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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04L
管理番号 1323349
審判番号 不服2016-1962  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-08 
確定日 2017-01-24 
事件の表示 特願2014- 67105「MIMO無線通信システムにおけるフィードバックシグナリングの誤り検出および誤り検査」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月21日出願公開,特開2014-150560,請求項の数(20)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2008年4月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2007年4月30日 米国)を国際出願日とする出願である特願2010-506580号の一部を,平成25年6月7日に新たな特許出願とした特願2013-120960号の一部を,平成26年3月27日に更に新たな特許出願としたものであって,平成27年3月10日付けで拒絶理由が通知され,同年7月16日付けで手続補正がされ,同年9月30日付けで拒絶査定がされ,これに対し,平成28年2月8日に拒絶査定不服審判が請求され,同時に手続補正がされたものである。



第2 平成28年2月8日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)の適否
1 補正の内容
本件補正は,
(i) 特許請求の範囲の請求項18の
「誤り検査,誤り検出および誤り訂正の方法を選択し,符号化されるべき前記第1のフィードバック信号のビットの数に基づいて,前記第1のフィードバック信号に適用することであって,」を
「符号化されるべき前記第1のフィードバック信号のビットの数に基づいて,前記第1のフィードバック信号に適用するために,誤り検査,誤り検出および誤り訂正の方法を選択することであって,」とし,
(ii)同じく請求項18の
「誤り検査,誤り検出および誤り訂正の方法を選択し,前記第2のフィードバック信号のビットの数に基づいて,前記第2のフィードバック信号に適用すること,」を
「前記第2のフィードバック信号のビットの数に基づいて,前記第2のフィードバック信号に適用するために,誤り検査,誤り検出および誤り訂正の方法を選択すること,」とし,
(iii) 請求項19,20の
「前記誤り検査,誤り検出および誤り訂正の方法を選択し,前記第2のフィードバック信号の前記ビットの数に基づいて,」を
「前記選択された誤り検査,誤り検出および誤り訂正の方法を,」とするものである。


2 補正の適否の判断
本件補正の上記補正事項(i),(ii),(iii) は,平成27年3月10日付け拒絶理由で理由2として指摘され,同年9月30日付け拒絶査定にて依然として明確でないとされた事項を解消するためのものであるから,特許法第17条の2第5項第4号の明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また,特許法第17条の2第3項,第4項に違反するところはない。
よって,本件補正は,特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に適合する。



第3 本願発明について
(1)本願発明
本件補正は上記のとおり,特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に適合するから,本願の請求項1-20に係る発明は,本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-20に記載された事項により特定されるとおりのものである。
本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,以下のとおりである。
「WTRU(wireless transmit receive unit)におけるフィードバックの方法であって,
フィードバック信号を提供することであって,前記フィードバック信号は,PMI(precoding matrix index)またはCQI(channel quality index)の少なくとも1つを含むこと,
符号化されるべき前記フィードバック信号のビットの数を判定すること,
符号化されるべき前記フィードバック信号の前記ビットの数に基づいて,前記フィードバック信号に適用するために,誤り検査,誤り検出および誤り訂正の方法を選択することであって,前記誤り検査,誤り検出および誤り訂正の方法を選択することは,EC(error check)ビットの数を選択し,前記フィードバック信号に適用すること,およびチャネル符号化スキームを選択し,前記フィードバック信号および前記選択されたECビットの数に適用することを含むこと,
前記選択された誤り検査,誤り検出および誤り訂正の方法を前記フィードバック信号に適用すること,および
前記フィードバック信号を送信すること
を備えることを特徴とする方法。」


(2)引用発明等
原査定の拒絶理由に引用されたSamsung,Uplink data-non-associated control signaling([当審仮訳]:アップリングデータ非関連制御シグナリング),3GPP TSG RAN WG1#48b R1-071573,2007年3月30日,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_48b/Docs/R1-071573.zip(以下,「引用例」という。)には,以下の事項が記載されている。

