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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1324747
審判番号 不服2015-21324  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-01 
確定日 2017-02-09 
事件の表示 特願2013-210012「液晶表示装置用反射フィルム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月20日出願公開、特開2014- 52644〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年8月18日に出願した特願2008-209794号の一部を平成25年10月7日に新たな特許出願としたものであって、平成26年7月10日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月12日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、平成27年2月27日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月7日付けで意見書が提出され、同年8月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月1日付けで拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされ、その後、当審において平成28年8月29日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)され、同年10月28日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。
なお、当審拒絶理由通知では、当審拒絶理由を通知するとともに、拒絶査定(以下、「原査定」という。)の拒絶の理由(特に分割要件)については、その結論を留保していた。


第2 本願発明
本願の請求項1-4に係る発明は、平成28年10月28日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定されるものと認められる。
そのうち、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「ボイド形成物質を含有する白色フィルムおよび、そのうえに設けられたアスペクト比が3以下の透明粒子と該透明粒子を覆うバインダーとからなる透明粒子層からなる反射フィルムであって、該透明粒子は形状が球状、ラグビーボール状または凸レンズ状であり、該バインダーはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルアミド樹脂或いはポリオレフィン樹脂、またはこれらの共重合体或いはブレンド物であり、該透明粒子層は白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までの間のフィルム面に垂直な方向に粒子径5?100μmの透明粒子を1.5?30個含み、かかる個数は下記測定方法により求められ、該透明粒子層の最表面の透明粒子を覆うバインダーの厚みが7.0μm以下であり、下記測定方法による相対輝度が100.7%以上であり、該白色フィルムのうえに光源が配置されることを特徴とする、バックライト方式液晶表示装置用反射フィルム。
[相対輝度の測定方法]
ソニー(株)製32インチテレビ(ブラビアKDL-32V2500)のバックライトの反射フィルムとして透明粒子層を有しない白色フィルムおよびそれに透明粒子層を有する反射フィルムを用い、輝度計(大塚電子製Model MC-940)を用いてバックライトの中心を真正面より測定距離500mmでそれぞれ輝度を測定し、下記の式で相対輝度を求めた。
相対輝度=(反射フィルムの輝度)/(白色フィルムの輝度)×100(%)
[フィルム面に垂直な方向の透明粒子の個数の測定方法]
フィルムの厚み方向にミクロトームを用いて切り出した切片を、電界放出型走査電子顕微鏡を用い倍率3000倍にて、30箇所について観察し、白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までについて、フィルム面と垂直な直線を通過する粒子径5?100μmの透明粒子の数を数え、30箇所の平均値をとった。」


第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は次の通りである。
「(理由2)本願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。



本願の明細書における発明の詳細な説明には、白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までの間のフィルム面に垂直な方向に粒子径5?100μmの透明粒子が1.5個、透明粒子層の最表面の透明粒子を覆うバインダーの厚みが7.0μm、相対輝度が100.7%である[実施例6]が記載されている(段落【0044】及び【0046】【表1】参照。)。
しかしながら、本願の明細書に記載された前記[実施例6]は、本願出願の原出願である特願2008-209794号(以下、「原出願」という。)の明細書では、[比較例2]として記載されている(段落【0044】及び【0046】【表1】参照。)。
そして、原出願の明細書における[比較例2](本願の明細書における[実施例6])に記載された相対輝度が「100.7%」の液晶表示装置用反射フィルムは、原出願の出願時において、段落【0005】に記載された前記課題を解決し得るものに含まれているという認識はなかったとするのが妥当である。
したがって、本願の明細書に記載された前記[実施例6]を含む本願の請求項1-4に係る発明は、原出願の出願時において、単なる比較例として記載されているのみであるので、原出願の出願時になされた発明の内容を拡張しており、原出願の出願時になされた発明の内容に含まれるものとはいえず、本願の出願は、原出願の時にしたものとみなすことはできないことから、本願の出願が実際になされた平成25年10月7日に出願されたものとして検討する。

引用例1:特開2010-44321号公報(本願出願の原出願である特願2008-209794号の公開公報)

