• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 H01B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01B
管理番号 1323375
審判番号 不服2016-9016  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-16 
確定日 2017-01-27 
事件の表示 特願2013-537116「ポリマー組成物およびそれを含む電力ケーブル」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 5月10日国際公開、WO2012/059483、平成26年 1月23日国内公表、特表2014-502005、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、2011年11月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年11月3日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成26年12月19日付けで拒絶理由が通知され、平成27年4月1日付けで手続補正がなされ、同年7月8日付けで拒絶理由が通知され、平成28年1月13日付けで手続補正がなされたが、同年1月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成28年6月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2.平成28年6月16日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の適否

1.補正の内容
(1)請求項1-12について
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1を、

「【請求項1】
少なくとも、第一半導電性組成物を含む内側半導電層、ポリマー組成物を含む絶縁層、第二半導電性組成物を含む外側半導電層および、任意的に、ジャケット組成物を含むジャケット層、によってこの順に囲まれた導体を含む、交流(AC)電力ケーブルにおいて、
上記絶縁層のポリマー組成物が、エチレンと少なくとも1の多不飽和コモノマーおよび任意的に1以上の他のコモノマーとの架橋された不飽和LDPEコポリマー、および架橋剤を含み、かつ
上記絶縁層のポリマー組成物が、本明細書の「測定法」に記載された「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」に従って25kV/mmおよび130℃で測定されるとき、12.0×10^(-4)以下のtanδ(50Hz)として表わされる誘電損失を有する
ところの前記ケーブル。」

とする補正(以下、「補正事項1」という。)を含んでいる。

(2)請求項13について
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項13を、

「【請求項13】
ポリオレフィンおよび架橋剤を含むポリマー組成物を、少なくとも、第一半導電性組成物を含む内側半導電層、ポリマー組成物を含む絶縁層、第二半導電性組成物を含む外側半導電層および、任意的に、ジャケット組成物を含むジャケット層、によってこの順に囲まれた導体を含む、MV、HVまたはEHVのAC電力ケーブルの絶縁層を製造するために使用する方法において、
上記ポリマー組成物が、エチレンと少なくとも1の多不飽和コモノマーおよび任意的に1以上の他のコモノマーとの架橋された不飽和LDPEコポリマー、および架橋剤を含み、かつ
上記絶縁層の上記ポリマー組成物が、本明細書の「測定法」に記載された「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」に従って25kV/mmおよび130℃で測定されるとき、12.0×10-4以下のtanδ(50Hz)として表わされる誘電損失を有する
ところの前記方法。」

とする補正(以下、「補正事項2」という。)を含んでいる。


2.補正の適否
(1)補正事項1について
本件補正のうち上記補正事項1は、補正前の請求項1に択一的に「架橋された不飽和低密度ポリエチレン(LDPE)ホモポリマー、またはエチレンと少なくとも1の多不飽和コモノマーおよび任意的に1以上の他のコモノマーとの架橋された不飽和LDPEコポリマー」と記載されていたものから「架橋された不飽和低密度ポリエチレン(LDPE)ホモポリマー、または」を削除し、「エチレンと少なくとも1の多不飽和コモノマーおよび任意的に1以上の他のコモノマーとの架橋された不飽和LDPEコポリマー」のみとして限定したものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。

ア.請求項1について
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明1」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

a.引用文献の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2010/3650号(以下、「引用文献1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審において付加した。さらに、原文において”>”の下に”_”を付した数学記号に対しては、原文及び翻訳中では、”≧”で代用記載した。)

(a)「FIELD OF INVENTION

The invention relates to a process for producing a polymer, preferably in a high pressure process. The invention further relates to a use of chain transfer agents for producing the polymer and to a use of chain transfer agents to modify the polymer properties during the polymerization thereof. The invention also relates to a polymer, which is preferably produced according to the process of the invention, for preparing an article, preferably a cable for wire or cable (W&C) applications.」(1頁4-11行)
([当審仮訳]:
発明の技術分野
本発明は、重合体の製造方法、好ましくは高圧処理に関するものである。本発明はさらに、ポリマーを製造するための連鎖移動剤の使用およびその重合中にポリマー特性を修正するために連鎖移動剤を使用することに関する。本発明はまた、物品、好ましくはワイヤまたはケーブル(W&C)用途のためにケーブルを製造するための、本発明の方法により製造されたポリマーに関するものである。)

(b)「BACKGROUND ART

Chain Transfer Agents (CTA) are used during high pressure polymerisation of ethylene to low density polyethylene (LDPE) to control the molecular weight and thus indirectly melt flow rate (MFR) of the formed polymer. The mechanism is based on hydrogen atoms that are easy to abstract. Typical CTA are methylethylketone, propionaldehyde, propylene etc.

