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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  G06Q
審判 全部無効 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正  G06Q
管理番号 1325141
審判番号 無効2016-800002  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-12-28 
確定日 2016-12-15 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5800926号発明「レコメンド装置、レコメンド方法、レコメンド媒体の生産方法、およびプログラム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5800926号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕、7について、訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯

特許第5800926号(以下、「本件特許」という。)は、平成26年1月28日を出願日とする出願についてのものであって、平成27年9月4日に請求項1?7に係る発明について設定登録され、その後、平成27年12月28日に請求人シルバーエッグ・テクノロジー株式会社から特許無効審判が請求されたものである。以下、特許無効審判が請求された以後の経緯を整理して示す。

平成27年 12月28日 審判請求書(請求人)

平成28年 4月26日 審判事件答弁書(被請求人)

平成28年 4月26日 訂正請求

平成28年 7月11日 口頭審理陳述要領書(請求人)

平成28年 7月11日 口頭審理陳述要領書(被請求人)

平成28年 7月20日 口頭審理陳述要領書(2)(請求人)

平成28年 7月20日 口頭審理陳述要領書(2)(被請求人)

平成28年 7月25日 口頭審理

平成28年 8月 8日 上申書(請求人)

平成28年 8月 8日 上申書(被請求人)

平成28年 8月29日 上申書(2)(被請求人)

平成28年 9月23日 上申書(請求人) (以降「上申書(2)」とする。)


第2 訂正請求

1.訂正請求の趣旨および訂正の内容

被請求人が、平成28年4月26日付け訂正請求書で求める訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕、7について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は、以下のとおりである。


(1)訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1の「前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報でり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成部と、」と記載されているのを、「前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成部と、」と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2から請求項4も同様に訂正する)。

(2)訂正事項2

特許請求の範囲の請求項7の「前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報である購入情報を生成すり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報生成部と、」と記載されているのを、「前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成部と、」と訂正する。

2.訂正の適否についての当審の判断

(1)訂正事項1について

(ア)訂正の目的

訂正前の特許請求の範囲の請求項1における「前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報でり、」は、「で」と「り」の間の「あ」が欠落したものであるから、「情報でり、」は「情報であり、」の誤記である。
したがって、この訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無

本件特許の明細書には、以下の記載がある。

「【0006】
本第一の発明のレコメンド装置は、ユーザを識別するユーザ識別子と購入する商品を識別する商品識別子とを有する購入指示を受信する受信部と、購入指示を用いて、商品の購入に関する情報である購入情報を生成する購入情報生成部と、購入指示を用いて、ユーザにレコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報を取得するレコメンド情報取得部と、購入情報と1以上のレコメンド情報とを対応付けて出力する出力部とを具備するレコメンド装置である。」(下線は当審で付加した。)

したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。


(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更

訂正事項1は、誤記を訂正したものであるから、技術的事項を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(2)訂正事項2について

訂正事項2は、「る購入情報を生成す」が誤って「前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であ」と「り、」の間に挿入され、かつ「前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成部と、」から「購入情報を生成する」が誤って欠落したものであり、「前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報である購入情報を生成すり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報生成部と、」は、「前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成部と、」の誤記である。
なお、請求項7は請求項1に対応するプログラムクレームであり、請求項1の「購入情報生成部」に関する記載を参照しても、誤記であることは明らかである。

したがって、この訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。

そして、上記(1)(イ)および(ウ)で検討したとおり、願書に添付した明細書、図面に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)一群の請求項について

訂正後の請求項1?4は、訂正事項1を含む請求項1の記載を、請求項2?4がそれぞれ引用しているものであるから、当該訂正後の請求項1?4は一群の請求項である。

訂正事項1および2からなる訂正の請求は、一群の請求項ごとに訂正の請求をしたものであり、特許法第134条の2第3項の規定に適合する。

(4)よって、訂正事項1および2からなる本件訂正請求は、特許法第134条の2第1項ただし書き、及び同条第9項において準用する同法第126条第5、6項の規定に適合するので適法な訂正と認める。

第3 本件特許発明

上記「第2 訂正請求」において、本件訂正請求による訂正は適法な訂正と認められるので、本件特許の請求項1?7に係る発明は、特許請求の範囲に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである(以下、「請求項1に係る発明」を「本件特許発明1」といい、同様に「請求項2に係る発明」等を「本件特許発明2」等といい、本件特許発明1?7を総称して「本件特許発明」という。)。

「【請求項1】
ユーザを識別するユーザ識別子と購入する商品を識別する商品識別子とを有する購入指示を受信する受信部と、
前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成部と、
前記購入指示を用いて、前記ユーザにレコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報を取得するレコメンド情報取得部と、
前記購入情報と前記1以上のレコメンド情報とを対応付けて出力する出力部とを具備するレコメンド装置であって、
前記出力部は、
前記1以上のレコメンド情報を、前記購入指示が入力された媒体と異なる媒体に対して出力するレコメンド装置であって、
前記出力部は、
前記購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷するレコメンド装置。
【請求項2】
前記レコメンド情報は、
商品を識別する情報を示すコードを含む請求項1記載のレコメンド装置。
【請求項3】
前記コードは、
レコメンド情報が出力される媒体である出力媒体であることを示す情報、またはレコメンド情報が出力される出力媒体を識別する出力媒体識別子、または購入情報を識別する購入情報識別子、またはユーザを識別するユーザ識別子のうち、1以上の情報を含み、
当該コードが読み取られることにより、当該コードに対応する商品を購入するためのウェブページが出力される請求項2記載のレコメンド装置。
【請求項4】
前記購入指示を用いて、納品に関する情報である納品情報を生成する納品情報生成部をさらに具備し、
前記出力部は、
前記購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを対応付けて出力し、かつ前記納品情報を出力する請求項1から請求項3いずれか一項に記載のレコメンド装置。
【請求項5】
受信部、購入情報生成部、レコメンド情報取得部、および出力部により実現されるレコメンド方法であって、
前記受信部が、ユーザを識別するユーザ識別子と購入する商品を識別する商品識別子とを有する購入指示を受信する受信ステップと、
前記購入情報生成部が、前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成ステップと、
前記レコメンド情報取得部が、前記購入指示を用いて、前記ユーザにレコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報を取得するレコメンド情報取得ステップと、
前記出力部が、前記購入情報と前記1以上のレコメンド情報とを対応付けて出力する出力ステップとを具備するレコメンド方法であって、
前記出力ステップにおいて、
前記1以上のレコメンド情報を、前記購入指示が入力された媒体と異なる媒体に対して出力するレコメンド方法であって、
前記出力ステップにおいて、
前記購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷するレコメンド方法。
【請求項6】
受信部、購入情報生成部、レコメンド情報取得部、および出力部により実現されるレコメンド媒体の生産方法であって、
前記受信部が、ウェブページから入力された情報に基づく購入指示であり、ユーザを識別するユーザ識別子と購入する商品を識別する商品識別子とを有する購入指示を受信する受信ステップと、
前記購入情報生成部が、前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成ステップと、
前記レコメンド情報取得部が、前記購入指示を用いて、前記ユーザにレコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報を取得するレコメンド情報取得ステップと、
前記出力部が、前記購入情報と前記1以上のレコメンド情報とを対応付けて印刷し、前記1以上のレコメンド情報が印刷された用紙であるレコメンド媒体を生産する出力ステップとを具備するレコメンド媒体の生産方法であって、
前記出力ステップにおいて、
前記購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷するレコメンド媒体の生産方法。
【請求項7】
コンピュータを、
ユーザを識別するユーザ識別子と購入する商品を識別する商品識別子とを有する購入指示
を受信する受信部と、
前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成部と、
前記購入指示を用いて、前記ユーザにレコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報を取得するレコメンド情報取得部と、
前記購入情報と前記1以上のレコメンド情報とを対応付けて出力する出力部として機能させるプログラムであって、
前記出力部は、
前記1以上のレコメンド情報を、前記購入指示が入力された媒体と異なる媒体に対して出力するものとして、コンピュータを機能させるプログラムであって、
前記出力部は、
前記購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷するものとして、コンピュータを機能させるプログラム。」

第4 無効理由

1 請求人の請求の趣旨および当初主張した無効理由の概要

(1)請求の趣旨

特許第5800926号発明の特許請求の範囲の請求項1乃至7に記載された発明についての特許を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

との審決を求めている。

(2)無効理由1:特許法第29条第2項

ア 無効理由1-1
(主引用例:甲第1号証、副引用例:甲第2号証または甲第4号証または甲第5号証)

本件特許発明1?7は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布され、あるいは、公知となった甲第1号証および甲第2号証(または、甲第4号証もしくは甲第5号証)に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。(審判請求書17頁18?21行)

イ 無効理由1-2
(主引用例:甲第3号証、副引用例:甲第2号証または甲第4号証または甲第5号証)

本件特許発明1?7は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布され、あるいは、公知となった甲第3号証および甲第2号証(または、甲第4号証もしくは甲第5号証)に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。(審判請求書17頁23?28行)

(3)無効理由2:特許法第36条第6項第2号

本件特許請求の範囲の、請求項1?4および請求項7の記載は明確でないため、特許法第36条第6項第2号の規定より特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。(審判請求書10頁5?8行)

2 被請求人の答弁の趣旨および主張の概要

(1)答弁の趣旨

本件審判請求は成り立たない。
審判費用は請求人の負担とする。

との審決を求めている。

(2)無効理由1について

主引用例とする甲1発明及び甲3発明等の認定、相違点の認定、そして相違点に係る容易想到性について請求人の主張はいずれも誤りである。よって、無効理由1には理由がない。(審判事件答弁書4頁7?8行)

(3)無効理由2について

無効理由2については、いずれも特許請求の範囲の誤記を指摘するものであり、これについては本答弁書と同時に提出した訂正請求書において訂正された本件特許請求の範囲の請求項1(?4)及び7に記載された発明はいずれも明確性要件に違反することはない。(審判事件答弁書4頁9?15行)

3 無効理由2の取り下げ

請求人は、無効理由2を取り下げた。(口頭審理陳述要領書1頁 5.(1)。第1回口頭審理調書 陳述の要領 請求人 4)

したがって、以降、無効理由1についての検討を行う。

4 請求人の提出した証拠方法

甲第1号証:特開2012-247926号公報

甲第2号証:アイジェントECレコメンドエンジン バリアブル印刷連携 検討資料

甲第3号証:特開2012-256190号公報

甲第4号証:Exstream Software Ver8.0

甲第5号証:リコー基幹ソリューションセミナープレゼン資料

甲第6号証:リコー基幹ソリューションセミナー申込書

甲第7号証:甲2号証の公開を証明する書面(口頭審理陳述要領書の添付書類1-1)

甲第8号証:甲2号証の公開を証明する書面(口頭審理陳述要領書の添付書類1-2)

甲第9号証:甲7号証及び甲8号証の別紙

甲第10号証:甲4号証の公開を証明する書面(口頭審理陳述要領書の添付書類2-1)

甲第11号証:甲4号証の公開を証明する書面(口頭審理陳述要領書の添付書類2-2)

甲第12号証:甲5号証の公開を証明する書面(口頭審理陳述要領書の添付書類3)

甲第13号証:甲12号証の別紙

甲第14号証:甲5号証の公開を証明するDVD

甲第15号証:甲5号証の公開を証明する書面

甲第16号証:リコー基幹ソリューションセミナーの配付資料
(甲15号証の別紙1(甲5号証と同一))

甲第17号証:リコー基幹ソリューションセミナーで使用した投影用資料
(甲15号証の別紙2)

甲第18号証:セミナー配付資料の送信記録

甲第19号証:リコージャパンからの回答

甲第20号証:セミナー配付資料の送信記録

4 被請求人の提出した証拠方法

乙第1号証:請求人のウェブサイト「会社概要」

乙第2号証:請求人のウェブサイト「シルバーエッグ・テクノロジー、「第3回 通販ソリューション展 春」に出典!2015年5月13日?5月15日に東京ビックサイトにて開催!」

乙第3号証の1:株式会社リコーの下記Webページの更新日を示すキャプチャ画像

乙第3号証の2:株式会社リコーの下記Webページの更新日を示すキャプチャ画像

乙第4号証:「Webページの更新日時を調べる方法」

乙第5号証:報告書

乙第6号証:被請求人の代理人に2011年10月11日13時14分に届いた宅ふぁいる便からのメール

第5 無効理由1の検討

1 甲号証の公知性の検討

事案に鑑みて、まず、請求人が副引用例として提示した甲第2号証、甲第4号証および甲第5号証の公知性および公知日について検討する。

本件無効審判において、請求人が公知資料として提出した甲第2号証、甲第4号証および甲第5号証の公知性の立証責任は請求人にある。

立証においては、一応確からしいとの推測が得られる疎明の水準では足りず、合理的な疑いを差し挟まない程度に真実らしいと確信できる程度に証明する必要がある。

以下では、被請求人が主張する疑義が合理的な疑いといえるか検討し、さらに、被請求人による当該疑義主張が請求人の立証によって解消されているかどうか検討する。

(1)甲第2号証の公知性

ア 請求人の主張の概要

(ア)甲第2号証の「アイジェントECレコメンドエンジン バリアブル印刷連携 検討資料」は、本件特許の出願日である平成26年1月28日の前の平成22年8月18日に公開されているものである。(審判請求書3頁右欄4?7行、同15頁13?15行)

(イ)甲2号証の公開を証明する書面(甲第7号証および甲第8号証)において、2010年8月18日に、富士ゼロックス株式会社から、請求人の元社員であった工藤光顕に、甲第2号証の資料が提供されたことを証明した。(口頭審理陳述要領書2頁1?10行)

イ 被請求人の主張の概要

(ア)甲2の公知性は認められない。甲2には、2010年8月18日の日付が記載されているが、請求人の主張によってもその日付に公知となったものでもなく、また、甲2のタイトルに記載されているように「検討資料」であり、外部に発表した資料であるとは考えられない。また、甲2の最終頁と、他の頁とはヘッダやフッタが異なり、甲2の全頁が一連の資料であるとも認められない。(審判事件答弁書9頁7?17行)

