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審決分類 審判 全部無効 1項3号刊行物記載  B23Q
審判 全部無効 2項進歩性  B23Q
管理番号 1326485
審判番号 無効2015-800025  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-02-12 
確定日 2017-03-07 
事件の表示 上記当事者間の特許第5337323号発明「位置検出装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5337323号の請求項1ないし7に係る発明についての手続の経緯は以下のとおりである。
平成25年 7月 5日 特願2011-222846号の出願(出願日平成23年10月7日。以下、「原出願」という。)の一部として本件特許に係る出願(特願2013-141658号)を出願
平成25年 8月 9日 特許権の設定登録
平成25年11月 6日 特許公報発行(特許第5337323号公報)
平成25年11月 6日 特許無効審判請求(無効2013-800210号)(以下、「一次審判」という。)
平成26年 8月 4日 訂正請求書提出(以下、当該訂正請求書に係る訂正を「第1次訂正」という。)
平成26年12月 8日付け 「請求のとおり訂正請求を認める。本件審判の請求は、成り立たない。」との結論の審決
平成27年 2月12日 本件審判請求
平成27年 4月27日 答弁書提出
平成27年 6月18日 審理事項通知
平成27年 7月17日 口頭審理陳述要領書提出(請求人)
平成27年 7月17日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)
平成27年 7月31日 口頭審理陳述要領書(2)提出(請求人)
平成27年 7月31日 口頭審理陳述要領書(2)提出(被請求人)
平成26年 7月31日 口頭審理
平成27年 8月27日 上申書提出(請求人)

第2 本件特許の請求項1ないし7に係る発明
上記第1の手続の経緯のとおり、第1次訂正を認めた審決は確定したから、本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、「本件特許発明1」等という。)は、上記平成26年8月4日付け訂正請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし7にそれぞれ記載された次のとおりのものと認める。

「【請求項1】
シリンダ本体と、このシリンダ本体に進退可能に装備された出力部材と、この出力部材を進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する為の油室とを有する油圧シリンダにおける前記出力部材の位置を検出する位置検出装置であって、
前記シリンダ本体内に形成され且つ一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路と、このエア通路を開閉可能な開閉弁機構とを備え、
前記開閉弁機構は、前記シリンダ本体に形成した装着孔に進退可能に装着された弁体と、前記油室の油圧によって前記弁体を前記出力部材側に進出させた状態に保持する油圧導入室と、前記油室と前記油圧導入室とを連通させる油圧導入路とを備え、
前記出力部材が所定の位置に達したときに、前記出力部材により前記弁体を移動させて前記開閉弁機構の開閉状態を切り換え、前記エア通路のエア圧を介して前記出力部材が前記所定の位置に達したことを検知可能に構成したことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記油室に油圧が供給され前記出力部材が所定の位置にない状態において、前記開閉弁機構は前記エア通路を外界に開放する開弁状態を維持し、
前記油室の油圧がドレン圧に切り換えられ且つ前記出力部材が前記所定位置に達した時に、前記開閉弁機構は、前記エア通路を閉じる閉弁状態に切り換えられ、当該切換えにより前記開閉弁機構に対して前記一端部側に位置する前記エア通路の圧力を上昇させ、当該圧力が設定圧以上に上昇したことに基づいて前記出力部材が所定の位置にあることが検知され、
前記出力部材が前記所定の位置から移動開始したときに、前記開閉弁機構は、前記エア通路を外界に開放する開弁状態に切換えられ、当該切換えにより前記開閉弁機構に対して前記一端部側に位置する前記エア通路の圧力を低下させることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記開閉弁機構は、前記シリンダ本体に形成された前記装着孔に挿入螺合され且つ前記弁体が進退可能に挿入されたキャップ部材を備え、
前記キャップ部材に、前記エア通路の一部が形成され、前記キャップ部材と前記弁体との間に前記油圧導入室が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記開閉弁機構の油圧導入路は、前記弁体の軸心近傍部に貫通状に且つ前記弁体の装着方向と平行に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記弁体は、前記出力部材の進退方向と直交する方向に進退可能に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記弁体は、前記出力部材の進退方向に進退可能に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記所定の位置が、前記出力部材の上昇限界位置、下降限界位置のうちの何れかの位置であることを特徴とする請求項2に記載の位置検出装置。」

第3 当事者の主張
(以下、甲第○号証及び乙第○号証を、それぞれ「甲○」及び「乙○」といい、当事者の主張する甲第○号証あるいは乙第○号証に記載された発明あるいは事項を、それぞれ「甲○記載発明」、「甲○記載事項」等という。また、行数により記載箇所を特定する場合には、空白行は行数に含めない。)