A CTAs is a group of agents including polar or non-polar CTAs according to their chemical nature. Propylene (C3) is an example of a non-polar CTA. This is assumed to provide good electrical properties due to its non-polar structure, especially when it comes to dielectric losses. Another benefit when using propylene as CTA is that vinyl groups are introduced into the polyethylene chain giving improved peroxide crosslinking properties.

Another type is the polar CTA, such as propionaldehyde (PA). Due to its polar structure it is assumed not to be beneficial to use this CTA in applications where low losses are a requirement.」(1頁13-30行)
([当審仮訳]:
背景
連鎖移動剤(CTA)は、形成されたポリマーの分子量を、間接的にはメルトフローレート(MFR)を制御するために低密度ポリエチレン(LDPE)の高圧重合中に使用される。機構は、水素原子が容易に引き抜かれることに基づくものである。典型的なCTAは、メチルエチルケトン、プロピオンアルデヒド、プロピレン等である。

CTAは、その化学的性質に応じて極性又は非極性のCTAを含む物質の群である。プロピレン(C3)は、非極性CTAの一例である。非極性構造に起因して良好な電気的特性、特に、誘電損失を提供する。プロピレンをCTAとして使用するもう1つの利点は、ビニル基がポリエチレン鎖の過酸化物架橋性を改善するために導入される点である。

別のタイプは、プロピオンアルデヒド(PA)のような極性CTAである。その極性構造により、低損失が要求される用途においてCTAを使用することは有益でないと思われる。)

(c)「Significance of Tan δ (Dielectric Losses):

The tan δ and thus the dielectric losses (which are linearly proportional to the tan δ) shall be as low as possible for both technical and economical reasons:
・Low losses means that low amount of transmitted electric energy is lost as thermal energy inside the cable insulation. These losses will mean economic losses for the power line operator.
・Low losses will reduce the risk for thermal runaway, i.e. an unstable situation where the temperature of the insulation will increase due to the tan δ. When the temperature is increased, normally the tan δ will also increase. This will further increase the dielectric losses, and thus the temperature. The results will be a dielectric failure of the cable that needs to be replaced. 」(2頁2-12行)
([当審仮訳]:
tanδ(誘電損失)の意味
tanδおよびしたがって誘電損失(tanδに直線的に比例する)は、技術的および経済的理由のためにできるだけ低くすべきである。
・低い損失は、通された電気エネルギーの低い量がケーブル絶縁体内で熱エネルギーとして失われることを意味する。この損失は、電力線オペレーターにとって経済的損失を意味するであろう。
・低い損失は、熱暴走、すなわち絶縁体の温度がtanδ故に上昇するところの不安定な状態、の危険を低下させるであろう。温度が上昇すると、通常tanδも増加するであろう。これは、誘電損失およびしたがって温度をさらに高めるであろう。その結果、ケーブルの絶縁破壊を生じ、ケーブルを取り替える必要が生じるであろう。

(d)「DESCRIPTION OF THE INVENTION

Contrary to earlier understanding, polymers polymerized in the presence of a polar chain transfer agent (referred herein polar CTA) have surprisingly good electrical properties, such as unexpectedly low dielectric losses at 50 Hz as shown by tan δ measurements (especially at high temperatures and stresses).

Unexpectedly, the polymer produced using a polar CTA have acceptable tan δ at low stress (5 kV/mm) and low temperatures (25℃) and low losses when measured at high stress (25 kV/mm) and high temperatures (130℃) when measured on crosslinked 10 kV cables samples according to method described in“Test for tan δ”under Determination methods. At room temperature, the polymers have tan δ acceptable for medium voltage cable applications. Moreover, polymers produced using a polar CTA had markedly decreased tan δ at higher temperatures, e.g. as high temperatures as at 100℃ and even at 130℃. Furthermore, the tan δ remains surprisingly low at increased electric stresses.
・・・中略・・・
More surprisingly, when said polar CTA is combined with a non-polar chain transfer agent (referred herein as non-polar CTA) and such mixture is used for polymerizing a polymer, then a polymer is obtained which provides very low tan δ not only at high temperatures but in the whole temperature range from 25 to 130°C, and in the whole electric stress range from 5 to 25 kV/mm. Moreover, the mixture of said CTAs provides polymers with markedly decreased tan δ at high temperatures and at high stresses compared to tan δ which result from polymers produced using the polar CTA or non-polar CTA alone (100% feed).」(3頁28行-4頁25行)
([当審仮訳]:
発明の詳細な説明
従来の理解とは逆に、極性連鎖移動剤(以下「極性CTA」という。)の存在下で重合されたポリマーは、予想外に低い誘電損失のような驚くべき良好な電気特性を有する、このことは50Hzでのtanδの測定(特に高い温度及び応力)によって示される。
予想外にも、極性CTAを用いて製造されたポリマーは、低応力(5 kV/mm)および低温(25℃)において許容可能なtanδを有し、測定法の項で記載する「tanδのためのテスト」に従って架橋された10kVケーブルサンプルを測定した場合に、高応力(25kV/mm)と高温(130℃)で測定されたとき損失は低かった。室温では、ポリマーは中電圧ケーブル用途で許容可能なtanδを有した。それ以上に、極性CTAを用いて製造されたポリマーは、100℃および130℃のより高温度で、tanδが顕著に減少した。また、tanδは、電気応力が増大しても、驚くべき低さのままであった。
・・・中略・・・
より驚くべきことに、前記極性CTAを、非極性連鎖移動剤(以下、「非極性CTA」という。)とともに混ぜ、このような混合物をポリマーを重合時に用いる場合、ポリマーは、高温のみならず、25?130℃の全温度範囲で、また、5?25kV/mmの全体的な電気応力範囲で、非常に低いtanδが得られる。それ以上に、CTAの混合物は、極性CTA又は非極性CTA単独を用いて製造されたポリマーに比べて、高温かつ高い応力で、tanδの大きな減少をポリマーにもたらす。)