(イ)甲2号証の公開を証明する書面(甲第7号証および甲第8号証)によっても、甲2号証が公知であったとはいえない。
まず、甲第7号証は、請求人の元従業員の作成した書面であって、本件特許を無効にする動機のある者により作成されたものであるから、そもそも信用性がない。また、甲第8号証は、富士ゼロックス株式会社の一社員が作成した書面であって、富士ゼロックス株式会社として正式な書面とはいえない。更に、いまから約6年弱前に作成されたとされる甲2号証の内容を覚えているということも考えられず、甲2号証をそのときに請求人の社員に提供したことも記憶しているのは不自然である。更にいえば、一般に公開されていない資料について、それを作成したとする当事者が、公知とした旨の書面が現在作成されたということのみで、その公知性が認められるとすれば、全ての特許を無効にすることが可能となり、到底許容できるものではない。
特に、請求人は、甲2号証の公知日を「平成22年12月13日」と主張していたところ、これは誤記であるとして「2010年8月18日」に訂正しているが(請求人の口頭審理陳述要領書2頁)、この「平成22年12月13日」という数値は提出したいかなる証拠にも出てきていない日付であって、また、「2010年8月18日」とはいかなる数値も重複していない。このような訂正は極めて不自然であって、かかる公知日の訂正の経緯からしても、甲2号証が本件特許の出願日以前に公知であったとは考えられない。
また、答弁書で指摘したとおり、甲2号証の表紙には宛先がない。本来、他社に提供する資料であれば、宛先として例えば「シルバーエッグ・テクノロジー株式会社 御中」との表示があって然るべきである。しかし、そのような表記がないということは、甲2号証が、請求人に提供されたとするのは不自然である。
更に、仮に、甲2号証が富士ゼロックス株式会社の社員から請求人の社員に対して提供されたものであったとしても、それは両者間で新規ビジネスの協議をするための資料と考えられ、通常であれば、両者間で守秘義務契約を締結するか、少なくとも、被開示者と開示者が(社会通念上ないし社会慣習上)秘密とすることが期待される関係にある場合、又は、信義則上,被開示者に秘密保持義務があると認められる場合に該当する。したがって、富士ゼロックス株式会社の社員から請求人の社員に対して提供をもって、甲2号証が公知であるとはいえない。(口頭審理陳述要領書(2)3頁2行?4頁8行)

ウ 当審の判断

(ア)甲2号証の公開を証明する書面(甲第7号証および甲第8号証)で証明しているのは、富士ゼロックス株式会社の一社員が請求人の元従業員に対して、2010年8月18日に、甲第2号証を交付したことである。

(イ)甲第2号証には、資料のタイトルとして「アイジェントECレコメンドエンジン バリアブル印刷連携 検討資料」と記載されており、6頁にも「検討事項」として5つの検討項目が列挙され、同頁下部に「成果報酬型ビジネスモデルをプリントモデルに適用できるか、効果測定方法の検討が必要です。」と記載されている。
また、請求人会社のプレスリリース資料である乙第2号証2/2頁の「アイジェント・レコメンダーについて」、「人工知能と高等数学を組み合わせたロジックによる精度の高いリアルタイム・レコメンドサービスです。」などの記載によれば、「アイジェント・レコメンダー」は請求人会社の開発したレコメンドサービスの名称であり、請求人会社の沿革を記載した乙第1号証を参照するに、「アイジェント」は請求人会社の提供する各種サービスに共通して使用される表現であると認められる。
したがって、甲第2号証は、富士ゼロックス株式会社の製品サービス等の販売資料ではなく、富士ゼロックス株式会社から請求人に対して提案された新規ビジネスの検討資料であると認められる。

(ウ)一般に、新規ビジネスの検討資料は、商慣行に照らして、製品サービス等の販売資料等とは異なり、資料交付に際して特段秘密保持契約等を締結していなくても、新規ビジネスの発表等の前までに、第三者に公開されないことが期待される資料であるといえる。

(エ)したがって、新規ビジネスの検討資料である甲第2号証の交付に際して、富士ゼロックス株式会社と請求人との間で特段秘密保持契約等を締結していなくても、富士ゼロックス株式会社と請求人以外の第三者に対して公開を予定された資料であるとはいえない。

(オ)よって、甲第2号証が本件特許の出願前に公知であったと認めることはできず、公知の資料として副引用例に採用することはできない。

(2)甲第4号証の公知性および公知日

ア 請求人の主張の概要

(ア)甲第4号証は、平成24年11月に公開されたレコメンドプリントサービスに関するパンフレットである。(審判請求書3頁右欄10?12行、同16頁23?27行)

(イ)甲第10号証のように、株式会社リコーのWebページ(URL1)において、甲第4号証(と同じ内容の甲第11号証)がリンクされています(URL2)。そして、当該甲第4号証(と同じ内容の甲第11号証)では、4ページ目に「このカタログの記載内容は、2012年11月現在のものです。」と記載されております。
このように、甲第4号証として提出したカタログは、株式会社リコーのWebページにおいて(甲第11号証のように)公開されているものでもあります。また、このような株式会社リコーのWebページにおいて、何年もの間、誤りの情報を掲載され続けることは考え難いものです。したがって、甲第4号証は、2012年11月から記載(掲載)されたことが分かります。
URL1:
https://www.ricoh.co.jp/sales/solutions/exstream/
URL2:
https://www.ricoh.co.jp/sales/solutions/exstream/data/exstream_catalog_Logistics_MailOrderSalesService.pdg
(口頭審理陳述要領書2頁12?25行)

(ウ)請求人は、甲第19号証を用いて、株式会社リコーのWebページ(甲第10号証)上で公開されている甲第4号証(と同じ内容の甲第11号証)のカタログについて、本件特許の出願日前に公知であったことの説明を追加します。
請求人は、甲第4号証のカタログのリンクが貼られるWebページ(甲第10号証:https://www.ricoh.co.jp/sales/solutions/exstream/)上に設けられる「お問い合わせフォーム」から、甲第4号証のカタログ(「HP Exstream Software(流通・通販)製品カタログ」)が「2012年11月から掲載又は配布されていたものであるか」を問い合わせしました。
この問い合わせに対し、リコージャパンより、甲第19号証に示すように、甲第4号証のカタログ(「HP Exstream Software Ver8.0 for Logistics・Mail-Order Sales Service」)の配布が2012年11月に開始されたことが明らかとなりました。
(上申書2頁1?16行)

(エ)請求人は、本件特許を無効にする証拠として、甲第4号証を提出した。甲第4号証は、本件発明の内容が開示されるものである。また、請求人は、甲第4号証が2012年11月に配布されることで公開されたことを証明する証拠として、株式会社リコーに問い合わせをした回答の甲第19号証を提出した。
被請求人は、「株式会社リコーのウェブページ上のお問い合わせフォームに対する問い合わせに対する回答について、信頼性がない」旨指摘している。また、被請求人は、「本件の争点を理解することなく、また、何を確認して配布日時を確認したかも不明」である点について指摘する。
しかしながら、その配布の日時を確認するのに、本件の争点を理解する必要は全くない。また、仮に、カタログの「2012年11月現在のもの」の記載に基づいて回答した場合、当該記載が、正しい記載であることが、リコージャパンの担当者の間で、確信があるためである。
被請求人が、甲第4号証の公知性を疑うのであれば、出願時に甲第4号証が公知となっていなかった証明及び甲第19号証の信憑性が不適切であることを示す証拠の提出をすべきである。
(上申書(2)2頁下から13行?3頁4行)

イ 被請求人の主張の概要

(ア)請求人は、甲4号証のカタログは、株式会社リコーのWebページ上で公開されていると主張する。
しかし、請求人の指摘する株式会社リコーのWebページにおいて、甲4号証のカタログが公開された日(更新日)を確認すると、乙3号証の1のとおり、2015年5月30日である。また、同様に、そのカタログのリンクが貼ってあるWebページに掲載されている「HP Exstream Softwareで作成したドキュメント」とされる画像の公開された日(更新日)をみると、乙3号証の2のとおり、2015年6月29日である(なお、更新日の確認方法については、乙4号証参照)。このように、甲4号証がWebページ上に公開されたのは、本件特許の出願日よりも後である。
そして、平成28年6月15日付審理事項通知書でも指摘のとおり、甲4号証には、これに記載された商品が2012年11月現在のものであることを示しているに過ぎず、公知日を示しているものではない。
したがって、甲4号証が、本件特許の出願日以前に公知であったとは認められない。
(口頭審理陳述要領書(2)4頁10?25行)

(イ)請求人は、株式会社リコーのウェブページ上のお問い合わせフォームから問い合わせた結果(甲第19号証)から、甲第4号証の配布が2012年11月に開始されたと主張する(上申書2頁)。
しかし、甲第19号証の問い合わせに対する回答については、本件の争点を理解することなく、また、何を確認して甲第4号証の配布日時を確認したかも不明である。そのため、当該回答は、単純にパンフレットの「2012年11月現在のもの」という記載から判断した可能性が高く、かかる回答をもって甲第4号証が2012年11月に公知になったとはいえない。
(上申書(2)6頁1?9行)

ウ 当審の判断

甲第4号証の公知性について、同様の内容のPDFファイル(甲第11号証)がリコーのWebページにおいて公開されていることから、いずれかの時点以降は、公知資料となったといえる。
しかし、被請求人の上記イ(イ)における、株式会社リコーのウェブページ上のお問い合わせフォームから問い合わせた結果の回答である甲第19号証を参照しても、何を確認して甲第4号証の配布日時を確認したか不明である旨の主張は、合理的な疑いであるといえ、甲第19号証によっても、甲第4号証が本件特許の出願日前に公知であったと確信させる水準で証明されているとはいえない。すなわち、請求人は、甲第19号証により、本件特許の出願日前に公知であることを疎明しているものの、被請求人の提示した甲第19号証を参照しても、何を確認して甲第4号証の配布日時を確認したか不明であるという合理的な疑いを解消している水準で立証されたとはいえない。

なお、甲第4号証は、いつの時点か不明であるものの、ある時点以降に公知となったことは明らかであるから、念のため、本件特許の出願日前に公知であったと仮定して、進歩性の検討を行うこととする。

(3)甲第5号証の公知性

ア 請求人の主張の概要

(ア)甲第5号証は、本件特許の出願日である平成26年1月28日の前の平成25年4月17日にリコー基幹ソリューションセミナーでプレゼンテーション用いられた資料であって、甲第4号証の2頁の画像を用いられている資料である。なお、上記リコー基幹ソリューションセミナーが、平成25年4月17日に開催されたことは、甲第6号証より明らかである。(審判請求書3頁右欄13?16行、同16頁28?32行)

(イ)甲第12号証において、平成25年4月17日に、リコー基幹ソリューションセミナーにおいて、シルバーエッグ・テクノロジー株式会社の齋藤修が、甲第5号証の資料を公開したことを証明しました。
また、当該セミナーにおける発表の様子を録画した動画のDVD(甲第14号証)を添付しました。なお、このDVDでは、セミナー内で日付については話されていませんが、シルバーエッグ・テクノロジー株式会社が1998年に設立され、この8月で設立15年になることが2:25?2:50の間に話されています。そうすると、このセミナーは、少なくとも2013年(平成25年)の8月よりも前に開催されていたことが分かります。
(口頭審理陳述要領書2頁27?36行)

(ウ)被請求人は、「請求人が、このような印刷物にこのような情報を出力するサービスを開始したのは、請求人のウェブサイトによれば2015年(平成27年)2月であって(乙第1号証、乙第2号証)、甲第5号証の公知日であると請求人が主張する2013年(平成25年)4月17日にそのようなサービスを提供していたとは考えられない。」と主張しております。
しかしながら、乙第1号証で記載の「「レコプリント」をリリース」は、「2013年4月17日のセミナーにおいて甲第5号証の資料を用いて説明した該当の技術に、「レコプリント」の名称をつけて、発表した」との意味であります。該当の技術に基づくサービスは、この2013年4月17日のセミナーで甲第5号証の資料を用いて発表しました通り、2013年4月17日の時点において、既に提供されていました。(口頭審理陳述要領書(2)1頁下から4行?2頁7行)

(エ)甲第5号証と甲第14号証の相違について
請求人は、甲第15号証を用いて、甲第5号証であるセミナーの配付資料(甲第15号証の別紙1)と、甲第14号証のDVDの動画でスクリーンに投影されるセミナーにおいて使用した投影資料(甲第15号証の別紙2)とが異なることを詳細に説明します。
請求人の従業員である齋藤修は、セミナーの配付資料として、甲第5号証の資料を作成しました。
また、請求人の従業員である齋藤修は、この配付資料(甲第5号証)をセミナー前日の2013年4月16日に、リコープロダクションプリントソリューションズ・ジャパン株式会社の従業者である関口真司様宛に送付しました。
その後、請求人の従業者である齋藤修は、配付資料をアップデートした投影用の資料(甲第17号証)を用いて、2013年4月17日に講演を行いました。
セミナーの配付資料(甲第5号証)と投影用の資料(甲第17号証)とが一致しなくなる可能性があることは、甲第5号証であるセミナーの配付資料を関口真司様宛に送付した案内のメール(甲第18号証)で、「多少変更の可能性がありますがご容赦ください。」と記載されていることからも明らかです。
(上申書1頁下から15行?同頁下から1行)

