、
前記座部フレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており、
前記レッグレストフレームが前記座部フレームの前方から引き出し可能であり、
該レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており、前記レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するものであるリクライニング椅子。」
は、甲第6号証に記載されたものといえ、以下の点で一応相違する。

【相違点6】
本件特許発明1がレッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するものであるのに対し、甲第6号証発明は、その点明らかでない点。

イ.相違点についての検討
本件特許明細書の段落【0032】には「レッグレストフレーム19が座部フレーム14の前方に最大限に引き出されると、円形当接部材19cは座部フレーム14の湾曲部14cの基端部に滑らかに当接する。すなわち鈍角状の湾曲部14cにより徐々に停止していくので、強く引き出しても衝撃がない。」と記載されているように、本件特許発明1の実施例では、円形当接部材19cが、座部フレーム14の鈍角状の湾曲部14cの基端部に「滑らかに当接」し、「徐々に停止していく」ものである。
そして、本件特許発明1の実施例をさらにみても、円形当接部材と、座部フレームの鈍角状の湾曲部との協働関係により、円形当接部材が、座部フレームの鈍角状の湾曲部の基端部に「滑らかに当接」し、「徐々に停止していく」という機能が実現されていると解されるが、その他の構成の関与については何ら記載がない。よって、上記協働関係は、少なくとも、本件特許明細書の図9(B)のような形状の「鈍角状の湾曲部」と「円形当接部材」であれば奏されるものと考えられる。
そうすると、少なくとも、「開放する側の両端部に下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成された座部フレーム」と、「開放する側の両端部近傍に連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端に、それぞれ円形当接部材が取り付けられたレッグレストフレーム」との構成を有するとともに、その「鈍角状に折り曲げられた湾曲部」と「円形当接部材」とが本件特許明細書の図9(B)のような形状を有しているリクライニング椅子であれば、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するという機能を奏するものと解するのが相当である。
そこで、甲第6号証をみると、甲第6号証には、上記「第5 6.」のとおり、「円形当接部材」、「座部のフレームの開放する側の両端部の下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」及び「円形当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して」いること、並びに、「円形当接部材」と「座部のフレームの湾曲部」とが当接するのが、座部のフレームが引き出された際である点が開示されている。そして、甲第6号証の「鈍角状に折り曲げられた湾曲部」及び「円形当接部材」は、本件特許明細書の図面【図9】(B)のような形状を有していると認められる。したがって、甲第6号証のリクライニング椅子は、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するという機能を奏するものと認められる。
したがって、上記相違点は実質的な相違点ではないから、本件特許発明1は、甲第6号証に記載された発明である。

ウ.本件特許発明2について
甲第6号証発明の「引き出し可能なオットマンのフレームが座部のフレームの下方に収納されており」は、本件特許発明2の「引き出し可能な前記レッグレストフレームが前記座部フレームの下方に収納されている」に相当する。
上記のとおりであるから、本件特許発明2のその余の発明特定事項は、甲第6号証発明に記載されている。
してみると、本件特許発明2は、甲第6号証に記載されているといえる。
したがって、本件特許発明2は、甲第6号証に記載された発明である。

エ.本件特許発明3について
甲第6号証発明には、本件特許発明3の「引き出し可能な前記レッグレストフレームが前記座部フレームの内部に収納されている」との発明特定事項を具備しているものとはいえない。
したがって、本件特許発明3が、甲第6号証発明と同一であるとすることはできない。

オ.本件特許発明4について
甲第6号証発明の「前記座部のフレームは、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンによって前記前脚フレームの略中間部に枢支され、その対向する側部の後端部位がピンによって前記背もたれのフレームの下端近傍に枢支され、前記後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位がピンによって連結リンクに枢支され、前記ピンを枢軸としてリクライニングリラックスチェアが折り畳まれる」は、本件特許発明4の「前記座部フレームは、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンP3によって前記前脚フレームの略中間部に枢支され、その対向する側部の後端部位がピンP4によって前記バックレストフレームの下端近傍に枢支され、前記後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位がピンP5によって連結リンクに枢支され、前記ピンP1ないし前記ピンP5を枢軸としてリクライニング椅子が折り畳まれる」に相当する。
上記のとおりであるから、請求項1もしくは請求項3を引用する本件特許発明4のその余の発明特定事項は、甲第6号証発明に記載されている。
してみると、本件特許発明4は、甲第6号証に記載されているといえる。
したがって、本件特許発明4は、甲第6号証に記載された発明である。

(2)甲第1号証について
ア.本件特許発明1と甲第1号証発明との対比
本件特許発明1と甲第1号証発明とを対比すると
(ア)後者の「スライド式オットマン」、「ひじ掛け」、「背もたれ」、「リクライニングチェア」、「スライド式オットマンのフレーム」、「背もたれのフレーム」、「座部フレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「係止部」、「ひじ掛けのフレーム」、「座部のフレームの両端部の下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」、「座部のフレームの湾曲部の両端部の連結棒」、「スライド式オットマンのフレームの両端部近傍の連結棒」及び「スライド式オットマンの連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」は、それぞれ前者の「レッグレスト」、「アームレスト」、「バックレスト」、「リクライニング椅子」、「レッグレストフレーム」、「バックレストフレーム」、「座部フレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「係止部」、「アームレストフレーム」、「座部フレームの両端部の下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」、「座部フレームの湾曲部の端部の連結棒」、「レッグレストフレームの両端部近傍には連結棒」及び「レッグレストフレームの連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」に相当する。
(イ)後者は、「ひじ掛けを引き上げることにより背もたれの角度を9段階(90?130度)に調整できるようにしたひじ掛け引き上げ式リクライニングチェア」であるから、アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子といえる。
(ウ)後者の「座部フレーム」は、「背もたれの下端部に後端部位がピンにより枢支される」ものであるから、「バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレーム」といえる。
(エ)後者の「脚部」と前者の「脚部」とは、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる」ものである点で共通する。
(オ)後者の「ひじ掛けのフレーム」は、「後端側をピンにより背もたれのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に交差部を所定の位置に係止可能とした係止部を有する」ものであるから、「後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレーム」といえる。
(カ)後者の「湾曲部」と前者の「湾曲部」とは、「座部フレームの両端部が下方に鈍角状に折り曲げられたもの」である点で共通する。
(キ)後者の「スライド式オットマンのフレーム」と前者の「レッグレストフレーム」とは、「座部フレームの前方から引き出し可能であ」る点で共通する。
(ク)後者の「連結棒」が取り付けられている「座部のフレームの湾曲部の両端部」及び「スライド式オットマンのフレームの両端部近傍」は、開放されていることは明らかであるから、「開放する側」といえる。
(ケ)後者は、「スライド式オットマンのフレームが引き出される際には、その当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止するもの」であるから、「レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するもの」といえる。

したがって両者は、
「レッグレストを備え、アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子であって、
レッグレストフレームと、
バックレストフレームと、
前記バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレームと、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレームとを具備し、
前記座部フレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており、
前記レッグレストフレームが前記座部フレームの前方から引き出し可能であり、
該レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており、前記レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するものであるリクライニング椅子。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点1】
本件特許発明1がレッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するものであるのに対し、甲第1号証発明は、その点明らかでない点。

