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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1324651
審判番号 不服2015-11718  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-22 
確定日 2017-02-08 
事件の表示 特願2012-216677「携帯通信装置に触覚メッセージを提供する方法とシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 2月21日出願公開,特開2013- 38811〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2006年9月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2005年9月13日 米国)を国際出願日とする出願である特願2008-531272号の一部を,平成24年9月28日に新たな特許出願としたものであって,平成27年2月18日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年6月22日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ,その後,当審より,同年12月18日付けで拒絶理由が通知され,これに対し,平成28年3月22日付けで手続補正(以下,「本件補正」という。)がなされるとともに意見書が提出され,同年4月13日付けで最後の拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)が通知され,これに対し,同年8月19日付けで手続補正(以下,「本件補正2」という。)がなされるとともに意見書が提出されたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年8月19日付けの手続補正(本件補正2)を却下する。

[理由]
1.本件補正2
本件補正2は,補正前の特許請求の範囲に記載された請求項1を,次のように補正することを含むものである。
以降,本件補正2前の特許請求の範囲の請求項1を「補正前の請求項1」と称し,本件補正2後の特許請求の範囲の請求項1を「補正後の請求項1」と称する。

(補正前の請求項1)
「 携帯通信装置の無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベントと関連付けられる入力信号を,携帯通信装置が受信するステップと,
前記入力信号から触覚コードを抽出するステップと,
抽出された前記触覚コードの少なくとも一部に基づいて,前記無線サービス事業者に特有の触覚効果を出力するために前記携帯通信装置に結合したアクチュエータを動作させるように構成される,制御信号を決定するステップと,
前記制御信号を前記アクチュエータに出力することにより,前記携帯通信装置において触覚効果をユーザに出力するステップと,
を備え,
前記制御信号を決定するステップは,触覚コードを,それぞれが区別できる異なった触覚効果と関連付けられる複数の異なる制御信号の1つにマッピングしてから後に,メモリから前記マッピングされた制御信号を読み出すことを含み,
前記異なる制御信号の1つにマッピングすることは,少なくとも前記携帯通信装置の地理的な位置に基づき,前記異なる制御信号の各々は異なる地理的な位置に対応する,
方法。」

(補正後の請求項1)
「 携帯通信装置の無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベントと関連付けられる入力信号を,携帯通信装置が受信するステップと,
前記入力信号として,関連付けられるサービスキャリアイベントの少なくとも一部に基づいて,前記無線サービス事業者に特有の触覚効果を出力するために前記携帯通信装置に結合したアクチュエータを動作させるように構成される,制御信号を決定するステップと,
前記制御信号を前記アクチュエータに出力することにより,前記携帯通信装置において触覚効果をユーザに出力するステップと,
を備え,
前記制御信号を決定するステップは,前記関連付けられるサービスキャリアイベントを,それぞれが区別できる異なった触覚効果と関連付けられる複数の異なる制御信号の1つにマッピングしてから後に,メモリから前記マッピングされた制御信号を読み出すことを含み,
前記異なる制御信号の1つにマッピングすることは,少なくとも前記携帯通信装置の地理的な位置に基づき,前記異なる制御信号の各々は異なる地理的な位置に対応する,
方法。」

請求項1に係る本件補正2は,
(補正1)補正前の請求項1に記載の「前記入力信号から触覚コードを抽出するステップと,抽出された前記触覚コードの少なくとも一部に基づいて,前記無線サービス事業者に特有の触覚効果を出力するために前記携帯通信装置に結合したアクチュエータを動作させるように構成される,制御信号を決定するステップ」との構成を,「前記入力信号として,関連付けられるサービスキャリアイベントの少なくとも一部に基づいて,前記無線サービス事業者に特有の触覚効果を出力するために前記携帯通信装置に結合したアクチュエータを動作させるように構成される,制御信号を決定するステップと」との構成に変更する補正,及び
(補正2)補正前の請求項1に記載の「触覚コードを,それぞれが区別できる異なった触覚効果と関連付けられる複数の異なる制御信号の1つにマッピングしてから後に,メモリから前記マッピングされた制御信号を読み出すこと」との構成を,「前記関連付けられるサービスキャリアイベントを,それぞれが区別できる異なった触覚効果と関連付けられる複数の異なる制御信号の1つにマッピングしてから後に,メモリから前記マッピングされた制御信号を読み出すこと」との構成に変更する補正,
とからなる。(下線は,強調のために当審が付与。以降も同じ。)

