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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C08G
管理番号 1322931
審判番号 不服2015-552  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-01-09 
確定日 2016-12-14 
事件の表示 特願2013-523452「ポリイソシアヌレート組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 2月16日国際公開、WO2012/019358、平成25年 9月 2日国内公表、特表2013-534263〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2010年8月13日を国際出願日とする出願であって、平成25年2月12日に特許法第184条の5第1項に規定する国内書面が提出され、同年4月3日に同法第184条の4第1項に規定する明細書、請求の範囲及び要約書の翻訳文が提出され、同年12月26日付けで拒絶理由が通知され、平成26年9月5日付けで拒絶査定がされ、平成27年1月9日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 本件補正について
平成27年1月9日に提出された手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、明細書及び特許請求の範囲についての補正であって、その内、特許請求の範囲についての補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし3、5及び9に記載された「水酸基数」という記載を「水酸基価」という記載にし、同じく本件補正前の特許請求の範囲の請求項4に記載された「請求項1から4」という記載を「請求項1から3」という記載にするものであり、いずれも、特許法第17条の2第5項第2号の誤記の訂正を目的とするものであり、また、特許法第17条の2第3項及び第4項に規定する要件に違反するものではない。
さらに、本件補正の内、明細書についての補正は、本件補正前の明細書の段落【0018】及び【0064】の記載を明細書の段落【0056】及び【0057】の記載並びに本件補正後の特許請求の範囲の記載と整合させるためのものであり、特許法第17条の2第3項及び第4項に規定する要件に違反するものではない。

よって、本件補正は、適法にされたものである。

第3 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし9に係る発明は、本件補正により補正された明細書及び特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】
a)ポリイソシアナート化合物;および
b)1)オルトフタル酸残基を有する第一のポリエステルポリオール;
b)2)テレフタル酸残基を有する第二のポリエステルポリオール;
b)3)少なくとも官能基数3および200より大きい水酸基価を有する少なくとも1種のポリエーテルポリオール;ならびに
c)物理的発泡剤
の反応生成物を含み、イソシアネートインデックスが250より大きい、ポリイソシアヌレート発泡体組成物。」

第4 引用文献の記載等
1 引用文献の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の国際出願日前に日本国内において、頒布された刊行物である特開2000-80141号公報(以下、「引用文献」という。)には、「イソシアヌレート変性ポリウレタンフォーム及び難燃性断熱パネル」に関して、次の記載(以下、順に「記載1a」ないし「記載1f」という。)がある。

1a 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 芳香族系ポリエステルポリオール(a成分)とポリエーテルポリオール(b成分)とを含むポリオール成分に、少なくとも触媒及び発泡剤の存在下で、ポリイソシアネート成分を反応させて得られるイソシアヌレート変性ポリウレタンフォームにおいて、
前記a成分が、オルトフタル酸を酸成分とする縮合系ポリエステルポリオール(a1成分)を含有するものであると共に、前記b成分が官能基数6以上のものであり、
前記a成分と前記b成分との混合重量比(a成分/b成分)が、60/40?90/10であることを特徴とするイソシアヌレート変性ポリウレタンフォーム。
【請求項2】 前記a成分が、オルトフタル酸を酸成分とする縮合系ポリエステルポリオール(a1成分)と、
メタフタル酸又はパラフタル酸を酸成分とする縮合系ポリエステルポリオールの1種以上(a2成分)との混合物であり、
その混合物中の両者の縮合系ポリエステルポリオールの混合重量比(a1成分/a2成分)が、40/60?95/5である請求項1記載のイソシアヌレート変性ポリウレタンフォーム。
【請求項3】 前記ポリオール成分の平均官能基数が、2.4?4.5である請求項1又は2記載のイソシアヌレート変性ポリウレタンフォーム。
【請求項4】 前記ポリイソシアネート成分の使用量が、イソシアネートインデックス2.00?3.00の範囲内である請求項1?3いずれかに記載のイソシアヌレート変性ポリウレタンフォーム。」

