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審決分類 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G03B
審判 全部無効 2項進歩性  G03B
審判 全部無効 特29条の2  G03B
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  G03B
管理番号 1323816
審判番号 無効2015-800079  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-03-30 
確定日 2016-12-26 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4348409号発明「高ダイナミック・レンジ表示装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4348409号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正を認める。 特許第4348409号の請求項11、19に係る発明についての特許を無効とする。 特許第4348409号の請求項1ないし10、12ないし18、20ないし33に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その33分の31を請求人の負担とし、33分の2を被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
1.本件特許は、ザ ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビアにより出願された2002年2月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2001年2月27日、米国)を国際出願日とする出願である特願2002-568092号(平成21年7月1日付けの出願人名義変更届により、特許権者が、ザ ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビアからドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション(以下「被請求人」という。)に変更された。)に係り、平成21年1月30日付けの手続補正によって補正された願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面の内容について、特許第4348409号として平成21年7月31日に設定登録されたものである。
本件特許無効審判事件は、請求人 岡本 敏夫 (以下「請求人」という。)が、「特許第4348409号の請求項1?33に係る発明についての特許を無効にする。審判請求費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」として、平成27年3月30日に請求したものであって、当該審判請求後の手続は以下のとおりである。

平成27年 8月12日 審判事件答弁書
訂正請求書
平成27年 9月19日 審判事件弁駁書
平成27年11月 9日 審理事項通知書
平成28年 1月15日 請求人 口頭審理陳述要領書
被請求人 口頭審理陳述要領書
平成28年 1月29日 第1回口頭審理
平成28年 3月11日 審決の予告

2.平成28年1月29日に行われた第1回口頭審理の概略
(1)請求人は、本件特許2、21、28についての記載不備の無効理由である「無効理由3(6)-2」、「無効理由3(6)-14」(「無効理由3 (6)-2」と同様の理由)、及び「無効理由3(6)-21」(「無効理由3(6)-2」と同様の理由)の主張を取り下げた(平成28年1月15日付け請求人の口頭審理陳述要領書参照。)。

(2)請求人は、審判請求書の本件特許発明21に対する「無効理由3(6)-14」について、本件特許発明20、22?26に対する「方法を実施する主体が規定されていない」という主張と同様の無効理由が脱落していた誤記であって、本件特許発明21に対する「無効理由3(6)-14」に該無効理由を追加した(平成28年1月15日付け請求人の口頭審理陳述要領書参照。)。

(3)平成28年1月29日に行われた第1回口頭審理において、被請求人は、訂正請求書の「b 訂正事項7」の「(a)訂正の目的」における「請求項26」は、「請求項27」の誤記であると認めた(平成28年1月15日付け被請求人の口頭審理陳述要領書参照。)。

(4)平成28年1月29日に行われた第1回口頭審理において、被請求人は、答弁書の「(8)-5 訂正特許発明5の記載不備の解消」における「訂正特許発明3」は、「訂正特許発明5」の誤記であると認めた(平成28年1月15日付け被請求人の口頭審理陳述要領書参照。)。


第2 平成27年8月12日付け訂正請求について
平成27年8月12日付け訂正請求(以下「本件訂正」という。)の適否について、以下に検討する。

1.本件訂正請求の内容
本件訂正は、「特許第4348409号の明細書、特許請求の範囲を本件請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを求める。」とするものであって、その内容は以下のとおりである。なお、本件訂正により実質的に訂正されたのは、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲(以下、単に「本件特許請求の範囲」という。)の請求項1?19からなる一群の請求項、本件特許請求の範囲の請求項20?26からなる一群の請求項、及び本件特許請求の範囲の請求項27?33からなる一群の請求項である。

(1)訂正事項1
【請求項1】について、本件訂正前の、「制御装置とを備え、」とあるのを、「制卸装置と、拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え、」に訂正する。

(2)訂正事項2
【請求項3】について、本件訂正前の、「第2の光変調器」とあるのを、「第2の空間光変調器」に訂正する。

(3)訂正事項3
【請求項20】について、本件訂正前の、「第2の空間光変調器とを備え、」とあるのを 「第2の空間光変調器と、拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え、」に訂正する。

(4)訂正事項4
【請求項22】について、本件訂正前の、「第2の光変調器」とあるのを、「第2の空間光変調器」に訂正する。

(5)訂正事項5
【請求項26】について、本件訂正前の、「前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つ」とあるのを、「前記第1及び第2の空間光変調器の画素の少なくとも一つ」に訂正する。

(6)訂正事項6
【請求項27】について、本件訂正前の、「前記第2の空間光変調器は複数の対応する画像を有し、」とあるのを、「前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有し、表示器は拡散器と、前記第1の空間光変調器によって出力された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって出力された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを有し、」に訂正する。

(7)訂正事項7
【請求項27】について、本件訂正前の、「画素の光透過を制御するように接続可能であり」とあるのを、「画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり」に訂正する。

(8)訂正事項8
【請求項29】について、本件訂正前の、「第2の光変調器」とあるのを、「第2の空間光変調器」に訂正する。

2.訂正の適否の判断
(1)一群の請求項について
請求項1は請求項2?19で引用されているから、請求項1?19は一群の請求項を構成するものであり、請求項20は請求項21?26で引用されているから、請求項20?26は一群の請求項を構成するものであり、請求項27は請求項28?33で引用されているから、請求項27?33は一群の請求項を構成するものであり、本件訂正の特許請求の範囲についての訂正は、一群の請求項ごとに請求するものである。

(2)訂正事項1について
「制卸装置と、拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」ることは、光学系が第1の空間光変調変調器によって投影された光を投影することによって、第1の空間光変調器からの光が光学系、拡散器、第2の空間光変調器の順に投影されることを限定するものであるから、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
そして、本件特許の願書に添付した明細書及び図面(以下、単に「本件特許明細書」という。)の段落【0018】には、光学系について、「通常、第1の光変調器16によって変調された光を、透過投影スクリーン23上に結像する光学系17は、1つ以上のミラーやレンズ、その他の光学素子を備えている。」と記載され、本件特許明細書の段落【0052】には、拡散器について、「・拡散器22とコリメータ18との順序を逆にしてもよい。・光の拡散及び/又は平行化を行うために、多数の協同素子を設けてもよい。・スクリーン23の、第2の光変調器20、コリメータ18、拡散器22の順序を変更してもよい。」と記載されているように、本件特許明細書等の記載を統合することにより導かれる技術的事項との関係において、訂正事項1は新たな技術的事項を導入しないものであることは明らかである。
したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質的上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項2について
本件特許請求の範囲の請求項1?3に係る特許発明では、請求項3の一箇所だけ「第2の光変調器」と記載されていて他はすべて「第2の空間光変調器」と記載されており、本件特許明細書においても「第2の空間光変調器」と「第2の光変調器」とを異なるものとする記載はなく、「第2の光変調器」を「第2の空間光変調器」とする訂正は、用語を統一させるものである。
したがって、訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質的上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(4)訂正事項3について
「第2の空間光変調器と、拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」ることは、光学系が第1の空間光変調変調器によって投影された光を投影することによって、第1の空間光変調器からの光が光学系、拡散器、第2の空間光変調器の順に投影されることを限定するものであるから、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
そして、本件特許明細書の段落【0018】には、光学系について、「通常、第1の光変調器16によって変調された光を、透過投影スクリーン23上に結像する光学系17は、1つ以上のミラーやレンズ、その他の光学素子を備えている。」と記載され、本件特許明細書の段落【0052】には、拡散器について、「・拡散器22とコリメータ18との順序を逆にしてもよい。・光の拡散及び/又は平行化を行うために、多数の協同素子を設けてもよい。・スクリーン23の、第2の光変調器20、コリメータ18、拡散器22の順序を変更してもよい。」と記載されているように、本件特許明細書すべての記載を統合することにより導かれる技術的事項との関係において、訂正事項3は新たな技術的事項を導入しないものであることは明らかである。
したがって、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質的上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(5)訂正事項4について
本件特許請求の範囲の請求項20?22に係る特許発明では、請求項22の一箇所だけ「第2の光変調器」と記載されていて他はすべて「第2の空間光変調器」と記載されており、本件特許明細書においても「第2の空間光変調器」と「第2の光変調器」とを異なるものとする記載はなく、「第2の光変調器」を「第2の空間光変調器」とする訂正は、用語を統一させるものである。
したがって、訂正事項4は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質的上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(6)訂正事項5について
本件特許請求の範囲の請求項20ないし25には、「第1及び第2の制御信号」との記載はなく、請求項26が直接又は間接に引用する請求項20には「第1及び第2の空間光変調器の画素」との記載がある。
そして、本件特許明細書の段落【0035】には、「図4に示すように、制御装置39は、画像38を形成するデータを第1の光変調器16及び第2の光変調器36のそれぞれに供給する。制御装置39は、例えば、適当な表示補助装置を備えるコンピュータから構成することもできる。制御装置39は、画像処理段階を迅速化するための画像処理ハードウェアを備えていてもよい。スクリーン34上のあらゆる点の輝度は、その点に対応する、第1の光変調器16の画素及び第2の光変調器の画素の影響の組み合わせによって決まる。」(下線は当審で付した。)と記載されており、「第1及び第2の空間光変調器の画素」が制御されることは明らかである。
したがって、訂正事項5は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質的上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(7)訂正事項6について
「前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有し、表示器は拡散器と、前記第1の空間光変調器によって出力された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって出力された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを有」することは、光学系が第1の空間光変調変調器によって投影された光を投影することによって、第1の空間光変調器からの光が光学系、拡散器、第2の空間光変調器の順に投影されることを限定するものであるから、訂正事項6は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
そして、本件特許明細書の段落【0018】には、光学系について、「通常、第1の光変調器16によって変調された光を、透過投影スクリーン23上に結像する光学系17は、1つ以上のミラーやレンズ、その他の光学素子を備えている。」と記載され、本件特許明細書の段落【0052】には、拡散器について、「・拡散器22とコリメータ18との順序を逆にしてもよい。・光の拡散及び/又は平行化を行うために、多数の協同素子を設けてもよい。・スクリーン23の、第2の光変調器20、コリメータ18、拡散器22の順序を変更してもよい。」と記載されているように、本件特許明細書すべての記載を統合することにより導かれる技術的事項との関係において、訂正事項6は新たな技術的事項を導入しないものであることは明らかである。
したがって、訂正事項6は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質的上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(8)訂正事項7について
本件特許請求の範囲の請求項27では、「接続可能であり」の主体としての「制御装置」が何に「接続可能」であるのか明確でなかったのを、「制御装置」が「第1及び第2の空間光変調器」に接続可能であることを記載することで、明瞭でない記載の釈明をするものである。そして、訂正前の請求項27において、「制御装置」が「第1及び第2の空間光変調器」に接続可能であることは明らかである。
したがって、訂正事項7は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質的上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(9)訂正事項8について
本件特許請求の範囲の請求項27?29に係る特許発明では、請求項29の一箇所だけ「第2の光変調器」と記載されていて他はすべて「第2の空間光変調器」と記載されており、本件特許明細書においても「第2の空間光変調器」と「第2の光変調器」とを異なるものとする記載はなく、「第2の光変調器」を「第2の空間光変調器」とする訂正は、用語を統一させるものである。
したがって、訂正事項8は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質的上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3.本件訂正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号、第3号に適合し、かつ、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第3項、第5項及び第6項の規定に適合する。


第3 訂正特許発明
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1?33に係る発明(以下、それぞれ、「訂正特許発明1」?「訂正特許発明33」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1?33に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

訂正特許発明1
「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、
制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器であって、第1の空間光変調器の画素毎に、複数の対応する画素を有する第2の空間光変調器と、
第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置と、
拡散器と、
前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え、
前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、表示装置。」

訂正特許発明2
「前記制御装置は、第2の空間光変調器の前記画素を制御して、第1の空間光変調器の各画素が、第2の空間光変調器の複数の画素に共通であるということから生じる影響を低減するように構成される、請求項1に記載の表示装置。」

訂正特許発明3
「前記制御装置は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を決定し、前記決定された強度に基づいて第2の空間光変調器の前記画素を制御するように構成されている、請求項1または2に記載の表示装置。」

訂正特許発明4
「前記第1の制御信号は、第1の空間光変調器の前記画素に対応する画像領域の複数の所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与するように、第1の空間光変調器の前記画素の各々を制御する、請求項1?3のいずれか1項に記載の表示装置。」

訂正特許発明5
「前記第2の制御信号は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の画素上に照射された光の既知の強度で除算された所望の輝度値に基づく量により、前記画素に入射した光を変調するように、第2の空間光変調器の画素の各々を制御する、請求項4に記載の表示装置。」

訂正特許発明6
「前記制御装置は、前記第1及び第2の制御信号を瞬時に生成するように構成される、請求項1?5のいずれか1項に記載の表示装置。」

訂正特許発明7
「前記制御装置は、前記所望の画像を定義する画像信号を受信するように更に構成され、前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部が前記制御装置による前記画像信号の前処理に基づく、請求項1?6のいずれか1項に記載の表示装置。」

訂正特許発明8
「前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々は、前記第2の空間光変調器上に光の分布を形成し、第1の空間光変調器の近接する画素から生じる、第2の空間光変調器上の光の前記分布は互いに重なり合う、請求項1?7のいずれか1項に記載の表示装置。」

訂正特許発明9
「前記第2の空間光変調器は前記第1の空間光変調器より大きな面積を有する請求項1?8のいずれか1項に記載の表示装置。」

訂正特許発明10
「前記第1及び第2の空間光変調器の各々の対応する前記画素の両方が、最大輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度と、第1及び第2の空間光変調器の各々の対応する画素の両方が、最小輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度との比が1000:1を超える、請求項1?9のいずれか1項に記載の表示装置。」

訂正特許発明11
「前記第1及び第2の各空間光変調器の対応する画素の両方が、最大輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度と、第1及び第2の各空間光変調器の対応する画素の両方が、最小輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度との比が1500:1を超える、請求項1?10のいずれか1項に記載の表示装置。」

訂正特許発明12
「前記第1の空間光変調器から投影される光を平行にするように配置されたコリメータを備える、請求項1?11のいずれか1項に記載の表示装置。」

訂正特許発明13
「前記コリメータはフレネル・レンズを含む、請求項12に記載の表示装置。」

訂正特許発明14
「前記コリメータはホログラフィック・レンズを含む、請求項12に記載の表示装置。」

訂正特許発明15
「前記第1の空間光変調器はカラー空間光変調器を含む、請求項1?14のいずれか1項に記載の表示装置。」

訂正特許発明16
「前記第2の空間光変調器の各画素は、複数のカラー・サブ画素を含む、請求項1?15のいずれか1項に記載の表示装置。」

訂正特許発明17
「前記第1の空間光変調器と前記第2の空間光変調器との間に設けられた、1つ以上の追加された光変調段を含む、請求項1?16のいずれか1項に記載の表示装置。」

訂正特許発明18
「前記1つ以上の追加された光変調段の各々は、コリメータと、前置の空間光変調器により光が投影される空間光変調器とを含む、請求項17に記載の表示装置。

訂正特許発明19
「前記1つ以上の追加された光変調段の各々は拡散器を含む、請求項18に記載の表示装置。」

訂正特許発明20
「方法であって、
制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器と、拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え、第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有する、制御可能な表示装置を制御するための方法であって、
第1の空間光変調器の画素を制御して、所望の画像の近似を提供すること、
第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正すること
を備え、
前記所望の画像の近似は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布を含む、方法。」

訂正特許発明21
「第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正することは、第1の空間光変調器の各画素が、第2の空間光変調器の複数の画素に共通するという事実から生じる影響を低減することを含む、請求項20に記載の方法。」

訂正特許発明22
「第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を決定すること、
前記決定された強度に基づいて第2の空間光変調器の前記画素を制御することを備える、請求項20または21に記載の方法。」

訂正特許発明23
「第1の空間光変調器の画素の各々を制御して、第1の空間光変調器の前記画素に対応する画像領域の複数の所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与することを備える、請求項20?22のいずれか1項に記載の方法。」

訂正特許発明24
「第2の空間光変調器の画素を制御して、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の画素上に照射された光の既知の強度で除算された所望の輝度値に基づく量により、前記画素に入射した光を変調することを備える、請求項23に記載の方法。」

訂正特許発明25
「第1及び第2の空間光変調器を瞬時に制御することを備える、請求項20?24のいずれか1項に記載の方法。」

訂正特許発明26
「前記所望の画像を定義する画像信号を受信すること、
前記画像信号を前処理すること、
前記画像信号を前記前処理することの少なくとも一部に基づいて、前記第1及び第2の空間光変調器の画素の少なくとも一つを制御すること
を備える、請求項20?25のいずれか1項に記載の方法。」

訂正特許発明27
「表示器制御装置であって、
第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、
画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有し、表示器は拡散器と、前記第1の空間光変調器によって出力された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって出力された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを有し、
第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、
第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成され、
前記第1の制御信号は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、前記第2の空間光変調器上に光の分布を有する前記所望の画像の前記近似を生じさせる、制御装置。」

訂正特許発明28
「前記制御装置は、第2の空間光変調器の前記画素を制御して、第1の空間光変調器の各画素が、第2の空間光変調器の複数の画素に共通であるということから生じる影響を低減するように構成される、請求項27に記載の制御装置。」

訂正特許発明29
「前記制御装置は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を決定し、前記決定された強度に基づいて第2の空間光変調器の前記画素を制御するように構成されている、請求項27または28に記載の制御装置。」

訂正特許発明30
「前記第1の制御信号は、第1の空間光変調器の前記画素に対応する画像領域の複数の所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与するように、第1の空間光変調器の前記画素の各々を制御する、請求項27?29のいずれか1項に記載の制御装置。」

訂正特許発明31
「前記第2の制御信号は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の画素上に照射された光の既知の強度で除算された所望の輝度値に基づく量により、前記画素に入射した光を変調するように、第2の空間光変調器の画素の各々を制御する、請求項30に記載の制御装置。」

訂正特許発明32
「前記制御装置は、前記第1及び第2の制御信号を瞬時に生成するように構成される、請求項27?31のいずれか1項に記載の制御装置。」

訂正特許発明33
「前記制御装置は、前記所望の画像を定義する画像信号を受信するように更に構成され、前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部が前記制御装置による前記画像信号の前処理に基づく、請求項27?32のいずれか1項に記載の制御装置。」


第4 請求人の主張する無効理由
1.審判請求書での請求人の主張
請求人は、審判請求書において、本件特許について、
本件訂正前の本件特許の請求項1?33に係る発明(以下、それぞれ、「本件特許発明1」?「本件特許発明33」という。)は、米国仮出願(甲第19号証の1、2)の優先権を主張した出願であって特許になったものであるが、優先権主張の効果が認められないので、進歩性及び拡大された先願に係る判断基準日は、国際出願日(平成14年(2002年)2月27日)となる、
そして、本件特許発明1?33は、甲第1?15号証により進歩性が欠如するから、その特許が特許法第29条第2項の規定に違反したものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである、
また、本件特許発明1?4、6?8、10、11、15、16、20?23、25?30、32、33は、甲第16号証に記載されたものであり、また、甲第16号証に係る特許出願は、その出願日及び公開日と、本件特許の国際出願日との関係より、特許法第29条の2で規定される「他の特許出願」に該当するので、本件特許発明1?4、6?8、10、11、15、16、20?23、25?30、32、33は、特許法第29条の2の規定に違反したものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである、
また、本件特許発明1?33は、平成14年法律第24号による改正前の特許法第36条第4項(以下、単に「特許法第36条第4項」という。)、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである、
として、概略、以下のとおり主張している。

(1)優先権主張の効果について
ア 本件特許発明1について
本件特許発明1は、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」という事項を有するが、このような事項に関する記載を、仮出願(甲第19号証の1)は含まない。
したがって、本件特許発明1について、優先権主張の効果は認められない。

イ 本件特許発明2?19について
本件特許発明2?19は、本件特許発明1を引用するものであり、上述したように本件特許発明1について、優先権主張の効果が認められないことから、同様に、本件特許発明2?19についても、優先権主張の効果は認められない。

ウ 本件特許発明20について
本件特許発明20は、前記所望の画像の近似は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布を含む」という事項を有するが、このような事項に関する記載を、仮出願(甲第19号証の1)は含まない。
したがって、本件特許発明20について、優先権主張の効果は認められない。

エ 本件特許発明21?26について
本件特許発明21?26は、本件特許発明20を引用するものであり、上述したように本件特許発明20について、優先権主張の効果が認められないことから、同様に、本件特許発明21?26についても、優先権主張の効果は認められない。

オ 本件特許発明27について
本件特許発明27は、「前記第1の制御信号は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、前記第2の空間光変調器上に光の分布を有する前記所望の画像の前記近似を生じさせる」という事項を有するが、このような事項に関する記載を、仮出願(甲第19号証の1)は含まない。
したがって、本件特許発明27について、優先権主張の効果は認められない。

カ 本件特許発明28?33について
本件特許発明28?33は、本件特許発明27を引用するものであり、上述したように本件特許発明27について、優先権主張の効果が認められないことから、同様に、本件特許発明28?33についても、優先権主張の効果は認められない。

キ 優先権についてのまとめ
以上のように、本件特許発明1?33については、優先権主張の効果が認められないので、本件特許に対する進歩性及び拡大された先願の判断基準日は、実際の国際出願日である平成14年(2002年)2月27日となる。

そのため、甲第1号証(特開2001-100689号 公開日:平成13年(2001年)4月13日)、甲第3号証(特開2001-142409号 公開日:平成13年(2001年)5月25日)、及び甲第8号証(特開2001-188230号 公開日:平成13年(2001年)7月10日)は、いずれも本件特許の国際出願前に頒布された文献である。
また、甲第16号証(特願2000-287499号 出願日:平成12年9月21日、公開日:平成14年4月5日)は、本件特許の国際出願日前に出願され、対応する国際出願後に出願公開された文献である。

(2)無効理由1:進歩性の欠如
(2)-1 本件特許発明1
本件特許発明1は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 甲1発明-1による進歩性の欠如1
甲第1号証には、実施例1として説明される図1に示す構成の液晶プロジェクタに関し、以下の甲1A-1?甲1D-1の事項を有する発明(以下、「甲1発明-1」と称す)が記載されている。
「甲1A-1:制御可能な照明光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第2の光変調器120(液晶パネル)と、
甲1B-1:制御可能な光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する液晶パネル16、17、18であって、第2の光変調器120の画素毎に、複数の対応する画素を有する液晶パネル16、17、18と、
甲1C-1:第2の光変調器120及び液晶パネル16、17、18に接続されているマイコン63であって、光変調器用の制御信号を供給して第2の光変調器120の画素を制御することにより、所望の画像(NTSC入力端子72で取得したアナログ入力信号の画像)の近似を提供し、液晶パネル用の制御信号を供給して液晶パネル16、17、18の画素を制御することにより、第2の光変調器120による近似の画像を補正するように構成されているマイコン63と、
甲1D-1:を備えた液晶プロジェクタ。」

本件特許発明1と甲1発明-1とを対比すると、本件特許発明1が、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によて変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲1発明-1では、このような構成を有しない点で相違する。

上記相違点について、甲第5?8号証は、液晶ディスプレイ(LCDパネル)の画素で変調された光の光度分布に係る半値全幅が「0.3×d_(2)?3×d_(2)」の範囲内にあることを示し、また、甲第8号証は、液晶パネルの画素で変調された光の光度分布に係る半値全幅が「1×d_(2)」以上であることを示すから、このような内容を「第2の光変調器120(液晶パネル)」に適用すれば、「第2の光変調器120(液晶パネル)」の画素で変調された光の光度分布に係る半値全幅が「0.3×d_(2)?3×d_(2)」の範囲内にあること、又は「1×d_(2)」以上である、ということになる。
甲1発明-1に、甲第5?8号証の記載を適用する動機づけについて検討する。甲第5?7号証に記載の発明は、いずれも液晶ディスプレイの画素(表示素子)の良否を、CCD2次元センサ(カメラ)を用いて検査する方法に係る発明を記載したものであり、検査内容が発明の本質部分になるので、検査対象となる液晶ディスプレイには、特殊なものではなく、ごく一般的に広く使われるものが用いられると考えられる。そのため、甲第5?7号証で示された液晶ディスプレイの画素で変調された光の特性(光分布)を、甲1発明-1の第2の光変調器120が具備していても何ら不思議はない。
また、甲第8号証に記載の液晶表示装置は、液晶パネル12を光源で照射する構成であり、一方、甲1発明-1においても、第2の光変調器120を光源である発光管で照射するものであるから、両者は技術的な構成が共通する。そのため、甲第8号証に記載の液晶表示装置の液晶パネル12が具備する光の特性(光分布)を、甲1発明-1の第2の光変調器120にも具備させることにも妥当性がある。
したがって、甲1発明-1に甲第5?8号証の記載を適用する動機づけが存在する。

よって、本件特許発明1は、当業者が甲1発明-1及び甲第5?8号証の記載に基いて容易に発明をすることができたものである。

イ 甲1発明-2による進歩性の欠如2
甲第1号証には、実施例3として説明される図6に示す構成の直視型液晶表示装置に関し、以下の甲1A-2?甲1D-2の事項を有する発明(以下、甲1発明-2と称す)が記載されている。
「甲1A-2:制御可能な光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する高分子分散型液晶セル222と、
甲1B-2:制御可能な光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する液晶セル206であって、高分子分散型液晶セル222の画素毎に、複数の対応する画素を有する液晶セル206と、
甲1C-2:高分子分散型液晶セル222及び液晶セル206と接続されているマイコン63であって、高分子分散型液晶セル222用の制御信号を供給して高分子分散型液晶セル222の画素を制御することにより、所望の画像(NTSC入力端子72で取得したアナログ入力信号の画像)の近似を提供し、液晶セル206用の制御信号を供給して液晶セル206の画素を制御することにより、高分子分散型液晶セル222による近似の画像を補正するように構成されているマイコン63と、
甲1D-2:を備えた直視型液晶表示装置。」

本件特許発明1と甲1発明-2とを対比すると、本件特許発明1が、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によて変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲1発明-2では、このような構成を有しない点で相違する。

上記相違点について、上記相違点にかかる記載は(半値全幅の範囲)、上記の甲1発明-1で説明したように、甲第5?8号証に存在する。
甲1発明-2に、甲第5?8号証の記載を適用する動機づけについて検討すると、甲1発明-2の「高分子分散型液晶セル222」は、上述した甲1発明-1の「第2の光変調器120(液晶パネル)」と同様の液晶パネルであることから、甲1発明-1の場合と同様の動機づけが、甲1発明-2にもあてはまる。そのため、甲1発明-2に甲第5?8号証の記載を適用する動機づけが存在する。

よって、本件特許発明1は、当業者が甲1発明-2及び甲第5?8号証の記載に基いて容易に発明をすることができたものである。

ウ 甲2発明による進歩性の欠如3
甲第2号証には、主に図5に示す構成の透過型液晶表示装置に関し、以下の甲2A?甲2Dの事項を有する発明(以下、甲2発明と称す)が記載されている。
「甲2A:制御可能な光を独立に投影するように構成される複数の発光ダイオードを有するバックライト部と、
甲2B:制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する液晶セル23であって、バックライト部の発光ダイオード毎に、複数の対応する画素を有する液晶セル23と、
甲2C:バックライト部(バックライト13)と液晶セル23(液晶パネル12)に接続されている演算回路15であって、バックライト用の制御信号を供給してバックライト部の発光ダイオードを制御することにより、所望の画像(外部から伝えられる表示すべき1フレーム内の各画素の情報)の近似を提供し、抽出した輝度値になるように電圧を供給して液晶セル23の画素を制御することにより、バックライト部による近似の画像を補正する演算回路15と、
甲2D:を備えた透過型液晶表示装置。」

本件特許発明1と甲2発明とを対比すると、本件特許発明1が、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によて変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲2発明では、このような構成を有しない点で相違する。

上記相違点について、甲第9?12号証の各図には、LEDアレイの各LEDからの光分布について、半値全幅が0.3×d_(2)から3×d_(2)までの範囲内にあることが示されており、さらに甲第9号証の各段落の記載には具体的に「半値全幅=1.0×ピッチ」、「半値全幅=1.1×ピッチ?1.26×ピッチ」、及び「半値全幅=1.25×ピッチ」という事項が示されている。
甲2発明に、甲第9?12号証の記載を適用する動機づけについて検討する。甲第9?12号証に記載の発明は、いずれも光源として機能するLEDアレイに関するものであり、特に甲第9号証の段落0005の中の「従来のLEDプリントバー像形成システムは、ピッチがFWHM値に等しくなるように設計されるのが普通であった。」という記載があるように、従来のLEDアレイは、ピッチがFWHM値(半値全幅)に等しくなるように設計されていたことから、半値全幅が0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲内にあることは、LEDアレイにおいて、極めて普通のことである。そのため、このような極めて普通のことを示す甲第9?12号証の記載事項を、甲2発明のバックライト部(LEDアレイ)にて参照することに妥当性はある。したがって、甲2発明に甲第9?12号証の記載を適用する動機づけが存在する。

よって、本件特許発明1は、当業者が甲2発明及び甲第9?12号証の記載に基いて容易に発明をすることができたものである。

エ 甲3発明による進歩性の欠如4
甲第3号証には、図1等に示す液晶表示装置に関し、以下の甲3A?甲3Dの事項を有する発明(以下、甲3発明と称す)が記載されている。
「甲3A:分割領域単位で駆動制御されて光を独立に投影するように構成される複数のLED3を有するバックライトパネル2と、
甲3B:制御可能な光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する液晶パネル1であって、バックライトパネル2のLED3毎に、複数の対応する画素を有する液晶パネル1と、
甲3C:バックライトパネル2と液晶パネル1に接続されており、バックライト用の制御信号を供給してバックライトパネル2のLEDを制御することにより、所望の画像の近似を提供し、映像信号に応じて信号電圧及び走査電圧を印加し、液晶パネル1の画素を制御することにより、バックライトパネル2による近似の画像を補正するコントローラ35と、
甲3D:を備えた液晶表示装置。」

本件特許発明1と甲3発明とを対比すると、本件特許発明1が、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によて変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲3発明では、このような構成を有しない点で相違する。

上記相違点について、甲第9?12号証の各図には、LEDアレイの各LEDからの光分布について、半値全幅が0.3×d_(2)から3×d_(2)までの範囲内にあることが示されており、さらに甲第9号証の各段落の記載には具体的に「半値全幅=1.0×ピッチ」、「半値全幅=1.1×ピッチ?1.26×ピッチ」、及び「半値全幅=1.25×ピッチ」という事項が示されている。
甲3発明に、甲第9?12号証の記載を適用する動機づけについて検討する。甲第9?12号証に記載の発明は、いずれも光源として機能するLEDアレイに関するものであり、特に甲第9号証の段落0005の中の「従来のLEDプリントバー像形成システムは、ピッチがFWHM値に等しくなるように設計されるのが普通であった。」という記載があるように、従来のLEDアレイは、ピッチがFWHM値(半値全幅)に等しくなるように設計されていたことから、半値全幅が0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲内にあることは、LEDアレイにおいて、極めて普通のことである。そのため、このような極めて普通のことを示す甲第9?12号証の記載事項を、甲3発明のバックライトパネル2にて参照することに妥当性はある。したがって、甲3発明に甲第9?12号証の記載を適用する動機づけが存在する。

よって、本件特許発明1は、当業者が甲3発明及び甲第9?12号証の記載に基いて容易に発明をすることができたものである。

オ 甲3発明による進歩性の欠如5
本件特許発明1の「第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置」は、甲3発明と相違するとしても、仮に、構成要件1Cの中の「第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正する」という内容が、制御装置による制御処理を意味すると解釈されるのであれば、この場合は、上記「(4)-1-3 甲第2号証による本件特許発明1の進歩性欠如3」の中で説明した甲2発明の甲2Cの内容を適用することにより、本件特許発明1は進歩性が欠如することになる。

すなわち、甲2発明の甲2Cは「バックライト部(バックライト13)と液晶セル23(液晶パネル12)に接続されている演算回路15であって、バックライト用の制御信号を供給してバックライト部の発光ダイオードを制御することにより、所望の画像(外部から伝えられる表示すべき1フレーム内の各画素の情報)の近似を提供し、抽出した輝度値になるように電圧を供給して液晶セル23の画素を制御することにより、バックライト部による近似の画像を補正する演算回路15」という内容であり、甲2発明の演算回路15は、抽出した輝度値になるように電圧を供給して液晶セル23の画素を制御しており、このような制御内容が、本件特許発明1の構成要件1Cにおける「第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正する」に対応する。

甲3発明は、コントローラ35にバックライトパネル2及び液晶パネル1を接続すると共に、バックライトパネル2の分割照明を行って消費電力の低減を図るものであり、甲2発明も、演算回路15に、バックライト部及び液晶セル23を接続すると共に、バックライト部の分割照明を行って消費電力の抑制を図るものであることから、両者は基本的な接続構成が共通すると共に、バックライトに関する処理内容を行うことに対する課題も共通するので、当業者であれば、甲2発明に関する液晶セル23に対する上述した制御内容を、甲3発明の液晶パネル1に行うことを容易に思いつく。

よって、本件特許発明1は、当業者が甲3発明、甲第2号証及び甲第9?12号証の記載に基いて容易に発明をすることができたものである。

カ 甲4発明による進歩性の欠如6
甲第4号証には、以下の甲4A?甲4Dの事項を有する発明(以下、甲4発明と称す)が記載されている。
「甲4A:制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有するR、G、B色用液晶パネル7、10、13と、
甲4B:制御可能な光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する高精細液晶パネル19であって、R、G、B色用液晶パネル7、10、13の画素毎に、複数の対応する画素を有する高精細液晶パネル19と、
甲4C:R、G、B色用液晶パネル7、10、13及び高精細液晶パネル19と接続されており、R、G、B色用液晶パネル7、10、13に電圧を印加して、R、G、B色用液晶パネル7、10、13の画素を制御することにより所定の画像の近似を提供し、演算した光の強度に係る最大値Maxに比例する透過率になる電圧を印加して、高精細液晶パネル19の画素を制御することにより、各色用液晶パネル7、10、13による所望の画像の近似を補正するように構成されている回路ユニット(各回路35?45の集合体)と、
甲4D:を備えたカラー液晶プロジェクター。」

本件特許発明1と甲4発明とを対比すると、本件特許発明1が、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲4発明では、このような構成を有しない点で相違する。

上記相違点について、上記相違点かかる記載は、上記の甲1発明-1で説明したように、甲第5?8号証に存在する。
甲4発明に、甲第5?8号証の記載を適用する動機づけについて検討すると、甲4発明の「R、G、B色用液晶パネル7、10、13」は、上述した甲1発明-1の「第2の光変調器120(液晶パネル)」と同様の液晶パネルであることから、甲1発明-1の場合と同様の動機づけが、甲4発明にもあてはまる。そのため、甲4発明に甲第5?8号証の記載を適用する動機づけが存在する。

よって、本件特許発明1は、当業者が甲4発明及び甲第5?8号証の記載に基いて容易に発明をすることができたものである。

キ 以上のことから、本件特許発明1は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-2 本件特許発明2
本件特許発明2は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明2の発明特定事項の「前記制御装置は、第2の空間光変調器の前記画素を制御して、第1の空間光変調器の各画素が、第2の空間光変調器の複数の画素に共通であるということから生じる影響を低減するように構成される」ことは、甲第2号証に記載されているといえる。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明2の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明2の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明2の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明2の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明2の進歩性は欠如する。

キ 以上のことから、本件特許発明2は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-3 本件特許発明3
本件特許発明3は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明3の発明特定事項の「前記制御装置は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を決定し、前記決定された強度に基づいて第2の空間光変調器の前記画素を制御するように構成されている」ことは、甲第1、2、4号証に記載されているといえる。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明3の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明3の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明3の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明3の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明3の進歩性は欠如する。

キ 以上のことから、本件特許発明3は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-4 本件特許発明4
本件特許発明4は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明4の発明特定事項の「前記第1の制御信号は、第1の空間光変調器の前記画素に対応する画像領域の複数の所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与するように、第1の空間光変調器の前記画素の各々を制御する」ことは、甲第1号証に記載されているといえる。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明4の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明4の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第5?8号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明4の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明4の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明4の進歩性は欠如する。

キ 甲4発明に、甲第5?8号証、甲1号証の記載を適用することで、本件特許発明4の進歩性は欠如する。

ク 以上のことから、本件特許発明4は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-5 本件特許発明5
本件特許発明5は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明5の発明特定事項の「前記第2の制御信号は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の画素上に照射された光の既知の強度で除算された所望の輝度値に基づく量により、前記画素に入射した光を変調するように、第2の空間光変調器の画素の各々を制御する」ことは、甲第2号証と内容的に一致する。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明5の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明5の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明5の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明5の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明5の進歩性は欠如する。

キ 以上のことから、本件特許発明5は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-6 本件特許発明6
本件特許発明6は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明6の発明特定事項の「前記制御装置は、前記第1及び第2の制御信号を瞬時に生成するように構成される、」ことは、甲第1?4号証に記載されている。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明6の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明6の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明6の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明6の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明6の進歩性は欠如する

キ 以上のことから、本件特許発明6は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-7 本件特許発明7
本件特許発明7は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明7の発明特定事項の「前記制御装置は、前記所望の画像を定義する画像信号を受信するように更に構成され、前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部が前記制御装置による前記画像信号の前処理に基づく」ことは、設計事項にすぎない。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明7の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明7の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証の記載を適用することで、本件特許発明7の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証の記載を適用することで、本件特許発明7の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明7の進歩性は欠如する。

キ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明7の進歩性は欠如する

ク 以上のことから、本件特許発明7は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-8 本件特許発明8
本件特許発明8は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明8の発明特定事項の「前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々は、前記第2の空間光変調器上に光の分布を形成し、第1の空間光変調器の近接する画素から生じる、第2の空間光変調器上の光の前記分布は互いに重なり合う」ことは、甲第5?7、9?12号証に記載されている。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?12号証の記載を適用することで、本件特許発明8の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?12号証の記載を適用することで、本件特許発明8の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第5?7、9?12号証の記載を適用することで、本件特許発明8の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第5?12号証の記載を適用することで、本件特許発明8の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲3発明に、甲第5?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明8の進歩性は欠如する。

キ 上記アより、甲4発明に、甲第5?12号証の記載を適用することで、本件特許発明8の進歩性は欠如する

ク 以上のことから、本件特許発明8は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-9 本件特許発明9
本件特許発明9は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明9の発明特定事項の「前記第2の空間光変調器は前記第1の空間光変調器より大きな面積を有する」ことは、甲第13号証に記載されている。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第13号証の記載を適用することで、本件特許発明9の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第13号証の記載を適用することで、本件特許発明9の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第13号証の記載を適用することで、本件特許発明9の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第13号証の記載を適用することで、本件特許発明9の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲3発明に、甲第5?8号証、甲第2号証、甲第13号証の記載を適用することで、本件特許発明9の進歩性は欠如する。

キ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第13号証の記載を適用することで、本件特許発明9の進歩性は欠如する

ク 以上のことから、本件特許発明9は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-10 本件特許発明10
本件特許発明10は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明10の発明特定事項の「前記第1及び第2の空間光変調器の各々の対応する前記画素の両方が、最大輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度と、第1及び第2の空間光変調器の各々の対応する画素の両方が、最小輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度との比が1000:1を超える」ことは、設計事項にすぎず、また、甲第1号証に「高コントラスト」、甲第14号証に「コントラスト比1600:1」が記載されている。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第1、14号証の記載を適用することで、本件特許発明10の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第1、14号証の記載を適用することで、本件特許発明10の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第1、14号証の記載を適用することで、本件特許発明10の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第1、14号証の記載を適用することで、本件特許発明10の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲3発明に、甲第5?8号証、甲第2号証、甲第1、14号証の記載を適用することで、本件特許発明10の進歩性は欠如する。

キ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第1、14号証の記載を適用することで、本件特許発明10の進歩性は欠如する

ク 以上のことから、本件特許発明10は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-11 本件特許発明11
本件特許発明11は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明11の発明特定事項は本件特許発明11の「1000:1」を「1500:1」に変更したものにすぎず、本件特許発明10と同様である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第1、14号証の記載を適用することで、本件特許発明11の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第1、14号証の記載を適用することで、本件特許発明11の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第1、14号証の記載を適用することで、本件特許発明11の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第1、14号証の記載を適用することで、本件特許発明11の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲3発明に、甲第5?8号証、甲第2号証、甲第1、14号証の記載を適用することで、本件特許発明11の進歩性は欠如する。

キ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第1、14号証の記載を適用することで、本件特許発明11の進歩性は欠如する

ク 以上のことから、本件特許発明11は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-12 本件特許発明12
本件特許発明12は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明12の発明特定事項の「前記第1の空間光変調器から投影される光を平行にするように配置されたコリメータを備える」ことは、甲第8号証に記載されている。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明12の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明12の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第8号証の記載を適用することで、本件特許発明12の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第8号証の記載を適用することで、本件特許発明12の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証 、甲第2号証、甲第8号証の記載を適用することで、本件特許発明12の進歩性は欠如する。

キ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明12の進歩性は欠如する

ク 以上のことから、本件特許発明12は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-13 本件特許発明13
本件特許発明13は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明13の発明特定事項の「前記コリメータはフレネル・レンズを含む」ことは、甲第8号証に記載されている。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明13の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明13の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第8号証の記載を適用することで、本件特許発明13の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第8号証の記載を適用することで、本件特許発明13の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証、甲第8号証の記載を適用することで、本件特許発明13の進歩性は欠如する。

キ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明13の進歩性は欠如する

ク 以上のことから、本件特許発明13は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-14 本件特許発明14
本件特許発明14は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明14の発明特定事項の「前記コリメータはホログラフィック・レンズを含む」ことは、設計事項にすぎない。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明14の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明14の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第8号証の記載を適用することで、本件特許発明14の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第8号証の記載を適用することで、本件特許発明14の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証、甲第8号証の記載を適用することで、本件特許発明14の進歩性は欠如する。

キ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明14の進歩性は欠如する

ク 以上のことから、本件特許発明14は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-15 本件特許発明15
本件特許発明15は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明15の発明特定事項の「前記第1の空間光変調器はカラー空間光変調器を含む」ことは、甲第2?4号証に記載されている。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第2?4号証の記載を適用することで、本件特許発明15の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第2?4号証の記載を適用することで、本件特許発明15の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第2?4号証の記載を適用することで、本件特許発明15の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2?4号証の記載を適用することで、本件特許発明15の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第2?4号証の記載を適用することで、本件特許発明15の進歩性は欠如する

キ 以上のことから、本件特許発明15は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-16 本件特許発明16
本件特許発明16は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明16の発明特定事項の「前記第2の空間光変調器の各画素は、複数のカラー・サブ画素を含む」ことは、甲第17号証に記載されている。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第17号証の記載を適用することで、本件特許発明16の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第17号証の記載を適用することで、本件特許発明16の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第17号証の記載を適用することで、本件特許発明16の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第17号証の記載を適用することで、本件特許発明16の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証、甲第17号証の記載及び甲第2号証の制御内容を適用することで、本件特許発明16の進歩性は欠如する。

キ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第17号証の記載を適用することで、本件特許発明16の進歩性は欠如する

ク 以上のことから、本件特許発明16は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-17 本件特許発明17
本件特許発明17は、甲第1号証、甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明17の発明特定事項の「前記第1の空間光変調器と前記第2の空間光変調器との間に設けられた、1つ以上の追加された光変調段を含む」ことは、甲第15号証の記載から容易に想到し得る。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第15号証の記載を適用することで、本件特許発明17の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第15号証の記載を適用することで、本件特許発明17の進歩性は欠如する

エ 以上のことから、本件特許発明17は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-18 本件特許発明18
本件特許発明18は、甲第1号証、甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明18の発明特定事項の「前記1つ以上の追加された光変調段の各々は、コリメータと、前置の空間光変調器により光が投影される空間光変調器とを含む」ことは、甲第4号証の記載から容易に想到し得る。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第15号証、甲第4号証の記載を適用することで、本件特許発明18の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第15号証、甲第4号証の記載を適用することで、本件特許発明18の進歩性は欠如する

エ 以上のことから、本件特許発明18は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-19 本件特許発明19
本件特許発明19は、甲第1号証、甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明19の発明特定事項の「前記1つ以上の追加された光変調段の各々は拡散器を含む」ことは、甲第1号証の記載から容易に想到し得る。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第1、4、15号証の記載を適用することで、本件特許発明18の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第1、4、15号証の記載を適用することで、本件特許発明18の進歩性は欠如する

エ 以上のことから、本件特許発明19は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-20 本件特許発明20
本件特許発明20は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明20は方法の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明1とはカテゴリが相違するだけで、内容的には同等である。そのため、上記「(2)-1 本件特許発明1」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明20は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明20の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明20の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証の記載を適用することで、本件特許発明20の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証の記載を適用することで、本件特許発明20の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明20の進歩性は欠如する。

キ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明20の進歩性は欠如する

ク 以上のことから、本件特許発明20は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-21 本件特許発明21
本件特許発明21は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明21は方法の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明2とはカテゴリが相違するだけで、内容的には同等である。そのため、上記「(2)-2 本件特許発明2」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明21は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明21の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明21の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明21の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明21の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明21の進歩性は欠如する。

ク 以上のことから、本件特許発明21は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-22 本件特許発明22
本件特許発明22は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明22は方法の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明3とはカテゴリが相違するだけで、内容的には同等である。そのため、上記「(2)-3 本件特許発明3」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明22は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明22の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明22の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明22の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明22の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明22の進歩性は欠如する。

キ 以上のことから、本件特許発明22は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-23 本件特許発明23
本件特許発明23は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

本件特許発明23は方法の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明4とはカテゴリが相違するだけで、内容的には同等である。そのため、上記「(2)-4 本件特許発明4」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明23は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明23の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明23の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第5?8号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明23の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明23の進歩性は欠如する。

カ 甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明23の進歩性は欠如する。

キ 甲4発明に、甲第5?8号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明23の進歩性は欠如する。

ク 以上のことから、本件特許発明23は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-24 本件特許発明24
本件特許発明24は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明24は方法の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明5とはカテゴリが相違するだけで、内容的には同等である。そのため、上記「(2)-5 本件特許発明5」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明24は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明24の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明24の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明24の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明24の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲2号証の記載を適用することで、本件特許発明24の進歩性は欠如する。

キ 以上のことから、本件特許発明24は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-25 本件特許発明25
本件特許発明25は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明25は方法の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明6とはカテゴリが相違するだけで、内容的には同等である。そのため、上記「(2)-6 本件特許発明6」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明25は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明25の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明25の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明25の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明25の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明25の進歩性は欠如する

キ 以上のことから、本件特許発明25は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-26 本件特許発明26
本件特許発明26は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明26は方法の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明7とはカテゴリが相違するだけで、内容的には同等である。そのため、上記「(2)-7 本件特許発明7」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明26は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明26の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明26の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証の記載を適用することで、本件特許発明26の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証の記載を適用することで、本件特許発明26の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲3発明に、甲第5?8号証の記載、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明26の進歩性は欠如する。

キ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明26の進歩性は欠如する

ク 以上のことから、本件特許発明26は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-27 本件特許発明27
本件特許発明27は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明27は制御装置の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明1とはカテゴリが相違するだけで、内容的には同等である。そのため、上記「(2)-1 本件特許発明1」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明27は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明27の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明27の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証の記載を適用することで、本件特許発明27の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証の記載を適用することで、本件特許発明27の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明27の進歩性は欠如する。

キ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明27の進歩性は欠如する

ク 以上のことから、本件特許発明27は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-28 本件特許発明28
本件特許発明28は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明28は制御装置の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明2とはカテゴリが相違するだけで、内容的には同等である。そのため、上記「(2)-2 本件特許発明2」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明28は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明28の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明28の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明28の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明28の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明28の進歩性は欠如する。

キ 以上のことから、本件特許発明28は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-29 本件特許発明29
本件特許発明29は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明29は制御装置の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明3とはカテゴリが相違するだけで、内容的には同等である。そのため、上記「(2)-3 本件特許発明3」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明29は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明29の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明29の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明29の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明29の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第1、2、4号証の記載を適用することで、本件特許発明29の進歩性は欠如する。

キ 以上のことから、本件特許発明29は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-30 本件特許発明30
本件特許発明30は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明30は制御装置の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明4とはカテゴリが相違するだけで、内容的には同等である。そのため、上記「(2)-4 本件特許発明4」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明30は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明30の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明30の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第5?8号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明30の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明30の進歩性は欠如する。

カ 甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明30の進歩性は欠如する。

キ 甲4発明に、甲第5?8号証、甲第1号証の記載を適用することで、本件特許発明30の進歩性は欠如する。

ク 以上のことから、本件特許発明30は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-31 本件特許発明31
本件特許発明31は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明31は制御装置の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明5とはカテゴリが相違するだけで、内容的には同等である。そのため、上記「(2)-5 本件特許発明5」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明31は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明31の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明31の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明31の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明31の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明31の進歩性は欠如する。

キ 以上のことから、本件特許発明31は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-32 本件特許発明32
本件特許発明32は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明32は制御装置の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明6とはカテゴリが相違するだけで、内容的には同等である。そのため、上記「(2)-6 本件特許発明6」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明32は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明32の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明32の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明32の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明32の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証、甲第1?4号証の記載を適用することで、本件特許発明32の進歩性は欠如する

キ 以上のことから、本件特許発明32は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(2)-33 本件特許発明33
本件特許発明33は、甲第1号証?甲第4号証等により進歩性が欠如する。

ア 本件特許発明33は制御装置の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明7とはカテゴリが相違するだけで、内容的には同等である。そのため、上記「(2)-7 本件特許発明7」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明32は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号により、その特許は無効である。

イ 上記アより、甲1発明-1に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明33の進歩性は欠如する。

ウ 上記アより、甲1発明-2に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明33の進歩性は欠如する。

エ 上記アより、甲2発明に、甲第9?12号証の記載を適用することで、本件特許発明33の進歩性は欠如する。

オ 上記アより、甲3発明に、甲第9?12号証の記載を適用することで、本件特許発明33の進歩性は欠如する。

カ 上記アより、甲3発明に、甲第5?8号証の記載、甲第2号証の記載を適用することで、本件特許発明33の進歩性は欠如する。

キ 上記アより、甲4発明に、甲第5?8号証の記載を適用することで、本件特許発明33の進歩性は欠如する

ク 以上のことから、本件特許発明33は、その進歩性が欠如(特許法第29条第2項)、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)無効理由2:拡大先願
(3)-1 本件特許発明1
甲第16号証には、以下の甲16A?甲16Eの事項を有する発明(以下、甲16発明と称す)が記載されている。
「甲16A:制御可能な輝度の光を独立に投影するように構成される領域毎の発光体を有するバックライト12と、
甲16B:制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するLCD11であって、バックライト12の領域毎に、複数の対応する画素を有するLCD11と、
甲16C:バックライト12及びLCD11に接続された回路ユニットであって、バックライト用の制御信号を供給して、バックライト12の領域毎の発光体を制御することにより所望の画像の近似を提供し、LCD用の制御信号を供給して、LCD11の画素を制御することにより、所定の画像の近似を補正するように構成されている回路ユニットとを備え、
甲16D:LCD11において、バックライト12の複数の領域の各々によって変調された光の分布は、d_(2)がバックライト12の隣接する領域によって変調される光の分布についてLCD11上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲内の半値全幅を有する拡散関数を含む、
甲16E:表示装置。」

