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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  H01L
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01L
管理番号 1322582
審判番号 無効2015-800164  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-08-12 
確定日 2016-11-04 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5217800号発明「発光装置、樹脂パッケージ、樹脂成形体並びにこれらの製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5217800号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1?6]、[7?10]、[11、12]、13、14、15について、訂正することを認める。 請求項1、4?11、13?15に記載された発明についての審判の請求は、成り立たない。 請求項2?3、12についての審判の請求を却下する。 審判費用は、その15分の12を請求人の負担とし、15分の3を被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5217800号(以下「本件特許」という。)についての手続の概要は、以下のとおりである。

平成20年 9月 3日 特許出願
平成25年 3月15日 特許権の設定登録
平成27年 8月12日 審判請求書の提出
平成27年11月 6日 審判事件答弁書・訂正請求書の提出
平成27年12月25日 審理事項通知書の送付
(平成27年12月22日付け)
平成28年 2月 5日 口頭審理陳述要領書の提出(請求人より)
平成28年 2月18日 口頭審理陳述要領書2の提出(請求人より)
平成28年 2月18日 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人より)
平成28年 2月26日 審理事項通知書の送付
平成28年 3月 2日 口頭審理陳述要領書3の提出(請求人より)
平成28年 3月 2日 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人より)
平成28年 3月 4日 第1回口頭審理の実施

第2 当事者の請求及び主張
1 請求人の請求及び主張
(1) 請求人は、審判請求書において、「特許第5217800号の請求項1?15に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めた。

(2) 請求人は、主張する無効理由は、以下のとおりで、これのみであるとしている(第1回口頭審理調書 陳述の要領 請求人3)。

[無効理由4](特許法第29条第2項)
訂正後の請求項1、5、7、8、11、13?15に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?4号証に記載された発明を組み合わせることにより、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
訂正後の請求項4、6、10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?4、6号証に記載された発明を組み合わせることにより、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
訂正後の請求項9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?5号証に記載された発明を組み合わせることにより、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

[無効理由6](特許法第36条第6項第1号乃至第2号)
訂正後の請求項1、4?6、11に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されていない態様をも包含するものであるか、若しくは、特許を受けようとする発明が明確とはいえないものであるから、特許法第36条第6項第1号乃至第2号の規定に反して特許されたものであり、その特許は特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。

(3) 請求人が提出した証拠は、以下のとおりである。

甲第1号証: 特開2007-235085号公報
甲第2号証: 特開2003-218398号公報
甲第3号証: 特開2005-243857号公報
甲第4号証: 米国特許第6,770,498号明細書
甲第5号証: 特開2005-311137号公報
甲第6号証: 特開2008-186891号公報
甲第7号証: 特開平8-37252号公報
甲第8号証: 特開2006-156704号公報
甲第9号証: 特開2003-110145号公報
甲第10号証: 国際公開2008/056813号
甲第11号証: 特開2008?130735号公報
甲第12号証: 特開2008?103460号公報
甲第13号証: 米国特許第5,428,248号明細書
甲第14号証: 特開2013-153182号公報
甲第15号証: 特開2013-145908号公報
甲第16号証: 「無効審判における請求人適格に関する運用(案)」
に対する意見書
甲第17号証: 「台湾における創業・新事業創出支援体制」
財団法人国際東アジア研究センター
(2010年3月)
甲第18号証: 「台湾企業の技術動向調査」公益財団法人交流協会
(2015年3月)
甲第19号証: 「小国の科学技術・イノベーション力:台湾の事例」
JAIST年次学術大会講演要旨集、28:843-846
甲第20号証: 工業技術研究院案内
甲第21号証: 「2014 ANNUAL REPORT」ITRI(抜粋)
甲第22号証: 請求人ウェブサイト:業界合作のページ(写し)
甲第23号証: エピスター社ウェブサイト:晶電組織(写し)
甲第24号証: 請求人ウェブサイト:請求人の紹介ページ(写し)
甲第25号証: 「2012LED関連市場総調査(上巻)」
株式会社冨士キメラ総研、2012年1月12日、
目次、14頁
甲第26号証: 「平成21年度特許出願技術動向調査報告書
LED照明(要約版)」平成22年4月、
特許庁、28?34頁
甲第27号証: 請求人ウェブサイト:
光電半導体製程実験室の紹介ページ(写し)
甲第28号証: 請求人ウェブサイト:
LED材料及び封止特許譲渡案公告のページ(写し)
甲第29号証: 請求人ウェブサイト:業界連盟のページ(写し)
甲第30号証: 時報資訊ウェブサイト:
2016/01/21 07:50(写し)
甲第31号証: 台湾光電半導體産業協会(TOSIA)ウェブサイト:
會員名録のページ(写し)
甲第32号証: 特許第4825095号公報
甲第33号証: 中華民国台湾投資通信October 2007 vol.146(写し)

甲第1号証?甲第15号証は審判請求書とともに、甲第16号証?甲第29号証は平成28年2月5日付け口頭審理陳述要領書とともに、甲第30号証?甲第33号証は平成28年3月2日付け口頭審理陳述要領書3とともに、それぞれ提出されたものである。
なお、甲第7号証?甲第15号証は、審判請求書とともに提出された参考文献1?参考文献7及び添付資料1?添付資料2を読み替えたものである(請求人の平成28年2月5日付け口頭審理陳述要領書第19頁第1?5行、被請求人の平成28年2月18日付け口頭審理陳述要領書第28頁第1?4行)。
甲第1号証?甲第33号証の成立につき当事者間に争いはない(第1回口頭審理調書 陳述の要領 被請求人3)。

2 被請求人の請求及び主張
(1) 被請求人は、審判事件答弁書において、本案前の答弁の趣旨として、「本件審判の請求を却下する。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めた。被請求人は、上記答弁の理由として、請求人が利害関係を有せず、請求人適格を有しないことを主張する。

(2) 被請求人は、審判事件答弁書において、審判請求の趣旨に対する答弁として、「訂正を認める。本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めるとともに、本件特許の特許請求の範囲の訂正を請求し、訂正後の特許請求の範囲に係る発明については、請求人が主張する無効理由はいずれも理由がないと主張する。

(3) 被請求人が提出した証拠は、以下のとおりである。

乙第1号証: 甲4の部分訳
乙第2号証: 特開2003-268205号公報
乙第3号証: 東京高等裁判所 昭和45年2月25日判決
(昭和44年(行ケ)第81号)
乙第4号証: 知財高等裁判所 平成22年3月29日判決
(平成21年(行ケ)第10226号)
乙第5号証: 最高裁判所第二小法廷 平成10年(受)第153号
平成11年04月16日判決
乙第6号証: (株)青林書院発行 中山信弘編著
「注解特許法(第三版)下巻」1344?1345頁
乙第7号証: 東京高等裁判所 昭和41年9月27日判決
(昭和40年(行ナ)第65号)
乙第8号証: 特開2006-196665号公報

乙第1号証?乙第2号証は審判事件答弁書とともに、乙第3号証?乙第8号証は平成28年2月18日付け口頭審理陳述要領書とともに、それぞれ提出されたものである。
乙第1号証?乙第8号証の成立につき当事者間に争いはない(第1回口頭審理調書 陳述の要領 請求人5)。

第3 請求人の請求人適格について
請求人の請求人適格について、当事者間で争いがあるので、まずこの点について判断する。

(1) 甲第17号証(第11頁)及び甲第20号証によれば、請求人は、台湾の「経済部直轄の研究所を前身として、1973年7月に・・・設立された」「研究開発機構」であると認められる。
そして、甲第17号証(第11頁)及び甲第20号証によれば、請求人は、「台湾における工業技術の発展促進、新科学技術に基づく産業の創設、産業技術水準の向上を主要な任務」としていること、及び、「科学技術の研究開発により、産業発展と経済価値を創造し、社会福祉を促進する事がミッション」であるとしていることが認められる。
してみると、請求人は、少なくとも、科学技術における研究・開発を行っている組織であると認められる。

(2) ところで、特許法123条2項にいう「利害関係人」とは、
ア 当該特許発明と同一である発明を実施している/していた者、
イ 当該特許発明を将来実施する可能性を有する者、
ウ 当該特許権に係る製品・方法と同種の製品・方法の製造・販売・使用等の事業を行っている者
のように直接的に利害関係を有する者だけでなく、請求人が、自ら事業等を実施しない場合であっても、他の企業等と共同で研究・開発を行い、かつ当該企業等に本件特許について無効審判を請求する法律上の利益が認められるとき(典型的には当該企業等が上記ア?ウ等に該当するとき)は、利害関係を有するとして扱うのが相当である。
以下、この観点から検討する。

ア 甲第20号証によれば、次の事実が認められる。
(ア) 請求人は、「次世代照明などの技術を深化させ、・・・半導体オプトエレクトロニクス・・・等を開発」している。
(イ) 請求人は、「チップ式交流電流LEDライト発光技術」に関して、2008年に「米R&D 100 Awards」を受賞し、「Light&Light^(TM)A19型軽量化LED電球技術」に関して、2012年に「米R&D 100 Awards」を受賞している。
(ウ) 請求人は、「米国IBM、HP、コーニング、テキサスインスツルメンツ(TI)、インテル、ブロードコム、クアルコム、MIT、CMU、プリンストン大学、欧州では、フィリップス、フラウンホーファー研究機構、TNO、VTT、日本では産業技術総合研究所(AIST)、東京大学、ソニー、小森など世界各国150以上の重要機関や企業とパートナーシップを築いてい」る。

イ 甲第17号証によれば、次の事実が認められる。
(ア) 請求人の「活動としては、・・・産業界向けサービス」があり、「産業界向けサービスには、・・・研究開発受託・・・が含まれる」(第12頁)。
(イ) 請求人の「組織図上では・・・下にある」「開放実験室/創業育成センター・・・の主要な機能は・・・既存企業との共同研究開発プロジェクトの実施」であり、「既存企業の研究開発チームが・・・共同で研究開発を行うというもので」、「欧米日に本拠地を置く多国籍企業の共同研究開発センターもある」(第14頁)。

ウ 甲第18号証によれば、次の事実が認められる。
(ア) 請求人は、「全面的研究開発提携とビジネスコンサルティングサービス(新技術と新製品の受託開発・・・等を含む)を提供し」ている(第228頁)。
(イ) 請求人は、「研究プロジェクトの受託及び技術研究開発のサービス提供を中核業務としている」(第230頁)。
(ウ) 請求人は、「世界中の40ヶ所近くの国際科学技術研究機構と提携して国際イノベーションプラットフォームを構築することにより、外資企業の対台投資を引き付けて国際戦略パートナーと連携」している(第235頁)。
(エ) 請求人は、「プロジェクトの受託又は技術の提携サービスを業務の重心としており」、「指定開発」として、「メーカーの求めるニーズに基づく研究開発・・・を行う」(第235頁)。
(オ) 請求人の主要技術内容として、2005年度には「超高輝度ウェハーレベルのLEDパッケージ技術」があり、2007年には「白色LED素子及び照明応用産業をメインとし、国内外製品のニーズ及び技術力に基づき、メーカーの応用面に関する重要部品及び核心技術の研究開発への協力を提供することにより、LED照明産業の技術主導性及び製品競争力の向上を図る」ことがある(第247?248頁)。

エ 甲第32号証によれば、次の事実が認められる。
請求人は、「発光体と、前記発光体を搭載するために用いられ・・・るキャリアと、を備え・・・る発光装置」に関する日本国特許権の特許権者である。

オ 上記ア(ウ)によれば、請求人は、日本では「ソニー」などの企業とパートナーシップを築いているところ、上記イ(ア)?イ(イ)及び上記ウ(ア)?ウ(エ)によれば、上記パートナーシップを築いている企業と、共同で研究・開発を行う可能性があるといえる。

カ 上記ア(ア)?ア(イ)、上記ウ(オ)及び上記エによれば、請求人は、本件特許発明と技術分野が共通する「LEDパッケージ技術」や「発光体と前記発光体を搭載するキャリアとを備える発光装置」にに関する研究・開発を行っていることが認められ、さらに、上記エのとおり、請求人は日本において「発光体と前記発光体を搭載するキャリアとを備える発光装置」に関する発明について特許を取得していることから、請求人は日本において、そのような発光装置に関して、企業等との共同研究を含め、何らかの事業を行う可能性があるといえる。

キ 上記オ、上記カによれば、請求人は、「ソニー」などの日本企業と、本件特許発明と技術分野が共通する「LEDパッケージ技術」や「発光装置」について、共同で研究・開発を行う可能性があるといえ、「ソニー」などの日本企業は、上記の研究・開発の成果を日本で実施する可能性があるといえる。したがって、請求人がパートナーシップを築いている「ソニー」などの日本企業は、本件特許について無効審判を請求する法律上の利益があるといえる。

ク 以上によれば、請求人は、「ソニー」などの日本企業と共同で研究・開発を行う可能性があり、かつ「ソニー」などの日本企業に本件特許について無効審判を請求する法律上の利益があると認められるから、利害関係を有するとして扱うのが相当である。

ケ 被請求人は、審判事件答弁書において、以下の主張をしている。
「尤も、請求人が、ある企業等と共同で研究・開発を行い、かつ当該企業等が本件特許について無効審判を請求する法律上の利益が認められる場合・・・には、請求人にも利害関係が肯定される余地がある。
しかしながら、言うまでもなく、そのような場合であったとしても、次の<1>及び<2>の双方について、証拠力が十分と認められる客観証拠が、請求人から提出されなければならない。
しかし、少なくとも現時点において、請求人からそのような証拠の提出はない。

<1> 請求人が、研究・開発を共同で行っている特定企業等の名称及び当該研究・開発の具体的内容。
<2> 当該企業等について、上記「1(2)<1>ないし<3>」記載の事情が存在すること及びその具体的内容。」(審判事件答弁書第5頁15行?第6頁4行、当審注:<1>、<2>、<3>は丸囲み文字。)
しかしながら、請求人が提出した証拠によって、請求人は、本件特許について無効審判を請求する法律上の利益があるといえる「ソニー」などの日本企業と共同で研究・開発を行う可能性があるから、利害関係を有し、請求人適格を有するとして扱うのが相当であることは、上記ア?クのとおりである。
したがって、被請求人の上記主張は当たらない。

以上によれば、請求人は、利害関係を有し、請求人適格を有するとして扱うのが相当である。

第4 訂正請求について
1 訂正請求の内容
被請求人の訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、平成27年11月6日付けの訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の特許請求の範囲1?15について訂正することを求めるというものであり、訂正前後の特許請求の範囲の記載は以下のとおりである。

[訂正前]
「【請求項1】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、
切り欠き部を設けたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記切り欠き部に前記熱硬化性樹脂を充填させて、前記リードフレームに樹脂成形体を形成する工程と、
前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを切断する工程と、
を有する発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記上金型と下金型とで挟み込む前に、前記リードフレームにメッキ処理を施す請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記リードフレームは、切断部分における前記切り欠き部が全包囲周の約1/2以上である請求項1又は2のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の孔を有し、
前記切断する工程において、前記孔を通って前記リードフレームを切断する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の溝を有し、
前記切断する工程において、前記溝を通って前記リードフレームを切断する請求項1乃
至4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記上金型と下金型とは、発光素子が載置される部分、若しくは、前記孔部の近傍の部分のリードフレームを挟み込んでいる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置であって、
前記リードは底面及び上面の少なくともいずれか一面にメッキ処理が施されており、かつ、前記外側面はメッキ処理が施されていない部分を有する発光装置。
【請求項8】
前記樹脂パッケージは、四隅からリードが露出されている請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記樹脂パッケージは、底面側から視認して四隅が弧状に形成されている請求項7又は8のいずれかに記載の発光装置。
【請求項10】
前記リードは、前記外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている請求項7乃至9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージの製造方法であって、
切り欠き部を設けたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記切り欠き部に前記熱硬化性樹脂を充填させて、前記リードフレームに樹脂成形体を形成する工程と、
前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを切断する工程と、
を有する樹脂パッケージの製造方法。
【請求項12】
前記上金型と下金型とで挟み込む前に、前記リードフレームにメッキ処理を施す請求項11に記載の樹脂パッケージの製造方法。
【請求項13】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージであって、
前記リードは底面及び上面の少なくともいずれか一面にメッキ処理が施されており、かつ、前記外側面はメッキ処理が施されていない樹脂パッケージ。
【請求項14】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている、樹脂成形体の製造方法であって、
切り欠き部を設けたリードフレームを用い、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が成形される位置に凸部を有する上金型と下金型とでリードフレームを挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記切り欠き部に前記熱硬化性樹脂を充填させ、かつ、前記リードフレームに前記樹脂成形体を形成する工程と、
を有する樹脂成形体の製造方法。
【請求項15】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている、樹脂成形体であって、
前記リードフレームは切り欠き部を有しており、該切り欠き部に前記樹脂成形体となる熱硬化性樹脂が充填されており、隣り合う凹部の間に側壁を有している樹脂成形体。」

[訂正後]
「【請求項1】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、
少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子を載置する工程と、
隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の発光装置に分離する工程と、
を有する発光装置の製造方法。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の孔を有し、
前記切断する工程において、前記孔を通って前記リードフレームを切断する請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の溝を有し、
前記切断する工程において、前記溝を通って前記リードフレームを切断する請求項1又は4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記上金型と下金型とは、前記発光素子が載置される部分、若しくは、前記孔部の近傍の部分のリードフレームを挟み込んでいる請求項1、4又は5のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置であって、
前記リードは底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、
前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子が載置されており、
前記樹脂パッケージの外底面に前記リードの底面が露出しており、
前記リードは、少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、
前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している、
発光装置。
【請求項8】
前記樹脂パッケージは、四隅のみからリードが露出されている請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記樹脂パッケージは、底面側から視認して四隅が弧状に形成されている請求項7又は8のいずれかに記載の発光装置。
【請求項10】
前記リードは、前記外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている請求項7乃至9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージの製造方法であって、
少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の樹脂パッケージに分離する工程と、
を有する樹脂パッケージの製造方法。
【請求項12】
(削除)
【請求項13】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージであって、
前記リードは底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、
内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
外底面に前記リードの底面が露出しており、
前記リードは、少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、
前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している、
樹脂パッケージ。
【請求項14】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている、リードフレームと一体に形成された、請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体の製造方法であって、
縦横少なくとも一方において、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が形成される2つの位置の間に、切り欠き部を一列のみ有する前記リードフレームの全面に銀メッキ処理を施す工程と、
前記リードフレームを用い、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が成形される位置に凸部を有する上金型と下金型とでリードフレームを挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が前記内底面に露出した複数の前記凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が露出するように、前記リードフレームと一体に前記樹脂成形体を形成する工程と、
を有する樹脂成形体の製造方法。
【請求項15】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードフレームと一体に形成され、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、前記リードフレームの上面の一部が露出されている、請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体であって、
前記リードフレームは、底面および上面を含む全面に銀メッキ処理が施されており、
前記リードフレームの底面が露出しており、
前記リードフレームは、縦横少なくとも一方において前記凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有しており、該切り欠き部に前記樹脂成形体となる熱硬化性樹脂が充填されており、前記熱硬化性樹脂からなる前記樹脂成形体は前記リードフレームの上面にも形成されて隣り合う凹部の間に側壁を有している
樹脂成形体。」

2 訂正事項の整理
本件訂正請求は、以下の、請求項1?6からなる一群の請求項に係る訂正事項1-1?1-6、2-1、3-1、4-1、5-1及び6-1?6-2、請求項7?10からなる一群の請求項に係る訂正事項7-1?7-7、8-1、請求項11及び12からなる一群の請求項に係る訂正事項11-1?11-5、12-1、請求項13に係る訂正事項13-1?13-6、請求項14に係る訂正事項14-1?14-4、請求項15に係る訂正事項15-1?15-2を内容としている。

(1) 請求項1に係る訂正
ア 訂正事項1-1
特許請求の範囲の請求項1において、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、」
とあるのを、
『熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、』
と訂正する。

イ 訂正事項1-2
特許請求の範囲の請求項1において、
「外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されている」
とあるのを、
『外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている』
と訂正する。

ウ 訂正事項1-3
特許請求の範囲の請求項1において、
「切り欠き部を設けたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、」
とあるのを、
『少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、』
と訂正する。

エ 訂正事項1-4
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記切り欠き部に前記熱硬化性樹脂を充填させて、前記リードフレームに樹脂成形体を形成する工程と、」
とあるのを、
『前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程と、』
と訂正する。

オ 訂正事項1-5
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子を載置する工程と、」
という特定事項を、訂正事項1-4で訂正した特定事項の後に追加する訂正をする。

カ 訂正事項1-6
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを切断する工程と、」
とあるのを、
『隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の発光装置に分離する工程と、』
と訂正する。

(2) 請求項2に係る訂正
ア 訂正事項2-1
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3) 請求項3に係る訂正
ア 訂正事項3-1
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(4) 請求項4に係る訂正
ア 訂正事項4-1
特許請求の範囲の請求項4において、
「請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。」
とあるのを、
『請求項1に記載の発光装置の製造方法。』
と訂正する。

(5) 請求項5に係る訂正
ア 訂正事項5-1
特許請求の範囲の請求項5において、
「請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。」
とあるのを、
『請求項1又は4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。』
と訂正する。

(6) 請求項6に係る訂正
ア 訂正事項6-1
特許請求の範囲の請求項6において、
「発光素子が載置される部分、」
とあるのを、
『前記発光素子が載置される部分、』
と訂正する。

イ 訂正事項6-2
特許請求の範囲の請求項6において、
「請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。」
とあるのを、
『請求項1、4又は5のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。』
と訂正する。

(7) 請求項7に係る訂正
ア 訂正事項7-1
特許請求の範囲の請求項7において、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、」
とあるのを、
『熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、』
と訂正する。

イ 訂正事項7-2
特許請求の範囲の請求項7において、
「外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されている」
とあるのを、
『外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている』
と訂正する。

ウ 訂正事項7-3
特許請求の範囲の請求項7において、
「前記リードは底面及び上面の少なくともいずれか一面にメッキ処理が施されており、かつ、前記外側面はメッキ処理が施されていない部分を有する」
とあるのを、
『前記リードは底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、』
と訂正する。

エ 訂正事項7-4
特許請求の範囲の請求項7において、
「前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、」
という特定事項を、訂正事項7-3で訂正した特定事項の後に追加する訂正をする。

オ 訂正事項7-5
特許請求の範囲の請求項7において、
「前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子が載置されており、」
という特定事項を、訂正事項7-4により追加された特定事項の後に追加する訂正をする。

カ 訂正事項7-6
特許請求の範囲の請求項7において、
「前記樹脂パッケージの外底面に前記リードの底面が露出しており、」
という特定事項を、訂正事項7-5により追加された特定事項の後に追加する訂正をする。

キ 訂正事項7-7
特許請求の範囲の請求項7において、
「前記リードは、少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している、」
という特定事項を、訂正事項7-6により追加された特定事項の後に追加する訂正をする。

(8) 請求項8に係る訂正
ア 訂正事項8-1
特許請求の範囲の請求項8において、
「四隅からリードが露出されている」
とあるのを、
『四隅のみからリードが露出されている』
と訂正する。

(9) 請求項11に係る訂正
ア 訂正事項11-1
特許請求の範囲の請求項11において、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、」
とあるのを、
『熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、』
と訂正する。

イ 訂正事項11-2
特許請求の範囲の請求項11において、
「外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されている」
とあるのを、
『外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている』
と訂正する。

ウ 訂正事項11-3
特許請求の範囲の請求項11において、
「切り欠き部を設けたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、」
とあるのを、
『少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、』
と訂正する。

エ 訂正事項11-4
特許請求の範囲の請求項11において、
「前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記切り欠き部に前記熱硬化性樹脂を充填させて、前記リードフレームに樹脂成形体を形成する工程と、」
とあるのを、
『前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程と、』
と訂正する。

オ 訂正事項11-5
特許請求の範囲の請求項11において、
「前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを切断する工程と、」
とあるのを、
『隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の樹脂パッケージに分離する工程と、』
と訂正する。

(10) 請求項12に係る訂正
ア 訂正事項12-1
特許請求の範囲の請求項12を削除する。

(11) 請求項13に係る訂正
ア 訂正事項13-1
特許請求の範囲の請求項13において、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、」
とあるのを、
『熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、』
と訂正する。

イ 訂正事項13-2
特許請求の範囲の請求項13において、
「外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されている」
とあるのを、
『外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている』
と訂正する。

ウ 訂正事項13-3
特許請求の範囲の請求項13において、
「前記リードは底面及び上面の少なくともいずれか一面にメッキ処理が施されており、かつ、前記外側面はメッキ処理が施されていない」
とあるのを、
『前記リードは底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、』
と訂正する。

エ 訂正事項13-4
特許請求の範囲の請求項13において、
「内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、」
という特定事項を、訂正事項13-3で訂正した特定事項の後に追加する訂正をする。

オ 訂正事項13-5
特許請求の範囲の請求項13において、
「外底面に前記リードの底面が露出しており、」
という特定事項を、訂正事項13-4により追加された特定事項の後に追加する訂正をする。

カ 訂正事項13-6
特許請求の範囲の請求項13において、
「前記リードは、少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している、」
という特定事項を、訂正事項13-5により追加された特定事項の後に追加する訂正をする。

(12) 請求項14に係る訂正
ア 訂正事項14-1
特許請求の範囲の請求項14において、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている、樹脂成形体の製造方法であって」
とあるのを、
『熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている、リードフレームと一体に形成された、請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体の製造方法であって』
と訂正する。

イ 訂正事項14-2
特許請求の範囲の請求項14において、
「縦横少なくとも一方において、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が形成される2つの位置の間に、切り欠き部を一列のみ有する前記リードフレームの全面に銀メッキ処理を施す工程と、」
という特定事項を、訂正事項14-1で訂正した特定事項の後に追加する訂正をする。

ウ 訂正事項14-3
特許請求の範囲の請求項14において、
「切り欠き部を設けたリードフレームを用い、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が成形される位置に凸部を有する上金型と下金型とでリードフレームを挟み込む工程と、」
とあるのを、
『前記リードフレームを用い、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が成形される位置に凸部を有する上金型と下金型とでリードフレームを挟み込む工程と、』
と訂正する。

エ 訂正事項14-4
特許請求の範囲の請求項14において、
「前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記切り欠き部に前記熱硬化性樹脂を充填させ、かつ、前記リードフレームに前記樹脂成形体を形成する工程と、」
とあるのを、
『前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が前記内底面に露出した複数の前記凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が露出するように、前記リードフレームと一体に前記樹脂成形体を形成する工程と、』
と訂正する。

(13) 請求項15に係る訂正
ア 訂正事項15-1
特許請求の範囲の請求項15において、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている、樹脂成形体であって、」
とあるのを、
『熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードフレームと一体に形成され、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、前記リードフレームの上面の一部が露出されている、請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体であって、』
と訂正する。

イ 訂正事項15-2
特許請求の範囲の請求項15において、
「前記リードフレームは切り欠き部を有しており、該切り欠き部に前記樹脂成形体となる熱硬化性樹脂が充填されており、隣り合う凹部の間に側壁を有している樹脂成形体。」
とあるのを、
『前記リードフレームは、底面および上面を含む全面に銀メッキ処理が施されており、
前記リードフレームの底面が露出しており、
前記リードフレームは、縦横少なくとも一方において前記凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有しており、該切り欠き部に前記樹脂成形体となる熱硬化性樹脂が充填されており、前記熱硬化性樹脂からなる前記樹脂成形体は前記リードフレームの上面にも形成されて隣り合う凹部の間に側壁を有している
樹脂成形体。』
と訂正する。

3 訂正請求についての当審の判断
本件訂正請求について検討する。
なお、本審判事件においては、請求項1?15の全ての請求項について特許無効審判の請求がされているので、以下の訂正事項に関して、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定(独立特許要件)は適用されない。

(1) 請求項1に係る訂正について
ア 訂正事項1-1
(ア) 訂正の目的について
訂正事項1-1は、請求項1において、製造対象となる発光装置が有する樹脂パッケージが、リードと、リードと一体に形成された樹脂部とを有するものであることを特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項1において、樹脂パッケージは、樹脂部とリードとが外側面において略同一面に形成されているものとして特定されている。
訂正事項1-1は、訂正後の請求項1において、樹脂パッケージが「リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有」するものであることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項1-1は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(以下において、本件特許の願書に添付した明細書又は図面を、それぞれ「本件明細書」又は「本件図面」ということがある。)
本件明細書の段落【0041】には、
「樹脂パッケージは、熱硬化性樹脂からなる樹脂部とリードとを有し、一体成形している。」
と記載され、段落【0104】には、
「発光装置100は、発光素子10と、光反射物質26を含有する樹脂部25とリード22とが一体成形された樹脂パッケージ20と、を有する。」
と記載されている。
さらに、本件図面の図1においては、リード22と、リード22に一体に形成された樹脂部25が示されている。
これらの記載から明らかなとおり、本件明細書及び本件図面には、リードと、リードに一体に形成された樹脂部とを有する樹脂パッケージを有する発光装置が記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

イ 訂正事項1-2
(ア) 訂正の目的について
訂正事項1-2は、略同一面に形成されている「リード」及び「樹脂部」が、訂正事項1-1として追加された特定事項でいう「リード」及び「樹脂部」を指していることを示すために、「前記」という用語を追加するものであり、略同一面に形成されている「リード」及び「樹脂部」がその前に説明した「リード」及び「樹脂部」を指すのかどうかが明瞭でないという不備を是正するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項1-2は、「前記」という用語によって略同一面に形成された「リード」及び「樹脂部」が先に記載された「リード」及び「樹脂部」を指すことを明確にしたものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1-2は、「前記」という用語を付加することにより、略同一面に形成された「リード」及び「樹脂部」が先に記載された「リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部」でいう「リード」及び「樹脂部」を指すことを明確にしたものであるところ、樹脂パッケージが、「リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有」する構成は、上記ア(ウ)項で説明したとおり、本件明細書及び本件図面に記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