(e)「CTAs
・・・中略・・・
More preferably the polar CTA is selected from one or more of i) a compound containing one or more hydroxyl, alkoxy, HC=O, carbonyl, carboxyl and ester group(s), or a mixture thereof, more preferably from an aldehyde or ketone compound. Most preferably aldehyde compound. The preferred polar CTA is a straight chain or branched chain aldehyde or ketone having up to 12 carbon atoms, preferably up to 8 carbon atoms, especially up to 6 carbon atoms, most preferably methylethylketone (MEK) or propionaldehyde (PA), most preferably propionaldehyde (PA).

Preferably, the non-polar CTA is selected from one or more of i) a compound which does not contain a polar group selected from nitrile (CN), sulfide, hydroxyl, alkoxy, aldehydyl (HC=O), carbonyl, carboxyl or ester group(s), or mixtures thereof; preferably from a non-aromatic, straight chain branched or cyclic hydrocarbyl optionally containing a hetero atom such as O, N, S, Si or P. More preferably the non-polar CTA is selected from one or more of an cyclic alpha- olefin of 5 to 12 carbon or of a straight or branched chain alpha-olefin of 3 to 12 carbon atoms, more preferably of a straight or branched chain alpha-olefin of 3 to 6 carbon atoms. The preferred non-polar CTA is propylene.」(6頁4行-8頁3行)
([当審仮訳]:
CTA
・・・中略・・・
より好ましくは極性CTAはi)1個以上のヒドロキシル基、アルコキシル基、HC=O基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル(群)を含有する化合物、またはこれらの混合物のうちの1つまたは複数から選択され、より好ましくはアルデヒド化合物又はケトン化合物から選択される。アルデヒド化合物が最も好ましい。好ましい極性CTAは、12個以下の炭素原子、好ましくは8個以下の炭素原子、特に6個以下の炭素原子を持つ直鎖又は分枝鎖のアルデヒドまたはケトンであり、最も好ましくはメチルエチルケトン(MK)またはプロピオンアルデヒド(PA)、中でもプロピオンアルデヒド(PA)が好ましい。

非極性CTAは、好ましくは下記から選択される。
i)ニトリル(CN)、スルフィド、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アルデヒド(HC=O)、カルボニル基、カルボキシル基、エステル(群)、またはそれらの混合から選択される極性基を有しない1以上の化合物。
非極性CTAは、好ましくは、1以上の非芳香族、直鎖、分岐または環式のヒドロカルビルであって、任意的にヘテロ原子、例えばO、N、S、SiまたはP、を含むものから選択される。より好ましくは、非極性CTAが、1以上の、5?12の炭素原子の環式α-オレフィンまたは1以上の、3?12の炭素原子の直鎖または分岐鎖α-オレフィン、より好ましくは1以上の、3?6の炭素原子の直鎖または分岐鎖α-オレフィン、から選択される。好ましい非極性CTAはプロピレンである。)

(f)「Polymer

The polymer is preferably a polyolefin, preferably polyethylene more preferably low density polyethylene (LDPE) polymer produced in a high pressure (HP) process by radical polymerization. LDPE polymer is selected from LDPE homopolymer or LDPE copolymer with one or more comonomers. LDPE polymers are well known and documented in the literature.」(8頁8-14行)
([当審仮訳]:
ポリマー
ポリマーは、ラジカル重合により高圧(HP)処理により生成されたポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、より好ましくは低密度ポリエチレン(LDPE)ポリマーであることが好ましい。LDPEポリマーは、LDPEホモポリマー、又は1種以上のコモノマーを伴う低密度ポリエチレン(LDPE)コポリマーから選ばれる。LDPEポリマーは周知であり、文献に文書化されている。)

