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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01C
審判 全部申し立て 2項進歩性  G01C
管理番号 1324815
異議申立番号 異議2016-700298  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-12 
確定日 2016-12-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5794112号発明「情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法及びコンピュータプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5794112号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1ないし6]、7、8及び9について訂正することを認める。 特許第5794112号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5794112号の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、平成23年11月3日に特許出願され、平成27年8月21日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、異議申立人特許業務法人にじいろ特許事務所(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成28年6月22日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年8月29日に特許権者アイシン・エィ・ダブリュ株式会社(以下、「特許権者」という。)から意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)があり、特許権者からの意見書及び本件訂正請求に対し、申立人から平成28年10月13日に意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は次の(1)ないし(4)のとおりである。

(1)一群の請求項[1ないし6]に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記複数のユーザ毎に、前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段と」と記載されているのを、「前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段と」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2乃至請求項6も同様に訂正する)。(以下、「訂正事項1」という。)。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて前記ユーザに案内する難易度案内手段と」と記載されているのを、「前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する難易度案内手段と」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2乃至請求項6も同様に訂正する)。(以下、「訂正事項2」という。)。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「前記候補地案内経路を構成するリンク、ノード又は待ち合わせ候補地に対して難易度を特定し」と記載されているのを、「前記候補地案内経路を構成するリンク、ノード及び待ち合わせ候補地に対して難易度を特定し」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4乃至請求項6も同様に訂正する)。(以下、「訂正事項3」という。)。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に「前記複数のユーザの前記目的地までの移動方法を取得する移動方法取得手段と」と記載されているのを、「前記複数のユーザの前記待ち合わせ候補地までの移動方法を取得する移動方法取得手段と」に訂正する。(以下、「訂正事項4」という。)。

オ 訂正事項5
明細書の段落[0006]、[0008]、[0013]、[0019]、[0035]について、訂正後請求項1,3,6の記載と合わせるための訂正を行う。(以下、「訂正事項5」という。)。

(2)請求項7に係る訂正
カ 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項7に「前記複数のユーザ毎に、前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段と」と記載されているのを、「前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段と」に訂正する。(以下、「請求項7に係る訂正事項1」という。)。

キ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項7に「前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて前記ユーザに案内する難易度案内手段と」と記載されているのを、「前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する難易度案内手段と」に訂正する。(以下、「請求項7に係る訂正事項2」という。)。

ク 訂正事項3
明細書の段落[0014]について、上記訂正後の特許請求の範囲の請求項7の記載と合わせるための訂正を行う。(以下、「請求項7に係る訂正事項3」という。)。

(3)請求項8に係る訂正
ケ 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項8に「案内経路探索手段が、前記複数のユーザ毎に、前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索するステップと」と記載されているのを、「案内経路探索手段が、前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索するステップと」に訂正する。(以下、「請求項8に係る訂正事項1」という。)。

コ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項8に「難易度案内手段が、前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて前記ユーザに案内するステップと」と記載されているのを、「難易度案内手段が、前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内するステップと」に訂正する。(以下、「請求項8に係る訂正事項2」という。)。

サ 訂正事項3
明細書の段落[0015]について、上記訂正後の特許請求の範囲の請求項8の記載と合わせるための訂正を行う。(以下、「請求項8に係る訂正事項3」という。)。

(4)請求項9に係る訂正
シ 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項9に「前記複数のユーザ毎に、前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段と」と記載されているのを、「前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段と」に訂正する。(以下、「請求項9に係る訂正事項1」という。)。

ス 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項9に「前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて前記ユーザに案内する難易度案内手段と」と記載されているのを、「前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する難易度案内手段と」に訂正する。(以下、「請求項9に係る訂正事項2」という。)。

セ 訂正事項3
明細書の段落[0016]について、上記訂正後の特許請求の範囲の請求項9の記載と合わせるための訂正を行う。(以下、「請求項9に係る訂正事項3」という。)。

2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1に関連する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明には段落【0037】に「情報管理サーバ2は、地図情報DB13を参照することによって、待ち合わせを行う複数のユーザ4の待ち合わせ場所の候補地(以下、待ち合わせ候補地という)を抽出したり、ユーザ4の現在位置から待ち合わせ候補地までの推奨経路である候補地案内経路を探索する。」と、段落【0083】に「待ち合わせを行うユーザ4(メインユーザ、サブユーザ含む)の移動方法及び現在位置と、待ち合わせを行った後に移動する目的地の位置とに基づいて、前記S43で取得した地図情報から待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を抽出する。」と、段落【0086】に「待ち合わせを行うユーザ4(メインユーザ、サブユーザ含む)から処理対象となる待ち合わせ候補地までの推奨経路(候補地案内経路)を探索する。」と、それぞれ記載されていることから、訂正事項1の「前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段」という事項を備えた情報提供システムの発明は願書に添付した明細書に記載されているといえる。
そうすると、訂正事項1は、願書に添付した明細書に記載された範囲内において候補地案内経路の開始点を限定するものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当しない。さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2に関連する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明には、段落【0059】に「通信端末Aのディスプレイ38には、情報管理センタ3によって抽出された待ち合わせ候補地が複数箇所表示され、更に、各ユーザ4の待ち合わせ候補地までの所要時間、各ユーザ4の間で生じる最大の到着時間差、候補地案内経路の難易度について表示される。」及び「候補地案内経路の難易度が易しい順に所定箇所数のみを表示しても良い。」と記載されていることから、訂正事項2の「前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する難易度案内手段」を備えた情報提供システムの発明は願書に添付した明細書に記載されているといえる。
そうすると、訂正事項2は、願書に添付した明細書に記載された範囲内において難易度案内手段によってユーザに案内する内容を限定するものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当しない。さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(3)訂正事項3について
訂正事項3に関連する記載として、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項3には「前記候補地案内経路を構成するリンク、ノード及び待ち合わせ候補地に対して特定された難易度」と、願書に最初に添付した明細書の発明の詳細な説明には段落【0040】に「情報管理サーバ2は候補地案内経路に含まれるリンク、ノード及び待ち合わせ場所に対してそれぞれ設定された難易度を用いて該候補案内経路の難易度を算出する。」と、段落【0089】に「先ずCPU21はリンクA?D、ノードa?c及び待ち合わせ場所Hに設定された難易度を難易度DB14から読み出す。」及び「次に、CPU21は、リンクAの難易度にリンクAから進入するノードaの難易度を乗じた値と、リンクBの難易度にリンクBから進入するノードbの難易度を乗じた値と、リンクCの難易度にリンクCから進入するノードcの難易度を乗じた値と、リンクDの難易度と、待ち合わせ場所Hの難易度とをそれぞれ加算し、加算値を候補地案内経路の難易度として算出する。」と、それぞれ記載されていることから、訂正事項3の「前記候補地案内経路を構成するリンク、ノード及び待ち合わせ候補地に対して難易度を特定し」という事項を備えた情報提供システムの発明は、願書に最初に添付した明細書に記載されているといえる。
そうすると、訂正事項3は、明細書に記載された範囲内において誤記を訂正するものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当しない。さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(4)訂正事項4について
訂正事項4に関連する記載として、願書に最初に添付した明細書の発明の詳細な説明には、段落【0024】に「ユーザの移動方法に基づいて待ち合わせ候補地を抽出するので、異なる移動方法によって移動する複数のユーザが待ち合わせを行う場合であっても、ユーザにとって適切な場所を待ち合わせ候補地として抽出することが可能となる。」と、段落【0049】に「待ち合わせを希望する際に、待ち合わせの希望に関する情報(待ち合わせ相手や待ち合わせを行った後に移動する目的地、ユーザの移動方法等)を入力する為に操作される。」と、段落【0083】に「待ち合わせを行うユーザ4(メインユーザ、サブユーザ含む)の移動方法及び現在位置と、待ち合わせを行った後に移動する目的地の位置とに基づいて、前記S43で取得した地図情報から待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を抽出する。」と、段落【0095】に「ユーザの移動方法に基づいて待ち合わせ候補地を抽出するので、異なる移動方法によって移動する複数のユーザが待ち合わせを行う場合であっても、ユーザにとって適切な場所を待ち合わせ候補地として抽出することが可能となる。」と、それぞれ記載されていることから、「移動方法」とは、待ち合わせ候補地までの移動方法であることが分かる。
してみると、訂正事項4の「前記複数のユーザの前記待ち合わせ候補地までの移動方法を取得する移動方法取得手段」という事項は、願書に最初に添付した明細書に記載されているといえる。
そうすると、訂正事項4は、明細書に記載された範囲内において誤記を訂正するものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当しない。さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(5)訂正事項5について
訂正事項5は、特許請求の範囲に対する訂正事項1ないし4に合わせて明細書を訂正するものであるから、上記(1)ないし(4)での検討と同様の理由により、願書に添付した明細書若しくは図面又は願書に最初に添付した明細書又は図面の範囲内でするものである。
そうすると、訂正事項5は、明細書に記載した範囲内において明瞭でない記載を釈明するものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当しない。さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

