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審決分類 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 補正却下を取り消さない 原査定を取り消し、特許すべきものとする G01B
審判 査定不服 2項進歩性 補正却下を取り消さない 原査定を取り消し、特許すべきものとする G01B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 補正却下を取り消さない 原査定を取り消し、特許すべきものとする G01B
管理番号 1323356
審判番号 不服2015-20043  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-11-06 
確定日 2017-01-23 
事件の表示 特願2011-545326「ウェーハを検査するためのシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 7月22日国際公開、WO2010/082901、平成24年 7月 5日国内公表、特表2012-515331、請求項の数(31)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年1月13日(パリ条約による優先権主張 2009年1月13日(以下、「優先日」という。) シンガポール、2009年2月16日 シンガポール)を国際出願日とする出願であって、平成25年10月22日付けの拒絶理由通知に対して、平成26年4月30日付けで手続補正がなされ、平成26年8月6日付けの最後の拒絶理由通知に対して、平成27年2月12日付けで手続補正がなされたが、平成27年6月26日付けで、平成27年2月12日付け手続補正書でした補正の却下の決定がなされるとともに、同日付で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対し、平成27年11月6日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。
その後、当審において平成28年8月23日付けで最後の拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成28年11月9日付けで手続補正がされたものである。

第2 平成28年11月9日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1 補正の内容
(1)請求項1について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前に、
ア 「【請求項1】
一検査システムであって、
ウェーハが走査走行パスに沿って移動されている間に、ウェーハの一部が配置されている1つの検査位置に対して、第1の照明および第2の照明を連続して供給し、向かわせるように構成された照明設定であって、明視野照明と暗視野照明との組合せの少なくとも1つを出力するように構成されている、照明設定と、
前記ウェーハが、前記走査走行パスに沿った検査位置の全域を移動された時に、前記ウェーハの一部に向かってきて、前記ウェーハの一部から反射される前記第1の照明および前記第2の照明のそれぞれを受け取るように構成され、前記照明設定によって出力された明視野照明と暗視野照明の任意の組合せとして受け取った前記第1の照明および前記第2の照明を、それぞれ、第1の光パスおよび第2の光パスに沿って反射させるように構成され、前記第1の光パスは前記第2の光パスとは異なる、ビーム分割器と、
前記照明設定によって出力された明視野照明と暗視野照明の任意の組合せである、記第1の光パスおよび前記第2の光パスに沿って前記ビーム分割器によって反射された前記第1の照明および前記第2の照明を、ぞれぞれを受け取るように構成されている第1の画像収集装置および第2の画像収集装置であって、前記ウェーハが走査走行パスに沿った検査位置の全域を移動された時に、それぞれ前記ウェーハの第1の画像および第2の画像を収集するように構成されている第1の画像収集装置および第2の画像収集装置と、を備え、
前記ウェーハが、各検査位置における前記第1の画像と前記第2の画像の収集の間である、前記走査走行パスに沿った距離だけ空間的に変位される、ことを特徴とするシステム。」
とあったところを、

イ 「【請求項1】
一検査システムであって、
ウェーハが走査走行パスに沿って移動されている間に、ウェーハの一部が配置されている1つの検査位置に対して、第1の照明および第2の照明を連続して供給し、向かわせるように構成された照明設定であって、明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明との組合せの少なくとも1つを出力するように構成されている、照明設定と、
前記ウェーハが、前記走査走行パスに沿った検査位置の全域を移動された時に、前記ウェーハの一部に向かってきて、前記ウェーハの一部から反射される前記第1の照明および前記第2の照明のそれぞれを受け取るように構成され、前記照明設定によって出力された明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明の任意の組合せとして受け取った前記第1の照明および前記第2の照明を、それぞれ、第1の光パスおよび第2の光パスに沿って反射させるように構成され、前記第1の光パスは前記第2の光パスとは異なる、ビーム分割器と、
前記照明設定によって出力された明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明の任意の組合せである、記(当審注:「前記」の誤記)第1の光パスおよび前記第2の光パスに沿って前記ビーム分割器によって反射された前記第1の照明および前記第2の照明を、それぞれを受け取るように構成されている第1の画像収集装置および第2の画像収集装置であって、前記ウェーハが走査走行パスに沿った検査位置の全域を移動された時に、それぞれ前記ウェーハの第1の画像および第2の画像を収集するように構成されている第1の画像収集装置および第2の画像収集装置と、を備え、
前記ウェーハが、各検査位置における前記第1の画像と前記第2の画像の収集の間である、前記走査走行パスに沿った距離だけ空間的に変位される、ことを特徴とするシステム。」
とする補正(以下、「補正事項1」という。)を含むものである(下線は、補正箇所を示す。)。

(2)請求項4について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項4について、本件補正前に、
ア 「【請求項4】
前記複数の広帯域照明器が、明視野照明と暗視野照明との複数の組合せを出力するように構成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の検査システム。」
とあったところを、

イ 「【請求項4】
前記複数の広帯域照明器が、明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明との複数の組合せを出力するように構成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の検査システム。」
とする補正(以下、「補正事項2」という。)を含むものである。

(3)請求項24について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項24について、本件補正前に、
ア 「【請求項24】
一検査方法であって、
ウェーハが走査走行パスに沿って移動されている間に、前記ウェーハの一部が配置されている検査位置に対して、照明設定によって、第1の照明および第2の照明を連続して供給し、向かわせるステップであって、前記照明設定は、明視野照明と暗視野照明との組合せの少なくとも1つを出力するように構成されている、ステップと、
前記検査位置に配置された前記ウェーハの一部から反射された前記第1の照明および前記第2の照明を、ビーム分割器において受け取るステップと、
明視野照明と暗視野照明の組合せとして受け取った前記第1の照明および前記第2の照明を、それぞれ、第1の光パスおよび第2の光パスのそれぞれに沿って前記ビーム分割器によって反射させるステップであって、前記第1の光パスは前記第2の光パスとは異なる、ステップと、および、
前記ウェーハが走査走行パスに沿って移動されている時に、前記照明設定によって出力される明視野照明と暗視野照明の組合せとして、前記第1の光パスに沿って向けられた前記第1の照明および前記第2の光パスに沿って向けられた前記第2の照明を受けることによって、複数の検査位置の各々において第1の画像および第2の画像を、それぞれ第1の画像収集装置および第2の画像収集装置で収集するステップと、を含み、
前記ウェーハが、前記第1の画像の収集と前記第2の画像の収集との間にある前記走査経路に沿った距離だけ空間的に変位される、ことを特徴とする方法。」
とあったところを、