(g)「One preferred Polymer of the invention is crosslinkable Polymer. It is preferably used for crosslinkable cable applications. Crosslinking can be effected i.a. by radical reaction using radiation or free radical generating agents, also called crosslinking agents. Examples of such free radical generating agents are peroxides including inorganic and organic peroxides. A further well known crosslinking method is crosslinking via functional groups, e.g. by hydrolysing hydrolysable silane groups, which are linked (either via copolymerisation or via grafting) to polymer, and subsequently condensing the formed silanol groups using a silanol condensation catalyst. In this preferable embodiment, after crosslinking the crosslinked Polymer has the preferable electrical properties as defined above, below or in claims.」(14頁4-13行)
([当審仮訳]:
本発明の一つの好ましいポリマーは、架橋ポリマーである。架橋可能なケーブルの用途に好適に用いられる。架橋は、放射線、または架橋剤とも呼ばれるフリーラジカル発生剤を用いたラジカル反応による。このようなフリーラジカル発生剤の例としては、無機と有機のパーオキシドを含むパーオキシドである。またよく知られている架橋方法は、官能基を介した架橋である。例えば、ポリマーを架橋させる(重合時、グラフティング時のいずれか)加水分解可能なシラン基を加水分解し、続いてシラノール縮合触媒を用いてシラノール基を形成され縮合する。この好ましい実施形態では、架橋後、架橋されたポリマーは、上記、下記、または、以下の特許請求の範囲に定義したように好ましい電気的特性を有する。)

(h)「The invention thus provides a cable comprising a conductor surrounded by one or more layers, wherein at least one layer comprises said Polymer as defined above.
・・・中略・・・
As a further embodiment of the cable of the invention, a power cable is provided which comprises at least an inner semiconductive layer, insulation layer and an outer semiconductive layer, in that order, optionally surrounded by a jacketing layer, wherein at least one of said layers, preferably at least the insulation layer, comprises said Polymer.
・・・中略・・・
The invention is also highly suitable for AC cable layer materials and can also have advantageous electrical properties required for the DC cable layer materials due to advantageous space charge and dc conductivity properties.
・・・中略・・・
More preferably the Power cable is crosslinkable and after crosslinking the crosslinked Power cable has the preferable electrical properties as defined above.」(14頁15行-15頁26行)
([当審仮訳]:
本発明は、少なくとも1つの層が上記で定義したポリマーを含む一またはそれ以上の層で囲まれた導体を有するケーブルを提供することを特徴とする。
・・・中略・・・
本発明のケーブルのさらなる実施形態として、電力ケーブルが、少なくとも内部半導電層、絶縁層、外部半導電層をこの順で備え、ジャケット層からなる被覆層が任意に設けられており、前記層のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも絶縁層は、前記ポリマーを含むことを特徴とする。
・・・中略・・・
本発明は、ACケーブルの層材料にも非常に適しており、また、有利な空間電荷と直流導電特性に起因して、DCケーブルの層材料に必要な電気的特性においても利点を有する。
・・・中略・・・
より好ましくは電力ケーブルは架橋可能であり、架橋後、架橋された電力ケーブルは上で定義したような好ましい電気的特性を有する。)

(i)「Determination methods
Unless otherwise stated in the description or experimental part the following methods were used for the property determinations.
・・・中略・・・
Test for Tan δ measurements on 1OkV cables
Cable production
Polymers pellets containing antioxidant and dicumylperoxide were used to produce 10 kV cables on a Maillefer pilot cable line of CCV type. The cables have 3.4 mm nominal insulation thickness (the inner semiconductive layer is 0.9 mm thick and the outer semiconductive layer is 1 mm thick). The conductor cross section was 50 mm ^(2) stranded aluminium. The cable was produced as a 1 + 2 construction (e.g. first the inner semiconductive layer was applied onto the conductor and then the remaining two layer were applied via the same extrusion head to the conductor having already the inner semiconductive layer applied). The semiconductive material used as inner and out semiconductive material was LE0592 (a commercially semiconductive material supplied by Borealis). The cable cores were produced with a line speed of 1.6 m/min.

Cable length:

Preparation of Cable sample:
12.5 m of each cable were available for the tests; active test length in the loss factor tests was approximately 1 1 m. The length is chosen to be in accordance with IEC60502-2 ; i.e. ≧10 m active test length between the guard rings of the test object.

