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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C12G
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C12G
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C12G
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C12G
管理番号 1325882
異議申立番号 異議2016-701190  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-12-27 
確定日 2017-03-10 
異議申立件数
事件の表示 特許第5941107号発明「乳化香料組成物を高濃度アルコール中に安定的かつ透明に分散させる方法」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第5941107号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5941107号(以下「本件特許」という。)に係る出願(特願2014-147736号)は,平成20年12月1日に出願された特願2008-306716号の一部を,平成26年7月18日に特許法44条1項の規定により新たな特許出願としたものであって,平成28年5月27日に特許権の設定登録がなされたところ,平成28年12月27日に特許異議申立人日本香料工業会により特許異議の申立てがなされたものである。

第2 本件発明
本件特許の請求項1ないし4に係る発明は,特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。以下,本件特許に係る発明を請求項の番号に従って「本件発明1」などといい,総称して「本件発明」という。
【請求項1】
希釈してアルコール飲料を製造するために使用される乳化香料粒子含有高濃度アルコール透明組成物の製造方法であって,
[1]香料,ガティガム及び/又はアラビアガム,並びに水を含有し,
前記香料を含有する乳化香料粒子が,前記水を含有する水性溶液に分散しており,
前記乳化香料粒子の平均粒子径が0.4μm以下である
乳化香料粒子含有組成物;及び
[2]アルコールを30?60v/v%濃度で含有する高濃度アルコール含有組成物;
を混合して,
前記乳化香料粒子を当該高濃度アルコール含有組成物中に透明且つ安定に分散させることを特徴とする,製造方法。
【請求項2】
アルコール飲料の製造方法であって,
前記請求項1に記載の製造方法によって得られる乳化香料含有高濃度アルコール透明組成物を水で希釈することを特徴とする,製造方法。
【請求項3】
前記高濃度アルコール含有組成物が更に果汁を含有する,請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
希釈してアルコール飲料を製造するために使用される乳化香料粒子含有高濃度アルコール透明組成物であって,
香料,ガティガム及び/又はアラビアガム,水,並びにアルコールを含有し,
前記香料を含有する平均粒子径0.4μm以下の乳化香料粒子が,前記水,及び前記アルコールを30?60v/v%濃度で含有する高濃度アルコール含有組成物中に,透明且つ安定に分散していることを特徴とする,
乳化香料粒子含有高濃度アルコール透明組成物。

第3 異議申立ての理由の概要
異議申立人は,下記の甲第1号証ないし甲第5号証(以下,証拠の番号に従って「甲1」などという。)を提出し,本件特許は下記の理由により取り消すべき旨主張している。
1 本件発明1ないし4は,本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の甲1又は2に記載された発明であって,特許法29条1項3号に該当するか,甲1又は2に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
2 本件特許は,同法36条4項1号又は同条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
(証拠方法)
甲1:特開2007-289124号公報
甲2:特開2006-257246号公報
甲3:坂田 慎 外5,“Factors Affecting the Emulsification Performance of Gum Arabic”(アラビアガムの乳化性に及ぼす要因),FFIジャーナル,FFIジャーナル編集委員会,2008年4月1日,Vol.213,No.4,p.384-391
甲4:高木和行,“これからの品質管理に対応する製造装置”,FRAGRANCE JOURNAL,1997年,No.11,p.64-74
甲5:特願2008-306716号の審判請求書

