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審決分類 審判 全部無効 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  F21S
審判 全部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  F21S
審判 全部無効 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  F21S
審判 全部無効 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正  F21S
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F21S
審判 全部無効 2項進歩性  F21S
管理番号 1322581
審判番号 無効2014-800131  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-07-31 
確定日 2016-11-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5520411号発明「照明装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 請求のとおり訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5520411号(以下、「本件特許」という。)は、平成21年12月25日(以下、「出願遡及日」という。)に出願された特願2009-295589号の一部を、平成25年6月25日に新たな特許出願である特願2013-132356号とし、その一部を平成25年8月8日に新たな特許出願である特願2013-164663号とし、その一部を平成25年9月9日に新たな特許出願である特願2013-186151号とし、その一部を平成25年10月7日に新たな特許出願とした特願2013-210015号に係るものであって、その請求項1ないし4に係る発明について平成26年4月11日に特許権の設定登録がなされたものである。
本件特許無効審判は、請求人 若林秀機(以下「請求人」という。)により、被請求人 シャープ株式会社(以下「被請求人」という。)の本件特許についてなされたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成26年 7月31日 審判請求書
同年10月20日 答弁書
同年12月19日 審理事項通知
平成27年 1月20日 口頭審理陳述要領書(請求人)
同日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
同年 2月 3日 口頭審理
同年 2月19日 上申書(被請求人)
同年 3月10日 無効理由通知、職権審理結果通知
同年 4月13日 意見書、訂正請求書(被請求人)
同年 5月29日 弁駁書
同年 6月24日 補正許否の決定

第2 平成27年4月13日付けの訂正請求の可否
1 訂正請求の趣旨及び訂正の内容
平成27年4月13日付け訂正請求により被請求人が求める訂正は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり請求項1?4からなる一群の請求項ごとに訂正しようとするものであって、その内容は次のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「【請求項1】
被取付部材に取り付けるための天井取付部を有する保持体と、
前記天井取付部の周囲を囲むように配された複数のLEDと、
前記複数のLEDが実装された面が前面側に向けられ、裏面が前記保持体の一面に固定されたLED基板と、
前記保持体の一面から離れた状態で前記保持体の一面に設けられ、前記複数のLEDに電力を供給する電源部と、
を備えとを特徴とする照明装置。」
とあるのを、
「【請求項1】
被取付部材に取り付けるための天井取付部を有する保持体と、
前記天井取付部の周囲を囲むように配された複数のLEDと、
前記複数のLEDが実装された面が前面側に向けられ、裏面が前記保持体の一面に固定されたLED基板と、
前記保持体の一面から離れた状態で前記保持体の一面に設けられ、前記複数のLEDに電力を供給する電源部と、
前記LED基板と前記電源部との間において前記保持体に固定された縁部を有し、前記電源部を覆う電源カバーと、
を備えたことを特徴とする照明装置。」
と訂正する。(なお、下線部は訂正箇所を示す。以下同様。)

(2)訂正事項2
明細書の段落【0007】に、
「【0007】
本発明に係る照明装置は、被取付部材に取り付けるための天井取付部を有する保持体と、前記天井取付部の周囲を囲むように配された複数のLEDと、前記複数のLEDが実装された面が前面側に向けられ、裏面が前記保持体の一面に固定されたLED基板と、前記保持体の一面から離れた状態で前記保持体の一面に設けられ、前記複数のLEDに電力を供給する電源部と、を備えとを特徴とする照明装置。」
とあるのを、
「【0007】
本発明に係る照明装置は、被取付部材に取り付けるための天井取付部を有する保持体と、前記天井取付部の周囲を囲むように配された複数のLEDと、前記複数のLEDが実装された面が前面側に向けられ、裏面が前記保持体の一面に固定されたLED基板と、前記保持体の一面から離れた状態で前記保持体の一面に設けられ、前記複数のLEDに電力を供給する電源部と、前記LED基板と前記電源部との間において前記保持体に固定された縁部を有し、前記電源部を覆う電源カバーと、を備えたことを特徴とする照明装置。」
と訂正する。

2 訂正の可否に対する判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に
(ア)「前記LED基板と前記電源部との間において前記保持体に固定された縁部を有し、前記電源部を覆う電源カバーと、」を追加し、
(イ)「・・・備えとを・・・」との記載を「・・・備えたこと・・・」とするものである。
上記(ア)の訂正は、訂正前の請求項1に記載された発明に「電源カバー」を発明特定事項として追加するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記(イ)の訂正は、訂正前の請求項1における誤記の訂正を目的とするものに該当する。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載の範囲内であること
本件特許の明細書(甲第4号証参照)には、以下の記載がある。
「【0023】
シャーシ2には、電源基板4を有する電源部をその内部に収容する電源収容部としての電源カバー6が設けてある。電源カバー6は、熱伝導体であり、例えば、金属製であり、放熱体を兼ねている。電源カバー6は、中央に円穴を有する円板状の固定部61と、該固定部61の外周縁に立設された内周壁62と、該内周壁62に連設され、固定部61と平行をなす天板部63と、該天板部63の外周縁に連設され、内周壁62と同心をなして対向する外周壁64と、該外周壁64の天板部63の反対側に周設された縁部65とを有してなる。この電源カバー6は、固定部61をシャーシ2の天井取付部21に、縁部65をシャーシ2の突条部23に夫々整合させて、ネジ等により固定してある。この電源カバー6のシャーシ2への取付により、電源基板4を有する電源部、及び制御基板5を有する制御部及び調光回路部がシャーシ2と電源カバー6により形成される空洞内に収容される。同時に、電源カバー6がシャーシ2に熱的に接続される。」
また、本件特許の図面(甲第4号証参照)の図4ないし図6から、電源カバー6の縁部65が、電源基板4とLED基板31との間に位置することが看取しうる。
したがって、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書又は図面の記載の範囲内においてされた訂正である。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された発明に「電源カバー」を発明特定事項として付加し、また、誤記の訂正をするものであるので、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正事項1の特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためにするものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載の範囲内であること
訂正事項2は、訂正事項1の訂正と同じ内容であるので、上記(1)イで述べた理由と同じ理由により、本件特許の願書に添付した明細書又は図面の記載の範囲内においてされた訂正である。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項2は、訂正事項1の訂正と同じ内容であるので、上記(1)イで述べた理由と同じ理由により、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 小括
以上のとおりであるので、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正を目的とし、また、訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とし、それぞれ本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でなされ、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1及び2の訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号、第2号及び第3号に掲げる事項を目的とし、同法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであり、当該訂正は適法なものであるからこれを認める。

第3 本件特許発明
本件特許請求の範囲は上記訂正によって訂正されたので、その請求項1?4に記載された発明(以下、「本件特許発明1?4」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
被取付部材に取り付けるための天井取付部を有する保持体と、
前記天井取付部の周囲を囲むように配された複数のLEDと、
前記複数のLEDが実装された面が前面側に向けられ、裏面が前記保持体の一面に固定されたLED基板と、
前記保持体の一面から離れた状態で前記保持体の一面に設けられ、前記複数のLEDに電力を供給する電源部と、
前記LED基板と前記電源部との間において前記保持体に固定された縁部を有し、前記電源部を覆う電源カバーと、
を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記LED基板は、前記電源部の外周側に前記電源部と重なり合わないように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記電源部は、支持部材を介して前記保持体の一面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記支持部材は、基板アングルであることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。」

第4 当事者の主張
1 請求人の主張
請求人は、「本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めており、審判請求書、平成27年1月20日付け口頭審理陳述要領書において主張する無効理由1及び2と、平成27年5月29日付け弁駁書において主張する無効理由3及び4は、以下のとおりである。

(1)無効理由1
本件特許発明1?4は、甲第1号証、甲第2号証?甲第2号証の2、甲第3号証?甲第3号証の3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、よってその特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。
(2)無効理由2
本件特許発明1?4は、甲1号証の1、甲第3号証?甲第3号証の3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、よってその特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。
(3)無効理由3
本件特許発明1は、請求項の記載が不明確であり、これを引用する請求項2?4も不明確である。本件特許発明1?4は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反しており、よってその特許は同法第123条第1項第4号の規定により無効とされるべきである。
(4)無効理由4
本件特許発明1?4は、甲第2号証、甲第2号証の4及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、よってその特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。

なお、平成27年5月29日付け弁駁書において主張する無効理由3及び4は、平成27年6月24日付け補正許否の決定をもって許可された。

請求人が提出した証拠方法は以下のとおりである。
<証拠方法>
甲第1号証 :特開2008-300203号公報
甲第1号証の1:特開2003-86006号公報
甲第2号証 :登録実用新案第3154761号公報
甲第2号証の1:特開2002-270026号公報
甲第2号証の2:登録実用新案第3146641号公報
甲第2号証の3:特開2009-231028号公報
甲第2号証の4:特開2008-204692号公報
甲第3号証 :電気用品安全法施行令 別表第八に係る附表第二
甲第3号証の1:特開平11-329051号公報
甲第3号証の2:特開2007-227181号公報
甲第3号証の3:特開2008-98116号公報
甲第3号証の4:通商産業省資源エネルギー庁公益事業部電力技術課編集、「電気用品の技術基準の解説」、第9版、社団法人日本電気協会、平成10年7月25日、p.401、p.408?411、p.702?705
甲第3号証の5:「電気用品安全法の省令改正について」の下記URLからの印刷物、表紙?p.2、
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/hourei/gijutsukijun/130701_revise/131100_presentation.pdf
甲第3号証の6:「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈の全部改正について」の下記URLからの印刷物、表紙?目次-i、
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/gijutsukijunkaishaku/130701_sinkaishaku.pdf
甲第4号証 :特許第520411号公報(本件特許公報)
甲第5号証の1:特開2007-27072号公報
甲第5号証の2:特開2001-118421号公報
甲第5号証の3:特開2008-262861号公報
甲第5号証の4:登録実用新案第3070423号公報
甲第5号証の5:特開平11-306850号公報

なお、審判請求書に添付した本件特許公報は、口頭審理において、甲第4号証とされた(第1回口頭審理調書を参照)。

2 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めており、答弁書、平成27年1月20日付け口頭審理陳述要領書、及び、平成27年4月13日付け意見書において以下のとおり主張している。

(1)訂正について
平成27年4月13日付け訂正請求による訂正は、全ての訂正要件に適合しており、訂正は認められるものである。

(2)無効理由について
本件特許発明1?4は、特許法第29条第2項の規定に違反するものではなく、同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべき理由は存在しない。

被請求人が提出した証拠方法は以下のとおりである。
<証拠方法>
乙第1号証 :「電気用品安全法のページ」、下記のURLで表示されるWebページの写し
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaiseirireki.htm
乙第2号証 :「電気用品安全法施行令 別表第四」の写し
乙第3号証 :「電気用品安全法施行令」の下記URLで表示されるWebページの写し
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S37/S37SE324.html
乙第4号証 :電気用品の技術基準の解釈(通達)が掲載された下記URLで表示されるWebページの写し
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/hourei.htm

第5 当審における無効理由通知
当審において平成27年3月10日付けの無効理由通知で通知した理由(以下、「当審無効理由」という。)の概要は以下のとおりである。

本件特許発明1?4は、甲第2号証に記載の発明及び甲第2号証の4に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、したがって、同法123条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものである。

第6 当審の判断
以下に、記載不備に関する無効理由である無効理由3、進歩性に関する無効理由である無効理由1、2、4、及び、当審無効理由の順で検討する。

1 無効理由3について
(1)請求人の主張
請求人は、平成27年5月29日付け弁駁書において、以下のとおり主張している。
「被請求人は、構成E(当審註;上記第2の2(1)アで挙げた(ア)に係る「電源カバー」に関する事項)の効果として『LED基板から保持体に伝わった熱のうち、保持体の電源部付近へ向かう熱の一部は、その経路上に位置する縁部から電源カバーへ分散されるのである。』と主張する(意見書5頁下1行?6頁1行)。
しかしながら、本件発明1の構成から、なぜ上記主張に係る効果を奏するのか不明確である。例えば、電源カバーが樹脂製であれば、上記効果を奏することはありえない。また、この点は保持体に関しても同様である。その場合、LED基板の熱は、単に周囲に均等に発散するだけである。すなわち、訂正後の本件発明1の構成では、被請求人が主張する効果を奏することができない。
従って、本件発明1は請求項の記載が不明確であり、これを引用する本件発明2?4も不明確である。」(弁駁書第2頁26行?第3頁8行)

(2)判断
訂正により本件特許発明1に追加された「前記LED基板と前記電源部との間において前記保持体に固定された縁部を有し、前記電源部を覆う電源カバー」との事項は、照明装置の電源カバーの構造として、何ら不明確な点はない。
請求人は、被請求人が平成27年4月13日付け意見書において主張する熱の伝達及び分散との関係で、電源カバー及び保持体の材質が特定されていないことをもってして、請求項1の記載が不明確であると主張しているが、上述のとおり、電源カバーの構造として何ら不明確な点はなく、その材質を特定するまでもなく、照明装置の発明を明確に把握することができ、特許法第36条第6項第2号に規定する要件に違反するものとはいえない。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反しているとはいえない。

2 無効理由1、2及び4、当審無効理由について
(1)各甲号証の記載
本件特許の出願遡及日前に頒布された刊行物である各甲号証(以下、各甲号証は「甲1」等という。)に記載の事項は以下のとおりである。(下線は当審で付したものである)
なお、甲3の公知日を示す文献として提出された甲3の6は平成25年7月1日付けの書類であり、また、甲3の5の第1頁には「平成25年11月」と記載されているので、甲3、甲3の6及び甲3の5は、本件特許の出願遡及日前に頒布された刊行物としては取り扱わない。