イ 「【請求項24】
一検査方法であって、
ウェーハが走査走行パスに沿って移動されている間に、前記ウェーハの一部が配置されている検査位置に対して、照明設定によって、第1の照明および第2の照明を連続して供給し、向かわせるステップであって、前記照明設定は、明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明との組合せの少なくとも1つを出力するように構成されている、ステップと、
前記検査位置に配置された前記ウェーハの一部から反射された前記第1の照明および前記第2の照明を、ビーム分割器において受け取るステップと、
明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明の組合せとして受け取った前記第1の照明および前記第2の照明を、それぞれ、第1の光パスおよび第2の光パスのそれぞれに沿って前記ビーム分割器によって反射させるステップであって、前記第1の光パスは前記第2の光パスとは異なる、ステップと、および、
前記ウェーハが走査走行パスに沿って移動されている時に、前記照明設定によって出力される明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明の組合せとして、前記第1の光パスに沿って向けられた前記第1の照明および前記第2の光パスに沿って向けられた前記第2の照明を受けることによって、複数の検査位置の各々において第1の画像および第2の画像を、それぞれ第1の画像収集装置および第2の画像収集装置で収集するステップと、を含み、
前記ウェーハが、前記第1の画像の収集と前記第2の画像の収集との間にある前記走査経路に沿った距離だけ空間的に変位される、ことを特徴とする方法。」
とする補正(以下、「補正事項3」という。)を含むものである。

(4)請求項25について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項25について、本件補正前に、
ア 「【請求項25】
前記照明設定は、前記第1の照明と前記第2の照明の少なくとも1つの組合せとして明視野照明と暗視野照明の複数の組合せを出力するように構成された明視野照明エミッタおよび暗視野照明エミッタを含む複数の広帯域照明エミッタを備えることを特徴とする請求項24に記載の検査方法。」
とあったところを、

イ 「【請求項25】
前記照明設定は、前記第1の照明と前記第2の照明の少なくとも1つの組合せとして明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明の複数の組合せを出力するように構成された明視野照明エミッタおよび暗視野照明エミッタを含む複数の広帯域照明エミッタを備えることを特徴とする請求項24に記載の検査方法。」
とする補正(以下、「補正事項4」という。)を含むものである。

2 補正の適否
(1)補正事項1について
本件補正の補正事項1は、
a 本件補正前の請求項1の「明視野照明と暗視野照明」について、「明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明」と補正し、
b 本件補正前の請求項1の「ぞれぞれ」について、「それぞれ」と補正するものである。

上記aに係る補正は、「明視野照明と暗視野照明」について、「明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明」と補正することにより、当審拒絶理由の「理由」「この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。・・・請求項1の記載は、明視野照明及び暗視野照明が、広帯域照明以外の照明(例えば、狭帯域照明。)を用いるような、発明の詳細な説明に開示のない発明まで含むこととなる。・・・ したがって、請求項1-23は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することとなり、請求項1-23に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。」の指摘に対応して、請求項1の記載を明確にすることにより、請求項1に係る発明を、発明の詳細な説明に記載したものとするためであり、特許法第17条の2第5項第4号(明りょうでない記載の釈明)に掲げる事項を目的とするものである。
上記bに係る補正は、特許法第17条の2第5項第3号(誤記の訂正)に掲げる事項を目的とするものである。
したがって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第5項第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものである。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。

(2)補正事項2ないし4について
本件補正の補正事項2ないし4は、
本件補正前の請求項4,24及び25の「明視野照明と暗視野照明」について、「明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明」と補正し、当審拒絶理由の指摘に対応して、請求項4、24及び25の記載を明確にすることにより、請求項4,24及び25に係る発明を、発明の詳細な説明に記載したものとするためであり、特許法第17条の2第5項第4号(明りょうでない記載の釈明)に掲げる事項を目的とするものである。
したがって、本件補正の補正事項2ないし4は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる事項を目的とするものである。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。

3 むすび
本件補正は、特許法17条の2第3項ないし第5項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に適合するから、本願の請求項1ないし31に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし31に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2 1(1) イ」に記載したとおりのものである。

第4 原査定の理由について
1 原査定の拒絶の理由の概要
平成26年8月6日付けで通知した拒絶理由の概要は、次の通りである。
「 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項1?32
・引用文献等1?15
・備考
(請求項1について)
請求項1に係る発明は、「前記ウェーハが、前記第1の画像と前記第2の画像の収集の間である距離だけ空間的に変位される」構成を有しているのに対して、引用文献1(段落154?158、第26図等)には、該構成が記載されていない点(以下「相違点」という。)で相違しており、その他の点では一致している。
・・・
上記相違点について検討する。
引用文献2には、明視野像と暗視野像を高いスループットで得ること等の課題を解決するために、上記相違点の構成を設けた点(請求項1、段落5、26?48、第1?3図、第6図等)が記載されている。
してみれば、上記引用文献1記載の発明において、ウェーハの第1の画像および第2の画像を高いスループットで得ようとして、上記引用文献2記載の構成を採用して、請求項1に係る発明のように構成することは、当業者にとって容易である。
・・・
引 用 文 献 等 一 覧
1.米国特許出願公開第2004/0207836号明細書
2.特開2005-214978号公報
3.特開2007-232555号公報
4.特開2006-162500号公報
5.特表2009-511908号公報
6.米国特許第5822055号明細書
7.特開2005-337851号公報
8.特表2005-536732号公報
9.米国特許出願公開第2004/0095573号明細書
10.特開2000-337823号公報
11.特公昭49-25223号公報
12.米国特許出願公開第2008/0002207号明細書
13.米国特許出願公開第2008/0032429号明細書
14.特開2003-149169号公報
15.特開2005-250151号公報」

2 原査定の理由の判断
(1) 引用文献の記載事項
ア 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、米国特許出願公開第2004/0207836号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

a 「[0092] The invention is particularly applicable to semiconductor wafer substrate and disk drive substrate optical inspection systems and it is in these contexts that the invention will be described. It will be appreciated, however, that the optical inspection system and method in accordance with the invention has greater utility since the system can be used to detect and measure particles, defects, etc. on any type of substrate, such as flat panel display substrates and the like. 」
(当審訳:本発明は、半導体ウエハ基板とディスク駆動基板光学検査システムにも適用可能であるし、これらに関連して本発明について説明する。システムは、任意のタイプの基板上の粒子、欠陥等を検出し、測定するために使用することができるので、本発明によれば光学検査システムおよび方法がより広い効用を有すること、フラットパネルディスプレイ基板などである。)