ウ 訂正事項1-3
(ア) 訂正の目的について
訂正事項1-3は、請求項1の製造方法で用いられるリードフレームに設けられる切り欠き部が、樹脂パッケージの少なくとも対向する二つの外側面となる位置に沿って設けられること、該切り欠き部が製造される発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けられていること、該リードフレームが全面に銀メッキ処理が施されたものであることを特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項1において、リードフレームは切り欠き部を設けたものとして特定され、後の樹脂成形体とリードフレームとを切断する工程において切断が該切り欠き部に沿って行われることのみが特定されている。
訂正事項1-3は、訂正後の請求項1において、切り欠き部が、「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって」設けられるものであること、及びリードフレームが「全面に銀メッキ処理が施された」ものであることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。なお、「少なくとも対向する二つの前記外側面」とは、「前記」とあることから明らかなとおり、樹脂パッケージの外側面である。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項1-3は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(リードフレームの切り欠き部と樹脂パッケージの外側面との関係について)
本件明細書の段落【0078】には、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法に関連して、
「次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。 (※中略) これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。」
と記載されている。すなわち、段落【0078】には、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断することにより、樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となった切断面が得られることが記載されているところ、この切断面は樹脂パッケージの外側面に相当するものであることは明らかである。よって、段落【0078】には、切断時に樹脂成形体とリードフレームとを切断する位置が樹脂パッケージの外側面となる位置であること、及び当該位置に切り欠き部が設けられることが記載されている。

また、本件図面には、第1の実施形態に係る発光装置を製造するために用いられるリードフレームの平面図として、図3が示されている。図3のリードフレームには、互いに向かい合う縦方向の切り欠き部21a、及び互いに向かい合う横方向の切り欠き部21aが設けられている。これらの互いに向かい合う切り欠き部の位置が、樹脂パッケージの互いに向かい合う外側面となる位置であることは、段落【0078】等の記載、及び図3のリードフレームを用いて得られる発光装置が図1に示すものであることも考慮すれば、当業者には自明である。

さらに、本件図面の図10においては、切断位置に沿って設けられた切り欠き部221aは、横方向にのみ設けられているが、これらの切り欠き部221aも互いに向かい合って形成されており、互いに向かい合う切り欠き部が対向する外側面となる位置に設けられていることは、図10のリードフレームを用いて製造された発光装置が図9に示すものであることも考慮すれば、当業者には自明である。

これらの記載から明らかなとおり、本件明細書及び本件図面には、リードフレームに「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って」切り欠き部を設けることが記載されている。

(リードフレームの切り欠き部の長さについて)
本件明細書の段落【0016】には、
「リードフレームは、切断部分における切り欠き部が全包囲周の約1/2以上であることが好ましい。」
と記載されている。
また、段落【0035】には、
「樹脂パッケージ20の外側面20bの全包囲の長さにおいて、リード22が露出している部分は1/2より短い長さである。後述する発光装置の製造方法において、リードフレーム21に切り欠き部21aを設け、その切り欠き部21aに沿って切断するため、リードフレーム21の切断部分が樹脂パッケージ20から露出される部分である。」
との記載があり、この記載において、切り欠き部に沿って切断したときの切断面である、発光装置(樹脂パッケージ)外側面において、リードの露出部分が1/2未満であるということは、リードフレームに設けられた切り欠き部(樹脂部が充填されているために露出しない部分)が個片化後の発光装置(樹脂パッケージ)の全包囲の長さの1/2以上を占めることにほかならない。
よって、本件明細書には、リードフレームに、切り欠き部を、製造される発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けることが記載されている。

(リードフレームの全面に銀メッキ処理が施されていることについて)
本件明細書の段落【0015】には、リードフレームのメッキ処理に関連して、
「上金型と下金型とで挟み込む前に、リードフレームにメッキ処理を施すことが好ましい。このとき、製造された発光装置には切断された面にメッキ処理が施されておらず、それ以外の部分にはメッキ処理が施されている。個片化された発光装置毎にメッキ処理を施す必要がなくなり、製造方法を簡略化することができる。」
と記載されている。また、段落【0051】には、
「リードフレームは、例えば、鉄、リン青銅、銅合金などの電気良導体を用いて形成される。また、発光素子からの光の反射率を高めるために、銀、アルミニウム、銅及び金などの金属メッキを施すことができる。切り欠き部を設けた後やエッチング処理を行った後など上金型と下金型とで挟み込む前に金属メッキを施すことが好ましいが、リードフレームが熱硬化性樹脂と一体成形される前に金属メッキを施すこともできる。」
と記載されている。さらに、段落【0106】には、
「リードフレームはエッチング加工により切り欠き部21aを設ける。図示しないが切り欠き部21aの断面は凹凸が形成されている。そのリードフレームにAgを電解メッキにより付着させる。切り欠き部21aが設けられメッキ処理が施されたリードフレーム21を用いる。」
と記載されている。
これらの記載から明らかなとおり、本件明細書には、予め「全面に銀メッキ処理が施された」リードフレームを、上金型と下金型とで挟みこむことが記載されている。

以上のとおりであるから、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

エ 訂正事項1-4
(ア) 訂正の目的について
訂正事項1-4は、請求項1において、熱硬化性樹脂のトランスファ・モールドによる樹脂成形体の形成工程が、「前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、」実施されることを、特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項1においては、トランスファ・モールドして、切り欠き部内に熱硬化性樹脂を充填させて、リードフレームに樹脂成形体を形成することのみが特定されている。
訂正事項1-4は、訂正後の請求項1のトランスファ・モールドによる樹脂成形体の形成工程において、
・切り欠き部だけでなく、上金型と下金型とでリードフレームを挟み込むことにより形成された空間に熱硬化性樹脂が充填されること、
・熱硬化性樹脂が硬化させられること、
・トランスファ・モールドにより、リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成されるとともに、リードフレームの底面が外底面に露出した構成が得られること
を特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項1-4は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0067】には、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法に関連して、以下の記載がある。
「突出部はトランスファ・モールドの際にリードフレーム21と接触する部分であって、その接触部分に熱硬化性樹脂23が流れ込まないようにすることにより、リードフレーム21の一部が樹脂成形体24から露出される露出部を形成できる。突出部は、本体部から下方に突出しており、外壁に囲まれるように形成されている。突出部は、リードフレーム21と接触する部分が平坦に形成されている。樹脂成形体24の上面の面積あたりに効率よく凹部を形成するためには、一方向かつ等間隔に突出部が形成され、各突出部においてその一方向から90°方向かつ等間隔に突出部が形成されることが好ましい。」

また、段落【0073】?【0076】には以下の記載がある。
「【0073】
まず、切り欠き部21aを設けたリードフレーム21を上金型61と下金型62とで挟み込む。上金型61と下金型62とで挟み込むことによって金型60内に空間が設けられる。」
「【0074】
このとき、凹部27が形成される位置にある切り欠き部21aが上金型61の有する突出部と下金型62とで挟まれるように配置する。これにより切り欠き部21aにおけるリードフレーム21のバタつきが抑制され、バリの発生を低減することができる。」
「【0075】
次に、上金型61と下金型62とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質26が含有される熱硬化性樹脂23をトランスファ・モールドして、リードフレーム21に樹脂成形体24を形成する
金型60内に設けられた空間に、注入口から光反射性物質26が含有される熱硬化性樹脂23を注入して、所定の温度と圧力とを加えてトランスファ・モールドする。上金型61と下金型62とで切り欠き部21a付近のリードフレーム21を挟み込んでいるため、熱硬化性樹脂23をトランスファ・モールドする際に、リードフレーム21がバタつかず、凹部27の内底面27aにおいてバリの発生を抑制できる。」
「【0076】
ピン挿入部にピンを挿入させて樹脂成形体24を上金型61から抜脱する。金型60内において所定の温度を加えて仮硬化を行い、その後、金型60から抜脱して、仮硬化よりも高い温度を加えて本硬化を行うことが好ましい。」

これらの段落には、
・切り欠き部だけでなく、上金型と下金型とでリードフレームを挟み込むことにより形成された空間に熱硬化性樹脂が充填されること(段落【0073】、【0075】)、
・熱硬化性樹脂が硬化させられること(段落【0076】)、
・トランスファ・モールドにより、複数の凹部が形成されること(段落【0067】【0074】)
が記載されている。

さらに、本件図面には、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す概略断面図として、図4が示されており、同図には、段落【0067】に記載されているとおり、上金型61及び下金型62がリードフレーム21と接している部分では、樹脂が流れ込まず、金型の抜脱後、リードフレーム21の上面の一部が凹部の内底面にて露出し、かつリードフレーム21の底面が外底面に露出することが記載されている。

よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

オ 訂正事項1-5
(ア) 訂正の目的について
訂正事項1-5は、請求項1において、製造対象となる発光装置に搭載される発光素子が、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子であること、及び発光素子が凹部の内底面に載置されることを特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項1において、発光装置に搭載される発光素子が何であるのか等は特定されていない。
訂正事項1-5は、訂正後の請求項1において、「前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子を載置する工程」を特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項1-5は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0103】?【0111】には、同明細書にて、実施の形態1として説明した発光装置の実施例が記載されている。該実施例を構成する発光素子に関連して、段落【0104】には、
「発光装置100は、発光素子10と、光反射物質26を含有する樹脂部25とリード22とが一体成形された樹脂パッケージ20と、を有する。発光素子10は450nmに発光ピーク波長を持ち青色に発光する窒化物半導体発光素子である。」
と記載され、段落【0109】には、
「次に、発光素子10を凹部27の内底面27aのリード22上にダイボンド部材を用いて実装する。」
と記載されている。
また、段落【0040】には、
「以下、各部材について詳述する。
(発光素子)
発光素子は、基板上にGaAlN、ZnS、SnSe、SiC、GaP、GaAlAs、AlN、InN、AlInGaP、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成したものが好適に用いられるが、これに特に限定されない。発光ピーク波長が360nm?520nmにあるものが好ましいが、350nm?800nmのものも使用することができる。特に、発光素子10は420nm?480nmの可視光の短波長領域に発光ピーク波長を有するものが好ましい。」
と記載されている。
さらに、本件図面には、第1の実施形態に係る発光装置(実施例の発光装置)の斜視図及び断面図として、図1及び図2がそれぞれ示されており、同図に示された発光装置においては、発光素子10が凹部27の内底面27aに載置されている。

これらの記載から明らかなとおり、本件明細書には、発光装置に搭載される発光素子を、窒化物半導体発光素子としてよく、より具体的には、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成したものが用いられること、また、その発光ピーク波長が420nm?480nmであってよいことが記載されている。さらに、本件明細書及び本件図面には、発光素子を凹部の内底面に載置することも記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

カ 訂正事項1-6
(ア) 訂正の目的について
訂正事項1-6は、請求項1において、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断する工程が、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように」実施されるものであり、そのような切断によって、「前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の発光装置に分離する」ことを、特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項1においては、切断工程として、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断することのみが特定されていた。
訂正事項1-6は、訂正後の請求項1の樹脂成形体とリードフレームとを切断する工程において、
・切断が隣り合う凹部の間で、切り欠き部に沿って実施されること、
・切り欠き部内に充填された熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの外側面に露出するように切断が行われること、すなわち、切り欠き部内では、そこに充填された熱硬化性樹脂が分離され、かつ切り欠き部内に充填された樹脂が切断後も一部は残って、外側面に露出するように、切断を実施すること、
・切断により、樹脂パッケージの外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されている複数の発光装置に分離されること、すなわち、切断面が樹脂パッケージの外側面となり、切断により直ちに複数個の発光装置が得られること
を特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項1-6は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0032】?【0062】の第1段落までには、第1の実施形態に係る発光装置が記載され、段落【0062】の第2段落?段落【0078】までには、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法が記載されている。すなわち、段落【0062】の第2段落?段落【0078】までに記載された製造方法により製造されるものが、第1の実施形態に係る発光装置である。また、本件図面には、第1の実施形態の発光装置として、図1及び図2が示されており、第1の実施形態の発光装置を製造するために用いるリードフレームとして、図3が示されており、第1の実施形態の発光装置の製造方法を示す概略断面図として、図4が示されている。

第1の実施形態に係る発光装置の製造方法に関連して、本件明細書の段落【0078】には、
「次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。
複数の凹部27が形成された樹脂成形体24は、隣接する凹部27の間にある側壁を略中央で分離されるように長手方向及び短手方向に切断する。切断方法はダイシングソーを用いて樹脂成形体24側からダイシングする。これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。」
と記載されている。この記載によれば、切断が隣り合う凹部の間の切り欠き部で行われていることは明らかである。このことは、本件図面の図4にも記載されている。図4には、段落【0078】に記載のとおり、隣接する凹部の間にある側壁を略中央で分離すること、及び分離位置に切り欠き部21aが位置していることが示されている。

また、段落【0078】の記載からは、切断により、発光装置の樹脂パッケージの外側面が形成され、外側面にて樹脂部とリードとが略同一面に形成されている複数の発光装置に分離されることも明らかである。この点は、本件明細書の段落【0042】に、
「樹脂パッケージは、外底面と外側面と外上面とを有する。樹脂パッケージの外側面からリードが露出している。樹脂部とリードとは略同一面に形成されている。この略同一面とは同じ切断工程で形成されたことを意味する。」
と記載され、また、段落【0035】に、
「後述する発光装置の製造方法において、リードフレーム21に切り欠き部21aを設け、その切り欠き部21aに沿って切断するため、リードフレーム21の切断部分が樹脂パッケージ20から露出される部分である。」
と記載されていることからも明らかである。

段落【0078】に記載された方法で製造される第1の実施形態に係る発光装置が図1に示されるものであり、この発光装置を得るために用いられるリードフレームが図3に示されるものであることは上記のとおりである。

図3に示されるリードフレームを用いて、図1に示されるような、リード22が四隅のみで露出する発光装置が製造されているということは、段落【0078】で説明されている切断が、切り欠き部21a内に充填された熱硬化性樹脂(樹脂成形体)が、切断によって互いに分離されるとともに、熱硬化性樹脂が切り欠き部内21aに一部残存して、外側面に露出するように実施されていることにほかならない。仮に、切り欠き部内の熱硬化性樹脂がすべて切断により削り取られてしまうと、切断面においては、リードの側面が外側面の全周にわたって露出して、図1に示すような発光装置(樹脂パッケージ)は得られないからである。

以上のとおりであるから、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(2) 請求項2に係る訂正について
ア 訂正事項2-1
(ア) 訂正の目的について
訂正事項2-1は、訂正前の請求項2を削除することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項2-1は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2-1は、請求項2を削除するものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(3) 請求項3に係る訂正について
ア 訂正事項3-1
(ア) 訂正の目的について
訂正事項3-1は、訂正前の請求項3を削除することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項3-1は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3-1は、請求項3を削除するものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(4) 請求項4に係る訂正について
ア 訂正事項4-1
(ア) 訂正の目的について
訂正事項4-1は、上記訂正事項2-1及び3-1によって、訂正前の請求項2及び3が削除されたことに伴い、訂正前に請求項2及び3を引用していた請求項4において、請求項2及び3の引用を無くすことによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項4-1は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4-1は、請求項2及び3の削除に伴い、従属請求項において請求項2及び3の引用を無くすものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(5) 請求項5に係る訂正について
ア 訂正事項5-1
(ア) 訂正の目的について
訂正事項5-1は、上記訂正事項2-1及び3-1によって、訂正前の請求項2及び3が削除されたことに伴い、訂正前に請求項2及び3を引用していた請求項5において、請求項2及び3の引用を無くすことによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項5-1は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5-1は、請求項2及び3の削除に伴い、従属請求項において請求項2及び3の引用を無くすものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(6) 請求項6に係る訂正について
ア 訂正事項6-1
(ア) 訂正の目的について
請求項6は、請求項1を引用するものであるところ、訂正事項6-3は、「発光素子」が、請求項1において訂正事項1-5として追加された特定事項でいう「発光素子」を指していることを示すために、「前記」という用語を追加するものである。すなわち、訂正事項6-1は、請求項1の訂正に伴って、請求項6でいう「発光素子」が訂正後の請求項1でいう「発光素子」を指すのかどうかが明瞭でないという不備が生じたために、これを是正することを目的としている。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項6-1は、「前記」という用語によって「発光素子」が請求項1に記載された「発光素子」を指すことを明確にしたものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6-1は、「前記」という用語を付加することにより、「発光素子」が訂正後の請求項1に記載された「発光素子」を指すことを明確にしたものであるところ、訂正後の請求項1で特定される「発光素子」は、上記(1)オ(ウ)項で説明したとおり、本件明細書に記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

イ 訂正事項6-2
(ア) 訂正の目的について
訂正事項6-2は、上記訂正事項2-1及び3-1によって、訂正前の請求項2及び3が削除されたことに伴い、訂正前に請求項2及び3を引用していた請求項6において、請求項2及び3の引用を無くすことによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項6-2は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6-2は、請求項2及び3の削除に伴い、従属請求項において請求項2及び3の引用を無くすものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(7) 請求項7に係る訂正について
ア 訂正事項7-1
(ア) 訂正の目的について
訂正事項7-1は、請求項7において、発光装置が有する樹脂パッケージが、リードと、リードと一体に形成された樹脂部とを有するものであること、及び樹脂部が光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなるものであることを特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項7において、樹脂パッケージは、樹脂部とリードとが外側面において略同一面に形成されているものとして特定されている。
訂正事項7-1は、訂正後の請求項7において、樹脂パッケージがリードと、リードと一体に形成された樹脂部とを有するものであること、及び樹脂部が光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項7-1は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0041】には、
「樹脂パッケージは、熱硬化性樹脂からなる樹脂部とリードとを有し、一体成形している。」
と記載され、段落【0104】には、
「発光装置100は、発光素子10と、光反射物質26を含有する樹脂部25とリード22とが一体成形された樹脂パッケージ20と、を有する。」
と記載されている。また、段落【0038】には、
「樹脂パッケージ20は透光性の熱硬化性樹脂に光反射性物質を高充填したものを使用することが好ましい。」
と記載されている。
さらに、本件図面の図1においては、リード22と、リード22に一体に形成された樹脂部25が示されている。
これらの記載から明らかなとおり、本件明細書及び本件図面には、リードと、リードに一体に形成された樹脂部とを有し、かつ該樹脂部が光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる、樹脂パッケージを有する発光装置が記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

イ 訂正事項7-2
(ア) 訂正の目的について
訂正事項7-2は、略同一面に形成されている「リード」及び「樹脂部」が、訂正事項7-1として追加された特定事項でいう「リード」及び「樹脂部」を指していることを示すために、「前記」という用語を追加するものであり、略同一面に形成されている「リード」及び「樹脂部」がその前に説明した「リード」及び「樹脂部」を指すのかどうかが明瞭でないという不備を是正するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項7-2は、「前記」という用語によって略同一面に形成された「リード」及び「樹脂部」が先に記載された「リード」及び「樹脂部」を指すことを明確にしたものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項7-2は、「前記」という用語を付加することにより、略同一面に形成された「リード」及び「樹脂部」が先に記載された「リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、」でいう「リード」及び「樹脂部」を指すことを明確にしたものであるところ、樹脂パッケージが、「リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有」する構成は、上記「(ア)」「c」項で説明したとおり、本件明細書及び本件図面に記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

ウ 訂正事項7-3
(ア) 訂正の目的について
訂正事項7-3は、樹脂パッケージを構成するメッキ処理が施されたリードを、底面及び上面を含む、外側面を除く全面に銀メッキ処理が施され、かつ外側面全体に銀メッキ処理が施されていないものに限定する訂正事項である。
訂正前の請求項7において、リードは底面及び上面の少なくともいずれか一面にメッキ処理が施され、外側面にはメッキ処理が施されていないものとして特定されている。
訂正事項7-3は、訂正後の請求項7において、リードの「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されて」いること、及びリードの外側面は全体にわたって銀メッキ処理が施されていないことを明記することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項7-3は、訂正前の発明特定事項(リードのメッキ処理が施された面等に関する特定事項)を限定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0015】には、リードフレームへのメッキ処理と、得られる発光装置のリードのメッキに関連して、
「上金型と下金型とで挟み込む前に、リードフレームにメッキ処理を施すことが好ましい。このとき、製造された発光装置には切断された面にメッキ処理が施されておらず、それ以外の部分にはメッキ処理が施されている。個片化された発光装置毎にメッキ処理を施す必要がなくなり、製造方法を簡略化することができる。」
と記載されている。上記「切断された面」が樹脂パッケージの「外側面」に相当することは、段落【0042】に、「樹脂パッケージの外側面からリードが露出している。樹脂部とリードとは略同一面に形成されている。この略同一面とは同じ切断工程で形成されたことを意味する。」と記載されているとおりである。
また、段落【0051】には、
「リードフレームは、例えば、鉄、リン青銅、銅合金などの電気良導体を用いて形成される。また、発光素子からの光の反射率を高めるために、銀、アルミニウム、銅及び金などの金属メッキを施すことができる。切り欠き部を設けた後やエッチング処理を行った後など上金型と下金型とで挟み込む前に金属メッキを施すことが好ましいが、リードフレームが熱硬化性樹脂と一体成形される前に金属メッキを施すこともできる。」
と記載され、さらに、段落【0106】には、
「リードフレームはエッチング加工により切り欠き部21aを設ける。図示しないが切り欠き部21aの断面は凹凸が形成されている。そのリードフレームにAgを電解メッキにより付着させる。切り欠き部21aが設けられメッキ処理が施されたリードフレーム21を用いる。」
と記載されている。
リードフレームが個片化されてリードとなることは、本件明細書の全趣旨から明らかであるから、段落【0051】及び段落【0106】の記載によれば、本件明細書には、銀メッキ処理を施したリードが記載されているといえる。
以上のとおり、本件明細書には、「前記リードは底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、」という構成が記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

エ 訂正事項7-4
(ア) 訂正の目的について
訂正事項7-4は、訂正後の請求項7において、「前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され」ていることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項7-4は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0034】には、第1の実施形態に係る発光装置に関連して、
「樹脂パッケージ20は、主に光反射性物質26を含有する樹脂部25と、リード22と、から構成されている。樹脂パッケージ20はリード22を配置している外底面20aと、リード22の一部が露出している外側面20bと、開口する凹部27を形成する外上面20cと、を有する。樹脂パッケージ20には内底面27aと内側面27bとを有する凹部27が形成されている。樹脂パッケージ20の内底面27aにはリード22が露出しており、リード22に発光素子10が載置されている。」
と記載され、本件図面には、第1の実施形態に係る発光装置の斜視図及び断面図として、図1及び図2がそれぞれ示されている。
図1及び図2においては、凹部27が樹脂パッケージに形成されていることが記載され、かつ凹部の内側面27bが樹脂部25から成るものであること、及び凹部27の内底面27aにおいてリードの上面の一部が露出していることが記載されている。
これらの記載から明らかなとおり、本件明細書及び本件図面には、「前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、」た構成が記載されている。
したがって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

オ 訂正事項7-5
(ア) 訂正の目的について
訂正事項7-5は、請求項7において、発光装置に搭載される発光素子が、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子であること、及び発光素子が凹部の内底面に載置されることを特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項7において、発光装置に搭載される発光素子が何であるのか等は特定されていない。
訂正事項7-5は、訂正後の請求項7において、「前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子が載置されており、」という構成を特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項7-5は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0103】?【0111】には、同明細書にて、実施の形態1として説明した発光装置の実施例が記載されている。該実施例を構成する発光素子に関連して、段落【0104】には、
「発光装置100は、発光素子10と、光反射物質26を含有する樹脂部25とリード22とが一体成形された樹脂パッケージ20と、を有する。発光素子10は450nmに発光ピーク波長を持ち青色に発光する窒化物半導体発光素子である。」
と記載され、段落【0109】には、
「次に、発光素子10を凹部27の内底面27aのリード22上にダイボンド部材を用いて実装する。」
と記載されている。
また、段落【0040】には、
「以下、各部材について詳述する。
(発光素子)
発光素子は、基板上にGaAlN、ZnS、SnSe、SiC、GaP、GaAlAs、AlN、InN、AlInGaP、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成したものが好適に用いられるが、これに特に限定されない。発光ピーク波長が360nm?520nmにあるものが好ましいが、350nm?800nmのものも使用することができる。特に、発光素子10は420nm?480nmの可視光の短波長領域に発光ピーク波長を有するものが好ましい。」
と記載されている。
さらに、本件図面には、第1の実施形態に係る発光装置(実施例の発光装置)の斜視図及び断面図として、図1及び図2がそれぞれ示されており、同図に示された発光装置においては、発光素子10が凹部27の内底面27aに載置されている。

これらの記載から明らかなとおり、本件明細書には、発光装置に搭載される発光素子を、窒化物半導体発光素子としてよく、より具体的には、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成したものが用いられること、また、その発光ピーク波長が420nm?480nmであってよいことが記載されている。さらに、本件明細書及び本件図面には、発光素子を凹部の内底面に載置することも記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

カ 訂正事項7-6
(ア) 訂正の目的について
訂正事項7-6は、請求項7において、「前記樹脂パッケージの外底面に前記リードの底面が露出しており、」という構成を、特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項7においては、外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されていることが特定されている。
訂正事項7-6は、訂正後の請求項7において、樹脂パッケージの外底面にリードの底面が露出していることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項7-6は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0033】には、第1の実施の形態に係る発光装置に関連して、
「第1の実施の形態に係る発光装置100は、熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、外側面20bにおいて樹脂部25とリード22とを略同一面に形成する樹脂パッケージ20を有する。リード22は底面(樹脂パッケージ20の外底面20a)及び上面(凹部27の内底面27a)の少なくともいずれか一面にメッキ処理を施している。」
と記載され、段落【0034】には、
「樹脂パッケージ20は、主に光反射性物質26を含有する樹脂部25と、リード22と、から構成されている。樹脂パッケージ20はリード22を配置している外底面20aと、リード22の一部が露出している外側面20bと、開口する凹部27を形成する外上面20cと、を有する。」
と記載されている。
また、本件図面には、第1の実施形態に係る発光装置の断面図として、図2が示されている。
この図には樹脂パッケージ20の外底面20aに、リード22の底面が露出した構成が記載されている。
したがって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

キ 訂正事項7-7
(ア) 訂正の目的について
訂正事項7-7は、訂正後の請求項7において、「前記リードは、少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している、」という構成を特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項7-7は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(リードの切り欠き部が樹脂パッケージの外側面に設けられ、切り欠き部に樹脂部の一部が充填されていることについて)
本件図面には、発光装置の斜視図として図1が示され、図1に示すII-IIの断面図として図2が示されている。
これらの図面には、発光装置10を構成する部材として、発光装置を構成する樹脂パッケージ20が記載されており、これらの図面を合わせて見れば、外側面に沿ってリード22に設けられた切り欠き部に樹脂部の一部が充填されていることは、明らかである。

さらにいえば、図1に示される発光装置10が、
・図3に示されるリードフレームを用いて製造されるものであること(段落【0032】)、及び
・リードフレームと、リードフレームに一体に形成された樹脂成形体とを、切り欠き部に沿って切断したときに得られる切断面が樹脂パッケージ20の外側面となること(段落【0078】)
を考慮すれば、図1に示される発光装置10において、外側面に露出しているリード22とリード22との間に位置する、外側面に露出している樹脂部25が、切り欠き部内に充填されたものであることは、当業者には自明のことである。

(リードの切り欠き部の長さについて)
本件明細書の段落【0035】には、
「樹脂パッケージ20の外側面20bの全包囲の長さにおいて、リード22が露出している部分は1/2より短い長さである。後述する発光装置の製造方法において、リードフレーム21に切り欠き部21aを設け、その切り欠き部21aに沿って切断するため、リードフレーム21の切断部分が樹脂パッケージ20から露出される部分である。」
との記載がある。ここに記載されていること、すなわち、発光装置(樹脂パッケージ)の外側面において、リードの露出部分が1/2未満であるということは、リードに設けられた切り欠き部(樹脂部が充填されているために露出しない部分)が外側面の全包囲の長さの1/2以上を占めることにほかならない。
さらに、段落【0016】にも、
「リードフレームは、切断部分における切り欠き部が全包囲周の約1/2以上であることが好ましい。」
と記載されており、この記載によれば、このリードフレームを用いて製造した、発光装置(樹脂パッケージ)において、外側面(切断部分)の全包囲周の1/2以上に切り欠き部を設ける構成が得られることは当業者には自明である。
よって、本件明細書には、リードに、切り欠き部を、発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けることが記載されている。

以上のとおり、本件明細書の発明の詳細な説明及び本件図面には、リードが、少なくとも対向する二つの外側面に沿って、発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有すること、及びリードと一体に形成された樹脂部の一部が切り欠き部内に充填されて外側面で露出していることが記載されている。
したがって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(8) 請求項8に係る訂正について
ア 訂正事項8-1
(ア) 訂正の目的について
訂正事項8-1は、請求項8において、リードが露出している位置を四隅のみに限定するものである。
訂正前の請求項8において、リードは四隅から露出していることが特定されているが、訂正前の請求項8は、文言上、四隅を含む外側面の全周にわたってリードが露出している形態のものを含むと解される可能性があった。
訂正事項8-1は、リードが露出する位置を「四隅のみ」とすることによって、特許請求の範囲を減縮する、又は明瞭でない記載を釈明するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮又は同3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項8-1は、訂正前の「四隅からリードが露出されている」という発明特定事項を限定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0103】?【0111】には、同明細書にて、第1の実施形態として説明した発光装置の実施例が記載されている。該実施例の製造方法に関連して、段落【0107】には、
「次に、所定の大きさのリードフレーム21を上金型61と下金型62とで挟み込む。リードフレーム21は平板状であって、個片化する発光装置の大きさに応じた切り欠き部21aを設けている。切り欠き部21aは樹脂パッケージ20に個片化した際に四隅が露出し、四隅以外は露出しないように縦横に設けられている。また、切り欠き部21aは、樹脂パッケージ20に個片化した際に電気的に絶縁されるように横方向に設けられており、上金型61と下金型62とでこの切り欠き部21aを挟み込んでいる。」
と記載されている。
そして、本件図面には、第1の実施形態に係る発光装置(実施例の発光装置)の斜視図として、図1が示されているところ、図1においてリード22は四隅のみで露出している。
これらの記載から明らかなとおり、本件明細書及び本件図面には、樹脂パッケージにおいて、リード22が四隅のみから露出されている構成が記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(9) 請求項11に係る訂正について
ア 訂正事項11-1
(ア) 訂正の目的について
訂正事項11-1は、請求項11において、製造対象となる樹脂パッケージが、リードと、リードと一体に形成された樹脂部とを有するものであることを特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項11において、樹脂パッケージは、樹脂部とリードとが外側面において略同一面に形成されているものとして特定されている。
訂正事項11-1は、訂正後の請求項11において、樹脂パッケージが「リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有」するものであることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項11-1は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0041】には、
「樹脂パッケージは、熱硬化性樹脂からなる樹脂部とリードとを有し、一体成形している。」
と記載され、段落【0104】には、
「発光装置100は、発光素子10と、光反射物質26を含有する樹脂部25とリード22とが一体成形された樹脂パッケージ20と、を有する。」
と記載されている。
さらに、本件図面の図1においては、リード22と、リード22に一体に形成された樹脂部25が示されている。
これらの記載から明らかなとおり、本件明細書及び本件図面には、リードと、リードに一体に形成された樹脂部とを有する樹脂パッケージが記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