ア 「

」(1ページ)
([当審仮訳]:
1 はじめに
物理アップリンク制御チャネルPUCCH上のフィードバック情報の異なるタイプには,サブバンドCQI情報,MIMOランク,MIMOアンテナ/レイヤ選択,MIMOプリコーディング及びダウンリンクデータ送信のためのACK/NACKが含まれる。これらの異なる制御情報に必要なビットが加算されると,総ビット数が大きくなる。したがって,できるだけオーバーヘッドを最小限に抑え,制御情報の伝送に効率的な技術を使用しようとすることが重要である。本稿では,アップリンクデータ非関連制御シグナリングのためのいくつかのアプローチとフォーマットについて論じる。 )

イ 「

」(1?3ページ)
([当審仮訳]:
2 アップリンク制御シグナリング
図1に示すように,UEからの異なるタイプのフィードバックを共同で符号化する方式を説明する。フォーマットフィールドは,各フィールドの長さを示し,所定のフィールドが存在するかどうかを示す。
(図1は省略。)
異なるタイプの情報が一緒に符号化される場合,ランク及び選択されたレイヤ情報が単一のフィールドに結合される図2に示すように,制御情報をより効率的に送信することも可能である。4つの送信アンテナのMIMO送信の場合のMIMOランク及びレイヤ選択表示のために合計4ビットのフィードバック(4+6+4+1=15の組合せ)が提供される。
(図2は省略。)
PUCCHフォーマットの一例を表Iに示す。合計5つのペイロードサイズ,すなわち,60,43,36,27及び16ビットが定義される。UEは,定義された総帯域幅にわたって1,5又は10個のサブバンドを仮定してフィードバックを提供すると仮定する。制御チャネル番号1は,10個のサブバンドの場合について,サブバンドCQI及びサブバンドベースのMIMOプリコーディング情報を搬送することを可能にする。MIMOランク情報は,サブバンドにわたって共通であると仮定する。制御チャネル番号2は,10個のサブバンドの場合について,サブバンドCQIを運ぶことができるが,MIMO情報を持たない。制御チャネル番号3は,10個のサブバンドの場合について,MIMO情報を運ぶことができるが,CQI情報を持たない。UEは,制御チャネル2及び3を交互に送信して,サブバンドCQI及びサブバンドベースのプリコーディングの両方の情報をノードBに提供することができる。1ビットのフォーマット表示は,所与の時間にどの情報が搬送されるかをノードBに伝える。この制御チャネル2及び3の交互送信は,UEが,サブ帯域CQI及びサブバンドプリコーディング情報の両方の送信に制御チャネル番号1を使用する場合に比べて,より低い電力で送信することを可能にする。ノードBは,1ビットフォーマット表示の存在のために,制御チャネル2と3との間でブラインドで復号する必要はない。
制御チャネル番号4は,10個のサブバンドの場合について,UEが,サブバンドCQIをフィードバックするが,PMI情報([当審注]:文脈及び表Iからみて,「CQI」は「PMI」の誤記と認められる。)ではなく,共通のMIMOプリコーディング情報をフィードバックする。同じペイロードサイズを有する制御チャネル番号7は,5つのサブバンドの場合について,UEが,サブバンドCQI,及びサブバンドベースのMIMOプリコーディングMIMO情報をもフィードバックする場合に使用される。1ビットのフォーマット表示は,チャネル番号4と7を区別する。
制御チャネル番号5,6,8及び9は,同じ27ビットのペイロードサイズを有し,2ビットのフォーマット表示フィールドによって区別される。例えば,制御チャネル番号5は,UEが,平均CQIをフィードバック,及び事実上単一のサブバンド/全RBの共通プリコーディングをフィードバックする場合に使用される。
残りの2つの制御チャネル,すなわち制御チャネル番号10及び11は,平均CQIフィードバックのために使用され,MIMOプリコーディングをフィードバックしない。制御チャネル番号10と11との間の違いは,10がACK/NACKフィールドを搬送しないことである。チャネル番号11は,2ビットのACK/NACKフィールドと,粒度が減少された3ビットのCQIフィールドとを搬送する。両制御チャネルは,合計16ビットを搬送する。
また,アップリンクリソース要求等の他のフィールドをPUCCHに追加して,追加のPUCCHフォーマットを作成することも可能である。また,ACK/NACKが期待されない場合,2ビットのACK/NACKフィールドは,リソース要求等を送信する等の他の目的にも使用することができる。同様に,2-TxアンテナMIMOが使用される場合,MIMOランク及びレイヤ選択フィールドは2ビットを必要とするのみであるから,残りの2ビットは,他のタイプのアップリンクフィードバックに使用することができ,又はCQIフィールドのようないくつかのフィールドでより多くのビットを利用可能にすることができる。
(表Iは省略。) )