本件特許発明1と甲16発明とを対比すると、本件特許発明1は甲16発明と同一であるといえる。また、甲第16号証に係る特許出願は、その出願日及び公開日と、本件特許の国際出願日との関係より、特許法第29条の2で規定される「他の特許出願」に該当する。
したがって、本件特許発明1は、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-2 本件特許発明2
甲第16号証に記載されているといえる「回路ユニットは、LCD11の画素を制御して、バックライト12の各領域が、LCD11の複数の画素に共通であるということから生じる影響を低減するように構成される」(以下「甲16F」という。)ことは、本件特許発明2の発明特定事項の「前記制御装置は、第2の空間光変調器の前記画素を制御して、第1の空間光変調器の各画素が、第2の空間光変調器の複数の画素に共通であるということから生じる影響を低減するように構成される」ことに相当し、甲16Fを有する甲16発明は本件特許発明2と同一である。
よって、本件特許発明2は、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-3 本件特許発明3
甲16号証に記載されているといえる「回路ユニットは、バックライト12からLCD11の各画素へ入射する図10(a)で表した輝度を算出し、その算出したバックライト輝度情報に基づき階調補正を行って、LCD11の画素を制御するように構成されている」(以下「甲16G」という。)ことは、本件特許発明3の発明特定事項の「前記制御装置は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を決定し、前記決定された強度に基づいて第2の光変調器の前記画素を制御するように構成されている」ことに相当し、甲16Gを有する甲16発明は本件特許発明3と同一である。
よって、本件特許発明3は、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-4 本件特許発明4
甲16号証に記載されているといえる「バックライト用の制御信号は、バックライト12の複数の領域の平均輝度に寄与するように、バックライト12の領域の輝度の各々を制御する」(以下「甲16H」という。)ことは、本件特許発明4の発明特定事項の「前記第1の制御信号は、第1の空間光変調器の前記画素に対応する画像領域の複数の所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与するように、第1の空間光変調器の前記画素の各々を制御する」ことに相当し、甲16Hを有する甲16発明は本件特許発明4と同一である。
よって、本件特許発明4は、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-5 本件特許発明6
甲16号証に記載されているといえる「回路ユニットは、電気的にバックライト用の制御信号及びLCD用の制御信号を生成することから、これらの制御信号を瞬時に生成している」(以下「甲16I」という。)ことは、本件特許発明6の発明特定事項の「前記制御装置は、前記第1及び第2の制御信号を瞬時に生成するように構成される」ことに相当し、甲16Iを有する甲16発明は本件特許発明6と同一である。
よって、本件特許発明6は、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-6 本件特許発明7
甲16号証に記載されているといえる「回路ユニットが生成するバックライト用の制御信号及びLCD用の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部が、RGB入力画像信号の前処理に基づくものになっている」(以下「甲16J」という。)ことは、本件特許発明7の発明特定事項の「前記制御装置は、前記所望の画像を定義する画像信号を受信するように更に構成され、前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部が前記制御装置による前記画像信号の前処理に基づく」ことに相当し、甲16Jを有する甲16発明は、本件特許発明7と同一である。
よって、本件特許発明7は、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-7 本件特許発明8
甲16号証に記載されている「バックライト輝度を領域毎に変調すると、照明領域間のクロストークにより、ある画素領域を照明するバックライト輝度には、直下のバックライト領域輝度だけではなく、隣接照明領域の輝度が重畳される。すなわち、隣接領域からの照明光の回り込みにより、階調変換に使用したバックライト輝度から実際のバックライト輝度がずれる(照明誤差)という現象が生ずる。」(以下「甲16K」という。)ことは、本件特許発明8の発明特定事項の「前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々は、前記第2の空間光変調器上に光の分布を形成し、第1の空間光変調器の近接する画素から生じる、第2の空間光変調器上の光の前記分布は互いに重なり合う」ことに相当し、甲16Kを有する甲16発明は本件特許発明8と同一である。
よって、本件特許発明8は、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-8 本件特許発明10
甲16号証に記載されているといえる「この実効コントラスト3000とは、バックライト12とLCD11の各々の対応する部分が最大輝度を得るように設定された場合の点の輝度と、バックライト12とLCD11の各々の対応する部分が最小輝度を得るように設定された場合の点の輝度との比が3000:1になる」(以下「甲16L」という。)ことは、本件特許発明10の発明特定事項の「前記第1及び第2の空間光変調器の各々の対応する前記画素の両方が、最大輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度と、第1及び第2の空間光変調器の各々の対応する画素の両方が、最小輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度との比が1000:1を超える」ことに相当し、甲16Lを有する甲16発明は本件特許発明10と同一である。
よって、本件特許発明10は、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-9 本件特許発明11
上記「(3)-8」で述べたように、甲16号証に記載されているといえる甲16Lを含むことは、本件特許発明11の発明特定事項の「前記第1及び第2の各空間光変調器の対応する画素の両方が、最大輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度と、第1及び第2の各空間光変調器の対応する画素の両方が、最小輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度との比が1500:1を超える」ことに相当し、甲16Lを有する甲16発明は本件特許発明11と同一である。
よって、本件特許発明11は、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-10 本件特許発明15
甲16号証に記載されている「また、本手法は、白色LEDだけでなく、RGBそれぞれのLEDを配置した場合にも有効である。図19は、RGB各色のLEDの発光スペクトル、冷陰極管の発光スペクトル、RGBカラーフィルタの分光透過率を示した図である。本構成においては、各色のLEDの発光強度を独立に制御可能であるので、図20に示すように、LEDによる白色点を蛍光管の白色点に一致させることは容易である」(以下「甲16M」という。)ことは、本件特許発明15の発明特定事項の「前記第1の空間光変調器はカラー空間光変調器を含む」ことに相当し、甲16Mを有する甲16発明は本件特許発明15と同一である。
よって、本件特許発明15は、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-11 本件特許発明16
甲16号証に記載されているといえる「LCD11が、赤(R)、緑(G)、青(B)のサブ画素を具備すること」(以下「甲16N」という。)は、本件特許発明16の発明特定事項の「前記第2の空間光変調器の各画素は、複数のカラー・サブ画素を含む」前記第1の空間光変調器はカラー空間光変調器を含む」ことに相当し、甲16Nを有する甲16発明は本件特許発明16と同一である。
よって、本件特許発明16は、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-12 本件特許発明20
本件特許発明20は、本件特許発明1と内容的に同等であるため、上記「(3)-1 本件特許発明1」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明20は甲16発明と同一であって、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-13 本件特許発明21
本件特許発明21は、本件特許発明2と内容的に同等であるため、上記「(3)-2 本件特許発明2」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明21は甲16発明と同一であって、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-14 本件特許発明22
本件特許発明22は、本件特許発明3と内容的に同等であるため、上記「(3)-3 本件特許発明3」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明22は甲16発明と同一であって、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-15 本件特許発明23
本件特許発明23は、本件特許発明4と内容的に同等であるため、上記「(3)-4 本件特許発明4」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明23は甲16発明と同一であって、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-16 本件特許発明25
本件特許発明25は、本件特許発明6と内容的に同等であるため、上記「(3)-5 本件特許発明6」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明25は甲16発明と同一であって、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-17 本件特許発明26
本件特許発明26は、本件特許発明7と内容的に同等であるため、上記「(3)-6 本件特許発明7」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明26は甲16発明と同一であって、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-18 本件特許発明27
本件特許発明27は、本件特許発明1と内容的に同等であるため、上記「(3)-1 本件特許発明1」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明27は甲16発明と同一であって、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-19 本件特許発明28
本件特許発明28は、本件特許発明2と内容的に同等であるため、上記「(3)-2 本件特許発明2」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明28は甲16発明と同一であって、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-20 本件特許発明29
本件特許発明29は、本件特許発明3と内容的に同等であるため、上記「(3)-3 本件特許発明3」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明29は甲16発明と同一であって、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-21 本件特許発明30
本件特許発明30は、本件特許発明4と内容的に同等であるため、上記「(3)-4 本件特許発明4」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明30は甲16発明と同一であって、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-22 本件特許発明32
本件特許発明32は、本件特許発明6と内容的に同等であるため、上記「(3)-5 本件特許発明6」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明32は甲16発明と同一であって、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(3)-23 本件特許発明33
本件特許発明33は、本件特許発明6と内容的に同等であるため、上記「(3)-6 本件特許発明7」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明33は甲16発明と同一であって、拡大先願(特許法第29条の2)の規定により、その特許は無効である(同法第123条第1項第2号)。

(4)無効理由3:記載不備
(4)-1 本件特許発明1
(4)-1-1 本件特許発明1の構成要件1Dの記載不備(その一)
本件特許発明1の構成要件1Dは「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」というものである。

構成要件1Dは、「0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅」というように「0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲」を規定するが、この範囲の下限である「0.3×d_(2)」という数値要件及び上限である「3×d_(2)」という数値要件について、発明の目的との関係が明確でなく、その技術的意義が当業者に明らかでないことから、明確性要件を満たさない(特許法第36条第6項第2号)。

すなわち、構成要件1Dの「0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅」に係る内容は、本件特許明細書の段落0047にて「低分解能光変調器の画素は、望ましくは、多少拡散した光を放ち、光が低分解能光変調器の画素を横切るのに伴い、光の強度が確実にかつなだらかに変化する。図7に示すように、これは、低分解能光変調器の各画素からの光が隣接した画素に広がる場合である。図7Aに示すように、低分解能光変調器の画素の強度プロフィールは、しばしば、画素の有効幅に等しい幅d_(1)を持つ方形プロフィール(rectangular profile)が畳み込まれたガウス分布関数によって近似することができる。分布関数は、好ましくは、0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を持ち、ここで、d_(2)は画素間の中心から中心までの距離であり、所望の円滑に変化する光強度を得る。典型的に、d_(1)はd_(2)にほぼ等しい。」というように記載されているだけであり、この段落0047の中でも、下限の「0.3×d_(2)」及び上限の「3×d_(2)」についての技術的意義は一切説明されていない。

したがって、本件特許発明1は、構成要件1Dにおける「0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅」について明確性要件を満たしておらず、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-1-2 本件特許発明1の構成要件1Dの記載不備(その二)
本件特許発明1の構成要件1Dの記載ぶりは、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」というように、第2の空間光変調器における光の分布を規定したものになっている。

一方、本件特許明細書は、段落0047にて光の分布に関する内容を説明するが、段落0047では、「低分解能光変調器の画素は、望ましくは、多少拡散した光を放ち、光が低分解能光変調器の画素を横切るのに伴い、光の強度が確実にかつなだらかに変化する。図7に示すように、これは、低分解能光変調器の各画素からの光が隣接した画素に広がる場合である。図7Aに示すように、低分解能光変調器の画素の強度プロフィールは、しばしば、画素の有効幅に等しい幅d_(1)を持つ方形プロフィール(rectangular profile)が畳み込まれたガウス分布関数によって近似することができる。分布関数は、好ましくは、0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を持ち、ここで、d_(2)は画素間の中心から中心までの距離であり、所望の円滑に変化する光強度を得る。典型的に、d_(1)はd_(2)にほぼ等しい。」と記載されているように、第1の空間光変調器に相当する「低分解能光変調器」の画素の強度プロフィールを説明しており(特に、段落0047の記載中の上記の下線箇所参照)、第2の空間光変調器に関する光の分布については一切、説明されていない。

なお、本件特許明細書における[図面の簡単な説明]の[図7]では、「低分解能光変調器の画素から高分解能光変調器上に結像された光が、どのように重なり合って、滑らかな光強度の変化を与えるかを説明するグラフ。」と説明されているが、以下の図7を見れば明らかなように、図7は低分解能変調器の各画素から出た光についての光分布が示されており、高分解能光変調器は図7において一切、図示されていないことから、この[図7]の説明は、図7の図示内容、及び上述した段落0047の記載内容と乖離しており、正しい内容といえない。

【図7】


したがって、構成要件1Dの「第2の空間光変調器における光の分布」に関する内容は、本件特許明細書でサポートされていないので、サポート要件が充足されておらず(特許法第36条第6項第1号)、また、本件特許明細書でサポートされていないことに伴って、実施可能要件も充足されないので(特許法第36条第4項)、本件特許発明1は、これらの点において記載不備であり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-1-3 本件特許発明1の構成要件1Dの記載不備(その三)
本件特許発明1の構成要件1Dにおいて「d_(2)」は、「d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるとき」というように、第2の空間光変調器上の中心間の距離である、と規定されている。

一方、本件特許明細書では、上述した段落0047において「ここで、d_(2)は画素間の中心から中心までの距離であり」というように、低分解能光変調器における画素間の中心から中心までの距離になっている。

そのため、「d_(2)」に関する規定が、構成要件1Dと、段落0047とでは相違しているので、構成要件1Dにおける「d_(2)」に関する規定が本件特許明細書に存在しないことから、この点においてサポート要件及び実施可能要件が充足されない(特許法第36条第6項第1号、同条第4項)。

よって、本件特許発明1は、上述した点において記載不備であり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-2 本件特許発明3の記載不備
本件特許発明3は、複数箇所に記載不備が存在する。

(4)-2-1 本件特許発明3の記載不備(その一)
本件特許発明3の構成要件3Aは「前記制御装置は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を決定し、前記決定された強度に基づいて第2の光変調器の前記画素を制御するように構成されている」というものであるが、構成要件3Aの中に記載されている「第2の光変調器」というものは、構成要件3Aの他の箇所に記載されておらず、また、本件特許発明3が引用する本件特許発明1にも記載されていない。

したがって、「第2の光変調器」は何を意味するものであるか、明確でないので、明確性要件が充足されず(特許法第36条第6項第2号)、この点において、本件特許発明3は記載不備であり、その特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

(4)-2-2 本件特許発明3の記載不備(その二)
本件特許発明3の構成要件3Aは、「決定された強度に基づいて第2の光変調器の画素を制御する」という内容になっており、その技術的範囲が、本件特許明細書の記載に対して広すぎる。

本件特許明細書は、高分解能空間光変調器の制御について、段落0044に「制御装置は、高分解能光変調器の画素を設定して、映し出される画像を所望の画像に近づける。このことは、例えば、所望の輝度を、低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割ることによって行うことができる。光変調器を駆動させるための信号を生成するための処理は、制御装置39により即座に行ってもよいし、制御装置39またはその他の装置により先立って行い、そして、その画像データに統合してもよいし、または、ある処理を先立って行ってもよいし、そして、制御装置39が制御信号を生成するための最後の処理を行ってもよい。」という記載を有するだけである。

この段落0044の記載では、高分解能光変調器の画素を設定することについて、「所望の輝度を、低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割ること」が説明されるだけであり、その他の処理内容は、具体的に何ら説明されていない。

したがって、構成要件3Aの「決定された強度に基づいて第2の光変調器の画素を制御する」という記載ぶりでは、段落0044の「所望の輝度を、低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割る」という内容以外の処理内容も当然含むので、本件特許明細書に記載されていない内容について、サポート要件及び実施可能要件が充足されない(特許法第36条第6項第1号、同条第4項)。

よって、本件特許発明3は、上述した点において記載不備であり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-3 本件特許発明4の記載不備
本件特許発明4は、複数箇所に記載不備が存在する。

(4)-3-1 本件特許発明4の記載不備(その一)
本件特許発明4の構成要件4Aは、「前記第1の制御信号は、第1の空間光変調器の前記画素に対応する画像領域の複数の所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与するように、第1の空間光変調器の前記画素の各々を制御する」というものであるが、まず「所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与する」という内容が意味不明である。

構成要件4Aでは、単に「所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与する」という記載ぶりであるから、どのように寄与するのかが不明である。

例えば、「輝度を向上することに寄与する」という記載ぶりであれば、輝度を向上することに役立つ、という内容であることが理解でき、また、他の例として「輝度が得られることに寄与する」という記載ぶりであれば、その輝度が得られることに役立つ、という内容であることが理解できる。

しかし、構成要件4Aでは、単に「所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与する」という表現なので、「所望の輝度値の平均に寄与する」とは、平均に対して、どのように寄与するのか、また、「重み付けされた平均である輝度に寄与する」とは、重み付けされた平均である輝度に対して、どのように寄与するのか、理解できない。

上記の点で、本件特許発明4は明確性要件を満たさないので(特許法第36条第6項第2号)、その特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

(4)-3-2 本件特許発明4の記載不備(その二)
本件特許発明4の構成要件4Aの「第1の制御信号は、第1の空間光変調器の前記画素に対応する画像領域の複数の所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与するように、第1の空間光変調器の前記画素の各々を制御する」という事項は、本件特許明細書に記載されていない。

本件特許明細書は、低分解能空間光変調器の各画素の制御について、段落0043で「例えば、低分解能空間光変調器の各画素が高分解能空間光変調器の複数の画素に対応する場合を考えてみる。所望の画像を特定する画像データは制御装置に供給される。画像データは、高分解能空間光変調器の各画素に対応する画像領域に対する所望の輝度を示す。制御装置は、所望の画像に近いものを与えるために低分解能光変調器の画素を設定する。このことは、例えば、低分解能光変調器の各画素に対応する画像領域の所望の輝度の平均値、または、重み付けされた平均値を決めることによって達成することができる。」という記載を有するが、この段落0043の中で、構成要件4Aに係る「所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与するように、第1の空間光変調器の前記画素の各々を制御する」という事項は記載されていない。

段落0043は、「低分解能光変調器の各画素に対応する画像領域の所望の輝度の平均値、または、重み付けされた平均値を決めて、この決めた値に低分解能光変調器の画素を設定する」ことを説明しているだけであり、構成要件4Aの事項に関する説明は行っていない。

したがって、本件特許発明4の構成要件4Aは、サポート要件及び実施可能要件を満たしておらず(特許法第36条第6項第1号、同条第4項)、この点において、本件特許発明4は記載不備であり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-4 本件特許発明5の記載不備
本件特許発明5は、「光の既知の強度」について記載不備が存在する。
本件特許発明5の構成要件5Aは「前記第2の制御信号は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の画素上に照射された光の既知の強度で除算された所望の輝度値に基づく量により、前記画素に入射した光を変調するように、第2の空間光変調器の画素の各々を制御する」というものであり、「第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の画素上に照射された光の既知の強度」という記載を含む。

この「第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の画素上に照射された光の既知の強度」という中の「光の既知の強度」とは、どのようなものであるのか、どのように既知であるのか、という点において明確でない。

この点において、本件特許発明5は明確性要件を満たさず(特許法第36条第6項第2号)、その特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

また、「光の既知の強度」について、本件特許明細書は、段落0044に「制御装置は、高分解能光変調器の画素を設定して、映し出される画像を所望の画像に近づける。このことは、例えば、所望の輝度を、低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割ることによって行うことができる。光変調器を駆動させるための信号を生成するための処理は、制御装置39により即座に行ってもよいし、制御装置39またはその他の装置により先立って行い、そして、その画像データに統合してもよいし、または、ある処理を先立って行ってもよいし、そして、制御装置39が制御信号を生成するための最後の処理を行ってもよい。」という記載を有し、この記載の中で「低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度」というように「光の既知の輝度」に言及するが、この「光の既知の強度」は、どのようなものである、制御装置39が、どのように取得するか等について、一切説明されていないので、「光の既知の強度」を把握することができず、それに伴い、「所望の輝度を、低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割る」という除算自体が実施できなくなる。
したがって、光の既知の輝度をどのように取得できるか分からないことに伴って上記の除算自体が実施できなくなるという点に関し、本件特許発明5に係る本件特許明細書の記載は実施可能要件を満たしておらず(特許法第36条第4項)、本件特許発明5は、この点において記載不備となり、その特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

(4)-5 本件特許発明6の記載不備
本件特許発明6の構成要件6Aは「前記制御装置は、前記第1及び第2の制御信号を瞬時に生成するように構成される」というものであり、この構成要件6Aの中で「制御信号を瞬時に生成する」が記載不備である。

まず、「制御信号を瞬時に生成する」における「瞬時」とは、どの程度の時間を意味するのかを客観的に特定できないので、本件特許発明6は明確性要件を満たさず(特許法第36条第6項第2号)、その特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

また、制御信号の生成について、本件特許明細書は、段落0044に「制御装置は、高分解能光変調器の画素を設定して、映し出される画像を所望の画像に近づける。このことは、例えば、所望の輝度を、低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割ることによって行うことができる。光変調器を駆動させるための信号を生成するための処理は、制御装置39により即座に行ってもよいし、制御装置39またはその他の装置により先立って行い、そして、その画像データに統合してもよいし、または、ある処理を先立って行ってもよいし、そして、制御装置39が制御信号を生成するための最後の処理を行ってもよい。」という記載を有する。

この段落0044では「光変調器を駆動させるための信号を生成するための処理は、制御装置39により即座に行ってもよい」というように「即座」という用語が使われており、「瞬時」という用語は使われていない。
「即座」とは、「すぐその場所。その場。即席」(広辞苑 第5版 岩波書店)、「すぐその場」(大辞泉 第一版<増補・新装版> 小学館)、「その場ですぐ」(明鏡国語辞典 初版 大修館書店)という意味であり、一方、「瞬時」とは、「またたくま。瞬間」(広辞苑 第5版 岩波書店)、「またたく間。ほんのわずかな時間。瞬間」(大辞泉 第一版<増補・新装版> 小学館)、「きわめて短い時間」(明鏡国語辞典 初版 大修館書店)という意味である。

そのため、「即座」は場所的な意味合いを有し、一方、「瞬時」は時間的な意味合いを有するので、両者は異なる意味を有する用語である。

よって、本件特許発明6の構成要件6Aに係る「瞬時」は、本件特許明細書の段落0044で説明されておらす、この点において、サポート要件及び実施可能要件は満たされないことから(特許法第36条第6項第1号、同条第4項)、本件特許発明6は記載不備であり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-6 本件特許発明7の記載不備
本件特許発明7の構成要件7Aは「前記制御装置は、前記所望の画像を定義する画像信号を受信するように更に構成され、前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部が前記制御装置による前記画像信号の前処理に基づく」というものであり、複数の箇所において記載不備が存在する。

まず、構成要件7Aの中の「前記制御装置による前記画像信号の前処理」という内容において、「前処理」の意味が不明であるので、この点において、本件特許発明7は明確性要件を満たさず(特許法第36条第6項第2号)、その特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

また、構成要件7Aの中の「前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部が前記制御装置による前記画像信号の前処理に基づく」において、前処理の対象を「第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部」にすることは、本件特許明細書で説明されていない。

本件特許明細書は、段落0044に「制御装置は、高分解能光変調器の画素を設定して、映し出される画像を所望の画像に近づける。このことは、例えば、所望の輝度を、低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割ることによって行うことができる。光変調器を駆動させるための信号を生成するための処理は、制御装置39により即座に行ってもよいし、制御装置39またはその他の装置により先立って行い、そして、その画像データに統合してもよいし、または、ある処理を先立って行ってもよいし、そして、制御装置39が制御信号を生成するための最後の処理を行ってもよい。」という記載を有し、この記載は、「光変調器を駆動させるための信号を生成するための処理は、ある処理を先立って行ってもよい」という程度を含むに留まり、「第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部」を処理対象にすることまでは記載されていない。

したがって、構成要件7Aにおいて、前処理の対象を「第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部」にすることは、サポート要件及び実施可能要件を満たしておらず(特許法第36条第6項第1号、同条第4項)、本件特許発明7は記載不備であり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-7 本件特許発明8の記載不備
本件特許発明8の構成要件8Aは「前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々は、前記第2の空間光変調器上に光の分布を形成し、第1の空間光変調器の近接する画素から生じる、第2の空間光変調器上の光の前記分布は互いに重なり合う」というものであり、第2の空間光変調器上の光の分布を規定したものになっており、上記「(6)-1-2 本件特許発明1の構成要件1Dの記載不備(その二)」で説明したように、本件特許明細書では、第2の空間光変調器上の光の分布についての説明は存在しないので、本件特許発明1の場合と同様に、この点において、サポート要件及び実施可能要件が充足されず(特許法第36条第6項第1号、同条第4項)、本件特許発明8は記載不備となり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)

(4)-8 本件特許発明10の記載不備
本件特許発明10の構成要件10Aは「前記第1及び第2の空間光変調器の各々の対応する前記画素の両方が、最大輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度と、第1及び第2の空間光変調器の各々の対応する画素の両方が、最小輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度との比が1000:1を超える」というものである。

このような構成要件10Aの記載の中で、「表示スクリーン」が明確でない。この「表示スクリーン」と、「第1及び第2の空間光変調器」との関係は、本件特許発明10、及び本件特許発明10が引用する本件特許発明1でも規定されていないので、「表示スクリーン」に関する構成要件10Aの記載、例えば、「前記第1及び第2の空間光変調器の各々の対応する前記画素の両方が、最大輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度」とは、どのようなことを意味するのか不明である。

したがって、本件特許発明10は、上述した「表示スクリーン」に関する内容ついて明確性要件を満たさず(特許法第36条第6項第2号)、その特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

また、構成要件10Aは、輝度に関する比が「1000:1を超える」ことを規定するが、下限となる「1000:1」を達成する内容が、本件特許明細書に記載されていないことから、サポート要件及び実施可能要件が満たされず(特許法第36条第6項第1号、同条第4項)、本件特許発明10は、この点においても記載不備となり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-9 本件特許発明11の記載不備
本件特許発明11の構成要件11Aは「前記第1及び第2の各空間光変調器の対応する画素の両方が、最大輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度と、第1及び第2の各空間光変調器の対応する画素の両方が、最小輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度との比が1500:1を超える」というものである。

このような構成要件11Aの記載の中で、「表示スクリーン」に関する内容が明確性要件を満たさないのは(特許法第36条第6項第2号)、上述した本件特許発明10の場合と同様である。

また、構成要件11Aにおいて、輝度に関する比が「1500:1を超える」ということにおける下限の「1500:1」という数値要件ついて、発明の目的との関係が明確でなく、その技術的意義が当業者に明らかでないことから、明確性要件を満たさない(特許法第36条第6項第2号)。

以上のような点で本件特許発明11は、明確性要件を満たさないので、その特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

また、構成要件11Aは、輝度に関する比が「1500:1を超える」ことを規定するが、下限となる「1500:1」を達成する内容が、本件特許明細書に記載されていないことから、サポート要件及び実施可能要件が満たされず(特許法第36条第6項第1号、同条第4項)、本件特許発明10は、この点においても記載不備となり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-10 本件特許発明18の記載不備
本件特許発明18の構成要件18Aは「前記1つ以上の追加された光変調段の各々は、コリメータと、前置の空間光変調器により光が投影される空間光変調器とを含む」というものであるが、この中で「前置の空間光変調器」とは、いずれの「空間光変調器」を意味するのか、また、その「前置」の「前」とは、何に対する「前」を意味するのか、いずれも不明であることから、明確性要件を満たさず(特許法第36条第6項第2号)、本件特許発明18は、この点において記載不備であり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-11 本件特許発明19の記載不備
本件特許発明19の構成要件19Aは「前記1つ以上の追加された光変調段の各々は拡散器を含む」というものであるが、このような構成要件19Aの内容は、本件特許明細書で説明されていないので、サポート要件及び実施可能要件が満たされず(特許法第36条第6項第1号(当審注:審判請求書の「第2号」は「第1号」の誤記であると認める。)、同条第4項)、本件特許発明19は、この点においても記載不備となり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-12 本件特許発明20の記載不備
本件特許発明20は方法の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明1とはカテゴリが相違するだけで、内容的には基本的に同等なので、上記「(4)-1 本件特許発明1の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明20は記載不備となりその特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

また、本件特許発明20は、その方法を実施する主体が規定されていないので、何が本件特許発明20を実施するのか不明であることから、明確性要件が満たされず(特許法第36条第6項第2号)、本件特許発明20は、この点において記載不備であり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-13 本件特許発明21の記載不備
本件特許発明21は、その方法を実施する主体が規定されていないので、何が本件特許発明21を実施するのか不明であることから、明確性要件が満たされず(特許法第36条第6項第2号)、本件特許発明20は、この点において記載不備であり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-14 本件特許発明22の記載不備
本件特許発明22は方法の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明3とはカテゴリが相違するだけで、内容的には基本的に同等なので、上記「(4)-2 本件特許発明3の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明22は記載不備となりその特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

また、本件特許発明22は、その方法を実施する主体が規定されていないので、何が本件特許発明22を実施するのか不明であるので、明確性要件が満たされず(特許法第36条第6項第2号)、本件特許発明22は、この点において記載不備であり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-15 本件特許発明23の記載不備
本件特許発明23は方法の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明4とはカテゴリが相違するだけで、内容的には基本的に同等なので、上記「(4)-3 本件特許発明4の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明23は記載不備となりその特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

また、本件特許発明23は、その方法を実施する主体が規定されていないので、所望の輝度値の平均又は重み付けされた平均である輝度に寄与するのは、何であるか不明であることから、明確性要件が満たされず(特許法第36条第6項第2号)、本件特許発明23は、この点において記載不備であり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-16 本件特許発明24の記載不備
本件特許発明24は方法の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明5とはカテゴリが相違するだけで、内容的には基本的に同等なので、上記「(4)-4 本件特許発明5の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明24は記載不備となりその特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

また、本件特許発明24は、その方法を実施する主体が規定されていないので、何が本件特許発明24を実施するのか不明であり、明確性要件が満たされず(特許法第36条第6項第2号)、本件特許発明24は、この点において記載不備であり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-17 本件特許発明25の記載不備
本件特許発明25の構成要件25Aは「第1及び第2の空間光変調器を瞬時に制御することを備える」というものであり、この構成要件25Aにおける「瞬時」については、上記の「(4)-4 本件特許発明5の記載不備」の中で述べた内容と同様に、明確性要件を満たさないので(特許法第36条第6項第2号)、本件特許発明25は、この点で記載不備であり、その特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

また、本件特許発明25は、その方法を実施する主体が規定されていないので、何が本件特許発明25を実施するのか不明であり、明確性要件が満たされず(特許法第36条第6項第2号)、本件特許発明25は、この点において記載不備であり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

さらに、構成要件25Aの「第1及び第2の空間光変調器を瞬時に制御する」という事項は、本件特許明細書に記載されていないので、サポート要件及び実施可能要件が満たされず(特許法第36条第6項第1号、同条第4項)、本件特許発明25は、この点においても記載不備となり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-18 本件特許発明26の記載不備
本件特許発明26は、以下の構成要件26A?26Cを有する。
26A 前記所望の画像を定義する画像信号を受信すること、
26B 前記画像信号を前処理すること、
26C 前記画像信号を前記前処理することの少なくとも一部に基づいて、前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つを制御することを備える、請求項20?25のいずれか1項に記載の方法。

上記のような本件特許発明26は方法の発明であるが、その方法を実施する主体が規定されていないので、何が本件特許発明26を実施するのか不明であり、明確性要件が満たされず(特許法第36条第6項第2号)、本件特許発明26は、この点において記載不備であり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

また、構成要件26Bの「前処理」については、上記の「(4)-6 本件特許発明7の記載不備」の中で述べた内容と同様に、明確性要件を満たさないので(特許法第36条第6項第2号)、本件特許発明26は、この点で記載不備であり、その特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

さらに、構成要件26Cの「前記第1及び第2の制御信号」という事項は、本件特許発明26、及び本件特許発明26が引用する本件特許発明20に含まれないので、「前記」の指す対象が不明であるから、明確性要件を満たさず(特許法第36条第6項第2号)、本件特許発明26は、この点でも記載不備であり、その特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

さらにまた、構成要件26Cの事項は、本件特許明細書で説明されていないので、サポート要件及び実施可能要件が満たされず(特許法第36条第6項第1号、同条第4項)、本件特許発明26は、この点においても記載不備となり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

(4)-19 本件特許発明27の記載不備
本件特許発明27は、以下の構成要件27A?27Fを有する。
27A 表示器制御装置であって、
27B 第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、
27C 画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有し、
27D 第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、
27E 第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成され、
27F 前記第1の制御信号は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、前記第2の空間光変調器上に光の分布を有する前記所望の画像の前記近似を生じさせる、制御装置。

まず、構成要件27Cにおいて「画素の第1のアレイ」という記載は、意味不明なので、この点において明確性要件が満たされないので(特許法第36条第6項第2号)、本件特許発明27は、この点においても記載不備となり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

また、構成要件27Cは「画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように接続可能であり」という記載ぶりを含むが、この記載ぶりでは、何が何に接続可能であるのか不明なので、この点においても明確性要件が満たされないので(特許法第36条第6項第2号)、本件特許発明27は、この点においても記載不備となり、その特許は無効である(特許法第123条第1項第4号)。

さらに、構成要件27Fについては、上記「(4)-1 本件特許発明1の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明27は記載不備となりその特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

(4)-20 本件特許発明29の記載不備
本件特許発明29は制御装置の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明3と内容的に同等なので、上記「(4)-2 本件特許発明3の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明29は記載不備となりその特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

(4)-21 本件特許発明30の記載不備
本件特許発明30は制御装置の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明4と内容的に同等なので、上記「(4)-3 本件特許発明4の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明30は記載不備となりその特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

(4)-22 本件特許発明31の記載不備
本件特許発明31は制御装置の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明5と内容的に同等なので、上記「(4)-4 本件特許発明5の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明31は記載不備となりその特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

(4)-23 本件特許発明32の記載不備
本件特許発明32は制御装置の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明6と内容的に同等なので、上記「(4)-5 本件特許発明6の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明32は記載不備となりその特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

(4)-24 本件特許発明33の記載不備
本件特許発明33は制御装置の発明であり、表示装置の発明である本件特許発明7と内容的に同等なので、上記「(4)-6 本件特許発明7の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、本件特許発明33は記載不備となりその特許は無効である(同法第123条第1項第4号)。

2.弁駁書での請求人の主張
(1)無効理由1:進歩性の欠如
(1)-1 訂正特許発明1
ア 甲1発明-1による進歩性の欠如1 甲第1号証に基づく新たな無効理由1(その1)として、甲第1号証の図1に係る発明(甲1発明-1)に、甲第5?8号証の記載、及び偏光板に関する周知技術(甲第22?24号証)を適用することにより、訂正特許発明1は進歩性が欠如する。

イ 甲1発明-2による進歩性の欠如2
甲第1号証に基づく新たな無効理由1(その2)として、甲第1号証の図6に係る発明(甲1発明-2)に、甲第5?8号証の記載、及び導光板を含むバックライトの構成に関する周知技術(甲第25?28号証)を適用することにより、訂正特許発明1は進歩性が欠如する。

ウ 甲2発明による進歩性の欠如3
甲第2号証に基づく新たな無効理由1として、甲第2号証の記載発明に、甲第9?12号証の記載、及び上述した導光板を含むバックライトの構成に関する周知技術(甲第25?28号証)を適用することにより、訂正特許発明1は進歩性が欠如する。

エ 甲3発明による進歩性の欠如4
甲第3号証に基づく新たな無効理由1(その1)として、甲第3号証の記載発明に、甲第9?12号証の記載、及び上述した導光板を含むバックライトの構成に関する周知技術(甲第25?28号証)の構成を適用することにより、訂正特許発明1は進歩性が欠如する。

オ 甲3発明による進歩性の欠如5
審判請求書第76頁以降の『(4)-1-5 甲第3号証等による本件特許発明1の進歩性欠如5』では、甲第3号証に、甲第2号証の制御の仕方を適用して本件特許発明1は進歩性が欠如するとしたので、上述した『(1-4)甲第3号証による訂正特許発明1の無効理由1(その1)』の場合でも同様に、甲第3号証の記載発明に、甲第2号証の制御の仕方、甲第9?12号証の記載、及び上述した導光板を含むバックライトの構成に関する周知技術(甲第25?28号証)の構成を適用することにより、訂正特許発明1は進歩性が欠如する。

(1)-2 訂正特許発明2?19
上述したように訂正特許発明1は、甲第1?3号証を主発明にして、他の甲号証及び周知技術等を適用することで進歩性が欠如することから、審判請求書で説明した内容に基づき、訂正特許発明1を引用する訂正特許発明2?19も無効理由1(進歩性欠如)を有する。

(1)-3 訂正特許発明20
訂正特許発明20は、訂正特許発明1と同様に訂正されたので、上述した「(1)-1 訂正特許発明1」で述べた内容と同様に、訂正特許発明20も無効理由1(進歩性欠如)を有する。

(1)-4 訂正特許発明21?26
上述したように訂正特許発明20は、甲第1?3号証等により進歩性が欠如することから、審判請求書で説明した内容に基づき、訂正特許発明20を最終的に引用する訂正特許発明21?26も無効理由1(進歩性欠如)を有する。

(1)-5 訂正特許発明27
訂正特許発明27は、訂正特許発明1と同様に訂正されたので、上述した「(1)-1 訂正特許発明1」で述べた内容と同様に、訂正特許発明27も無効理由1(進歩性欠如)を有する。

(1)-6 訂正特許発明28?33
上述したように訂正特許発明27は、甲第1?3号証等により進歩性が欠如することから、審判請求書で説明した内容に基づき、訂正特許発明27を最終的に引用する訂正特許発明28?33も無効理由1(進歩性欠如)を有する。

(2)無効理由2:拡大先願
(2)-1 訂正特許発明1
甲第16号証の図14においても、ギザギザの山脈的な形状の部材が示されていることから、その部材が、周知技術(甲第25、26号証)を参照すれば「プリズムシート」であることが理解できる。そして、上述した段落0050の記載より理解できる各部材の配置順序を考慮すれば、図14において「プリズムシート」に該当する部材の下方に位置する部材が「第1拡散シート」であり、「プリズムシート」に該当する部材の上方に位置する部材が「第2拡散シート」であることが分かり、このような順序配置された構成は、甲第26号証で示される周知技術が示す構成の配置順と同様であることが分かる。
そして「プリズムシート」は、甲第29号証の技術用語集に「プリズムシートとは、前方への集光効果を持たせたレンズシートと呼ばれる光学部品」との説明があることより、光学系の部材であり、二次元に配置された冷陰極蛍光管101及びLEDチップ103(甲第16号証の図13等参照)からの光が、第2拡散シートを通過してLCD11に達するように冷陰極蛍光管101及びLEDチップ103からの光を第2拡散シートとLCD11とに投影している。
また、第2拡散シートは、拡散機能を具備するので、拡散器に該当するのは当然である。
そうすると、甲第16号証の図14の解釈内容は、訂正特許発明1に係る「制御装置と、拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え、」の訂正箇所(下線箇所)と一致する。

被請求人は、答弁書第17頁以降において『(iV) 審判請求書は複数の仮定に基づいており誤謬も多い。』と主張するがが、これは誤りであり、被請求人の主張の方に、多々誤りが存在するので順次指摘していく。
まず、被請求人は、答弁書第17頁の中段以降で、甲第16号証の図11に基づく甲16参考図(請求人注:審判請求書第136頁の図では誤って「甲15参考図」と記したが、今回、この誤記を以下のように「甲16参考図」に修正する)は、バックライト領域[2,2]及び[3,2]に関する輝度の空間分布を示すものであり、LCDパネルにおけるものではないと主張する。
しかし、甲第16号証の記載全体、及び技術常識を考慮すれれば、甲第16号証の図11に基づく甲16参考図は、LCDパネルにおける光の輝度空間分布と同等であることが理解できるので、上記の被請求人の主張は妥当でない。

甲第16号証には、下表の図2(a)(b)に示すように、LCD11の分割領域と、バックライト12の分割領域が示されており、段落0037の「本実施形態においては、2×2画素領域がバックライト単位領域に相当(図2参照)しており、図8からバックライト領域毎に平均輝度が図10(a)のように算出できる。」という記載より、LCD11の各画素領域と、バックライトの単位領域との対応関係は理解できる。

そして、下表の図10(a)は、バックライトの単位領域の単独での輝度レベルを表し、実際のバックライトの輝度分布が、図11のグラフのようになることは、甲第16号証の段落0040?0044の記載を参照すれば理解できる。

例えば、甲第16号証の段落0043には「すなわち、隣接領域からの照明光の回り込みにより、階調変換に使用したバックライト輝度から実際のバックライト輝度がずれる(照明誤差)という現象が生ずる。」という記載があり、段落0044には「図11では、簡単のために二つの領域間のスロストークを示したが、実際には図10(b)に示すよう[2,2]領域の周囲の領域すなわち、[1,1]、[1,2]、[1,3]、[2,1]、[2,3]、[3,1]、[3,2]、[3,3]において選択された輝度レベルの組み合わせにより、実際のバックライト輝度分布が決定される。」という記載があることから、図11は実際のバックライトの輝度分布を示している。

そして、上述した甲第16号証の図2(a)(b)より、LCD11の各画素領域と、バックライトの単位領域との対応関係は理解できることから、バックライトの各単位領域における実際のバックライトの輝度分布が、その単位領域に対応するLCD11の画素領域へ入射する光の輝度分布に相当することも当然理解できる。このことは、甲第16号証の段落0022の「なぜならば、画像領域を直接照明する輝度制御値が同じであっても、周りの画像情報によって画像照明領域周辺の輝度制御値が変化し、バックライト照明領域間のクロストークによって画像領域を照明する輝度値が変化するからである。」という記載からも把握できる。

以上のことから、甲第16号証の図11は、バックライトの各単位領域における実際のバックライトの輝度分布を示し、このような実際のバックライトの輝度分布が、LCD11へ入射する光の輝度分布に対応することから、審判請求書第136頁に示した甲15参考図を改めた甲16参考図は、図2(a)(b)の対応関係を考慮して、バックライトの画面位置を、その画面位置に対応するLCDの画素と置き換えて見れば、LCD11における光の輝度分布を表すといえる。

また、上述した甲第16号証の場合のように、実際のバックライトの輝度分布より、LCD11における光の輝度分布を表すようにしているのは、本件特許の訂正明細書においても同様である。例えば、訂正明細書の段落0047では、低分解能光変調器(第1の空間光変調器)の画素からの光が図7又は図7Aの強度プロフィールを示すことを説明するだけであり、第2の空間光変調器における実際の光の強度プロフィールに関する具体的な説明は、訂正明細書にも存在しない。もし、仮に、甲第16号証の記載では、LCD11における光の輝度分布を表していないというのであれば、この点においては本件特許の訂正明細書も同様であることから、この点について、後述するようにサポート要件違反が生じることになる(後述の(8)-1-2 訂正特許発明1の構成要件1Dの記載不備(その二)参照)。

さらに、被請求人は、答弁書第18頁の中段で『審判請求書の甲15参考図は甲第16号証の図11の不備を認めたことになり、甲第16号証が提供しなかった追加の開示で図11を補足している。甲15参考図の補足には、明らかにバックライト領域を完成させようとした、図11の光の曲線の「延長」が含まれる。』と主張するが、この主張は技術常識に反するものであり妥当性を欠く。

甲第16号証の図11に示す輝度分布の曲線は、詳細なレベルでみれば、対称ではないかもしれないが、甲第9?12号証に示したLEDの光分布曲線からも明らかなように、曲線全体でみれば十分に左右対称といえるものである。

さらにまた、被請求人は、答弁書第19頁の第二段落で『図11に関して、甲第16号証はバックライト領域の高さ又はその他の寸法について定義していない。唯一示されるのは境界であるが、寸法ではない。』と主張するが、この主張も妥当でない。

図11は、グラフの縦線に関して「バックライト輝度(a.u.)」と記載されており、数値として「0.1」、「1」、「10」が示されている。なお、「バックライト輝度(a.u.)」のa.u.とは、arbitary unitという任意単位を示すことは技術常識であり、領域[2、2]及び領域[3、2]を比較して輝度の強さを示している。また、図11のグラフの横線に関しては「画面位置」であることが記載されていると共に、領域[2、2]及び領域[3、2]の位置も示されており、さらに輝度分布の曲線は上述したように、曲線全体で見れば左右対称といえることから、左右対称という特性を考慮すれば、バックライト輝度(a.u.)の「1」を示す線(水平線)と、領域[2、2]の曲線との2箇所の交点から、2箇所の交点間の中点箇所が領域[2、2]の中心位置であると把握でき、この把握できた中心位置から連鎖的に、領域[2、3]の中心位置、領域[2、2]及び領域[3、2]の中心間隔等も把握できる。

そして、被請求人は、答弁書第19頁の第三段落の中で『・・・。しかし、甲15参考図は、半値の場所に「半値全幅」を置けていないので、半値全幅を特定できない』と主張するが、この主張も妥当でない。

審判請求書第136頁に示す(甲15参考図改め)甲16参考図において、厳密にみると、「半値全幅」は半値の場所に置けていないかもしれないが、そもそも訂正特許発明1は、「0.3×d_(2)から3×d_(2)までの範囲にある半値全幅を有する広がり関数」というように、非常に広い範囲を規定するものであることから、「半値全幅」の位置が多少ずれていたとしても、領域[2、2]及び領域[3、2]の中心間隔との相対的な寸法関係等より、甲16参考図は、0.3×d_(2)から3×d_(2)までの範囲内に含まれる半値全幅を有する広がり関数を示すことは明らかである。

また、被請求人は、答弁書第19頁の第四段落で、『また甲第18号証の「乙参考図1」や「乙参考図3」はLCDパネルにおける照明を示すことを意図したものであり、図11で図示されたバックライト領域を示していないので対比できない。』などと主張するが、この主張は明らかに誤りである。

甲第18号証の第24頁には、「乙参考図1」の下方に「当業者は、必要とされる半値全幅の範囲内の分布関数を生じさせる光源や光学素子であって、互いに拡がる光源や光学素子を選択することができる。出願人は、一例として乙参考図1を提供する。」という記載があり、「乙参考図1」は、必要とされる半値全幅内の分布関数を生じさせる光源や光学素子の一例であることを、被請求人自身が説明している。

さらに、甲第18号証の第25頁には、画素2から放される光の分布関数として乙参考図2が示され、甲第18号証の第26頁には、画素2に隣接する画素1、3、さらに隣接する画素、4、5から放される光の分布関数として「乙参考図3」が示されている。したがって、「乙参考図3」も、LCDパネルにおける照明を示すのではなく、光源の画素1?5から放される光の分布関数を表すものである。

また、審判請求書第137頁に示す「甲16参考図」と、「乙参考図1」及び「乙参考図3」とにおいては、寸法は異なるかもしれないが、それぞれの図における隣り合う曲線同士の重なり程度は充分に比較することができ、「乙参考図1」は下限の0.3×d_(2)における曲線同士の重なり具合を示し、「乙参考図3」は上限の3×d_(2)における曲線同士の重なり具合を示すのであるから、これらの下限及び上限における曲線同士の重なり具合と相対的に比較すれば、「甲16参考図」における曲線同士の重なり具合が、細かい数値関係は分からなくても、下限と上限の重なり具合で示される範囲内に入ることは少なくとも把握できる。

以上のことから、訂正特許発明1は依然として、甲第16号証による拡大先願の無効理由を有する。

(2)-2
訂正特許発明2?4、6?8、10、11、15、16、20?23、25?30、32、33も審判請求書に記載したように、依然として甲第16号証により拡大先願の無効理由を有する。

(2)-3 答弁書第21頁「訂正特許発明3」について
訂正特許発明3について、被請求人は答弁書第21頁の第7?11行目に『・・・、甲第16号証において計算される光は、第2の空間光変調器の各画素へ入射する光ではなく、光源の発光素子から出る光に過ぎない。一方、訂正特許発明3では第1の空間光変調器の各素子から出た光は、拡散器で拡散されて各素子間で滑らかに変化し、その変化した光の輝度を計算しているという相違がある。』との記載があるが、甲第16号証では、複数のLED(発光素子)を含むバックライト(第1の空間光変調器)における隣接領域からの照明光の回り込みにより、実際のバックライト輝度(第1の空間光変調器からの光の輝度)がずれる(照明誤差)現象に対する階調変換誤差を補償するため、各発光素子から出る光の輝度レベルを参照しながら階調補正量を決定するという階調補正処理を行っているので、第2の空間光変調器であるLCD11へ入射する実際の光の輝度を決定するといえる。

まず、上述した被請求人の答弁書第21頁の第7?11行目の記載の中の「・・・。一方、訂正特許発明3では・・・、その変化した光の輝度を計算しているという相違がある。」という記載部分は、訂正特許発明3を正確に表していない。訂正特許発明3は、「前記制御装置は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を決定し、・・・」である(下線は請求人が付した)。そのため、以下では、甲第16号証に「前記制御装置は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を決定」するに応じた内容があることで説明を行う。

「第1の空間光変調器の発光素子から出る光についての輝度レベルを計算する」ことは、甲第16号証の主に段落0027から0040に記載されている。

また、「照明誤差による階調変換誤差を補償するため、その計算した輝度レベルに基づき階調補正量を決定するという階調補正処理」は、甲第16号証の主に段落0041から0045に記載されている。

階調補正量を決定する階調補正処理の具体的な内容は、以下の段落0045に記載されている(下線は請求人が付した)。
【0045】 照明誤差による階調変換誤差を補償するため、本実施形態では図3に示すように、階調補正用LUT20を使用して階調補正回路21により最終的なLCDドライバ用信号R”G”B”を出力するようにした。階調補正用LUT20には、画素領域毎に、あるバックライト照明領域の輝度レベルとそれに隣接するバックライト照明領域の輝度レベルの組み合わせに対応した階調補正テーブルデータが格納されており、バックライトの輝度レベル情報を参照しながら階調補正量を決定するようになっている。

上記の段落0045の中には、「階調補正用LUT20には、画素領域毎に、あるバックライト照明領域の輝度レベルとそれに隣接するバックライト照明領域の輝度レベルの組み合わせに対応した階調補正テーブルデータが格納されており、バックライトの輝度レベル情報を参照しながら階調補正量を決定するようになっている。」という記載がある。

階調補正用LUT20に格納される階調補正テーブルデータは、画素領域毎に、あるバックライト照明領域の輝度レベルとそれに隣接するバックライト照明領域の輝度レベルの組み合わせに対応したものであり、このような「画素領域毎に、あるバックライト照明領域の輝度レベルとそれに隣接するバックライト照明領域の輝度レベルの組み合わせに対応したもの」は、計算で得られたバックライト照明領域の輝度レベルを階調補正して、クロストーク等による照明誤差を含む実際のバックライト輝度分布を決定したものになっているので、LCD11へ入射する光の強度に該当する。

このような階調補正処理では、計算により得られたバックライト照明領域の輝度レベルを参照しながら階調補正量を決定しているので、計算処理に基づきLCD11へ入射する実際のバックライト輝度分布(第1の空間光変調器から発せられる光の実際の輝度分布)を決定しているといえる。

以上のことから、甲第16号証の段落0027から0045の記載より、「LCD11の各制御可能な素子へ入射する第1の空間光変調器から発せられる光の実際の輝度分布を決定する」という事項を把握でき、この把握できる事項が、訂正特許発明3における「前記制御装置は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を決定し、・・・」に一致する。

以上のことから、訂正特許発明3は依然として、甲第16号証による拡大先願の無効理由を有する。

(3)無効理由3:記載不備
(3)-1 訂正特許発明1の記載不備
ア 訂正特許発明1の構成要件1Dの記載不備(その一)
被請求人は、答弁書第26頁で縷々述べているが、下限の「0.3×d_(2)」の臨界的意義、及び上限の「3×d_(2)」の臨界的意義については一切説明できていない。そのため、訂正特許発明1の構成要件1Dにおける「0.3×d_(2)から3×d_(2)の範囲の半値全幅」についての明確性要件は充足されない。

イ 訂正特許発明1の構成要件1Dの記載不備(その二)
被請求人は、第2の空間光変調器における光の分布について訂正明細書のいずれの箇所に記載されているかを一切説明できていないので、この点について訂正特許発明1はサポート要件違反及び実施可能要件違反を免れない。

ウ 訂正特許発明1の構成要件1Dの記載不備(その三)
被請求人は、答弁書第27頁において、『・・・、第1の空間光変調器から出た光が第2の空間光変調器に投影されても、第1の空間光変調器によって規定された距離d_(2)は変化しない』と主張するが、訂正特許発明1において、第1の空間光変調器及び第2の空間光変調器の大きさは同じであると限定されていない以上、この主張は誤りである。
まず、訂正特許発明1において、距離d_(2)は第2の空間光変調器上の(近接する画素)の中心間の距離であると規定されている。訂正明細書には、段落0021に「・・・。例えば、透過投影スクリーン23が、第1の光変調器16よりも大きな面積であってもよい。この場合、光学系17は、第1の光変調器16によって変調された光束を拡大して、透過投影スクリーン23のより大きな面積に一致するように照射する。」という記載がある。
上記の段落0023に記載されているように、「光学系17は、第1の光変調器16によって変調された光束を拡大して、透過投影スクリーン23のより大きな面積に一致するように照射」すれば、第2に光変調器(透過投影スクリーン23)における距離d_(2)も当然拡大されるので、距離d_(2)は変化しない、という上記の被請求人の主張は明らかに誤りである。
よって、訂正明細書の段落0047において、距離d_(2)は第1の空間光変調器における画素間の中心から中心までの距離と説明されている以上、訂正特許発明1で規定される距離d_(2)は第2の空間光変調器上の中心間の距離なので、両者は同一の距離でないから、この点において訂正特許発明1はサポート要件違反及び実施可能要件違反を免れない。

エ 訂正特許発明1の新たな記載不備
訂正特許発明1の新たな記載不備として、訂正により追加された要件の中で、「・・・前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系」という事項が、サポート要件及び実施可能要件違反に該当する。
まず、訂正特許発明1の上記の事項の中の「投影する」の意味は、一般に「物の影を平面に映し出すこと」(大辞林 小学館 第一版<増補・新装版>第一刷)、「物の影が平面上に映ること。又、平面上に映し出すこと」(明鏡国語辞典 大修館書店 初版)と考えられる。
また、訂正明細書の段落0018には以下のような記載がある(下線は請求人が付した)。
【0018】第1の光変調器16によって変調された光は、適当な光学系17によって透過投影(rear-projection)スクリーン23上に投影される。第1の光変調器16の小さな領域からの光は、光学系17によって、透過投影スクリーン23上の対応する領域へと指向される。本実施形態においては、光学系17は、焦点距離fを持つレンズを備えている。通常、第1の光変調器16によって変調された光を、透過投影スクリーン23上に結像する光学系17は、1つ以上のミラーやレンズ、その他の光学素子を備えている。このような光学系は第1の光変調器によって変調された光を第2の光変調器上に結像する機能を持っている。
上記の段落0018の「光学系17は、焦点距離fを有するレンズを備えている。」、「第1の光変調器16によって変調された光を、透過投影スクリーン23上に結像する光学系17」、及び「このような光学系は、第1の光変調器によって変調された光を第2の光変調器上に結像する機能を持っている。」という記載より、光学系17は、第1の光変調器16が変調した光を背面投影スクリーン23上(第2の光変調器上の面)に像形成するので、光学系が、第1の光変調器からの光を第2の光変調器に投影することは、訂正明細書で説明されている。
しかし、光学系17は焦点距離fという単焦点を有するのであるから、背面投影スクリーン23上(第2の光変調器上)に結像すれば、対象が異なる拡散器上に結像することは物理的に不可能であり、第2の光変調器(背面投影スクリーン23)に加えて、拡散器にまで光源の光を投影する機能を有する光学系については、訂正明細書で説明されていない。
第1の光変調器16が変調した光を拡散器と第2の光変調器(背面投影スクリーン23)との2つの面に投影させるためには、光学系を二つ設ける等の構成が必要になるものと想定されるが(例えば、拡散器に投影するための光学系と、第2の光変調器に投影するための光学系)、訂正明細書で、そのような構成は説明されていない。
したがって、訂正特許発明1の「・・・前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器・・・に投影する光学系」という事項は、サポート要件違反であり、それに伴い、訂正明細書には上記事項を実施できる程度の記載も無いことになるので、実施可能要件違反にも該当する。

(3)-2 訂正特許発明3の記載不備
ア 訂正特許発明3の記載不備
被請求人は、答弁書第28頁末行?第29頁4行にかけて『・・・。当業者は第2の空間光変調器への入力光を出力光に変換するために、第2の空間光変調器を制御する種々の技術を常識的に知っており、本件訂正明細書の段落【0044】に記載の制御例としての「割ること」から、第2の空間光変調器の他の制御を類推できるので、訂正特許発明3の記載で充分である。』と主張するが、当業者の類推で制御内容が決まるのであれば、訂正特許発明3の技術的範囲も当業者の類推で定まることになり、このような不安定な権利状態を回避するために、明細書の記載要件が定められていることに鑑みれば、被請求人の上記主張は特許法第36条の立法趣旨にそぐわないものであり、それゆえ、訂正特許発明3についてはサポート要件及び実施可能要件は充足されない。

