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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1324162
審判番号 不服2015-21579  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-04 
確定日 2017-01-18 
事件の表示 特願2012-158378「アッセイ装置、方法および試薬」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月22日出願公開、特開2012-230122〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成18年12月21日を国際出願日とする出願である特願2008-547613号(パリ条約による優先権主張 2005年12月21日(US)米国(60/752,745)、2005年12月21日(US)米国(60/752,513)、2006年12月21日(US)米国(11/642,968))の一部を平成24年7月17日に新たな特許出願としたものであって、平成26年1月15日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、同年7月22日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月26日付けで最後の拒絶理由が通知され、これに対して、平成27年7月6日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年7月29日付けで同年7月6日付けの手続補正について却下の決定がなされ、同日付で拒絶査定がなされた。
これに対して、平成27年12月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正書が提出され、さらに、平成28年7月14日に上申書が提出された。

第2 本願発明

平成27年12月4日付けでなされた手続補正は、実質的に、補正前の請求項1?5を削除し、補正前の請求項6のうち、請求項1を引用する請求項4及び5を引用したものを補正後の請求項1とし、請求項2を引用する請求項4及び5を引用したものを補正後の請求項2とし、請求項3を引用する請求項4及び5を引用したものを補正後の請求項3として整理した上で(請求項の削除)、補正前の請求項1の「プローブホルダー」との記載を「プローブガイド」と補正し、補正前の請求項3の「前記プローブが二つの平行のもしくは同軸で垂直なチューブ要素」との記載を「前記プローブが二つの平行のチューブ要素もしくは二つの同軸で垂直なチューブ要素」と補正したもの(明りょうでない記載の釈明)であるから、特許法第17条の2第5項第1号及び第4号に掲げる請求項の削除及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものといえる。

したがって、本願の請求項1?3に係る発明は、審判請求時の補正要件を満たし、平成27年12月4日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「 【請求項1】
液体ディスペンサーを用いてコンテナに流体を加えるおよび/もしくはコンテナから流体を抜き取る方法であって、
前記液体ディスペンサーが、
垂直のチューブ要素を備えたピペッティングプローブと、
前記チューブ要素を垂直方向に支持するプローブガイドにおいて、前記プローブガイドが、前記チューブ要素が完全に伸長した位置と完全に引っ込んだ位置との間を前記ガイド中で垂直に移動することが出来るように設定されるプローブガイドと、
前記チューブ要素を前記完全に伸長した位置へと偏在させる前記チューブ要素とプローブガイドとに連結したバネ要素と、
前記プローブを上に上げたり下にさげたりさせる、前記プローブガイドに取り付けられた垂直の平行移動ステージと、
を備え、
ここで前記コンテナが貫通可能なプレートシールでシールされ、
前記方法が、
前記ピペッティングプローブが前記シールに接触するまで前記平行移動ステージを下に下げるステップと、
前記チューブ要素が前記バネを押し、前記完全に引っ込んだ位置へとなるように前記プローブガイド内に引き込まれるようになるように、前記平行移動ステージを下に下げることを継続するステップと、
前記ピペッティングプローブが前記プレートシールを貫通し、前記チューブ要素が前記完全に伸長した位置へと戻るようになるように、前記平行移動ステージを下に下げることを継続するステップと、
前記平行移動ステージを前記プローブが前記コンテナの底部表面に触れるまで下げることによって前記ピペッティングプローブを前記コンテナ内へ向けて下げるステップと、
前記平行移動ステージを下げることを継続して、前記チューブ要素が前記バネを押して、前記プローブガイド内に引き込まれて前記完全に伸長した位置と完全に引っ込んだ位置との間の位置になるようにするステップと、
前記ピペッティングプローブを介して前記コンテナに流体を加えるステップおよび/もしくは前記コンテナから流体を抜き取るステップと、
前記平行移動ステージを上に上げることで前記コンテナの外へ前記ピペッティングプローブを持ち上げるステップと、
を含有する、方法。」


第3 引用例の記載事項及び引用例に記載された発明

原査定の理由で引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である、特開2004-325398号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、参考のために当審で付与した。)。

1 引用例1の記載事項
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フローサイトメーターやその原理を応用した装置に溶液サンプルを吸入する過程において、安定に連続供給するのに用いられる連続吸入用ニードル、及びこの連続吸入用ニードルを備えた連続吸入装置に関する。」

(2)「【0020】
第2に、本発明は連続吸入用ニードルを備えた連続吸入装置の発明であり、上記の連続吸入用ニードルを有する吸入部が上下動可能であり、吸入する溶液サンプルの入ったマイクロプレートが前後左右に動かすことが可能である連続吸入装置において、前記上下動可能な吸入部が弾性体を備え、前記連続吸入用ニードルの上下動に緩衝性が付与されたことを特徴とする。
【0021】
連続吸入用ニードルの上下動に緩衝性が付与されたことで、連続吸入用ニードルやマイクロプレートの破損や消耗を防ぎ、底面の高さが異なるマイクロプレートにおいても連続吸入用ニードルの高さ調整を必要としない。又、マイクロプレートの高さを微調整する必要がない。」