2.補正の適否
事案に鑑みて,まず,補正の目的要件(特許法第17条の2第5項)について検討する。

補正1及び補正2は,いずれも,「触覚コード」を削除し,「サービスキャリアイベント」に変更する補正を実質的に含んでいる。
そして,後述の「第3 本件補正について」の「3.当審拒絶理由の判断」の「(3)補正事項について」に述べるように,「触覚コード」は,「サービスキャリアイベント」とは関連しないものであるから,「触覚コード」を削除し,「サービスキャリアイベント」に変更する補正は,発明の技術的事項を変更するものである。
よって,補正1及び補正2は,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的としたものではない。
また,補正1及び補正2は,同第1号の請求項の削除又は同3号の誤記の訂正を目的としたものではない。
また,当審拒絶理由においては,請求項1の記載が明りょうでない旨を理由とするものはないから,補正1及び補正2は,同第4号の明りょうでない記載の釈明(拒絶理由に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的としたものではない。
なお,請求人は,平成28年8月19日付けの意見書において,本件補正2が,出願当初の明細書等に記載した範囲内でしたものであることを述べるに留まり,他の補正要件についての適法性について何ら主張がない。

したがって,補正1及び補正2を含む本件補正2は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本件補正について
1.本件補正
以上のとおり,本件補正2は却下された。
そして,本件補正は,特許請求の範囲の請求項1に係る発明を,前記「第2 補正の却下の決定」の「1.本件補正2」において「補正前の請求項1」と認定したものとする補正を含むものである。

2.当審拒絶理由
当審拒絶理由の概要は,次のとおりである。

「 <<<< 最 後 >>>>

この審判事件に関する出願は,合議の結果,以下の理由によって拒絶をすべきものです。これについて意見がありましたら,この通知書の発送の日から3ヶ月以内に意見書を提出してください。

理 由

(新規事項)平成28年3月22日付け手続補正書でした補正は,下記の点で願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。



(1)(…中略…)以上より,前記アないしオから,「触覚コード」と「無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベント」との関連を見出すことはできないから,補正後の請求項1の記載において,「前記入力信号」すなわち「携帯通信装置の無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベントと関連付けられる入力信号」から「触覚コード」を抽出すること,を導き出すことはできない。
また,出願時の技術常識から,「携帯通信装置の無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベント」に関連付けられた「入力信号」から「触覚コード」を抽出できることが自明ともいえない。
よって,出願当初の明細書等の他の記載を参酌し,及び,出願時の技術常識を考慮しても,出願当初の明細書等の全体から,補正後の請求項1に係る,「携帯通信装置の無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベントと関連付けられる入力信号」から「触覚コード」を抽出すること,が記載されているとはいえない。
同様の記載事項を含む,補正後の請求項8及び13の記載についても同様である。

(…中略…)

<最後の拒絶理由通知とする理由>
この拒絶理由通知は,最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知するものである。

<出願日の遡及について>
上記(1)ないし(4)で指摘したいわゆる新規事項は,分割出願の基礎となる特願2008-531272号(原出願)の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内にもない。
よって,本願は,分割出願の要件を満たしていないから,出願日の遡及を認めない。
(以下省略)」

以上より,当審拒絶理由の趣旨は,
請求項1に「前記入力信号から触覚コードを抽出するステップ」すなわち,「携帯通信装置の無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベントと関連付けられる入力信号」から「触覚コード」を抽出すること(以下,「補正事項」という。)を追加することを含む本件補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない,というものである。

3.当審拒絶理由の判断
(1)「無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベント」について
願書に添付した明細書(以下,「出願当初の明細書」という。)には,次の記載がある。