イ 訂正特許発明3の新たな記載不備
訂正特許発明3の更なる新たな記載不備としては、被請求人が主張する訂正特許発明3の技術的範囲が訂正明細書の記載に対し広すぎることが挙げられる
被請求人は答弁書第21頁第9?11行で『一方、訂正特許発明3では第1の空間光変調器の各素子から出た光は、拡散器で拡散されて各素子間で滑らかに変化し、その変化した光の輝度を計算しているという相違がある。』と説明する。
しかし、訂正明細書は、段落0045において「より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器のうちのある画素上に入射する光の強度は、より低分解能の空間光変調器の各画素からの光をより高分解能の空間光変調器上に分布させている周知の方法から計算することが可能である。」という程度の記載を有するに留まり、拡散器による拡散までも考慮して、第2の空間光変調器へ入射する光の強度を計算することまでの記載は訂正明細書に存在しない。
そのため、仮に、被請求人の主張するように、答弁書第21頁第9?11行の事項が、訂正特許発明3の技術的範囲に入るとするならば、この事項は訂正明細書でサポートされていないので、この点において訂正特許発明3はサポート要件違反に該当し、また、この事項を実施できる程度の記載も存在しないので、実施可能要件違反にも該当する。

(3)-3 訂正特許発明4の記載不備
ア 訂正特許発明4の記載不備(その一)
「輝度に寄与する」という意味について、被請求人は答弁書第29頁で『「輝度に寄与する」のうち、「寄与する」は一般に「貢献する、役に立つ」という意味であるから、輝度が得られるように第1の空間光変調器の画素の各々を制御するのが訂正特許発明4の内容である。』というように、「輝度に寄与する」は「輝度が得られる」という意味であると説明するが、このような意味は、訂正特許発明4が引用する訂正特許発明1等を参照しても到底、読み取ることができない。
被請求人も説明するように、「寄与する」は「貢献する、役に立つ」という意味であり、「得る」という意味までは含んでいないので、訂正特許発明4の「輝度に寄与する」という表現は「輝度が得られるように」という意味合いに限定されず、審判請求書第160頁に例示したように様々な意味合いに解釈できる。そのため、様々に解釈できるという点で、訂正特許発明4の明確性要件は充足されない。

イ 訂正特許発明4の記載不備(その二)
被請求人は、答弁書第30頁で訂正明細書の段落0043の記載から、訂正特許発明4の内容は当業者が理解できる、と主張する。
しかし、段落0043の記載は「制御装置は、所望の画像に近いものを与えるために低分解能光変調器の画素を設定する。このことは、例えば、低分解能光変調器の各画素に対応する画像領域の所望の輝度の平均値、または、重み付けされた平均値を決めることによって達成することができる。」というように、『所望の画像に近いものを与える』という目的を達成するために、『輝度の平均値、または、重み付けされた平均値を決める』という処理を行う内容になっている。
一方、訂正特許発明4は、「・・・ように、第1の空間光変調器の前記画素の各々を制御する」という記載ぶりであり、『所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与する』という目的を達成するために、『第1の空間光変調器の前記画素の各々を制御する』という処理を行う内容になっており、段落0043では処理として説明されていた内容が、訂正特許発明4では目的に、すり替えられており、この点において、段落0043の記載は、訂正特許発明4に合致しない。そのため、訂正特許発明4は、上記の点においてサポート要件及び実施可能要件を充足しない。

(3)-4 訂正特許発明5の記載不備
訂正特許発明5は、「第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の画素上に照射された光の既知の強度」という記載ぶりであり、「第2の空間光変調器の画素上に照射される光」という表現ではなく、「第2の空間光変調器の画素上に照射された光」という過去形の表現になっているから、実際に第2の空間光変調器の画素上に照射された光についての既知の強度を除算に用いる内容になっている。
そのため、訂正特許発明5が引用する訂正特許発明1に係る「第1の空間光変調器の画素を制御する第1の制御信号」は、実際に第2の空間光変調器の画素上に照射された光の強度でないことから、この第1の制御信号は、訂正特許発明5に係る「第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の画素上に照射された光の既知の強度」と対応しない。
また、段落0043の「制御装置は、所望の画像に近いものを与えるために低分解能光変調器の画素を設定する。」という記載も、単に低分解能光変調器の画素を設定するだけのことなので、実際に第2の空間光変調器の画素上に照射された光とは異なる。
したがって、訂正特許発明1及び訂正明細書の段落0043等を参照しても、訂正特許発明5の明確性要件及び実施可能要件は充足されない。

(3)-5 訂正特許発明6の記載不備
被請求人は、答弁書第30頁の中で、『訂正特許発明6の「制御信号を瞬時に生成する」の「瞬時」は、訂正特許発明6が引用する訂正特許発明1の目的である画像の高ダイナミックレンジを得ることに照らして、制御装置が空間光変調器を作動させる一般的な時間速さであればよいことは当業者が理解できる。』と主張するが、「制御装置が空間光変調器を作動させる一般的な時間速さ」とは、客観的にどのような程度であるか、特定できない。
また、甲第30号証に示すように、「特許・実用新案審査基準」、「第I部 明細書及び特許請求の範囲」における「第1章 明細書及び特許請求の範囲の記載要件」の「2.2.2 第36条第6項第2号」、「2.2.2.1 第36条第6項第2号違反の類型」には、「(5)範囲をあいまいにする表現がある結果、発明の範囲が不明確な場合」として『比較の基準又は程度が不明確な表現(「やや比重の大なる」「はるかに大きい」、「高温」、「低温」、「滑りにくい」、「滑りやすい」等)があるか、あるいは、用語の意味があいまいである結果、発明の範囲が不明確となる場合。』という基準が示されており、「瞬時」は、「高温」、「低温」と同様に、程度が不明確な表現なので、「特許・実用新案審査基準」を参照しても、訂正特許発明6の「瞬時」は、明確性要件を満たさないことは明らかである。
さらに、訂正明細書の段落0044に記載の「即座」という表現は意味的に、訂正特許発明6に係る「瞬時」と、どのように対応するのか不明ないので、この点において、訂正特許発明6はサポート要件及び実施可能要件を満たさない。

(3)-6 訂正特許発明7の記載不備
被請求人は、答弁書第31頁の中で、『「画像信号の前処理」は、段落【0044】の記載から、空間光変調器の駆動信号つまり第1及び第2の制御装置(請求人注:「制御信号」の誤記と思われる)を生成するに際し、画像データに統合する前に先立って行う処理であることを当業者が理解できる。』と説明するが、この説明の中で、「画像データに統合する」という処理の内容が意味不明であるから、それに伴い、「画像信号の前処理」は依然として明確でない(下線は請求人が付した)。
「画像データに統合する」という処理は、訂正特許発明7、及び訂正特許発明7が引用する訂正特許発明1?6のいずれにも含まれないので、どのように訂正特許発明7と関連するのかが不明であり、また、何を、画像データに統合するのかも不明であり、さらには、「画像データに統合」という記載自体の意味も不明である。
したがって、被請求人の説明は全体的に不明であり、「画像信号の前処理」の明確性要件は満たされない。
また、被請求人は、「画像信号の前処理」に関連する「前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部」について、訂正明細書の段落0044の「ある処理を先立って行ってよい」、「その他の装置」との分散処理より、当業者が理解できると主張するが、この主張も妥当でない。
訂正明細書の段落0044では、処理について、色々なパターンを説明するが、第1及び第2の制御信号について、どのような区切りで処理するかが一切説明されていないので、「前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部」という区切りで処理されることは、訂正明細書から把握できない。
そのため、この点において、訂正特許発明7はサポート要件及び実施可能要件を満たさない。

(3)-7 訂正特許発明8の記載不備
上記の「(3)-1 イ 訂正特許発明1の構成要件1Dの記載不備(その二)」で説明したように、被請求人は、第2の空間光変調器における光の分布について訂正明細書のいずれの箇所に記載されているかを一切説明できていないので、訂正特許発明1と同様、訂正特許発明8はサポート要件違反及び実施可能要件違反に該当する。

(3)-8 訂正特許発明10の記載不備
被請求人は、答弁書第32頁の第2?4行で、『・・・、「表示スクリーン」は、第2の空間光変調器によって提供される画像を表示するスクリーンであればよいことを当業者が理解できる。』と説明するが、この説明を参照しても、「表示スクリーン」と「第2の空間光変調器」との関係は依然として不明である。
上記の被請求人の説明からは、「第2の空間光変調器」からの光の投射先が「表示スクリーン」であるような解釈と、「第2の空間光変調器」自体を「表示スクリーン」にするような解釈が可能であり、いずれにしても、訂正特許発明10は、「表示スクリーン」と、「第2の空間光変調器」との関係を規定しないので、「表示スクリーン」に関する内容の明確性要件は満たされない。
また、被請求人は、訂正明細書の段落0039の「10,000:1」、段落0035の「10,000,000:1」等を指摘するが、訂正特許発明10で規定される「1000:1」を、下限の臨界的意義とする記載は訂正明細書に存在しないので、この点におけるサポート要件及び実施可能要件は充足されない。

(3)-9 訂正特許発明11の記載不備
上記の『(3)-8 訂正特許発明10の記載不備』での説明と同様に、訂正特許発明11に係る「表示スクリーン」についての明確性要件違反は存在し、また、訂正特許発明11に係る「1500:1」についてのサポート要件違反及び実施可能要件違反も同様に存在する。

(3)-10 訂正特許発明12の新たな記載不備
訂正特許発明12は、訂正特許発明1の訂正に伴い、新たな記載不備が生じている。
訂正特許発明12は「前記第1の空間光変調器から投影される光を平行にするように配置されたコリメータを備える、請求項1?11のいずれか1項に記載の表示装置。」というものである。
また、訂正請求書の第5頁の第4?6行には『また拡散器については、段落【0052】に「・拡散器22とコリメータ18との順序を逆にしてよい。・スクリーン23の、第2の光変調器20、コリメータ18、拡散器22の順序を変更してもよい。」と記載されている。』という記載があり、訂正特許発明1は「制御装置と、拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え、」というように訂正されたことを考慮すると、訂正特許発明12は、下表左欄の本件特許の図1ではなく、下表右欄の図1の参考図に示すように、スクリーン23に関して、図中左から、拡散器22、第2の光変調器20、コリメータ18の順に配置されたものになる。
図1、図1の参考



上表右欄の図1の参考図の構成であれば、「コリメータ18」は、第2の光変調器20からの光を平行にするように配置されているので、訂正特許発明12の「第1の空間光変調器から投影される光を平行にする」と内容が一致しなくなる。
そのため、訂正特許発明12に一致する内容は訂正明細書でサポートされておらず、また、実施できるような記載も訂正明細書に存在しないので、訂正特許発明12はサポート要件及び実施可能要件を充足しない。

(3)-11 訂正特許発明13の新たな記載不備
訂正特許発明13は、訂正特許発明1の訂正に伴い、新たな記載不備が生じている。
訂正特許発明13は「前記コリメータはフレネル・レンズを含む、請求項12に記載の表示装置。」というものであり、訂正特許発明12を引用する。
訂正特許発明12については、上記『(8)-11 訂正特許発明12の新たな記載不備』で述べたように、サポート要件及び実施可能要件を満たしておらず、また、上述した図1の参考図に示す配置状態のコリメータ18が、フレネル・レンズを含むことは訂正明細書に説明されていない。
そのため訂正特許発明13はサポート要件及び実施可能要件を満たさない。

(3)-12 訂正特許発明14の新たな記載不備
訂正特許発明14は、訂正特許発明1の訂正に伴い、新たな記載不備が生じている。
訂正特許発明14は「前記コリメータはホログラフィック・レンズを含む、請求項12に記載の表示装置。」というものであり、訂正特許発明12を引用する。
訂正特許発明12については、上記「(3)-10 訂正特許発明12の新たな記載不備」で述べたように、サポート要件及び実施可能要件を満たしておらず、また、上述した図1の参考図に示す配置状態のコリメータ18が、ホログラフィック・レンズを含むことは訂正明細書に説明されていない。
そのため訂正特許発明14はサポート要件及び実施可能要件を満たさない。

(3)-13 訂正特許発明17の新たな記載不備
訂正特許発明17は、訂正特許発明1の訂正に伴い、新たな記載不備が生じている。
訂正特許発明17は「前記第1の空間光変調器と前記第2の空間光変調器との間に設けられた、1つ以上の追加された光変調段を含む、請求項1?16のいずれか1項に記載の表示装置。」というものであり、この訂正特許発明17に応じた内容は、訂正明細書の段落0026?0028等で説明されると共に、以下に示すように図2で、その構成が示される(但し、訂正特許発明1を引用する訂正特許発明17は、下記の図2において、上述した図1の参考図と同様に、「コリメータ18」と「拡散器22」の順序が逆になっているものと思われる)。
図2


上記の図2では、第1の光変調器16によって投影された光は、光学系17により、一つ目の光変調段24(図中、左側の変調段24)へ投影されており、また、第2の光変調器20に投影される光は、二つ目の光変調段24(図中、右側の変調段24)から投影されたものになっている。
一方、訂正特許発明1は、「制御装置と、拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え、」というものであり、第1の空間光変調器によって投影された光を、拡散器と第2の空間光変調器とに投影する光学系を備えたものになっているから、上述した図2に基づく訂正特許発明17の内容と対比すると、第1の空間光変調器からの光を投影する対象、及び第2の空間光変調に投影される光を投影する主体が、訂正特許発明1と訂正特許発明17とでは異なり、両者の整合性が取れていない。
このように、訂正特許発明17は、引用する訂正特許発明1に対して、内容の整合性が取れていないという点で明確性要件を満たしておらず、また、整合性の取れない内容は訂正明細書においても説明されていないことから、サポート要件及び実施可能要件も満たされない。

(3)-14 訂正特許発明18の記載不備
被請求人は、答弁書第33頁の第9?10行で『つまり「前置」の「前」とは、光を投影してくる「第1の空間光変調器」に向かう方向である』と主張するが、訂正特許発明18では、そのように「前置」の中の「前」を規定する記載が訂正により追加されていない以上、訂正特許発明18からは、被請求人が主張するような内容を特定できないので、依然として明確性要件は満たされない。
また、訂正特許発明18は、訂正特許発明1の訂正に伴い、新たな記載不備が生じている。答弁書第33頁の被請求人の主張によると、「前置の空間光変調器」は、「第1の空間光変調器」が該当する場合もあり、この場合、第1の空間光変調器から投影された光を、追加された光変調段が含む空間光変調器に投影することになり、訂正特許発明1の「前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する」と、第1の空間光変調器からの光を投影する対象が、訂正特許発明1と訂正特許発明18との間で異なり、両者の整合性が取れなくなる。
そのため、訂正特許発明18は、最終的に引用することになる訂正特許発明1に対して、内容の整合性が取れないという点で明確性要件を満たしておらず、また、整合性の取れない内容は訂正明細書においても説明されていないので、サポート要件及び実施可能要件も満たしていない。

(3)-15 訂正特許発明19の記載不備
被請求人は、答弁書第33頁の中で、段落0051、0052の記載を指摘するが、この段落0051、0052の記載は、訂正特許発明19に係る「追加された光変調段」と無関係である。
すなわち、訂正特許発明19に係る「追加された光変調段」は、訂正明細書の段落0026?0028等で説明される「光変調段24」が対応し、この「光変調段24」が備えるのは「コリメータ25」及び「光変調器26」である。
一方、被請求人が指摘する段落0051、0052に記載されるのは「コリメータ18」、「拡散器22」、「第2の光変調器20」、「スクリーン23」等であり、「コリメータ」の符号について、段落0051、0052では「18」であり、一方、段落0026?0028等では「25」であるから、「光変調段24」が備える「コリメータ25」は、段落0051、0052に記載の「コリメータ18」と別のものである。
また、そもそも段落0051、0052は、「第2の光変調器20」の記載があるように、第2の空間光変調器に関する内容を説明するものであり、「追加された光変調段(光変調段24)」のことは全く説明していない。
以上のことから、「追加された光変調段(光変調段24)」が「拡散器」を含むことの記載は訂正明細書に存在しないので、訂正特許発明19は、サポート要件及び実施可能要件を満たさない。

(3)-16 訂正特許発明20の記載不備
訂正特許発明20は実質的に訂正特許発明1と同等なので、上述した「(3)-1 訂正特許発明1」で説明した記載不備が同様に当てはまる。
また、被請求人は、答弁書第34頁で、方法を実施する主体は「制御装置」であると主張するが、訂正特許発明20において「制御装置」は記載されていないので、被請求人の主張は、訂正特許発明20に係る記載に基づいておらず、この点において訂正特許発明20は依然として明確性要件を満たさない。

(3)-17 訂正特許発明21の記載不備
訂正特許発明21においても方法を実施する主体が不明なので、この点において訂正特許発明21は明確性要件を満たさない。

(3)-18 訂正特許発明22の記載不備
訂正特許発明22は実質的に訂正特許発明3と同等なので、上述した『(3)-2 訂正特許発明3」で説明した記載不備が同様に当てはまる。
また、訂正特許発明22においても方法を実施する主体が不明なので、この点において訂正特許発明22は明確性要件を満たさない。

(3)-19 訂正特許発明23の記載不備
訂正特許発明23は実質的に訂正特許発明4と同等なので、上述した『(3)-3 訂正特許発明4の記載不備』で説明した記載不備が同様に当てはまる。
また、訂正特許発明23においても方法を実施する主体が不明なので、この点において訂正特許発明23は明確性要件を満たさない。

(3)-20 訂正特許発明24の記載不備
訂正特許発明24は実質的に訂正特許発明5と同等なので、上述した『(3)-4 訂正特許発明5の記載不備』で説明した記載不備が同様に当てはまる。
また、訂正特許発明24においても方法を実施する主体が不明なので、この点において訂正特許発明24は明確性要件を満たさない。

(3)-21 訂正特許発明25の記載不備
訂正特許発明25は「瞬時に」という記載を有する点で、訂正特許発明6と同等なので、上述した「(3)-5 訂正特許発明6」で説明した記載不備が同様に当てはまる。
また、訂正特許発明25においても方法を実施する主体が不明なので、この点において訂正特許発明25は明確性要件を満たさない。

(3)-22 訂正特許発明26の記載不備
訂正特許発明26は「前処理」という記載を有する点で、訂正特許発明7と同等なので、上述した「(3)-6 訂正特許発明7」で説明した記載不備が同様に当てはまる。
また、訂正特許発明26においても方法を実施する主体が不明なので、この点において訂正特許発明26は明確性要件を満たさない。

(3)-23 訂正特許発明27の記載不備
訂正特許発明27は「画素の第1のアレイ」という記載を有するが、「画素の第2のアレイ」という記載までは有しないので、「画素の第1のアレイ」とは、何について「第1」であるのかが依然として不明であり、この点において訂正特許発明27の明確性要件違反は解消されない。
また、訂正特許発明27は実質的に訂正特許発明1と同等なので、上述した『(3)-1 訂正特許発明1」で説明した記載不備が同様に当てはまる。

(3)-24 訂正特許発明29の記載不備
訂正特許発明29は実質的に訂正特許発明3と同等なので、上述した「(3)-2 訂正特許発明3」で説明した記載不備が同様に当てはまる。

(3)-25 訂正特許発明30の記載不備
訂正特許発明30は実質的に訂正特許発明4と同等なので、上述した「(3)-3 訂正特許発明4」で説明した記載不備が同様に当てはまる。

(3)-26 訂正特許発明31の記載不備
訂正特許発明31は実質的に訂正特許発明5と同等なので、上述した「(3)-4 訂正特許発明5」で説明した記載不備が同様に当てはまる。

(3)-27 訂正特許発明32の記載不備
訂正特許発明32は実質的に訂正特許発明6と同等なので、上述した『(3)-5 訂正特許発明6」で説明した記載不備が同様に当てはまる。

(3)-28 訂正特許発明33の記載不備
訂正特許発明33は実質的に訂正特許発明7と同等なので、上述した『(3)-6 訂正特許発明7の記載不備』で説明した記載不備が同様に当てはまる。

3.平成28年1月15日付けの口頭審理陳述要領書での請求人の主張
(1)審理事項通知書の第1(1)について(無効理由1:進歩性)
甲1発明-1及び甲4発明に、「拡散器」を設けることは、投影光学系で投影した画像が暗くなるので阻害要因があると思われる、と指摘されたことについて、確かに「拡散器」の中には、透過率が低いことにより、投影画像を暗くするものも存在するが、「拡散器」には多様な種類があり、例えば、甲31の第1頁には、透過率が85?92%の光拡散シートが紹介されており、また、甲32の第2頁には、透過率が85?90%の拡散板が紹介されている。

さらに、甲33(特開2000-298203)の段落0036の表2には、以下に示すように全光線透過率が91.8?95.5%である光拡散板が実施例No.1?5として示されている。

したがって、これら甲31-33に示すような数値範囲の透過率を具備する「拡散器」であれば、画像が暗くなる影響が小さいので、投影光学系への「拡散器」の適用については単に製品仕様の問題となる。

例えば、輝度が若干低下しても、均一な光分布及び輝度ムラ低減等を優先する製品仕様の場合、上記のような透過率を具備する「拡散器」の適用が検討されることは、一般的な設計的事項となり、また、上記のような数値範囲の透過率による若干程度の輝度低下であれは、少し輝度の高い光源を用いることで容易に挽回できるレベルである。

そして、プロジェクタ装置で、液晶パネルの直前に「拡散器」が配置される例は、以下の甲第34号証の図1に示されている。この図1のプロジェクタ装置20では、液晶シャッタ21と光変調器(反射型液晶パネル15)との間に拡散板23が配置されている。

したがって、甲1発明-1及び甲4発明のような液晶パネルを用いたプロジェクタ装置であっても、上記のような数値範囲の透過率を具備する「拡散器」であれば、実質的な輝度低下の支障は軽微なので、「拡散器」の適用が阻害要因になることは無く、反対に、均一な光分布及び輝度ムラ低減等を重視する場合は甲34に示すように、「拡散器」は積極的に採用されるべき対象になり得るものであるから、「拡散器」の適用は、当業者が考慮すべき通常の設計的事項となる。

(2)審理事項通知書の第1(2)について(無効理由1:進歩性)
審理事項通知書第3頁の「第1 無効理由1(進歩性)について」の(2)では『甲1発明-2、甲2発明及び甲3発明は、何れも、液晶表示装置のバックライトであって、バックライトと液晶パネルの間に投影光学系を設けることは、通常、考えられない・・・』と、指摘されるが、この指摘は「投影」という文言を、いさかか「投射」的な意味合いに捉えすぎたものであり、「投影」という文言を本来の「物の影を映し出す」等の意味合いで認識すれば、「物の影を映し出す」ように配置された光学部品は、訂正特許発明1に係る「光学系」に該当することが分かる。

まず、「投映」の意味は、「物の影を平面に映し出すこと」(甲第35号証、大辞泉 小学館 第一版<増補・新装版>第一刷)、「物の影をある物の上に映すこと」(甲第36号証、大辞林 三省堂 第三版、第一刷)、「物の影が平面上に映ること。又は平面上に映し出すこと」(甲第37号証、明鏡国語辞典 大修館書店 初版)」である。

一方、「投射」は、「光線や影などを投げかけること」(甲35)、「光をなげかけること」(甲36)、「光線を投げかけること」(甲37)という意味である。

したがって、「投影」は、「投射」のように、光線等を「投げかけること」までは要求されず、物の影を「映し出す」ことを行えば「投影」といえるのであり、光学部品が「物の影を映し出す」ように配置されれば、その光学部品は「投影」を行っているといえる。

例えば、参考的な証拠である以下の甲16の図14(及び図14の解釈内容)が示すように、光学部品である「プリズムシート」を配置すれば、その「プリズムシード」は、領域が分割されたバックライト12で生成される影を、「プリズムシート」自身を通過させて、「第2拡散シート」及び「LCD」に「映し出す」ことになるので、「投影」を行っているといえる。

上記の甲16と同様のことは、以下の甲第38号証で示される図17、20からも理解できる。甲38の図17は、隔壁704で領域が分割されたバックライトの上方に「レンズ拡散シート705」及び「液晶ライトバルブ104」を配置している。

甲38の段落0049には『一方、同一照明領域である画面長辺方向から見た断面図である図20では、点光源である各LEDからの発光を画面均一発光に変換するため、レンズ拡散シート704(審判請求人注記:704は、705の誤記と思われる)は図に示すようなPMMA製光路制御レンズシート801と拡散シート802より構成されることになる。』という記載があることから、「PMMA製光路制御レンズシート801」は、領域が分割されたバックライトで生成される影を、レンズシート801自身を通過させて、「拡散シート802」及び「液晶ライトバルブ104」に「映し出す」ことになるので、この場合も「投影」を行っているといえる。

なお、「PMMA製光路制御レンズシート801」は、その名称よりレンズシートであることから、甲29の「プリズムシートとは、前方への集光効果を持たせたレンズシートと呼ばれる光学部品」という説明より、レンズシートという共通性に基づき「プリズムシート」と同等の光学部品であることが分かる。

以上のことから、「投影」という文言の本来の意味を正しく理解すれば、「投影」は光線等を「投げかける」ことまでは必須でないので、バックライトと液晶パネルの間に、明るさ向上のために「プリズムシート」のような「投影」を行う光学部品を配置することは通常考慮されることであり、上記の甲38等の開示内容も参照すれば、甲1発明-2、甲2発明、及び甲3発明において、弁駁書で説明したように、甲25?28の周知技術に基づき、光学部品である「プリズムシート」を配置することは当業者であれば容易に想到し得る事項である。

そして、甲1発明-2、甲2発明、及び甲3発明で配置することになる「プリズムシート」は、「高分子分散型液晶セル222で生成される影(甲1発明-2の場合)」、「発光ダイオード群26で生成される影(甲2発明の場合)」、及び、「複数のLED3で生成される影(甲3発明の場合)」を、それぞれ映し出すので、「投影」を行っているということができ、それゆえ、このような「プリズムシート」は、訂正特許発明1の「前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系」に対応することになる。

(3)審理事項通知書の第2(1)について(無効理由3:記載不備)
請求書の「無効理由3(6)-2」(弁駁書の「無効理由3(8)-2」)、「無効理由3(6)-14」(弁駁書の「無効理由3(8)-18」)、及び「無効理由3(6)-21」(弁駁書の「無効理由3(8)-25」)の主張を取り下げる。

(4)審理事項通知書の第2(2)について(無効理由3:記載不備)
「輝度に寄与する」ことの「寄与する」は一般に「貢献する、役に立つ」という意味であっても、「貢献する、役に立つ」は、「得る」と同意ではないので、被請求人が主張するような「輝度が得られる」という意味合いは生じない。

また、訂正明細書の段落0043には「輝度に寄与する」、「輝度に貢献する」、「輝度に役に立つ」、「輝度を得る」というような表現は存在せず、段落0043の記載を参照するのであれば、段落0043の中の「制御装置は、所望の画像に近いものを与えるために低分解能光変調器の画素を設定する。」という記載に基づき、訂正特許発明4の「輝度に寄与するように」を、例えば「輝度に設定するように」という表現にしなければ、段落0043の内容と一致しない。

さらに、仮に「輝度に寄与するように」が「輝度に設定するように」という表現にされたとしても、今回の訂正により「拡散器」が必須の要件になった関係上、「拡散器」による輝度の低下が生じることから、この「拡散器」による輝度の低下を相殺して、所望の輝度値の平均、又は重み付けされた平均である輝度を、どのように得るのが、訂正明細書の段落0043等の記載を参酌しても不明であることから、この点でも明確要件違反は依然として解消されず、また、「拡散器」による輝度の低下を回避して所望の輝度が得られるようにすることは、訂正明細書で説明されていないことから、この点においてサポート要件及び実施可能要件は依然として満たされない。

(5)審理事項通知書の第2(3)について(無効理由3:記載不備)
「瞬時」、「即座」という表現であれば、具体的な数値、例えば「1秒」が、その技術的範囲に属するか否かについて、客観的な基準が存在しないので、技術的範囲の属否の判断が各人の主観に委ねられることになり、明確性要件が満たされない。

本件特許は、空間光変調器を用いて光を変調するものであるから、空間光変調器の変調を制御するという点で「電気的な技術分野」に属すると共に、光に関するという点で「光学的な技術分野」に属する。

「空間光変調器」を用いたプロジェクタを想定すると、電源をオンにしても、光源に用いられるランプ等が安定してプロジェクタが実際に使用できるようになるのに数秒を要することは一般的なことであるから、このようなプロジェクタを扱う「電気的な技術分野」に属する当業者であれば、「1秒」でも「瞬時」、「即座」と感じるレベルの数値になる。

一方、「光学的な技術分野」に属する当業者は、光速で進む光を扱うので、「1秒」という時間は、とてつもなく長い時間であり、到底、「瞬時」、「即座」とは感じない。

このように「瞬時」、「即座」という表現は、各人の技術分野、経験等により、その技術的範囲に相当する具体的な時間範囲が様々に把握され、一意に特定できないので、明確性要件が満たされないのは明らかである。

また、訂正明細書には、「瞬時」、「即座」の数値を、具体的に定める指標等になり得る説明も皆無なので、サポート要件及び実施可能要件が満たされないことも明らかである。

4.請求人の提示した証拠方法
請求人が提示した証拠方法は以下のとおりである。

甲第1号証:特開2001-100689号公報
甲第2号証:特開平10-282470号公報
甲第3号証:特開2001-142409号公報
甲第4号証:特開平6-167690号公報
甲第5号証:特開平6-11679号公報
甲第6号証:特開2000-111447号公報
甲第7号証:特開平8-102482号公報
甲第8号証:特開2001-188230号公報
甲第9号証:特開平9-183252号公報
甲第10号証:特開平9-52385号公報
甲第11号証:特開平8-111545号公報
甲第12号証:特開平6-71940号公報
甲第13号証:特開平10-269802号公報
甲第14号証:特開平8-76077号公報
甲第15号証:特開2001-281621号公報
甲第16号証:特開2002-99250号公報
甲第17号証:鈴木八十二編、「トコトンやさしい液晶の本」、日刊工業新聞社、2002年2月28日初版、P30、31
甲第18号証:無効2013-800140事件(特許第5079759号)、平成25年12月19日付、特許権者提出の審判事件答弁書
甲第19号証の1:米国仮出願60/271,563明細書等
甲第19号証の2:米国仮出願60/271,563明細書等の翻訳
甲第20号証:特表2004-523001号公報(日本移行時の内容)
甲第21号証:特許第4348409号公報(本件特許の登録公報)
甲第22号証:特開平9-297222号公報
甲第23号証:特開2000-353413号公報
甲第24号証:特開2002-341343号公報
甲第25号証:鈴木八十二編、「トコトンやさしい液晶の本」、日刊工業新聞社、2002年2月28日初版、P88、89
甲第26号証:鈴木八十二編著、「よくわかる液晶ディスプレイのできるまで」、日刊工業新聞社、2005年11月28日初版、P202、203
甲第27号証:特開2000-10095号公報
甲第28号証:特開平10-133588号公報
甲第29号証:オムロン技術用語集[平成27年9月12日検索]インターネット<URL:http://www.omron.co.jp/r_d/dictionary/dic_word_fu.html>
甲第30号証:「特許庁編 特許・実用新案審査基準」、「2.2.2 第36条第6項第2号」、「2.2.2.1 第36条第6項第2号違反の類型」
甲第31号証:株式会社オプティカルソリューションズ ”産業用レンズ拡散板:LSD-概要”、[平成28年1月6日検索]、インターネット
甲第32号証:株式会社渋谷光学 ”レンズ拡散板 LSD”、[平成28年1月8日検索]、インターネット
甲第33号証:特開2000-298203号公報
甲第34号証:特開平7-168147号公報
甲第35号証:松村明監修、「大辞泉」、小学館、1998年11月20日第1版<増補・新装版>第1刷発行、P1865,1875
甲第36号証:松村明編、「大辞林」、三省堂、2006年10月27日第3版発行、P1768,1778
甲第37号証:北原保雄編、「明鏡国語辞典」、大修館書店、2003年4月10日初版第3刷発行、P1147,1153
甲第38号証:特開2000-275605号公報


第5 被請求人の主張
1.答弁書での被請求人の主張
被請求人は、「訂正を認める、本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」とし、その理由を、本件特許発明1?33は、特許法第29条第2項及び第29条の2に規定する要件を満たすから、特許法第123条第1項第2号の無効理由を有しないとし、また、本件特許発明1?33は、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たすから、特許法第123条第1項第4号の無効理由を有しないとして、概略、以下のとおり主張している。

(1)無効理由1:進歩性の欠如に対して
(1)-1 訂正特許発明1
ア 請求項1に係る発明の訂正
訂正特許発明1では、光学系が光源からの光を投影することによって、第1の空間光変調器からの光が光学系、拡散器、第2の空間光変調器の順に投影される旨を明らかにした。

イ 甲1発明-1による進歩性の欠如1に対して
甲第1号証の図1において、「はえの目インテグレータ3」を構成する2つのはえの目レンズのうちの、「第1はえの目レンズ3a」ではないものを「第2はえの目レンズ3b」と称し、「第2はえの目レンズ3b」を拡散器と考えても、「第2はえの目レンズ3b」は「第1はえの目レンズ3a」と対になって「はえの目インテグレータ3」を構成する。すなわち「第2はえの目レンズ3b」のみを「リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15」と「液晶パネル16,17,18」との間に配置することは光学系の設計としてあり得ない。
また訂正特許発明lの「拡散器」は、訂正明細書の段落【0047】に記載の 「所望の円滑に変化する光強度を得る」ことに寄与する。つまり「拡散器」は、第1の空間光変調器からの近似画像の発光特性と連携して、第2の空間光変調器の後ろ側の面全体にわたって第1の空間光変調器からの光の強度変動を滑らかにさせる。第2の空間光変調器に入射する光の強度を滑らかにすることは、第1の空間光変調器からの近似画像を、第2の空間光変調器によって補正して高ダイナミックレンジの画像を得る上で、現実的に必要になる。つまり高ダイナミックレンジを得るにも、滑らかな画像にしておく必要があり、訂正特許発明1の拡散器は重要である。
拡散器は第1の空間光変調器の1つの画素から、隣の画素へと広がる光の輝度の遷移を滑らかにし、滑らかにした状態の近似画像を第2の空間光変調器で補正することで、高ダイナミックレンジかつ滑らかな画像を得る。
ところで拡散器には、光の輝度変動を平坦にする機能もある。しかし本件特許発明1の拡散器は、光の輝度変動を平坦にするのではなく、高ダイナミックレンジを得ることができる程度に滑らかにするに留める。
拡散器が光の強度変動を滑らかにすることは、訂正明細書の段落【0047】の記載「分布関数は、好ましくは、0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を持ち、ここで、d_(2)は画素間の中心から中心までの距離であり、所望の円滑に変化する光強度を得る。」にも関連し、「0.3×d_(2)?3×d_(2)」の数値範囲との強い繋がりを示す。
したがって、甲第1号証に甲第5?8号証の記載を適用しても、第2の空間光変調器と光学系の間に拡散器を用いる開示も示唆もない。
また、「0.3×d_(2)?3×d_(2)」に対する甲第1号証等の対比は、模式図との単純な対比であるに過ぎず、甲第1号証及び甲第5?8号証には下限や上限との数値の開示や示唆がなされていない。したがって訂正特許発明1は進歩性を有する。

ウ 甲1発明-2による進歩性の欠如2に対して
甲第1号証の図6では、液晶パネルの裏面に接するようにバックライトを配置した最も一般的な液晶表示装置を対象とした技術事項を開示していると解するのが相当である。液晶セル204、拡散板202、バックライト221の間に他の光学系を配置する動機付けは存在せず、進歩性を有する。
また甲第1号証の拡散板202については、段落【0028】の記載からしても表示領域の右側領域215と左側領域216との境界部217だけにバックライト光を拡散することを意図して設けており、訂正特許発明1において意図する画素間の光の滑らかな変化は想定されていない。

エ 甲2発明による進歩性の欠如3に対して
甲第2号証では、図1に示すように液晶パネル12の裏面に接するようにバックライト13を配置した最も一般的な液晶表示装置を対象とした技術事項を開示していると解するのが相当である。
したがって「液晶セル23」と「バックライト部」の間に、「バックライト部」により生成された光のパターンを「液晶セル23」に投影するような他の光学系を配置する動機付けは存在しない。
また単に甲第2号証に拡散器を追加すると光が拡散するのであるから所望の輝度を得るには電力消費量が増大することになる。そうすると甲第2号証が目的とする消費電力削減(段落【0004】)とは反対の方向に向かってしまい、課題達成に対する阻害要因になる。
よって訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは当業者といえども容易ではなく、進歩性を有する。

オ 甲3発明による進歩性の欠如4に対して
甲第3号証では、図2(b)に示すように液晶パネル1の裏面に接するようにバックライトパネル2を配置した最も一般的な液晶表示装置を対象とした技術事項を開示していると解するのが相当である。したがって「液晶パネル1」、「光拡散板6」、「バックライトパネル2」の間に、「バックライトパネル2」により生成された光のパターンを「液晶パネル1」に投影するような他の光学系を配置する動機付けは存在しない。
よって訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは当業者といえども容易ではなく、進歩性を有する。

カ 甲3発明による進歩性の欠如5に対して
上述した「エ」、「カ」において説明したように、甲第2号証も甲第3号証もいずれも「液晶パネル」と「バックライトパネル」の間に、「バックライトパネル」により生成された光のパターンを「液晶パネル」に投影するような他の光学系を配置する動機付けは存在しないので、訂正特許発明2は進歩性を有する。

キ 甲4発明による進歩性の欠如6に対して
甲第4号証のコンデンサーレンズ18は、光線をコリメートして平行光線にするコンデンサーレンズ6,9,12と協働して機能する。つまり甲第4号証においてはコンデンサーレンズ6,9,12からコンデンサーレンズ18まで光線のコリメーションが維持されているのに対し、訂正特許発明1では拡散器を有することで光源の光が画素間で滑らかに変化させている。よって甲第4号証は訂正特許発明1とは反対の技術的思想であり、甲第4号証に拡散器を組み合わせようとする動機付けは成立しない。
すなわち甲第4号証のコリメーションは光線を平行に投影させ,しかも2段階の変調器のうちの第1の空間光変調器としてのR,G,B色用液晶パネル7,10,13を光線が通過する前にコンデンサーレンズ6,9,12によってコリメートされている。甲第4号証では点光源1から放射された光を、第2の空間光変調器としての高精細液晶パネル19に到達させるまで平行光線として維持しており、画素間で光が滑らかに変化するようには設計していない。甲第4号証の段落【0024】の制御工程でも、画素間の光の滑らかな変化は想定されていない。
したがって甲第4号証において拡散器を組み合わせる動機付けが存在せず、訂正特許発明1は進歩性を有する。

(1)-2 訂正特許発明2?19
訂正特許発明1は甲第1?12号証等によっては無効とすることができないから、訂正特許発明1の発明特定事項を全て含む訂正特許発明2?19も、甲第1?12号証等によっては無効とすることができない。

(1)-3 訂正特許発明20
訂正特許発明20は、訂正特許発明1と同様に訂正した。そして甲第1?12号証等による審判請求書の主張も訂正特許発明1に対するものと同様であるので、訂正特許発明1において説明したように新規性及び進歩性を有する。

(1)-4 訂正特許発明21?26の新規性及び進歩性
訂正特許発明20は甲第1?12号証等によっては無効とすることができないから、訂正特許発明20の発明特定事項を全て含む訂正特許発明21?26も、甲第1?12号証等によっては無効とすることができない。

(1)-5 訂正特許発明27
訂正特許発明27は、訂正特許発明1と同様に訂正した。そして甲第1?12号証等による審判請求書の主張も訂正特許発明1に対するものと同様であるので、訂正特許発明1において説明したように新規性及び進歩性を有する。

(1)-6 訂正特許発明28?33
訂正特許発明27は甲第1?12号証等によっては無効とすることができないから、訂正特許発明27の発明特定事項を全て含む訂正特許発明28?33も、甲第1?12号証等によっては無効とすることができない。

以上のとおり、訂正特許発明1?33は特許法第29条第2項に規定する要件を満たすから特許法第123条第1項第2号の無効理由を有しない。

(2)無効理由2:拡大先願ではないこと
ア 甲第16号証の段落【0024】に記載のとおり、表示装置本体はLCD11の直下にバックライト12を配置したものであり、LCD11の裏面に接するようにバックライト12を配置した最も一般的な液晶表示装置を対象とした技術事項を開示していると解するのが相当である。
また甲第16号証の段落【0050】の「第2拡散シート」が図14において符号が付されておらず、図14において「第1拡散シート」、「プリズムシート」、「第2拡散シート」がどこに配置されているか不明であり、「LCD」との関係も不明確である。仮に「LCD」と「LED」の間に配置されるとしても、「プリズムシート」及び「第2拡散シート」は光を「投影」までしていない。
したがって訂正特許発明1は甲第16号証の技術と実質的同一ではない。他の独立請求項や従属項も訂正特許発明1と同様の発明特定事項を有するので、訂正特許発明1?4、6?8、10、11、15、16、20?30、32、33は特許法第29条の2に規定する要件を満たすから特許法第123条第1項第2号の無効理由を有しない。

イ また甲第16号証では段落【0043】?【0045】からわかるようにクロストークを「誤差」として認識し、階調補正用LUT20と階調補正回路21は誤差を補償するために設けられ、クロストークに否定的である。反対に、訂正特許発明1では拡散器を備えることで画素間において光を滑らかに変化させており、いわばクロストークを肯定して積極的に活用しているので思想的に大きな違いがある。

ウ 訂正特許発明1と甲第16号証との相違を以下に詳細に説明する。
(i)甲第16号証の概要
甲第16号証は、バックライトにおける個々の照明領域それぞれについてのバックライト輝度を計算する二重変調(局所調光)表示システムについて説明する。例えば甲第16号証の段落【0011】第一文には、「入力画像信号に基づいて照明部の各照明領域の輝度が制御される」と記載されている。甲第16号証は、その後、計算された画素値に対応する照明領域の画像データ及びバックライトの通電レベルに関連する輝度値に基づき、LCDパネルの各画素値を計算する(「各照明領域に対する照明光の輝度に応じて入力画像信号を変換する」甲第16号証の段落【0011】第三文参照)。輝度はレベル1、レベル2、又はレベル3のいずれかに設定される(図10(b)を参照)。
このような甲第16号証の局所調光がもたらす利益は、コントラスト増と電力消費減である。「本発明では、画面内に大きな輝度傾斜があるような画像に対しても、広いダイナミックレンジを有するコントラストの高い、高品位の適正な画像を表示することが可能となる」、甲第16号証の段落【0012】その他。こうした利益は、局所性を最大化すること、すなわち個々のバックライト領域がLCDパネルのそれぞれの対応する画素領域を照らす(理想的にはそれだけを照らす)ことを保証することで得られる。すなわち「本発明では、各照明領域に対する照明光の輝度に応じて入力画像信号を変換するため、(中略)適正な画像を得ることができる。」甲第16号証の段落【0011】最終文。
上記を念頭に置いて、甲第16号証がバックライト光源同士の間の混合を「誤差」(照明誤差/クロストーク。甲第16号証の段落【0044】及び【0045】)と考え、かつバックライト同士を隔壁で分離することにより誤差を防止するための実施形態を提供したことは驚くには値しない(例:甲第16号証の図13、図14その他に示す隔壁102,112)。いずれも甲第16号証が出願されたときの最新の局所調光表示と食い違うものではない。つまりバックライト光源の混合を「誤差」とする思想は、局所調光表示の利点をもたらすという甲第16号証の主要な目的、すなわちより高度なコントラストを「誤差」が損ねるからであり、さらに各バックライト領域の輝度レベルを、LCDパネルの画素値が計算された輝度レベルよりも「誤差」が高めるからである。
甲第16号証の発明性は階調補正にある。甲第16号証は、各バックライト領域の輝度に基づき計算された画素値を部分的に階調補正しており、つまり調節又は最小化されていない「誤差」を生じるバックライト混合が発生した時に階調補正を必要とする。「誤差」は、例えば甲第16号証の図1に記載するような特定の構成による混合又は図11に概略的に示す誤差である。例えば甲第16号証の出願審査過程において、特許庁審査官からの平成15年10月31日付けの起案日の拒絶理由通知書に対して甲第16号証の出願人は、平成15年12月26日付けの意見書(乙第1号証)において以下のように主張した。「引用文献Aは。EL素子21の発光強度L1?L4及び液晶パネル30の透過率(濃度)を制御することで多階調表示を行うというものですが(第1図?第3図等参照)、隣接するEL素子間のクロストークについては全く考慮されていません。」甲第16号証が特許査定されたのは階調補正の違いだけによるものであった。
(ii)甲第16号証と訂正特許発明1とは、互いに正反対の設計思想に由来する。
甲第16号証と訂正特許発明1とは、構造の相違や、制御手法の相違だけではなく、設計思想の基本的な相違を認識することが重要である。甲第16号証において、あるバックライト領域から別のバックライト領域への光の混合は、「誤差」として把握されている。例えば甲第16号証の段落【0043】には「すなわち、隣接領域からの照明光の回り込みにより」と記載されている。つまり甲第16号証においてクロストークすなわち「誤差」は、除去又は最小化するために甲第16号証が多大な努力を払うべき問題とされている。しかしながら訂正特許発明1では、限度内で、混合は誤差ではなく、局所調光バックライトを有する表示装置における望ましい特性として扱われている。よって、甲第16号証と訂正特許発明1とは、設計手法が互いに正反対である。すなわち甲第16号証は、「誤差」を局所調光構成の問題として「誤差」を減じることを目的としているが、一方で訂正特許発明1では、画質を向上する上でクロストーク(混合)を要求し、発明に組み入れている。
混合を必要とする訂正特許発明1の設計手法は、より商業上成果の上がる手法であることが判明している。
よって、仮に訂正特許発明1と甲第16号証との間で発明の物理的構成、バックライト混合、及び画素通電スキームに特許吐が認められないとしても、訂正特許発明1は、甲第16号証が考慮しない思想で、局所調光表示の画質向上の課題を達成する故に、依然として甲第16号証に対して特許性を有する。このような思想の相違は、訂正特許発明1の拡散器を備える構成に影響し、さらにLCDパネルを通電させる際のLCDパネルにおける望ましい光混合の結果、例えばLCDパネル変調画素における既知の光量を使用する制御手法の相違にも影響する。しかし甲第16号証では構成及び制御手法の双方が相違しており、甲第16号証では光混合を「誤差」として、例えば意図的に導入しないか、又は「誤差」を階調補正したとしても、バックライト領域輝度に従って画素通電が行われることになり、訂正特許発明1と同じ通電をLCDパネルに行うことができない制御手法であり、全く正反対の内容である。
(iii)訂正特許発明1には、甲第16号証が説明するのとは異なる物理的構造が含まれる。
つまり訂正特許発明1には、「拡散器」並びに「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系」が含まれる。
しかしながら、甲第16号証は、かかる拡散器や光学系を開示や示唆しない。クロストークであるバックライト混合を「誤差」とみなす甲第16号証に、拡散器及び光学系を追加することはそぐわない。甲第16号証には、クロストーク及び誤差について以下の記載がある。
「すなわち、隣接領域からの照明光の回り込みにより」甲第16号証の段落【0043】。
「バックライト領域間のクロストークによる照明誤差」甲第16号証の【図面の簡単な説明】の【図11】。
「本発明に従う第1の実施形態において、照明誤差に起因する階調誤差の一例について示した図」甲第16号証の【図面の簡単な説明】の【図12】。
「バックライト照明領域間のクロストークによって画像領域を照明する輝度値が変化する」甲第16号証の段落【0022】。
「照明領域間のクロストークにより」甲第16号証の段落【0043】。 「簡単のために二つの領域間の(ス)クロストークを示したが」甲第16号証の段落【0044】。
「また、前記照明部の各照明領域を隔壁によって分割することにより、隣接する照明領域間における照明光の相互干渉を抑制することができ、より高品位の画像を得ることが可能となる。」甲第16号証の段落【0015】。
このように甲第16号証はクロストーク、照明誤差、干渉及び同様の問題について20回を超えて言及しほぼ全ての開示が誤差を削減補償又は排除することに充てられている。このような甲第16号証において拡散器及び光学系を追加することは画像を低画質にすることになりかねないので、甲第16号証から訂正特許発明1を導き出すのは容易ではない。
(iV)審判請求書は複数の仮定に基づいており、誤謬も多い。
審判請求書の136頁の甲15参考図は、甲第16号証の図11を利用してLCDパネルにおける光混合を示している。しかし甲15参考図は、甲第16号証の図11に示された光がLCDパネルにおけるものであることを説明していない。代わりに、甲第16号証は、バックライト領域[2,2]及び[3,2]に関する輝度の空間分布を示すものとして図11を説明している。図11自体は、バックライト領域[2,2]及び[3,2]間の境界、並びに任意単位で特定される輝度の単位を示している。重要なことは、示されているものがバックライト輝度を代表しており、バックライト輝度はLCDパネル(及び/又はLCDパネルの変調素子)の照明に関係しているが、LCDパネルの照明と同じではないということである。また特に、対数又は修正対数目盛輝度を使ったグラフにおいて対数目盛の中間点よりも上では(図11で示される通り)、通常、グラフ上でごくわずか動いただけで輝度は大きく異なる。
さらに、甲第16号証のバックライト領域[2,2]及び[3,2]においては、図11で示された光が測定されたことを説明したことにならない。事実、甲第16号証が図11を使った目的(クロストーク誤差の発生理由を示すこと)からして、クロストーク誤差が発生する基準面で測定が行われている限り、バックライト領域のどこで測定が行われたかは重要でない。さらに、甲第16号証は図11の概念的な性質を説明し(「図11は、領域[2,2]の白表示時における輝度の空間分布を模式的に示した図である。」甲第16号証の段落【0042】)、一般的な関係及び構成要素が説明されたものに一致する限り、実測の図形である必要すらないことを図式的に意味している。図11がLCDパネルの照明であると提示しているのは審判請求書であって、甲第16号証ではない。従って図11は、主張されているようなLCDパネル又は変調素子における光ではなく、バックライト領域における光であるため、図11をLCDパネルの照明を説明するために活用することはできない。
審判請求書の甲15参考図は甲第16号証の図11の不備を認めたことになり、甲第16号証が提供しなかった追加の開示で図11を補足している。甲15参考図の補足には、明らかにバックライト領域を完成させようとした、図11の光の曲線の「延長」が含まれる。甲15参考図の補足にはさらに、光の曲線を対称にすることも含まれているが仮定であり、良い仮定であるかもしれないが甲第16号証が開示していないことである。事実、図11で示されている他の光の曲線は対称ではないが、それでも審判請求書は、甲第16号証が提供していない隣接する曲線の延長が対称であるとみなしている。甲第16号証の説明ではなく、審判請求書が提供した開示に基づき訂正特許発明を判断することは適切ではないので、審判請求書の甲15参考図による議論を全体として無視することが適切である。
重要なことは、甲第16号証は特定の目的のため、つまりバックライト領域間のクロストークを示すために図11を使用していることである。甲第16号証の説明のとおり、クロストークがバックライト領域に誤差を引き起こす。当業者なら理解するように、バックライトはバックライト領域の光に関係し対応しているが、バックライト領域とは必ずしも同じではない。審判請求書はこの差を些細なことと言っているが、それでも差は差である。
図11に関して、甲第16号証はバックライト領域の高さ又はその他の寸法について定義していない。唯一示されるのは境界であるが、寸法ではない。甲第16号証は、どこで測定が行われたかについて説明していない。甲第16号証はクロストークの利用を図示するためだけに図11を使用しているため、分析に必要な他の寸法は提供されていないし、関連してもいない。
審判請求書の136頁の甲15参考図は、甲第16号証の図11上に「半値全幅」を重ね合わせて示している。しかし、甲15参考図は、半値の場所に「半値全幅」を置けていないので、半値全幅を特定できない。審判請求書の137頁に示すように、甲15参考図は甲第18号証の「乙参考図1」や「乙参考図3」に類似した線を描いているが、寸法も異なり、グラフ同士で対比できない。
また甲第18号証の「乙参考図1」や「乙参考図3」はLCDパネルにおける照明を示すことを意図したものであり、図11で図示されたバックライト領域を示していないので対比できない。これらの値は互いに代替できない。
訂正特許発明1が規定する「前記第2の空間光変調器の各画素へ入射する光」は、単に第1の空間光変調器における光ではないだけでなく、制御可能な要素によって調整された光であるとしている。「前記第2の空間光変調器の各画素へ入射する光」は第1の空間光変調器からの光であるが、第2の空間光変調器においてはもはや第1の空間光変調器における光ではない。
また審判請求書の136頁の甲15参考図は「中心間隔」を提示してはいるが、甲第16号証は中心間隔を提示していないのであり、甲第16号証の図に都合の良い中心間隔を加えることはできない。審判請求書は中心間隔を憶測しただけであり、半値全幅について間違った値を用いている。
第1の空間光変調器と、第2の空間光変調器の対応する画素との間の差は重要でないとの議論もあるかもしれない。しかし、ある領域内の画素を通電させる時に、個々の画素間の差は重要であり、光がどこで測定されるかについての測定位置の小さな相違は、画素では大きな差となることがある。繰り返すが、甲第16号証はクロストーク又は誤差の理由を図示するために図11を提示しただけであり、LCDパネルの変調素子内の光の混合を評価する根拠としては用いていない。すなわちバックライト領域は、対応する画素領域とは異なる。
審判請求書の137頁は、甲第18号証の「乙参考図1」や「乙参考図3」と甲第16号証の図11(というより審判請求書が修正した甲15参考図)を比較している。しかし、甲第18号証の「乙参考図1」や「乙参考図3」はLCDパネルにおける照明を示すことを意図しており、一方で甲15参考図はバックライト領域のためのものであるので、両者は比較できない。比較が必要であるならば、異なる寸法を説明しなければならないが、説明できない。
甲第16号証の図11は、単になぜ誤差が生じるのかを説明するために提示されているので、図11が変調素子又はバックライト領域における光を示しているかどうかは甲第16号証の説明とは関係ない。甲第16号証がLCDパネルの画素を通電させる場合に、図11で示された領域[2,2]又は[3,2]のいずれかにおける光のパターンの分散を考慮していないことによっても明らかである。甲第16号証は、取り巻く領域の数又は明度に基づき、バックライトレベルを単に増加させる誤差を説明するに過ぎない。
したがって甲第16号証は訂正特許発明1との間に実質的な差異がある。また甲第16号証への拡散器の導入は、単に通電スキームに誤差を加えるであろう。