(備考)
引用例1の各[実施例](特に段落【0031】?【0042】)には、本願の請求項1?4に記載された各構成の各条件を満たす反射フィルムが記載されており、引用例1に記載された発明と本願の請求項1?4に係る発明とでは、相違する点がない。

(理由3)本願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



引用例1:特開2010-44321号公報(本願出願の原出願である特願2008-209794号の公開公報)
引用例2:国際公開第03/032073号
引用例3:特開2006-330535号公報
引用例4:国際公開第2007/148544号

(備考)
1 引用例1を主引用例とした場合
上記(理由2)で示したように、本願の出願は、原出願の時にしたものとみなすことはできないことから、本願の出願が実際になされた平成25年10月7日に出願されたものとして検討すると、引用例1には本願の請求項1?4に記載された各構成の各条件を満たす反射フィルムが記載されていることから、当業者であれば引用例1に記載された発明に基づいて、本願の請求項1?4に係る発明を導きだすことは容易に想到し得たことである。

2 引用例2又は3を主引用例とした場合
引用例2(特に実施例3及び4参照。)又は引用例3(特に【請求項1】?【請求項8】、段落【0006】及び【0020】?【0028】参照。)に記載された反射フィルムの性能として、引用例4に記載された白色フィルムと比較した相対輝度(特に段落[0069][表2]の実施例3、4、及び実施例8?11と比較例1を参照。)と同程度の相対輝度のものを設計することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。


第4 分割要件について
本願は、特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(分割出願)であるとされているから、本願が適法に分割されたものであるか否かを検討する。
(1)本願の特許請求の範囲の記載
本願の請求項1の記載は、上記「第2 本願発明」に記載したとおりものである。
(2)原出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面の記載事項
原出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面等(以下、「原出願の当初明細書等」という。)には、以下の記載がある(下線は、当審で付した。以下、同じ。)。
ア 「【請求項1】
白色フィルムおよび、そのうえに設けられた透明粒子と該透明粒子を覆うバインダーとからなる透明粒子層からなり、該透明粒子層は白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までの間のフィルム面に垂線な方向に粒子径5?100μmの透明粒子を2?30個含み、該透明粒子層の最表面の透明粒子を覆うバインダーの厚みが0.01?5μmであることを特徴とする、液晶表示装置用反射フィルム。」

イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置のバックライトユニットにおいて光源の反射フィルムとして用いられる、液晶表示装置用反射フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトユニットには、表示装置の背面に光源を置くバックライト方式と、側面に光源を置くサイドライト方式があり、いずれの方式においても光源からの光が画面の背面へ逃げるのを防ぐために背面に反射フィルムが設置される。この反射フィルムには、薄く、かつ高い反射率を備えることが要求される。この反射フィルムとして、フィルムの内部に微細な気泡を含有する白色ポリエステルフィルムが用いられている。

・・・略・・・

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶テレビの多くは、バックライト方式のバックライトユニットを備えるが、テレビの高輝度化に対応するために、より高輝度のバックライトユニットが求められている。しかし、反射フィルムの反射率を向上することだけでは限界がある。
【0005】
バックライト方式においては、反射板の鏡面反射が強いと、液晶表示装置において反射フィルムのうえに配置される光源に光が返り、その光は表示面には到達しないため、光のロスが生じて輝度低下の原因になる。本発明は、反射光を集光することにより、液晶表示装置において反射光が光源に返ることを防ぎ、表示面に到達する光量を損なうことのない液晶表示装置用反射フィルムであって、高い輝度を得ることのできる液晶表示装置用反射フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、白色フィルムおよび、そのうえに設けられた透明粒子と該透明粒子を覆うバインダーとからなる透明粒子層からなり、該透明粒子層は白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までの間のフィルム面に垂線な方向に粒子径5?100μmの透明粒子を2?30個含み、該透明粒子層の最表面の透明粒子を覆うバインダーの厚みが0.01?5μmである、液晶表示装置用反射フィルムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、反射光を集光することにより、液晶表示装置において反射光が光源に返ることを防ぎ、表示面に到達する光量を損なうことない液晶表示装置用反射フィルムであって、高い輝度を得ることのできる液晶表示装置用反射フィルムを提供することができる。」