b 「[0098] FIG. 5 is a block diagram illustrating a preferred embodiment of a broadband optical inspection system 1 in accordance with the invention. The optical inspection system provides simultaneous illumination of the top and bottom surface of a substrate 27. The scatter from scattering features that scatters light in the illuminated area is detected across the entire area simultaneously by high dynamic range and high precision array photodetectors. The scattering features may include, but are not limited to, defects in the substrate, scratches, pits, particles, device patterns and pattern anomalies, etched regions, polish roughness and texture on the surface of the substrate; embedded particles in films on a surface of the substrate and any aspect of the surface of the substrate that scatters light. In accordance with the invention, the light may include electromagnetic radiation energy from less than 200 nm in wavelength to more than 1100 nm in wavelength and preferably from deep ultraviolet electromagnetic radiation to visible electromagnetic radiation energy. Since each array photodetector pixel integrates scattered light individually, scatter signals can be acquired in parallel, thus significantly increasing measurement throughput. Further, neither the substrate nor the sources are scanned/moved and there are no moving parts during image acquisition thus further increasing throughput and system reliability. Since the optical inspection system provides simultaneous front and backside particle inspection, throughput is further improved by at least a factor of two. The system has very high dynamic range and high precision scatter detection such that particles ranging from sub tenth micron diameter through tens of microns diameter are detected in a single measurement pass in accordance with the invention, thus further improving throughput. The system is very compact, low cost and simple and thus can readily be integrated onto process or other tools. Because the whole substrate is illuminated and imaged simultaneously and the substrate is not in motion during the measurement, system-to-system matching is greatly improved over existing commercial defect inspection systems. The elements of the system will be described generally with respect to FIG. 5. Each element of the system will then be described in greater detail below.」
(当審訳:図5は、本発明による広帯域光学検査システム1の好ましい実施形態を示すブロック図である。光学検査システムは、基板27の上面及び下面の同時照明を提供する。被照明領域における光を散乱させる散乱特徴からの散乱は、高ダイナミックレンジかつ高精度アレイ光検出器によって同時に全域にわたって検出される。散乱特徴は、限定はしないが、基板の欠陥は、スクラッチ、ピット、粒子、デバイスパターンとパターンに異常(anomaly)は、エッチングされた領域は、研磨粗さと基板の表面にテクスチャと、基板の表面と、光を散乱させる基板の表面の任意の態様に膜に埋め込まれた粒子を含むことができる。本発明によれば、光は、波長1100nm以上に、好ましくは深紫外域の電磁線の可視電磁放射線エネルギーに200nm未満からの電磁放射エネルギーを含むことができる。各アレイ光検出器ピクセルは、散乱光を積分して個別にため、散乱信号が並列に取得され、すなわち、測定スループットを大幅に増大させることができる。また、基板およびソースのいずれも走査移動させ、画像収集中に可動部のでスループットの向上やシステムの信頼性を向上させるものではない。光学検査システムは、同時表面画像と裏面異物検査を提供するので、スループットをさらに少なくとも2分の1によって改善される。システムは、非常に高いダイナミックレンジおよび高精度な散乱検出を直径10μmの第10のサブミクロン径の粒子は、本発明による単一の測定パスで検出することにより、スループットをより向上させることができるようになっている。システムは、非常に小型、低コスト、単純であり、したがってプロセスまたは他のツール上に集積することが容易である。基板全体が照明され結像し基板を測定中に運動していないので、システムの整合は、既存の市販の欠陥検査システムに比べて大幅に改善される。システムの構成要素は、図5に関連して一般的に説明する。システムの各要素は、以下でより詳細に説明する。)

c 「[0154] FIG. 26A illustrates an optical system 320 in accordance with the invention that includes a second photodetector and a second broadband light source. In particular, a broadband light source 322 is located so that it generates light at an angle other than normal to a substrate 27. A beam dump 326 and high dynamic range and high precision imaging detector 328A are located on an opposite side of the substrate 27 as shown so that a particle 321 scatter may be detected and measured in accordance with the invention. The second source 325 and second high dynamic range and high precision imaging detector 327 may be used to verify that a substrate is loaded, to align the substrate before and during the inspection process and to provide a high dynamic range and high precision brightfield inspection image. The second detector 327 also may provide darkfield scatter information from source 322 as in the front and back side photodetectors (5A-7A, 5B-7B) in FIG. 5. The scatter may be also more intense when the detector is closer to either the forward or backward scattered light paths or orthogonal to the illumination path. FIG. 26A also illustrates a nearly on-axis (forward scatter) configuration of a high dynamic range and high precision imaging detector 328A in accordance with the invention. FIG. 26A also illustrates a nearly on-axis (backward scatter) configuration of a high dynamic range and high precision imaging detector 328B in accordance with the invention. A detector may also be positioned at an azimuthal angle away from the illumination plane. In commercial laser scanning scatter detection systems, when the detector is positioned out of the illumination plane, at an azimuthal angle greater than zero, it is called “double dark field“. 」
(当審訳:図26Aは、第2の光検出器と第2の広帯域光源を含む、本発明に従い、光学系320を示す図である。具体的には、基板27に対して垂直以外の角度で光を発生するように配置されている広帯域光源322が設けられている。示されているように基板27の反対側に位置してビームダンプ326および高ダイナミックレンジかつ高精度の撮像検出器328Aは、粒子321による散乱を、本発明による検出および測定することができるようになっている。第2ソース325および第2高ダイナミックレンジかつ高精度の撮像検出器327は、基板が装填されたことを検証するために、検査工程中に基板を位置合わせするために、高ダイナミックレンジおよび高精度な明視野検査画像を提供するために使用されてもよい。第2検出器327も、図5の表面及び裏面の光検出器(5A-7A,5B-7B)のように光源322から暗視野照明のばらつき情報を提供することができる。検出器である前方または後方散乱光パスに近い照明光路と直交すると散乱は、より強くすることができる。 図26Aは、本発明による高ダイナミックレンジかつ高精度の撮像検出器328Aのほぼ軸上(前方散乱)構成を示している。 図26Aは、本発明による高ダイナミックレンジかつ高精度の撮像検出器328Bのほぼ軸上(後方散乱)構成を示している。検出器は、照射面から離れた方位角に配置することができる。市販のレーザ走査散乱検出システムでは、検出器は、照射面からずれた位置となる場合、0以上の方位角では、「ダブル暗視野」と呼ばれる。)

d 図26Aには、広帯域光源322からの光の粒子321による散乱を、撮像検出器328aが検出することが示されている。

(ア)段落[0092]の記載から、引用文献1には、「光学検査システム」が記載されている。

(イ)段落[0098]の記載から、引用文献1には、「基板全体が照明され結像し基板を測定中に運動していない」ことが記載されている。

(ウ)段落[0154]の「第2の光検出器と第2の広帯域光源」と「第2ソース325および第2高ダイナミックレンジかつ高精度の撮像検出器327」は、対応した構成であるので、
段落[0154]及び図26Aの記載から、引用文献1には、「基板27に対して垂直以外の角度で光を発生するように配置されている広帯域光源322が設けられており、高ダイナミックレンジかつ高精度の撮像検出器328Aは、広帯域光源322からの光の粒子321による散乱を検出および測定することができ、広帯域光源である第2ソース325および第2高ダイナミックレンジかつ高精度の撮像検出器327は、明視野検査画像を提供し、第2検出器327も、光源322から暗視野照明の散乱情報を提供すること」が記載されている。