エ 訂正特許発明3と甲第16号証との相違を詳しく説明する。
(i)例えば訂正特許発明3には「第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を決定し、前記決定された強度に基づいて第2の空固光変調器の前記画素を制御する」との要件があるが、甲第16号証ではこの要件に対応する開示が曖昧である。すなわち甲第16号証ではバックライトの各画素の輝度を計算し、そしてクロストークによる誤差を補償して、補償後の輝度を用いてLCDの各画素の制御を行っているのであり、甲第16号証において計算される光は、第2の空間光変調器の各画素へ入射する光ではなく、光源の発光素子から出る光に過ぎない。一方、訂正特許発明3では第1の空間光変調器の各素子から出た光は、拡散器で拡散されて各素子間で滑らかに変化し、その変化した光の輝度を計算しているという相違がある。
つまり訂正特許発明3は、甲第16号証とは異なった制御手法で画素を処理、通電させる。甲第16号証は、「第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を決定し、前記決定された強度に基づいて第2の空間光変調器の前記画素を制御」していない。
訂正特許発明3は、「第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を計算」するように構成された制御装置を規定する。しかしながら、甲第16号証は、第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を計算しない。むしろ甲第16号証は、画素駆動値を決定する際に領域バックライト輝度レベルを使用しているのであり、空間光変調器の制御可能な素子の強度を計算することは、領域バックライト輝度レベルを使用すること又は領域バックライト輝度レベルに基づき画素駆動値を決定することと同じではない。領域バックライト輝度はバックライト領域が設定されている輝度であり、制御可能な素子における光の強度ではない。すなわち制御可能な素子はバックライト領域からの光によって照射されるが、バックライド領域にはなく、むしろLCDパネル「内」にあり、バックライト領域にはない。従って、バックライト領域輝度値は、LCDパネルの変調素子の光の強度と同じではない。
仮にバックライト領域輝度が、LCDパネルの制御可能な素子に到達する光の強度とみなされるに十分であるとしても、甲第16号証は輝度レベルの計算を説明せず、代わりにバックライトレベルがどのように設定されるか(例:レベル1、レベル2、又はレベル3)に依存している。
さらに甲第16号証は、訂正特許発明3に係る「第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度」について説明しない。画素値を決定する際、繰り返すが、甲第16号証は、領域輝度を使用するのみである。甲第16号証は各バックライト領域内の実際の輝度が異なること(例えば、甲第16号証の図11で概略的に示す)を説明するが、甲第16号証は、画素(又は制御可能な素子)の値が、各バックライト領域内で異なる実際の輝度に基づき計算されることを開示も示唆もしない。
甲第16号証が画素通電について論じるあらゆる場合において、領域バックライト輝度レベルが使用される。「誤差」すなわち「隣接領域からの照明光の回り込みにより」によるクロストークを調整するためのバックライト輝度に対する階調補正(既に決定された画素値の補正)について論じる場合でも、甲第16号証は実際の輝度レベルではなく、依然として領域輝度に基づいてLCD駆動値を計算している。
甲第16号証には例えば以下の記載がある。
「前記照明輝度制御部で得られる前記照明部の各照明領域に対する輝度情報に基づいて前記入力画像信号を変換し、変換された画像信号を前記画像表示部に向けて供給する画像信号変換部」甲第16号証の段落【0009】。
「入力画像信号に基づいて照明部の各照明領域の輝度が制御される」甲第16号証の段落【0011】。
「ただし、照明領域毎に照明光の輝度を変化させることから、入力画像信号をそのままの階調で画像表示部に供給した場合には、表示画像の輝度が各照明領域間でずれてしまう」甲第16号証の段落【0011】。
「本発明では、各照明領域に対する照明光の輝度に応じて入力画像信号を変換するため、各照明領域の照明光の輝度に応じて変換された適正な階調により、各照明領域間で表示画像の輝度にずれのない適正な画像を得ることができる。」甲第16号証の段落【0011】。
「他の発光素子によって各照明領域の輝度を変化させる」甲第16号証の段落【0013】。
「各照明領域に対して独立に輝度を制御できる照明制御回路」甲第16号証の段落【0017】。
「特定の領域について輝度制御する場合にはLEDを用いるのが望ましい。」甲第16号証の段落【0019】。
「LCD領域毎の輝度データに基づき、バックライト領域毎のバックライト輝度レベルがB/L(バックライト)輝度演算回路16によって算出され、」甲第16号証の段落【0027】。
「フレームメモリ13に蓄積されたRGB入力画像信号は1画素毎に順次読み出され、階調変換回路19により該画素領域を照明するバックライト12の輝度データに基づき階調変調を受ける。」甲第16号証の段落【0028】。
「階調補正用LUT20には、画素領域毎に、あるバックライト照明領域の輝度レベルとそれに隣接するバックライト照明領域の輝度レベルの組み合わせに対応した階調補正テーブルデータが格納されており、」甲第16号証の段落【0045】。
「例えば、ある画素領域について輝度レベル1を選択したバックライトの実輝度が、階調変換時の輝度データに対して20%の誤差を含む(20%輝度が高い)場合には、図12に示すように2?5階調程度の階調変換誤差が生じ、」甲第16号証の段落【0044】。
「画素領域毎に、(中略)バックライトの輝度レベル情報を参照しながら階調補正量を決定する」甲第16号証の段落【0045】。
なお甲第16号証の図12を用いて、各画素について段落【0045】の階調補正量を決定する方法が記載されている。しかし、あるバックライト照明領域の輝度レベルと、それに隣接するバックライト照明領域の輝度レベルとの組み合わせが、結果的にバックライト領域内の異なる輝度レベルを補正することを甲第16号証は示していない。
各画素には異なるRGBレベルがあり、各バックライト輝度レベル及び隣接領域輝度レベルの様々な組み合わせの様々な画素値が非線形であるため、各画素について補正を行わねばならない。図12はレベル1の輝度レベルを例示する。LUTは、すべての輝度レベル(例えば、レベル1、レベル2及びレベル3)並びに隣接領域の様々な組み合わせの図表を含む必要がある(甲第16号証の段落 【0045】)。しかしながら、いずれの場合も各バックライト領域内で異なる実際の輝度を説明していない。甲第16号証の段落【0045】は、一定のバックライト領域の推定を決定する洗練された方法を説明するが、明らかにLCDパネルの各変調素子における照明ではない。
審判請求書の142頁の「甲第16号証は、段落0037に」で始まる段落の記載からも確認できる。
「甲第16号証は、段落0037に「本実施形態においては、2×2画素領域がバックライト単位領域に相当(図2参照)しており、図8からバックライト領域毎に平均輝度が図10(a)のように算出できる。」という記載を有し、LCD11の2×2画素領域がバックライト12の単位領域に対応し、バックライト12の領域毎に平均輝度を算出したものを図10(a)に示している。」
ここで、甲第16号証の画素決定の基とされる図10(a)の平均輝度は、LCDパネルの変調素子における(変化する)照明ではない。平均輝度は、図11に実際の輝度として概略的に例証されるものとは異なり、明確に変化する。さらに「誤差」、クロストーク、及び相互干渉は図11に概略的に例証されるが変化せず、代わりに輝度値を増加させる。甲第16号証の唯一の輝度値増加の例は20%であるが、固定輝度レベル1が20%増加する意味に過ぎない。
もしも甲第16号証が「第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度」を画素値の決定に使用するならば、照明誤差に基づいて画素値を補正する必要はない。しかしながら甲第16号証は、各画素を階調補正しており、図12に例証されるように領域バックライト照明(例えばレベル1)及び誤差(20%)に基づき各RGBを補正している。このように甲第16号証は、「前記第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を計算」しておらず、したがって「前記決定された強度に基づいて第2の空間光変調器の前記画素を制御」していない。
(ii)仮に甲第16号証の階調補正が各バックライト領域内の様々な輝度を説明するとしても、甲第16号証は、実際の輝度つまりLCDの明度やLCDパネルの変調素子を利用する訂正特許発明3を開示も示唆もしない。
甲第16号証は、領域バックライト輝度レベルに基づき画素値を決定する手法を説明しており、例えばレベル1、レベル2、及びレベル3である。甲第16号証は次に、誤差又はクロストークによる相互干渉によって増加した輝度に基づき画素値を補正する。甲第16号証が、固定された例えばレベル1、レベル2、又はレベル3の領域バックライト輝度レベルに基づき画素値を決定することは、LCDパネルの変調素子における照明に基づき画素値を計算することではないことが明らかである。
さらに、画素値(各R’G’B’値)を補正する手法である画素値決定後の補正は、同じ結果が出るようにはなされない。領域バックライト輝度レベルに基づいて決定される画素値と同様に、甲第16号証の補正は、領域バックライト輝度レベルの増加に基づいており、バックライト領域内の輝度の増加、変化、又は変動には基づかない。
仮に甲第16号証の補正が、バックライト領域内で変化する相対的な輝度に基づいたとしても(甲第16号証は、そうであるとは示していない)、甲第16号証は、依然として「第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を計算」しない。甲第16号証の画素決定十補正は、各制御可能な素子における強度計算には相当しない。互いに異なる手法の結果が同じであったとしても、結果を生み出す手法は同じではない。そして甲第16号証と訂正特許発明3とでは手法が同じではなく、結果も同じではない。

以上のとおり、訂正特許発明1?4、6?8、10、11、15、16、20?23、25?30、32、33は、特許法第29条の2に規定する要件を満たすから特許法第123条第1項第2号の無効理由を有しない。

(3)無効理由3:記載不備はないこと
(3)-1 訂正特許発明1の記載不備の解消
ア 訂正特許発明1の構成要件IDの記載不備の解消(その一)
本件訂正明細書の記載から、本件訂正明細書には、従来の投影表示装置ではダイナミックレンジが低いため、第1の空間光変調器が生成する画像をさらに第2の空間光変調器に投影することにより高ダイナミックレンジを得るという技術思想が記載されている。
そして構成要件1Bには、第1の空間光変調器の一つの画素に対して第2の空間光変調器の複数の画素が対応することが記載され、構成要件1Cには、第1の空間光変調器が提供する近似の画像を第2の空間光変調器が補正することが記載されている。
一方、空間光変調器の画素の強度プロフィールがガウス分布関数によって近似できる分布を有すること、該分布を空間光変調器の構成やその前後の光学系の構成により変更し得ることは、当業者の技術常識である。
また、隣り合う画素の中心間の距離である「d_(2)」が適宜設計し得ることも、当業者には自明である。
すると、第1の空間光変調器が提供する近似の画像を第2の空間光変調器が補正することで高ダイナミックレンジを得るために、第1の空間光変調器の画素によって変調された光の分布の拡散関数を、半値全幅の範囲が「0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲」になるように適宜設計すればよいことが分かるので、発明の目的との関係も当業者には明確である。
したがって明確性要件を満たし、記載不備は存在しない。

イ 訂正特許発明1の構成要件IDの記載不備の解消(その二)
図7に示す光分布は、審判請求書も認めるように「低分解能変調器の各画素から出た光についての光分布が示されて」いるのであるから、第1の空間光変調器から出た後の光が、第2の空間光変調器においてどのように分布するか当業者は 一理解できる。したがってサポート要件を充足していないとはいえず、実施可能要件も充足し、記載不備は存在しない。

ウ 訂正特許発明1の構成要件IDの記載不備の解消(その三)
上述した「イ 訂正特許発明1の構成要件1Dの記載不備の解消 (その二)」で説明したように、図7は、第1の空間光変調器から出た光の分布を示しており、第1の空間光変調器から出た画像を第2の空間光変調器が補正することから、第1の空間光変調器から出た光が第2の空間光変調器においてどのように分布しているかを図7が示すことは理解できる。そして段落【0047】の記載のとおりd_(2)は「第1の空間光変調器の画素間の中心から中心までの距離」であることから、つまり「第1の空間光変調器の近接する画素の中心間の距離」であり、第1の空間光変調器から出た光が第2の空間光変調器に投影されても、第1の空間光変調器によって規定された距離d_(2)は変化しない。そして訂正特許発明1における記載からも、距離d_(2)は第1の空間光変調器の近接する画素の中心間の距離であることが理解できる。
したがってサポート要件及び実施可能要件を従属し、記載不備は存在しない。

(3)-2 訂正特許発明3の記載不備の解消
ア 訂正特許発明3の記載不備の解消(その一)
構成要件3Aの「第2の光変調器」を、他の記載との平仄を取るべく「第2の空間光変調器」に訂正した。
したがって明確性要件を充足し、記載不備は存在しない。

イ 訂正特許発明3の記載不備の解消(その二)
訂正特許発明3が引用する訂正特許発明1の構成要件1Cでは、「第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置」と記載しており、第2の空間光変調器からの出力である光の強度は、近づけたい所望の画像によって決まる。そして第2の空間光変調器への光の入力の強度は、第1の空間光変調器から提供される光の強度によって決まる。つまり第2の空間光変調器に入力する光と、出力する光とが決まるので、入力を出力に変換するために第2の空間光変調器をどのように制御すればよいか、自ずと求まる。当業者は第2の空間光変調器への入力光を出力光に変換するために、第2の空間光変調器を制御する種々の技術を常識的に知っており、本件訂正明細書の段落【0044】に記載の制御例としての「割ること」から、第2の空間光変調器の他の制御を類推できるので、訂正特許発明3の記載で充分である。
したがってサポート要件及び実施可能要件を充足し、記載不備は存在しない。

(3)-3 訂正特許発明4の記載不備の解消
ア 訂正特許発明4の記載不備の解消(その一)
「輝度に寄与する」のうち、「寄与する」は一般に「貢献する、役に立つ」という意味であるから、輝度が得られるように第1の空間光変調器の画素の各々を制御するのが訂正特許発明4の内容である。そしてどのような輝度を得たいかというと、第1の空間光変調器の或る一つの画素に対応する画像領域が、第2の空間光変調器の複数の画素を含んで第2の空間光変調器の画素の各々に所望の輝度値があり、それら複数の輝度値の平均を、第1の空間光変調器が提供する。第2の空間光変調器の複数の画素の輝度値の平均は、第2の空間光変調器の複数の画素の輝度のいずれからも近いので、第2の空間光変調器は、第1の空間光変調器からの画像を補正して所望の画像を得やすい。第2の空間光変調器による補正のしやすさによっては、平均を重み付けする方が、所望の輝度にしやすいこともあり得る。このように訂正特許発明4の内容は、従属する訂正特許発明1を踏まえれば当業者が理解できることである。
したがって明確性要件を満たしており、記載不備は存在しない。

イ 訂正特許発明4の記載不備の解消(その二)
上述した「ア 訂正特許発明4の記載不備の解消(その一)」において説明したように、訂正特許発明4は、第1の空間光変調器の或る一つの画素に対応する画像領域中の複数の小領域、つまり第2の空間光変調器の複数の画素の各々が所望の輝度値を得やすいように、第2の空間光変調器で補正される前の第1の空間光変調器の画素では、第2の空間光変調器の複数の画素の輝度値のいずれからも近い輝度になるように、輝度の平均を出力しようとするものである
この訂正特許発明4の内容は段落【0043】の記載から当業者が理解でき、サポート要件及び実施可能要件を満たすので、記載不備は存在せず特許は有効である。

(3)-4 訂正特許発明5の記載不備の解消
訂正特許発明5が引用する訂正特許発明1の構成要件1Cでは、「第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置」と記載しており、第2の空間光変調器の画素上に照射される光の強度は、第1の空間光変調器の画素を制御する第1の制御信号から既知である。
したがって明確性要件を満たし、記載不備は存在しない。
また、段落【0043】には「制御装置は、所望の画像に近いものを与えるために低分解能光変調器の画素を設定する。」と記載されており、制御装置は、第1の空間光変調器の画素を設定することで、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器へ入射する光の輝度を設定でき、既知である。したがって制御装置は、光の既知の輝度を取得できるのであり、除算を実施できるので、実施可能要件を満たし、記載不備は存在せず特許は有効である。

(3)-5 訂正特許発明の記載不備の解消
訂正特許発明6の「制御信号を瞬時に生成する」の「瞬時」は、訂正特許発明6が引用する訂正特許発明1の目的である画像の高ダイナミックレンジを得ることに照らして、制御装置が空間光変調器を作動させる一般的な時間速さであればよいことは当業者が理解できる。
また、「即座」という語を時間的に速い意味で使うことも珍しくなく、段落【0044】は空間光変調器を駆動する信号の生成処理を制御装置39が単独で一括して行ってもよいし、あるいは制御装置39と他の装置とで分散処理してもよいし、または制御装置39単体でも時間的に分けて処理してもよく、当業者が考える空間光変調器の駆動信号の生成の任意の方法を使ってもよい旨を記載している。そして制御装置39が単独で一括するのであれば、制御装置が他の装置とデータのやり取りをせずに、制御装置の内部だけで素早く処理して第1及び第2の制御信号を生成することを当業者が理解できる。
したがってサポート要件及び実施可能要件を満たし、記載不備は存在しない。

(3)-6 訂正特許発明7の記載不備の解消
「画像信号の前処理」は、段落【0044】の記載から、空間光変調器の駆動信号つまり第1及び第2の制御装置を生成するに際し、画像データに統合する前に先立って行う処理であることを当業者が理解できる。
また「光変調器を駆動させるための信号を生成するための処理」の「光変調器」には、低分解能光変調器と高分解能光変調器の使い分けをしておらず両者を意味すると把握できるので、第1の空間光変調器と第2の空間光変調器の少なくとも一つに当てはまる。そして「ある処理を先立って行ってもよい」や、「その他の装置」との分散処理も段落【0044】には記載されているから、「第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部」が制御装置による画像信号の前処理に基づくことも当業者が理解できる。
したがってサポート要件及び実施可能要件を満たし、記載不備は存在しない。

(3)-7 訂正特許発明8の記載不備の解消
上述した「(3)-1 イ 訂正特許発明1の構成要件1Dの記載不備の解消(その二)」で説明したように、記載不備は存在しない。

(3)-8 訂正特許発明10の記載不備の解消
訂正特許発明10は「表示装置」の発明であり、発明の目的が高ダイナミックレンジの画像を提供することであり、高ダイナミックレンジの画像を得るために第1の空間光変調器と第2の空間光変調器とを用いている。そして訂正特許発明10では「第1及び第2の空間光変調器の各々の対応する画素の両方が、最大輝度を得る」場合の点の輝度と、「最小輝度を得る」場合の点の輝度との比が「1000:1」を超える輝度比が高ダイナミックレンジの一例であるので、「表示スクリーン」は、第2の空間光変調器によって提供される画像を表示するスクリーンであればよいことを当業者が理解できる。
したがって「表示スクリーン」に関する内容について明確性要件を満たす。
また本件訂正明細書の段落【0005】には「しかし、近年の表示テクノロジは、高いダイナミックレンジを忠実に再生させる方式での画像のレンダリングが可能ではない。」と記載され、ディスプレイにおいて、一般に、ダイナミックレンジは低いものより高いものの方が実施することが困難であることが技術常識であり、あるダイナミックレンジが実施できれば、そのダイナミックレンジより低いダイナミックレンジを実施することは、当業者には可能であるといえる。
すると、本件訂正明細書には段落【0039】に「10,000:1」、段落 【0035】に「10,000,000:1」のダイナミックレンジを空間光変調器について得る構成が記載されているから、これらよりも低い「1000:1」の照度比を得ることは、当業者であれば可能である。
したがってサポート要件及び実施可能要件を満たし、記載不備は存在しない。

(3)-9 訂正特許発明11の記載不備の解消
「表示スクリーン」については、上述した「(3)-9 訂正特許発明10の記載不備の解消」で説明したように、記載不備は存在しない。
また訂正特許発明10の「1000:1」が、訂正特許発明11では「1500:1」に変更されているが、訂正明細書の段落【0039】の「10,000:1」、段落【0035】の「10,000,000:1」に比べれば低い照度比であり、「1000:1」の照度比を発光素子で得られれば、「1500:1」も当業者にとって可能である。
そして「1500:1」という下限の数値要件は、高ダイナミックレンジの画像を提供する発明の目的との関係が明確である。
したがって明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たし、記載不備は存在しない。

(3)-10 訂正特許発明18の記載不備の解消
「1つ以上の追加された光変調段の各々」は、訂正特許発明18が引用する訂正特許発明17では「前記第1の空間光変調器と前記第2の空間光変調器との間に設けられた」と規定され、訂正特許発明18では「前置の光変調器により光が投影される」と記載されている。そして第1の空間光変調器によって投影された光が、第2の空間光変調器に達することを踏まえると、「前置の光変調器」は、「第1の空間光変調器」であるか、もしくは「第1の空間光変調器」と「光変調段」との間に追加された「光変調段」が含む「前置の光変調器」であることを、当業者が理解できる。つまり「前置」の「前」とは、光を投影してくる「第1の空間光変調器」に向かう方向である。
したがって明確性要件を満たし、記載不備は存在しない。

(3)-11 訂正特許発明19の記載不備の解消
本件訂正明細書の段落【0051】には「・拡散器22とコリメータ18とを一体化してもよい。」と記載され、段落【0052】には「・拡散器22とコリメータ18との順序を逆にしてもよい。・光の拡散及び/又は平行化を行うために、多数の協同素子を設けてもよい。・スクリーン23の、第2の光変調器20、コリメータ18、拡散器22の順序を変更してもよい。」と記載されている。このようにコリメータと拡散器は一体化したり、順序を逆にしたり、光の拡散や平行化のために自在に変更可能である旨が開示されている。
また段落【0026】には、図2を参照しつつ、「各付加的な光変調段24は、コリメータ25と、光変調器26と、光学系27とからなっており、光学系27は、光変調器26からの光の焦点を次の付加的な光変調段24、または、コリメータ18上に合わせる。」との記載がある。付加的な光変調段24においても、コリメータ25だけでなく、光の拡散や平行化のために拡散器を設けることは、本件訂正明細書に接した当業者が適宜実施できる。
したがってサポート要件及び実施可能要件を満たし、記載不備は存在しない。

(3)-12 訂正特許発明20の記載不備の解消
上述した「(3)-1 訂正特許発明1の記載不備の解消」で説明したように、記載不備は存在しない。
また、方法を実施する主体については、訂正特許発明20は高ダイナミックレンジの画像を提供することを目的として、第1及び第2の空間光変調器の画素を制御するのであり、このような画素の制御をする主体は制御装置であると考えるのが当業者にとって常識であり、何が訂正特許発明20を実施するのか不明とはならない。したがって明確性要件を満たし、記載不備は存在しない。

(3)-13 訂正特許発明21の記載不備の解消
方法を実施する主体については、上述した「(3)-12 訂正特許発明20の記載不備の解消」で説明したように第2の空間光変調器の画素を制御するのが制御装置であるのは当業者の常識であるので、記載不備は存在しない。

(3)-14 訂正特許発明22の記載不備の解消
上述した「(3)-2 訂正特許発明3の記載不備の解消」で説明したように記載不備は存在せず、また方法を実施する主体については、上述した「(3)-12 訂正特許発明20の記載不備の解消」で説明したように第2の空間光変調器の画素を制御するのが制御装置であるのは当業者の常識であるので、記載不備は存在しない。

(3)-15 訂正特許発明23の記載不備の解消
上述した「(3)-3 訂正特許発明4の記載不備の解消」で説明したように記載不備は存在せず、また方法を実施する主体については、上述した「(3)-12 訂正特許発明20の記載不備の解消」で説明したように第1の空間光変調器の画素を制御するのが制御装置であるのは当業者の常識である。そして第1の空間光変調器の画素の各々を寄与することが、所望の輝度値の平均や、重み付けされた平均である輝度を得ることに貢献するのが明確であるので、記載不備は存在しない。

(3)-16 訂正特許発明24の記載不備の解消
上述した「(3)-4 訂正特許発明5の記載不備の解消」で説明したように記載不備は存在せず、また方法を実施する主体については、上述した「(3)-12 訂正特許発明20の記載不備の解消」で説明したように第2の空間光変調器の画素を制御するのが制御装置であるのは当業者の常識であるので、記載不備は存在しない。

(3)-17 訂正特許発明25の記載不備の解消
上述した「(3)-5 訂正特許発明5の記載不備の解消」で説明したように、構成要件25Aの「瞬時」について記載不備は存在せず、また方法を実施する主体については、上述した「(3)-12 訂正特許発明20の記載不備の解消」で説明したように第1及び第2の空間光変調器を制御するのが制御装置であるのは当業者の常識であるので、記載不備は存在しない。

(3)-18 訂正特許発明26の記載不備の解消
上述した「(3)-6 訂正特許発明7の記載不備の解消」で説明したように記載不備は存在せず、また方法を実施する主体については、上述した「(3)-12 訂正特許発明20の記載不備の解消」で説明したように第1及び第2の空間光変調器を制御するのが制御装置であるのは当業者の常識である。
また構成要件26Cの「前記第1及び第2の制御信号」との記載を、訂正特許発明26の他の記載と平仄を取るべく「前記第1及び第2の空間光変調器の画素」へと訂正したので、「前記」の指す対象が明確になり、明確性要件を満たす。したがって記載不備は存在しない。

(3)-19 訂正特許発明27の記載不備の解消
構成要件27Cの「画素の第1のアレイ」について、このアレイによって照射されるのは第2の空間光変調器の画素であることが構成要件27Cの記載から分かり、また構成要件27Bには第1の空間光変調器の複数の画素が記載されている。また「アレイ」については、本件訂正明細書の段落【0037】に「高分解能光変調器は、各方向に少なくとも2、300画素、より標準的には1000画素以上の画素のアレイを備えている。」と記載されているように、複数の画素からなる配列であることが分かる。よって構成要件27Cの「画素の第1のアレイ」は、第1の空間光変調器の画素の複数を意味すると当業者が理解できる。したがって明確性要件を満たし、記載不備は存在しない。
また、構成要件27Cにおいて何が何に接続可能であるのか明確にすべく、「第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように接続可能であり、」との記載を、「第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、」へと訂正した。つまり「何に」接続されるのかは、「前記第1及び第2の空間光変調器に」接続されるのであることを明確にした。
一方、「何が」接続されるのかは、構成要件27B、27C、27D、27E、27Fがいずれも、構成要件27Fの末尾の「、制御装置。」を主語とする述語であるように訂正特許発明27の文構造が形成されているので、「制御装置が」接続されることが明確である。すなわち「制御装置が前記第1及び第2の空間光変調器に接続される」ことが訂正によって明確になったので、明確性要件を満たす。
また、上述した「(3)-1 訂正特許発明1の記載不備の解消」で説明したように、記載不備は存在しない。

(3)-20 訂正特許発明29の記載不備の解消
上述した「(3)-2 訂正特許発明3の記載不備の解消」で説明したように、記載不備は存在しない。

(3)-21 訂正特許発明30の記載不備の解消
上述した「(3)-3 訂正特許発明4の記載不備の解消」で説明したように、記載不備は存在しない。

(3)-22 訂正特許発明31の記載不備の解消
上述した「(3)-4 訂正特許発明5の記載不備の解消」で説明したように、記載不備は存在しない。

(3)-23 訂正特許発明32の記載不備の解消
上述した「(3)-5 訂正特許発明6の記載不備の解消」で説明したように、記載不備は存在しない。

(3)-24 訂正特許発明33の記載不備の解消
上述した「(3)-6 訂正特許発明7の記載不備の解消」で説明したように、記載不備は存在しない。

以上のとおり、訂正特許発明1?8、10、11、18?33に係る発明は記載不備(特許法第36条第4項、同第6項第1号、同第2号)に規定する要件を満たすから特許法第123条第1項第4号の無効理由を有しない。

2.平成28年1月15日付けの口頭審理陳述要領書での被請求人の主張
2-1 審理事項通知書の「第2無効理由3(記載不備)」について
(1)審理事項通知書の「4」に関して、弁駁書で新たに主張された、「前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系」が、サポート要件及び実施可能要件に違反するという請求人の主張に対する反論について

弁駁書の説明は、「投影」を焦点合わせつまりピントを合わせることも含めて解釈したことによっている。弁駁書の第25頁第25行から第28行までに「投影する」の意味を請求人自身が示すように、「物の影を平面上に映し出すこと」や「物の影が平面上に映ること」という意味であるので、「投影」「project)は、焦点を合わせること(focus)まで意味していない。

また訂正明細書の段落【0018】には「このような光学系は第1の光変調器によって変調された光を第2の光変調器上に結像する機能を持っている。」として「結像」という語が用いられているが、「結像」(imaging light)も「レンズなどの光学系を利用して像を得ること」という意味であり、焦点合わせ(focus)まで意味しない。

さらに訂正特許発明1には「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように」と光の通過順序が明記されている。

訂正明細書の段落【0018】においても「通常、第1の光変調器16によって変調された光を、透過投影スクリーン23上に結像する光学系17は、1つ以上のミラーやレンズ、その他の光学素子を備えている。」と説明されており、図面において「光学系17」が1つのレンズで図示されているのは簡略図である。よって「光学系17は焦点距離fという単焦点を有する」という弁駁書の主張は、訂正明細書における光学系17を単純化しすぎた解釈である。
したがって訂正特許発明1はサポート要件及び実施可能要件を満たす。

(2)審理事項通知書の「5」に関して、弁駁書で新たに主張された、「訂正特許発明3では前記第1の空間光変調器の各素子から出た光は、拡散器で拡散されて各素子間で滑らかに変化し、その変化した光の輝度を計算している」ことが、サポート要件及び実施可能要件に違反するという請求人の主張に対する反論について

訂正明細書の段落【0044】では、「低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度」に基づき、高分解能光変調器を駆動するための値を求める計算を説明している。すなわち光の強度を計算することが記載されており、光の強度を計算するためには全ての光学素子を考慮に入れて計算することが明らかであり、拡散器はもちろん光学素子である。訂正特許発明1が記疏するように拡散器を用いる態様では、拡散器をも考慮に入れて光の強度を計算することが当業者であれば理解できる。

訂正明細書の段落【0043】、【0044】では、まず「低分解能空間光変調器の各画素が高分解能空間光変調器の複数の画素に対応する場合」を説明しており、映し出される画像を所望の画像に近づける手段の一例として、所望の輝度を、低分解能空間光変調器(訂正特許発明3において第1の空間光変調器)から高分解能光変調器(第2の空間光変調器)の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割ることが説明されている。そして訂正明細書の段落【0045】、【0046】では低分解能の画素が大きすぎる場合の円光への対策を説明し、さらに段落【0047】では低分解能空間光変調器の画素が、多少拡散した光を放つことが望ましいと記載されている。

したがって訂正明細書の段落【0043】、【0044】における光の輝度で割る説明は、光の拡散が大きい場合と少ない場合との両方を包括した説明になっている。すなわち拡散器を用いて光が拡散した場合であっても、所望の画像を得るために高分解能光変調器の画素を設定する上では、段落【0044】で説明されているように所望の輝度を、低分解能空間光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割ることが必要である、と訂正明細書に接した当業者は理解できる。つまりこのように輝度を割ることで、制御装置は、高分解能光変調器の画素を設定でき、映し出される画像を所望の画像に近づけることができる。制御装置は、拡散器があろうとなかろうと、高分解能光変調器の画素を設定するために所望の輝度を割る上では、高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の輝度を把握することが必要であり、段落【0043】、【0044】の記載を踏まえた上で訂正明細書の段落【0047】に接して拡散した光を放つことが望ましいと把握した当業者は、拡散器による拡散までも考慮して第2の空間光変調器へ入射する光の強度を計算することまで把握できる。

なお訂正明細書の段落【0047】には、「低分解能光変調器の画素は、望ましくは、多少拡散した光を放ち、光が低分解能光変調器の画素を横切るのに伴い、光の強度が確実にかつなだらかに変化する。図7に示すように、これは、低分解能光変調器の各画素からの光が隣接した画素に広がる場合である。」と説明されている。このように多少拡敞した光にしておかないと、段落【0045】に円光の問題として説明しているように、低分解能光変調器の画素が、高分解能光変調器のより小さな個々の画素においてブロック状に目立って見えることがあるからである。すなわち表示装置では現実的には、低分解能の画素の一画素は、高分解能の画素の一画素よりも大きく、低分解能の画素同士の輝度の違いが大きくなるほど、低分解能の画素同士の輝度の違いが高分解能の画素において目立って表示されるという問題が生じうる。よって低分解能の画素からの光が、隣接する画素内に拡がるように多少拡散することが求められる。

そこで訂正明細書の段落【0047】に説明するように、分布関数を有する光を低分解能の画素において生じさせることが望ましく、さらに拡散器を配置して光を平滑化させることが、2段階変調によっても低分解能の画素が目立たないようにする上で効果的である。拡散器の拡散の強度としては、低分解能の画素からの光が、高分解能の画素のすべてに分布するような強度の拡散は不要なことがわかる。したがって訂正特許発明1の拡散器の拡散の強度は、輝度を均一化するような強いものではなく、2段階変調による高ダイナミック・レンジを妨げない。

したがって段落【0043】、【0044】の記載を踏まえた上で訂正明細書の段落【0047】に接して拡散した光を放つことが望ましいと把握した当業者は、拡散器による拡散までも考慮して第2の空間光変調器へ入射する光の強度を計算することまで把握できる。

(3)審理事項通知書の「6」に関して、「画像信号の前処理」が具体的にどのような処理であるのかの説明について

第1及び第2の空間光変調器の各画素の駆動レベル(例えば各画素の輝度を決める開度レベル)は、これらの駆動レベルが実際の制御信号に適用される前に、あるいは同時に決定する必要がある。段落【0044】の「即座に」は、リアルタイム計算で駆動レベルが計算されるという意味であり、「先立って」や「前処理」は、各画素の駆勁レベルが、各画素の実際の駆動よりも前に計算されるという意味である。「前処理」によって計算された各画素の駆動レベルは、実際の駆動時までバッファしておいてもよいし、記録ディスクなどに記憶しておいてもよい。
制御装置は例えば画像信号の輝度から第1及び第2の空間光変調器の各画素の輝度をそれぞれ設定し、制御装置はさらにそれら設定された第1及び第2の空間光変調器の各画素の輝度に基づき、具体的に第1及び第2の空間光変調器の画素を駆動(例えば画素の開度を決定)するための処理を行う。また制御装置は、予め第1及び第2の空間光変調器の各画素の輝度と駆動との関係を計算して求めておき、求めておいた輝度と駆動との関係を画像データ(画像信号)に統合することで第1及び第2の制御信号を生成してもよい。例えば制御装置が、第1及び第2の空間光変調器の各画素の輝度と駆動との関係を予め計算して求めておくことも「画像信号の前処理」に相当する。

第1及び第2の制御信号は、第1及び第2の空間光変調器を具体的に制御するための制御装置からの出力信号であり、所望の画像を定義する画像信号は制御装置への入力信号である。よって制御装置は、第1及び第2の空間光変調器を具体的にどのように設定するか制御するために、つまり第1及び第2の空間光変調器の各画素の輝度を設定するために、入力信号としての画像信号を加工して出力信号としての第1及び第2の制御信号を出力する。

制御装置は、第1及び第2の空間光変調器の各画素の輝度を設定する処理と、設定された輝度に基づき第1及び第2の空間光変調器の各画素を駆動する処理とを、制御装置が画像信号を受信してから即座に計算してもよいし、また制御装置またはその他の装置が予め各画素の輝度と駆動との関係を計算して求めておき、求めておいた輝度と駆動との関係を制御装置が画像データ(画像信号)に統合することで第1及び第2の制御信号を生成してもよい。あるいは、制御装置またはその他の装置が画像信号から第1及び第2の空間光変調器の各画素の輝度を計算して設定するまでの処理を先立って行っておいてから、そして、制御装置が各画素を駆動するための処理をして第1及び第2の制御信号を生成するという最後の処理を行ってもよい。

このように制御装置が、入力信号としての画像信号に基づき、第1及び第2の空間光変調器の各画素を制御するために出力信号としての第1及び第2の制御信号を生成するための処理においては、第1及び第2の空間光変調器の輝度の設定が最も重要であり、その輝度の設定の一例として割り算が訂正明細書の段落【0044】の前半に説明されている。段落【0044】の後半の説明は計算処理の種々のバリエーションであり、訂正明細書の記載に接した当業者が適宜実施すればよい。したがって訂正特許発明7の記載及び訂正明細書の段落【0044】の記載から当業者は把握でき、サポート要件及び実施可能要件を満たす。

(4)審理事項通知書の「7」に関して、「表示スクリーン」が具体的に何であるのかを示すことと、「第1の空間光変調器」、「第2の空間光変調器」との関係の説明について

例えば図1に示すように、訂正明細書の段落【0018】では「第1の光変調器16によって変調された光は、適当な光学系17によって透過投影スクリーン23上に投影される」と記載され、段落【0019】では「透過投影スクリーン23は、第2の光変調器20とコリメータ18とを備えている」態様を説明する。また段落【0018】には「第1の光変調器16によって変調された光を、透過投影スクリーン23上に結像する光学系17」が説明され、段落【0020】には「視聴者は、スクリーン23の全域に由来する光を見ることができる」と記載されている。
一方、段落【0029】と図4は、反射投影型のスクリーン34を示し、「スクリーン34は第2の光変調器36を内蔵している」態様を説明する。

このような訂正明細書の記載から、「表示スクリーン」が具体的には「第2の空閻光変調器」を内蔵したものであり、第1の空間光変調器によって変調された光が光学系によって表示スクリーン上に結像されるものであればよいことがわかる。

ただし「表示装置」としては、最終的に画像を表示する構成要素が表示スクリーンであり、表示する画像を生成するために第1及び第2の空間光変調器を備えている。そうすると、弁駁書も理解しているように「第2の空間光変調器」からの光の投射先が「表示スクリーン」である態様や、「第2の空間光変調器」自体が「表示スクリーン」である態様を訂正特許発明10の表示スクリーンは含むことができる。「表示装置」が画像を表示する構成要素が表示スクリーンであることは当業者が理解できるので、明確性要件を満たす。

(5)審理事項通知書の「8」に関して、「表示スクリーン」が具体的に何であるのかを示すことと、「第1の空間光変調器」、「第2の空間光変調器」との関係の説明について
また、「1500:1」について、サポート要件及び実施可能要件について

上記(4)において説明したように、「表示装置」が画像を表示する構成要素が、表示スクリーンであることは当業者が理解できるので、明確性要件を満たす。

「1500:1」について、訂正明細書の段落【0004】は太陽が輝く日に暗がりにある物の細部を見るには現実的には、1000:1を越えるダイナミック・レンジが必要であると説明し、高ダイナミック・レンジが800:1以上であると記載している。余裕を持つために800:1を倍にすると1600:1であり、キリを良くすると1500:1である。10,000:1が段落【0039】から可能であるから、1500:1はサポート要件及び実施可能要件を満たす。

(6)審理事項通知書の「9」に関して、弁駁書で新たに主張された、「拡散器」を備えたものであって「コリメータを備える」ことが、サポート要件及び実施可能要件に違反するという請求人の主張に対する反論について

弁駁書の第34頁の第1行から第3行では、『上表右欄の図1の参考図の構成であれば、「コリメータ18」は、第2の光変調器20からの光を平行にするように配置されているので、訂正特許発明12の「第1の空間光変調器から投影される光を平行にする」と内容が一致しなくなる。』と主張する。

しかし第2の空間光変調器からの光は、もともと第1の空間光変調器から投影された光であるので、矛盾していないと言える。より正確に記載するならば、訂正特許発明12を「第1又は第2の空間光変調器から投影される光を平行にする」と記載することも考えられ得る。

しかし訂正明細書の段落【0051】、【0052】には「・拡散器22とコリメータ18とを一体化してもよい」との記載や、「・スクリーン23の、第2の光変調器20、コリメータ18、拡散器22の順序を変更してもよい。」との説明もあるので、弁駁書の第33頁の表右欄の図1の参考図になる態様ばかりではない。すなわち訂正明細書に接した当業者は、拡散器と第2の空間光変調器とを備える訂正特許発明1の表示装置において、コリメータの機能の必要性に応じて適宜コリメータの配置を設計できる。

コリメータの機能として、訂正明細書の段落【0019】では「コリメータ18の主な機能は、透過投影スクリーン23を通過する光を、優先的に視聴領域へと指向させることである。」と説明する。さらに「コリメータ18は、フレネル・レンズやホログラフィック・レンズ、また、1つ以上のレンズ及び/又は他の光学素子の他の装置を備えており、それらが光を視聴領域の方向へ導くこととなる。」と記載している。
つまりコリメータは、光を視聴領域の方向へ導くために設ければよいのであり、訂正明細書に接した当業者は視聴領域への指向性の必要に応じてコリメータを設けることができるので、サポート要件及び実施可能要件を充足する。

(7)審理事項通知書の「10」に関して、弁駁書で新たに主張された、「拡散器」を備えたものであって「光変調段を備える」ものが、サポート要件及び実施可能要件に違反するという請求人の主張に対する反論について

弁駁書の第36頁の第3行から第5行では、「第1の空間光変調器からの光を投影する対象、及び第2の空間光変調器に投影される光を投影する主体が、訂正特許発明1と訂正特許発明17とでは異なり、両者の整合性が取れていない」と主張する。

しかし、弁駁書の第35頁の図2において、第1の光変調器16によって投影された光は、光学系17により、直接的には一つ目の光変調段24へ投影されているのであるが、一つ目の光変調段24の先には二つ目の光変調段24が存在し、さらに先には第2の光変調器20が存在する。つまり第1の光変調器16によって投影された光は、光学系17により、直接的には一つ目の光変調段24へ投影され、そして一つ目の光変調段24の光変調器26によって投影された光は、一つ目の光変調段24の光学系27によって二つ目の光変調段24へ投影される。そして二つ目の光変調段24の光変調器26によって投影された光は、二つ目の光変調段24の光学系27によって第2の光変調器20へ投影される。
したがって弁駁書の第35頁の図2において、第1の光変調器16によって投影された光は、光学系17により、間接的には第2の光変調器20へと投影されているのであり、光学系17と第2の光変調器20との間には光を伝達する複数の光変調段24が介在するだけであるといえるので、訂正特許発明17の記載は矛盾しない。
同様に、第2の光変調器20に投影される光も、直接的には二つ目の光変調段24の光変調器26によって投影された光が、二つ目の光変調段24の光学系27によって投影された光であるが、もとを辿れば第1の光変調器16によって投影された光が、光学系17によって投影されたものであるので、訂正特許発明17の記載は矛盾しない。
したがって訂正特許発明17は、訂正特許発明1に対して内容の整合性が取れており、明確性要件を満たす。訂正明細書と図2に接した当業者は、変調段を設けた場合の投影について内容の整合性が取れていることを理解できる。

(8)審理事項通知書の「11」に関して、「追加した変調段の各々は拡散器を含む」が、サポート要件違反及び実施可能要件違反ではないとする理由について

訂正明細書の段落【0051】には「・拡散器22とコリメータ18とを一体化してもよい。」との記載がある。そして追加された変調段に拡散器を設けることで画像が暗くなっても、拡散器や表示装置の個々の構成要素の仕様によっては許容できる暗さであれば、拡散器を備える訂正特許発明1の見地を有して訂正明細書に接した当業者が追加された変調段に拡散器を設けることも実施できるという意味である。あくまでも拡散器を備える訂正特許発明1の見地を有する当業者であれば実施できるという大前提である。拡散器を備える訂正特許発明1の見地を持たずに、甲1発明-1及び甲4発明に拡散器を備えることを当業者が適宜実施できると認めるものではないことを強く主張する。

訂正明細書の段落【0028】では、「変調器16.20,26は、全て同じ種類でもよいし、2つまたはそれ以上が異なる種類でもよい。」と記載しているのであり、ここから変調器26を有する付加的な光変調段24は、第2の変調器20を有するスクリーン23と構成的には同じ光学要素によって形成できるとも言える。つまり図1のスクリーン23にさらに続けて光変調段を設ければ、スクリーン23であったものが付加的な光変調段とも言えるのであり、光変調段を直列的に設ければ高ダイナミック・レンジが増大することは、段落【0015】の記載「光が連続的にそれらの段を通過することで、高められたダイナミック・レンジを持つ画像が供給される。」からも理解できる。
そうすると高ダイナミック・レンジを増大させるために設けた光変調段においても、最終的なスクリーンと同様に拡散器を設けることができると言える。

3.被請求人の提示した証拠方法
被請求人の提示した証拠方法は、以下のとおりである。

乙第1号証:甲第16号証(特願2000-287499号(特開2002-99250号公報))の平成15年12月26日付け意見書


第6 当審の判断
1.優先権主張の効果について
(1)訂正特許発明1?33に係る出願は、対応する国際出願(PCT/CA02/00255)において、米国仮出願(60/271,563:以下、単に「仮出願」という。)に基づく優先権を主張しているところ、請求人は、該優先権主張の効果は認められないと主張しているので、該優先権主張の効果について検討する。なお、被請求人は、該優先権主張の効果について請求人の主張に反論を行っていない。

(2)訂正特許発明1について
仮出願(甲第19号証の1(請求人が提出した翻訳文(甲第19号証の2)参照。))には、「一旦、所望のコントラストに達すれば、最後のLCDはディスプレイの画面として機能する。その最後のLCDに付けられた拡散器(5)は、所望の立体角φで出射光を拡散する。」と記載され、図1からも、最後の「LCD(2)」の出射側に「拡散器(5)」が配置された構成が読み取れること、また、仮出願には、最後の「LCD(2)」と「拡散器(5)」の他の配置が記載も示唆もされていないことから、仮出願には、訂正特許発明1の「拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系」という発明特定事項は記載されていないと認められる。
すると、該発明特定事項を有する訂正特許発明1について、該優先権主張の効果は認められない。

(3)訂正特許発明2?19について
訂正特許発明2?19は、訂正特許発明1を引用するものであり、上述したように訂正特許発明1について、該優先権主張の効果が認められないことから、同様に、訂正特許発明2?19についても、該優先権主張の効果は認められない。

(4)訂正特許発明20について
訂正特許発明1と同様に、仮出願には、訂正特許発明20の「拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系」という発明特定事項は記載されていないと認められる。
すると、該発明特定事項を有する訂正特許発明20について、該優先権主張の効果は認められない。

(5)訂正特許発明21?26について
訂正特許発明21?26は、訂正特許発明20を引用するものであり、上述したように訂正特許発明20について、該優先権主張の効果が認められないことから、同様に、訂正特許発明21?26についても、該優先権主張の効果は認められない。

(6)訂正特許発明27について
訂正特許発明1と同様に、仮出願には、訂正特許発明27の「拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系」という発明特定事項は記載されていないと認められる。
すると、該発明特定事項を有する訂正特許発明27について、該優先権主張の効果は認められない

(7)訂正特許発明28?33について
訂正特許発明28?33は、訂正特許発明27を引用するものであり、上述したように訂正特許発明27について、該優先権主張の効果が認められないことから、同様に、訂正特許発明28?33についても、該優先権主張の効果は認められない。

(8)以上のとおり、訂正特許発明1?33の全てについて、該優先権主張の効果は認められず、進歩性及び拡大先願に係る判断基準日は、国際出願日(2002年(平成14年)2月27日)となる。
すると、請求人が提出した甲第1?15、22、23、27、28、33、34、38号証は、いずれも、対応する国際出願より前に頒布されたものである。
また、請求人が提出した甲第16号証に係る特許出願は、対応する国際出願日前に出願され、国際出願後に出願公開されたものである。

2.無効理由1:進歩性について
2-1 訂正特許発明1について
(1)甲第1号証による進歩性の欠如について
ア 甲第1号証の実施例1による進歩性の欠如について
a.甲第1号証には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(a-1)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶等の電圧、透過率特性の制約により従来のCRTに比べて、ダイナミックレンジが狭く、特に、自然画等の表示では、上記原因により、黒表示領域で黒浮きが生じ十分な画質が得られていない。
【0003】上記課題を解決すべく1999年9月の日経マイクロデバイス「続報:大型液晶テレビ、松下の事業参入支える技術が明らかに」に解決方式が述べられている。
【0004】ただし、画面全体でバックライトを調整するために、画面の一部に高輝度領域と低輝度領域が存在する場合、上記低輝度領域での表示性能が十分でないという課題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、あらゆる映像信号に対しても、ダイナミックレンジを拡大し高コントラストな高画質を実現する方式を提案することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明では、光変調器(液晶パネル、DMD(ディジタル・ミラー・デバイス、例えば特開平10-78550号参照))への照明光を分割し、かつ分割された各照明光ごとにその照明光量を変調するようにしている。
【0007】
【作用】分割された各照明光で、光変調器上の別々の領域を照明し、かつ各照明光の光量をその照明光で照明される領域での表示輝度に応じて調整することにより、光変調器の照明光量を固定した場合に比べて高コントラストで色再現性の良い、高品質の表示を実現することができる。
【0008】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
実施例1
図1は、本発明の一実施例に係る液晶プロジェクタの光学系の構成を示す。この液晶プロジェクタは、照明光を複数個に分割し、各照明光束で光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにしたものである。
【0009】図1において、1はランプ用リフレクタ、2は発光管(ランプ)、3ははえの目インテグレータ、4はPS変換光学素子、6,24はリレーレンズ、7,9,11,12はミラー、8,10はダイクロミラー、13,14,15はフィールドレンズ、16,17,18は第1の光変調器である液晶パネル、19,20,21は偏光板、22はクロスプリズム、23は投射レンズである。120は照明光を分割するとともに光量を調節(調光)するための第2の光変調器で、例えば液晶パネル等を使用できる。上記光変調器120は、はえの目インテグレータ3のランプ側に極力近接して設けられている。図1において、ランプ側の第1はえの目レンズ3aは、各液晶パネル16,17,18と実質的に共役関係になっており、そのはえの目レンズのアスペクト比は使用している液晶パネル16,17,18と同等のものとなっている。従って液晶パネルへ分割照明を行なうため、光変調器120は第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が光変調器である液晶パネル16,17,18に結像するようになっている。この配置は、実質的に分割照明可能であればよく、共役位置からのわずかなずれは許容し得る。光変調器として、液晶パネルを用いる時、極力光量ロスを防ぐために、PS変換素子4は、赤外、紫外カットフィルタ101を介してランプ2と第1はえの目レンズ3aとの間に設けられている。
【0010】第1はえの目レンズの一部領域を切り出した図を図1(b)に示す。121,122,123は、はえの目状の各レンズであり、そのレンズ一つ一つに対して、同一構成の光変調器124,125,126,127が設けられている。上記光変調器124?127の1つを切り出した図が図1(c)である。図1(c)では、パネルへの照明領域を4分割に分割した例を示す。上記124,125,126,127は原則同等の駆動電圧が印加され、液晶パネル16,17,18へ照明された時、それぞれのはえの目レンズから合成される像が同等の分割照明できるようになっている。
【0011】また、図1(c)の4分割された131,132,133,134の境界は、光学的、電気的にフィルタが設けられ、境界が目立たないように工夫されている。上記フィルタとしては、境界領域に光学的拡散特性を持つフィルム等を貼りつけるのが最も簡便な方法である。
【0012】図2は、図1のプロジェクタの電気ブロック図である。図2において、18,17,16は、R、G、B各色表示対応の液晶パネル、54は各液晶パネルに印加する信号と電源を供給するドライバ回路、55はDAコンバータ、56はメモリである。メモリ56は、現状の表示データと次のフレームで表示するデータ等を保持する。57はDSP部で、δ調整、インターレース信号のノンインターレース信号への変換、使用している液晶パネルの画素数と入力信号との画素数とが対応しない場合の解像度変換、および色調整節等の処理だけでなく、照明光変調にともなう各色の信号レベルを算出する演算等を実行する。58はタイミング発生回路、59は電源ON-OFFおよび各種設定を行うリモコンである。60はリモコンからの信号を受け、かつ、各種入力信号切替等を行うための制御パネルである。63はマイコンで、バスを介して、メモリ56、DSP部57、タイミング発生回路58、制御パネル60、電源66、ランプ用バラスト64等の各ブロックが接続され、それら各ブロックの制御を行なっている。バラスト64にはランプ65が接続されている。67はADコンバータ、68はスイッチである。69は信号処理回路で、NTSC信号のデコード、ノイズ低減処理、帯域制限フィルタリングおよび信号レベル調節等の信号処理を行なう。71はPC(パソコン)入力端子、72はNTSC入力端子で、本ブロック図には、アナログ入力信号のみ記載されているが、それに限らず、LVDS、TMDS等の入力端子や、デジタルTV用D3端子等も設けても有効であることは言うまでもない。70は音声回路アンプ、73はスピーカ、74はACインレットである。
【0013】140は光変調器120を駆動するためのデジタル信号をアナログ信号に変換するためのDA変換器で、DA変換が液晶パネル用のDAコンバータ55で対応できる場合は省略できる。141は光変調器用ドライバである。
【0014】本実施例において、光変調器への信号、さらにそれにともなう液晶パネルへの信号をどう処理するかについて、図3を用いて説明する。図3は山へ太陽が沈み、夜空になるシーンを4つに分割したものである。
【0015】時刻t1の時、第1象限の位置にあたる領域150の最大輝度は8、第4象限の領域151は8、第3象限の領域は100、第2象限の領域153は8となる。分割しない時は、この時刻t1の最大輝度は100となっていたのに対し、152の領域以外は最大輝度レベルが極めて下がっている。したがって、領域150,151,153は、光変調器120を透過する光量(照明光量レベル)を8まで落とし、その照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し印加する。
【0016】時刻t2の画像の場合、160の領域の最大輝度は6、161の最大輝度は6、162の最大輝度は80、163の最大輝度は6、さらに時刻t3の画像の場合、170の最大輝度は30、171の最大輝度は2、172の最大輝度は2、173の最大輝度は2となる。時刻t2とt3に移行する場合、第3象限の領域である162から172は最大輝度が80から2へ急速に変化する。このような場合、照明光を急速に変えると、光変調器の応答速度と液晶パネルの応答速度との関係から、連続的な滑らかな表示輝度特性が得られない場合もある。この場合は照明光量を急速に落とさず、滑らかに連続的に変化する駆動方式も有効である。
【0017】さらに分割領域ごとで照明レベルをどこに設定するかについて説明する。
<1>1フィールド(フレーム)中の各領域中の画素の最大輝度をその領域の最大輝度とする方式
この方法は、最大輝度算出としては、最も簡素な方法で画像データをメモリに格納する時にコンパレータを設け、各象限の最大輝度のデータを検出すれば良い。
【0018】<2>輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式
映像信号は、通常、最大振幅0.7Vppで、図2に示すADコンバータ67に入力されるが、0.7Vに対して120%相当のレベルが入力されることもある。その120%を最大値とし、輝度レベルを10階層に分類し、120%でノーマライズした時のある画像データの中での輝度が91%から100%の輝度分布を表1に示す。
【0019】
【表1】(略)
【0020】この期待値(輝度レベル平均値)を算出すると、94%となった。これにより、最大輝度グループ内での平均的な輝度が最大輝度となるために、領域全体の傾向をより反映できる利点を有している。
【0021】上記階層での分類は、等間隔にきざむ方法以外に、各層の画素数がほぼ同一になるように分類し、その最上位層で期待値を計算する方式も有効である。
【0022】<3>画素領域の所望の割合を占めるしきい値を最大輝度とする方式
人間の目には、輝度のレベルがある一定の面積で存在しないと、目につかない特性を有している。したがって、分割領域中の画素を輝度の高い順に並べた時、その領域中の全画素数の所望の割合になる輝度を最大輝度と定める方式が本方式である。表1のデータにおいて、全画素の2%となる輝度レベルは91%となる。但し、この場合、全画素は78万6432画素で、その2%とすると15729画素がそれに相当する。輝度レベルが91%までの画素数は17130画素であるから、本方式を採用した場合の最大輝度レベルは91%となる。
【0023】以上説明したように、映像信号に応じて、どの最大輝度算出方法が最も良いかは変わってくる。したがって、本実施例においては、これら複数の算出方式がユーザーにより選択できるモードもしくは、映像信号により自動的に適切な演算方式が選択できるようになっている。
【0024】本実施例では光変調器16?18および120として、液晶パネルを用いる方式について説明したがディジタル・ミラー・デバイス(DMD)等を利用することも有効である。DMDを用いれば、偏光制御に伴う光量ロスが無くなるため高輝度化には優れている。
【0025】上記実施例では、領域を分割し、照明できるのでさらに高コントラスト、高画質の表示が実現できた。上記構成の場合、液晶パネル等の素子以外の光学素子に表面反射防止膜等を設けて、コントラストを低下させる要因を低減してもよいことは言うまでもない。
【0026】各分割領域の照明光量は、上記の最大輝度に応じてリアルタイムで変化させてもよいが、照明光量を増加する時はリアルタイムで、照明光量を減少する時は、1?複数フレーム遅らせて変化させるのが好ましい。
【0027】実施例2
次に図4、図5を用いて本発明の第2の実施例について説明する。図4(a)は、直視型液晶表示装置の断面図で、201a,201bはバックライト、213は発光管、214は導光板、202は拡散板、203は入射光側偏光板、204は液晶セル、205は出射側の偏光板である。入射光側偏光板203、液晶セル204および出射側の偏光板205は偏光板付液晶セルユニット206を構成している。
【0028】図4(b)は、(a)の平面図で、この図から分かるように、表示領域の右側領域215は、バックライト201aにより照明し、左側領域216はバックライト201bにより照明する。右側と左側との境界部217は両者の照明の平均値が照明される。これはバックライト光が拡散板202により拡散することにより平均化される。
【0029】図4(c)は、入射光側偏光素子203の一つの構成例を示す。図4(a)においては、入射光側偏光素子203として単純な偏光板を用いた例を示したが、図4(c)に示すような多層構造の偏光素子を用いるのがより好ましい。図4(c)において、207は剥離ライナ、208は粘着剤、209は偏光板、210は粘着剤、211はコレステリック液晶フィルムで例えば、日東電工のPCF-350や、3M社製DBEF(Dual Brightness Enhancement Film)等が好適である。212は保護フィルムである。上記膜構造体を用いることにより、導光板214からの出射光束のうちS偏光光束もP偏光光束へ変換して液晶セル上に照明することができ、高輝度が達成できる。
【0030】図4(b)の例は、液晶セルの左右にバックライト光源を配置したが、図5に示すごとく、液晶セルの上下にそれぞれ2分割したバックライト201c,201d,201e,201fを設けることにより217に示すような水平方向への分割と、218に示すような垂直方向への分割を行ない、表示画素の分割数を増やすことも可能である。
【0031】実施例3
次に本発明の第3の実施例について図6を用いて説明する。図4と同等箇所は、同一番号で記し、説明は省略する。221は従来使用されている(非分割型の)バックライト、222は透過型のPDLC(高分子分散型液晶)セルである。
【0032】高分子分散液晶セルの上下電極に電圧を印加しない時は、上記液晶セル部で導光板221からの光が拡散して、液晶セル206の角度特性よりユーザーが見る光量は減少する。一方、PDLC222に印加する電圧を徐々に大きくすると、分散された光分子材料と液晶との屈折率差が縮小し、導光板からの光拡散量が減少し、所望の電圧(例えば、10μmギャップの時、11V)で透明体となる。これらの高分子分散液晶セルを分割しておき、液晶セル206への照明光量を領域ごと変更することができた。
【0033】但し、照明ピッチLと液晶セルの画素ピッチpとし、モアレが出にくいピッチに照明ピッチを選択することが好適である。モアレのピッチをmとすると、
【0034】
【数1】(略)
となる。したがって、照明ピッチLと画素ピッチpとが近い場合、モアレの波長(ピッチ)mが大きくなり目立つ。照明ピッチLを画素ピッチpの10倍以上とすればその時のモアレ波長mは、m≒1.1pで、ほぼ目立たなくなる。よって、照明領域の分割ピッチは少なくとも10倍以上が望ましい。」