そして訂正事項1ないし5は一群の請求項に対して請求されたものである。

(6)請求項7に係る訂正事項1について
請求項7に係る訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項7に、訂正事項1と同様の訂正を行うものである。
そうすると、請求項7に係る訂正事項1は、上記(1)での検討と同様の理由により、願書に添付した明細書に記載された範囲内において候補地案内経路の開始点を限定するものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当しない。さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(7)請求項7に係る訂正事項2について
請求項7に係る訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項7に、訂正事項2と同様の訂正を行うものである。
そうすると、請求項7に係る訂正事項2は、上記(2)での検討と同様の理由により、願書に添付した明細書に記載された範囲内において難易度案内手段によってユーザに案内する内容を限定するものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当しない。さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(8)請求項7に係る訂正事項3について
請求項7に係る訂正事項3は、特許請求の範囲に対する請求項7に係る訂正事項1及び請求項7に係る訂正事項2に合わせて明細書を訂正するものであるから、上記(6)及び(7)での検討と同様の理由により、願書に添付した明細書に記載された範囲内でするものである。
そうすると、請求項7に係る訂正事項3は、明細書に記載した範囲内において明瞭でない記載を釈明するものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当しない。さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(9)請求項8に係る訂正事項1について
請求項8に係る訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項8に、訂正事項1と同様の訂正を行うものである。
そうすると、請求項8に係る訂正事項1は、上記(1)での検討と同様の理由により、願書に添付した明細書に記載された範囲内において候補地案内経路の開始点を限定するものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当しない。さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(10)請求項8に係る訂正事項2について
請求項8に係る訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項8に、訂正事項2と同様の訂正を行うものである。
そうすると、請求項8に係る訂正事項2は、上記(2)での検討と同様の理由により、願書に添付した明細書に記載された範囲内において難易度案内手段によってユーザに案内する内容を限定するものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当しない。さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(11)請求項8に係る訂正事項3について
請求項8に係る訂正事項3は、特許請求の範囲に対する請求項8に係る訂正事項1及び請求項8に係る訂正事項2に合わせて明細書を訂正するものであるから、上記(9)及び(10)での検討と同様の理由により、願書に添付した明細書に記載された範囲内でするものである。
そうすると、請求項8に係る訂正事項3は、明細書に記載した範囲内において明瞭でない記載を釈明するものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当しない。さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(12)請求項9に係る訂正事項1について
請求項9に係る訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項9に、訂正事項1と同様の訂正を行うものである。
そうすると、請求項9に係る訂正事項1は、上記(1)での検討と同様の理由により、願書に添付した明細書に記載された範囲内において候補地案内経路の開始点を限定するものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当しない。さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(13)請求項9に係る訂正事項2について
請求項9に係る訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項9に、訂正事項2と同様の訂正を行うものである。
そうすると、請求項9に係る訂正事項2は、上記(2)での検討と同様の理由により、願書に添付した明細書に記載された範囲内において難易度案内手段によってユーザに案内する内容を限定するものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当しない。さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(14)請求項9に係る訂正事項3について
請求項9に係る訂正事項3は、特許請求の範囲に対する請求項9に係る訂正事項1及び請求項9に係る訂正事項2に合わせて明細書を訂正するものであるから、上記(12)及び(13)での検討と同様の理由により、願書に添付した明細書に記載された範囲内でするものである。
そうすると、請求項9に係る訂正事項3は、明細書に記載した範囲内において明瞭でない記載を釈明するものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当しない。さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

3 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び第9項において準用する同法第126条第4項から第6項の規定に適合するので、請求項[1ないし6]、7、8及び9について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に係る発明(以下、「本件訂正発明1」等という。)は、それぞれ特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
複数のユーザの待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出する待ち合わせ候補地抽出手段と、
前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段と、
前記候補地案内経路の難易度を前記複数の待ち合わせ候補地毎に算出する難易度算出手段と、
前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する難易度案内手段と、
前記難易度案内手段により案内された前記所定数の待ち合わせ候補地のいずれかを選択する前記ユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、
前記所定数の待ち合わせ候補地から前記操作受付手段により受け付けた前記ユーザの操作に基づいて選択された待ち合わせ候補地を、待ち合わせ場所として特定する待ち合わせ場所特定手段と、
前記複数のユーザに前記待ち合わせ場所を特定する情報を提供する情報提供手段と、を有することを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
前記難易度算出手段は、
前記複数のユーザ毎に前記候補地案内経路の難易度を算出し、
前記複数のユーザに対して算出された前記候補地案内経路の難易度を全ユーザで合算した値を前記待ち合わせ候補地の前記候補地案内経路の難易度として算出することを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記難易度算出手段は、
前記候補地案内経路を構成するリンク、ノード及び待ち合わせ候補地に対して難易度を特定し、
前記候補地案内経路を構成するリンク、ノード及び待ち合わせ候補地に対して特定された難易度に基づいて該候補地案内経路の難易度を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記難易度算出手段は、
前記候補地案内経路を移動するのに必要な費用、乗換回数を考慮して前記候補地案内経路の難易度を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記複数のユーザが待ち合わせ場所で待ち合わせを行った後に移動する目的地を取得する目的地取得手段と、
前記複数のユーザの位置をそれぞれ取得する位置取得手段と、
前記待ち合わせ候補地抽出手段は、前記複数のユーザの位置と前記目的地の位置とに基づいて、前記待ち合わせ候補地を複数抽出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記複数のユーザの前記待ち合わせ候補地までの移動方法を取得する移動方法取得手段と、
前記待ち合わせ候補地抽出手段は、前記移動方法取得手段により取得された前記移動方法に基づいて前記待ち合わせ候補地を抽出することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項7】
複数のユーザの待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出する待ち合わせ候補地抽出手段と、
前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段と、
前記候補地案内経路の難易度を前記複数の待ち合わせ候補地毎に算出する難易度算出手段と、
前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する難易度案内手段と、
前記難易度案内手段により案内された前記所定数の待ち合わせ候補地のいずれかを選択する前記ユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、
前記所定数の待ち合わせ候補地から前記操作受付手段により受け付けた前記ユーザの操作に基づいて選択された待ち合わせ候補地を、待ち合わせ場所として特定する待ち合わせ場所特定手段と、
前記複数のユーザに前記待ち合わせ場所を特定する情報を提供する情報提供手段と、を有することを特徴とする情報提供装置。
【請求項8】
待ち合わせ候補地抽出手段が、複数のユーザの待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出するステップと、
案内経路探索手段が、前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索するステッ
プと、
難易度算出手段が、前記候補地案内経路の難易度を前記複数の待ち合わせ候補地毎に算出するステップと、
難易度案内手段が、前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内するステップと、
操作受付手段が、前記難易度案内手段により案内された前記所定数の待ち合わせ候補地のいずれかを選択する前記ユーザの操作を受け付けるステップと、
待ち合わせ場所特定手段が、前記所定数の待ち合わせ候補地から前記操作受付手段により受け付けた前記ユーザの操作に基づいて選択された待ち合わせ候補地を、待ち合わせ場所として特定するステップと、
情報提供手段が、前記複数のユーザに前記待ち合わせ場所を特定する情報を提供するステップと、を有することを特徴とする情報提供方法。
【請求項9】
コンピュータを、
複数のユーザの待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出する待ち合わせ候補地抽出手段と、
前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段と、
前記候補地案内経路の難易度を前記複数の待ち合わせ候補地毎に算出する難易度算出手段と、
前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する難易度案内手段と、
前記難易度案内手段により案内された前記所定数の待ち合わせ候補地のいずれかを選択する前記ユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、
前記所定数の待ち合わせ候補地から前記操作受付手段により受け付けた前記ユーザの操作に基づいて選択された待ち合わせ候補地を、待ち合わせ場所として特定する待ち合わせ場所特定手段と、
前記複数のユーザに前記待ち合わせ場所を特定する情報を提供する情報提供手段と、して機能させる為のコンピュータプログラム。」(なお、下線は訂正請求書に添付した訂正した特許請求の範囲において、特許権者が訂正箇所を示すために付したものである。)。

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし9に係る特許に対して平成28年6月22日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は以下のとおりである。

(1) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、請求項1ないし9に係る発明は甲1に記載された発明、甲1に記載された技術、甲2に記載された技術1及び2に基づき、容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(2) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、特許請求の範囲の記載に不備があるため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

3 甲号証の記載
(1) 甲第1号証 特開2011-34200号公報
ア 甲1発明
甲第1号証には、段落【0001】、【0009】、【0010】、【0058】ないし【0061】、【0073】及び【0113】並びに図1ないし図8の記載からみて、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。
「複数のユーザの待ち合わせ場所の候補とする待ち合わせ候補地を複数検出する待ち合わせ候補地検出部と、
複数のユーザ毎に、待ち合わせ候補地検出部により検出された複数の待ち合わせ候補地までの経路を探索する手段と、
待ち合わせ候補地までの経路の移動費用を複数の待ち合わせ候補地毎に検出する移動費用検出部と、
複数の待ち合わせ候補地の内から移動費用検出部により検出された移動費用の総和である総移動費用が安い順に待ち合わせ候補地を順位付けし、各順位に対応する待ち合わせ候補地を順位の順に表示部に表示する待ち合わせ候補地表示部と、
待ち合わせ候補地表示部に表示された待ち合わせ候補地の中から所望の待ち合わせ候補地を選択するユーザの選択操作を受け付ける操作部6と、
待ち合わせ候補地から操作部6により受け付けたユーザの選択操作に基づいて選択された待ち合わせ候補地を、待ち合わせ場所として決定する制御部17と、
複数のユーザに待ち合わせ場所に対応する待ち合わせ情報を送信する送信回路2と、を有する待ち合わせ場所推奨装置。」

イ 甲1技術
甲第1号証には、段落【0010】、段落【0081】ないし【0099】並びに図1ないし図8の記載からみて、次の技術(以下、「甲1技術」という。)が記載されていると認める。
「ユーザの現在位置及びユーザの帰宅駅情報とに基づいて待ち合わせ候補地を検出する待ち合わせ場所推奨装置。」

(2) 甲第2号証 特開2008-190899号公報
ウ 甲2技術1
甲第2号証には、段落【0011】、【0012】、【0049】ないし【0053】並びに図1ないし図17の記載からみて、次の技術(以下、「甲2技術1」という。)が記載されていると認める。
「各メンバの出発地からの交通費をパラメータとし、改札前混雑度に応じて推奨する待ち合わせ改札口を決定する待ち合わせ場所決定システム。」

エ 甲2技術2
甲第2号証には、段落【0011】、【0012】、【0042】ないし【0045】並びに図1ないし図17の記載からみて、次の技術(以下、「甲2技術2」という。)が記載されていると認める。
「各メンバの出発地からの交通費をパラメータとし、さらに各メンバの乗り換え回数をパラメータとして待ち合わせ場所の選定を支援する待ち合わせ場所決定システム。」

4 判断
(1) 特許法第29条第2項
ア 本件訂正発明1及び7ないし9について
本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、以下の点で相違し、その余の点で一致する。