ウ 「

」(3?4ページ)
([当審仮訳]:
2.1 PUCCHのチャネル符号化と変調
図3に示されるように,PUCCHは畳み込み符号を用いて符号化される。図3に示される符号化は,別々に送信されるACK/NACKには適用されないことに留意されたい。符号化された情報は,必要に応じてパンクチャされ,QPSK変調を用いて変調される。変調シンボルは,物理リソースにマッピングされる。
(図3は省略。)
2.2 PUCCHブラインド復号
ノードBは,UEが使用できるPUCCHチャネル番号を構成することができる。ノードBがUEに全ての可能なPUCCHフォーマットを使用させる場合,5つのペイロードサイズのための合計5つのブラインド復号がノードBにおいて必要である。合計11種類のPUCCHフォーマットがサポートされているが,一部のフォーマットは1ビット又は2ビットのフォーマットフィールドで区別されるため,追加のブラインド復号は必要ない。
ACK/NACKが他の情報と共同して符号化されるとき,CRCが失敗すると,ノードBはその時点で送信されたACK/NACKをNACK信号として解釈すべきであることに留意されたい。

2.3 制御チャネル構造
ソレントでのRAN1#47bis会議では,アップリンク制御チャネルのための各周波数リソースは12個のサブキャリアの倍数(1サブフレームの各スロット内の上部及び/又は下部からなる)であると決定されている。[1]と[2]に示すように,同一のRU内の異なるUEのCDMには,基本Chuシーケンスの異なる巡回シフトが使用される。そして,各スロット内の7つのLBのうちの1つのLBがRSのために使用されると仮定すると,最大で12個の変調シンボルがUEから制御チャネルで運ばれることができる。したがって,12個を超える変調シンボルがあるUEのアップリンク制御シグナリングのために送信される場合,サイクリックシフト直交性によるCDMに基づいていないかもしれない別のUL多重化構造が必要とされるかもしれない。

3 まとめ
CQI,ACK/NACK,MIMOランク,MIMOレイヤ選択,MIMOプリコーディング等のアップリンク制御情報の共同符号化を可能にする,いくつかの可能なPUCCHフォーマットを説明した。RAN1はPUCCH制御情報の共同符号化を考慮することを提案する。 )

上記ア?ウの記載及び図面並びに当業者に技術常識によれば,
UEが,制御チャネル番号1?11のアップリンク制御チャネルフォーマットにより,eノードBにフィードバック情報を提供していることは明らかである。そして,表Iによれば,当該フィードバック情報は,PMIまたはCQIの少なくとも1つを含むといえる。また,表I及び図3によれば,当該フィードバック情報には,CRCの付加および畳み込み符号化が適用され,eノードBに送信されることが見てとれる。

そうすると,引用例には,
「UEにおけるフィードバックの方法であって,
フィードバック情報を提供することであって,前記フィードバック情報は,PMIまたはCQIの少なくとも1つを含むこと,
CRCの付加および畳み込み符号化を前記フィードバック情報に適用すること,および
前記フィードバック情報を送信すること
を備える方法。」
との発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。