第4 異議申立ての理由について
1 異議申立ての理由1(29条1項3号,29条2項)について
(1) 甲1について
ア 甲1には,以下の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。
・「【請求項1】
脱金属アラビアガムと,油性物質と,5?30質量%のエタノールを含有することを特徴とする乳化組成物。
・・・
【請求項4】
油性物質が,植物性油脂,動物性油脂,ショ糖脂肪酸エステル及び油溶性香料からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1?3のいずれかの項に記載の乳化組成物。
【請求項5】
請求項1?4のいずれかの項に記載の乳化組成物を含有することを特徴とする飲料。
【請求項6】
請求項1?4のいずれかの項に記載の乳化組成物を添加することを特徴とする飲料の製造方法。」
・「【0001】
本発明は,耐振動性に優れた乳化組成物及び該乳化組成物を含有する飲料並びに該乳化組成物を添加することを特徴とする飲料の製造方法に関する。」
・「【0004】
解決しようとする課題は,耐振動性に優れた乳化組成物が無いという点である。」
・「【0006】
本発明の乳化組成物は優れた耐振動性を有しており,これを添加することにより輸送時等の振動に対しても安定な飲料を提供することができる。本発明は,一般に乳化特性に悪影響を与えるとされる脱金属アラビアガム・・・とエタノールを組み合わせた結果得られる,ユニークな効果である。」
・「【0008】
本発明における油性物質は,油溶性であれば特に限定されるものではないが,飲料用であるので通常は植物性油脂,動物性油脂,ショ糖脂肪酸エステル及び油溶性香料からなる群から選ばれる1種又は2種以上が使用される。・・・油溶性香料としては,油溶性であれば特に限定されることはなく,その目的に応じて任意に調製されるが,好ましくは柑橘系油溶性香料が用いられる。柑橘系油溶性香料は,柑橘油(シトラス類)系の香料であれば,天然香料,調合香料のいずれも好ましく用いられる。柑橘油としては,例えば・・・グレープフルーツ油,・・・等がある。・・・
【0009】
本発明で用いられるエタノールは,乳化組成物中の含有率が5?30質量%である必要があり,より好ましくは含有率が5?25質量%,更に好ましくは5?20質量%,最も好ましくは5?15質量%で用いられる。含有率が5質量%未満では耐振動の安定性が急激に低下する。含有率が20質量%を超えると乳化粒子径が粗大になり,25質量%を超えるころから乳化粒子径が粗大化し,30質量%を超えたときは乳化することが急激に困難となるという,臨界的挙動を示すからである。」
・「【0011】
本発明の乳化組成物が添加される飲料は,特に限定されることはなくあらゆる飲料に添加できるが,例えば,炭酸飲料,果汁飲料,嗜好飲料,茶系飲料,機能性飲料などが例示される。」
・「【0012】
[実施例1]
表1の処方によりエタノール含量の異なる乳化組成物を常法により調製した(実施例1?7,比較例1?3)。また,乳化特性の指標として乳化直後の粒子径を測定し,併せて表1に示した。
【0013】
【表1】

【0014】
表1から明らかなように,乳化特性はエタノール含量が30質量%を超えたときに急激に悪化することが判る。」
・「【0019】
[実施例8]
表2の処方によりアラビアガムの異なる乳化組成物を常法により調製し,(実施例8,比較例4及び5)。耐振動性を評価した。・・・
【0020】
【表2】

・・・
【0025】
[試験例4]
アルコール飲料中での乳化組成物の安定性を評価した。評価方法は,市販のアルコール度数35°のホワイトリカーを200mL毎に分け,実施例8,比較例4及び5で得られた乳化組成物を各0.2g添加し,180往復/min,室温下で5時間シェイキング後,40℃恒温×48時間で,外観変化を目視にて観察した。結果を表4に示す。
【0026】
【表4】

【0027】
表4から明らかなように,実施例8は比較例よりも遙かに振動に対する安定性を有している。」
・「【0031】
本発明の乳化組成物を用いることにより,振動に対して優れた安定性を有する飲料を提供することができる。」

イ 以上のような甲1の記載からすると,甲1には次の発明(以下,それぞれ「甲1発明の1」,「甲1発明の2」という。)が記載されているといえる。
(甲1発明の1)
「乳化香料粒子含有アルコール飲料の製造方法であって,
[1]グレープフルーツオイル,脱金属処理アラビアガム,植物油(MCT),エタノール及びイオン交換水を含有し,
前記グレープフルーツオイルを含有する乳化香料粒子が,前記イオン交換水を含有する水性溶液に分散している
乳化組成物;及び
[2]アルコール度数35°のホワイトリカー;
を混合して
前記乳化香料粒子をホワイトリカー中に安定に分散させる,製造方法」
(甲1発明の2)
「乳化香料粒子含有アルコール飲料であって,
グレープフルーツオイル,脱金属処理アラビアガム,植物油(MCT),エタノール,イオン交換水を含有する乳化組成物及びアルコール度数35°のホワイトリカーよりなり,前記グレープフルーツオイルを含有する乳化香料粒子がホワイトリカー中に,安定に分散している,
乳化香料含有アルコール飲料」