(3)「【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の連続吸入用ニードル及び連続吸入用ニードルを備えた連続吸入装置の全体構造を示す概略図である。この連続吸入装置は、下部に連続吸入用ニードル11を装着したニードル固定部材12、吸入した溶液サンプルを測定装置に送るための溶液サンプル供給用チューブ17、ニードル固定部材12をZ軸方向に駆動するZモータ13Z、XY可動台14、XY可動台14をX軸方向に駆動するXモータ13X、Y方向に駆動するYモータ13Yを備える。
【0027】
XY可動台14上には、フローサイトメーターやSAT技術を応用した装置で測定するための細胞やマイクロビーズを含む溶液サンプルが入った多数のウエルを有するマイクロプレート15、また測定後に出る廃液を入れる廃液槽16a、次の溶液サンプルを吸入する前に連続吸入用ニードルを洗浄するための超音波洗浄装置16bが載置されている。連続吸入用ニードル11としては、本発明の連続吸入用ニードルが用いられ、ニードル固定部材12としては、本発明のスプリングを備えたニードル固定部材が用いられる。
【0028】
XY可動台14のX方向位置及びY方向位置をXモータ13X及びYモータ13Yにより正確に制御し、ニードル固定部材12のZ方向位置をZモータ13Zにより制御することで、マイクロプレート15に入っている溶液サンプルを連続して吸入することを可能にする。連続して吸入する場合、連続吸入用ニードル11の内部や先端の外壁に直前に測定を行った溶液サンプルが付着しているため、まず溶液サンプル供給用チューブ17から洗浄液を連続吸入用ニードル11に通して廃液槽16aに廃液を出した後、連続吸入用ニードル11の先端を超音波洗浄装置16bに浸して洗浄を行うことで、溶液サンプルの混入を防ぐ。
【0029】
図2は、本発明による連続吸入用ニードルの先端形状を示す側面図及び底面図である。連続吸入用ニードル11の先端は、円錐形から中心軸に垂直な面でカットされており、さらに先端面において中心に向かって溝がある形状である。前記溝は、基本的に中心に空けられた穴まであれば良く、その一例としてそれぞれが直角に交わるように削り出した2本のV字溝21が示めされる。図2に示される連続吸入用ニードルを用いることにより、連続吸入用ニードルの中心軸がウエルの中心軸を離れた場合でも損傷され難く、又ウエルの底面近くの溶液サンプルを吸入することができる。
【0030】
本実施例では、先端の円錐形側面と中心軸に垂直な面との角度を約60゜とし、円錐形から中心軸に垂直な面でカットされた面の直径を連続吸入用ニードルの直径の約半分とした。先端部の円錐側面は中心軸と直交する平面と45゜?80゜の範囲の角度で交わることが好ましい。また連続吸入用ニードルの直径は、1.0?2.0mmの範囲、中心軸に垂直な面でカットされた面の直径は、0.4?1.6mmの範囲であることが好ましい。
【0031】
図4は、本発明の連続吸入用ニードル11を備えた連続吸入装置のニードル固定部分を示す。図4(a)はニードル固定部分の側面図であり、図4(b)はニードル固定部分の断面図である。図4を用いて、弾性体としてスプリング41を備えたニードル固定部材12の形状について説明する。連続吸入用ニードル11、ニードル固定部材12、溶液サンプル供給用チューブ17は、Z方向位置をZモータ13Zにより制御され連動している。たとえ連続吸入用ニードル11がマイクロプレート15等に接地してしまったとしても、ニードル固定部材12にスプリングが備えてあることで、連続吸入用ニードル11の先端にかかる圧力を軽減させることができる。
【0032】
図5、図6を用いて、複数種類のマイクロプレートから溶液サンプルを吸入する方法の一例を説明する。マイクロプレートには、V字型マイクロプレートやU字型マイクロプレート等様々なマイクロプレートが販売されているが、本実施例では連続吸入によく用いられる平底型マイクロプレート51とPCR専用マイクロプレート61について説明する。
【0033】
図5は、連続吸入用ニードルで平底マイクロプレート内の溶液サンプルを吸入する際の模式図である。図5(a)は連続吸入用ニードルがマイクロプレート底面まで達していない図であるが、溶液サンプルを最後まで吸入することが出来ない問題がある。図5(b)は先端がフラットな従来の連続吸入用ニードルがマイクロプレート底面まで達している図であるが、溶液サンプルを全く吸入することが出来ない問題がある。図5(c)は本発明による連続吸入用ニードルがマイクロプレート底面まで達している図であり、図5(d)のように中心へ向かって溝があるあるため、最後まで溶液サンプルを吸入することが出来る。」

(4)図1には、以下の図面が示されている。


(5)図4には、以下の図面が示されている。


2 引用例1に記載された発明の認定
上記1の(1)?(5)を含む引用例1全体の記載を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「連続吸入用ニードルを備えた連続吸入装置を用い、マイクロプレートから溶液サンプルを吸入する方法であって、
この連続吸入装置は、下部に連続吸入用ニードル11を装着したニードル固定部材12、吸入した溶液サンプルを測定装置に送るための溶液サンプル供給用チューブ17、ニードル固定部材12をZ軸方向に駆動するZモータ13Z、XY可動台14、XY可動台14をX軸方向に駆動するXモータ13X、Y方向に駆動するYモータ13Yを備え、
XY可動台14上には、フローサイトメーターやSAT技術を応用した装置で測定するための細胞やマイクロビーズを含む溶液サンプルが入った多数のウエルを有するマイクロプレート15、また測定後に出る廃液を入れる廃液槽16a、次の溶液サンプルを吸入する前に連続吸入用ニードルを洗浄するための超音波洗浄装置16bが載置されており、
XY可動台14のX方向位置及びY方向位置をXモータ13X及びYモータ13Yにより正確に制御し、ニードル固定部材12のZ方向位置をZモータ13Zにより制御することで、マイクロプレート15に入っている溶液サンプルを連続して吸入することを可能にするものであり、
ニードル固定部材12としては、スプリングを備えたニードル固定部材が用いられ、連続吸入用ニードル11、ニードル固定部材12、溶液サンプル供給用チューブ17は、Z方向位置をZモータ13Zにより制御され連動しており、たとえ連続吸入用ニードル11がマイクロプレート15等に接地してしまったとしても、ニードル固定部材12にスプリングが備えてあることで、連続吸入用ニードル11の先端にかかる圧力を軽減させることができるものであり、連続吸入用ニードルの上下動に緩衝性が付与されたことで、連続吸入用ニードルやマイクロプレートの破損や消耗を防ぎ、底面の高さが異なるマイクロプレートにおいても連続吸入用ニードルの高さ調整を必要とせず、又、マイクロプレートの高さを微調整する必要がないものであり、
連続吸入用ニードルで平底マイクロプレート内の溶液サンプルを吸入する際、連続吸入用ニードルがマイクロプレート底面まで達しているときに、中心へ向かって溝があるため、最後まで溶液サンプルを吸入することが出来るものである、
方法。」