ウ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
[白色フィルム]

・・・略・・・

【0014】
[透明粒子層]
本発明において、白色フィルムのうえに、透明粒子層が設けられる。
透明粒子層は、透明粒子と該透明粒子を覆い白色フィルム上に保持するバインダーとからなる。
【0015】
本発明で肝要なことは、透明粒子層が、白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までの間のフィルム面に垂線な方向に粒子径5?100μmの透明粒子を2?30個含んでなること、そして、該透明粒子層の最表面の透明粒子を覆うバインダーの厚みが0.01?5μmであることである。
【0016】
透明粒子層を構成する粒子径5?100μmの透明粒子は、相互にバインダーによって接着され白色フィルムとも接着されることで白色フィルム上に保持されている。白色フィルムの表面から透明粒子層の最表面までの間の、フィルム面に垂直な方向での透明粒子の個数は、粒子径5?100μmの透明粒子が2?30個、好ましくは2.5?30個、さらに好ましくは3?30個である。この透明粒子の個数は、本発明の反射フィルムの断面を、例えば顕微鏡で観察して粒子径5?100μmの透明粒子の個数を数えることによって確認することができる。この個数は、より正確に定義すれば、白色フィルムの表面から透明粒子層の最表面までの間において、白色フィルム面と垂直な方向に直線を引き、その直線が横切る透明粒子の数である。ただし、ここで透明粒子として数えるのは粒子径5?100μmのものに限る。この直線をフィルム上の任意の位置について30本引き、その30本の直線が横切る粒子の数を数え平均値をとって、白色フィルムの表面から透明粒子層の最表面までの間のフィルム面に垂直な方向での透明粒子の個数とする。
【0017】
この透明粒子の数が2個未満であると反射光に十分に指向性を付与することができず、バックライトユニットにおいて反射フィルムに上方に配置された光源に光が戻り、表示面に届く光量が低下することを防ぐ効果が低く、十分な輝度上昇の効果を得ることができない。他方、30個を超えるとバインダーの接着性が悪くなり、透明粒子層を白色フィルム上に支えきれず、表面の欠陥が発生する。
【0018】
透明粒子層の最表面の透明粒子を覆うバインダーの厚みは、0.01?5μm、好ましくは0.02?4.5μm、さらに好ましくは0.03?4μmである。このバインダーの厚みは、透明粒子層の最表面に位置する透明粒子の中心から、透明粒子層の最表面まで線を引き、この線に沿って測ったバインダーの厚みである。バインダーの厚みが0.01μm未満であると透明粒子相互の接着性が低く、安定した透明粒子層を形成することができない。他方、5μmを超えると透明粒子のレンズ効果が損なわれ、輝度上昇の効果が小さい。」

エ 「【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)相対輝度
液晶表示装置に反射板として用いたときの表示装置の輝度を評価した。ソニー(株)製32インチテレビ(ブラビアKDL-32V2500)のバックライトの反射フィルムを取り外し、かわり評価対象の反射フィルムを設置し、輝度計(大塚電子製Model MC-940)を用いて、バックライトの中心を真正面より測定距離500mmで輝度を測定した。
透明粒子層の塗設前の白色フィルムと、塗設後の反射フィルムでそれぞれ求めた輝度を用いて、下記の式で相対輝度を求めた。
相対輝度
=(塗設後の反射フィルムの輝度)/(塗設前の白色フィルムの輝度)×100(%)
なお、相対輝度が101.0%以上あれば、バックライトとして優れた輝度上昇効果を得たといえる。