1b 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築用などの各種の断熱材として用いられるイソシアヌレート変性ポリウレタンフォーム、並びにそれを用いた難燃性断熱パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、イソシアヌレート変性ポリウレタンフォームは、断熱性や耐熱性に優れ、冷蔵庫、冷凍庫、建築用などの断熱材として広く使用されている。当該ポリウレタンフォームは、ポリオール成分として、難燃化のために、主として芳香族系ポリエステルポリオールを用い、更に強度や成形性向上のためにペンタエリスリトール系、ソルビトール系、エチレンジアミン系、芳香族アミン系、グリセリン系、トリメチロールプロパン系等の多価アルコールのプロピレンオキサイド(PO)及び/又はエチレンオキサイド(EO)付加体が適宜併用されてきた。また、発泡剤としては、HCFC-141b、水等が、触媒としてはカルボン酸系金属塩、4級アンモニウム塩系、アミン系等のものが、整泡剤としてはシリコン系界面活性剤等が、ポリイソシアネート成分としてはクルードMDI等が用いられてきた。そして、イソシアネートインデックス(NCO/OH当量比)については、3.50以上とするのが一般的であった。
【0003】しかし、イソシアネートインデックスがこのような高い値であると、硬化速度が十分大きくないため、連続成形等のように急速な硬化が要求される場合、種々の問題が生じる。例えば、連続成形においては、十分なキュアが得られないうちにラインオフとなり、表面材との接着性の低下して剥離が生じ易くなり、また、フォーム硬さの低下によりラインオフ後に発泡圧で寸法変化が生じるなどの問題があった。このため、急速な硬化速度が要求される場合には、イソシアネートインデックスを低めに設定する必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、イソシアネートインデックスを低めに設定すると、下記の如き問題が生じることが判明した。即ち、ポリオール成分としてテレフタル酸系(パラ系)の芳香族系ポリエステルポリオールを主成分とするものでは、得られるフォームの圧縮強度が不十分になり、また、併用するポリエーテルポリオールの官能基数が比較的高めのもの(例えばトルエンジアミン系:官能基数4)でも、圧縮強度が不十分になることが分かった。
【0005】一方、ポリオール成分の平均官能基数に着目したイソシアヌレート変性ポリウレタンフォームを開示する公報も存在し、例えば特開平9-71628号公報には、ポリオール成分として、ビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物、トルエンジアミンのアルキレンオキサイド付加物、及び芳香環含有ポリエステルポリオールを含有し、かつその平均官能基数が2?4のものが開示されている。
【0006】しかし、この公報に記載のイソシアヌレート変性ポリウレタンフォームは、併用するポリエーテルポリオールの官能基数が十分大きくないため、前記の圧縮強度の問題を解消できるものではない。
【0007】従って、本発明の目的は、急速な硬化が要求される場合でも、難燃性、圧縮強度、寸法安定性が良好なイソシアヌレート変性ポリウレタンフォーム、並びにそれを用いた難燃性断熱パネルを提供することにある。」

1c 「【0017】前記ポリイソシアネート成分の使用量が、イソシアネートインデックス2.00?3.00の範囲内である場合、硬化速度を大きくすることができ、連続成形等において、接着性の低下や寸法安定性の低下を好適に防止することができる。」

1d 「【0034】本発明のイソシアヌレート変性ポリウレタンフォームは、前記の如きポリオール成分に少なくとも触媒及び発泡剤の存在下で前記のポリイソシアネート成分を反応させて得られるものであり、ポリウレタンフォーム用として当業者に公知の触媒や発泡剤をいずれも使用することができる。」

1e 「【0053】実施例1?10
ウレタン原液として、表1に示すポリオール成分、および下記の整泡剤、難燃剤、触媒、発泡剤を均一に混合したもの(これをR液と呼ぶ)と、ポリイソシアネート成分としてクルードMDI(44V-20,住友バイエルウレタン(株)製)(これをP液と呼ぶ)とを準備した。このR液とP液とを高圧注入設備を用いて、原液温度25℃に調整して混合攪拌し(イソシアネートインデックス:2.50)、連続的に供給される2枚の水平な金属製表面材(幅900mm,間隔100mm)の間隙に、ウレタン密度が40kg/m^(3)になる量にて、ノズルをトラバースさせながら均一散布した。2枚の金属製表面材は、ダブルコンベアにて一定の間隙が維持されながら、オーブン中を通過し、その間、加熱(60℃)を行うことで、長尺フォームの成形が行われた。その後、冷却されサイドシールされた後、所定の長さに切断された。切断後のパネルに対し、上記の如き評価を行った。その結果を表1に示す。
【0054】
(配合組成)
整泡剤:SH-193,シリコン系界面活性剤 3重量部
東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製
難燃剤:TCPP ,トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート 10重量部
大八化学工業(株)製
触媒 :ペルロン9540,オクチル酸カリウム 3重量部
ペルロン社製
触媒 :ポリキャット8,ジメチルシクロヘキシルアミン 1重量部
エアープロダクツ社製
発泡剤:HCFC-141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン) 20重量部
旭硝子(株)製
(表中原料の詳細)
ポリオールA:o-フタル酸/ジエチレングリコールの縮合系ポリエステルポリオール,官能基数2.0,OH価250,分子量約500
ポリオールB:m-フタル酸/ジエチレングリコールの縮合系ポリエステルポリオール,官能基数2.0,OH価250,分子量約500
ポリオールC:p-フタル酸/ジエチレングリコールの縮合系ポリエステルポリオール,官能基数2.0,OH価250,分子量約500
ポリオールD:NT-400, 三井化学(株)製,トルエンジアミン系ポリエーテルポリオール,官能基数4.0,OH価400
ポリオールE:HS-360, 三井化学(株)製,ソルビトール系ポリエーテルポリオール,官能基数6.0,OH価350。」