<相違点1>
本件訂正発明1においては、「ユーザに案内する」「待ち合わせ候補地」が「所定数」であるのに対し、甲1発明においては、「表示部に表示する」「待ち合わせ候補地」が所定数であるか否か不明な点(以下、「相違点1」という。)。

<相違点2>
本件訂正発明1においては、「難易度案内手段」が「抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する」のに対し、甲2発明はそのような構成を備えていない点。

事案に鑑み、まず相違点2について検討する。
甲1技術、甲2技術1及び甲2技術2は、相違点2に係る構成を備えたものではない。したがって、甲1発明に甲1技術、甲2技術1及び甲2技術2を適用したとしても相違点2に係る本件訂正発明1のものとはならない。そして、当該構成により、本件訂正発明1は、情報を提供されたユーザ側では、経路難易度に加えて、移動に要する所要時間を考慮して待ち合わせ場所を選択することが可能となるという顕著な効果を奏するものである。
そうすると、相違点1について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明、甲1技術、甲2技術1及び甲2技術2から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件訂正発明1と単なるカテゴリ違い又は「システム」と「装置」若しくは「コンピュータプログラム」といった違いのみの本件訂正発明7ないし9も、本件訂正発明1と同様の理由により、請求項7ないし9に係る発明も当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件訂正発明2ないし6について
本件訂正後の特許請求の範囲における請求項2ないし6は、請求項1の記載を直接または間接的に、かつ請求項1の記載を他の記載に置換えることなく引用して記載したものであるから、本件訂正発明2ないし6は、本件訂正発明1を全て含むものである。
そうすると、本件訂正発明2ないし6は、本件訂正発明1と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2) 特許法第36条第6項第2号
ア 請求項1ないし9について
「案内経路探索手段」について、「前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段と」と訂正されることにより、請求項1は、「案内経路探索手段」が経路探索を行う起点が「各ユーザの位置から」と特定されるものとなり、明確となった。
請求項1を直接または間接的に引用する請求項2ないし6の記載も同様に明確となった。
請求項1と同様の訂正がされた請求項7ないし9も同様に明確となった。

イ 請求項6について
「前記目的地」について、「前記待ち合わせ候補地」と訂正されることにより、請求項1ないし4を引用するものについても前出するものを指し示すものとなり、明確となった。

(3)申立人の意見
ア 意見の内容
申立人は平成28年10月13日に提出した意見書において、次の2点を主張している。
(ア) 甲第1号証には「総移動時間のみ」を限定して表示部に表示するとは明示していないから、総移動時間と難易度(総移動費用)の両方を併せて表示することは当業者であれば容易に想到し得る。
(イ) 甲第4号証(特開2004-294342号公報)に基づいて各ユーザのそれぞれの移動時間及び移動時間の差を画面に表示することは当業者であれば容易に想到し得る。

そこで、申立人の意見について検討する。

イ 意見に対する検討
(ア)について、(1)アで検討したとおり、甲1発明、甲1技術、甲2技術1及び甲2技術2のいずれも本件訂正発明1の「抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する難易度案内手段」という構成を備えていないため、甲1発明に甲1技術、甲2技術1及び甲2技術2を適用したとしても相違点2に係る本件訂正発明1のものとはならない。甲第1号証において、申立人の主張するように、「総移動時間のみ」を限定して表示部に表示すると明示していないとしても、そのことが「総移動時間」及び「難易度(総移動費用)」の両方を併せて表示することを開示又は示唆するものではない。
(イ)について、甲第4号証の段落【0029】及び【0030】記載は、利用者同士の人間関係に応じて定まるプライオリティ(甲第4号証の段落【0015】等参照。)に応じて移動時間の比を定め、当該移動時間の比に基づいて地点を特定することを開示するものの、前記相違点2に係る構成を開示又は示唆するものではない。