イ 訂正事項11-2
(ア) 訂正の目的について
訂正事項11-2は、略同一面に形成されている「リード」及び「樹脂部」が、訂正事項11-1として追加された特定事項でいう「リード」及び「樹脂部」を指していることを示すために、「前記」という用語を追加するものであり、略同一面に形成されている「リード」及び「樹脂部」がその前に説明した「リード」及び「樹脂部」を指すのかどうかが明瞭でないという不備を是正するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項11-2は、「前記」という用語によって略同一面に形成された「リード」及び「樹脂部」が先に記載された「リード」及び「樹脂部」を指すことを明確にしたものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項11-2は、「前記」という用語を付加することにより、略同一面に形成された「リード」及び「樹脂部」が先に記載された「リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部」でいう「リード」及び「樹脂部」を指すことを明確にしたものであるところ、樹脂パッケージが、「リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有」する構成は、上記ア(ウ)項で説明したとおり、本件明細書及び本件図面に記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

ウ 訂正事項11-3
(ア) 訂正の目的について
訂正事項11-3は、請求項11の製造方法で用いられるリードフレームに設けられる切り欠き部が、樹脂パッケージの少なくとも対向する二つの外側面となる位置に沿って設けられること、該切り欠き部が製造される樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって設けられていること、該リードフレームが全面に銀メッキ処理が施されたものであることを特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項11において、リードフレームは切り欠き部を設けたものとして特定され、後の樹脂成形体とリードフレームとを切断する工程において切断が該切り欠き部に沿って行われることのみが特定されている。
訂正事項11-3は、訂正後の請求項11において、切り欠き部が、「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって」設けられるものであること、及び「全面に銀メッキ処理が施された」ものであることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。なお、「少なくとも対向する二つの前記外側面」とは、「前記」とあることから明らかなとおり、樹脂パッケージの外側面である。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項11-3は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(リードフレームの切り欠き部と樹脂パッケージの外側面との関係について)
本件明細書の段落【0078】には、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法に関連して、
「次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。 (※中略) これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。」
と記載されている。すなわち、段落【0078】には、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断することにより、樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となった切断面が得られることが記載されているところ、この切断面は樹脂パッケージの外側面に相当するものであることは明らかである。よって、段落【0078】には、切断時に樹脂成形体とリードフレームとを切断する位置が樹脂パッケージの外側面となる位置であること、及び当該位置に切り欠き部が設けられることが記載されている。

また、本件図面には、第1の実施形態に係る発光装置を製造するために用いられるリードフレームの平面図として、図3が示されている。
図3のリードフレームには、互いに向かい合う縦方向の切り欠き部21a、及び互いに向かい合う横方向の切り欠き部21aが設けられている。これらの互いに向かい合う切り欠き部の位置が、樹脂パッケージの互いに向かい合う外側面となる位置であることは、段落【0078】等の記載、及び図3のリードフレームを用いて得られる発光装置が図1に示すものであることも考慮すれば、当業者には自明である。

さらに、本件図面には、図10が示されている。同図においては、切断位置に沿って設けられた切り欠き部221aは、横方向にのみ設けられているが、これらの切り欠き部221aも互いに向かい合って形成されており、互いに向かい合う切り欠き部が対向する外側面となる位置に設けられていることは、図10のリードフレームを用いて製造された発光装置が図9に示すものであることも考慮すれば、当業者には自明である。

ここで、段落【0041】に、
「樹脂パッケージは、熱硬化性樹脂からなる樹脂部とリードとを有し、一体成形している。」
と記載されているとおり、本件明細書において、樹脂パッケージとは、発光装置中の樹脂部とリードからなる部分(例えば、図1、図2では符号20で示され、図9では符号220で示されている)を指す用語である。したがって、本件明細書において、発光装置の製造方法または構造に関する説明のうち、樹脂部とリードに関わる説明は、樹脂パッケージの製造方法または構造にそのままあてはまる。
これらの記載から明らかなとおり、本件明細書及び本件図面には、樹脂パッケージを製造する方法において、リードフレームに「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って」切り欠き部を設けることが記載されている。

(リードフレームの切り欠き部の長さについて)
本件明細書の段落【0016】には、
「リードフレームは、切断部分における切り欠き部が全包囲周の約1/2以上であることが好ましい。」
と記載されている。
また、段落【0035】には、
「樹脂パッケージ20の外側面20bの全包囲の長さにおいて、リード22が露出している部分は1/2より短い長さである。後述する発光装置の製造方法において、リードフレーム21に切り欠き部21aを設け、その切り欠き部21aに沿って切断するため、リードフレーム21の切断部分が樹脂パッケージ20から露出される部分である。」
との記載があり、この記載において、切り欠き部に沿って切断したときの切断面である、発光装置(樹脂パッケージ)外側面において、リードの露出部分が1/2未満であるということは、リードフレームに設けられた切り欠き部(樹脂部が充填されているために露出しない部分)が個片化後の発光装置(樹脂パッケージ)の全包囲の長さの1/2以上を占めることにほかならない。
よって、本件明細書には、リードフレームに、切り欠き部を、製造される樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって設けることが記載されている。

(リードフレームの全面に銀メッキ処理が施されていることについて)
本件明細書の段落【0015】には、リードフレームのメッキ処理に関連して、
「上金型と下金型とで挟み込む前に、リードフレームにメッキ処理を施すことが好ましい。このとき、製造された発光装置には切断された面にメッキ処理が施されておらず、それ以外の部分にはメッキ処理が施されている。個片化された発光装置毎にメッキ処理を施す必要がなくなり、製造方法を簡略化することができる。」
と記載されている。また、段落【0051】には、
「リードフレームは、例えば、鉄、リン青銅、銅合金などの電気良導体を用いて形成される。また、発光素子からの光の反射率を高めるために、銀、アルミニウム、銅及び金などの金属メッキを施すことができる。切り欠き部を設けた後やエッチング処理を行った後など上金型と下金型とで挟み込む前に金属メッキを施すことが好ましいが、リードフレームが熱硬化性樹脂と一体成形される前に金属メッキを施すこともできる。」
と記載されている。さらに、段落【0106】には、
「リードフレームはエッチング加工により切り欠き部21aを設ける。図示しないが切り欠き部21aの断面は凹凸が形成されている。そのリードフレームにAgを電解メッキにより付着させる。切り欠き部21aが設けられメッキ処理が施されたリードフレーム21を用いる。」
と記載されている。
これらの記載から明らかなとおり、本件明細書には、予め「全面に銀メッキ処理が施された」リードフレームを、上金型と下金型とで挟みこむことが記載されている。

以上のとおりであるから、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

エ 訂正事項11-4
(ア) 訂正の目的について
訂正事項11-4は、請求項11において、熱硬化性樹脂のトランスファ・モールドによる樹脂成形体の形成工程が、「前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、」実施されることを、特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項11においては、トランスファ・モールドして、切り欠き部内に熱硬化性樹脂を充填させて、リードフレームに樹脂成形体を形成することのみが特定されている。
訂正事項11-4は、訂正後の請求項11のトランスファ・モールドによる樹脂成形体の形成工程において、
・切り欠き部だけでなく、上金型と下金型とでリードフレームを挟み込むことにより形成された空間に熱硬化性樹脂が充填されること、
・熱硬化性樹脂が硬化させられること、
・トランスファ・モールドにより、リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成されるとともに、リードフレームの底面が外底面に露出した構成が得られること
を特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項11-4は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0067】には、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法に関連して、以下の記載がある。
「突出部はトランスファ・モールドの際にリードフレーム21と接触する部分であって、その接触部分に熱硬化性樹脂23が流れ込まないようにすることにより、リードフレーム21の一部が樹脂成形体24から露出される露出部を形成できる。突出部は、本体部から下方に突出しており、外壁に囲まれるように形成されている。突出部は、リードフレーム21と接触する部分が平坦に形成されている。樹脂成形体24の上面の面積あたりに効率よく凹部を形成するためには、一方向かつ等間隔に突出部が形成され、各突出部においてその一方向から90°方向かつ等間隔に突出部が形成されることが好ましい。」

また、段落【0073】?【0076】には以下の記載がある。
「【0073】
まず、切り欠き部21aを設けたリードフレーム21を上金型61と下金型62とで挟み込む。上金型61と下金型62とで挟み込むことによって金型60内に空間が設けられる。」
「【0074】
このとき、凹部27が形成される位置にある切り欠き部21aが上金型61の有する突出部と下金型62とで挟まれるように配置する。これにより切り欠き部21aにおけるリードフレーム21のバタつきが抑制され、バリの発生を低減することができる。」
「【0075】
次に、上金型61と下金型62とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質26が含有される熱硬化性樹脂23をトランスファ・モールドして、リードフレーム21に樹脂成形体24を形成する
金型60内に設けられた空間に、注入口から光反射性物質26が含有される熱硬化性樹脂23を注入して、所定の温度と圧力とを加えてトランスファ・モールドする。上金型61と下金型62とで切り欠き部21a付近のリードフレーム21を挟み込んでいるため、熱硬化性樹脂23をトランスファ・モールドする際に、リードフレーム21がバタつかず、凹部27の内底面27aにおいてバリの発生を抑制できる。」
「【0076】
ピン挿入部にピンを挿入させて樹脂成形体24を上金型61から抜脱する。金型60内において所定の温度を加えて仮硬化を行い、その後、金型60から抜脱して、仮硬化よりも高い温度を加えて本硬化を行うことが好ましい。」

これらの段落には、
・切り欠き部だけでなく、上金型と下金型とでリードフレームを挟み込むことにより形成された空間に熱硬化性樹脂が充填されること(段落【0073】、【0075】)、
・熱硬化性樹脂が硬化させられること(段落【0076】)、
・トランスファ・モールドにより、複数の凹部が形成されること(段落【0067】【0074】)
が記載されている。

さらに、本件図面には、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す概略断面図として、図4が示されている。
同図には、段落【0067】に記載されているとおり、上金型61及び下金型62がリードフレーム21と接している部分では、樹脂が流れ込まず、金型の抜脱後、リードフレーム21の上面の一部が凹部の内底面にて露出し、かつリードフレーム21の底面が外底面に露出することが記載されている。
なお、上記の記載はいずれも、第1の実施形態に係る「発光装置」の製造方法に関連するものであるが、これらの記載が樹脂パッケージの製造方法に関連するものであると理解され得ることは、上記ウ(ウ)項で説明したとおりである。

よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

オ 訂正事項11-5
(ア) 訂正の目的について
訂正事項11-5は、請求項11において、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断する工程が、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように」実施されるものであり、そのような切断によって、「前記外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の樹脂パッケージに分離する」ことを、特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項11においては、切断工程として、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断することのみが特定されていた。
訂正事項11-5は、訂正後の請求項11の樹脂成形体とリードフレームとを切断する工程において、
・切断が隣り合う凹部の間で、切り欠き部に沿って実施されること、
・切り欠き部内に充填された熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの外側面に露出するように切断が行われること、すなわち、切り欠き部内では、そこに充填された熱硬化性樹脂が分離され、かつ切り欠き部内に充填された樹脂が切断後も一部は残って、外側面に露出するように、切断を実施すること、
・切断により、樹脂パッケージの外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されている複数の樹脂パッケージに分離されること、すなわち、切断面が樹脂パッケージの外側面となり、切断により直ちに複数個の樹脂パッケージが得られること
を特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項11-5は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0032】?【0062】の第1段落までには、第1の実施形態に係る発光装置が記載され、段落【0062】の第2段落?段落【0078】までには、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法が記載されている。すなわち、段落【0062】の第2段落?段落【0078】までに記載された製造方法により製造されるものが、第1の実施形態に係る発光装置である。また、本件図面には、第1の実施形態の発光装置として、図1及び図2が示されており、第1の実施形態の発光装置を製造するために用いるリードフレームとして、図3が示されており、第1の実施形態の発光装置の製造方法を示す概略断面図として、図4が示されている。

第1の実施形態に係る発光装置の製造方法に関連して、本件明細書の段落【0078】には、
「次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。
複数の凹部27が形成された樹脂成形体24は、隣接する凹部27の間にある側壁を略中央で分離されるように長手方向及び短手方向に切断する。切断方法はダイシングソーを用いて樹脂成形体24側からダイシングする。これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。」
と記載されている。この記載によれば、切断が隣り合う凹部の間の切り欠き部で行われていることは明らかである。このことは、本件図面の図4にも記載されている。図4には、段落【0078】に記載のとおり、隣接する凹部の間にある側壁を略中央で分離すること、及び分離位置に切り欠き部21aが位置していることが示されている。

また、段落【0078】の記載からは、切断により、樹脂パッケージの外側面が形成され、外側面にて樹脂部とリードとが略同一面に形成されている複数の発光装置に分離されることも明らかである。この点は、本件明細書の段落【0042】に、
「樹脂パッケージは、外底面と外側面と外上面とを有する。樹脂パッケージの外側面からリードが露出している。樹脂部とリードとは略同一面に形成されている。この略同一面とは同じ切断工程で形成されたことを意味する。」
と記載され、また、段落【0035】に、
「後述する発光装置の製造方法において、リードフレーム21に切り欠き部21aを設け、その切り欠き部21aに沿って切断するため、リードフレーム21の切断部分が樹脂パッケージ20から露出される部分である。」
と記載されていることからも明らかである。

段落【0078】に記載された方法で製造される第1の実施形態に係る発光装置が図1に示されるものであり、この発光装置を得るために用いられるリードフレームが図3に示されるものであることは上記のとおりである。

図3に示されるリードフレームを用いて、図1に示されるような、リード22が四隅のみで露出する発光装置が製造されているということは、段落【0078】で説明されている切断が、切り欠き部21a内に充填された熱硬化性樹脂(樹脂成形体)が、切断によって互いに分離されるとともに、熱硬化性樹脂が切り欠き部内21aに一部残存して、外側面に露出するように実施されていることにほかならない。仮に、切り欠き部内の熱硬化性樹脂がすべて切断により削り取られてしまうと、切断面においては、リードの側面が外側面の全周にわたって露出して、図1に示すような樹脂パッケージは得られないからである。

なお、上記の記載はいずれも、第1の実施形態に係る「発光装置」の製造方法に関連するものであるが、これらの記載が樹脂パッケージの製造方法に関連するものであると理解され得ることは、上記ウ(ウ)項で説明したとおりである。

以上のとおりであるから、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(10) 請求項12に係る訂正について
ア 訂正事項12-1
(ア) 訂正の目的について
訂正事項12-1は、上記訂正事項11-3によって、訂正前の請求項12で特定されている事項が請求項11において特定されたことに伴い、訂正前の請求項12を削除することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項12-1は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項12-1は、請求項12を削除するものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(11) 請求項13に係る訂正について
ア 訂正事項13-1
(ア) 訂正の目的について
訂正事項13-1は、請求項13において、樹脂パッケージが、リードと、リードと一体に形成された樹脂部とを有するものであること、及び樹脂部が光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなるものであることを特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項13において、樹脂パッケージは、樹脂部とリードとが外側面において略同一面に形成されているものとして特定されている。
訂正事項13-1は、訂正後の請求項13において、樹脂パッケージがリードと、リードと一体に形成された樹脂部とを有するものであること、及び樹脂部が光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項13-1は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0041】には、
「樹脂パッケージは、熱硬化性樹脂からなる樹脂部とリードとを有し、一体成形している。」
と記載され、段落【0104】には、
「発光装置100は、発光素子10と、光反射物質26を含有する樹脂部25とリード22とが一体成形された樹脂パッケージ20と、を有する。」
と記載されている。また、段落【0038】には、
「樹脂パッケージ20は透光性の熱硬化性樹脂に光反射性物質を高充填したものを使用することが好ましい。」
と記載されている。
さらに、本件図面の図1においては、リード22と、リード22に一体に形成された樹脂部25が示されている。
これらの記載から明らかなとおり、本件明細書及び本件図面には、リードと、リードに一体に形成された樹脂部とを有し、かつ該樹脂部が光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる、樹脂パッケージが記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

イ 訂正事項13-2
(ア) 訂正の目的について
訂正事項13-2は、略同一面に形成されている「リード」及び「樹脂部」が、訂正事項13-1として追加された特定事項でいう「リード」及び「樹脂部」を指していることを示すために、「前記」という用語を追加するものであり、略同一面に形成されている「リード」及び「樹脂部」がその前に説明した「リード」及び「樹脂部」を指すのかどうかが明瞭でないという不備を是正するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項13-2は、「前記」という用語によって略同一面に形成された「リード」及び「樹脂部」が先に記載された「リード」及び「樹脂部」を指すことを明確にしたものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項13-2は、「前記」という用語を付加することにより、略同一面に形成された「リード」及び「樹脂部」が先に記載された「リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、」でいう「リード」及び「樹脂部」を指すことを明確にしたものであるところ、樹脂パッケージが、「リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有」する構成は、上記ア(ウ)項で説明したとおり、本件明細書及び本件図面に記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

ウ 訂正事項13-3
(ア) 訂正の目的について
訂正事項13-3は、樹脂パッケージを構成するメッキ処理が施されたリードを、底面及び上面を含む、外側面を除く全面に銀メッキ処理が施され、かつ外側面全体に銀メッキ処理が施されていないものに限定する訂正事項である。
訂正前の請求項13において、リードは底面及び上面の少なくともいずれか一面にメッキ処理が施され、外側面にはメッキ処理が施されていないものとして特定されている。
訂正事項13-3は、訂正後の請求項13において、リードの「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されて」いること、及びリードの外側面は全体にわたって銀メッキ処理が施されていないことを明記することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項13-3は、訂正前の発明特定事項(リードのメッキ処理が施された面等に関する特定事項)を限定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0015】には、リードフレームへのメッキ処理と、得られる発光装置のリード、すなわち樹脂パッケージを構成するリードのメッキに関連して、
「上金型と下金型とで挟み込む前に、リードフレームにメッキ処理を施すことが好ましい。このとき、製造された発光装置には切断された面にメッキ処理が施されておらず、それ以外の部分にはメッキ処理が施されている。個片化された発光装置毎にメッキ処理を施す必要がなくなり、製造方法を簡略化することができる。」
と記載されている。上記「切断された面」が樹脂パッケージの「外側面」に相当することは、段落【0042】に、「樹脂パッケージの外側面からリードが露出している。樹脂部とリードとは略同一面に形成されている。この略同一面とは同じ切断工程で形成されたことを意味する。」と記載されているとおりである。
また、段落【0051】には、
「リードフレームは、例えば、鉄、リン青銅、銅合金などの電気良導体を用いて形成される。また、発光素子からの光の反射率を高めるために、銀、アルミニウム、銅及び金などの金属メッキを施すことができる。切り欠き部を設けた後やエッチング処理を行った後など上金型と下金型とで挟み込む前に金属メッキを施すことが好ましいが、リードフレームが熱硬化性樹脂と一体成形される前に金属メッキを施すこともできる。」
と記載され、さらに、段落【0106】には、
「リードフレームはエッチング加工により切り欠き部21aを設ける。図示しないが切り欠き部21aの断面は凹凸が形成されている。そのリードフレームにAgを電解メッキにより付着させる。切り欠き部21aが設けられメッキ処理が施されたリードフレーム21を用いる。」
と記載されている。
リードフレームが個片化されてリードとなることは、本件明細書の全趣旨から明らかであるから、段落【0051】及び段落【0106】の記載によれば、本件明細書には、銀メッキ処理を施したリードが記載されているといえる。
以上のとおり、本件明細書には、「前記リードは底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、」という構成が記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

エ 訂正事項13-4
(ア) 訂正の目的について
訂正事項13-4は、訂正後の請求項13(樹脂パッケージ)に、「内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、」ていることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項13-4は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0034】には、第1の実施形態に係る発光装置を構成する樹脂パッケージに関連して、
「樹脂パッケージ20は、主に光反射性物質26を含有する樹脂部25と、リード22と、から構成されている。樹脂パッケージ20はリード22を配置している外底面20aと、リード22の一部が露出している外側面20bと、開口する凹部27を形成する外上面20cと、を有する。樹脂パッケージ20には内底面27aと内側面27bとを有する凹部27が形成されている。樹脂パッケージ20の内底面27aにはリード22が露出しており、リード22に発光素子10が載置されている。」
と記載され、本件図面には、第1の実施形態に係る発光装置の斜視図及び断面図として、図1及び図2がそれぞれ示されている。
図1及び図2においては、凹部27が樹脂パッケージに形成されていることが記載され、かつ凹部の内側面27bが樹脂部25から成るものであること、及び凹部27の内底面27aにおいてリードの上面の一部が露出していることが記載されている。
これらの記載から明らかなとおり、本件明細書及び本件図面には、樹脂パッケージにおいて、「内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、」た構成が記載されている。
したがって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

オ 訂正事項13-5
(ア) 訂正の目的について
訂正事項13-5は、請求項13において、「外底面に前記リードの底面が露出しており、」という構成を、特定事項として追加するものである。
訂正前の請求項13においては、外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されていることが特定されている。
訂正事項13-5は、訂正後の請求項13において、樹脂パッケージの外底面にリードの底面が露出していることを特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項13-5は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書の段落【0033】には、第1の実施の形態に係る発光装置の樹脂パッケージに関連して、
「第1の実施の形態に係る発光装置100は、熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、外側面20bにおいて樹脂部25とリード22とを略同一面に形成する樹脂パッケージ20を有する。リード22は底面(樹脂パッケージ20の外底面20a)及び上面(凹部27の内底面27a)の少なくともいずれか一面にメッキ処理を施している。」
と記載され、段落【0034】には、
「樹脂パッケージ20は、主に光反射性物質26を含有する樹脂部25と、リード22と、から構成されている。樹脂パッケージ20はリード22を配置している外底面20aと、リード22の一部が露出している外側面20bと、開口する凹部27を形成する外上面20cと、を有する。」
と記載されている。
また、本件図面には、第1の実施形態に係る発光装置の断面図として、図2が示されている。
この図2には樹脂パッケージ20の外底面20aに、リード22の底面が露出した構成が記載されている。
したがって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

カ 訂正事項13-6
(ア) 訂正の目的について
訂正事項13-6は、訂正後の請求項13において、「前記リードは、少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している、」という構成を、特定事項を追加することによって、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項13-6は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(リードの切り欠き部が樹脂パッケージの外側面に設けられ、切り欠き部に樹脂部の一部が充填されていることについて)
本件図面には、発光装置の斜視図として図1が示され、図1に示すII-IIの断面図として図2が示されている。
これらの図面には、発光装置10を構成する部材として、発光装置を構成する樹脂パッケージ20が記載されており、これらの図面を合わせて見れば、外側面に沿ってリード22に設けられた切り欠き部切り欠き部に樹脂部の一部が充填されていることは、明らかである。

さらにいえば、図1に示される樹脂パッケージ20が、
・図3に示されるリードフレームを用いて製造されるものであること(段落【0032】)、及び
・リードフレームと、リードフレームに一体に形成された樹脂成形体とを、切り欠き部に沿って切断したときに得られる切断面が樹脂パッケージ20の外側面となること(段落【0078】)
を考慮すれば、図1に示される樹脂パッケージ20において、外側面に露出しているリード22とリード22との間に位置する、外側面に露出している樹脂部25が、切り欠き部内に充填されたものであることは、当業者には自明のことである。

(リードの切り欠き部の長さについて)
本件明細書の段落【0035】には、
「樹脂パッケージ20の外側面20bの全包囲の長さにおいて、リード22が露出している部分は1/2より短い長さである。後述する発光装置の製造方法において、リードフレーム21に切り欠き部21aを設け、その切り欠き部21aに沿って切断するため、リードフレーム21の切断部分が樹脂パッケージ20から露出される部分である。」
との記載がある。ここに記載されていること、すなわち、樹脂パッケージの外側面において、リードの露出部分が1/2未満であるということは、リードに設けられた切り欠き部(樹脂部が充填されているために露出しない部分)が外側面の全包囲の長さの1/2以上を占めることにほかならない。
さらに、段落【0016】にも、
「リードフレームは、切断部分における切り欠き部が全包囲周の約1/2以上であることが好ましい。」
と記載されており、この記載によれば、このリードフレームを用いて製造した、樹脂パッケージにおいて、外側面(切断部分)の全包囲周の1/2以上に切り欠き部を設ける構成が得られることは当業者には自明である。
よって、本件明細書には、リードに、切り欠き部を、樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって設けることが記載されている。

以上のとおり、本件明細書には、リードが、少なくとも対向する二つの外側面に沿って、樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有すること、及びリードと一体に形成された樹脂部の一部が切り欠き部内に充填されて外側面で露出していることが記載されている。
したがって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

(12) 請求項14に係る訂正について
ア 訂正事項14-1
(ア) 訂正の目的
訂正事項14-1は、「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている、樹脂成形体の製造方法であって」との発明特定事項に、
(i)『リードフレームに一体に形成された樹脂成形体』、
(ii)『請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体』
との新たな限定を追加するものであり、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項14-1は、もとの発明特定事項を限定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項14-1で追加した事項のうち、
(i)『リードフレームに一体に形成された樹脂成形体』は、
本件明細書の段落【0041】にある「樹脂パッケージは、熱硬化性樹脂からなる樹脂部とリードとを有し、一体成形している。」や段落【0104】にある「発光装置100は、発光素子10と、光反射物質26を含有する樹脂部25とリード22とが一体成形された樹脂パッケージ20と、を有する。」に基づいており(なお、ここでは「樹脂部」及び「リード」との用語が使われているが、これらは個片化された後の「樹脂成形体」及び「リードフレーム」を指すものである(段落【0013】))、
(ii)『請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体』は、
樹脂成形体の凹部に発光素子を載置し、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断することにより発光装置を製造することが、本件明細書の段落【0077】?【0078】に記載されていることに基づく。
したがって、訂正事項14-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

イ 訂正事項14-2
(ア) 訂正の目的
訂正事項14-2は、新たに「縦横少なくとも一方において、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が形成される2つの位置の間に、切り欠き部を一列のみ有する前記リードフレームの全面にメッキ処理を施す工程」を追加するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項14-2は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項14-2で追加した「縦横少なくとも一方において、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が形成される2つの位置の間に、切り欠き部を一列のみ有する前記リードフレームの全面にメッキ処理を施す工程」のうち、
(i)「縦横少なくとも一方において、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が形成される2つの位置の間に、切り欠き部を一列のみ有する」との事項は、本件図面の図3、図4及び図5、又は図7及び図8から自明な事項であり、
(ii)「前記リードフレームの全面に銀メッキ処理を施す」との事項は、本件明細書の段落【0015】にある「上金型と下金型とで挟み込む前に、リードフレームにメッキ処理を施すことが好ましい。このとき、製造された発光装置には切断された面にメッキ処理が施されておらず、それ以外の部分にはメッキ処理が施されている。個片化された発光装置毎にメッキ処理を施す必要がなくなり、製造方法を簡略化することができる。」の記載、ならびにメッキする金属の種類を説明する段落【0051】及び段落【0106】の記載から自明な事項である。
したがって、訂正事項14-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

ウ 訂正事項14-3
(ア) 訂正の目的
訂正事項14-3は、訂正事項14-2によって新たに追加された特定事項において、リードフレームが切り欠き部を有するものであることが特定されたことに伴い、重複する記載となる「切り欠き部を設けた」という記載を削除し、代わりに「前記」という用語を追加して、ここでいう「リードフレーム」が、その前に新たに追加された特定事項にて説明されている「リードフレーム」を指すことを明瞭にしたものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項14-3は、「前記」という用語によって、ここでいう「リードフレーム」が先に記載された「リードフレーム」を指すことを明確にしたものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項14-3は、「前記」という用語を付加することにより、ここでいう「リードフレーム」が、訂正事項14-2により追加された特定事項に記載の「リードフレーム」を指すことを明確にしたものであるところ、訂正事項14-2により追加された特定事項の構成は、上記イ(ウ)項で説明したとおり、本件明細書及び本件図面に記載されている。
よって、当該訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

エ 訂正事項14-4
(ア) 訂正の目的
訂正事項14-4は、訂正前の請求項14における「前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記切り欠き部に前記熱硬化性樹脂を充填させ、かつ、前記リードフレームに前記樹脂成形体を形成する工程」との発明特定事項に、
(i)『前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ』、
(ii)『前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が前記内底面に露出した複数の前記凹部が形成され』、
(iii)『前記リードフレームの底面が露出するように、前記リードフレームと一体に前記樹脂成形体を形成する工程と』
という新たな限定を加えるものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項14-4は、もとの発明特定事項に新たな限定を追加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項14-4で追加した事項のうち、
(i)『前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ』との事項は、本件明細書の段落【0073】にある「まず、切り欠き部21aを設けたリードフレーム21を上金型61と下金型62とで挟み込む。上金型61と下金型62とで挟み込むことによって金型60内に空間が設けられる。」に基づいており、
(ii)『前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が前記内底面に露出した複数の前記凹部が形成され』との事項は、本件明細書の段落【0076】にある「・・金型60内において所定の温度を加えて仮硬化を行い、その後、金型60から抜脱して、仮硬化よりも高い温度を加えて本硬化を行うことが好ましい。」、明細書の段落【0034】にある「・・樹脂パッケージ20には内底面27aと内側面27bとを有する凹部27が形成されている。樹脂パッケージ20の内底面27aにはリード22が露出しており、」及び図5や図8において複数の凹部の内底面にリードフレームの上面の一部が露出していることに基づいており、
(iii)『前記リードフレームの底面が露出するように、前記リードフレームと一体に前記樹脂成形体を形成する工程と』との事項は、本件明細書の段落【0036】にある「・・また、リード22は外底面20aにも露出する構造を採ることができ、メッキ処理を施すこともできる。」及び本件明細書の段落【0041】にある「樹脂パッケージは、熱硬化性樹脂からなる樹脂部とリードとを有し、一体成形している。」に基づいている。
したがって、訂正事項14-4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(13) 請求項15に係る訂正について
ア 訂正事項15-1
(ア) 訂正の目的
訂正事項15-1は、「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている、樹脂成形体であって」との発明特定事項に、
(i)『リードフレームと一体に形成され』、
(ii)『該凹部の内底面は、前記リードフレームの上面の一部が露出されている』、
(iii)『請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体』
との限定を追加するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする。
なお、上記(ii)の限定の追加に際しては、(i)の限定の追加に伴い、(ii)でいう「リードフレーム」が(i)でいう「リードフレーム」であることを明確にする趣旨で、訂正前の請求項15に記載されていた「リードフレーム」という用語の前に「前記」という用語を追加している。したがって、「前記」の追加に関しては、訂正事項15-1は特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項15-1は、訂正前の発明特定事項を限定するものであり、また、一部明瞭でない記載を明確にしたものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項15-1で追加した事項のうち、
(i)『リードフレームと一体に形成され』は、本件明細書の段落【0041】にある「樹脂パッケージは、熱硬化性樹脂からなる樹脂部とリードとを有し、一体成形している。」に基づくものであり、
(ii)『該凹部の内底面は、前記リードフレームの上面の一部が露出されている』は、本件図面の図2などから自明な事項であり、
(iii)『請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体』は、樹脂成形体の凹部に発光素子を載置し、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断することにより発光装置を製造することが、本件明細書の段落【0077】?【0078】に記載されていることに基づく。
したがって、訂正事項15-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