ア 甲1
(ア)
「【0001】
本発明は、発光ダイオード等の半導体発光素子を光源としたシーリングライト等の照明器具に関する。」
(イ)
「【0004】
一方、特許文献1および2に示されるような環形蛍光ランプを光源とするシーリングライトの場合には、住宅用としてやわらかい光が好まれる。このために発光面となるグローブの輝度ムラ、特に環形蛍光ランプに伴うリング状の明るいイメージおよび中心部分に生じる暗部を抑えることから、グローブに光の拡散性が高くて透過率の低い材料を使用する、その結果、一般的に器具効率(器具光束/ランプ光束)は50%程度で低くなっている。このため、光源として発光ダイオードをそのまま使用した場合、発光面に対して発光ダイオードを万遍なく配置させても、発光ダイオード自体の輝度が高いために、グローブにイメージが発生して輝度ムラが生じ、やはりグローブに光り拡散性が高くて透過率の低い材料を使用せざるを得ない。
【0005】
また、特許文献3に示されるような、中空サイドライト方式にした場合、比較的容易に表示面の輝度の均斉度を高めることが可能となるが、住宅用のシーリングライトはバックライトや看板灯とは根本的に構造が異なりハウジング構造になっておらず、剥き出しの反射面に光源を取り付けて、全体を曲面形状のグローブで覆っている構造になっている。このため、シーリングライトの場合には、中空サイドライト方式のように光源部分をハウジングで隠すことができず、特に光源部付近に明暗の輝度ムラが生じやすくなり、グローブに光り拡散性が高くて透過率の低い材料を使用せざるを得なくなり器具効率が低下してしまう。
【0006】
また、中空サイドライト方式の反射面(特許文献3の乱反射層)は、出射面の輝度均斉度を高めるために、その形状や反射特性が設計されているが、出射部の形状が変わった場合には、それに応じた反射面の設計変更も必要となる。一方、住宅用シーリングライトの場合、部屋の雰囲気に合わせた数多くのグローブ形状の機種、ラインナップがあり、中空サイドライト方式をシーリングライトにそのまま採用すると、それぞれの機種ごとに異なる反射面が必要となり、開発コスト、および部品コスト等が高騰する問題がある。
【0007】
このため、住宅用シーリングライト等の照明器具の光源を発光ダイオード等の半導体発光素子にする場合には、発光面であるグローブの輝度ムラを低減して器具効率を向上させると共に、機種ごとの反射面の設計変更を不用にしてコスト的に問題の生じない照明器具を如何に実現するかが重要な課題となっている。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、輝度ムラを低減して器具効率を向上させることができ、かつ部品を共通化してコスト的にも有利な照明器具を提供しようとするものである。」
(ウ)
「【0009】
請求項1に記載の照明器具の発明は、器具本体と;器具本体の外縁部に配設される半導体発光素子と;半導体発光素子の光出射方向に対向して配置され、半導体発光素子の光を主として平行方向に制御するレンズ体と;半導体発光素子に対向し器具本体の略中央部に向かって傾斜させた反射体と;半導体発光素子および反射体を覆い外縁部から中央部にいくに従い透過率が高くなるようにしたグローブと;を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明により、半導体発光素子の光出射方向に対向して配置され、半導体発光素子の光を主として平行方向に制御するレンズ体と、半導体発光素子に対向し器具本体の略中央部に向かって傾斜させた反射体と、半導体発光素子および反射体を覆い外縁部から中央部にいくに従い透過率が高くなるようにしたグローブにより、輝度ムラ対策の必要な部分のみグローブの拡散性を上げ、必要のない部分の透過率を上げることができる。また、反射体の形状や反射特性を、典型的なグローブ形状に対して均斉度が得られるように設計し、グローブ形状を変更した機種に対しては、グローブの透過率を制御して輝度ムラを低減することが可能となり、反射体を共通化することができる。
【0011】
本発明において、照明器具は、住宅用のシーリングライト等が好適であるが、住宅用に限らず、オフィス等施設・業務用の照明器具であってもよい。形状は円形、楕円形等の丸形、正方形や長方形等の角形、さらには6角形や8角形等の多角形状をなしていてもよく、特定の形状には限定されない。
【0012】
器具本体は、鉄板等の金属に白色塗装を施したものや白色の合成樹脂で円盤状のシャーシーとして構成され、中央部には天井等の器具取付面に設置された引掛シーリングに着脱可能に設置されるアダプタや、光源を点灯するための点灯装置を有するものが許容される。また形状は照明器具の形状に合わせた形状をなしていても、照明器具の形状とは別の形状をなしていてもよい。」
(エ)
「【0015】
反射体は、鉄板等の金属に白色塗装を施したものや白色の合成樹脂で構成されもの、若しくはアルミニウムやステンレス等の金属を鏡面加工したものなどが許容され、両端部を光源に対向し、中間部分から器具本体の略中央部に向かって傾斜させた形状をなしている。傾斜部分は連続的に徐々に傾斜させたものでも、階段状など不連続に傾斜させたものであってもよい。」
(オ)
「【0028】
図1?図3に示すように、本実施例の照明器具は、器具取付面Aに設置される器具本体10、半導体発光素子からなる光源体20、レンズ体30、反射体40およびグローブ50で構成する。
【0029】
器具本体10は、鉄板等の金属に白色塗装を施した一辺が約500mmの正方形をなすシャーシーとして構成され、シャーシーの略中央部には天井等の器具取付面Aに設置された引掛シーリング11に着脱可能に設置されるアダプタ12を設ける。さらに、アダプタ12の周囲の空間部に光源体20を点灯するための点灯装置13を取り付け、対向する辺の外縁部14、15に光源体20を設置するための設置部16、17を設ける。図中18は、リモコン受光部である。
【0030】
光源体20は、半導体発光素子、本実施例では発光ダイオード21(以下「LED」と称す)で構成し、複数個のLED21を発光素子基板22に配置した直線状の長さが約100mmの線状の発光モジュール23として構成し、必要な個数、本実施例では5本の発光モジュールが選択されて1本の長尺な光源体20を構成する。この長尺な光源体20を2本用意して、器具本体10の対向する辺の外縁部14、15に設けられた設置部16、17に1本ずつ、発光部である各LED21がそれぞれ対向するようにして器具本体の外縁部に配設される。すなわち、器具本体のそれぞれの設置部16、17にはシャーシーから一体に形成された支持板24が立設され、支持板に各発光モジュールの発光素子基板22を取り付けて支持する(図2)。この支持板24は、各LED21の放熱板の作用を兼ね、また支持板の後面と後述するグローブ50の外周部内面との間で形成される空間部s内に、各LED21と点灯装置13を配線するためのコード等を収納する。
【0031】
レンズ体30は、各LED21の光出射方向に対向し近接して配置され、LEDからの光を平行光にして広がりを持って出射させる長尺な凸レンズで構成し、支持板24に別途の支持具(図示せず)により取り付けられる。レンズ体30は、長さ約100mmの5本の発光モジュール23(全長約500mm)を全て覆って対向して配設できるように、長さ約500mmの1本の長尺な凸レンズで構成する(図3)。これにより、長尺な凸レンズによって長さ約100mmの5本の発光モジュール23の繋ぎ目の目地部分を覆い隠すことができ、レンズ体からはムラのない均一な光が放射される。なお、このレンズ体30は、上記各発光モジュール23自体にレンズが組み込まれている場合には設置を省略してもよい。」
(カ)
「【0032】
反射体40は、鉄板等の金属に白色塗装を施した平板状をなし、両端部を2本のそれぞれの光源体20における各LED21に対向し、中間部分から器具本体の略中央部に向かって連続的に徐々に傾斜させた傾斜部41を形成する。反射体は、器具本体10を構成するシャーシーの略中央部に、ネジ若しくはスポット溶接等の手段で固定される。
【0033】
グローブ50は、透光性を有する乳白色の半透明な合成樹脂で構成し、浅い皿状の球面状をなす発光部51と、器具本体10の外縁部14、15に対応する部分に外周部を残して上面を開口することにより形成した開口部52とを一体に形成し、器具本体の下方から被せることにより、光源体20および反射体40を覆うように器具本体の下面全体を囲むようにして取り付けられる。グローブ50は、その肉厚を器具本体10の外縁部14、15に対応するグローブの外周部から中央部にいくに従い薄くなるようにして成形し、外縁部から中央部にいくに従い透過率が高くなるように構成する。なお、グローブ50は公知の凹凸の係合手段や取付金具等の手段で器具本体の外縁部に着脱可能に取り付けられる。」
(キ)
「【0035】
上記に設置された照明器具を点灯すると、光源体20の各LED21が発光し、LEDから放射された光はレンズ体30により、略平行な方向、すなわち、反射体40の傾斜部41に向かって放射され、さらに反射体で反射してグローブ50を内面側から照射し、部屋全体にわたり略均一な明るさで照明する。この際、光源体20が器具本体10の外縁部14,15に配設され、従来のように環形蛍光ランプが器具本体の中央部に存在しない。このため、ランプイメージがグローブの照射中心部に現れずに均斉度が向上する。また、グローブ50は、その肉厚を器具本体10の外縁部14、15に対応するグローブの外周部から中央部にいくに従い薄くなるようにして成形し、外縁部から中央部にいくに従い透過率が高くなるように構成してあるので、輝度ムラ対策の必要な部分のみグローブの拡散性を上げ、必要のない部分の透過率を上げることができる。
【0036】
すなわち、器具本体10の外縁部14、15は、光源に近く、また5個の線状の発光モジュール23を接続して長尺な光源体を構成した繋ぎ目の目地部分が暗部となったり、製造バラツキ等によりLED21とレンズ体30の隙間から光が漏れグローブ50に照射されて輝線が出たり、さらに空間部s内に収納された光源体20と点灯装置13を配線するためのコード等の写りこみや影が出やすく、特に輝度ムラ対策が必要な部分となっている。また、器具本体10の中央部は、アダプタ12やリモコン受光部18があるために暗部になりやすくグローブの透過率が高いことが望ましい。」
(ク)
「【0038】
また、各LED21から発生した熱は、各発光モジュール23の発光素子基板22からシャーシーに一体に形成された支持板24を介して面積の広いシャーシーに伝達され効率よく放熱される。」
(ケ)
【図2】、【図6】から、発光素子基板22はLED21が配置された面が器具本体の中央方向を向いていることが看取しうる。
(コ)
【図1】から、点灯装置13は反射体40と器具本体10との間に配置されていることが看取される。

イ 甲1の1
(ア)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光源としてLEDを使用したLED照明装置に関する。」
(イ)
「【0005】本発明の目的は、屋内通路等の天井面に明り取り用として取付ける照明装置であって、天井面に大きな穴をあけることなく天井面に直接取付けることができ、しかも、天井面から下向きに突出する寸法を小さくすることができるるLED照明装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明のLED照明装置は、複数個のLEDと;前記LEDを点灯制御する点灯装置と;を具備し、前記LEDは前記点灯装置と略同一面内であって前記点灯装置の周囲に配置されている。
【0007】ここで、本発明及び以下の発明において、点灯装置は、交流電流を直流電流に変換する整流回路、保護用素子としてのコンデンサや抵抗などを含む装置を意味する。
【0008】したがって、点灯装置とLEDとが、LEDからの光の放射方向である上下方向に重ね合わない配置状態となり、このLED照明装置は薄型化される。このため、このLED照明装置を屋内通路などの天井面に取付けて明り取り用として使用する場合、天井面に直接取付けても下向きに突出する寸法が小さくなり、天井部分の美観を損ねることがない。また、天井面には、給電用の電源線などを通す小さい穴をあけるだけでよく、天井面への穴あけ加工を手間をかけず容易に行える。」
(ウ)
「【0022】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態を図1ないし図4に基づいて説明する。図1は天井面へのLED照明装置の取付状態を示す縦断正面図、図2は分解斜視図、図3は裏面側から見た斜視図、図4は配光制御部材による配光制御を説明する縦断正面図である。
【0023】このLED照明装置は、円盤状のベース板1の一方の面の略中央部に給電部2が取付けられ、ベース板1の他方の面の略中央部には点灯装置3が取付けられている。さらに、ベース板1の他方の面には、点灯装置3と略同一面内であって点灯装置3の周囲に等間隔で間欠的に位置する複数個のLEDである大電流型LED4が配置されている。給電部2は、電源線5が接続されて大電流型LED4を点灯させるために必要な電力が供給される部分であり、点灯装置3には大電流型LED4を点灯させるために必要な回路や素子、例えば、交流電流を直流電流に変換する整流回路、保護用素子としてのコンデンサや抵抗などが含まれている。また、これらの給電部2と点灯装置3とはともに外形形状が円柱形であり、給電部2の直径は点灯装置3の直径に比べて小さく形成されている。
【0024】大電流型LED4は、従来タイプのLEDと比べ、新しいパッケージング技術の導入により半導体チップの面積が拡大されている。このため、従来タイプのLEDと比較して、大電流を流すことができ、高輝度な光を放射することができる。・・・
【0025】給電部2、点灯装置3、大電流型LED4が取付けられたベース板1は、図2に示すような取付ネジ6により天井面7にネジ止めされている。
【0026】ベース板1の外周部にはネジ部8が形成され、このネジ部8には大電流型LED4からの光の放射側に配置された配光制御部材9が嵌合して取付けられている。・・・」
(エ)
「【0028】また、このLED照明装置は図1に示したように天井面7に直接取付けられるもので、その取付けが行われる天井面7には給電部2が挿入される挿入穴10が形成されている。挿入穴10に挿入された給電部2に対して、電力供給用の電源線5が接続されている。
【0029】このような構成において、このLED照明装置は、点灯装置3と同一面であってその周囲に複数個の大電流型LED4が配置され、点灯装置3と大電流型LED4とは上下方向で重ね合わない配置状態となり、薄型化されている。このため、このLED照明装置を屋内通路などの天井面7に取付けて明り取り用として使用した場合、天井面7に直接取付けても下向きに突出する寸法が小さくなり、天井部分の美観を損ねることがない。」
(オ)
【図2】から、ベース板1の略中央部が取付ネジ6により天井面にネジ止めされていることが看取しうる。