上記(ア)?(ウ)より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「光学検査システムであって、
基板全体が照明され結像し基板を測定中に運動せず、
基板27に対して垂直以外の角度で光を発生するように配置されている広帯域光源322が設けられており、
高ダイナミックレンジかつ高精度の撮像検出器328Aは、広帯域光源322からの光の粒子321による散乱を検出および測定することができ、
広帯域光源である第2ソース325および第2高ダイナミックレンジかつ高精度の撮像検出器327は、明視野検査画像を提供し、
第2検出器327も、光源322から暗視野照明の散乱情報を提供するシステム。」

イ 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2005-214978号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

a 「【0026】
本発明に従うウェーハ検査装置を図5及び6に則して以下に記述する。図6は、本発明に従うウェーハ検査装置を示す概略的な側面図である。図6によれば、全体を参照番号1でラベルされたウェーハ検査装置は、ウェーハ6の表面32の領域8を照らすために、それぞれの入射照明光ビーム37を放出する二つの入射照明装置2、2’を含む。図6によれば、さらにウェーハ検査装置1は、ウェーハ6の表面32の照明領域8の像を感知するために、像感知装置として機能するカメラを含む。カメラ4は、単色画像又はカラー画像を感知するマトリクスカメラ又はリニアカメラであり、好ましくはR、G及びBの色素を有する。図6において、参照番号30は、例えば主なカラーRGBでカラー画像データを読み取るのに適したカメラ4の全てのカラーチャネルを概略的に示す。図6によれば、カメラ4で定められた結像軸10がウェーハ6の表面32と垂直に延びる。カメラ4の前に配置された対物レンズ5が、照明領域8をカメラ4の結像面に映す。カメラ4により感知された画像データは、データライン13を介して、データ読み取り装置として動作するコンピュータ14で読み取られ、そこで一時的に記憶されるか、さらに処理される。最後に、画像データはモニター又はディスプレイ15に表示される。本発明によれば、好ましくは一つだけカメラ4が備えられるが、原則として数個のカメラ4も備えられる。」

b 「【0029】
図6によれば、入射照明装置2’は明視野配置に配置されており、それでウェーハ6の表面32の照明領域8から反射した光がビームスプリッタミラー50を通り、カメラ4に写される。図6によれば、入射照明装置2は暗視野配置に配置されており、それで入射照明光ビーム37はウェーハ6の表面32から直接カメラ4には反射されない。代わりに、入射照明光ビーム37のカメラ4に写されるものは、例えば照明領域8における欠陥又は粒子に起因する散乱光か、回折光である。
【0030】
図6によれば、ウェーハ6はウェーハ受容装置7、例えば真空クランプ装置(真空チャック)又は静電クランプ装置(静電チャック)に保持される。ウェーハ6はウェーハ受容装置7において可動に保持され、それで、例えば入射点35を通るウェーハ6の表面32に垂直な線の回りのウェーハ6の回転によって、又はウェーハ6の面において二つの相互に直交する空間の方向にウェーハ6が並進移動することによって、ウェーハ6は入射照明光ビームに対して連続的に又はタイミングを調節して動くことができる。」

c 「【0043】
図2は、図1に従う像の連続のために照明光フラッシュを制御するためのタイミングダイアグラムを示す。明視野(BF)配置で像を感知するための照明光フラッシュが図2の上部に描かれる一方、暗視野(DF)配置で像を得るために用いられる光フラッシュは図2の下部に描かれる。明視野配置で像を得るための照明光フラッシュは、時間t1、t2、t3などで放出される一方、暗視野配置で像を感知するための照明光フラッシュは時間t1’、t2’、t3’などで放出される。図2から明らかなように、暗視野配置で像を感知するために用いられる光フラッシュが放出されるとき、明視野配置で像を感知するために用いられる光フラッシュの強度はすでに減衰している。従って、暗視野配置で得られた像は、明視野配置で得られた像のために用いられる光フラッシュによって影響を及ぼされず、逆に明視野配置で得られた像は、暗視野配置で像を得るために用いられる光フラッシュによって影響を及ぼされない。それによって、感知された像、特に暗視野像の信号-ノイズ比が改善される。」

d 図2から、照明光フラッシュ(I_(BF))の放出(時間t1)に引き続き、照明光フラッシュ(I_(DF))が放出(時間t1’)されていることが見て取れるので、図2には、明視野配置で像を得るための照明光フラッシュ(I_(BF))の時間t1、t2、t3と、暗視野配置で像を感知するための照明光フラッシュ(I_(DF))の時間t1’、t2’、t3’は連続していることが示されている。

上記の段落【0026】、【0029】、【0030】、【0043】及び図2の記載から、引用文献2には、「ウェーハ検査装置において、連続的に動くことができるウェーハ6の表面32の領域8を照らす、入射照明装置2’を明視野配置に配置し、入射照明装置2を暗視野配置に配置し、明視野の照明光フラッシュと暗視野の照明光フラッシュを連続して放出する技術。」が記載されている。

ウ 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2007-232555号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

「【0067】
この検出光学系の詳細を図11(a)に示す。ここでS0はウェハ1で反射散乱されて対物レンズ21及び結像レンズ23を透過してきた光を示し、低角度照明系により照明された光がウェハ1で反射散乱した成分と高角度照明系により照明された光がウェハ1で反射散乱した成分とが混合された状態の光である。ビームスプリッタ29の表面は、レーザ光源11から発射されたレーザと同じ波長の光を反射する特性を持つ薄膜2901がコーティングされており、ウェハ1からの反射散乱光S0に含まれる成分のうち、レーザ光源11から発射されたレーザによる反射散乱光成分S1はビームスプリッタ29で反射されて光検出器26aに入射させる。光検出器26aの検出面(図示せず)は、結像レンズ23による結像面に位置するように配置されており、レーザの低角度照明によるウェハ1からの反射散乱光像を検出する。一方、ビームスプリッタ29の表面にコーティングした薄膜2901は、レーザと同じ波長以外の光を透過させるので、広帯域波長光の高角度照明によるウェハ1からの反射散乱光成分S2は結像レンズ23による結像面に位置するように配置された光検出器26bに入射し、光検出器26bで広帯域波長光源12からの高角度照明による反射散乱光像が検出される。」