1. 請求人の主張する請求の趣旨及び理由
審判請求書(以下、「請求書」という。)、平成27年7月17日付け口頭審理陳述要領書(以下、「請求人要領書」という。)、平成27年7月31日付け口頭審理陳述要領書(2)(以下、「請求人要領書(2)」という。)及び平成27年8月27日付け上申書(以下、「請求人上申書」という。)によれば、請求人の主張する請求の趣旨は、本件特許発明1ないし7についての特許を無効とする、との審決を求めるものであり、その無効理由1ないし4の概要は、以下のとおりである。
無効理由1ないし3は、概略本件特許発明1ないし7は、甲1ないし甲9に記載された発明及び事項並びに従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるので、本件特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである、というものである。
無効理由4は、本件特許に係る特許出願(以下、「本件出願」という。)は、第1の手続の経緯に記載したとおり、原出願の一部を新たな特許出願としたものであるが、本件出願は、原出願の明細書に記載されていない新規な技術事項が追加されたものであるから、特許法第44条の規定に違反し、本件出願の出願日は、原出願の出願日ではなく現実の出願日である。したがって、本件特許発明1ないし7は、本件出願の出願日前に頒布された刊行物である原出願に係る公開公報である特開2013-82025号公報に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである、というものである。
無効理由1ないし4のそれぞれについて、請求人の主張をまとめると以下のとおりである。

(1) 無効理由1について

ア. 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1記載発明とを対比すると、以下の相違点1-1ないし1-3で相違し、その余で一致する。
相違点1-1:本件特許発明1は「位置検出装置」であるのに対し、甲1記載発明のパイロット弁Bは、ピストンロッドが所定の位置(後退ストローク端)に到達したときに動作される開閉弁機構であり、「位置検出装置」と明記されていない点
相違点1-2:本件特許発明1のエア通路はシリンダ本体内に形成されているのに対し、甲1記載発明のエア通路は、キャップ部材に形成されているが、シリンダ本体内には形成されていない点
相違点1-3:本件特許発明1は「油室の油圧のみによって弁体を進出」させているのに対し、甲1記載発明は「油室の油圧とバネ力とによって弁体を進出」させている点(請求書20ページ6行ないし21ページ下から11行)

相違点1-1について検討する。甲2記載の「位置センサ」あるいは甲4記載の「検出装置」を、甲1記載発明に適用して、甲1記載発明に相違点1-1に係る構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。(請求書21ページ下から7行ないし24ページ最下行)
また、甲4、甲13及び甲18記載の事項から、甲1記載発明を位置検出装置として利用すること、すなわち、相違点1-1に係る構成を甲1記載発明に備えることは、当業者が容易に想到し得たものである。(請求人上申書3ページ5行ないし6ページ下から9行)
相違点1-2について検討する。甲2、甲3、甲5及び甲6には、エア通路をシリンダ本体内あるいは弁ケースに形成する旨が記載されている。したがって、用途もスイッチ構造も共通する甲1記載発明に、甲2、甲3、甲5あるいは甲6記載事項を適用して、甲1記載発明に相違点1-2に係る事項を備えるようにすることは当業者が容易に想到し得たものである。また、甲2、甲3、甲5及び甲6のほか、弁体を収容する弁ケースがシリンダ本体に内蔵されることは、周知技術であって、エア通路をどこに決定するかは、適宜決定されることであって、シリンダ本体に形成することを阻害する事由も全くない。甲1記載発明において、エア通路をシリンダ本体に形成することは、当業者が適宜設定可能な事項である。(請求書25ページ1行ないし30ページ9行)
相違点1-3について検討する。甲3記載の「図11に示されたような差圧ピストン」、甲5記載の「弁部材62」、あるいは、甲6記載の「スライド弁42」を、甲1記載発明に適用することは、当業者が容易に想到し得たものである。(請求書30ページ下から6行ないし34ページ1行)
仮に、本件特許発明1が、「油室の油圧のみ」によって弁体を進出させるものであったとしても、甲3、甲5あるいは甲6記載事項を甲1記載発明に適用することは、当業者が容易に想到し得たものである。請求人要領書10ページ10行ないし12ページ2行)
以上のとおり相違点1-1ないし1-3は、いずれも甲2ないし6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるから、本件特許発明1には、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書34ページ2ないし6行)