第4 対比・判断

1 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「溶液サンプル」は、本願発明の「液体」及び「流体」に相当し、引用発明の「連続吸入用ニードルを備えた連続吸入装置」、「ウエルを有するマイクロプレート15」は、本願発明の「液体ディスペンサー」、「コンテナ」にそれぞれ相当する。
したがって、引用発明の「連続吸入用ニードルを備えた連続吸入装置」を用いて「ウエルを有するマイクロプレート15」から「溶液サンプルを吸入する方法」は、本願発明の「液体ディスペンサーを用いてコンテナから流体を抜き取る方法」に相当し、本願発明の「液体ディスペンサーを用いてコンテナに流体を加えるおよび/もしくはコンテナから流体を抜き取る方法」を満たす。

イ 引用発明の「連続吸入用ニードル11」は、上記第3の1(4)に示されているように、垂直方向に延びたものであるから、本願発明の「垂直のチューブ要素」に相当し、引用発明の「連続吸入用ニードル11」及び「連続吸入用ニードル11を装着したニードル固定部材12」からなる構成は、本願発明の「垂直のチューブ要素を備えたピペッティングプローブ」に相当する。

ウ 引用発明の「ニードル固定部材12」は、「スプリングを備えた」ものであるところ、上記第3の1(5)に示されているように、当該「スプリング」は、これを固定するための手段で保持されるものであることが明らかであり、また、当該「スプリング」を固定するための手段は、「ニードル固定部材12」とともに、「連続吸入用ニードル11」を垂直方向に支持するものであることも明らかである。
したがって、引用発明における、当該「連続吸入用ニードル11」を垂直方向に支持するための、「スプリング」を固定するための手段は、本願発明における「前記チューブ要素を垂直方向に支持するプローブガイド」に相当するものといえる。

エ 上記ウで説示した「スプリング」を固定するための手段は、「たとえ連続吸入用ニードル11がマイクロプレート15等に接地してしまったとしても、ニードル固定部材12にスプリングが備えてあることで、連続吸入用ニードル11の先端にかかる圧力を軽減させることができる」という機能を果たすために、上記第3の1(5)に示されているように、「連続吸入用ニードル11」及び「ニードル固定部材12」の上下動を許す構造を備えたものであることが明らかである。そして、当該上下動を許す構造が、「連続吸入用ニードル11」の、下方に完全に伸長した位置と完全に引っ込んだ位置との間での垂直移動を制限するものであることも、明らかである。
したがって、引用発明における、当該「連続吸入用ニードル11」を垂直方向に支持するための、「スプリング」を固定するための手段は、本願発明における「前記プローブガイドが、前記チューブ要素が完全に伸長した位置と完全に引っ込んだ位置との間を前記ガイド中で垂直に移動することが出来るように設定されるプローブガイド」に相当するものといえる。

オ 上記第3の1(5)に示されているように、引用発明の「スプリング」は、「連続吸入用ニードル11」を伸長した位置へと偏在させるように、当該「連続吸入用ニードル11」と、当該「スプリング」を固定するための手段とを、「ニードル固定部材12」を介して連結するものであることが明らかである。
したがって、引用発明の当該「スプリング」は、本願発明の「前記チューブ要素を前記完全に伸長した位置へと偏在させる前記チューブ要素とプローブガイドとに連結したバネ要素」に相当する。

カ 上記第3の1(4)に示されているように、引用発明は、「Zモータ13Z」により「ニードル固定部12をZ軸方向に駆動する」ための支持構造を具備するものであることは明らかであるから、引用発明の当該「Zモータ13Z」及び「ニードル固定部12をZ軸方向に駆動する」ための支持構造と、本願発明の「前記プローブを上に上げたり下にさげたりさせる、前記プローブガイドに取り付けられた垂直の平行移動ステージ」とは、「前記プローブを上に上げたり下にさげたりさせる、前記プローブガイドに取り付けられた垂直の移動ステージ」という点で共通するものといえる。

キ 引用発明は、「最後まで溶液サンプルを吸入する」ために、「連続吸入用ニードルがマイクロプレート底面まで達」するものであるから、「Zモータ13Z」及び「ニードル固定部12をZ軸方向に駆動する」ための支持構造により、「連続吸入用ニードルがマイクロプレート底面まで達」するまで、「連続吸入用ニードル11」を「Z軸方向」に「制御」するステップを有することが、明らかである。
したがって、引用発明の、「Zモータ13Z」及び「ニードル固定部12をZ軸方向に駆動する」ための支持構造により、「連続吸入用ニードルがマイクロプレート底面まで達」するまで、「連続吸入用ニードル11」を「Z軸方向」に「制御」するステップと、本願発明の「前記平行移動ステージを前記プローブが前記コンテナの底部表面に触れるまで下げることによって前記ピペッティングプローブを前記コンテナ内へ向けて下げるステップ」とは、「前記移動ステージを前記プローブが前記コンテナの底部表面に触れるまで下げることによって前記ピペッティングプローブを前記コンテナ内へ向けて下げるステップ」という点で共通する。

ク 引用発明において、「連続吸入用ニードルがマイクロプレート底面まで達」し、「スプリング」によって「連続吸入用ニードル11」の「上下動」の「緩衝性」が作用した状態では、「連続吸入用ニードル11」が下方に完全に伸長した位置と完全に引っ込んだ位置との間となることが明らかである。
そして、引用発明は、上記キで説示したとおり、「連続吸入用ニードルがマイクロプレート底面まで達」するまで、「連続吸入用ニードル11」を「Z軸方向」に「制御」するステップを有するものであって、当該ステップによって、「連続吸入用ニードルがマイクロプレート底面まで達」した状態、すなわち、「スプリング」によって「連続吸入用ニードル11」の「上下動」の「緩衝性」が作用した状態を実現し、結果として、「連続吸入用ニードル11」が下方に完全に伸長した位置と完全に引っ込んだ位置との間になることは明らかであるから、引用発明において、当該「連続吸入用ニードル11」を「Z軸方向」に「制御」し、「連続吸入用ニードルがマイクロプレート底面まで達」した状態を実現するステップと、本願発明において、「前記平行移動ステージを下げることを継続して、前記チューブ要素が前記バネを押して、前記プローブガイド内に引き込まれて前記完全に伸長した位置と完全に引っ込んだ位置との間の位置になるようにするステップ」とは、「前記移動ステージを下げることを継続して、前記チューブ要素が前記バネを押して、前記プローブガイド内に引き込まれて前記完全に伸長した位置と完全に引っ込んだ位置との間の位置になるようにするステップ」という点で共通するものといえる。