(オ)請求人は、本件特許を無効にする証拠として、甲第5号証を提出した。甲第5号証は、本件発明の内容が開示されるものである。また、請求人は、甲第5号証の公開を証明する証拠として、セミナーの様子が映るDVDを甲第14号証として提出した。この甲第14号証にも、本件発明の内容が開示される。これにより、本件特許の出願日以前に、本件発明が公知であることは明らかである。
これに対し、被請求人は、「甲5号証をアップデートした甲14号証においてスクリーンに投影された資料について、「パーソナライズ印刷」と「パーソナライズド印刷」とが混在している点」を指摘している。また、「表記の不統一について、本件特許の出願日以降に資料をつなぎ合わせて作成」したと指摘する。
しかしながら、一つの資料の中で、表現が不統一であることは何ら不思議なことではない。また、本件特許の出願日以降に資料をつなぎ合わせて作成したからではなく、請求人の従業員がその一部のみを変更しただけである。本件出願日以降に資料を繋ぎ合わせて作成したという被請求人の主張は、被請求人の妄想である。
また、被請求人は、「甲5号証が送付された客観的な証拠」について指摘している。
ここで、請求人が再確認したところ、甲第20号証の電子メールに示すように、誤っているURLを記載したものであり、その後に再送していたことが確認できた。そのため、請求人は、甲第18号証を改め、甲第20号証を提出する。
甲第20号証を提出することにより、甲第5号証が、秘密保持義務のないリコー社の関口様に公開されたことを証明できた。さらに、甲第14号証及び甲第17号証を提出していることにより、甲第5号証の一部を変更した投影用の甲第17号証が、秘密保持義務のないセミナーの参加者に公開されたことを証明できている。
(上申書(2)1頁下から16行?2頁8行)

イ 被請求人の主張の概要

(ア)請求人は、甲第5号証は、甲第6号証のリコー基幹ソリューションセミナーでプレゼンテーションに用いられた資料であると主張するが、この資料そのものが当該セミナーで使用されたか、また使用されたとしてどのような態様で使用されたか、配付されたか否かも不明であり、また、僅か1時間という時間(甲第6号証参照)で87枚にもわたる資料を説明したとは到底考えられない。
したがって、甲第5号証に記載の技術がいかなるものかを検討するまでもなく、甲第5号証は進歩性を検討するための基礎となる公知文献とはいえず、したがって、甲第5号証に記載の技術を前提とする請求人の主張はいずれも失当である。
(審判事件答弁書13頁9?17行)

(イ)請求人は、甲第5号証は、甲第6号証のリコー基幹ソリューションセミナーでプレゼンテーションに用いられた資料であると主張するが、この資料そのものが当該セミナーで使用されたか、また使用されたとしてどのような態様で使用されたか、配付されたか否かも不明であり、また、僅か1時間という時間(甲第6号証参照)で87枚にもわたる資料を説明したとは到底考えられないことは答弁書で述べたとおりである。
更に、甲第5号証82頁には、「パーソナライズ印刷とは」と題して、請求人が、「ウェブサイト上で閲覧した商品や購入履歴を元に一人ひとりのユーザーに「最適なおすすめ商品」を自動分析し、印刷物(ご請求書・納品書等)に出力できるサービス」を提供している旨が記載されている。しかし、請求人が、このような印刷物にこのような情報を出力するサービスを開始したのは、請求人のウェブサイトによれば2015年(平成27年)2月であって(乙第1号証、乙第2号証)、甲第5号証の公知日であると請求人が主張する2013年(平成25年)4月17日にそのようなサービスを提供していたとは考えられない。したがって、甲第5号証は、2013年(平成25年)4月17日に公知となっていたものではない。
(口頭審理陳述要領書5頁6?21行)

(ウ)請求人の口頭審理陳述要領書の添付書類1-1及び1-2(甲第7号証および甲第8号証)によっても、甲第2号証が公知であったとはいえない。
まず、添付書類3(甲第12号証)は、リコージャパン株式会社の一社員が作成した書面であって、リコージャパン株式会社として正式な書面とはいえない。更に、いまから約3年前に作成されたとされるページ数が88頁にも及ぶ甲第5号証の内容を覚えているということも考えられず、甲第5号証が2013年4月17日に行われたセミナーで公開されたとする添付書類3(甲第12号証)の書面は信用できない。そして、請求人が作成した資料について、それが公知となった旨を述べる書面が現在作成されたということのみで、その公知性が認められるとすれば、全ての特許を無効にすることが可能となり、到底許容できるものではない。
更に、2013年4月17日に行われたセミナーにおける発表の様子を録画したとされる動画には、甲第5号証と同様の資料が記録されているが、これをみると、乙第5号証の報告書のとおり、甲第5号証と当該動画に記録された資料とは異なる点が複数存在する。特に、請求人が審判請求書で引用する甲第5号証の記載に関連する部分においても、下記のとおりの相違が認められる。
・甲第5号証の80頁の「パーソナライズ印刷」という表記が動画(甲第14号証)では「パーソナライズド印刷」という表記となっている点。
・甲第5号証の84頁の「主な用途」という表記が動画(甲第14号証)では
「なぜ、これからレコメンドプリントなのか?」という表記となっている点。
そうすると、可能性としては、甲5号証がセミナーで使用されていないか、DVD(甲第14号証)に記録された動画が2013年4月17日に録画されたものではないか、若しくは、いずれも、2013年4月17日に公開又は録画したものではないかのいずれかとなる。甲第5号証もDVD(甲第14号証)も請求人が現在作成することが可能なものであることも考慮すれば、甲第5号証が、2013年4月17日に公知であったとは考えられない。
更に、2013年4月17日に行われたセミナーの請求人社員の発表内容は、甲第6号証によれば、「「NetRICOH」その他サイトで実装されているレコメンド事例を中心に、お客様の購買意欲を上げ確かな売上拡大を導くためのアイデア」を紹介することである。しかし、甲第5号証79頁では、「NetRICOH」における具体的事例は全く説明しないことが記載され、その後突如として、実際には実装されていないとされる「パーソナライズ印刷」についての説明をしている。これは、甲6号証の記載と一致しない資料内容となっており、むしろ2013年4月17日に行われたセミナーでは、甲第5号証79頁以下は「NetRICOH」における具体的事例の説明を行うスライドであった可能性もある。かかる観点からも、甲第5号証が、2013年4月17日に行われたセミナーにおいて公表されたとは考えられない。
そして、甲第5号証の65頁、68頁、69頁、71頁、72頁、73頁、78頁には、これを見た者にこの内容が営業秘密であると特定する「confidential」の文字が右下に掲載されており、そのような情報が掲載された資料を使用して、セミナーを開催することもあり得ない。そのため、甲第5号証が、2013年4月17日に行われたセミナーにおいて公表されたとは考えられない。
以上のとおり、甲第5号証は、公知となったとはいえない。
(口頭審理陳述要領書(2)5頁1行?7頁4行)

(エ)請求人は、甲第5号証と甲第14号証においてスクリーンに投影された資料が異なる理由について、請求人の従業員が、配付資料をセミナーの前日に送付した後、その資料をアップデートした投影用の資料を用いたからであると主張する(上申書1頁)。
請求人の主張によれば、甲第5号証をアップデートした資料が甲第14号証で投影されているとするのであるが、例えば、甲第5号証の80頁は「パーソナライズ印刷」から「パーソナライズド印刷」に修正されているが、甲第5号証の82頁や83頁に対応する「パーソナライズ印刷」の記載は甲第14号証で投影された資料において修正されていない。
仮に、甲第5号証をアップデートした資料が甲第14号証で投影されているとすれば、甲第5号証の82頁や83頁の表記も修正されているはずであるがこれが行われていないというのは、甲第14号証で投影された資料が、甲第5号証をアップデートしたものでないからに他ならない。
また、請求人の主張を前提とすれば甲第5号証の80頁を修正して甲第14号証で投影された資料においてわざわざ「パーソナライズド印刷」とサービス名称を修正したということになるが、そうだとすると、甲第5号証の84頁を修正して異なるサービス名称である「レコメンドプリント」と明記するのは極めて不合理である。
このような表記の不統一が生じる理由としては、本件特許の出願日以降を含めて作成した資料をつなぎ合わせて作成された場合が想定される。
そのため、被請求人の口頭審理陳述要領書(2)で述べたとおり、甲第5号証が2013年4月17日のセミナーで使用されていないか、DVD(甲第14号証)に記録された動画が2013年4月17日に録画されたものではないか、若しくは、いずれも、2013年4月17日に使用又は録画したものではないかのいずれかとなることに変わりはない。甲第5号証もDVD(甲第14号証)も請求人が現在作成することが可能なものであることも考慮すれば、甲第5号証が、2013年4月17日に公知であったとは考えられない。
なお、甲第15号証には、請求人の従業員が、「宅ふぁいる便」を用いて平成21年(2013年)4月16日に、リコープロダクションプリントソリューションズ・ジャパン株式会社の担当者に甲第5号証を送付したとするが、「宅ふぁいる便」はいわゆる大容量ファイル転送サービスであり、現時点で、甲第5号証が同日に送付されたとする客観的な証拠は存在しない。
さらに、甲第18号証のセミナーの配付資料の送信記録(メール)に記載の「ダウンロード→http://c.filesend.to/ad/?c=13040m02_ap」におけるURL「http://c.filesend.to/ad/?c=13040m02_ap」は請求人がリコープロダクションプリントソリューションズ・ジャパン株式会社の担当者に送付したとする甲第5号証をダウンロードするためのURLではない。「宅ふぁいる便」において、ユーザが送付したファイルをダウンロードするためのURLは、「http」ではなく、機密性の高い「https」が使用される。かかることは、被請求人の代理人に2011年10月11日13時14分に届いた宅ふぁいる便からのメール(乙第6号証)からも把握可能である。また、URL「http://c.filesend.to/ad/?c=13040m02_ap」は「ad」を含むことから広告をダウンロードするためのURLである、と考えられる。かかることも、被請求人の代理人に2011年10月11日13時14分に届いた宅ふぁいる便からのメール(乙第6号証)からも把握可能である。以上より、甲第18号証の信頼性も決して高いとは言えず、甲第18号証が、甲第5号証が同日に送付されたとする客観的な証拠とはなり得ない。
(上申書(2)3頁4行?5頁25行)

ウ 当審の判断

まず、被請求人が提示した甲第5号証がリコー基幹ソリューションセミナーで配付されたかどうか疑わしいとの疑義について検討し、当該疑義が合理的な疑いである場合に、請求人の立証が当該疑義を解消しているか否か検討する。
次に、甲第5号証の公知性を証明すべく請求人が提出した甲第6号証、甲第12号証、および甲第14号証に対して被請求人が提示した疑義について検討し、当該疑義が合理的な疑いである場合に、請求人がこれらの疑義を解消している水準で立証しているか否か検討する。

(ア)甲第5号証記載の「パーソナライズ印刷」サービスのリリース時期について

上記イ(イ)で、「甲第5号証82頁には、「パーソナライズ印刷とは」と題して、請求人が、「ウェブサイト上で閲覧した商品や購入履歴を元に一人ひとりのユーザーに「最適なおすすめ商品」を自動分析し、印刷物(ご請求書・納品書等)に出力できるサービス」を提供している旨が記載されている。しかし、請求人が、このような印刷物にこのような情報を出力するサービスを開始したのは、請求人のウェブサイトによれば2015年(平成27年)2月であって(乙第1号証、乙第2号証)、甲第5号証の公知日であると請求人が主張する2013年(平成25年)4月17日にそのようなサービスを提供していたとは考えられない。したがって、甲第5号証は、2013年(平成25年)4月17日に公知となっていたものではない」旨、被請求人は主張している。当該主張は、請求人会社のウェブサイトから取得した証拠(乙第1号証、乙第2号証)に基づくものであり、合理的な疑いであるといえる。

これに対して、上記ア(ウ)で、「乙第1号証に記載の「「レコプリント」をリリース」は、「2013年4月17日のセミナーにおいて甲第5号証の資料を用いて説明した該当の技術に、「レコプリント」の名称をつけて、発表した」との意味であり、該当の技術に基づくサービスは、この2013年4月17日のセミナーで甲第5号証の資料を用いて発表しました通り、2013年4月17日の時点において、既に提供されていた」旨、請求人は主張している。

ここで、乙第1号証の5/6頁を参照すると、請求人シルバーエッグ・テクノロジー株式会社の沿革として、「2015年2月 レコメンドプリントサービス「アイジェント・レコプリント」をリリース」との記載と共に、「2013年3月 「アイジェントASPサービス」を「アイジェント・レコメンダー」に名称変更」との記載がある。
さらに、乙第1号証の4/6頁を参照すると、請求人シルバーエッグ・テクノロジー株式会社の沿革として、「2003年3月 日本初の成果報酬型レコメンドサービスとなる「アイジェントASPサービス」をリリース」との記載がある。
つまり、請求人シルバーエッグ・テクノロジー株式会社の沿革の記載においては、サービスの「リリース」と「名称変更」とは、明確に区別されている。
したがって、「「レコプリント」をリリース」は、「2013年4月17日のセミナーにおいて甲第5号証の資料を用いて説明した該当の技術に、「レコプリント」の名称をつけて、発表した」との請求人主張は、乙第1号証の請求人会社の沿革の記載態様に反しているといえる。

また、請求人の上記ア(ウ)の主張に基づけば、甲第5号証では、「パーソナライズ印刷」という名称を使用していることから、2013年4月17日の時点においては、「パーソナライズ印刷」という名称でサービスを提供していたことになる。
一般に、情報サービス開発・提供企業等において、新規サービスの提供は、沿革における重要な記載事項であり、会社の沿革において新規サービスのリリース年月等を記載することは一般的慣習であると言える。これは、請求人会社の沿革が記載されている乙第1号証の4/6?5/6頁において、請求人が新規提供を開始したサービスを以下のように列挙していることから、請求人会社の沿革においても、上記一般的慣習に従って記載されているといえる。
(以下では、当審で、沿革からサービスのリリース部分のみを抜粋した。)
2003年3月 日本初の成果報酬型レコメンドサービスとなる「アイジェントASPサービス」をリリース
2005年11月 モバイルサイト向けレコメンドサービス「アイジェントASPサービス・モバイル版」をリリース
同年3月 レコメンドサービス「アイジェントASPサービス・コールセンター版」をリリース
同年6月 レコメンド広告サービス「ホットビュー」をリリース
2014年8月 リアルタイム・レコメンドメールサービス「アイジェント・レコガゾウ」をリリース
2015年2月 レコメンドプリントサービス「アイジェント・レコプリント」をリリース

したがって、2013年4月17日の時点において「パーソナライズ印刷」という名称であった新規サービスのリリースについて請求人会社の沿革になんら記載されていない点でも、請求人の上記ア(ウ)の主張は、上記一般的慣習にも、あるいは、上記一般的慣習に従って記載されている請求人会社の沿革の記載態様にも、反しているといえる。