したがって、申立人の意見は採用しない。

(4)まとめ
上記(1)ないし(3)で検討したとおり、本件訂正発明1ないし9は、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではなく、また請求項1ないし9の記載は明確であるから、本件訂正発明1ないし9は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとはいえない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由によっては、本件請求項1ないし9に係る発明を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし9に係る発明を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法及びコンピュータプログラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、待ち合わせを行うユーザに対して、待ち合わせ場所に関する情報を提供する情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のユーザが待ち合わせを行う場合に、待ち合わせを行うのに適当な場所を特定し、ユーザが特定された待ち合わせ場所へと到達できるように、その待ち合わせ場所に関する情報をユーザに提供するシステムが提案されている。例えば、特開2009-103524号公報には、ユーザの操作によって待ち合わせ場所が入力されると、待ち合わせを行う複数のユーザから入力された待ち合わせ場所までの経路がそれぞれ探索され、待ち合わせ場所の到達予定時刻のユーザ間差が所定時間差以上である場合に、到達予定時刻の差が所定時間差以内となる新たな待ち合わせ場所を検出し、検出された新たな待ち合わせ場所までの経路を案内する技術について提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-103524号公報(第6-8頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、待ち合わせ場所の到達予定時刻のユーザ間差を考慮して待ち合わせ場所を選択しているが、待ち合わせ場所までの経路が待ち合わせを行うユーザにとって適切な経路であるか否かの判定は行われていなかった。従って、ユーザにとって待ち合わせ場所までの移動が困難な待ち合わせ場所が選択される場合があった。その結果、例えば車両で移動するユーザに対して複雑な車両操作の要求される経路を移動させることとなったり、電車で移動するユーザに対して乗り換え回数が多かったり運賃が高い経路を移動させることとなる。
【0005】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、待ち合わせ場所までの経路が待ち合わせを行うユーザにとって適切な経路であるか否かを考慮することにより、ユーザにとって待ち合わせ場所までの移動が困難な場所が待ち合わせ場所として選択されることを防止し、ユーザによる待ち合わせを適切に支援することを可能とした情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る情報提供システム(1)は、複数のユーザ(6)の待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出する待ち合わせ候補地抽出手段(11)と、前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段(11)と、前記候補地案内経路の難易度を前記複数の待ち合わせ候補地毎に算出する難易度算出手段(11)と、前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する難易度案内手段と、前記難易度案内手段により案内された前記所定数の待ち合わせ候補地のいずれかを選択する前記ユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、前記所定数の待ち合わせ候補地から前記操作受付手段により受け付けた前記ユーザの操作に基づいて選択された待ち合わせ候補地を、待ち合わせ場所として特定する待ち合わせ場所特定手段(11)と、前記複数のユーザに前記待ち合わせ場所を特定する情報を提供する情報提供手段(11)と、を有することを特徴とする。
尚、「候補地案内経路の難易度」とは、候補地案内経路をユーザが移動して待ち合わせ候補地で待ち合わせを行う場合において、経路を移動する難易度や待ち合わせ場所で待ち合わせを行う難易度等を含む。
【0007】
また、請求項2に係る情報提供システム(1)は、請求項1に記載の情報提供システムであって、前記難易度算出手段(11)は、前記複数のユーザ毎に前記候補地案内経路の難易度を算出し、前記複数のユーザに対して算出された前記候補地案内経路の難易度を全ユーザで合算した値を前記待ち合わせ候補地の前記候補地案内経路の難易度として算出することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る情報提供システム(1)は、請求項1又は請求項2に記載の情報提供システムであって、前記難易度算出手段(11)は、前記候補地案内経路を構成するリンク、ノード及び待ち合わせ候補地に対して難易度を特定し、前記候補地案内経路を構成するリンク、ノード及び待ち合わせ候補地に対して特定された難易度に基づいて該候補地案内経路の難易度を算出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る情報提供システム(1)は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の情報提供システムであって、前記難易度算出手段(11)は、前記候補地案内経路を移動するのに必要な費用、乗換回数を考慮して前記候補地案内経路の難易度を算出することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る情報提供システム(1)は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の情報提供システムであって、前記複数のユーザが待ち合わせ場所で待ち合わせを行った後に移動する目的地を取得する目的地取得手段(11)と、前記複数のユーザの位置をそれぞれ取得する位置取得手段(11)と、前記待ち合わせ候補地抽出手段(11)は、前記複数のユーザの位置と前記目的地の位置とに基づいて、前記待ち合わせ候補地を複数抽出することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る情報提供システム(1)は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の情報提供システムであって、前記複数のユーザの前記待ち合わせ候補地までの移動方法を取得する移動方法取得手段(11)と、前記待ち合わせ候補地抽出手段は、前記移動方法取得手段により取得された前記移動方法に基づいて前記待ち合わせ候補地を抽出することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係る情報提供装置(2)は、複数のユーザ(6)の待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出する待ち合わせ候補地抽出手段(11)と、前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段(11)と、前記候補地案内経路の難易度を前記複数の待ち合わせ候補地毎に算出する難易度算出手段(11)と、前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する難易度案内手段と、前記難易度案内手段により案内された前記所定数の待ち合わせ候補地のいずれかを選択する前記ユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、前記所定数の待ち合わせ候補地から前記操作受付手段により受け付けた前記ユーザの操作に基づいて選択された待ち合わせ候補地を、待ち合わせ場所として特定する待ち合わせ場所特定手段(11)と、前記複数のユーザに前記待ち合わせ場所を特定する情報を提供する情報提供手段(11)と、を有することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に係る情報提供方法は、待ち合わせ候補地抽出手段が、複数のユーザ(6)の待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出するステップと、案内経路探索手段が、前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索するステップと、難易度算出手段が、前記候補地案内経路の難易度を前記複数の待ち合わせ候補地毎に算出するステップと、難易度案内手段が、前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内するステップと、操作受付手段が、前記難易度案内手段により案内された前記所定数の待ち合わせ候補地のいずれかを選択する前記ユーザの操作を受け付けるステップと、待ち合わせ場所特定手段が、前記所定数の待ち合わせ候補地から前記操作受付手段により受け付けた前記ユーザの操作に基づいて選択された待ち合わせ候補地を、待ち合わせ場所として特定するステップと、情報提供手段が、前記複数のユーザに前記待ち合わせ場所を特定する情報を提供するステップと、を有することを特徴とする。
【0016】
更に、請求項9に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、複数のユーザ(6)の待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出する待ち合わせ候補地抽出手段と、前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段と、前記候補地案内経路の難易度を前記複数の待ち合わせ候補地毎に算出する難易度算出手段と、前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する難易度案内手段と、前記難易度案内手段により案内された前記所定数の待ち合わせ候補地のいずれかを選択する前記ユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、前記所定数の待ち合わせ候補地から前記操作受付手段により受け付けた前記ユーザの操作に基づいて選択された待ち合わせ候補地を、待ち合わせ場所として特定する待ち合わせ場所特定手段と、前記複数のユーザに前記待ち合わせ場所を特定する情報を提供する情報提供手段と、して機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
前記構成を有する請求項1に記載の情報提供システムによれば、待ち合わせ場所までの経路が待ち合わせを行うユーザにとって適切な経路であるか否かを考慮することにより、ユーザにとって待ち合わせ場所までの移動が困難な場所が待ち合わせ場所として選択されることを防止することが可能となる。その結果、ユーザによる待ち合わせを適切に支援することが可能となる。
また、待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度をユーザに案内するとともに、難易度が案内されたユーザの操作に基づいて待ち合わせ場所を特定するので、待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度を把握したユーザの意思を考慮して待ち合わせ場所を特定することが可能となる。
【0018】
また、請求項2に記載の情報提供システムによれば、待ち合わせを行う複数のユーザ毎に候補地案内経路の難易度を算出し、複数のユーザに対して算出された候補地案内経路の難易度を全ユーザで合算した値を待ち合わせ候補地の候補地案内経路の難易度として算出するので、待ち合わせを行うユーザ毎に、待ち合わせ場所までの経路が適切な経路であるか否かを考慮して、待ち合わせ場所を特定することが可能となる。その結果、待ち合わせを行うユーザが多数いる場合であっても適切な待ち合わせ場所を特定することが可能となる。
【0019】
また、請求項3に記載の情報提供システムによれば、候補地案内経路を構成するリンク、ノード及び待ち合わせ候補地に対して難易度を特定し、候補地案内経路を構成するリンク、ノード及び待ち合わせ候補地に対して特定された難易度に基づいて該候補地案内経路の難易度を算出するので、候補地案内経路の難易度を正確に算出することが可能となる。
【0020】
また、請求項4に記載の情報提供システムによれば、候補地案内経路を移動するのに必要な費用、乗換回数を考慮して候補地案内経路の難易度を算出するので、待ち合わせを行うユーザに生じる体力的及び金銭的な負担を考慮して候補地案内経路の難易度を正確に算出することが可能となる。
【0023】
また、請求項5に記載の情報提供システムによれば、複数のユーザが待ち合わせ場所で待ち合わせを行った後に移動する目的地と、待ち合わせを行うユーザの位置とに基づいて、待ち合わせ候補地を抽出するので、待ち合わせを行った後に目的地へと向かうユーザにとって適切な場所を待ち合わせ候補地として抽出することが可能となる。
【0024】
また、請求項6に記載の情報提供システムによれば、ユーザの移動方法に基づいて待ち合わせ候補地を抽出するので、異なる移動方法によって移動する複数のユーザが待ち合わせを行う場合であっても、ユーザにとって適切な場所を待ち合わせ候補地として抽出することが可能となる。