・・・略・・・

【0033】
(3)透明粒子の平均粒子径
日立製作所製S-4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率1000倍にて、フィルム原料の組成物に添加する前の粒子を100個任意に測定し(球状以外の場合は(長径+短径)/2にて求める)、平均粒子径を求めた。
【0034】
(4)透明粒子のアスペクト比
日立製作所製S-4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率500倍にて、露出した粒子30個任意に観察し、長径、短径の値から、下記式で求め平均値を算出した。
アスペクト比=長径/短径
【0035】
(5)透明粒子の積層数
フィルムの厚み方向にミクロトームを用いて切り出した切片を観察した。日立製作所製S-4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率3000倍にて、白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までについて、フィルム面との垂直な直線を通過する粒子径5?100μmの透明粒子の数を数えた(図1のa)。30箇所について観察して、粒子径5?100μmの透明粒子の数を数え、30箇所の平均値をとった。
【0036】
(6)バインダー厚み
透明粒子層の最表面に位置する粒子径5?100μmの透明粒子について、透明粒子の中心から、透明粒子層の最表面の方向に向けて直線を引き、この直線に沿ってバインダーの厚み(図1のb)を測った。最表面に位置する粒子径5?100μmの透明粒子30個について測定して、この30個の平均値をとった。

・・・略・・・
【0038】
[実施例1]
ボイド形成剤として硫酸バリウム粒子を含有するポリエステル組成物からなる反射層とポリエステルからなる支持層の2層から構成されたフィルム総厚み225μmの白色フィルム(帝人デュポンフィルム製 テイジンテトロンUX02-225)の反射層(反射率98.5%)のうえに、ダイコーティング装置にて、番手が16番のマイヤーバーを用い、下記の調液レシピに示す組成からなる塗液を、wet厚み25g/m^(2)の塗布量で塗布した後、オーブン内にて乾燥して反射フィルムを得た。
調液レシピ1)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX-30(アクリル透明粒子) (35重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (23重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40重量%)
得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
【0039】
[実施例2]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
調液レシピ2)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX-15(アクリル透明粒子) (35重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (23重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40重量%)
【0040】
[実施例3]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
調液レシピ3)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX-50(アクリル透明粒子) (32重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (25重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (3重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40重量%)
【0041】
[実施例4]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
調液レシピ4)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX-12(アクリル透明粒子) (38重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (25重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (3重量%)
・有機溶剤: 酢酸エチル (34重量%)
【0042】
[実施例5]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。
調液レシピ5)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX-5(アクリル透明粒子) (19重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (37重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (4重量%)
・有機溶剤: 酢酸エチル (40重量%)
【0043】
[比較例1]
白色フィルムに塗液をコートせずに白色フィルムの反射層側を評価した。
【0044】
[比較例2]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。輝度の上昇が小さかった。
調液レシピ6)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX-15(アクリル透明粒子) (10重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (48重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40重量%)
【0045】
[比較例3]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの評価結果を表1に示す。輝度の上昇が小さかった。
調液レシピ7)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX-15(アクリル透明粒子) (2重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (56重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40重量%)
【0046】
【表1】



(3)分割の適否の判断
ア 原出願の当初明細書等には、発明が解決しようとする課題として「本発明は、反射光を集光することにより、液晶表示装置において反射光が光源に返ることを防ぎ、表示面に到達する光量を損なうことのない液晶表示装置用反射フィルムであって、高い輝度を得ることのできる液晶表示装置用反射フィルムを提供すること」(段落【0005】)が記載されている。

イ そして、原出願の当初明細書等には、上記アで示した課題を解決するための手段として、白色フィルム上に「白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までの間のフィルム面に垂線(審決注:「垂直」の誤記と認める。以下、同じ。)な方向に粒子径5?100μmの透明粒子を2?30個含み、該透明粒子層の最表面の透明粒子を覆うバインダーの厚みが0.01?5μmである」(段落【0006】)透明粒子層を設けることが記載されている。

ウ ここで、上記イで示した課題を解決するための手段のうち、「透明粒子」の「白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までの間のフィルム面に垂線な方向」における個数について、原出願の当初明細書等には、「粒子径5?100μmの透明粒子が2?30個、好ましくは2.5?30個、さらに好ましくは3?30個」(段落【0016】)であり、さらに「透明粒子の数が2個未満であると反射光に十分に指向性を付与することができず、バックライトユニットにおいて反射フィルムに上方に配置された光源に光が戻り、表示面に届く光量が低下することを防ぐ効果が低く、十分な輝度上昇の効果を得ることができない。」(段落【0017】)と記載されている。