ウ 甲2
(ア)
「【0001】
本考案は、LED灯具に関するものであり、さらに詳しくは、修理可能な環境保全多機能モジュール式LED灯具に関するものである。」
(イ)
「【0016】
図1乃至図3を参照しながら、本考案に係るLED灯具について詳細に説明する。
本考案に係るLED灯具は、灯座10と、灯笠20と、LED発光モジュール30と、電源制御回路板40と、検出センサ50と、飾りリング60とから構成されたものである。
【0017】
灯座10は、放熱し易いアルミニウム金属材質からなり、ほぼディスク状で、底板11と底板11の周縁から上へ伸びる周壁12があり、また、底板11の中心に、固定枠13が設けられ、上記固定枠13の上方に、リング状シート131が設置され、リング状シート131の中心に、バイアホール132が形成され、また、固定枠13のリング状シート131の両側から、それぞれ、下へスタンド133が設けられて、固定枠13が、そのスタンド133により、底板11に固定され、また、底板11において、周縁に沿って、一体的にプレスされて、中央が上へ突出するリング状突縁111が形成され、上記底板11にも、複数の、下へ突出し、一体的にプレスされるリブ112が形成されてある。」
(ウ)
「【0019】
LED発光モジュール30は、複数設けられてあり、灯座10の底板11のリング状突縁111に設置され、それぞれに、基板31と外蓋32及び放熱弾性ゴム33が備えられる。上記基板31が、上記底板11のリング状突縁111に対応して、扇形になり、基板31が、リング状突縁111の上に設置され、他のLED発光モジュール30と、リング状に囲み、また、それぞれの基板31に、複数のLED311が配列され、基板31の一側に、ともに、差込口金312が設けられてある。」
(エ)
「【0021】
また、基板31の底部に、上記放熱弾性ゴム33が設置され、LED311による熱エネルギーが、放熱弾性ゴム33を介して直接に、アルミニウム金属からなる底板11に伝達されて、放熱の効果が得られる。・・・
【0022】
電源制御回路板40は、灯座10の底板11の中心に固定されてあり、上記LED発光モジュール30に対応して、LED発光モジュール30にある差込口金312が差し込まれる複数の差込ソケット41が設置され、また、一側に、更に、充電式電池42が設置されてある。
【0023】
検出センサ50は、筒体であり、その上段が、上記固定枠13のバイアホール132を通してリング状シート131に固定され、その上段の外周に、螺条51が設けられ、灯笠20の開口21を通してロック蓋22と螺着され、その上端が、灯笠20から露出でき、外部の環境を検出できる。また、電源制御回路板40と、電気的に接続され、また、非常照明や人体或いは各種類の災害の検出及び警報ができる多機能を有する。例えば、人体検出センサや音響制御検出センサ、火災検出センサ、地震検出センサ、停電検出センサ、一酸化炭素検出センサ等である。本実施例において、上記検出センサ50が停電検出センサであり、その上端に、光源52が設置され、上記検出センサで停電を検出できる。また、停電の場合、充電式電池42から電源を供給し、非常照明を実現できるようにしてある。」
(オ)
「【0025】
図2で示すように、本考案のより良い実施例であるLED灯具は、天井式の円盤灯であり、上記灯座10の底板11を、一般の部屋の天井に組立てた場合、上記灯座10が、底板11のリブ112により、天井との間に、隙間が形成されて、放熱の効果が得られる。」
(カ)
「【0026】
LED311が故障した場合、LED発光モジュール30の外蓋32に固定するネジを弛め、故障した発光モジュール30の差込口金312を、電源制御回路板40の差込ソケット41から抜き出して、故障したLED発光モジュール30だけを上記灯座10から直接に取り外して、新しいLED発光モジュール30を実装すればよい。また、上記灯具の他のパーツも、例えば、灯笠20や電源制御回路板40、検出センサ50及び飾りリング60等も、簡単に交換できる。」
(キ)
「【0027】
・・・即ち、ユーザーが、LED照明の電源をオフしても、上記検出センサ50に、商用周波を利用して給電でき、停電の場合でも電源制御回路板40の充電式電池42から給電される。」
(ク)
【図3】から、電源制御回路板40の表面に差込ソケット41が配置されていることを看取しうる。

エ 甲2の1
(ア)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光ダイオードを光源として用いるのに好適な照明器具に関する。」
(イ)
「【0006】図示の実施形態は、天井1に対して固定され外周に係止部2が形成された引掛ローゼット3と、中央に前記引掛ローゼット3を通す孔4が設けられるとともに、前記孔4内に弾性付勢されて突出され前記係止部2に係止される被係止部5が設けられ、さらにこの被係止部5の外側位置には光源部6が設けられ、前記引掛ローゼット3の下面に接続されるプラグ7(及びコード7a)を介して受電される本体8と、前記プラグ7の下面及び前記被係止部5を外向きに変位させるために前記本体8の下面に露出された係止解除操作部9の下面を着脱可能に覆うカバー10とを備えた照明器具である。また、光源部6には多数の白色の発光ダイオード11…を備えている。・・・
【0007】さらに詳述すれば、・・・発光ダイオード11…を搭載した基板14には整流器や電流制限抵抗などの点灯回路部品も搭載してもよいが、そのような点灯回路部品はプラグ7内に設けてもよい。・・・」

オ 甲2の2
(ア)
「【0001】
この考案はLED照明器具に関する。」
(イ)
「【0014】
図2の本体外周傾斜部(3)は水平方向より上向きに傾斜をつけており、本体外周傾斜部(3)に配置したLED発光体(2)の照射範囲を水平方向に向けることが可能であり、全体の照射角A(9)を、図6に示す従来品の照射角B(J)よりも広範囲にすることを可能とした。
【0015】
図4は本考案の正面図であり、図中の本体部(1)水平面に配置したLED発光体(2)と本体外周傾斜部(3)に配置したLED発光体(2)により、正面全体に照射可能としている。」

カ 甲2の3
(ア)
「【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)が発する光を用いて照明をする照明装置に関する。」
(イ)
「【0048】
図2に示すように灯具4は、金属製の装置本体例えば灯具本体11に、発光装置として灯具本体11の下側に光を照射する複数の第1のLEDモジュール(下方照明用LEDモジュール)21と、灯具本体11の上側に光を照射する複数の第2のLEDモジュール(上方照明用LEDモジュール)22を配設するとともに、・・・
【0049】
灯具本体11は、例えばアルミニウム又はその合金の一体成形品であり、照明装置2の吊下げ荷重の大部分を担っている。図1(B)?図1(D)に示すように灯具本体11を正面及び背面から見た形状は例えば円形である。この灯具本体11は、図2に示すように境界壁部12と、第1の壁部13と、第2の壁部14と、背面放熱部としてのヒートシンク15を有している。」

キ 甲2の4
(ア)
「【0001】
本発明は、発光ダイオード等を光源とした照明器具に関する。」
(イ)
「【0012】
本発明は、光学性能を発揮させ、放熱性能を向上させつつ、商品性も損なうことのない照明器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の照明器具の発明は、電源部を内蔵し、熱伝導性を有する光源配設部を備えた器具本体と;光源を配置した基板と;光源の光を制御する反射体と;前記基板を前記光源配設部と前記反射体との間に配置し、器具本体の略中心部から反射体を引き寄せて、基板を器具本体に密着させる固定手段と;を具備することを特徴とする。」
(ウ)
「【0034】
本実施例の照明器具は、高輝度、高出力の複数個の発光ダイオードを用い、例えば、一般家屋用のダウンライト形の照明器具として構成したものである。
【0035】
1は照明器具で、器具本体10、光源20を配置した基板30、光源の光を反射させて制御する反射体40、基板を器具本体に密着させる固定手段50で構成する。
【0036】
光源は、発光ダイオード20(以下「LED」と称す)で構成し、LEDは、同一色、本実施形態では高輝度、高出力の白色のLEDが4個用意され、この各LEDは、一方向、すなわちLEDの光軸方向に光線が主として放射される同種性能のもので構成する。」
(エ)
「【0047】
次に、10は器具本体で、光源部Aおよび内部に、後述する電源部60を収容するための両端が開放した円筒体をなす熱伝導性の良好なアルミニウムで構成する。
【0048】
器具本体10は、アルミニウムのダイカスト製で、両端に開口10a、10bを有する断面略円形の円筒状のケース部材として構成し、円筒体内部の一端部の開口10a側に位置して、光源部Aを配設するための光源配設部となる仕切り板10cを一体に形成し、開口10aと仕切り板10cとの間に光源部Aを収納する収納部S1を形成する。
【0049】
仕切り板10cの略中心部に、基板30および反射体40のそれぞれの挿通孔30cおよびネジ孔40hに連通して対応する取り付け用の挿通孔10dを貫通させて形成する。(図8(a))
この挿通孔10dは、ネジ50の頭が収納されるように座繰りを設けて形成する。 この座繰りにより、金属製のネジ頭と、後述する電源部60の配線基板60bとの間の電気絶縁距離をより多くとるように構成する。」
(オ)
「【0052】
・・・10hは、仕切り板10cの空間部10f側に面して一体に形成された電源部60の配線基板60aを支持するための支持段部である。」
(カ)
「【0055】
電源部60は、上記の各LED20を点灯する電源回路60aを実装した配線基板60bからなり、電源回路は、図9に示すように、商用電源に接続される入力端子60c、60cに、サージ吸収用のバリスタ60dを介してダイオードブリッジからなる全波整流器60eを並列に接続して構成する。60fは電流ヒューズ、60g、60gは出力端子である。
【0056】
電源部60の配線基板60bは、円板状のプリント配線基板からなり、その表面側(図2中上面側)に電源回路60aを構成する回路パターンが形成され電気部品が実装される。
【0057】
電源回路の電気部品の内、バリスタ60dを配線基板60bの裏面側(図2中下面側)に配置し、他の電気部品は表面側に配置する。」
(キ)
「【0071】
なお、器具本体の空間部10fの内周面には、図7(c)に示す円筒状の絶縁シート55を配設し、配線基板60bの外周面と器具本体10内周面との間、すなわち電源部60の外周に絶縁シートが介在するようにして、配線基板の表面側に形成された回路パターンとアルミニウム製の器具本体10内周面との間の電気絶縁、すなわち電源とアースする恐れのある非充電金属部である器具本体との間に、所定の距離をとり、かつ絶縁材を介在させて電気絶縁を図る構成とする。
【0072】
絶縁シート55は、ポリカーボネートやPET(ポリエチレンテレフタレート)等の電気絶縁性および耐熱性に優れた柔軟性を有する材料で構成し、円筒の上端面に凸部55aを一体に形成し、端板10eの側面に形成された凹部10lに係合させることにより、位置決めと回転および上方への位置ずれを防いでいる。
【0073】
55bは、器具本体10の支持段部10hに対応して形成した切り欠きで、絶縁シート55を器具本体内周面に挿入した際に、シートの下端面が支持段部に係止して挿入ができなくなることを防ぐようにしている。
【0074】
上記により、配線基板60bを支持段部10hに固定すると、支持段部によって配線基板60bと仕切り板10cとの間に所定寸法の空間部S2が形成され、アルミニウム製の仕切り板10cと配線基板60b間の電気絶縁距離が確保される。」
(ク)
「【0111】
また、各LED20を配置した基板30および反射体40は、器具本体における仕切り板10cの表面側に一括して設けられ、裏面側には何も設置されない構成をとることができ、裏面側に電源部60を十分な電気絶縁距離を持って設置することが可能となる。」

ク 甲3の1
(ア)
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、天井に直付けされる照明器具に関するものである。」
(イ)
「【0010】
【発明の実施の形態】この発明の一実施の形態を図1および図2により説明する。すなわち、この照明器具は、器具本体1と、配光制御部材2と、弾性体3とを有する。器具本体1は、中央に天井取付部4を有し、この天井取付部4に対する略点対称位置に一対の配光制御部材取付部5を有する。実施の形態の器具本体1は円板状であり、周縁に周壁6を垂下している。また天井取付部4は、配線器具である引掛シーリングボディ7に引っ掛けるアダプタ8と、アダプタ8に係止するホルダ9からなっている。アダプタ8は天井10に設けられた配線器具に機械的に保持され、電気的に照明器具に通電するもので、上面に引掛シーリングボディ7に引っ掛ける引掛爪(図示せず)を有し、周面にホルダ9の爪11を係止する周溝12を有し、引掛爪に接続された電源線13を下面より引出しその先端にコネクタ14を接続している。ホルダ9はアダプタ8に機械的に係止できるもので、アダプタ8に嵌合する嵌合孔15をほぼ中央に有し、嵌合孔15の内周面に係止爪11をばねにより突出付勢し、係止爪11を後退させる操作部16をホルダ9の下面に設けている。このホルダ9は器具本体1の中央穴17に嵌合孔15が整合するように配置され、中央穴17の周縁に形成しただるま形孔18に取付けられている。
【0011】また器具本体1の下面の配光制御部材取付部5を結ぶ線Aから離れた位置に点灯装置20が絶縁板21を介して取付けられ、この点灯装置20を被覆しホルダ9を受ける穴部22を設けた略ドーナツ状の本体カバー21をホルダ9を介して器具本体1の下面に取付けている。23は本体カバー21の内側でホルダ9およびアダプタ8の外周を被覆する充電部保護カバーである。この本体カバー21には一対の配光制御部材取付部5を結ぶ一直線A上にランプソケット24およびランプ支持ばね25が設けられ、これらに環形蛍光ランプ26が接続され取付けられている。また本体カバー21内に設けられた端子台に接続された電源線の受けコネタク27をコネクタ14に接続すると、器具本体1の点灯装置20に引掛シーリングボディ7から給電される。」