また、甲1には、パイロット弁Bの制御流体が、「加圧エア」であるとの明記はないが、「(パイロット弁は)内部の部品を適切に潤滑できない」(1欄26ないし31行)との記載があり、当業者は、パイロット弁Bの制御流体が「加圧エア」であることを当然に理解する。(請求書16ページ下から9ないし5行)
仮にパイロット弁Bの制御流体が、「加圧エア」であるか明確ではないとしても、制御流体が加圧エアである甲2記載の「空圧パイロット弁」や甲4記載の「制御弁」を甲1記載発明に適用することは容易である。(請求人要領書7ページ下から11行ないし10ページ5行)

イ. 本件特許発明2について
本件特許発明2と甲1記載発明とを対比すると、相違点は、上記相違点1-1ないし1-3であり、その余で一致する。相違点1-1ないし1-3は、上記ア.で示したとおり、甲2ないし6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるから、本件特許発明2には、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書34ページ7ないし16行)

ウ. 本件特許発明3について
本件特許発明3と甲1記載発明とを対比すると、上記相違点1-1ないし1-3に加えて、以下の相違点1-4において相違し、その余で一致する。
相違点1-4:本件特許発明3の開閉弁機構の弁ケースとしてのキャップ部材は、シリンダ本体に形成された前記装着孔に挿入螺合されているのに対し、甲1記載発明の開閉弁機構のバルブ本体(弁ケース)21は、シリンダ本体に形成された前記装着孔に挿入された状態でボルトで固定されている点。(請求書34ページ下から7行ないし35ページ5行)

相違点1-4について検討する。甲2には、「ネジ孔76に螺合したプラグ74」との記載があり、甲6には、「六角プラグ44は、筒状ハウジング22に螺合されて」との記載がある。当該甲2あるいは6記載事項を、甲1記載発明に適用することで、上記相違点1-4に係る構成を甲1記載発明に備えることは、当業者が容易に想到し得たものである。(請求書36ページ6行ないし37ページ下から4行)
上記ア.示したとおり上記相違点1-1ないし1-3は、いずれも甲2ないし6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。加えて、相違点1-4は、甲2あるいは6に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるから、本件特許発明3は、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書37ページ1ないし7行)

エ. 本件特許発明4について
本件特許発明4と甲1記載発明とを対比すると、相違点は、上記相違点1-1ないし1-3であり、その余で一致する。相違点1-1ないし1-3は、上記ア.で示したとおり、甲2ないし6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるから、本件特許発明4には、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書37ページ8ないし38ページ2行)

オ. 本件特許発明5について
本件特許発明5と甲1記載発明とを対比すると、相違点は、上記相違点1-1ないし1-3であり、その余で一致する。相違点1-1ないし1-3は、上記ア.で示したとおり、甲2ないし6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるから、本件特許発明5には、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書38ページ3ないし12行)

カ. 本件特許発明6について
本件特許発明6と甲1記載発明とを対比すると、上記相違点1-1ないし1-3に加えて、以下の相違点1-5において相違し、その余で一致する。
相違点1-5:本件特許発明6は、弁体が出力部材の進退方向に進退可能に設けられているのに対し、甲1記載発明は出力部材の進退方向に直交する方向に進退可能に設けられている点。(請求書38ページ13ないし18行)

相違点1-5について検討する。甲2、甲3、甲5及び甲6のそれぞれには、「弁体」に相当する構成(甲2の操作具44及び弁部材46、甲3のパイロット弁63及び64、甲5の弁部材62、甲6のスライド弁42)が、「出力部材」に相当する構成(甲2のピストン24、甲3の作業ピストン21、甲5のピストン34、甲6の操作ピストン32)の進退方向に進退可能に設けられている点が記載されている。したがって、甲2、甲3、甲5あるいは甲6記載の当該事項を甲1記載発明に適用することで、上記相違点1-5に係る構成を甲1記載発明に備えたものとすることは、当業者が容易に想到し得たものである。(請求書38ページ下から5行ないし41ページ最下行)
また、進退可能な弁体を、出力部材の進退方向あるいは進退方向に直交する方向に設けるかは、開閉弁機構と出力部材との位置関係で適宜決定される事項であり、阻害事由は全く存在しないから、当業者が適宜設計可能な事項に過ぎない。(請求書42ページ1ないし5行)
以上のとおり、相違点1-1ないし1-3及び1-5は、いずれも甲2ないし6にそれぞれ記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるから、本件特許発明6には、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書42ページ10ないし13行)