Conditioning:
The cables are thermally treated in a ventilated oven at 70°C for 72 hours before the measurements. The samples are afterwards kept in sealed aluminium bags until the tan δ measurements are done.

Test method:
Both ends of the loss factor cables were equipped with electric field grading cloths.Each termination was 0.7 m long. The ends were put into plastic bags that were filled with SF _(6) -gas and sealed by tapes. The SF _(6) -gas was used to increase the corona inception voltage beyond the maximum test voltage of ?55 kV.

20 cm from the stress cones guard rings were introduced. A 2 mm gap was opened in the insulation screen. A 5 cm long thick walled heat shrink tube (Raychem) was used over the guard rings to avoid any influence of partial discharges and/or leakage currents from the highly stressed terminations during the measurements.

The active test length was wrapped in a 0.45 m wide and 0.2 mm thick Al-foil (6-7 layers). Afterwards this was covered with a continuous insulating heat shrinkable tube.
All tan δ-measurements were performed with the cable coiled inside a large ventilated oven. The terminations were mounted and connected to the high voltage transformer outside the ventilated oven. The guard rings were also located outside of the oven.

In order to reach isothermal conditions within the entire cable a period of 2 hours was required between the measurements on each temperature level. The cable is thus heated by this oven, and not by conductor heating.

The 50 Hz test voltages corresponding to 5, 10, 15, 20 and 25 kV/mm conductor stress were determined after the dimensions of the cables were measured.

The tan δ bridge was of the type Schering Bridge Tettex 2801 Hl -64. The system was checked prior to the measurements by the use of tan δ standards.」(16頁5行-18頁12行)
([当審仮訳]:
測定法
説明または実験パートにおいて断らない限り以下の方法を、特性決定のために使用した。
・・・中略・・・
10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験
ケーブルの製造
酸化防止剤及び過酸化ジクミルを含むポリマーペレットを使用して、CCV型のMailleferパイロットケーブルライン上で10kVケーブルを製造した。ケーブルは、3.4mmの公称絶縁厚さを有する(内側半導電層は0.9mm厚さであり、外側半導電層は1mm厚さである)。導体の断面は、50mm^(2)の撚り合わせたアルミニウムであった。ケーブルが、1+2構成(construction)として製造された(例えば、最初に内側半導電層が導体上に施与され、次いで残り2つの層が、内側半導電層が既に施与された導体に同じ押出ヘッドを介して施与された)。内側および外側の半導電性物質として使用された半導電性物質は、LE0592(Borealisから供給された市販の半導電性物質)であった。ケーブルの芯は、1.6m/分のライン速度で製造された。

ケーブルの長さ

ケーブルサンプルの製造
各ケーブルの12.5mが試験のために利用された。損失係数試験における活性な試験長さは約11mであった。長さは、IEC60502-2に従うように選択される。すなわち、試験対象の保護リング間の活性な試験長さが≧10mである。

調整
ケーブルは、測定の前に70℃で72時間、換気されたオーブン中で熱的に処理される。サンプルはその後、tanδ測定が行われるまで、密封されたアルミニウムの袋に保管される。

試験法
損失係数ケーブルの両端に、電場格付け(electric field grading)クロスを備えた。各末端は、0.7m長さであった。両端を、SF_(6)ガスで充填されたプラスチックの袋に入れ、テープで密封した。SF_(6)ガスを使用して、コロナ開始電圧を約55kVの最大試験電圧より上に増加させた。

応力コーン(stress cones)保護リングから20cmが導入された。2mmの隙間が、絶縁スクリーンに開けられた。5cm長さの肉厚の熱収縮管(Raychem)が保護リングにわたって使用されて、測定の間の応力の高い末端からの部分的な放電および/またはリーク電流の影響を回避した。

活性な試験長さが、幅0.45mおよび厚さ0.2mmのAlホイル(6?7層)で包まれた。その後、これが、連続的な絶縁性熱収縮管で覆われた。全てのtanδ測定が、大きい換気されたオーブン内でコイル状にされたケーブルを用いて行われた。末端が、上記換気されたオーブンの外側の高電圧変圧器に取り付けられ、そして連結された。保護リングはまた、上記オーブンの外に位置された。

ケーブル全体内で等温状態に達するために、各温度レベルでの測定の間に2時間を要した。すなわち、ケーブルは、導体加熱ではなく、このオーブンによって加熱される。

ケーブルの寸法が測定された後に、5、10、15、20および25kV/mmの導体応力に相当する50Hz試験電圧が決定された。

tanδブリッジは、Schering Bridge Tettex 2801 H1-64型であった。系は、測定の前にtanδ標準の使用によってチェックされた。)

(j)「Experimental part
Preparation of polymers of the examples 1-4 and 6 of the present invention and the comparative example 5