エ 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2006-162500号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

a 「【0014】
検出光学系104は、散乱光検出レンズ110および光電変換素子111から構成される。検出エリアに存在する異物や欠陥等からの散乱光を散乱光検出レンズ110で光電変換素子111の受光面上にほぼ集光する。なお、検出光学系104には、上記異物や欠陥からの散乱光に対する光学処理、例えば、偏光板や空間フィルタによる光学特性の変更・調整等もこの中に含まれる。光電変換素子111は散乱光量に比例した大きさの電気信号を発生し信号処理回路(図示せず)で信号処理することにより異物及び欠陥の検出および大きさを測定する。光電変換素子111は検出光学系104によって集光された該散乱光を受光し、光電変換するために用いるものであり、例えば、TVカメラやCCDリニアセンサやTDIセンサや光電子増倍管である。なお、図1(b)に示すように、スリット状ビーム120を検出エリアに対して斜め方向から照射した場合には、光電変換素子111としては、CCDリニアセンサやTDIセンサを用いるのが好ましい。」

b 「【0022】
次に、本発明に係る半導体ウェハ上の異物や欠陥等を検査する欠陥検査装置の第2の実施例について図6を用いて説明する。図6は、本発明に係る半導体ウェハ上の異物や欠陥等を検査する欠陥検査装置の第2の実施例を示す構成図である。第2の実施例において、第1の実施例との相違点は、照明光学系103bにおいて高角度照明光学系と低角度照明光学系とを切り替えて照明できるようにし、各々の照明での散乱光を検出し、各々検出される検出信号を演算及び比較することによって異物と欠陥(凹凸)とを分離して検出できるように構成したことにある。即ち、照明光学系103bは、ガウス分布を有するレーザビームを出射するレーザ光源105と、偏光方向を任意の方向に調整する波長板106と、ビームエキスパンダ107と、平坦な照度分布に整形する整形光学系108とを共通にし、ミラー115と集光レンズ109とで低角度照明光学系を形成し、ミラー117と集光レンズ702とミラー116とで高角度照明光学系を形成し、進退するミラー701で切り替えるように構成する。よって、ミラー701が光軸上にあるときには、整形光学系108によって平坦化(均一化)された照度分布を有する低角度の照明となり、ミラー701が光軸外にあるときには、整形光学系108によって平坦化(均一化)された照度分布を有する高角度の照明となる。均一化された照度分布を有する低角度の照明での全面の検査を行い、散乱光検出信号を処理回路703で増幅、AD変換等必要な処理を行ったのち、メモリ704に位置座標や輝度情報(諧調値情報)や個数や面積(大きさ)等の特徴量等の必要な情報を記憶する。次いで均一化された照度分布を有する高角度の照明での検査を行い、散乱光検出信号を処理回路703で増幅、AD変換等必要な処理を行ったのち、メモリ705に位置座標や輝度情報(諧調値情報)や個数や面積(大きさ)等の特徴量等の必要な情報を記憶する。2角度での検査終了後にメモリ704、705の各々に記憶された位置座標や輝度情報等の内容を用いて、同一座標の異物及び欠陥の輝度情報を比較回路706で比較・演算することにより、異物(凸)と欠陥(凹)に分離することができる。即ち、平坦化(均一化)された照度分布を有する低角度照明によって微小粒子状異物(凸欠陥)からは高輝度の散乱光(高次の回折光)が得られ、平坦化(均一化)された照度分布を有する高角度照明によってスクラッチ等の凹欠陥からは高輝度の散乱光(高次の回折光)が得られ、同一座標系で比較・演算することによって微小粒状異物と微小スクラッチ等の凹凸欠陥とを識別することが可能となる。」

オ 原査定の拒絶の理由で引用された、特表2009-511908号公報の公表日は、本願の優先日後であるが、参考として、本願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、国際公開第2007/047272号(以下、「引用文献5」という。)に記載された事項を示す(下線は、当審で付与したものである。)。

「[0032] In an alternative embodiment, the light housing 60 may also contain mid- angle lighting and high-angle lighting in addition to the dark-field, low-angle lighting. The low-angle surface mounted LEDs 63, provided in this example, adjacent to the perimeter of the light housing assembly 60, provide dark-field low-angle lighting at an angle of about 0° relative to the surface of the PGA 15. As mentioned above, when a pin base mask 30 is applied to the PGA 15 and the PGA 15 is exposed to dark-field low-angle lighting, a stark contrast is created on the surface of the PGA 15. Each pin tip 11 of the PGA 15 is clearly distinguishable. This clearly distinguishable image is then captured by the camera 50 for image processing.」
(特表2009-511908号公報の対応する記載:
「【0018】
他の実施形態において、光ハウジング60は、暗視野・低角度照明に加えて、中角度照明および高角度照明を含んでもよい。この例で提供され、光ハウジングアセンブリ60の周囲に隣接する低角度表面実装型LED63は、PGA15の表面に対して約0度の角度で暗視野・低角度照明を供給する。上記のとおり、ピンベースマスク30がPGA15に適用され、PGA15が暗視野・低角度照明に対して露出されるとき、著しいコントラストが、PGA15の表面上に作られる。PGA15のピン先端部11の各々は、明確に区別可能になっている。そして、この明らかに区別可能な画像は、画像処理のためにカメラ50によって取得される。」)

カ 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、米国特許第5822055号明細書(以下、「引用文献6」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

「One physical optical embodiment of the present invention is shown in the simplified schematic diagram of FIG. 8. Here, wafer 14 is illuminated directly by a darkfield illumination source 12 (e.g., a laser), and a brightfield illumination source 10 (e.g., a mercury arc lamp) via lenses 60 and 62 and beamsplitter 64.
The combined brightfield and darkfield image reflected by wafer 14 travels upward through condensing lens 60, through beamsplitter 64 to beamsplitter 66. At beamsplitter 66 the brightfield image continues upward to condensing lens 72 from which it is projected onto brightfield sensor 16. The darkfield image, on the other hand, is reflected by a dichroic coating on beamsplitter 66 given the frequency difference in the brightfield and darkfield light sources to spatial filter 68, to relay lens 70 and onto darkfield image sensor 16'. 」(第8欄第12?27行)
(当審訳:本発明の1つの物理的な光学的な実施形態は、図8の単純化した概略図に示されている。ここで、ウェーハ14は暗視野照明源12(例えば、レーザ)と、レンズ60、62及びビームスプリッタ64を介して明視野照明源10(例えば、水銀アークランプ)によって直接照明される。
ウエハ14で反射された合成明視野および暗視野像を、集光レンズ60を通って上方に移動し、ビームスプリッタ64を介してビームスプリッタ66に入力する。ビームスプリッタ66で明視野画像を、集光レンズ72、明視野センサ16上に投影された上方に継続する。暗視野画像は、空間フィルタ68には、リレーレンズ70及び暗視野画像センサ16に明視野および暗視野光源の周波数差を与えるビームスプリッタ66にダイクロイック膜で反射される。)

上記記載から、引用文献6には、「暗視野照明源12からの明視野像を投影する明視野センサ16、明視野照明源10からの暗視野像を受け取る暗視野画像センサ16’」が記載されている。

キ 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2005-337851号公報(以下、「引用文献7」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