【0025】
また、請求項7に記載の情報提供装置によれば、待ち合わせ場所までの経路が待ち合わせを行うユーザにとって適切な経路であるか否かを考慮することにより、ユーザにとって待ち合わせ場所までの移動が困難な場所が待ち合わせ場所として選択されることを防止することが可能となる。その結果、ユーザによる待ち合わせを適切に支援することが可能となる。
また、待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度をユーザに案内するとともに、難易度が案内されたユーザの操作に基づいて待ち合わせ場所を特定するので、待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度を把握したユーザの意思を考慮して待ち合わせ場所を特定することが可能となる。
【0026】
また、請求項8に記載の情報提供方法によれば、待ち合わせ場所までの経路が待ち合わせを行うユーザにとって適切な経路であるか否かを考慮することにより、ユーザにとって待ち合わせ場所までの移動が困難な場所が待ち合わせ場所として選択されることを防止することが可能となる。その結果、ユーザによる待ち合わせを適切に支援することが可能となる。
また、待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度をユーザに案内するとともに、難易度が案内されたユーザの操作に基づいて待ち合わせ場所を特定するので、待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度を把握したユーザの意思を考慮して待ち合わせ場所を特定することが可能となる。
【0027】
更に、請求項9に記載のコンピュータプログラムによれば、待ち合わせ場所までの経路が待ち合わせを行うユーザにとって適切な経路であるか否かを考慮させることにより、ユーザにとって待ち合わせ場所までの移動が困難な場所が待ち合わせ場所として選択されることを防止することが可能となる。その結果、ユーザによる待ち合わせを適切に支援させることが可能となる。
また、待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度をユーザに案内するとともに、難易度が案内されたユーザの操作に基づいて待ち合わせ場所を特定するので、待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度を把握したユーザの意思を考慮して待ち合わせ場所を特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態に係る情報提供システムを示した概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る情報提供システムの構成を示したブロック図である。
【図3】難易度DBに記憶される難易度データの一例を示した図である。
【図4】ノードに対して設定された難易度の一例を示した図である。
【図5】本実施形態に係る情報提供システムの特に通信端末の構成を示したブロック図である。
【図6】本実施形態に係る通信端末又は情報管理センタが実行する待ち合わせ管理プログラムのフローチャートである。
【図7】通信端末のディスプレイに表示される待ち合わせ候補地評価結果の案内画面を示した図である。
【図8】通信端末のディスプレイに表示される待ち合わせ場所の案内画面を示した図である。
【図9】待ち合わせ候補地評価処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図10】待ち合わせ候補地の抽出例について示した図である。
【図11】ユーザが自動車で移動する場合における候補地案内経路の難易度の算出方法について示した図である。
【図12】ユーザが電車で移動する場合における候補地案内経路の難易度の算出方法について示した図である。
【図13】待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度の算出方法について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る情報提供システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る情報提供システム1の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施形態に係る情報提供システム1を示した概略構成図である。図2は本実施形態に係る情報提供システム1の構成を示したブロック図である。
【0030】
図1に示すように、本実施形態に係る情報提供システム1は、情報提供装置に相当する情報管理サーバ2を備えた情報管理センタ3と、待ち合わせを行う複数のユーザ4がそれぞれ所有する通信端末5とから基本的に構成されている。尚、通信端末5としては例えば携帯電話機、PDA、スマートフォン、PC、車両に搭載されたナビゲーション装置等がある。また、ユーザ4は車両以外の移動手段(例えば電車、自転車、徒歩等)による移動中であっても良いし、移動していない状態であっても良い。また、待ち合わせを行うユーザ4の数は2人に限定されることなく、3人以上であっても良い。また、情報管理センタ3と通信端末5とは通信ネットワーク網6を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。
【0031】
ここで、情報管理センタ3は、待ち合わせを行うユーザ4の状況(現在位置、登録ID等)を管理するとともに、ユーザ4から待ち合わせ希望の意思表示があった場合に、待ち合わせを行うのに適当な待ち合わせ場所を選択し、希望者本人や待ち合わせ相手に対して待ち合わせに必要な情報(待ち合わせ場所や待ち合わせ場所の経路等)を配信する待ち合わせの支援センタである。
【0032】
一方、通信端末5は、情報管理センタ3に登録されたユーザ4が所有し、GPS等の通信端末5の現在位置(即ちユーザ4の現在位置)を特定する為の機能やナビ機能を備えた情報通信端末が用いられ、例えば携帯電話機、PDA、スマートフォン、PC、車両に搭載されたナビゲーション装置等が該当する。ここで、ナビ機能では、サーバから取得したりメモリに格納された地図データに基づいて通信端末5(ユーザ4)の現在位置周辺の地図画像を表示したり、表示された地図画像中において通信端末5(ユーザ4)の現在位置を表示したり、設定された目的地までの経路の探索及び案内を行うことが可能である。特に、本実施形態に係る通信端末5は、後述するように情報管理センタ3から受信した待ち合わせ場所や待ち合わせ場所までの経路に関する情報についても案内する。また、通信端末5は、後述の送受信回路部(RF)10を介して通信ネットワーク網6に接続され、情報管理センタ3と双方向通信可能に構成されている。尚、上記ナビ機能は必ずしも通信端末5が備えている必要はなく、例えば、少なくとも待ち合わせ場所を地図画像上で表示する機能を有していれば本願発明を構成することが可能である。また、通信端末5の詳細については後述する。
【0033】
また、通信ネットワーク網6は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。
ここで、基地局は通信端末5との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網6の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある通信端末5の通信を情報管理センタ3との間で中継する役割を持つ。
【0034】
続いて、情報提供システム1を構成する情報管理センタ3が備える情報管理サーバ2の構成について図2を用いてより詳細に説明する。情報管理サーバ2は、図2に示すように情報管理ECU11と、情報管理ECU11に接続された情報記録手段としての登録情報DB12と、地図情報DB13と、難易度DB14と、センタ通信装置15とを備える。
【0035】
情報管理ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)11は、情報管理サーバ2の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述の待ち合わせ管理プログラム(図6参照)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。尚、情報管理ECU11は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、待ち合わせ候補地抽出手段は、複数のユーザ4の待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出する。案内経路探索手段は、複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する。難易度算出手段は、候補地案内経路の難易度を複数の待ち合わせ候補地毎に算出する。難易度案内手段は、複数の待ち合わせ候補地の内から難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する。操作受付手段は、難易度案内手段により案内された所定数の待ち合わせ候補地のいずれかを選択するユーザの操作を受け付ける。待ち合わせ場所特定手段は、所定数の待ち合わせ候補地から操作受付手段により受け付けたユーザの操作に基づいて選択された待ち合わせ候補地を、待ち合わせ場所として特定する。情報提供手段は、複数のユーザに待ち合わせ場所を特定する情報を提供する。目的地取得手段は、複数のユーザが待ち合わせ場所で待ち合わせを行った後に移動する目的地を取得する。位置取得手段は、複数のユーザの位置をそれぞれ取得する。移動方法取得手段は、複数のユーザの待ち合わせ候補地までの移動方法を取得する。
【0036】
また、登録情報DB12は、ユーザ4に関する登録情報を記憶した記憶手段である。尚、登録情報DB12に記憶される登録情報としては、ユーザ4の登録ID、氏名、住所、所有する通信端末の識別番号や通信アドレス等がある。従って、情報管理サーバ2は登録情報DB12に記憶された情報を参照することによって、特定の通信端末5に対して情報を送信できる。また、情報を受信した場合に送信元の通信端末5を特定することが可能となる。
【0037】
また、地図情報DB13は、地図データが記憶される記憶手段である。また、地図データは、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、鉄道の路線に関する路線データ、施設に関する施設データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等から構成される。そして、情報管理サーバ2は、地図情報DB13を参照することによって、待ち合わせを行う複数のユーザ4の待ち合わせ場所の候補地(以下、待ち合わせ候補地という)を抽出したり、ユーザ4の現在位置から待ち合わせ候補地までの推奨経路である候補地案内経路を探索する。
【0038】
また、難易度DB14は、待ち合わせを行うユーザ4の現在位置から待ち合わせ候補地までの推奨経路である候補地案内経路の難易度を算出する為に用いられる難易度データが記憶される記憶手段である。また、難易度データは、候補地案内経路に含まれるリンクに対する難易度を特定する為のリンク難易度データ16と、候補地案内経路に含まれるノード(分岐点)に対する難易度を特定する為のノード難易度データ17と、候補地案内経路に含まれる待ち合わせ場所に対する難易度を特定する為の待ち合わせ場所難易度データ18等の複数のデータから構成される。ここで、図3はリンク難易度データ16、ノード難易度データ17及び待ち合わせ場所難易度データ18の一例を示した図である。
【0039】
図3に示すように、リンク難易度データ16は、地図情報DB13に記憶された各リンクについて、リンクIDと難易度とが対応付けられたデータである。また、ノード難易度データ17は、地図情報DB13に記憶された各リンク間のノードについて、通過態様(退出側のリンクIDと進入側のリンクIDにより特定)と難易度とが対応付けられたデータである。また、待ち合わせ場所難易度データ18は、地図情報DB13に記憶された施設等の地点の内、待ち合わせ場所となり得る地点(具体的には駅の出口、駐車場等)と難易度とが対応付けられたデータである。ここで、難易度は数値により特定され、リンク難易度データ16では数値が大きいほど車両が走行するのが困難なリンクとなる。また、ノード難易度データ17では数値が大きいほど車両が通過するのが困難な分岐点となる。また、待ち合わせ場所難易度データ18では数値が大きいほど待ち合わせを行うのが困難(例えば駐車スペースが少ない、人が多い等)な場所となる。
【0040】
また、リンク難易度データ16における難易度は、例えば、当該リンクの道路種別、道路幅、車線数、勾配、道路形状、渋滞度等によって設定される。一例として、道路幅が狭かったり、急な勾配であるリンクは難易度が高く設定される。
また、ノード難易度データ17における難易度は、例えば、当該ノード(分岐点)におけるリンク接続角度、車線数変化、道路幅変化、接続するリンクの渋滞度等によって設定される。一例として、車線数が減少したり、リンクの接続角度が鋭角であるノードは難易度が高く設定される。また、同じノードを通過する場合であっても通過態様によって難易度は大きく変化する。例えば、図4に示すように3叉路の分岐点25を車両が通過する場合においては、同じ分岐点25を通過する場合であっても直進して通過する経路26と比べて左方から進入する経路27はより走行が困難であり難易度も高く設定される。従って、ノード難易度データ17に関してはノード毎ではなくノード毎且つ通過態様毎(退出側のリンクIDと進入側のリンクIDにより特定)に難易度が設定される(図3参照)。
