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審決分類 審判 全部申し立て 特17条の2、3項新規事項追加の補正  E06B
審判 全部申し立て 2項進歩性  E06B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E06B
管理番号 1325888
異議申立番号 異議2016-701163  
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-12-21 
確定日 2017-03-10 
異議申立件数
事件の表示 特許第5937296号発明「横型ブラインド」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5937296号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第5937296号の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、平成22年5月27日(優先権主張平成22年5月7日)に特許出願され、平成28年5月20日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人西郷新(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

2 本件発明
特許第5937296号の請求項1ないし8の特許に係る発明(以下「本件特許発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものである。

3 申立理由の概要
申立人は、以下の(1)?(3)の理由を申し立てて、本件特許発明1ないし8に係る特許は、取り消すべきものである旨、主張している。
(1)本件特許発明1ないし8は、当業者が、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
甲第1号証:米国特許出願公開第2002/0174961号明細書
(「刊行物1」という。以下同様。)
甲第2号証:米国特許第2218508号明細書(「刊行物2」)
甲第3号証:特開2006-283321号公報(「刊行物3」)
甲第4号証:実願平1-147955号(実開平3-87794号)
のマイクロフィルム(「刊行物4」)
甲第5号証:実願昭61-69495号(実開昭62-182398号) のマイクロフィルム(「刊行物5」)
甲第6号証:米国特許第6179035号明細書(「刊行物6」)
(2)平成27年8月27日付け手続補正による補正は、新規事項の追加に該当するので、特許法第17条の2第3項の規定する要件を満たしていない。
(3)本件特許の請求項1の記載は不明確であるので、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしていない。

4 当審の判断
(1)刊行物の記載事項
ア 刊行物1(特に、段落0327、0430、0437、0513、0582参照。翻訳は申立人によるもの。)には、
「ヘッドレール12、チルトケーブル18、ラダーテープ22を一緒に構成する関係するクロスコードによってヘッドレール12から垂下した複数のスラット14とを含み、リフトモジュールを備え、
リフトコード16A、Bは、他のスラット14よりも重い底部スラット(または底部レール)14Aの底面で締結され、
ラダーテープ22の一方側または他方側を引っ張りスラット14を回転させ、
ヘッドレール12にはチルトロッド24およびリフトロッド26が収容されており、
リフトモジュール500は、クレードル502、巻取りスプール504及び固定クリップ506より構成され、クレードル502は、開口部519、519A、519Bを有し、リフトコード16にクレードル502の中央を通らせる開口部519A、減光製品に望ましいオフセット開口部519、またはチルトロッド24に余地を与えるためにずらされるオフセット開口部519Bを使用し、
両方のリフトコード16A、Bは、それぞれのスプール604に、反時計回りで同時にかつ同速度で巻き上げられ、底部レール14Aは均等に持ち上げられ、
減光製品を実現するために、各スラット14の後部の方にはリフトコード16が通る溝付き開口部17が設けられ、
ベース502は、リフトコードがそれを通じて供給されて巻取りスプール504に達するいくつかの開口部519、519A、519Bを有する、ブラインド10。」の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されている。

イ 刊行物2(特に、1欄10行?2欄14行。翻訳は申立人によるもの。)には、
「ブラケット11、12にマウントされるブラインドにおいて、
ブラケット11、12には、エクステンション14、16が設けられ、
エクステンション14は、ローラ15の一端を収容し、
エクステンション16は、スロット17を備え、スロット17には、ローラ15の巻取りステム18が収容され、
チルトバー20に取り付けられたスラット支持ストラップ23は、下部プルバー27に取り付けられ、チルトバー20はエクステンション21、22において旋回されて、スラットをチルトしてブラインドを開閉し、
昇降テープ30、31は、下部プルバー27の一端に固定され、ローラ15にマウントされたローラ32に一端が取り付けられ、昇降テープ30は、ブラインドの背面側に配置され、昇降テープ31は、ブラインドの前面側に反転され、ブラインドが上昇してスラットが重なってチルトバーに押し付けられる際のスラットのガイドとなり、
ガイド33は、ブラケット11、12に固定され、ガイド34は、チルトバーに固定され、テープをローラ上に案内し、スラットが水平に移動することを確実にした、ブラインド。」の発明(以下「刊行物2発明」という。)が記載されている。