イ 訂正事項15-2
(ア) 訂正の目的
訂正事項15-2は、「前記リードフレームは切り欠き部を有しており、該切り欠き部に前記樹脂成形体となる熱硬化性樹脂が充填されており、隣り合う凹部の間に側壁を有している樹脂成形体」との発明特定事項に、
(i)『前記リードフレームは、底面および上面を含む全面に銀メッキ処理が施されており、』、
(ii)『前記リードフレームの底面が露出しており』、
(iii)『前記リードフレームは、縦横少なくとも一方において前記凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有しており』、
(iv)『前記熱硬化性樹脂からなる前記樹脂成形体は前記リードフレームの上面にも形成されて』
との限定を追加するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする。

(イ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)から明らかなように、訂正事項15-2は、訂正前の発明特定事項を限定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

(ウ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項15-2で追加した事項のうち、
(i)『前記リードフレームは、底面および上面を含む全面に銀メッキ処理が施されており』は、本件明細書の段落【0015】にある「上金型と下金型とで挟み込む前に、リードフレームにメッキ処理を施すことが好ましい。このとき、製造された発光装置には切断された面にメッキ処理が施されておらず、それ以外の部分にはメッキ処理が施されている。個片化された発光装置毎にメッキ処理を施す必要がなくなり、製造方法を簡略化することができる。」の記載、ならびにメッキする金属の種類を説明する段落【0051】及び段落【0106】の記載から自明な事項であり、
(ii)『前記リードフレームの底面が露出しており』は、本件明細書の段落【0036】にある「・・また、リード22は外底面20aにも露出する構造を採ることができ、メッキ処理を施すこともできる。」に基づき、
(iii)『前記リードフレームは、縦横少なくとも一方において前記凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有しており』は、本件明細書の図3、図4及び図5、又は図7及び図8から自明な事項であり、
(iv)『前記熱硬化性樹脂からなる前記樹脂成形体は前記リードフレームの上面にも形成されて』は、
本件明細書の段落【0078】にある「また、リードフレーム21の上面だけでなく、切り欠き部21aに相当する側面も樹脂成形体24と密着するため、リードフレーム21と樹脂成形体24との密着強度が向上する。」に基づく。
したがって、訂正事項15-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(14) 一群の請求項について
訂正事項1-1?1-6、2-1、3-1、4-1、5-1及び6-1?6-2に係る請求項1?6は、請求項1の記載を請求項2?6がそれぞれ引用しているから、当該請求項1?6は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。
訂正事項7-1?7-7及び8-1に係る請求項7?10は、請求項7の記載を請求項8?10が引用しているから、当該請求項7?10は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。
訂正事項11-1?11-5及び12-1に係る請求項11及び12は、請求項11の記載を請求項12が引用しているから、当該請求項11及び12は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。
請求項13、請求項14及び請求項15は、いずれも他の請求項と一群の請求項の関係にない。
したがって、本件訂正請求は、特許法第134条の2第3項に適合する。

4 小括
以上のとおり、本件訂正請求は、特許法第134条の2第1項及び第3項並びに同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、請求のとおり訂正を認める。
なお、本件訂正請求が適法であることについて、当事者間に争いはない(第1回口頭審理調書 陳述の要領 請求人2)。

第5 無効理由についての当審の判断
1 [無効理由4](特許法第29条第2項)について
(1) 本件訂正発明
本件特許の訂正後の請求項1、4?11、13?15に記載された発明(以下「本件訂正発明1」、「本件訂正発明4」?「本件訂正発明11」、「本件訂正発明13」?「本件訂正発明15」という。)は、訂正された特許請求の範囲の請求項1、4?11、13?15(上記「第4 訂正請求について」「1 訂正請求の内容」の[訂正後]の特許請求の範囲を参照。)に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められる。

(2) 甲第1号証の記載事項及び甲1発明
ア 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証には、図とともに、次の記載がある(当審注:下線は、当審が付与した。)。

(ア) 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法であって、前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成することを特徴とする、光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
【請求項2】
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであることを特徴とする、請求項1に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
・・・
【請求項7】
前記配線基板が、リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかであることを特徴とする、請求項1?6のいずれか1項に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1?7のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に、光半導体素子を搭載する工程、および
前記光半導体素子を封止樹脂により覆う工程、
を有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂封止工程後、前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する工程、をさらに有することを特徴とする、請求項8に記載の光半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記分割する工程が、ダイシングにより行われることを特徴とする、請求項9に記載の光半導体装置の製造方法。」

(イ) 「【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、配線基板と、当該配線基板上に形成され、光半導体素子搭載領域となる凹部(貫通孔)が所定位置に2つ以上形成されている光反射用熱硬化性樹脂組成物層とを有する光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法であって、上記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により一括形成することをその特徴とするものである。
【0024】
上記トランスファー成型による形成について、より具体的には、例えば、上記配線基板として、図1(a)に示すような、金属配線401を有するプリント配線板400を用い、これを図1(b)に示すように、所定形状の金型411内に配置し、金型411の樹脂注入口410から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入する。ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を好ましくは、金型温度170℃?190℃で60秒?120秒、アフターキュア温度120℃?180℃で1時間?3時間の条件で熱硬化させた後、金型411を外すことで、凹部(光半導体素子搭載領域)420が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層(リフレクター)421を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板430を得ることができる(図1(c)、(d))。また、凹部底面の、光半導体素子が接続される端子表面に電気めっき等によりNi/Agめっき104を施すこともできる。また、凹部の形状は、特に限定されないが、搭載されたLED素子10が発する光を反射させて上方へ導くようなカップ形状(円錐台形状)であることが望ましい。
【0025】
・・・
【0034】
また、本発明において用いる上記配線基板としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、上記プリント配線のほかに、リードフレーム、フレキシブル配線板、メタルベース配線板等を用いることができる。
【0035】
上記プリント配線は、例えば、銅箔付プリプレグに対して、公知の手法を用いて回路となる配線を形成した後、絶縁用の樹脂を回路上に形成して得ることができる。その際、絶縁用の樹脂及びプリプレグに含浸する樹脂には、LED素子からの光を効率よく反射できるように白色の絶縁樹脂を用いることが望ましい。また、上記リードフレームは、例えば、銅、42アロイ等の基板を公知の手法を用いて回路を形成して得ることができる。その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい。また、上記フレキシブル配線板は、例えば、銅箔付のポリイミド基板を公知の手法を用いて回路となる配線を形成した後、絶縁用の樹脂を回路上に形成して得ることができる。その際、絶縁用の樹脂にはLED素子からの光を効率よく反射できるように白色の絶縁樹脂を用いることが望ましい。また、上記メタルベース配線板は、例えば、銅やアルミニウムの基板に絶縁層を形成し、公知の手法を用いて回路となる配線を形成した後、絶縁用の樹脂を回路上に形成して得ることができる。その際、金属基板上の絶縁層及び回路絶縁用の樹脂にはLED素子からの光を効率よく反射できるように白色の絶縁樹脂を用いることが望ましい。
【0036】
本発明の光半導体装置の製造方法は、上記本発明の光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法により得られた光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に、光半導体素子を搭載する工程、および当該光半導体素子を透明な封止樹脂により覆う工程、を有することをその特徴とするものである。
【0037】
より具体的には、例えば、図1(c)および(d)に示す光半導体素子搭載用パッケージ基板430の凹部420の各底面の所定位置に、例えば、図2および図3に示すように、光半導体素子100を搭載し、該光半導体素子100と金属配線105とをボンディングワイヤ102、はんだバンプ107等の公知の方法で電気的に接続した後、公知の蛍光体106を含む透明な封止樹脂101により該光半導体素子100を覆うことで本発明の光半導体装置を製造する。なお、図1(c)および(d)には、光半導体素子を搭載する凹部が9箇所形成された場合について示されているが、本発明がこれに限定されないことはいうまでもない。
【0038】
また、上記樹脂封止工程後に、マトリックス状である上記光半導体装置を、ダイシング、レーザ加工、ウォータージェット加工、金型加工等の公知の方法により分割することで、光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体(SMD型光半導体装置)を得ることができる。好ましくは、図6に示すような、マトリックス状の光半導体装置にダンシングラインを形成し、これに沿ってダイシングする。」

(ウ) 「【0046】
(実施例2)
プリント配線板の代わりにリードフレームを用いた以外は、実施例1と同様にして光半導体装置を製造した。」

(エ) 「【符号の説明】
【0055】
1 LED素子搭載用パッケージ基板
2 配線基板
4 樹脂層(リフレクタ-)
4a 上部開口
4b 下部開口
4c 側面
4d 貫通穴
5 接着シート
10 LED素子
12 LED素子実装済み配線基板
14 樹脂層板(リフレクタ-)
15 接着シート
15a 穴
20 ダイシングライン
100 光半導体素子(LED素子)
101 封止樹脂
102 ボンディングワイヤ
103 リフレクター
104 Ni/Agめっき
105 金属配線
106 蛍光体
107 はんだバンプ
110 光半導体装置
400 プリント配線板
401 金属配線
402 層間接続穴
403 ソルダーレジスト
410 樹脂注入口
411 金型
420 凹部(光半導体素子搭載領域)
421 光反射用熱硬化性樹脂硬化物(リフレクター)
430 マトリックス状の光半導体素子搭載用パッケージ基板」

(オ) 本発明のマトリックス状光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造工程を示す概略図である図1は、次のものである。


(カ) 本発明により得られる光半導体装置の一実施形態を示す断面図である図2は、次のものである。


(キ) 本発明により得られる光半導体装置(封止樹脂除く)の一実施形態を示す斜視図である図3は、次のものである。


イ 甲1A発明
(ア) 上記ア(ア)の請求項1?2、7?10の記載から、引用文献1には、次の技術事項が記載されているといえる。

「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板を製造する工程であって、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成し、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであり、
前記配線基板が、リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかである、
光半導体素子搭載用パッケージ基板を製造する工程と、
前記光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に、光半導体素子を搭載する工程と、
前記光半導体素子を封止樹脂により覆う工程と、
前記樹脂封止工程後、前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する工程と、を有し、
前記分割する工程が、ダイシングにより行われる、
光半導体装置の製造方法。」

(イ) 上記ア(イ)の【0024】の記載から、上記(ア)の「トランスファー成型により形成」する工程は、「配線基板」を「所定形状の金型・・・内に配置し、金型・・・の樹脂注入口・・・から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入」し、「ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を・・・熱硬化させた後、金型・・・を外す」工程であってよいといえる。

(ウ) 上記ア(イ)の【0034】、【0035】、【0046】の記載から、上記(ア)の「リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかである」「配線基板」は、「リードフレーム」であってよく、「リードフレームは、・・・銅、42アロイ等の基板を・・・用いて回路を形成して得ることができ」、「その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」ものであるといえる。

(エ) 以上より、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1A発明」という。)が記載されていると認められる。

「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板を製造する工程であって、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成し、
前記トランスファー成型により形成する工程は、前記配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程であり、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであり、
前記配線基板が、リードフレームであり、
前記リードフレームは、銅、42アロイ等の基板を用いて回路を形成して得ることができ、その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい、
光半導体素子搭載用パッケージ基板を製造する工程と、
前記光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に、光半導体素子を搭載する工程と、
前記光半導体素子を封止樹脂により覆う工程と、
前記樹脂封止工程後、前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する工程と、を有し、
前記分割する工程が、ダイシングにより行われる、
光半導体装置の製造方法。」

ウ 甲1B発明
(ア) 上記ア(ア)の請求項1?2、7?9の記載から、引用文献1には、次の技術事項が記載されているといえる。

「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板であって、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成し、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであり、
前記配線基板が、リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかである、
光半導体素子搭載用パッケージ基板と、
前記光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に搭載する光半導体素子と、
前記光半導体素子を覆う封止樹脂と、を有し、
前記樹脂封止後、前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する、
光半導体装置。」

(イ) 上記ア(イ)の【0024】の記載から、上記(ア)の「トランスファー成型により形成」する工程は、「配線基板」を「所定形状の金型・・・内に配置し、金型・・・の樹脂注入口・・・から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入」し、「ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を・・・熱硬化させた後、金型・・・を外す」工程であってよいといえる。

(ウ) 上記ア(イ)の【0034】、【0035】、【0046】の記載から、上記(ア)の「リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかである」「配線基板」は、「リードフレーム」であってよく、「リードフレームは、・・・銅、42アロイ等の基板を・・・用いて回路を形成して得ることができ」、「その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」ものであるといえる。

(エ) 以上より、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1B発明」という。)が記載されていると認められる。

「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板であって、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成し、
前記トランスファー成型により形成する工程は、前記配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程であり、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであり、
前記配線基板が、リードフレームであり、
前記リードフレームは、銅、42アロイ等の基板を用いて回路を形成して得ることができ、その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい、
光半導体素子搭載用パッケージ基板と、
前記光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に搭載する光半導体素子と、
前記光半導体素子を覆う封止樹脂と、を有し、
前記樹脂封止後、前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する、
光半導体装置。」

エ 甲1C発明
(ア) 上記ア(ア)の請求項1?2、7?10の記載から、引用文献1には、次の技術事項が記載されているといえる。

「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板を製造する工程であって、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成し、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであり、
前記配線基板が、リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかである、
光半導体素子搭載用パッケージ基板を製造する工程と、
前記光半導体素子搭載用パッケージ基板を分割する工程と、を有し、
前記分割する工程が、ダイシングにより行われる、
分割した光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。」

(イ) 上記ア(イ)の【0024】の記載から、上記(ア)の「トランスファー成型により形成」する工程は、「配線基板」を「所定形状の金型・・・内に配置し、金型・・・の樹脂注入口・・・から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入」し、「ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を・・・熱硬化させた後、金型・・・を外す」工程であるといえる。

(ウ) 上記ア(イ)の【0034】、【0035】、【0046】の記載から、上記(ア)の「リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかである」「配線基板」は、「リードフレーム」であり、「リードフレームは、・・・銅、42アロイ等の基板を・・・用いて回路を形成して得ることができ」、「その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」ものであるといえる。

(エ) 以上より、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1C発明」という。)が記載されていると認められる。

「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板を製造する工程であって、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成し、
前記トランスファー成型により形成する工程は、前記配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程であり、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであり、
前記配線基板が、リードフレームであり、
前記リードフレームは、銅、42アロイ等の基板を用いて回路を形成して得ることができ、その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい、
光半導体素子搭載用パッケージ基板を製造する工程と、
前記光半導体素子搭載用パッケージ基板を分割する工程と、を有し、
前記分割する工程が、ダイシングにより行われる、
分割した光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。」

オ 甲1D発明
(ア) 上記ア(ア)の請求項1?2、7?9の記載から、引用文献1には、次の技術事項が記載されているといえる。

「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板であって、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成し、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであり、
前記配線基板が、リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかである、
光半導体素子搭載用パッケージ基板を、光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する、
分割した光半導体素子搭載用パッケージ基板。」

(イ) 上記ア(イ)の【0024】の記載から、上記(ア)の「トランスファー成型により形成」する工程は、「配線基板」を「所定形状の金型・・・内に配置し、金型・・・の樹脂注入口・・・から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入」し、「ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を・・・熱硬化させた後、金型・・・を外す」工程であってよいといえる。

(ウ) 上記ア(イ)の【0034】、【0035】、【0046】の記載から、上記(ア)の「リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかである」「配線基板」は、「リードフレーム」であり、「リードフレームは、・・・銅、42アロイ等の基板を・・・用いて回路を形成して得ることができ」、「その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」ものであるといえる。

(エ) 以上より、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1D発明」という。)が記載されていると認められる。

「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板であって、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成し、
前記トランスファー成型により形成する工程は、前記配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程であり、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであり、
前記配線基板が、リードフレームであり、
前記リードフレームは、銅、42アロイ等の基板を用いて回路を形成して得ることができ、その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい、
光半導体素子搭載用パッケージ基板を、光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する、
分割した光半導体素子搭載用パッケージ基板。」

カ 甲1E発明
(ア) 上記ア(ア)の請求項1?2の記載から、引用文献1には、次の技術事項が記載されているといえる。

「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法であって、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成し、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであり、
前記配線基板が、リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかである、
光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。」

(イ) 上記ア(イ)の【0024】の記載から、上記(ア)の「トランスファー成型により形成」する工程は、「配線基板」を「所定形状の金型・・・内に配置し、金型・・・の樹脂注入口・・・から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入」し、「ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を・・・熱硬化させた後、金型・・・を外す」工程であるといえる。

(ウ) 上記ア(イ)の【0034】、【0035】、【0046】の記載から、上記(ア)の「リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかである」「配線基板」は、「リードフレーム」であり、「リードフレームは、・・・銅、42アロイ等の基板を・・・用いて回路を形成して得ることができ」、「その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」ものであるといえる。

(エ) 以上より、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1E発明」という。)が記載されていると認められる。

「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法であって、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成し、
前記トランスファー成型により形成する工程は、前記配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程であり、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであり、
前記配線基板が、リードフレームであり、
前記リードフレームは、銅、42アロイ等の基板を用いて回路を形成して得ることができ、その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい、
光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。」

キ 甲1F発明
(ア) 上記ア(ア)の請求項1?2の記載から、引用文献1には、次の技術事項が記載されているといえる。

「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板であって、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成し、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであり、
前記配線基板が、リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかである、
光半導体素子搭載用パッケージ基板。」

(イ) 上記ア(イ)の【0024】の記載から、上記(ア)の「トランスファー成型により形成」する工程は、「配線基板」を「所定形状の金型・・・内に配置し、金型・・・の樹脂注入口・・・から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入」し、「ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を・・・熱硬化させた後、金型・・・を外す」工程であってよいといえる。

(ウ) 上記ア(イ)の【0034】、【0035】、【0046】の記載から、上記(ア)の「リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかである」「配線基板」は、「リードフレーム」であり、「リードフレームは、・・・銅、42アロイ等の基板を・・・用いて回路を形成して得ることができ」、「その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」ものであるといえる。

(エ) 以上より、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1F発明」という。)が記載されていると認められる。

「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板であって、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成し、
前記トランスファー成型により形成する工程は、前記配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程であり、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであり、
前記配線基板が、リードフレームであり、
前記リードフレームは、銅、42アロイ等の基板を用いて回路を形成して得ることができ、その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい、
光半導体素子搭載用パッケージ基板。」

(3) 甲第2号証の記載事項
ア 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証には、図とともに、次の記載がある(当審注:下線は、当審が付与した。)。

(ア) 「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の表面実装型LED70においては、LED素子74からの放熱をリードフレーム部でしか、受け取れない為に、放熱性が十分ではない。また、封止樹脂76の影響で屈折率が変化し、LED素子74から出射される光の反射効率がうまく活用されない。パッケージをインサート成形で形成しているため、集合体での多数個同時生産方式が活用できない、金型コストが嵩む等、生産性の点で問題があった。更に、LED素子74にはワイヤボンディング、樹脂封止を採用しているので、車載用などの耐環境性(温度や振動など)の厳しい条件のもとでは、信頼性が不十分であった。
【0006】上記発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、放熱性、信頼性に優れた表面実装型LED及びその製造方法を提供することである。」

(イ) 「【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態である表面実装型LEDの縦断面図、図2はこのLEDのパッケージの斜視図である。図3乃至図9はこの表面実装型LEDの製造方法を示す斜視図である。
【0017】・・・
【0021】次に、このLED10の製造方法について説明する。この方法は表面実装型LED10を多数個同時に加工することができる集合基板を用いた製造方法である。まず、図3に示すように、メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12を用意し、これにレーザー若しくはプレス抜き加工によって、板厚を貫通するスリット12a、12bを、それぞれ所定の間隔で互いに平行に、両端はメタル基板12の外周までには達しないように加工する。
【0022】スリット12aは、完成LED10のスリット2cになる部分であり、スリット12bは、完成LED10の外周にあたる部分である。その後、全面を金メッキ又は銀メッキ処理をする。次に、スリット12a内に絶縁部材3である樹脂接着剤を充填・硬化させる。
【0023】次に、図4に示すように、予備加熱したメタル基板12のスリット12aに沿って所定間隔に、バンプがスリット12aを跨ぐように、金バンプ付きLED素子6を超音波振動を加えながら搭載して半田接合し、更にアンダーフィル樹脂7を供給して加熱硬化させ、フリップチップ実装をする。
【0024】一方、図5に示すように、貫通穴4dが所定の配列になるように、射出成形又はプレス成形などにより形成した集合基板状態の成形樹脂である樹脂基板14を用意する。樹脂基板14の面形状はメタル基板12と同じである。次に、樹脂基板14に、板厚を貫通するスリット14bを、1方向のみのダイシング加工により形成する。スリット14bは完成LED10の外周にあたる部分である。次に、樹脂基板14全体に光沢銀メッキ処理をする。
【0025】次に、図6に示すように、LED素子6を実装済みのメタル基板12上に、集合状態の接着シート15を挟んで樹脂基板14を加圧・加熱して接合し、パッケージ基板11を形成する。接着シート15には、予め所定の配列で、下部開口4bに合致する穴15aが形成されている。
【0026】次に、図7に示すように、パッケージ基板11と同じ面形状を持つ集合状態のカバー板18を用意して、図8に示すように、カバー基板18をパッケージ基板11上に集合状態の接着シート19を介して接合する。接着シート19には、予め所定の配列で、上部開口4aに合致する穴19aが形成されている。
【0027】最後に、図9に示すように、2方向のダイシングラインに沿って、LED10を単個に分離して、図2に示す表面実装型LED10を得る。なお、以上の説明に使用した各図面において、LEDの取り個数を9個としてあるが、取り個数、集合基板の大きさはこれに限定されず、適宜選択できることは勿論である。また。樹脂基板14は、一旦部品として完成させてからメタル基板14上に接合しているが、これをメタル基板上に、直接樹脂モールドすることによって形成してもよい。
【0028】次に、本実施の形態であるLED10の効果について説明する。LED素子3の接合をFC実装によって行ったので、耐衝撃性に優れている。吸湿性があり、熱膨張の大きな封止樹脂を用いないで、線膨張係数がパッケージ材料と近似したカバー板8を用いて封止した場合には、耐湿性、耐熱性に優れている。凹部4d内は空であるから、屈折率の影響を受けず、光の反射効率が向上する。パッケージ1が熱伝導性の高いメタルコア材料で構成されているので、従来のLEDと比べて遙かに放熱性に優れており、大電流が必要で、発熱量の大きいLEDには特に有効な構成である。また、射出成形又はプレス成形といった方法で製造できるので、特殊な技術や設備を必要としない。更に、多数個取りのできる集合基板方式を用いて、集合状態で同時多数個の製造が可能になるので、生産性が高く、高品質な製品とすることができ、製造コストの削減ができる。」

(ウ) 本発明の実施の形態である表面実装型LEDの縦断面図である図1は、次のものである。


(エ) 本発明の実施の形態である表面実装型LEDの斜視図である図2は、次のものである。


(オ) 本発明の実施の形態である表面実装型LEDの製造方法を示す斜視図である図3は、次のものである。


(カ) 本発明の実施の形態である表面実装型LEDの製造方法を示す斜視図である図4は、次のものである。


(キ) 本発明の実施の形態である表面実装型LEDの製造方法を示す斜視図である図5は、次のものである。


(ク) 本発明の実施の形態である表面実装型LEDの製造方法を示す斜視図である図6は、次のものである。


(ケ) 本発明の実施の形態である表面実装型LEDの製造方法を示す斜視図である図7は、次のものである。


(コ) 本発明の実施の形態である表面実装型LEDの製造方法を示す斜視図である図8は、次のものである。


(サ) 本発明の実施の形態である表面実装型LEDの製造方法を示す斜視図である図9は、次のものである。


イ 甲第2号証に記載された技術事項
上記アによれば、甲第2号証には、次の技術事項が記載されているといえる。

「従来の表面実装型LED70においては、LED素子74からの放熱をリードフレーム部でしか、受け取れない為に、放熱性が十分ではなく、
パッケージをインサート成形で形成しているため、集合体での多数個同時生産方式が活用できない、金型コストが嵩む等、生産性の問題があったところ、このような問題を解決するためになされたものであり、
メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12を用意し、これに板厚を貫通するスリット12a、12bを、加工し、
前記スリット12bは、完成LED10の外周にあたる部分であり、
その後、全面を金メッキ又は銀メッキ処理をし、
次に、スリット12a内に絶縁部材3である樹脂接着剤を充填・硬化させ、
バンプがスリット12aを跨ぐように、金バンプ付きLED素子6をフリップチップ実装し、
射出成形又はプレス成形などにより形成した集合基板状態の成形樹脂である樹脂基板14を用意し、
樹脂基板14に、板厚を貫通するスリット14bを、形成し、
前記スリット14bは、完成LED10の外周にあたる部分であり、
LED素子6を実装済みのメタル基板12上に、樹脂基板14を接合し、パッケージ基板11を形成し、
カバー板18を用意して、カバー基板18をパッケージ基板11上に接合し、
最後に、2方向のダイシングラインに沿って、LED10を単個に分離した、
表面実装型LED10であって、
パッケージ1が熱伝導性の高いメタルコア材料で構成されているので、従来のLEDと比べて遙かに放熱性に優れており、
射出成形又はプレス成形といった方法で製造できるので、特殊な技術や設備を必要としなく、
多数個取りのできる集合基板方式を用いて、集合状態で同時多数個の製造が可能になるので、生産性が高く、高品質な製品とすることができ、製造コストの削減ができる、
表面実装型LED10。」

(4) 甲第3号証の記載事項
ア 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第3号証には、図とともに、次の記載がある(当審注:下線は、当審が付与した。)。

(ア) 「【請求項1】
アンテナを有する半導体装置用として用いられるリードフレームであって、
所定方向に複数列の半導体装置となるパターンが形成され、
半導体素子を搭載する搭載部と、
開口窓部を介して搭載部を囲むように設けられ、半導体装置が形成される領域を区分する枠とを有し、
前記枠の少なくとも一部がアンテナとして用いられるように構成されているリードフレーム。
【請求項2】
枠に切断経路となる部分が設けられ、枠における開口窓部と切断経路との間の部分がアンテナとして用いられる請求項1記載のリードフレーム。
【請求項3】
・・・
【請求項4】
枠における切断経路となる部分に切欠部が設けられている請求項2または3に記載のリードフレーム。
【請求項5】
・・・
【請求項6】
請求項1?5の何れか1項に記載のリードフレームを用いて搭載部に半導体素子が搭載された半導体チップが封止樹脂で封止され、半導体装置の側面にアンテナの切断面が露出した半導体装置。」

(イ) 「【0015】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態を、図1?図7を用いて説明する。
【0016】
図1(a)および(b)は第1の実施の形態に係るリードフレームの平面図および正面図、図2(a)?(c)は同リードフレームを用いて製造した半導体装置の平面図、正面図および下面図である。なお、図面において見分けやすくするために、封止樹脂によるモールド箇所を灰色のハッチング部で示している。
【0017】
・・・
【0029】
また、樹脂でリードフレーム1の片面のみを封止した場合には半導体装置を切断して各半導体装置に分割すると、枠3(アンテナ12)の切断面が必ず露出するので、アンテナが封止樹脂などで覆われたものと比較して、性能が向上する利点もある。」

(ウ) 「【0030】
・・・
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態を、図8を用いて説明する。
【0031】
図8(a)および(b)は第2の実施の形態に係るリードフレームの平面図および正面図である。この実施の形態では、リードフレーム1の枠3における切断経路10の一部に切欠孔または薄肉部からなる切欠部15が設けられている。この切欠部15は、薄肉部からなる溝で構成してもよいし、完全に打ち抜いたり、エッチングしたりして形成したスリットで構成してもよく、その形状も長方形状に限るものではない。
【0032】
この構成によれば、ダイシングし難い金属部分が少なくなり、ダイシングによる切断作業を容易にすることができる。つまり、リードフレーム1は金属としては柔らかく塑性がある銅素材が用いられるため、ダイシングソー9の刃に銅素材がへばり付いて切れ味を悪くする。したがって、切断する金属は少ない方が望ましい。上記構成によれば、枠3における切断経路10に溝やスリットなどの切欠部15が設けられていないものと比較して、枠3の切断体積を減少させることができるので、切断作業の容易化を図ることができるとともにダイシングソー9の刃への銅素材のへばりつきや刃の磨耗などを低減できる。
・・・」

(エ) 本発明の第1の実施の形態に係るリードフレームを用いて製造した半導体装置の平面図、正面図および下面図を示す図2は、次のものである。


(オ) 本発明の第2の実施の形態に係るリードフレームの平面図および正面図を示す図8は、次のものである。


イ 甲第3号証に記載された技術事項
上記アによれば、甲第3号証には、次の技術事項が記載されているといえる。

「アンテナを有する半導体装置用として用いられるリードフレームであって、
所定方向に複数列の半導体装置となるパターンが形成され、
半導体素子を搭載する搭載部と、
開口窓部を介して搭載部を囲むように設けられ、半導体装置が形成される領域を区分する枠とを有し、
前記枠の少なくとも一部がアンテナとして用いられるように構成され、
前記枠に切断経路となる部分が設けられ、枠における開口窓部と切断経路との間の部分がアンテナとして用いられ、
前記枠における切断経路となる部分に切欠部が設けられている、
リードフレームを用いて、
搭載部に半導体素子が搭載された半導体チップが封止樹脂で封止され、
半導体装置の側面にアンテナの切断面が露出した半導体装置であって、
樹脂でリードフレームの片面のみを封止した場合には半導体装置を切断して各半導体装置に分割すると、枠(アンテナ)の切断面が必ず露出するので、アンテナが封止樹脂などで覆われたものと比較して、性能が向上する利点もあり、
リードフレームの枠における切断経路の一部に切欠孔または薄肉部からなる切欠部が設けられている構成によれば、ダイシングし難い金属部分が少なくなり、ダイシングによる切断作業を容易にすることができ、枠における切断経路に溝やスリットなどの切欠部が設けられていないものと比較して、枠の切断体積を減少させることができるので、切断作業の容易化を図ることができるとともにダイシングソーの刃への銅素材のへばりつきや刃の磨耗などを低減できる、
半導体装置。」