よって、甲第5号証記載の「パーソナライズ印刷」サービスに対応するサービスのリリース時期は、乙第1号証の請求人会社の沿革の記載通り2015年2月であり、請求人の当該サービスが2013年4月17日の時点において既に提供されていた旨の上記ア(ウ)の主張は採用できない。

そうすると、2015年2月にリリースされたサービスが、2013年4月17日に開催されたセミナーで配付されたとする資料に記載されていたことになる。

甲第6号証によれば、2013年4月17日に開催されたセミナーの発表内容は、「「NetRICOH」その他サイトで実装されているレコメンド事例を中心に、お客様の購買意欲を上げ確かな売上拡大を導くためのアイデア」を紹介することである。しかし、甲第5号証の80?84頁に記載の「パーソナライズ印刷」サービスは、当該セミナー時点でリリースされていたとは認められないため、「NetRICOH」その他サイトで実装されているとはいえないから、この発表内容とも一致していない。

以上から、請求人は、当該主張によって、被請求人が提示した甲第5号証がリコー基幹ソリューションセミナーで配付されたかどうか疑わしいとの合理的な疑いを解消しているといえない。

(イ)甲第5号証における「confidential」という表記

被請求人は、上記イ(ウ)において、甲第5号証の65頁、68頁、69頁、71頁、72頁、73頁、78頁には、これを見た者にこの内容が営業秘密であると特定する「confidential」の文字が右下に掲載されており、そのような情報が掲載された資料を使用して、セミナーを開催することもあり得ず、甲第5号証が、2013年4月17日に行われたセミナーにおいて公表されたとは考えられない旨主張している。当該主張は、請求人提出の甲第5号証の資料に基づくものであり、合理的な疑いであるといえる。

これに対して、請求人は、当該セミナーにおける発表の様子を録画したとする動画のDVD(甲第14号証)を提出しているのみで、甲第5号証に「confidential」という表記が付加されている理由を説明していない。

一般に、「confidential」の文字が付加された資料は、守秘義務契約を明示的に締結したか、あるいは、暗黙の内に締結したとみなせる特定の者に対してのみ開示するものであり、セミナーの配付資料など公開を前提として作成される資料に「confidential」という表記が付加されることはない。

したがって、「confidential」という表記を付加した資料である甲第5号証を使用して、セミナーを開催することもあり得ず、甲第5号証が、2013年4月17日に行われたセミナーにおいて公表されたとは考えられない旨の被請求人主張の合理的な疑いは、請求人の立証によって解消されていない。

(ウ)甲第6号証について

被請求人は、上記イ(ア)において、甲第6号証の記載では、甲第5号証がリコー基幹ソリューションセミナーで使用されたか、また使用されたとしてどのような態様で使用されたか、配付されたか否かも不明である旨の主張しており、これは合理的な疑いであるといえる。

また、被請求人は、上記イ(ウ)において、2013年4月17日に行われたセミナーの請求人社員の発表内容は、甲第6号証によれば、「「NetRICOH」その他サイトで実装されているレコメンド事例を中心に、お客様の購買意欲を上げ確かな売上拡大を導くためのアイデア」を紹介することである。しかし、甲第5号証79頁では、「NetRICOH」における具体的事例は全く説明しないことが記載され、その後突如として、実際には実装されていないとされる「パーソナライズ印刷」についての説明をしている。これは、甲6号証の記載と一致しない資料内容となっており、むしろ2013年4月17日に行われたセミナーでは、甲第5号証79頁以下は「NetRICOH」における具体的事例の説明を行うスライドであった可能性もある。かかる観点からも、甲第5号証が、2013年4月17日に行われたセミナーにおいて公表されたとは考えられない旨主張している。
被請求人の当該主張は、請求人提出の甲第5号証及び甲第6号証の不整合を指摘するものであり、合理的な疑いであるといえる。

これらの疑義に対して、請求人は、当該セミナーにおける発表の様子を録画したとする動画のDVD(甲第14号証)を提出しており、甲第6号証単独での追加立証は行っていない。

(エ)甲第12号証について

請求人は、上記ア(イ)において、甲第12号証において、平成25年4月17日に、リコー基幹ソリューションセミナーにおいて、シルバーエッグ・テクノロジー株式会社の齋藤修が、甲第5号証の資料を公開したことを証明した旨主張している。

これに対して、被請求人は、上記イ(ウ)において、甲第12号証は、リコージャパン株式会社の一社員が作成した書面であって、リコージャパン株式会社として正式な書面とはいえない。更に、いまから約3年前に作成されたとされるページ数が88頁にも及ぶ甲第5号証の内容を覚えているということも考えられず、甲第5号証が2013年4月17日に行われたセミナーで公開されたとする甲第12号証の書面は信用できない旨主張している。甲第12号証を参照するに、甲第5号証の具体的内容について述べることなく、特に、本件特許の進歩性に影響を及ぼす「パーソナライズ印刷」に関する記載(80?84頁)が、セミナーで発表されていたか否かという点についての記述がない点で、被請求人の当該主張は、合理的な疑いであるといえる。

これに対して、請求人は、当該セミナーにおける発表の様子を録画したとする動画のDVD(甲第14号証)を提出しており、甲第12号証単独での追加立証は行っていない。

(オ)甲第14号証について

請求人は、上記ア(イ)において、平成25年4月17日開催のリコー基幹ソリューションセミナーセミナーにおける発表の様子を録画した動画のDVD(甲第14号証)を提出し、このDVDでは、セミナー内で日付については話されていないが、シルバーエッグ・テクノロジー株式会社が1998年に設立され、この8月で設立15年になることが2:25?2:50の間に話されており、このセミナーは、少なくとも2013年(平成25年)の8月よりも前に開催されていたことが分かる旨主張している。

被請求人は、上記イ(ウ)において、甲第5号証の公知性を立証するため請求人が提出したDVDである甲第14号証が、甲第5号証と相違している箇所を指摘し、甲第5号証が本件特許の出願日前に公知で無かった旨主張している。甲第5号証と、甲第5号証の公知性を立証するため請求人が提出したDVDである甲第14号証とは、いずれも、請求人が提出した証拠であり、それらの間の相違を指摘する被請求人の主張は、合理的な疑いであるといえる。

それに対して、請求人は、上記ア(エ)で、甲第5号証をセミナー前日の2013年4月16日に、リコープロダクションプリントソリューションズ・ジャパン株式会社の従業者である関口真司氏に送付し、その後アップデートを行い、投影用の資料である甲第17号証を用いて、2013年4月17日に講演を行った。セミナーの配付資料(甲第5号証)と投影用の資料(甲第17号証)とが一致しなくなる可能性があることは、甲第5号証であるセミナーの配付資料を関口真司様宛に送付した案内のメール(甲第18号証)で、「多少変更の可能性がありますがご容赦ください。」と記載されていることからも明らかである旨主張している。

これに対して、被請求人は、さらに、上記イ(エ)で、例えば、甲第5号証の80頁は「パーソナライズ印刷」から「パーソナライズド印刷」に修正されているが、甲第5号証の82頁や83頁に対応する「パーソナライズ印刷」の記載は甲第14号証で投影された資料において修正されておらず、仮に、甲第5号証をアップデートした資料が甲第14号証で投影されているとすれば、甲第5号証の82頁や83頁の表記も修正されているはずであるがこれが行われていないというのは、甲第14号証で投影された資料が、甲第5号証をアップデートしたものでないからに他ならない旨主張している。また、請求人の主張を前提とすれば甲第5号証の80頁を修正して甲第14号証で投影された資料においてわざわざ「パーソナライズド印刷」とサービス名称を修正したということになるが、そうだとすると、甲第5号証の84頁を修正して異なるサービス名称である「レコメンドプリント」と明記するのは極めて不合理であり、このような表記の不統一が生じる理由としては、本件特許の出願日以降を含めて作成した資料をつなぎ合わせて作成された場合が想定される旨主張している。これらの被請求人の主張も、請求人提出の証拠である甲第5号証および甲第14号証に基づくものであって、合理的な疑いであるといえる。

請求人は、上記ア(オ)で、一つの資料の中で、表現が不統一であることは何ら不思議なことではない。また、本件特許の出願日以降に資料をつなぎ合わせて作成したからではなく、請求人の従業員がその一部のみを変更しただけである。本件出願日以降に資料を繋ぎ合わせて作成したという被請求人の主張は、被請求人の妄想である旨主張している。

一般に、サービス名称は、請求人会社のような情報サービス提供企業において、重要な事項であり、これは、請求人会社の沿革を記載した乙第1号証の5/6頁において、「2013年3月 「アイジェントASPサービス」を「アイジェント・レコメンダー」に名称変更」との記載があることからも、裏付けられているといえる。
甲第5号証では、80頁、82頁、83頁と一貫して「パーソナライズ印刷」というサービス名称を利用していたものを、アップデートすることにより、甲第14号証のセミナー動画内で投影されている資料である甲第17号証では、79頁で「パーソナライズド印刷」と記載し、81頁および82頁では「パーソナライズ印刷」と記載し、さらに、83頁では異なるサービス名称である「レコメンドプリント」と記載するのは、被請求人が主張するとおり、極めて不合理である。

また、請求人は上記ア(ウ)において、乙第1号証で記載の「「レコプリント」をリリース」は、「2013年4月17日のセミナーにおいて甲第5号証の資料を用いて説明した該当の技術に、「レコプリント」の名称をつけて、発表した」との意味である旨主張している。ここで、請求人会社の沿革を記載した乙第1号の該当箇所(5/6頁)を参照すると、「2015年2月 レコメンドプリントサービス「アイジェント・レコプリント」をリリース」(下線は当審で付加した。)と記載されている。すると請求人が従来「パーソナライズ印刷」と呼んでいたサービスを「レコメンドプリント」と表現し始めたのは、「2015年2月」頃と認められ、このようなサービスの表現が甲第17号証に含まれているのは極めて不自然である。

したがって、甲第5号証をアップデートしたものが甲第14号証である旨の請求人主張は十分に立証されているとはいえない。

さらに、請求人は、甲第18号証及び甲第20号証を提出して、セミナーの配付資料として、甲第5号証をセミナー前日に送付した旨主張している。

これに対して、被請求人は、甲第15号証には、請求人の従業員が、「宅ふぁいる便」を用いて平成21年(2013年)4月16日に、リコープロダクションプリントソリューションズ・ジャパン株式会社の担当者に甲第5号証を送付したとするが、「宅ふぁいる便」はいわゆる大容量ファイル転送サービスであり、現時点で、甲第5号証が同日に送付されたとする客観的な証拠は存在しない旨主張している。被請求人の当該主張は、乙第6号証の1頁下から5行目の「なお、ダウンロードできる期間は72時間(3日間)以内です。」という記載からも裏付けられており、合理的な疑いであるといえる。

それに対して、請求人は、平成21年(2013年)4月16日に、リコープロダクションプリントソリューションズ・ジャパン株式会社の担当者に甲第5号証を送付したとする追加立証を行っていない。

(カ)甲第5号証の公知性についてのまとめ

上記(ア)?(オ)から、被請求人主張の甲第5号証がリコー基幹ソリューションセミナーで配付されたかどうか疑わしいとの合理的疑義は、請求人の立証によって解消されていないから、甲第5号証は本件特許の出願日前に公知であったということはできず、甲第5号証に基づく、無効の理由は採用できない。

2 甲号証記載発明

(1)甲第1号証記載の発明
甲第1号証には、図面と共に、以下の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、情報作成装置、情報作成方法、レコメンド装置、レコメンド方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブロードバンドによる通信回線の高速化などに伴って、電子商取引(EC;Electronic Commerce)の普及、進展が続いている。電子商取引では、ある商品がユーザに閲覧される際に、そのユーザに対して他の商品の提案(レコメンド)が行われることがある。レコメンドは過去の購買履歴などに基づいて行われ、例えば特許文献1には、個人の過去の購入履歴などを加味して、この個人の購入確率が高い商品をレコメンドすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-181272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが商品やサービスを購入するチャネルは電子商取引に限られるものではなく、実店舗の対面販売なども存在している。しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、店頭における購買履歴に基づいてレコメンドが行われており、異なるチャネルでの購買に関しては何ら着目していない。
【0005】
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、レコメンドのために複数の流通チャネルにおける購買履歴を考慮することのできる、情報作成装置、情報作成方法、レコメンド装置、レコメンド方法及びプログラムを提供することを目的とする。」