ケ 甲3の2
(ア)
「【0001】
本発明は、天井に設けられた引掛シーリングに取り付けられる照明器具に関するものである。」
(イ)
「【0027】
本実施形態の照明器具1は、図1に示すように、天井面Xに設置された引掛シーリング(図示せず)の引掛栓刃受部(図示せず)に係止される引掛栓刃(図示せず)を上面側に有し、該引掛栓刃に一端が電気的に接続された電源線L1が下面側から導出され、器具取付用の一対の係止部90,90が側部に出没自在に設けられた引掛シーリング用アダプタ(以下、「アダプタ」と略す)9に取り付けられることで、天井面Xに設置されるものである。尚、上記のアダプタ9は、従来周知のものであるから、本実施形態では詳細な説明は省略する。
【0028】
照明器具1は、アダプタ9が挿通される開口部2aが上下方向に貫設されるとともに、該開口部2aにアダプタ9が挿通された状態(つまりは、開口部2a内にアダプタ9が位置した状態)で係止部90,90に係止される被係止部となるアダプタ保持具21を有する器具本体2と、器具本体2に収納されるとともに、電源線L1より得られる電力を元に照明負荷である蛍光ランプ8用の動作電源を生成する回路ブロック3と、器具本体2の下面側に設けられて、動作電源を蛍光ランプ8に供給するソケット4と、器具本体2における開口部2aの下端周辺部に取り付けられて開口部2aを開閉するアダプタカバー5とを備え、開口部2aは、器具本体2に取り付けられた蛍光ランプ8と対向しない器具本体2の部位に設けられ、アダプタカバー5は、開口部2aを閉じた状態で、器具本体2の下面より下方に突出する下側ボディ50を有し、該下側ボディ50の底壁部50bには、外部の赤外線信号を受信する受光ブロック52が露設され、回路ブロック3は、接続線L2を用いて受光ブロック52に接続されて、受光ブロック52部で受信した外部の赤外線信号に基づいて蛍光ランプ8を制御する点灯制御部(図示せず)を有している。」
(ウ)
「【0059】
以上により本実施形態の照明器具1は構成されており、次に、照明器具1の組立方法について説明する。
【0060】
まず、器具本体2のボディ20には、アダプタ保持具21が、第2のアダプタ挿通孔21aをボディ20の第1のアダプタ挿通孔20dに連通させるとともに、周壁部21bを下方に向けた状態で、ボディ20の天板部20aの下面側にねじ止め等によって取り付けられる。また、ボディ20には、ソケット台26が、ソケット台用切欠部20eを介して側壁部20bの外方へ台部26aを突出させた状態で、取付板26bを天板部20aの下面側にねじ止めすることにより取り付けられる。
【0061】
このようにアダプタ保持具21及びソケット台26が取り付けられたボディ20の下面には、中板22が、挿通孔22b内にアダプタ保持具21を位置させるとともに、仕切り壁22cにてアダプタ保持具21を囲繞するようにして、ねじ止め等により取り付けられる。この後に、中板22には回路ブロック3が、ソケット台26の台部26aにはソケット4がそれぞれ取り付けられるとともに、回路ブロック3とソケット4とが図示しない接続線を用いて接続される。このとき、電源線L1の一端を回路ブロック3に接続するとともに、他端を仕切り壁22bの電源線挿通孔を介して仕切り壁22c内に導出しておく。また、接続線L2の一端を回路ブロック3に接続しておく。」

コ 甲3の3
(ア)
「【0001】
本発明は、リモコン信号による放電灯の点灯制御を可能とする照明器具に関するものである。」
(イ)
「【0024】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る照明器具の構成について図1?4を用いて説明する。この照明器具1は、図1に示すように、リモコン送信器(図示せず)からのリモコン信号による放電灯2の点灯制御を可能とするものであり、放電灯2を上面側で保持する器具本体3と、器具本体3の上面側に配置される反射板4と、放電灯2を点灯制御する点灯回路の電子部品(例えば発熱部品51など)が実装された点灯回路基板(インバータ基板)5と、点灯回路基板5に実装されてリモコン信号を受光する受光素子6と、それぞれが点灯回路基板5のうち受光素子6の周囲に実装された複数の常夜灯用LED7・・・と、複数の常夜灯用LED7・・・及び受光素子6を内側に取り囲む保護ケース8と、保護ケース8の開口80に覆設される絶縁カバー9とを備えている。また、図示していないが、照明器具1は、例えば部屋などの建築物の天井面に設置され例えば商用電源などの外部電源と接続する例えば引掛ローゼットや引掛シーリングなどの配線器具に係合する例えば引掛ローゼットアダプタや引掛シーリングアダプタなどの取付アダプタと、例えば細長い金属板などで形成され放電灯2を支持するランプ支持具と、放電灯2を収納して器具本体3の上面側全体を覆い被せるようにして取り付けられるグローブとをも備える。グローブは、例えばアクリル樹脂など乳白色の透過拡散性を有する樹脂材料で形成されたものである。このような構成の照明器具1は、配線器具(図示せず)が設置されている天井面(図示せず)に、器具本体3の上面が地面と対向するように設置される。」
(ウ)
「【0027】
器具本体3は例えば金属板などで円板状に形成されたものであり、円状の底面部30と、底面部30の外縁から上方に延設された段差部31と、段差部31の外縁から外方に延設された円環部32と、円環部32の外縁から上方に延設された筒状の端部33とを一体に備えている。底面部30の中央には、建築物の配線器具(図示せず)への取付用に設けられた長円状(小判状)の取付部34が設けられている。この取付部34には、円状の開口35が中央に形成され、この開口35の周囲に1対の孔部36,36(図2参照)が形成されている。円環部32には、グローブに設けられた突出部(図示せず)と係合するための3つの係合部37,37,37(図2参照)が同一円上に等間隔で設けられている。上記それぞれの係合部37がグローブの突出部と係合することによって、グローブが器具本体3に取り付けられる。また、底面部30の上面には、放電灯2を装着するソケット38が設けられ、器具本体3はソケット38を通じて放電灯2を上面側で保持する。このソケット38は電線(図示せず)を介して点灯回路基板5の点灯回路と電気的に接続する。
【0028】
反射板4は例えば金属板などで形成されたものであり、円錐台状の主要部40と、主要部40の外縁から外方に延設された円環部41とを一体に備えている。主要部40には、長円状(小判状)の開口42が中央に形成され、開口42の短手方向の外方に、保護ケース8が嵌め込まれる長方形状の開口43が形成され、さらに外縁に、ソケット38が挿入される開口44が形成されている。つまり、開口43は、器具本体3の中心とソケット38との間に形成されていることになる。
【0029】
点灯回路基板5は絶縁板50によって器具本体3の上面側に固定されるものである。こ
の点灯回路基板5上に構成されている点灯回路は、取付アダプタ(図示せず)を介して外部電源(図示せず)から電力が供給され、受光素子6からのリモコン信号に基づいて放電灯2及び複数の常夜灯用LED7・・・を点灯制御する。なお、点灯回路を構成する電子部品には発熱部品51が含まれている。」

サ 甲3の4
(ア)
第704頁の「附表第二 電気かみそり等以外のものの空間距離」には、「電源電線の取付け部」のうちの「製造者が接続する端子部とアースするおそれのある非充電金属又は人が触れるおそれのある非金属部の表面との間」について、「線間電圧又は対地電圧(V)」が「50を超え150以下のもの」は、「空間距離(縁面距離を含む。)<mm>」として「2.5」と記載されている。
(イ)
第409頁の「ト」の「細則」に、「1 「空間距離」とは,空気を介する部分の最短距離(の和)をいい,「沿面距離」とは,絶縁物表面に沿つ最短距離(の和)をいう。」と記載されている。

シ 甲5の1
(ア)
「【0001】
本発明は、放熱効果と配光効果をともに考慮した天井用LED照明器具、殊に天井に近接または当接して取り付けられる天井用LED照明器具に関する。」
(イ)
「【0003】
特許文献1では、主に下面配光のみとなるため一般居室用として使用すると、天井が非常に暗くなり、圧迫感が生じるという解決すべき課題があることに着目されるべきである。一方、特許文献2では、配光が低温貯蔵庫内全体に行き渡るようにされてはいるが、LEDのマウントベースはその形状から見ても当然、合成樹脂などの絶縁性材質と考えられる。そして、その内部でどのように放熱処理されているかは全く開示も示唆もされていなく、おそらく別段の放熱手段を必要としていないものである。そうすると、一般居室用としてはるかに高照度を得るべく高輝度のLEDを多数使用しなければならない天井用LED照明器具を実現するには熱的な問題が余りにも大きすぎるという解決すべき課題があることに着目されるべきである。本発明はこのような解決すべき課題を鑑み、放熱効果と配光効果をともに考慮した新規で実用性の高い天井用LED照明器具を実現しようとするものである。」
(ウ)
「【0007】
図1?2に示す第一実施形態による天井用LED照明器具は、金属板1と、金属板1の外周部に設けられた略垂直方向の金属側板2と、金属ベース部3を設けたLEDユニット4とを備え、金属板1にLEDユニット4を金属ベース部3を介して固定して、主として下方向の配光を得るとともに、金属側板2にもLEDユニット4を金属ベース部3を介して固定して、主として側部方向の配光を得ることを特徴としている。
【0008】
本実施形態によれば、金属板1にLEDユニット4を金属ベース部3を介して固定して、主として下方向の配光を得るとともに、金属側板2にもLEDユニット4を金属ベース部3を介して固定して、主として側部方向の配光を得ているため、放熱効果において絶大であるとともに、天井Cにも配光されるようになり、圧迫感が少ないという効果を奏する。」

ス 甲5の2
「【0006】図示の実施形態は、天井1に取り付けられる本体2の上面においてその外周縁より内方に後退した箇所に上方に突き出した突出部3を形成し、この突出部3の下面に高周波インバータなどの点灯装置4を設けるとともに前記突出部3の側面に形成した窓孔5に臨んで図示されない赤外線リモコン信号を受ける受光部6を設け、これらの下面を反射板7で覆い、その下面に蛍光ランプ8を設け、前記本体2の下面に前記蛍光ランプ8を覆うようにグローブ9を取り付けた天井直付け型蛍光ランプ器具である。そして、点灯装置4を構成する部品を搭載したプリント基板10が本体2の突出部3と反射板7の間に設けられ、前記プリント基板10の上面に受光部6が搭載されている。」

セ 甲5の3
【図1】の上段の図から、放電灯点灯装置210の外側がハッチングされた部材により覆われていることが看取しうる。

ソ 甲5の4
(ア)
「【0038】
<実施例1>
図1は、本考案の照明器具用本体ハウジング兼備反射板の一例を、その中心を通る垂直断面図で示す。但し、図1の右半分は、従来管L1(二点差線で表す)を3本取り付けこれに応じた形状の照明カバーを取り付けた状態で、また図1の左半分は、スリム管L2(二点差線で表す)を3本取り付けこれに応じた形状の照明カバーを取り付けた状態で、同一の本体ハウジング兼備反射板示す。図1において、本体ハウジング兼備反射板1は、天井(破線で表す)への直付け装置(図示せず)が挿入される円形の開口部2の周囲に全体としてドーナツ型に広がった盤状の形態をしており、回路部品を収容したハウジング区域の下半及びその周囲に広がった反射面を形成しているプラスチック製の下側部分3と、ハウジング区域の上半を覆っている金属製の上側部分5とから構成されている。下側部分3と上側部分5とは、それらの接触面においてネジ等で相互に固定することができるように構成されている(図3)。下側部分3には、そのハウジング区域において内壁面からハウジング内に立ち上がった複数の突出板(例えば7、8、9、10、11)を有する。対となった突出板(例えば7と8、又は9と10)の間には所定の回路部品(例えば、豆電球ソケット12、回路ボード13、又はスイッチボックス14)が挿嵌される。・・・」
(イ)
「【0042】
40は、本体ハウジング兼備反射板の下側部分3と上側部分とを一体になるよう相互に固定しているネジである。これ以外に、下側部分3と上側部分5とは、上側部分5に設けられた受け部42に下側部分の一部を挟み込むことにより、また下側部分3に設けられた受け部44に上側部分の一部を挟み込むことによっても固定される。このような受け部を設けることにより、下側部分3と上側部分との相互固定は、最小限のネジ本数で行うことが可能である。」

タ 甲5の5
(ア)
「【0006】図示の実施形態は、金属製の本体1の下面に絶縁板2を介して点灯回路基板3を取り付け、その下面に金属製の反射板4を設けた照明器具において、・・・」
(イ)
「【0007】・・・反射板4の周縁部は本体1の下面に取り付けられる。・・・」

(2)無効理由1について
ア 甲1発明
上記(1)アで摘記した甲1の各記載事項及び図面の記載からみて、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。

〔甲1発明〕
「略中央部に天井等の器具取付面Aに設置された引掛シーリング11に着脱可能に設置されるアダプタ12を設け、その周囲の空間部に光源体20を点灯するための点灯装置13を取り付けた器具本体10と、
光源体20は複数個のLED21を配置した発光素子基板22からなり、発光部である各LED21が対向するようにして器具本体10の対向する辺の外縁部14、15に設けられた設置部16、17に1本ずつ配設され、
各設置部16、17に立設された支持板24に、複数個のLED21を実装した面を中央に向けて取り付けて支持された発光素子基板22と、
複数個のLED21の光出射方向に対向して配置され、複数個のLED21の光を主として平行方向に制御するレンズ体30と、
複数個のLED21に対向し中間部分から器具本体10の略中央部に向かって傾斜させ、器具本体10の略中央部に固定された反射体40と、
複数個のLED21および反射体40を覆い外縁部から中央部にいくに従い透過率が高くなるようにしたグローブ50と
を具備する照明器具。」

イ 対比・判断
(ア)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「器具取付面A」は前者の「被取付部材」に相当し、後者の「器具本体10」は、その略中央部のアダプタにより天井等に取り付けられるので、後者のアダプタが設けられる「略中央部」を有する「器具本体10」は、前者の「天井取付部を有する保持体」に相当する。
後者の「複数個のLED21」は、器具本体10の対向する辺の外縁部14、15に配置されているので、前者の「天井取付部の周囲を囲むように配された複数のLED」と、「天井取付部の周囲に配された複数のLED」である限りにおいて一致する。
後者の一面に複数個のLED21が実装された「発光素子基板22」と、前者の「複数のLEDが実装された面が前面側に向けられ、裏面が保持体の一面に固定されたLED基板」とは、「複数のLEDが実装された面と裏面とを有したLED基板」である限りにおいて一致する。
後者の「点灯装置13」と、前者の「保持体の一面から離れた状態で保持体の一面に設けられ、複数のLEDに電力を供給する電源部」とは、「保持体の一面に設けられ、複数のLEDに電力を供給する電源部」である限りにおいて一致する。
後者の「照明器具」は、前者の「照明装置」に相当する。
そうすると、両者は、
「被取付部材に取り付けるための天井取付部を有する保持体と、
前記天井取付部の周囲に配された複数のLEDと、
前記複数のLEDが実装された面と裏面とを有したLED基板と、
前記保持体の一面に設けられ、前記複数のLEDに電力を供給する電源部と、
を備えた照明装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