(2) 甲2について
ア 甲2には,以下の事項が記載されている。
・「【請求項1】
油溶性香料と油溶性成分を100:1?1:1の割合で混合又は溶解した油相成分を,乳化剤溶液中に微分散又は乳化して得られる,水に透明に溶解し且つ香味発現性が改善されたことを特徴とする乳化香料組成物。
・・・
【請求項3】
乳化剤が,アラビアガム,ガティガム,大豆食物繊維,加工澱粉から選ばれる1種以上であり,油溶性香料と油溶性成分との合計と乳化剤の配合比率が,1:1から1:10である請求項1?2記載の乳化香料組成物。
【請求項4】
アラビアガムが,アラビアガム,改質アラビアガムからなる群より選ばれる1種以上である請求項3に記載の乳化香料組成物。
・・・
【請求項7】
請求項1?5何れかに記載の乳化香料組成物を含有することを特徴とする香味発現性の改善された着香製品。」
・「【0001】
本発明は,乳化香料に関し,詳しくは油溶性香料と油溶性成分を特定の割合で混合・溶解した油相成分を,乳化剤溶液中に微分散又は乳化して得られる,透明性,保存安定性に優れ,且つ優れたトップノートを付与し,香味の発現性が改善された乳化香料組成物に関する。」
・「【0012】
本発明では,特別な手段を用いることなく,従来の乳化香料組成物を調製する技術をほぼそのまま実施することにより,飛躍的に使用時の透明性と香味の発現性を向上させた乳化香料組成物の提供を目的とするものである。」
・「【0015】
本発明者らは上記のような課題を残す香料製剤の香味の発現性を改善するに当たり,本発明に係る技術,即ち油溶性香料と油溶性成分を特定の割合で混合・溶解した油相成分を特定の割合で,乳化剤溶液中に微分散又は乳化することによって乳化香料組成物を調製することにより,食品に添加した際の透明性,香味の発現性を飛躍的に向上させることが可能となった。」
・「【0022】
本発明では,係る油溶性香料と油溶性成分を特定の割合で混合・溶解し油相成分として乳化剤溶液中に微分散又は乳化して乳化香料組成物を得る。・・・
【0023】
本発明では,上記で得られた油相成分を,乳化剤を添加した溶液中に分散又は乳化することにより乳化香料組成物を得る。係る乳化剤は特に制限されないが,食品等に広く使われている既知の乳化剤,分散剤等を例示することができる。具体的には・・・アラビアガム,ガティガム,・・・等が例示でき,これらの1種以上を組み合わせて使用することもできる。好ましくはアラビアガム,ガティガム,・・・である。より好ましくは,アラビアガム,ガティガム,・・・である。・・・
・・・
【0027】
上記乳化剤を適当な溶媒に溶解し,乳化剤溶液とする。本発明で利用できる溶媒は,通常利用される溶媒が制限無く利用でき,水,・・・等が例示でき,これらの1種以上を組み合わせて乳化剤溶液を調製すればよい。」
・「【0035】
以上のようにして得られる乳化香料組成物は,例えば,乳化香料組成物を原料の一つとして使用して調製される着香製品へ使用することができる。
・・・
【0038】
本発明が対象とする着香製品としては,飲食物,アルコール含有飲食物,医薬品,医薬部外品が例示できる。具体的には飲食物,アルコール含有飲食物として・・・,リキュール類等のアルコール飲料,・・・等の飲料類;・・・赤ワイン等の果実酒;・・・等を挙げることができる。好ましくは飲料,リキュール,ゼリーの飲食物である。・・・」
・「【0042】
実施例1
表1の処方に従い,本発明に係る乳化香料組成物(実施例1乃至4)を調製した。また比較例として油溶性香料と油溶性成分の配合割合を変えた乳化香料組成物(比較例1乃至3)を調製した。
【0043】
【表1】

【0044】
<調製方法>
表1の処方に記載された量の油溶性香料のオレンジフレーバーと油溶性成分の中鎖トリグリセライドを均一に混合した後,アラビアガム又は平均分子量150万の改質アラビアガム,安息香酸ナトリウムを水に溶解して調製した乳化剤溶液に添加し,攪拌混合した。次いでAPV Gaulin社製高圧ホモジナイザー15MR-8TAを用いて,圧力350kg/cm^(2)で4回処理を行い,乳化香料組成物(実施例1?4,比較例1?3)を得た。・・・
【0045】
得られた各乳化香料組成物の調製直後と,60℃恒温槽内で3日間保存後の乳化粒子径をレーザー回析式粒度分布計SALD-2100(島津製作所製)を用いて測定した。
【0046】
さらに,得られた乳化香料組成物を1%濃度にイオン交換水に希釈し,720nmに於ける吸光度をイオン交換水を対照に測定し,透明性を比較した。
・・・
【0048】
・・・
さらに,下記処方にて清涼飲料を調製し,25℃3ヶ月間保存後の状態安定性を評価基準に従って評価した。
【0049】
<清涼飲料処方>
果糖ぶどう糖液糖(Brix75°) 10.7 kg
クエン酸(無水) 0.1 kg
クエン酸三ナトリウム 0.015kg
乳化香料組成物 0.1 kg
イオン交換水で全量 100 L
<調製方法>
上記処方における全成分を溶解した後,93℃達温にて殺菌し,200ml容量のガラス瓶にホットパック充填した。以下の飲料状態評価基準に基づき,該飲料の評価を行った。結果を表2に示す。
・・・
【0051】
【表2】

