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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G02B
管理番号 1324881
異議申立番号 異議2016-701087  
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-11-24 
確定日 2017-02-03 
異議申立件数
事件の表示 特許第5924311号発明「防眩フィルム、偏光板、液晶パネル、および画像表示装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5924311号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5924311号の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、平成25年7月5日に特許出願され、平成28年4月28日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人赤松智信により特許異議の申立てがされたものである。

2.本件発明
特許第5924311号の請求項1ないし9に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものである。

3.申立理由の概要
特許異議申立人赤松智信は、証拠として下記の甲第1号証ないし甲第5号証を提出し、請求項1ないし9に係る特許は特許法第29条第2項に違反してなされたものであるから、請求項1ないし9に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。

甲第1号証:特開2010-20267号公報
甲第2号証:WO2013/99931号
甲第3号証:WO2011/129367号
甲第4号証:特開2011-48310号公報
甲第5号証:特開2011-112964号公報
(以下、甲第1号証ないし甲第5号証を、それぞれ引用例1ないし引用例5という。)

4.引用例の記載事項
(1)引用例1
ア 引用例1には次の事項が記載されている(なお、下線は、後述する引用発明の認定に関連する箇所を示すために、合議体が付したものである。)。

(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
上記基材上に形成された光学層とを備え、
上記光学層は表面に凹凸形状を有し、
上記凹凸形状は、微粒子および樹脂を含む塗料を上記基材上に塗布し、上記塗料の対流により上記微粒子を粗密に分布させ、上記塗料を硬化することにより得られ、
上記樹脂は、3重量%以上20重量%以下のポリマーを含み、
上記微粒子は、平均粒径が2μm以上8μm以下の有機微粒子であり、
上記微粒子の平均粒径Dと上記光学層の平均膜厚Tとの比率((D/T)×100)は、20%以上70%以下であり、
0.125mm幅の光学くしを用いて測定した透過写像鮮明度の値は45以上である光学フィルム。
・・・
【請求項4】
0.125mm幅の光学くしを用いて測定した透過写像鮮明度C(0.125)と、2.0mm幅の光学くしを用いて測定した透過写像鮮明度C(2.0)との比率([C(0.125)/C(2.0)]×100)が、50%以上である請求項1記載の光学フィルム。
【請求項5】
0.125mm幅、0.5mm幅、1.0mm幅、2.0mm幅の光学くしを用いて測定した透過写像鮮明度の合計値が、220以上である請求項1記載の光学フィルム。
【請求項6】
表面ヘイズが、0である請求項1記載の光学フィルム。」

(イ)「【0001】
この発明は、光学フィルムおよびその製造方法、防眩性フィルム、光学層付偏光子、ならびに表示装置に関する。詳しくは、液晶表示装置などの表示装置の表示面に用いられる光学フィルムに関する。」

(ウ)「【0014】
したがって、この発明の目的は、防眩性と透過写像鮮明性とを両立することができる光学フィルムおよびその製造方法、防眩性フィルム、光学層付偏光子、ならびに表示装置を提供することにある。」