また、待ち合わせ場所難易度データ18における難易度は、例えば、当該待ち合わせ場所の広さ、駐車可能な駐車台数、混雑度等によって特定される。一例として、狭い場所や混雑する場所は難易度が高く設定される。
そして、情報管理サーバ2は候補地案内経路に含まれるリンク、ノード及び待ち合わせ場所に対してそれぞれ設定された難易度を用いて該候補案内経路の難易度を算出する。詳細については後述する。
【0041】
尚、上記例ではリンク、ノード及び待ち合わせ場所に対して設定された難易度について説明したが、リンク、ノード及び待ち合わせ場所以外の要素に対しても難易度を設定することが可能である。例えば、電車等の公共交通機関で移動する候補地案内経路の難易度を算出する際には、各路線(東海道線、中央線、山手線等)の区間毎や乗換を行う駅毎、運賃、乗り換え回数に対して難易度を設定する必要がある。例えば、運行本数の少ない路線ほど難易度を高くしたり、接続される路線が多い駅ほど難易度を高くしたり、運賃が高いほど難易度を高くしたり、乗り換え回数が多いほど難易度を高く設定する。また、ユーザ4の移動方法(徒歩、自転車、車)によって同じリンクやノード、待ち合わせ場所であっても難易度を変更するように構成しても良い。
【0042】
一方、センタ通信装置15は通信端末5と通信ネットワーク網6を介して通信を行う為の通信装置である。
【0043】
次に、ユーザ4の有する通信端末5の概略構成について図5を用いて説明する。図5は本実施形態に係る通信端末5の制御系を模式的に示すブロック図である。
【0044】
一方、図5に示すように通信端末5はデータバスBUSに、CPU31と、通信端末5を所持するユーザ4に関するユーザ情報(ユーザID、氏名等)や地図情報等が記憶されたメモリ32と、通信ネットワーク網6の基地局との間で信号の送受信を行う送受信回路部(RF)10と、送受信回路部10において受信したRF(Radio Frequency)信号をベースバンド信号に変換するとともにベースバンド信号をRF信号に変換するベースバンド処理部34と、マイクロホン35及びスピーカ36等とのインターフェイスである入出力部37と、液晶表示パネル等で構成されたディスプレイ38と、タッチパネルやキーボード等から構成される入力操作部39と、GPS40とが接続されることにより構成されている。
【0045】
ここで、通信端末5に内蔵されるCPU31は、メモリ32に格納されている動作プログラムに従って種々の動作を実行する通信端末5の制御手段であり、メモリ32とともに通信端末ECU41を構成する。また、通信端末ECU41の各種処理内容は必要に応じてディスプレイ38に表示される。
【0046】
また、メモリ32は通信端末5を所持するユーザ4に関するユーザ情報(ユーザID、氏名等)や地図情報の他、後述の待ち合わせ管理プログラム(図6参照)等が記憶された記憶媒体である。尚、地図情報はメモリ32に記憶せずにサーバから通信により取得する構成としても良い。また、メモリ32は、ハードディスク、メモリーカード、CDやDVD等の光ディスク等により構成しても良い。
【0047】
また、メモリ32には、情報管理センタ3から受信した待ち合わせ場所や待ち合わせ場所までの経路に関する情報についても記憶される。尚、情報管理センタ3は、ユーザ4から待ち合わせ希望の意思表示があった場合に、待ち合わせを行うのに適当な待ち合わせ場所を選択し、希望者本人や待ち合わせ相手に対して待ち合わせに必要な情報(待ち合わせ場所や待ち合わせ場所の経路等)を配信する。
【0048】
また、ディスプレイ38は、筐体の一面に配設されており、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。そして、入力操作部39による入力内容やインターネットサイト等の各種情報が表示される。また、ナビ機能の実行時においては、道路を含む地図画像、交通情報、出発地から目的地までの走行予定経路、走行予定経路に沿った案内情報等についても表示される。更に、本実施形態ではユーザ4が待ち合わせ希望の意思表示を行った後に、希望者本人の通信端末5に対して、待ち合わせ候補地と待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度の一覧が表示される(図7参照)。更に、待ち合わせ場所が選択された後には、希望者本人や待ち合わせ相手の通信端末5に対して、選択された待ち合わせ場所及び待ち合わせ場所までの経路が表示される(図8参照)。
【0049】
また、入力操作部39は、ディスプレイ38の前面に設けられたタッチパネルによって構成されている。そして、通信端末ECU41は、タッチパネルの押下等により出力される電気信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。また、本実施形態では、待ち合わせを希望する際に、待ち合わせの希望に関する情報(待ち合わせ相手や待ち合わせを行った後に移動する目的地、ユーザの移動方法等)を入力する為に操作される。また、待ち合わせ候補地の一覧から待ち合わせ場所を選択する際等においても操作される。尚、入力操作部39は、番号/文字入力キー、表示された内容を選択するためのカーソルを動かすカーソルキー、選択を確定する決定キー等の各種キー等により構成することもできる。
【0050】
また、GPS40は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、通信端末5(即ちユーザ4)の現在位置及び現在時刻を検出可能とする。
【0051】
続いて、前記構成を有する情報提供システム1を構成する情報管理センタ3及び通信端末5において実行する待ち合わせ管理プログラムについて図6に基づき説明する。図6は本実施形態に係る待ち合わせ管理プログラムのフローチャートである。ここで、待ち合わせ管理プログラムは、待ち合わせを希望するユーザ4の通信端末5において所定の操作が行われた場合に実行され、待ち合わせを行うのに適当な待ち合わせ場所を特定し、特定された待ち合わせ場所等の待ち合わせに必要な情報を待ち合わせを行う各ユーザ4へ提供するプログラムである。尚、以下の図6及び図9にフローチャートで示されるプログラムは、情報管理センタ3や通信端末5が備えるRAMやROM等に記憶されており、CPU21やCPU31により実行される。
【0052】
先ず、待ち合わせを希望した通信端末5において実行される待ち合わせ管理プログラムについて説明する。尚、以下の説明では待ち合わせを行う複数のユーザ4の内、待ち合わせ希望の意思表示を情報管理センタ3に対して行う一のユーザ4(以下、メインユーザという)が所有する通信端末5を通信端末Aとし、メインユーザ以外のその他のユーザ4(メインユーザによって待ち合わせ相手に指名されたユーザであり、以下サブユーザという)が所有する通信端末5を通信端末Bとする。尚、通信端末Aの数は基本的に1台であるが、通信端末Bの数は1台でも複数台であっても良い。
【0053】
ステップ(以下、Sと略記する)1において通信端末AのCPU31は、通信端末Aにおいて所定のアプリケーションプログラムを起動させ、アプリケーションプログラム上で待ち合わせの希望に関する情報(以下、待ち合わせ希望情報という)をメインユーザの操作に基づいて入力する。尚、待ち合わせ希望情報は、“待ち合わせ相手(サブユーザ)”、“待ち合わせを行った後に移動する目的地”、“メインユーザとサブユーザの移動方法”をそれぞれ特定する情報を含む。また、“サブユーザ”の特定はユーザID、氏名、メールアドレス等を入力することにより行っても良いし、アドレス帳から選択することにより行っても良い。更に、“待ち合わせを行った後に移動する目的地”の特定は施設名、電話番号、座標等を入力することにより行っても良いし、地図上から任意の地点を選択することにより行っても良い。また、“待ち合わせを行った後に移動する目的地”については入力しない構成としても良い。
【0054】
次に、S2においてCPU31は、前記S1で入力された待ち合わせ希望情報を、送信者であるメインユーザを特定する情報(ユーザID等)を含めて情報管理センタ3へと送信する。
【0055】
続いて、S3においてCPU31は、情報管理センタ3から送信された位置情報要求を受信する。尚、位置情報要求は、待ち合わせを行うユーザ4(メインユーザ、サブユーザ含む)の現在位置を要求する信号である。
【0056】
その後、S4においてCPU31は、GPS40の検出結果に基づいて通信端末Aの現在位置(即ちメインユーザの現在位置)を取得する。
【0057】
そして、S5においてCPU31は、前記S4で取得した通信端末Aの現在位置の情報を情報管理センタ3へと送信する。そして、待ち合わせ希望情報と待ち合わせを行うユーザ4(メインユーザ、サブユーザ含む)の現在位置の情報とを取得した情報管理センタ3は、後述のように待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出し、更に抽出された待ち合わせ候補地毎に、待ち合わせを行う各ユーザ4から待ち合わせ場所までの経路である候補地案内経路の難易度を算出する(図9参照)。
【0058】
次に、S6においてCPU31は、情報管理センタ3から送信された待ち合わせ候補地評価結果を受信する。尚、待ち合わせ候補地評価結果は、情報管理センタ3で実行される後述の待ち合わせ候補地評価処理(図9参照)によって抽出された待ち合わせ候補地を特定する情報と、抽出された待ち合わせ候補地毎に算出された候補地案内経路の難易度と、各ユーザ4の待ち合わせ候補地までの所要時間、各ユーザ4の間で生じる最大の到着時間差等を特定する情報等が含まれる。
【0059】
続いて、S7においてCPU31は、前記S6で受信した待ち合わせ候補地評価結果をディスプレイ38に表示する。ここで、図7は前記S7において通信端末Aのディスプレイ38に表示される待ち合わせ候補地評価結果の案内画面45の表示例を示した図である。図7に示すように通信端末Aのディスプレイ38には、情報管理センタ3によって抽出された待ち合わせ候補地が複数箇所表示され、更に、各ユーザ4の待ち合わせ候補地までの所要時間、各ユーザ4の間で生じる最大の到着時間差、候補地案内経路の難易度について表示される。ここで、図7に示す例では3箇所の待ち合わせ候補地を表示しているが、2箇所以下又は4箇所以上の待ち合わせ候補地について表示しても良い。また、候補地案内経路の難易度が易しい順に所定箇所数のみを表示しても良い。また、待ち合わせ候補地を表示する表示順序は、候補地案内経路の難易度が易しい順に表示することが望ましい。また、図7に示す例では難易度は「低」、「中」、「高」の3段階により表示されているが、難易度の表示形態は他の表示形態としても良い。例えば、数値や色により表示しても良い。
【0060】
その後、S8においてCPU31は、前記S7でディスプレイ38に表示された待ち合わせ候補地評価結果を参照したメインユーザによって行われる待ち合わせ候補地の選択操作を受け付ける。メインユーザは例えば、図7に示すように待ち合わせ候補地に対応するチェックボックスにチェックすることによって待ち合わせ候補地の選択を行う。尚、メインユーザの選択操作によって選択された待ち合わせ候補地が、後述のように待ち合わせ場所として特定されることとなる。
【0061】
次に、S9においてCPU31は、前記S8で受け付けた待ち合わせ候補地の選択結果を情報管理センタ3へと送信する。そして、情報管理センタ3は、後述のようにメインユーザの選択操作によって選択された待ち合わせ候補地を待ち合わせ場所として特定する。
【0062】
続いて、S10においてCPU31は、情報管理センタ3から送信された待ち合わせ場所に関する情報(以下、待ち合わせ場所情報という)を受信する。尚、待ち合わせ場所情報は、待ち合わせ場所を特定する情報(施設名、位置座標等)を含む。また、待ち合わせ場所までの推奨経路や、待ち合わせを行う相手であるサブユーザの現在位置を特定する情報についても含めるようにしても良い。
【0063】
そして、S11においてCPU31は、前記S10で受信した待ち合わせ場所情報を案内する。その結果、待ち合わせ場所を特定する情報を含む待ち合わせ場所情報は、通信端末Aを介して待ち合わせを行うメインユーザに提供されることとなる。
【0064】
ここで、図8は、前記S11でディスプレイ38に表示される待ち合わせ場所情報の案内画面50の一例を示した図である。
図8に示すように、ディスプレイ38には、メインユーザ周辺の地図画像51とともに、メインユーザの現在位置を示す現在地マーク52と、待ち合わせ場所や待ち合わせ時刻を特定する待ち合わせ場所マーク53と、メインユーザの現在位置から待ち合わせ場所までの推奨経路54と、待ち合わせ相手であるサブユーザの現在位置を特定する相手マーク55が表示される。その結果、メインユーザは、ディスプレイ38に表示される案内画面50を参照することにより、待ち合わせ場所に加えて、待ち合わせ場所までの経路や待ち合わせ相手の現在位置についても把握することが可能となる。尚、推奨経路54や相手マーク55については表示しない構成としても良い。更に、推奨経路54については、情報管理センタ3で探索されたものを取得しても良いし、通信端末Aで探索しても良い。
【0065】
次に、情報管理センタ3において実行される待ち合わせ管理プログラムについて説明する。
先ず、S21においてCPU21は、通信端末Aから送信された待ち合わせ希望情報を受信する。尚、待ち合わせ希望情報は、前記したように“待ち合わせ希望情報の送信者(メインユーザ)”、“待ち合わせ相手(サブユーザ)”、“待ち合わせを行った後に移動する目的地”、“メインユーザとサブユーザの移動方法”をそれぞれ特定する情報を含む。
【0066】
次に、S22においてCPU21は、前記S21で受信した打ち合わせ希望情報に基づいて待ち合わせを行うユーザ4(メインユーザ、サブユーザ含む)を特定し、特定した各ユーザ4の通信端末5に対して位置情報要求を送信する。尚、位置情報要求は、ユーザ4の現在位置を要求する信号である。