ア 「【0024】
本発明の他の実施形態によれば,入力信号は,利用者の無線サービス事業者または無線サービスプランに特有のサービスキャリアイベントと関連付けてもよい。サービスキャリアイベントの通知は,利用者が通話を管理するために利用することを目的とする。サービスキャリアイベントは,サービス領域への移動,微弱キャリア信号,モバイルサービスプランによって割り当てられる時間の経過,ローミングアラート,携帯通信装置の電源投入および電源遮断を含む。
【0025】
特定のサービスキャリアイベントは,利用者がサービス事業者のネットワークの地理的範囲に関連している場所に依存してもよい。この実施形態の一例によれば,移動中の利用者は,サービス提供者のサービス領域に入るとき,特定強度の信号を受信するときまたはサービス提供者のサービス領域を離れるときに,特定の触覚効果を感知してもよい。かかる通知は,通話,電子メール,SMSメッセージなどをいつ発信または受信できるかを利用者に通知する。利用者がサービスキャリアネットワークの外側にいるとき,訪問先のネットワークにローミングしてもよく,あるいは訪問先のネットワークを利用してもよい。訪問先のネットワークの使用は,サービス事業者プロバイダと訪問先のネットワークとのローミング協定によって依存しうる。多くのサービスプランによって,ローミング通話は追加費用を招くため,利用者は,かかるローミングを通知する触覚効果の受信を望むと考えられる。この実施形態の別の例によれば,利用者は,サービスプランによる特定の時間を使い切ったとき,特定の触覚効果を感知してもよい。かかる通知は,携帯電話の使用および利用者が課金されるサービス料の追跡するために利用される。」

また,願書に最初に添付した特許請求の範囲(以下,「出願当初の特許請求の範囲」という。また,願書に添付した特許請求の範囲の請求項を,「出願当初の請求項」という。)には,次の記載がある。

イ 「【請求項7】
携帯通信装置によって,前記携帯通信装置の無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベントに関連する入力信号を受信するステップと,
前記サービスキャリアイベントのソースであって,前記無線サービス事業者に関連するグラフィカルフィーチャに関連付けられる前記ソースを判別するステップと,
前記判別されたソースに少なくとも部分的に基づくと共に,無線サービス事業者に特有の触覚効果を出力するための前記携帯通信装置のアクチュエータを動作させるように構成される制御信号を決定し,前記アクチュエータに前記制御信号出力し,それによって前記携帯通信装置で前記触覚効果を出力するステップと,
を含む方法。
【請求項8】
前記サービスキャリアイベントは,微弱キャリア信号を含む
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記サービスキャリアイベントは,モバイルサービスプランによって割り当てられる時間の増加を含む
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記サービスキャリアイベントは,ローミングアラートを含む
請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記サービスキャリアイベントは,特定の強度の信号を含む
請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記サービスキャリアイベントは,前記携帯通信装置の電源投入又は前記携帯通信装置の電源遮断を含む
請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記ソースを判別するステップは,前記無線サービス事業者を識別するステップを含む
請求項7に記載の方法。
【請求項14】
携帯通信装置によって,サービスキャリアイベントとユーザーインターフェースナビゲーションイベントとに関連する入力信号を受信するステップと,
前記携帯通信装置によって,前記サービスキャリアイベントと前記ユーザーインターフェースナビゲーションイベントとに少なくとも部分的に基づくと共に,触覚効果を出力するために前記携帯通信装置のアクチュエータを動作させるように構成される制御信号を判別するステップと,
前記携帯通信装置によって,前記アクチュエータに前記制御信号を出力し,それによって前記携帯通信装置において前記触覚効果を出力させるステップと,
を含む方法。
【請求項15】
前記サービスキャリアイベントは,前記携帯通信装置の電源投入又は電源遮断を含む
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ユーザーインターフェースナビゲーションイベントは,専用キーの操作又はお気に入りキーの操作を含む
請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記サービスキャリアイベントは,前記携帯通信装置の電源投入又は電源遮断を含み,
前記ユーザーインターフェースナビゲーションイベントは,専用キーの操作又はお気に入りキーの操作を含む
請求項14に記載の方法。」

前記ア及びイからすると,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「出願当初の明細書等」という。)の記載において,「無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベント」は,「無線サービス事業者」が「携帯通信装置」に提供する「無線サービス」に関する「イベント」(事象)であって,具体的には,前記アの【0024】にあるように,サービス領域への移動,微弱キャリア信号,モバイルサービスプランによって割り当てられる時間の超過,ローミングアラート,携帯通信装置の電源投入および電源遮断に関するイベントであり,利用者が通話を管理するために利用されるものである。
よって,出願当初の明細書等の記載において,「無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベントと関連付けられた入力信号」は,利用者が,通話を管理するために,「無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベント」が生じたことを「携帯通信装置」の利用者に通知するために入力される信号と解される。