キ. 本件特許発明7について
本件特許発明7と甲1記載発明とを対比すると、上記相違点1-1ないし1-3に加え、以下の相違点1-6において相違し、その余で一致する。
相違点1-6:本件特許発明7は、開閉弁機構によって検出される出力部材の「所定の位置」が「上昇限界位置・下降限界位置のうち何れかの位置」であるのに対し、甲1記載発明は出力部材が、水平方向の限界位置である点。(請求書42ページ下から8ないし3行)

相違点1-6について検討する。相違点1-6は、結局ピストンが垂直方向に移動するように配置されているか、水平方向に移動するように配置されているかの相違に過ぎない。甲7や甲8等に例示されるように、ピストンの位置を検出する装置に関する発明において、ピストンを垂直方向に配置した例は多い。また、水平方向に移動するピストンを垂直方向に移動するようにすることに、何らの阻害事由はない。よって、相違点1-6は、当業者が適宜設定可能な設計事項であり、容易に想到し得たものである。(請求書43ページ3ないし12行)
仮に相違点1-6が設計事項でないとしても、甲7記載の「クランプ状態」及び「アンクランプ状態」の検出は、上昇限界位置および下降限界位置にクランプ装置があることを確認するものであり、甲8記載の「検出ロッド62が空クランプ位置Mであることを検出」することは、クランプ装置が下降限界位置にあることを確認するものである。そうすると、上記甲7あるいは甲8記載の事項を、甲1記載発明に適用することは、当業者が容易に想到し得たものである。(請求書43ページ13行ないし46ページ1行)
以上のとおり、相違点1-6は、当業者が適宜選択可能な設計事項、または、甲7あるいは甲8記載の技術事項のいずれかを適用して当業者が容易に想到し得たものである。よって、本件特許発明7には、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書46ページ2ないし9行)

(2) 無効理由2について

ア. 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲2記載発明とを対比すると、以下の相違点2-1で相違し、その余で一致する。
相違点2-1:本件特許発明1の開閉弁機構には、油圧導入室と、油室と油圧導入室を連通させる油圧導入路を設け、油室の油圧によって弁体を出力部材側に進出させた状態に保持するのに対し、甲2記載発明のパイロット弁16は、バネ力及びエア通路内のエア圧によって進出させた状態に保持する点。(請求書50ページ下から6行ないし51ページ8行)

相違点2-1について検討する。甲1記載の「弁体」、甲3記載の「弁体」はいずれも油圧シリンダの油圧によって、進出させられるものである。甲2記載発明に、甲1あるいは甲3記載の事項を適用することで、相違点2-1に係る構成を備えた甲2記載発明とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。(請求書51ページ9行ないし53ページ3行)
甲2発明に甲3発明を適用する場合、甲2発明の弁部材46に甲3に記載された油圧導入孔を設け、甲3で適宜置換が可能であると説明されているように、付勢バネ50に代えて油圧導入室を設ければ良い。(請求人要領書19ページ7ないし10行)
以上のとおり、相違点2-1は、甲1あるいは甲3記載の事項を適用して、当業者が容易に想到し得たものであるから、本件特許発明2には、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書53ページ4ないし7行)

甲2発明には、「加圧エアが供給されたエア通路(通孔58)」「外界に連通したエア通路(排気孔64)」と、これらと開閉弁機構により選択的に開閉される「エア通路(通孔56)」の三つのエア通路が存在するが、「加圧エアが供給されたエア通路」と「外界に連通したエア通路」と当該通路を開閉する空圧バルブ16が存在するから、本件特許発明1の「一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路と、このエア通路を開閉可能な開閉弁機構」と同一である。(請求人要領書13ページ13ページ8ないし23行)
仮に、本件特許発明1では、開閉弁機構の開閉により、加圧エアが供給されたエア通路と外界に連通したエア通路とが「連通」するのに対し、甲2記載発明の加圧エアが供給されたエア通路(通孔58)と外界に連通したエア通路(通孔64)とが「連通」しないことが相違点であるとしても、加圧エアが供給されるエア通路と外界に連通したエア通路とを「連通」させることは、甲3並びに甲12ないし14の記載から、従来周知である。(請求人要領書14ページ2行ないし18ページ6行)

イ. 本件特許発明2について
本件特許発明2と甲1記載発明とを対比すると、相違点は、上記相違点2-1であり、その余で一致する。相違点2-1は、上記ア.で示したとおり、甲1あるいは甲3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるから、本件特許発明2には、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書53ページ8ないし17行)