(a-2)
「【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】




甲第1号証に記載された「はえの目インテグレータ3」を構成する2つのはえの目レンズのうちの「第1はえの目レンズ3a」ではないもの(「リレーレンズ6」側のもの)を、「第2はえの目レンズ3b」と称することとする。
図1の記載から、「第2の光変調器120」が「第1はえの目レンズ3a」と「第2はえの目レンズ3b」の間に設けられている構成、「分割照明光」が、「リレーレンズ6,24」、「ミラー7,9,11,12」、「ダイクロミラー8,10」、「フィールドレンズ13,14,15」により、「液晶パネル16,17,18」に結像する構成を読み取ることができる。
甲第1号証の【0012】、【0013】の記載から、図2の記載も参酌すると、甲第1号証の液晶プロジェクタは、第1の光変調器である液晶パネル16,17,18に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、第2の光変調器120を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御するマイコン63を備えるといえる。

すると、上記甲第1号証の記載事項から、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1-1発明」という。)が記載されている。

「ランプ用リフレクタ1、発光管(ランプ)2、はえの目インテグレータ3、PS変換光学素子4、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15、第1の光変調器である液晶パネル16,17,18、偏光板19,20,21、クロスプリズム22、投射レンズ23を有する液晶プロジェクタであって、
照明光を分割するとともに光量を調節(調光)するための第2の光変調器120として、液晶パネルを使用し、前記第2の光変調器120は、第1はえの目レンズ3aと第2はえの目レンズ3bの間に、第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15により、前記第1の光変調器に結像するようになっていて、
前記第1の光変調器に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記第2の光変調器120を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御するマイコン63を備え、照明光を4個に分割し、各照明光束で前記第1の光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにし、
各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する、液晶プロジェクタ。」

b.請求人の主張する甲1-1発明について
請求人は、甲第22?24号証の拡散部材もしくは拡散機能を具備する偏光板を参照して甲第1号証から甲1-1発明を認定している。
しかし、拡散部材もしくは拡散機能を具備する偏光板は周知技術であるとしても、甲第1号証の偏光板19、20、21が、拡散部材もしくは拡散機能を具備することは記載されておらず、また、記載されていることが自明であるとも認められないので、甲1-1発明が「拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るという発明特定事項を含むとの請求人の認定は採用できない。

c.対比
(a)訂正特許発明1と甲1-1発明との対比
(a-1)
甲1-1発明の「第2の光変調器120」、「液晶パネル16,17,18」、「マイコン63」及び「液晶プロジェクタ」は、それぞれ、訂正特許発明1の「第1の空間光変調器」、「第2の空間光変調器」、「制御装置」及び「表示装置」に相当する。

(a-2)
甲1-1発明の「第2の光変調器120」は、「液晶パネルを使用し、」「照明光を分割するとともに光量を調節(調光)するための」ものであって、「照明光を4個に分割し、各照明光束で光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するように」するものであるから、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。
すると、甲1-1発明の「第2の光変調器120」は、訂正特許発明1の「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器」に相当する。

(a-3)
甲1-1発明の「液晶パネル16,17,18」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲1-1発明の「液晶パネル16,17,18」は、訂正特許発明1の「制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器」に相当する。

(a-4)
上記(a-2)、(a-3)より、甲1-1発明の「照明光を分割するとともに光量を調節(調光)するための第2の光変調器120として、液晶パネルを使用し、前記第2の光変調器120は、第1はえの目レンズ3aと第2はえの目レンズ3bの間に、第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15により、前記第1の光変調器に結像するようになってい」ることは、訂正特許発明1の「第1の空間光変調器の画素毎に、複数の対応する画素を有する第2の空間光変調器と」「を備え」ることに相当する。

(a-5)
上記(a-2)より、甲1-1発明の「第2の光変調器120」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえるので、所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、上記(a-3)より、甲1-1発明の「液晶パネル16,17,18」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものであるから、制御することにより前記近似の画像を補正するものといえる。
すると、甲1-1発明の「前記第1の光変調器に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記第2の光変調器120を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御するマイコン63を備え 照明光を4個に分割し、各照明光束で前記第1の光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにし、各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」ことは、訂正特許発明1の「第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置」「を備え」ることに相当する。

(a-6)
一般に、はえの目レンズが拡散機能を有することが技術常識であるから、甲1-1発明の「第2はえの目レンズ3b」は、訂正特許発明1の「拡散器」に相当するといえる。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明1と甲1-1発明は、
「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、
制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器であって、第1の空間光変調器の画素毎に、複数の対応する画素を有する第2の空間光変調器と、
第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置と、
拡散器と、を備える、
表示装置。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-1-1-1)
訂正特許発明1は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲1-1発明は、「第2の光変調器120は、第1はえの目レンズ3aと第2はえの目レンズ3bの間に、第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15により、光変調器である液晶パネル16,17,18に結像するようになってい」る点、
すなわち、訂正特許発明1では、「第1の空間光変調器によって投影された光」が、「光学系」、「拡散器」、「第2の空間光変調器」の順に通過するのに対して、甲1-1発明では、「分割照明光」が、「第2はえの目レンズ3b」、「リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15」、「液晶パネル16,17,18」の順に通過する点。

(1-1-1-2)
訂正特許発明1では、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲1-1発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

d.判断
上記相違点(1-1-1-1)について検討する。
甲1-1発明の「第2はえの目レンズ3b」は、「第1はえの目レンズ3a」と対になって、「はえの目インテグレータ3」を構成するものであるから、「第2はえの目レンズ3b」のみを、「リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15」と「液晶パネル16,17,18」の間に配置することは光学系の設計としてあり得ないことは、当業者には自明のことである。
すると、甲1-1発明に基いて、上記相違点(1-1-1-1)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

なお、請求人は、甲第31?33号証に示すような数値範囲の透過率を具備する「拡散器」であれば、画像が暗くなる影響が小さく、そして、プロジェクタ装置で、液晶パネルの直前に「拡散器」が配置される例は、以下の甲第34号証の図1に示されているので、甲1-1発明のような液晶パネルを用いたプロジェクタ装置であっても、上記のような数値範囲の透過率を具備する「拡散器」であれば、実質的な輝度低下の支障は軽微なので、「拡散器」の適用が阻害要因になることはなく、反対に、均一な光分布及び輝度ムラ低減等を重視する場合は甲第34号証に示すように、「拡散器」は積極的に採用されるべき対象になり得るものであるから、「拡散器」の適用は、当業者が考慮すべき通常の設計的事項となると主張する。

しかし、透過率の高い拡散器が周知であり、また、プロジェクタ装置で、液晶パネルの直前に「拡散器」が配置される例が公知であるとしても、甲1-1発明の「液晶パネル16,17,18」の直前に「拡散器」を入れると、「液晶パネル16,17,18」からの画像光が拡散して画像光の一部が「投射レンズ23」に入射しない(ケラレる)ことになり、投影画像が暗くなることになり、また、一般には、プロジェクター装置では、投影画像を明るくすることが求められることが当業者の技術常識であることを考慮すると、そのような構成は、当業者には想定し得ないから、甲1-1発明の「液晶パネル16,17,18」の直前に「拡散器」を入れることは阻害要因がある(甲第34号証の「プロジェクタ装置20」は、光学系の具体的な構成が明らかでないので、「拡散板23」の作用効果は正確に評価できない。)。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。

よって、訂正特許発明1は、甲1-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-1-1-1)で相違し、上記相違点(1-1-1-1)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明1は、甲第5?7、22?24号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲1-1発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

イ 甲第1号証の実施例3による進歩性の欠如について
a.甲第1号証の記載事項は、上記「ア」「a」に挙げたとおりであって、甲第1号証の段落【0032】の「液晶セル206」(2箇所あり)は「液晶セル204」の誤記、「導光板221」は「バックライト221」の誤記であることは明らかである。
また、図6の記載から、「バックライト221」は、段落【0027】、図4(a)に記載された「バックライト201a,201b」が有する「発光管213」と「導光板214」と同様の、「発光管」と「導光板」を有すること、及び、「バックライト221」、「透過型の高分子分散型液晶セル222」、「拡散板202」、「液晶セル204」が、この順に配置された構成を読み取ることができる。
また、甲第1号証の実施例3の「高分子分散型液晶セル222」の「領域ごとの」「照明光量」は、甲第4号証の全記載からみて、甲4-1発明と同様、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」と認められる。
さらに、甲第1号証の実施例3の直視型液晶表示装置において、制御のための装置を備えることは自明のことであるので、甲第1号証の【0012】、【0013】の記載から、図2の記載も参酌すると、甲第1号証の直視型液晶表示装置は、液晶セル204に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、高分子分散型液晶セル222を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御するマイコン63を備えるといえる。

すると、上記甲第1号証の記載事項から、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1-2発明」という。)が記載されている。

「バックライト221、透過型の高分子分散型液晶セル222、拡散板202、液晶セル204を、この順に配置した直視型液晶表示装置であって、
前記液晶セル204に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記高分子分散型液晶セル222を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御するマイコン63を備え、
前記高分子分散型液晶セル222を分割しておき、液晶セル204への照明光量を領域ごと変更し、
各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する、直視型液晶表示装置。」

b.対比
(a)訂正特許発明1と甲1-2発明との対比
(a-1)
甲1-2発明の「透過型の高分子分散型液晶セル222」、「液晶セル204」、「拡散板202」、「マイコン63」及び「直視型液晶表示装置」は、それぞれ、訂正特許発明1の「第1の空間光変調器」、「第2の空間光変調器」、「拡散器」、「制御装置」及び「表示装置」に相当する。

(a-2)
甲1-2発明の「高分子分散型液晶セル222」の「領域ごと」の「照明光量」は、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」のであるから、「高分子分散型液晶セル222」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。
すると、甲1-2発明の「高分子分散型液晶セル222」は、訂正特許発明1の「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器」に相当する。

(a-3)
甲1-2発明の「液晶セル204」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲1-2発明の「液晶セル204」は、訂正特許発明1の「制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器」に相当する。

(a-4)
上記(a-2)、(a-3)より、甲1-2発明の「高分子分散型液晶セル222を分割しておき、液晶セル204への照明光量を領域ごと変更し、各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」ことは、訂正特許発明1の「第1の空間光変調器の画素毎に、複数の対応する画素を有する第2の空間光変調器と」「を備え」ることに相当する。

(a-5)
上記(a-2)より、甲1-2発明の「高分子分散型液晶セル222」は、精細度が極めて低いものの、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえるので、所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、上記(a-3)より、甲1-2発明の「液晶セル204」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものであるから、制御することにより前記近似の画像を補正するものといえる。
すると、甲1-2発明の「前記液晶セル204に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記高分子分散型液晶セル222を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御するマイコン63を備え、前記高分子分散型液晶セル222を分割しておき、液晶セル204への照明光量を領域ごと変更し、各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」ことは、訂正特許発明1の「第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置」「を備え」ることに相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明1と甲1-2発明は、
「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、
制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器であって、第1の空間光変調器の画素毎に、複数の対応する画素を有する第2の空間光変調器と、
第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置と、
拡散器と、を備える、
表示装置。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-1-2-1)
訂正特許発明1は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲1-2発明は、そのような投影する光学系を有しない点。

(1-1-2-2)
訂正特許発明1では、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲1-2発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-1-2-1)について検討する。
甲第1号証の全記載を参照すると、甲第1号証の実施例3は、液晶パネルの裏面に接するようにバックライトを配置した、最も一般的な液晶表示装置であると解するのが相当であるから、甲1-2発明において、「液晶セル204」、「拡散板202」、「バックライト221」間に、投影する光学系を配置する動機付けは存在しないといえる。

なお、請求人は、甲第35?37号証に示すように「投影」とは「投射」のように光線等を「投げかけること」までは要求されず、物の影を「映し出す」ことを行えば「投影」といえるとするが、訂正明細書の記述を参照すれば、訂正特許発明1の「投影」は、「第1の空間光変調器」の画像を、「拡散器」と「第2の空間光変調器」上に画像として伝達すること(典型的には、「第1の空間光変調器」の画像を「拡散器」と「第2の空間光変調器」上に結像すること)を意味すると認められるから、「投影」を請求人の主張するような広い概念を示すものとは認められない。

よって、訂正特許発明1は、甲1-2発明に対して少なくとも上記相違点(1-1-2-1)で相違し、上記相違点(1-1-2-1)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明1は、甲第5?8号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲1-2発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

ウ 結論
以上のとおり、訂正特許発明1は、甲1-2発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明1は、甲第1号証等によっては、無効とすることはできない。
また、訂正特許発明1は、甲第1-2発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明1は、甲第1号証等によっては、無効とすることはできない。

(2)甲第2号証による進歩性の欠如について
a.甲第2号証には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(a-1)「【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態における透過型液晶表示装置について図面を参照しながら説明する。
【0008】まず図1に本発明に係る液晶モデュールの構成断面図を示す。図1において、1は出射側偏光板、2はガラス基板、3はカラーフィルター、4は透明電極、5は液晶層、6は透明電極、7は各画素に付随した薄膜トランジスター(TFT)、8はガラス基板、9は入射側偏光板であり、出射側偏光板1から、入射側偏光板9により、液晶パネルが構成される。10は、光源と導光板を含むバックライト、11は反射板を示している。
【0009】次に図2に本発明に係る液晶表示装置の斜視図を示す。図2において、12は、液晶パネル、13は光源と導光板を含むバックライト、14は反射板であり、15は表示すべき情報のメモリーおよび演算回路、16は液晶パネルへの結線、17はバックライトの輝度切り替え回路、18は情報のメモリーおよび演算回路15からバックライトの輝度切り替え回路17への結線、19はバックライトの輝度切り替え回路17からバックライトへの結線を示している。
【0010】(実施の形態1)まず、約5インチのカラー表示液晶パネル(ツイスティッドネマチック・モード、表示容量QVGA、カラーフィルター付き)を公知の手法で作成した。次に鹿児島松下電子(株)から、3原色対応発光ダイオード、すなわち、赤として、商品LN289CUQを、緑として、LNG389CNJを、青として、LNG992CFQを入手し、これらをバックライトとして用いることとした。
【0011】次に本実施の形態に係るバックライトの斜視図を、図3に示す。同図において、20は赤、緑、青の順に、多数並べられた、発光ダイオードである。21はアクリルで形成された導光板であり、明拓システム(株)から入手した。22は導光板裏面に形成された多数の突起であり、この分布は、矢印で示したように光の散乱により上方向に均一な光が出るようにされる。なお、上記の構成は印刷法により形成した。その後結線、回路ブロック、反射板等は図1及び図2に記載したように構成した。
【0012】本発明の透過型液晶表示装置においては、光源が放電管である通常のバックライトに比較して、インバーターが無い構成となっている。また、放電管(放電ランプ)をバックライトとして用いた場合、この放電管は輝度の切り替えを敏速に行うことは困難であるが、バックライトの光源として発光ダイオードを用いた場合輝度の切り替えを敏速に行うことができ、具体的には1マイクロ秒以下の輝度切り替えが可能となる。ちなみに、本実施の形態における表示装置においては、1水平走査期間は69マイクロ秒であるため、1マイクロ秒という速さは、十分な速度である。
【0013】上記のように発光ダイオードをバックライトの光源として用いた場合、輝度の輝度の切り替えを敏速に行うことができるため、画面のフレーム毎に輝度を切り替えることが可能となる。しかしながら、従来のように、バックライトとして放電ランプを用いた場合、フレーム毎に輝度を切り替えることは困難であるため、バックライトの輝度は常に最高の輝度で光らせておき、輝度の低い画像を表示するためには、液晶層により光をある程度の量遮断する必要性が生じる。従って、従来のようにバックライトとして放電ランプを用いると、光を無駄にすることになり、この無駄な光の分だけ消費電力も高くなってしまう。
【0014】次に以下では、発光ダイオードを用いてフレーム毎に輝度を切り替えた場合の本発明の透過型液晶表示装置の駆動方法について説明する。
【0015】本発明の特徴は、図2におけるは表示すべき情報のメモリーおよび演算回路15とバックライトの輝度切り替え回路17にある。この点を、これらの回路でなされる駆動についてフローチャートである図4を用いて説明する。
【0016】メモリーおよび演算回路15に、まず液晶パネルの特性から決定される赤、緑、青のそれぞれの実現可能最大輝度(ここでは、各々R100、G100、及びB100と記載することとする)の数値をストアしておく。
【0017】次に表示すべき1フレーム内の各赤画素、各緑画素、各青画素の表示情報(具体的には輝度の大きさに関する情報)、R(x,y)、G(x,y)、B(x、y)の数値を、液晶表示装置のメモリーおよび演算回路15に対して外部から伝える。このR(x,y)について説明すると、例えばR(1,2)とは(1,2)という座標で与えられた赤の表示を行う画素の輝度に関する情報を示すものとなっている。具体的に説明すると、例えばR100が100(任意単位)という輝度であり、(1,2)という座標において、赤の表示輝度を50(任意単位)としたい場合、このR(1,2)には、実現可能最大輝度に対する実際に表示したい輝度の割合である50%という情報が記録されている。この情報に基づいて光源から照射された光のうちの50%を遮断するように液晶層をコントロールしてやれば、(1,2)という座標において所望の輝度の赤表示を行うことができる。
【0018】ここで、1フレーム中には通常、赤、緑、青の表示を行う画素が各々複数個存在し、それぞれの画素の輝度も異なる。上記の伝達の際に、1フレーム中に複数存在する赤、緑、及び青の画素中で、それぞれの色の最大輝度(絶対値)を演算回路15で比較演算する。この比較演算について説明する。例えば赤の表示を行う画素が100個存在し、この100個の赤の画素には輝度情報として、上記したような50%という情報を持つ画素以外に30%や80%等というように異なる輝度情報を有する画素が存在したとする。上記の100個の情報の中の最大値が80%であった場合には、赤の実現可能最大輝度×80%を最大輝度(絶対値)として求める。上記のようにして比較演算された赤、緑、及び青の最大輝度を、MAXR、MAXG、MAXBとして決定し、記憶させる。
【0019】次に、メモリー15内のR(x,y)、G(x,y)、B(x、y)という輝度情報の変換を行う。具体的には、図に示しているように、演算回路15により、新しい赤、緑、青の表示信号を、R(x,y)×R100/MAXR、G(x,y)×G100/MAXG、B(x,y)×B100/MAXB、により計算し、これに従って駆動波形を計算し、各画素に電圧を印加する。
【0020】上記の計算について具体例とともに、以下に詳細に説明する。前述した例と同じように、例えばR100が100(任意単位)という輝度であり、(1,2)という座標において、赤の表示輝度を50(任意単位)としたい場合、このR(1,2)には、実現可能最大輝度に対する実際に表示したい輝度の割合である50%という情報が記録されている。その後演算により、特定の1フレーム中の赤の最大輝度情報が80%であった場合、MAXR=100(任意単位)×80%=80(任意単位)となる。ここで、R(1,2)×R100/MAXRの計算を行うと、50%×100/80=62.5%となる。すなわち、R(1,2)という輝度情報には、最初50%という情報がもりこまれていたわけであるが、特定のフレームにおける赤の最大輝度を100から80(いずれも任意単位)に変更したために、R(1,2)の輝度情報をこれらにリンクさせて50%から62.5%に変更したわけである。
【0021】上記のような駆動を行うことにより、本発明によれば、消費電力を少なくすることができるわけであるが、その理由について以下に詳細に説明する。
【0022】従来のように、光源として放電ランプを用いた場合、フレーム毎に光源の輝度を切り替えることはできない。今、例えば赤の実現可能最大輝度が100(任意単位)であり、特定のフレームにおいて、R(x,y)の最大値が80%であっったとすると、最も明るく光らせたい赤の画素においても、光源から発せられた光のうちの20%は液晶層により、遮断せざるをえなくなり、光源の光量の20%は無駄に光らせていることになる。
【0023】これに対して、本発明では、1フレーム毎に光源の輝度を切り替えることの可能な発光ダイオードを用いているために、例えば、特定のフレームにおいて、R(x,y)の最大値が80%であっったとすると、これに応じて赤の発光ダイオードの最大輝度が80(任意単位)になるように光らせてやれば、従来のように20%の光量の無駄をなくすことができる。実際、景色等の画像表示の場合、電力は、本発明を用いない場合に比べて、約半分になった。
【0024】(実施の形態2)約10インチのカラー表示液晶パネル(ツスティッドネマチック・モード、表示容量VGA、カラーフィルター付き)を公知の手法で製作した。次に、カラー表示液晶パネル部と、バックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割する。
【0025】各領域のバックライトは図5の如く形成する。図5は本実施の形態における液晶表示素子の構成断面図を示したものである。同図において、23は液晶セル、24はアクリル導光板、25は突起、26は発光ダイオード群を示している。
【0026】本実施の形態は、上記したように各発光ダイオードの位置に特殊性があるのみで、その他の部分については上記した実施の形態1と同様である。また、本実施の形態における液晶表示装置の駆動方法についても、上記した実施の形態1と同様であり、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える。これにより、実施の形態1と同様に、消費電力の削減が図れる。
【0027】しかし、本実施の形態では、上記した実施の形態1の場合と異なり、光源をN個の領域に分割することにより、さらなる効果を得ることができる。この理由について以下詳細に説明する。
【0028】実施の形態1の際と同様に、今、赤の表示を行いたい画素が100個存在し、R100=100(任意単位)であったとする。そして、この100個の赤の表示画素のうち、80(任意単位)の輝度で赤表示を行いたいものが1個で、その他は全て50以下の赤表示を行うものであったとする。ここで、上記の実施の形態1のような駆動を行うと、MAXR=80で赤の発光ダイオードを光らせる必要性が生じる。しかしながら、本実施の形態のように、光源領域を複数に分割すると、たまたま80(任意単位)の画素が含まれている領域の赤の発光ダイオードのみMAXR=80とし、その他の領域の赤の発光ダイオードはMAXR=50としてやればよくなり、実施の形態1と比較して更に消費電力を削減することができる。」

(a-2)
「【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】



図5の記載から、「発光ダイオード群26」、「突起25」が形成された「アクリル導光板24」、「液晶セル23」が、この順に配置された構成を読み取ることができる。
また、段落【0024】に記載された「カラー表示液晶パネル部」、「バックライト部」が、それぞれ、「液晶セル23」を、「発光ダイオード群26」、「突起25」が形成された「アクリル導光板24」を含むことは明らかである。さらに、段落【0011】の「その後結線、回路ブロック、反射板等は図1及び図2に記載したように構成した。」との記載から、上記「バックライト部」も「反射板」を有すると解するのが相当である。

すると、甲第2号証の記載事項から、甲第2号証には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。

「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24、液晶セル23を、この順に配置し、さらに、アクリル導光板24の下部に反射板を配置した液晶表示装置であって、
液晶セル23を含むカラー表示液晶パネル部と、発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、
1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える、液晶表示装置。」

b.対比
(a)訂正特許発明1と甲2発明との対比
(a-1)
甲2発明の「液晶セル23」及び「液晶表示装置」は、それぞれ、訂正特許発明1の「第2の空間光変調器」及び「表示装置」に相当する。

(a-2)
甲2発明の「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部」は、「1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞」るものであることから、甲2発明の「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。
すると、甲2発明の「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部」は、訂正特許発明1の「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器」に相当する。

(a-3)
甲2発明の「液晶セル23」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲2発明の「液晶セル23」は、訂正特許発明1の「制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器」に相当する。

(a-4)
上記(a-3)、(a-4)より、甲2発明の「液晶セル23を含むカラー表示液晶パネル部と、発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える」ことは、訂正特許発明1の「第1の空間光変調器の画素毎に、複数の対応する画素を有する第2の空間光変調器と」「を備え」ることに相当する。

(a-5)
上記(a-2)より、甲2発明の「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえるので、所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、上記(a-3)より、甲2発明の「液晶セル23」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものであるから、制御することにより前記近似の画像を補正するものといえる。
さらに、甲2発明において、制御装置を備えるものであることは、自明のことである。
すると、甲2発明の「液晶セル23を含むカラー表示液晶パネル部と、発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える」ことは、訂正特許発明1の「第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置」「を備え」ることに相当する。

(a-6)
甲第2号証の段落【0011】の「21はアクリルで形成された導光板であり、明拓システム(株)から入手した。22は導光板裏面に形成された多数の突起であり、この分布は、矢印で示したように光の散乱により上方向に均一な光が出るようにされる。」という記載から、甲2発明の「アクリル導光板24」は、光の拡散機能を有するから、訂正特許発明1の「拡散器」に相当するといえる。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明1と甲2発明は、
「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、
制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器であって、第1の空間光変調器の画素毎に、複数の対応する画素を有する第2の空間光変調器と、
第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置と、
拡散器と、を備える、
表示装置。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-2-1)
訂正特許発明1は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲2発明は、そのような投影する光学系を有しない点。

(1-2-2)
訂正特許発明1では、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲2発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-2-1)について検討する。
甲第2号証の全記載を参照すると、甲第2号証では、液晶パネルの裏面に接するようにバックライトを配置した、最も一般的な液晶表示装置であると解するのが相当であるから、甲2発明においても、「液晶セル23」、「バックライト部」間に、投影する光学系を配置する動機付けは存在しないといえる。

なお、請求人は、甲第35?37号証に示すように「投影」とは「投射」のように光線等を「投げかけること」までは要求されず、物の影を「映し出す」ことを行えば「投影」といえるとするが、訂正明細書の記述を参照すれば、訂正特許発明1の「投影」は、「第1の空間光変調器」の画像を、「拡散器」と「第2の空間光変調器」上に画像として伝達すること(典型的には、「第1の空間光変調器」の画像を「拡散器」と「第2の空間光変調器」上に結像すること)を意味すると認められるから、「投影」を請求人の主張するような広い概念を示すものとは認められない。

よって、訂正特許発明1は、甲2発明に対して少なくとも上記相違点(1-2-1)で相違し、上記相違点(1-2-1)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明1は、甲第9?12号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲2発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

d.結論
以上のとおり、訂正特許発明1は、甲2発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明1は、甲第2号証等によっては、無効とすることはできない。

(3)甲第3号証による進歩性の欠如について
a.甲第3号証には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(a-1)「【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】[第1の実施の形態]図2は、本発明の第1の実施の形態に係る映像表示装置としての液晶表示装置の要部構造を示す断面図である。同図に示したように、本実施の形態に係る液晶表示装置は、照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1と、この液晶パネル1に対向配置されると共に、液晶パネル1の背面から照明光を照射するためのバックライトパネル2とを備えている。なお、同図(B)に示したように、本実施の形態に係る液晶表示装置において、更に、液晶パネル1とバックライトパネル2との間に、バックライトパネル2からの照明光を均一化するための光拡散板6を設けるようにしても良い。ここで、液晶パネル1は、本発明における「光変調素子」の一具体例に対応する。
【0012】液晶パネル1は、例えば、TFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)型等のアクティブマトリクス方式によって駆動されるものであり、図示しないが、液晶層と、この液晶層に電圧を印加するための電極基板とを有している。ここで、TFT型の液晶パネルは、スイッチング素子として機能する薄膜トランジスタを、行方向に配列された行電極と列方向に配列された列電極との交点にマトリクス状に配置した構成となっている。TFT型の液晶パネルでは、マトリクス状に配置された薄膜トランジスタを制御して、液晶層に画素毎に独立して選択的に電圧を印加することにより、入射した光を光学的に変調させ、映像表示が行われる。また、液晶パネル1として、例えば、STN(super twisted nematic;超ねじれネマティック) 型等の単純マトリクス方式によって駆動されるものを使用しても良い。STN型の液晶パネルは、表面にマトリクス状に行電極と列電極とが配置された2つの電極基板を、液晶層を挟んで対向配置した構成となっている。STN型の液晶パネルでは、行電極と列電極との間に印加される駆動電圧の実効電圧値に応答して、入射した光を光学的に変調させ、映像表示が行われる。
【0013】バックライトパネル2は、液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有している。LED3は、液晶パネル1の背面から白色光を発するようになっており、単独で白色光を発する白色LEDまたは色毎に独立駆動可能な赤(Red =R),緑(Green =G),青(Blue=B)の3色のLEDを組み合わせたもので構成されている。LED3は、例えば所定の分割領域単位でスイッチング素子に接続され、後述するように、所定の分割領域単位で駆動制御がなされるようになっている。なお、複数のLED3から発せられる個々の光にムラが生じて問題となる場合には、同図(B)に示したように、液晶パネル1とバックライトパネル2との間に光拡散板6を配置して光量の均一化を図ることが望ましい。ここで、LED3は、本発明における「発光手段」の一具体例に対応する。また、LED3を独立駆動可能なR,G,Bの各色のLEDで構成した場合における各色のLEDのそれぞれが、本発明における「発光素子」の一具体例に対応する。
【0014】図3は、液晶パネル1における各画素とLED3との関係についてを示す説明図である。同図において、(A)は、液晶パネル1における各画素の配置を示し、(B)は、バックライトパネル2におけるLED3の配置を示している。なお、(A)において、1つの矩形領域Pが1画素に相当する。
【0015】液晶パネル1においては、同図(A)に示したように、画素がm行n列(m,nは2以上の整数)のマトリクス状に配置されている。一方、LED3は、液晶パネル1によって形成される表示画面を分割した複数の分割領域に対して少なくとも1つずつ配置されている。同図(B)の例では、LED3の配置面を水平方向(同図X方向)および垂直方向(同図Y方向)にそれぞれ2つに分割して合計4つの領域20A?20Dに分割すると共に、各分割領域内にLED3を6つずつ等間隔に配置した例について示している。また、本実施の形態においては、LED3は、映像信号に応じて、各分割領域単位で駆動制御され、液晶パネル1を各分割領域単位で部分的に照明することが可能となっている。
【0016】なお、分割領域の分割数と各分割領域内に配置するLED3の数は、表示画面全体の大きさや総画素数等を考慮して任意の数に設定可能であり、図示したものに限定されるものではない。例えば、表示画面全体の大きさが小さい場合には、表示画面が大きい場合に比べて、各分割領域内に配置するLED3の数を少ない数に設定することが可能である。また、図では各分割領域を矩形状に設定すると共に、各分割領域の大きさを全て同一にした例について示したが、各分割領域の形状および大きさは、図示したものに限定されず、部分的に大きさが異なるように各分割領域の大きさを設定したり、各分割領域の形状を矩形以外の多角形等の他の形状に設定することも可能である。
【0017】図1は、本実施の形態に係る液晶表示装置の制御系の回路構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る液晶表示装置は、その制御回路として、データ線13を介して液晶パネル1に映像信号に応じた信号電圧を印加する信号駆動回路11と、データ線14を介して液晶パネル1に循環的に走査電圧を印加する走査駆動回路12と、データ線23を介してバックライトパネル2のLED3を制御するための制御信号を印加する水平駆動回路21と、データ線24を介してバックライトパネル2のLED3を制御するための制御信号を印加する垂直駆動回路22とを備えている。
【0018】本実施の形態に係る液晶表示装置は、更に、入力された映像信号Vsが液晶パネル1の駆動に適した信号となるように信号処理を施す映像信号処理回路31と、映像信号処理回路31において信号処理された所定単位(例えば1フレームまたは1ライン)の映像信号を一時的に記憶する映像メモリ32と、映像メモリ32に記憶された映像信号に基づいて信号駆動回路11および走査駆動回路12を介して液晶パネル1を駆動制御する液晶パネル制御回路33と、水平駆動回路21および垂直駆動回路22を介してバックライトパネル2を駆動制御するLED制御回路34と、映像信号処理回路31、液晶パネル制御回路33およびLED制御回路34を含む液晶表示装置の各部の構成要素の制御を行うコントローラ35とを備えている。
【0019】ここで、水平駆動回路21、垂直駆動回路22、LED制御回路34およびコントローラ35が、本発明における「制御回路」の一具体例に対応する。
【0020】データ線13およびデータ線14は、それぞれ液晶パネル1の液晶層に電圧を印加するための電極に接続されている。データ線13は、液晶パネル1における水平方向(同図X方向)の画素数に対応して複数設けられており、1つのデータ線13で液晶パネル1における同一列方向(同図Y方向)にある画素に対して信号駆動回路11からの信号電圧を印加することが可能となっている。データ線14は、液晶パネル1における垂直方向(同図Y方向)の画素数に対応して複数設けられており、1つのデータ線14で液晶パネル1における同一行方向(同図X方向)にある画素に対して走査駆動回路12からの走査電圧を印加することが可能となっている。液晶パネル1においては、信号電圧が印加されたデータ線13と走査電圧が印加されたデータ線14との交点に位置する画素が駆動されるようになっている。これにより、液晶パネル1を、映像信号に応じて1画素単位で駆動することが可能となっている。
【0021】液晶パネル制御回路33は、走査駆動回路12から複数のデータ線14に一定の走査周期で順次走査電圧が印加されるよう、走査駆動回路12を制御するようになっている。また、液晶パネル制御回路33は、映像メモリ32に記憶された映像信号を所定の周期で読み出し、読み出した映像信号に基づいて、信号駆動回路11から複数のデータ線13に映像信号に基づいた信号電圧が選択的に印加されるよう、信号駆動回路11を制御するようになっている。
【0022】データ線23およびデータ線24は、それぞれバックライトパネル2のLED3に電圧を印加するための電極に接続されている。データ線23は、バックライトパネル2の駆動単位として設定された分割領域の水平方向(同図X方向)の分割数(図3の例では2つ)に対応して複数設けられている。データ線24は、バックライトパネル2の駆動単位として設定された分割領域の垂直方向(同図Y方向)の分割数(図3の例では2つ)に対応して複数設けられている。バックライトパネル2においては、水平駆動回路21からの制御信号が印加されたデータ線23と垂直駆動回路22からの制御信号が印加されたデータ線14との交点に位置する分割領域内のLED3が駆動される。これにより、バックライトパネル2において、LED3を分割領域単位で駆動することが可能となっている。
【0023】LED制御回路34は、液晶パネル1の駆動に応じて、照明光が必要とされる画素領域に対応する分割領域にあるLED3が駆動されるよう、水平駆動回路21および垂直駆動回路22を制御するようになっている。
【0024】コントローラ35は、バックライトパネル2のLED3が液晶パネル1の駆動周期に同期して駆動されるよう、液晶パネル制御回路33とLED制御回路34とを同期制御するようになっている。
【0025】次に、以上のような構成の液晶表示装置の動作について説明する。なお、以下の説明は、本実施の形態における照明制御方法の説明を兼ねている。
【0026】映像信号処理回路31に入力された映像信号Vsは、映像信号処理回路31によって、液晶パネル1の駆動に適した信号となるように信号処理が施され、映像メモリ32に出力される。映像メモリ32は、映像信号処理回路31において信号処理された所定単位(例えば1フレームまたは1ライン)の映像信号を一時的に記憶する。液晶パネル制御回路33は、映像メモリ32に記憶された映像信号を所定の周期で読み出し、読み出した映像信号に基づいて、信号駆動回路11および走査駆動回路12を介して液晶パネル1を駆動制御する。
【0027】走査駆動回路12は、液晶パネル制御回路33の制御に基づいて、複数のデータ線14に一定の走査周期で順次走査電圧を印加する。信号駆動回路11は、液晶パネル制御回路33の制御に基づいて、複数のデータ線13に映像信号に応じた信号電圧を選択的に印加する。液晶パネル1では、信号電圧が印加されたデータ線13と走査電圧が印加されたデータ線14との交点に位置する画素が駆動され、液晶層に入射した照明光に対して映像信号に応じた光学的な変調が行われる。
【0028】LED制御回路34は、映像信号に応じて、液晶パネル1において少なくとも照明光が必要とされる画素領域に照明光が照射されるよう、水平駆動回路21および垂直駆動回路22を介してバックライトパネル2におけるLED3を、設定された分割領域単位で駆動制御する。バックライトパネル2では、水平駆動回路21からの制御信号が印加されたデータ線23と、垂直駆動回路22からの制御信号が印加されたデータ線14との交点に位置する分割領域内のLED3が駆動され、駆動されたLED3から液晶パネル1の背面に向けて、設定された分割領域単位で照明光が照射される。コントローラ35は、バックライトパネル2のLED3が液晶パネル1における画素の駆動周期に同期して駆動されるよう、液晶パネル制御回路33とLED制御回路34とを同期制御する。
【0029】次に、図4を参照して、本実施の形態に係る液晶表示装置の特徴部分である液晶パネル1における画素の駆動制御とバックライトパネル2におけるLED3の駆動制御との制御関係について、より詳細に説明する。同図(A)は、液晶パネル1の表示面5(図2)に表示される表示画面50の一例を示している。また、同図(B),(C)は、それぞれ図3(A),(B)に対応している。同図(C)において、黒く塗りつぶされた領域20B?20DはLED3が点灯していないことを示し、黒く塗りつぶされていない領域20AはLED3が点灯していることを示す。なお、以下では、液晶表示装置1が、いわゆるノーマリ・ブラックモードでの白黒画像表示を行う場合について説明する。なお、ノーマリ・ブラックモードで動作する液晶パネル1は、液晶層に電圧を印加しない通常状態で画面が黒レベルの表示となり、液晶層に電圧を印加すると、液晶層を光が透過して画面が白レベルの表示となるように動作する。
【0030】ここでは、同図(A)に示したように、アドレス(α,β)に位置する画素部分のみが白レベル表示(明表示)で、それ以外の画素部分が黒レベル表示(暗表示)となるような1フレームの表示画面50を、液晶パネル1の表示面5(図2)に表示する場合について説明する。同図(A)に示したような表示画面50を表示する場合、液晶パネル制御回路33(図1)は、液晶パネル1において、同図(B)に示したように、アドレス(α,β)に位置する画素電極部分のみが駆動され、アドレス(α,β)に対応する液晶層に入射した照明光のみが透過するよう、信号駆動回路11および走査駆動回路12の制御を行う。
【0031】このとき、バックライトパネル2では、アドレス(α,β)に対応する分割領域内にある全てのLED3が駆動される。例えば、同図(C)に示したように、バックライトパネル2におけるLED3の駆動単位を、4つの分割領域20A?20Dに等分割した場合には、LED制御回路34によって、アドレス(α,β)に対応する分割領域20A内にあるLED3のみが駆動されて発光するよう、水平駆動回路21および垂直駆動回路22の制御が行われる。なお、液晶パネル1においては、アドレス(α,β)以外の画素は駆動されていないので、アドレス(α,β)以外の液晶層に入射した照明光は液晶層を透過せず、最終的に同図(A)に示したような表示画面50が表示される。このようにして、同図(A)に示したような1フレームの表示画面50を表示する場合には、1フレーム単位では、4つの分割領域20A?20Dのうち、アドレス(α,β)に対応する分割領域20A内にあるLED3のみが駆動される。
【0032】なお、従来の液晶表示装置では、画像の表示状態に関わらず、常に画面全体に照明光を照射するようにしていたので、同図(A)に示したように部分的にしか画像を表示しない場合においても、常に画面全体に照明光が照射される。これに対し、本実施の形態の液晶表示装置では、上述のように、表示しようとする画像に応じて、バックライトパネル2におけるLED3を選択的に駆動制御して、少なくとも照明光が必要とされる画素領域にのみ部分的に照明光を照射するので、照明に必要とされる消費電力が低減される。図4に示した例では、画面全体に照明光を照射した場合に比べて、1/4の領域にしか照明光を照射しないので、従来よりも3/4=75%の電力が削減されている。
【0033】次に、図5および図6を参照して、LED3の駆動単位となる分割領域の数とLED3の消費電力との関係について、より詳細に説明する。なお、図5および図6では、図面の簡略化のため、バックライトパネル2に設定された分割領域内にあるLED3の図示を省略している。
【0034】図4に示した例では、1フレームの画面で、照明光が必要とされる画素領域が1画素分しかない場合について説明したが、一般的な画像表示の用途では、画面全体に分散して画像を表示する場合が多いと考えられる。このとき、分割領域の数が少ないと、消費電力削減の効果が得られない場合がある。
【0035】例えば、図5(A)に示したように、LED3の駆動単位である4つの分割領域20A?20Dの全てにまたがるような表示画像51を表示する場合には、同図(B)に示したように、4つの分割領域20A?20D内の全てのLED3を点灯することになり、消費電力削減の効果が得られない。しかしながら、画面全体に画像が分散して表示されるような場合であっても、分割領域をより細分化することにより、消費電力削減の効果を得ることが可能である。
【0036】図6は、バックライトパネル2におけるLED3の駆動単位となる分割領域を、表示画面に対して水平方向(同図X方向)に8つ、および、垂直方向(同図Y方向)に6つに等分割して、合計48個に設定した例について示している。なお、図中、符号20で示した矩形領域が1つの分割領域である。このように分割領域を設定して、同図(A)に示したような表示画像51を表示する場合、駆動する必要のあるLED3は、同図(B)に示したように、表示画像51に対応する画面中央の領域20-1にある合計22個の分割領域内のLED3だけであり、他の領域20-2,20-3にある合計26個の分割領域内のLED3については駆動する必要はない。従って、この場合には、画面全体に照明光を照射した場合に比べて、26/48=60.9%の電力が削減される。
【0037】このように、分割領域を細分化することにより、画面全体に画像が分散するような複雑な画像表示を行う場合であっても、省電力の効果を高めることが可能となる。なお、分割領域を1画素に対して1つに設定することで、事実上、消費電力削減の効果が最も大きくなる。しかしながら、携帯型パソコン等に使用される液晶パネル1における1画素の大きさは、現状のLED3の大きさに比べてかなり小さいため、通常では、1つのLED3で複数画素に対して照明を行うことになり、分割領域を1画素に対して1つに設定することは難しい。但し、1画素の大きさが大きい場合や、デバイス技術の向上によっては、分割領域を1画素に対して1つに設定することも可能であることは勿論である。
【0038】以上説明したように、本実施の形態に係る液晶表示装置によれば、液晶パネル1に照射する照明光を発する光源となるLED3を、複数の分割領域に対して少なくとも1つずつ配置すると共に、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照射されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するようにしたので、照明する必要のない画面領域に対しては照明光を照射しないようにすることが可能となり、照明に必要とされる消費電力を低減することができる。これにより、特に、電源としてバッテリを使用することの多い携帯型パソコン等の情報機器に対しては、バッテリの使用可能時間を延ばすことが可能となるという優れた効果を得ることができる。
【0039】また、本実施の形態に係る液晶表示装置によれば、通常、黒レベル表示を行う画素部分には照明光が照射されなくなるので、本来照明光が必要とされない画素部分にまで光が漏れてくるようないわゆる漏れ光を低減することが可能となり、黒レベルの輝度を下げることができる。これにより、画像表示におけるコントラストの向上を図ることができ、良好な画像表示を行うことが可能となる。」

(a-2)
「【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】



すると、甲第3号証の記載事項から、甲第3号証には、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。

「液晶表示装置であって
照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1と、この液晶パネル1に対向配置されると共に、液晶パネル1の背面から照明光を照射するためのバックライトパネル2とを備え、
前記液晶パネル1を駆動制御する液晶パネル制御回路33と、前記バックライトパネル2を駆動制御するLED制御回路34とを含む液晶表示装置の各部の構成要素の制御を行うコントローラ35とを備え、
前記バックライトパネル2は、前記液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有していて、複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するようにし、
更に、前記液晶パネル1と前記バックライトパネル2との間に、前記バックライトパネル2からの照明光を均一化するための光拡散板6を設けた、液晶表示装置。」

b.対比
(a)訂正特許発明1と甲3発明との対比
(a-1)
甲3発明の、「液晶パネル1」、「コントローラ35」、「光拡散板6」及び「液晶表示装置」は、それぞれ、訂正特許発明1の「第2の空間光変調器」、「制御装置」、「拡散器」及び「表示装置」に相当する。

(a-2)
甲3発明の「バックライトパネル2」について、「複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するようにし」たものであるから、該「バックライトパネル2からの照明光」は、精細度が極めて低いとはいえ、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。
すると、甲3発明の「バックライトパネル2」は、訂正特許発明1の「第1の空間光変調器」、「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器」に相当する。

(a-3)
甲3発明の「液晶パネル1」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲3発明の「照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1」は、訂正特許発明1の「制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器」に相当する。

(a-4)
上記(a-2)、(a-3)より、甲3発明の「照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1と、この液晶パネル1に対向配置されると共に、液晶パネル1の背面から照明光を照射するためのバックライトパネル2とを備え、」「バックライトパネル2は、液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有していて、複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するように」することは、訂正特許発明1の「第1の空間光変調器の画素毎に、複数の対応する画素を有する第2の空間光変調器と」「を備え」ることに相当する。

(a-5)
上記(a-2)より、甲3発明の「バックライトパネル2からの照明光」は、精細度が極めて低いとはいえ、複数の画素を有する画像を表示するものといえるので、所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、上記(a-3)より、甲3発明の「液晶パネル1」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものであるから、制御することにより前記近似の画像を補正するものといえる。
さらに、甲3発明において、制御装置を備えるものであることは、自明のことである。
すると、甲3発明の「前記液晶パネル1を駆動制御する液晶パネル制御回路33と、前記バックライトパネル2を駆動制御するLED制御回路34とを含む液晶表示装置の各部の構成要素の制御を行うコントローラ35とを備え、前記バックライトパネル2は、前記液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有していて、複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するように」することは、訂正特許発明1の「第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置」「を備え」ることに相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明1と甲3発明は、
「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、
制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器であって、第1の空間光変調器の画素毎に、複数の対応する画素を有する第2の空間光変調器と、
第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置と、
拡散器と、を備える、
表示装置。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-3-1)
訂正特許発明1は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲3発明は、そのような投影する光学系を有しない点。

(1-3-2)
訂正特許発明1では、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲3発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-3-1)について検討する。
甲第3号証の全記載を参照すると、甲第3号証では、液晶パネル1の裏面に接するようにバックライトパネル2を配置した、最も一般的な液晶表示装置であると解するのが相当であるから、甲3発明においても、「液晶パネル1」、「バックライトパネル2」間に、投影する光学系を配置する動機付けは存在しないといえる。

なお、請求人は、甲第35?37号証に示すように「投影」とは「投射」のように光線等を「投げかけること」までは要求されず、物の影を「映し出す」ことを行えば「投影」といえるとするが、訂正明細書の記述を参照すれば、訂正特許発明1の「投影」は、「第1の空間光変調器」の画像を、「拡散器」と「第2の空間光変調器」上に画像として伝達すること(典型的には、「第1の空間光変調器」の画像を「拡散器」と「第2の空間光変調器」上に結像すること)を意味すると認められるから、「投影」を請求人の主張するような広い概念を示すものとは認められない。

よって、訂正特許発明1は、甲3発明に対して少なくとも上記相違点(1-3-1)で相違し、上記相違点(1-3-1)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明1は、甲第9?12号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲3発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

d.訂正特許発明1と甲3発明との対比について
請求人は、甲3発明は、訂正特許発明1の「第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置」「を備え」る点で一致する場合と一致しない場合に分けて進歩性を検討している。
しかし、上記「c.」で検討したように、訂正特許発明1は、甲3発明に対して少なくとも上記相違点(1-3-1)で相違し、上記相違点(1-3-1)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、上記の点で一致する/しないは、上記判断を左右するものではない。

e.結論
以上のとおり、訂正特許発明1は、甲3発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明1は、甲第3号証等によっては、無効とすることはできない。