ケ 引用発明の「ニードル固定部材12」に固定された「連続吸入用ニードル11」を用いて「マイクロプレート15に入っている溶液サンプル」を「吸入する」ことは、本願発明の「前記ピペッティングプローブを介して前記コンテナから流体を抜き取るステップ」に相当し、本願発明の「前記ピペッティングプローブを介して前記コンテナに流体を加えるステップおよび/もしくは前記コンテナから流体を抜き取るステップ」を満たす。

コ 引用発明において、「溶液サンプル」の「吸入」が終了した後に、「測定後に出る廃液」を「廃液槽16a」に「入れる」ためや、「次の溶液サンプルを吸入する」ために、「Zモータ13Z」を駆動し、「連続吸入用ニードル11」及び「ニードル固定部材12」を上に上げる必要があること、及び、「マイクロプレート15」の「ウエル」外へ持ち上げる必要があることは、明らかである。
したがって、引用発明における、「Zモータ13Z」及び「ニードル固定部12」に取り付けられた支持構造により、当該「連続吸入用ニードル11」及び「ニードル固定部材12」を上に上げることと、本願発明における、「前記平行移動ステージを上に上げることで前記コンテナの外へ前記ピペッティングプローブを持ち上げるステップ」とは、「前記移動ステージを上に上げることで前記コンテナの外へ前記ピペッティングプローブを持ち上げるステップ」という点で共通する。


(2)以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「液体ディスペンサーを用いてコンテナに流体を加えるおよび/もしくはコンテナから流体を抜き取る方法であって、
前記液体ディスペンサーが、
垂直のチューブ要素を備えたピペッティングプローブと、
前記チューブ要素を垂直方向に支持するプローブガイドにおいて、前記プローブガイドが、前記チューブ要素が完全に伸長した位置と完全に引っ込んだ位置との間を前記ガイド中で垂直に移動することが出来るように設定されるプローブガイドと、
前記チューブ要素を前記完全に伸長した位置へと偏在させる前記チューブ要素とプローブガイドとに連結したバネ要素と、
前記プローブを上に上げたり下にさげたりさせる、前記プローブガイドに取り付けられた垂直の移動ステージと、
を備え、
前記方法が、
前記移動ステージを前記プローブが前記コンテナの底部表面に触れるまで下げることによって前記ピペッティングプローブを前記コンテナ内へ向けて下げるステップと、
前記移動ステージを下げることを継続して、前記チューブ要素が前記バネを押して、前記プローブガイド内に引き込まれて前記完全に伸長した位置と完全に引っ込んだ位置との間の位置になるようにするステップと、
前記ピペッティングプローブを介して前記コンテナに流体を加えるステップおよび/もしくは前記コンテナから流体を抜き取るステップと、
前記移動ステージを上に上げることで前記コンテナの外へ前記ピペッティングプローブを持ち上げるステップと、
を含有する、方法。」

(相違点1)
「移動ステージ」について、本願発明は、「垂直の平行移動」ステージであるのに対して、引用発明は、そのような構成を有するものであるか不明である点。

(相違点2)
本願発明は、「前記コンテナが貫通可能なプレートシールでシールされ」ており、「前記ピペッティングプローブが前記シールに接触するまで前記平行移動ステージを下に下げるステップ」と、「前記チューブ要素が前記バネを押し、前記完全に引っ込んだ位置へとなるように前記プローブガイド内に引き込まれるようになるように、前記平行移動ステージを下に下げることを継続するステップ」と、「前記ピペッティングプローブが前記プレートシールを貫通し、前記チューブ要素が前記完全に伸長した位置へと戻るようになるように、前記平行移動ステージを下に下げることを継続するステップ」とを有するものであるのに対して、引用発明は、そのような構成を有しない点。

2 判断
上記1(2)の(相違点1)及び(相違点2)について検討する。
(1)(相違点1)について
試料サンプリングの技術分野において、試料のサンプリングを行うプローブを、X軸、Y軸、Z軸方向に移動する手段(垂直の平行移動ステージ)で制御することは、以下に示すとおり、本願優先日前の周知技術である。
例えば、本願優先日前に頒布された刊行物である特表2002-525574号公報(以下、「周知例1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は、参考のために当審が付与した。)

ア「【0016】
好ましくは、この作業面は、従来様式で配列された複数容器を収容するように構成される。一般的にこの容器は、使用者により容易に置換され得るようにこの作業面上に配置される。代表的な容器形式には、矩形アレイに配列された96、384または1536ウェルを有するマイクロタイタープレートが挙げられる。この容器は開放または閉鎖され得る。例えば、96ウェルプレートは、穿孔可能カバー(例えばポリマーフィルム)でカバーされ得る。」

イ「【0019】
(B.サンプル移動デバイス)
本発明のプログラム可能サンプル移動デバイスは、サンプルを作業面座標(例えばサンプルウェル)から装填ウェルへ、特定の作業面座標と特定の装填ウェルとの間で一定の対応が無いように搬送するよう作用する。むしろ、作業面座標と装填ウェルとの間の対応は、サンプル移動デバイスを制御するプログラムにより制御される。本発明の重要な特徴において、作業面座標と装填ウェルとの間の対応は、複数注入分析の途中で変化され得る。従って、もし特定の装填ウェル、またはその関連のキャピラリーチューブが非操作となると、このサンプル移動デバイスは、その装填ウェルをバイパスし、操作装填ウェルへサンプルを堆積し得る。本発明のこの特徴は、特定のサンプルウェルとキャピラリーチューブとの間の一定の関係を具体化する既存の多チャネルキャピラリー電気泳動装置と対比的である。
【0020】
図1に示されるように、本発明に従った好ましいプログラム可能サンプル移動デバイス25は、(1)ロボットアーム50を含む多軸ロボット45、および(2)ロボットアーム上に配置された1つ以上のピペット56を含むピペットヘッド55を備える。
【0021】
(1.多軸ロボット)
好ましい実施態様の多軸ロボットは、2つ以上の軸に沿った運動を規定し得る任意の従来のプログラム可能ロボットであり得る。例えば、このロボットは、3つの直線軸(例えばx,yおよびz軸)または直線および回転軸(例えばr,θおよびω軸)の組み合わせを有する3軸ロボットであり得る。好ましくはこの多軸ロボットは、3つの直線軸を有する3軸ロボットである。」