(エ)「【0027】
以上説明したように、この発明によれば、防眩性および透過写像鮮明性に優れた防眩性フィルムを得ることができる。」

(オ)「【0033】
(1-2)防眩性フィルムの特性
防眩性フィルム1の透過写像鮮明性は、JIS-K7105(プラスチックの光学特性試験方法)に従って写像性測定器を用いて評価することができる。この評価方法について、図2を用いて説明する。図2に示すように、写像性測定器は、光源31、スリット32、レンズ33、レンズ35、光学くし36、および受光器37を備え、レンズ33とレンズ35との間に測定対象物である試験片34(例えば防眩性フィルム1)が配置される。スリット32はレンズ33の焦点位置に配置され、光学くし36はレンズ35の焦点位置に配置される。光学くし36には、例えば、くし幅2mm、1mm、0.5mm、0.25mm、および0.125mmのものがあり、これらの光学くし36のうちから適宜選択して用いられる。
【0034】
この測定方法は、光源31から発せられた光をスリット32により擬似線光源として取り出し、レンズ33を通過させて平行光として試験片34に垂直に透過させた後、再度レンズ35を用いて集光し、光学くし36を通過した光を受光器37で受光するもので、計算によって明暗のコントラストを求めるものである。試験片34がない場合、もしくは試験片34が光学的に均一な媒体の場合、光学くし36の部分で光はスリット32のサイズにまで集光されるため、光学くし36の開口サイズがスリット32より広ければ、受光される光は光学くし36の透明部、不透明部に対応してそれぞれ100%、0%となる。それに対し、試験片34がボケを生じるものの場合、光学クシ36上に結像されるスリット32の像はそのボケの影響で太くなるため、透過部の位置ではスリット32の像の両端が不透明部にかかり、100%あった光量が減少する。また、不透明部の位置ではスリット像の両端は不透明部から光が漏れて、0%の光量が増加する。
【0035】
このようにして、測定される透過写像鮮明度の値Cは、光学クシ36の透明部の透過光最大値Mと、不透明部の透過光最小値mから次式によって定義される。
透過写像鮮明度の値 C(%)={(M-m)/(M+m)}×100
透過写像鮮明度の値Cが大きければ透過写像鮮明性が高く、小さければ、いわゆるボケまたは歪をもっていることを示す。なお、以下では、JIS-K7105に準拠してくし幅2mmの光学くしを用いて測定した透過写像鮮明度の値C(2.0)を、くし幅2mmの値C(2.0)と適宜称する。同様に、くし幅1mm、0.5mm、0.25mm、および0.125mmの光学くしを用いて測定した透過写像鮮明度の値を、それぞれ、くし幅1mmの値C(1.0)、くし幅0.5mmの値C(0.5)、くし幅0.25mmの値C(0.25)およびくし幅0.125mmの値C(0.125)と適宜称する。
・・・
【0037】
防眩性フィルム1のくし幅0.125mmの値C(0.125)が、45以上100以下、好ましくは55以上98以下、より好ましくは65以上98以下である。くし幅0.125mmの値C(0.125)を45以上とすることで、微細ピッチの透過像に対してもコントラストの高い映像を得ることができる上、微細ピッチの画素を有する表示装置に適用した場合でもギラツキの生じない表面処理を実現できる。
【0038】
防眩性フィルム1のくし幅0.125mmの値C(0.125)と、くし幅2mmの値C(2.0)との比率([C(0.125)/C(2.0)]×100)が、好ましくは50%以上100%以下、より好ましくは65%以上100%以下、さらに好ましくは80%以上100%以下である。但し、測定値として比率([C(0.125)/C(2.0)]×100)が100を超えることがあるが、この場合の比率は100とみなす。このように比を50%以上とすることで、反射像のざらつき感を抑制することができる。両者の値の比率が小さい場合、その表面をマクロに(2.0mmが解像できる程度)見た場合と、ミクロに(0.125mmが解像できる程度)見た場合とで、粗さが異なるということであり、局所的な突起が形成されている可能性が高く、この表面に像を反射させた場合ざらついて見える。
【0039】
くし幅0.125mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmの光学くしを用いて測定した透過写像鮮明度の合計値(C(0.125)+C(0.5)+C(1.0)+C(2.0))が、好ましくは220以上400%以下、より好ましくは270以上400%以下、さらに好ましくは300以上400%以下である。このようにすることで、どのような映像であってもコントラスト感の高い表示を得ることができる。幅の広いくしの測定値が幅の狭いくしの測定値より極端に低いことはないため、合計値が220の場合、最低でも2.0mm幅の透過写像鮮明度が55となり、これより低いコントラスト値では、像がぼやけて見えてしまう。」

(カ)「【0045】
以上のように、この発明の第1の実施形態ではくし幅2mmの値C(2.0)と、くし幅0.125mmの値C(0.125)との比として定義したが、その意味するところは粗いピッチと細かいピッチとでその透過写像鮮明性が大きく変化しないことである。
【0046】
また、第1の実施形態の防眩性フィルム1では、従来に比べて細かいピッチでの鮮明性に優れるため、細かい画像をより鮮明に表示できてエッジを際立たせることができ、コントラストの高い画像を得ることができると考えられる。
【0047】
表面ヘイズが大きいと表示装置に入射する外光が乱反射して見えるため、全体的に黒が浮いてしまりのない映像となる。そのため表面ヘイズはできるだけ低い方が好ましく、0であることが最も好ましい。一方、完全にフラットな面となると、映りこみ像がくっきり見える問題が生じる。この第1の実施形態では、表面ヘイズとして測定不能な程度の滑らかなうねり形状を表面に設けることで、写り込み防止と黒浮き防止を両立することができる。本発明の光学フィルムのヘイズを内部ヘイズと表面ヘイズに分離するため、フィルム表面に光学粘着剤を介してTACフィルムを貼合してヘイズを測定したところ、理由は明らかではないが本発明の光学フィルム単体のヘイズより大きい値となった。そのため、計算上はマイナスの表面ヘイズとなるが、本発明ではこれを表面ヘイズゼロとみなした。なお、TAC表面に光学粘着剤を介したTACを貼合して測定したヘイズは0.5%以下であることを確認している。」

(キ)「【0051】
(1-3)防眩性フィルムの構成
図4は、この発明の第1の実施形態による防眩性フィルム1の構成の一例を示す拡大断面図である。この防眩性フィルム1は、図4に示すように、基材11と、基材11上に設けられた防眩層12とを有する。防眩層12は微粒子13を含み、その表面には微細凹凸が形成されている。」

(ク)「【0053】
微粒子13としては、例えば、球形または扁平の有機微粒子などが用いられる。微粒子13の平均粒径は、2μm以上8μm以下、より好ましくは4μm以上8μm以下、さらに好ましくは5μm以上8μm以下である。2μm未満であると、微粒子13の分散が困難なため、塗料中で凝集粒子として残存することがあり、膜厚を調整しても適切な表面形状を制御することが難しく、8μmを超えると、高精細ディスプレイに適用した場合にギラツキが抑えられなくなるからである。なお、この発明では、微粒子13の平均粒径は、細孔電気抵抗法により測定したものである。」

(ケ)「【0059】
(基材)
基材11としては、例えば、透明性を有するフィルム、シート、基板などを用いることができる。基材11の材料としては、例えば公知の高分子材料を用いることができる。公知の高分子材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。基材11の厚さは、生産性の観点から38μmから100μmであることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。