【0052】
<結果>
油相成分中に含まれる油溶性成分の添加量が増えると,乳化粒子径が粗大化する傾向にあり透明性が低下していた。また,香料の呈味感とトップノート,呈味感が抑えられ,香味発現性に劣っていた。
【0053】
油相成分が油溶性香料のみの場合(比較例1),透明性,香味の発現性は非常に良好であるが,乳化香料組成物を60℃に保存すると乳化粒子径の粗大化が認められた。これにより油溶性香料単独の場合は乳化組成物としたときの保存安定性に欠けるとの結果が得られた。
【0054】
また,同じく油相成分が油溶性香料のみの場合(比較例1),飲料保存によりリングの生成を認め,飲料安定性にも劣る結果が得られた。
【0055】
油相成分における油溶性香料と油溶性成分及び乳化剤を特定の比率で組み合わせて乳化香料組成物を調製することで(実施例1?4),透明性に優れ,60℃保存後の粒子径の粗大化も認められず,香味の呈味感も良好な乳化香料組成物が得られた。特に,油溶性香料と油溶性成分の配合割合が,油溶性香料が重量比で同等或いは多い条件(実施例1?4)において保存安定性及び飲料安定性に優れた乳化香料組成物が得られるとの結果が得られ,油溶性香料の量が油溶性成分量より少ない場合(比較例2,3)では,濁りが生じたり,60℃保存後の粒子径の粗大化が認められ,香味の発現性も低い評価となった。」

イ 以上のような甲2の記載からすると,甲2には次の発明(以下,それぞれ「甲2発明の1」,「甲2発明の2」という。)が記載されているといえる。
(甲2発明の1)
「乳化香料粒子含有清涼飲料の製造方法であって,
[1]オレンジフレーバー,アラビアガム又は改質アラビアガム及び水を含有し,
前記オレンジフレーバーを含有する乳化香料粒子が,前記水を含有する水性溶液に分散しており,
前記乳化香料粒子の粒子径が0.078?0.099μmである
乳化香料組成物;及び
[2]果糖ぶどう糖液糖,クエン酸(無水),クエン酸三ナトリウム及びイオン交換水;
を混合して,
前記乳化香料粒子を当該果糖ぶどう糖液糖,クエン酸(無水),クエン酸三ナトリウム及びイオン交換水に透明且つ安定に分散させる,製造方法」
(甲2発明の2)
「乳化香料粒子含有清涼飲料であって,
オレンジフレーバー,アラビアガム又は改質アラビアガム及び水を含有し,
前記オレンジフレーバーを含有する粒子径0.078?0.099μmの乳化香料粒子が,前記水,及び果糖ぶどう糖液糖,クエン酸(無水),クエン酸三ナトリウム及びイオン交換水中に,透明且つ安定に分散している,
乳化香料粒子含有清涼飲料」