(5) 甲第4号証の記載事項
ア 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第4号証には、図とともに、次の記載がある(当審注:下線は、当審が付与した。)。

(ア) 「DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The preferred embodiment of the present invention is to provide a process for fabricating white LED packages. However, it is to be understood that this process can be applied to make any kind of the LED lamp packages. Referring to FIG. 1 , a flow chart of a fabricative process of the present invention includes six steps of plate-like frame providing, die bonding, reflecting ring molding, wire bonding, encapsulant molding, and cutting. The details of the steps will be illustrated hereunder with the accompanying drawings.
Step 1: Referring to FIGS. 2-3 , firstly, provide a plate-like frame 10 , which is substantially rectangle and has a plurality of cells 11 . The cells 11 , each of which has a plurality of openings, are well positioned in an arrangement of matrix. Namely, the cells 11 are surrounded by left and right lateral sides, which are defined as two longitudinal lateral bars 12 , and upper and lower sides, which are defined as two transversal lateral bars 13 , wherein each of the cells 11 is comparted by a plurality of longitudinal dividing bars 14 and transversal dividing bars 15 . The openings of the cell 11 are alike in shape, that is, the cell 11 has a rectangle main plate 16 at a center thereof, and two bridges 17 respectively at two centers of the upper and the lower lateral sides to connect the main plate 16 and the transversal dividing bar 15 or the transversal lateral bars 13 , and an extending arm 18 at the middle of right lateral side of the cell 11 to connect the main plate 16 and the longitudinal dividing bars 14 or the longitudinal lateral bars 12 , and an separate arm 19 at the middle of left lateral side of the cell 11 to connect only the longitudinal dividing bar 14 or the longitudinal lateral bar 12 but to be spaced apart from the main plate 16 .
Step 2: Referring to FIGS. 4-5 , a white LED die 20 is bonded on a top surface of each of the main plates 16 of the frame 10 by means of silver adhesives (not shown). ・・・
Step 3: Referring to FIGS. 6-7 , form a reflecting ring 30 , which is bonded on each of the main plates 16 of the frame 10 , with plastic materials by means of injection molding technique. ・・・
Step 4: Referring to FIGS. 8-9 , connect a top surface of the die 20 to a top surface of the separate arm 19 of the cell 11 with a gold conductive wire 40 of 99% Au by wire bonding technique such that the other electrode positioned on the top surface of the die 20 can be electrically connected with the separate arm 19 .
Step 5: Referring to FIGS. 10-11 , form an encapsulant 50 on each of the cells 11 of the frame 10 with epoxy resin by means of the injection molding technique. The encapsulant 50 has a rectangle base 51 , which corresponds to the cell 11 in size and fills the openings of the cell 11 and covers the surface of the frame 10 with a predetermined thickness. All the bases 51 of the encapsulants 50 are integrated together initially, so that the encapsulants 50 not only cover the main plates 16 , the bridges 17 , the extending arms 18 and the separate arms 19 of the cells 11 but also the dividing bars 14 and 15 of the frame 10 . In this embodiment of the present invention, the base 51 is higher than the frame 10 and substantially as high as the reflecting ring 30 . The encapsulant 50 has a top domelike protrusion 52 , which is located on the top of the base 51 and integrated with the base 51 , and not only encapsulates the die 20 , the reflecting ring 30 , and the conductive wire 40 on the cell 11 to maintain the mechanism of the die 20 and to prevent water from infiltration, but also reflects the light emitted by the die 20 through the inner surface 31 of the reflecting ring 30 . In addition, the encapsulant 50 is an insulator.
Step 6: Cut the frame 10 according to the size of each of the cell 11 , or smaller, by cutting out the lateral bars 12 and 13 and the dividing bars 14 and 15 of the frame 10 such that LED packages 60 are made.
Referring to FIGS. 11-12 , the LED 60 package made by the foregoing fabricative process structurally includes a first terminal 70 , a second terminal 80 , the LED die 20 , the reflecting ring 30 , the conductive wire 40 , and the encapsulant 50 . ・・・」(明細書第2欄第45行?第4欄第5行)

(日本語訳:
発明の詳細な説明
本発明の好ましい実施形態は、白色LEDパッケージを製造するための方法を提供することです。しかし、このプロセスは、どのような種類のLEDランプのパッケージを作るためにも適用され得ることを理解されたいです。図1を参照します。本発明の製造処理のフローチャートは、板状のフレームの提供、ダイボンディング、反射リングの成形、ワイヤーボンディング、封止材の成形及び切断の6つの工程を含みます。工程の詳細は、添付の図面を用いて以下で説明します。
工程1:図2-3を参照します。まず、実質的に矩形であり、複数のセル11を有する板状のフレーム10を提供します。セル11は、それぞれ複数の開口部を有し、マトリクス状によく配置されています。すなわち、セル11は、2つの縦方向の側部バー12で定義される左右の側部と、2つの横方向の側部バー13で定義される上下の側部とに囲まれ、それぞれのセル11は、複数の縦方向の分割バー14と横方向の分割バー15によって区画される。セル11の開口部は、形状が似ている、つまり、セル11は、その中央部に配置された矩形のメインプレート16と、それぞれ上下側部の中央に配置され、メインプレート16と横方向の分割バー15又は横方向の側部バー13とを接続する2つのブリッジ17と、セル11の右側部の中央に配置され、メインプレート16と縦方向の分割バー14又は縦方向の側部バー12とを接続する拡張アーム18と、セル11の左側部の中央に配置され、縦方向の分割バー14又は縦方向の側部バー12にだけ接続され、メインプレート16と分離している分離アーム19とを有する。
工程2:図4-5を参照します。白色LEDダイ20は、フレーム10のそれぞれのメインプレート16の上面に、銀接着剤(図示せず)を用いて接着されている。・・・
工程3:図6-7を参照します。フレーム10のそれぞれのメインプレート16の上に結合された反射リング30を、射出成形技術によってプラスチック材料を用いて形成します。・・・
工程4:図8-9を参照します。ダイ20の上面とセル11の分離アーム19の上面とを99%のAuの金導線40でワイヤボンディング技術によって接続して、ダイ20の上面に位置する他方の電極は、分離アーム19と電気的に接続されることができます。
工程5:図10-11を参照します。フレーム10のそれぞれのメインプレート16の上の封止材50を、射出成形技術によってエポキシ樹脂を用いて形成します。封止材50は矩形のベース51を有し、矩形のベース51は、セル11の大きさに対応し、セル11の開口部を充填し、所定の厚さでフレーム10の表面を覆います。封止材50のすべてのベース51は最初に一緒に統合され、封止材50は、メインプレート16、ブリッジ17、拡張アーム18、分離アーム19だけではなく、フレーム10の分割バー14、15も覆います。本発明のこの実施形態において、ベース51は、フレーム10より高く、反射リング30と実質的に同じ高さです。封止材50は、ベース51の上部に位置し、ベース51と一体化された上側ドーム状の突起52を有しており、ダイ20、反射リング30、セル11上の導線40を封止し、ダイ20のメカニズムを維持して、水の浸透を防止するだけではなく、反射リング30の内面31を介してダイ20から放出された光を反射します。また、封止材50は、絶縁体です。
工程6:フレーム10の側部バー12、13と分割バー14、15を切り出すことによって、それぞれのセル11のサイズ又はそれ以下のサイズにフレーム10を切断し、LEDパッケージ60が作られます。
図11-12を参照します。LED 60パッケージは、上記製造方法によって製造され、構造的には、第一の端子70、第二の端子80、LEDダイ20、反射リング30、導線40及び封止材50を備えます。・・・)

(イ) 工程1の半完成LEDパッケージを示す図2は、次のものである。


(ウ) 図2のライン3-3によって示される方向に沿った断面図を示す図3は、次のものである。


(エ) 工程2の半完成LEDパッケージを示す図4は、次のものである。


(オ) 図4のライン5-5によって示される方向に沿った断面図を示す図5は、次のものである。


(カ) 工程3の半完成LEDパッケージを示す図6は、次のものである。


(キ) 図6のライン7-7によって示される方向に沿った断面図を示す図7は、次のものである。


(ク) 工程4の半完成LEDパッケージを示す図8は、次のものである。


(ケ) 図8のライン9-9によって示される方向に沿った断面図を示す図9は、次のものである。


(コ) 工程5の半完成LEDパッケージを示す図10は、次のものである。


(サ) 図10のライン11-11によって示される方向に沿った断面図を示す図11は、次のものである。


(シ) 本発明の好ましい実施形態の完成したLEDパッケージを示す図12は、次のものである。


イ 甲第4号証に記載された技術事項
上記アによれば、甲第4号証には、次の技術事項が記載されているといえる。

「白色LEDパッケージ60を製造するための方法であって、
板状のフレーム10の提供、ダイボンディング、反射リング30の成形、ワイヤーボンディング、封止材50の成形及び切断の6つの工程を含み、
前記板状のフレーム10は、複数のセル11を有する板状のフレーム10であって、セル11は、それぞれ複数の開口部を有し、複数の縦方向の分割バー14と横方向の分割バー15によって区画され、
前記反射リング30の成形工程は、フレーム10のそれぞれのメインプレート16の上に結合された反射リング30を、射出成形技術によってプラスチック材料を用いて形成する工程であり、
前記封止材50の成形工程は、封止材50を、射出成形技術によってエポキシ樹脂を用いて形成する工程であり、
前記封止材50は矩形のベース51を有し、矩形のベース51は、セル11の開口部を充填し、封止材50のすべてのベース51は最初に一緒に統合され、
前記封止材50は、ダイ20、反射リング30、セル11上の導線40を封止し、
前記切断工程は、分割バー14、15を切り出すことによって、LEDパッケージ60が作られる工程である、
白色LEDパッケージ60を製造するための方法。」

(6) 甲第5号証の記載事項
ア 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第5号証には、図とともに、次の記載がある(当審注:下線は、当審が付与した。)。

(ア) 「【0030】
実施の形態1
・・・
【0045】
次に、図5(d)に示すように、リードフレーム20全体を一括して片面を樹脂9で封止してパッケージ5を形成し、リードフレームテープ25を剥離する。次に図5(e)に示すように、パッケージ5の底面側に露出したリードフレーム20に金属めっき(例えばSn-Ag-Cuはんだめっき)14を施す。これにより実装補強部10の凹部の表面にもめっき膜が形成される。」

(イ) 「【0052】
実施の形態2
・・・
【0057】
図8及び図9により本実施の形態の半導体装置19Bの製造プロセスを説明する。
【0058】
図8(a)は、本実施の形態によるリードフレーム20の一部分の底面図、図8(b)は、樹脂封止後にコーナー部22に貫通孔12を設けた状態の図8(a)と同じ部分の底面図を示す。図示の如く、上記した実施の形態1の場合は、本実施の形態と同じ段階のリードフレーム20において、既にコーナー部22に凹部11aが形成されていたが、本実施の形態のリードフレーム20は凹部は設けられてはおらず、樹脂封止後に凹部を形成するための貫通孔12が設けられる。
【0059】
従って、図9(図8におけるD-D線断面図)に示す製造プロセスにおいて、図9(a)?図9(d)は、図5(a)?図5(d)における凹部11aがない点が異なるのみで、他は図5と同様な方法で作製される。
【0060】
次に、図9(e)に示すように、リードフレーム20のコーナー部22に貫通孔12を設ける。貫通孔12は金型パンチ26又はドリル等により形成し、実装補強部10となるコーナー部22の中央に設ける。孔径は、例えばφ0.4?0.6mmであればよいが、これは実装補強部10のサイズを考慮し、端子が変形しないサイズとするのが望ましい。
【0061】
次に、図9(f)に示すように、パッケージ5の底面に露出したリードフレーム20の部分に金属めっき14を施す。このめっきにより、貫通孔12内のリードフレーム20の側面にもめっき膜14が形成され、このめっきによってリードフレーム20の側面が保護されると共にはんだの付着性が高められる。
【0062】
最後は図9(g)に示すように、連結バー23の部分を完全に除去するようにダイシングカット18を行い、パッケージ5を個片化する。これにより、個片化された半導体装置19Bを得て、これを図9(h)に示すように、実装基板15にペーストを印刷したはんだ13を用いてリフロー接合することにより、実装補強部10のはんだ13が図7(b)と同様に良好なフィレットを形成し、実装補強部10の接合強度を高めると共に、外部接続端子7の接続の強度を補強する。更に、実装補強部10がパッケージ5のコーナー部22に設けられているので、リフローの際の溶融はんだ13の表面張力によるセルフアライメントの作用によって、位置精度の高い実装を行うことができる。
【0063】
本実施の形態によれば、通常は金属めっき14が形成できないパッケージ側面(貫通孔の表面)にも金属めっき14を付着させることができるので、はんだフィレットを高く形成できる。このように、実装補強部10の形成方法が異なるのみで、この実装補強部10が上記した実施の形態と同様に機能するため、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。」

(ウ) 実施の形態2のリードフレームの一部分を示す図8は、次のものである。


(エ) 実施の形態2の製造プロセスを示す図9は、次のものである。


イ 甲第5号証に記載された技術事項
上記アによれば、甲第5号証には、次の技術事項が記載されているといえる。

「リードフレーム20全体を一括して片面を樹脂9で封止してパッケージ5を形成し、
リードフレーム20のコーナー部22に貫通孔12を設け、
パッケージ5の底面に露出したリードフレーム20の部分に金属めっき14を施し、このめっきにより、貫通孔12内のリードフレーム20の側面にもめっき膜14が形成され、このめっきによってリードフレーム20の側面が保護されると共にはんだの付着性が高められ、
連結バー23の部分を完全に除去するようにダイシングカット18を行い、個片化した、
パッケージ5。」

(7) 甲第6号証の記載事項
ア 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第6号証には、図とともに、次の記載がある(当審注:下線は、当審が付与した。)。

(ア) 「【0025】
(第1実施形態)
・・・
【0044】
ところで、本実施形態のリードレスタイプのモールドパッケージ100においては、リード部12において、モールド樹脂30の端面33から露出する端面12cとモールド樹脂30の下面32から露出する下面12bとにより構成されるコーナー部12dを、窪んだ窪み形状としている。
【0045】
これは、本発明者が行った検討の結果に基づいて実現された構成である。図3は、上記の従来技術に基づいて本発明者が試作した試作品としてのモールドパッケージにおけるリード部12の近傍の断面図である。本発明者が、この試作品を基にFEM解析を行ったところ、凸状の角部であるコーナー部12dにおいて、はんだ300に加わる応力が最大となることがわかった。
【0046】
これに対して、本モールドパッケージ100では、凸状の角部であった従来のリード部12のコーナー部12dに比べて、リード部12のコーナー部12dを窪み形状としているため、このコーナー部12dにおいて、はんだ300に加わる応力の集中を低減することが可能となる。
【0047】
はんだ接続部に熱的・機械的な応力が加わると、はんだ300内にクラックが発生して、ついには、はんだ接続部が破断に至り電気的な断線となるが、本実施形態のようにコーナー部12dを窪み形状とすることにより、はんだ300に加わる応力が低減され、はんだ接続部のクラックの発生を抑えることができる。その結果、はんだ接続部の信頼性を向上させることが可能となる。
【0048】
次に、本実施形態のモールドパッケージ100の製造方法について、図4?図6を参照して述べる。図4において、(a)はモールド樹脂30で封止されたリードフレーム素材400の概略平面図、(b)は(a)に示されるリードフレーム素材400における1個のリードフレーム10についてのモールド樹脂30の下面32側からの平面図、(c)はダイシング工程の様子を示す概略平面図である。
【0049】
また、図5(a)、(b)、図6(a)、(b)は、図4(a)中のA-A断面に対応した断面にて、ダイシング工程を工程順に示す工程図である。なお、図4および図5中には、ダイシングラインDLを破線にて示すが、このダイシングラインDLは、ダイシング工程における切断予定位置の中心部を通る仮想線である。
【0050】
まず、1つのモールドパッケージ100を構成するリードフレーム10が複数個連結されたリードフレーム素材400を用意する。ここでは、図4(a)に示されるように、マトリクス状のダイシングラインDLによって区画された1つ1つの矩形領域が1個のリードフレーム10の単位である。
【0051】
つまり、リードフレーム素材400は、いわゆる多連のリードフレームであり、図5(a)に示されるように、アイランド部11およびリード部12を備えるリードフレーム10の複数個同士がリード部12にて連結されてなるものである。
【0052】
そして、リードフレーム素材400における各リードフレーム10のアイランド部11の上面11aに、半導体素子20を搭載する。その後、ワイヤボンディングを行い、半導体素子20とリード部12とをボンディングワイヤ40により結線する。ここまでが素子搭載工程である。
【0053】
次に、半導体素子20が実装されたリードフレーム素材400を、図示しない金型に設置し、モールド樹脂30の下面32からリード部12の下面12bおよびアイランド部11の下面11bが露出するように、モールド樹脂30により封止する(図4(b)参照)。ここまでが、樹脂封止工程である。
【0054】
この後、図4(c)に示されるように、リードフレーム素材400のダイシングラインDLにおいて、モールド樹脂30およびリードフレーム素材400におけるリード部12の連結部をダイシングカットする。
【0055】
このダイシングカット工程では、図5に示される第1のブレード410を用いた第1の工程を行い、次に、図6に示される第2のブレード420を用いた第2の工程を行うというように、刃幅の異なるブレード410、420による2段階の切断を行う。
【0056】
まず、第1の工程では、図5(a)、(b)に示されるように、第2のブレード420に比べて刃幅の広い第1のブレード410を用いて、モールド樹脂30の下面32から露出するリード部12の連結部分を、ダイシングラインDLにおいて切断する。
【0057】
このとき、第1のブレード410の幅方向の中心をダイシングラインDLに合わせた状態とし、リード部12の連結部分を、モールド樹脂30の下面32側から厚さ方向の途中まで切断する。それによって、当該連結部分には、第1のブレード410の刃幅に相当する幅の窪み411が形成される。
【0058】
次に、第2の工程では、図6(a)に示されるように、第1のブレード410よりも刃幅の小さな第2のブレード420を用いて、第1の工程では切断されずに残ったリード部12の連結部分およびモールド樹脂30を、ダイシングラインDLにおいて最後まで切断する。ここでも、第2のブレード420の幅方向の中心をダイシングラインDLに合わせた状態として切断を行う。
【0059】
こうして、第2の工程を行っていき、リードフレーム素材400を個々のリードフレーム10の単位に個片化することにより、図6(b)に示されるように、本実施形態のモールドパッケージ100ができあがる。以上がダイシング工程である。
【0060】
このように、第1および第2の工程では両ブレード410、420の位置を、同じ共通のダイシングラインDLに合わせダイシングラインDLにおいて切断を行うが、第2の工程では、第1のブレード410による切断幅よりも小さな切断幅で切断を行う。それにより、図6に示されるように、第1のブレード410による切断部分がコーナー部12dの窪みとして残り、窪み形状のコーナー部12dが形成される。
【0061】
なお、図6(a)に示される例では、この第2の工程においても、第1の工程と同じくモールド樹脂30の下面32側からリード部12の連結部分を切断しているが、この第2の工程は、可能ならばモールド樹脂30の上面31側から行ってもよい。この場合も、最終的に図6(b)に示されるものと同様のコーナー部12dが形成される。」

(イ) (a)はモールド樹脂で封止されたリードフレーム素材の概略平面図、(b)は(a)中のリードフレーム素材における1個のリードフレームの平面図、(c)はダイシング工程を示す概略平面図を示す図4は、次のものである。


(ウ) 第1実施形態におけるダイシング工程を示す図5は、次のものである。


(エ) 図5に続くダイシング工程を示す図6は、次のものである。


イ 甲第6号証に記載された技術事項
上記アによれば、甲第6号証には、次の技術事項が記載されているといえる。

「リードフレーム素材400を、金型に設置し、モールド樹脂30の下面32からリード部12の下面12bおよびアイランド部11の下面11bが露出するように、モールド樹脂30により封止し、
第2のブレード420に比べて刃幅の広い第1のブレード410を用いて、モールド樹脂30の下面32から露出するリード部12の連結部分を、ダイシングラインDLにおいて切断して、第1のブレード410の刃幅に相当する幅の窪み411が形成され、
第1のブレード410よりも刃幅の小さな第2のブレード420を用いて、第1の工程では切断されずに残ったリード部12の連結部分およびモールド樹脂30を、ダイシングラインDLにおいて最後まで切断し、
第1のブレード410による切断部分がコーナー部12dの窪みとして残り、窪み形状のコーナー部12dが形成され、
コーナー部12dを窪み形状とすることにより、はんだ300に加わる応力が低減され、はんだ接続部のクラックの発生を抑えることができる、
モールドパッケージ100。」

(8) 本件訂正発明1について
ア 対比
本件訂正発明1と甲1A発明を対比する。

(ア) 甲1A発明の
「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板を製造する工程」と、「光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する工程」とを有する「光半導体装置の製造方法」と、
本件訂正発明1の
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法」とを対比する。

a 甲1A発明の「配線基板」は、「リードフレーム」であるから、甲1A発明の「『光半導体装置単体に分割』した後の『配線基板』」は、本件訂正発明1の「リード」に相当する。
b 甲1A発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上」であり、「配線基板」上に「トランスファー成型により形成」するものであるから、甲1A発明の「『光半導体装置単体に分割』した後の『光反射用熱硬化性樹脂組成物層』」は、本件訂正発明1の「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、・・・前記リードと一体に形成された樹脂部」に相当する。
c 甲1A発明の「『光半導体装置単体に分割』した後の『光半導体素子搭載用パッケージ基板』」は、本件訂正発明1の「樹脂パッケージ」に相当する。
d 甲1A発明の「光半導体装置」は、本件訂正発明1の「発光装置」に相当する。
e してみれば、両者は、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有している、樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法」である点で一致する。

(イ) 甲1A発明の
「配線基板上に有する」「前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成」する工程であって、「前記配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程」と、
本件訂正発明1の
「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程」とを対比する。

a 甲1A発明の「配線基板」は、「リードフレーム」であるから、本件訂正発明1の「リードフレーム」に相当する。
b 甲1A発明の「所定形状の金型」は、上金型と下金型からなるといえる。
また、甲1A発明は、「配線基板上に有する」「光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成」するから、「配線基板」を、上金型と下金型からなる「所定形状の金型」に挟み込む工程を有しているといえる。
c 甲1A発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「(A)エポキシ樹脂・・・(E)白色顔料・・・を必須成分として含」むから、本件訂正発明1の「光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂」に相当する。
d 甲1A発明の「金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入」することは、本件訂正発明1の「前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして・・・前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された・・・空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ」ることに相当する。
e 甲1A発明の「注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させ」ることは、本件訂正発明1の「前記熱硬化性樹脂を硬化させ」ることに相当する。
f 甲1A発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層」であるところ、「光半導体素子搭載領域」に「配線基板」の上面の一部が露出していることは明らかであるから、本件訂正発明1の「前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成されるように、前記リードフレームと一体に・・・形成」された「樹脂成形体」に相当する。
g してみれば、両者は、
「リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成されるように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程」である点で一致する。

(ウ) 甲1A発明の「前記光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に、光半導体素子を搭載する工程」と、
本件訂正発明1の「前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子を載置する工程」とを対比する。

a 甲1A発明の「光半導体素子」と、本件訂正発明1の「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」とを対比すると、両者は「半導体発光素子」である点で一致する。
b してみれば、両者は、「前記凹部の前記内底面に、半導体発光素子を載置する工程」である点で一致する。

(エ) 甲1A発明の「前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する工程」と、
本件訂正発明1の
「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の発光装置に分離する工程」とを対比する。

a 甲1A発明の「光半導体素子」は、「光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に・・・搭載する」ものであるから、「前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体」は、隣り合う「凹部」の間で「分割」したものであるといえる。
また、「光半導体素子搭載用パッケージ基板」は、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する」ものであるから、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」及び「配線基板」は分割され、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「『光半導体装置単体に分割』した後の『光半導体素子搭載用パッケージ基板』」の外側面に露出するといえる。
b 甲1A発明の「分割する工程」は、「ダイシングにより行われる」工程であるから、切断によって「分離する工程」であるといえる。
c してみれば、両者は、
「隣り合う前記凹部の間で、前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、複数の発光装置に分離する工程」である点で一致する。

イ 一致点及び相違点
本件訂正発明1と甲1A発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

一致点:
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有している、樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、
リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成されるように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
前記凹部の前記内底面に、半導体発光素子を載置する工程と、
隣り合う前記凹部の間で、前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、複数の発光装置に分離する工程と、
を有する発光装置の製造方法。」

相違点1-1:
「樹脂パッケージ」は、
本件訂正発明1では、「外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージ」であって、「リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成」し、「前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の発光装置に分離する」ものであるのに対し、
甲1A発明では、そのようなものであるのか否か明らかでない点。

相違点1-2:
「リードフレーム」は、
本件訂正発明1では、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」であり、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む」のに対し、
甲1A発明では、「表面に・・・銀めっきを施し」たものである点。

相違点1-3:
「リードフレーム」は、
本件訂正発明1では、「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ・・・たリードフレーム」であって、「前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ」、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断する」のに対し、
甲1A発明では、「切り欠き部」が設けられていない点。

相違点1-4:
「半導体発光素子」は、
本件訂正発明1では、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」であるのに対し、
甲1A発明では、そのようなものであるのか否か明らかでない点。

ウ 判断
以下、上記相違点1-1?1-4について検討する。

(ア) 相違点1-1について検討する。
a 甲1A発明は、「光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する」ものであるところ、甲第1号証の【0034】、【0037】?【0038】の記載及び図1から、「配線基板が、リードフレーム」である場合にも、甲1A発明の「光半導体装置単体に分割」した後の「光半導体素子搭載用パッケージ基板」は、外側面において「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」と「配線基板」とが略同一面に形成されているものであって、「光半導体素子搭載用パッケージ基板」の外側面において、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」と「配線基板」とが略同一面に形成されている複数の「光半導体装置」に分離するものであることは明らかである。

b 「リードフレームの底面が外底面に露出するように、リードフレームと一体に樹脂成形体を形成」した「樹脂パッケージ」は、本件特許の出願時点で周知の技術(必要ならば、甲第4号証(特に「frame 10」(フレーム10)、「reflecting ring 30」(反射リング30)、図6?7)、甲第8号証(特に、「第1のリード」20、「第2のリード」30、「第1の樹脂成形体」40、図10)、甲第12号証(特に「リードフレーム」7、「モールド樹脂」8、図2)参照。)である。
してみれば、甲第1号証には、「配線基板が、リードフレーム」である場合に、「リードフレーム」の形状が、どのようなものであるかについての記載はないものの、上記周知の技術を考慮して、甲1A発明の「リードフレーム」を、「リードフレーム」の底面が外底面に露出しているものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

c してみれば、甲1A発明において、上記相違点1-1に係る本件訂正発明1の構成となすことに、格別の困難性はない。

(イ) 相違点1-2について検討する。
a 甲1A発明について
(a) 甲1A発明において、「リードフレーム」は、「銅、42アロイ等の基板を用いて回路を形成して得る・・・際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」ものである。

(b) しかしながら、甲1A発明において、「リードフレーム」は、「基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておく」ものであるから、「LED素子」が配置されない基板「裏面」には「銀めっきを施しておく」必要はないものである。
したがって、甲1A発明において、「リードフレーム」を、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」とすることは、甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

b 甲第2号証について
(a) 上記(3)イの甲第2号証に記載された技術事項は、「従来の表面実装型LED70においては、LED素子74からの放熱をリードフレーム部でしか、受け取れない為に、放熱性が十分ではなく」、「パッケージをインサート成形で形成しているため、・・・金型コストが嵩む等、生産性の問題があったところ、このような問題を解決するためになされたものであり」、「メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理をし」、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合し、パッケージ基板11を形成し」た、「表面実装型LED10」である。

(b) 上記(a)によれば、甲第2号証に記載された技術事項は、「放熱性が十分ではな」い「問題を解決するため」、「リードフレーム」にかえて、「メタル基板12」を用いるものであり、「金型コストが嵩む等、生産性の問題・・・を解決するため」、「パッケージをインサート成形で形成」することにかえて、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合」するものであるといえる。
してみれば、甲第2号証に記載された技術事項において、LED素子を搭載する部材として「リードフレーム」を用いることは避けるべきこととされていると解されるのであって、当該技術事項において「メタル基板12」に「スリット12a、12bを、加工し」た後、「全面を金メッキ又は銀メッキ処理を」することが記載されているからといって、甲第2号証に、「リードフレーム」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理」することが記載されているとはいえない。そして、上記(3)ア及びイで摘示又は認定した点に加え、甲第2号証のその他の記載によっても、甲第2号証に、「リードフレーム」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理」することについて、記載又は示唆があるとは認められない。

(c) したがって、甲1A発明において、「リードフレーム」を「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」とし、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む」よう構成することが、甲2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

c さらに、甲第3号証及び甲第4号証並びにその他の証拠によっても、甲1A発明において、「リードフレーム」を「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」とし、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む」よう構成することについて、記載又は示唆されているとは認められない。

d 以上より、甲1A発明において、上記相違点1-2に係る本件訂正発明1の構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

(ウ) 相違点1-3について検討する。
a 甲第2号証について
(a) 上記(3)イの甲第2号証に記載された技術事項の「スリット12b」は、「完成LED10の外周にあたる部分」であるから、「スリット12b」は、「LED10を単個に分離」する「ダイシングラインに沿って」いるといえる。

(b) しかるに、甲第2号証に記載された技術事項は、「従来の表面実装型LED70においては、・・・パッケージをインサート成形で形成しているため、・・・金型コストが嵩む等、生産性の問題があったところ、このような問題を解決するためになされたものであり」、「メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12」に、「完成LED10の外周にあたる部分であ」る「スリット・・・12bを、加工し」、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合し、パッケージ基板11を形成し」、「2方向のダイシングラインに沿って、LED10を単個に分離した」、「表面実装型LED10」である。

(c) してみれば、甲第2号証に記載された技術事項は、「金型コストが嵩む等、生産性の問題・・・を解決するため」、「パッケージをインサート成形で形成」することにかえて、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合」するものであるから、甲第2号証に記載された技術事項は、「インサート成形」によって「樹脂」を充填させるものではない。