(コ)「【0076】
次に、例えば電離放射線照射または加熱により、基材11上にて乾燥された樹脂を硬化させる。これにより、微粒子13が密の部分と、微粒子13との粗の部分とにおける硬化収縮率の相違によって、緩やかな凹凸が塗料表面に発生する。すなわち、微粒子13が密の部分を1つの山として、周期の大きなうねりが形成される。すなわち、従来と比較して周期の広く、かつ、なだらかな凹凸形状が防眩層12の表面に形成される。」

(サ)「【0079】
(2)第2の実施形態
(2-1)防眩性フィルムの構成
図5は、この発明の第2の実施形態による防眩性フィルムの構成の一例を示す。図5に示すように、この第2の実施形態による防眩性フィルム1は、防眩層12上に低屈折率層14をさらに備える点において、上述の第1の実施形態と異なっている。基材11、および防眩層12は、上述の第1の実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
図5に示すように、低屈折率層14は、防眩層表面のうねりに倣うように設けられていることが好ましく、ほぼ一様な厚さを有すると共に、反射防止層表面のうねりが防眩層表面とほぼ同等にならだかなうねり有していることがより好ましい。このようにすることで、低屈折率層14を設けた場合にもコントラストと防眩性とを両立できる。なお、上述のように低屈折率層14がほぼ一様な厚みであることが理想的であるが、低屈折率層14は防眩層12上のすべての領域に設けられている必要はなく、防眩層12の突部を除いた大分部、すなわち、比較的平滑で反射の大きい部分に低屈折率層がほぼ均一に形成されていれば、十分なコントラストを得ることができる。」

(シ)「【0145】
(実施例19)
まず、下記の塗料組成に示す原料を配合し、2時間攪拌して塗料を得た。次に、得られた塗料をダイコータにて厚さ80μmのTACフィルム(富士写真フィルム社製)上に20m/minの速度で塗工した。次に、80℃の乾燥炉で2分間乾燥後、紫外線を500mJ/cm^(2)照射し、乾燥膜厚11.7μmの防眩層を形成した。以上により実施例19の光学フィルムを得た。
<塗料組成>
6官能ウレタンアクリルオリゴマー 90重量部
アクリル系ポリマー 10重量部
開始剤 イルガキュア184 5重量部
溶剤 酢酸ブチル 65重量部
炭酸ジメチル 53重量部
シリコン系レベリング剤 0.05重量部
架橋性MSビーズ (積水化成品工業株式会社製テクポリマー、屈折率1.525、平均粒径5.0μm、変動係数7) 10.0重量部」

(ス)「【0149】
(実施例23)
まず、ダイギャップと塗料供給流量、背圧を調整して乾燥膜厚8.8μmとした以外は実施例19と同様にして防眩性フィルムを得た。次に、得られた防眩性フィルム上に、中空シリカからなる低屈折率塗料を120線のマイクログラビアコータにより20m/minの塗布速度で塗工した。次に、80℃の乾燥炉で2分間乾燥後、紫外線を500mJ/cm^(2)照射して硬化させ、乾燥膜厚120nmの低屈折率層(反射防止コート)を防眩層上に形成した。以上により、実施例23の光学フィルムを得た。」

(セ)「【0168】
(写像鮮明度)
実施例および比較例の各防眩性フィルムについて、微細ピッチの画像の透過鮮明性を評価するため、JIS-K7105に従い、くし幅2mm、1mm、0.5mm、0.25mm、0.125mmの光学くしを用いて透過写像鮮明度を評価した。その結果を表2に示す。評価に使用した測定装置はスガ試験機(株)製の写像性測定器(ICM-1T型)である。
【0169】
表2に、くし幅2mmの値C(2.0)と、くし幅0.125mmの値C(0.125)との比C(0.125)/C(2.0)を示す。また、くし幅2mm、1mm、0.5mm、0.125mmの光学くしを用いて測定した透過写像鮮明度の総和を示す。
【0170】
(ヘイズ)
実施例および比較例の防眩性フィルムについて、表面および内部ヘイズを測定した。その結果を表2に示す。なお、トータルヘイズは、表面ヘイズと内部ヘイズを加算した値である。
評価装置:村上色彩技術研究所製 ヘーズメーター HM-150型
評価条件:JIS K7136
なお、本実施例の光学フィルムのヘイズを内部ヘイズと表面ヘイズに分離するため、フィルム表面に光学粘着剤を介してTACフィルムを貼合してヘイズを測定したところ、理由は明らかではないが本実施例の光学フィルム単体のヘイズより大きい値となった。そのため、計算上はマイナスの表面ヘイズとなるが、本実施例ではこれを表面ヘイズゼロとみなした。なお、TAC表面に光学粘着剤を介したTACを貼合して測定したヘイズは0.5%以下であることを確認している。」

(ソ)「【0179】
【表4】



(タ)「【図1】



(チ)「【図4】



(ツ)「【図5】



イ 引用例1に記載された発明
(ア)上記ア(シ),(ス)からみて、引用例1に記載された「実施例23」は、乾燥膜厚8.8μmとした以外は「実施例19」と同様にして防眩性フィルムを得て、次に、得られた防眩性フィルム上に、低屈折率塗料を塗工し、乾燥後、紫外線を照射して硬化させ、乾燥膜厚120nmの低屈折率層(反射防止コート)を防眩層上に形成して、光学フィルムとしたものである。