イ.相違点についての検討
甲第1号証をみると、甲第1号証の「当接部材」の形状は定かでないから、甲第1号証の「当接部材」は、本件特許明細書の図面【図9】(B)のような形状を有しているとは認められないし、レッグレストフレームが停止するにあたっての動作を推認するに足る事項が甲第1号証から把握できない。したがって、甲第1号証のリクライニングチェアは、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するという機能を奏するものとは認められない。
よって、甲第1号証発明は、本件特許発明1を特定するために必要な、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するものである点との発明特定事項を具備しているものとはいえない。
したがって、本件特許発明1が、甲第1号証発明であるとすることはできない。

ウ.本件特許発明2乃至本件特許発明4について
本件特許発明2乃至本件特許発明4は、何れも本件特許発明1を引用して本件特許発明1を更に限定したものであって、上記のとおり、本件特許発明1が、甲第1号証発明と同一であるとすることはできないから、同様に本件特許発明2乃至本件特許発明4は、甲第1号証発明と同一であるとすることはできない。

(3)甲第2号証について
ア.本件特許発明1と甲第2号証発明との対比
本件特許発明1と甲第2号証発明とを対比すると
(ア)後者の「スライド式オットマン」、「ヒジ掛け」、「ハイバック」、「リクライニングチェア」、「スライド式オットマンのフレーム」、「ハイバックのフレーム」、「座部フレーム」、「前脚の角形フレーム」、「後脚の角形フレーム」、「脚部角形フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「係止部」、「ヒジ掛けのフレーム」、「座部のフレームの両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」、「座部のフレームの湾曲部の端部の連結棒」、「スライド式オットマンのフレームの両端部近傍には連結棒」及び「スライド式オットマンの連結棒の両端部から突出する先端のL字状当接部材」は、それぞれ前者の「レッグレスト」、「アームレスト」、「バックレスト」、「リクライニング椅子」、「レッグレストフレーム」、「バックレストフレーム」、「座部フレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「係止部」、「アームレストフレーム」、「座部フレームの両端部の下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」、「座部フレームの湾曲部の端部の連結棒」、「レッグレストフレームの両端部近傍の連結棒」及び「レッグレストフレームの連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」に相当する。
(イ)後者は、「ハイバックが12段階リクライニングする」ものであるから、「バックレストを傾倒・起立させるようにした」といえる。
(ウ)後者の「座部フレーム」は、「ハイバックのフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される」ものであるから、「バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレーム」といえる。
(エ)後者の「脚部」は、「前脚の角形スチールパイプと後脚の角形スチールパイプの左右上方端部の交差部を枢支してなる」ものであるから、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部」といえる。
(オ)後者の「ヒジ掛けのフレーム」は、「後端側をピンによりハイバックのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部が所望の位置に係止可能とした係止部を有する」ものであるから、「後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレーム」といえる。
(カ)後者の「湾曲部」と前者の「湾曲部」とは、「座部フレームの両端部が下方に鈍角状に折り曲げられたもの」である点で共通する。
(キ)後者の「スライド式オットマンのフレーム」と前者の「レッグレストフレーム」とは、「座部フレームの前方から引き出し可能であ」る点で共通する。
(ク)後者の「連結棒」が取り付けられている「座部のフレームの湾曲部の両端部」及び「スライド式オットマンのフレームの両端部近傍」は、開放されていることは明らかであるから、「開放する側」といえる。
(ケ)後者は、「スライド式オットマンのフレームが引き出される際には、そのL字状当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するもの」であるから、「レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するもの」といえる。
したがって両者は、
「レッグレストを備え、バックレストを傾倒・起立させるようにしたリクライニング椅子であって、
レッグレストフレームと、
バックレストフレームと、
前記バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレームと、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレームとを具備し、
前記座部フレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており、
前記レッグレストフレームが前記座部フレームの前方から引き出し可能であり、
該レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており、前記レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するものであるリクライニング椅子。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点2-1】
本件特許発明1が「アームレストの操作により」バックレストを傾倒・起立させるようにした「アームレスト操作式の」リクライニング椅子であるのに対し、甲第2号証発明は、その点明らかでない点。
【相違点2-2】
本件特許発明1がレッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するものであるのに対し、甲第2号証発明は、その点明らかでない点。

イ.相違点についての検討
甲第2号証発明は、本件特許発明1を特定するために必要な、「アームレストの操作により」バックレストを傾倒・起立させるようにした「アームレスト操作式の」リクライニング椅子である点との発明特定事項を具備しているものとはいえない。
また、甲第2号証をみると、甲第2号証の「L字状当接部材」は、本件特許明細書の図面【図9】(B)のような形状を有しているとは認められず、むしろ、L字状当接部材は、湾曲部に当接し、その直後にレッグレストフレームが、次第に減速するのではなく、ほぼ一瞬にして停止するものと認められるから、甲第2号証のリクライニングチェアは、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するという機能を奏するものとは認められない。
よって、甲第2号証発明は、本件特許発明1を特定するために必要な、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するものである点との発明特定事項を具備しているものとはいえない。
したがって、本件特許発明1が、甲第2号証発明であるとすることはできない。

ウ.本件特許発明2乃至本件特許発明4について
本件特許発明2乃至本件特許発明4は、何れも本件特許発明1を引用して本件特許発明1を更に限定したものであって、上記のとおり、本件特許発明1が、甲第2号証発明と同一であるとすることはできないから、同様に本件特許発明2乃至本件特許発明4は、甲第2号証発明と同一であるとすることはできない。

(4)甲第3号証について
ア.本件特許発明1と甲第3証発明との対比
本件特許発明1と甲第3号証発明とを対比すると
(ア)後者の「スライド式足マット」、「アームレスト」、「バックレスト」、「くつろぎマッサージチェア」、「スライド式足マットのフレーム」、「バックレストのフレーム」、「座部フレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「係止部」、「アームレストのフレーム」、「座部のフレームの両端部の下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」、「座部のフレームの湾曲部の端部の連結棒」,「スライド式足マットのフレームの両端部近傍の連結棒」及び「スライド式足マットの連結棒の両端部から突出する先端のL字状当接部材」は、それぞれ前者の「レッグレスト」、「アームレスト」、「バックレスト」、「リクライニング椅子」、「レッグレストフレーム」、「バックレストフレーム」、「座部フレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「係止部」、「アームレストフレーム」、「座部のフレームの両端部の下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」、「座部フレームの湾曲部の端部の連結棒」、「レッグレストフレームの両端部近傍の連結棒」及び「レッグレストフレームの連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」に相当する。
(イ)後者は、「バックレストを11段階リクライニングさせるようにした」ものであるから、「バックレストを傾倒・起立させるようにした」といえる。
(ウ)後者の「座部フレーム」は、「バックレストのフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される」ものであるから、「バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレーム」といえる。
(エ)後者の「脚部」と前者の「脚部」とは、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる」ものである点で共通する。
(オ)後者の「アームレストのフレーム」は、「後端側をピンによりバックレストのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部有する」ものであるから、「後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレーム」といえる。
(カ)後者の「湾曲部」と前者の「湾曲部」とは、「座部フレームの両端部が下方に鈍角状に折り曲げられたもの」である点で共通する。
(キ)後者の「座部フレームの連結棒」と前者の「座部フレームの連結棒」とは、「座部フレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部に取り付けられて」いるものである点で共通する。
(ク)後者の「スライド式足マットのフレーム」と前者の「レッグレストフレーム」とは、「座部フレームの前方から引き出し可能であ」る点で共通する。
(ケ)後者の「連結棒」が取り付けられている「座部のフレームの湾曲部の両端部」及び「スライド式足マットのフレームの両端部近傍」は、開放されていることは明らかであるから、「開放する側」といえる。
(コ)後者は、「スライド式足マットのフレームが引き出される際には、そのL字状当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止するもの」であるから、「レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するもの」といえる。