1f 「【0055】
【表1】

比較例1?11
実施例におけるポリオール成分の代わりに、表2に示すポリオール成分を用いる以外は、実施例と同様にしてフォームの形成を行い、各評価を行った。その結果を表2に示す。
【0056】
【表2】

表1及び表2の結果が示すように、本発明の実施例では、いずれも難燃性、圧縮強度、成形性が十分なものであった。特に、オルトフタル酸を酸成分とする縮合系ポリエステルポリオールと、メタ又はパラフタル酸を酸成分とするものとを併用する場合(実施例1?8)には、より難燃性が高いものとなった。これに対して、芳香族系ポリエステルポリオールを含まないか、少量含む場合(比較例1?3)には、難燃性が不十分になり、逆にポリエーテルポリオールを含まない場合(比較例4,5)には、圧縮強度、成形性が不十分になった。また、オルトフタル酸を酸成分とする縮合系ポリエステルポリオールを含まない場合(比較例6,7)には、圧縮強度が不十分になり、また、ポリエーテルポリオールの官能基数が低い場合(比較例9?11)にも、主に圧縮強度が不十分になった。」

2 引用文献の記載事項
記載1aないし1fから、引用文献には、次の事項(以下、順に「記載事項2a」ないし「記載事項2d」という。)が記載されていると認める。

2a 記載1eの「ウレタン原液として、表1に示すポリオール成分、および下記の整泡剤、難燃剤、触媒、発泡剤を均一に混合したもの(これをR液と呼ぶ)と、ポリイソシアネート成分としてクルードMDI(44V-20,住友バイエルウレタン(株)製)(これをP液と呼ぶ)とを準備した。」(段落【0053】)及び記載1fの【表1】の実施例3、4、7及び8(段落【0055】)によると、引用文献には、クルードMDI(44V-20,住友バイエルウレタン(株)製)であるポリイソシアネート成分が記載されている。

2b 記載1eの「ウレタン原液として、表1に示すポリオール成分、および下記の整泡剤、難燃剤、触媒、発泡剤を均一に混合したもの(これをR液と呼ぶ)と、ポリイソシアネート成分としてクルードMDI(44V-20,住友バイエルウレタン(株)製)(これをP液と呼ぶ)とを準備した。」(段落【0053】)及び「(表中原料の詳細)
ポリオールA:o-フタル酸/ジエチレングリコールの縮合系ポリエステルポリオール,官能基数2.0,OH価250,分子量約500
ポリオールB:m-フタル酸/ジエチレングリコールの縮合系ポリエステルポリオール,官能基数2.0,OH価250,分子量約500
ポリオールC:p-フタル酸/ジエチレングリコールの縮合系ポリエステルポリオール,官能基数2.0,OH価250,分子量約500
ポリオールD:NT-400, 三井化学(株)製,トルエンジアミン系ポリエーテルポリオール,官能基数4.0,OH価400
ポリオールE:HS-360, 三井化学(株)製,ソルビトール系ポリエーテルポリオール,官能基数6.0,OH価350。」(段落【0054】)並びに記載1fの【表1】の実施例3、4、7及び8によると、引用文献には、o-フタル酸/ジエチレングリコールの縮合系ポリエステルポリオールであるポリオールA;
p-フタル酸/ジエチレングリコールの縮合系ポリエステルポリオールであるポリオールC;
HS-360, 三井化学(株)製,ソルビトール系ポリエーテルポリオール,官能基数6.0,OH価350であるポリオールEが記載されている。