(2)「触覚コード」について
出願当初の明細書には,次の記載がある。

ウ 「【0043】
本発明の一実施形態によれば,入力信号は,例えば,図1のアンテナ150およびトランシーバ160を介して受信されるステータスイベントに関連する通信信号を含んでもよい。ステータスイベントの例としては,限定されないが,広告(例えば販売)イベント,ワンツーワンマーケティングイベント,企業取引イベント,株式取引イベント,天気予報イベント,スポーツ(またはゲーム)イベント,娯楽イベントおよび緊急(例えば緊急通報)イベントが挙げられる。このシナリオでは,ソースは,携帯利用者の株式仲買人の電話番号,利用者のお気に入りの店の電子メールアドレス,利用者のお気に入りのTV局やラジオ局に関連するロゴなどのステータスイベントの発信者および/または内容を明確に特定する特性と関連付けてもよい。
(…中略…)
【0049】
携帯電話のような携帯通信装置は,利用者が触覚情報または触覚コードを,例えば,音声通話,電子メールまたはメッセージ送信する通信信号に含むことができるように構成されてもよい。触覚情報を有する通信信号の符号化は,確立されたスキームもしくはプロトコルおよび/またはシステム毎に基づいてもよい。触覚コードは,通信信号が別の携帯通信装置に配信されるときに触覚効果を出力するように構成される。一実施形態では,企業および機関は,異なる触覚ロゴ(例えば特殊振動パターン)とそれぞれ関連付けてもよく,顧客の携帯通信装置に送信される様々なメッセージに触覚ロゴを含んでもよい。例えば,かかる触覚ロゴは,従来のロゴに対して利用することができる。上記の様々なステータスイベントは,このように送信されてもよい。例えば,販売業者は,顧客の携帯通信装置に送信される様々な広告イベントおよび企業取引イベントに触覚ロゴを含んでもよい。また,証券仲買業者(もしくは証券会社),TV局もしくはラジオ局およびマーケティング/広告代理店は,携帯利用者に送信される様々な株式取引イベント,天気予報イベント,スポーツイベント,娯楽イベントおよびワンツーワンマーケティングイベントに触覚ロゴを含んでもよい。
【0050】
図3は,本発明の一実施形態による携帯通信装置の利用者への情報を関連付けるために触覚ロゴを用いる方法を示すフローチャートである。携帯通信装置はステップ310で入力信号を受信し,入力信号はステータスイベントに関連する。携帯通信装置はステップ320で入力信号から触覚コードを抽出し,触覚コードは触覚ロゴに関連する。ステップ330で,携帯通信装置は,触覚ロゴに関連する触覚効果を与える。ステップ330で,携帯通信装置に接続されるアクチュエータに制御信号が出力され,制御信号が触覚コードに少なくとも部分的に基づき,アクチュエータに触覚効果を出力するように構成される。
【0051】
本発明の一実施形態によれば,抽出された触覚コードは,所望の触覚効果をレンダリングするアクチュエータに直接出力してもよい。別の実施形態では,触覚コードは,例えば,触覚コードの配列(そのいくつかは,1つ以上の触覚ロゴと関連していてもよい)や対応する一群の触覚効果群をレンダリングする制御信号を含む所定のスキームまたはプロトコルにしたがって構成されてもよい。このように,携帯通信装置のプロセッサは,抽出された触覚コードに基づいて対応する制御信号を配列からルックアップし,所望の触覚効果をレンダリングするためにアクチュエータに選択された制御信号を出力することができる。
【0052】
図2または図3で示す実施形態では,携帯通信装置(または触覚コード)は,用途に応じて,直ちにあるいは入力信号を受信した所定の時間後に出力されるようにプログラムされてもよい。また,触覚効果は,同期または他のタイミングによって開始することができる。」