All polymers were low density polyethylenes produced in a high pressure reactor. The inventive polymers were produced according to the following descriptions:

・・・中略・・・

Inventive Example 2 (C3 and PA) LDPE

Ethylene was compressed in a 5-stage precompressor and a 2-stage hyper compressor with intermediate cooling to reach an initial reaction pressure of 2300 bar. The total compressor throughput was 30 tons/hour. In the compressor area approximately 6,4 kg/hour of propionaldehyde was added together with approximately 52 kg/hour of propylene as chain transfer agent to maintain an MFR of 2.0 g/10 min. The compressed mixture was heated to approximately 165 °C in a preheating section of a front feed three-zone tubular reactor with an inner diameter of ca 40 mm and a total length of 1200 meters. A mixture of commercially available peroxide radical initiators dissolved in isododecane was injected just after the preheater in an amount sufficient for the exothermal polymerization reaction to reach peak temperatures of ca 291 °C after which it was cooled to approx 227°C. The subsequent 2 ^(nd) and 3 ^(rd) peak reaction temperatures were ca 283 °C and ca 266 °C, respectively, with a cooling in between down to approximately 235 °C. The reaction mixture was depressurized by a kick valve, cooled and polymer was separated from unreacted gas.」(18頁14行-19頁20行)
([当審仮訳]:
実施例
準備したポリエチレンは、実施例1-4,6と、比較例5である。
全てのポリマーは、高圧反応器で製造される低密度ポリエチレンであった。
本発明のポリマーは以下の説明により作製した。
・・・中略・・・
実施例2のLDPE(C3とPA)
エチレンは、中間冷却を5段前段コンプレッサと2段のハイパー圧縮機で圧縮された2300バールの初期反応圧力に達するようにした。全圧縮機スループットは30トン/時間であった。圧縮機領域で、2.0g/10分のMFRを維持するための連鎖移動剤(CTA)として、約6.4kg/時のプロピオンアルデヒドに約52kg/時のプロピレン時を一緒に加えた。圧縮された混合液は、約40mmの内径および1200mの全長のフロントフィード3ゾーン管状反応器の予備加熱部で約165℃に加熱した。イソドデカンに溶解された商業的に入手可能なパーオキシドラジカル開始剤の混合物を、約223℃に冷却した後に発熱重合反応のため十分な量で予熱され約291℃に達したところに注入した。以降の第2及び第3のピーク反応温度が約283℃と約266℃であり、ピークの間に約235℃までの冷却を行っている。反応混合物は、キック弁によって減圧され、冷却し、ポリマーは未反応ガスから分離した。)

(k)「To these polymers an antioxidant was added in an amount of 0.2 wt% (CAS number 96-69-5) and a peroxide as a crosslinking agent in an amount of 2 wt% (CAS number 80-43-3). 」(21頁24-26行)
([当審仮訳]:
これらポリマーに酸化防止剤として(CAS番号96-69-5)が0.2重量%で、さらに、架橋剤としてパーオキシド(CAS番号80-43-3)が2重量%で添加された。

(l)「Test for Dielectric losses : Sample preparation and test method was carried out as described above under“Test for tan δ measurements on 10 kV cables”」(22頁)
([当審仮訳]:
誘電損失の測定:試験サンプルの調製、および試験方法は上記の「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」によって行った。)

(m)「Table 1: Data and results on the electrical testing, Example 5 in the table denotes the Comparative example 5.

Tan δ values (10 ^(-4) ) measured on 10 kV cables.

25℃
Example 1 Example 2 Example 3 Example 4 Comparative example 5
5 kV/mm 6,3 3,7 4,2 2,6 0,8
10 kV/mm 6,4 3,9 4,3 2,7 0,9
15 kV/mm 6,4 3,9 4,3 2,7 0,9
20 kV/mm 6,4 3,9 4,3 2,7 0,9
25 kV/mm 6,4 3,9 4,3 2,7 0,9

100℃
Example 1 Example 2 Example 3 Example 4 Comparative example 5
5 kV/mm 0,1 0,1 0,1 0,1 0,1
10 kV/mm 0,1 0,2 0,1 0,1 0,1
15 kV/mm 0,3 0,3 0,2 0,4 0,3
20 kV/mm 0,5 0,4 0,4 0,7 0,6
25 kV/mm 0,8 0,6 0,6 1,2 1,1

13O℃
Example 1 Example 2 Example 3 Example 4 Comparative example 5
5 kV/mm 0,9 0,6 0,7 0,8 0,7
10 kV/mm 1,7 1,3 1,3 2,2 2,1
15 kV/mm 2,8 1,8 2,1 3,7 3,8
20 kV/mm 4,4 2,9 3,2 6,1 6,7
25 kV/mm 6,8 4,3 4,6 9 10,3 」
(22頁)