イ 「【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係るレコメンドシステムについて説明する。本実施形態のレコメンドシステムは、ユーザに対してお勧め商品の提案(レコメンド)を行うものである。
【0026】
本実施形態のレコメンドシステムでは、商品の購買履歴から商品の関連を分析したグラフ(以下、「購買連関ネットワーク1」という。)に基づいてレコメンドを行う。購買連関ネットワーク1は、複数の流通チャネルにおける購買履歴から作成される。本実施形態では、インターネットなどにおける電子商取引(以下、「オンライン販売」という。)と実店舗における対面販売との2つの流通チャネルにおける購買履歴から購買連関ネットワーク1が作成されるものとする。図1は、購買連関ネットワーク1の構成例を示す図である。購買連関ネットワーク1は、チャネルごとの商品の小分類(本発明の「カテゴリ」に該当する。)をノードとし、同一のユーザにより購買された小分類のノード間をリンク(「エッジ」、「紐帯」などとも呼ばれる。)によりつながれたグラフである。図1の例では、三角形の図形がオンライン販売における小分類、丸形の図形が実店舗における小分類のノードを示している。リンクには関連性を示す重み(「リンク強度」と呼ばれる。)がつけられている。リンク強度は、同じユーザにより購買される可能性の高さであり、購買関連ネットワーク1の作成時に同じユーザにより購買されていた個数の間のピアソンの積率相関係数である。本実施形態のレコメンドシステムは、オンライン販売による商品の購買履歴(以下、「オンライン購買履歴」という。本発明の「第1の購買履歴」に対応する。)と、実店舗における商品の購買履歴(以下、「実店舗購買履歴」という。本発明の「第2の購買履歴」に対応する。)とに基づいて購買連関ネットワーク1を作成し、購買連関ネットワーク1に基づいてレコメンドを行う。
【0027】
図2は、本実施形態のレコメンドシステムの全体構成を示す図である。本実施形態のレコメンドシステムは、レコメンド装置20と分析装置30とを含んで構成される。レコメンド装置20と、ユーザ端末10及び分析装置30のそれぞれと、は通信路11及び12を介して通信可能に接続されている。なお、ユーザ端末10、レコメンド装置20及び分析装置30が1つの通信ネットワークを介して互いに通信可能に接続されるようにしてもよい。通信路11及び12は、例えば公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信網、イーサネット(登録商標)などにより構築される、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)などである。
【0028】
レコメンド装置20は、ユーザ端末10のユーザに商品をレコメンドする、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータなどのコンピュータである。本実施形態では、レコメンド装置20は、例えば、オンラインショッピングやカタログ提供などのサービスを提供するWebサーバであることを想定する。レコメンド装置20は、ユーザ端末10から送信されるHTTPのリクエストに応じてWebページを送信する。レコメンド装置20は、リクエストに商品が指定されていた場合(以下、リクエストに指定された商品を「指定商品」という。)、指定商品についてのWebページ情報に、購買連関ネットワーク1に基づいて指定商品に関連する他の商品(以下、「レコメンド商品」という。)をユーザに提案するための情報(以下、「レコメンド情報」という。)を埋め込んでユーザ端末10に送信する。
【0029】
分析装置30は、レコメンドに用いる購買連関ネットワーク1を作成する、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータなどのコンピュータである。分析装置30は、後述するように、オンライン購買履歴と実店舗購買履歴とに基づいて購買連関ネットワーク1を作成する。」

ウ 「【0038】
図10は、レコメンド装置20のソフトウェア構成を示す図である。レコメンド装置20は、レコメンド決定情報受信部211、商品指定部212、レコメンド商品決定部213、商品ページ送信部214、商品分類データベース231、誘導データベース232、商品詳細情報データベース233、レコメンド決定情報記憶部234を備える。なお、レコメンド決定情報受信部211、商品指定部212、レコメンド商品決定部213、商品ページ送信部214は、レコメンド装置20においてCPU101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現される。商品分類データベース231、誘導データベース232、商品詳細情報データベース233、レコメンド決定情報記憶部234は、レコメンド装置20が備えるメモリ102及び記憶装置103が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0039】
商品分類データベース231は、商品分類情報を記憶する。商品分類データベース231の構成は、上述した図5に示す分析装置30の商品分類データベース331と同じである。
【0040】
誘導データベース232は、実店舗での商品とオンライン販売での商品とを対応づけるための情報が記憶される。図11は本実施形態における誘導データベース232の構成例を示す図である。本実施形態では、誘導データベース232は、実店舗小分類とオンライン小分類とが対応づけられている。
【0041】
商品詳細情報データベース233は、商品に関するWebページ(以下、「商品ページ」という。)を作成するための、商品に関する詳細な情報(以下、「商品詳細情報」という。)を記憶する。図12は商品詳細情報データベース233に記憶される商品詳細情報
の構成例を示す図である。本実施形態では、商品詳細情報には、商品IDに対応づけて、商品名、価格、商品の画像を表示するための画像データのファイル名、商品についての説明などが含まれている。なお、商品詳細情報には、商品を説明するWebページを作成するために必要な一般的な情報が含まれているものとする。
【0042】
レコメンド決定情報受信部211は、分析装置30から送信されるレコメンド決定情報2を受信する。レコメンド決定情報受信部211は、受信したレコメンド決定情報2をレコメンド決定情報記憶部234に登録する。レコメンド決定情報記憶部234は、図9に示すレコメンド決定情報2を記憶する。
【0043】
商品指定部212は、指定商品の指定を受け付ける。商品指定部212は、ユーザ端末10から送信されるHTTPのリクエストに商品IDが指定されていた場合には、当該商品IDが示す商品を指定商品として受け付けることができる。
【0044】
レコメンド商品決定部213は、指定商品が指定された場合に、指定商品に関連するレコメンド商品を決定する。図13はレコメンド商品の決定処理の流れを示す図である。レコメンド商品決定部213は、商品分類データベース231から、指定商品の商品ID(以下、「指定商品ID」という。)に対応する小分類を読み出す(S501)。レコメンド商品決定部213は、レコメンド決定情報記憶部234に記憶されているレコメンド決定情報2から、読み出した小分類に対応する関連小分類を読み出し(S502)、誘導データベース232から、関連小分類に対応するオンライン小分類を読み出す(S503)。レコメンド商品決定部213は、商品分類データベース231から、オンライン小分類に対応する商品IDを読み出す(S504)。レコメンド商品決定部213は、読み出した各商品IDについて、商品分類データベース331から大分類を読み出し(S505)、上記商品IDのうち、指定商品の大分類と異なる大分類に属するものを、レコメンドに用いるもの(以下、「レコメンド商品ID」という。)として決定する(S506)。なお、レコメンド商品決定部213は、ステップS504の前に、関連小分類に対応する大分類を商品分類データベース331から読み出し、ステップS504において、指定商品に対応する大分類とは異なる大分類に所属する関連小分類についてのみ商品IDを読み出し、読み出した商品IDをレコメンド商品IDとしてもよい。
【0045】
商品ページ送信部214は、リクエストに応じて、商品についての情報を表示するためのWebページ(以下、「商品ページ」という。)を作成する。商品ページ送信部214は、指定商品IDに対応する商品詳細情報を商品詳細情報データベース233から読み出し、読み出した商品詳細情報に基づいて商品ページを作成する。なお、商品ページの作成処理には、一般的な商品についてのWebページの作成処理を用いることができる。商品ページ送信部214は、レコメンド商品決定部213がレコメンド商品IDを決定した場合には、レコメンド商品IDに対応する商品詳細情報を商品詳細情報データベース233から読み出し、読み出した商品詳細情報に基づいてレコメンド情報を作成し、作成したレコメンド情報を商品ページに組み入れて作成するようにする。商品ページ送信部214は、作成した商品ページをユーザ端末10に送信する。
以上のようにして、指定商品に関連するレコメンド商品が提案される。」

エ 「【0057】
また、本実施形態では、商品ページの閲覧時にレコメンドを行うものとしたが、これに限らず、例えばユーザがレコメンド装置20にログインしたときに、過去のユーザの購買履歴に基づいて過去に購買した商品に関連するレコメンド商品を表示するようにしてもよいし、ユーザが商品を購買したときに、その購買した商品に関連するレコメンド商品を表示するようにしてもよい。また、レコメンド装置20は、ユーザからのアクセスを契機とせず、例えばレコメンド装置20のオペレータから指示を受けたときや所定の時間ごとなど、任意のタイミングで各ユーザに対して過去の購買履歴に基づくレコメンド商品を紹介する電子メールなどのメッセージを送信するようにすることもできる。」

オ 上記摘記事項ア?エの記載、及び、甲第1号証の図面を参照すると、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

甲1発明

「レコメンド装置20は、オンラインショッピングやカタログ提供などのサービスを提供するWebサーバであり、
レコメンド装置20は、ユーザ端末10から送信されるHTTPのリクエストに応じてWebページを送信し、リクエストに商品が指定されていた場合、指定商品についてのWebページ情報に、購買連関ネットワーク1に基づいて指定商品に関連する他の商品をユーザに提案するための情報を埋め込んでユーザ端末10に送信する
レコメンド装置であって、
レコメンド装置20は、レコメンド決定情報受信部211、商品指定部212、レコメンド商品決定部213、商品ページ送信部214等を備えており、
商品指定部212は、ユーザ端末10から送信されるHTTPのリクエストに商品IDが指定されていた場合には、当該商品IDが示す商品を指定商品として受け付け、
商品ページ送信部214は、指定商品IDに対応する商品詳細情報を商品詳細情報データベース233から読み出し、読み出した商品詳細情報に基づいて商品ページを作成し、
レコメンド商品決定部213は、指定商品が指定された場合に、指定商品に関連するレコメンド商品を決定し、
商品ページ送信部214は、レコメンド商品決定部213がレコメンド商品IDを決定した場合には、レコメンド商品IDに対応する商品詳細情報を商品詳細情報データベース233から読み出し、読み出した商品詳細情報に基づいてレコメンド情報を作成し、作成したレコメンド情報を商品ページに組み入れて作成し、
商品ページ送信部214は、作成した商品ページをユーザ端末10に送信する
レコメンド装置」

(2)甲第3号証記載の発明
甲第3号証には、図面と共に、以下の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、商品情報を取得し、出力する情報システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の情報システムにおいて、サイトユーザの傾向を考慮した、効率のよい商品やサービスの推奨情報を迅速に提供する(例えば、特許文献1参照)。また、従来、ユーザが購入指示の入力を行うだけで、エージェントが商品の購入を行う情報システムがあった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-65734号公報(第1頁、第1図等)
【特許文献2】特開2001-216461号公報(第1頁、第1図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の情報システムにおいては、ユーザの嗜好に合致した商品を購入することはできるが、ユーザに驚きを与える意外性のある商品を購入することが困難であった。」