(イ)上記ア(ソ)の実施例19?26の光学フィルムの評価結果を示す「表4」と同様に実施例1?18及び比較例1?6の光学フィルムの評価結果を示す「表2」(引用例1の【0177】)についての上記ア(セ)の【0168】の記載によれば、表2中の「(写像鮮明度)」は、くし幅2mm、1mm、0.5mm、0.25mm、0.125mmの光学くしを用いて「透過写像鮮明度」を評価したものである。
また、上記ア(オ)の【0035】の「透過写像鮮明度」の定義に関する記載によれば、「透過写像鮮明度」「C」はその定義から「%」表示であり、また、「くし幅2mmの光学くしを用いて測定した透過写像鮮明度」を「C(2.0)」と称し、くし幅1mm、0.5mm、0.25mm、および0.125mmの光学くしを用いて測定した透過写像鮮明度を、それぞれ、「C(1.0)」、「C(0.5)」、「C(0.25)」、および「C(0.125)」と称している。

(ウ)上記(イ)と上記ア(ソ)の【0179】【表4】とから、「実施例23」の「光学フィルム」の「写像鮮明度」について、「くし幅0.125mmの光学くしを用いて測定した前記光学フィルムの透過写像鮮明度」「C(0.125)」が「70.2%」、「くし幅0.25mmの光学くしを用いて測定した前記光学フィルムの透過写像鮮明度」「C(0.25)」が「76.3%」、「くし幅0.5mmの光学くしを用いて測定した前記光学フィルムの透過写像鮮明度」「C(0.5)」が「83.2%」、「くし幅1mmの光学くしを用いて測定した前記光学フィルムの透過写像鮮明度」「C(1)」が「85.6%」、「くし幅2mmの光学くしを用いて測定した前記光学フィルムの透過写像鮮明度」「C(2)」が「88.0%」、「鮮明度TTL:C(0.125)+C(0.5)+C(1)+C(2)」が「327.0」、「C(0.125)/C(2)×100」が「80%」であることが把握できる。

(エ)上記ア(ソ)の【0179】【表4】から、「実施例23」の「光学フィルム」の「ヘイズ」について、「ヘイズTTL:トータルヘイズ]が「1.4%」、「inner:内部ヘイズ」が「1.0%」であることが把握できる(ここで、「ヘイズ」が「%」表示であることは技術常識である)。

(カ)上記(ア)?(エ)より、引用例1には、「実施例23」の「光学フィルム」として、以下の「光学フィルム」が記載されている(以下、「引用発明」という。)

「下記の塗料組成に示す原料を配合して得られた塗料をTACフィルム(富士写真フィルム社製)上に塗工し、乾燥後、紫外線を照射し、乾燥膜厚8.8μmの防眩層を形成して防眩性フィルムを得て、得られた防眩性フィルム上に低屈折率塗料を塗工し、乾燥後、紫外線を照射して硬化させ、乾燥膜厚120nmの低屈折率層を防眩層上に形成して得られた光学フィルムであって、
光学フィルムのトータルヘイズが1.4%、内部ヘイズが1.0%であり、
くし幅0.125mmの光学くしを用いて測定した前記光学フィルムの透過写像鮮明度C(0.125)が70.2%、くし幅0.25mmの光学くしを用いて測定した前記光学フィルムの透過写像鮮明度C(0.25)が76.3%、くし幅0.5mmの光学くしを用いて測定した前記光学フィルムの透過写像鮮明度C(0.5)が83.2%、くし幅1mmの光学くしを用いて測定した前記光学フィルムの透過写像鮮明度C(1)が85.6%、くし幅2mmの光学くしを用いて測定した前記光学フィルムの透過写像鮮明度C(2)が88.0%、鮮明度TTL:C(0.125)+C(0.5)+C(1)+C(2)が327.0、C(0.125)/C(2)×100が80%である、光学フィルム。
<塗料組成>
6官能ウレタンアクリルオリゴマー 90重量部
アクリル系ポリマー 10重量部
開始剤 イルガキュア184 5重量部
溶剤 酢酸ブチル 65重量部
炭酸ジメチル 53重量部
シリコン系レベリング剤 0.05重量部
架橋性MSビーズ (積水化成品工業株式会社製テクポリマー、屈折率1.525、平均粒径5.0μm、変動係数7) 10.0重量部」


(2)引用例2には、次の事項が記載されている。
(ア)「[0001] 本発明は、防眩性フィルム、偏光板及び画像表示装置に関する。」

(イ)「[0019] 本発明の防眩性フィルムにおいて、上記シリカ微粒子は、表面処理されていることが好ましい。上記シリカ微粒子が表面処理されていることで、該シリカ微粒子の凝集体の上記防眩層中での粗密に分布する程度を好適に制御することができ、また、有機微粒子の周囲に密に分布する効果を適度な範囲に制御できる。また、シリカ微粒子自体の耐薬品性及び耐ケン化性の向上を図ることもできる。」

(ウ)「[0020] 上記表面処理としては、疎水化処理であることが好ましく、例えば、上記シリカ微粒子を、アルキル基を有するシラン化合物等の疎水化剤で処理する方法等が挙げられる。・・・」

(エ)「[0022] このようなシリカ微粒子としては、それ自身が凝集しやすく後述する凝集体を形成しやすいことから、例えば、フュームドシリカが好適に用いられる。ここで、上記フュームドシリカとは、乾式法で作製された200nm以下の粒径を有する非晶質のシリカをいい、ケイ素を含む揮発性化合物を気相で反応させることにより得られる。・・・」