〔相違点1〕
本件特許発明1は、複数のLEDが天井取付部の「周囲を囲むように」配されているのに対して、甲1発明の複数のLED21は、そのような特定がなされていない点。
〔相違点2〕
本件特許発明1は、LED基板が「複数のLEDが実装された面が前面側に向けられ、裏面が保持体の一面に固定された」ものであるのに対して、甲1発明は、発光素子基板22が器具本体10に立設した支持板24に取り付けられ、LED21を実装した面を中央に向けて取り付けて支持されているものである点。
〔相違点3〕
本件特許発明1は、電源部が「保持体の一面から離れた状態で」設けられているのに対して、甲1発明は、点灯装置13にそのような特定がなされていない点。
〔相違点4〕
本件特許発明1は、「LED基板と電源部との間において保持体に固定された縁部を有し、電源部を覆う電源カバー」を有しているのに対して、甲1発明は、そのような事項を有していない点。

上記各相違点について検討する。
〔相違点1について〕
甲1には、実施例として、器具本体を四角形とし、その内の1組の「対向する辺」に光源体を配置するものが例示されているが、甲1には、光源体の配置について実施例に限定されるとの記載はなく、他の対向する辺に光源体を配置することを阻害する要因は認められない。また、甲1の段落【0011】(上記(1)ア(ウ)を参照)には、照明器具の「形状は円形、楕円形等の丸形、正方形や長方形等の角形、さらには6角形や8角形等の多角形状をなしていてもよく、特定の形状には限定されない。」とも記載されており、甲1発明の器具本体を多角形とした時、その内の1組の「対向する辺」にしか光源体を配置できないとする理由もなく、むしろ、得ようとする光量との関係で、LEDを増減し、中央部を囲むように多数のLEDを配置することは、適宜になし得ることといえる。
したがって、甲1発明の複数のLEDを、相違点1に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得ることといえる。
〔相違点2について〕
甲1の段落【0001】、【0004】?【0008】の記載(上記(1)ア(ア)、(イ)を参照)を参酌すると、甲1発明は「発光ダイオード等の半導体発光素子を光源としたシーリングライト等の照明器具に関する」ものであり、従来の「環形蛍光ランプを光源とするシーリングライト」の光源を単純に発光ダイオードに置き換えた場合、「発光ダイオード自体の輝度が高いために、グローブにイメージが発生して輝度ムラが生じ」ることから、「比較的容易に表示面の輝度の均斉度を高めることが可能」な「中空サイドライト方式」を採用した照明器具を得ようとするものであることが理解できる。
すなわち、甲1発明は「中空サイドライト方式」を前提とし、器具本体の対向する各辺の外縁部に複数個のLEDを実装した発光素子基板を中央に向けて支持することで、各LEDを対向するように配置し、各LEDの光の出射方向を器具本体と略平行にして、器具本体に設けた反射体で反射させ、器具本体の前面に光を照射するものである。
そうしてみると、甲1発明の各LEDを、器具本体の前面に向けて配置することは、その前提からみて動機付けがないといえる。
したがって、甲2?甲2の2にLEDを器具本体の前面に取り付ける構成が示されているとしても、甲1発明を、相違点2に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
〔相違点3について〕
甲3の1には、天井に直付けされる照明器具に関して、器具本体1の下面に点灯装置20が絶縁板21(当審註、19の誤記と認められる)を介して取付けられることが記載されている(上記(1)クを参照)。
甲3の2には、天井に設けられた引掛シーリングに取り付けられる照明器具に関して、蛍光ランプ8用の動作電源を生成する回路ブロック3を、中板22を介してボディ20の下面に取り付けることが記載されている(上記(1)ケを参照)。
甲3の3には、天井面に設置される照明器具に関して、点灯回路基板5は絶縁板50によって、器具本体3の地面と対向する上面に固定されることが記載されている(上記(1)コを参照)。
そうすると、甲3の1?甲3の3に記載された事項は、いずれも蛍光灯に電源を供給する点灯装置を、器具本体から絶縁するための構成である。
また、甲3の4には、電気かみそり等以外の電気用品について、電源電線の取付け部のうちの製造者が接続する端子部とアースするおそれのある非充電金属又は人が触れるおそれのある非金属部の表面との間の空間距離を、線間電圧又は対地電圧(V)が50?150のものについて、2.5mm以上とすることが記載されている。
しかしながら、甲1には、点灯装置13の構造について記載されておらず、【図1】にボックス状のものが器具本体に接して設けられていることが記載されているのみである。
そうしてみると、甲1発明において、器具本体に接して設けられているボックス状の点灯装置に対して、器具本体から点灯装置を離間して配置する甲3の1?甲3の3に記載の事項及び甲3の4に記載の事項を適用する動機付けはないといえる。
したがって、甲1発明を、相違点3に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
〔相違点4について〕
甲1には、反射体40は、両端部を2本のそれぞれの光源体20における各LED21に対向し、中間部分から器具本体の略中央部に向かって連続的に徐々に傾斜させた傾斜部41を形成したものであり、器具本体10との間に点灯装置13を配置したものであることが記載されているが(上記(1)ア(カ)、(コ)を参照)、反射体40の各LEDに対向する部分が、どのように器具本体に接続されているのかは記載されていない。
甲1発明の「反射体」は、光源体20からの光を反射するものであり、本件特許発明1の「電源カバー」に相当するとはいえない。
また、仮に甲1発明の「反射体」が点灯装置13を覆うように配置されることをもって、カバーとみなすことができたとしても、当該反射体は器具本体の略中央部に固定されているものの、反射体の両端部の器具本体との関係は、甲1の記載からでは明らかでなく(上記(1)ア(カ)の段落【0032】を参照)、甲1発明の「反射体」は、本件特許発明1の「LED基板と電源部との間において保持体に固定された縁部を有し」たものということはできず、また、そのような固定された構造となすことが容易だとする証拠もない。
したがって、甲1発明において、相違点4に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るとはいえない。

よって、本件特許発明1が、甲1発明、甲2?甲2の2、甲3?甲3の4に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(イ)本件特許発明2?4について
本件特許発明2?4は、本件特許発明1を直接的または間接的に引用するものであり、本件特許発明1のすべての構成を備えるものである。
本件特許発明1が上記(ア)で検討したとおり、甲1発明、甲2?甲2の2、甲3?甲3の4に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないので、本件特許発明1のすべての構成を備えた本件特許発明2?4も同様に、甲1発明、甲2?甲2の2、甲3?甲3の4に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)無効理由2について
ア 甲1の1発明
上記(1)イで摘記した甲1の1の各記載事項及び図面の記載からみて、甲1の1には次の発明(以下、「甲1の1発明」という。)が記載されている。

〔甲1の1発明〕
「天井面7に取り付けるLED照明装置であって、
複数個の大電流型LED4と、
前記大電流型LED4を点灯制御する点灯装置3と、
略中央部が取付ネジ6により天井面7にネジ止めされる円盤状のベース板1と、を具備し、
ベース板1の一方の面の略中央部に給電部2が取付けられ、ベース板1の他方の面の略中央部には点灯装置3が取付けられるとともに、点灯装置3と略同一面内であって点灯装置3の周囲に等間隔で間欠的に位置する複数個の大電流型LED4が配置された
LED照明装置。」

イ 対比・判断
(ア)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1の1発明とを対比すると、後者の「天井面7」は、前者の「被取付部材」に相当し、後者のベース板1の略中央部は、取付ネジ6により天井面7にネジ止めされるので、後者の「略中央部」を有する「ベース板1」は、前者の「天井取付部を有する保持体」に相当する。
後者の点灯装置3の周囲に等間隔で間欠的に配置された「複数個の大電流型LED4」は、点灯装置3がベース板1の略中央部に取り付けられ、略中央部は天井面への取り付け箇所でもあるので、前者の「天井取付部の周囲を囲むように配された複数のLED」に相当する。
後者のベース板1の他方の面の略中央部に取付けられ、大電流型LED4を点灯制御する「点灯装置3」は、前者の「保持体の一面から離れた状態で保持体の一面に設けられ、複数のLEDに電力を供給する電源部」と、「保持体の一面に設けられ、複数のLEDに電力を供給する電源部」である限りにおいて一致する。
後者の「LED照明装置」は、前者の「照明装置」に相当する。
そうすると、両者は、
「被取付部材に取り付けるための天井取付部を有する保持体と、
前記天井取付部の周囲を囲むように配された複数のLEDと、
前記保持体の一面に設けられ、前記複数のLEDに電力を供給する電源部と、
を備えた照明装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

〔相違点5〕
本件特許発明1は、「複数のLEDが実装された面が前面側に向けられ、裏面が保持体の一面に固定されたLED基板」を備えているのに対して、甲1の1発明のLED4は、そのような構成を有しているのか明らかでない点。
〔相違点6〕
本件特許発明1は、電源部が「保持体の一面から離れた状態で」設けられているのに対して、甲1の1発明は、点灯装置3にそのような特定がなされていない点。
〔相違点7〕
本件特許発明1は、「LED基板と電源部との間において保持体に固定された縁部を有し、電源部を覆う電源カバー」を有しているのに対して、甲1の1発明は、そのような事項を有していない点。

上記各相違点について検討する。
〔相違点5について〕
請求人は、平成27年1月20日の口頭審理陳述要領書で、相違点5について次のように主張している。
「甲第1号証の1には、LED4を搭載する基板が明確に開示されていない。しかしながら、LED4を基板なしでベース1に取り付けることは、技術常識的に考えられない。請求人が提出した甲第1号証、甲第2号証?甲第2号証の4には、すべて基板にLEDが搭載された構成が記載されており、LEDを搭載する場合に基板を用いることは技術常識である。・・・(中略)・・・甲第1号証の1には、LED光が前面を向いている構成が開示されている以上、LED基板を有することも記載されているに等しい事項であるから、基板の裏面側がベースに固定されていると考えるのが自然な発想である。」(第8頁8?21行)
甲1の1には、大電流型LED4について、次のとおり記載されている。
「【0023】・・・複数個のLEDである大電流型LED4が配置されている。・・・
【0024】大電流型LED4は、従来タイプのLEDと比べ、新しいパッケージング技術の導入により半導体チップの面積が拡大されている。このため、従来タイプのLEDと比較して、大電流を流すことができ、高輝度な光を放射することができる。・・・」(上記(1)イ(ウ)を参照)
上記記載によれば、大電流型LEDは複数のLEDをパッケージングしたものと解釈できるが、LEDの基板への搭載については記載されておらず、LEDを基板に搭載することが技術常識であるとしても、大電流型LED4として示されているボックス状の構造の中で、基板がベース板1にどのように支持されるのかについて記載も示唆もされていない。
したがって、請求人の「基板の裏面側がベースに固定されていると考えるのが自然な発想」とする上記主張を採用することはできず、甲1の1発明が、相違点5に係る本件特許発明の構成を有しているとはいえず、また、容易に想到し得るともいえない。
〔相違点6について〕
甲3の1?甲3の3に記載された事項、及び、甲3の4に記載された事項は、上記(2)イ(ア)の〔相違点3について〕で述べたとおりである。
甲1の1の段落【0023】(上記(1)イ(ウ)を参照)には、「円盤状のベース板1の一方の面の略中央部に給電部2が取付けられ、ベース板1の他方の面の略中央部には点灯装置3が取付けられている。」「給電部2は、電源線5が接続されて大電流型LED4を点灯させるために必要な電力が供給される部分であり、点灯装置3には大電流型LED4を点灯させるために必要な回路や素子、例えば、交流電流を直流電流に変換する整流回路、保護用素子としてのコンデンサや抵抗などが含まれている。」と記載されている。
甲1の1の上記記載からは、点灯装置3は整流回路、保護用素子等々を含むものではあるものの、【図1】にはボックス状に示されているのみであり、ベース板に接して設けられていることは明らかであるものの、整流回路、保護用素子等々の配置までは明らかではない。
そうしてみると、甲1の1発明において、ベース板に接して設けられているボックス状の点灯装置に対して、器具本体から点灯装置を離間して配置する甲3の1?甲3の3に記載の事項及び甲3の4に記載の事項を適用する動機付けはないといえる。
したがって、甲1の1発明を、相違点6に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
〔相違点7について〕
上記〔相違点6について〕で述べたとおり、甲1の1の【図1】には、ボックス状の点灯装置が記載されているが、その構造は明らかではなく、電源カバーを有しているとまでは認められない。
したがって、甲1の1発明を、相違点7に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るとはいえない。

よって、本件特許発明1が、甲1の1発明、甲3の1?甲3の4に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(イ)本件特許発明2?4について
本件特許発明2?4は、本件特許発明1を直接的または間接的に引用するものであり、本件特許発明1のすべての構成を備えるものである。
本件特許発明1が上記(ア)で検討したとおり、甲1の1発明及び甲3の1?甲3の4に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないので、本件特許発明1のすべての構成を備えた本件特許発明2?4も同様に、甲1の1発明、甲3?甲3の4に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)無効理由4について
ア 甲2発明
上記(1)ウで摘記した甲2の各記載事項及び図面の記載からみて、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。

〔甲2発明〕
「灯座10と、灯笠20と、LED発光モジュール30と、電源制御回路板40と、検出センサ50と、飾りリング60とから構成されたLED灯具であって、
灯座10は、アルミニウム金属材質からなり、ほぼディスク状で、底板11と底板11の周縁に沿って中央が上へ突出するリング状突縁111が形成され、底板11が天井に取り付けられ、
LED発光モジュール30は、複数設けられており、灯座10の底板11のリング状突縁111に設置され、それぞれに、基板31と外蓋32及び放熱弾性ゴム33が備えられ、
基板31は、底板11のリング状突縁111に対応して、扇形になり、リング状突縁111の上に設置され、他のLED発光モジュール30と、リング状に囲み、
それぞれの基板31に、複数のLED311が配列され、その一側に、差込口金312が設けられ、
基板31の底部に、放熱弾性ゴム33が設置され、LED311による熱エネルギーが底板11に伝達され、
電源制御回路板40は、灯座10の底板11の中心に固定されており、LED発光モジュール30に対応して、LED発光モジュール30にある差込口金312が差し込まれる複数の差込ソケット41が設置された
LED灯具。」