(4)甲第4号証等による進歩性の欠如について
a.甲第4号証には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(a-1)「【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は光源からの光をR、G、Bの3成分に分光する分光手段と、各成分の光路上に配置された各色用液晶パネルと、各色用液晶パネルの透過率を変調する透過率変調手段と、透過率を変調された各成分の光を合成する合成手段と、合成された光を投射する投射レンズとを備えるカラー液晶プロジェクターを前提として、上記の目的を達成するため、次のような手段を講じている。すなわち、この発明の第1のカラー液晶プロジェクターは、合成後の光路上に配置され、上記各色用液晶パネルよりも高精細の高精細液晶パネルと、各色用液晶パネルに形成される画像を高精細液晶パネルに画素対応させる光学手段と、高精細液晶パネルの透過率を変調する手段とを備えることを特徴とする。
【0007】また、この発明の第2のカラー液晶プロジェクターは、光源の光を分光手段側及び合成手段をバイパスさせ、合成手段の出射光と合成させるバイパス分光手段と、このバイパス分光手段により形成されるバイパス光路上に配置された高精細液晶パネルとを設け、上記透過率変調手段が、信号源のR、G、B信号をそれぞれ逆γ補正する各逆γ補正回路と、逆γ補正された各信号と同一時間上における最小値を演算する最小値信号作成回路と、逆γ補正された各信号から逆γ補正された各信号と同一時間上における最小値を減算する各引算回路と、各引算回路の出力に比例した透過率になる電圧を対応する各色用液晶パネルに印加する各ビデオ処理回路とを備え、さらに、最小値信号作成回路の出力に比例した透過率になる電圧を高精細液晶パネルに印加する別のビデオ処理回路が設けられることを特徴とする。
【0008】
【作用】この発明の第1のカラー液晶プロジェクターにおいては、白黒画像表示時には、透過率変調手段で各色用液晶パネルの透過率を各色用液晶パネルから出射された光の合成光が白色光となるように制御する一方、高精細液晶パネルに白黒画像の信号に比例する透過率となる電圧を印加することにより、高精細液晶パネルに白黒画像を形成させることができる。また、カラー画像表示時には、各色用液晶パネルの透過率と高精細液晶パネルの透過率とを調整することにより、高精細液晶パネルから出射される光の透過率を各成分の信号に比例させてカラー画像を表示させることができる。
【0009】また、この発明の第2のカラー液晶プロジェクターにおいては、白黒画像表示時には、透過率変調手段で各色用液晶パネルに光を遮断させる一方、高精細液晶パネルに白黒画像の信号に比例する透過率となる電圧を印加することにより、高精細液晶パネルに白黒画像を形成させることができる。また、カラー画像表示時には、各色用液晶パネルを透過した光がパイパス光路を通過した光とが合成され、投射レンズに入射される光の透過率を各成分の信号に比例させてガラー画像を表示させることができる。
【0010】
【実施例】この発明の一実施例に係るカラー液晶パネルを図面に基づいて具体的に説明すれば、以下の通りである。
【0011】図1はこの発明の一実施例に係るカラー液晶パネルの光学系の構成図であり、このカラー液晶パネルは、光源1の白色光をリフレクター2で反射してダイクロイックミラー4に入射させ、G成分の光と他の成分の光とに分光し、G成分の光を反射ミラー5及びコンデンサーレンズ6を介してG色用液晶パネル7に入射させるようにしている。
【0012】また、他の成分の光を別のダイクロイックミラー8でR成分の光とB成分の光とに分光し、R成分の光をコンデンサレンズ9を介してR色用液晶パネル10に入射させ、R色用液晶パネル10から出射した光とG色用液晶パネル7から出射した光とを又別のダイクロイックミラー11で合成するようにしている。
【0013】更に、B成分の光をコンデンサレンズ12を介してB色用液晶パネル13に入射させ、その出射光は反射ミラー14を介して更に別のダイクロイックミラー15に入射させ、このダイクロイックミラー15に上記ダイクロイックミラー11から入射する合成光と合成して結像用レンズ16に入射するようにしている。
【0014】結像用レンズ16を透過した合成光は、コンデンサーレンズ18を介して、上記のG、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13よりも高精細の高精細液晶パネル19に入射し、この高精細液晶パネル19を透過した光が投射レンズ20により拡大投射されるようにしている。
【0015】上記各色用液晶パネル7、10、13及び高精細液晶レンズ19の透過率を変調する透過率変調手段は、図2の回路ブロック図に示すように、信号源から入力R信号31、入力G信号32及び入力B信号33を入力するととにも、クロック源から動作タイミングを制御するシンクロ信号(SYNC)34を入力するようにしている。
【0016】入力R信号31、入力G信号32及び入力B信号33はそれぞれ逆γ補正回路35、36、37に入力され、それぞれ図3に示すようなR_(1)信号、G_(1)信号、B_(1)信号に逆γ補正される。また、これらR_(1)信号、G_(1)信号及びB_(1)信号は最大値信号作成回路38に入力され、これらに基づいて同一時間(1H)上における最大値信号M_(ax)が作り出される。
【0017】上記各γ補正信号R_(1)、G_(1)、B_(1)と最大値M_(ax)とはそれぞれ除算回路39、40、41に入力され、各除算回路39、40、41においてγ補正信号を最大値M_(ax)で除算した商が求められ、これらの商(R_(1)/M_(ax)、G_(1)/M_(ax)、B_(1)/M_(ax))に比例する透過率になる電圧を各ビデオ処理回路42、43、44によって各色用液晶パネル10、7、13に印加するようにしている。また、上記最大値M_(ax)に比例する透過率になる電圧を別のビデオ処理回路45によって高精細液晶パネル19に印加するようにしている。
【0018】なお、各ビデオ処理回路42、43、44、45は、液晶V-T特性補正、極性反転、ビデオアンプ等の信号処理を行った後、各色用液晶パネル10、7、13あるいは高精細液晶パネル19内のドライバーICに出力するように構成れている。
【0019】また、各色用液晶パネル10、7、13及び高精細液晶パネル19の動作タイミングはシンクロ信号34を入力するタイミングコントローラ46によって制御される。すなわち、タイミングコントローラ46ではシンクロ信号34からサンプリングクロックなどのタイミング信号を作り出し、各色用液晶パネル10、7、13及び高精細液晶パネル19内のドライバーICに出力している。このサンプリングクロックによって制御されるサンプリングポイントと各色用液晶パネル10、7、13及び高精細液晶パネル19の画素との関係は例えば図4に示すように設定される。
【0020】白黒表示時には、信号源の信号はR=G=Bであるので、最大値信号作成回路38が出力する最大値信号M_(ax)はこれらを逆γ補正したR_(1)=G_(1)=B_(1)と等しくなり、各色用液晶パネル10、7、13にはR_(1)/M_(ax)=1、G_(1)/M_(ax)=1、B_(1)/M_(ax)=1に比例した透過率になる電圧が印加される。この時の各色用液晶パネル10、7、13の透過率を100%とすると、これら各色用液晶パネル10、7、13に入射した光は透過率変換されることなく素通りする。
【0021】各色用液晶パネル10、7、13を素通りした光が合成されると白色光となるので、高精細液晶パネル19には白色光が入射することになり、この高精細液晶パネル19に最大値信号M_(ax)(=R_(1) =G_(1) =B_(1) )に比例した透過率になる電圧を印加することにより、透過率が変調され、白黒画像が形成される。
【0022】この白黒画像は、各色用液晶パネル10、7、13を素通りした光を合成した光を光源にしていると考えられるので、画像の色度が合成された光の色度となり、階調による色度は生じない。したがって、カラー表示に適合する範囲内で各色用液晶パネル10、7、13の階調の調整精度をラフにすることができる。
【0023】また、高精細の高精細液晶パネル19の透過率を変調させるので、1枚の高精細液晶パネル19を用いるだけで最大値信号Maxの高周波成分が透過率変調でき、高周波領域で色ズレや色付きが生じることを防止できる。
【0024】カラー表示時には、各色用液晶パネル10、7、13にそれぞれR_(1)/M_(ax)、G_(1)/M_(ax)、B_(1)/M_(ax)に比例した透過率になる電圧が印加され、これにより透過率変調された各成分の光が合成されて高精細液晶パネル19に入射される。各色用液晶パネル10、7、13と高精細液晶パネル19とを光路上で重ねた場合、最後に高精細液晶パネル19から出射される光の透過率は重ねられた各色用液晶パネル10、7、13の透過率と高精細液晶パネル13の透過率との積になる。従って、最後に高精細液晶パネル19から出射される光の透過率を成分ごとに見れば(R_(1)/M_(ax))×M_(ax)=R_(1)、(G_(1)/M_(ax))×M_(ax)=G_(1)、(B_(1)/M_(ax))×M_(ax)=B_(1)となり、カラー画像が表示される。
【0025】加えて、このカラー液晶プロジェクターにおいては、1枚の高精細液晶パネル19とこれの透過率を制御する手段とを付加するだけで高精細画像を得ることができ、3枚の各色用液晶パネル10、7、13を高精細化する場合に比べて安価に画像の高精細化を図ることができる。」

(a-2)
「【図1】



【図2】


【図3】


【図4】



すると、甲第4号証の記載事項から、甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されている。

「G、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13より形成される画像を前記高精細液晶パネル19に画素対応させる光学手段と、前記高精細液晶パネル19の透過率を変調する手段とを備えるカラー液晶プロジェクターであって、
光源1の白色光をリフレクター2で反射してダイクロイックミラー4に入射させ、G成分の光と他の成分の光とに分光し、G成分の光を反射ミラー5及びコンデンサーレンズ6を介してG色用液晶パネル7に入射させ、
他の成分の光を別のダイクロイックミラー8でR成分の光とB成分の光とに分光し、R成分の光をコンデンサレンズ9を介してR色用液晶パネル10に入射させ、R色用液晶パネル10から出射した光とG色用液晶パネル7から出射した光とを又別のダイクロイックミラー11で合成するようにし、
B成分の光をコンデンサレンズ12を介してB色用液晶パネル13に入射させ、その出射光は反射ミラー14を介して更に別のダイクロイックミラー15に入射させ、このダイクロイックミラー15に上記ダイクロイックミラー11から入射する合成光と合成して結像用レンズ16に入射するようにし、
結像用レンズ16を透過した合成光は、コンデンサーレンズ18を介して、上記のG、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13よりも高精細の高精細液晶パネル19に入射し、この高精細液晶パネル19を透過した光が投射レンズ20により拡大投射されるようにし、
入力R信号31、入力G信号32及び入力B信号33はそれぞれ逆γ補正回路35、36、37に入力され、それぞれR_(1)信号、G_(1)信号、B_(1)信号に逆γ補正され、また、これらR_(1)信号、G_(1)信号及びB_(1)信号は最大値信号作成回路38に入力され、これらに基づいて同一時間(1H)上における最大値信号M_(ax)が作り出され、上記各γ補正信号R_(1)、G_(1)、B_(1)と最大値M_(ax)とはそれぞれ除算回路39、40、41に入力され、各除算回路39、40、41においてγ補正信号を最大値M_(ax)で除算した商が求められ、これらの商(R_(1)/M_(ax)、G_(1)/M_(ax)、B_(1)/M_(ax))に比例する透過率になる電圧を各ビデオ処理回路42、43、44によって各色用液晶パネル10、7、13に印加するようにし、また、上記最大値M_(ax)に比例する透過率になる電圧を別のビデオ処理回路45によって高精細液晶パネル19に印加する、
カラー液晶プロジェクター。」

b.対比
(a)訂正特許発明1と甲4発明との対比
(a-1)
甲4発明の「G、R、Bの各色用高精細液晶パネル7、10、13」、「高精細液晶パネル19」及び「カラー液晶プロジェクター」は、それぞれ、訂正特許発明1の「第1の空間光変調器」、「第2の空間光変調器」及び「表示装置」に相当する。

(a-2)
甲4発明は、「G、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13より形成される画像を前記高精細液晶パネル19に画素対応させる光学手段」を備えるものであるから、甲4発明の「G、R、Bの各色用高精細液晶パネル7、10、13」は、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。
すると、甲4発明の「G、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13」は、訂正特許発明1の「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器」に相当する。

(a-3)
甲4発明の「高精細液晶パネル19」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲4発明の「高精細液晶パネル19」は、訂正特許発明1の「制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器」に相当する。

(a-4)
上記(a-2)、(a-3)より、甲4発明の「G、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13より形成される画像を前記高精細液晶パネル19に画素対応させる光学手段と、前記高精細液晶パネル19の透過率を変調する手段とを備える」ことは、訂正特許発明1の「第1の空間光変調器の画素毎に、複数の対応する画素を有する第2の空間光変調器と」「を備え」ることに相当する。

(a-5)
甲4発明の「各色用液晶パネル10、7、13」は、「商(R_(1)/M_(ax)、G_(1)/M_(ax)、B_(1)/M_(ax))に比例する透過率になる電圧を」「印加」されるものであるから、所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、甲4発明の「高精細液晶パネル19」は、「最大値M_(ax)に比例する透過率になる電圧を」「印加」されるものであるから、前記近似の画像を補正するといえる。
さらに、甲4発明において、制御装置を備えるものであることは、自明のことである。
すると、甲4発明の「入力R信号31、入力G信号32及び入力B信号33はそれぞれ逆γ補正回路35、36、37に入力され、それぞれR_(1)信号、G_(1)信号、B_(1)信号に逆γ補正され、また、これらR_(1)信号、G_(1)信号及びB_(1)信号は最大値信号作成回路38に入力され、これらに基づいて同一時間(1H)上における最大値信号M_(ax)が作り出され、上記各γ補正信号R_(1)、G_(1)、B_(1)と最大値M_(ax)とはそれぞれ除算回路39、40、41に入力され、各除算回路39、40、41においてγ補正信号を最大値M_(ax)で除算した商が求められ、これらの商(R_(1)/M_(ax)、G_(1)/M_(ax)、B_(1)/M_(ax))に比例する透過率になる電圧を各ビデオ処理回路42、43、44によって各色用液晶パネル10、7、13に印加するようにし、また、上記最大値M_(ax)に比例する透過率になる電圧を別のビデオ処理回路45によって高精細液晶パネル19に印加する」することは、訂正特許発明1の「第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置」「を備え」ることに相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明1と甲4発明は、
「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、
制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器であって、第1の空間光変調器の画素毎に、複数の対応する画素を有する第2の空間光変調器と、
第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置と、を備える、
表示装置。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-4-1)
訂正特許発明1は、「拡散器」「を備え」るのに対して、甲4発明は、拡散器は備えていない点。

(1-4-2)
訂正特許発明1は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲4発明は、そのような投影する光学系は備えていない点。

(1-4-3)
訂正特許発明1では、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲4発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-4-2)について検討する。
甲第4号証の全記載を参照すると、甲第4号証では、高精細パネルを付加することにより画像を高精細化することを目的としているところ、甲4発明において、「G、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13」と「高精細液晶パネル19」間に、高精細化を阻害する可能性のある拡散器を配置すれば、「G、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13」から出射した光は混じって高精細化を阻害することになる。
すると、「G、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13」と「高精細液晶パネル19」間に、高精細化を阻害する可能性のある拡散器を配する動機付けは存在しないといえる。
したがって、甲4発明に基いて、上記相違点(1-4-3)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども、容易であるとはいえない。

なお、請求人は、甲第31?33号証に示すような数値範囲の透過率を具備する「拡散器」であれば、画像が暗くなる影響が小さく、そして、プロジェクタ装置で、液晶パネルの直前に「拡散器」が配置される例は、以下の甲第34号証の図1に示されているので、甲4発明のような液晶パネルを用いたプロジェクタ装置であっても、上記のような数値範囲の透過率を具備する「拡散器」であれば、実質的な輝度低下の支障は軽微なので、「拡散器」の適用が阻害要因になることはなく、反対に、均一な光分布及び輝度ムラ低減等を重視する場合は甲第34号証に示すように、「拡散器」は積極的に採用されるべき対象になり得るものであるから、「拡散器」の適用は、当業者が考慮すべき通常の設計的事項となると主張する。

しかし、透過率の高い拡散器が周知であり、また、プロジェクタ装置で、液晶パネルの直前に「拡散器」が配置される例が公知であるとしても、甲4発明の「高精細液晶パネル19」の直前に「拡散器」を入れると、「高精細液晶パネル19」からの画像光が拡散して画像光の一部が「投射レンズ20」に入射しない(ケラレる)ことになり、投影画像が暗くなることになり、また、一般には、プロジェクタ装置では、投影画像を明るくすることが求められることが当業者の技術常識であることを考慮すると、そのような構成は、当業者には想定し得ないから、甲4発明の「高精細液晶パネル19」の直前に「拡散器」を入れることは阻害要因がある(甲第34号証の「プロジェクタ装置20」は、光学系の具体的な構成が明らかでないので、「拡散板23」の作用効果は正確に評価できない。)。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。

よって、訂正特許発明1は、甲4発明に対して少なくとも上記相違点(1-4-2)で相違し、上記相違点(1-4-2)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明1は、甲第5?8号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲4発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

e.結論
以上のとおり、訂正特許発明1は、甲4発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明1は、甲4号証等によっては、無効とすることはできない。

(5)まとめ
以上のとおり、訂正特許発明1は、甲第1?4号証等によっては、無効とすることができない。

2-2 訂正特許発明2?19について
上記「2-1 訂正特許発明1について」で検討したとおり、訂正特許発明1は、甲第1?4号証等によっては無効とすることはできないから、訂正特許発明の発明特定事項を全て含む訂正特許発明2?19も、甲第1?4号証等によっては無効とすることはできない。

2-3 訂正特許発明20について
(1)甲第1号証による進歩性の欠如について
ア 甲第1号証の実施例1による進歩性の欠如について
a.上記「2-1 訂正特許発明1について」「(1)ア」の記載事項と、甲第1号証において、液晶プロジェクタを制御するための方法が記載されていることは、自明であるから、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1-1-1発明」という。)が記載されている。

「ランプ用リフレクタ1、発光管(ランプ)2、はえの目インテグレータ3、PS変換光学素子4、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15、第1の光変調器である液晶パネル16,17,18、偏光板19,20,21、クロスプリズム22、投射レンズ23を有する液晶プロジェクタを制御するための方法であって、
照明光を分割するとともに光量を調節(調光)するための第2の光変調器120として、液晶パネルを使用し、前記第2の光変調器120は、第1はえの目レンズ3aと第2はえの目レンズ3bの間に、第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15により、前記第1の光変調器に結像するようになっていて、
前記第1の光変調器に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記第2の光変調器120を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御するマイコン63を備え、照明光を4個に分割し、各照明光束で前記第1の光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにし、
各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する、液晶プロジェクタを制御するための方法。」

b.請求人の主張する甲1-1-1発明について
請求人は、甲第22?24号証の拡散部材もしくは拡散機能を具備する偏光板を参照して甲第1号証から甲1-1発明を認定している。
しかし、拡散部材もしくは拡散機能を具備する偏光板は周知技術であるとしても、甲第1号証の偏光板19、20、21が、拡散部材もしくは拡散機能を具備することは記載されておらず、また、記載されていることが自明であるとも認められないので、甲1-1発明が「拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るという発明特定事項を含むとの請求人の認定は採用できない。

c.対比
(a)訂正特許発明20と甲1-1-1発明との対比
(a-1)
甲1-1-1発明の「第2の光変調器120」、「液晶パネル16,17,18」及び「液晶プロジェクタ」は、それぞれ、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器」、「第2の空間光変調器」及び「制御可能な表示装置」に相当する。

(a-2)
甲1-1-1発明の「第2の光変調器120」は、「液晶パネルを使用し、」「照明光を分割するとともに光量を調節(調光)するための」ものであって、「照明光を4個に分割し、各照明光束で光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するように」するものであるから、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。
すると、甲1-1-1発明の「第2の光変調器120」は、訂正特許発明20の「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器」に相当する。

(a-3)
甲1-1-1発明の「液晶パネル16,17,18」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲1-1-1発明の「液晶パネル16,17,18」は、訂正特許発明20の「制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器」に相当する。

(a-4)
一般に、はえの目レンズが拡散機能を有することが技術常識であるから、甲1-1-1発明の「第2はえの目レンズ3b」は、訂正特許発明20の「拡散器」に相当するといえる。

(a-5)
上記(a-2)、(a-3)より、甲1-1-1発明の「照明光を分割するとともに光量を調節(調光)するための第2の光変調器120として、液晶パネルを使用し、第2の光変調器120は、第1はえの目レンズ3aと第2はえの目レンズ3bの間に、第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15により、光変調器である液晶パネル16,17,18に結像するようになってい」ることは、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有する」ことに相当する。

(a-6)
上記(a-2)より、甲1-1-1発明の「第2の光変調器120」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえるので、所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、上記(a-3)より、甲1-1-1発明の「液晶パネル16,17,18」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものであるから、制御することにより前記近似の画像を補正するものといえる。
すると、甲1-1-1発明の「前記第1の光変調器に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記第2の光変調器120を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御するマイコン63を備え、照明光を4個に分割し、各照明光束で前記第1の光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにし、各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」ことは、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器の画素を制御して、所望の画像の近似の提供すること、第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正すること」に相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明1と甲1-1-1発明は、
「方法であって、
制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器と、拡散器と、第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有する、制御可能な表示装置を制御するための方法であって、
第1の空間光変調器の画素を制御して、所望の画像の近似を提供すること、
第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正することを備える、
方法。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-1-1-1-1)
訂正特許発明1は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲1-1-1発明は、「第2の光変調器120は、第1はえの目レンズ3aと第2はえの目レンズ3bの間に、第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15により、光変調器である液晶パネル16,17,18に結像するようになってい」る点、
すなわち、訂正特許発明20では、「第1の空間光変調器によって投影された光」が、「光学系」、「拡散器」、「第2の空間光変調器」の順に通過するのに対して、甲1-1発明では、「分割照明光」が、「第2はえの目レンズ3b」、「リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15」、「液晶パネル16,17,18」の順に通過する点。

(1-1-1-1-2)
訂正特許発明20では、「前記所望の画素の近似は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布を含む」のに対して、甲1-1-1発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

d.判断
上記相違点(1-1-1-1-1)について、上記「2-1 訂正特許発明1について」「(1)」「ア」「d.」で検討したのと同様の理由により、訂正特許発明20は、甲1-1-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-1-1-1-1)で相違し、上記相違点(1-1-1-1-1)に係る訂正特許発明20の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明20は、甲第5?7、22?24号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲1-1-1発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

イ 甲第1号証の実施例3による進歩性の欠如について
a.上記「2-1 訂正特許発明1について」「(1)」「ア」「a.」の記載事項と、甲第1号証において、直視型液晶表示装置を制御するための方法が記載されていることは、自明であるから、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1-2-1発明」という。)が記載されている。

「バックライト221、透過型の高分子分散型液晶セル222、拡散板202、液晶セル204を、この順に配置した直視型液晶表示装置を制御するための方法であって、
前記液晶セル204に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記高分子分散型液晶セル222を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御するマイコン63を備え、
前記高分子分散型液晶セル222を分割しておき、液晶セル204への照明光量を領域ごと変更し、
各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する、直視型液晶表示装置を制御するための方法。」

b.対比
(a)訂正特許発明20と甲1-2-1発明との対比
(a-1)
甲1-2-1発明の「透過型の高分子分散型液晶セル222」、「液晶セル204」、「拡散板202」及び「直視型液晶表示装置」は、それぞれ、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器」、「第2の空間光変調器」、「拡散器」及び「制御可能な表示装置」に相当する。

(a-2)
甲1-2-1発明の「高分子分散型液晶セル222」の「領域ごと」の「照明光量」は、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」のであるから、「高分子分散型液晶セル222」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。
すると、甲1-2-1発明の「高分子分散型液晶セル222」は、訂正特許発明20の「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器」に相当する。

(a-3)
甲1-2-1発明の「液晶セル204」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲1-2発明の「液晶セル204」は、訂正特許発明20の「制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器」に相当する。

(a-4)
上記(a-2)、(a-3)より、甲1-2-1発明の「前記液晶セル204に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記高分子分散型液晶セル222を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御するマイコン63を備え、前記高分子分散型液晶セル222を分割しておき、液晶セル204への照明光量を領域ごと変更し、各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」ことは、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有する」ことに相当する。

(a-5)
上記(a-2)より、甲1-2-1発明の「高分子分散型液晶セル222」は、精細度が極めて低いものの、複数の画像を有しているといえるので、制御することにより所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、上記(a-3)より、甲1-2-1発明の「液晶セル204」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものであるから、制御することにより前記近似の画像を補正するものといえる。
すると、甲1-2-1発明の「前記液晶セル204に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記高分子分散型液晶セル222を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御するマイコン63を備え、前記高分子分散型液晶セル222を分割しておき、液晶セル204への照明光量を領域ごと変更し、各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」ことは、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器の画素を制御して、所望の画像の近似を提供すること、第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正することを備え」ることに相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明20と甲1-2-1発明は、
「方法であって、
制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器と、拡散器と、第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有する、制御可能な表示装置を制御するための方法であって、
第1の空間光変調器の画素を制御して、所望の画像の近似を提供すること、
第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正することを備える、
方法。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-1-2-1-1)
訂正特許発明20は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲1-2-1発明は、そのような投影する光学系を有しない点。

(1-1-2-1-2)
訂正特許発明20では、「前記所望の画像の近似は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布を含む」のに対して、甲1-2-1発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-1-2-1-1)について、上記「2-1 訂正特許発明1について」「(1)」「イ」「c.」で検討したのと同様の理由により、訂正特許発明20は、甲1-2-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-1-2-1-1)で相違し、上記相違点(1-1-2-1-1)に係る訂正特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明20は、甲第5?8号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲1-2-1発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

ウ 以上のとおり、訂正特許発明20は、甲1-1-1発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明20は、甲第1号証等によっては、無効とすることはできない。
また、訂正特許発明20は、甲第1-2-1発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明20は、甲第1号証等によっては、無効とすることはできない。

(2)甲第2号証による進歩性の欠如について
a.上記「2-1 訂正特許発明1について」「(2)」「a.」の記載事項と、甲第2号証において、液晶表示装置を制御するための方法が記載されていることは、自明であることにより、甲第2号証には、以下の発明(以下「甲2-1発明」という。)が記載されている。

「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24、液晶セル23を、この順に配置し、さらに、アクリル導光板24の下部に反射板を配置した液晶表示装置を制御するための方法であって、
液晶セル23を含むカラー表示液晶パネル部と、発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、
1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える、液晶表示装置を制御するための方法。」

b.対比
(a)訂正特許発明20と甲2-1発明との対比
(a-1)
甲2-1発明の「液晶セル23」及び「液晶表示装置」は、それぞれ、訂正特許発明20の「第2の空間光変調器」及び「制御可能な表示装置」に相当する。

(a-2)
甲2-1発明の「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部」は、「1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞」るものであることから、甲2-1発明の「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえる
すると、甲2-1発明の「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部」は、訂正特許発明20の「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器」に相当する。

(a-3)
甲2-1発明の「液晶セル23」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲2-1発明の「液晶セル23」は、訂正特許発明20の「制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器」に相当する。

(a-4)
上記(a-3)、(a-4)より、甲2-1発明の「液晶セル23を含むカラー表示液晶パネル部と、発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える」ことは、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有する」ことに相当する。

(a-5)
上記(a-2)より、甲2-1発明の「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえるので、所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、上記(a-3)より、甲2-1発明の「液晶セル23」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものであるから、前記近似の画像を補正するものといえる。
すると、甲2-1発明の「液晶セル23を含むカラー表示液晶パネル部と、発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える」ことは、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器の画素を制御して、所望の画像の近似を提供すること、第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正すること」に相当する。

(a-6)
甲第2-1号証の段落【0011】の「21はアクリルで形成された導光板であり、明拓システム(株)から入手した。22は導光板裏面に形成された多数の突起であり、この分布は、矢印で示したように光の散乱により上方向に均一な光が出るようにされる。」という記載から、甲2-1発明の「アクリル導光板24」は、光の拡散機能を有するから、訂正特許発明20の「拡散器」に相当するといえる。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明20と甲2-1発明は、
「方法であって、
制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器と、拡散器と、第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有する、制御可能な表示装置を制御するための方法であって、
第1の空間光変調器の画素を制御して、所望の画像の近似を提供すること、
第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正することを備える、
方法。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-2-1-1)
訂正特許発明20は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲2-1発明は、そのような投影する光学系を有しない点。

(1-2-1-2)
訂正特許発明20では、「所望の画像の近似は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布を含む」のに対して、甲2-1発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-2-1-1)について、上記「2-1 訂正特許発明1について」「(2)」「c.」で検討したのと同様の理由により、訂正特許発明20は、甲2-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-2-1-1)で相違し、上記相違点(1-2-1-1)に係る訂正特許発明20の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明20は、甲第9?12号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲2-1発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

d.結論
以上のとおり、訂正特許発明20は、甲2-1発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明20は、甲第2号証等によっては、無効とすることはできない。

(3)甲第3号証による進歩性の欠如について
a.上記「2-1 訂正特許発明1について」「(3)」「a.」の記載事項と、甲第3号証において、液晶表示装置を制御するための方法が記載されていることは、自明であるから、甲第3号証には、以下の発明(以下「甲3-1発明」という。)が記載されている。

「液晶表示装置を制御するための方法であって
照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1と、この液晶パネル1に対向配置されると共に、液晶パネル1の背面から照明光を照射するためのバックライトパネル2とを備え、
前記液晶パネル1を駆動制御する液晶パネル制御回路33と、前記バックライトパネル2を駆動制御するLED制御回路34とを含む液晶表示装置の各部の構成要素の制御を行うコントローラ35とを備え、
バックライトパネル2は、液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有していて、複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するようにし、
更に、液晶パネル1とバックライトパネル2との間に、バックライトパネル2からの照明光を均一化するための光拡散板6を設けた、液晶表示装置を制御するための方法。」

b.対比
(a)訂正特許発明20と甲3-1発明との対比
(a-1)
甲3-1発明の、「液晶パネル1」、「光拡散板6」及び「液晶表示装置」は、それぞれ、訂正特許発明20の「第2の空間光変調器」、「拡散器」及び「制御可能な表示装置」に相当する。

(a-2)
甲3-1発明の「バックライトパネル2」について、「複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するようにし」たものであるから、該「バックライトパネル2からの照明光」は、精細度が極めて低いとはいえ、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。
すると、甲3-1発明の「バックライトパネル2」は、訂正特許発明20の「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器」に相当する。

(a-3)
甲3-1発明の「液晶パネル1」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲3-1発明の「照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1」は、訂正特許発明20の「制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器」に相当する。

(a-4)
上記(a-2)、(a-3)より、甲3-1発明の「照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1と、この液晶パネル1に対向配置されると共に、液晶パネル1の背面から照明光を照射するためのバックライトパネル2とを備え、」「バックライトパネル2は、液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有していて、複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するように」することは、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有する」ことに相当する。

(a-5)
上記(a-2)より、甲3-1発明の「バックライトパネル2からの照明光」は、精細度が極めて低いとはいえ、複数の画素を有する画像を表示するものといえるので、所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、上記(a-3)より、甲3-1発明の「液晶パネル1」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものであるから、前記近似の画像を補正するものといえる。
すると、甲3-1発明の「前記液晶パネル1を駆動制御する液晶パネル制御回路33と、前記バックライトパネル2を駆動制御するLED制御回路34とを含む液晶表示装置の各部の構成要素の制御を行うコントローラ35とを備え、バックライトパネル2は、液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有していて、複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するように」することは、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器の画素を制御して、所望の画像の近似を提供すること、第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正するすることを備え」ることに相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明20と甲3-1発明は、
「方法であって、
制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器と、拡散器と、第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有する、制御可能な表示装置を制御するための方法であって、
第1の空間光変調器の画素を制御して、所望の画像の近似を提供すること、
第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正することを備える、
方法。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-3-1-1)
訂正特許発明20は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲3-1発明は、そのような投影する光学系を有しない点。

(1-3-1-2)
訂正特許発明20では、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲3-1発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-3-1-1)について、上記「2-1 訂正特許発明1について」「(3)」「c.」で検討したのと同様の理由により、訂正特許発明20は、甲3-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-3-1-1)で相違し、上記相違点(1-3-1-1)に係る訂正特許発明20の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明20は、甲第9?12号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲3-1発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

d.結論
以上のとおり、訂正特許発明20は、甲3-1発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明20は、甲第3号証等によっては、無効とすることはできない。

(4)甲第4号証等による進歩性の欠如について
a.上記「2-1 訂正特許発明1について」「(4)」「a.」の記載事項と、甲第4号証において、カラー液晶プロジェクターを制御するための方法が記載されていることは、自明であるから、甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4-1発明」という。)が記載されている。

「G、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13より形成される画像を前記高精細液晶パネル19に画素対応させる光学手段と、前記高精細液晶パネル19の透過率を変調する手段とを備えるカラー液晶プロジェクターを制御するための方法であって、
光源1の白色光をリフレクター2で反射してダイクロイックミラー4に入射させ、G成分の光と他の成分の光とに分光し、G成分の光を反射ミラー5及びコンデンサーレンズ6を介してG色用液晶パネル7に入射させ、
他の成分の光を別のダイクロイックミラー8でR成分の光とB成分の光とに分光し、R成分の光をコンデンサレンズ9を介してR色用液晶パネル10に入射させ、R色用液晶パネル10から出射した光とG色用液晶パネル7から出射した光とを又別のダイクロイックミラー11で合成するようにし、
B成分の光をコンデンサレンズ12を介してB色用液晶パネル13に入射させ、その出射光は反射ミラー14を介して更に別のダイクロイックミラー15に入射させ、このダイクロイックミラー15に上記ダイクロイックミラー11から入射する合成光と合成して結像用レンズ16に入射するようにし、
結像用レンズ16を透過した合成光は、コンデンサーレンズ18を介して、上記のG、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13よりも高精細の高精細液晶パネル19に入射し、この高精細液晶パネル19を透過した光が投射レンズ20により拡大投射されるようにし、
入力R信号31、入力G信号32及び入力B信号33はそれぞれ逆γ補正回路35、36、37に入力され、それぞれR_(1)信号、G_(1)信号、B_(1)信号に逆γ補正され、また、これらR_(1)信号、G_(1)信号及びB_(1)信号は最大値信号作成回路38に入力され、これらに基づいて同一時間(1H)上における最大値信号M_(ax)が作り出され、上記各γ補正信号R_(1)、G_(1)、B_(1)と最大値M_(ax)とはそれぞれ除算回路39、40、41に入力され、各除算回路39、40、41においてγ補正信号を最大値M_(ax)で除算した商が求められ、これらの商(R_(1)/M_(ax)、G_(1)/M_(ax)、B_(1)/M_(ax))に比例する透過率になる電圧を各ビデオ処理回路42、43、44によって各色用液晶パネル10、7、13に印加するようにし、また、上記最大値M_(ax)に比例する透過率になる電圧を別のビデオ処理回路45によって高精細液晶パネル19に印加する、
カラー液晶プロジェクターを制御するための方法。」

b.対比
(a)訂正特許発明20と甲4-1発明との対比
(a-1)
甲4-1発明の「G、R、Bの各色用高精細液晶パネル7、10、13」、「高精細液晶パネル19」及び「カラー液晶プロジェクター」は、それぞれ、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器」、「第2の空間光変調器」及び「制御可能な表示装置」に相当する。

(a-2)
甲4-1発明は、「G、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13より形成される画像を前記高精細液晶パネル19に画素対応させる光学手段」を備えるものであるから、甲4-1発明の「G、R、Bの各色用高精細液晶パネル7、10、13」は、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。 すると、甲4-1発明の「G、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13」は、訂正特許発明20の「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器」に相当する。

(a-3)
甲4-1発明の「高精細液晶パネル19」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲4-1発明の「高精細液晶パネル19」は、訂正特許発明20の「制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器」に相当する。

(a-4)
上記(a-2)、(a-3)より、甲4-1発明の「G、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13より形成される画像を前記高精細液晶パネル19に画素対応させる光学手段と、前記高精細液晶パネル19の透過率を変調する手段とを備える」ことは、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有する」ことに相当する。

(a-5)
甲4-1発明の「各色用液晶パネル10、7、13」は、「商(R_(1)/M_(ax)、G_(1)/M_(ax)、B_(1)/M_(ax))に比例する透過率になる電圧を」「印加」されるものであるから、所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、甲4-1発明の「高精細液晶パネル19」は、「最大値M_(ax)に比例する透過率になる電圧を」「印加」されるものであるから、前記近似の画像を補正するといえる。
すると、甲4-1発明の「入力R信号31、入力G信号32及び入力B信号33はそれぞれ逆γ補正回路35、36、37に入力され、それぞれR_(1)信号、G_(1)信号、B_(1)信号に逆γ補正され、また、これらR_(1)信号、G_(1)信号及びB_(1)信号は最大値信号作成回路38に入力され、これらに基づいて同一時間(1H)上における最大値信号M_(ax)が作り出され、上記各γ補正信号R_(1)、G_(1)、B_(1)と最大値M_(ax)とはそれぞれ除算回路39、40、41に入力され、各除算回路39、40、41においてγ補正信号を最大値M_(ax)で除算した商が求められ、これらの商(R_(1)/M_(ax)、G_(1)/M_(ax)、B_(1)/M_(ax))に比例する透過率になる電圧を各ビデオ処理回路42、43、44によって各色用液晶パネル10、7、13に印加するようにし、また、上記最大値M_(ax)に比例する透過率になる電圧を別のビデオ処理回路45によって高精細液晶パネル19に印加する」することは、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器の画素を制御して、所望の画像の近似を提供すること、第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正することを備え」ることに相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明20と甲4-1発明は、
「方法であって、
制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器と、第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有する、制御可能な表示装置を制御するための方法であって、
第1の空間光変調器の画素を制御して、所望の画像の近似を提供すること、
第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正することを備える、
表示装置。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-4-1-1)
訂正特許発明20は、「拡散器」「を備え」るのに対して、甲4-1発明は、拡散器は備えていない点。

(1-4-1-2)
訂正特許発明20は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲4-1発明は、そのような投影する光学系は備えていない点。

(1-4-1-3)
訂正特許発明20では、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲4-1発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-4-1-2)について、上記「2-1 訂正特許発明1について」「(4)」「c.」で検討したのと同様の理由により、訂正特許発明20は、甲4-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-4-1-2)で相違し、上記相違点(1-4-1-2)に係る訂正特許発明20の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明20は、甲第5?8号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲3-1発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

d.結論
以上のとおり、訂正特許発明20は、甲4-1発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明20は、甲第4号証等によっては、無効とすることはできない。

(5)まとめ
以上のとおり、訂正特許発明20は、甲第1?4号証等によっては、無効とすることができない。

2-4 訂正特許発明21?26について
上記「2-3 訂正特許発明20について」で検討したとおり、訂正特許発明20は、甲第1?4号証等によっては無効とすることはできないから、訂正特許発明の発明特定事項を全て含む訂正特許発明21?26も、甲第1?4号証等によっては無効とすることはできない。

2-5 訂正特許発明27について
(1)甲第1号証による進歩性の欠如について
ア 甲第1号証の実施例1による進歩性の欠如について
a.上記「2-1 訂正特許発明1について」「(1)」「ア」「a.」の記載事項から、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1-1-2発明」という。)が記載されている。

「液晶プロジェクタのマイコン63であって、
液晶プロジェクタは、ランプ用リフレクタ1、発光管(ランプ)2、はえの目インテグレータ3、PS変換光学素子4、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15、第1の光変調器である液晶パネル16,17,18、偏光板19,20,21、クロスプリズム22、投射レンズ23を有し、
照明光を分割するとともに光量を調節(調光)するための第2の光変調器120として、液晶パネルを使用し、前記第2の光変調器120は、第1はえの目レンズ3aと第2はえの目レンズ3bの間に、第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15により、前記第1の光変調器に結像するようになっていて、
前記第1の光変調器に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記第2の光変調器120を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御する前記マイコン63を備え、
照明光を4個に分割し、各照明光束で前記第1の光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにし、
各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する、マイコン63。」

b.請求人の主張する甲1-1-2発明について
請求人は、甲第22?24号証の拡散部材もしくは拡散機能を具備する偏光板を参照して甲第1号証から甲1-1-2発明を認定している。
しかし、拡散部材もしくは拡散機能を具備する偏光板は周知技術であるとしても、甲第1号証の偏光板19、20、21が、拡散部材もしくは拡散機能を具備することは記載されておらず、また、記載されていることが自明であるとも認められないので、甲1-1-2発明が「拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るという発明特定事項を含むとの請求人の認定は採用できない。

c.対比
(a)訂正特許発明27と甲1-1-2発明との対比
(a-1)
甲1-1-2発明の「液晶プロジェクタ」、「マイコン63」、「第2の光変調器120」及び「液晶パネル16,17,18」は、それぞれ、訂正特許発明27の「表示器」、「制御装置」、「第1の空間光変調器」及び「第2の空間光変調器」に相当する。

(a-2)
甲1-1-2発明の「第2の光変調器120」は、「液晶パネルを使用し、」「照明光を分割するとともに光量を調節(調光)するための」ものであって、「照明光を4個に分割し、各照明光束で光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するように」するものであるから、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものであって、複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、画素の第1のアレイにより発光するものといえる。
すると、甲1-1-2発明の「前記第2の光変調器120を駆動」し、「照明光を4個に分割し、各照明光束で前記第1の光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するように」することは、訂正特許発明27の「第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、画素の第1のアレイによる発光により照射」することに相当する。

(a-3)
甲1-1-2発明の「液晶パネル16,17,18」が独立に制御可能な画素の光透過を制御することは自明のことであるから、甲1-1-2発明の「前記第1の光変調器に印加する信号と電源を供給する」ことは、訂正特許発明27の「第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御すること」に相当する。

(a-4)
一般に、はえの目レンズが拡散機能を有することが技術常識であるから、甲1-1-2発明の「第2はえの目レンズ3b」は、訂正特許発明27の「拡散器」に相当するといえる。

(a-5)
上記(a-2)、(a-3)より、甲1-1-2発明の「前記第1の光変調器に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記第2の光変調器120を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御する前記マイコン63を備え、照明光を4個に分割し、各照明光束で前記第1の光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにす」ることは、訂正特許発明27の「第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有」することに相当する。

(a-6)
上記(a-2)より、甲1-1-2発明の「第2の光変調器120」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえるので、制御信号を生成して画素を制御することにより所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、上記(a-3)より、甲1-1-2発明の「液晶パネル16,17,18」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものであるから、制御信号を生成して画素を制御することにより前記近似の画像を補正するものといえる。
すると、甲1-1-2発明の「前記第1の光変調器に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記第2の光変調器120を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御する前記マイコン63を備え 照明光を4個に分割し、各照明光束で前記第1の光変調器受光面上の同数に分割された領域を各々照明するとともに、各照明光束を互いに独立に調光(変調)するようにし、各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」ことは、訂正特許発明27の「第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成され」ることに相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明27と甲1-1-2発明は、
「表示器制御装置であって、
第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、
画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有し、表示器は拡散器を有し、
第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、
第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成される、
制御装置。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-1-1-2-1)
訂正特許発明27は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲1-1-2発明は、「第2の光変調器120は、第1はえの目レンズ3aと第2はえの目レンズ3bの間に、第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が、リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15により、光変調器である液晶パネル16,17,18に結像するようになってい」る点、
すなわち、訂正特許発明27では、「第1の空間光変調器によって投影された光」が、「光学系」、「拡散器」、「第2の空間光変調器」の順に通過するのに対して、甲1-1-2発明では、「分割照明光」が、「第2はえの目レンズ3b」、「リレーレンズ6,24、ミラー7,9,11,12、ダイクロミラー8,10、フィールドレンズ13,14,15」、「液晶パネル16,17,18」の順に通過する点。

(1-1-1-2-2)
訂正特許発明27では、「前記所望の画素の近似は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布を含む」のに対して、甲1-1-2発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

d.判断
上記相違点(1-1-1-2-1)について、上記「2-1 訂正特許発明1について」「(1)」「ア」「d.」で検討したのと同様の理由により、訂正特許発明27は、甲1-1-2発明に対して少なくとも上記相違点(1-1-1-2-1)で相違し、上記相違点(1-1-1-2-1)に係る訂正特許発明27の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明27は、甲第5?7、22?24号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲1-1-2発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

イ 甲第1号証の実施例3による進歩性の欠如について
a.上記「2-1 訂正特許発明1について」「(1)」「ア」「a.」の記載事項から、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1-2-2発明」という。)が記載されている。

「直視型液晶表示装置のマイコン63であって、
バックライト221、透過型の高分子分散型液晶セル222、拡散板202、液晶セル204を、この順に配置した直視型液晶表示装置であって、
前記液晶セル204に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記高分子分散型液晶セル222を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御する前記マイコン63を備え、
前記高分子分散型液晶セル222を分割しておき、液晶セル204への照明光量を領域ごと変更し、
各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する、マイコン63。」

b.対比
(a)訂正特許発明27と甲1-2-2発明との対比
(a-1)
甲1-2-2発明の「直視型液晶表示装置」、「マイコン63」、「透過型の高分子分散型液晶セル222」、「液晶セル204」及び「拡散板202」、は、それぞれ、訂正特許発明27の「表示装置」、「制御装置」、「第1の空間光変調器」、「第2の空間光変調器」及び「拡散器」に相当する。

(a-2)
甲1-2-2発明の「高分子分散型液晶セル222」の「領域ごと」の「照明光量」は、「各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」のであるから、「高分子分散型液晶セル222」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するといえる。
すると、甲1-2-2発明の「前記高分子分散型液晶セル222を駆動」し、「前記高分子分散型液晶セル222を分割しておき、液晶セル204への照明光量を領域ごと変更」することは、訂正特許発明27の「第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、画素の第1のアレイによる発光により照射」することに相当する。

(a-3)
甲1-2-2発明の「液晶セル204」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲1-2-2発明の「前記液晶セル204に印加する信号と電源を供給する」ことは、訂正特許発明27の「第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御する」ことに相当する。

(a-4)
上記(a-2)、(a-3)より、甲1-2-2発明の「前記液晶セル204に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記高分子分散型液晶セル222を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御する前記マイコン63を備え、前記高分子分散型液晶セル222を分割しておき、液晶セル204への照明光量を領域ごと変更し、高分子分散型液晶セル222を分割しておき、液晶セル204への照明光量を領域ごと変更」することは、訂正特許発明27の「第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有」することに相当する。

(a-5)
上記(a-2)より、甲1-2-2発明の「高分子分散型液晶セル222」は、精細度が極めて低いものの、複数の画像を有する画像を表示するものといるといえるので、所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、上記(a-3)より、甲1-2-2発明の「液晶セル204」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものであるから、前記近似の画像を補正するものといえる。
すると、甲1-2-2発明の「前記液晶セル204に印加する信号と電源を供給するドライバ回路54と、前記高分子分散型液晶セル222を駆動する光変調器用ドライバ141とを、バスを介して制御する前記マイコン63を備え、前記高分子分散型液晶セル222を分割しておき、液晶セル204への照明光量を領域ごと変更し、各領域中の画素の輝度レベルを複数の階層に分類して、分類した中の最大輝度層にある中での期待値を最大輝度とする方式で、分割領域ごとの照明レベルを設定する」ことは、訂正特許発明27の「第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成され」ることに相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明27と甲1-2-2発明は、
「表示器制御装置であって、
第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、
画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有し、表示器は拡散器を有し、
第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、
第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成される、
制御装置。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-1-2-2-1)
訂正特許発明1は、「前記第1の空間光変調器によって出力された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系を有」するのに対して、甲1-2-2発明は、そのような投影する光学系を有しない点。

(1-1-2-2-2)
訂正特許発明27では、「前記第1の制御信号は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、前記第2の空間光変調器上に光の分布を有する前記所望の画像の前記近似を生じさせる」のに対して、甲1-2-2発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-1-2-2-1)について、上記「2-1訂正特許発明1について」「(1)」「イ」「c.」で検討したのと同様の理由により、訂正特許発明27は、甲1-2-2発明に対して少なくとも上記相違点(1-1-2-2-1)で相違し、上記相違点(1-1-2-2-1)に係る訂正特許発明27の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明27は、甲第5?8号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲1-2-2発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

ウ 以上のとおり、訂正特許発明27は、甲1-1-2発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明27は、甲第1号証等によっては、無効とすることはできない。
また、訂正特許発明27は、甲第1-2-2発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明27は、甲第1号証等によっては、無効とすることはできない。

(2)甲第2号証による進歩性の欠如について
a.上記「2-1 訂正特許発明1について」「(2)」の記載事項と、甲第2号証において、液晶表示装置の制御装置が記載されていることは、自明であることにより、甲第2号証には、以下の発明(以下「甲2-2発明」という。)が記載されている。

「液晶表示装置の制御装置であって、
発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24、液晶セル23を、この順に配置し、さらに、アクリル導光板24の下部に反射板を配置した液晶表示装置であり、
液晶セル23を含むカラー表示液晶パネル部と、発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、
1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える、制御装置。」

b.対比
(a)訂正特許発明27と甲2-2発明との対比
(a-1)
甲2-2発明の「液晶セル23」及び「液晶表示装置」は、それぞれ、訂正特許発明27の「第2の空間光変調器」及び「表示装置」に相当する。

(a-2)
甲2-2発明の「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部」は、「1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞」るものであることから、甲2-2発明の「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。
すると、甲2-2発明の「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞」ることは、訂正特許発明27の「第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、画素の第1のアレイによる発光により照射」することに相当する。

(a-3)
甲2-2発明の「液晶セル23」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲2-2発明の「液晶セル23を含むカラー表示液晶パネル部」「を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、」「液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える」ことは、訂正特許発明27の「第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御する」ことに相当する。

(a-4)
上記(a-3)、(a-4)より、甲2-2発明の「液晶セル23を含むカラー表示液晶パネル部と、発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える」ことは、訂正特許発明27の「第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有」することに相当する。

(a-5)
甲第2号証の段落【0011】の「21はアクリルで形成された導光板であり、明拓システム(株)から入手した。22は導光板裏面に形成された多数の突起であり、この分布は、矢印で示したように光の散乱により上方向に均一な光が出るようにされる。」という記載から、甲2-2発明の「アクリル導光板24」は、光の拡散機能を有するから、訂正特許発明27の「拡散器」に相当するといえる。

(a-6)
上記(a-2)より、甲2-2発明の「発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえるので、制御することにより所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、上記(a-3)より、甲2-2発明の「液晶セル23」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものであるから、制御することにより前記近似の画像を補正するものといえる。
すると、甲2-2発明の「液晶セル23を含むカラー表示液晶パネル部と、発光ダイオード群26、突起25が形成されたアクリル導光板24及び反射板を含むバックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割し、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える」ことは、訂正特許発明27の「第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成され」ることに相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明27と甲2-2発明は、
「表示器制御装置であって、
第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、
画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有し、表示器は拡散器と、を有し、
第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、
第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成される、
制御装置。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-2-2-1)
訂正特許発明27は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲2-2発明は、そのような投影する光学系を有しない点。

(1-2-2-2)
訂正特許発明27では、「前記第1の制御信号は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、前記第2の空間光変調器上に光の分布を有する前記所望の画像の前記近似を生じさせる」のに対して、甲2-2発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-2-2-1)について、上記「2-1訂正特許発明1について」「(2)」「c.」で検討したのと同様の理由により、訂正特許発明27は、甲2-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-2-2-1)で相違し、上記相違点(1-2-2-1)に係る訂正特許発明27の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明27は、甲第9?12号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲2-2発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

d.結論
以上のとおり、訂正特許発明27は、甲2-2発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明27は、甲第2号証等によっては、無効とすることはできない。

(3)甲第3号証による進歩性の欠如について
a.上記「2-1 訂正特許発明1について」「(3)」「a.」の記載事項と、甲第3号証において、液晶表示装置の制御装置が記載されていることは、自明であることにより、甲第3号証には、以下の発明(以下「甲3-2発明」という。)が記載されている。

「液晶表示装置の制御装置であって
照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1と、この液晶パネル1に対向配置されると共に、液晶パネル1の背面から照明光を照射するためのバックライトパネル2とを備えており、
バックライトパネル2は、液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有していて、複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するようにし、
更に、液晶パネル1とバックライトパネル2との間に、バックライトパネル2からの照明光を均一化するための光拡散板6を設けた、制御装置。」

b.対比
(a)訂正特許発明27と甲3-2発明との対比
(a-1)
甲3-2発明の、「液晶表示装置」、「液晶パネル1」及び「光拡散板6」は、それぞれ、訂正特許発明20の「表示装置」、「第2の空間光変調器」及び「拡散器」及びに相当する。

(a-2)
甲3-2発明の「バックライトパネル2」について、「複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するように」するものであるから、甲3-2発明の「バックライトパネル2」は、精細度が極めて低いとはいえ、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。
すると、甲3-2発明の「バックライトパネル2は、液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有していて、複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するように」することは、訂正特許発明27の「第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、画素の第1のアレイによる発光により照射」することに相当する。

(a-3)
甲3-2発明の「液晶パネル1」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲3-2発明の「液晶パネル1」は「照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する」ことは、訂正特許発明27の「第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御する」ことに相当する。

(a-4)
上記(a-2)、(a-3)より、甲3-2発明の「照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1と、この液晶パネル1に対向配置されると共に、液晶パネル1の背面から照明光を照射するためのバックライトパネル2とを備えており、バックライトパネル2は、液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有していて、複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するように」することは、訂正特許発明27の「第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有」することに相当する。

(a-5)
上記(a-2)より、甲3-2発明の「バックライトパネル2からの照明光」は、精細度が極めて低いとはいえ、複数の画素を有する画像を表示するものといえるので、「バックライトパネル2」は、制御することにより所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、上記(a-3)より、甲3-2発明の「液晶パネル1」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものであるから、制御することにより前記近似の画像を補正するものといえる。
すると、甲3-2発明の「照明光を映像信号に応じて光学的に変調させることにより表示面5に映像信号に応じた映像を形成する液晶パネル1と、この液晶パネル1に対向配置されると共に、液晶パネル1の背面から照明光を照射するためのバックライトパネル2とを備えており、バックライトパネル2は、液晶パネル1と対向する側に、照明光を発する光源となる複数のLED3が配置された基板4を有していて、複数のLED3を48個の分割領域に分割して、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画面領域にのみ照明光が照明されるよう、LED3を分割領域単位で駆動制御するように」することは、訂正特許発明27の「第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成され」ることに相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明27と甲3-2発明は、
「表示器制御装置であって、
第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、
画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有し、表示器は拡散器と、を有し、
第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、
第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成される、
制御装置。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-3-2-1)
訂正特許発明27は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲3-2発明は、そのような投影する光学系を有しない点。

(1-3-2-2)
訂正特許発明27では、「前記第1の制御信号は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、前記第2の空間光変調器上に光の分布を有する前記所望の画像の前記近似を生じさせる」のに対して、甲3-2発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-3-2-1)について、上記「2-1 訂正特許発明1について」「(3)」「c.」で検討したのと同様の理由により、訂正特許発明27は、甲3-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-3-2-1)で相違し、上記相違点(1-3-2-1)に係る訂正特許発明27の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明27は、甲第9?12号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲3-2発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

d.結論
以上のとおり、訂正特許発明27は、甲3-2発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明27は、甲第3号証等によっては、無効とすることはできない。