上記引用文献1の記載及び図面並びにこの分野の技術常識を考慮すると、
イ.上記(a)、(h)、(i)の記載によれば、引用文献1のポリマーは、少なくとも内部半導電層、絶縁層、外部半導電層、ジャケット層からなる被覆層の順で導体を囲む交流電力ケーブルの、少なくとも前記絶縁層に用いられるものである。

ロ.上記(d)、(f)の記載によれば、引用文献1のポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)であり、極性CTAと非極性CTAの混合物をポリマーの重合時に用いることで、高温のみならず、25?130℃の全温度範囲で、また、5?25kV/mmの全体的な電気的応力範囲で、非常に低いtanδが得られたものであって、さらに、そのtanδの測定は、上記(d)によれば上記(i)に「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」として記載される測定法で測定されるものである。
さらに、上記(j)、(k)、(l)によれば、引用文献1には、該極性CTAと非極性CTAの混合物を用いたポリマーとして、実施例2に、エチレンの重合時に、CTAとしてプロピオンアルデヒドとプロピレンを注入して重合し、架橋剤を加えたLDPEポリマーが記載されており、さらに、上記サ.には、該実施例2のLDPEポリマーを上記ク.に記載の「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」に基づいてtanδを測定したところ、25kV/mmおよび130°におけるtanδが4.3×10^(-4)であることが記載されている。
また、上記(b)、(e)の記載によれば、プロピオンアルデヒドは極性CTAであり、プロピレンは非極性CTAである。

以上総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」、及び「引用発明2」という。)が記載されているといえる。

〈引用発明1〉

「少なくとも内部半導電層、絶縁層、外部半導電層、ジャケット層からなる被覆層、の順で導体を囲んだ交流電力ケーブルにおいて、
少なくとも前記絶縁層のポリマーは、エチレンを重合し架橋剤を加えた低密度ポリエチレンポリマー(LDPE)であり、
上記LDPEを「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」に基づいてtanδを測定したところ、25kV/mmおよび130°におけるtanδが4.3×10^(-4)である、
前記交流電力ケーブル。」

〈引用発明2〉

「少なくとも内部半導電層、絶縁層、外部半導電層、ジャケット層からなる被覆層、の順で導体を囲んだ交流電力ケーブルにおいて、
少なくとも前記絶縁層のポリマーは、エチレンを重合し架橋剤を加えた低密度ポリエチレンポリマー(LDPE)であり、
上記LDPEを「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」に基づいてtanδを測定したところ、25kV/mmおよび130°におけるtanδが4.3×10^(-4)である、
前記交流電力ケーブルの製造方法であって、
前記絶縁層のポリマーは、高圧反応容器でのエチレンの重合時に、極性CTAであるポロピオンアルデヒドと非極性CTAであるプロピレンを注入して重合し、冷却後、LDPEポリマーを未反応ガスから分離し、架橋剤を加えて製造し、
極性CTAと非極性CTAの混合物をポリマーの重合時に用いることで、高温のみならず、広い電気的応力範囲で、非常に低いtanδが得られる、
交流電力ケーブルの製造方法。」


b.対比

補正発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明1の「内部半導電層」、「絶縁層」、「外部半導電層」、及び「ジャケット層からなる被覆層」は、補正発明1の「第一半導電性組成物を含む内側半導電層」、「ポリマー組成物を含む絶縁層」、「第二半導電性組成物を含む外側半導電層」及び「ジャケット組成物を含むジャケット層」に相当する。
また、引用発明1の「交流電力ケーブル」は、「内部半導電層、絶縁層及び被覆層、外部半導電層、ジャケット層からなる被覆層、の順で導体を囲んだ」ものであるから、補正発明1の「少なくとも、第一半導電性組成物を含む内側半導電層、ポリマー組成物を含む絶縁層、第二半導電性組成物を含む外側半導電層および、任意的に、ジャケット組成物を含むジャケット層、によってこの順に囲まれた導体を含む、交流(AC)電力ケーブル」に相当する。

よって、補正発明1と引用発明1は、以下の点で一致、ないし相違している。

(一致点)

「少なくとも、第一半導電性組成物を含む内側半導電層、ポリマー組成物を含む絶縁層、第二半導電性組成物を含む外側半導電層および、任意的に、ジャケット組成物を含むジャケット層、によってこの順に囲まれた導体を含む、交流(AC)電力ケーブル。」