【0067】
続いて、S23においてCPU21は、前記S22で送信した位置情報要求に応じて各通信端末5から送信された現在位置情報を受信する。
【0068】
その後、S24においてCPU21は後述の待ち合わせ候補地評価処理(図9)を行う。ここで、待ち合わせ候補地評価処理は、前記S21で取得した待ち合わせ希望情報と前記S23で取得した待ち合わせを行うユーザ4(メインユーザ、サブユーザ含む)の現在位置の情報とに基づいて、待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出し、更に抽出された待ち合わせ候補地毎に、待ち合わせを行う各ユーザ4から待ち合わせ場所までの経路である候補地案内経路の難易度を算出する処理である。
【0069】
そして、S25においてCPU31は、前記S24の待ち合わせ候補地評価処理の評価結果をメインユーザの通信端末Aに送信する。尚、サブユーザの通信端末Bにも送信する構成としても良い。尚、待ち合わせ候補地評価結果は、前記S24の待ち合わせ候補地評価処理によって抽出された待ち合わせ候補地を特定する情報と、抽出された待ち合わせ候補地毎に算出された候補地案内経路の難易度と、各ユーザ4の待ち合わせ候補地までの所要時間、各ユーザ4の間で生じる最大の到着時間差等を特定する情報等が含まれる。
【0070】
次に、S26においてCPU31は、メインユーザの通信端末Aから送信された待ち合わせ候補地の選択結果を受信する。
【0071】
続いて、S27においてCPU31は、前記S26で受信したメインユーザの選択操作によって選択された待ち合わせ候補地を待ち合わせ場所として特定する。
【0072】
その後、S28においてCPU31は、前記S27で特定された待ち合わせ場所に関する情報(待ち合わせ場所情報)について、待ち合わせを行う各ユーザ4(メインユーザ、サブユーザ含む)の通信端末5に対して送信する。尚、待ち合わせ場所情報は、待ち合わせ場所を特定する情報(施設名、位置座標等)を含む。また、待ち合わせ場所までの推奨経路や、待ち合わせを行う相手であるサブユーザの現在位置を特定する情報についても含めるようにしても良い。そして、待ち合わせ場所情報を受信した通信端末5は、待ち合わせ場所情報を案内する(S11、S35)。
【0073】
最後に、メインユーザによって待ち合わせ相手に指名されたサブユーザの通信端末Bにおいて実行される待ち合わせ管理プログラムについて説明する。
先ず、S31において通信端末BのCPU31は、情報管理センタ3から送信された位置情報要求を受信する。尚、位置情報要求は、前記したように待ち合わせを行うユーザ4(メインユーザ、サブユーザ含む)の現在位置を要求する信号である。
【0074】
次に、S32においてCPU31は、GPS40の検出結果に基づいて通信端末Bの現在位置(即ちサブユーザの現在位置)を取得する。
【0075】
続いて、S33においてCPU31は、前記S4で取得した通信端末Bの現在位置の情報を情報管理センタ3へと送信する。
【0076】
その後、S34においてCPU31は、情報管理センタ3から送信された待ち合わせ場所情報を受信する。尚、待ち合わせ場所情報は、待ち合わせ場所を特定する情報(施設名、位置座標等)を含む。また、待ち合わせ場所までの推奨経路や、待ち合わせを行う相手であるメインユーザの現在位置を特定する情報についても含めるようにしても良い。
【0077】
そして、S35においてCPU31は、前記S34で受信した待ち合わせ場所情報を案内する。その結果、待ち合わせ場所を特定する情報を含む待ち合わせ場所情報は、通信端末Bを介して待ち合わせを行うサブユーザに提供されることとなる。尚、待ち合わせ場所情報の案内例は、既に説明したメインユーザに対する案内(図8)と同様であるので説明は省略する。
【0078】
次に、前記S24において実行される待ち合わせ候補地評価処理のサブ処理について図9に基づき説明する。図9は待ち合わせ候補地評価処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0079】
先ず、S41においてCPU21は、前記S21においてメインユーザの通信端末Aから受信した待ち合わせ希望情報に基づいて、“待ち合わせを行った後に移動する目的地”が待ち合わせ希望情報に含まれているか否か判定する。
【0080】
そして、“待ち合わせを行った後に移動する目的地”が待ち合わせ希望情報に含まれていると判定された場合(S41:YES)には、S42へと移行する。それに対して、“待ち合わせを行った後に移動する目的地”が待ち合わせ希望情報に含まれていないと判定された場合(S41:NO)には、S43へと移行する。
【0081】
S42においてCPU21は、待ち合わせを行うユーザ4(メインユーザ、サブユーザ含む)の現在位置と、待ち合わせを行った後に移動する目的地の位置とに基づいて、待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地の設定範囲を設定する。具体的には、メインユーザの現在位置と、サブユーザの現在位置と、待ち合わせを行った後に移動する目的地の位置とに囲まれる範囲を待ち合わせ候補地の設定範囲に設定する(図10参照)。その後、S43へと移行する。
【0082】
S43においてCPU21は、地図情報DB13から前記S42で設定された設定範囲周辺の地図情報を読み出す。尚、前記S42の処理が行われていない場合には、メインユーザやサブユーザの現在位置周辺の地図情報が読み出される。
【0083】
その後、S44においてCPU21は、待ち合わせを行うユーザ4(メインユーザ、サブユーザ含む)の移動方法及び現在位置と、待ち合わせを行った後に移動する目的地の位置とに基づいて、前記S43で取得した地図情報から待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を抽出する。具体的には、待ち合わせを行うことができる場所(駅の出口、駐車場等)であって、メインユーザが到達するのに必要な所要時間とサブユーザが到達するのに必要な所要時間がそれぞれ所定時間以内で且つ所定時間差以内である場所が待ち合わせ候補地として抽出される。
【0084】
また、前記S42において設定範囲が設定されている場合には、更に設定範囲内にあることも待ち合わせ候補地の条件とする。例えば、図10に示すように地点Xにメインユーザが位置し、地点Yにサブユーザが位置し、待ち合わせを行った後に移動する目的地Zが設定されている場合には、先ず、CPU21は待ち合わせを行うことができる場所(駅の出口、駐車場等)であって、メインユーザが到達するのに必要な所要時間とサブユーザが到達するのに必要な所要時間がそれぞれ所定時間以内で且つ所定時間差以内である場所として地点H?Kを抽出する。その後、メインユーザの現在位置と、サブユーザの現在位置と、目的地の位置とに囲まれる設定範囲58内に位置する地点H?Jを待ち合わせ候補地として抽出し、地点Kについては待ち合わせ候補地から除外する。尚、目的地Zが設定されていない場合には、地点H?Kが待ち合わせ候補地として抽出されることとなる。
【0085】
次に、S45においてCPU21は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を取得する。
【0086】
そして、以降のS46?S49の処理は前記S44で抽出された待ち合わせ候補地毎に実行する。
先ず、S46においてCPU21は、前記S43で読み出した地図情報や前記S45で取得した交通情報に基づいて、待ち合わせを行うユーザ4(メインユーザ、サブユーザ含む)から処理対象となる待ち合わせ候補地までの推奨経路(候補地案内経路)を探索する。また、前記S46の経路探索処理は、地図情報に含まれるリンクデータ、ノードデータ、路線データ、VICS(登録商標)センタ等から取得した交通情報を用いて、公知のダイクストラ法等により行われる。尚、候補地案内経路は、ユーザの移動方法として車両以外が選択された場合には、電車等の公共交通機関で移動する経路も含む場合がある。
【0087】
そして、以降のS47、S48の処理は前記S46で探索された候補地案内経路毎に実行する。
S47においてCPU21は、処理対象の候補地案内経路の難易度を評価する為の評価ポイントを抽出する。ここで、候補地案内経路の難易度を評価する為の評価ポイントとしては、候補地案内経路に含まれるリンク、ノード、待ち合わせ候補地がある。また、特に電車等の公共交通機関で移動する候補地案内経路については、候補地案内経路に含まれる路線(東海道線、中央線、山手線等)の区間、乗換を行う駅、乗換回数、運賃等も評価ポイントとなる。
【0088】
次に、S48においてCPU21は、前記S47で抽出された評価ポイントと難易度DB14に記憶された難易度データ(図3)とに基づいて、処理対象の候補地案内経路の難易度を算出する。以下に、図11及び図12を用いて候補地案内経路の難易度の算出方法について説明する。尚、図11に示す例ではユーザは地点Xに位置し、待ち合わせ候補地Hまで自動車で移動する候補地案内経路の難易度の算出方法について示す。一方、図12に示す例ではユーザは地点Yに位置し、待ち合わせ候補地Hまで電車で移動する候補地案内経路の難易度の算出方法について示す。
【0089】
図11に示す候補地案内経路は、リンクA?Dによって構成され、各リンク間にノードa?cが配置されている。従って、先ずCPU21はリンクA?D、ノードa?c及び待ち合わせ場所Hに設定された難易度を難易度DB14から読み出す。尚、ノードa?cの難易度についてはノードの通過方向についても考慮して特定する。次に、CPU21は、リンクAの難易度にリンクAから進入するノードaの難易度を乗じた値と、リンクBの難易度にリンクBから進入するノードbの難易度を乗じた値と、リンクCの難易度にリンクCから進入するノードcの難易度を乗じた値と、リンクDの難易度と、待ち合わせ場所Hの難易度とをそれぞれ加算し、加算値を候補地案内経路の難易度として算出する。
【0090】
一方、図12に示す候補地案内経路は、線路区間E、Fによって構成され、線路区間E、Fの間に乗換駅であるd駅が配置されている。また、候補案内経路に沿ってユーザが移動した場合の乗り換え回数が1回であり、必要な運賃は700円である。従って、先ずCPU21は線路区間E、F、乗換駅d駅及び待ち合わせ場所Hに設定された難易度を難易度DB14から読み出す。同じく、乗り換え回数1回及び運賃700円に設定された難易度を難易度DB14から読み出す。次に、CPU21は、線路区間Eの難易度と、乗換駅d駅の難易度と、線路区間Fの難易度と、待ち合わせ場所Hの難易度と、乗り換え回数1回に設定された難易度と、運賃700円に設定された難易度とをそれぞれ加算し、加算値を候補地案内経路の難易度として算出する。
【0091】
続いて、S49においてCPU21は、前記S48で算出された候補地案内経路の難易度に基づいて、前記S44で抽出された待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度を算出する。具体的には、待ち合わせを行う全てのユーザ4(メインユーザ、サブユーザ)からの候補地案内経路の難易度を待ち合わせ候補地毎に合計し、合計値を各待ち合わせ候補地の候補地案内経路の難易度として算出する。
【0092】
例えば、図13では、地点Xにメインユーザが位置し、地点Yにサブユーザが位置し、待ち合わせを行った後に移動する目的地Zが設定され、地点H?Jが待ち合わせ候補地として抽出されている場合について説明する。また、図13に示す例では、地点Xから待ち合わせ候補地Hまでの候補地案内経路61の難易度が“60”であり、地点Yから待ち合わせ候補地Hまでの候補地案内経路62の難易度が“80”であり、地点Xから待ち合わせ候補地Iまでの候補地案内経路63の難易度が“55”であり、地点Yから待ち合わせ候補地Iまでの候補地案内経路64の難易度が“70”であり、地点Xから待ち合わせ候補地Jまでの候補地案内経路65の難易度が“70”であり、地点Yから待ち合わせ候補地Jまでの候補地案内経路66の難易度が“75”である。従って、待ち合わせ候補地Hの候補地案内経路の難易度は、候補地案内経路61の難易度と候補地案内経路62の難易度を加算した値であり“140”となる。同様に、待ち合わせ候補地Iの候補地案内経路の難易度は“125”となり、待ち合わせ候補地Jの候補地案内経路の難易度は“145”となる。
【0093】
その後、S50においてCPU21は、前記S49で算出された待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度に基づいて、前記S44で抽出された待ち合わせ候補地について難易度の順位付けを行う。
【0094】
更に、S51においてCPU21は、前記S49で算出された待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度、及び前記S52で特定された順位を、待ち合わせ候補地評価結果としてRAM22等に格納する。また、待ち合わせを行う各ユーザ4の待ち合わせ候補地までの所要時間、各ユーザ4の間で生じる最大の到着時間差等を特定する情報についても算出し、待ち合わせ候補地評価結果として格納しても良い。そして、前記したようにその後に実行されるS25において、前記S44で抽出された待ち合わせ候補地とともに待ち合わせ候補地評価結果がメインユーザの通信端末Aに対して送信される(図6)。