イ 「【0028】
図1は、本実施の形態における情報システム1の概念図である。情報システム1は、サーバ装置11、1以上の端末装置12、および決裁サーバ13を具備する。サーバ装置11は、商品情報を選択し、自動購入の処理を行う装置である。また、端末装置12は、商品を購入するユーザの端末である。さらに、決裁サーバ13は、決裁処理を行うサーバである。なお、商品とは、購入対象のもので、有形の商品だけではなく、いわゆる無形のサービスも含む、とする。
【0029】
図2は、本実施の形態における情報システム1のブロック図である。
【0030】
サーバ装置11は、商品関連情報格納部111、端末購入情報格納部112、サーバ受信部113、商品情報選択部114、商品情報出力部115、購入処理部116、条件情報変更部117、商品評価情報受信部118、および商品関連情報更新部119を具備する。
【0031】
端末装置12は、端末受付部121、端末送信部122、端末受信部123、および端末出力部124を具備する。
【0032】
決裁サーバ13は、購入処理受信部131、決裁部132、およびサーバ指示送信部133を具備する。
【0033】
サーバ装置11を構成する商品関連情報格納部111は、1以上の商品関連情報を格納し得る。商品関連情報は、商品情報と評価情報を有する。商品情報とは、商品に関する情報であり、商品を識別する商品識別情報を含む。また、評価情報は、商品の評価に関する情報であり、商品の意外度と、当該商品の満足度とを有する。意外度とは、商品の意外性の度合いに関する情報である。また、満足度とは、商品の満足の度合いに関する情報である。また、商品情報は、商品識別情報で識別される商品の金額を示す金額情報をも有することは好適である。また、商品情報は、商品の種類を示すジャンル、販売可能な数を示す販売数、販売者が売りたい度合いを示す優先度などを有しても良い。また、商品関連情報が有する評価情報として、意外度(びっくり度とも言う。)と満足度(良品度とも言う。)の他に、怒り度を有しても良い。怒り度とは、購入したユーザの怒りに関する度合いで
ある。
【0034】
端末購入情報格納部112は、1以上の端末購入情報を格納し得る。端末購入情報は、ユーザを識別するユーザ識別子と、条件情報とを有する。つまり、端末購入情報は、ユーザごとの条件情報を管理する情報である。条件情報とは、商品情報を選択する条件に関する情報であり、意外度および満足度に関する条件に関する情報である。また、一の端末購入情報は、2以上の条件情報を保持していても良い。そして、かかる場合、例えば、2以上の条件情報のうちの一の条件情報が、順次、選択されても良い。また、同一のユーザ識別子に対応する2以上の端末購入情報が格納されていても良い。なお、端末購入情報が端末購入情報格納部112に格納されるタイミングは問わない。
【0035】
サーバ受信部113は、例えば、端末装置12から商品の購入指示を受信する。購入指示は、例えば、ユーザ識別子と条件情報とを含んでも良い。また、サーバ受信部113は、例えば、決裁サーバ13から商品の購入指示を受信しても良い。また、サーバ受信部113は、例えば、端末装置12から納得度を有するユーザ反応情報を受信しても良い。ユーザ反応情報とは、購入した1以上の商品や、サーバ装置11から提案された1以上の商品に対するユーザの反応を示す情報である。納得度は、ユーザの1以上の商品に対する納得の度合いを示す情報である。また、納得度は、例えば、1から10の整数や、AからEの文字等で示される。なお、納得度は、満足度とは異なる。納得度は、商品情報選択部114における商品の選択行為に対する納得の度合いであり、満足度は商品情報選択部114が選択した商品に対する満足の度合いである。また、ユーザ反応情報は、端末購入情報を識別する端末購入情報識別子を有することは好適である。また、ユーザ反応情報は、ユーザ識別子を有しても良い。
【0036】
商品情報選択部114は、ユーザ識別子ごとに、1以上の商品情報を商品関連情報格納部111から取得する。商品情報選択部114は、サーバ受信部113が受信した購入指示が有するユーザ識別子と対になる条件情報が示す条件に従って、当該条件を満たす意外度および満足度と対になる1以上の商品情報を取得する。なお、ここで、「ユーザ識別子ごと」とは、端末購入情報ごとと考えても良い。
【0037】
また、商品情報選択部114は、条件情報が示す条件を満たす意外度および満足度と対になり、かつ、条件情報に含まれる金額情報に対して、予め決められた条件を満たす金額情報を有する1以上の商品情報を商品関連情報格納部111から取得することは好適である。かかる場合、商品情報選択部114は、通常、予算の範囲内で、1以上の商品情報を取得することとなる。
【0038】
また、商品情報選択部114は、ユーザ識別子ごとに、定期的に(例えば、月に1回)、ユーザ識別子と対になる条件情報が示す条件に従って、条件を満たす意外度および満足度と対になる1以上の商品情報を商品関連情報格納部111から取得することは好適である。
【0039】
また、商品情報選択部114は、サーバ受信部113が受信したユーザ反応情報が有する納得度に応じて、当該ユーザ反応情報に対応する端末購入情報が有する条件情報を少なくとも一時的に変更し、当該変更した条件情報が示す条件に従って、1以上の商品情報を商品関連情報格納部111から取得することは好適である。さらに具体的には、商品情報選択部114は、サーバ受信部113が受信したユーザ反応情報が有する納得度が予め決められた条件を満たすか否かを判断し、例えば、当該条件を満たさないほど、納得度が低い場合に、ユーザ反応情報が有するユーザ識別子に対応する端末購入情報が有する条件情報を少なくとも一時的に変更し、当該変更した条件情報が示す条件に従って、当該条件を満たす意外度および満足度と対になる1以上の商品情報を商品関連情報格納部111から
取得する。なお、かかる場合、商品情報選択部114は、条件を予め格納している。商品情報選択部114は、当該条件を、1以上のユーザ識別子に対応付けて、一のユーザごとまたは2以上のユーザグループごとに格納していても良いし、全ユーザ共通の条件を予め格納していても良い。なお、例えば、商品情報選択部114は、最近に購入された商品等に対するユーザの納得度に応じて、条件情報を少なくとも一時的に変更して、当該変更した条件情報を、次の商品情報の選択の機会に利用する。また、例えば、商品情報選択部114は、最近の2度以上の機会に購入された商品等に対するユーザの2以上の納得度に応じて、条件情報を少なくとも一時的に変更して、当該変更した条件情報を、次の商品情報の選択の機会に利用する。
【0040】
商品情報選択部114は、納得度に応じて、例えば、以下のように条件情報を変更する。条件情報の変更の第一の具体例は、以下である。つまり、商品情報選択部114は、ユーザ反応情報が有する納得度が予め決められた条件(例えば、納得度が1から10の整数のいずれかを採り得る場合に、「納得度>=5」)を満たさないと判断した場合に、ユーザ反応情報が有する端末購入情報識別子に対応する条件情報を端末購入情報格納部112から読み出す。そして、商品情報選択部114は、読み出した条件情報から、当該端末購入情報が満足度を優先しているか、意外度を優先しているかを判断する。つまり、例えば、商品情報選択部114は、「条件情報に含まれる満足度の最低値>条件情報に含まれる意外度の最低値」であれば当該端末購入情報が満足度を優先していると判断し、「条件情報に含まれる満足度の最低値<=条件情報に含まれる意外度の最低値」であれば当該端末購入情報が意外度を優先していると判断する。次に、商品情報選択部114は、満足度を優先している端末購入情報に対しては、満足度のより高い商品を選択するように、条件情報を一時的に変更する。また、商品情報選択部114は、意外度を優先している端末購入情報に対しては、意外度のより高い商品を選択するように、条件情報を一時的に変更する。さらに、条件情報の変更の第二の具体例は、以下である。商品情報選択部114は、上記と同様の判断方法により、端末購入情報が満足度を優先しているか、意外度を優先しているかを判断する。次に、商品情報選択部114は、満足度を優先している端末購入情報に対しては、意外度の高い商品を選択するように、条件情報を一時的に変更する。また、商品情報選択部114は、意外度を優先している端末購入情報に対しては、満足度の高い商品を選択するように、条件情報を一時的に変更する。なお、商品情報選択部114は、納得度に応じて、条件情報をどのように変更しても良い。
【0041】
商品情報出力部115は、ユーザ識別子ごとに、商品情報選択部114が選択した1以上の商品情報を出力する。ここでの出力とは、通常、ユーザ識別子に対応する端末装置12への送信である。なお、出力とは、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタへの印字、音出力、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラム(例えば、購入処理部116)などへの処理結果の引渡しなどの場合もあり得る。なお、ここで、「ユーザ識別子ごと」とは、端末購入情報ごとと考えても良い。
【0042】
購入処理部116は、商品情報選択部114が選択した1以上の商品情報に対して、購入処理を行う。ここで、購入処理とは、例えば、決裁サーバ13に1以上の商品情報を送信する処理である。また、購入処理は、購入商品を管理するサーバに1以上の商品情報を送信する処理でも良い。また、購入処理は、購入伝票を印刷する処理などでも良い。つまり、購入処理は、購入に関する処理であれば良い。
【0043】
条件情報変更部117は、購入処理部116が購入処理を行った対象である1以上の商品情報に対応する意外度と満足度とに応じて、端末購入情報が有する条件情報を変更する。なお、かかる条件情報の変更は、一時的でも良い。
【0044】
また、端末購入情報格納部112において、一の端末購入情報が2以上の条件情報を有
している場合、条件情報変更部117は、2以上の条件情報のうち、予め決められたアルゴリズムにより、一の条件情報を選択し、次に使用する条件情報を識別できるフラグを、端末購入情報格納部112に書き込んでも良い。例えば、一の端末購入情報が2つの条件情報を有している場合、条件情報変更部117は、第一の条件情報が使用された次は、第二の条件情報が使用されるように、次に使用する条件情報を識別できるフラグを、端末購入情報格納部112に書き込む。
【0045】
また、例えば、条件情報変更部117は、購入処理部116が購入処理を行った対象である1以上の商品情報に対応する意外度と満足度が示す情報が、意外度が条件を満たすほど大きい場合は、満足度をより大きくするように端末購入情報格納部112の条件情報を変更し、購入処理部116が購入処理を行った対象である1以上の商品情報に対応する意外度と満足度が示す情報が、満足の度合いが条件を満たすほど大きい場合は、意外度をより大きくするように端末購入情報格納部112の条件情報を変更する。かかる場合、条件情報変更部117は、意外性の大きい商品を購入した次は、満足度の大きい無難な商品を購入するように条件情報を変更することとなる。また、その逆で、条件情報変更部117は、満足度の大きい無難な商品を購入した次は、意外性の大きい商品を購入するように条件情報を変更することとなる。ここでの端末購入情報とは、端末購入情報識別子またはユーザ識別子に対応する端末購入情報である。
【0046】
なお、条件情報変更部117は、2度以上の商品の購入履歴に応じて、条件情報を変更しても良い。つまり、例えば、2度連続で、満足度が閾値より小さい商品の購入を行った場合に、条件情報変更部117は、意外度が閾値以上となる条件に、条件情報を変更しても良い。
【0047】
商品評価情報受信部118は、商品評価情報を端末装置12から受信する。商品評価情報は、商品識別情報と意外度と満足度とを有する。また、商品評価情報は、商品識別情報と意外度と満足度と怒り度とを有しても良い。さらに、商品評価情報は、他の評価情報を有しても良い。
【0048】
商品関連情報更新部119は、商品評価情報受信部118が受信した商品評価情報を、商品関連情報格納部111の商品関連情報に反映させる。つまり、商品関連情報更新部119は、例えば、商品評価情報受信部118が受信した商品評価情報を、商品関連情報格納部111に追記するだけでも良いし、各評価情報(意外度、満足度、怒り度など)の平均値を、商品評価情報受信部118が受信した商品評価情報に含まれる各評価情報をも加えて、再計算して、算出した各評価情報の平均値を、商品識別情報と対に、商品関連情報格納部111に蓄積しても良い。なお、商品関連情報格納部111が外部の装置(商品関連情報管理サーバ)に存在する場合、商品関連情報更新部119は、当該商品関連情報管理サーバに対して、商品評価情報受信部118が受信した商品評価情報を用いて、商品関連情報を変更するように指示する。
【0049】
端末装置12を構成する端末受付部121は、ユーザ識別子と条件情報を有する購入指示を受け付ける。ここでのユーザ識別子は、予め端末装置12に蓄積されていても良い。また、端末受付部121は、商品識別情報と意外度と満足度とを有する商品評価情報を受け付けても良い。また、端末受付部121は、納得度を有するユーザ反応情報を受け付けても良い。ユーザ反応情報は、端末購入情報を識別する端末購入情報識別子や、ユーザ識別子を有しても良い。そして、端末受付部121は、端末購入情報識別子を記録媒体から読み出し、納得度をキーボードやマウス等から受け付けても良い。つまり、ここで、受け付けとは、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力デバイスから入力された情報の受け付け、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された情報の受信、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなどの記録媒体から読み出された情報の受け付けなどを含む概
念である。購入指示や商品評価情報の入力手段は、キーボードやマウスやメニュー画面によるもの等、何でも良い。端末受付部121は、キーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現され得る。
【0050】
端末送信部122は、購入指示、商品評価情報、またはユーザ反応情報などをサーバ装置11に送信する。また、端末送信部122は、ユーザ識別子をもサーバ装置11に送信することは好適である。また、端末送信部122は、ユーザ識別子と条件情報を有する購入指示を決裁サーバ13に送信しても良い。
【0051】
端末受信部123は、1以上の商品情報をサーバ装置11から受信する。ここで、端末受信部123は、商品情報出力部115が送信した1以上の商品情報を受信する。
【0052】
端末出力部124は、端末受信部123が受信した1以上の商品情報を出力する。ここで出力する商品情報は、購入した商品の商品情報である。端末出力部124は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。端末出力部124は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0053】
決裁サーバ13を構成する購入処理受信部131は、ユーザ識別子と1以上の商品情報とを受信する。購入処理受信部131は、ユーザ識別子と購入した商品の合計金額の情報だけを受信しても良い。購入処理受信部131は、決裁を行うために必要な情報を受信すれば良い。購入処理受信部131は、端末装置12から、ユーザ識別子と条件情報を有する購入指示を受信しても良い。
【0054】
決裁部132は、購入処理受信部131が受信したユーザ識別子と1以上の商品情報等を用いて、決裁処理を行う。決裁処理は公知技術であるので詳細な説明を省略する。
【0055】
サーバ指示送信部133は、購入指示をサーバ装置11に送信する。購入指示は、通常、ユーザ識別子を含む。購入指示は、例えば、金額情報を含んでも良い。なお、サーバ指示送信部133は、ユーザ識別子ごとに、定期的に購入指示をサーバ装置11に送信することは好適である。」

ウ 「【0061】
次に、情報システム1の動作について説明する。まず、サーバ装置11の動作について、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0062】
(ステップS301)サーバ装置11は、商品選択開始のタイミングであるか否かを判断する。商品選択開始のタイミングであればステップS302に行き、商品選択開始のタイミングでなければステップS307に行く。ここで、サーバ受信部113が、端末装置12または決裁サーバ13から、商品選択開始の指示を受信した場合に、商品選択開始のタイミングであると判断しても良い。また、商品情報選択部114が、予め決められた条件に合致する時刻であると判断した場合に、商品選択開始のタイミングであると判断しても良い。つまり、商品選択開始のタイミングは問わない。また、かかる段階で、商品選択に対応するユーザを識別するユーザ識別子が取得できている、とする。例えば、商品選択開始の指示はユーザ識別子を有する。また、例えば、商品情報選択部114は、商品選択開始のタイミングであると判断した場合に、ユーザ識別子を読み出す。
【0063】
(ステップS302)商品情報選択部114は、商品関連情報格納部111から、商品情報の選択を行い、1以上の商品情報を取得する。かかる処理を商品選択処理という。商品選択処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、商品選択処理に、ユーザ識別子が渡される。
【0064】
(ステップS303)購入処理部116は、ステップS302で取得された1以上の商品情報に対して、購入処理を行う。
【0065】
(ステップS304)商品情報出力部115は、ステップS302で取得された1以上の商品情報を、端末装置12に送信する。
【0066】
(ステップS305)条件情報変更部117は、新しい条件情報を構成する。例えば、条件情報変更部117は、満足度を重視する条件1と、意外度を重視する条件2とを格納している、とする。そして、ステップS302で利用された条件情報が条件1である場合は、条件情報変更部117は、条件2を取得する。また、ステップS302で利用された条件情報が条件2である場合は、条件情報変更部117は、条件1を取得する。なお、条件1は、例えば、「満足度>=7(10点満点の7)」や、「満足度>=7 AND 意外度<=3(10点満点の3)」などである。また、条件2は、例えば、「意外度>=8」や、「意外度>=8 AND 満足度<=4」などである。かかる場合、意外度を重視する購買行動と、満足度を重視する購買行動が交互に繰り返され、全体として、ユーザ満足度を向上できる。
【0067】
(ステップS306)条件情報変更部117は、ステップS305で取得した条件情報を、次の条件情報に設定する。ステップS301に戻る。
【0068】
(ステップS307)商品評価情報受信部118は、端末装置12から商品評価情報を受信したか否かを判断する。商品評価情報を受信すればステップS308に行き、受信しなければステップS312に行く。
【0069】
(ステップS308)商品関連情報更新部119は、ステップS307で受信された商品評価情報を用いて、新しい商品関連情報を構成する。
【0070】
(ステップS309)商品関連情報更新部119は、ステップS308で構成した新しい商品関連情報を、古い商品関連情報に上書きし、商品関連情報を変更する。
【0071】
(ステップS310)条件情報変更部117は、ステップS307で受信された商品評価情報に基づいて、新しい条件情報を構成する。例えば、ステップS307で受信された商品評価情報が有する満足度が閾値より低ければ、満足度が高い条件情報(例えば、上述の条件1)を構成する。また、例えば、ステップS307で受信された商品評価情報が有する意外度が閾値より低ければ、意外度が高い条件情報(例えば、上述の条件2)を構成する。ステップS301に戻る。
【0072】
(ステップS311)条件情報変更部117は、ユーザ識別子に対応する条件情報の領域に、ステップS310で構成した条件情報を蓄積する。なお、条件情報変更部117は、端末購入情報格納部112に条件情報を蓄積する。
【0073】
(ステップS312)サーバ受信部113は、端末装置12から納得度を有するユーザ反応情報を受信したか否かを判断する。ユーザ反応情報を受信すればステップS313に行き、ユーザ反応情報を受信しなければステップS301に戻る。
【0074】
(ステップS313)商品情報選択部114は、ステップS312で受信されたユーザ反応情報が有する納得度を取得する。なお、ここで、商品情報選択部114は、図示しない記録媒体に蓄積されている過去の1以上の納得度をも取得しても良い。なお、過去の1以上の納得度とは、受信されたユーザ反応情報に対応する端末購入情報に対する納得度と同じ端末購入情報についての過去の納得度である。
【0075】
(ステップS314)商品情報選択部114は、予め格納している納得度に関する条件を読み出し、ステップS313で取得した1以上の納得度が当該条件を満たすか否かを判断する。条件を満たさなければステップS315に行き、条件を満たせばステップS301に戻る。
【0076】
(ステップS315)商品情報選択部114は、ステップS312で受信されたユーザ反応情報に対応する条件情報を端末購入情報格納部112から読み出す。そして、商品情報選択部114は、当該条件情報を、予め決められたアルゴリズムで変更し、新しい条件情報を生成する。次に、商品情報選択部114は、生成した新しい条件情報を、ユーザ識別子に対応づけて一時蓄積する。なお、新しい条件情報が蓄積される記録媒体は、端末購入情報格納部112であるが、通常、ユーザが設定した条件情報に上書きされない。ステップS301に戻る。」