したがって両者は、
「レッグレストを備え、バックレストを傾倒・起立させるようにしたリクライニング椅子であって、
レッグレストフレームと、
バックレストフレームと、
前記バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレームと、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレームとを具備し、
前記座部フレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており、
前記レッグレストフレームが前記座部フレームの前方から引き出し可能であり、
該レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており、前記レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するものであるリクライニング椅子。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点3-1】
本件特許発明1が「アームレストの操作により」バックレストを傾倒・起立させるようにした「アームレスト操作式の」リクライニング椅子であるのに対し、甲第3号証発明は、その点明らかでない点。
【相違点3-2】
本件特許発明1がレッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するものであるのに対し、甲第3号証発明は、その点明らかでない点。

イ.相違点についての検討
甲第3号証発明は、本件特許発明1を特定するために必要な、「アームレストの操作により」バックレストを傾倒・起立させるようにした「アームレスト操作式の」リクライニング椅子である点との発明特定事項を具備しているものとはいえない。
また、甲第3号証をみると、甲第3号証の「L字状当接部材」は、本件特許明細書の図面【図9】(B)のような形状を有しているとは認められず、むしろ、L字状当接部材は、湾曲部に当接し、その直後にレッグレストフレームが、次第に減速するのではなく、ほぼ一瞬にして停止するものと認められるから、甲第3号証のくつろぎマッサージチェアは、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するという機能を奏するものとは認められない。
よって、甲第3号証発明は、本件特許発明1を特定するために必要な、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するものである点との発明特定事項を具備しているものとはいえない。
したがって、本件特許発明1が、甲第3号証発明であるとすることはできない。

ウ.本件特許発明2乃至本件特許発明4について
本件特許発明2乃至本件特許発明4は、何れも本件特許発明1を引用して本件特許発明1を更に限定したものであって、上記のとおり、本件特許発明1が、甲第3号証発明と同一であるとすることはできないから、同様に本件特許発明2乃至本件特許発明4は、甲第3号証発明と同一であるとすることはできない。

(5)甲第4号証について
ア.本件特許発明1と甲第4号証発明との対比
本件特許発明1と甲第4号証発明とを対比すると
(ア)後者の「引き出し式フットレスト」、「肘掛け」、「背もたれ」、「リクライニングさせるようにしたアームチェア」、「引き出し式フットレストのフレーム」、「背もたれのフレーム」、「座部フレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「係止部」、「肘掛けのフレーム」、「座部のフレームの両端部の下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」,「座部のフレームの湾曲部の端部の連結棒」、「引き出し式フットレストのフレームの両端部近傍の連結棒」及び「引き出し式フットレストの連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」は、それぞれ前者の「レッグレスト」、「アームレスト」、「バックレスト」、「リクライニング椅子」、「レッグレストフレーム」、「バックレストフレーム」、「座部フレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「係止部」、「アームレストフレーム」、「座部フレームの両端部の下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」、「座部フレームの湾曲部の端部には連結棒」、「レッグレストフレームの両端部近傍の連結棒」及び「レッグレストフレームの連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」に相当する。
(イ)後者は、「両肘掛けを上げるだけで背もたれを6段階リクライニングさせるようにした両肘掛け操作式のアームチェア」であるから、「アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子」といえる。
(ウ)後者の「座部フレーム」は、「背もたれのフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される」ものであるから、「バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレーム」といえる。
(エ)後者の「脚部」と前者の「脚部」とは、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる」ものである点で共通する。
(オ)後者の「肘掛けのフレーム」は、「後端側をピンにより背もたれのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ、内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有する」ものであるから、「後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレーム」といえる。
(カ)後者の「湾曲部」と前者の「湾曲部」とは、「座部フレームの両端部が下方に鈍角状に折り曲げられたもの」である点で共通する。
(キ)後者の「引き出し式フットレストのフレーム」と前者の「レッグレストフレーム」とは、「座部フレームの前方から引き出し可能であ」る点で共通する。
(ク)後者の「連結棒」が取り付けられている「座部のフレームの湾曲部の端部」及び「引き出し式フットレストのフレームの両端部近傍」は、開放されていることは明らかであるから、「開放する側」といえる。
(コ)後者は、「引き出し式フットレストのフレームが引き出される際には、その当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止するもの」であるから、「レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するもの」といえる。

したがって両者は、
「レッグレストを備え、アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子であって、
レッグレストフレームと、
バックレストフレームと、
前記バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレームと、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレームとを具備し、
前記座部フレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており、
前記レッグレストフレームが前記座部フレームの前方から引き出し可能であり、
該レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており、前記レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するものであるリクライニング椅子。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点4】
本件特許発明1がレッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するものであるのに対し、甲第4号証発明は、その点明らかでない点。

イ.相違点についての検討
甲第4号証をみると、甲第4号証の「当接部材」の形状は定かでないから、甲第4号証の「当接部材」は、本件特許明細書の図面【図9】(B)のような形状を有しているとは認められないし、レッグレストフレームが停止するにあたっての動作を推認するに足る事項が甲第4号証から把握できない。したがって、甲第4号証のアームチェアは、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するという機能を奏するものとは認められない。
よって、甲第4号証発明は、本件特許発明1を特定するために必要な、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するものである点との発明特定事項を具備しているものとはいえない。
したがって、本件特許発明1が、甲第4号証発明であるとすることはできない。

ウ.本件特許発明2乃至本件特許発明4について
本件特許発明2乃至本件特許発明4は、何れも本件特許発明1を引用して本件特許発明1を更に限定したものであって、上記のとおり、本件特許発明1が、甲第4号証発明と同一であるとすることはできないから、同様に本件特許発明2乃至本件特許発明4は、甲第4号証発明と同一であるとすることはできない。