(d) また、甲第2号証には、「スリット12b」内に充填された「樹脂」が、切断によって互いに分離されて、分離後の各「表面実装型LED」の外側面に露出するように切断することは、記載されていない。
そもそも、甲第2号証に記載された技術事項において、樹脂基板14には、板厚を貫通するスリット14bが形成され、このスリット14bは、スリット12bと同じく、完成LED10の外周にあたる部分であるから、メタル基板12上に、樹脂基板14を接合しても、「スリット12b」内に「樹脂」が充填されることにはならない。

(e) 一方、甲1A発明において、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「トランスファー成型」の工程は、「配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程」であり、これは、「インサート成形」にほかならない。

(f) したがって、パッケージをインサート成形で形成することにかえてメタル基板と樹脂基板とを接合するという甲第2号証に記載された技術事項における「スリット12b」を、甲1A発明に適用することは動機付けがなく、甲1A発明における「配線基板」にスリットを設けること、すなわち「切り欠き部」を設けることは、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。
仮に、甲1A発明において「配線基板」にスリット(切り欠き部)を設けることが当業者にとって容易に想到し得ることであるとしても、甲第2号証には、「スリット12b」内に樹脂が充填されること、さらには「スリット12b」内に充填された「樹脂」が、切断によって互いに分離されて、分離後の各「表面実装型LED」の外側面に露出するように切断することは記載されていないから、甲1A発明において、前記スリット(切り欠き部)を含む空間内に光反射用熱硬化性樹脂組成物を充填させ、充填された光反射用熱硬化性樹脂組成物が切断によって互いに分離されて、各「『光半導体装置単体に分割』した後の『光半導体素子搭載用パッケージ基板』」の外側面に露出するように切断することまでが、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

b 甲第3号証について
(a) 上記(4)イの甲第3号証に記載された技術事項は、「リードフレームの枠における切断経路の一部に切欠孔または薄肉部からなる切欠部が設けられている構成によれば、ダイシングし難い金属部分が少なくなり、ダイシングによる切断作業を容易にすることができ、枠における切断経路に溝やスリットなどの切欠部が設けられていないものと比較して、枠の切断体積を減少させることができるので、切断作業の容易化を図ることができるとともにダイシングソーの刃への銅素材のへばりつきや刃の磨耗などを低減できる」ものである。
しかるに、「半導体装置を切断して各半導体装置に分割すると、枠(アンテナ)の切断面が必ず露出するので、アンテナが封止樹脂などで覆われたものと比較して、性能が向上する」ものであるから、封止樹脂が、分離後の各半導体装置の外側面に露出しないように切断するものであるといえる。

(b) してみれば、甲1A発明の「リードフレーム」に、「ダイシングによる切断作業を容易にする」ために、甲第3号証に記載された技術事項の「切欠部」を設けることは、当業者が容易に想到し得ることであるとしても、甲1A発明の「光反射用熱性樹脂組成物層」を、甲第3号証に記載された技術事項の「切欠部」を含めた空間内に充填させ、「切欠部」内に充填された「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」が、切断によって互いに分離されて、分離後の各「『光半導体装置単体に分割』した後の『光半導体素子搭載用パッケージ基板』」の外側面に露出するように切断することは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

c 甲第4号証について
(a) 甲第4号証の図2、4、6、8、10、12から、上記(5)イの甲第4号証に記載された技術事項の「板状のフレーム10」は、少なくとも対向する二つの外側面となる位置に沿って、製造される「白色LEDパッケージ60」の全包囲周の1/2以上にわたって「セル11の開口部」が設けられた「板状のフレーム10」であることが見てとれる。

(b) 甲第4号証に記載された技術事項の「反射リング30」は、「射出成形技術によってプラスチック材料を用いて」、「フレーム10のそれぞれのメインプレート16の上に」形成されるものであるから、「セル11の開口部」を含めた空間内に「反射リング30」を充填させるものではない。

(c) 甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」は、「射出成形技術によってエポキシ樹脂を用いて形成」され、「ダイ20・・・を封止し」、「封止材50」の「矩形のベース51」は、「セル11の開口部を充填」するものであるから、「セル11の開口部」を含めた空間内に「封止材50」を充填させるものであるといえる。
また、甲第4号証に記載された技術事項の「切断工程」は、「分割バー14、15を切り出す・・・工程」であるところ、甲第4号証の図2、4、6、8、10、12から、「セル11の開口部」に沿って「封止材50」と「板状のフレーム10」とを、「セル11の開口部」内に充填された「封止材50」が、分離後の各「白色LEDパッケージ60」の外側面に露出するように切断する工程であるといえる。

(d) しかるところ、甲1A発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、光半導体素子からの光を上方へ反射する層(甲第1号証の図1、図2参照。)であるから、甲第4号証に記載された技術事項の「反射リング30」と同等の機能を有するものであり、甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」と同等の機能を有するものではない。
してみれば、甲1A発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」に、甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」の構成を採用する動機付けがあるとはいえない。

d そして、上記(3)?(5)で摘示又は認定した点に加え、甲第2号証?甲第4号証のその他の記載及びその他の証拠によっても、甲1A発明において、「リードフレーム」を「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ・・・たリードフレーム」とし、「前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ」、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断する」よう構成することについて、記載又は示唆されているとは認められない。

e 以上より、甲1A発明において、上記相違点1-3に係る本件訂正発明1の構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

(エ) 相違点1-4について検討する。
a 甲1A発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上」であるから、甲1A発明の「光半導体素子」は、「波長800nm?350nm」の光を発光するものであるといえる。
しかるところ、「波長800nm?350nm」の光を発光する「光半導体素子」としては、公知又は周知の「光半導体素子」から、当業者が適宜選択しうるものである。

b 「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」は、本件特許の出願時点で周知の技術である。

c してみれば、甲1A発明において、上記周知の技術を採用して、上記相違点1-4に係る本件訂正発明1の構成となすことに、格別の困難性はない。

(オ) 請求人は、平成28年2月18日付けの口頭審理陳述要領書2において、上記相違点1-2について、次の主張をしている。

[主張1-2(1)]
「しかし、甲1の段落【0035】における、「・・・また、上記リードフレームは、例えば、銅、42アロイ等の基板を公知の手法を用いて回路を形成して得ることができる。その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい。・・・」(下線付加)との記載のとおり、少なくとも、表面(上面)の「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」は開示されている。
・・・
しかし、甲1のもののように、少なくとも、表面(上面)の「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」を用いた場合には、下図に赤線で銀メッキ部分を示すように、「熱硬化性樹脂とリードフレームの接合界面でもリードフレームの表面を銀メッキすること」となり、これにより、「熱硬化性樹脂とリードフレームの界面から侵入した僅かな水分によるリードフレームの腐食を防止でき」ることとなるから、本件訂正発明1と同様に上記効果が得られる。」(平成28年2月18日付けの口頭審理陳述要領書2の別紙第9頁第3行?第10頁第2行)

[主張1-2(2)]
「加えて、甲1には、裏面(下面)の「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」についての言及はないが、例えば、甲1発明の「背景技術」をなす甲2の請求項3には「前記メタル基板の少なくとも上面の前記発光素子ボンディング部、並びに下面の外部接続端子部には、金メッキ又は銀メッキの表面処理が施されていることを特徴とする請求項又は請求項2記載の表面実装型発光ダイオード。」(傍点付加)とが記載され、また、段落【0022】には、リードフレームの「全面を金メッキ又は銀メッキ処理する」との記載があるとおり、甲1に触れた当業者であれば、甲2発明のもののように、リードフレームの「裏面」(下面)にも銀メッキ処理を施すようにする程度のことには何らの困難性もないし、寧ろ、当業者であれば、下面の外部接続端子部に「金メッキ又は銀メッキの表面処理」を施すことは極めて自然なことである。
・・・
そして、リードフレームの裏面への銀メッキの「効果」は、「このことにより発光装置を半田等で実装する際にリードフレームと半田等との接合強度が増す」(答弁書第24頁第9?10行)というものとされるところ、発光装置を半田等で実装する際のリードフレームと半田等との接合強度を増すために、リードフレーム裏面の外部接続端子部に銀メッキを施すことは、当業者であれば通常なす処理でしかない。」(平成28年2月18日付けの口頭審理陳述要領書2の別紙第10頁第3行?第11頁第8行)

しかしながら、以下に述べるとおり、請求人の上記主張はいずれも採用できない。

[主張1-2(1)について]
甲第1号証の【0035】には、「その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい。」と記載されているのみであって、「基板表面」の全面に「銀めっき」を施すことは記載されていない。
また、甲1A発明の「銀めっき」は、「LED素子からの光を効率よく反射できるように」するものであるところ、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」で覆われている「配線基板」の表面には、「LED素子からの光」は入射しないから、「銀めっき」を設ける必要がないものである。
さらに、甲第1号証の図1及び図2から、「Ni/Agめっき」104は、「配線基板」の表面のうち、「リフレクター」103、「光反射用熱硬化性樹脂硬化物(リフレクター)」421から露出されている表面部分のみに設けられており、「リフレクター」103、「光反射用熱硬化性樹脂硬化物(リフレクター)」421で覆われている表面部分には設けられていないことが見てとれる。
よって、請求人の上記主張1-2(1)は、甲第1号証の記載に基づくものではなく採用できない。

[主張1-2(2)について]
仮に、「発光装置を半田等で実装する際のリードフレームと半田等との接合強度を増すために」、「リードフレーム」の「下面」の「外部端子接続端子部」に「銀メッキ処理」を施すことは、当業者が容易に想到し得ることであるとしても、「リードフレーム」の「下面」の「全面」が「外部端子接続端子部」である必要はないから、「リードフレーム」の「下面」の「全面」に「銀メッキ処理」を施すことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。
よって、請求人の上記主張1-2(2)は採用できない。

(カ) 請求人は、審判請求書において、上記相違点1-3について、次の主張をしている。

[主張1-3]
「(i)上述のように、甲第2号証には、ダイシングラインに沿ってリードフレームに予め切り欠き部を設けておくことが開示されている。
・・・
(ii)してみれば、ダイシング予定のライン上に切り欠き部を設けたリードフレームとすること、つまり「切り欠き部を設けたリードフレーム(相違点C1)」とすることは当業者が容易に想到し得たものである。
そして、甲第1号証発明では、樹脂として熱硬化性樹脂が選択されるとともに、成型法としてトランスファー成型法が採用され、その結果、ダイシング予定の位置にはトランスファー成型によってリフレクターとなる樹脂部が形成されるのであるから、そこに設けられた切り欠き部には、必然的に、そのリフレクターを構成する熱硬化性樹脂が充填されると言わざるを得ないから、当然の帰結として、「切り欠き部に前記熱硬化性樹脂を充填(相違点C2)」は満たされることとなる。
さらに、その切り欠き部はダイシングライン上に設けられているのだから、これもまた、当然の帰結として、「切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームが切断され(相違点C3)」ることとなる。」(審判請求書の第75頁第11行?第76頁第18行)

しかしながら、以下に述べるとおり、請求人の上記主張は採用できない。

[主張1-3について]
上記(ウ)で検討したとおり、甲第2号証に記載された技術事項におけるの「スリット12b」を、甲1A発明に適用することは動機付けがなく、甲1A発明における「配線基板」にスリットを設けること、すなわち「切り欠き部」を設けることは、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。
仮に、甲1A発明において「配線基板」にスリット(切り欠き部)を設けることが当業者にとって容易に想到し得ることであるとしても、甲1A発明において、前記スリット(切り欠き部)を含む空間内に光反射用熱硬化性樹脂組成物を充填させ、充填された光反射用熱硬化性樹脂組成物が切断によって互いに分離されて、各「『光半導体装置単体に分割』した後の『光半導体素子搭載用パッケージ基板』」の外側面に露出するように切断することまでが、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。
よって、請求人の上記主張1-3は、失当であり採用できない。

エ 小括
以上のとおり、本件訂正発明1における上記相違点1-2、1-3に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
よって、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?4号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(9) 本件訂正発明4について
本件訂正発明4は、本件訂正発明1の構成をすべて含み、さらに他の限定を付加したものに相当するから、少なくとも、上記(8)イに示した相違点1-1?1-4で甲1A発明と相違する。
上記相違点1-2、1-3に係る構成が、甲第2?4号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることとはいえないのは、上記(8)ウ及びエに示したとおりである。
また、上記(7)イの甲第6号証に記載された技術事項、及び甲第6号証のその他の記載によっても、甲第6号証には、「リードフレーム」を「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」とし、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む」よう構成すること、及び「リードフレーム」を「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ・・・たリードフレーム」とし、「前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ」、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断する」よう構成することについて、記載又は示唆されているとは認められない。
したがって、甲第6号証を参照しても、上記相違点1-2、1-3に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
よって、本件訂正発明4は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?4、6号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(10) 本件訂正発明5について
本件訂正発明5は、本件訂正発明1の構成をすべて含み、さらに他の限定を付加したものに相当するから、少なくとも、上記(8)イに示した相違点1-1?1-4で甲1A発明と相違する。
上記相違点1-2、1-3に係る構成が、甲第2?4号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることとはいえないのは、上記(8)ウ及びエに示したとおりである。
よって、本件訂正発明5は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?4号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(11) 本件訂正発明6について
本件訂正発明6は、本件訂正発明1の構成をすべて含み、さらに他の限定を付加したものに相当するから、少なくとも、上記(8)イに示した相違点1-1?1-4で甲1A発明と相違する。
上記相違点1-2、1-3に係る構成が、甲第2?4、6号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることとはいえないのは、上記(8)ウ及びエ並びに上記(9)に示したとおりである。
よって、本件訂正発明6は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?4、6号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(12) 本件訂正発明7について
ア 対比
本件訂正発明7と甲1B発明を対比する。

(ア) 甲1B発明の
「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板」を「光半導体装置単体に分割する、光半導体装置」と、
本件訂正発明7の
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置」とを対比する。

a 甲1B発明の「配線基板」は、「リードフレーム」であるから、甲1B発明の「『光半導体装置単体に分割』した後の『配線基板』」は、本件訂正発明7の「リード」に相当する。
b 甲1B発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「(A)エポキシ樹脂・・・(E)白色顔料・・・を必須成分として含」むから、本件訂正発明7の「光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂」に相当する。
c 甲1B発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上」であり、「配線基板」上に「トランスファー成型により形成」するものであるから、甲1B発明の「『光半導体装置単体に分割』した後の『光反射用熱硬化性樹脂組成物層』」は、本件訂正発明7の「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、・・・前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部」に相当する。
d 甲1B発明の「『光半導体装置単体に分割』した後の『光半導体素子搭載用パッケージ基板』」は、本件訂正発明7の「樹脂パッケージ」に相当する。
e 甲1B発明の「光半導体装置」は、本件訂正発明7の「発光装置」に相当する。
f してみれば、両者は、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有している樹脂パッケージを有する発光装置」である点で一致する。

(イ) 甲1B発明の「基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」、「『光半導体装置単体に分割』した後の『リードフレーム』」と、
本件訂正発明7の「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されて」いない「前記リード」とを対比すると、
両者は、「上面に銀メッキ処理が施されて」いる「前記リード」である点で一致する。

(ウ) 甲1B発明の
「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する」、「『光半導体装置単体に分割』した後の『光半導体素子搭載用パッケージ基板』」と、
本件訂正発明7の
「内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され」た「前記樹脂パッケージ」とを対比する。

a 甲1B発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」に「凹部」が形成されているから、「光半導体素子搭載用パッケージ基板」の内側面が「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」からなるといえる。
b 甲1B発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成され」ているところ、「光半導体素子搭載領域」に「配線基板」の上面の一部が露出していることは明らかである。
c してみれば、両者は、相当関係にある。

(エ) 甲1B発明の「前記光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に搭載する光半導体素子」と、
本件訂正発明7の「前記凹部の前記内底面に・・・載置されて」いる「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」とを対比する。

a 甲1B発明の「光半導体素子」と、本件訂正発明7の「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」とを対比すると、両者は「半導体発光素子」である点で一致する。
b してみれば、両者は、「前記凹部の前記内底面に・・・載置されて」いる「半導体発光素子」である点で一致する。

(オ) 甲1B発明の「前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する」、「『光半導体装置単体に分割』した後の『光反射用熱硬化性樹脂組成物層』」と、
本件訂正発明7の「一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している」、「前記リードと一体に形成された前記樹脂部」とを対比する。

a 甲1B発明の「光半導体素子」は、「光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に・・・搭載する」ものであるから、「前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体」は、隣り合う「凹部」の間で「分割」したものであるといえる。
また、「光半導体素子搭載用パッケージ基板」は、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する」ものであるから、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」及び「配線基板」は分割され、「『光半導体装置単体に分割』した後の『光反射用熱硬化性樹脂組成物層』」の一部が、外側面で露出しているといえる。
b してみれば、両者は、「一部が前記外側面で露出している」、「前記リードと一体に形成された前記樹脂部」である点で一致する。

イ 一致点及び相違点
本件訂正発明7と甲1B発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

一致点:
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有している樹脂パッケージを有する発光装置であって、
前記リードは上面に銀メッキ処理が施されており、
前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
前記凹部の前記内底面に、半導体発光素子が載置されており、
前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記外側面で露出している、
発光装置。」

相違点7-1:
「樹脂パッケージ」は、
本件訂正発明7では、「外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージ」であり、「外底面に前記リードの底面が露出して」いるものであるのに対し、
甲1B発明では、そのようなものであるのか否か明らかでない点。

相違点7-2:
「リード」は、
本件訂正発明7では、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されて」いないものであるのに対し、
甲1B発明では、「表面に・・・銀めっきを施し」たものである点。

相違点7-3:
「リード」は、
本件訂正発明7では、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している」のに対し、
甲1B発明では、「切り欠き部」を有していない点。

相違点7-4:
「半導体発光素子」は、
本件訂正発明7では、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」であるのに対し、
甲1B発明では、そのようなものであるのか否か明らかでない点。

ウ 判断
以下、上記相違点7-1?7-4について検討する。

(ア) 相違点7-1について検討する。
a 甲1B発明は、「光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する」ものであるところ、甲第1号証の【0034】、【0037】?【0038】の記載及び図1から、「配線基板が、リードフレーム」である場合にも、甲1B発明の「光半導体装置単体に分割」した後の「光半導体素子搭載用パッケージ基板」は、外側面において「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」と「配線基板」とが略同一面に形成されているものであることは明らかである。

b 「リードフレームの底面が外底面に露出して」いる「樹脂パッケージ」は、本件特許の出願時点で周知の技術(必要ならば、甲第4号証(特に「frame 10」(フレーム10)、「reflecting ring 30」(反射リング30)、図6?7)、甲第8号証(特に、「第1のリード」20、「第2のリード」30、「第1の樹脂成形体」40、図10)、甲第12号証(特に「リードフレーム」7、「モールド樹脂」8、図2)参照。)である。
してみれば、甲第1号証には、「配線基板が、リードフレーム」である場合に、「リードフレーム」の形状が、どのようなものであるかについての記載はないものの、上記周知の技術を考慮して、甲1B発明の「リードフレーム」を、「リードフレーム」の底面が外底面に露出しているものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

c してみれば、甲1B発明において、上記相違点7-1に係る本件訂正発明7の構成となすことに、格別の困難性はない。

(イ) 相違点7-2について検討する。
a 甲1B発明について
(a) 甲1B発明において、「リードフレーム」は、「銅、42アロイ等の基板を用いて回路を形成して得る・・・際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」ものである。

(b) しかしながら、甲1B発明において、「リードフレーム」は、「基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておく」ものであるから、「LED素子」が配置されない基板「裏面」には「銀めっきを施しておく」必要はないものである。
したがって、甲1B発明において、「リード」を、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されて」いないよう構成することは、甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

b 甲第2号証について
(a) 上記(3)イの甲第2号証に記載された技術事項は、「従来の表面実装型LED70においては、LED素子74からの放熱をリードフレーム部でしか、受け取れない為に、放熱性が十分ではなく」、「パッケージをインサート成形で形成しているため、・・・金型コストが嵩む等、生産性の問題があったところ、このような問題を解決するためになされたものであり」、「メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理をし」、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合し、パッケージ基板11を形成し」た、「表面実装型LED10」である。

(b) 上記(a)によれば、甲第2号証に記載された技術事項は、「放熱性が十分ではな」い「問題を解決するため」、「リードフレーム」にかえて、「メタル基板12」を用いるものであり、「金型コストが嵩む等、生産性の問題・・・を解決するため」、「パッケージをインサート成形で形成」することにかえて、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合」するものであるといえる。

してみれば、甲第2号証に記載された技術事項において、LED素子を搭載する部材として「リードフレーム」を用いることは避けるべきこととされていると解されるのであって、当該技術事項において「メタル基板12」に「スリット12a、12bを、加工し」た後、「全面を金メッキ又は銀メッキ処理を」することが記載されているからといって、甲第2号証に、「リードフレーム」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理」することが記載されているとはいえない。そして、上記(3)ア及びイで摘示又は認定した点に加え、甲第2号証のその他の記載によっても、甲第2号証に、「リードフレーム」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理」することについて、記載又は示唆があるとは認められない。

(c) したがって、甲1B発明において、「リード」を、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されて」いないよう構成することが、甲2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

c さらに、甲第3号証及び甲第4号証並びにその他の証拠によっても、甲1B発明において、「リード」を、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されて」いないよう構成することについて、記載又は示唆されているとは認められない。

d 以上より、甲1B発明において、上記相違点7-2に係る本件訂正発明7の構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

(ウ) 相違点7-3について検討する。
a 甲第2号証について
(a) 上記(3)イの甲第2号証に記載された技術事項の「スリット12b」は、「完成LED10の外周にあたる部分」であるから、「スリット12b」は、「LED10を単個に分離」する「ダイシングラインに沿って」いるといえる。

(b) しかるに、甲第2号証に記載された技術事項は、「従来の表面実装型LED70においては、・・・パッケージをインサート成形で形成しているため、・・・金型コストが嵩む等、生産性の問題があったところ、このような問題を解決するためになされたものであり」、「メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12」に、「完成LED10の外周にあたる部分であ」る「スリット・・・12bを、加工し」、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合し、パッケージ基板11を形成し」、「2方向のダイシングラインに沿って、LED10を単個に分離した」、「表面実装型LED10」である。

(c) してみれば、甲第2号証に記載された技術事項は、「金型コストが嵩む等、生産性の問題・・・を解決するため」、「パッケージをインサート成形で形成」することにかえて、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合」するものであるから、甲第2号証に記載された技術事項は、「樹脂」の一部が「インサート成形」によって「スリット12b」内に充填されるものではない。

(d) また、甲第2号証には、「樹脂」の一部が「スリット12b」内に充填されて外側面で露出しているものとすることは、記載されていない。
そもそも、甲第2号証に記載された技術事項において、樹脂基板14には、板厚を貫通するスリット14bが形成され、このスリット14bは、スリット12bと同じく、完成LED10の外周にあたる部分であるから、メタル基板12上に、樹脂基板14を接合しても、「スリット12b」内に「樹脂」が充填されることにはならない。

(e) 一方、甲1B発明において、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「トランスファー成型」の工程は、「配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程」であり、これは、「インサート成形」にほかならない。

(f) したがって、パッケージをインサート成形で形成することにかえてメタル基板と樹脂基板とを接合するという甲第2号証に記載された技術事項における「スリット12b」を、甲1B発明に適用することは動機付けがなく、甲1B発明における「配線基板」にスリットを設けること、すなわち「切り欠き部」を設けることは、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。
仮に、甲1B発明において「配線基板」にスリット(切り欠き部)を設けることが当業者にとって容易に想到し得ることであるとしても、甲第2号証には、「スリット12b」内に樹脂が充填されること、さらには「スリット12b」内に充填された「樹脂」が、切断によって互いに分離されて、分離後の各「表面実装型LED」の外側面に露出するように切断することは記載されていないから、甲1B発明において、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」の一部が「スリット12b」内に充填されて外側面で露出しているものとすることまでが、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

b 甲第3号証について
(a) 上記(4)イの甲第3号証に記載された技術事項は、「リードフレームの枠における切断経路の一部に切欠孔または薄肉部からなる切欠部が設けられている構成によれば、ダイシングし難い金属部分が少なくなり、ダイシングによる切断作業を容易にすることができ、枠における切断経路に溝やスリットなどの切欠部が設けられていないものと比較して、枠の切断体積を減少させることができるので、切断作業の容易化を図ることができるとともにダイシングソーの刃への銅素材のへばりつきや刃の磨耗などを低減できる」ものである。
しかるに、「半導体装置を切断して各半導体装置に分割すると、枠(アンテナ)の切断面が必ず露出するので、アンテナが封止樹脂などで覆われたものと比較して、性能が向上する」ものであるから、封止樹脂の一部が切欠部内に充填されて外側面で露出しないものであるといえる。

(b) してみれば、甲1B発明の「リードフレーム」に、「ダイシングによる切断作業を容易にする」ために、甲第3号証に記載された技術事項の「切欠部」を設けることは、当業者が容易に想到し得ることであるとしても、甲1B発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」の一部が、甲第3号証に記載された技術事項の「切欠部」内に充填されて外側面で露出しているものとすることは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

c 甲第4号証について
(a) 甲第4号証の図2、4、6、8、10、12から、上記(5)イの甲第4号証に記載された技術事項の「板状のフレーム10」は、少なくとも対向する二つの外側面となる位置に沿って、「白色LEDパッケージ60」の全包囲周の1/2以上にわたって「セル11の開口部」を有する「板状のフレーム10」であることが見てとれる。

(b) 甲第4号証に記載された技術事項の「反射リング30」は、「射出成形技術によってプラスチック材料を用いて」、「フレーム10のそれぞれのメインプレート16の上に」形成されるものであるから、「反射リング30」の一部が「セル11の開口部」内に充填されて外側面で露出しているものではない。

(c) 甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」は、「射出成形技術によってエポキシ樹脂を用いて形成」され、「ダイ20・・・を封止し」、「封止材50」の「矩形のベース51」は、「セル11の開口部を充填」するものであるところ、甲第4号証の図12から、「封止材50」の一部が「セル11の開口部」内に充填されて外側面で露出していることが見てとれる。

(d) しかるところ、甲1B発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、光半導体素子からの光を上方へ反射する層(甲第1号証の図1、図2参照。)であるから、甲第4号証に記載された技術事項の「反射リング30」と同等の機能を有するものであり、甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」と同等の機能を有するものではない。
してみれば、甲1B発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」に、甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」の構成を採用する動機付けがあるとはいえない。

d そして、上記(3)?(5)で摘示又は認定した点に加え、甲第2号証?甲第4号証のその他の記載及びその他の証拠によっても、甲1B発明において、「リード」を、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している」よう構成することについて、記載又は示唆されているとは認められない。

e 以上より、甲1B発明において、上記相違点7-3に係る本件訂正発明7の構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

(エ) 相違点7-4について検討する。
a 甲1B発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上」であるから、甲1B発明の「光半導体素子」は、「波長800nm?350nm」の光を発光するものであるといえる。
しかるところ、「波長800nm?350nm」の光を発光する「光半導体素子」としては、公知又は周知の「光半導体素子」から、当業者が適宜選択しうるものである。

b 「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」は、本件特許の出願時点で周知の技術である。

c してみれば、甲1B発明において、上記周知の技術を採用して、上記相違点7-4に係る本件訂正発明7の構成となすことに、格別の困難性はない。

(オ) 平成28年2月18日付けの口頭審理陳述要領書2における、上記相違点7-2についての主張は、上記「(8) 本件訂正発明1について」のウ(オ)で説示したのと同様に、採用できない。

(カ) 審判請求書における、上記相違点7-3についての主張は、上記「(8) 本件訂正発明1について」のウ(カ)で説示したのと同様に、採用できない。

エ 小括
以上のとおり、本件訂正発明7における上記相違点7-2、7-3に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
よって、本件訂正発明7は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?4号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(13) 本件訂正発明8について
本件訂正発明8は、本件訂正発明7の構成をすべて含み、さらに他の限定を付加したものに相当するから、少なくとも、上記(12)イに示した相違点7-1?7-4で甲1B発明と相違する。
上記相違点7-2、7-3に係る構成が、甲第2?4号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることとはいえないのは、上記(12)ウ及びエに示したとおりである。
よって、本件訂正発明8は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?4号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(14) 本件訂正発明9について
本件訂正発明9は、本件訂正発明7の構成をすべて含み、さらに他の限定を付加したものに相当するから、少なくとも、上記(12)イに示した相違点7-1?7-4で甲1B発明と相違する。
上記相違点7-2、7-3に係る構成が、甲第2?4号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることとはいえないのは、上記(12)ウ及びエに示したとおりである。
また、上記(6)イの甲第5号証に記載された技術事項、及び甲第5号証のその他の記載によっても、甲第5号証には、「リード」を、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されて」いないものとすること、及び「リード」を、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している」ものとすることについて、記載又は示唆されているとは認められない。
したがって、甲第5号証を参照しても、上記相違点7-2、7-3に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
よって、本件訂正発明9は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?5号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(15) 本件訂正発明10について
本件訂正発明10は、本件訂正発明7の構成をすべて含み、さらに他の限定を付加したものに相当するから、少なくとも、上記(12)イに示した相違点7-1?7-4で甲1B発明と相違する。
上記相違点7-2、7-3に係る構成が、甲第2?4号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることとはいえないのは、上記(12)ウ及びエに示したとおりである。
また、上記(7)イの甲第6号証に記載された技術事項、及び甲第6号証のその他の記載によっても、甲第6号証には、「リード」を、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されて」いないものとすること、及び「リード」を、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している」ものとすることについて、記載又は示唆されているとは認められない。
したがって、甲第6号証を参照しても、上記相違点7-2、7-3に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
よって、本件訂正発明10は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?4、6号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(16) 本件訂正発明11について
ア 対比
本件訂正発明11と甲1C発明を対比する。

(ア) 甲1C発明の
「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板を製造する工程」と、「光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する工程」とを有する「分割した光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法」と、
本件訂正発明11の
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージの製造方法」とを対比する。

a 甲1C発明の「配線基板」は、「リードフレーム」であるから、甲1C発明の「『光半導体装置単体に分割』した後の『配線基板』」は、本件訂正発明11の「リード」に相当する。
b 甲1C発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上」であり、「配線基板」上に「トランスファー成型により形成」するものであるから、甲1C発明の「『光半導体装置単体に分割』した後の『光反射用熱硬化性樹脂組成物層』」は、本件訂正発明11の「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、・・・前記リードと一体に形成された樹脂部」に相当する。
c 甲1C発明の「分割した光半導体素子搭載用パッケージ基板」は、本件訂正発明11の「樹脂パッケージ」に相当する。
d してみれば、両者は、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有している樹脂パッケージの製造方法」である点で一致する。