ウ 図1には、以下の図面が記載されている。


すなわち、試料のサンプリングを行うプローブを、X軸、Y軸、Z軸方向に移動する手段(垂直の平行移動ステージ)で制御することは、周知例1(上記ア?ウを参照)に記載されているように、本願優先日前の周知技術である。
ここで、引用発明は、「連続吸入用ニードル11」と「マイクロプレート15」との3次元的な移動制御を、「XY可動台14をX軸方向に駆動するXモータ13X、Y方向に駆動するYモータ13Y」と「ニードル固定部材12をZ軸方向に駆動するZモータ13Z」とで実現しようとするものであるが、この構成に代えて、同じく3次元的な移動制御である周知例1に記載された前記周知技術を採用し、「垂直の平行移動ステージ」を用いることは、配置にかかるコストや試料サンプリングのスループット等を考慮して、当業者が適宜為し得たことである。
したがって、引用発明において、前記周知例1に記載された技術を参酌し、上記(相違点1)の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)(相違点2)について
ア 試料サンプリングの技術分野において、試料保存のために、試料を収容するコンテナの蓋部に貫通可能なシールを設けること、及び、このコンテナ内の試料をサンプリングするために、ピペッティングプローブを下に下げて当該シールを貫通させることは、以下に示すとおり、本願優先日前の周知技術である。
例えば、本願優先日前に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2005/0223822号明細書(以下、「周知例2」という。)、特開平8-301322号公報(以下、「周知例3」という。)、特表2003-522318号公報(以下、「周知例4」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は、参考のために当審が付与した。)

イ 周知例2の記載事項
(ア)「[0001] The invention generally relates to techniques for assaying sample liquids, and more specifically to physical transfer of a small sample of fluid from a sealed volume. 」
(当審訳)
「[0001] 本発明は、一般的に、サンプル流体を分析するための技術に関し、より詳細には、シールされた容積からの少量の流体サンプルの物理的な移送に関する。」

(イ)「[0005] To further process the samples sealed in the microplate wells, it is often required to transfer a given sample from the microplate to an analyzer, such as a mass spectrometer and/or a chromatography column. This can be accomplished by puncturing the seal of a particular well and aspirating the sample from the well to the desired destination.
[0006] However, problems arise when attempting to remove the sample from its respective well. To aspirate the sample from the well, a tube having a small diameter compatible with the size of the well is required. If the tube is too flexible, such as a tube made of Teflon, the tube will not be able to puncture the seal covering the well. Instead, upon contacting the seal, the Teflon tube will simply bend.
[0007] Alternatively, a tube made of a material capable of puncturing the seal, such as stainless steel, often is not chemically compatible. A major concern in maximizing sample throughput is the elimination of sample-to-sample carryover. Stainless steel is not a particularly bio-inert substrate and tends to strongly adsorb hydrophobic compounds in its surface. Hence, prior to aspirating the next sample, a stainless steel syringe must be thoroughly washed to prevent carryover of sample. When dealing with a large number of samples, the additional time required to thoroughly wash the stainless steel syringe, compared to a syringe made of a bio-inert substrate, can become a time consuming limitation on the system. To minimize carry-over, various hydrophobic surface coatings may be applied to the surface of the syringe, however the durability of these surface coatings is limited. 」
(当審訳)
「[0005] マイクロプレートのウェルにおいてシールされたサンプルをさらに処理するために、質量分析計および/またはクロマトグラフィーカラムのような分析器に、マイクロプレートから試料を移送することが、しばしば要求される。これは、特定のウェルのシールに穴をあけ、ウェルから所望の目的地まで試料を吸引することによって達成することができる。
[0006] しかし、そのそれぞれのウェルから試料を除去しようとするときに問題が生じる。サンプルをウェルから吸引するため、ウェルのサイズに適合する小さな直径を有する管が必要とされる。チューブが柔軟すぎると、テフロン(登録商標)製の管のような管は、ウェルを覆うシールを穿刺することができない。その代わりに、シールと接触した際に、テフロンチューブが容易に曲がるであろう。
[0007] あるいは、ステンレス鋼のような、シールを穿刺することができる材料で作られた管は、しばしば化学的に適合性がない。試料スループットの最大化における主な問題点は、試料間キャリーオーバーの除去である。ステンレス鋼は、特に生体不活性な基質ではなく、その表面における疎水性化合物を強く吸着する傾向がある。従って、次のサンプルを吸引する前に、ステンレス鋼シリンジを完全に洗浄した試料の持ち越しを防止しなければならない。多数のサンプルを処理する場合、このステンレス鋼シリンジを完全に洗浄する必要とされるさらなる時間は、生物不活性基材で作られた注射器と比較して、システムにおける時間を消費する制限となり得る。キャリーオーバーを最小化するために、様々な疎水性表面コーティングは、注射器の表面に適用することができるが、これらの表面コーティングの耐久性が制限される。」