(6)甲第5号証について
ア.本件特許発明1と甲第5号証発明との対比
本件特許発明1と甲第5号証発明とを対比すると
(ア)後者の「格納式オットマン」、「背もたれ」、「リクライニングチェア」、「格納式オットマンのフレーム」、「背もたれのフレーム」、「座部フレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「係止部」、「アームレストフレーム」、「座部のフレームの両端部の下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」、「座部のフレームの湾曲部の端部には連結棒」、「格納式オットマンのフレームの両端部近傍の連結棒」及び「連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」は、それぞれ前者の「レッグレスト」、「バックレスト」、「リクライニング椅子」、「レッグレストフレーム」、「バックレストフレーム」、「座部フレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「係止部」、「アームレストフレーム」、「座部フレームの開放する側の両端部の下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」、「座部フレームの湾曲部の端部の連結棒」、「レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍の連結棒」及び「レッグレストフレームの連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」に相当する。
(イ)後者は、「背もたれをリクライニングさせるようにした」リクライニングチェアであるから、「バックレストを傾倒・起立させるようにした」といえる。
(ウ)後者の「座部フレーム」は、「背もたれのフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される」ものであるから、「バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレーム」といえる。
(エ)後者の「脚部」と前者の「脚部」とは、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる」ものである点で共通する。
(オ)後者の「アームレストフレーム」は、「後端側をピンにより背もたれのフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有する」ものであるから、「後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレーム」といえる。
(カ)後者の「湾曲部」と前者の「湾曲部」とは、「座部フレームの両端部が下方に鈍角状に折り曲げられたもの」である点で共通する。
(キ)後者の「格納式オットマンのフレーム」と前者の「レッグレストフレーム」とは、「座部フレームの前方から引き出し可能であ」る点で共通する。
(ク)後者の「連結棒」が取り付けられている「座部のフレームの湾曲部の端部」及び「格納式オットマンのフレームの両端部近傍」は、開放されていることは明らかであるから、「開放する側」といえる。
(コ)後者は、「格納式オットマンのフレームが引き出される際には、その当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止するもの」であるから、「レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するもの」といえる。

したがって両者は、
「レッグレストを備え、バックレストを傾倒・起立させるようにしたリクライニング椅子であって、
レッグレストフレームと、
バックレストフレームと、
前記バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレームと、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレームとを具備し、
前記座部フレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており、
前記レッグレストフレームが前記座部フレームの前方から引き出し可能であり、
該レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており、前記レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するものであるリクライニング椅子。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点5-1】
本件特許発明1が「アームレストの操作により」バックレストを傾倒・起立させるようにした「アームレスト操作式の」リクライニング椅子であるのに対し、甲第5号証発明は、その点明らかでない点。
【相違点5-2】
本件特許発明1がレッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するものであるのに対し、甲第5号証発明は、その点明らかでない点。

イ.相違点についての検討
甲第5号証発明は、本件特許発明1を特定するために必要な、「アームレストの操作により」バックレストを傾倒・起立させるようにした「アームレスト操作式の」リクライニング椅子である点との発明特定事項を具備しているものとはいえない。
また、甲第5号証をみると、甲第5号証の「当接部材」は、本件特許明細書の図面【図9】(B)のような形状を有しているとは認められないし、レッグレストフレームが停止するにあたっての動作を推認するに足る事項が甲第5号証から把握できない。したがって、甲第5号証のリクライニングチェアは、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するという機能を奏するものとは認められない。
よって、甲第5号証発明は、本件特許発明1を特定するために必要な、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するものである点との発明特定事項を具備しているものとはいえない。
したがって、本件特許発明1が、甲第5号証発明であるとすることはできない。

ウ.本件特許発明2乃至本件特許発明4について
本件特許発明2乃至本件特許発明4は、何れも本件特許発明1を引用して本件特許発明1を更に限定したものであって、上記のとおり、本件特許発明1が、甲第5号証発明と同一であるとすることはできないから、同様に本件特許発明2乃至本件特許発明4は、甲第5号証発明と同一であるとすることはできない。

(7)甲第7号証について
ア.甲第7号証の刊行物性について
(ア)甲第7号証の記載事項
「注 本成績書の内容を広告物その他に掲載する時は、予め本試験所理事長の承認を受けて下さい。」(上記「第5 7. (5)」参照。)
(イ)平成27年6月18日付けの上申書(被請求人)に添付された参考資料の記載事項
「(2)検査の秘密保持
当試験所は、受託した検査により知り得た事項を、ご依頼者様及びご指定いただいた者以外に開示いたしません。」
(ウ)刊行物性についての検討
上記(ア)及び(イ)の記載事項から、財団法人 日本文化用品安全試験所が行った試験の「試験成績報告書」の内容及び前記試験所が「受託した検査により知り得た事項」のいずれも、不特定多数が見ることができるような状態に置くことを目的としていない。
してみると、甲第7号証に記載された事項は、不特定多数が見ることができるような状態に置くことを目的としているものではないから、甲第7号証は公衆に対し、頒布により公開を目的として作成された文書でないから、刊行物とはいえない。
よって、甲第7号証は、本件特許の出願前に頒布された刊行物ではないから、当該甲第7号証に基いて本件特許発明1乃至本件特許発明4の新規性を否定することはできない。

仮に、甲第7号証が刊行物であるとした場合、甲第7号証に基づく新規性の有無について、以下検討する。
イ.本件特許発明1と甲第7号証発明との対比
本件特許発明1と甲第7号証発明とを対比すると
(ア)後者の「足置き」、「折りたたみリクライニング椅子」、「足置きのフレーム」、「背のフレーム」、「座面のフレーム」、「前脚のフレーム」、「後脚のフレーム」、「前脚のフレームと後脚のフレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「肘のフレーム」、「座面のフレームの湾曲部」、「座面のフレームの湾曲部の端部の連結棒」、「足置きのフレームの両端部近傍の連結棒」及び「足置きの連結棒の両端部の先端の当接部材」は、それぞれ前者の「レッグレスト」、「リクライニング椅子」、「レッグレストフレーム」、「バックレストフレーム」、「座部フレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「アームレストフレーム」、「座面のフレームの両端部の下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」、「座面のフレームの湾曲部の端部の連結棒」、「足置きのフレームの両端部近傍の連結棒」及び「足置きの連結棒の両端部から突出する先端の当接部材」に相当する。
(イ)後者は、「背が傾倒・起立する」折りたたみリクライニング椅子であるから、「バックレストを傾倒・起立させるようにしたリクライニング椅子」といえる。
(ウ)後者の「座面のフレーム」は、「背のフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される」ものであるから、「バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレーム」といえる。
(エ)後者の「脚部」は、「前脚のフレームと後脚のフレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる」ものであるから、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部」といえる。
(オ)後者の「肘のフレーム」は、「後端側をピンにより背のフレームに枢支され、かつ交差部が位置する」ものであるから、「後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され、かつ内部に前記交差部を位置するアームレストフレーム」といえる。
(カ)後者の「湾曲部」は、「座面のフレームの両端部が下方に鈍角状に折り曲げられた」ものであるから、「座部フレームの両端部が下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」といえる。
(キ)後者は、「足置きのフレームが座面のフレームの前方から引き出し可能である」から、「レッグレストフレームが座部フレームの前方から引き出し可能であ」るといえる。
(ク)後者の「連結棒」が取り付けられている「座面のフレームの湾曲部の端部」及び「足置きのフレームの両端部近傍」は、開放されていることは明らかであるから、「開放する側」といえる。
(コ)後者は、「足置きのフレームが引き出される際には、その当接部材が座部のフレームの湾曲部に当接して停止するもの」であるから、「レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するもの」といえる。