ウ. 本件特許発明3について
本件特許発明3と甲2記載発明とを対比すると、相違点は、上記相違点2-1に加え、以下の相違点2-2及び2-3で相違し、その余で一致する。
相違点2-2:本件特許発明3の、弁体を収容する部材としての弁ケースは、シリンダ本体に形成された装着孔に挿入螺合されたキャップ部材を有し、そのキャップ部材にエア通路の一部が形成されているのに対し、甲2記載発明の弁ケースは、シリンダ本体に形成された装着孔に挿入された環状スリーブ84と、装着孔に螺合されたプラグ74aとを有し、上記環状スリーブ84にエア通路の一部が形成されている点。
相違点2-3:本件特許発明3の弁ケースのキャップ部材と弁体に間には、油圧導入室が形成されるのに対し、甲2記載発明の弁ケース(環状スリーブ84とプラグ74a)には、油圧導入室が形成されていない点(請求書53ページ19行ないし54ページ13行)

相違点2-2について検討する。環状スリーブ84とプラグ74aからなる弁ケースのいずれの部分にエア通路を形成するのかは、当業者が選択可能な設計事項に過ぎない。また、甲1には弁ケース(バルブ本体21)、甲6にはシリンダ本体に形成された装着孔に挿入螺合された弁ケース、そして、甲9には流体通路の一部が形成されたハウジング部分(弁ケース)6’がそれぞれ記載されているから、相違点2-2は、甲2記載発明に対して、上記甲1、甲6あるいは甲9に記載された事項を適用することで当業者が容易になし得たものでもある。(請求書54ページ14行ないし58ページ3行)
相違点2-3について検討する。上記相違点2-1と実質的に同一の相違点であるから、上記ア.で示したとおり、甲1あるいは甲3記載事項を適用することで、当業者が容易に想到し得たものである。(請求書58ページ4ないし17行)
以上のとおりであるから、本件特許発明3は、甲2記載発明に、甲1、甲3、甲6あるいは甲9記載の事項を適用して、当業者が容易に想到したものであるから、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書58ページ18ないし21行)

エ. 本件特許発明4について
本件特許発明4と甲2記載発明とを対比すると、上記相違点2-1に加え、以下の相違点2-4で相違し、その余で一致する。
相違点2-4:本件特許発明4には弁体の軸心近傍部に貫通状に且つ弁体の装着方向と平行に形成された油圧導入路が形成されているのに対し、甲2記載発明には油圧導入路がない点。(請求書58ページ最下行ないし59ページ5行)

相違点2-4について検討する。上記ア.で示したとおり、甲2記載発明に相違点2-1に係る構成を備えることは、当業者が容易に想到し得たものであるが、当該構成を備えた、すなわち、甲2記載発明の弁体において、甲1あるいは甲3記載の油圧導入路を形成するならば、当該油圧導入路は、弁体の軸心近傍部に貫通状に且つ弁体の装着方向と平行に形成されることになる。したがって、甲2記載発明に、相違点2-4に係る構成を備えることは、甲1あるいは甲3記載の事項を適用して、当業者が容易に想到し得たものである。(請求書59ページ6ないし18行)

オ. 本件特許発明5について
本件特許発明5と甲2記載発明とを対比すると、上記相違点2-1に加え、以下の相違点2-5で相違し、その余で一致する。
相違点2-5:本件特許発明5は、弁体が出力部材の進退方向と直交する方向に進退可能に設けられているのに対し、甲2記載発明は進退方向に進退可能に設けられている点。(請求書59ページ下から4行ないし60ページ4行)

相違点2-5について検討する。甲1には、スプール弁(弁体)29とピストンロッド16の進退方向が直行する点、及び、甲4には、スイッチ100のプランジャ126と、ピストン30の進退方向が直交する点がそれぞれ記載されているから、甲2記載発明に上記相違点2-5に係る構成を備えたものとすることは、甲1あるいは甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。また、弁体を出力部材の進退方向に進退可能に設けるか、出力部材の進退方向に直行する方向に進退可能に設けるかは、開閉弁機構と出力部材との位置関係で適宜決定すればよいものであるから、相違点2-5に係る構成は、単なる設計的事項である。(請求書60ページ5行ないし61ページ15行)
よって、本件特許発明5は、甲2記載発明に対し、甲1あるいは甲4記載の事項を適用して当業者が容易に発明することができたものである、もしくは甲2記載発明に対して、上記設計的事項を適用して当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明5には、特許法第29条第2項の規定に違反する無効理由がある。(請求書60ページ16ないし20行)

カ. 本件特許発明6について
本件特許発明6と、甲2記載発明とを対比すると、上記相違点2-1のみで相違し、その余で一致する。
上記ア.で示したとおり、甲1あるいは甲3記載の事項を適用することで、相違点2-1に係る構成を備えた甲2記載発明とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、本件特許発明6には、特許法第29条第2項の規定に違反する無効理由がある。(請求書61ページ下から4行ないし62ページ5行)