(オ)「[0024] 上記シリカ微粒子は、平均1次粒子径が1?100nmであることが好ましい。1nm未満であると、有機微粒子の周囲に密な分布を充分に形成できないことがあり、100nmを超えると、上記有機微粒子の周囲に密な分布を充分に形成できないことがある。・・・」

(カ)「[0026] また、上記シリカ微粒子の凝集体は、平均粒子径が100nm?1μmであることが好ましい。100nm未満であると、後述する硬化収縮による凝集体の凹凸形成の緩衝作用が充分に発揮できないことがあり、1μmを超えると、上記有機微粒子の周囲に密な分布を充分に形成できないことがあるほか、シリカ微粒子の凝集体により光が拡散されたり、凝集体により生じる表面凹凸が大きくなり過ぎることで、本発明の防眩性フィルムを用いた画像表示装置の明室及び暗室コントラストが劣ったりすることがある。・・・」

(キ)「[0032] ・・・上記防眩層がこのような粒子径の関係を有する2種の微粒子を含有することで、本発明の防眩性フィルムでは、上記防眩層中で粒子径の揃った有機微粒子の間に粒子径のバラツキが大きいシリカ微粒子の凝集体が入り込んだ構造を構成しやすく、上述した滑らかな凹凸形状を防眩層表面に好適に形成することができる。・・・」

(ク)「[0036]上記有機微粒子は、表面親水化処理されていることが好ましい。上記有機微粒子が表面親水化処理されていることで、上記シリカ微粒子との親和性が高まり、上記シリカ微粒子の凝集体が上記有機微粒子の表面に付着等させやすくすることができるようになる。また、有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体を密に分布させることが容易となる。 上記親水化処理としては特に限定されず公知の方法が挙げられるが、例えば、カルボン酸基や水酸基等の官能基を有するモノマーを上記有機微粒子の表面に共重合させる方法等が挙げられる。
なお、通常、表面親水化処理された有機微粒子は、防眩層中でゆるやかに集まらせることができないため、防眩層の表面に充分な凹凸形状を形成することができず防眩性能が劣ることとなる。しかしながら、本発明では、上記シリカ微粒子が凝集体を形成して防眩層中で粗密に含有され、更に上記有機微粒子の周囲に上記シリカ微粒子の凝集体が密に分布しているため、表面親水化処理された有機微粒子を含有する防眩層であっても所望の凹凸形状を形成することができる。」

(ケ)「[0038] また、上記有機微粒子の大きさは、防眩層の厚さ等に合わせて適宜決定されるが、例えば、平均粒子径が0.3?5.0μmであることが好ましい。0.3μm未満であると、有機微粒子の分散性が制御できなくなる恐れがあり、5.0μmを超えると、防眩層表面の凹凸形状が大きくなって、面ギラの問題が生じることがある。より好ましい下限は1.0μm、より好ましい上限は3.0μmである。・・・」

(コ)「[0064] また、本発明の防眩性フィルムは、ヘイズが15%未満であることが好ましい。上記防眩層は、含有する微粒子による内部拡散による内部ヘイズ及び最表面の凹凸形状による外部ヘイズからなってよく、内部拡散による内部ヘイズは、0%以上10%未満の範囲であることが好ましく、0%以上7%未満の範囲であることがより好ましく、0%以上5%未満の範囲であることが更に好ましい。最表面の外部ヘイズは、0%以上5%未満の範囲であることが好ましく、0%以上3%未満の範囲であることがより好ましく、0%以上1%未満の範囲であることが更に好ましい。なお、反射及び/又は透過において、1.0度以上2.5度未満の拡散角での強度を有する場合、上記内部ヘイズ及び/又は外部ヘイズは0%であることが最も好ましい。上記防眩層が、表面凹凸による拡散角が1.0度以上の拡散を有さないと防眩効果が見られず、内部拡散による拡散が1.0度以上の拡散を有さないと面ギラが強くなるためである。ここで、「1.0度以上2.5度未満の拡散角での強度を有する場合」とは、拡散角0度から2.4度まで0.1度毎の拡散光の強度を測定したときの総和に対する、拡散角1.0度から2.4度の拡散光の強度の総和が10%以上であることを言う。 なお、本発明の防眩性フィルムにおいて、上記シリカ微粒子としてフュームドシリカを用いることにより、上記防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズをそれぞれ独立して制御することができる。例えば、フュームドシリカを用いることで、該フュームドシリカの平均粒子径が小さいために、内部ヘイズが発現せず、外部ヘイズのみを調整することができる。また、内部ヘイズの調整は、有機微粒子の屈折率とバインダー樹脂の屈折率との差を制御したり、バインダー樹脂のモノマーを有機微粒子に含浸させることで有機粒子界面の屈折率を変えることで調整することができる。なお、バインダー樹脂のモノマーを有機微粒子に含浸させると、有機微粒子界面での屈折率が傾斜し、有機微粒子による内部拡散における拡散角の大きな成分が生じることがなくなり、迷光の発生が抑制されるのでより好ましい。 上記ヘイズは、JIS K7136に従い、村上色彩技術研究所社製「HM-150」等で測定できる。 ・・・」