(3) 本件発明1について
ア 甲1発明の1に関し
(ア) 本件発明1と甲1発明の1とを,その有する機能に照らして対比すると,甲1発明の1の「グレープフルーツオイル」,「脱金属処理アラビアガム」,「イオン交換水」,「乳化組成物」は,それぞれ,本件発明1の「香料」,「アラビアガム」,「水」,「乳化香料粒子含有組成物」に相当する。
また,甲1発明の1の「ホワイトリカー」は「アルコール度数が35°」であるから,本件発明1の「高濃度アルコール含有組成物」に相当する。
そして,甲1発明の1は,本件発明1と,乳化香料粒子を当該高濃度アルコール含有組成物中に安定に分散させる点で共通し,甲1発明の1に係る「乳化香料粒子含有アルコール飲料」は,本件発明1に係る「乳化香料粒子含有高濃度アルコール透明組成物」と,乳化香料粒子含有高濃度アルコール組成物である点で共通する。
そうすると,本件発明1と甲1発明の1とは,以下の点で一致し,相違する。
(一致点)
「乳化香料粒子含有高濃度アルコール組成物の製造方法であって,
[1]香料,ガティガム及び/又はアラビアガム,並びに水を含有し,
前記香料を含有する乳化香料粒子が,前記水を含有する水性溶液に分散している,
乳化香料粒子含有組成物;及び
[2]アルコールを30?60v/v%濃度で含有する高濃度アルコール含有組成物;
を混合して,
前記乳化香料粒子を当該高濃度アルコール含有組成物中に安定に分散させる,製造方法。」
(相違点1の1)
本件発明1に係る「乳化香料粒子含有高濃度アルコール透明組成物」は,「希釈してアルコール飲料を製造するために使用される」ものであるのに対し,甲1発明の1に係る「アルコール飲料」においてはその点が不明である点。
(相違点1の2)
本件発明1は,「乳化香料粒子」の「平均粒子径が0.4μm以下である」とともに「前記乳化香料粒子を当該高濃度アルコール含有組成物中に透明且つ安定に分散させる」ことを特徴とする「乳化香料粒子含有高濃度アルコール透明組成物」の製造方法であるのに対し,甲1発明の1は,「乳化香料粒子含有アルコール飲料」の製造方法であるものの,「乳化香料粒子」の平均粒子径が不明であるとともに「乳化香料粒子」が「ホワイトリカー」中に透明且つ安定に分散させるものであるのか不明で,当該製造方法によって得られる「アルコール飲料」が透明であるのか不明である点。
(イ) 相違点について検討する。
a まず,相違点1の1についてみるに,甲1には当該「アルコール飲料」を希釈する点に関し特段記載はないが,アルコール濃度が高い飲料を適宜の濃度に希釈して飲用に供することは,通常行われていることであるから,この点は,実質的な相違点とはいえないとともに,当業者が適宜なし得ることである。
b 次に,相違点1の2についてみるに,甲1には,実施例8,試験例4に関し,乳化香料粒子の平均粒子径について具体的な記載はない(【0019】?【0024】)。実施例1ないし7に関し,乳化直後の粒子径を測定した旨記載されているものの(【0012】),その結果が示された【表1】は正確な判読が困難なものであって,粒子径を含め,その内容を具体的に読み取ることができないとともに,実施例1ないし7と実施例8との関係も明らかにされていない。
このように,甲1発明の1は,乳化香料粒子の平均粒子径が不明である。
異議申立人は,この点に関し,甲1には,アラビアガム(脱金属アラビアガム)と,油性物質(油溶性香料)と,5?30質量%のエタノールを含有する乳化組成物(実施例1ないし7)が開示されており,乳化粒子の平均粒子径の値が0.4μm以下(実施例1ないし3)であることも記載されているから,甲1に記載されたものと本件発明1とは,平均粒子径の値が0.4μm以下である点で共通する,と主張している(異議申立書8?10,17頁)。
しかしながら,実施例1ないし7の結果が示された【表1】から,異議申立人が主張するような内容を具体的に読み取ることは困難であり,甲1に,その他,実施例1ないし7の結果に関する記載は特段ない。仮に,実施例1ないし7の結果が異議申立人が主張するとおりであるとしても,実施例8との関係は不明で,実施例1ないし7の結果が,そのまま実施例8に当てはまるものとは認められない。実施例1ないし7は,実施例8とは具体的な組成内容が異なるうえ,組成比により粒子径が異なっており(異議申立書9頁。実施例4ないし7は,粒子径が0.4μmを超えている。),実施例1ないし7の結果から,甲1発明の1における乳化香料粒子の平均粒子径が0.4μm以下であるとは認められない。
また,甲1にはアルコール濃度と乳化粒子径に関し,「本発明で用いられるエタノールは,乳化組成物中の含有率が5?30質量%である必要があり,より好ましくは含有率が5?25質量%,更に好ましくは5?20質量%,最も好ましくは5?15質量%で用いられる。含有率が5質量%未満では耐振動の安定性が急激に低下する。含有率が20質量%を超えると乳化粒子径が粗大になり,25質量%を超えるころから乳化粒子径が粗大化し,30質量%を超えたときは乳化することが急激に困難となるという,臨界的挙動を示すからである。」(【0009】),「表1から明らかなように,乳化特性はエタノール含量が30質量%を超えたときに急激に悪化することが判る。」(【0014】)と記載されている。
このような記載からすると,乳化香料粒子の平均粒子径が不明である甲1発明の1において,当然に,当該乳化香料粒子がアルコール度数35°のホワイトリカー中に透明に分散しており,当該アルコール飲料が透明である,とはいえない。
そして,甲1発明の1は,耐振動性に優れた乳化組成物に関するものであるところ,甲1には,アルコールを30?60v/v%濃度で含有する高濃度アルコールを使用する場合に,乳化香料粒子を透明に分散させることについて,特段記載はなく,上記のようなアルコール濃度と乳化粒子径との関係に関する記載も踏まえると,甲1発明の1において,相違点1の2に係る構成に想到するための動機付けは特段認められない。
これに対し,本件発明1は,「高濃度のアルコールを使用しても,乳化香料組成物を長期間安定な乳化状態を保って透明に分散でき,更にその飲料が果汁を含む場合も乳化状態を損なうことなく,透明に分散させることができる。」(【0008】)といった格別の効果を奏するものである。
そうすると,甲1発明の1において,相違点1の2に係る本件発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到できた事項とは認められない。
(ウ) よって,本件発明1は,甲1発明の1であるとは認められないとともに,甲1発明の1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