(ウ)「[0023] FIG. 1 shows a tube assembly 101 approaching a container 110, in accordance with one embodiment of the invention. The container 110 defines at least one volume capable of containing a sample 114 to be aspirated. In various embodiments, the container 110 may be a standard microplate that includes a plurality of small wells 112, as described above. For example, the microplate may have a dimension of 128 mm×86 mm×14 mm and include, without limitation, 96, 384, or 1536 wells having an opening well diameter between 1-7 mm and working volumes of, approximately, 2 μl to 300 μl. In other embodiments, the container 110 may be a platen that includes a plurality of through-hole wells which transverse the platen, as described in, for example, U.S. Pat. No. 6,387,331 and U.S. Patent Application 20020094533, the contents of which are incorporated herein by reference.
[0024] The volume containing the sample 114 to be aspirated has an opening that is initially closed by a seal 116. The seal 116 helps to preserve and prevent evaporation of the sample 114. In various embodiments, the seal 116 is made of a foil, such as aluminum foil, or a plastic. The seal 116 may be attached to the container 110 via a pressure sensitive adhesive and/or the seal 116 may be a heat seal that is attached by applying heat. Typically, a single seal 116 covers each well of a given microplate.
[0025] In various embodiments of the present invention, the tube assembly 101 includes an outer tube 103 and an inner tube 105. At least a portion of the inner tube 105 is positioned within the outer tube 103, and may be, without limitation, concentric with the outer tube 103. The outer tube 103 is used to pierce the seal 116 and preferably does not contact the sample 114, while the inner tube 105 is used to aspirate the sample 114 from the volume. 」
(当審訳)
「[0023] 図1は、容器110に接近する管アセンブリ101を示す、本発明の一実施形態である。容器110は、試料114を吸引することを含むことができる少なくとも1つの容積を規定する。様々な実施形態では、容器110は、小さな複数のウェル112を含む標準的なマイクロプレートであってもよい。例えば、マイクロプレートは、128mm×86mm×14mmの寸法を有し、限定されないが、1-7mmとの間の開口部ウェル直径と、約2?300μlの作動容積を有する96、384、又は1536個のウェルがある。他の実施形態では、例えば、U.S. Pat. No. 6,387,331 and U.S. Patent Application 20020094533(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、容器110は、プラテンを横断する貫通孔ウェルを備えるプラテンとすることができる。
[0024] 吸引されるべきサンプル114を収容する容積は、最初、シール116により閉鎖される開口部を有する。このシール116は、試料114の蒸発の維持及び防止に役立つ。様々な実施形態では、シール116は箔、アルミニウム箔、またはプラスチック製である。シール116は、感圧接着剤を介して、容器110に取り付けられ、および/または、シール116は、熱を加えることにより装着される熱シールであってもよい。典型的には、単一のシール116が、所定のマイクロプレートの各々のウェルを覆う。
[0025] 本発明の様々な実施形態において、管アセンブリ101は、外管103および内管105を含む。内側チューブ105の少なくとも一部分は、外管103内に配置され、非限定的に、同心の外側チューブ103とすることができる。外管103は、シール116を貫通するために使用され、サンプル114と接触しないのが好ましいが、内管105が容積からサンプル114を吸引するために使用される。」

(エ)「[0031] FIG. 2 is a diagram illustrating the tube assembly 101 of FIG. 1 in the piercing position, in accordance with one embodiment of the invention. In the piercing position, the end 108 of the inner tube 105 is retracted from the proximal end 107 of the outer tube 103. Thus, while in the piercing position, the tube assembly 101 and/or the container 110 can be moved so as to cause the proximal end 107 of the outer tube 103 to pierce the seal 116. 」
(当審訳)
「[0031] 図2は、穿孔位置にある図1の管アセンブリ101を示す図であり、本発明の一実施形態である。貫通位置において、内管105の端部108は、外側チューブ103の近位端107から退避させる。このように、貫通位置にある間、管アセンブリ101および/または容器110は、外管103の近位端107がシール116を穿孔させるように移動させることができる。」

(オ)「[0034] In various embodiments of the invention, the inner tube 105 is mechanically biased in the transmission position, such bias being normally overcome while the tube assembly 101 is in the piercing position. The mechanical bias may be based, for example, on the resiliency of the inner tube, as described in more detail below. In other embodiments of the invention, the bias mechanism may include other suitable means known in the art, such as a spring mechanism.
[0035] The mechanical bias may be overcome, for example, by moving the tube assembly 101 and the container 110 towards each other, as shown in FIG. 1. It is to be understood that either or both the tube assembly 101 and the container 110 can be moved. The inner tube 105 will make contact with the seal 116, and, in overcoming the bias, move into the piercing position, as shown in FIG. 2. After the outer tube 103 pierces the seal 116, the bias returns the tube assembly 101 to the transmission position. 」
(当審訳)
「[0034] 本発明の様々な実施形態において、内管105は、機械的に送信位置に付勢され、このような付勢は、管アセンブリ101が穿孔位置にある間、垂直に打ち負かされている。機械的な付勢は、例えば、内管の弾力性にでき、以下により詳細に記載されている。本発明の他の実施形態では、バイアス機構は、当技術分野で公知の他の適切な手段は、バネ機構などを含むことができる。
[0035] 機械的な付勢は、例えば、図1のように、管アセンブリ101と容器110とを互いに向かって動かすことによって打ち負かされる。管アセンブリ101と容器110とのいずれかまたは両方が移動されることが理解されるべきである。内管105はシール116と接触し、そして、この付勢を打ち負かしながら、穿刺位置に移動し、図2のようになる。外管103がシール116を貫通した後、この付勢は、管アセンブリ101を送信位置に戻す。」

(カ)「[0038] The inner tube 105 is made of a flexible and resilient material, and is capable of moving freely within the outer tube 103. The inner tube 105, in a resting state, protrudes through the proximal end 107 of the outer tube, such that the tube assembly 101 is in the transmission position. The resiliency of the inner tube 105 provides a mechanical bias in the transmission position. As the tube assembly 101 is lowered towards the container 110, the inner tube 105 makes contact with the seal 112. The inner tube 105 is consequently pushed upwards, overcoming the resiliency of the inner tube 105, such that the tube assembly 101 is placed in the piercing position. This may cause, for example, a portion of the inner tube 105 positioned between the distal end 506 of the outer tube 103 and the second end 504 of the inner tube 105 to flex.
[0039] When the tube assembly 101 is sufficiently lowered, the proximal end 107 of the outer tube 103 makes contact with the seal 116, and pierces through, the seal 116. Once the seal 116 is pierced, the tension that was built up in the inner tube 105 is released and the tube assembly 101 returns to the resting state/transmission position. Upon the inner tube 105 making contact with the sample 114, the sample 114 is aspirated through the inner tube 105 for further processing. 」
(当審訳)
「[0038] 内管105は、可撓性で弾性の材料で形成されており、外管103内を自由に移動することができる。内管105は、静止状態において、外管の近位端107を通って突出し、その結果、管アセンブリ101は、送信位置になる。内管105の弾性は、この伝達位置への機械的付勢を提供する。管アセンブリ101は、容器110に向かって下降させると、内管105は、シール112と接触する。内管105は、結果として、上方に押され、内管105の弾性力を打ち負かし、管アセンブリ101は、穿孔位置に配置される。これは、例えば、外側チューブ103の遠位端506との間に位置する内管105の部分および内管105の第2端部504を撓ませ得る。
[0039] 管アセンブリ101が十分に下降されると、外管103の近位端107は、シール116と接触し、そしてシール116を穿孔する。シール116が貫通されると、内管105に蓄積した張力が解放され、管アセンブリ101は、静止状態/送信位置に戻る。サンプル114と接触する内管105と、サンプル114は、さらなる処理のために内側チューブ105を介して吸引される。」