したがって両者は、
「レッグレストを備え、バックレストを傾倒・起立させるようにしたリクライニング椅子であって、
レッグレストフレームと、
バックレストフレームと、
前記バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレームと、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され、かつ内部に前記交差部を位置するアームレストフレームとを具備し、
前記座部フレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており、
前記レッグレストフレームが前記座部フレームの前方から引き出し可能であり、
該レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており、前記レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するものであるリクライニング椅子。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点7-1】
本件特許発明1が、「アームレストの操作により」バックレストを傾倒・起立させるようにした「アームレスト操作式の」リクライニング椅子であるのに対し、甲第7号証発明は、その点明らかでない点。
【相違点7-2】
本件特許発明1が、「前端側を上方に回動可能とし」、かつ内部に前記交差部を「所望の位置に係止可能とした係止部を有する」アームレストフレームであるのに対し、甲第7号証発明は、その点明らかでない点。
【相違点7-3】
本件特許発明1がレッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するものであるのに対し、甲第7号証発明は、その点明らかでない点。

ウ.相違点についての検討
甲第7号証発明は、本件特許発明1を特定するために必要な、「アームレストの操作により」バックレストを傾倒・起立させるようにした「アームレスト操作式の」リクライニング椅子である点、及び「前端側を上方に回動可能とし」、かつ内部に前記交差部を「所望の位置に係止可能とした係止部を有する」アームレストフレームである点との発明特定事項を具備しているものとはいえない。
また、甲第7号証をみると、甲第7号証の「当接部材」は、本件特許明細書の図面【図9】(B)のような形状を有しているとは認められないし、レッグレストフレームが停止するにあたっての動作を推認するに足る事項が甲第7号証から把握できない。したがって、甲第7号証のリクライニング椅子は、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するという機能を奏するものとは認められない。
よって、甲第7号証発明は、本件特許発明1を特定するために必要な、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するものである点との発明特定事項を具備しているものとはいえない。
したがって、本件特許発明1が、甲第7号証発明であるとすることはできない。

エ.本件特許発明2乃至本件特許発明4について
本件特許発明2乃至本件特許発明4は、何れも本件特許発明1を引用して本件特許発明1を更に限定したものであって、上記のとおり、本件特許発明1が、甲第7号証発明と同一であるとすることはできないから、同様に本件特許発明2乃至本件特許発明4は、甲第7号証発明と同一であるとすることはできない。

(8)証人國川星太郎の証言について
ア.本件特許発明と公用発明との対比
本件特許発明1と公用発明とを対比すると
(ア)後者の「オットマン」、「アームレスト」、「バックレスト」、「リクライニングチェアATX-151」、「オットマンのフレーム」、「バックレストのフレーム」、「座部のフレーム」、「前脚のフレーム」、「後脚のフレーム」、「前脚のフレームと後脚のフレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「アームレストのフレーム」及び「座部のフレームの湾曲部」は、それぞれ前者の「レッグレスト」、「アームレスト」、「バックレスト」、「リクライニング椅子」、「レッグレストフレーム」、「バックレストフレーム」、「座部フレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「アームレストフレーム」及び「座部フレームの湾曲部」に相当する。
(イ)後者は、「アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式」のリクライニングチェアATX-151であるから、「アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子」といえる。
(ウ)後者の「座部のフレーム」は、「バックレストのフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される」ものであるから、「バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレーム」といえる。
(エ)後者の「脚部」は、「前脚のフレームと後脚のフレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる」ものであるから、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部」といえる。
(オ)後者の「アームレストのフレーム」は、「後端側をピンによりバックレストのフレームに枢支され前端側を回動可能とした」ものであるから、「後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能としたアームレストフレーム」といえる。
(カ)後者の「湾曲部」は、「座部のフレームの両端部が下方に鈍角状に折り曲げられた」ものであるから、「座部フレームの両端部が下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」といえる。
(キ)後者は、「オットマンのフレームが前記座面のフレームの前方から引き出し可能である」から、「レッグレストフレームが座部フレームの前方から引き出し可能であ」るといえる。

したがって両者は、
「レッグレストを備え、アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子であって、
レッグレストフレームと、
バックレストフレームと、
前記バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレームと、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能としたアームレストフレームとを具備し、
前記座部フレームの両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、
前記レッグレストフレームが前記座部フレームの前方から引き出し可能である、リクライニング椅子。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点8-1】
本件特許発明1が「内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有する」アームレストフレームを有するのに対し、公用発明は、その点明らかでない点。
【相違点8-2】
本件特許発明1の湾曲部が座部フレームの「開放する側の」両端部に形成されているのに対し、公用発明は、その点明らかでない点。
【相違点8-3】
本件特許発明1が座部フレームの湾曲部の端部には「連結棒」が取り付けられているのに対し、公用発明は、その点明らかでない点。
【相違点8-4】
本件特許発明1が「レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止するものである」のに対し、公用発明は、その点明らかでない点。

イ.相違点についての検討
公用発明は、本件特許発明1を特定するために必要な、「内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレーム」を有する点、湾曲部が座部フレームの「開放する側の」両端部に形成されている点、座部フレームの湾曲部の端部には「連結棒」が取り付けられている点、及び「レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており、レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止するものである」点との発明特定事項を具備しているものとはいえない。
したがって、本件特許発明1が、公用発明であるとすることはできない。

エ.本件特許発明2乃至本件特許発明4について
本件特許発明2乃至本件特許発明4は、何れも本件特許発明1を引用して本件特許発明1を更に限定したものであって、上記のとおり、本件特許発明1が、公用発明と同一であるとすることはできないから、同様に本件特許発明2乃至本件特許発明4は、公用発明と同一であるとすることはできない。

2.無効理由2について:特許法第29条第2項
(1)本件特許発明1と甲第9号証発明との対比
本件特許発明1と甲第9号証発明とを対比すると
ア.後者の「フットレスト」、「アームレスト」、「バックレスト」、「リクライニングチェア」、「フットレストフレーム」、「バックレストフレーム」、「座部フレーム」、「前方脚部フレーム」、「後方脚部フレーム」、「前方脚部フレームと後方脚部フレームの左右上方端部のピンP1」、「脚部」,「係止部」及び「アームレストフレーム」は、それぞれ前者の「レッグレスト」、「アームレスト」、「バックレスト」、「リクライニング椅子」、「レッグレストフレーム」、「バックレストフレーム」、「座部フレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「脚部」、「係止部」及び「アームレストフレーム」に相当する。
イ.後者は、「アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式」のリクライニングリラックスチェアであるから、「アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子」といえる。
ウ.後者の「座部フレーム」は、「バックレストフレームの下端部に後端部位がピンP5により枢支される」ものであるから、「バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレーム」といえる。
エ.後者の「脚部」は、「前方脚部フレームと後方脚部フレームの左右上方端部を傾倒位置決め用のピンP1により枢支してなる」ものであるから、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部」といえる。
オ.後者の「アームレストフレーム」は、「肘側をピンP2により前記バックレストフレームに枢支して指先側を上方に回動可能とし、かつ該指先側内部又は外部に前記ピンP1を所望の位置に係止可能とした係止部を有する」ものであるから、「後端側をピンによりバックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレーム」といえる。
カ.後者の「座部フレーム」は、「下方に引き出し式のフットレストが収納され」るものであり、後者の「フットレスト」は、金属製のパイプにより後端側が開放されてコの字状に形成された「フットレストフレーム」及びこのフットレストフレーム間に懸架されたバネ部材を布製のクッション部材で装着してなり、「ケース状の座部フレーム(兼フットレスト収納ケース)内から必要な長さだけ引き出して使用され」るものであるから、「レッグレストフレームが座部フレームの前方から引き出し可能であ」るといえる。