同じく原査定の拒絶理由に引用された米国特許出願公開第2004/0015603号明細書には,以下の事項が記載されている。

エ 「[0002] The invention relates to a method for securing data transfer in a data bus via which data telegrams (messages, packets) of at least one transmitter are transmitted. The data telegrams contain a data field of a variable length and a check sum (CRC), in which case the data transmission quality is determined by the receiver using the check sum.
[0003] A method of this type is known from German Patent document DE 197 53 288 A. The check sum may be a parity check or a cyclic redundancy check.
[0004] The data telegram consists essentially of header data, the so-called header, for the identification of the transmitter and/or of the content of the data telegram, the actual (useful) data (data field, payload) and the check sum. The check sum is computed according to a defined formula from the data to be transmitted and is transmitted along with the useful data by way of the transmission medium, preferably constructed as a data bus. The receiver of the data also computes this check sum according to the same computation rule. If the two values do not correspond, this indicates a transmission disturbance, and the data can be identified as mutilated.
[0005] The length of the check sum depends on the number of the useful data bits to be protected and on the required transmission security, thus the Hamming distance. A large number of data bits to be protected, while the Hamming distance is the same, requires a longer check sum. In the case of data transmission protocols known today, the computing of the check sum takes place according to a fixed pattern, that is, the length of the check sum depends on the maximally possible number of data bits to be protected.
[0006] It is disadvantageous that, in the case of short data telegrams, the long check sum is also transmitted. This results in a constant telegram overhead which is independent of the number of useful data bits.
[0007] It is an object of the invention to reduce the telegram overhead, without losses in the transmission quality, to an absolutely necessary extent and, therefore, reduce the bus load as a result of the reduction of the telegram overhead.
[0008] The invention achieves this object by providing a method of protecting the data transmission in a data bus via which data telegrams of at least one transmitter are transmitted. The data telegrams contain a data field of a variable length and a check sum (CRC). The data transmission quality is determined by the receiver using the check sum. When the data field length is short, the check sum has a shorter length than in the case of a data field having a large length.」(1ページ左欄)
([当審仮訳]:
[0002] 本発明は,データバス内のデータ伝達を保護するための方法に関し,このデータバスを介して少なくとも1つの送信部のデータメッセージが転送され,これらのデータメッセージは可変長のデータフィールドと検査合計(CRC)とを含み,このデータバスではデータ伝達品質が受信部により検査合計に基づいて決定される。
[0003] この種の方法はドイツ特許出願公開第19753288号明細書から知られている。検査合計としては奇偶検査(Parity Check)または巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check)が扱われ得る。
[0004] データメッセージは,実質的に,データメッセージの送信部及び/又は内容を識別するためのヘッドデータ,即ちヘッダと,実際の(有効)データ(データフィールド)と,検査合計とから構成される。検査合計は,決まった数式に従い,伝達すべきデータから計算され,有利にはデータバスとして形成されている伝達媒体を介して有効データと共に伝達される。データの受信部は同じ計算規則に従って検査合計を同様に計算する。両方の値が不一致である場合,伝達障害が存在し,データは改ざんされたものとして識別され得る。
[0005] 検査合計の長さは,保護すべき有効データビットの数および必要とされる伝達安全性,即ちハミング距離に従って設定される。保護すべきデータビットの数が大きい場合,同じハミング距離ではより長い検査合計が必要とされる。今日知られているデータ伝達プロトコルでは検査合計の計算は固定のパターンに従って行われる。即ち,検査合計の長さは保護すべきデータビットの最大可能な数に従って設定される。
[0006] この際,データメッセージが短い場合に同様に長い検査合計が伝達されることは不利である。このことはメッセージオーバーヘッドを有効データビットの数に依存しない一定のものとする。
[0007] 本発明の基礎を成す課題は,メッセージオーバーヘッドを伝達品質の損失を伴うことなく必要不可欠な大きさに減少すること,それと共にバスの負荷をメッセージオーバーヘッドの減少により減少することである。
[0008] 本発明は,データバス内のデータ伝達を保護するための方法であって,このデータバスを介して少なくとも1つの送信部のデータメッセージが転送され,これらのデータメッセージは可変長のデータフィールドと検査合計(CRC)とを含み,データ伝達品質が受信部により検査合計に基づいて決定される前記方法において,データフィールド長が短い場合の検査合計が大きな長さのデータフィールドの場合よりも短い長さを有することなる方法を提供することにより,この目的を達成する。)