ウ 周知例3の記載事項
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば血液分注管のような有底筒状容器の開口部を、内容物である分析用血液のような検体を分取可能に封止する蓋体に関し、さらに詳しくは、検体の分取に際してチップの挿入と抜取が容易な開口部封止用蓋体に関するものである。」

(イ)「【0006】ところで本発明者は、以前、はめ込んで使用するタイプの蓋体に代わるものとして、中空針状体を突き刺し貫通可能な樹脂フィルム(例えば一軸延伸PPフィルム等)の片面にイージーピール性ヒートシール層を積層してなるフィルム状の開口部封止用蓋体を提案している(特願平7-5421号)。このフィルム状の開口部封止用蓋体は、はめ込んで使用する蓋体と異なり、容器が転倒などしても外れないので内容物が漏れず、蓋体を取り除かなくてもチップを突き刺すことによって検体を取り出すことができ、容易に蓋体を取り除いて検体全量を取り出すこともでき、また、使い捨てをしても安価である。」

(ウ)「【0025】図3(a)?(d)は、図1の蓋体101が破断する様子を示す説明図である。図3(a)においてチップ9が本発明の蓋体101で封止された容器開口部上に降下し、図3(b)においてチップ9の先端がハーフカット部内の任意の位置に到達し蓋体101を押し始める。この時、蓋体はチップの力によって若干伸びる。次に、図3(c)において、チップ9の降下が進むにつれてチップが蓋体を押す力が徐々に強くなっていくが、チップが蓋体を突き刺し貫通できるほどその力が強くなる前にハーフカットが破断し始める。そして、二次元的な広がりを持つチップ挿入口が形成される。
【0026】さらに、図3(d)において、チップ9が容器内の奥まで進入し、チップ先端が検体内に達し、検体11を吸い上げる。蓋体101のハーフカット部6は、容器内の最も深い進入位置に達した状態のチップの容器開口部の高さでの横断面、すなわち図3(d)ではA-A断面で示され、図1(a)では仮想線7で示された横断面がはみ出ない大きさを有している。このため、先細りのチップが進入していく際には、徐々にチップ挿入口が押し広げられてゆき、それに伴ってハーフカット2がチップの容器開口部の高さでの横断面と同じかそれ以上の大きさに徐々に破れていく。従って、チップ挿入口はチップの進入によって拡大される。また、容器内の最深部に達したチップを引き抜く際にチップ9を横方向に押す蓋体の力は、通常、可動性の高い破断片14から加えられる微弱な力だけである。」

(エ)図3には、以下の図面が示されている。


エ 周知例4の記載事項
(ア)「【請求項1】 試料採取個所で試料供与者から液体医学試料を採取し、次いで遠隔検査個所で分析するための試料容器において、頂部開口を形成する頂部を有する容器本体と、前記頂部に係止して液密封止により前記頂部開口を閉鎖するため、前記頂部に手動で着脱できる蓋とよりなり、前記蓋は、液体サンプル分取具のチップが手動で押されたときに該チップの鈍端により穿孔可能なエラストマー材料製の隔膜を有し、それにより前記チップが前記容器内に挿入されたときに液体試料を吸引できるようにし、前記エラストマー材料は、更に前記チップを容器から抜いたときに前記隔膜を通る液体に対して実質的に自己再封止状態とするように選択され且つ構成されている、試料容器。」

(イ)「【0001】
(発明の属する技術分野)
本発明は臨床検査の分野に関し、医学的な尿試料を採取し処理するのに使用される試料容器に関する。」

(ウ)「【0029】
改良された試料容器の他の利点は、同じ容器を使用して、最近に検査施設で使用されるようになっている自動尿分析器で処理できることである。装置は高価であり、近い将来では最大規模の検査施設のみがかかる投資を行うであろうことが期待される。小規模の検査施設はおそらくしばらくの間は上記のように尿試料の手動処理を続けるであろう。このような事情で、自動尿分析器のメーカーは現在使用されている尿試料容器と両立できる機械を設計することが工業的に有利であると考えている。現在製造されているように、このような尿分析器は試料容器の蓋を外すことにより容器を開け、そしてサンプルを吸引した後には容器を再封鎖するといった、自動装置のない臨床検査設備で実施されている手動操作を事実上模倣するように設計された自動装置である。自動臨床分析器の典型的なピペット装置は図4に示されている。細い金属管102が試料容器10からの分析サンプルを吸引して小貯器104に入れるためのサンプル分取ピペットとして使用される。ピペットの上端110は分析サンプルを容器10から吸引するための真空ライン(図示せず)に結合されている。ピペットの下端112は針先にようにカットされておらず、代わりにピペットの長さに対して直角に切断されている。
【0030】
標準の鈍端を有する金属ピペット102を使用する分析器での尿サンプル自動処理は、従来の隔膜のない尿試料容器に代えて本発明の改良型試料容器を使用することにより相当に能率化できる。現存する分析器の、試料容器の蓋を着脱する装置(図示せず)は休止し、その代わりに分析器が、蓋14を所定位置に有する試料容器10を金属ピペットに露出させるように構成する。現存する分析器において、金属ピペットを空気又は油圧作動器106により図4のように点線位置から実線位置に下げて試料容器へにもたらす。作動器106は通常新規の試料容器10の隔膜18の中央32の最小厚領域に穿孔するに十分な駆動力を有する。新規な試料容器10の使用により、従来の自動サンプル分取器の機械サイクルは、容器蓋14の取り外しと再取り付けの必要性を回避することにより相当に短縮される。」