イ 対比・判断
(ア)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲2発明とを対比すると、後者の「天井」、「灯座10」は、前者の「被取付部材」、「保持体」にそれぞれ相当し、後者の灯座10は、その底板11が天井に取り付けられるので、前者の「天井取付部」を備えている。
後者の「複数のLED311」は、前者の「複数のLED」に相当し、後者の、「複数のLED311が配列され」、「底部に放熱弾性ゴム33が設置され」、灯座10の底板11の「リング状突縁111の上に設置され」る「基板31」は、前者の「複数のLEDが実装された面が前面側に向けられ、裏面が保持体の一面に固定されたLED基板」に相当する。
後者の「LED発光モジュール30にある差込口金312が差し込まれる複数の差込ソケット41が設置された」「電源制御回路板40」は、前者の「複数のLEDに電力を供給する電源部」に相当する。
後者の「LED灯具」は、前者の「照明装置」に相当する。
そうすると、両者は、
〔一致点〕
「被取付部材に取り付けるための天井取付部を有する保持体と、
複数のLEDが実装された面が前面側に向けられ、裏面が保持体の一面に固定されたLED基板と、
前記複数のLEDに電力を供給する電源部と、を備えた照明装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

〔相違点8〕
本件特許発明1は、複数のLEDが保持体の「天井取付部の周囲を囲むように配された」との構成を有しているのに対して、甲2発明はそのような特定がなされていない点。
〔相違点9〕
本件特許発明1は、電源部が「保持体の一面から離れた状態で保持体の一面に設けられ」との構成を有しているのに対して、甲2発明はそのような特定がなされていない点。
〔相違点10〕
本件特許発明1は、「LED基板と電源部との間において保持体に固定された縁部を有し、電源部を覆う電源カバー」を有しているのに対して、甲2発明は、そのような事項を有していない点。

上記各相違点について検討する。
〔相違点8について〕
甲2発明は、天井取付部の配置についての特定はないが、天井に取り付ける円盤状の照明器具において、天井取付部を器具本体の中心に設け、その外側に点灯回路、光源の順にリング状に配置することは周知の事項である(必要であれば、甲第3号証の1として提出された特開平11-329051号公報、甲第3号証の2として提出された特開2007-227181号公報を参照)。
LEDを用いた照明器具が既存の照明器具と置き換えて利用されることに鑑みれば、甲2発明においても既存の照明器具と同様の天井への取付構造が求められることは、当業者が容易に想到し得ることであり、甲2発明に前記周知の照明器具における天井取付部、点灯回路、光源の配置を適用し、灯座10の底板11の中心に天井取付部を設け、その外側に電源制御回路40、LED発光モジュール30を順に配置することは、当業者が容易に想到し得ることといえる。
してみれば、甲2発明を、上記相違点8に係る本件特許発明1の構成とすることは、周知の事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることといえる。
〔相違点9について〕
甲2の4の段落【0074】、【0071】(上記(1)キ(キ)を参照)には、発光ダイオードを用いたダウンライト型の照明器具において、その表面及び裏面に電気部品を配置した配線基板60bからなる電源部60を、アルミニウム製の器具本体10の仕切り板10cから離して設置し、電気絶縁距離を確保すること、及び、電源部60と器具本体10との間に所定の距離をとり、かつ絶縁材を介在させて電気絶縁を図ることが記載されている。
照明器具の点灯制御回路や電源回路が基板に電気部品を実装して形成されることは周知の事項であり、両面に電気部品を配置した基板とするか、片方の面にのみ配置した基板とするかは、当業者が適宜選択し得る事項といえる。
また、片方の面のみに電気部品を配置した基板においても、その裏面において半田付けすることは、一般的に行われている周知の事項であって、そのような場合には、当該基板を金属製の部材上に設ける際に絶縁距離を確保しなければならないことは当然の事項である。
してみると、甲2発明の電源制御回路40を灯座10の底板11のリング状突縁111に設置するに際し、甲2の4に記載の事項及び周知の事項に基づいて、器具本体との絶縁距離を確保するように離間させる構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることといえる。
したがって、甲2発明を、上記相違点9に係る本件特許発明1の構成とすることは、甲2の4に記載の事項及び周知の事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることといえる。
〔相違点10について〕
a.
請求人は平成27年5月29日の弁駁書において、次のとおり主張している。
「・・・構成E(当審註、相違点10に係る構成と同じ)は技術常識あるいは周知技術に過ぎず、平成27年3月12付け発送の無効理由通知に記載のとおり、本件発明1?本件発明4は、刊行物1、刊行物2、及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。なお、構成Eが周知技術(あるいは技術常識)であることを立証するために請求人は甲5号証の1?甲5号証の5を新たに証拠として提出する。すでに提出済みの証拠と合わせて、各甲号証には次のような記載が認められる。」(第3頁10?16行)
そして、同弁駁書において、甲1に記載の反射体40、甲1の1に記載の点灯装置3として示されるもの、甲5の1に記載の金属板1及び金属側板2、甲5の2に記載の反射板7、甲5の3に記載の点灯装置210を覆うハッチングの部分、甲5の4に記載の上側部分5、甲5の5に記載の反射板4が、それぞれ電源カバーに相当する旨主張している(第3頁17行?第6頁24行)。

甲1、甲1の1、甲5の1?甲5の5についての上記主張について以下検討する。
甲1に記載の反射体40、甲5の2の反射板7及び甲5の5の反射板4は、いずれも反射板であって、電源カバーとはいえない。
甲1の1には、点灯装置3の構造について記載されておらず、カバーで覆われているとすることはできない。
甲5の1の段落【0007】には「・・・金属板1にLEDユニット4を金属ベース部3を介して固定して、・・・」と記載され、段落【0008】には「・・・金属側板2にもLEDユニット4を金属ベース部3を介して固定して、・・・」と記載されている(上記(1)シ(ウ)を参照)。そうしてみると、金属板1及び金属側板2は、本件特許発明1の電源カバーというよりも、むしろ保持体に相当するというべきである。
甲1、甲1の1、甲5の1、甲5の2、甲5の5に記載のものはいずれも電源カバーに相当するとはいえず、甲2発明の電源制御回路40に適用することは容易に想到し得るとはいえない。
甲5の3には、点灯装置210を覆うハッチングの部分について何ら記載されておらず、点灯装置210全体を覆うものか不明であり、甲2発明の電源制御回路40に適用する動機付けはないといえる。
甲5の4に記載の上側部分5は、下側部分3の天井側に配置され、天井に向かって露出している回路部品を天井側である上側から覆うものであり、下側部分3に対して環状蛍光ランプと同じ側にある回路部品を覆うものではない。対して、甲2発明の電源制御回路板40は、LED灯具を天井に取り付けた状態で、下方側に回路素子が露出するものであり、灯座10に対してLED発光モジュール30と電源制御回路板40とは同じ側に配置されるものである。甲2発明の下方に露出する電源制御回路板40の回路素子に対して、甲5の4に記載の天井側からの覆いとなる上側部分5を適用することは、回路素子の露出する方向が異なること、光源に対する回路素子の配置が異なることから、当業者が容易に想到し得るとはいえない。

b.
さらに、甲2の段落【0022】(上記(1)ウ(エ)を参照)には、「電源制御回路板40は、・・・上記LED発光モジュール30に対応して、LED発光モジュール30にある差込口金312が差し込まれる複数の差込ソケット41が設置され、・・・」と記載され、段落【0026】(上記(1)ウ(カ)を参照)には、「LED311が故障した場合、LED発光モジュール30の外蓋32に固定するネジを弛め、故障した発光モジュール30の差込口金312を、電源制御回路板40の差込ソケット41から抜き出して、故障したLED発光モジュール30だけを上記灯座10から直接に取り外して、新しいLED発光モジュール30を実装すればよい。」と記載されているとともに、【図3】から、電源制御回路板40の表面に差込ソケットが配置されていることを看取しうる(上記1ウ(ク)を参照)。
また、段落【0017】(上記(1)ウ(イ)を参照)には、「・・・底板11の中心に、固定枠13が設けられ、上記固定枠13の上方に、リング状シート131が設置され、リング状シート131の中心に、バイアホール132が形成され、また、固定枠13のリング状シート131の両側から、それぞれ、下へスタンド133が設けられて、固定枠13が、そのスタンド133により、底板11に固定され、・・・」と記載され、段落【0023】(上記1ウ(エ)を参照)には、「検出センサ50は、筒体であり、その上段が、上記固定枠13のバイアホール132を通してリング状シート131に固定され、・・・」と記載されているとともに、【図2】から、検出センサ50が固定された固定枠13が2本のスタンド133で灯座10に固定されていること、【図3】から、固定枠13固定された検出センサ50と灯座10との間に電源制御回路板40が配置されていることが、看取しうる。
上記段落の記載及び図面の記載によれば、甲2発明は、電源制御回路板40の表面に配置した差込ソケット41に、LED発光モジュール30の差込口金312を抜き差しできるよう、電源制御回路板40の表面側に位置する検出センサ50が固定された固定枠13が、その2本のスタンド133により灯座10に固定され、また、固定枠13固定された検出センサ50と灯座10との間に電源制御回路板40が配置されて構成されているといえる。

上述のとおり、甲2発明は、電源制御回路板40を覆う固定枠13の2本のスタンド133の間から、電源制御回路板40の差込ソケット41にLED発光モジュール30の差込口金312を抜き差しできるように構成されており、固定枠を電源制御回路板40を覆うカバーとすることは、上記2本のスタンド133の間を閉塞することになり、差込ソケット41への差込口金312の抜き差しを妨げることになる。また、電源制御回路基板40と検出センサ50との間に、電源制御回路板40を覆うカバーを設けることは、必要性もないし、上述の抜き差しを妨げることにもなる。
よって、甲2発明において、電源制御回路板40を覆うカバーを設けることは、動機付けがないといえる。
したがって、甲2発明を、相違点10に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るとはいえない。

c.
そして、他に相違点10に係る本件特許発明1の構成を容易になし得たとする証拠はない。
したがって、甲2発明に、甲1、甲1の1、甲5の1?甲5の5に記載の事項または周知の技術を適用し、相違点10に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得るとはいえない。

d.
よって、本件特許発明1が、甲2発明、甲2の4に記載の事項及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(イ)本件特許発明2?4について
本件特許発明2?4は、本件特許発明1を直接的または間接的に引用するものであり、本件特許発明1のすべての構成を備えるものである。
本件特許発明1が上記(ア)で検討したとおり、甲2発明及び甲2の4に記載の事項及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないので、本件特許発明1のすべての構成を備えた本件特許発明2?4も同様に、甲2発明及び甲2の4に記載の事項及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(5)当審無効理由について
ア 甲2発明
甲2発明は、上記(4)アで述べたとおりである。

イ 対比・判断
(ア)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲2発明とを対比するところ、その一致点、相違点は上記(4)イ(ア)で述べたとおりであり、上述の相違点8?10で相違する。

そして、相違点8?10については、上記(4)イ(ア)の〔相違点8について〕、〔相違点9について〕及び〔相違点10について〕で検討したとおりである。

よって、本件特許発明1が、甲2発明、甲2の4に記載の事項及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(イ)本件特許発明2?4について
本件特許発明2?4は、本件特許発明1を直接的または間接的に引用するものであり、本件特許発明1のすべての構成を備えるものである。
本件特許発明1が上記(ア)で検討したとおり、甲2発明及び甲2の4に記載の事項及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないので、本件特許発明1のすべての構成を備えた本件特許発明2?4も同様に、甲2発明及び甲2の4に記載の事項及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(6)小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1?4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではない。