(4)甲第4号証等による進歩性の欠如について
a.上記「2-1 訂正特許発明1について」「(4)」「a.」の記載事項と、甲第4号証において、カラー液晶プロジェクターの制御装置が記載されていることは、自明であることにより、甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4-2発明」という。)が記載されている。

「カラー液晶プロジェクターの制御装置であって、
G、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13より形成される画像を前記高精細液晶パネル19に画素対応させる光学手段と、前記高精細液晶パネル19の透過率を変調する手段とを備えるカラー液晶プロジェクターであり、
光源1の白色光をリフレクター2で反射してダイクロイックミラー4に入射させ、G成分の光と他の成分の光とに分光し、G成分の光を反射ミラー5及びコンデンサーレンズ6を介してG色用液晶パネル7に入射させ、
他の成分の光を別のダイクロイックミラー8でR成分の光とB成分の光とに分光し、R成分の光をコンデンサレンズ9を介してR色用液晶パネル10に入射させ、R色用液晶パネル10から出射した光とG色用液晶パネル7から出射した光とを又別のダイクロイックミラー11で合成するようにし、
B成分の光をコンデンサレンズ12を介してB色用液晶パネル13に入射させ、その出射光は反射ミラー14を介して更に別のダイクロイックミラー15に入射させ、このダイクロイックミラー15に上記ダイクロイックミラー11から入射する合成光と合成して結像用レンズ16に入射するようにし、
結像用レンズ16を透過した合成光は、コンデンサーレンズ18を介して、上記のG、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13よりも高精細の高精細液晶パネル19に入射し、この高精細液晶パネル19を透過した光が投射レンズ20により拡大投射されるようにし、
入力R信号31、入力G信号32及び入力B信号33はそれぞれ逆γ補正回路35、36、37に入力され、それぞれR_(1)信号、G_(1)信号、B_(1)信号に逆γ補正され、また、これらR_(1)信号、G_(1)信号及びB_(1)信号は最大値信号作成回路38に入力され、これらに基づいて同一時間(1H)上における最大値信号M_(ax)が作り出され、上記各γ補正信号R_(1)、G_(1)、B_(1)と最大値M_(ax)とはそれぞれ除算回路39、40、41に入力され、各除算回路39、40、41においてγ補正信号を最大値Maxで除算した商が求められ、これらの商(R_(1)/M_(ax)、G_(1)/M_(ax)、B_(1)/M_(ax))に比例する透過率になる電圧を各ビデオ処理回路42、43、44によって各色用液晶パネル10、7、13に印加するようにし、また、上記最大値Maxに比例する透過率になる電圧を別のビデオ処理回路45によって高精細液晶パネル19に印加する、
制御装置。」

b.対比
(a)訂正特許発明27と甲4-2発明との対比
(a-1)
甲4-2発明の「カラー液晶プロジェクター」、「G、R、Bの各色用高精細液晶パネル7、10、13」及び「高精細液晶パネル19」は、それぞれ、訂正特許発明27の「表示装置」、「第1の空間光変調器」及び「第2の空間光変調器」に相当する。

(a-2)
甲4-2発明は、「G、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13より形成される画像を前記高精細液晶パネル19に画素対応させる光学手段」を備えるものであるから、甲4-2発明の「G、R、Bの各色用高精細液晶パネル7、10、13」は、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。
すると、甲4-2発明の「これらの商(R_(1)/M_(ax)、G_(1)/M_(ax)、B_(1)/M_(ax))に比例する透過率になる電圧を各ビデオ処理回路42、43、44によって各色用液晶パネル10、7、13に印加するように」することは、訂正特許発明27の「第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、画素の第1のアレイによる発光により照射」することに相当する。

(a-3)
甲4-2発明の「高精細液晶パネル19」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲4-2発明の「上記最大値M_(ax)に比例する透過率になる電圧を別のビデオ処理回路45によって高精細液晶パネル19に印加する」ことは、訂正特許発明27の「第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御する」ことに相当する。

(a-4)
上記(a-2)、(a-3)より、甲4-2発明の「結像用レンズ16を透過した合成光は、コンデンサーレンズ18を介して、上記のG、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13よりも高精細の高精細液晶パネル19に入射し、この高精細液晶パネル19を透過した光が投射レンズ20により拡大投射されるようにし、」「これらの商(R_(1)/M_(ax)、G_(1)/M_(ax)、B_(1)/M_(ax))に比例する透過率になる電圧を各ビデオ処理回路42、43、44によって各色用液晶パネル10、7、13に印加するようにし、また、上記最大値M_(ax)に比例する透過率になる電圧を別のビデオ処理回路45によって高精細液晶パネル19に印加すること」は、訂正特許発明27の「第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有」することに相当する。

(a-5)
甲4-2発明の「各色用液晶パネル10、7、13」は、「商(R_(1)/M_(ax)、G_(1)/M_(ax)、B_(1)/M_(ax))に比例する透過率になる電圧を」「印加」されるものであるから、所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、甲4-2発明の「高精細液晶パネル19」は、「最大値M_(ax)に比例する透過率になる電圧を」「印加」されるものであるから、前記近似の画像を補正するといえる。
すると、甲4-2発明の「入力R信号31、入力G信号32及び入力B信号33はそれぞれ逆γ補正回路35、36、37に入力され、それぞれR_(1)信号、G_(1)信号、B_(1)信号に逆γ補正され、また、これらR_(1)信号、G_(1)信号及びB1信号は最大値信号作成回路38に入力され、これらに基づいて同一時間(1H)上における最大値信号M_(ax)が作り出され、上記各γ補正信号R_(1)、G_(1)、B_(1)と最大値M_(ax)とはそれぞれ除算回路39、40、41に入力され、各除算回路39、40、41においてγ補正信号を最大値M_(ax)で除算した商が求められ、これらの商(R_(1)/M_(ax)、G_(1)/M_(ax)、B_(1)/M_(ax))に比例する透過率になる電圧を各ビデオ処理回路42、43、44によって各色用液晶パネル10、7、13に印加するようにし、また、上記最大値M_(ax)に比例する透過率になる電圧を別のビデオ処理回路45によって高精細液晶パネル19に印加する」ことは、訂正特許発明27の「第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成され」ることに相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明27と甲4-2発明は、
「表示器制御装置であって、
第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、
画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有し、
第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、
第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成される、
制御装置。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-4-2-1)
訂正特許発明27は、「拡散器」「を備え」るのに対して、甲4-1発明は、拡散器は備えていない点。

(1-4-2-2)
訂正特許発明27は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲4-1発明は、そのような投影する光学系は備えていない点。

(1-4-2-3)
訂正特許発明27では、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲4-1発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-4-2-2)について、上記「2-1 訂正特許発明1について」「(4)」「c.」で検討したのと同様の理由により、訂正特許発明27は、甲4-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-4-2-2)で相違し、上記相違点(1-4-2-2)に係る訂正特許発明27の発明特定事項を得ることは、当業者といえども容易であるとはいえないので、訂正特許発明27は、甲第5?8号証との組み合わせを検討するまでもなく、甲3-1発明から当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

d.結論
以上のとおり、訂正特許発明27は、甲4-2発明から当業者が容易に発明し得たものといえないから、訂正特許発明27は、甲第4号証等によっては、無効とすることはできない。

(5)まとめ
以上のとおり、訂正特許発明27は、甲第1?4号証等によっては、無効とすることができない。

2-6 訂正特許発明28?33について
上記「2-5 訂正特許発明27について」で検討したとおり、訂正特許発明27は、甲第1?4号証等によっては無効とすることはできないから、訂正特許発明27の発明特定事項を全て含む訂正特許発明28?33も、甲第1?4号証等によっては無効とすることはできない。

2-7 小括
以上、検討したとおり、訂正特許発明1?33は、特許法第29条第2項の規定に違反した特許出願に対してなされたものではないから、請求人の主張する無効理由1によっては、無効とすることはできない。

3.無効理由2:拡大先願について
3-1 訂正特許発明1について
甲第16号証は、特願2000-287499号の公開公報であり、特願2000-287499号の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「先願明細書等」という。)を掲載したものである。
特願2000-287499号の出願の日は,平成12年9月21日であって、これは、本件に係る国際特許出願である特願2002-568092号の国際出願日である平成14年2月27日よりも前の日である。
甲第16号証の頒布日、すなわち特願2000-287499号の公開日は、平成14年4月5日であって、これは、本件に係る特願2002-568092号の国際出願日よりも後の日である。また、本件特許発明の発明者は、甲第16号証に係る特願2000-287499号の発明者と同一ではないし、本件特許発明についての特許出願の時にその出願人と甲第16号証に係る特願2000-287499号の出願人とが同一でもない。

a.甲第16号証には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(a-1)
「【0024】(実施形態1)図1は、本実施形態の表示装置本体の構成例を示した図である。表示装置本体は、透過型液晶ライトバルブ(LCD11)と背面照明装置(バックライト12)から構成されており、LCD背面からの照明により画像が表示される。
【0025】LCD11、バックライト12は各々複数の領域に分割されており、LCD11においては、領域毎のRGB階調変換データに基づいて画素毎にRGB信号が変調制御される。バックライト12においては、LCD12の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われる。本実施形態においては、図2に示すように、LCD11を6×8領域(図2(a))、バックライト12を3×4領域に分割した(図2(b))。便宜上、LCD11における領域を(i,j)、バックライト12における領域を[i,j]で示す。
【0026】図3は、本実施形態の表示装置における主として信号処理について示したブロック図である。
【0027】RGB入力画像信号は、一旦フレームメモリ13に蓄積された後、LCD領域毎に読み出される。読み出されたデータに基づいて画像輝度演算回路14でLCD領域毎の輝度値が算出され、算出されたLCD領域毎の輝度データが画像輝度データ保持部15に送られる。画像輝度データ保持部15からのLCD領域毎の輝度データに基づき、バックライト領域毎のバックライト輝度レベルがB/L(バックライト)輝度演算回路16によって算出され、算出されたバックライト領域毎の輝度データがバックライト輝度データ保持部17に送られる。バックライト輝度制御回路18は、バックライト輝度演算回路16の演算結果に基づき、バックライト輝度を領域毎に制御する。
【0028】一方、フレームメモリ13に蓄積されたRGB入力画像信号は1画素毎に順次読み出され、階調変換回路19により該画素領域を照明するバックライト12の輝度データに基づき階調変調を受ける。さらに、該画素領域周辺におけるバックライト輝度情報に基づき、階調補正用LUT(ルックアップテーブル)20のデータを用いて、階調補正回路21により適正な階調補正を受け、最終的にLCDドライバ22に入力されるRGB信号(R”G”B”)に変換される。以下、このシーケンスについて詳述する。
【0029】図4は、本実施形態におけるバックライトの輝度レベルと、輝度及び階調信号との対応関係を示した図である。
【0030】本実施形態では、バックライトの輝度レベル制御を3段階とした。また、本実施形態のLCDの仕様は、コントラストが200、ドライバへの入力信号レベルがRGB各8bitであり、γ値(入力信号レベル対透過率)はCRTと同様の2.2である。LCDに白表示信号(R=G=B=255)を入力した際に得られる白輝度として、レベル2における白表示輝度250cd/m^(2)を基準(ゲイン1)とし、レベル1のバックライト輝度を0.2倍、レベル3では3.0倍に設定した。
【0031】このとき、各バックライト輝度レベルにおける入力RGB信号対輝度は、
B=G{K+[W-K]×(SRGB/255)γ} (1)
で表される。ここで、B:バックライト輝度(cd/m^(2))、G:ゲイン、W:ゲイン1における白表示輝度、K:ゲイン1における黒表示輝度(=W/コントラスト)、SRGB:入力信号(0?255)、γ:ガンマ値、である。図5(a)及び図5(b)は、各バックライト輝度レベルにおける、入力RGB信号レベルと画面輝度との関係を示した図である。
【0032】図6(a)及び図6(b)は、バックライトレベル1?3の全範囲を用いて8bit表示を行った場合の、階調信号R’G’B’と画面輝度との関係を示した図である。
【0033】階調信号R’G’B’のレベルSR’G’B’と画面輝度Bとの関係は、
B=Kmin +[Wmax -Kmin ]×(SR’G’B’/255)γ (2)
で表される。ここで、Wmax は最大白表示輝度、Kmin は最小黒表示輝度であり、本実施形態ではそれぞれ、レベル3における白表示輝度(750cd/m^(2))、レベル1における黒表示輝度(0.25cd/m^(2))である。各レベルの白、黒表示輝度から階調信号R’G’B’における各レベルの表示可能信号範囲を求めることができ、レベル1では0?74、レベル2では12?154、レベル3では22?255となる。
【0034】バックライト輝度を制御する本発明において、入力信号RGBは階調信号R’G’B’に他ならないから、(1)、(2)式を用いてLCDドライバに入力すべき階調信号R”G”B”を求めることができる。入力階調信号R’G’B’とLCD出力用階調信号R”G”B”との関係を図7に示す。γ値が1でない場合には両者は非線形の関係となるが、実際には図7に示すようにほぼ線形の関係で近似できるため、階調変換処理は小規模な回路で実現可能である。
【0035】次に、階調変換処理後に行う階調補正方法について、これまでに述べてきたバックライト輝度レベルの決定方法とともに具体的に説明する。
【0036】図8は、フレームメモリに蓄積された画像に対応した入力RGB信号レベルについて、図2(a)の画素領域毎に平均輝度階調を算出した結果の一例を示した図である。RGB信号と信号輝度レベルYとの関係は、各RGB信号の視感度を考慮して
Y=0.30R+0.59G+0.11B (3)
のように表すことができる。(3)式の係数は、RGB各色度点と白色点、すなわち表示系の仕様により決定される。また、誤差は増えるが、計算負荷を軽減するために、視感度の高いG値で代替することも可能である。
【0037】本実施形態においては、2×2画素領域がバックライト単位領域に相当(図2参照)しており、図8からバックライト領域毎に平均輝度が図10(a)のように算出できる。同様に、画素領域毎の信号レベルの最大値、最小値から、バックライト領域上のRGB信号の最大値、最小値が算出可能である。
【0038】バックライト各領域の輝度レベルは、これら平均、最大、最小輝度信号レベルから、図9に示すような手順で決定される。
【0039】すなわち、例えば平均輝度信号レベルに基づいて適当なバックライト輝度レベルを選択し、他のパラメータ(ここでは最大、最小値)が、選択されたバックライト輝度レベルにおける表示可能信号レベル範囲に収まるかどうかを判断する。いずれかのパラメータが範囲外の場合は、繰り返し処理によりバックライト輝度レベルが選択される。全てのパラメータがいずれのバックライト輝度レベルにおいても表示可能信号レベル範囲に含まれない場合には、最小値もしくは最大値のいずれかが含まれるようなバックライト輝度レベルを選択する。最大値、最小値のうちどちらを優先的に範囲内とするかは任意であり、自動或いは手動で判断基準を切り替えても良い。自動的に切り替える際の一方針としては、平均輝度信号レベルが表示可能信号レベル範囲中央に最も近く位置するようなバックライト輝度レベルを選択する、等があげられる。固定の場合は、視感度的に敏感な最小値側を優先するのが一般的に望ましいが、表示画像の絵柄にも依存するので一概には言えない。
【0040】本実施形態では、図10(a)に示したようなバックライト領域毎のRGB表示平均輝度信号レベルから、図10(b)に示したようなバックライト輝度レベルを選択した。
【0041】フレームメモリから順次読み出されたRGB信号レベルは、各照明領域のバックライト輝度レベル情報(図10(b)参照)から、図7に示すような関係に基づいて階調変換が行われる。しかしながら、以下に示すような理由により、階調補正処理を行う必要が生じる。
【0042】図11は、図10(b)において輝度レベル1を選択した領域[2,2]と、[2,2]の画面下側に位置し、輝度レベル3を選択した領域[3,2]の白表示時における輝度の空間分布を模式的に示した図である。
【0043】バックライト輝度を領域毎に変調すると、照明領域間のクロストークにより、ある画素領域を照明するバックライト輝度には、直下のバックライト領域輝度だけではなく、隣接照明領域の輝度が重畳される。すなわち、隣接領域からの照明光の回り込みにより、階調変換に使用したバックライト輝度から実際のバックライト輝度がずれる(照明誤差)という現象が生ずる。
【0044】図11では、簡単のために二つの領域間のスロストークを示したが、実際には図10(b)に示すよう[2,2]領域の周囲の領域すなわち、[1,1]、[1,2]、[1,3]、[2,1]、[2,3]、[3,1]、[3,2]、[3,3]において選択された輝度レベルの組み合わせにより、実際のバックライト輝度分布が決定される。照明領域の分割数、領域面積、バックライトの設計等によってクロストークが決定されるため、条件によっては、隣接領域以外の照明領域における輝度レベル変化の影響を受けることもあり得る。例えば、ある画素領域について輝度レベル1を選択したバックライトの実輝度が、階調変換時の輝度データに対して20%の誤差を含む(20%輝度が高い)場合には、図12に示すように2?5階調程度の階調変換誤差が生じ、画素領域間の擬似輪郭や階調反転などの妨害として視認されることになる。
【0045】照明誤差による階調変換誤差を補償するため、本実施形態では図3に示すように、階調補正用LUT20を使用して階調補正回路21により最終的なLCDドライバ用信号R”G”B”を出力するようにした。階調補正用LUT20には、画素領域毎に、あるバックライト照明領域の輝度レベルとそれに隣接するバックライト照明領域の輝度レベルの組み合わせに対応した階調補正テーブルデータが格納されており、バックライトの輝度レベル情報を参照しながら階調補正量を決定するようになっている。
【0046】以上のように、バックライト輝度レベルに応じた階調補正を施すことにより、妨害の無い表示が可能となる。バックライト輝度制御を行わない従来の表示(白輝度250cd/m^(2)、コントラスト200)に対し、本実施形態においては、白輝度750cd/m^(2)、実効コントラスト3000の、高品位な表示を行うことが可能となる。
【0047】次に、本実施形態においてバックライトを領域毎に輝度制御する具体的構成について説明する。
【0048】図13は、図1における主としてバックライト12の構造を模式的に示した図である。本例では、冷陰極蛍光管101を複数本、LCD11直下に配置した直下型構造となっている。
【0049】バックライト12の各照明領域は、図13に示すように、反射板を兼ねた不透明な隔壁102によって仕切られており、隔壁を突き抜ける形で冷陰極蛍光管101が配置されている。特に図示していないが、これら蛍光管101を定常点灯した場合、隔壁102の影などは生じずに、面内でほぼ均一にLCD11を照明する。また、蛍光間102下には、輝度調節用のLED(図示省略)が各領域内に配置されている。
【0050】図14は、バックライト12の断面構造を示した図である。本例においては、通常の直下型バックライト構造と同様に、反射板の上方に冷陰極蛍光管を配置し、さらにその上方に、輝度を均一化するための第1拡散シート、正面輝度ゲイン向上用のプリズムシート、第2拡散シートを配置するとともに、蛍光管直下に白色のLEDチップ103を配置している。このLED103には、正面光度の高いレンズタイプでは無く、視角の広い、いわゆるオーバルタイプのLEDを使用している。
【0051】このように、従来光取り出し効率の悪かった蛍光管の直下にLEDを配置することで、蛍光管の光利用効率の低下が抑制されるとともに、LEDの影などが輝度の均一性に影響を及ぼすことが防止される。また、LEDからの発光が蛍光管の存在する法線方向に抑制された出射分布をとるので、両者の光利用効率を最大限に活用することができる。」

(a-2)
「【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図13】


【図14】



上記(a-1)においては、「透過型液晶ライトバルブ」と「LCD11」と記載が混在しているので、以下「透過型液晶ライトバルブ11」と記載を統一して用いることにする。
上記(a-1)においては、「背面照明装置」と「バックライト12」と記載が混在しているので、以下「バックライト12」と記載を統一して用いることにする。
上記(a-1)の段落【0025】の「LCD12」は「LCD11」の誤記であることは明らかである。

すると、甲第16号証の記載事項から、先願明細書等には、以下の発明(以下「甲16発明」という。)が記載されている。

「表示装置本体は、透過型液晶ライトバルブ11とバックライト12から構成されており、透過型液晶ライトバルブ11背面からの照明により画像が表示される、表示装置であって、
前記透過型液晶ライトバルブ11、前記バックライト12は各々複数の領域に分割されており、前記透過型液晶ライトバルブ11においては、領域毎のRGB階調変換データに基づいて画素毎にRGB信号が変調制御され、前記バックライト12においては、前記透過型液晶ライトバルブ11の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われ、
階調補正用LUT20には、画素領域毎に、あるバックライト照明領域の輝度レベルとそれに隣接するバックライト照明領域の輝度レベルの組み合わせに対応した階調補正テーブルデータが格納されており、バックライトの輝度レベル情報を参照しながら階調補正量を決定するようになっており、平均輝度信号レベルに基づいて適当なバックライト輝度レベルを選択し、前記階調補正用LUT20を使用して階調補正回路21により最終的なLCDドライバ用信号R”G”B”を出力するようにし、
前記バックライト12の断面構造は、反射板の上方に冷陰極蛍光管を配置し、さらにその上方に、輝度を均一化するための第1拡散シート、正面輝度ゲイン向上用のプリズムシート、第2拡散シートを配置するとともに、蛍光管直下に白色のLEDチップ103を配置している、
表示装置。」

b.対比
(a)訂正特許発明1と甲16発明との対比
(a-1)
甲16発明の「バックライト12」、「透過型液晶ライトバルブ11」及び「表示装置」は、それぞれ、訂正特許発明1の「第1の空間光変調器」、「第2の空間光変調器」及び「表示装置」に相当する。

(a-2)
甲16発明の「バックライト12」は、「複数の領域に分割されており、」「前記透過型液晶ライトバルブ11の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われ」るものであるから、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。
すると、甲16発明の「バックライト12」は、訂正特許発明1の「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器」に相当する。

(a-3)
甲16発明の「透過型液晶ライトバルブ11」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲16発明の「透過型液晶ライトバルブ11」は、訂正特許発明1の「制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器」に相当する。

(a-4)
上記(a-2)、(a-3)より、甲16発明の「前記透過型液晶ライトバルブ11、前記バックライト12は各々複数の領域に分割されており、前記透過型液晶ライトバルブ11においては、領域毎のRGB階調変換データに基づいて画素毎にRGB信号が変調制御され、前記バックライト12においては、前記透過型液晶ライトバルブ11の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われ」ることは、訂正特許発明1の「第1の空間光変調器の画素毎に、複数の対応する画素を有する第2の空間光変調器」「を備え」ることに相当する。

(a-5)
上記(a-2)より、甲16発明の「バックライト12」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえるので、所望の画像の近似を提供するといえる。
また、上記(a-3)より、甲16発明の「透過型液晶ライトバルブ11」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものであるから、前記近似の画像を補正するものといえる。
さらに、甲16発明において、制御装置を備えるものであることは自明のことである。
すると、甲16発明の「前記透過型液晶ライトバルブ11、前記バックライト12は各々複数の領域に分割されており、前記透過型液晶ライトバルブ11においては、領域毎のRGB階調変換データに基づいて画素毎にRGB信号が変調制御され、前記バックライト12においては、前記透過型液晶ライトバルブ11の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われ、階調補正用LUT20には、画素領域毎に、あるバックライト照明領域の輝度レベルとそれに隣接するバックライト照明領域の輝度レベルの組み合わせに対応した階調補正テーブルデータが格納されており、バックライトの輝度レベル情報を参照しながら階調補正量を決定するようになっており、平均輝度信号レベルに基づいて適当なバックライト輝度レベルを選択し、前記階調補正用LUT20を使用して階調補正回路21により最終的なLCDドライバ用信号R”G”B”を出力するように」することは、訂正特許発明1の「第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置」「を備え」ることに相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明1と甲16発明は、
「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、
制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器であって、第1の空間光変調器の画素毎に、複数の対応する画素を有する第2の空間光変調器と、
第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置と、を備える、
表示装置。」の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-1)
訂正特許発明1は、「拡散器」「を備え」るのに対して、甲16発明は、拡散器を備えていない点。

(1-2)
訂正特許発明1は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲16発明は、そのような投影する光学系は備えていない点。

(1-3)
訂正特許発明1では、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲16発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-2)について検討する。
甲第16号証の全記載を参照すると、甲第16号証の表示装置は、透過型液晶ライトバルブ11の裏面に接するようにバックライト12を配置した、最も一般的な液晶表示装置であると解するのが相当であるから、甲16発明において、「透過型液晶ライトバルブ11」と「バックライト12」間に、他の光学系を配置することはあり得ないといえる。
したがって、訂正特許発明1は、少なくとも甲16発明と上記相違点(1-2)で相違するものである。

なお、請求人は、以下のとおり主張する。
周知技術(甲第25、26号証)を参照すると、甲第16号証の図14においても、ギザギザの山脈的な形状の部材が示されていることから、その部材が、周知技術(甲第25、26号証)を参照すれば「プリズムシート」であることが理解できる。そして、上述した段落0050の記載より理解できる各部材の配置順序を考慮すれば、図14において「プリズムシート」に該当する部材の下方に位置する部材が「第1拡散シート」であり、「プリズムシート」に該当する部材の上方に位置する部材が「第2拡散シート」であることが分かり、このような順序配置された構成は、甲第26号証で示される周知技術が示す構成の配置順と同様であることが分かる。
そして「プリズムシート」は、甲第29号証の技術用語集に「プリズムシートとは、前方への集光効果を持たせたレンズシートと呼ばれる光学部品」との説明があることより、光学系の部材であり、二次元に配置された冷陰極蛍光管101及びLEDチップ103(甲第16号証の図13等参照)からの光が、第2拡散シートを通過してLCD11に達するように冷陰極蛍光管101及びLEDチップ103からの光を第2拡散シートとLCD11とに投影している。
また、第2拡散シートは、拡散機能を具備するので、拡散器に該当するのは当然である。
そうすると、甲第16号証の図14の解釈内容は、訂正特許発明1に係る「制御装置と、拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え、」の訂正箇所と一致する。

しかし、訂正明細書の記述を参照すれば、訂正特許発明1の「投影」は、「第1の空間光変調器」の画像を、「拡散器」と「第2の空間光変調器」上に画像として伝達すること(典型的には、「第1の空間光変調器」の画像を「拡散器」と「第2の空間光変調器」上に結像すること)を意味すると認められるから、「投影」を物の影を「映し出す」ことのような広い概念を示すものとは認められない。
したがって、甲第16号証の図14において、二次元に配置された冷陰極蛍光管101及びLEDチップ103(甲第16号証の図13等参照。)からの光が、第2拡散シートを通過してLCD11に達するように冷陰極蛍光管101及びLEDチップ103からの光を第2拡散シートとLCD11とに投影しているとはいえず、訂正特許発明1は、甲16発明と少なくとも上記相違点(1-2)で相違するものである。
よって、請求人の上記主張は認めることはできない。

d.結論
以上のとおり、訂正特許発明1は、甲16発明に対して少なくとも上記相違点(1-2)で相違しているので、訂正特許発明1は、甲第16号証によっては、無効とすることはできない。

3-2 訂正特許発明2?4、6?8、10、11、15、16について
上記「3-1 訂正特許発明1について」で検討したとおり、訂正特許発明1は、甲第16号証によっては無効とすることはできないから、訂正特許発明1の発明特定事項を全て含む訂正特許発明2?4、6?8、10、11、15、16も、甲第16号証によっては無効とすることはできない。

3-3 訂正特許発明20について
a.上記「3-1 訂正特許発明1について」「a.」と、先願明細書等の段落【0026】?【0028】、図3等の記載から、先願明細書等において、表示装置を制御するための方法が記載されていることは、当業者にとって自明のことである。
すると、甲第16号証の記載事項から、甲第16号証には、以下の発明(以下「甲16-1発明」という。)が記載されている。

「表示装置本体は、透過型液晶ライトバルブ11とバックライト12から構成されており、透過型液晶ライトバルブ11背面からの照明により画像が表示される、表示装置を制御するための方法であって、
前記透過型液晶ライトバルブ11、前記バックライト12は各々複数の領域に分割されており、前記透過型液晶ライトバルブ11においては、領域毎のRGB階調変換データに基づいて画素毎にRGB信号が変調制御され、前記バックライト12においては、前記透過型液晶ライトバルブ11の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われ、
階調補正用LUT20には、画素領域毎に、あるバックライト照明領域の輝度レベルとそれに隣接するバックライト照明領域の輝度レベルの組み合わせに対応した階調補正テーブルデータが格納されており、バックライトの輝度レベル情報を参照しながら階調補正量を決定するようになっており、平均輝度信号レベルに基づいて適当なバックライト輝度レベルを選択し、前記階調補正用LUT20を使用して階調補正回路21により最終的なLCDドライバ用信号R”G”B”を出力するようにし、
前記バックライト12の断面構造は、反射板の上方に冷陰極蛍光管を配置し、さらにその上方に、輝度を均一化するための第1拡散シート、正面輝度ゲイン向上用のプリズムシート、第2拡散シートを配置するとともに、蛍光管直下に白色のLEDチップ103を配置している、
表示装置を制御するための方法。」

b.対比
(a)訂正特許発明20と甲16-1発明との対比
(a-1)
甲16-1発明の「バックライト12」、「透過型液晶ライトバルブ11」及び「表示装置」は、それぞれ、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器」、「第2の空間光変調器」及び「制御可能な表示装置」に相当する。

(a-2)
甲16-1発明の「バックライト12」は、「複数の領域に分割されており、」「前記透過型液晶ライトバルブ11の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われ」るものであるから、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。
すると、甲16-1発明の「バックライト12」は、訂正特許発明20の「制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器」に相当する。

(a-3)
甲16-1発明の「透過型液晶ライトバルブ11」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲16-1発明の「透過型液晶ライトバルブ11」は、訂正特許発明20の「制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器」に相当する。

(a-4)
上記(a-2)、(a-3)より、甲16-1発明の「前記透過型液晶ライトバルブ11、前記バックライト12は各々複数の領域に分割されており、前記透過型液晶ライトバルブ11においては、領域毎のRGB階調変換データに基づいて画素毎にRGB信号が変調制御され、前記バックライト12においては、前記透過型液晶ライトバルブ11の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われ」ることは、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有する」ことに相当する。

(a-5)
上記(a-2)より、甲16-1発明の「バックライト12」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえるので、所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、上記(a-3)より、甲16-1発明の「透過型液晶ライトバルブ11」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものといえるので、前記所望の画像の近似を補正するものといえる。
すると、甲16-1発明の「前記透過型液晶ライトバルブ11、前記バックライト12は各々複数の領域に分割されており、前記透過型液晶ライトバルブ11においては、領域毎のRGB階調変換データに基づいて画素毎にRGB信号が変調制御され、前記バックライト12においては、前記透過型液晶ライトバルブ11の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われ、階調補正用LUT20には、画素領域毎に、あるバックライト照明領域の輝度レベルとそれに隣接するバックライト照明領域の輝度レベルの組み合わせに対応した階調補正テーブルデータが格納されており、バックライトの輝度レベル情報を参照しながら階調補正量を決定するようになっており、平均輝度信号レベルに基づいて適当なバックライト輝度レベルを選択し、前記階調補正用LUT20を使用して階調補正回路21により最終的なLCDドライバ用信号R”G”B”を出力するように」することは、訂正特許発明20の「第1の空間光変調器の画素を制御して、所望の画像の近似を提供すること、第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正すること」に相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明20と甲16-1発明は、
「方法であって、
制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器と、を備え、第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有する、制御可能な表示装置を制御するための方法であって、
第1の空間光変調器の画素を制御して、所望の画像の近似を提供すること、
第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正することを備える、
方法。」
の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-1-1)
訂正特許発明20は、「拡散器」「を備え」るのに対して、甲16-1発明は、拡散器を備えていない点。

(1-1-2)
訂正特許発明20は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲16-1発明は、そのような投影する光学系は備えていない点。

(1-1-3)
訂正特許発明20では、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲16-1発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-1-2)について検討すると、上記「3-1 訂正特許発明1について」「c.」で検討したのと同様の理由により、訂正特許発明20は、甲16-1発明と少なくとも上記相違点(1-1-2)で相違するものである。

d.結論
以上のとおり、訂正特許発明20は、甲16-1発明に対して少なくとも上記相違点(1-1-2)で相違しているので、訂正特許発明20は、甲16号証によっては、無効とすることはできない。

3-4 訂正特許発明21?23、25、26について
上記「3-3 訂正特許発明20について」で検討したとおり、訂正特許発明20は、甲第16号証によっては無効とすることはできないから、訂正特許発明の発明特定事項を全て含む訂正特許発明21?23、25、26も、甲第16号証によっては無効とすることはできない。

3-5 訂正特許発明27について
a.上記「3-1 訂正特許発明1について」「a.」と、甲第16号証の【0026】?【0028】、図3等の記載から、甲第16号証において、表示装置の制御装置が記載されていることは、当業者にとって自明のことである。
すると、甲第16号証の記載事項から、甲第16号証には、以下の発明(以下「甲16-2発明」という。)が記載されている。

「表示装置本体は、透過型液晶ライトバルブ11とバックライト12から構成されており、透過型液晶ライトバルブ11背面からの照明により画像が表示される、表示装置の制御装置であって、
前記透過型液晶ライトバルブ11、前記バックライト12は各々複数の領域に分割されており、前記透過型液晶ライトバルブ11においては、領域毎のRGB階調変換データに基づいて画素毎にRGB信号が変調制御され、前記バックライト12においては、前記透過型液晶ライトバルブ11の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われ、
階調補正用LUT20には、画素領域毎に、あるバックライト照明領域の輝度レベルとそれに隣接するバックライト照明領域の輝度レベルの組み合わせに対応した階調補正テーブルデータが格納されており、バックライトの輝度レベル情報を参照しながら階調補正量を決定するようになっており、平均輝度信号レベルに基づいて適当なバックライト輝度レベルを選択し、前記階調補正用LUT20を使用して階調補正回路21により最終的なLCDドライバ用信号R”G”B”を出力するようにし、
前記バックライト12の断面構造は、反射板の上方に冷陰極蛍光管を配置し、さらにその上方に、輝度を均一化するための第1拡散シート、正面輝度ゲイン向上用のプリズムシート、第2拡散シートを配置するとともに、蛍光管直下に白色のLEDチップ103を配置している、
制御装置。」

b.対比
(a)訂正特許発明27と甲16-2発明との対比
(a-1)
甲16-2発明の「バックライト12」、「透過型液晶ライトバルブ11」及び「表示装置」は、それぞれ、訂正特許発明27の「第1の空間光変調器」、「第2の空間光変調器」及び「表示装置」に相当する。

(a-2)
甲16-2発明の「バックライト12」は、「複数の領域に分割されており、」「前記透過型液晶ライトバルブ11の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われ」るものであるから、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえる。
すると、甲16-2発明の「前記バックライト12は」「複数の領域に分割されており、」「前記透過型液晶ライトバルブ11の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われ」ることは、訂正特許発明27の「第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、画素の第1のアレイによる発光により照射」することに相当する。

(a-3)
甲16-2発明の「透過型液晶ライトバルブ11」が制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有することは自明のことであるから、甲16-2発明の「前記透過型液晶ライトバルブ11」は、「複数の領域に分割されており、」「領域毎のRGB階調変換データに基づいて画素毎にRGB信号が変調制御され」ることは、訂正特許発明27の「第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御する」ことに相当する。

(a-4)
上記(a-2)、(a-3)より、甲16-2発明の「前記透過型液晶ライトバルブ11、前記バックライト12は各々複数の領域に分割されており、前記透過型液晶ライトバルブ11においては、領域毎のRGB階調変換データに基づいて画素毎にRGB信号が変調制御され、前記バックライト12においては、前記透過型液晶ライトバルブ11の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われあ」ることは、訂正特許発明27の「第1の空間光変調器の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有し第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有」することに相当する。

(a-5)
上記(a-2)より、甲16-2発明の「バックライト12」は、精細度が極めて低いものの、複数の画素を有する画像を表示するものといえるので、所望の画像の近似を提供するものといえる。
また、上記(a-3)より、甲16-2発明の「透過型液晶ライトバルブ11」は、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有するものといえるので、前記所望の画像の近似を補正するものといえる。
すると、甲16-2発明の「前記透過型液晶ライトバルブ11、前記バックライト12は各々複数の領域に分割されており、前記透過型液晶ライトバルブ11においては、領域毎のRGB階調変換データに基づいて画素毎にRGB信号が変調制御され、前記バックライト12においては、前記透過型液晶ライトバルブ11の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われ、階調補正用LUT20には、画素領域毎に、あるバックライト照明領域の輝度レベルとそれに隣接するバックライト照明領域の輝度レベルの組み合わせに対応した階調補正テーブルデータが格納されており、バックライトの輝度レベル情報を参照しながら階調補正量を決定するようになっており、平均輝度信号レベルに基づいて適当なバックライト輝度レベルを選択し、前記階調補正用LUT20を使用して階調補正回路21により最終的なLCDドライバ用信号R”G”B”を出力するように」することは、訂正特許発明27の「第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成され」ることに相当する。

(b)一致点
してみると、訂正特許発明27と甲16-2発明は、
「表示器制御装置であって、
第1の空間光変調器の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、
画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有し、
第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、
第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成される
制御装置。」
の点で一致し、次の各点で相違する。

(c)相違点
(1-2-1)
訂正特許発明27は、「拡散器」「を備え」るのに対して、甲16-2発明は、拡散器を備えていない点。

(1-2-2)
訂正特許発明27は、「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え」るのに対して、甲16-2発明は、そのような投影する光学系は備えていない点。

(1-2-3)
訂正特許発明27では、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」のに対して、甲16-2発明では、そのような構成であるか否かが不明である点。

c.判断
上記相違点(1-2-2)について検討すると、上記「3-1 訂正特許発明1について」「c.」で検討したのと同様の理由により、訂正特許発明27は、甲16-2発明と少なくとも上記相違点(1-2-2)で相違するものである。

d.結論
以上のとおり、訂正特許発明27は、甲16-2発明に対して少なくとも上記相違点(1-2-2)で相違しているので、訂正特許発明27は、甲16号証によっては、無効とすることはできない。

3-6 訂正特許発明28?30、32、33
上記「3-5 訂正特許発明27について」で検討したとおり、訂正特許発明27は、甲第16号証によっては無効とすることはできないから、訂正特許発明の発明特定事項を全て含む訂正特許発明28?30、32、33も、甲第16号証によっては無効とすることはできない。

3-7 小括
以上、検討したとおり、訂正特許発明1?4、6?8、10、11、15、16、20?23、25?30、32、33は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由2によっては、無効とすることはできない。

4.無効理由3:記載不備について
4-1 訂正特許発明1について
(4-1-1)訂正特許発明1の記載不備(その一)
請求人は、訂正特許発明1の構成要件(本件特許発明1と同じ)は、「0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅」というように「0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲」を規定するが、この範囲の下限である「0.3×d_(2)」という数値要件及び上限である「3×d_(2)」という数値要件について、発明の目的との関係が明確でなく、その技術的意義が当業者に明らかでないことから、明確性要件を満たさない(特許法第36条第6項第2号)と主張するので、「0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅」の技術的意義について検討する。

(a)訂正明細書及び本件特許の願書に添付した図面(以下、合わせて「訂正明細書等」という。)には、以下の記載がある。
「【0047】
低分解能光変調器の画素は、望ましくは、多少拡散した光を放ち、光が低分解能光変調器の画素を横切るのに伴い、光の強度が確実にかつなだらかに変化する。図7に示すように、これは、低分解能光変調器の各画素からの光が隣接した画素に広がる場合である。図7Aに示すように、低分解能光変調器の画素の強度プロフィールは、しばしば、画素の有効幅に等しい幅d_(1)を持つ方形プロフィール(rectangular profile)が畳み込まれたガウス分布関数によって近似することができる。分布関数は、好ましくは、0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を持ち、ここで、d_(2)は画素間の中心から中心までの距離であり、所望の円滑に変化する光強度を得る。典型的に、d_(1)はd_(2)にほぼ等しい。」

「【図7】


【図7A】




訂正明細書の上記記載事項の「図7に示すように、これは、低分解能光変調器の各画素からの光が隣接した画素に広がる場合である。」との記載と、訂正明細書等の記載を参酌すると、図7におけるd_(2)が低分解能光変調器(第1の空間光変調器)の画素群の有効幅ではなくて、低分解能光変調器の1画素に対応する高分解能光変調器(第2の空間光変調器)における画素群の有効幅であることは、当業者にとって明らかである。
すると、訂正明細書の上記記載事項の「0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を持」つことは、低分解能光変調器(第1の空間光変調器)からの光の高分解能光変調器(第2の空間光変調器)における光の強度プロフィールを示すという技術的意義が理解できることは、当業者にとって明らかである。
また、低分解能光変調器からの光の高分解能光変調器における光の強度プロフィールは、当業者が適宜設計し得るものであるから、下限である「0.3×d_(2)」という数値要件及び上限である「3×d_(2)」という数値要件については、技術的意義が明らかである必要はない。
したがって、訂正特許発明1の「0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅」は、明確性要件に違反するとはいえない。

(4-1-2)訂正特許発明1の構成要件の記載不備(その二)
請求人は、訂正特許発明1の構成要件(本件特許発明1と同じ)は、「前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む」というように、第2の空間光変調器における光の分布を規定したものになっているところ、「第2の空間光変調器における光の分布」に関する内容は、本件特許明細書でサポートされていないので、サポート要件が充足されておらず(特許法第36条第6項第1号)、また、本件特許明細書でサポートされていないことに伴って、実施可能要件も充足されない(特許法第36条第4項)と主張する。

しかし、上述「(4-1-1)」で検討したとおり、訂正明細書の上記記載事項の「0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を持」つことは、低分解能光変調器(第1の空間光変調器)からの光の高分解能光変調器(第2の空間光変調器)における光の強度プロフィールを示すという技術的意義が理解できることは、当業者にとって明らかであるので、「第2の空間光変調器における光の分布」に関する内容は、訂正明細書等でサポートされていないとはいえず、また、訂正明細書等でサポートされていないことに伴って、実施可能要件も充足されないとはいえない。
したがって、訂正特許発明1は、サポート要件、実施可能要件に違反するとはいえない。

(4-1-3)訂正特許発明1の記載不備(その三)
請求人は、「d_(2)」に関する規定が、訂正特許発明1の構成要件(本件特許発明1と同じ)と、段落0047とでは相違しているので、訂正特許発明1における「d_(2)」に関する規定が本件特許明細書に存在しないことから、この点においてサポート要件及び実施可能要件が充足されない(特許法第36条第6項第1号、同条第4項)と主張している。

しかし、上記「(4-1-1)」で検討したとおり、訂正明細書等の記載を参酌すると、図7Aのd_(1)は低分解能光変調器(第1の空間光変調器)の画素の有効幅であり、図7のd_(2)は低分解能光変調器の1画素に対応する高分解能光変調器(第2の空間光変調器)における画素群の有効幅であることは、当業者にとって明らかであるので、訂正特許発明1における「d_(2)」に関する規定が訂正明細書等に存在する。
したがって、訂正特許発明1は、サポート要件、実施可能要件に違反するとはいえない。

(4-1-4)訂正特許発明1の新たな記載不備
請求人は、訂正特許発明1の「投影する」の意味は、一般に「物の影を平面に映し出すこと」(大辞林 小学館 第一版<増補・新装版>第一刷)、「物の影が平面上に映ること。又、平面上に映し出すこと」(明鏡国語辞典 大修館書店 初版)と考えられるところ、光学系17は焦点距離fという単焦点を有するのであるから、背面投影スクリーン23上(第2の光変調器上)に結像すれば、対象が異なる拡散器上に結像することは物理的に不可能であり、第2の光変調器(背面投影スクリーン23)に加えて、拡散器にまで光源の光を投影する機能を有する光学系については、訂正明細書で説明されておらず、訂正特許発明1の「・・・前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器・・・に投影する光学系」という事項は、サポート要件違反であり、それに伴い、訂正明細書には上記事項を実施できる程度の記載も無いことになるので、実施可能要件違反にも該当すると、主張している。

確かに、訂正明細書の段落【0052】に「拡散器22とコリメータ18との順序を逆にしてもよい。」、「スクリーン23の、第2の光変調器20、コリメータ18、拡散器22の順序を変更してもよい。」と記載されているのみであって、訂正明細書等には、「・・・前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系」については具体的な記載がない。
しかしながら、訂正明細書等を参酌すると、訂正特許発明1の「投影する」は、「第1の空間光変調器」の画像を、「拡散器」と「第2の空間光変調器」上に画像として伝達すること(典型的には、「第1の空間光変調器」の画像を「拡散器」と「第2の空間光変調器」上に結像すること)を意味すると認められるところ、第1の空間光変調器によって投影された光を拡散器に厳密に焦点が合うように投影する必要はなく、「・・・前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系」は、当業者にとって訂正明細書等に記載されているのに等しい事項であり、また、上記の光学系が設計可能であることは、当業者にとって自明のことである。
したがって、訂正特許発明1は、サポート要件、実施可能要件に違反するとはいえない。

(4-1-5)まとめ
以上のとおり、訂正特許発明1は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-2 訂正特許発明3について
(4-2-1)訂正特許発明3の記載不備(その一)
請求人は、本件特許発明3の「第2の光変調器」というものは、構成要件3Aの他の箇所に記載されておらず、また、本件特許発明3が引用する本件特許発明1にも記載されていないので、「第2の光変調器」は何を意味するものであるか、明確でないので、明確性要件が充足されず(特許法第36条第6項第2号)、この点において、本件特許発明3は記載不備であると主張するが、訂正請求により、「第2の光変調器」は「第2の空間光変調器」と訂正された。
したがって、訂正特許発明3は、明確性要件に違反するとはいえない。

(4-2-2)訂正特許発明3の記載不備(その二)
請求人は、訂正特許発明3(本件特許発明3と同じ)の「決定された強度に基づいて第2の光変調器の画素を制御する」という記載ぶりでは、段落0044の「所望の輝度を、低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割る」という内容以外の処理内容も当然含むので、本件特許明細書に記載されていない内容について、サポート要件及び実施可能要件が充足されないと主張する。

確かに、訂正明細書の【0044】に「所望の輝度を、低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割る」と記載されているのみであって、訂正明細書等にはこれ以外の処理内容は記載されていない。
しかしながら、第2の空間光変調器の画素を制御する処理として、「所望の輝度を、低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割ること以外の処理をすることも、当業者が適宜設計し得ることである。
したがって、訂正特許発明3は、サポート要件、実施可能要件に違反するとはいえない。

(4-2-3)訂正特許発明3の新たな記載不備
請求人は、訂正明細書は、段落0045において「より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器のうちのある画素上に入射する光の強度は、より低分解能の空間光変調器の各画素からの光をより高分解能の空間光変調器上に分布させている周知の方法から計算することが可能である。」という程度の記載を有するに留まり、拡散器による拡散までも考慮して、第2の空間光変調器へ入射する光の強度を計算することまでの記載は訂正明細書に存在しないので、訂正特許発明3はサポート要件違反に該当し、また、この事項を実施できる程度の記載も存在しないので、実施可能要件違反にも該当すると主張する。

確かに、訂正明細書の段落【0052】に「拡散器22とコリメータ18との順序を逆にしてもよい。」、「スクリーン23の、第2の光変調器20、コリメータ18、拡散器22の順序を変更してもよい。」と記載されているのみであって、訂正明細書等には、「・・・前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系」については具体的な記載がない。
しかしながら、「第2の空間光変調器」の前に「拡散器」を配置したときには、「第2の空間光変調器」へ入射する光の強度が「拡散器」の影響を受けることは自明のことであるから、拡散器による拡散までも考慮して第2の空間光変調器へ入射する光の強度を計算することは、当業者が適宜なし得ることである。
したがって、訂正特許発明3は、サポート要件、実施可能要件に違反するとはいえない。

(4-2-4)まとめ
以上のとおり、訂正特許発明3は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-3 訂正特許発明4について
(4-3-1)訂正特許発明4の記載不備(その一)
請求人は、訂正特許発明4(本件特許発明4と同じ)は、「前記第1の制御信号は、第1の空間光変調器の前記画素に対応する画像領域の複数の所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与するように、第1の空間光変調器の前記画素の各々を制御する」というものであるが、まず「所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与する」という内容が意味不明であり、「所望の輝度値の平均に寄与する」とは、平均に対して、どのように寄与するのか、また、「重み付けされた平均である輝度に寄与する」とは、重み付けされた平均である輝度に対して、どのように寄与するのか、理解できないので、明確性要件を満たさないと主張する。

しかし、訂正特許発明1を踏まえると、第2の空間光変調器の画素の各々に所望の輝度があり、それらの複数の輝度値の平均を、第1の空間光変調器が提供すると理解できるので、訂正特許発明4は、明確性要件に違反するとはいえない。

(4-3-2)訂正特許発明4の記載不備(その二)
請求人は、訂正特許発明4の構成要件(本件特許発明4と同じ)の「第1の制御信号は、第1の空間光変調器の前記画素に対応する画像領域の複数の所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与するように、第1の空間光変調器の前記画素の各々を制御する」という事項は、本件特許明細書の段落0043は、「低分解能光変調器の各画素に対応する画像領域の所望の輝度の平均値、または、重み付けされた平均値を決めて、この決めた値に低分解能光変調器の画素を設定する」ことが記載されているのにすぎず、本件特許明細書に記載されていないので、本件特許発明4の構成要件4Aは、サポート要件及び実施可能要件を満たしていないと主張する。

しかし、訂正明細書の段落【0043】の記載から、訂正特許発明4(本件特許発明4と同じ)の上記構成要件の事項は、当業者が実施可能であることは、明らかであり、サポート要件、実施可能要件に違反するとはいえない。

(4-3-3)まとめ
以上のとおり、訂正特許発明4は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-4 訂正特許発明5について
請求人は、訂正特許発明5の構成要件(本件特許発明5と同じ)は「前記第2の制御信号は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の画素上に照射された光の既知の強度で除算された所望の輝度値に基づく量により、前記画素に入射した光を変調するように、第2の空間光変調器の画素の各々を制御する」というものであり、「第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の画素上に照射された光の既知の強度」という中の「光の既知の強度」とは、どのようなものであるのか、どのように既知であるのか、という点において明確でないので、本件特許発明5は明確性要件を満たさず、また、「光の既知の強度」について、本件特許明細書は、段落0044に「光の既知の輝度」に言及するが、この「光の既知の強度」は、どのようなものである、制御装置39が、どのように取得するか等について、一切説明されていないので、「光の既知の強度」を把握することができず、それに伴い、「所望の輝度を、低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割る」という除算自体が実施できなくなるから、本件特許発明5に係る本件特許明細書の記載は実施可能要件を満たしていないと主張する。

しかし、訂正特許発明1を踏まえると、第2の空間光変調器の画素上に照射される光の強度は、第1の空間光変調器の画素を制御する第1の制御信号から既知である。
また、訂正明細書の段落【0043】の「制御装置は、所望の画像に近いものを与えるために低分解能光変調器の画素を設定する。」との記載から、制御装置は、第1の空間光変調器の画素を設定することで、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器へ入射する光の輝度を設定でき、さらには、「所望の輝度を、低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割る」という除算自体が実施できることは、当業者にとって自明のことである。
したがって、訂正特許発明5の上記構成要件は、明確性要件、実施可能要件に違反するとはいえない。

以上のとおり、訂正特許発明5は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-5 訂正特許発明6について
請求人は、訂正特許発明6の構成要件(本件特許発明6と同じ)は「前記制御装置は、前記第1及び第2の制御信号を瞬時に生成するように構成される」というものであり、この構成要件の「制御信号を瞬時に生成する」における「瞬時」とは、どの程度の時間を意味するのかを客観的に特定できないので、本件特許発明6は明確性要件を満たさず、また、本件特許発明6の構成要件に係る「瞬時」は、本件特許明細書の段落0044で説明されておらす、この点において、サポート要件及び実施可能要件は満たされないと主張する。
しかし、訂正特許発明6の「瞬時」が、制御装置が空間光変調器を作動させるために要する時間から、どの程度の時間を意味するかは明らかであるから、訂正特許発明6は、サポート要件、実施可能要件に違反するといはいえない。

以上のとおり、訂正特許発明6は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-6 訂正特許発明7について
請求人は、訂正特許発明7の構成要件(本件特許発明7と同じ)は「前記制御装置は、前記所望の画像を定義する画像信号を受信するように更に構成され、前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部が前記制御装置による前記画像信号の前処理に基づく」というものであり、まず、構成要件7Aの中の「前記制御装置による前記画像信号の前処理」という内容において、「前処理」の意味が不明であるので明確性要件を満たさず、また、構成要件の中の「前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部が前記制御装置による前記画像信号の前処理に基づく」において、前処理の対象を「第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部」にすることは、段落0044においても、「光変調器を駆動させるための信号を生成するための処理は、ある処理を先立って行ってもよい」という程度を含むに留まり、「第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部」を処理対象にすることまでは記載されていないので、サポート要件及び実施可能要件を満たしていないと主張する。

しかし、「前処理」が各画素の駆動よりも前に計算されることは当業者にとって自明のことであり、また、訂正明細書の段落【0044】の「光変調器を駆動させるための信号を生成するための処理は、ある処理を先立って行ってもよい」という記載からも、「第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部」を処理対象にすることまでは読み取れることは、当業者にとって自明のことである。
したがって、訂正特許発明7は、サポート要件、実施可能要件に違反するとはいえない。