(エ)図4には、以下の図面が示されている。


オ 上記周知例2?4(上記イ?エを参照)に示されているように、試料サンプリングの技術分野において、試料保存のために、試料を収容するコンテナ(容器)の蓋部に貫通可能なシールを設けること、及び、このコンテナ内の試料をサンプリングするために、ピペッティングプローブを下に下げて当該シールを貫通させることは、本願優先日前の周知技術である。
したがって、引用発明において、試料保存、及び、試料サンプリングのために、周知例2?4に記載された周知技術を採用し、「マイクロプレート15」(コンテナ)に貫通可能なシール(プレートシール)を設け、「連続吸入用ニードル11」(ピペッティングプローブ)を下に下げて当該シールを貫通させることは、当業者が容易に為し得たことである。
そして、引用発明の「連続吸入装置」は、「スプリング」の作用によって「連続吸入用ニードルを有する吸入部が上下動可能」なものであるから、当該「連続吸入装置」の「連続吸入用ニードル」を下に下げて当該シールを貫通させる際に、当該「スプリング」を押し、「連続吸入用ニードル11」が完全に引っ込んだ位置へとなるように継続して下に下げることは、当該シールの貫通に必要な抗力の程度に応じて、当業者が適宜為し得たことである。また、引用発明において、当該シールを貫通した後に、「連続吸入用ニードル11」が完全に伸長した位置へと戻るようにすることは、「スプリング」が通常有する復元力を考慮すれば、当業者が通常為し得たことである。

カ よって、引用発明において、前記周知例2?4に記載された周知技術を参酌し、「前記コンテナが貫通可能なプレートシールでシールされ」る構成を採用し、「前記ピペッティングプローブが前記シールに接触するまで前記平行移動ステージを下に下げるステップ」と、「前記チューブ要素が前記バネを押し、前記完全に引っ込んだ位置へとなるように前記プローブガイド内に引き込まれるようになるように、前記平行移動ステージを下に下げることを継続するステップ」と、「前記ピペッティングプローブが前記プレートシールを貫通し、前記チューブ要素が前記完全に伸長した位置へと戻るようになるように、前記平行移動ステージを下に下げることを継続するステップ」とを行うこと、すなわち、上記(相違点2)の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

(3)そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知例1?4に記載された周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

3 小括
したがって、本願発明は、引用発明及び本願優先日前の周知例1?4に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第5 平成28年7月14日付けの上申書で提示された補正案について

1 上記第4で説示したとおり、本願発明は、引用発明及び本願優先日前の周知例1?4に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるが、平成28年7月14日に提出された上申書において、請求人は「補正案」として、以下の発明を提示しているため、これについても一応検討する。(下線は、本願の請求項1に対して補正案で追加された箇所を示す。)

「液体ディスペンサーを用いてコンテナに流体を加えるおよび/もしくはコンテナから流体を抜き取る方法であって、前記液体ディスペンサーが、
垂直のチューブ要素を備えたピペッティングプローブと、
前記チューブ要素を垂直方向に支持するプローブガイドであって、前記プローブガイドは、前記チューブ要素が完全に伸長した位置と完全に引っ込んだ位置との間で、前記ガイド中で垂直に移動することが出来るように構成された、プローブガイドと、
前記チューブ要素を前記完全に伸長した位置へと偏在させる、前記チューブ要素とプローブガイドとに連結したバネ要素と、
前記プローブを上に上げたり下にさげたりさせる、前記プローブガイドに取り付けられた垂直の平行移動ステージと、
を備え、前記コンテナが貫通可能なプレートシールでシールされているものにおいて、
前記方法が、
前記ピペッティングプローブの前記チューブ要素が前記プレートシールに接触するまで前記平行移動ステージを下に下げるステップと、
前記チューブ要素が前記バネ要素を押し、前記完全に引っ込んだ位置へと前記プローブガイド内に引き込まれるように、前記平行移動ステージを下に下げることを継続するステップと、
前記平行移動ステージを下に下げることを継続して、前記ピペッティングプローブの前記チューブ要素が前記プレートシールを貫通して、前記チューブ要素が前記完全に伸長した位置へと戻るようにするステップと、
前記平行移動ステージを前記プローブの前記チューブ要素が前記コンテナの底部表面に触れるまで下げることによって前記ピペッティングプローブの前記チューブ要素を前記コンテナ内へ下げるステップと、
前記平行移動ステージを下げることを継続して、前記チューブ要素が前記バネ要素を押して、前記プローブガイド内に引き込まれて前記完全に伸長した位置と完全に引っ込んだ位置との間の位置になるようにするステップと、
前記ピペッティングプローブの前記チューブ要素を介して前記コンテナに流体を加えるおよび/もしくは前記コンテナから流体を抜き取るステップと、
前記平行移動ステージを上に上げることで前記コンテナの外へ前記ピペッティングプローブの前記チューブ要素を持ち上げるステップとを含む、方法。」

2 当該補正案を要約すると、本願の請求項1において、日本語の表現を改めた上で、ピペッティングプローブの「チューブ要素」を用いてプレートシールを貫通させた後、当該「チューブ要素」を介して流体を加えたり抜き取ることを特定したものといえる。

3 しかしながら、ピペッティングプローブのチューブ要素を用いてシールを貫通させる技術は、周知例3?4(上記第4の2(2)ウ?エを参照)に示されているように、試料サンプリングの技術分野において、本願優先日前の周知技術であるから、引用発明1において、試料をサンプリングするために、当該周知例3?4に記載された周知技術を採用し、「チューブ要素」を用いてシールを貫通させるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
その余の点は、上記第4で既に検討したとおりである。

4 したがって、当該補正案で提示された発明も、引用発明及び本願優先日前の周知例1?4に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第6 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり、審決する。
 
審理終結日 2016-08-19 
結審通知日 2016-08-23 
審決日 2016-09-06 
出願番号 特願2012-158378(P2012-158378)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邊 吉喜渡邉 勇▲高▼見 重雄  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 田中 洋介
藤田 年彦
発明の名称 アッセイ装置、方法および試薬  
代理人 古谷 聡  
代理人 西山 清春  
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