したがって両者は、
「レッグレストを備え、アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子であって、
レッグレストフレームと、
バックレストフレームと、
前記バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレームと、
前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部と、
後端側をピンにより前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレームとを具備し、
前記レッグレストフレームが前記座部フレームの前方から引き出し可能であるリクライニング椅子。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

【相違点9-1】
本件特許発明1が、「座部フレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられて」いるのに対し、甲第9号証発明は、そのようなものではない点。
【相違点9-2】
本件特許発明1が「レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられて」いるのに対し、甲第9号証発明は、そのようなものではない点。
【相違点9-3】
本件特許発明1が「レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止するものである」のに対し、甲第9号証発明は、そのようなものではない点。

(2)判断
ア.甲第9号証と甲第10号証に基づく判断
(ア)相違点9-1について
甲第10号証発明は上記のとおりであって、甲第10号証発明の「足台」、「ひじ掛け部」、「背もたれ」、「ソファ」、「足台フレーム」、「背もたれフレーム」、「座部フレーム」、「前方脚縦フレーム」、「後方脚縦フレーム」、「前方脚部と後方脚部との頂部交点」、「座部フレームの幅方向両側に形成した下方に屈曲する屈曲部」、「屈曲部の下方に設けた支持部」及び「終端部材」は、それぞれ本件特許発明1の「レッグレスト」、「アームレスト」、「バックレスト」、「リクライニング椅子」、「レッグレストフレーム」、「バックレストフレーム」、「座部フレーム」、「前脚フレーム」、「後脚フレーム」、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部」、「座部フレームの両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部」、「湾曲部の端部の連結棒」及び「当接部材」に相当する。
甲第10号証発明の「ひじ掛け部」は、「その後端が背もたれフレームの両背もたれ縦フレーム部に回動自在となるようにピン軸等を使用した枢支部P_(2)により枢支連結され、ひじ掛け部の下面側には、傾斜調整部材が装着され」、「背もたれの座部に対する角度調節を行なうには、まず、ひじ掛け部を上方に軽く持ち上げ」るものであるから、「アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式」といえる。
甲第10号証発明は、「座部フレームの後端と背もたれフレームの下端とがリクライニング機構及び折畳可能となるように回動自在にピン軸等を使用した枢支部P_(1)により枢支連結され」ているものであるから、「バックレストフレームの下端部に後端部位がピンにより枢支される座部フレーム」を有するといえる。
甲第10号証発明の「前方脚部」、「後方脚部」及び「前方脚部と後方脚部との頂部交点を回転自在に連結するジョイント部材」はその機能と構造から、「前脚フレームと後脚フレームの左右上方端部の交差部を枢支してなる脚部」といえる。
甲第10号証発明の「ひじ掛け部」は、「その後端が背もたれフレームの両背もたれ縦フレーム部に回動自在となるようにピン軸等を使用した枢支部P_(2)により枢支連結され、ひじ掛け部の下面側には、傾斜調整部材が装着され」るものであるから、「後端側をピンによりバックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレーム」といえる。
甲第10号証発明の「座部フレーム」は、「略「コ」字形状を構成する」ものであるから、「座部フレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており」といえる。
甲第10号証発明は、「足台フレームの使用については、まず足台フレームを座部フレームより前方に引き出」すものであるから、「レッグレストフレームが座部フレームの前方から引き出し可能であり」といえる。そして、「このとき足台フレームの足台縦方向フレーム部が、座部縦フレーム部に設けたガイド杆に沿って移動し、足台フレームを座部フレームの前方に最大に出し切ったときに、終端部材の当接部が足台縦方向フレーム部先端の屈曲部に位置し、当接部が屈曲部の下方より当接し、係合凹部は、支持部の上方より係合する」ものであるから、「レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止するものである」といえる。
そうすると、甲第10号証発明には、上記相違点9-1に係る本件特許発明1の発明特定事項である「座部フレームの開放する側の『両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられて』」いる点が示されている。
そして、甲第9号証発明と甲第10号証発明とは、共にリクライニング椅子に関する技術分野に属し、また、バックレストフレームの傾倒角度に関係なくリクライニングレッグレストフレームが座部フレームの前方から引き出し可能となる構造を採用することで、着座者の体格や好みに応じて調整することができるという自明の課題を有するものであるから、甲第9号証発明に甲第10号証発明を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、甲第9号証発明において、甲第10号証発明を適用することにより、相違点9-1に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(イ)相違点9-2について
甲第10号証発明については、上記のとおりであって、上記相違点9-2に係る本件特許発明1の発明特定事項である「レッグレストフレームの『開放する側』の両端部近傍には『連結棒』が取り付けられ、『連結棒の両端部から突出する先端』には、それぞれ当接部材が取り付けられて」いる点は甲第10号証発明には示されていない。
してみると、甲第9号証発明に甲第10号証発明を適用しても、相違点9-2に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることを、当業者が容易に導き出すことはできない。
また、上記相違点9-2に係る本件特許発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計的事項であるとする根拠もない。
そして、本件特許発明1は、上記相違点9-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を具備することにより、本件特許明細書に記載の「この状態でレッグレストフレーム19の先部に荷重を加えても、円形当接部材19cが座部フレーム14の下面に当たって支えるため、レッグレストフレーム19の先部はこれ以上下がらない。」(【0032】)という作用効果を奏するものである。
したがって、上記相違点9-2に係る本件特許発明1の発明特定事項は、甲第9号証発明及び甲第10号証発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
そして、甲第9号証発明において、他に上記相違点9-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとなすことを、当業者が容易に想到し得たといえる根拠も見当たらない。

(ウ)相違点9-3について
また、甲10号証発明は、足台フレームを座部フレームの前方に最大に出し切った時に、足台フレームの当接部の円弧状面が座部フレームの屈曲部の下方より当接するものである。そして、甲第10号証の「座部フレームの屈曲部」及び「当接部の円弧状面」は、本件特許明細書の図面【図9】(B)のような形状を有しているとは認められないし、足台フレームが停止するにあたっての動作を推認するに足る事項が甲第10号証から把握できない。したがって、甲第10号証発明は、足台フレームの当接部が座部フレームの屈曲部に「滑らかに」当接して「徐々に」停止するとはいえないから、上記相違点9-3に係る本件特許発明1の発明特定事項である「レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に『滑らかに』当接して『徐々に』停止するものである」点は甲第10号証発明には示されていない。
してみると、甲第9号証発明に甲第10号証発明を適用しても、相違点9-3に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることを、当業者が容易に導き出すことはできない。
また、上記相違点9-3に係る本件特許発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計的事項であるとする根拠もない。
そして、本件特許発明1は、上記相違点9-3に係る本件特許発明1の発明特定事項を具備することにより、本件特許明細書に記載の「強く引き出しても衝撃がない。」(【0032】)という作用効果を奏するものである。
したがって、上記相違点9-3に係る本件特許発明1の発明特定事項は、甲第9号証発明及び甲第10号証発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
そして、甲第9号証発明において、他に上記相違点9-3に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとなすことを、当業者が容易に想到し得たといえる根拠も見当たらない。