同じく原査定の拒絶理由に引用された特開平07-336364号公報には,以下の事項が記載されている。

オ 「【要約】
【目的】送信するデータに応じて適正な誤り訂正符号化を行うことができるデジタル無線通信システムを提供することを目的とする。
【構成】送信するデータパケットの長さに応じて使用する誤り訂正符号の符号長を変えたり,長さによって符号化するかしないかを選択したりすることによって,様々な長さのパケットがある場合でも,パケット長にふさわしい符号長の誤り訂正符号を使用可能にした。
(中略)
【従来の技術】一般に,無線回線ではデータの誤りが発生しやすいため,誤り訂正符号が使用されてきた。そして,よく使用される符号としては畳み込み符号がある。
【0003】この畳み込み符号は,任意の長さのデータを符号化することが可能であるため,様々な種類のデータに使用することが可能である。
【0004】しかし,短いパケットの符号化にはやや不向きであったため,パケット形式でデータを送る場合には,ブロック符号が使用されることが多い。この場合,様々なパケット長が存在する場合は,以下のような方法がとられてきた。
【0005】(1)短い符号長の誤り訂正符号を使用し,長いデータを符号化する必要のある場合は,複数の符号語を繰り返し使用する。
【0006】(2)長い符号長を使用し,短いデータを符号化する場合には,余分のデータを付加する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,ブロック符号の誤り訂正能力は長い符号長のものほど大きくなる。そのため,従来の上記(1)の方法のように,短い符号長を使用する場合には,データ通信の要求を満たすために,十分な誤り訂正能力を得ることが困難であった。
【0008】逆に,上記(2)の方法のように,長い符号長を使用する場合には,余分なデータの付加によって短いパケットの伝送効率が落ちるという問題があった。
【0009】本発明は,送信するデータに応じて適正な誤り訂正符号化を行うことができるデジタル無線通信システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は,送信するデータパケットの長さに応じて使用する誤り訂正符号の符号長を変えたり,長さによって符号化するかしないかを選択したりすることによって,様々な長さのパケットがある場合でも,パケット長にふさわしい符号長の誤り訂正符号を使用可能にしたものである。
(中略)
【0030】なお,上記第1実施例では,制御パケットは誤り訂正符号化を施さないで,誤り検出のみを行っていたが,本発明の第2実施例として,データパケットで使用する符号長に比べて短い符号長の誤り訂正符号を使用すれば,さらに大きな効果を得ることができる。
【0031】また,このように短い符号長の符号化・復号化のための演算は,比較的単純であるため,ハードウェアロジックによらないで,CPU4の演算処理によって行うようにすれば,ハードウェアを付加することなく,効率の良い処理を確保できる。
【0032】また,上記第1実施例では,誤り訂正符号としてリードソロモン符号を使用したが,それに限定されるものではなく,BCH符号,畳み込み符号,その他の符号を使用する場合も同様の構成をとることが可能である。
【0033】また,上記第1実施例では,制御パケットとデータパケットとで符号化のしかたを区別するようにしたが,同じデータパケットでも長さに応じて符号長を変化させたり,符号化率(伝送データ量/パリティデータ量),符号化の有無を決定したりすることも可能である。」(1ページ,2ページ2欄,3ページ4欄?4ページ5欄)

上記エ,オにも記載されているように,一般的に,「送信されるべき情報の長さに基づいて誤り検査(CRC)の長さを選択すること。」,「送信されるべき情報の長さに基づいて適用すべき誤り訂正の方法を選択すること。」は,いずれも周知であると認められる。

(3)対比
本願発明と引用発明とを対比すると,
引用発明の「UE」は,明らかに「WTRU(wireless transmit receive unit)」といえる。また,本願発明の「フィードバック信号」,「PMI(precoding matrix index)」,「CQI(channel quality index)」と,引用発明の「フィードバック情報」,「PMI」,「CQI」とは,表記が異なるのみであって差異は無い。
引用発明の「CRCの付加」は,本願発明の「誤り検査,誤り検出」「の方法」に含まれ,また,引用発明の「畳み込み符号化」は,本願発明の「誤り訂正の方法」に含まれる。