【0095】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る情報提供システム1、情報提供システム1による情報提供方法及び情報提供システム1において実行されるコンピュータプログラムでは、ユーザ4から待ち合わせ希望の意思表示があった場合に、情報管理センタ3は待ち合わせを行う複数のユーザ4の待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を抽出し(S44)、ユーザ4毎に複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索し(S46)、候補地案内経路の難易度を複数の待ち合わせ候補地毎に算出し(S49)、算出された待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度に基づいて、待ち合わせ候補地から待ち合わせ場所を特定し(S27)、待ち合わせを行うユーザ4に待ち合わせ場所を特定する情報を提供する(S28)ので、待ち合わせ場所までの経路が待ち合わせを行うユーザにとって適切な経路であるか否かを考慮することにより、ユーザにとって待ち合わせ場所までの移動が困難な場所が待ち合わせ場所として選択されることを防止することが可能となる。その結果、ユーザによる待ち合わせを適切に支援することが可能となる。
また、待ち合わせを行う複数のユーザ毎に候補地案内経路の難易度を算出し、複数のユーザに対して算出された候補地案内経路の難易度を全ユーザで合算した値を待ち合わせ候補地の候補地案内経路の難易度として算出するので、待ち合わせを行うユーザ毎に、待ち合わせ場所までの経路が適切な経路であるか否かを考慮して、待ち合わせ場所を特定することが可能となる。その結果、待ち合わせを行うユーザが多数いる場合であっても適切な待ち合わせ場所を特定することが可能となる。
また、候補地案内経路を構成するリンク、ノード又は待ち合わせ候補地に対して難易度を特定し、候補地案内経路を構成するリンク、ノード及び待ち合わせ候補地に対して特定された難易度に基づいて該候補地案内経路の難易度を算出するので、候補地案内経路の難易度を正確に算出することが可能となる。
また、候補地案内経路を移動するのに必要な費用、乗換回数を考慮して候補地案内経路の難易度を算出するので、待ち合わせを行うユーザに生じる体力的及び金銭的な負担を考慮して候補地案内経路の難易度を正確に算出することが可能となる。
また、待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度をユーザに案内するとともに、難易度が案内されたユーザの操作に基づいて待ち合わせ場所を特定するので、待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度を把握したユーザの意思を考慮して待ち合わせ場所を特定することが可能となる。
また、複数のユーザが待ち合わせ場所で待ち合わせを行った後に移動する目的地と、待ち合わせを行うユーザの位置とに基づいて、待ち合わせ候補地を抽出するので、待ち合わせを行った後に目的地へと向かうユーザにとって適切な場所を待ち合わせ候補地として抽出することが可能となる。
また、ユーザの移動方法に基づいて待ち合わせ候補地を抽出するので、異なる移動方法によって移動する複数のユーザが待ち合わせを行う場合であっても、ユーザにとって適切な場所を待ち合わせ候補地として抽出することが可能となる。
【0096】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では待ち合わせ管理プログラム(図7、図9)のS21?S28やS41?S51の処理を情報管理センタ3が実行する構成としているが、通信端末5が一部または全部の処理を実行する構成としても良い。
【0097】
また、本実施形態では、待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度を希望の意思表示を行ったメインユーザに案内するとともに、難易度が案内されたメインユーザの操作に基づいて待ち合わせ場所を特定することとしているが、情報管理センタ3が待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度を比較し、最も難易度の低い待ち合わせ候補地を待ち合わせ場所に特定するように構成しても良い。その結果、待ち合わせを行うユーザにとって待ち合わせ場所までの移動が最も容易な場所を待ち合わせ場所に特定することが可能となる。
【0098】
また、メインユーザ以外のサブユーザに対して待ち合わせ候補地毎の候補地案内経路の難易度を案内し、難易度が案内されたサブユーザの操作に基づいて待ち合わせ場所を特定することとしても良い。更に、待ち合わせを行う各ユーザ4の操作結果を集計して待ち合わせ場所を特定することとしても良い。
【0099】
また、本実施形態では、ユーザ4から待ち合わせ希望の意思表示があった場合に、待ち合わせを行う各ユーザ4の現在位置を情報管理センタ3が取得する構成としているが、情報管理センタ3が一定間隔で通信端末5の位置情報を受信するように構成しても良い。
【0100】
また、本実施形態では、候補地案内経路を構成するリンク、ノード及び待ち合わせ候補地に対して設定された難易度に基づいて該候補地案内経路の難易度を算出するように構成しているが、リンク、ノード及び待ち合わせ候補地の一部(例えばリンクとノードのみ)に対して設定された難易度に基づいて該候補地案内経路の難易度を算出するように構成しても良い。
【0101】
また、本実施形態では、地図情報に含まれるリンク、ノード、待ち合わせ候補地毎に難易度を設定した難易度データを予め難易度DB14に格納することとしているが、難易度設定の条件のみを記憶し、記憶された条件に基づいて情報管理センタ3が候補地案内経路を構成するリンク、ノード及び待ち合わせ候補地に対する難易度を算出する構成としても良い。難易度設定の条件としては、例えば、道路幅が所定幅以上であるリンクであれば難易度をAと算出し、所定幅未満であるリンクは難易度をB(>A)と算出する条件等がある。
【符号の説明】
【0102】
1 情報提供システム
2 情報管理サーバ
3 情報管理センタ
4 ユーザ
5 通信端末
11 情報管理ECU
14 難易度DB
41 通信端末ECU
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザの待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出する待ち合わせ候補地抽出手段と、
前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段と、
前記候補地案内経路の難易度を前記複数の待ち合わせ候補地毎に算出する難易度算出手段と、
前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する難易度案内手段と、
前記難易度案内手段により案内された前記所定数の待ち合わせ候補地のいずれかを選択する前記ユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、
前記所定数の待ち合わせ候補地から前記操作受付手段により受け付けた前記ユーザの操作に基づいて選択された待ち合わせ候補地を、待ち合わせ場所として特定する待ち合わせ場所特定手段と、
前記複数のユーザに前記待ち合わせ場所を特定する情報を提供する情報提供手段と、を有することを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
前記難易度算出手段は、
前記複数のユーザ毎に前記候補地案内経路の難易度を算出し、
前記複数のユーザに対して算出された前記候補地案内経路の難易度を全ユーザで合算した値を前記待ち合わせ候補地の前記候補地案内経路の難易度として算出することを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記難易度算出手段は、
前記候補地案内経路を構成するリンク、ノード及び待ち合わせ候補地に対して難易度を特定し、
前記候補地案内経路を構成するリンク、ノード及び待ち合わせ候補地に対して特定された難易度に基づいて該候補地案内経路の難易度を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記難易度算出手段は、
前記候補地案内経路を移動するのに必要な費用、乗換回数を考慮して前記候補地案内経路の難易度を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記複数のユーザが待ち合わせ場所で待ち合わせを行った後に移動する目的地を取得する目的地取得手段と、
前記複数のユーザの位置をそれぞれ取得する位置取得手段と、
前記待ち合わせ候補地抽出手段は、前記複数のユーザの位置と前記目的地の位置とに基づいて、前記待ち合わせ候補地を複数抽出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記複数のユーザの前記待ち合わせ候補地までの移動方法を取得する移動方法取得手段と、
前記待ち合わせ候補地抽出手段は、前記移動方法取得手段により取得された前記移動方法に基づいて前記待ち合わせ候補地を抽出することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項7】
複数のユーザの待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出する待ち合わせ候補地抽出手段と、
前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段と、
前記候補地案内経路の難易度を前記複数の待ち合わせ候補地毎に算出する難易度算出手段と、
前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する難易度案内手段と、
前記難易度案内手段により案内された前記所定数の待ち合わせ候補地のいずれかを選択する前記ユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、
前記所定数の待ち合わせ候補地から前記操作受付手段により受け付けた前記ユーザの操作に基づいて選択された待ち合わせ候補地を、待ち合わせ場所として特定する待ち合わせ場所特定手段と、
前記複数のユーザに前記待ち合わせ場所を特定する情報を提供する情報提供手段と、を有することを特徴とする情報提供装置。
【請求項8】
待ち合わせ候補地抽出手段が、複数のユーザの待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出するステップと、
案内経路探索手段が、前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索するステップと、
難易度算出手段が、前記候補地案内経路の難易度を前記複数の待ち合わせ候補地毎に算出するステップと、
難易度案内手段が、前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内するステップと、
操作受付手段が、前記難易度案内手段により案内された前記所定数の待ち合わせ候補地のいずれかを選択する前記ユーザの操作を受け付けるステップと、
待ち合わせ場所特定手段が、前記所定数の待ち合わせ候補地から前記操作受付手段により受け付けた前記ユーザの操作に基づいて選択された待ち合わせ候補地を、待ち合わせ場所として特定するステップと、
情報提供手段が、前記複数のユーザに前記待ち合わせ場所を特定する情報を提供するステップと、を有することを特徴とする情報提供方法。
【請求項9】
コンピュータを、
複数のユーザの待ち合わせ場所の候補となる待ち合わせ候補地を複数抽出する待ち合わせ候補地抽出手段と、
前記複数のユーザ毎に、各ユーザの位置から前記待ち合わせ候補地抽出手段により抽出された前記複数の待ち合わせ候補地までの経路である候補地案内経路を探索する案内経路探索手段と、
前記候補地案内経路の難易度を前記複数の待ち合わせ候補地毎に算出する難易度算出手段と、
前記複数の待ち合わせ候補地の内から前記難易度算出手段により算出された難易度が易しい順に所定数の待ち合わせ候補地を抽出するとともに、抽出された前記所定数の待ち合わせ候補地を難易度の順位と関連付けて、各ユーザの待ち合わせ候補地までの所要時間を比較する情報とともに前記ユーザに案内する難易度案内手段と、
前記難易度案内手段により案内された前記所定数の待ち合わせ候補地のいずれかを選択する前記ユーザの操作を受け付ける操作受付手段と、
前記所定数の待ち合わせ候補地から前記操作受付手段により受け付けた前記ユーザの操作に基づいて選択された待ち合わせ候補地を、待ち合わせ場所として特定する待ち合わせ場所特定手段と、
前記複数のユーザに前記待ち合わせ場所を特定する情報を提供する情報提供手段と、して機能させる為のコンピュータプログラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-11-28 
出願番号 特願2011-241771(P2011-241771)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (G01C)
P 1 651・ 537- YAA (G01C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 根本 徳子  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 三島木 英宏
松下 聡
登録日 2015-08-21 
登録番号 特許第5794112号(P5794112)
権利者 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
発明の名称 情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法及びコンピュータプログラム  
代理人 特許業務法人ネクスト  
代理人 特許業務法人ネクスト  

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