(サ)「[0112] ・・・有機微粒子は、シリカ微粒子の凝集体が表面に付着するとともに、該凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部が内部に含浸しており、有機微粒子同士は凝集せず、ゆるやかに集まった状態で防眩層に含有されていた。・・・」

(シ)「請求の範囲
[請求項1] 光透過性基材の一方の面上に、表面に凹凸形状を有する防眩層を有する防眩性フィルムであって、
前記防眩層は、シリカ微粒子、有機微粒子及びバインダー樹脂を含有し、
前記シリカ微粒子は、凝集体を形成して前記防眩層中に粗密に含有されたものを有し、
前記シリカ微粒子の凝集体は、前記有機微粒子の周囲に密に分布しており、該有機微粒子の周囲に密に分布したシリカ微粒子の凝集体の一部は、前記有機微粒子の表面に付着及び/又は前記凝集体を構成するシリカ微粒子のうちの一部が内部に含浸している
ことを特徴とする防眩性フィルム。
・・・
[請求項6] シリカ微粒子の凝集体は、平均粒子径が100nm?1μmである請求項1、2、3、4又は5記載の防眩性フィルム。
・・・」

(3)引用例3には、次の事項が記載されている。
(ア)「[0094] なお、透光性粒子の凝集防止には、可視光線の波長以下の粒子径、例えば50nm以下程度の粒子径を有するシリカなどを、添加する方法が好適に挙げられる。」

(イ)「請求の範囲
[請求項1] 透明基材の少なくとも一方の面に、内部に拡散要素を有するとともに前記透明基材とは反対側の面に凹凸面を有する機能層を設け、さらに前記機能層の前記透明基材とは反対側の面に1.0μm以上の膜厚を有する透明樹脂層を設け、または設けない液晶表示装置用防眩シートにおいて、正透過の強度をQ、液晶表示装置用防眩シートに可視光線を照射した際の正透過±2度と正透過±1度での透過強度とを結ぶ直線を正透過に外挿した透過強度をU、内部に拡散要素を有する層と透明樹脂層との厚みの和をT(μm)、液晶表示装置用防眩シートのヘイズをHa(%)、内部の拡散要素により生じるヘイズをHi(%)、としたとき、下記式(1)、(2)、(3)および(4)を満たすことを特徴とする液晶表示装置用防眩シート。
(1) 2.15<Q/U<24.18
(2) 0.2%<Ha-Hi<13.7%
(3) 1.3%≦Hi<35.0%
(4) 2.3μm<T<12.4μm
・・・
[請求項5] 前記機能層が、透明樹脂に透光性無機粒子及び/又は透光性有機粒子を分散させてなり、該透光性無機粒子及び/又は透光性有機粒子により機能層の表面に凹凸を設ける請求項1?4のいずれか1項に記載の液晶表示装置用防眩シート。
・・・」

(4)引用例4には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0132】
[反射防止フィルム・保護フィルム]
本発明の液晶表示装置は、表示面側に反射防止フィルムを有していてもよい。通常液晶表示装置やプラズマディスプレイに用いられている反射防止フィルムなら、表面反射率が0?0.5%程度であるAR(アンチリフレクション)タイプでも表面反射率が0.5?4%程度であるLR(ロウリフレクション)タイプでもどちらでも好適に用いることができる。また、フィルム中に微粒子を分散させたり、表面に凸凹をつけたりして、防眩性を付与したAG(アンチグレア)加工されていても、表面が平坦で、防眩性はないがコントラストが高く視認性が良いクリア加工されていても、どちらでも好適に用いることができる。」

(イ)「【0135】
本発明の液晶表示装置は、LEDバックライトや有機ELバックライトのテレビとしても好適に用いられる。また、プロジェクター用液晶パネルとして用いるのにも好適である。また、本発明は、フルハイビジョンや4K2Kのような解像度の高い液晶表示装置にも好適である。
・・・」

(5)引用例5には、次の事項が記載されている。

(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基材上に少なくとも防眩層を有する光学積層体であって、
前記防眩層は、前記光透過性基材と反対側表面に凹凸形状を有し、
前記凹凸形状は、前記防眩層を構成するバインダー樹脂の相分離により形成された凹凸形状(A)、及び、前記防眩層に含まれる内部散乱粒子により形成された凹凸形状(B)からなり、かつ、
十点平均粗さRzが3μm未満である
ことを特徴とする光学積層体。
・・・」

(イ)「【0001】
本発明は、光学積層体及び光学積層体の製造方法に関する。」

(ウ)「【0040】
上記内部散乱粒子としては、上述の樹脂との親和性と屈折率との関係を満たすものであれば、特に限定されないが、金属酸化物又は有機樹脂ビーズであることが好ましく、有機樹脂ビーズであることがより好ましい。また、上記内部散乱粒子は、樹脂に対する親和性の改善のために表面処理が施されていることが好ましい。

(エ)「【0041】
上記金属酸化物としては、シリカが好ましい。上記シリカとしては、特に限定されず、結晶性、ゾル状、ゲル状のいずれの状態であってもよいし、不定形、球形であってもよい。上記シリカの市販品としては、湿式合成不定形シリカ(サイリシア(商品名)、富士シリシア製)、フュームドシリカ(アエロジル(商品名)、デグサ社製)、コロイダルシリカ(MEK-ST(商品名)、日産化学工業)等を挙げることができる。
上記金属酸化物は、樹脂に対する親和性を調整するために表面処理が施されていてもよい。」