3 無効理由についてのまとめ
上記1で述べたとおり、本件特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反しているとはいえず、無効理由3は理由があるとはいえない。
また、上記2で述べたとおり、本件特許発明1?4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものとはいえず、無効理由1、2、4、及び、当審無効理由は理由があるとはいえない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件特許発明1?4に係る特許を無効とすることはできない。
また、当審で通知した無効理由によっても、本件特許発明1?4に係る特許を無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
照明装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源と、該光源に電力を供給する電源部と、前記光源及び電源部を保持する保持体とを備える照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の室内の照明に用いられる照明装置として、従来、白熱電球、蛍光灯等の光源を備える照明装置が用いられている。近年、発光ダイオード(以下LEDという)の高輝度化に伴い、従来の光源に代えて、小型、低消費電力、長寿命等の特性を有するLEDを光源として備える照明装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたLED照明装置は、光源であるLEDと、該LEDを点灯する点灯装置とを備え、前記LEDと前記点灯装置とを略同一面内に配置してある。LED照明装置は、前記LED及び点灯装置をその一面に取付けられるベース板302を有しており、該ベース板302の他面の側の略中央には、外部電源からの給電を受ける部分として引掛刃311を備えた引掛シーシングキャップ301が設けてある(図16参照)。そして、LED照明装置は、天井面に設けられた引掛シーリングボディ(図示せず)の引掛刃受け穴(図示せず)に引掛刃311を嵌合させることにより天井面への取付が行われるように構成してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-86006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、住宅等の室内の照明に用いられる照明装置においては特に、天井面から照明装置が大きく突設していると、美観を損ねると共に、限られた室内空間を占有してしまい、好ましくないため、照明装置を薄型化したいという要望があった。特許文献1に係る照明装置においては、点灯装置とLEDとを略同一面内に配置して、LEDの光出射方向である上下方向に重なり合わないように配置してあるから、確かに、点灯装置とLEDを上下方向に重なり合う配置を採用した照明装置と比較して、天井面からの突設高さを低減することができ、薄型化することができる。しかしながら、引掛シーリングキャップ301の引掛刃311がベース板302の他面の側(LED及び点灯装置が配置される一面と反対側)に突出しており、また引掛シーリングキャップとLED又は点灯装置とが上下方向に一部が重なり合う配置となっているから、これらの分だけ上下方向の厚み、換言すると天井面からの突設高さが増してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、薄型化することができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る照明装置は、被取付部材に取り付けるための天井取付部を有する保持体と、前記天井取付部の周囲を囲むように配された複数のLEDと、前記複数のLEDが実装された面が前面側に向けられ、裏面が前記保持体の一面に固定されたLED基板と、前記保持体の一面から離れた状態で前記保持体の一面に設けられ、前記複数のLEDに電力を供給する電源部と、前記LED基板と前記電源部との間において前記保持体に固定された縁部を有し、前記電源部を覆う電源カバーと、を備えたことを特徴とする照明装置。
【0008】
また、前記LED基板は、前記電源部の外周側に前記電源部と重なり合わないように配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記電源部は、支持部材を介して前記保持体の一面に設けられていることを特徴とする。
また、前記支持部材は、基板アングルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光源であるLEDで発生した熱が保持体に伝達され、保持体に伝達された熱を効率よく放熱することができる薄型の照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係る照明装置の模式的外観斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る照明装置の模式的分解斜視図である。
【図3】実施の形態1に係る照明装置の模式的背面図である。
【図4】実施の形態1に係る照明装置の主要部の配置を示す模式的正面図である。
【図5】図3のV-V線による模式的断面図である。
【図6】図3のVI-VI線による模式的部分拡大断面図である。
【図7】実施の形態1に係る照明装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態2に係る照明装置の主要部の配置を示す説明図である。
【図9】実施の形態2に係る照明装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態3に係る照明装置の主要部の配置を示す説明図である。
【図11】実施の形態4に係る照明装置の主要部の配置を示す説明図である。
【図12】実施の形態4に係る照明装置の主要部の配置を示す模式的部分断面図である。
【図13】実施の形態4に係る照明装置の点灯状態の説明図である。
【図14】実施の形態5に係る照明装置の主要部の配置を示す模式的部分断面図である。
【図15】実施の形態5に係る照明装置の点灯状態の説明図である。
【図16】従来技術に係る照明装置を背面側からみた模式的外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて、天井等の被取付部材に設けられた引掛シーリングボディ等の被取付体に着脱可能に取付けられる照明装置(所謂シーリングライト)を例に、詳述する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る照明装置100の模式的外観斜視図である。図2は、実施の形態1に係る照明装置100の模式的分解斜視図である。図3は、実施の形態1に係る照明装置100の模式的背面図である。図4は、実施の形態1に係る照明装置の主要部の配置を示す模式的正面図である。図5は、図3のV-V線による模式的断面図である。図6は、図3のVI-VI線による模式的部分拡大断面図である。
【0014】
図において1は、照明装置本体を天井等の被取付部材に取付ける取付部としてのアダプタである。アダプタ1は、扁平な円柱形状を有しており、一端側に、被取付部材に設けられた角型の引掛シーリングボディ200の引掛刃係合穴201に係合する引掛刃11を有している。アダプタ1の周面には、径方向に進退可能な係合突起12が複数設けてある。また、アダプタ1は、後述する電源部に接続されるコネクタ15を有している。引掛シーリングボディ200及びアダプタ1は、引掛刃係合穴201に引掛刃11を係合させることにより、電気的、機械的に接続される。なお、引掛シーリングボディ200及びアダプタ1は、それ自体公知であるので、詳細な説明は省略する。
【0015】
アダプタ1により、光源及び電源部を保持する保持体であるシャーシ2が被取付部材に取付けられる。シャーシ2は、中央に円穴を有する円板状であり、アルミニウム等の金属製である。シャーシ2は、前記円穴の周囲に、該円穴に同心をなして、アダプタ1に保持される環状の天井取付部21を有している。引掛シーリングボディ200にアダプタ1を取付けた後、シャーシ2の円穴とアダプタ1の位置を整合させて、シャーシ2をアダプタ1の側から押し込むことにより、シャーシ2が、アダプタ1の係合突起12により保持され、被取付部材である天井に取付けられることになる。この取付状態において、シャーシ2の略中央にアダプタ1が位置する。そして、アダプタ1は主として天井取付部21の一面21aの側に配される。
【0016】
天井取付部21には、後述する電源基板及び制御基板を保持する基板保持部22が天井取付部21に連設してある。基板保持部22は、天井取付部21と同心をなす環状を有しており、該天井取付部21よりも引掛シーリングボディ200の側に突設している。
【0017】
基板保持部22には、環状の突条部23が連設してある。該突条部23は、天井取付部21と略同一平面上にある。この突条部23には、光源を保持する光源保持部24が連設してある。光源保持部24は、天井取付部21と同心をなす環状を有しており、該天井取付部21よりも引掛シーリングボディ200の側に突設している。光源保持部24の外周縁には、扁平な円筒状の周壁25が立設してある。
【0018】
シャーシ2の光源保持部24には、光源としての複数の照明モジュール3が設けてある。照明モジュール3は、図4に示すように、矩形板状のLED基板31と、該LED基板31に実装されたLED32と、該LED32の光出射方向に設けられた拡散レンズ33と、入力端子及び出力端子とを備えてなる。照明モジュール3は、シャーシ2の光源保持部24の一面24aに周方向に略等配をなして固定してある。アダプタ1が取付けられるシャーシ2の天井取付部21に同心をなして光源保持部24が環状に設けてあるから、該光源保持部24に固定された光源である照明モジュール3は取付部であるアダプタ1の周囲に環状に配されることになる。即ち、アダプタ1及び照明モジュール3はシャーシ2の一面側に、面に沿った方向に分散して配置されることになり、被取付部材と直角をなす方向、換言すると被取付部材からの突設高さ方向には重なり合わないように配置される。
【0019】
シャーシ2の環状をなす基板保持部22の一面22aには、環状の一部を切り欠いた形状、換言するとC字状の電源基板4が複数の基板アングル94を介して設けてある。電源基板4には、交流電源(AC電源)から供給された電流を整流する整流回路、整流された電圧を所定の電圧に変換するトランス等の電子部品(図示せず)が実装してある。
【0020】
基板アングル94は、矩形板状のベース板部と、該ベース板部から直交する方向に延びる複数の腕部と、該複数の腕部の延設端に連設され、前記ベース板部と平行をなす複数の固定板部とを備えてなる。基板アングル94は、ベース板部に設けた係合突起を基板保持部22に設けられた係合穴に係合させるとともに、ベース板部及び基板保持部22に設けたネジ用穴にネジを螺合することにより、基板保持部22の一面22aに固定してある。
【0021】
電源基板4は、この基板アングル94の前記固定板部に設けられたネジ用穴にネジを螺合することにより基板アングル94に固定され、基板保持部22の一面22aに設けられる。アダプタ1が取付けられるシャーシ2の天井取付部21に同心をなして基板保持部22が環状に設けてあるから、該基板保持部22に固定された電源基板4に電子部品を実装してなる電源部は取付部であるアダプタ1の周囲に環状に配されることになる。即ち、アダプタ1及び電源部はシャーシ2の一面側に、面に沿った方向に分散して配置されることになり、被取付部材と直角をなす方向、換言すると被取付部材からの突設高さ方向には重なり合わないように配置される。
【0022】
また、基板保持部22の一面22aには、円弧状の制御基板5が同様に基板アングル94を介して設けてある。制御基板5には、制御用のマイクロコンピュータ、調光回路部品等の電子部品が実装してある。アダプタ1が取付けられるシャーシ2の天井取付部21に同心をなして基板保持部22が環状に設けてあるから、該基板保持部22に固定された円弧状の制御基板5に電子部品を実装してなる制御部及び調光回路部は、アダプタ1の周囲に配されることになる。即ち、制御部及び調光回路部は、アダプタ1と被取付部材と直角をなす方向、換言すると被取付部材からの突設高さ方向には重なり合わないように配置される。
【0023】
シャーシ2には、電源基板4を有する電源部をその内部に収容する電源収容部としての電源カバー6が設けてある。電源カバー6は、熱伝導体であり、例えば、金属製であり、放熱体を兼ねている。電源カバー6は、中央に円穴を有する円板状の固定部61と、該固定部61の外周縁に立設された内周壁62と、該内周壁62に連設され、固定部61と平行をなす天板部63と、該天板部63の外周縁に連設され、内周壁62と同心をなして対向する外周壁64と、該外周壁64の天板部63の反対側に周設された縁部65とを有してなる。この電源カバー6は、固定部61をシャーシ2の天井取付部21に、縁部65をシャーシ2の突条部23に夫々整合させて、ネジ等により固定してある。この電源カバー6のシャーシ2への取付により、電源基板4を有する電源部、及び制御基板5を有する制御部及び調光回路部がシャーシ2と電源カバー6により形成される空洞内に収容される。同時に、電源カバー6がシャーシ2に熱的に接続される。
【0024】
電源カバー6の天板部63には、円弧状の複数の係合穴63aが設けてある。また、天板部63の外周縁部には、他の部分よりも固定部61の側に凹んでなる環状の取付座63bが形成してある。また、電源カバー6の内周壁62の内側には、リモートコントローラ等の信号送信部からの信号を受信する信号受信部55が設けてある。
【0025】
また、シャーシ2には、図6に示すごとく、直径の異なる環状の複数のクッション91,92,93が設けてある。また、シャーシ2には、透光性カバーを押さえる複数のカバー押え95が光源保持部24の外縁部に取付けてある。カバー押え95は、光源保持部24の一面24aに取付けられるベース板部と、該ベース板部から直角をなす方向に延設された2つの腕部と、該腕部の端部から前記ベース板部に平行な方向に延設された係合爪部95aとを有している。
【0026】
このように照明モジュール3、電源基板4、制御基板5及び電源カバー6が取付けられたシャーシ2に、光源であるLED32からの光を透過する透光性カバー7が設けてある。透光性カバー7は、電源カバー6に固定される固定部71と、該固定部71に連設された幅広の環状部72と、該環状部72の外周縁から直交する方向に延設された側面部73と、該側面部73から環状部72と鋭角をなす方向に延設された背面部74と、該背面部74に連設され、シャーシ2に係合する係合部75とを有している。
【0027】
透光性カバー7は、係合部75をシャーシ2に取付けられたカバー押え95の係合爪部95aに係合させて保持した状態にて、電源カバー6の天板部63の取付座63b及び透光性カバー7の固定部71に設けられたネジ用穴にネジを螺合することにより固定される。このように透光性カバー7、電源カバー6の外周壁64及びシャーシ2により形成される空洞内に光源である照明モジュール3が収容されることになるから、電源部と照明モジュール3とを別室になるように分けて、照明モジュール3部分のみを密閉することが可能となる。電源カバー6の外周壁64が光源と電源部との間を仕切る仕切枠を兼ねている。
【0028】
以上のように組み立てられた照明装置本体をアダプタ1に取付け、アダプタ1のコネクタ15と電源部にその一端が接続されたコネクタ45とを接続した後、センタカバー8を照明装置本体に取付ける。センタカバー8は、緩やかに凸に湾曲した円板状を有している。センタカバー8の内側には複数の固定バネ81が設けてある。センタカバー8は、固定バネ81を電源カバー6の天板部63に設けられた係合穴63aに係合することにより、電源カバー6に保持される。照明装置本体の被取付部材への取付け及び取外しは、このセンタカバー8を取外すことにより行うことができ、透光性カバー7等を取外す必要がないから光源部分の密閉は維持される。
【0029】
図7は、実施の形態1に係る照明装置100の制御系の構成を示すブロック図である。電源部41は、アダプタ1及び引掛シーリングボディ200を介してAC電源210に接続される。なお、電源部41は、電源基板4、及び該電源基板4に実装され、AC電源から供給された電流を整流する整流回路、整流された電圧を所定の電圧に変換するトランス、一定電流を供給する定電流供給回路等の電子部品を有してなり、前述したように、照明装置100のシャーシ2の基板保持部22に設けてある。
【0030】
電源部41には、同様にシャーシ2の基板保持部22に設けられた制御基板5及び該制御基板5に実装された電子部品を有してなる調光回路部52が接続してあり、電源部41は、調光回路部52に所定電圧の電力を供給する。
【0031】
調光回路部52には、前述した如くシャーシ2の光源保持部24に設けられた複数の照明モジュール3が接続してある。また、調光回路部52には、シャーシ2の基板保持部22に設けられた制御基板5及び該制御基板5に実装された電子部品を有してなる制御部51が接続してある。制御部51は、内部バスにより相互に接続されたCPU及び記憶素子を備えたマイクロコンピュータであり、記憶素子に記憶された制御プログラムに従うCPUの動作により照明装置の各構成部の制御を行うように構成してある。
【0032】
制御部51には、照明装置100内の適宜位置に設けられた操作部56、リモートコントローラ等の信号送信部101からの赤外線を受光する受光部である信号受信部55が接続してある。操作部56、信号送信部101は、例えば、点灯/消灯する操作を受け付ける電源スイッチ、明るさの設定操作を受け付けるスイッチ等を有しており、制御部51に操作に応じた信号を与える。
【0033】
制御部51は、記憶素子に記憶されたプログラムに従って、信号受信部55が受信した信号送信部101からの信号及び操作部56からの信号に基づいて、調光回路部52に制御信号を与える。
【0034】