ウ 刊行物3の【図3】には、前側垂直コード20aと後側垂直コード20bは、ヘッドボックス2の出口で、その間隔が一旦狭まっていることが開示されている。

エ 刊行物4の図1及び図2には、昇降コード6a、6bは、ラダーコード3の外側に位置していることが開示されている。

オ 刊行物5には、「梯子状支持コード4,4の前後の垂直コード部4a,4a(第1図)を相対的に上下動させてスラットの傾動を行なう様にしている。」(明細書7頁13?16行)、「梯子状支持コード4の各中段コード部分は、上下に適宜の間隔を隔てて平行な2本のコード4b,4cによって構成される。また、スラット3には、梯子状支持コードによって支持される位置の両側縁に略U字形の切欠き8,8が形成される。」(明細書8頁6?12行)、「且つこの各中段コード部分のコード4b,4cをスラットのU字状切欠き8,8内に係合せしめる。なお、昇降コード5は梯子状支持コード4の一方の垂直コード部分4aに設けた案内環7に挿通するのが好ましいが(第4図参照)第5図に示す様に中段コード部分の2本のコード4b,4c間に挿通してもよい。」(明細書8頁18行?9頁6行)と、記載されている。

カ 刊行物6(翻訳は申立人によるもの。)には、「引張又は昇降コードは、垂直コードの一方に隣接して、実質的に、前後の垂直コードの間に配置されている。変形例として、昇降コード36が、上記のようにラダーに編み込まれることに加えて、ラダーに沿って間隔を空けながら隣接した垂直コードに巻き付く又は絡みあうようにしてもよい(図8?10)。」(Col.3,Lines55-62)、「変形例では(図12、図5?7、図8?10)、好ましくは、各ブラインドスラット24の後方側縁40に、各垂直コード27に対応した位置に複数のノッチ41を形成して垂直コード27及び該当する場合には隣接した昇降コード36を収容してもよい。図5?7に示すように、昇降コード36は、好ましくは、スラットに隣接した又は最近接して配置されることが好ましく、垂直コード27は、その外側に配置される。この構成では、ノッチの助けによって、スラット24がラダー25に保持される。」(Col.4,Lines9-18)と、記載されている。
また、Fig.12には、スラット24の一方の側縁にのみ、ノッチ(切欠部)41が形成され、スラット24の他方の側縁側(ノッチ41がない方の側縁側)に配置される昇降コード36が、全てのスラット24においてスラット24の側縁の外側に位置し、ラダーライザーコード(垂直コード)27に沿って配される構成が開示されている。

(2)申立の理由(1)について
ア 本件特許発明1について
(ア)本件特許発明1と刊行物1発明とを対比すると、
「複数の昇降ドラム(20)について、本件特許発明1は、第1昇降ドラムと第2昇降ドラムとを含み、回転軸の回転に連動して回転するよう該回転軸に対し第1昇降ドラムと第2昇降ドラムとが直列に且つ交互に設けられ、ヘッドボックスの前後方向における異なる位置からそれぞれヘッドボックス内に導入された全ての昇降コード(22a、22b)を、それぞれの一端が連結される複数の昇降ドラム(20a、20b)によって同一方向に巻き取るのに対し、刊行物1発明は、第1昇降ドラムと第2昇降ドラムに対応するドラムのうちの一方を含み、そのため、回転軸の回転に連動して回転するよう該回転軸に対し第1昇降ドラムと第2昇降ドラムとが直列に且つ交互に設けられ、ヘッドボックスの前後方向における異なる位置からそれぞれヘッドボックス内に導入された全ての昇降コード(22a、22b)を、それぞれの一端が連結される複数の昇降ドラム(20a、20b)によって同一方向に巻き取るものではない点。」で相違する(以下「相違点」という。)。
なお、申立人は、第1昇降ドラムと第2昇降ドラム(の両方)を含んでいる点等は、一致点と主張するが、刊行物1発明において、開口部519、519A、519Bは、それぞれ「リフトコード16にクレードル502の中央を通らせる開口部519A、減光製品に望ましいオフセット開口部519、またはチルトロッド24に余地を与えるためにずらされるオフセット開口部519B」であるから、一つの製品として機能させるには、その目的に合わせて、3つの開口部のうちの一つのみを選択し、相違する開口部のものを組み合わせて用いるものではない。
よって、刊行物1発明は、第1昇降ドラムと第2昇降ドラム(の両方)を含む点等は、申立人が主張するように一致点ではない。

(イ)そこで刊行物2をみると、上記「4(2)」で示した刊行物2発明が記載されている。
刊行物2発明の、「ローラ15にマウントされたローラ32に一端が取り付けられ」た「昇降テープ30,31」であって、「ガイド33は、ブラケット11、12に固定され、ガイド34は、チルトバーに固定され」ることで、「昇降テープ30は、ブラインドの背面側に配置され、昇降テープ31は、ブラインドの前面側に反転され」ることは、本件特許発明1の「第1昇降ドラム(20a)と第2昇降ドラム(20b)を含み、回転軸の回転に連動して回転するよう該回転軸に対し前記第1昇降ドラムと前記第2昇降ドラムとが直列に且つ交互に設けられた複数の昇降ドラム(20)を備え、」「前後方向における異なる位置からそれぞれ導入された全ての昇降コード(22a、22b)を、それぞれの一端が連結される複数の昇降ドラム(20a、20b)によって同一方向に巻き取る」ことに相当する。
しかしながら、刊行物1発明において、開口部519、519A、519Bは、それぞれ「リフトコード16にクレードル502の中央を通らせる開口部519A、減光製品に望ましいオフセット開口部519、またはチルトロッド24に余地を与えるためにずらされるオフセット開口部519B」であることからみて、一つの製品として機能させるには、その目的に合わせて、3つの開口部のうちの一つのみを選択し、リフトコード16を、中央またはオフセットさせるものであるから、開口部の位置を複数選択したものを組み合わせて用いる動機付けはなく、よって、刊行物2発明を刊行物1発明に適用することは、当業者が容易に思い付くことではない。