「【0017】
検出光学系2000は、被検査物Wから発生する反射散乱光(反射回折光)を集光する対物レンズ3と、被検査物Wの表面に存在する回路パターンの繰返されるエッジから生じる回折光パターンを遮光する空間フィルタ4と、結像レンズであるチューブレンズ5と、TDIセンサ、アンチブルーミングTDIセンサまたはCCDリニアイメージセンサ、ホトマルアレイ等の検出器(リニアセンサ)6とで構成される。このように、検出光学系2000は、両テレセントリックなフーリエ変換光学系を構成しており、上記被検査物Wからの散乱光に対する光学処理、例えば、空間フィルタリングによる光学特性の変更・調整等もおこなえるようになっている。」

ク 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特表2005-536732号公報(以下、「引用文献8」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

「【0032】
図1及び図2は、物体(対象)2を検査するための装置1を概要図として示している。この装置1は光学検査装置に係るものであり、この光学検査装置を用い、半導体産業用のマスク及びウェーハが特に欠陥に関して調べられ得る。この装置1は、結像光学系3に対して形成されている明視野・光源5の明視野・照明光線路4を有する。結像光学系3に対しては更に暗視野・光源7の暗視野・照明光線路6が設けられている。物体2は結像光学系3を用いて検知器8上に結像され、この際、検知光線路9は物体2から検知器8へと延在している。物体2は両方の光源5及び7により同時に照明される。」

ケ 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、米国特許出願公開第2004/0095573号明細書(以下、「引用文献9」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

「[0175] In a further aspect, a tube lens group can be used with the 0.97, 0.98, and 0.99 NA objectives in systems having a 1.0 mm field size. The tube lens group has the same 30 mm collimated beam diameter as used in those designs as shown in FIGS. 17, 29, 30 and 31 and is designed for the single wavelength of 0.266 micrometers. The tube lens group magnifies the 1.0 mm field size of the objectives onto a 36 mm detector. In accordance with other aspects disclosed herein, the tube lens group is designed to have a distant exterior pupil plane to match the buried interior pupil of the catadioptric objectives. A similar tube lens group can also be designed to work with objectives that have a larger field of view or a relayed pupil. The Strehl ratio of the tube lens group design is approximately 0.99 over the field. A more complicated tube lens group design is necessary for use with the larger field size objective due not only to larger field size but also to the lower magnification if the same size detector is used. 」
(当審訳:さらなる態様では、結像レンズ群は、1.0mm視野サイズを有するシステムでは0.97、0.98、および0.99NA目的に使用することができる。チューブレンズ群について、図17、図29 30及び図31に示すようにそれらの設計で使用されるのと同じ30mm平行ビーム直径を有し、0.266μmの単一波長のために設計される。チューブレンズ群は、目的の1.0mm視野サイズを拡大36mm検出器上に配置する。本明細書に開示される他の態様によれば、結像レンズ群は反射屈折対物レンズの埋め込み内部瞳と一致するように離れた外部瞳平面を有するように設計されている。同様の結像レンズ群はまた、ビューまたは中継装置により中継された瞳の大きな視野を有する目的に機能するように設計することができる。チューブレンズ群設計のストレール比がフィールド上で約0.99である。サイズ検出器が使用される場合より複雑な結像レンズ群設計は、広いフィールドサイズだけでなく、低倍率に限らずにより広いフィールドサイズ目的で使用する必要がある。)

コ 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2000-337823号公報(以下、「引用文献10」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

「【0024】また、回転テーブル110及びXYテーブル100の上方において、光学ヘッド200を上下方向(Z軸方向)に昇降可能に配置している。光学ヘッド200は、図1に示すように、複数のレーザ光源1?5及びCCDカメラ6,10等よりなり、これらの機能は前述した図5及び図6に示すものと基本的に同一である。即ち、本実施例では、バンプ高さ測定にはレーザ光切断法を用いる。レーザ光源としては、垂直面内にある散乱用レーザ光源1,2と、傾斜した面内にある正反射用レーザ光源3,4,5を用いる。レーザ光源1?5から照射されたシート状レーザ光12,13,14?16は、バンプの形成されたウェハ17で正反射光又は散乱光となり、ウェハ高さ及びバンプの形状を示す形状線として高さ検査用CCDカメラ10で撮影され、バンプ高さ画像19を得る。」

サ 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特公昭49-25223号公報(以下、「引用文献11」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

「第1図はこの考案の一実施例の光学系配置図であって、1個の対物レンズが光切断の効果と観測拡大作用を同時に行なう単鏡筒式のものである。第1図において、ランプ1より発した光線は照明系レンズ2,4と対物レンズ7、後述の反射部材6,8,9等によって被検査面10を照明する。3は可変開口絞り、5はスリットである。6はハーフミラーまたはハーフプリズムである。反射部材8および9はミラーまたはプリズムで、前記スリット5および対物レンズ7を経由した照明光線を被検査面にθ°の角度をもって導き光切断を行う。この切断面の反射光を反対側の反射部材9および8で反射させ、対物レンズ7および接眼レンズ11にて観測する。」(第2欄第20?34行)

シ 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2008/0002207号明細書(以下、「引用文献12」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

「[0063]Another arrangement, additionally comprising a balance mass BN is shown in FIG. 6 . The balance mass is arranged such that when the detector D rotates in one direction the balance mass rotates in the opposite direction (i.e. if the detector rotates clockwise the balance mass rotates anti-clockwise and vice versa). This helps minimize the vibrations and external impact of the forces generated by the rotation of the detector. To help minimize vibrations most effectively, the torque applied to both the detector D and the balance mass BM should be equal (and opposite). As the balance mass BM and detector may not have equal moments of inertia, the angle of rotation of the detector and the balance mass may not be the same. The balance mass may be either passive or active and may comprise a plurality of smaller balance masses, the total torque of which is substantially equal and opposite to the torque of the detector.」
(当審訳:バランスマスBNをさらに備える別の構成が図6に示されている。バランスマスは、ディテクタDがある方向に回転する場合に、バランスマスがその反対方向に回転する(すなわち、ディテクタが時計回りに回転する場合、バランスマスは反時計回りに回転する。また、その逆の場合も同様である)ように構成される。これは、振動やディテクタの回転による生じる力の外部影響を最小限に抑えるのに有効である。最も効率的に振動を最小限に抑えるためには、ディテクタDとバランスマスBMの両方に印加されているトルクを同等(かつ逆)にすべきである。バランスマスBMおよびディテクタが同等の慣性モーメントを有することはできないので、ディテクタおよびバランスマスの回転角は同じにはならない。バランスマスは、パッシブまたはアクティブのいずれでもよく、複数の小さなバランスマスを備えてもよい。これらの小さなバランスマスの合計のトルクはディテクタのトルクと実質的に同等でありかつこれと反対となる。)

ス 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2008/0032429号明細書(以下、「引用文献13」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