(オ)「【0044】
上記内部散乱粒子の平均粒径は、上記防眩層の膜厚に対して1?100%の大きさであることが好ましい。1%未満であると、防眩効果が低下するおそれがある。100%を超えると、凹凸形状の制御が不可能となり、防眩性が低下するおそれがある。上記平均粒径は、上記防眩層の膜厚に対して10?70%の大きさであることがより好ましい。
なお上記平均粒径は、光学顕微鏡写真で1mm^(2)の面積中にある各単独分散及び/又は凝集粒子の大きさを測定して得られた数平均値である。」

(カ)「【0054】
上記防眩層の膜厚は、所望の特定等に応じて適宜設定できるが、一般に0.5?50μmであることが好ましく、2?20μmであることがより好ましい。
上記膜厚は、断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察し、測定した値である。」

(キ)「【0058】
本発明の光学積層体は、表面ヘイズが0.1?10%であることが好ましい。0.1%未満であると、防眩性が不充分となるおそれがあり、10%を超えると、コントラストの低下等、色再現性が低下するおそれがある。上記表面ヘイズは、0.1?5%であることがより好ましい。」

(ク)「【0059】
本発明の光学積層体は、内部ヘイズが1?20%であることが好ましい。1%未満であると、ギラツキが悪化するおそれがある。20%を超えると、暗室下でのコントラストが低下するおそれがある。上記内部ヘイズは、2?10%であることがより好ましい。」

(ケ)「【0073】
実施例1
単分散水酸基含有スチレン-アクリル粒子(粒径2.5μm、屈折率n=1.56)5部
イソボルニルメタクリレートを含むオリゴマー 3部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 70部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30部
イルガキュア184(チバ・ジャパン社製) 5部
イソプロパノール 120部
メチルイソブチルケトン(MIBK) 50部
上記材料を適宜添加して十分混合し組成物を調製した。得られたこの組成物を孔径30μmのポリプロピレン酸フィルターでろ過して、塗工液を得た。この塗工液を厚さ80μmのトリアセチルセルロース基材フィルム(TD80U 富士フイルム製)の上にドライ膜厚が4μmとなるようメイヤーズバーにて塗布し、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mjになるよう照射して塗膜を硬化させ、防眩層を形成し、光学積層体を得た。」

(コ)[【0081】
【表1】



5.特許法第29条第2項についての判断
(1)請求項1に係る発明について
ア 請求項1に係る発明(以下、本件第1発明)と引用発明とを対比すると、本件第1発明と引用発明とは、
「光透過性基材と、前記光透過性基材上に設けられ、かつ凹凸面を有する防眩層とを備える防眩フィルムであって、
前記防眩フィルムの表面が凹凸面となっており、
前記防眩層中に、バインダ樹脂と微粒子とが含まれている、防眩層フィルム。」で一致し、次の点で相違している。

相違点:
本件第1発明においては、防眩層中に含まれる微粒子が無機酸化物微粒子であって、前記無機酸化物微粒子の平均一次粒径が、1nm以上100nm以下であり、
前記防眩フィルムの全ヘイズ値が0%以上5%以下であり、前記防眩フィルムの内部ヘイズ値が0%以上5%以下であり、
0.125mm幅の光学くしを用いて測定される前記防眩フィルムの透過像鮮明度をC(0.125)とし、0.25mm幅の光学くしを用いて測定される前記防眩フィルムの透過像鮮明度をC(0.25)としたとき、前記C(0.125)、前記C(0.25)が、下記式(1)および式(2)を満たしているのに対して、
C(0.25)-C(0.125)≧2% …(1)
C(0.125)≧65% …(2)
引用発明においては、防眩層中に含まれる微粒子が架橋性MSビーズであって、前記架橋性MSビーズの平均一次粒径が、5μmであり、
前記防眩フィルムの全ヘイズ値が1.4%であり、前記防眩フィルムの内部ヘイズ値が1.0%であり、
前記C(0.125)が70.2%、前記C(0.25)が76.3%である点。