(イ) 甲1C発明の
「配線基板上に有する」「前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成」する工程であって、「前記配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程」と、
本件訂正発明11の
「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程」とを対比する。

a 甲1C発明の「配線基板」は、「リードフレーム」であるから、本件訂正発明11の「リードフレーム」に相当する。
b 甲1C発明の「所定形状の金型」は、上金型と下金型からなるといえる。
また、甲1C発明は、「配線基板上に有する」「光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成」するから、「配線基板」を、上金型と下金型からなる「所定形状の金型」に挟み込む工程を有しているといえる。
c 甲1C発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「(A)エポキシ樹脂・・・(E)白色顔料・・・を必須成分として含」むから、本件訂正発明11の「光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂」に相当する。
d 甲1C発明の「金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入」することは、本件訂正発明11の「前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして・・・前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された・・・空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ」ることに相当する。
e 甲1C発明の「注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させ」ることは、本件訂正発明11の「前記熱硬化性樹脂を硬化させ」ることに相当する。
f 甲1C発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された」ものであるところ、「光半導体素子搭載領域」に「配線基板」の上面の一部が露出していることは明らかであるから、本件訂正発明11の「前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成されるように、前記リードフレームと一体に・・・形成」された「樹脂成形体」に相当する。
g してみれば、両者は、
「リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成されるように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程」である点で一致する。

(ウ) 甲1C発明の「前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する工程」と、
本件訂正発明11の
「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の樹脂パッケージに分離する工程」とを対比する。

a 甲1C発明の「光半導体素子」は、「光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に・・・搭載する」ものであるから、「前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体」は、隣り合う「凹部」の間で「分割」したものであるといえる。
また、「光半導体素子搭載用パッケージ基板」は、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する」ものであるから、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」及び「配線基板」は分割され、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「分割した光半導体素子搭載用パッケージ基板」の外側面に露出するといえる。
b 甲1C発明の「分割する工程」は、「ダイシングにより行われる」工程であるから、切断によって「分離する工程」であるといえる。
c してみれば、両者は、
「隣り合う前記凹部の間で、前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、複数の樹脂パッケージに分離する工程」である点で一致する。

イ 一致点及び相違点
本件訂正発明11と甲1C発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

一致点:
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有している樹脂パッケージの製造方法であって、
リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成されるように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
隣り合う前記凹部の間で、前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、複数の樹脂パッケージに分離する工程と、
を有する樹脂パッケージの製造方法。」

相違点11-1:
「樹脂パッケージ」は、
本件訂正発明11では、「外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージ」であって、「リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成」し、「前記外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の樹脂パッケージに分離する」のものであるのに対し、
甲1C発明では、そのようなものであるのか否か明らかでない点。

相違点11-2:
「リードフレーム」は、
本件訂正発明11では、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」であり、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む」ものであるのに対し、
甲1C発明では、「表面に・・・銀めっきを施し」たものである点。

相違点11-3:
「リードフレーム」は、
本件訂正発明11では、「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ・・・リードフレーム」であって、「前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ」、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断する」のに対し、
甲1C発明では、「切り欠き部」が設けられていない点。

ウ 判断
以下、上記相違点11-1?11-3について検討する。

(ア) 相違点11-1について検討する。
a 甲1C発明は、「光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する」ものであるところ、甲第1号証の【0034】、【0037】?【0038】の記載及び図1から、「配線基板が、リードフレーム」である場合にも、甲1C発明の「光半導体装置単体に分割」した後の「光半導体素子搭載用パッケージ基板」は、外側面において「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」と「配線基板」とが略同一面に形成されているものであって、外側面において、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」と「配線基板」とが略同一面に形成されている複数の「光半導体素子搭載用パッケージ基板」に分離するものであることは明らかである。

b 「リードフレームの底面が外底面に露出するように、リードフレームと一体に樹脂成形体を形成」した「樹脂パッケージ」は、本件特許の出願時点で周知の技術(必要ならば、甲第4号証(特に「frame 10」(フレーム10)、「reflecting ring 30」(反射リング30)、図6?7)、甲第8号証(特に、「第1のリード」20、「第2のリード」30、「第1の樹脂成形体」40、図10)、甲第12号証(特に「リードフレーム」7、「モールド樹脂」8、図2)参照。)である。
してみれば、甲第1号証には、「配線基板が、リードフレーム」である場合に、「リードフレーム」の形状が、どのようなものであるかについての記載はないものの、上記周知の技術を考慮して、甲1C発明の「リードフレーム」を、「リードフレーム」の底面が外底面に露出しているものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

c してみれば、甲1C発明において、上記相違点11-1に係る本件訂正発明11の構成となすことに、格別の困難性はない。

(イ) 相違点11-2について検討する。
a 甲1C発明について
(a) 甲1C発明において、「リードフレーム」は、「銅、42アロイ等の基板を用いて回路を形成して得る・・・際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」ものである。

(b) しかしながら、甲1C発明において、「リードフレーム」は、「基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておく」ものであるから、「LED素子」が配置されない基板「裏面」には「銀めっきを施しておく」必要はないものである。
したがって、甲1C発明において、「リードフレーム」を、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」とすることは、甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

b 甲第2号証について
(a) 上記(3)イの甲第2号証に記載された技術事項は、「従来の表面実装型LED70においては、LED素子74からの放熱をリードフレーム部でしか、受け取れない為に、放熱性が十分ではなく」、「パッケージをインサート成形で形成しているため、・・・金型コストが嵩む等、生産性の問題があったところ、このような問題を解決するためになされたものであり」、「メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理をし」、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合し、パッケージ基板11を形成し」た、「表面実装型LED10」である。

(b) 上記(a)によれば、甲第2号証に記載された技術事項は、「放熱性が十分ではな」い「問題を解決するため」、「リードフレーム」にかえて、「メタル基板12」を用いるものであり、「金型コストが嵩む等、生産性の問題・・・を解決するため」、「パッケージをインサート成形で形成」することにかえて、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合」するものであるといえる。
してみれば、甲第2号証に記載された技術事項において、LED素子を搭載する部材として「リードフレーム」を用いることは避けるべきこととされていると解されるのであって、当該技術事項において「メタル基板12」に「スリット12a、12bを、加工し」た後、「全面を金メッキ又は銀メッキ処理を」することが記載されているからといって、甲第2号証に、「リードフレーム」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理」することが記載されているとはいえない。そして、上記(3)ア及びイで摘示又は認定した点に加え、甲第2号証のその他の記載によっても、甲第2号証に、「リードフレーム」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理」することについて、記載又は示唆があるとは認められない。

(c) したがって、甲1C発明において、「リードフレーム」を「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」とし、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む」よう構成することが、甲2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

c さらに、甲第3号証及び甲第4号証並びにその他の証拠によっても、甲1C発明において、「リードフレーム」を「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」とし、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む」よう構成することについて、記載又は示唆されているとは認められない。

d 以上より、甲1C発明において、上記相違点11-2に係る本件訂正発明11の構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

(ウ) 相違点11-3について検討する。
a 甲第2号証について
(a) 上記(3)イの甲第2号証に記載された技術事項の「スリット12b」は、「完成LED10の外周にあたる部分」であるから、「スリット12b」は、「LED10を単個に分離」する「ダイシングラインに沿って」いるといえる。

(b) しかるに、甲第2号証に記載された技術事項は、「従来の表面実装型LED70においては、・・・パッケージをインサート成形で形成しているため、・・・金型コストが嵩む等、生産性の問題があったところ、このような問題を解決するためになされたものであり」、「メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12」に、「完成LED10の外周にあたる部分であ」る「スリット・・・12bを、加工し」、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合し、パッケージ基板11を形成し」、「2方向のダイシングラインに沿って、LED10を単個に分離した」、「表面実装型LED10」である。

(c) してみれば、甲第2号証に記載された技術事項は、「金型コストが嵩む等、生産性の問題・・・を解決するため」、「パッケージをインサート成形で形成」することにかえて、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合」するものであるから、甲第2号証に記載された技術事項は、「インサート成形」によって「樹脂」を充填させるものではない。

(d) また、甲第2号証には、「スリット12b」内に充填された「樹脂」が、切断によって互いに分離されて、分離後の各「表面実装型LED」の外側面に露出するように切断することは、記載されていない。
そもそも、甲第2号証に記載された技術事項において、樹脂基板14には、板厚を貫通するスリット14bが形成され、このスリット14bは、スリット12bと同じく、完成LED10の外周にあたる部分であるから、メタル基板12上に、樹脂基板14を接合しても、「スリット12b」内に「樹脂」が充填されることにはならない。

(e) 一方、甲1C発明において、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「トランスファー成型」の工程は、「配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程」であり、これは、「インサート成形」にほかならない。

(f) したがって、パッケージをインサート成形で形成することにかえてメタル基板と樹脂基板とを接合するという甲第2号証に記載された技術事項における「スリット12b」を、甲1C発明に適用することは動機付けがなく、甲1C発明における「配線基板」にスリットを設けること、すなわち「切り欠き部」を設けることは、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。
仮に、甲1C発明において「配線基板」にスリット(切り欠き部)を設けることが当業者にとって容易に想到し得ることであるとしても、甲第2号証には、「スリット12b」内に樹脂が充填されること、さらには「スリット12b」内に充填された「樹脂」が、切断によって互いに分離されて、分離後の各「表面実装型LED」の外側面に露出するように切断することは記載されていないから、甲1C発明において、前記スリット(切り欠き部)を含む空間内に光反射用熱硬化性樹脂組成物を充填させ、充填された光反射用熱硬化性樹脂組成物が切断によって互いに分離されて、各「『光半導体装置単体に分割』した後の『光半導体素子搭載用パッケージ基板』」の外側面に露出するように切断することまでが、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

b 甲第3号証について
(a) 上記(4)イの甲第3号証に記載された技術事項は、「リードフレームの枠における切断経路の一部に切欠孔または薄肉部からなる切欠部が設けられている構成によれば、ダイシングし難い金属部分が少なくなり、ダイシングによる切断作業を容易にすることができ、枠における切断経路に溝やスリットなどの切欠部が設けられていないものと比較して、枠の切断体積を減少させることができるので、切断作業の容易化を図ることができるとともにダイシングソーの刃への銅素材のへばりつきや刃の磨耗などを低減できる」ものである。
しかるに、「半導体装置を切断して各半導体装置に分割すると、枠(アンテナ)の切断面が必ず露出するので、アンテナが封止樹脂などで覆われたものと比較して、性能が向上する」ものであるから、封止樹脂が、分離後の各半導体装置の外側面に露出しないように切断するものであるといえる。

(b) してみれば、甲1C発明の「リードフレーム」に、「ダイシングによる切断作業を容易にする」ために、甲第3号証に記載された技術事項の「切欠部」を設けることは、当業者が容易に想到し得ることであるとしても、甲1C発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を、甲第3号証に記載された技術事項の「切欠部」を含めた空間内に充填させ、「切欠部」内に充填された「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」が、切断によって互いに分離されて、分離後の各「『光半導体装置単体に分割』した後の『光半導体素子搭載用パッケージ基板』」の外側面に露出するように切断することは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

c 甲第4号証について
(a) 甲第4号証の図2、4、6、8、10、12から、上記(5)イの甲第4号証に記載された技術事項の「板状のフレーム10」は、少なくとも対向する二つの外側面となる位置に沿って、製造される「白色LEDパッケージ60」の全包囲周の1/2以上にわたって「セル11の開口部」が設けられた「板状のフレーム10」であることが見てとれる。

(b) 甲第4号証に記載された技術事項の「反射リング30」は、「射出成形技術によってプラスチック材料を用いて」、「フレーム10のそれぞれのメインプレート16の上に」形成されるものであるから、「セル11の開口部」を含めた空間内に「反射リング30」を充填させるものではない。

(c) 甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」は、「射出成形技術によってエポキシ樹脂を用いて形成」され、「ダイ20・・・を封止し」、「封止材50」の「矩形のベース51」は、「セル11の開口部を充填」するものであるから、「セル11の開口部」を含めた空間内に「封止材50」を充填させるものであるといえる。
また、甲第4号証に記載された技術事項の「切断工程」は、「分割バー14、15を切り出す・・・工程」であるところ、甲第4号証の図2、4、6、8、10、12から、「セル11の開口部」に沿って「封止材50」と「板状のフレーム10」とを、「セル11の開口部」内に充填された「封止材50」が、分離後の各「白色LEDパッケージ60」の外側面に露出するように切断する工程であるといえる。

(d) しかるところ、甲1C発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、光半導体素子からの光を上方へ反射する層(甲第1号証の図1、図2参照。)であるから、甲第4号証に記載された技術事項の「反射リング30」と同等の機能を有するものであり、甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」と同等の機能を有するものではない。
してみれば、甲1C発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」に、甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」の構成を採用する動機付けがあるとはいえない。

d そして、上記(3)?(5)で摘示又は認定した点に加え、甲第2号証?甲第4号証のその他の記載及びその他の証拠によっても、甲1C発明において、「リードフレーム」を「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ・・・リードフレーム」とし、「前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ」、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断する」よう構成することについて、記載又は示唆されているとは認められない。

e 以上より、甲1C発明において、上記相違点11-3に係る本件訂正発明11の構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

(エ) 平成28年2月18日付けの口頭審理陳述要領書2における、上記相違点11-2についての主張は、上記「(8) 本件訂正発明1について」のウ(オ)で説示したのと同様に、採用できない。

(オ) 審判請求書における、上記相違点11-3についての主張は、上記「(8) 本件訂正発明1について」のウ(カ)で説示したのと同様に、採用できない。

エ 小括
以上のとおり、本件訂正発明11における上記相違点11-2、11-3に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
よって、本件訂正発明11は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?4号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(17) 本件訂正発明13について
ア 対比
本件訂正発明13と甲1D発明を対比する。

(ア) 甲1D発明の
「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板」を「光半導体装置単体に分割する」「分割した光半導体素子搭載用パッケージ基板」と、
本件訂正発明13の
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージ」とを対比する。

a 甲1D発明の「配線基板」は、「リードフレーム」であるから、甲1D発明の「『光半導体装置単体に分割』した後の『配線基板』」は、本件訂正発明13の「リード」に相当する。
b 甲1D発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「(A)エポキシ樹脂・・・(E)白色顔料・・・を必須成分として含」むから、本件訂正発明13の「光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂」に相当する。
c 甲1D発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上」であり、「配線基板」上に「トランスファー成型により形成」するものであるから、甲1D発明の「『光半導体装置単体に分割』した後の『光反射用熱硬化性樹脂組成物層』」は、本件訂正発明13の「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、・・・前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部」に相当する。
d 甲1D発明の「分割した光半導体素子搭載用パッケージ基板」は、本件訂正発明13の「樹脂パッケージ」に相当する。
e してみれば、両者は、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有している樹脂パッケージ」である点で一致する。

(イ) 甲1D発明の「基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」、「『光半導体装置単体に分割』した後の『リードフレーム』」と、
本件訂正発明13の「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されて」いない「前記リード」とを対比すると、
両者は、「上面に銀メッキ処理が施されて」いる「リード」である点で一致する。

(ウ) 甲1D発明の「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する」ことと、
本件訂正発明13の「内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され」ていることとを対比する。

a 甲1D発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」に「凹部」が形成されているから、「光半導体素子搭載用パッケージ基板」の内側面が「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」からなるといえる。
b 甲1D発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成され」ているところ、「光半導体素子搭載領域」に「配線基板」の上面の一部が露出していることは明らかである。
c してみれば、両者は、相当関係にある。

(エ) 甲1D発明の「光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する」、「『光半導体装置単体に分割』した後の『光反射用熱硬化性樹脂組成物層』」ことと、
本件訂正発明13の「一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している」、「前記リードと一体に形成された前記樹脂部」こととを対比する。

a 甲1D発明の「光半導体素子」は、「光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に・・・搭載する」ものであるから、「前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体」は、隣り合う「凹部」の間で「分割」したものであるといえる。
また、「光半導体素子搭載用パッケージ基板」は、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する」ものであるから、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」及び「配線基板」は分割され、「『光半導体装置単体に分割』した後の『光反射用熱硬化性樹脂組成物層』」の一部が、外側面で露出しているといえる。
b してみれば、両者は、「一部が前記外側面で露出している」、「前記リードと一体に形成された前記樹脂部」である点で一致する。

イ 一致点及び相違点
本件訂正発明13と甲1D発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

一致点:
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有している樹脂パッケージであって、
前記リードは上面に銀メッキ処理が施されており、
内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記外側面で露出している、
樹脂パッケージ。」

相違点13-1:
「樹脂パッケージ」は、
本件訂正発明13では、「外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージ」であり、「外底面に前記リードの底面が露出して」いるものであるのに対し、
甲1D発明では、そのようなものであるのか否か明らかでない点。

相違点13-2:
「リード」は、
本件訂正発明13では、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されて」いないものであるのに対し、
甲1D発明では、「表面に・・・銀めっきを施し」たものである点。

相違点13-3:
「リード」は、
本件訂正発明13では、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している」のに対し、
甲1D発明では、「切り欠き部」を有していない点。

ウ 判断
以下、上記相違点13-1?13-3について検討する。

(ア) 相違点13-1について検討する。
a 甲1D発明は、「光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する」ものであるところ、甲第1号証の【0034】、【0037】?【0038】の記載及び図1から、「配線基板が、リードフレーム」である場合にも、甲1D発明の「光半導体装置単体に分割」した後の「光半導体素子搭載用パッケージ基板」は、外側面において「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」と「配線基板」とが略同一面に形成されているものであることは明らかである。

b 「リードフレームの底面が外底面に露出して」いる「樹脂パッケージ」は、本件特許の出願時点で周知の技術(必要ならば、甲第4号証(特に「frame 10」(フレーム10)、「reflecting ring 30」(反射リング30)、図6?7)、甲第8号証(特に、「第1のリード」20、「第2のリード」30、「第1の樹脂成形体」40、図10)、甲第12号証(特に「リードフレーム」7、「モールド樹脂」8、図2)参照。)である。
してみれば、甲第1号証には、「配線基板が、リードフレーム」である場合に、「リードフレーム」の形状が、どのようなものであるかについての記載はないものの、上記周知の技術を考慮して、甲1D発明の「リードフレーム」を、「リードフレーム」の底面が外底面に露出しているものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

c してみれば、甲1D発明において、上記相違点13-1に係る本件訂正発明13の構成となすことに、格別の困難性はない。

(イ) 相違点13-2について検討する。
a 甲1D発明について
(a) 甲1D発明において、「リードフレーム」は、「銅、42アロイ等の基板を用いて回路を形成して得る・・・際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」ものである。

(b) しかしながら、甲1D発明において、「リードフレーム」は、「基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておく」ものであるから、「LED素子」が配置されない基板「裏面」には「銀めっきを施しておく」必要はないものである。
したがって、甲1D発明において、「リード」を、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されて」いないよう構成することは、甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

b 甲第2号証について
(a) 上記(3)イの甲第2号証に記載された技術事項は、「従来の表面実装型LED70においては、LED素子74からの放熱をリードフレーム部でしか、受け取れない為に、放熱性が十分ではなく」、「パッケージをインサート成形で形成しているため、・・・金型コストが嵩む等、生産性の問題があったところ、このような問題を解決するためになされたものであり」、「メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理をし」、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合し、パッケージ基板11を形成し」た、「表面実装型LED10」である。

(b) 上記(a)によれば、甲第2号証に記載された技術事項は、「放熱性が十分ではな」い「問題を解決するため」、「リードフレーム」にかえて、「メタル基板12」を用いるものであり、「金型コストが嵩む等、生産性の問題・・・を解決するため」、「パッケージをインサート成形で形成」することにかえて、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合」するものであるといえる。
してみれば、甲第2号証に記載された技術事項において、LED素子を搭載する部材として「リードフレーム」を用いることは避けるべきこととされていると解されるのであって、当該技術事項において「メタル基板12」に「スリット12a、12bを、加工し」た後、「全面を金メッキ又は銀メッキ処理を」することが記載されているからといって、甲第2号証に、「リードフレーム」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理」することが記載されているとはいえない。そして、上記(3)ア及びイで摘示又は認定した点に加え、甲第2号証のその他の記載によっても、甲第2号証に、「リードフレーム」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理」することについて、記載又は示唆があるとは認められない。

(c) したがって、甲1D発明において、「リード」を、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されて」いないよう構成することが、甲2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

c さらに、甲第3号証及び甲第4号証並びにその他の証拠によっても、甲1D発明において、「リード」を、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されて」いないよう構成することについて、記載又は示唆されているとは認められない。

d 以上より、甲1D発明において、上記相違点13-2に係る本件訂正発明13の構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

(ウ) 相違点13-3について検討する。
a 甲第2号証について
(a) 上記(3)イの甲第2号証に記載された技術事項の「スリット12b」は、「完成LED10の外周にあたる部分」であるから、「スリット12b」は、「LED10を単個に分離」する「ダイシングラインに沿って」いるといえる。

(b) しかるに、甲第2号証に記載された技術事項は、「従来の表面実装型LED70においては、・・・パッケージをインサート成形で形成しているため、・・・金型コストが嵩む等、生産性の問題があったところ、このような問題を解決するためになされたものであり」、「メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12」に、「完成LED10の外周にあたる部分であ」る「スリット・・・12bを、加工し」、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合し、パッケージ基板11を形成し」、「2方向のダイシングラインに沿って、LED10を単個に分離した」、「表面実装型LED10」である。

(c) してみれば、甲第2号証に記載された技術事項は、「金型コストが嵩む等、生産性の問題・・・を解決するため」、「パッケージをインサート成形で形成」することにかえて、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合」するものであるから、甲第2号証に記載された技術事項は、「樹脂」の一部が「インサート成形」によって「スリット12b」内に充填されるものではない。

(d) また、甲第2号証には、「樹脂」の一部が「スリット12b」内に充填されて外側面で露出しているものとすることは、記載されていない。
そもそも、甲第2号証に記載された技術事項において、樹脂基板14には、板厚を貫通するスリット14bが形成され、このスリット14bは、スリット12bと同じく、完成LED10の外周にあたる部分であるから、メタル基板12上に、樹脂基板14を接合しても、「スリット12b」内に「樹脂」が充填されることにはならない。

(e) 一方、甲1D発明において、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「トランスファー成型」の工程は、「配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程」であり、これは、「インサート成形」にほかならない。

(f) したがって、パッケージをインサート成形で形成することにかえてメタル基板と樹脂基板とを接合するという甲第2号証に記載された技術事項における「スリット12b」を、甲1D発明に適用することは動機付けがなく、甲1D発明における「配線基板」にスリットを設けること、すなわち「切り欠き部」を設けることは、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。
仮に、甲1D発明において「配線基板」にスリット(切り欠き部)を設けることが当業者にとって容易に想到し得ることであるとしても、甲第2号証には、「スリット12b」内に樹脂が充填されること、さらには「スリット12b」内に充填された「樹脂」が、切断によって互いに分離されて、分離後の各「表面実装型LED」の外側面に露出するように切断することは記載されていないから、甲1D発明において、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」の一部が「スリット12b」内に充填されて外側面で露出しているものとすることまでが、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

b 甲第3号証について
(a) 上記(4)イの甲第3号証に記載された技術事項は、「リードフレームの枠における切断経路の一部に切欠孔または薄肉部からなる切欠部が設けられている構成によれば、ダイシングし難い金属部分が少なくなり、ダイシングによる切断作業を容易にすることができ、枠における切断経路に溝やスリットなどの切欠部が設けられていないものと比較して、枠の切断体積を減少させることができるので、切断作業の容易化を図ることができるとともにダイシングソーの刃への銅素材のへばりつきや刃の磨耗などを低減できる」ものである。
しかるに、「半導体装置を切断して各半導体装置に分割すると、枠(アンテナ)の切断面が必ず露出するので、アンテナが封止樹脂などで覆われたものと比較して、性能が向上する」ものであるから、封止樹脂の一部が切欠部内に充填されて外側面で露出しないものであるといえる。

(b) してみれば、甲1D発明の「リードフレーム」に、「ダイシングによる切断作業を容易にする」ために、甲第3号証に記載された技術事項の「切欠部」を設けることは、当業者が容易に想到し得ることであるとしても、甲1D発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」の一部が、甲第3号証に記載された技術事項の「切欠部」内に充填されて外側面で露出しているものとすることは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

c 甲第4号証について
(a) 甲第4号証の図2、4、6、8、10、12から、上記(5)イの甲第4号証に記載された技術事項の「板状のフレーム10」は、少なくとも対向する二つの外側面となる位置に沿って、「白色LEDパッケージ60」の全包囲周の1/2以上にわたって「セル11の開口部」を有する「板状のフレーム10」であることが見てとれる。

(b) 甲第4号証に記載された技術事項の「反射リング30」は、「射出成形技術によってプラスチック材料を用いて」、「フレーム10のそれぞれのメインプレート16の上に」形成されるものであるから、「反射リング30」の一部が「セル11の開口部」内に充填されて外側面で露出しているものではない。

(c) 甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」は、「射出成形技術によってエポキシ樹脂を用いて形成」され、「ダイ20・・・を封止し」、「封止材50」の「矩形のベース51」は、「セル11の開口部を充填」するものであるところ、甲第4号証の図12から、「封止材50」の一部が「セル11の開口部」内に充填されて外側面で露出していることが見てとれる。

(d) しかるところ、甲1D発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、光半導体素子からの光を上方へ反射する層(甲第1号証の図1、図2参照。)であるから、甲第4号証に記載された技術事項の「反射リング30」と同等の機能を有するものであり、甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」と同等の機能を有するものではない。
してみれば、甲1D発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」に、甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」の構成を採用する動機付けがあるとはいえない。

d そして、上記(3)?(5)で摘示又は認定した点に加え、甲第2号証?甲第4号証のその他の記載及びその他の証拠によっても、甲1D発明において、「リード」を、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している」よう構成することについて、記載又は示唆されているとは認められない。

e 以上より、甲1D発明において、上記相違点13-3に係る本件訂正発明13の構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

(エ) 平成28年2月18日付けの口頭審理陳述要領書2における、上記相違点13-2についての主張は、上記「(8) 本件訂正発明1について」のウ(オ)で説示したのと同様に、採用できない。

(オ) 審判請求書における、上記相違点13-3についての主張は、上記「(8) 本件訂正発明1について」のウ(カ)で説示したのと同様に、採用できない。

エ 小括
以上のとおり、本件訂正発明13における上記相違点13-2、13-3に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
よって、本件訂正発明13は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?4号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(18) 本件訂正発明14について
ア 対比
本件訂正発明14と甲1E発明を対比する。

(ア) 甲1E発明の
「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板」の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」の製造方法と、
本件訂正発明14の
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている、リードフレームと一体に形成された、請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体の製造方法」とを対比する。

a 甲1E発明の「配線基板」は、「リードフレーム」であるから、本件訂正発明14の「リードフレーム」に相当する。
b 甲1E発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上」であるから、甲1E発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、本件訂正発明14の「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上」である「樹脂成形体」に相当する。
c 甲1E発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された」ものであるところ、「光半導体素子搭載領域」に「配線基板」の上面の一部が露出していることは明らかであるから、本件訂正発明14の「凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている」「樹脂成形体」に相当する。
d 甲1E発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、「配線基板」上に「トランスファー成型により形成」するものであるから、本件訂正発明14の「リードフレームと一体に形成された」「樹脂成形体」に相当する。
e してみれば、両者は、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている、リードフレームと一体に形成された、樹脂成形体の製造方法」である点で一致する。

(イ) 甲1E発明の
「配線基板上に有する」「前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成」する工程であって、「前記配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程」と、
本件訂正発明14の
「前記リードフレームを用い、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が成形される位置に凸部を有する上金型と下金型とでリードフレームを挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が前記内底面に露出した複数の前記凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が露出するように、前記リードフレームと一体に前記樹脂成形体を形成する工程」とを対比する。

a 甲1E発明の「所定形状の金型」は、「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成するものであるから、「光半導体素子搭載領域となる凹部」が成形される位置に凸部を有する上金型と下金型からなるといえる。
また、甲1E発明は、「配線基板上に有する」「光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成」するから、上金型と下金型からなる「所定形状の金型」で「配線基板」を挟み込む工程を有しているといえる。
b 甲1E発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「(A)エポキシ樹脂・・・(E)白色顔料・・・を必須成分として含」むから、本件訂正発明14の「光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂」に相当する。
c 甲1E発明の「金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入」することは、本件訂正発明14の「前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして・・・前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された・・・空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ」ることに相当する。
d 甲1E発明の「注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させ」ることは、本件訂正発明14の「前記熱硬化性樹脂を硬化させ」ることに相当する。
e 甲1E発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層」であるところ、「光半導体素子搭載領域」に「配線基板」の上面の一部が露出していることは明らかであるから、本件訂正発明14の「前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され・・・るように、前記リードフレームと一体に・・・形成」された「樹脂成形体」に相当する。
f してみれば、両者は、
「前記リードフレームを用い、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が成形される位置に凸部を有する上金型と下金型とでリードフレームを挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が前記内底面に露出した複数の前記凹部が形成されるように、前記リードフレームと一体に前記樹脂成形体を形成する工程」である点で一致する。

イ 一致点及び相違点
本件訂正発明14と甲1E発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

一致点:
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている、リードフレームと一体に形成された、樹脂成形体の製造方法であって、
前記リードフレームを用い、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が成形される位置に凸部を有する上金型と下金型とでリードフレームを挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が前記内底面に露出した複数の前記凹部が形成されるように、前記リードフレームと一体に前記樹脂成形体を形成する工程と、
を有する樹脂成形体の製造方法。」

相違点14-1:
「樹脂成形体」は、
本件訂正発明14では、「請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体」であり、「リードフレームの底面が露出する」ものであるのに対し、
甲1E発明では、そのようなものであるのか否か明らかでない点。

相違点14-2:
「リードフレーム」は、
本件訂正発明14では、「前記リードフレームの全面に銀メッキ処理を施」し、「前記リードフレームを・・・上金型と下金型とで・・・挟み込む」ものであるのに対し、
甲1E発明では、「表面に・・・銀めっきを施し」たものである点。

相違点14-3:
「リードフレーム」は、
本件訂正発明14では、「縦横少なくとも一方において、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が形成される2つの位置の間に、切り欠き部を一列のみ有する前記リードフレーム」であって、「前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ」るのに対し、
甲1E発明では、切り欠き部を有していない点。