イ 甲2発明の1に関し
(ア) 本件発明1と甲2発明の1とを,その有する機能に照らして対比すると,甲2発明の1の「オレンジフレーバー」,「アラビアガム又は改質アラビアガム」,「水」,「乳化香料組成物」は,それぞれ,本件発明1の「香料」,「アラビアガム」,「水」,「乳化香料粒子含有組成物」に相当し,甲2発明の1は,「乳化香料粒子の粒子径が0.078?0.099μmである」から,本件発明1の「乳化香料粒子の平均粒子径が0.4μm以下である」点を満足する。
また,甲2発明の1の「果糖ぶどう糖液糖,クエン酸(無水),クエン酸三ナトリウム及びイオン交換水」は,本件発明1の「高濃度アルコール含有組成物」と,乳化香料粒子含有組成物を分散させるための組成物である点で共通する。
そして,甲2発明の1は,本件発明1と,乳化香料粒子を当該乳化香料粒子含有組成物を分散させるための組成物中に透明且つ安定に分散させる点で共通し,甲2発明の1に係る「乳化香料粒子含有清涼飲料」は,本件発明1に係る「乳化香料粒子含有高濃度アルコール透明組成物」と,乳化香料粒子を含有する飲料に係る組成物である点で共通する。
そうすると,本件発明1と甲2発明の1とは,以下の点で一致し,相違する。
(一致点)
「乳化香料粒子を含有する飲料に係る組成物の製造方法であって,
[1]香料,ガティガム及び/又はアラビアガム,並びに水を含有し,
前記香料を含有する乳化香料粒子が,前記水を含有する水性溶液に分散しており,
前記乳化香料粒子の平均粒子径が0.4μm以下である
乳化香料粒子含有組成物;及び
[2]乳化香料粒子含有組成物を分散させるための組成物;
を混合して,
前記乳化香料粒子を当該乳化香料粒子含有組成物を分散させるための組成物中に透明且つ安定に分散させる,製造方法。」
(相違点2)
本件発明1は,「希釈してアルコール飲料を製造するために使用される乳化香料粒子含有高濃度アルコール透明組成物」の製造方法であって,「乳化香料粒子」を「アルコールを30?60v/v%濃度で含有する高濃度アルコール含有組成物」中に分散させるものであるのに対し,甲2発明の1は,「乳化香料粒子含有清涼飲料」の製造方法であって,「乳化香料粒子」を「果糖ぶどう糖液糖,クエン酸(無水),クエン酸三ナトリウム及びイオン交換水」中に分散させるものである点。
(イ) 相違点2について検討する。
甲2には,対象とする着香製品として,リキュール類等のアルコール飲料が例示されているが(【0038】),これ以上の具体的な記載はなく,このような記載から,当然に,アルコールを30?60v/v%濃度で含有する高濃度アルコール含有組成物に,当該乳化香料粒子組成物を混合することについて,開示があるとすることはできない。
そして,既に述べたように,甲1に,アルコール濃度と乳化粒子径に関し,アルコール濃度が30%を超えると乳化することが急激に困難となる旨記載されており,このような事情が知られていることを踏まえると,甲2発明の1において,着香する対象として,アルコールを30?60v/v%濃度で含有するような高濃度アルコール含有組成物を選択することが,当業者にとって容易に着想し得るものとも認められず,甲2発明の1において,相違点2に係る構成に想到するための動機付けは特段認められない。
これに対し,本件発明1は,既に述べたような格別の効果を奏するものである(前記ア(イ))。
そうすると,甲2発明の1において,相違点2に係る本件発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到できた事項とは認められない。
(ウ) よって,本件発明1は,甲2発明の1であるとは認められないとともに,甲2発明の1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(4) 本件発明2及び3について
既に述べたとおり,本件発明1は,甲1発明の1又は甲2発明の1であるとは認められず,甲1発明の1又は甲2発明の1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,本件発明1を特定するための事項をすべて含む本件発明2及び3は,その余の事項を検討するまでもなく,同様に,甲1発明の1又は甲2発明の1であるとは認められず,甲1発明の1又は甲2発明の1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(5) 本件発明4について
ア 甲1発明の2に関し
(ア) 本件発明4と甲1発明の2とを,その有する機能に照らして対比すると,甲1発明の2の「グレープフルーツオイル」,「脱金属処理アラビアガム」,「イオン交換水」は,それぞれ,本件発明4の「香料」,「アラビアガム」,「水」に相当する。
また,甲1発明の2の「ホワイトリカー」は「アルコール度数が35°」であるから,本件発明1の2の「高濃度アルコール含有組成物」に相当する。
そして,甲1発明の2は,本件発明4と,乳化香料粒子が,水及び当該高濃度アルコール含有組成物中に,安定に分散している点で共通し,甲1発明の2に係る「乳化香料粒子含有アルコール飲料」は,本件発明4の「乳化香料粒子含有高濃度アルコール透明組成物」と,乳化香料粒子含有高濃度アルコール組成物である点で共通する。
そうすると,本件発明4と甲1発明の2とは,以下の点で一致し,相違する。
(一致点)
「乳化香料粒子含有高濃度アルコール組成物であって,
香料,ガティガム及び/又はアラビアガム,水,並びにアルコールを含有し,
前記香料を含有する乳化香料粒子が,前記水,及び前記アルコールを30?60v/v%濃度で含有する高濃度アルコール含有組成物中に,安定に分散している,
乳化香料粒子含有高濃度アルコール組成物。」
(相違点3の1)
本件発明4に係る「乳化香料粒子含有高濃度アルコール透明組成物」は,「希釈してアルコール飲料を製造するために使用される」ものであるのに対し,甲1発明の2に係る「アルコール飲料」においてはその点が不明である点。
(相違点3の2)
本件発明4は,「乳化香料粒子」の「平均粒子径」が「0.4μm以下」であるとともに「乳化香料粒子が,前記水,及び・・・高濃度アルコール含有組成物中に,透明且つ安定に分散している」ことを特徴とする「乳化香料粒子含有高濃度アルコール透明組成物」であるのに対し,甲1発明の2は,「乳化香料粒子含有アルコール飲料」であるものの,「乳化香料粒子」の平均粒子径が不明であるとともに「乳化香料粒子」が「イオン交換水」及び「ホワイトリカー」中に透明且つ安定に分散させるものであるのか不明で,「アルコール飲料」が透明であるのか不明である点。
(イ) 相違点3の1及び3の2について検討するに,両相違点は,実質的に,前記相違点1の1及び1の2と同じであるから,相違点3の1は,前記相違点1の1と同様の理由により,実質的な相違点とはいえないとともに,当業者が適宜なし得ることであるが,相違点3の2は,前記相違点1の2と同様の理由により,当業者が容易に想到できた事項とは認められない(前記(3)ア)。
(ウ) よって,本件発明4は,甲1発明の2であるとは認められないとともに,甲1発明の2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