イ 上記相違点について検討する。
(ア)引用例1の上記4.(1)ア(ク)の【0053】の記載によれば、引用発明において、防眩層中に含まれる架橋性MSビーズ、すなわち、有機微粒子の平均粒径を5μmとしたのは、「2μm未満であると、微粒子13の分散が困難なため、塗料中で凝集粒子として残存することがあり、膜厚を調整しても適切な表面形状を制御することが難しく、8μmを超えると、高精細ディスプレイに適用した場合にギラツキが抑えられなくなる」ことに基づくものである。
また、引用例1の上記4.(1)ア(オ)の【0037】?【0039】の記載によれば、引用発明は、コントラスト、ギラツキを考慮して、C(0.125)を45以上100以下、好ましくは55以上98以下、より好ましくは65以上98以下とすること、反射像のざらつき感を抑制することを考慮して、C(0.125)と値C(2.0)との比率([C(0.125)/C(2.0)]×100)を、50%以上100%以下、より好ましくは65%以上100%以下、さらに好ましくは80%以上100%以下とすること、コントラスト感の高い表示を得ることを考慮して、C(0.125)+C(0.5)+C(1.0)+C(2.0))が、好ましくは220以上400%以下、より好ましくは270以上400%以下、さらに好ましくは300以上400%以下とすることをその技術的特徴とするものである。
一方、上記4.(2)(ア)?(シ)によれば、引用例2には、防眩層中にバインダー樹脂と有機微粒子とシリカ微粒子とが含まれた防眩性フィルムにおいて、平均一次粒子径が1?100nmのシリカ微粒子が凝集体を形成して防眩層中に粗密に含有されるとともに、平均粒径が0.3?5μmであることが好ましい有機微粒子の周囲にシリカ微粒子の凝集体が密に分布することにより、防眩層に所望の凹凸形状を形成する(特に、請求項1、[0024]、[0026]、[0036]、[0038]等)ことや、防眩層を、含有する微粒子による内部拡散による内部ヘイズ及び最表面の凹凸形状による外部ヘイズからなるものとして、内部拡散による内部ヘイズを0%以上5%未満、最表面の外部ヘイズを0%以上5%未満が好ましく、1.0度以上2.5度未満の拡散角での強度を有する場合、内部ヘイズ及び/又は外部ヘイズは0%であることが最も好ましい(特に、[0064])ことが記載されている。
ここで、例え、引用例2に記載された上記の技術的事項を参考にして、引用発明において、防眩層中の平均一次粒径5μmの有機微粒子の凝集・分散を制御することを目的として、引用例2に記載された、平均一次粒子径が1?100nmのシリカ微粒子の凝集体を有機微粒子の周囲に密に分布させる技術を採用することができたとしても、その場合には、平均一次粒子径が1?100nmのシリカ微粒子の凝集体が防眩層中に粗密に含有され、また、平均粒径5μmの有機微粒子の周囲に平均一次粒子径が1?100nmのシリカ微粒子の凝集体が密に分布することとなり、平均粒径5μmの有機微粒子の分散状態及び防眩フィルムの表面の凹凸面形状が影響を受けて変化する結果、防眩フィルムの全ヘイズ、内部ヘイズや、C(0.125)、C(0.25)等の各光学くしに対応する各透過像鮮明度が当然変化することになる。
そして、上記のとおり、引用例1には、引用発明における防眩フィルムの透過像鮮明度に関し、C(0.125)、C(0.125)とC(2.0)との比率、およびC(0.125)+C(0.5)+C(1.0)+C(2.0)が特定の範囲となるように制御・調整することは記載されているものの、「C(0.25)-C(0.125)」に着目してその値を制御・調整することは記載も示唆もされておらず、また、実施例23以外の各実施例について見ても、実施例26を除き、実施例1?22,24?25のいずれも「C(0.25)-C(0.125)≧2%」の条件を満たしていないことに照らせば、「C(0.25)-C(0.125)≧2%」とすることには動機づけがなく、上記相違点に係る構成とすることは、当業者にとって容易ではない。
そして、本件特許明細書の段落【0025】,【0014】,【0186】,【0187】等に記載されているように、本件第1発明は、「C(0.25)-C(0.125)≧2%」とすることにより、ギラツキを抑制するという作用・効果を奏するものである。

(イ)また、上記4.(5)(ア)?(コ)によれば、引用例5には、光透過性基材上に少なくとも防眩層を有する光学積層体において、防眩層の凹凸形状を、防眩層を構成するバインダ樹脂の相分離、及び、防眩層に含まれるフュームドシリカ等の金属酸化物からなる内部散乱粒子により形成することや、防眩層の膜厚は、0.5?50μmであることが好ましく、内部散乱粒子の平均粒径は防眩層の厚みに対して1?100%の大きさであることが好ましいことが記載されている。
ここで、引用例5に記載された技術は、防眩層の凹凸形状を、防眩層を構成するバインダ樹脂の相分離と内部散乱粒子とによって形成するものであるから、表面の凹凸形状の形成に平均粒径が5μmの有機微粒子を利用している点で技術的前提が異なる引用発明に、引用例5に記載されたフュームドシリカ等の金属酸化物からなる内部散乱粒子の構成を採用することには動機づけはなく、また、仮に、引用発明に、引用例5に記載された内部散乱粒子の構成を採用することができたとしても、上記(ア)と同様な理由により、「C(0.25)-C(0.125)≧2%」とすることには動機づけがないのであるから、上記相違点に係る構成とすることは、当業者にとって容易ではない。

(ウ)さらに、引用例3?4にも、「C(0.25)-C(0.125)≧2%」とすることについて記載も示唆もない。

(エ)上記(ア)?(ウ)から、本件第1発明は、引用例1?5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたといえない。

(2)請求項2ないし9に係る発明について
請求項2ないし9に係る発明は、請求項1に係る発明を更に減縮したものであるから、上記(1)の請求項1に係る発明についての判断と同様な理由により、引用例1?5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたといえない。

(3)以上のとおり、請求項1ないし9に係る発明は、 引用例1?5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたといえない。

6. むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-01-25 
出願番号 特願2013-142012(P2013-142012)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G02B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 渡▲辺▼ 純也  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 河原 正
中田 誠
登録日 2016-04-28 
登録番号 特許第5924311号(P5924311)
権利者 大日本印刷株式会社
発明の名称 防眩フィルム、偏光板、液晶パネル、および画像表示装置  
代理人 鈴木 啓靖  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 中村 行孝  
代理人 浅野 真理  
代理人 朝倉 悟  
代理人 永井 浩之  
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