(エ)小括
したがって、本件特許発明1は、甲第9号証及び甲第10号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(オ)本件特許発明2乃至本件特許発明4について
本件特許発明2乃至本件特許発明4は、何れも本件特許発明1を引用して本件特許発明1を更に限定したものであって、上記のとおり、本件特許発明1が、甲第9号証発明及び甲第10号証発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、同様に本件特許発明2乃至本件特許発明4は、甲第9号証発明及び甲第10号証発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

イ.甲第9号証と周知技術に基づく判断
(ア)周知技術について
上記「第5 6.甲第6号証」に記載されている事項、及び「第7 1.(1)甲第6号証について」の判断、並びに甲第6号証が、我が国の三大紙の1つである朝日新聞の広告欄に係るものであって、当該事項がそのような一般大衆向けの新聞の広告欄に掲載されたという事実、に鑑みれば、次の技術事項が、周知技術と認められる。

「座部フレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられており、
レッグレストフレームが前記座部フレームの前方から引き出し可能であり、
該レッグレストフレームの開放する側の両端部近傍には連結棒が取り付けられ、連結棒の両端部から突出する先端には、それぞれ当接部材が取り付けられており、前記レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止するものであり、
引き出し可能なオットマンのフレームが座部のフレームの下方に収納されており、
前記座部のフレームは、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンによって前記前脚フレームの略中間部に枢支され、その対向する側部の後端部位がピンによって前記背もたれのフレームの下端近傍に枢支され、前記後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位がピンによって連結リンクに枢支され、前記ピンを枢軸としてリクライニングリラックスチェアが折り畳まれる、
リクライニング椅子。」

(イ)相違点9-1について
周知技術は上記のとおりであるから、上記相違点9-1に係る本件特許発明1の発明特定事項である「座部フレームの開放する側の『両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた湾曲部が形成され、該湾曲部の端部には連結棒が取り付けられて』」いる点は周知技術といえる。
そして、甲第9号証発明と上記周知技術とは、共にリクライニング椅子に関する技術分野に属し、レッグレストフレームが座部フレームの前方から引き出し可能であるという作用が共通し、バックレストの起立の操作を容易にするという課題でも共通するものであるから、甲第9号証発明に上記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、甲第9号証発明において、上記周知技術を適用することにより、相違点9-1に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(ウ)相違点9-2について
周知技術は上記のとおりであるから、上記相違点9-2に係る本件特許発明1の発明特定事項である「レッグレストフレームの『開放する側』の両端部近傍には『連結棒』が取り付けられ、『連結棒の両端部から突出する先端』には、それぞれ当接部材が取り付けられて」いる点は周知技術といえる。
そして、上記(イ)で検討したように、甲第9号証発明に上記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、甲第9号証発明において、上記周知技術を適用することにより、相違点9-2に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(エ)相違点9-3について
周知技術は上記のとおりであるから、上記相違点9-3に係る本件特許発明1の発明特定事項である「レッグレストフレームが引き出される際には、その当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止するものであ」る点は周知技術といえる。
そして、上記(イ)で検討したように、甲第9号証発明に上記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、甲第9号証発明において、上記周知技術を適用することにより、相違点9-3に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本件特許発明1によって奏される効果も、甲第9号証及び上記周知技術から、当業者が予測し得る範囲内のものである。

(オ)小括
したがって、本件特許発明1は、甲第9号証及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(カ)本件特許発明2について
周知技術は上記のとおりであるから、本件特許発明2の「引き出し可能な前記レッグレストフレームが前記座部フレームの下方に収納されている」点は周知技術といえる。
そして、上記(イ)で検討したように、甲第9号証発明に上記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、甲第9号証発明において、上記周知技術を適用することにより、本件特許発明2の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本件特許発明2によって奏される効果も、甲第9号証及び上記周知技術から、当業者が予測し得る範囲内のものである。
したがって、本件特許発明2は、甲第9号証及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(キ)本件特許発明3について
甲第9号証発明は上記のとおりであって、本件特許発明3の「引き出し可能な前記レッグレストフレームが前記座部フレームの内部に収納されている」点は甲第9号証発明に記載されている。
そして、上記(イ)で検討したように、甲第9号証発明に上記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、甲第9号証発明において、上記周知技術を適用することにより、本件特許発明3の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本件特許発明3によって奏される効果も、甲第9号証及び上記周知技術から、当業者が予測し得る範囲内のものである。
したがって、本件特許発明3は、甲第9号証及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(ク)本件特許発明4について
周知技術は上記のとおりであるから、本件特許発明4の「前記座部フレームは、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンP3によって前記前脚フレームの略中間部に枢支され、その対向する側部の後端部位がピンP4によって前記バックレストフレームの下端近傍に枢支され、前記後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位がピンP5によって連結リンクに枢支され、前記ピンP1ないし前記ピンP5を枢軸としてリクライニング椅子が折り畳まれる」点は周知技術といえる。
そして、上記(イ)で検討したように、甲第9号証発明に上記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、甲第9号証発明において、上記周知技術を適用することにより、本件特許発明4の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本件特許発明4によって奏される効果も、甲第9号証及び上記周知技術から、当業者が予測し得る範囲内のものである。
したがって、本件特許発明4は、甲第9号証及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.無効理由3について:特許法第36条第6項第2号及び第36条第4項第1号
(1)特許法第36条第6項第2号について
ア.「所望の位置」について
本件請求項1には、「アームレストの操作によりバックレストを傾倒・起立させるようにしたアームレスト操作式のリクライニング椅子」及び「後端側をピンP2により前記バックレストフレームに枢支され前端側を上方に回動可能とし、かつ内部に前記交差部を所望の位置に係止可能とした係止部を有するアームレストフレーム」との記載がある。
そして、本件特許明細書の記載(段落【0024】、【0026】)を参酌すると、バックレストの傾倒・起立角度を調整する際に、アームレストを操作することに伴い、交差部に設けられたピンP1がバックレストの傾倒・起立角度に対応して前後に移動してアームレストの係止部に係止されることが記載されている。
また、一般に、「所望」とは、「望み願うこと。」を意味している。
してみると、本件請求項1の「交差部を所望の位置に係止可能とした係止部」における「所望の位置」とは、着座者の好みに応じたバックレストの傾倒・起立角度とするために、前記傾倒・起立角度に対応した交差部のアームレストフレームの係止部における係止位置を意味することが明確に把握することができる。
よって、本件請求項1の「所望の位置」という記載は明確である。

イ.「座席フレームの湾曲部」について
本件請求項1には、「座部フレーム」と「座席フレーム」との記載がある。
そして、本件請求項1には、「ピンP4により枢支される座部フレーム」、「前記座部フレームの開放する側の両端部」、「前記座部フレームの前方から」と記載されていることから、「座席フレーム」、及び「座部フレーム」が同じ部位を指し示すものであって、「座席フレーム」の記載が誤記であることは明らかである。
そして、このような誤記が無効理由を構成するほどに不明瞭といえるものでもない。
よって、本件請求項1の「座席フレーム」の記載は、不明確とはいえない。

ウ.「湾曲部14c」について
本件請求項1には、「湾曲部」について、「座部フレームの開放する側の両端部は下方に鈍角状に折り曲げられた『湾曲部14c』が形成され、『該湾曲部』の端部」及び「座席フレームの『湾曲部』」と記載されていることから、「湾曲部14c」、及び「湾曲部」が同じ部位を指し示す記載であって、「湾曲部14c」の記載が誤記であることは明らかである。
そして、このような記載が無効理由を構成するほどに不明瞭といえるものでもない。
よって、本件請求項1の「湾曲部14c」の記載は、不明確とはいえない。