エ 「【0092】
次に、端末装置12の動作について説明する。端末装置12の端末受付部121は、ユーザ識別子を有する商品の購入指示を受け付ける。または、端末受付部121は、商品識別情報と意外度と満足度とを有する商品評価情報を受け付ける。または、端末受付部121は、納得度を有するユーザ反応情報を受け付ける。そして、端末送信部122は、受け付けられた購入指示または商品評価情報またはユーザ反応情報をサーバ装置11に送信する。また、端末受信部123は、購入指示に対応して、1以上の商品情報をサーバ装置11から受信する。なお、かかる商品情報は、購入された商品の情報である。そして、端末出力部124は、端末受信部123が受信した1以上の商品情報を出力する。なお、端末装置12の端末受付部121は、商品の購入指示を受け付けないことは好適である。かかる場合、ユーザは、商品の購入指示を入力せずに、商品を自動購入できる。ただし、この場合でも、一度は、ユーザが条件情報を、何らかの手段(条件情報の郵送などでも良い)で通知する必要がある。」

オ 上記摘記事項ア?エの記載、及び、甲第3号証の図面を参照すると、甲第3号証には以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

甲3発明

「情報システム1は、サーバ装置11、1以上の端末装置12、および決裁サーバ13を具備しており、
サーバ装置11は、商品情報を選択し、自動購入の処理を行う装置であり、
端末装置12は、商品を購入するユーザの端末であり、
サーバ装置11は、商品関連情報格納部111、端末購入情報格納部112、サーバ受信部113、商品情報選択部114、商品情報出力部115、購入処理部116、条件情報変更部117、商品評価情報受信部118、および商品関連情報更新部119を具備しており、
端末装置12は、端末受付部121、端末送信部122、端末受信部123、および端末出力部124を具備しており、
商品関連情報格納部111は、1以上の商品関連情報を格納しており、
商品関連情報は、商品情報と評価情報を有し、
商品情報とは、商品に関する情報であり、商品を識別する商品識別情報を含んでおり、
評価情報は、商品の評価に関する情報であり、商品の意外度と、当該商品の満足度とを有しており、
意外度とは、商品の意外性の度合いに関する情報であり、
満足度とは、商品の満足の度合いに関する情報であり、
サーバ受信部113は、端末装置12から商品の購入指示を受信し、購入指示は、ユーザ識別子と条件情報とを含んでおり、
商品情報選択部114は、サーバ受信部113が受信した購入指示が有するユーザ識別子と対になる条件情報が示す条件に従って、当該条件を満たす意外度および満足度と対になる1以上の商品情報を取得し、
商品情報出力部115は、ユーザ識別子ごとに、商品情報選択部114が選択した1以上の商品情報を出力し、ここでの出力とは、通常、ユーザ識別子に対応する端末装置12への送信であり、なお、出力とは、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタへの印字、音出力、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラム(例えば、購入処理部116)などへの処理結果の引渡しなどの場合もあり得、
購入処理部116は、商品情報選択部114が選択した1以上の商品情報に対して、購入処理を行い、ここで、購入処理とは、決裁サーバ13に1以上の商品情報を送信する処理であり、
端末受付部121は、ユーザ識別子と条件情報を有する購入指示を受け付け、
端末送信部122は、ユーザ識別子と条件情報を有する購入指示を決裁サーバ13に送信し、
端末受信部123は、購入指示に対応して、1以上の商品情報をサーバ装置11から受信し、
端末出力部124は、端末受信部123が受信した1以上の商品情報を出力する
情報システム」

(3)甲第4号証に記載の技術的事項

甲第4号証は、第5 1(2)で前述したように、いずれかの時点で公知となった資料であることには疑いがないものの、本件特許の出願日前に公知であったか否かについて、証拠から明らかでないが、念のため検討を行う。

ア 「市場ニーズの多様化に伴い、紙媒体やインターネットなどの媒体を複合的に利用するクロスメディア戦略が多くの企業に注目されています。
リコー トランスプロモ データプリント ソリューションは、クロスメディアの一環として、顧客や見込客へ向けた企業のOne to Oneコミュニケーションをご提案します。」
(2?3頁上部)

イ 「総合通販お届け明細書」(2頁左上)

ウ 「【可変データ】
・ご請求情報(商品名、数量、単価、金額):CSV形式
・商品広告(キャンペーン案内、フェアのご案内等):JPEG形式
ご請求情報の表は、お客様のご購入商品数に応じて下に伸びるように表示します。
商品数が少ない(サンプルでは8商品以下)の場合は右部分が余白の表となり
無駄なスペースとなるため、広告を表示することで余白スペースを有効活用します。」
(3頁上部)

エ 「【可変データ】
・お客様氏名:CSV形式
・広告(お客様限定商品):JPEG形式
お客様限定(One to One)の商品情報を表示します。
お客様の過去のご購入商品に合わせた商品を表示します。
※赤点線部の画像をお客様に合わせて切り換えます。」(2頁左下)

上記摘記事項ア?エの記載事項、及び、甲第4号証の図面を参照すると、甲第4号証には以下の技術的事項(以下「甲4記載技術」という。)が記載されていると認められる。

甲4記載技術

「リコー トランスプロモ データプリント ソリューションによる
総合通販お届け明細書の印刷例であって、
商品名、数量、単価、金額からなる請求情報と、
お客様の過去のご購入商品に合わせた商品を
お客様限定(One to One)の商品情報として表示した
総合通販お届け明細書の印刷例」

2 本件特許発明1について

(1)無効理由1-1の検討

本件特許発明1と、甲1発明とを対比する。

ア 本件特許発明1と、甲1発明とは、商品をレコメンドするレコメンド装置という共通の技術分野に属し、効果的に商品をレコメンドするという共通の課題を有している。

イ 甲1発明では、「レコメンド装置20」が備えている「商品指定部212」が「ユーザ端末10から送信されるHTTPのリクエストに商品IDが指定されていた場合には、当該商品IDが示す商品を指定商品として受け付け」、「レコメンド装置20」が備えている「商品ページ送信部214」が「指定商品IDに対応する商品詳細情報を商品詳細情報データベース233から読み出し、読み出した商品詳細情報に基づいて商品ページを作成し」ている。
ここで、甲1発明の「商品ID」、「商品指定部」は、本件特許発明1の「商品を識別する商品識別子」、「受信部」に、それぞれ、対応している。
したがって、甲1発明と本件特許発明1とは、商品を識別する商品識別子を受信する手段を備えている点で共通している。
しかし、本件特許発明1では、商品を識別する商品識別子を受信する際に、ユーザを識別するユーザ識別子も購入指示として受信しているのに対し、甲1発明では、商品を識別する商品識別子を受信する際に、ユーザを識別するユーザ識別子を受信しているか否か不明であり、購入指示として受信していない点で相違している。

ウ 甲1発明では、「商品IDが示す商品を指定商品として受け付け」、「レコメンド商品決定部213は、指定商品が指定された場合に、指定商品に関連するレコメンド商品を決定し」ている。
ここで、甲1発明の「商品ID」、「レコメンド商品」「レコメンド商品決定部」は、本件特許発明1の「商品を識別する商品識別子」、「レコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報」、「レコメンド情報取得部」に、それぞれ、対応している。
したがって、甲1発明と本件特許発明1とは、商品を識別する商品識別子を用いて、ユーザにレコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報を取得する手段を備えている点で共通している。
しかし、本件特許発明1では、レコメンド情報を取得する際に、購入指示を用いているのに対し、甲1発明では、レコメンド情報を取得する際に、購入指示を用いていない点で相違している。

エ 甲1発明では、「商品ページ送信部214は、指定商品IDに対応する商品詳細情報を商品詳細情報データベース233から読み出し、読み出した商品詳細情報に基づいて商品ページを作成し、」「商品ページ送信部214は、レコメンド商品決定部213がレコメンド商品IDを決定した場合には、レコメンド商品IDに対応する商品詳細情報を商品詳細情報データベース233から読み出し、読み出した商品詳細情報に基づいてレコメンド情報を作成し、作成したレコメンド情報を商品ページに組み入れて作成し、」「商品ページ送信部214は、作成した商品ページをユーザ端末10に送信」している。
ここで、甲1発明の「指定商品IDに対応する商品詳細情報」は、本件特許発明1の「商品識別子」「に対応する商品の」「情報」という点で共通しているといえる。また、甲1発明の「商品ページ送信部」は、指定商品IDに対応する商品詳細情報に基づいて商品ページを作成し、レコメンド情報を商品ページに組み入れて作成し、作成した商品ページをユーザ端末に送信(すなわち、出力)しているから、商品識別子に対応する商品の情報1以上のレコメンド情報とを対応付けて出力している点で、本件特許発明1の出力部と共通しているといえる。
したがって、甲1発明と本件特許発明1とは、商品識別子に対応する商品の情報と1以上のレコメンド情報とを対応付けて出力する手段を備えている点で共通している。
しかし、本件特許発明1では、レコメンド情報を出力する際に、購入情報と対応付けているのに対し、甲1発明では、レコメンド情報を出力する際に、購入情報でなく、商品情報と対応付けている点で相違している。

オ 甲1発明では、「レコメンド装置20は、ユーザ端末10から送信されるHTTPのリクエストに応じてWebページを送信し、リクエストに商品が指定されていた場合、指定商品についてのWebページ情報に、購買連関ネットワーク1に基づいて指定商品に関連する他の商品をユーザに提案するための情報を埋め込んでユーザ端末10に送信」している。
したがって、本件特許発明1では、レコメンド情報を出力する際に、1以上のレコメンド情報を、購入指示が入力された媒体と異なる媒体に対して出力しているのに対し、甲1発明では、レコメンド情報を出力する際に、商品を指定したユーザ端末にレコメンド情報を出力している点で相違している。

カ 甲1発明では、「レコメンド装置20は、ユーザ端末10から送信されるHTTPのリクエストに応じてWebページを送信し、リクエストに商品が指定されていた場合、指定商品についてのWebページ情報に、購買連関ネットワーク1に基づいて指定商品に関連する他の商品をユーザに提案するための情報を埋め込んでユーザ端末10に送信」している。
したがって、本件特許発明1では、レコメンド情報を出力する際に、購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷しているのに対し、甲1発明では、レコメンド情報を出力する際に、購入識別子とレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷していない点で相違している。

キ したがって、本件特許発明1と、甲1発明とは、以下の点で一致及び相違する。

[一致点]

「商品を識別する商品識別子を受信する手段と、
商品を識別する商品識別子を用いて、ユーザにレコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報を取得する手段と、
商品識別子に対応する商品の情報と1以上のレコメンド情報とを対応付けて出力する手段と、
を備えたレコメンド装置。」

[相違点1]
本件特許発明1では、受信部で商品を識別する商品識別子を受信する際に、ユーザを識別するユーザ識別子も購入指示として受信しているのに対し、甲1発明では、受信部で商品を識別する商品識別子を受信する際に、ユーザを識別するユーザ識別子を受信しているか否か不明であり、購入指示として受信していない点。

[相違点2]
本件特許発明1では、購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成部を備えているのに対し、甲1発明は、購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成部を備えていない点。

[相違点3]
本件特許発明1では、レコメンド情報を取得する際に、購入指示を用いているのに対し、甲1発明では、レコメンド情報を取得する際に、購入指示を用いていない点。

[相違点4]
本件特許発明1では、レコメンド情報を出力する際に、購入情報と対応付けているのに対し、甲1発明では、レコメンド情報を出力する際に、購入情報でなく、商品情報と対応付けている点。

[相違点5]
本件特許発明1では、レコメンド情報を出力する際に、1以上のレコメンド情報を、購入指示が入力された媒体と異なる媒体に対して出力しているのに対し、甲1発明では、レコメンド情報を出力する際に、商品を指定したユーザ端末にレコメンド情報を出力している点。

[相違点6]
本件特許発明1では、レコメンド情報を出力する際に、購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷しているのに対し、甲1発明では、レコメンド情報を出力する際に、購入識別子とレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷していない点。

請求人は、審判請求書の3?4頁および16頁において、甲1発明と本件特許発明1とは、上記相違点6のみで相違し、他の点では一致する旨主張しているが、当該主張は、上記相違点1ないし5を看過するものであり、採用できない。

[相違点1]、[相違点2]、[相違点3]、[相違点4]について検討する。

これら相違点は、本件特許発明1が商品の購入時にレコメンド情報を提示するものであるのに対し、甲1発明1は、指定商品に関連するレコメンド情報を提示するものであることに起因する相違点である。
甲第1号証の段落0057には、「ユーザが商品を購買したときに、その購買した商品に関連するレコメンド商品を表示するようにしてもよい。」との記載があり、商品の購入時にレコメンド情報を提示することが示唆されているといえる。
しかし、甲第1号証には、少なくとも、相違点1にかかる「受信部で商品を識別する商品識別子を受信する際に、ユーザを識別するユーザ識別子も購入指示として受信」する点が記載も示唆もない。

したがって、甲1発明において、相違点1にかかる、受信部で商品を識別する商品識別子を受信する際に、ユーザを識別するユーザ識別子も購入指示として受信する構成を採用することは当業者が容易になし得たものとすることはできない。