キ. 本件特許発明7について
本件特許発明7と、甲2記載発明とを対比すると、上記相違点2-1に加え、以下の相違点2-6で相違し、その余で一致する。
相違点2-6:本件特許発明7は、開閉弁機構によって検出される出力部材の「所定の位置」が「上昇限界位置・下降限界位置のうち何れかの位置」であるのに対し、甲2発明は出力部材が、水平方向の限界位置である点(請求書62ページ7ないし12行)

相違点2-6について検討する。ピストンの位置を検出する装置に関する発明において、ピストンを垂直方向に配置した例は、甲7及び8等に記載されているとおり数多く、かつ、奏することの阻害事由はないから、相違点2-6に係る事項は、当業者が適宜選択し得る設計的事項である。また、上記(1)のキ.に示したように、甲7記載の「クランプ状態」及び「アンクランプ状態」の検出は、上昇限界位置および下降限界位置にクランプ装置があることを確認するものであり、甲8記載の「検出ロッド62が空クランプ位置Mであることを検出」することは、クランプ装置が下降限界位置にあることを確認するものであるから、甲2記載発明に、相違点2-6に係る構成を備えることは、上記甲7あるいは8記載の事項を適用して当業者が容易に想到し得るものである。(請求書62ページ13行ないし64ページ7行)
したがって、本件特許発明7は、甲2記載発明に上記設計的事項を適用して当業者が容易に発明をすることができたものである、あるいは甲2記載発明に、上記甲7あるいは甲8記載の事項を適用して当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反する無効理由がある。(請求書64ページ9ないし15行))

(3) 無効理由3
ア. 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲3記載発明とを対比すると、以下の相違点3-1及び3-2で相違し、その余で一致する。
相違点3-1:本件特許発明1は「位置検出装置」であるのに対し、甲3記載発明の弁体は、ピストンロッドが所定の位置(後退ストローク端)に到達したときに動作される開閉弁機構であり、「位置検出装置」と甲3に明記されていない点
相違点3-2:甲3記載発明においては、ピストンを油圧駆動にした場合、反転動作する装置の制御流体(制御管路としての流路61に供給される加圧流体)が「加圧油」となるのに対し、本件特許発明1は、ピストンを油圧駆動にし、位置検出装置の制御流体を「加圧エア」としている点(請求書68ページ下から5行ないし69ページ13行)

相違点3-1について検討する。甲2には、ピストン24行程の行程端を検出する位置センサであって、ピストン24が所望の位置に移動したことを確認可能に構成した位置センサが記載されている。甲4には、ピストン30が所望の位置へ移動したことを確認する「プランジャ型スイッチ100」が記載されていて、当該プランジャ型スイッチ100は、シリンダ内に突出させたプランジャ126により、複数の空気ポートの間が連通するか否かにより、ピストン30が所望の位置へ移動したことを確認する検出装置である。したがって、甲3記載発明に相違点3-1に係る構成を備えることは、甲2あるいは甲4記載事項を適用して当業者が容易に想到し得たものである。(請求書69ページ14行ないし71ページ14行)
甲3記載発明は、「ピストンが『行程端位置』に達したときに、ピストンの動作を反転させる」ものであるから、甲3記載発明は、「ピストンの位置検出機能」と「ピストン動作」の反転機能」とからなる複合的な発明であり、甲3記載発明の「パイロット弁63、64」は「ピストンの位置検出装置」としても機能している。(請求人上申書7ページ1ないし下から2行)
相違点3-2について検討する。甲1には、油圧シリンダのピストン10の行程端を検出する為、一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路と、このエア通路を開閉可能な開閉弁機構とを備えた位置センサが記載されている。甲4には、開閉弁機構として図3の構成が記載され、「図3についていえば、プランジャ型スイッチ100が記載されている。そのスイッチ100は、エア弁センサを利用するように変更されている。」(5欄11ないし13行)との記載もあるから、ピストンを油圧駆動にしながら、位置検出装置の制御流体を「加圧エア」とする構成が記載されている。したがって、甲3記載発明に、相違点3-2に係る構成を備えることは、甲1あるいは4記載事項を適用して当業者が容易に想到し得たものである(請求書71ページ15行ないし73ページ3行)
また、ピストンの駆動流体と制御流体について、別々の供給源から、別々の加圧流体を供給することは、前述のとおり甲2や甲4で明記されているし、甲12などにも開示された周知技術に過ぎない。(請求人要領書21ページ下から6ないし4行)
さらに、油圧シリンダを自動的に往復させるための「油圧四方弁」について、「空気圧で操作する油圧四方弁」を利用できることは、甲17にも記載があるように、技術常識である。(請求人要領書(2)6ページ下から9ないし5行)
したがって、本件特許発明1は、甲3記載発明、甲1、甲2及び甲4記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反した無効理由がある。(請求書73ページ4ないし7行)