(ウ)申立人は、甲1発明と甲2発明は、昇降コードがスラットの前後方向中心部からオフセットされた位置に配設された横型ブラインドに関するものであり、甲2発明を甲1発明に適用する阻害要因は存在しない、と主張するが、上記(イ)で述べたとおり、刊行物1発明には、開口部の位置を複数選択したものを組み合わせて用いる動機付けはないから、両発明がオフセットすることで共通するからといって、当業者が甲2発明を甲1発明に適用すること容易に思い付くとはいえない。

(エ)以上のとおり、本件特許発明1は、当業者が、刊行物発明1及び2に基いて容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件特許発明2ないし8について
本件特許発明1が、上記アのとおり、刊行物発明1及び2に基いて容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明1の構成をすべて含み、さらに構成を限定したものである本件特許発明2ないし8も、同様に、刊行物発明1及び2、さらには本件特許発明2ないし8に対して提示された刊行物3ないし6に記載された事項を勘案しても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 小括
以上のとおり、本件特許発明1ないし8は、当業者が、刊行物1ないし6に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(3)申立の理由(2)について
申立人は、「2015年8月27日付け手続補正により追加された、(他の昇降コード(22b)が)『該ドラム受け内において、前記ラダーコードの前後の垂直コードのうちの一方(16a)を該前後方向に跨ぐように後方に向かって配された後、』は、新規事項の追加に該当する。」と主張する。
しかしながら、側断面図である【図4】を参照すると、少なくとも、側方からみれば、昇降コード22bは、一方(垂直コード16aの後方)から他方(垂直コード16aの前方)へ至っているから、上記追加の記載が、当初明細書等に記載された事項の範囲内でなされたものではないとはいえない。
よって、平成27年8月27日付け手続補正による補正は、新規事項の追加に該当するものではなく、特許法第17条の2第3項の規定する要件を満たしている。

(4)申立の理由(3)について
申立人は、(a)「跨ぐとは『物の上を越える』『一方から他方へ至らせる』という意味だが、昇降コードは図面を参酌してもラダーコードの上を越えるように配置されていないし、ラダーコードの縦糸同士をつなぐような構成ともなっていない。従って、(他の昇降コード(22b)が)『該ドラム受け内において、前記ラダーコードの前後の垂直コードのうちの一方(16a)を該前後方向に跨ぐように後方に向かって配された後、』は不明瞭である。」、(b)「ヘッドボックスの前後方向における“一方側に向かって(前方に向かっても含む)”且つ“後方に向かって配される”とは前後逆方向に昇降コードが向かうことも含むが実施形態には前に向かって後ろに向かう昇降コードは無く、本請求項の意味は不明である。」と主張する。
まず、上記(a)について検討すると、「跨ぐ」とは、「一方から他方に至らせる」という意味も有しているから、昇降コードが、ラダーコードに対して一方から他方つまり、前後方向に至るものであればよく、したがって、上記記載は不明確とはいえない。
次に上記(b)について検討すると、本件特許発明1の「他の昇降コード(22b)が・・・他方側からヘッドボックスに導入されるとともに第2昇降ドラムのドラム受け内に導入され、導入後に…一方側に向かって転回され、…前後方向に跨ぐように後方に向かって配された後、」との特定からみて、「一方側」及び「他方側」は、それぞれ前後方向の「後方側」及び「前方側」を意味することは明らかであるから、本件特許発明1において、昇降コードの「一方側」及び「他方側」は不明確ではない。
よって、本件特許の請求項1の記載は不明確ではないから、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしている。

8 むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-03-01 
出願番号 特願2010-121995(P2010-121995)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (E06B)
P 1 651・ 561- Y (E06B)
P 1 651・ 537- Y (E06B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 美紗子  
特許庁審判長 赤木 啓二
特許庁審判官 小野 忠悦
住田 秀弘
登録日 2016-05-20 
登録番号 特許第5937296号(P5937296)
権利者 株式会社ニチベイ
発明の名称 横型ブラインド  
代理人 赤澤 日出夫  
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