エ さらに、上記イで示した課題を解決するための手段のうち、「透明粒子」の「白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までの間のフィルム面に垂線な方向」における個数について、段落【0031】?【0042】及び段落【0046】【表1】(上記(2)エ参照。)において、[実施例1]ないし[実施例5]として「2.9」個([実施例5])?「7.2」個([実施例4])とした反射フィルムが記載されているとともに、段落【0043】?【0045】及び段落【0046】【表1】(上記(2)エ参照。)において、原出願の当初明細書等に記載された発明の実施形態([実施例1]?[実施例5])における効果を明確化するために[比較例1]ないし[比較例3]として、「1.5」個([比較例2])、「0.7」個([比較例3])とした反射フィルム及びそもそも透明粒子層を有しない反射フィルム([比較例1])が記載されている。

オ 他方、上記イで示した課題を解決するための手段のうち、「透明粒子層の最表面の透明粒子を覆うバインダーの厚み」について、原出願の当初明細書等には、「0.01?5μm、好ましくは0.02?4.5μm、さらに好ましくは0.03?4μmである。・・・略・・・他方、5μmを超えると透明粒子のレンズ効果が損なわれ、輝度上昇の効果が小さい。」(段落【0018】)と記載されている。

カ さらに、上記イで示した課題を解決するための手段のうち、「透明粒子層の最表面の透明粒子を覆うバインダーの厚み」について、段落【0031】?【0042】及び段落【0046】【表1】(上記(2)エ参照。)において、[実施例1]ないし[実施例5]として「0.5」μm([実施例1]?[実施例4])?「0.8」μm([実施例5])とした反射フィルムが記載されているとともに、段落【0043】?【0045】及び段落【0046】【表1】(上記(2)エ参照。)において、[比較例1]ないし[比較例3]として、「7.0」μm([比較例2])、「12.0」μm([比較例3])とした反射フィルム及びそもそも透明粒子層を有しない反射フィルム([比較例1])が記載されている。

キ そして、原出願の当初明細書等には、上記アの課題である高い輝度について「相対輝度が101.0%以上あれば、バックライトとして優れた輝度上昇効果を得たといえる。」(段落【0031】)と記載されているとともに、前記「相対輝度」について、段落【0031】?【0042】及び段落【0046】【表1】(上記(2)エ参照。)において、[実施例1]ないし[実施例5]として「101.7」%([実施例5])?「102.3」%([実施例2])とした反射フィルムが記載されているとともに、段落【0043】?【0045】及び段落【0046】【表1】(上記(2)エ参照。)において、[比較例1]ないし[比較例3]として、「100.7」%([比較例2])、「100.3」%([比較例3])とした反射フィルム及びそもそも透明粒子層を有しないので「100」%である反射フィルム([比較例1])が記載されている。

ク 上記アないしキからみて、そもそも原出願の当初明細書等には、「液晶表示装置において反射光が光源に返ることを防ぎ、表示面に到達する光量を損なうことのない・・・略・・・高い輝度を得ることのできる液晶表示装置用反射フィルム」(段落【0005】)を得るために、従来反射フィルムとして用いられていた白色フィルム上に「白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までの間のフィルム面に垂線な方向に粒子径5?100μmの透明粒子を2?30個含み、該透明粒子層の最表面の透明粒子を覆うバインダーの厚みが0.01?5μmである」(段落【0006】)透明粒子層を設けることで、「相対輝度が101.0%以上」(段落【0031】)を基準とした高い輝度の反射フィルムを得ることが記載されている。

ケ ところで、上記(1)で示した本願発明は、「透明粒子」の「白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までの間のフィルム面に垂直な方向」における個数が「1.5?30個」であり、かつ「透明粒子層の最表面の透明粒子を覆うバインダーの厚み」が「7.0μm以下」であり、結果として得られる反射フィルムの「相対輝度」が「100.7%以上」であるものである。