イ. 本件特許発明2について
本件特許発明2と甲3記載発明とを対比すると、上記相違点3-1及び3-2に加え、以下の相違点3-3で相違し、かつ、その余で一致する。
相違点3-3:本件特許発明2は、出力部材が所定の位置にない状態で、開閉弁機構の流路は開弁状態を維持し、所定の位置に達した時に閉弁状態となり、圧力が設定圧以上に上昇したことで所定の位置にあることを検出するのに対し、甲3記載発明は、出力部材が所定の位置にない状態で、開閉弁機構の流路は閉弁状態を維持し、所定の位置に達した時に開弁状態となり、圧力が設定圧以下に低下したことで所定の位置にあることを検出する点。(請求書73ページ9ないし17行)

相違点3-3について検討する。開閉弁機構において、弁体に外力(出力部材による押圧力)が掛かっていない状態で、閉弁状態とするか、開弁状態とするかは、当業者が適宜選択可能な設計事項にすぎない。また、本件特許発明3のように、弁体に外力(出力部材による押圧力)が掛かっていない状態で、開弁状態に維持する構成は、甲1の図1の説明部分、甲2の図3、甲7の図1と図4、甲10の図10と図11に記載されており、本件技術分野においては周知技術である。さらに、甲1記載の開閉弁機構は、出力部材が所定の位置にない状態で、開閉弁機構の流路は開弁状態を維持し、所定の位置に達した時に閉弁状態となり、圧力が設定圧以上に上昇したことで所定の位置にあることを検出するものである。そうすると、甲3記載発明に上記相違点3-3に係る構成を備えることは、上記設計的事項を適用するか、上記従来周知の事項を適用するか、あるいは、上記甲1記載の事項を適用することで、当業者が容易に想到し得たものである。(請求書73ページ下から7行ないし74ページ下から8行)
したがって、本件特許発明2は、甲3記載発明、甲1、甲2及び甲4記載の事項、並びに、従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書74ページ下から7ないし最下行)

ウ. 本件特許発明3について
本件特許発明3と甲3記載発明とを対比すると、上記相違点3-1ないし3-3に加え、以下の3-4で相違する。
相違点3-4:本件特許発明3では、弁体を収容する部材としての弁ケース(キャップ部材)は、シリンダ本体に形成された装着孔に挿入螺合され、そのキャップ部材にはエア通路の一部が形成されているのに対し、甲3記載発明の弁ケースは、シリンダ本体と一体化されている点(請求書75ページ2ないし9行))

相違点3-4について検討する。甲6には、流路を形成した弁ケースが、シリンダ本体に形成された装着孔に挿入螺合された技術事項が記載されている。よって、甲3記載発明に相違点3-4に係る構成を備えることは、上記甲6記載の事項を適用することで当業者が容易に想到し得たものである。(請求書75ページ10行ないし76ページ7行)
したがって、本件特許発明3は、甲3記載発明、甲1、甲2、甲4及び甲6記載の事項、並びに、従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書76ページ8ないし14行)

エ. 本件特許発明4について
本件特許発明4と甲3記載発明とを対比すると、上記相違点3-1ないし3-3で相違し、その余で一致する。そして、上記ア.及びイ.で示したとおり、これらの相違点に係る構成を甲3記載発明に備えることは、当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、本件特許発明4は、甲3記載発明、甲1、甲2及び甲4記載の事項、並びに、従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書76ページ15行ないし77ページ1行)

オ. 本件特許発明5について
本件特許発明5と甲3記載発明とを対比すると、上記相違点3-1ないし3-3に加えて、以下の相違点3-5で相違し、その余で一致する。
相違点3-5:本件特許発明5は、弁体が出力部材の進退方向と直交する方向に進退可能に設けられているのに対し、甲3記載発明は進退方向に進退可能に設けられている点。(請求書77ページ3ないし8行)