イ 甲2発明の2に関し
(ア) 本件発明4と甲2発明の2とを,その有する機能に照らして対比すると,甲2発明の2の「オレンジフレーバー」,「アラビアガム又は改質アラビアガム」,「水」は,それぞれ,本件発明4の「香料」,「アラビアガム」,「水」に相当し,甲2発明の2は,「乳化香料粒子」の「粒子径」が「0.078?0.099μm」であるから,本件発明4の「前記香料を含有する平均粒子径0.4μm以下の乳化香料粒子」に相当する。
また,甲2発明の2の「果糖ぶどう糖液糖,クエン酸(無水),クエン酸三ナトリウム及びイオン交換水」は,本件発明4の「高濃度アルコール含有組成物」と,乳化香料粒子物を分散させるための組成物である点で共通する。
そして,甲2発明の2は,本件発明4と,乳化香料粒子を水及び当該乳化香料粒子を分散させるための組成物中に,透明且つ安定に分散させる点で共通し,甲2発明の2に係る「乳化香料粒子含有清涼飲料」は,本件発明4に係る「乳化香料粒子含有高濃度アルコール透明組成物」と,乳化香料粒子を含有する飲料に係る組成物である点で共通する。
そうすると,本件発明4と甲2発明の2とは,以下の点で一致し,相違する。
(一致点)
「乳化香料粒子を含有する飲料に係る組成物であって,
香料,ガティガム及び/又はアラビアガム,水を含有し,
前記香料を含有する平均粒子径0.4μm以下の乳化香料粒子が,前記水,及び乳化香料粒子を分散させるための組成物中に,透明且つ安定に分散している,
乳化香料粒子を含有する飲料に係る組成物。」
(相違点4)
本件発明4は,「希釈してアルコール飲料を製造するために使用される乳化香料粒子含有高濃度アルコール透明組成物」であって,「アルコール」を含有し,「乳化香料粒子」が「前記水,及び前記アルコールを30?60v/v%濃度で含有する高濃度アルコール含有組成物」中に分散しているものであるのに対し,甲2発明の2は,「乳化香料粒子含有清涼飲料」であって,アルコールは含有しておらず,「乳化香料粒子」が「果糖ぶどう糖液糖,クエン酸(無水),クエン酸三ナトリウム及びイオン交換水」中に分散しているものである点。
(イ) 相違点4について検討するに,相違点4は,実質的に,前記相違点2と同じであるから,相違点4は,前記相違点2と同様の理由により,当業者が容易に想到できた事項とは認められない(前記(3)イ)。
(ウ) よって,本件発明4は,甲2発明の2であるとは認められないとともに,甲2発明の2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(6) まとめ
以上のとおりであるから,本件発明は,甲1発明の1,2又は甲2発明の1,2ではなく,甲1発明の1,2又は甲2発明の1,2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 異議申立ての理由2(36条4項1号,同条6項1号)について
(1) 本件発明は,ガティガム及び/又はアラビアガムを含有するともに,乳化香料粒子の平均粒子径が0.4μm以下である乳化香料組成物とすることにより,アルコール濃度が30?60v/v%である高濃度のアルコール含有組成物中に,乳化香料組成物を透明に分散することができることを見出し完成したものであるが(本件特許明細書【0007】),本件特許明細書には,高圧ホモジナイザーなどを用いて乳化して製造することができ,乳化香料組成物を高濃度のアルコールに安定的かつ透明に分散させるために,乳化香料組成物中の乳化粒子の平均粒子径は,0.4μm以下にする必要がある旨記載され(【0018】),本件発明の実施例に関し,実施例1ないし4について,APV Gaulin社製高圧ホモジナイザー15MR-8TAを用いて,圧力350kg/cm^(2)で4回処理し,平均粒子径0.15μmの乳化香料組成物を得た旨(【0023】),実施例1(ガティガム含有)及び実施例3(アラビアガム含有)に係る乳化香料組成物を用いてアルコール含有組成物を調整したところ,全てのアルコール濃度(21?49%)で濁度が低く透明であり,20℃1週間保存後も変化がなかった旨(【0033】?【0040】)が,具体的に記載されている。
そして,その記載内容に技術的に不明なところは特段認められない。