以上のとおり、訂正特許発明7は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-7 訂正特許発明8について
請求人は、訂正特許発明8の構成要件(本件特許発明8と同じ)は「前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々は、前記第2の空間光変調器上に光の分布を形成し、第1の空間光変調器の近接する画素から生じる、第2の空間光変調器上の光の前記分布は互いに重なり合う」というものであり、第2の空間光変調器上の光の分布を規定したものになっており、上記「(4-1-2)訂正特許発明1の記載不備(その二)」で説明したように、本件特許明細書では、第2の空間光変調器上の光の分布についての説明は存在しないので、本件特許発明1の場合と同様に、この点において、サポート要件及び実施可能要件が充足されないと主張するが、上記「4-1 訂正特許発明1について」「(4-1-2)訂正特許発明1の記載不備(その二)」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明8は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-8 訂正特許発明10について
請求人は、訂正特許発明10の構成要件(本件特許発明10)は「前記第1及び第2の空間光変調器の各々の対応する前記画素の両方が、最大輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度と、第1及び第2の空間光変調器の各々の対応する画素の両方が、最小輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度との比が1000:1を超える」というものであり、この構成要件10Aの記載の「表示スクリーン」が明確でなく、また、構成要件10Aは、輝度に関する比が「1000:1を超える」ことを規定するが、下限となる「1000:1」を達成する内容が、本件特許明細書に記載されていないことから、サポート要件及び実施可能要件が満たされていないと主張する。

しかし、訂正明細書等の図1に示すように、段落【0018】では「第1の光変調器16によって変調された光は、適当な光学系17によって透過投影スクリーン23上に投影される」と記載され、段落【0019】では「透過投影スクリーン23は、第2の光変調器20とコリメータ18とを備えている」態様を説明する。また段落【0018】には「第1の光変調器16によって変調された光を、透過投影スクリーン23上に結像する光学系17」が説明され、段落【0020】には「視聴者は、スクリーン23の全域に由来する光を見ることができる」と記載されている。
一方、段落【0029】と図4は、反射投影型のスクリーン34を示し、「スクリーン34は第2の光変調器36を内蔵している」態様を説明する。
このような訂正明細書等の記載から、「表示スクリーン」が具体的には「第2の空閻光変調器」を内蔵したものであり、第1の空間光変調器によって変調された光が光学系によって表示スクリーン上に結像されるものであればよいことがわかる。
また、「表示装置」としては、最終的に画像を表示する構成要素が表示スクリーンであり、表示する画像を生成するために第1及び第2の空間光変調器を備えている。そうすると、「第2の空間光変調器」からの光の投射先が「表示スクリーン」である態様や、「第2の空間光変調器」自体が「表示スクリーン」である態様を訂正特許発明10の表示スクリーンは含むことができる。「表示装置」が最終的に画像を表示する構成要素が表示スクリーンであることは当業者が理解できるので、明確性要件に違反するとはいえない。

次に、輝度に関する比が「1000:1を超える」ことの下限となる「1000:1」は、訂正明細書の段落【0004】に「たとえ、近くの太陽に照らされた領域の輝度が、景色の暗がり部分の輝度より何千倍も大きくても、人は、例えば、明るく太陽が輝く日に、明かりのついていない車庫の中を覗き込み、暗がりにある物の細部を見ることができる。このような場面を現実的に表現するためには、1000:1を超えるダイナミック・レンジを持つ表示装置が必要である。」と記載されていることから、サポート要件及び実施可能要件に違反するとはいえない。

以上のとおり、訂正特許発明10は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-9 訂正特許発明11について
請求人は、訂正特許発明11の構成要件(本件特許発明11と同じ)は「前記第1及び第2の各空間光変調器の対応する画素の両方が、最大輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度と、第1及び第2の各空間光変調器の対応する画素の両方が、最小輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度との比が1500:1を超える」というものであり、この構成要件の記載の「表示スクリーン」に関する内容が明確性要件を満たさないのは、上述した訂正特許発明10の場合と同様であり、また、輝度に関する比が「1500:1を超える」ということにおける下限の「1500:1」という数値要件ついて、発明の目的との関係が明確でなく、その技術的意義が当業者に明らかでないことから、明確性要件を満たさず、さらに、サポート要件及び実施可能要件も満たさないと主張する。

しかし、「表示スクリーン」に関しては、上記「4-8 訂正特許発明10について」で述べた理由と同様の理由により、明確性要件に違反するといはいえない。

輝度に関する比が「1500:1を超える」ということにおける下限の「1500:1」という数値要件ついて、訂正明細書の段落【0004】に「このような場面を現実的に表現するためには、1000:1を超えるダイナミック・レンジを持つ表示装置が必要である。"高ダイナミック・レンジ"とは、800:1またはそれ以上のダイナミック・レンジを意味する。」と記載されているものの、「1500:1」という数値は記載されていない。また、訂正明細書等の他の記載においても、「1500:1」との記載はなく、記載されていることが自明であるとも認められない。
そして、平成28年1月15日付けで提出された被請求人の口頭審理陳述要領書における「余裕を持つために800:1を倍にすると1600:1であり、キリを良くすると1500:1である。」との主張は、訂正明細書に基づくものではない上、意味不明であるので、採用することはできない。
したがって、訂正特許発明11の「1500:1を超える」ことは、技術的意義が明確でなく、訂正明細書等に記載された事項であるともいえない。

以上のとおり、訂正特許発明11は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

4-10 訂正特許発明12について
請求人は、訂正特許発明1は「制御装置と、拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え、」というように訂正されたことを考慮すると、訂正特許発明12は、拡散器22、第2の光変調器20、コリメータ18の順に配置されたものになり、訂正特許発明12の「第1の空間光変調器から投影される光を平行にする」と内容が一致しなくなるので、訂正特許発明12に一致する内容は訂正明細書でサポートされておらず、また、実施できるような記載も訂正明細書に存在しないと主張する。

しかしながら、訂正特許発明1の「前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達する」、訂正特許発明12の「前記第1の空間光変調器から投影される光を平行にするように配置されたコリメータ」との記載からは、「コリメータ18」、「拡散器22」、「第2の空間光変調器20」、又は、「拡散器22」、「コリメータ18」、「第2の空間光変調器20」の順に配置すると解するのが相当である。確かに、訂正明細書には、段落【0052】に「拡散器22とコリメータ18との順序を逆にしてもよい。」、「スクリーン23の、第2の光変調器20、コリメータ18、拡散器22の順序を変更してもよい。」と記載されているのみであるが、プロジェクタに使用される透過型スクリーン(訂正明細書等のように空間光変調器を有さないもの)一般において、拡散器、コリメータ等の配置順は、種々知られていることから、「拡散器22」、「コリメータ18」、「第2の空間光変調器20」の配置順も、訂正明細書等の記載を参照して、適宜設計し得るものと認められる。
すると、「コリメータ18」、「拡散器22」、「第2の空間光変調器20」、又は、「拡散器22」、「コリメータ18」、「第2の空間光変調器20」の順に配置することは、当業者にとって自明のことである。
したがって、訂正特許発明12は、サポート要件、実施可能要件に違反するとはいえない。

以上のとおり、訂正特許発明12は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-11 訂正特許発明13について
請求人は、訂正特許発明13は「前記コリメータはフレネル・レンズを含む、請求項12に記載の表示装置。」というものであって、訂正特許発明12と同様に、サポート要件及び実施可能要件を満たしていないと主張する。

しかし、訂正特許発明13は訂正特許発明において「コリメータ」を「フレネル・レンズを含む」と限定したものであるから、上記「4-10 訂正特許発明10について」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明13は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-12 訂正特許発明14について
請求人は、訂正特許発明13は「前記コリメータはホログラフィック・レンズを含む、請求項12に記載の表示装置。」というものであって、訂正特許発明12と同様に、サポート要件及び実施可能要件を満たしていないと主張する。

しかし、訂正特許発明14は訂正特許発明において「コリメータ」を「ホログラフィック・レンズを含む」と限定したものであるから、上記「4-10 訂正特許発明10について」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明14は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-13 訂正特許発明17について
請求人は、訂正特許発明1は、「制御装置と、拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え、」というものであり、第1の空間光変調器によって投影された光を、拡散器と第2の空間光変調器とに投影する光学系を備えたものになっているから、訂正特許発明17の内容と対比すると、第1の空間光変調器からの光を投影する対象、及び第2の空間光変調器に投影される光を投影する主体が、訂正特許発明1と訂正特許発明17とでは異なり、両者の整合性が取れていないので、明確性要件を満たしておらず、また、整合性の取れない内容は訂正明細書においても説明されていないことから、サポート要件及び実施可能要件も満たされないと主張する。

しかし、訂正明細書等の段落【0026】、図2を参酌すると、訂正特許発明17の構成は図2のような構成を意味することは明らかであるから、明確性要件、サポート要件、実施可能要件に違反するとはいえない。
したがって、訂正特許発明17は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-14 訂正特許発明18について
請求人は、訂正特許発明18の構成要件(本件特許発明18と同じ)は「前記1つ以上の追加された光変調段の各々は、コリメータと、前置の空間光変調器により光が投影される空間光変調器とを含む」というものであるが、この中で「前置の空間光変調器」とは、いずれの「空間光変調器」を意味するのか、また、その「前置」の「前」とは、何に対する「前」を意味するのか、いずれも不明であることから、明確性要件を満たさず、また、訂正特許発明18は、「前置の空間光変調器」は、「第1の空間光変調器」が該当する場合もあり、この場合、第1の空間光変調器から投影された光を、追加された光変調段が含む空間光変調器に投影することになり、訂正特許発明1の「前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する」と、第1の空間光変調器からの光を投影する対象が、訂正特許発明1と訂正特許発明18との間で異なり、両者の整合性が取れなくなるので、明確性要件を満たしておらず、また、整合性の取れない内容は訂正明細書においても説明されていないので、サポート要件及び実施可能要件も満たしていないと主張する。

しかし、「前置の空間光変調器」は、「追加された光変調段」に対して、その前(「第1の空間光変調器」側)の「光変調段」を示すことは明らかであって、「前置の空間光変調器」は「第1の空間光変調器」であるか、又は「第1の空間光変調器」と「光変調段」との間に追加された「光変調段」も含む「前置の光変調器」であることは、当業者にとって自明のことである。
そして、訂正明細書等の段落【0026】、図2を参酌すると、訂正特許発明18の構成は図2のような構成を意味することは明らかであるから、明確性要件、サポート要件、実施可能要件に違反するとはいえない。
したがって、訂正特許発明18は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-15 訂正特許発明19について
請求人は、訂正特許発明19の構成要件(本件特許発明19と同じ)は「前記1つ以上の追加された光変調段の各々は拡散器を含む」というものであるが、このような構成要件19Aの内容は、本件特許明細書で説明されていないので、サポート要件及び実施可能要件が満たされず、また、「追加された光変調段(光変調段24)」が「拡散器」を含むことの記載は訂正明細書に存在しないので、訂正特許発明19は、サポート要件及び実施可能要件を満たさないと主張する。

訂正明細書の段落【0015】には、「本発明に係る表示装置は、2つの変調段を有している。光が連続的にそれらの段を通過することで、高められたダイナミック・レンジを持つ画像が供給される。」、訂正明細書の段落【0051】には、「拡散器22とコリメータ18とを一体化してもよい。」、訂正明細書の段落【0028】には、「光変調器16,20,26は、全て同じ種類でもよいし、2つまたはそれ以上が異なる種類でもよい。」と記載されている。
しかしながら、訂正明細書の段落【0028】には「光変調器」についての記載であって、光変調段は全て同じ種類でもよいとは記載されておらず、拡散器22とコリメータ18とを一体化するとしても、光変調段の各々は拡散器を含むことまで記載されているとはいえない。また、「光変調段」に「拡散器」を設けると、光変調段からの画像光の一部は「光学系27」に入射しない(ケラレる)ことになるので、訂正明細書の段落【0015】に記載された、光が連続的にそれらの段を通過することで、高められたダイナミック・レンジを持つ画像が供給されることにはなり得ない。さらに、訂正明細書等の他の記載においても、「前記1つ以上の追加された光変調段の各々は拡散器を含む」ことの記載はなく、記載されていることが自明であるとも認められない。
そして、被請求人の答弁書及び被請求人の口頭審理陳述要領書における主張も、上述したように採用することはできない。
したがって、訂正特許発明19の「前記1つ以上の追加された光変調段の各々は拡散器を含む」ことは、訂正明細書等に記載された事項であるともいえない。

以上のとおり、訂正特許発明19は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

4-16 訂正特許発明20について
請求人は、訂正特許発明20は方法の発明であり、表示装置の発明である訂正特許発明1とはカテゴリが相違するだけで、内容的には基本的に同等なので、上記「(4)-1 本件特許発明1の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、訂正特許発明20は、明確性要件、サポート要件、実施可能要件を満たさず、また、訂正特許発明20は、その方法を実施する主体が規定されていないので、何が訂正特許発明20を実施するのか不明であることから、明確性要件が満たされないと主張する。

しかし、上記「4-1 訂正特許発明1について」で述べた理由と同様の理由により、明確性要件、サポート要件、実施可能要件を満たさないとはいえない。
また、訂正特許発明20は、「表示装置を制御するための方法であって」という記載から、その方法を実施する主体が「制御装置」であることは当業者にとって自明のことであり、明確性要件に違反するとはいえない。

なお、請求人は、被請求人の方法を実施する主体は「制御装置」であるとの主張は、訂正特許発明20において「制御装置」は記載されていないので、被請求人の主張は、訂正特許発明20に係る記載に基づいておらず、この点において訂正特許発明20は依然として明確性要件を満たさないと主張するが、訂正特許発明20において「制御装置」との記載がなくても、方法を実施する主体が「制御装置」であることは当業者にとって自明のことであるので、上記主張を採用することはできない。

以上のとおり、訂正特許発明20は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-17 訂正特許発明21について
請求人は、訂正特許発明21は、その方法を実施する主体が規定されていないので、何が訂正特許発明21を実施するのか不明であることから、明確性要件が満たされないと主張する。

しかし、上記「4-16 訂正特許発明20について」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明21は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-18 訂正特許発明22について
請求人は、訂正特許発明22は方法の発明であり、表示装置の発明である訂正許発明3とはカテゴリが相違するだけで、内容的には基本的に同等なので、上記「(4)-2 本件特許発明3の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、訂正特許発明22は、明確性要件、サポート要件、実施可能要件を満たさず、また、訂正特許発明22は、その方法を実施する主体が規定されていないので、何が訂正特許発明22を実施するのか不明であることから、明確性要件が満たされないと主張する。

しかし、上記「4-2 訂正特許発明3について」、上記「4-16 訂正特許発明20について」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明22は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-19 訂正特許発明23について
請求人は、訂正特許発明23は方法の発明であり、表示装置の発明である訂正許発明4とはカテゴリが相違するだけで、内容的には基本的に同等なので、上記「(4)-3 本件特許発明4の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、訂正特許発明23は、明確性要件、サポート要件、実施可能要件を満たさず、また、訂正特許発明23は、その方法を実施する主体が規定されていないので、何が訂正特許発明23を実施するのか不明であることから、明確性要件が満たされないと主張する。

しかし、上記「4-3 訂正特許発明4について」、上記「4-16 訂正特許発明20について」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明23は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-20 訂正特許発明23について
請求人は、訂正特許発明23は方法の発明であり、表示装置の発明である訂正許発明4とはカテゴリが相違するだけで、内容的には基本的に同等なので、上記「(4)-3 本件特許発明4の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、訂正特許発明23は、明確性要件、サポート要件、実施可能要件を満たさず、また、訂正特許発明23は、その方法を実施する主体が規定されていないので、何が訂正特許発明23を実施するのか不明であることから、明確性要件が満たされないと主張する。

しかし、上記「4-3 訂正特許発明4について」、上記「4-16 訂正特許発明20について」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明23は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-21 訂正特許発明24について
請求人は、訂正特許発明24は方法の発明であり、表示装置の発明である訂正許発明5とはカテゴリが相違するだけで、内容的には基本的に同等なので、上記「(4)-4 本件特許発明5の記載不備」で説明した内容と同様の理由により、訂正特許発明24は、明確性要件、実施可能要件を満たさず、また、訂正特許発明24は、その方法を実施する主体が規定されていないので、何が訂正特許発明24を実施するのか不明であることから、明確性要件が満たされないと主張する。

しかし、上記「4-4 訂正特許発明5について」、上記「4-16 訂正特許発明20について」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明24は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-22 訂正特許発明25について
訂正特許発明25の「瞬時」については、上記の「(6)-5 本件特許発明5の記載不備」の中で述べた内容と同様に、明確性要件を満たさず、訂正特許発明25は、その方法を実施する主体が規定されていないので、何が訂正特許発明25を実施するのか不明であり、明確性要件が満たされず、さらに、「第1及び第2の空間光変調器を瞬時に制御する」という事項は、本件特許明細書に記載されていないので、サポート要件及び実施可能要件が満たされないと主張する。

しかし、上記「4-5 訂正特許発明6について」、上記「4-16 訂正特許発明20について」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明25は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-23 訂正特許発明26について
請求人は、訂正特許発明26は、その方法を実施する主体が規定されていないので、何が訂正特許発明26を実施するのか不明であり、明確性要件が満たされず、また、「前処理」については、上記の「(6)-7 本件特許発明7の記載不備」の中で述べた内容と同様に、明確性要件を満たさず、さらに、「前記第1及び第2の制御信号」という事項は、本件特許発明26、及び本件特許発明26が引用する本件特許発明20に含まれないので、「前記」の指す対象が不明であるから、明確性要件を満たさず、さらに、「前記画像信号を前記前処理することの少なくとも一部に基づいて、前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つを制御することを備える」という事項は、訂正明細書で説明されていないので、サポート要件及び実施可能要件が満たされないと主張する。

しかし、「前記第1及び第2の制御信号」は「前記第1及び第2の空間光変調器の画素」と訂正されて「前記」の指す対象が明確になって記載不備が解消された。
また、上記「4-6 訂正特許発明7について」、上記「4-16 訂正特許発明20について」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明26は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-24 訂正特許発明27について
請求人は、訂正特許発明27は「画素の第1のアレイ」という記載を有するが、「画素の第2のアレイ」という記載までは有しないので、「画素の第1のアレイ」とは、何について「第1」であるのかが依然として不明であり、また、「画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように接続可能であり」という記載では、何が何に接続可能であるのか不明なので、この点においても明確性要件が満たされず、また、訂正特許発明27は実質的に訂正特許発明1と同等なので、訂正特許発明1と同様に、訂正特許発明27は、明確性要件、サポート要件、実施可能要件を満たさないと主張する。

しかし、「画素の第1のアレイ」が第1の空間光変調器の画素であることは当業者にとって自明のことであり、また、「画素の第2のアレイ」が記載されていないからといって、「画素の第1のアレイ」が不明確となるとはいえない。また、「制御装置」が「第1及び第2の空間光変調器に接続可能であ」ると訂正されたので、何が何に接続可能であるのか明確になって、明確性要件に違反するとはいえない。
さらに、上記「4-1 訂正特許発明1について」で述べた理由と同様の理由により、明確性要件、サポート要件、実施可能要件に違反するとはいえない。
以上のとおり、訂正特許発明27は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-25 訂正特許発明29について
訂正特許発明29は制御装置の発明であり、表示装置の発明である訂正特許発明3と内容的に同等なので、訂正特許発明3の記載不備で説明した内容と同様の理由により、訂正特許発明29は、明確性要件、サポート要件、実施可能要件を満たさないと主張する。

しかし、上記「4-2 訂正特許発明3について」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明29は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-26 訂正特許発明30について
訂正特許発明30は制御装置の発明であり、表示装置の発明である訂正特許発明4と内容的に同等なので、訂正特許発明4の記載不備で説明した内容と同様の理由により、訂正特許発明30は、明確性要件、サポート要件、実施可能要件を満たさないと主張する。

しかし、上記「4-3 訂正特許発明4について」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明30は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-27 訂正特許発明31について
訂正特許発明31は制御装置の発明であり、表示装置の発明である訂正特許発明5と内容的に同等なので、訂正特許発明5の記載不備で説明した内容と同様の理由により、訂正特許発明31は、明確性要件、サポート要件、実施可能要件を満たさないと主張する。

しかし、上記「4-4 訂正特許発明5について」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明31は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-28 訂正特許発明32について
訂正特許発明32は制御装置の発明であり、表示装置の発明である訂正特許発明6と内容的に同等なので、訂正特許発明6の記載不備で説明した内容と同様の理由により、訂正特許発明32は、明確性要件、実施可能要件を満たさないと主張する。

しかし、上記「4-5 訂正特許発明6について」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明32は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-29 訂正特許発明33について
訂正特許発明33は制御装置の発明であり、表示装置の発明である訂正特許発明7と内容的に同等なので、訂正特許発明7の記載不備で説明した内容と同様の理由により、訂正特許発明33は、明確性要件、サポート要件、実施可能要件を満たさないと主張する。

しかし、上記「4-6 訂正特許発明7について」で述べた理由と同様の理由により、訂正特許発明33は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないから、請求人の主張する無効理由3によっては、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすることはできない。

4-30 小括
訂正特許発明1?10、12?18、20?33は、請求人の主張する無効理由3によっては無効とすることはできず、また、訂正特許発明11、19は、請求人の主張する無効理由3によって無効とすべきものである。


第7 むすび
以上のとおり、訂正特許発明1?10、12?18、20?33は、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、無効とすることはできず、また、訂正特許発明11、19の特許は無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第64条の規定により、その33分の31を請求人の負担とし、33分の2を被請求人の負担とする。

よって、結論の通り審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
高ダイナミック・レンジ表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル画像を表示するための表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、米国特許出願第60/271563号(2001年2月27日出願、発明の名称:高ダイナミック・レンジ・カラー表示装置及び投影技術(HIGH DYNAMIC RANGE COLOUR DISPLAY AND PROJECTION TECHNOLOGY))に基づき、優先権を主張している。
【0003】
ダイナミック・レンジとは、一場面における最高輝度の部分と最低輝度の部分との強度の比である。例えば、ビデオ投影系によって投影された画像は、300:1の最大ダイナミック・レンジを持ち得る。
【0004】
人の視覚体系は、非常に高いダイナミック・レンジを持つ場面で、特徴を認識することができる。たとえ、近くの太陽に照らされた領域の輝度が、景色の暗がり部分の輝度より何千倍も大きくても、人は、例えば、明るく太陽が輝く日に、明かりのついていない車庫の中を覗き込み、暗がりにある物の細部を見ることができる。このような場面を現実的に表現するためには、1000:1を超えるダイナミック・レンジを持つ表示装置が必要である。″高ダイナミック・レンジ″とは、800:1またはそれ以上のダイナミック・レンジを意味する。
【0005】
現代のデジタル画像システムは、場面のダイナミック・レンジが保存された状態で、デジタル表示画像を取り込み、記録することができる。コンピュータ画像システムは高ダイナミック・レンジを持つ画像を合成することができる。しかしながら、現在の表示技術は、高ダイナミック・レンジが正確に再現されるように画像を表示できない。
【0006】
ブラッカム(Blackham)他に付与された米国特許第5978142号にはスクリーン上に映像を投影するためのシステムが開示されている。そのシステムは、光源からの光を変調する第1及び第2の光変調器を備えている。それぞれの光変調装置は、光源からの光を画素レベルで変調する。両光変調器によって変調された光はスクリーン上に投影される。
【0007】
ギボン(Gibbon)他の国際特許出願PCT/US01/21367には前置変調器を含む投影システムが開示されている。前置変調器は可変ミラー表示装置に投射される光量を調節する。別体の前置変調器は選択された領域(例えば、4分円)を暗くするために用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示画像中に広レンジの光強度を再現できる費用効率の良い表示装置が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、画像を表示するための表示装置と、画像を表示するための方法とを提供する。本発明の一態様では、光源と、光源からの光を変調するように設けられた第1の空間光変調器と、第2の空間光変調器を備える表示スクリーンと、第1の空間光変調器によって変調された光を表示スクリーンの第1の面上に投影するように構成された光学系とを備える表示装置が提供される。
【0010】
本発明の別の態様では、光源と、光源からの光を変調するように設けられた第1の空間光変調器であって、制御可能な画素のアレイを備えた第1の空間光変調器と、第1の空間光変調器により変調された光を変調するように設けられた第2の空間光変調器であって、制御可能な画素のアレイを備えた第2の光空間変調器とを備え、第1及び第2の空間光変調器の一方の各画素は、第1及び第2の空間光変調器の他方の複数の画素に対応する表示装置が提供される。
【0011】
本発明の別の態様では、第1の空間分解能で空間的に変調された光を供給するための第1の空間変調手段と、第1の分解能とは異なる第2の分解能で、光を更に空間的に変調するための第2の空間変調手段と、第1及び第2の空間変調手段を制御して画像データによって形成される画像を表示する手段とを備える表示装置が提供される。
【0012】
本発明のまた更なる態様では、高ダイナミック・レンジを持つ画像を表示するための方法が提供される。その方法は、光を生成し、第1の光変調段階において、画像データに基づく光を空間的に変調し、空間的に変調された光を、光変調器を備えるスクリーン上に結像する。
【0013】
本発明の更なる態様と本発明の一実施形態の特徴とを以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下の説明を通して、本発明のより理解すべく、その詳細について述べる。しかし、これらの詳細なしで本発明を実施してもよい。また、発明が不必要にあいまいになることを避けるため、公知の部材は、示さないか、または、詳細な説明をしない。したがって、明細書と図面とは限定的というよりは、実施例としての意味を持つ。
【0015】
本発明は、高ダイナミック・レンジで画像を表示することができる表示装置を提供する。本発明に係る表示装置は、2つの光変調段を有している。光が連続的にそれらの段を通過することで、高められたダイナミック・レンジを持つ画像が供給される。
【0016】
図1は本発明の簡単な実施形態に係る表示装置10を概略的に示している。図1における部材の大きさやそれらの間の距離は、実寸ではない。表示装置10は光源12を備えている。光源12は、例えば、白熱灯、アーク灯等の投影ランプや、レーザや、その他適当な光源であってもよい。光源12は、表示装置10の他の部分に光を伝達するように協同する、1つ以上のミラー、レンズ、その他の光学素子からなる光学系を備えていてもよい。
【0017】
本実施形態においては、光源12からの光は、第1の光変調器16へと指向される。光源12は好ましくは、第1の光変調器16に実質的に均一な照明を供給する。光変調器16は個々にアドレス可能な素子のアレイを備えている。光変調器16は、例えば、透過型光変調器の一種であるLCD(液晶表示装置)、または、反射型光変調器の一種であるDMD(可変ミラー装置)を備えていてもよい。表示駆動回路(図1には示さず)は、表示される画像を規定するデータにしたがって、光変調器16の素子を制御する。
【0018】
第1の光変調器16によって変調された光は、適当な光学系17によって透過投影(rear-projection)スクリーン23上に投影される。第1の光変調器16の小さな領域からの光は、光学系17によって、透過投影スクリーン23上の対応する領域へと指向される。本実施形態においては、光学系17は、焦点距離fを持つレンズを備えている。通常、第1の光変調器16によって変調された光を、透過投影スクリーン23上に結像する光学系17は、1つ以上のミラーやレンズ、その他の光学素子を備えている。このような光学系は第1の光変調器によって変調された光を第2の光変調器上に結像する機能を持っている。
【0019】
本実施形態においては、透過投影スクリーン23は、第2の光変調器20とコリメータ18とを備えている。コリメータ18の主な機能は、透過投影スクリーン23を通過する光を、優先的に視聴領域へと指向させることである。コリメータ18は、フレネル・レンズやホログラフィック・レンズ、また、1つ以上のレンズ及び/又は他の光学素子の他の装置を備えており、それらが光を視聴領域の方向へ導くこととなる。
【0020】
本実施形態において、コリメータ18は光を第2の光変調器20の素子を通して、通常はスクリーン23の法線方向へと伝える。コリメータ18からの入射光が第2の光変調器20を通過するのに伴って、その光は更に変調される。そして、光は拡散器22を通過してある範囲の方向へ出力光を拡散して、第1の光変調器16からみて拡散器22とは反対側に位置する視聴者は、スクリーン23の全域に由来する光を見ることができる。一般に、拡散器22は、水平面と垂直面とで光の拡散角度範囲が異なる。拡散器22は、第2の光変調器20によって変調された光が、ある範囲の角度に散乱され、その最大拡散角が、好ましい視聴位置から見られたときにスクリーン23によって決定される範囲の角度に少なくとも等しくなるように選択される。
【0021】
透過投影スクリーン23は第1の光変調器16と異なる面積であってもよい。例えば、透過投影スクリーン23が、第1の光変調器16よりも大きな面積であってもよい。この場合、光学系17は、第1の光変調器16によって変調された光束を拡大して、透過投影スクリーン23のより大きな面積に一致するように照射する。
【0022】
第2の光変調器20は第1の光変調器と同じタイプのものでも、また、異なるタイプのものでもよい。第1及び第2の光変調器16,20が両方とも光を偏光させるタイプである場合、実用的には、第2の光変調器20は、その偏光面が、第1の光変調器16から入射する光の偏光面と一致するように向きを合わせるべきである。
【0023】
表示装置10はカラー表示装置であってもよい。この場合、以下のような様々な方法がある。
・第1の光変調器16と第2の光変調器20とを1つのカラー光変調器にすること。
【0024】
・異なる色を同時に操作する複数の異なる第1の光変調器16を備えること。
・第2の光変調器20の前方の光路に異なる色のフィルタを迅速に導入するための機構を備えること。
前記の第1のやり方の例として、第2の光変調器20は、各々が多数のカラー・サブ画素からなる、複数の画素を備えたLCDパネルから構成されていてもよい。例えば、各画素は1つが赤色のフィルタと関連し、1つが緑色のフィルタと関連し、1つが青色のフィルタと関連する3つのサブ画素から構成されていてもよい。フィルタはLCDパネルと一体であってもよい。
【0025】
図1Aに示すように、光源12と、第1の光変調器16と、光学系17とが、透過投影スクリーン23の後側の制御装置39からの信号38Aによって形成される画像を投影するように設けられたデジタル・ビデオ・プロジェクタ37の部品であってもよい。第2の光変調器20の素子は、制御装置39からの信号38Bによって制御され、高ダイナミック・レンジを持つ視聴者に画像を提供する。
【0026】
図2に示すように、本発明に係る表示装置10Aは、1つ以上の付加的な光変調段24を備えていてもよい。各付加的な光変調段24は、コリメータ25と、光変調器26と、光学系27とからなっており、光学系27は、光変調器26からの光の焦点を次の付加的な光変調段24、または、コリメータ18上に合わせる。図2の表示装置10Aでは、2つの付加的な光変調段24がある。本発明のこの実施形態に係る装置は、1つ以上の付加的な光変調段24を有していてもよい。
【0027】
拡散器22の出力の任意の点の輝度は、光変調器16,20,26の対応する素子を通過する光の量を制御することにより調節することができる。この制御は、光制御装置16,20,26のそれぞれを駆動するために接続された適当な制御システム(図2には示さず)によって行われてもよい。
【0028】
前述のように、光変調器16,20,26は、全て同じ種類でもよいし、2つまたはそれ以上が異なる種類でもよい。図3は、本発明の変形例に係る表示装置10Bを示しており、その表示装置10Bは可変ミラー装置からなる第1の光変調器16Aを備えている。可変ミラー装置は、各画素を”オン”または”オフ”にするという意味においては2値の装置である。異なる見掛けの輝度レベルは、画素を素早くオン及びオフさせることによって生み出すことができる。このような装置は、例えば、米国特許第4441791号や米国特許第4954789号に記載されており、そして、デジタル・ビデオ・プロジェクタに一般的に使われている。光源12と第1の光変調器16(または16A)は、例えば、市販のデジタル・ビデオ・プロジェクタの光源と変調器であってもよい。
【0029】
図4は、本発明に基づく反射投影型(front-projection-type)表示装置10Cを示している。表示装置10Cはスクリーン34を備えている。プロジェクタ37は画像38をスクリーン34上に投影する。プロジェクタ37は、適当な光源12と、第1の光変調器16と、第1の光変調器によって形成された画像をスクリーン34上に投影するのに好適な光学系17とを備えている。プロジェクタ37は、市販の表示プロジェクタであってもよい。スクリーン34は第2の光変調器36を内蔵している。第2の光変調器36は、多数のアドレス可能な素子を備えており、それらは、スクリーン34の対応する領域の輝度に作用するように、個々に制御することができる。
【0030】
光変調器36はどのような構造をもっていてもよい。例えば、光変調器36は、反射器の前方に設けられた、個々の透過率を制御することができるLCD素子のアレイを備えていてもよい。プロジェクタ37によって投影された光は、各LCD素子を通過し、反射器によってLDC素子の後側で反射される。スクリーン34上のあらゆる点の輝度は、プロジェクタ37のその点で受け取られる光の強度と、光変調器36(例えば、その点のLCD素子)がそれを介して伝達される光を吸収する程度とによって決められる。
【0031】
光変調記36は、可変逆反射特性をもつ素子のアレイを備えてなることもできる。素子は、プリズム状であってもよい。このような素子は、例えば、ホワイトヘッド(Whitehead)に付与された米国特許第5959777号(発明の名称:受動型高性能可変反射率画像表示装置(Passive High Efficiency Variable Reflectivity Image Dysplay Device))や、ホワイトヘッド(Whitehead)他に付与された米国特許第6215920号(発明の名称:高性能可変反射率画像表示装置における全反射の、電気泳動の高インデックスと相転移制御(Electrophoretic High Index and Phase Transition Control of Total Internal Reflection in High Efficiency Variable Reflectivity Image Displays))に記述されている。
【0032】
光変調器36は、例えば、アルバート(Albert)他に付与された米国特許第6172798号(発明の名称:閉状態マイクロカプセル電気泳動表示装置(Shutter Mode Micricapsulated Electrophoretic Display))や、コミスキー(Comiskey)他に付与された米国特許第6120839号(発明の名称:電気浸透表示装置及びその製造のための材料(Electro-osmotic Displays and Materials for Making the Same))、ヤコブソン(Jacobson)に付与された米国特許第6120588号(発明の名称:電気的にアドレス可能なマイクロカプセル・インク及び表示装置(Electronically Addressable Microencapsulated Ink and Display))、ヤコブソン(Jacobson)他に付与された米国特許第6323989号(発明の名称:ナノ粒子を用いた電気泳動表示装置(Electrophoretic Displays Using Nanoparticles))、アルバート(Albert)に付与された米国特許第6300932号(発明の名称:発光粒子を備える電気泳動表示装置及びその製造のための材料(Electrophoretic Displays with Luminescent Particles and Materials for Making the Same))、コミスキー(Comiskey)他に付与された米国特許第6327072号(発明の名称:微小体電気泳動表示装置(Microcell Electrophoretic Displays))に述べられたような、電気泳動表示素子のアレイからなっていてもよい。
【0033】
図6A及び図6Bに示すように、スクリーン34は好ましくは、光を視聴者の目へと優先的に指向させるように機能するレンズ素子40を備えている。本実施形態においては、レンズ素子40は、プロジェクタ37に由来する光錐の頂点と実質的に一致する焦点を持つフレネル・レンズによって構成されている。レンズ素子40は、ホログラフィック・レンズのような他の種類のレンズによって構成されていてもよい。レンズ素子40は、スクリーン34から反射された光を、所望の程度に拡散する複数の拡散中心(scattering centers)45を内蔵している。本実施形態においては、第2の光変調器36は、反射層43により指示され、かつ基材47上に搭載された、多数の画素42を有する反射型LCDパネルから構成されている。
【0034】
光変調器36は可変逆反射特性を持つ素子のアレイを備えており、素子自体が逆反射光をスクリーン34の前面の視聴域の方向へ優先的に指向させるように設計することができる。反射層43は、拡散中心45の効果を増大させるためや、拡散中心45の代わりをするために光を拡散するようにパターン形成されていてもよい。
【0035】
図4に示すように、制御装置39は、画像38を形成するデータを第1の光変調器16及び第2の光変調器36のそれぞれに供給する。制御装置39は、例えば、適当な表示補助装置を備えるコンピュータから構成することもできる。制御装置39は、画像処理段階を迅速化するための画像処理ハードウェアを備えていてもよい。スクリーン34上のあらゆる点の輝度は、その点に対応する、第1の光変調器16の画素及び第2の光変調器の画素の影響の組み合わせによって決まる。第1と第2の光変調器の対応する画素を、それらの”最も暗い”状態に設定すると、最小輝度の点が存在する。第1と第2の光変調器の対応する画素を、それらの”最も明るい”状態に設定すると、最大輝度の点が存在する。他の点は、中間の輝度値を持つ。最大輝度値は、例えば、10^(5)cd/m^(2)のオーダーである。最小輝度値は、例えば、10^(-2)cd/m^(2)のオーダーである。
【0036】
光変調器及び関連する制御回路の費用は、光変調器のアドレス可能な素子の数とともに増加する。本発明の一実施形態において、光変調器の1つが、他の1つ以上の光変調器よりも非常に高い空間分解能を持っている。そして、1つ以上の光変調器が低分解能の装置である場合、本発明のそのような実施形態に基づく表示装置の費用は低減され得る。2つ以上の光変調器を備えるカラー表示装置においては、どれか1つがカラー光変調器で(例えば、図6に示すように、複数のモノクローム光変調器を組み合わせたものが色彩光変調器を構成していてもよい)、どれか1つが高分解能光変調器であって、高分解能光変調器はカラー光変調器でもあるべきである。ある実施形態において、高分解能光変調器は、低分解能光変調器上に光を投影する。他の実施形態においては、低分解能光変調器は、高分解能光変調器上に光を投影する。
【0037】
図5は、図1に示される表示装置10の画素のとり得る構成を示している。第2の光変調器20の9個の画素42は第1の光変調器16の各画素44に対応している。第1の光変調器16の各画素44に対応する、第2の光変調器20の画素42の数は、設計的選択事項として変更してもよい。第1及び第2の光変調器16,20(または36)のうち高分解能であるものの画素44は、所望の全般的な分解能を備えるほどに十分に小さくあるべきである。一般的に、分解能が増加するほど、費用が高くなる。標準的な表示装置において、高分解能光変調器は、各方向に少なくとも2、300画素、より標準的には1000画素以上の画素のアレイを備えている。
【0038】
第1及び第2の光変調器のうち低分解能であるものの画素42サイズによって、最大輝度から最小輝度までを確実に得ることができる大きさが決定される。例えば、図5Aに描かれた状況について考えてみる。ここでは、最小輝度の大きな背景に、最大輝度の小さな点の画像を表示することを意図している。点47で最大輝度を得るため、点47に対応する第1及び第2の光変調器のそれぞれの画素は、それらの最大輝度に設定されるべきである。ここで、ある光変調器の画素は、他の光変調器の画素よりも分解能が低いため、低分解能光変調器のいくつかの画素は、点47の境界に跨ることとなる。これは、例えば、図5Aの場合である。
【0039】
点47の外側には2つの領域がある。領域48においては輝度を最小値に設定することができない。なぜならば、この領域では、低分解能光変調器は最大輝度値に設定されているからである。領域49においては、両光変調器をその最低輝度に設定することができる。もし仮に、第1及び第2の光変調器のそれぞれが、1?100単位の範囲の輝度を持っているとすると、領域47は100×100=10000単位の輝度を、領域48は100×1=100単位の輝度を、そして、領域49は1×1=1単位の輝度を持つこととなるであろう。
【0040】
他の光変調器よりも低い分解能の光変調器を有するため、低分解能光変調器の各画素は、高分解能光変調器における1以上の画素に対応してしまう。低分解能光変調器の任意の画素と高分解能光変調器の異なる画素とが対応する点を、装置のダイナミック・レンジの極端な輝度値にすることはできない。このような点の間における輝度の最大の差は、高分解能光変調器が備えるダイナミック・レンジによって決定される。
【0041】
表示装置の全ダイナミック・レンジ分の輝度が異なる近接点を作り出すことができなくても、一般的には問題がない。人の目には、どのような事象においても非常に近い距離にある輝度の大きな違いを正確に認識できないような、固有の散乱がある。
【0042】
低分解能光変調器及び高分解能光変調器の両方を備えた、本発明に係る表示装置において、制御装置39は、低分解能空間光変調器の各画素の輝度を決定し、そして、高分解能空間光変調器を制御する信号を調節して、低分解能空間光変調器の各画素が高分解能空間光変調器の複数の画素に共通するという事実から生じる影響を低減するようにしてもよい。このことは、いろいろな方法によって行うことができる。
【0043】
例えば、低分解能空間光変調器の各画素が高分解能空間光変調器の複数の画素に対応する場合を考えてみる。所望の画像を特定する画像データは制御装置に供給される。画像データは、高分解能空間光変調器の各画素に対応する画像領域に対する所望の輝度を示す。制御装置は、所望の画像に近いものを与えるために低分解能光変調器の画素を設定する。このことは、例えば、低分解能光変調器の各画素に対応する画像領域の所望の輝度の平均値、または、重み付けされた平均値を決めることによって達成することができる。
【0044】
制御装置は、高分解能光変調器の画素を設定して、映し出される画像を所望の画像に近づける。このことは、例えば、所望の輝度を、低分解能光変調器から高分解能光変調器の対応する画素へ入射する光の既知の輝度で割ることによって行うことができる。光変調器を駆動させるための信号を生成するための処理は、制御装置39により即座に行ってもよいし、制御装置39またはその他の装置により先立って行い、そして、その画像データに統合してもよいし、または、ある処理を先立って行ってもよいし、そして、制御装置39が制御信号を生成するための最後の処理を行ってもよい。
【0045】
低分解能の画素が大きすぎると、視聴者から画像の中の明るい素子の周囲に円光が見えてしまうことがある。低分解能の画素は好ましくは、暗い背景の中の明るいパッチや、明るい背景の中の暗いスポットの見た目が、容認できないほど低下しないように、十分に小さい。低分解能光変調器の各画素に対して、高分解能光変調器上には約8?144個の、より好ましくは、約9?36個の画素を備えていることが、今のところ実用的であると考えられる。
【0046】
画像中の点の輝度を調節することができる画素42,44の段階の大きさは必ずしも等しくはない。低分解能光変調器の画素は、高分解能光変調器よりも粗い段階で光の強度を調節してもよい。例えば、低分解能光変調器は1?512単位の強度範囲を持つ各画素の光強度を8段階で調節可能にしてもよく、一方、高分解能光変調器は同様の範囲を持つ各画素の光強度を512段階で調節可能にしてもよい。図5において、画素42,44は両方とも四角形として図示されているが、必ずしもこのようでなくてもよい。画素42及び/又は44は、他の形、例えば、長方形、三角形、六角形、円形、楕円形等であってもよい。
【0047】
低分解能光変調器の画素は、望ましくは、多少拡散した光を放ち、光が低分解能光変調器の画素を横切るのに伴い、光の強度が確実にかつなだらかに変化する。図7に示すように、これは、低分解能光変調器の各画素からの光が隣接した画素に広がる場合である。図7Aに示すように、低分解能光変調器の画素の強度プロフィールは、しばしば、画素の有効幅に等しい幅d_(1)を持つ方形プロフィール(rectangular profile)が畳み込まれたガウス分布関数によって近似することができる。分布関数は、好ましくは、0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を持ち、ここで、d_(2)は画素間の中心から中心までの距離であり、所望の円滑に変化する光強度を得る。典型的に、d_(1)はd_(2)にほぼ等しい。
【0048】
図5の実施形態において、各画素42は3つのサブ画素43R,43G,43Bからなっている(明瞭にするため,図5は、いくつかの画素42のサブ画素を省略している)。サブ画素43R,43G,43Bは、独立にアドレス指定ができる。それらは、第2の光変調器20に組み込まれている赤、緑、青のカラーフィルタとそれぞれ関連している。多数のカラー・サブ画素を有し、本発明に用いるのに適当なLCDパネルの様々な構成は技術的に公知である。
【0049】
反射投影型表示装置(例えば、図4の表示装置10C)において、第1の光変調器16をカラー情報を提供する高分解能光変調器とすることや、光変調器36をモノクローム光変調器とすることは、一般的に最も実用的である。光変調器36は、その素子の境目が視覚的に気になるパターンを形成しないような、かなり小さなアドレス可能な素子を持つ。例えば、光変調器36はプロジェクタ37と同じ数のアドレス可能な素子を備えていてもよい(しかし、このような素子は、プロジェクタ37の光変調器16の対応する素子よりも、一般的にかなり大きな寸法を持つであろう)。
【0050】
プロジェクタ37は、どのような適宜の構成を持っていてもよい。必要なことは、プロジェクタ37が、スクリーン34上に画像を結像するために、空間的に変調された光を投影することができることだけである。図6は、発明の更なる別の実施形態に係る表示システム10Dを図示している。システム10Dは、図4を参照して、先に述べられたような集積光変調器36を有するスクリーン34を備えている。システム10Dは、3色のそれぞれに分かれた光変調器16R,16G,16Rを有するプロジェクタ37を備えている。各光変調器16R,16G,16Rにより変調された光は、3つのカラーフィルタ47R,47G,47Bうちの対応する1つのフィルタによりフィルタにかけられる。変調された光は光学系17によりスクリーン34上に投影される。1つの光源12で、3つの光変調器16R,16G,16Bの全てに光を供給してもよいし、別々の光源(図示せず)で供給してもよい。
【0051】
前記開示を考慮に入れて当業者には明らかなように、多くの変更例や改良が、その精神や範囲から逸脱することなく、本発明の実施において可能である。例えば、
・拡散器22とコリメータ18とを一体化してもよい。
【0052】
・拡散器22とコリメータ18との順序を逆にしてもよい。
・光の拡散及び/又は平行化を行うために、多数の協同素子を設けてもよい。
・スクリーン23の、第2の光変調器20、コリメータ18、拡散器22の順序を変更してもよい。
【0053】
・第1の光変調器16を駆動する信号38Aは、第2の光変調器20を駆動するデータと同じデータから構成されていてもよいし、異なるデータから構成されていてもよい。
従って、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される要旨に従って解釈されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の概略図。
【図1A】図1の表示装置の具体的な実施例の概略図。
【図2】4つの空間光変調器を備える、本発明の一変形例に基づく表示装置の概略図。
【図3】本発明の更なる実施形態に係る透過投影スクリーンの概略図。
【図4】本発明の更なる実施形態に係る反射投影型表示装置の概略図。
【図5】本発明に係る表示装置における、高分解能空間光変調器の画素と、低分解能空間光変調器の画素との間の可能な関係を説明する図。
【図5A】他の光変調器よりも低い分解能を持つ光変調器を備えることの影響を説明するための図。
【図6】別のプロジェクタ構造を持つ反射投影型カラー表示装置の概略図。
【図6A】図6のカラー表示装置の反射投影スクリーンの部分拡大断面図。
【図6B】図6のカラー表示装置の反射投影スクリーンの部分拡大断面図。
【図7】低分解能光変調器の画素から高分解能光変調器上に結像された光が、どのように重なり合って、滑らかな光強度の変化を与えるかを説明するグラフ。
【図7A】光変調器の画素の画像に対する位置により光強度の変化が、どのように方形プロフィールと分布関数との畳み込みとして表現され得るかを説明するグラフ。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、
制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器であって、第1の空間光変調器の画素毎に、複数の対応する画素を有する第2の空間光変調器と、
第1及び第2の空間光変調器の各々を駆動すべく接続された制御装置であって、第1の制御信号を供給して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を提供し、第2の制御信号を供給して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成されている制御装置と、
拡散器と、
前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え、
前記第2の空間光変調器において、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、表示装置。
【請求項2】
前記制御装置は、第2の空間光変調器の前記画素を制御して、第1の空間光変調器の各画素が、第2の空間光変調器の複数の画素に共通であるということから生じる影響を低減するように構成される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御装置は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を決定し、前記決定された強度に基づいて第2の空間光変調器の前記画素を制御するように構成されている、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の制御信号は、第1の空間光変調器の前記画素に対応する画像領域の複数の所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与するように、第1の空間光変調器の前記画素の各々を制御する、請求項1?3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2の制御信号は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の画素上に照射された光の既知の強度で除算された所望の輝度値に基づく量により、前記画素に入射した光を変調するように、第2の空間光変調器の画素の各々を制御する、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1及び第2の制御信号を瞬時に生成するように構成される、請求項1?5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記所望の画像を定義する画像信号を受信するように更に構成され、前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部が前記制御装置による前記画像信号の前処理に基づく、請求項1?6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々は、前記第2の空間光変調器上に光の分布を形成し、第1の空間光変調器の近接する画素から生じる、第2の空間光変調器上の光の前記分布は互いに重なり合う、請求項1?7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2の空間光変調器は前記第1の空間光変調器より大きな面積を有する請求項1?8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の空間光変調器の各々の対応する前記画素の両方が、最大輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度と、第1及び第2の空間光変調器の各々の対応する画素の両方が、最小輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度との比が1000:1を超える、請求項1?9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1及び第2の各空間光変調器の対応する画素の両方が、最大輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度と、第1及び第2の各空間光変調器の対応する画素の両方が、最小輝度を得るように設定された場合の表示スクリーン上の点の輝度との比が1500:1を超える、請求項1?10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1の空間光変調器から投影される光を平行にするように配置されたコリメータを備える、請求項1?11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記コリメータはフレネル・レンズを含む、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記コリメータはホログラフィック・レンズを含む、請求項12に記載の表示装置。
【請求項15】
前記第1の空間光変調器はカラー空間光変調器を含む、請求項1?14のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項16】
前記第2の空間光変調器の各画素は、複数のカラー・サブ画素を含む、請求項1?15のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第1の空間光変調器と前記第2の空間光変調器との間に設けられた、1つ以上の追加された光変調段を含む、請求項1?16のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項18】
前記1つ以上の追加された光変調段の各々は、コリメータと、前置の空間光変調器により光が投影される空間光変調器とを含む、請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
前記1つ以上の追加された光変調段の各々は拡散器を含む、請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
方法であって、
制御可能な量の光を独立に投影するように構成される複数の画素を有する第1の空間光変調器と、制御可能な量の光を独立に透過するように構成される複数の画素を有する第2の空間光変調器と、拡散器と、前記第1の空間光変調器によって投影された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって投影された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを備え、第1の空間光変調器の画素毎に、第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有する、制御可能な表示装置を制御するための方法であって、
第1の空間光変調器の画素を制御して、所望の画像の近似を提供すること、
第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正すること
を備え、
前記所望の画像の近似は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、前記第1の空間光変調器の複数の画素の各々によって変調された光の分布を含む、方法。
【請求項21】
第2の空間光変調器の画素を制御して、前記近似の画像を補正することは、第1の空間光変調器の各画素が、第2の空間光変調器の複数の画素に共通するという事実から生じる影響を低減することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を決定すること、
前記決定された強度に基づいて第2の空間光変調器の前記画素を制御することを備える、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
第1の空間光変調器の画素の各々を制御して、第1の空間光変調器の前記画素に対応する画像領域の複数の所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与することを備える、請求項20?22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
第2の空間光変調器の画素を制御して、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の画素上に照射された光の既知の強度で除算された所望の輝度値に基づく量により、前記画素に入射した光を変調することを備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第1及び第2の空間光変調器を瞬時に制御することを備える、請求項20?24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記所望の画像を定義する画像信号を受信すること、
前記画像信号を前処理すること、
前記画像信号を前記前処理することの少なくとも一部に基づいて、前記第1及び第2の空間光変調器の画素の少なくとも一つを制御すること
を備える、請求項20?25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
表示器制御装置であって、
第1の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光出力を制御し、
画素の第1のアレイによる発光により照射される第2の空間光変調器の複数の独立に制御可能な画素の光透過を制御するように前記第1及び第2の空間光変調器に接続可能であり、前記第1の空間光変調器の各画素に対して、前記第2の空間光変調器は複数の対応する画素を有し、表示器は拡散器と、前記第1の空間光変調器によって出力された光が前記拡散器を通過して前記第2の空間光変調器に達するように、前記第1の空間光変調器によって出力された光を前記拡散器と前記第2の空間光変調器とに投影する光学系とを有し、
第1の制御信号を生成して第1の空間光変調器の画素を制御することにより所望の画像の近似を第2の空間光変調器に生じさせ、
第2の制御信号を生成して第2の空間光変調器の画素を制御することにより前記近似の画像を補正するように構成され、
前記第1の制御信号は、d_(2)が第1の空間光変調器の近接する画素によって変調される光の分布について第2の空間光変調器上の中心間の距離であるときに0.3×d_(2)?3×d_(2)の範囲の半値全幅を有する拡散関数を含む、前記第2の空間光変調器上に光の分布を有する前記所望の画像の前記近似を生じさせる、制御装置。
【請求項28】
前記制御装置は、第2の空間光変調器の前記画素を制御して、第1の空間光変調器の各画素が、第2の空間光変調器の複数の画素に共通であるということから生じる影響を低減するように構成される、請求項27に記載の制御装置。
【請求項29】
前記制御装置は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の各画素へ入射する光の強度を決定し、前記決定された強度に基づいて第2の空間光変調器の前記画素を制御するように構成されている、請求項27または28に記載の制御装置。
【請求項30】
前記第1の制御信号は、第1の空間光変調器の前記画素に対応する画像領域の複数の所望の輝度値の平均、または、重み付けされた平均である輝度に寄与するように、第1の空間光変調器の前記画素の各々を制御する、請求項27?29のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項31】
前記第2の制御信号は、第1の空間光変調器から第2の空間光変調器の画素上に照射された光の既知の強度で除算された所望の輝度値に基づく量により、前記画素に入射した光を変調するように、第2の空間光変調器の画素の各々を制御する、請求項30に記載の制御装置。
【請求項32】
前記制御装置は、前記第1及び第2の制御信号を瞬時に生成するように構成される、請求項27?31のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項33】
前記制御装置は、前記所望の画像を定義する画像信号を受信するように更に構成され、前記第1及び第2の制御信号の少なくとも一つの少なくとも一部が前記制御装置による前記画像信号の前処理に基づく、請求項27?32のいずれか1項に記載の制御装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-08-03 
結審通知日 2016-08-05 
審決日 2016-08-17 
出願番号 特願2002-568092(P2002-568092)
審決分類 P 1 113・ 121- ZDA (G03B)
P 1 113・ 16- ZDA (G03B)
P 1 113・ 537- ZDA (G03B)
P 1 113・ 536- ZDA (G03B)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 北川 創  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 井口 猶二
松川 直樹
登録日 2009-07-31 
登録番号 特許第4348409号(P4348409)
発明の名称 高ダイナミック・レンジ表示装置  
代理人 恩田 誠  
代理人 本田 淳  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 博宣  
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