「[0050]As shown in step 10 of FIG. 1, the method includes acquiring one or more images (hereinafter “inspector image(s)”) and data (hereinafter “inspector data”) from an inspection tool. The inspector image(s) illustrate an area on a specimen in which a defect to be reviewed is located. The inspector image(s) may include one or more bright field (BF) images, one or more dark field (DF) images, one or more laser DF images, one or more scanning electron microscope (SEM) images, or some combination thereof. The inspector data indicates a position and features of the defect within the area. In some embodiments, the inspector data may include image data. In one such embodiment, the inspector data includes one or more other images (hereinafter “additional inspector image(s)”) that illustrate the position and the features of the defect within the area.」
(当審訳:図1のステップ10に示すように、この方法は、検査ツールから1つ以上の画像(以下、「検査画像(複数でも可)」)とデータ(以下、「検査者データ」)を収集することを含む。インスペクタ画像(複数可)は、レビューすべき欠陥が位置する試料上の領域を示す図である。インスペクタ画像(複数可)は、1つまたは複数の明視野(BF)画像、1つ又はそれ以上の暗視野(DF)の画像は、1つ以上のレーザDF画像、1つ以上の走査型電子顕微鏡(SEM)画像、またはそれらの何らかの組合せを含むことができる。インスペクタデータは、領域内の欠陥の位置及び特徴を示している。いくつかの実施形態において、データは画像データを含むことができる。1つのそのような実施形態では、検査データは、位置及び領域内の欠陥の特徴を示す1つまたは複数の他の画像(以下、「追加検査画像(複数可)」)を含む。)

セ 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2003-149169号公報(以下、「引用文献14」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

「【0015】明視野照明系と暗視野照明系のいずれか一方を使用するか、両方を使用するかを切り換える照明切換機構を備えることが望ましい。また、明視野照明系と暗視野照明系は、照明光の強度を調整する光量調整機構をそれぞれ備え、明視野照明光と暗視野照明光の光量が独立して調整可能であることが望ましい。光量調整機構は、異なる濃度のNDフィルタを用意し、照明光路中に配置するNDフィルタを切り換えられるようにしたり、可変絞りを設けることにより実現できる。また、明視野照明系と暗視野照明系がそれぞれ別の光源を備え、光源に印加する電圧(電流)を変えてそれぞれの光源の発光量を独立して調整する機構を設けても、照明光量を独立に調整できる。」


ソ 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2005-250151号公報(以下、「引用文献15」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

「【0041】
調光比記録部34は、検鏡状態に対する調光比G2を記録してあるものであり、ここでは明視野観察光量を1とした場合の暗視野観察の調光比G2が記録されているものである。すなわち、明視野観察時G2=1,暗視野観察時G2=2と設定することで、明視野観察の光量を1とした場合、暗視野観察時の光量が2倍に設定されるものである。」

(2) 対比
本願発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「光学検査システム」は、本願発明の「一検査システム」に相当する。

イ 引用発明の「広帯域光源である第2ソース325」は、「明視野検査画像を提供」するので、本願発明の「明視野広帯域照明」に相当し、
引用発明は、「第2検出器327も、光源322から暗視野照明の散乱情報を提供する」ので、引用発明の「広帯域光源322」は、本願発明の「暗視野広帯域照明」に相当する。
したがって、引用発明の「第2ソース325」及び「広帯域光源322」からなる照明と、本願発明の「ウェーハが走査走行パスに沿って移動されている間に、ウェーハの一部が配置されている1つの検査位置に対して、第1の照明および第2の照明を連続して供給し、向かわせるように構成された照明設定であって、明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明との組合せの少なくとも1つを出力するように構成されている、照明設定」とは、「明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明との組合せの少なくとも1つを出力するように構成されている、照明設定」である点で共通する。

ウ 引用発明の「高ダイナミックレンジかつ高精度の撮像検出器328Aは、広帯域光源322からの光の粒子321による散乱を検出および測定することができ、広帯域光源である第2ソース325および第2高ダイナミックレンジかつ高精度の撮像検出器327は、明視野検査画像を提供し、第2検出器327も、光源322から暗視野照明の散乱情報を提供する」ことと、本願発明の「前記照明設定によって出力された明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明の任意の組合せである、記第1の光パスおよび前記第2の光パスに沿って前記ビーム分割器によって反射された前記第1の照明および前記第2の照明を、それぞれを受け取るように構成されている第1の画像収集装置および第2の画像収集装置であって、前記ウェーハが走査走行パスに沿った検査位置の全域を移動された時に、それぞれ前記ウェーハの第1の画像および第2の画像を収集するように構成されている第1の画像収集装置および第2の画像収集装置」こととは、「前記照明設定によって出力された明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明を受け取るように構成されている第1の画像収集装置および暗視野広帯域照明を受け取るように構成されている第2の画像収集装置であって、それぞれ前記ウェーハの第1の画像および第2の画像を収集するように構成されている第1の画像収集装置および第2の画像収集装置」である点で共通する。

すると、本願発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「一検査システムであって、
明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明との組合せの少なくとも1つを出力するように構成されている、照明設定と、
前記照明設定によって出力された明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明を受け取るように構成されている第1の画像収集装置および暗視野広帯域照明を受け取るように構成されている第2の画像収集装置であって、それぞれ前記ウェーハの第1の画像および第2の画像を収集するように構成されている第1の画像収集装置および第2の画像収集装置と、を備えたシステム。」

(相違点1)
本願発明は、「ウェーハが走査走行パスに沿って移動されている間に、ウェーハの一部が配置されている1つの検査位置に対して、第1の照明および第2の照明を連続して供給し、向かわせるように構成された照明設定」であるのに対して、引用発明は、「基板全体が照明され」「基板を測定中に運動」しない点。

(相違点2)
本願発明は、「前記ウェーハが、前記走査走行パスに沿った検査位置の全域を移動された時に、前記ウェーハの一部に向かってきて、前記ウェーハの一部から反射される前記第1の照明および前記第2の照明のそれぞれを受け取るように構成され、前記照明設定によって出力された明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明の任意の組合せとして受け取った前記第1の照明および前記第2の照明を、それぞれ、第1の光パスおよび第2の光パスに沿って反射させるように構成され、前記第1の光パスは前記第2の光パスとは異なる、ビーム分割器」を備えるのに対して、引用発明は、そのような特定がない点。

(相違点3)
本願発明の「第1の画像収集装置および第2の画像収集装置」は、「前記照明設定によって出力された明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明の任意の組合せである」「前記第1の照明および前記第2の照明を、それぞれを受け取るように構成されている」のに対して、引用発明は、「撮像検出器327」が、「第2ソース325」及び「広帯域光源322」からの照明を受け取り、「撮像検出器328A」が、「広帯域光源322」からの照明を受け取る点。