エ 「【0053】
さらに,携帯通信装置は,ユーザーインタフェースメンバのいくつか(例えば上記のような)が,例えば所定のスキームまたはプロトコルにしたがって触覚コードと各々関連しているように構成されてもよい。一実施形態では,いくつかのこの触覚コードは,表現または反応(例えば「笑い」,「クスクス笑う」,「抱擁」,「ハイファイブ」,「心臓の鼓動」,「ペットがたてる音」など)を模倣する触覚効果と関連していてもよい。これによって,触覚効果は,かかるメンバを押圧または操作することによって送信され,例えば双方向対話またはチャットセッションで体験される。
【0054】
例えば,利用者A(本明細書では「Alice」と呼ぶ)が,利用者B(本明細書では「Bob」と呼ぶ)と携帯電話を介してチャットセッションを実行するとする。一実施形態では,BobがAliceに冗談を言うとき,Aliceは,例えば,「笑い」の感覚に対応する触覚コードで割り当てられる携帯電話のキーを押下して「笑い」の感覚をBobに送信することによって応答することができる。これによって,信号がAliceの電話からBobの電話に送信され,Bobの電話に出力される対応する触覚効果が得られる(これによりBobは体験する)。別の実施形態によれば,Aliceは,出力メッセージ(例えば,対応するユーザーインタフェースメンバを押下することによってBobに送信される携帯電話で撮影した写真および/またはグラフィックフィーチャ(例えばスマイリーを模倣したスマイリー)などのビデオ画像を含む)に触覚コードを含むことができる。メッセージが遠隔装置(例えばBobの携帯電話)に配信されるときに触覚コードによって触覚効果が出力される。一実施形態によれば,触覚効果は,メッセージに含まれるビデオ画像の表示と関連付けるか,あるいは同期してもよい。別の実施形態によれば,図3の実施形態に関して上記に記載されるように,触覚コードに基づく触覚効果を生成してもよい。
【0055】
図4は,本発明の一実施形態による,通信信号を触覚的に符号化する方法を示すフローチャート400を示す。ステップ410で,ユーザーインタフェースメンバの動作と関連する入力信号が受信される。例えば,入力信号は,Aliceが特定のユーザーインタフェースメンバを押下または操作することと関連付けてもよい。ステップ420で,動作に関連する触覚コードが判定される。ステップ430で,触覚コードは出力信号に含まれ,出力信号はリモート携帯通信装置に送信される。上記の通り,出力信号は,メッセージ,ビデオ画像および/またはグラフィックフィーチャを含んでもよい。
【0056】
携帯通信装置は,触覚効果が,メッセージとともに(例えば,利用者または入力装置によって)生成されるユーザーインタフェースメンバを操作する際に出力されるように構成されてもよい。本発明の一実施形態によれば,図5は,この状態と関連付けできる触覚メッセージの方法を示すフローチャート500を示す。フローチャート500のステップ510で,携帯通信装置は入力信号を受信する。ステップ520で,携帯通信装置は,携帯通信装置に接続されるユーザーインタフェースメンバを操作する要求を出力する。ステップ530で,携帯通信装置は,携帯通信装置に接続されるアクチュエータとの接続に関連する制御信号を送信する。制御信号は,入力信号と関連する触覚効果をアクチュエータに出力するように構成される。ステップ520は,ユーザーインタフェースメンバを操作する要求が表示される視覚効果,再生される聴覚効果および/または出力される特徴的な触覚着信音を有することを含んでもよい。
【0057】
一実施形態によれば,図5の入力信号は,メッセージ,ビデオ画像および/またはグラフィックフィーチャなどとともに,触覚コードを含んでもよい。例えば,触覚コードは,入力信号に含まれるビデオ画像が表示されるとき,「抱擁」感覚を出力するように構成されてもよい。入力信号は,対応する触覚効果とともに受信メッセージが,特定のユーザーインタフェースメンバ(例えば#5キー)を操作するときに出力されることを特定する条件またはプロトコルを含んでもよい。あるいは,携帯通信装置は,対応する触覚効果とともに受信メッセージを出力する前に,操作されたユーザーインタフェースメンバを判定してもよい。」