2c 記載1eの「ウレタン原液として、表1に示すポリオール成分、および下記の整泡剤、難燃剤、触媒、発泡剤を均一に混合したもの(これをR液と呼ぶ)と、ポリイソシアネート成分としてクルードMDI(44V-20,住友バイエルウレタン(株)製)(これをP液と呼ぶ)とを準備した。」(段落【0053】)及び「発泡剤:HCFC-141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)」(段落【0054】)並びに記載1fの【表1】の実施例3、4、7及び8(段落【0055】)によると、引用文献には、HCFC-141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)である発泡剤が記載されている。

2d 記載1a、記載1bの「本発明は、建築用などの各種の断熱材として用いられるイソシアヌレート変性ポリウレタンフォーム、並びにそれを用いた難燃性断熱パネルに関する。」(段落【0001】)及び「イソシアネートインデックス(NCO/OH当量比)については、3.50以上とするのが一般的であった。」(段落【0002】)、記載1d並びに記載1eの「ウレタン原液として、表1に示すポリオール成分、および下記の整泡剤、難燃剤、触媒、発泡剤を均一に混合したもの(これをR液と呼ぶ)と、ポリイソシアネート成分としてクルードMDI(44V-20,住友バイエルウレタン(株)製)(これをP液と呼ぶ)とを準備した。このR液とP液とを高圧注入設備を用いて、原液温度25℃に調整して混合攪拌し(イソシアネートインデックス:2.50)、連続的に供給される2枚の水平な金属製表面材(幅900mm,間隔100mm)の間隙に、ウレタン密度が40kg/m^(3)になる量にて、ノズルをトラバースさせながら均一散布した。2枚の金属製表面材は、ダブルコンベアにて一定の間隙が維持されながら、オーブン中を通過し、その間、加熱(60℃)を行うことで、長尺フォームの成形が行われた。」(段落【0053】)を記載事項2aないし2cとあわせてみると、引用文献には、ポリオール成分に発泡剤の存在下でポリイソシアネート成分を反応させて得られるものを含み、イソシアネートインデックス(NCO/OH当量比)が2.50である、イソシアヌレート変性ポリウレタンフォームが記載されている。

3 引用発明
記載1aないし1f及び記載事項2aないし2dを整理すると、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「クルードMDI(44V-20,住友バイエルウレタン(株)製)であるポリイソシアネート成分;および
o-フタル酸/ジエチレングリコールの縮合系ポリエステルポリオールであるポリオールA;
p-フタル酸/ジエチレングリコールの縮合系ポリエステルポリオールであるポリオールC;
HS-360, 三井化学(株)製,ソルビトール系ポリエーテルポリオール,官能基数6.0,OH価350であるポリオールE;ならびに
HCFC-141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)である発泡剤
を反応させて得られるものを含み、イソシアネートインデックス(NCO/OH当量比)が2.50である、イソシアヌレート変性ポリウレタンフォーム。」

第4 対比
本願発明と引用発明を対比する。

引用発明における「クルードMDI(44V-20,住友バイエルウレタン(株)製)であるポリイソシアネート成分」は、その機能、構成または技術的意義からみて、本願発明における「a)ポリイソシアナート化合物」に相当し、以下、同様に、「o-フタル酸/ジエチレングリコールの縮合系ポリエステルポリオールであるポリオールA」は「b)1)オルトフタル酸残基を有する第一のポリエステルポリオール」に、「p-フタル酸/ジエチレングリコールの縮合系ポリエステルポリオールであるポリオールC」は「b)2)テレフタル酸残基を有する第二のポリエステルポリオール」に、「HS-360, 三井化学(株)製,ソルビトール系ポリエーテルポリオール,官能基数6.0,OH価350であるポリオールE」は「b)3)少なくとも官能基数3および200より大きい水酸基価を有する少なくとも1種のポリエーテルポリオール」に、「HCFC-141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)である発泡剤」は「c)物理的発泡剤」に(本願明細書の段落【0042】及び段落【0056】の【表1】によると、本願発明において、物理的発泡剤として、HCFC-141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)を使用している。)、「反応させて得られるもの」は「反応生成物」に、「イソシアヌレート変性ポリウレタンフォーム」は「ポリイソシアヌレート発泡体組成物」に、それぞれ、相当する。