エ.「滑らかに」について
本件請求項1には、「その当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止するものである」と記載されている。
そして、本件請求項1の「滑らかに」に関して、本件特許明細書の「そして、図9(A),(B)に示すように、レッグレストフレーム19が座部フレーム14の前方に最大限に引き出されると、円形当接部材19cは座部フレーム14の湾曲部14cの基端部に滑らかに当接する。すなわち鈍角状の湾曲部14cにより徐々に停止していくので、強く引き出しても衝撃がない」(段落【0032】)との記載、及び関連する図面図9(A)、(B)を参酌すると、「滑らかに」とは、レッグレストフレーム19が座部フレーム14の前方に最大限に引き出された際に、円形当接部材19cは座部フレーム14の湾曲部14cの基端部に衝撃なく当接する様を表現した記載であると容易に理解することができる。
また、一般に、滑らかとは、「すらすらと通るさま。つかえないさま。よどまないさま。」を意味している。
以上を踏まえれば、本件請求項1における「滑らかに」とは、当接部材が座席フレームの湾曲部に当接する際の状態が、「レッグレストフレームを強く引き出しても、つかえずに衝撃がない」ということを意味することは明らかである。
よって、本件請求項1の「滑らかに」という記載は明確である。

オ.「徐々に」について
本件請求項1には、「その当接部材が座席フレームの湾曲部に滑らかに当接して徐々に停止するものである」と記載されている。
そして、本件請求項1の「徐々に」に関して、上記本件特許明細書の上記記載(段落【0032】)、及び関連する図面図9(A)、(B)を参酌すると、「徐々に」とは、円形当接部材19cが、鈍角状の湾曲部14cにより、強く引き出しても衝撃がなく停止する様を表現した記載であると容易に理解することができる。
また、一般に、「徐々に」とは、「ゆるやかに進むさま。少しずつ変化するさま。ゆっくり。だんだん。」を意味している。
以上を踏まえれば、本件請求項1の「徐々に」とは、当接部材が座席フレームの湾曲部に当接して停止する際の状態が、「レッグレストフレームを強く引き出しても、「ゆるやかに停止して衝撃がない」ということを意味することは明らかである。
よって、本件請求項1の「徐々に」という記載は明確である。

カ.「略中間部」について
本件請求項4には、「前記座部フレームは、その対向する側部の略中間部の前側部位がピンP3によって前記前脚フレームの略中間部に枢支され」、及び「前記後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位がピンP5によって連結リンクに枢支され」と記載されている。
また、一般に「略」とは、「おおかた。およそ。大略。あらあら。」を意味している。
そうすると、本件請求項4における「略中間部」とは、おおかた中間の部位という意味であると理解できる。
そして、このような記載が無効理由を構成するほどに不明瞭といえるものでもない。
よって、本件請求項4の「略中間部」という記載は明確である。

キ.「やや下方」について
本件請求項4には、「前記後脚フレームの略中間部よりやや下方の部位がピンP5によって連結リンクに枢支され」と記載されている。
一般に、「やや」とは、「物事の程度をあらわす語。他の事物または普通の標準にくらべて、多大・些少いずれにも用いる。いくらか。すこし。」を意味する。
そうすると、本件特許発明4でいう、「やや下方」とは、中間部よりすこし下方の位置を意味していると解される。
そして、このような記載が無効理由を構成するほどに不明瞭といえるものでもない。
よって、本件請求項4特許発明4の「やや下方」という記載は明確である。

ク.「前記ピンP1ないし前記ピンP5」について
本件請求項4には、「前記ピンP1ないし前記ピンP5を枢軸として」と記載されている。
しかしながら、本件請求項4が引用する本件請求項1乃至本件請求項3には、「ピンP2」?「ピンP5」は記載されているものの、「ピンP1」は記載されていない。
してみると、「前記ピンP1ないし前記ピンP5」との記載は、「前記ピンP2ないし前記ピンP5」の誤記であることは明らかである。
そして、このような記載が無効理由を構成するほどに不明瞭といえるものでもない。
よって、本件請求項4の「前記ピンP1ないし前記ピンP5」との記載は、不明確とはいえない。

(2)特許法第36条第4項第1号について
本件特許請求の範囲の請求項1
ア.「所望の位置」について
上記「(1) ア.」のとおりであるから、「所望の位置」について、本件特許明細書は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

イ.「係止突起17a」について
本件特許明細書の「アームレストフレーム17の側部の各内面には、図6(A),(B)に示すように、側面視で鋸刃状をなす複数個の係止突起17aが形成された係止部17bが設けられている。図6(A),(B)に示すように、係止突起17a間には前述したピンP1の両端部P1aが係止され、これによりバックレスト13の傾倒位置、すなわち傾倒角度が決定される。このようにピンP1の両端部P1aが前後方向に移動され、係止突起17a間に係止されるとき、係止突起17aの先端部が鋸刃状に形成されているので、ピンP1の両端部P1aの移動及び係止が容易かつ確実に行うことができる。」(段落【0026】)との記載、及び関連する図面【図6】(A)、(B)から、「係止突起17a」は、「係止部17b」に形成されたもの、すなわち、「係止突起17a」は「係止部17b」を構成する一部分であることが理解できる。
そうすると、上記の「係止突起17a間には前述したピンP1の両端部P1aが係止され」及び「ピンP1の両端部P1aが前後方向に移動され、係止突起17a間に係止されるとき」との記載から、ピンP1は係止突起17a間に係止されるとともに、係止突起17aが形成された係止部17bに係止されることが理解できる。
よって、「係止突起17a」について、本件特許明細書は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

ウ.「滑らかに」及び「徐々に」について
上記「(1)エ.」及び「(1)オ.」のとおりであるから、「滑らかに」及び「徐々に」について、本件特許明細書は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

エ.「略中間部」について
上記「(1)カ.」のとおりであるから、「略中間部」について、本件特許明細書は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

オ.「やや下方の」について
上記「(1)キ.」のとおりであるから、「やや下方の」について、本件特許明細書は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

(3)小括
よって、本件特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確であり、また、発明の詳細な説明は、経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に、記載したものであるから、本件特許発明についての特許は、無効理由3により無効とすることはできない。


第7 むすび
以上のとおりであるから、本件特許発明1、2及び4は、無効理由1及び2により無効とすべきものである。また、本件特許発明3は、無効理由2により無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

(別紙)


(参考図6)

 
審理終結日 2016-09-29 
結審通知日 2016-10-03 
審決日 2016-10-14 
出願番号 特願2010-17488(P2010-17488)
審決分類 P 1 113・ 121- Z (A47C)
P 1 113・ 536- Z (A47C)
P 1 113・ 537- Z (A47C)
P 1 113・ 113- Z (A47C)
P 1 113・ 112- Z (A47C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西 秀隆  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 藤本 義仁
吉村 尚
登録日 2013-04-26 
登録番号 特許第5255004号(P5255004)
発明の名称 リクライニング椅子  
代理人 阿部 綽勝  
代理人 菅野 好章  
代理人 勝木 俊晴  
代理人 白崎 真二  
代理人 安形 雄三  
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