ウ 判断
以下、上記相違点14-1?14-4について検討する。

(ア) 相違点14-1について検討する。
a 「リードフレームの底面が外底面に露出するように、リードフレームと一体に樹脂成形体を形成」した「樹脂パッケージ」は、本件特許の出願時点で周知の技術(必要ならば、甲第4号証(特に「frame 10」(フレーム10)、「reflecting ring 30」(反射リング30)、図6?7)、甲第8号証(特に、「第1のリード」20、「第2のリード」30、「第1の樹脂成形体」40、図10)、甲第12号証(特に「リードフレーム」7、「モールド樹脂」8、図2)参照。)である。
してみれば、甲第1号証には、「配線基板が、リードフレーム」である場合に、「リードフレーム」の形状が、どのようなものであるかについての記載はないものの、上記周知の技術を考慮して、甲1E発明の「リードフレーム」を、「リードフレーム」の底面が露出するものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

b 「請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体」について、上記(12)ウ及びエに示したとおり、本件訂正発明7における上記相違点7-2、7-3に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

c してみれば、上記相違点14-1に係る本件訂正発明14の構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

(イ) 相違点14-2について検討する。
a 甲1E発明について
(a) 甲1E発明において、「リードフレーム」は、「銅、42アロイ等の基板を用いて回路を形成して得る・・・際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」ものである。

(b) しかしながら、甲1E発明において、「リードフレーム」は、「基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておく」ものであるから、「LED素子」が配置されない基板「裏面」には「銀めっきを施しておく」必要はないものである。
したがって、甲1E発明において、「前記リードフレームの全面に銀メッキ処理を施」すことは、甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

b 甲第2号証について
(a) 上記(3)イの甲第2号証に記載された技術事項は、「従来の表面実装型LED70においては、LED素子74からの放熱をリードフレーム部でしか、受け取れない為に、放熱性が十分ではなく」、「パッケージをインサート成形で形成しているため、・・・金型コストが嵩む等、生産性の問題があったところ、このような問題を解決するためになされたものであり」、「メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理をし」、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合し、パッケージ基板11を形成し」た、「表面実装型LED10」である。

(b) 上記(a)によれば、甲第2号証に記載された技術事項は、「放熱性が十分ではな」い「問題を解決するため」、「リードフレーム」にかえて、「メタル基板12」を用いるものであり、「金型コストが嵩む等、生産性の問題・・・を解決するため」、「パッケージをインサート成形で形成」することにかえて、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合」するものであるといえる。
してみれば、甲第2号証に記載された技術事項において、LED素子を搭載する部材として「リードフレーム」を用いることは避けるべきこととされていると解されるのであって、当該技術事項において「メタル基板12」に「スリット12a、12bを、加工し」た後、「全面を金メッキ又は銀メッキ処理を」することが記載されているからといって、甲第2号証に、「リードフレーム」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理」することが記載されているとはいえない。そして、上記(3)ア及びイで摘示又は認定した点に加え、甲第2号証のその他の記載によっても、甲第2号証に、「リードフレーム」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理」することについて、記載又は示唆があるとは認められない。

(c) したがって、甲1E発明において、「前記リードフレームの全面に銀メッキ処理を施」し、「前記リードフレームを・・・上金型と下金型とで・・・挟み込む」よう構成することが、甲2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

c さらに、甲第3号証及び甲第4号証並びにその他の証拠によっても、甲1E発明において、「前記リードフレームの全面に銀メッキ処理を施」し、「前記リードフレームを・・・上金型と下金型とで・・・挟み込む」よう構成することについて、記載又は示唆されているとは認められない。

d 以上より、甲1E発明において、上記相違点14-2に係る本件訂正発明14の構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

(ウ) 相違点14-3について検討する。
a 甲第2号証について
(a) 上記(3)イの甲第2号証に記載された技術事項の「スリット12b」は、「完成LED10の外周にあたる部分」であるから、「スリット12b」は、「LED10を単個に分離」する「ダイシングラインに沿って」いるといえる。

(b) しかるに、甲第2号証に記載された技術事項は、「従来の表面実装型LED70においては、・・・パッケージをインサート成形で形成しているため、・・・金型コストが嵩む等、生産性の問題があったところ、このような問題を解決するためになされたものであり」、「メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12」に、「完成LED10の外周にあたる部分であ」る「スリット・・・12bを、加工し」、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合し、パッケージ基板11を形成し」、「2方向のダイシングラインに沿って、LED10を単個に分離した」、「表面実装型LED10」である。

(c) してみれば、甲第2号証に記載された技術事項は、「金型コストが嵩む等、生産性の問題・・・を解決するため」、「パッケージをインサート成形で形成」することにかえて、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合」するものであるから、甲第2号証に記載された技術事項は、「インサート成形」によって「樹脂」を充填させるものではない。

(d) 一方、甲1E発明において、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「トランスファー成型」の工程は、「配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程」であり、これは、「インサート成形」にほかならない。

(e) したがって、パッケージをインサート成形で形成することにかえてメタル基板と樹脂基板とを接合するという甲第2号証に記載された技術事項における「スリット12b」を、甲1E発明に適用することは動機付けがなく、甲1E発明における「配線基板」にスリットを設けること、すなわち「切り欠き部」を設けることは、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。
仮に、甲1E発明において「配線基板」にスリット(切り欠き部)を設けることが当業者にとって容易に想到し得ることであるとしても、甲第2号証には、「スリット12b」内に樹脂が充填されることは記載されていないから、甲1E発明において、「スリット12b」を含めた空間内に「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を充填させるものとすることまでが、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

b 甲第3号証について
(a) 上記(4)イの甲第3号証に記載された技術事項は、「リードフレームの枠における切断経路の一部に切欠孔または薄肉部からなる切欠部が設けられている構成によれば、ダイシングし難い金属部分が少なくなり、ダイシングによる切断作業を容易にすることができ、枠における切断経路に溝やスリットなどの切欠部が設けられていないものと比較して、枠の切断体積を減少させることができるので、切断作業の容易化を図ることができるとともにダイシングソーの刃への銅素材のへばりつきや刃の磨耗などを低減できる」ものである。
しかるに、「半導体装置を切断して各半導体装置に分割すると、枠(アンテナ)の切断面が必ず露出するので、アンテナが封止樹脂などで覆われたものと比較して、性能が向上する」ものであるから、封止樹脂が、分離後の各半導体装置の外側面に露出しないように切断するものであるといえる。

(b) してみれば、甲1E発明の「リードフレーム」に、「ダイシングによる切断作業を容易にする」ために、甲第3号証に記載された技術事項の「切欠部」を設けることは、当業者が容易に想到し得ることであるとしても、甲1E発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を、甲第3号証に記載された技術事項の「切欠部」を含めた空間内に充填させることは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

c 甲第4号証について
(a) 甲第4号証の図2、4、6、8、10、12から、上記(5)イの甲第4号証に記載された技術事項の「板状のフレーム10」は、縦横少なくとも一方において、「セル11の開口部」を二列有する「板状のフレーム10」であることが見てとれる。

(b) 甲第4号証に記載された技術事項の「反射リング30」は、「射出成形技術によってプラスチック材料を用いて」、「フレーム10のそれぞれのメインプレート16の上に」形成されるものであるから、「セル11の開口部」を含めた空間内に「反射リング30」を充填させるものではない。

(c) 甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」は、「射出成形技術によってエポキシ樹脂を用いて形成」され、「ダイ20・・・を封止し」、「封止材50」の「矩形のベース51」は、「セル11の開口部を充填」するものであるから、「セル11の開口部」を含めた空間内に「封止材50」を充填させるものであるといえる。

(d) しかるところ、甲1E発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、光半導体素子からの光を上方へ反射する層(甲第1号証の図1、図2参照。)であるから、甲第4号証に記載された技術事項の「反射リング30」と同等の機能を有するものであり、甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」と同等の機能を有するものではない。
してみれば、甲1E発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」に、甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」の構成を採用する動機付けがあるとはいえない。
しかも、甲第4号証に記載された技術事項の「板状のフレーム10」は、縦横少なくとも一方において、「セル11の開口部」を二列有する「板状のフレーム10」であるから、甲1E発明の「リードフレーム」を、「切り欠き部を一列のみ有する」「リードフレーム」とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

d そして、上記(3)?(5)で摘示又は認定した点に加え、甲第2号証?甲第4号証のその他の記載及びその他の証拠によっても、甲1E発明において、「リードフレーム」を「縦横少なくとも一方において、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が形成される2つの位置の間に、切り欠き部を一列のみ有する前記リードフレーム」とし、「前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ」るよう構成することについて、記載又は示唆されているとは認められない。

e 以上より、甲1E発明において、上記相違点14-3に係る本件訂正発明14の構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

(エ) 平成28年2月18日付けの口頭審理陳述要領書2における、上記相違点14-2についての主張は、上記「(8) 本件訂正発明1について」のウ(オ)で説示したのと同様に、採用できない。

(オ) 審判請求書における、上記相違点14-3についての主張は、上記「(8) 本件訂正発明1について」のウ(カ)で説示したのと同様に、採用できない。

エ 小括
以上のとおり、本件訂正発明14における上記相違点14-1、14-2、14-3に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
よって、本件訂正発明14は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?4号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(19) 本件訂正発明15について
ア 対比
本件訂正発明15と甲1F発明を対比する。

(ア) 甲1F発明の
「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板」の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」と、
本件訂正発明15の
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードフレームと一体に形成され、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、前記リードフレームの上面の一部が露出されている、請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体」とを対比する。

a 甲1F発明の「配線基板」は、「リードフレーム」であるから、本件訂正発明15の「リードフレーム」に相当する。
b 甲1F発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上」であるから、甲1F発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、本件訂正発明15の「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上」である「樹脂成形体」に相当する。
c 甲1F発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、「配線基板」上に「トランスファー成型により形成」するものであるから、本件訂正発明15の「リードフレームと一体に形成され」た「樹脂成形体」に相当する。
d 甲1F発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された」ものであるところ、「光半導体素子搭載領域」に「配線基板」の上面の一部が露出していることは明らかであるから、本件訂正発明15の「凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、前記リードフレームの一部が露出されている」「樹脂成形体」に相当する。
e してみれば、両者は、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードフレームと一体に形成され、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、前記リードフレームの上面の一部が露出されている、樹脂成形体」である点で一致する。

(イ) 甲1F発明の「基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」、「前記リードフレーム」と、
本件訂正発明15の「底面および上面を含む全面に銀メッキ処理が施されて」いる「前記リードフレーム」とを対比すると、
両者は、「上面に銀メッキ処理が施されて」いる「リードフレーム」である点で一致する。

(ウ) 甲1F発明の「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する」ことと、
本件訂正発明15の「前記熱硬化性樹脂からなる前記樹脂成形体は前記リードフレームの上面にも形成されて隣り合う凹部の間に側壁を有している」こととを対比する。

a 甲1F発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成され」ているところ、当該「凹部」の間に側壁を有しているといえる。
b してみれば、両者は、相当関係にある。

イ 一致点及び相違点
本件訂正発明15と甲1F発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

一致点:
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードフレームと一体に形成され、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、前記リードフレームの上面の一部が露出されている、樹脂成形体であって、
前記リードフレームは、上面に銀メッキ処理が施されており、
前記熱硬化性樹脂からなる前記樹脂成形体は前記リードフレームの上面にも形成されて隣り合う凹部の間に側壁を有している
樹脂成形体。」

相違点15-1:
「樹脂成形体」は、
本件訂正発明15では、「請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体」であって、「前記リードフレームの底面が露出して」いるのに対し、
甲1F発明では、そのようなものであるのか否か明らかでない点。

相違点15-2:
「リードフレーム」は、
本件訂正発明15では、「底面および上面を含む全面に銀メッキ処理が施され」たものであるのに対し、
甲1F発明では、「表面に・・・銀めっきを施し」たものである点。

相違点15-3:
「リードフレーム」は、
本件訂正発明15では、「縦横少なくとも一方において前記凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有しており、該切り欠き部に前記樹脂成形体となる熱硬化性樹脂が充填されて」いるものであるのに対し、
甲1F発明では、切り欠き部を有していない点。

ウ 判断
以下、上記相違点15-1?15-3について検討する。

(ア) 相違点15-1について検討する。
a 「リードフレームの底面が外底面に露出するように、リードフレームと一体に樹脂成形体を形成」した「樹脂パッケージ」は、本件特許の出願時点で周知の技術(必要ならば、甲第4号証(特に「frame 10」(フレーム10)、「reflecting ring 30」(反射リング30)、図6?7)、甲第8号証(特に、「第1のリード」20、「第2のリード」30、「第1の樹脂成形体」40、図10)、甲第12号証(特に「リードフレーム」7、「モールド樹脂」8、図2)参照。)である。
してみれば、甲第1号証には、「配線基板が、リードフレーム」である場合に、「リードフレーム」の形状が、どのようなものであるかについての記載はないものの、上記周知の技術を考慮して、甲1F発明の「リードフレーム」を、「リードフレーム」の底面が露出するものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

b 「請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体」について、上記(12)ウ及びエに示したとおり、本件訂正発明7における上記相違点7-2、7-3に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

c してみれば、上記相違点15-1に係る本件訂正発明15の構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

(イ) 相違点15-2について検討する。
a 甲1F発明について
(a) 甲1F発明において、「リードフレーム」は、「銅、42アロイ等の基板を用いて回路を形成して得る・・・際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい」ものである。

(b) しかしながら、甲1F発明において、「リードフレーム」は、「基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておく」ものであるから、「LED素子」が配置されない基板「裏面」には「銀めっきを施しておく」必要はないものである。
したがって、甲1F発明において、「リードフレーム」を、「底面および上面を含む全面に銀メッキ処理が施され」るよう構成することは、甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

b 甲第2号証について
(a) 上記(3)イの甲第2号証に記載された技術事項は、「従来の表面実装型LED70においては、LED素子74からの放熱をリードフレーム部でしか、受け取れない為に、放熱性が十分ではなく」、「パッケージをインサート成形で形成しているため、・・・金型コストが嵩む等、生産性の問題があったところ、このような問題を解決するためになされたものであり」、「メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理をし」、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合し、パッケージ基板11を形成し」た、「表面実装型LED10」である。

(b) 上記(a)によれば、甲第2号証に記載された技術事項は、「放熱性が十分ではな」い「問題を解決するため」、「リードフレーム」にかえて、「メタル基板12」を用いるものであり、「金型コストが嵩む等、生産性の問題・・・を解決するため」、「パッケージをインサート成形で形成」することにかえて、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合」するものであるといえる。
してみれば、甲第2号証に記載された技術事項において、LED素子を搭載する部材として「リードフレーム」を用いることは避けるべきこととされていると解されるのであって、当該技術事項において「メタル基板12」に「スリット12a、12bを、加工し」た後、「全面を金メッキ又は銀メッキ処理を」することが記載されているからといって、甲第2号証に、「リードフレーム」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理」することが記載されているとはいえない。そして、上記(3)ア及びイで摘示又は認定した点に加え、甲第2号証のその他の記載によっても、甲第2号証に、「リードフレーム」の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理」することについて、記載又は示唆があるとは認められない。

(c) したがって、甲1F発明において、「リードフレーム」を「底面および上面を含む全面に銀メッキ処理が施され」るよう構成することが、甲2号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

c さらに、甲第3号証及び甲第4号証並びにその他の証拠によっても、甲1F発明において、「リードフレーム」を「底面および上面を含む全面に銀メッキ処理が施され」るよう構成することについて、記載又は示唆されているとは認められない。

d 以上より、甲1F発明において、上記相違点15-2に係る本件訂正発明15の構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

(ウ) 相違点15-3について検討する。
a 甲第2号証について
(a) 上記(3)イの甲第2号証に記載された技術事項の「スリット12b」は、「完成LED10の外周にあたる部分」であるから、「スリット12b」は、「LED10を単個に分離」する「ダイシングラインに沿って」いるといえる。

(b) しかるに、甲第2号証に記載された技術事項は、「従来の表面実装型LED70においては、・・・パッケージをインサート成形で形成しているため、・・・金型コストが嵩む等、生産性の問題があったところ、このような問題を解決するためになされたものであり」、「メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12」に、「完成LED10の外周にあたる部分であ」る「スリット・・・12bを、加工し」、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合し、パッケージ基板11を形成し」、「2方向のダイシングラインに沿って、LED10を単個に分離した」、「表面実装型LED10」である。

(c) してみれば、甲第2号証に記載された技術事項は、「金型コストが嵩む等、生産性の問題・・・を解決するため」、「パッケージをインサート成形で形成」することにかえて、「メタル基板12上に、樹脂基板14を接合」するものであるから、甲第2号証に記載された技術事項は、「樹脂基板14」となる「樹脂」が「インサート成形」によって充填されているものではない。

(d) 一方、甲1F発明において、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「トランスファー成型」の工程は、「配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外す工程」であり、これは、「インサート成形」にほかならない。

(e) したがって、パッケージをインサート成形で形成することにかえてメタル基板と樹脂基板とを接合するという甲第2号証に記載された技術事項における「スリット12b」を、甲1F発明に適用することは動機付けがなく、甲1F発明における「配線基板」にスリットを設けること、すなわち「切り欠き部」を設けることは、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。
仮に、甲1F発明において「配線基板」にスリット(切り欠き部)を設けることが当業者にとって容易に想到し得ることであるとしても、甲第2号証には、「スリット12b」内に樹脂が充填されることは記載されていないから、甲1F発明において、「スリット12b」に「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」となる「光反射用熱硬化性樹脂組成物」が「インサート成形」によって充填されているものとすることまでが、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

b 甲第3号証について
(a) 上記(4)イの甲第3号証に記載された技術事項は、「リードフレームの枠における切断経路の一部に切欠孔または薄肉部からなる切欠部が設けられている構成によれば、ダイシングし難い金属部分が少なくなり、ダイシングによる切断作業を容易にすることができ、枠における切断経路に溝やスリットなどの切欠部が設けられていないものと比較して、枠の切断体積を減少させることができるので、切断作業の容易化を図ることができるとともにダイシングソーの刃への銅素材のへばりつきや刃の磨耗などを低減できる」ものである。
しかるに、「半導体装置を切断して各半導体装置に分割すると、枠(アンテナ)の切断面が必ず露出するので、アンテナが封止樹脂などで覆われたものと比較して、性能が向上する」ものであるから、封止樹脂が、分離後の各半導体装置の外側面に露出しないように切断するものであるといえる。

(b) してみれば、甲1F発明の「リードフレーム」に、「ダイシングによる切断作業を容易にする」ために、甲第3号証に記載された技術事項の「切欠部」を設けることは、当業者が容易に想到し得ることであるとしても、甲1F発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」となる「光反射用熱硬化性樹脂組成物」が、甲第3号証に記載された技術事項の「スリット12b」に、「インサート成形」によって充填されているものとすることは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

c 甲第4号証について
(a) 甲第4号証の図2、4、6、8、10、12から、上記(5)イの甲第4号証に記載された技術事項の「板状のフレーム10」は、縦横少なくとも一方において「セル11の開口部」を二列有している「板状のフレーム10」であることが見てとれる。

(b) 甲第4号証に記載された技術事項の「反射リング30」は、「射出成形技術によってプラスチック材料を用いて」、「フレーム10のそれぞれのメインプレート16の上に」形成されるものであるから、「セル11の開口部」に「反射リング30」となる「プラスチック材料」が充填されているものではない。

(c) 甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」は、「射出成形技術によってエポキシ樹脂を用いて形成」され、「ダイ20・・・を封止し」、「封止材50」の「矩形のベース51」は、「セル11の開口部を充填」するものであるところ、甲第4号証の図12から、「セル11の開口部」に「封止材50」となる「エポキシ樹脂」が充填されていることが見てとれる。

(d) しかるところ、甲1F発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」は、光半導体素子からの光を上方へ反射する層(甲第1号証の図1、図2参照。)であるから、甲第4号証に記載された技術事項の「反射リング30」と同等の機能を有するものであり、甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」と同等の機能を有するものではない。
してみれば、甲1F発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」に、甲第4号証に記載された技術事項の「封止材50」の構成を採用する動機付けがあるとはいえない。
しかも、甲第4号証に記載された技術事項の「板状のフレーム10」は、縦横少なくとも一方において「セル11の開口部」を二列有している「板状のフレーム10」であるから、甲1F発明の「リードフレーム」を、「縦横少なくとも一方において・・・切り欠き部を一列のみ有して」いる「リードフレーム」とすることは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

d そして、上記(3)?(5)で摘示又は認定した点に加え、甲第2号証?甲第4号証のその他の記載及びその他の証拠によっても、甲1F発明において、「リードフレーム」を「縦横少なくとも一方において前記凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有しており、該切り欠き部に前記樹脂成形体となる熱硬化性樹脂が充填されて」いるよう構成することについて、記載又は示唆されているとは認められない。

e 以上より、甲1F発明において、上記相違点15-3に係る本件訂正発明15の構成となすことは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。

(エ) 平成28年2月18日付けの口頭審理陳述要領書2における、上記相違点15-2についての主張は、上記「(8) 本件訂正発明1について」のウ(オ)で説示したのと同様に、採用できない。

(オ) 審判請求書における、上記相違点15-3についての主張は、上記「(8) 本件訂正発明1について」のウ(カ)で説示したのと同様に、採用できない。

エ 小括
以上のとおり、本件訂正発明15における上記相違点15-1、15-2、15-3に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
よって、本件訂正発明15は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2?4号証に記載された発明を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 [無効理由6](特許法第36条第6項第1号乃至第2号)について
(1) 請求人の主張の要点
無効理由6について、請求人の主張の要点は以下のとおりである。
本件特許明細書において開示されている「切断」の態様は、ダイシングによる「切断」のみであるから(段落[0050]、[0078]、[0085]、[0087])、本件特許で言うところの「切断」とは、「ダイシング」による切断に他ならない。そうであるにも拘わらず、本件訂正発明1、4?6及び11は、「切断」が「ダイシング」による切断に特定されているわけではないから、文言上、ダイシング以外の他の方法による切断をも包含することとなり、発明の詳細な説明に記載されていない態様をも包含するものであるか、不明確なものである(審判請求書の第100頁14行?第101頁12行、及び上記第2の1(2)[無効理由6](特許法第36条第6項第1号乃至第2号))。

(2) 当審の判断
ア 本件明細書には、「切断」に関連して、次の記載がある(当審注:下線は、当審が付与した。)。

(ア) 「【背景技術】
【0002】
・・・
【0005】
しかしながら、熱可塑性樹脂はリードフレームとの密着性に乏しく、樹脂部とリードフレームとの剥離を生じやすい。また、熱硬化性樹脂は樹脂の流動性が低いため複雑な形状の樹脂成形体を成形するには不適切であり、耐光性にも乏しい。特に近年の発光素子の出力向上はめざましく、発光素子の高出力化が図られるにつれ、熱可塑性樹脂からなるパッケージの光劣化は顕著となってきている。
【0006】
・・・
【0009】
しかし、これらの配線板及びリードフレームは平板状であり、平板状の上に熱硬化性樹脂組成物が配置されており、密着面積が小さいため、ダイシングする際にリードフレーム等と熱硬化性樹脂組成物とが剥離し易いという問題がある。」

(イ) 「【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した問題に鑑みて、リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性が高く、短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供することを目的とする。」

(ウ) 「【課題を解決するための手段】
【0012】
・・・
【0014】
本発明は、熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、切り欠き部を設けたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、リードフレームに樹脂成形体を形成する工程と、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断する工程と、を有する発光装置の製造方法に関する。かかる構成によれば、切り欠き部に熱硬化性樹脂が充填されるため、リードフレームと熱硬化性樹脂との密着面積が大きくなり、リードフレームと熱硬化性樹脂との密着性を向上することができる。また、熱可塑性樹脂よりも粘度が低い熱硬化性樹脂を用いるため、空隙が残ることなく、切り欠き部に熱硬化性樹脂を充填することができる。また、一度に多数個の発光装置を得ることができ、生産効率の大幅な向上を図ることができる。さらに、廃棄されるランナーを低減することができ、安価な発光装置を提供することができる。
【0015】
・・・
【0016】
リードフレームは、切断部分における切り欠き部が全包囲周の約1/2以上であることが好ましい。これによりリードフレームを軽量化でき、安価な発光装置を提供することができる。また、リードフレームにおける切断される部分が少なくなり、リードフレームと熱硬化性樹脂との剥離をより抑制することができる。」

(エ) 「【0032】
<第1の実施の形態>
・・・
【0078】
次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。
複数の凹部27が形成された樹脂成形体24は、隣接する凹部27の間にある側壁を略中央で分離されるように長手方向及び短手方向に切断する。切断方法はダイシングソーを用いて樹脂成形体24側からダイシングする。これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。このように切り欠き部21aを設けることにより、切断されるリードフレーム21は少なくなりリードフレーム21と樹脂成形体24との剥離を抑制することができる。また、リードフレーム21の上面だけでなく、切り欠き部21aに相当する側面も樹脂成形体24と密着するため、リードフレーム21と樹脂成形体24との密着強度が向上する。
・・・」

イ 上記アによれば、本件発明が解決しようとする課題は、「リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性が高く、短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供すること」であり、本件課題を解決するための手段は、「切り欠き部に熱硬化性樹脂が充填されるため、リードフレームと熱硬化性樹脂との密着面積が大きくなり、リードフレームと熱硬化性樹脂との密着性を向上することができ」、「リードフレームは、切断部分における切り欠き部が全包囲周の約1/2以上であること・・・により・・・リードフレームにおける切断される部分が少なくなり、リードフレームと熱硬化性樹脂との剥離をより抑制することができる」ことであるといえる。

ウ 一般に、切断の際にリードフレームと熱硬化性樹脂との剥離を生じやすい切断方法が、ダイシングに限られないことは、本件特許の出願時点で技術常識である。
してみれば、上記本件発明が解決しようとする課題及び解決するための手段は、切断方法がダイシングである場合に限られず、切断の際にリードフレームと熱硬化性樹脂との剥離を生じやすい他の切断方法である場合にもあてはまることは、当業者には明らかである。
よって、本件明細書において開示されている「切断」の態様が、ダイシングによる「切断」のみであるからといって、特許請求の範囲の記載が、発明の詳細な説明の記載を超えているということはできないし、不明確であるともいえない。

エ 以上より、訂正後の請求項1、4?6、11に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載したものであり、本件の特許請求の範囲は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反しない。
また、訂正後の請求項1、4?6、11に記載された発明は、明確であり、本件の特許請求の範囲は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反しない。

なお、請求人が提出した平成28年2月18日付けの口頭審理陳述要領書2の別紙第34?36頁の「6.「無効理由6について」の主張は撤回された(第1回口頭審理調書 陳述の要領 請求人6及び被請求人4)。

第6 請求項2?3、12についての審判の請求について
上記第4のとおり、被請求人の請求のとおり訂正が認められ、請求項2?3、12は削除された。
したがって、請求項2?3、12についての審判の請求は、その対象が存在しないものとなった。
よって、請求項2?3、12についての審判の請求は、不適法な審判の請求であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第135条の規定により却下する。

第7 むすび
以上のとおりであるから、請求人が主張する無効理由及び提出した証拠方法によっては、本件訂正発明1、4?11、13?15についての特許を無効とすることはできない。
請求項2?3、12についての審判の請求を却下する。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条及び第62条の規定により、その15分の12を請求人が負担し、15分の3を被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、
少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子を載置する工程と、
隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の発光装置に分離する工程と、
を有する発光装置の製造方法。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の孔を有し、
前記切断する工程において、前記孔を通って前記リードフレームを切断する請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の溝を有し、
前記切断する工程において、前記溝を通って前記リードフレームを切断する請求項1又は4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記上金型と下金型とは、前記発光素子が載置される部分、若しくは、前記孔部の近傍の部分のリードフレームを挟み込んでいる請求項1、4又は5のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置であって、
前記リードは底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、
前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子が載置されており、
前記樹脂パッケージの外底面に前記リードの底面が露出しており、
前記リードは、少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、
前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している、
発光装置。
【請求項8】
前記樹脂パッケージは、四隅のみからリードが露出されている請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記樹脂パッケージは、底面側から視認して四隅が弧状に形成されている請求項7又は8のいずれかに記載の発光装置。
【請求項10】
前記リードは、前記外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている請求項7乃至9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージの製造方法であって、
少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の樹脂パッケージに分離する工程と、
を有する樹脂パッケージの製造方法。
【請求項12】
(削除)
【請求項13】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージであって、
前記リードは底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、
内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
外底面に前記リードの底面が露出しており、
前記リードは、少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、
前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している、
樹脂パッケージ。
【請求項14】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている、リードフレームと一体に形成された、請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体の製造方法であって、
縦横少なくとも一方において、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が形成される2つの位置の間に、切り欠き部を一列のみ有する前記リードフレームの全面に銀メッキ処理を施す工程と、
前記リードフレームを用い、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が成形される位置に凸部を有する上金型と下金型とでリードフレームを挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が前記内底面に露出した複数の前記凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が露出するように、前記リードフレームと一体に前記樹脂成形体を形成する工程と、
を有する樹脂成形体の製造方法。
【請求項15】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードフレームと一体に形成され、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、前記リードフレームの上面の一部が露出されている、請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体であって、
前記リードフレームは、底面および上面を含む全面に銀メッキ処理が施されており、
前記リードフレームの底面が露出しており、
前記リードフレームは、縦横少なくとも一方において前記凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有しており、該切り欠き部に前記樹脂成形体となる熱硬化性樹脂が充填されており、前記熱硬化性樹脂からなる前記樹脂成形体は前記リードフレームの上面にも形成されて隣り合う凹部の間に側壁を有している
樹脂成形体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-05-30 
結審通知日 2016-06-01 
審決日 2016-06-28 
出願番号 特願2008-225408(P2008-225408)
審決分類 P 1 113・ 537- YAA (H01L)
P 1 113・ 121- YAA (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡田 吉美  
特許庁審判長 河原 英雄
特許庁審判官 恩田 春香
山口 裕之
登録日 2013-03-15 
登録番号 特許第5217800号(P5217800)
発明の名称 発光装置、樹脂パッケージ、樹脂成形体並びにこれらの製造方法  
代理人 玄番 佐奈恵  
代理人 宮原 正志  
代理人 田村 啓  
代理人 片山 健一  
代理人 田村 啓  
代理人 言上 惠一  
代理人 山尾 憲人  
代理人 宮原 正志  
代理人 言上 惠一  
代理人 山尾 憲人  
代理人 玄番 佐奈恵  
代理人 平井 佑希  
代理人 伊藤 真  
代理人 鮫島 睦  
代理人 鮫島 睦  
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