[相違点5]について検討する。

相違点5に関して、甲第1号証の段落0057には、「各ユーザに対して過去の購買履歴に基づくレコメンド商品を紹介する電子メールなどのメッセージを送信するようにすることもできる。」との記載があり、商品ページとは異なる媒体である電子メールに対してレコメンドを出力することが示唆されているといえる。

[相違点6]について検討する。

甲第1号証には、相違点6にかかる構成は開示も示唆もないから、甲第1号証にもとづいて、当業者が相違点6にかかる構成を想到することができたとはいえない。

なお、甲第4号証は、上記1(2)ウのとおり、請求人による公知性の立証が十分でないが、念のため、甲第1号証との組み合わせを検討する。

甲第4号証には、総合通販お届け明細書の印刷例であって、商品名、数量、単価、金額からなる請求情報と、お客様の過去のご購入商品に合わせた商品をお客様限定(One to One)の商品情報として表示した総合通販お届け明細書の印刷例が記載されている。
しかし、相違点6にかかる、レコメンド情報を用紙に印刷する際に、「購入識別子」をレコメンド情報と共に同一の用紙に印刷することは開示されていない。

したがって、仮に、甲第4号証の公知性を請求人が立証できていたとしても、甲1発明において、相違点6にかかる、レコメンド情報を用紙に印刷する際に、「購入識別子」をレコメンド情報と共に同一の用紙に印刷する構成を採用することは当業者が容易になし得たものとすることはできない。

以上の通り、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明し得たものでない。
また、仮に、甲第4号証の公知性を請求人が立証できていたとしても、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明および甲第4号証記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明し得たものでもない。

(2)無効理由1-2の検討

本件特許発明1と、甲3発明とを対比する。

ア 本件特許発明1と、甲3発明とは、商品の購入を行う装置である点では共通するものの、本件特許発明1が、商品の購入時に当該商品に関連するレコメンド情報を出力するレコメンド装置であるのに対して、甲3発明は、ユーザが予め提示しておいて条件に従って、当該条件を満たす商品を自動購入する装置であり、解決すべき課題が相違している。

イ 甲3発明では、「サーバ受信部113は、端末装置12から商品の購入指示を受信し、購入指示は、ユーザ識別子と条件情報とを含んで」いる。
ここで、甲3発明の「商品の購入指示」は、「ユーザ識別子」を含んでいる点で、本件特許発明1と共通しており、さらに、甲3発明の「条件情報」と、本件特許発明1の「購入する商品を識別する商品識別子」とは、いずれも、購入する商品に関する情報である点で共通しているといえる。
しかし、本件特許発明1の購入する商品に関する情報が購入する商品を識別する商品識別子であるのに対し、甲3発明の購入する商品に関する情報は、条件情報である点で相違している。

ウ 甲3発明では、「商品情報選択部114は、サーバ受信部113が受信した購入指示が有するユーザ識別子と対になる条件情報が示す条件に従って、当該条件を満たす意外度および満足度と対になる1以上の商品情報を取得し、」「購入処理部116は、商品情報選択部114が選択した1以上の商品情報に対して、購入処理を行い、ここで、購入処理とは、決裁サーバ13に1以上の商品情報を送信する処理であ」る。
ここで、甲3発明の、購入指示が有する条件情報が示す条件に従って、当該条件を満たす商品情報に対して、購入処理を行うことは、本件特許発明1の、購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する購入情報を生成することに対応しているといえる。
したがって、本件特許発明1と、甲3発明とは、購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する購入情報を生成する手段を備えている点で共通している。

しかし、本件特許発明1の購入情報が商品の購入を識別する購入識別子を含んでいるのに対して、甲3発明の購入情報が商品の購入を識別する購入識別子を含んでいるのか否か不明である点で相違している。

エ 甲3発明は、購入する商品に関するレコメンドを行っていない。

したがって、本件特許発明1の装置は、前記購入指示を用いて、前記ユーザにレコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報を取得するレコメンド情報取得部を備えているのに対して、甲3発明は、このような構成を備えていない点で相違している。

オ 甲3発明は、購入する商品に関するレコメンドを行ってないためレコメンド情報を出力してもいない。

したがって、本件特許発明1の装置は、前記購入情報と前記1以上のレコメンド情報とを対応付けて出力する出力部を備えており、前記出力部は、前記1以上のレコメンド情報を、前記購入指示が入力された媒体と異なる媒体に対して出力し、前記購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷しているのに対して、甲3発明は、このような構成を備えていない点で相違している。

カ したがって、本件特許発明1と、甲3発明とは、以下の点で一致及び相違する。

[一致点]

「ユーザを識別するユーザ識別子と購入する商品に関する情報とを有する購入指示を受信する手段と、
前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する購入情報を生成する手段と、
を備えた装置。」

[相違点7]
本件特許発明1の購入する商品に関する情報が購入する商品を識別する商品識別子であるのに対し、甲3発明の購入する商品に関する情報は、条件情報である点。

[相違点8]
本件特許発明1の購入情報が商品の購入を識別する購入識別子を含んでいるのに対して、甲3発明の購入情報が商品の購入を識別する購入識別子を含んでいるのか否か不明である点。

[相違点9]
本件特許発明が、購入指示を用いて、ユーザにレコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報を取得するレコメンド情報取得部を備えているのに対して、甲3発明は、このような構成を備えていない点。

[相違点10]
本件特許発明1の装置は、前記購入情報と前記1以上のレコメンド情報とを対応付けて出力する出力部を備えており、前記出力部は、前記1以上のレコメンド情報を、前記購入指示が入力された媒体と異なる媒体に対して出力し、前記購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷しているのに対して、甲3発明は、このような構成を備えていない点。

請求人は、審判請求書の3?4頁および17頁において、甲3発明と本件特許発明1とは、上記相違点10の一部である「前記購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷する」点のみで相違し、他の点では一致する旨主張しているが、当該主張は、上記相違点7ないし10を看過するものであり、採用できない。

[相違点9][相違点10]について検討する。

甲3発明は、そもそも、ユーザが予め提示しておいた条件に合致する商品を自動購入する装置であって、購入した商品に関連するレコメンド情報を提示するものではない。相違点9および10は、レコメンド情報の取得および出力に関する構成であるから、全く異なる課題を解決している甲3発明に基づいて、レコメンド情報の取得および出力に関する構成である、相違点9および10にかかる構成を想到することはできない。

甲第4号証は、上記1(2)ウのとおり、請求人による公知性の立証が十分でないが、念のため、甲第3号証との組み合わせを検討する。

甲第4号証には、「過去のご購入商品に合わせた商品をお客様限定(One to One)の商品情報として表示した総合通販お届け明細書の印刷例」は記載されているものの、相違点9にかかる、購入指示を用いて、ユーザにレコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報を取得することや、相違点10にかかる、レコメンド情報を用紙に印刷する際に、購入識別子も印刷することは、開示されていない。

したがって、仮に、甲第4号証の公知性を請求人が立証できたとしても、甲第3号証および甲第4号証に基づいて、相違点9および10にかかる構成を当業者が容易に想到し得たとはいえない。

以上の通り、本件特許発明1は、甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明し得たものでない。

また、仮に、甲第4号証の公知性を請求人が立証できていたとしても、本件特許発明1は、甲第3号証に記載された発明および甲第4号証記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明し得たものでもない。

(3)本件特許発明1の容易性まとめ

上記(1)および(2)のとおり、本件特許発明1は、甲第1号証あるいは甲第3号証に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

また、仮に、甲第4号証の本件特許の出願日前の公知性を請求人が立証できていたとしても、本件特許発明1は、甲第1号証および甲第4号証、あるいは、甲第3号証および甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

3 本件特許発明2ないし7について

本件特許発明2ないし4は、本件特許発明1を引用する発明であって、本件特許発明1に対して更に発明特定事項を付加したものであり、本件特許発明1が、甲第1号証あるいは甲第3号証に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえず、仮に、甲第4号証の本件特許の出願日前の公知性を請求人が立証できていたとしても、本件特許発明1は、甲第1号証および甲第4号証、あるいは、甲第3号証および甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえないから、本件特許発明1に対して更に発明特定事項を付加した本件特許発明2ないし4も、甲第1号証、甲第3号証、甲1第号証および甲第4号証、あるいは、甲第3号証および甲第4号証に基づいて、当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

また、本件特許発明5ないし7は、本件特許発明1の発明のカテゴリを変更する発明であって、本件特許発明1と同様の構成を備えたものであり、本件特許発明1が、甲第1号証あるいは甲第3号証に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえず、仮に、甲第4号証の本件特許の出願日前の公知性を請求人が立証できていたとしても、本件特許発明1は、甲第1号証および甲第4号証、あるいは、甲第3号証および甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえないから、本件特許発明1と同様の構成を備えた本件特許発明5ないし7も、甲第1号証、甲第3号証、甲1第号証および甲第4号証、あるいは、甲第3号証および甲第4号証に基づいて、当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

4 無効理由1のまとめ

本件特許発明1?7は、その出願前に日本国内において頒布された甲第1号証に記載された発明から容易に発明することができたものではない。
また、本件特許発明1?7は、その出願前に日本国内において頒布された甲第3号証に記載された発明から容易に発明することができたものともいえない。

また、仮に、甲第4号証の本件特許の出願日前の公知性を請求人が立証できていたとしても、甲第1号証に記載された発明および甲4号証に記載された事項から容易に発明することができたものとすることはできず、また、甲第3号証に記載された発明および甲4号証に記載された事項から容易に発明することができたものとすることもできない。

第6 むすび

したがって、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件特許発明1?7に係る特許を無効にすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを識別するユーザ識別子と購入する商品を識別する商品識別子とを有する購入指示を受信する受信部と、
前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成部と、
前記購入指示を用いて、前記ユーザにレコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報を取得するレコメンド情報取得部と、
前記購入情報と前記1以上のレコメンド情報とを対応付けて出力する出力部とを具備するレコメンド装置であって、
前記出力部は、
前記1以上のレコメンド情報を、前記購入指示が入力された媒体と異なる媒体に対して出力するレコメンド装置であって、
前記出力部は、
前記購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷するレコメンド装置。
【請求項2】
前記レコメンド情報は、
商品を識別する情報を示すコードを含む請求項1記載のレコメンド装置。
【請求項3】
前記コードは、
レコメンド情報が出力される媒体である出力媒体であることを示す情報、またはレコメンド情報が出力される出力媒体を識別する出力媒体識別子、または購入情報を識別する購入情報識別子、またはユーザを識別するユーザ識別子のうち、1以上の情報を含み、
当該コードが読み取られることにより、当該コードに対応する商品を購入するためのウェブページが出力される請求項2記載のレコメンド装置。
【請求項4】
前記購入指示を用いて、納品に関する情報である納品情報を生成する納品情報生成部をさらに具備し、
前記出力部は、
前記購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを対応付けて出力し、かつ前記納品情報を出力する請求項1から請求項3いずれか一項に記載のレコメンド装置。
【請求項5】
受信部、購入情報生成部、レコメンド情報取得部、および出力部により実現されるレコメンド方法であって、
前記受信部が、ユーザを識別するユーザ識別子と購入する商品を識別する商品識別子とを有する購入指示を受信する受信ステップと、
前記購入情報生成部が、前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成ステップと、
前記レコメンド情報取得部が、前記購入指示を用いて、前記ユーザにレコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報を取得するレコメンド情報取得ステップと、
前記出力部が、前記購入情報と前記1以上のレコメンド情報とを対応付けて出力する出力ステップとを具備するレコメンド方法であって、
前記出力ステップにおいて、
前記1以上のレコメンド情報を、前記購入指示が入力された媒体と異なる媒体に対して出力するレコメンド方法であって、
前記出力ステップにおいて、
前記購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷するレコメンド方法。
【請求項6】
受信部、購入情報生成部、レコメンド情報取得部、および出力部により実現されるレコメンド媒体の生産方法であって、
前記受信部が、ウェブページから入力された情報に基づく購入指示であり、ユーザを識別するユーザ識別子と購入する商品を識別する商品識別子とを有する購入指示を受信する受信ステップと、
前記購入情報生成部が、前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成ステップと、
前記レコメンド情報取得部が、前記購入指示を用いて、前記ユーザにレコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報を取得するレコメンド情報取得ステップと、
前記出力部が、前記購入情報と前記1以上のレコメンド情報とを対応付けて印刷し、前記1以上のレコメンド情報が印刷された用紙であるレコメンド媒体を生産する出力ステップとを具備するレコメンド媒体の生産方法であって、
前記出力ステップにおいて、
前記購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷するレコメンド媒体の生産方法。
【請求項7】
コンピュータを、
ユーザを識別するユーザ識別子と購入する商品を識別する商品識別子とを有する購入指示を受信する受信部と、
前記購入指示を用いて、商品の購入に関する情報であり、前記購入指示に対応する商品の購入を識別する購入識別子を含む購入情報を生成する購入情報生成部と、
前記購入指示を用いて、前記ユーザにレコメンドする商品に関する情報である1以上のレコメンド情報を取得するレコメンド情報取得部と、
前記購入情報と前記1以上のレコメンド情報とを対応付けて出力する出力部として機能させるプログラムであって、
前記出力部は、
前記1以上のレコメンド情報を、前記購入指示が入力された媒体と異なる媒体に対して出力するものとして、コンピュータを機能させるプログラムであって、
前記出力部は、
前記購入識別子と前記1以上のレコメンド情報とを、同一の用紙に印刷するものとして、コンピュータを機能させるプログラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-10-11 
結審通知日 2016-10-14 
審決日 2016-10-26 
出願番号 特願2014-12907(P2014-12907)
審決分類 P 1 113・ 121- YAA (G06Q)
P 1 113・ 852- YAA (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 貝塚 涼  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 手島 聖治
野崎 大進
登録日 2015-09-04 
登録番号 特許第5800926号(P5800926)
発明の名称 レコメンド装置、レコメンド方法、レコメンド媒体の生産方法、およびプログラム  
代理人 仙波 司  
代理人 白坂 一  
代理人 谷川 英和  
代理人 市川 奈月  
代理人 谷川 英和  
代理人 高梨 玲子  
代理人 播磨 里江子  
代理人 高橋 元弘  
代理人 高橋 元弘  
代理人 仙波 司  
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