したがって、両者は、
「a)ポリイソシアナート化合物;および
b)1)オルトフタル酸残基を有する第一のポリエステルポリオール;
b)2)テレフタル酸残基を有する第二のポリエステルポリオール;
b)3)少なくとも官能基数3および200より大きい水酸基価を有する少なくとも1種のポリエーテルポリオール;ならびに
c)物理的発泡剤
の反応生成物を含む、ポリイソシアヌレート発泡体組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
本願発明においては、「イソシアネートインデックスが250より大きい」のに対し、引用発明においては、「イソシアネートインデックス(NCO/OH当量比)が2.50である」点(以下、「相違点」という。)。

第5 相違点についての判断
そこで、相違点について、以下に検討する。

引用発明における「イソシアネートインデックス(NCO/OH当量比)」の値である「2.50」は、百分率表記にすると、本願発明における「イソシアネートインデックス」の「250」に相当することは当業者に自明である。
そして、引用文献には、記載1aの「前記ポリイソシアネート成分の使用量が、イソシアネートインデックス2.00?3.00の範囲内である請求項1?3いずれかに記載のイソシアヌレート変性ポリウレタンフォーム。」(【特許請求の範囲】の【請求項4】)及び記載1cによると、「イソシアネートインデックス」を「2.00?3.00」(百分率表記にすると、「200?300」であり、本願発明における「イソシアネートインデックス」の値である「250より大きい」と「250?300」の範囲で重なる。)にすることによって、硬化速度を大きくすることができ、連続成形等において、接着性の低下や寸法安定性の低下を好適に防止することができることが記載されている。
したがって、引用発明において、記載1a及び1cを考慮して、「イソシアネートインデックス」を2.50よりも大きい2.50?3.00の範囲、すなわち本願発明における「イソシアネート」の値である「250より大きい」と重なる「250?300」の範囲にして、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

そして、引用発明は、記載1fの「表1及び表2の結果が示すように、本発明の実施例では、いずれも難燃性、圧縮強度、成形性が十分なものであった。」(段落【0056】)、【表1】(段落【0055】)及び【表2】(段落【0056】)等によると、圧縮強度は十分なものであるという効果を奏するものであるから、本願発明を全体としてみても、本願発明は、引用発明からみて、格別顕著な効果を奏するともいえない。

なお、請求人は、審判請求書において、「請求項1および9に係る本願発明におきましては、3種類のポリオールを必要とします。すなわち、「b)1)オルトフタル酸残基を有する第一のポリエステルポリオール」、「b)2)テレフタル酸残基を有する第二のポリエステルポリオール」、および「b)3)少なくとも官能基数3および200より大きい水酸基価を有する少なくとも1種のポリエーテルポリオール」です。このように、特定の3種類のポリオールを組み合わせて使用する点において、本願発明は、引用文献1に記載の発明と相違します。従いまして、本願発明は新規性を有するものと思料します。」旨主張するが、上記第3 3及び第4のとおり、引用発明においても、「b)1)オルトフタル酸残基を有する第一のポリエステルポリオール」、「b)2)テレフタル酸残基を有する第二のポリエステルポリオール」及び「b)3)少なくとも官能基数3および200より大きい水酸基価を有する少なくとも1種のポリエーテルポリオール」のそれぞれに相当するポリオールを有しており、すなわち、引用発明においても、本願発明と同様に、特定の3種類のポリオールを組み合わせて使用しており、該主張は採用できない。
また、請求人は、審判請求書において、「これに対し、引用文献1におきましては、圧縮強度に関する開示および示唆はありません。」旨主張するが、記載1bの「従って、本発明の目的は、急速な硬化が要求される場合でも、難燃性、圧縮強度、寸法安定性が良好なイソシアヌレート変性ポリウレタンフォーム、並びにそれを用いた難燃性断熱パネルを提供することにある。」(段落【0007】)並びに記載1fの「表1及び表2の結果が示すように、本発明の実施例では、いずれも難燃性、圧縮強度、成形性が十分なものであった。」(段落【0056】)、【表1】(段落【0055】)及び【表2】(段落【0056】)のとおり、引用発明においても、圧縮強度を良好にすることを、その解決しようとする課題とするものであるから、引用文献には、圧縮強度に関する開示および示唆はあるといえ、該主張も採用できない。

したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第6 むすび
上記第5のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許
を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-07-13 
結審通知日 2016-07-19 
審決日 2016-08-01 
出願番号 特願2013-523452(P2013-523452)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C08G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小森 勇  
特許庁審判長 小野寺 務
特許庁審判官 加藤 友也
橋本 栄和
発明の名称 ポリイソシアヌレート組成物  
代理人 小林 浩  
代理人 潮 太朗  
代理人 大森 規雄  
代理人 鈴木 康仁  
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