オ 「【0058】
別の実施形態によれば,図5の信号は,例えば,「仮想タッチ」(例えばハンドシェイクを模倣する),「ハイファイブ」),背中をたたく,振動または鼓動の感覚,ペットがたてる感覚または人間(および/または人間と動物)の対話に関連する他の触覚感覚と関連付けてもよい。1つのシナリオでは,ステップ510の入力信号は,特定のユーザーインタフェースメンバを操作する要求が生成されることに基づいて,「仮想触覚指示」を含んでもよい。仮想触覚指示は,触覚コード,メッセージまたは他の情報手段の形であってよい。ステップ530で,制御信号は,例えば,仮想触覚指示(操作されたユーザーインタフェースメンバまたは他の所定のスキームに関連する触覚コード)に基づいて生成されてもよい。ステップ510の入力信号は,所望の触覚効果をレンダリングする仮想触覚信号とともに仮想触覚指示を含んでもよい。この場合,ステップ530の制御信号は,仮想触覚信号に基づいてもよい。
【0059】
AliceとBobのチャットセッションでは,チャットセッション終了時の例として,Aliceは,「ハイファイブ」をBobに送信することを望むと考えられる。彼女は,Bobの携帯電話に仮想触覚指示を含む信号を送信し,その仮想触覚指示は,次々に,Bobが電話(例えば方向パッド(例えば,方向パッドの個々のキーに彼の指を置くことによる),キーパッド,タッチスクリーン,トラックボール,ジョイスティックなどに接続されるユーザーインタフェースメンバを操作する要求を促す。「ハイファイブ」を模倣する触覚効果をレンダリングする制御信号は,ユーザーインタフェースメンバ(Aliceから入力信号および/また他の所定のスキームよって送信される)に関連する触覚コードに基づいてもよい。」

前記ウ(特に,【0050】)からして,「触覚コード」は,「ステータスイベント」に関連付けられた「入力信号」に含まれ,「触覚ロゴ」に関連付けられたものであり,前記ウの【0043】及び【0049】からして,「ステータスイベント」は,証券仲買業者,証券会社等の金融関係機関,TV局,ラジオ局等の放送局,およびマーケティング/広告代理店等の広告関連会社が配信する,株式取引イベント,天気予報イベント,スポーツイベント,娯楽イベント,ワンツーワンマーケティングイベント等に関するものであると解される。
そうすると,金融関係機関,放送局及び広告関連会社が配信する「ステータスイベント」は,利用者が,通話を管理するためのものではないから,当該「ステータスイベント」に関連付けられた「入力信号」に含まれる「触覚コード」は,「無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベント」に関連しないものである。

また,前記エ及びオからして,「触覚コード」は,ユーザ間の双方向の通話において,「携帯通信装置」の間で送受信される信号に含まれ,表現又は反応を模倣したり,仮想的な感覚をもたらすものである。よって,この文脈における「触覚コード」は,通話を管理するためのものでも,「無線サービス事業者に特有」のものでもないから,「無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベント」に関連しないものである。

(3)補正事項について
まず,補正事項を明示的に表現する記載は,出願当初の明細書等には存在しない。
そして,前記(1)及び(2)より,出願当初の明細書等の記載において,「触覚コード」は,「携帯通信装置の無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベント」と関連するものではないことが明らかである。また,「触覚コード」が,「携帯通信装置の無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベント」と関連するものであることが出願時の技術常識であるという事実は存在しない。
したがって,「携帯通信装置の無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベント」と関連しない「触覚コード」が,「携帯通信装置の無線サービス事業者に特有のサービスキャリアイベント」と関連付けられる「入力信号」から抽出されることが自明ということはできない。
よって,請求項1に補正事項を付加することを含む本件補正は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものである。
したがって,本件補正は,出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内でしたものではない。

(4)出願日の遡及について
上記補正事項は,分割出願の基礎となる特願2008-531272号の出願当初の明細書,特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内にもない。
よって,本願は,分割出願の要件を満たしていないから,出願日の遡及を認めない。

第4 むすび
以上のとおり,平成28年3月22日付けの手続補正(本件補正)は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから,本願は,特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-09-12 
結審通知日 2016-09-13 
審決日 2016-09-28 
出願番号 特願2012-216677(P2012-216677)
審決分類 P 1 8・ 572- WZ (H04M)
P 1 8・ 55- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須藤 竜也宮田 繁仁  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 山中 実
林 毅
発明の名称 携帯通信装置に触覚メッセージを提供する方法とシステム  
代理人 藤田 和子  
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