コ 上記ケに示した本願発明における「透明粒子」の個数の数値範囲の下限(1.5個)及び「バインダーの厚み」の上限(7.0μm)は、原出願の段落【0044】及び【0046】【表1】の[比較例2]の数値に基づいた数値となっており、上記クで示した原出願の当初明細書等に記載された反射フィルムの数値範囲外に属するものであって、上記ウ及びオで示した原出願の当初明細書等における「透明粒子」の個数の下限及び「バインダーの厚み」の上限に関する記載とも矛盾するものであり、上記キで示した原出願の当初明細書等における「相対輝度」に関する記載とも矛盾するものであるので、本願発明における「透明粒子」の個数の数値範囲の下限(1.5個)、「バインダーの厚み」の上限(7.0μm)及び「相対輝度」(100.7%以上)は、原出願の当初明細書等に記載された事項ということはできず、また、原出願の当初明細書等の記載から自明な事項であるということもできない。

サ 上記アないしコからみて、本願発明は、原出願の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内でないものを含むから、本願は分割要件を満たさない。
したがって、本願の出願日の遡及は認められないから、本願の出願日は実際に出願がなされた平成25年10月7日である。

シ なお、審判請求人は、平成28年10月28日付けの意見書において、当審拒絶理由通知の(備考)欄(裁判例(知財高判平成18年6月20日(平成17年(行ケ)10607号))を示している。)について、
「(5)備考について
判例は補正に係るものであり、それとは異なる法制度である分割出願に即座に適用することはできないものと思料します。
判例は、補正に係るものであり、1の発明の中において比較例を実施例に変更した例です。対して分割出願の場合は、2以上の発明があるものですので、そうである以上、ある実験例が、1の発明では実施例であり他の発明では比較例であることはあり得るものと思料します。これは課題にも関連し、判例では1の発明しかありませんので、それに対応する課題があり、かかる課題が変更されるような補正は認められないべきと思料しますが、分割出願では、2以上の発明があり、それぞれについて別の出願となるものですから、1の発明に係る出願と他の発明に係る出願とで課題が相違することはあり得るものと思料します。
したがって、挙げられた判例があったとしても、原出願における比較例を分割出願の実施例と位置付けることについて、分割要件違反に該当する蓋然性が高いとまでは言えないものと思料します。」と主張している。

ス しかしながら、本願の願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面(以下、「本願の当初明細書等」という。)には、本願の発明が解決しようとする課題として「・・・略・・・本発明は、反射光を集光することにより、液晶表示装置において反射光が光源に返ることを防ぎ、表示面に到達する光量を損なうことのない液晶表示装置用反射フィルムであって、高い輝度を得ることのできる液晶表示装置用反射フィルムを提供することを、望ましい課題とする。」(段落【0005】)と記載されており、当該課題は、上記アで示した原出願の当初明細書等に記載された発明が解決しようとする課題と同じ課題であるので、1の発明(原出願の当初明細書等に記載された発明)に係る出願(原出願)と、他の発明(本願の当初明細書等に記載された発明)に係る出願(本願)とでは、課題が相違していないため、審判請求人の主張を採用することはできない。

セ そして、本願の当初明細書等には、「透明粒子」の個数の下限、「バインダーの厚み」の上限及び「相対輝度」について、それぞれ段落【0016】?【0017】、【0018】及び【0031】に、上記ウ、オ及びカで示した原出願の当初明細書等に記載された事項と同様の内容(「透明粒子」の個数の下限は「2個」、「バインダーの厚み」の上限は「5μm」及び「相対輝度」は「101.0%以上」。)が記載されていることから、上記スも踏まえると、本願の当初明細書等に記載された[実施例6]は、1の発明(原出願の当初明細書等に記載された発明)に係る出願(原出願)の比較例([比較例2])であるとともに、他の発明(本願の当初明細書等に記載された発明)に係る出願(本願)においても比較例に該当するものと考えるのが妥当である。

ソ 上記シないしセからみて、本願発明における「透明粒子」の個数の数値範囲の下限(1.5個)及び「バインダーの厚み」の上限(7.0μm)及び「相対輝度」の下限(100.7%)は、原出願の当初明細書等に記載された比較例を、本願(分割出願)の実施例と位置付けることで、新たな技術的事項を導入したもの、すなわち、実質的に新規事項を追加したものと言えるので、上記審判請求人の主張は採用することができない。