(相違点)
「絶縁層のポリマー組成物」が、補正発明1では、「エチレンと少なくとも1の多不飽和コモノマーおよび任意的に1以上の他のコモノマーとの架橋された不飽和LDPEコポリマー、および架橋剤を含み、かつ」「本明細書の「測定法」に記載された「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」に従って25kV/mmおよび130℃で測定されるとき、12.0×10^(-4)以下のtanδ(50Hz)として表わされる誘電損失を有する」のに対して、引用発明では、エチレンを重合し架橋剤を加えたLDPEポリマーであって、該架橋されたLDPEの、「10kVケーブルについてのtanδ測定のための試験」に従って25kV/mmおよび130℃で測定されるときのtanδ(50Hz)が4.3×10^(-4)である点。

c.判断

当審は次のとおり判断する。

下の(a)?(c)に示す理由で、引用発明1において上記相違点に係る補正発明1の構成を採用することは、当業者といえども容易に推考し得たこととはいえない。

(a)引用発明1を開示する引用文献1には、引用発明1において上記相違点に係る補正発明1の構成を採用することについての記載も、それを示唆する記載もない。

(b)原査定の拒絶理由で引用された特開2000-53815号公報(以下、「引用文献2」という。)には(特に、段落【0006】?【0012】、【0024】?【0026】、表3等参照。)、電力ケーブルの絶縁層の樹脂組成物として、低密度ポリエチレンと、エチレン・プロピレン・ジエン重合体を架橋処理した樹脂のtanδが、90°および5kV/mmにおいて5×10^(-4)であることが記載されている。
しかしながら、引用文献2の樹脂組成物は、低密度ポリエチレンと、エチレン・プロピレン・ジエン重合体を架橋処理した樹脂であり、エチレン・プロピレン・ジエン重合体のtanδが5×10^(-4)となるものではなく、また、測定の条件も5kV/mmという低い応力であり、25kV/mmで測定したものでもない。
したがって、引用発明1における絶縁層のポリマー組成物として、引用文献2に記載の樹脂組成物を適用したとしても、上記相違点に係る補正発明1の構成は導出されない。

したがって、引用発明1において上記相違点に係る補正発明1の構成を採用することが当業者にとって容易であったとはいえない。

(c)ほかに引用発明1において上記相違点に係る補正発明1の構成を採用することが当業者にとって容易であったといえる根拠は見当たらない。

したがって、補正発明1は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。

イ.請求項2-8について
補正後の請求項2-8に係る発明は、補正発明1をさらに限定したものであるので、補正発明1と同様に、当業者が引用発明1に基づいて容易に発明することができたものではない。

ウ.請求項9-12について
補正後の請求項9に係る発明は、補正後の請求項1-8に係る発明の電力ケーブルの製造方法であり、上記第2の2.の「a.引用文献の記載事項」の引用発明2と少なくとも上記相違点1に加え、
(相違点2)
補正後の請求項9に係る発明が、「(a)1以上のエチレンモノマーを、潤滑のための、鉱油を含む圧縮器潤滑剤を使用する圧縮器中で加圧下に圧縮すること」という工程を有するのに対して、引用発明2では、そのような工程を有していない点、
で相違しており、原査定の拒絶理由で引用されたいずれの文献にも、鉱油を含む圧縮器潤滑剤を使用することは記載されていないことから、補正後の請求項9に係る発明は、当業者が引用発明2に基づいて容易に発明することができたものではない。

補正後の請求項10-12に係る発明は、補正後の請求項9に係る発明をさらに限定したものであるので、補正後の請求項9に係る発明と同様に、当業者が引用発明2に基づいて容易に発明することができたものではない。

エ.まとめ
よって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

(2)補正事項2について
補正後の前記請求項13に記載された発明(以下、「補正発明13」という。)は、補正後の請求項1に係る補正事項1と同様に特許請求の範囲を限定的な減縮を目的とする補正事項1を含むものである。
そして、補正後の請求項13に係る発明は、補正発明1の「AC電力ケーブル」を「AC電力ケーブルの絶縁層を製造するために使用する方法」の観点から記載したものであり、補正発明1と同様に、当業者が引用発明1に基づいて容易に発明することができたものではない。

よって、本件補正の補正事項2は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

3.むすび

本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。


第3 本願発明

本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1-13に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載された事項により特定されるとおりのものである。

そして、補正後の請求1-13に係る発明は上記第2の2.のとおり、当業者が引用発明1、及び引用発明2に基づいて容易に発明することができたものではない。

したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-01-17 
出願番号 特願2013-537116(P2013-537116)
審決分類 P 1 8・ 575- WY (H01B)
P 1 8・ 121- WY (H01B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 和田 財太  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 土谷 慎吾
山澤 宏
発明の名称 ポリマー組成物およびそれを含む電力ケーブル  
代理人 松井 光夫  
代理人 村上 博司  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