(2) 異議申立人は,甲3に示された,0.12%(W/W)クエン酸水溶液中でd-limoneneを5?20%濃度のアラビアガムで乳化した場合の乳化粒子径の図(385頁Figure 1)によれば,乳化する際にかける圧力を低圧(Polytronを使用)と高圧(Nano-Mizerを使用)で均一化しても,アラビアガムの濃度が19%のときは,乳化粒子径がそれぞれ約3μmと約1μmとなっており,甲4に記載された色と乳化粒子径の関係からすると(68頁表1),この際の乳化組成物は白色を呈していることが技術常識であるから,同程度のアラビアガム濃度である実施例3について,圧力をかけるなどの通常の方法では,乳化香料粒子の平均粒子径を0.4μm以下に調整することはできず,技術常識に反する旨主張している(異議申立書19頁)。
しかしながら,甲3に示された結果に係る乳化する際の条件と,本件特許明細書に開示された条件との関係も定かではないから,このような結果が知られているとしても,そのことから直ちに,乳化香料粒子の平均粒子径を0.4μm以下に調整することが技術常識に反するとは認められない。
そして,甲2には,本件特許明細書に開示されたものと同じ条件で処理し,粒子径が0.078?0.099μmである乳化香料粒子を得た旨記載されていることからしても(【0044】?【0051】),乳化香料粒子の平均粒子径を0.4μm以下に調整することが技術的に不可能であるとは認められない。

(3) また,異議申立人は,甲1に,エタノール濃度が25質量%を超えるあたりから乳化粒子径が粗大化し,30質量%を超えたときには乳化することが急激に困難になることが記載され(【0009】),一般に,蛋白質などの立体構造はアルコールの添加によりその構造を変えることが周知で,アラビアガムについても同様のことが起こり,乳化粒子径に何らかの影響を与えると考えるのが技術常識であるから,本件特許明細書には,実施例3に関し,アルコール濃度が49%になっても状態が異常なしとされているのは技術常識に反する旨主張している(異議申立書20頁)。
しかしながら,甲1には,前提となる製造方法が具体的に記載されていないとともに,30質量%を超えたときには乳化することが技術的に不可能であるとまでは記載されていない。アルコールがアラビアガムの立体構造に影響を与えるとしても,アルコール濃度が49%になっても透明にすることが技術的に不可能であるとまでは認められない。
そして,本件発明は,既に述べたように,ガティガム及び/又はアラビアガムを含有するともに,乳化香料粒子の平均粒子径が0.4μm以下である乳化香料組成物とすることにより,アルコール濃度が30?60v/v%である高濃度のアルコール含有組成物中に,乳化香料組成物を透明に分散することができたものであって,乳化香料粒子の平均粒子径を0.4μm以下に調整することも技術的に可能であると認められるから,透明にすることが技術的に不可能であるとすべき点は特段認められない。

(4) 以上のとおりであるから,本件特許明細書の発明の詳細な説明は,当業者が本件発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものでないとは認められない。また,本件発明は本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものでないとは認められない。

3 むすび
以上によれば,前記異議申立ての理由1及び2によっては,本件特許(請求項1ないし4に係る特許)を取り消すことはできない。
また,他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-03-02 
出願番号 特願2014-147736(P2014-147736)
審決分類 P 1 651・ 537- Y (C12G)
P 1 651・ 113- Y (C12G)
P 1 651・ 121- Y (C12G)
P 1 651・ 536- Y (C12G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 耕一郎長部 喜幸  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 窪田 治彦
莊司 英史
登録日 2016-05-27 
登録番号 特許第5941107号(P5941107)
権利者 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
発明の名称 乳化香料組成物を高濃度アルコール中に安定的かつ透明に分散させる方法  
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