第5 引用例
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願の日(平成25年10月7日。以下、「出願日」という。)前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2010-44321号公報(以下、「引用例1」という。)は、原出願の公開特許公報であり、引用例1に記載された事項については、上記「第3 分割要件について(2)」に示したとおりであるところ、引用例1の[実施例1]には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「ボイド形成剤として硫酸バリウム粒子を含有するポリエステル組成物からなる反射層とポリエステルからなる支持層の2層から構成された白色フィルムと、
前記白色フィルムの上に、ダイコーティング装置にて、下記の調液レシピに示す組成からなる塗液を、wet厚み25g/m^(2)の塗布量で塗布した後、オーブン内にて乾燥して得られた透明粒子層、とを有する反射フィルムであって、
前記透明粒子層の透明粒子のアスペクト比は1.0であり、
前記反射フィルムの厚み方向にミクロトームを用いて切り出した切片を、日立製作所製S-4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用いて、倍率3000倍にて、白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までについて、フィルム面との垂直な直線を通過する粒子径5?100μmの透明粒子の数を30箇所について観察して、粒子径5?100μmの透明粒子の数を数え、30箇所の平均値を透明粒子の積層数とし、
透明粒子層の最表面に位置する粒子径5?100μmの透明粒子について、透明粒子の中心から、透明粒子層の最表面の方向に向けて直線を引き、この直線に沿ってバインダーの厚みを最表面に位置する粒子径5?100μmの透明粒子30個について測定し、この30個の平均値をバインダー厚みとし、
液晶表示装置であるソニー(株)製32インチテレビ(ブラビアKDL-32V2500)のバックライトの反射フィルムを取り外し、評価対象の反射フィルムを設置し、輝度計(大塚電子製Model MC-940)を用いて、バックライトの中心を真正面より測定距離500mmで輝度を測定し、前記評価対象の反射フィルムとして、透明粒子層の塗設前の白色フィルムと、透明粒子層の塗設後の反射フィルムを用いた場合のそれぞれの輝度を用いて、下記式により相対輝度を求めたとき、
相対輝度=(塗設後の反射フィルムの輝度)/(塗設前の白色フィルムの輝度)×100(%)
透明粒子の積層数が4.5個であり、バインダー厚みが0.5μmであり、相対輝度が102.1%である、
液晶表示装置のバックライトに用いる反射フィルム。

(調液レシピ1)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX-30(アクリル透明粒子) (35重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (23重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40重量%)」

第6 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「ボイド形成剤として」の「硫酸バリウム粒子」は、本願発明の「ボイド形成物質」に相当する。

2 引用発明の「硫酸バリウム粒子を含有するポリエステル組成物からなる反射層とポリエステルからなる支持層の2層から構成された白色フィルム」は、本願発明の「白色フィルム」に相当する。

3 引用発明の「透明粒子(積水化成品工業 MBX-30(アクリル透明粒子))」は、本願発明の「透明粒子」に相当する。

4 引用発明の「透明粒子」(本願発明の「透明粒子」に相当。以下、「」に続く()内の用語は、対応する本願発明の用語を表す。)は、その「アスペクト比は1.0であ」ることから、形状が「球状」であることは技術常識からみて明らかであるので、本願発明の「アスペクト比が3以下」であって「形状が球状」であることを具備する。

5 引用発明の「アクリルバインダー(日本触媒 ユーダブルS2740)」は、アクリルであるので、本願発明の「アクリル樹脂」からなる「バインダー」に相当する。

6 引用発明において「アクリルバインダー」(バインダー)は、「透明粒子」(透明粒子)とともに引用発明の「透明粒子層」を形成しており、さらに引用発明の「透明粒子層」は「透明粒子の中心から、透明粒子層の最表面の方向に向けて直線を引」いたときに「この直線に沿っ」た「バインダーの厚み」を有している。