調光回路部52は、スイッチング素子等を備え、制御部51により与えられた制御信号に応じてスイッチング素子を開閉するように構成してある。このスイッチング素子の開閉動作に応じて、一定電流が照明モジュール3に供給され、照明モジュール3は所定の明るさにて点灯する。
【0035】
以上のように構成された照明装置100においては、取付部であるアダプタ1の周囲に電源基板4(電源基板4を備える電源部41)が配してあり、電源基板4の周囲に照明モジュール3が配してあるから、アダプタ1、電源部41及び照明モジュール3が被取付部材と直角をなす方向、換言すると被取付部材からの突設高さ方向には重なり合わないように配置される。この結果、被取付部材からのアダプタ1、電源部41及び照明モジュール3の突設高さを低減することができ、照明装置100を薄型化することができる。そして、板状をなすシャーシ2の一面側に、アダプタ1、電源部41及び照明モジュール3が重なり合わないように配してあるから、天井等の被取付部材からの照明装置100の突設高さを更に低減することができ、照明装置100を更に薄型化することができる。
【0036】
また、実施の形態1に係る照明装置100においては、電源部41の周りに設けられた電源カバー6の外周壁64により、電源部41と照明モジュール3との間が仕切られ、透光性カバー7、電源カバー6の外周壁64及びシャーシ2により形成される空洞内に照明モジュール3が収容してある。このように電源部41と照明モジュール3とを別室に分けて配置しているから、照明モジュール3のみを密閉することが可能となる。このように照明モジュール3と電源部41とを電源カバー6の外周壁64を仕切枠として別室に分けているから、例えば、照明装置100の天井等の被取付部材への取付又は取外しをすべく、センタカバー8を取外したとき、電源部41近傍が外部に露出した状態になるが、この場合においても、照明モジュール3部分の密閉状態を維持することが可能となる。この結果、照明モジュール3部分に虫等が侵入することを防止することができ、清掃が不要となり、使用者の利便に資する。また、密閉状態として、光源モジュール3を覆う透光性カバー7の脱着機構が不要となるから構造を簡略化することができ、コストを低減することができる。
【0037】
また、熱伝導体の電源カバー6をシャーシ2に固定して熱的に接続してあるから、照明モジュール3、電源部41等により発生した熱がシャーシ2に伝達され、シャーシ2に伝達された熱が、電源カバー6から照明装置100のセンタカバー8の側に伝達されるから、照明装置100の周囲の空気へ放散することができる。
【0038】
そして、光源にLED32を用いている。LED32は、小型の光源であるから、光源部分の厚みを薄くすることができ、天井等の被取付部材からの照明装置の突設高さを低減することができ、照明装置を薄型化することができる。また、蛍光管と異なり、LED32を用いることにより、透光性カバー7の環状部72を平らにすることができ、光源部分の厚みを薄くすることができる。そして、拡散レンズ33をLED32の光出射方向に設けているから、LED32からの光は、拡散レンズ33によって広範囲に拡散することができ、透光性カバー7とLED32との間隔を小さくしても、均一な発光が可能となる。従って、光源にLED32を用いることにより、均一な発光を確保しつつ、照明装置100を薄型化することが可能となる。また、光源の形状が浮き出ることなく、均一な発光をさせることができるから、デザイン性の良い照明装置100を提供することができる。
【0039】
なお、本実施の形態においては、照明モジュール3と電源部41とを仕切る仕切枠を電源カバー6が兼ねているが、これに限定されず、仕切枠を電源カバーとは別に設けてもよい。
【0040】
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2に係る照明装置110の主要部の配置を示す説明図である。なお、図8においては、主要部の配置を簡略化して記載している。図9は、実施の形態2に係る照明装置110の制御系の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係る照明装置110においては、照明モジュール3に加えて、複数の常夜灯モジュール35を備えている。常夜灯モジュール35は、矩形板状をなす基板36と、該基板36に実装された常夜灯LED37と、該常夜灯LED37に一定電流を供給する定電流IC38とを備えてなる。この常夜灯モジュール35は、図8に示すように、シャーシ2の一面側の外周縁部に周方向に略3等配をなして取付けてある。そして、常夜灯モジュール35は、図9に示すように、調光回路部52に接続してある。調光回路部52は、制御部51により与えられた制御信号に応じて、一定電流が常夜灯モジュール35に供給される。その他の構成は、図4及び図7に示す実施の形態1と同様であるため、対応する構成部材に図4及び7と同一の参照符号を付して、その構成の詳細な説明を省略する。
【0041】
本実施の形態に係る照明装置110においては、照明モジュール3と常夜灯モジュール35とを別体に設けて、別途配置してある。常夜灯モジュール35を照明モジュール3と別体に設けているから、常夜灯モジュール35の位置及び/又は数を変えた照明装置を提供することが容易となる。即ち、例えば、購入時に使用者の好みを聞いて、照明モジュール3の配置を変更することなく、常夜灯モジュール35の位置及び/又は数を使用者の好みになるように施工業者により設置するようにすることが可能となる。
【0042】
なお、本実施の形態の照明装置110のように、アダプタ1や電源部41を照明装置の中央部に配置し、それらの周囲に仕切枠を挟んで常夜灯モジュールを設けているような場合において、常夜灯モジュールが1つである或いは複数の常夜灯モジュールが偏った位置に集中して設けられていると、常夜灯モジュールからの光が電源回路や仕切枠等によって遮られてしまい、室内の一部しか照明できないという問題がある。特に常夜灯の光源としてLEDを用いた場合には、指向性が強いので、常夜灯モジュールからの光が十分に拡散されず、上記問題が顕著なものであった。
【0043】
しかし、本実施の形態では、3つの常夜灯モジュールを周方向に略3等配をなして取付けていることによって、たとえ個々の常夜灯モジュールからの光が電源回路や仕切枠等で遮られたとしても、複数の常夜灯モジュールで室内全体を照明することが可能である。なお、常夜灯モジュールは3つの限られず、照明装置の大きさや形状に応じて、複数個の常夜灯モジュールをアダプタや電源部との仕切枠の周囲に等間隔にバランス良く配置させることによって、前記効果を得ることは可能となる。
【0044】
また、各常夜灯モジュール35に定電流IC38を設けているから、常夜灯LEDを好みに応じて電球色、アンバー色のLEDに変更したり、常夜灯モジュール35当たりの常夜灯LEDの数を変更したりした場合にも、各常夜灯LEDに所定電流を供給することができるから、使用者の好みに応じた照明を提供することが可能となる。また、常夜灯モジュール35の明るさを調光回路部52により調節可能なように構成することも可能である。
【0045】
(実施の形態3)
図10は、実施の形態3に係る照明装置120の主要部の配置を示す説明図である。実施の形態3に係る照明装置120においては、常夜灯モジュール35は、図10に示すように、シャーシ2の一面側の外周縁部の周方向の所定範囲に偏らせて配置してある。その他の構成は、図8に示す実施の形態2と同様であるため、対応する構成部材に図8と同一の参照符号を付して、その構成の詳細な説明を省略する。
【0046】
実施の形態3に係る照明装置120は、実施の形態2に係る照明装置110と常夜灯モジュール35の配置を異ならせた例である。このように、使用者の好みにより、常夜灯モジュール35を自由に配置することができる。
【0047】
(実施の形態4)
図11は、実施の形態4に係る照明装置130の主要部の配置を示す説明図である。図12は、実施の形態4に係る照明装置130の主要部の配置を示す模式的部分断面図である。なお、図12においては、主要部の配置を簡略化して記載している。図13は、実施の形態4に係る照明装置130の点灯状態の説明図である。実施の形態4に係る照明装置130において、常夜灯モジュール35は、図11及び図12に示すように、電源カバー6の天板部63に周方向に略3等配をなして取付けてある。なお、センタカバー8aは、透光性カバー7と同様の透光性の材料によって形成してある。その他の構成は、図4及び図5に示す実施の形態1と同様であるため、対応する構成部材に図4及び図5と同一の参照符号を付して、その構成の詳細な説明を省略する。
【0048】
実施の形態4に係る照明装置130は、照明モジュール3と常夜灯モジュール35の配置をシャーシ2の光源保持部24と電源カバー6とに分けて配置している。この結果、通常の生活時間帯に生活空間を明るく照らすべく照明する主照明の際に、照明モジュール3を点灯したときに、図13に示すように、透光性カバー7の部分が明るくなる。一方、夜間等に足元を薄明るく照らすべく照明する常夜灯照明の際に、常夜灯モジュール35を点灯したときには、図12に示すように、常夜灯LED37からの光はセンタカバー8aを透過するから、図13に示すように、センタカバー8aの部分が明るくなる。このように、主照明と常夜灯照明の場合に、発光部分を変えることができる。
【0049】
(実施の形態5)
図14は、実施の形態5に係る照明装置140の主要部の配置を示す模式的部分断面図である。図15は、実施の形態5に係る照明装置140の点灯状態の説明図である。実施の形態5に係る照明装置140においては、センタカバー8bの材料を不透光性の樹脂製とし、センタカバー8bの周壁部に周方向に略等配をなして複数の格子穴85を設けている。その他の構成は、図12及び図13に示す実施の形態4と同様であるため、対応する構成部材に図12及び図13と同一の参照符号を付して、その構成の詳細な説明を省略する。
【0050】
実施の形態5に係る照明装置140は、センタカバー8bに格子穴85を設けて、図14及び図15に示すように、格子穴85から常夜灯モジュール35の常夜灯LED37からの光が出射するようにしてある。この結果、照明装置140の主照明の光出射方向ではく、主照明の照明モジュール3の光出射方向に略直交する方向、側方に常夜灯モジュール35からの光が出射することになる。例えば、照明装置140を天井に設置した場合、常夜灯LED37の光により、天井及び壁が照らされることなる。よって、常夜灯の光は柔らかい間接照明として提供することができる。また、センタカバー8bに格子穴85を設けているから、電源部41等により発生した熱を照明装置140の外部の空気に放散することが可能となる。
【0051】
なお、以上の実施の形態2乃至5に係る照明装置においては、常夜灯モジュール35の数を3つとしているが、3つに限定されず、1つでもよいし、2つまたは4以上であってもよい。即ち、使用者の好みに応じて選択されればよい。
【0052】
また、以上の実施の形態においては、電源カバー6を熱良導体の金属製としていたが、電源カバーの材料はこれに限定されず、透光性カバー7と同様に、透光性の樹脂製としてもよい。この場合、センタカバーも同様に、透光性の樹脂製とする。この結果、照明装置の中央部に新たにLEDを設けることなく、照明装置の中央部を光らせることが可能となる。また、センタカバーとして導光板を採用することにより、照明装置の中央付近を均一に発光させることが可能となる。この結果、照明装置の中央部が暗くなっていることによる違和感、不快感を使用者に与えずにすむ。
【0053】
また、以上の実施の形態においては、透光性カバー7を一体形成しているが、これに限定されない。例えば、透光性カバーの環状部72は、乳白色の透光性の樹脂とし、側面部73及び背面部74は、透明な透光性の樹脂にする。これにより、被取付部材である天井を明るく照明することが可能となる。
【0054】
また、以上の実施の形態においては、光源としてLEDを用いているが、これに限定されず、EL(Electro Luminescence)等を用いてもよい。
【0055】
また、以上の実施の形態においては、天井等の被取付部材に設けられた引掛シーリングボディ等の被取付体に着脱可能に取付けられる照明装置を例に説明したが、これに限定されず、他のタイプの照明装置にも適用可能である。
【0056】
さらに、本発明は、その他、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内において種々変更した形態にて実施することが可能であることは言うまでもない。
【0057】
照明装置は、光源と、該光源に電力を供給する電源部と、前記光源及び電源部を保持する保持体と、該保持体を被取付部材に取付ける取付部とを備える照明装置において、前記光源、電源部及び取付部は、夫々が前記被取付部材に対して互いに重なり合わないように前記保持体に配してあることを特徴とする。
【0058】
光源と、該光源に電力を供給する電源部と、前記光源及び電源部を保持する保持体を被取付部材に取付ける取付部とを、夫々前記被取付部材に対して互いに重なり合わないように前記保持体に配してあるから、前記被取付部材からの前記光源、電源部及び取付部の突設高さを低減することができ、照明装置を薄型化することが可能となる。
【0059】
前記保持体は、該保持体の一面側に、前記光源、電源部及び取付部が配してあることを特徴とする。
【0060】
保持体の一面側に、前記光源、電源部及び取付部が配してあるから、保持体の形状を適切に設定することによって、例えば、光源、電源部及び取付部を略同一平面内に配することにより、天井等の被取付部材からの照明装置の突設高さを更に低減することができ、照明装置を更に薄型化することができる。
【0061】
前記取付部は前記保持体の略中央に設けられ、前記電源部は前記取付部の周囲に設けられ、前記光源部は前記電源部の周囲に設けられ、前記保持体に設けられ、前記電源部と前記光源との間を仕切る仕切枠を有することを特徴とする。
【0062】
保持体の略中央に取付部が設けられ、該取付部の周囲に電源部が設けられ、該電源部の周囲に光源部が設けてあり、電源部と光源との間を仕切る仕切枠を保持体に設けてある。これにより、例えば、取付部近傍のカバーを外す等により電源部近傍が外部に露出した状態になった場合においても、光源部分の密閉状態を維持することが可能となる。この結果、光源部分に虫等が侵入することを防止することができ、清掃が不要となり、使用者の利便に資する。
【0063】
前記電源部を覆うカバーを有し、前記仕切枠は、前記保持体と前記カバーを接続する熱伝導体であり、前記光源又は電源部からの熱を前記保持体を介して前記カバーに伝熱するようにしてあることを特徴とする。
【0064】
仕切枠は電源部を覆うカバーと保持体を接続する熱伝導体であり、光源又は電源部からの熱を保持体を介してカバーに伝熱するようにしてある。光源又は電源部により発生した熱は、保持体を介して仕切枠に伝達され、更に仕切枠からカバーに伝達され、該カバーを適切に設けることにより、カバーから照明装置の周囲の空気へ放散することが可能となる。
【0065】
前記光源はLEDを含んでなることを特徴とする。
【0066】
光源にLEDを用いている。LEDは小型の光源であるから、光源部分の厚みを薄くすることができ、天井等の被取付部材からの照明装置の突設高さを低減することができ、照明装置を薄型化することができる。
【0067】
光源、電源部及び取付部を夫々被取付部材に対して互いに重なり合わないように保持体に配することにより、被取付部材からの突設高さを低減することができ、照明装置を薄型化することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 アダプタ(取付部)
2 シャーシ(保持体)
3 照明モジュール(光源)
32 LED
4 電源基板
41 電源部
5 制御基板
6 電源カバー(カバー)
64 外周壁(仕切枠)
7 透光性カバー
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部材に取り付けるための天井取付部を有する保持体と、
前記天井取付部の周囲を囲むように配された複数のLEDと、
前記複数のLEDが実装された面が前面側に向けられ、裏面が前記保持体の一面に固定されたLED基板と、
前記保持体の一面から離れた状態で前記保持体の一面に設けられ、前記複数のLEDに電力を供給する電源部と、
前記LED基板と前記電源部との間において前記保持体に固定された縁部を有し、前記電源部を覆う電源カバーと、
を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記LED基板は、前記電源部の外周側に前記電源部と重なり合わないように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記電源部は、支持部材を介して前記保持体の一面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記支持部材は、基板アングルであることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2015-07-09 
結審通知日 2015-07-13 
審決日 2015-07-27 
出願番号 特願2013-210015(P2013-210015)
審決分類 P 1 113・ 853- YAA (F21S)
P 1 113・ 852- YAA (F21S)
P 1 113・ 537- YAA (F21S)
P 1 113・ 851- YAA (F21S)
P 1 113・ 854- YAA (F21S)
P 1 113・ 121- YAA (F21S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関 信之  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 平田 信勝
出口 昌哉
登録日 2014-04-11 
登録番号 特許第5520411号(P5520411)
発明の名称 照明装置  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  

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