(相違点4)
本願発明の「第1の画像収集装置および第2の画像収集装置」は、「前記ウェーハが走査走行パスに沿った検査位置の全域を移動された時に、それぞれ前記ウェーハの第1の画像および第2の画像を収集するように構成されている」のに対して、引用発明は、「基板」を測定中に運動しない点。

(相違点5)
本願発明は、「前記ウェーハが、各検査位置における前記第1の画像と前記第2の画像の収集の間である、前記走査走行パスに沿った距離だけ空間的に変位される」のに対して、引用発明は、「基板」を測定中に運動しない点。

(3) 判断
ア 上記相違点1について検討する。
引用文献2には、ウェーハ検査装置において、連続的に動くことができるウェーハ6の表面32の領域8を照らす、入射照明装置2’を明視野配置に配置し、入射照明装置2を暗視野配置に配置し、明視野の照明光フラッシュと暗視野の照明光フラッシュを連続して放出する技術が記載されている(上記(1)イ)。
しかしながら、引用発明は「基板全体が照明され結像し基板を測定中に運動」しない「光学検査システム」に関するものであり、「連続的に動くことができるウェーハ6の表面32の領域8を照らす」「ウェーハ検査装置」に関する、引用文献2に記載の上記技術を適用する動機がなく、
引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に上記相違点1に係る本願発明の構成を得るということはいえない。
また、引用文献3ないし15には、ウェーハが走査走行パスに沿って移動されている間に、ウェーハの一部が配置されている1つの検査位置に対して、第1の照明および第2の照明を連続して供給し、向かわせるように構成された照明設定は記載されていない。
したがって、上記相違点1に係る本願発明の構成は、引用発明及び引用文献2ないし15に記載された技術に基づいて、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

イ 上記相違点3について検討する。
引用文献3には、光検出器26aでレーザの低角度照明によるウェハ1からの反射散乱光像を検出し、光検出器26bで広帯域波長光源12からの高角度照明による反射散乱光像が検出することが記載されている(上記(1)ウ)。
引用文献6には、暗視野照明源12からの明視野像を投影する明視野センサ16、明視野照明源10からの暗視野像を受け取る暗視野画像センサ16’が記載されている(上記(1)カ)。
しかしながら、引用文献3及び6には、「前記照明設定によって出力された明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明の任意の組合せである」「前記第1の照明および前記第2の照明を、それぞれを受け取るように構成されている第1の画像収集装置および第2の画像収集装置」は記載されていない。
また、引用文献2、4、5、7ないし15にも、「前記照明設定によって出力された明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明の任意の組合せである」「前記第1の照明および前記第2の照明を、それぞれを受け取るように構成されている第1の画像収集装置および第2の画像収集装置」は記載されていない。
してみると、引用発明において、「撮像検出器327」及び「撮像検出器328A」を、「第2ソース325」及び「広帯域光源322」の任意の組み合わせの第1の照明および第2の照明を、それぞれを受け取るように構成することは、当業者といえども容易であるということはできない。
したがって、上記相違点3に係る本願発明の構成は、引用発明及び引用文献2ないし15に記載された技術に基づいて、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

エ そして、本願発明は、上記相違点2、4及び5について検討するまでもなく、引用発明及び引用文献2ないし15に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(4)小括
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2ないし15に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
そして、本願の請求項2ないし23に係る発明は、本願発明をさらに限定したものであるので、同様に、引用発明及び引用文献2ないし15に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
また、請求項24に係る発明は、「一検査システム」の発明である本願発明のカテゴリーを「一検査方法」に変更したものにすぎない。したがって、請求項24に係る発明は、本願発明と同様の理由により、引用発明及び引用文献2ないし15に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
さらに、本願の請求項25ないし31に係る発明は、請求項24に係る発明をさらに限定したものであるので、同様に、引用発明及び引用文献2ないし15に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第5 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
平成28年8月23日付け付けで通知した拒絶理由の概要は、次の通りである。
「 理 由

この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。


1 発明の詳細な説明には、複数照明を備えた複像収集装置(MICD)に関して「MICDを使用する装置は、広帯域を用いず、かつ劣った画質および柔軟でないシステム設定が欠点である。」(段落[0013])と、広帯域照明を用いていないことが、課題として記載されており、
本発明の実施態様として「好ましくは、明視野照明器26は実質的に300ナノメートル以上1000ナノメートル以下の波長を備える広帯域明視野照明を供給する。」(段落[0039])、「より詳しくは、低角度暗視野照明器28および高角度暗視野照明器30の各々によって供給される暗視野照明は、好ましくは実質的に300ナノメートル以上1000ナノメートル以下の波長を備える広帯域暗視野照明である。」(段落[0042])等と、明視野照明及び暗視野照明ともに、広帯域照明を用いることが専ら記載されている。
しかしながら、請求項1には「第1の照明および第2の照明を連続して供給し、向かわせるように構成された照明設定であって、明視野照明と暗視野照明との組合せの少なくとも1つを出力するように構成されている、照明設定と」としか規定されておらず、
請求項1の記載は、明視野照明及び暗視野照明が、広帯域照明以外の照明(例えば、狭帯域照明。)を用いるような、発明の詳細な説明に開示のない発明まで含むこととなる。
・・・
したがって、請求項1-23は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することとなり、請求項1-23に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

2 請求項24の「照明設定によって、第1の照明および第2の照明を連続して供給し、向かわせるステップであって、前記照明設定は、明視野照明と暗視野照明との組合せの少なくとも1つを出力するように構成されている、ステップと」の記載も、請求項1と同様である。
・・・
したがって、請求項24-31は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することとなり、請求項24-31に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 」

2 当審拒絶理由判断
(1)本件補正の補正事項1(上記第2 1(1))によって、本願の請求項1は「明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明」と補正された(下線は、補正箇所を示す。)。このことにより、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものとなった。
また、請求項1を引用する請求項2ないし23についても、同様に、発明の詳細な説明に記載したものとなった。

(2)本件補正の補正事項3(上記第2 1(3))によって、本願の請求項24は「明視野広帯域照明と暗視野広帯域照明」と補正された(下線は、補正箇所を示す。)。このことにより、請求項24に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものとなった。
また、請求項24を引用する請求項25ないし31についても、同様に、発明の詳細な説明に記載したものとなった。

よって、当審拒絶理由1及び2は解消した。

第6 むすび
以上のとおり、原査定及び当審の拒絶の理由を検討しても、その理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-12-27 
出願番号 特願2011-545326(P2011-545326)
審決分類 P 1 8・ 121- WYB (G01B)
P 1 8・ 537- WYB (G01B)
P 1 8・ 574- WYB (G01B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梶田 真也  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 須原 宏光
大和田 有軌
発明の名称 ウェーハを検査するためのシステム及び方法  
代理人 ▲吉▼川 俊雄  

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