7 上記6からみて、引用発明の「アクリルバインダー」(バインダー)は、「透明粒子層」の最表面に位置する「透明粒子」(透明粒子)を覆っていることは明らかであるので、本願発明の「透明粒子を覆う」ことを具備する。

8 引用発明の「透明粒子層」は、「白色フィルム」(白色フィルム)の上に設けられており、さらに上記1ないし7を踏まえると、本願発明の白色フィルムの「うえに設けられた」「透明粒子層」に相当する。

9 引用発明の「白色フィルム」(白色フィルム)及びその上に設けられた「透明粒子層」(透明粒子層)からなる「反射フィルム」は、本願発明の「反射フィルム」に相当する。

10 引用発明において「透明粒子」(透明粒子)の個数は、「反射フィルムの厚み方向にミクロトームを用いて切り出した切片」を「電界放出形走査電子顕微鏡を用いて、倍率3000倍」で「30箇所について観察して」、「白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までについて、フィルム面との垂直な直線を通過する粒子径5?100μmの透明粒子の数」を30箇所について「数え」、その「30箇所の平均値を透明粒子の積層数」として測定していることから、引用発明は、本願発明の「[フィルム面に垂直な方向の透明粒子の個数の測定方法]」を具備するものである。

11 引用発明における「バインダー厚み」は、「透明粒子層の最表面に位置する粒子径5?100μmの透明粒子について、透明粒子の中心から、透明粒子層の最表面の方向に向けて直線を引き、この直線に沿ってバインダーの厚みを最表面に位置する粒子径5?100μmの透明粒子30個について測定し、この30個の平均値をバインダー厚みとし」ていることから、本願発明の「透明粒子層の最表面の透明粒子を覆うバインダー厚み」に相当する。

12 引用発明において「相対輝度」は、「液晶表示装置であるソニー(株)製32インチテレビ(ブラビアKDL-32V2500)のバックライトの反射フィルムを取り外し、評価対象の反射フィルムを設置し、輝度計(大塚電子製Model MC-940)を用いて、バックライトの中心を真正面より測定距離500mmで輝度を測定し、前記評価対象の反射フィルムとして、透明粒子層の塗設前の白色フィルムと、透明粒子層の塗設後の反射フィルムを用いた場合のそれぞれの輝度を用いて、
相対輝度=(塗設後の反射フィルムの輝度)/(塗設前の白色フィルムの輝度)×100(%)」で測定していることから、引用発明の「相対輝度」は、本願発明の「相対輝度」に相当するとともに、引用発明は、本願発明の「[相対輝度の測定方法]」を具備するものである。

13 引用発明は、上記10ないし12に示したように、本願発明と同じ「透明粒子」の個数の測定方法、バインダー厚み(バインダー厚み)及び「相対輝度」の測定方法を有しており、かつ引用発明においてそれぞれ「透明粒子の積層数が4.5個であり、バインダー厚みが0.5μmであり、相対輝度が102.1%である」ことから、本願発明の「白色フィルムの表面から透明粒子層の表面までの間のフィルム面に垂直な方向に粒子径5?100μmの透明粒子を1.5?30個含」むこと、「透明粒子層の最表面の透明粒子を覆うバインダーの厚みが7.0μm以下」であること及び「相対輝度が100.7%以上」であることを具備している。

14 引用発明は、「反射フィルム」を「液晶表示装置であるソニー(株)製32インチテレビ(ブラビアKDL-32V2500)のバックライトの反射フィルムを取り外し」て、取り外した前記反射フィルムに代わり、本願発明の「反射フィルムを設置」していることから、技術常識から見て、本願発明の「白色フィルムの上に光源が配置」されるとの構成を具備するものである。

15 上記1ないし14からみて、引用発明と本願発明とでは、相違する点がなく、両者は同一であるから、本願発明は引用例1に記載された発明である。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-12-01 
結審通知日 2016-12-06 
審決日 2016-12-20 
出願番号 特願2013-210012(P2013-210012)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
P 1 8・ 113- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大隈 俊哉居島 一仁  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 渡邉 勇
河原 正
発明の名称 液晶表示装置用反射フィルム  
代理人 為山 太郎  

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