したがって,本願発明と引用発明とは,
「WTRU(wireless transmit receive unit)におけるフィードバックの方法であって,
フィードバック信号を提供することであって,前記フィードバック信号は,PMI(precoding matrix index)またはCQI(channel quality index)の少なくとも1つを含むこと,
所定の誤り検査,誤り検出および誤り訂正の方法を前記フィードバック信号に適用すること,および
前記フィードバック信号を送信すること
を備える方法。」の点で一致している。

他方,本願発明と引用発明は,以下の点で相違する。
本願発明は,「符号化されるべき前記フィードバック信号のビットの数を判定すること,符号化されるべき前記フィードバック信号の前記ビットの数に基づいて,前記フィードバック信号に適用するために,誤り検査,誤り検出および誤り訂正の方法を選択することであって,前記誤り検査,誤り検出および誤り訂正の方法を選択することは,EC(error check)ビットの数を選択し,前記フィードバック信号に適用すること,およびチャネル符号化スキームを選択し,前記フィードバック信号および前記選択されたECビットの数に適用することを含むこと」なる構成を備えるのに対し,引用発明は,「符号化されるべき前記フィードバック信号のビットの数を判定する」なる構成を有しておらず,引用発明のCRCビットの数は常に一定(8ビット)であり,誤り訂正の方法は常に畳み込み符号化である点。

(4)判断
上述のとおり,一般的に,「送信されるべき情報の長さに基づいて誤り検査(CRC)の長さを選択すること。」,「送信されるべき情報の長さに基づいて適用すべき誤り訂正の方法を選択すること。」は,いずれも周知である。しかしながら,引用例の記載(上記(2)ア参照。)によれば,引用発明は,サブバンドCQI情報,MIMOランク,MIMOアンテナ/レイヤ選択,MIMOプリコーディング及びダウンリンクデータ送信のためのACK/NACK等の異なる制御情報に必要なビットが加算されると総ビット数が大きくなることから,できるだけオーバーヘッドを最小限に抑え,制御情報の伝送に効率的な技術を使用するために,11個のPUCCHのフォーマットを規定するものであり,その総ビット数は60,43,36,27,16のいずれかである。そして,引用例の記載(上記(2)ウの「2.2 PUCCHブラインド復調」参照。)によれば,eノードBは5つのペイロードサイズについて5つのブラインド復調を行うことを予定しているのであるから,符号化されるべきフィードバック情報のビット数によりCRCの長さが変わる結果総ビット数が可変となることは想定されていないと解するのが自然である。してみると,引用発明に上記周知事項を適用することには阻害要因があるというべきである。
したがって,本願発明は,当業者が引用発明に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

請求項9,18に係る発明は,本願発明と同様の発明特定事項を備えるものであるから,本願発明と同様に,当業者が引用発明に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。
請求項2-8,10-17,19,20に係る発明は,本願発明又は請求項9,18に係る発明を更に限定したものであるので,本願発明と同様に,当業者が引用発明に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

なお,同じく原査定の拒絶理由に引用され,引用発明と同様の発明が記載されているとされる LG Electronics,Further Analysis on DCT based CQI reporting Scheme([当審仮訳]:DCTをベースとしたCQI報告スキームについての更なる分析),3GPP TSG-RAN WG1#46b R1-062575,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_46bis/Docs/R1-062575.zip>,2006年10月 は,CQIフィードバックの圧縮方法の提案であり,提案手法の比較に当たり,1/3ターボ符号化,24ビットCRCを仮定しているにすぎず,そのようなものに上記周知事項を適用する動機付けは見出せないから,本願の請求項1-20に係る発明は,当業者が当該文献に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたとはもいえない。



第4 むすび
以上のとおり,本願の請求項1-20に係る発明は,いずれも当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではないから,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-01-11 
出願番号 特願2014-67105(P2014-67105)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04L)
P 1 8・ 537- WY (H04L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 谷岡 佳彦  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 菅原 道晴
中野 浩昌
発明の名称 MIMO無線通信システムにおけるフィードバックシグナリングの誤り検出および誤り検査  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  
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