相違点3-5について検討する。甲1記載のスプール弁(弁体)29は、出力部材であるピストン10及びピストンロッド16の進退方向と直交する方向に進退可能に設けられていることが記載されている。甲4には、「弁体」に相当するプランジャ型スイッチ100のプランジャ126が、出力部材であるピストン30の進退方向と直交する方向に進退可能に設けられていることが記載されている。したがって、甲3記載発明に相違点3-5に係る構成を備えることは、甲1あるいは甲4記載の事項を適用して当業者が容易に想到し得たものである。また、弁体を出力部材の進退方向に進退可能に設けるか、出力部材の進退方向に直行する方向に進退可能に設けるかは、開閉弁機構と出力部材との位置関係で、当業者が適宜決定することのできる設計的事項でもある。(請求書77ページ9行ないし78ページ下から3行)
したがって、本件特許発明5は、甲3記載発明、甲1、甲2及び甲4、並びに、従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書78ページ下から3行ないし79ページ3行)

カ. 本件特許発明6について
本件特許発明6と甲3記載発明と対比すると、上記相違点3-1ないし3-3で相違し、その余で一致する。そして、上記ア.ないしイ.で示したとおり、これらの相違点に係る構成を甲3記載発明に備えることは、当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、本件特許発明6は、甲3記載発明、甲1、甲2及び甲4記載の事項、並びに、従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書79ページ4ないし14行)

キ. 本件特許発明7について
本件特許発明7と甲3記載発明とを対比すると、上記相違点3-1ないし3-3に加え、以下の相違点3-6で相違する。
相違点3-6:本件特許発明7は、開閉弁機構によって検出される出力部材の「所定の位置」が「上昇限界位置・下降限界位置のうち何れかの位置」であるのに対し、甲3記載発明は出力部材が、水平方向の限界位置である点。(請求書79ページ下から8ないし2行)

相違点3-6について検討する。ピストンの位置を検出する装置に関する発明において、ピストンを垂直方向に配置した例は、甲7及び甲8等に記載されているとおり数多い。かつ、水平方向に移動するピストンを、垂直方向に移動するよう変更することに何らの阻害事由はない。したがって、相違点3-6に係る事項は、当業者が適宜選択し得る設計的事項である。また、甲7記載のクランプ装置が、クランプ、アンクランプ状態(上昇限界位置、下降限界位置)にあることを、圧力流体の圧力変化によって確認する装置であることが、甲7には記載されているし、上記(1)のキ.に示したように、甲8記載のクランプ装置が下降限界位置にあることを、圧力流体の圧力変化によって確認する装置であることが、甲8には記載されているから、甲3記載発明に、相違点3-6に係る構成を備えることは、甲7あるいは甲8記載の事項を適用することで、当業者が容易に想到し得たものである。(請求書79ページ最下行ないし81ページ下から9行)
したがって、本件特許発明7は、甲3記載発明、甲1、甲2、甲4、甲7及び甲8記載の事項、並びに、従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に違反する無効理由が存在する。(請求書81ページ下から8行ないし82ページ3行)

(4) 無効理由4

ア. 原出願明細書に記載された事項
本件特許の分割前の原出願の明細書には以下の記載がある(なお、この段落の下線は請求人が付した。)。(請求書83ページ2ないし24行)

(ア)
「【0004】特許文献2のクランプ装置においては、流体圧シリンダの出力ロッドの昇降動作に連動してエア通路を開閉する機構を設け、出力ロッドの上昇位置と下降位置とを検出可能に構成してある。」

(イ)
「【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-87991号公報
【特許文献2】特開2003-305626号公報
【特許文献3】特開2009-125821号公報」

(ウ)
「【0008】特許文献2のクランプ装置においては、出力ロッドの上昇位置と下降位置とを検出する機構をクランプ本体の外側に構成する。そのため、特許文献1のクランプ装置と同様に、クランプ本体の外部に検出スペースが必要となるから、クランプ装置をコンパクトに構成することができない。しかも、エア通路を開閉する検出具を検出孔に対して摺動自在に移動させる構造であるため、長期間使用した場合にエア通路を閉止する性能が低下する虞がある。」

(エ)
「【0010】本発明の目的は、出力部材が所定の位置に達したことをシリンダ本体内のエア通路のエア圧の圧力変化を介して確実に検知可能な位置検出装置を提供すること、出力部材の所定の位置を検出する信頼性や耐久性を向上し得る位置検出装置を提供することである。」

イ. 「特許文献2」に記載された事項
上記ア.の摘記箇所(イ)に記載された【特許文献2】である特開2003-305626号公報(甲8)には、以下の記載がある。(請求書83ページ下から3行ないし84ページ10行)

(ア)
「【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、例えば、図1から図4、または図5から図9に示すように、クランプの動作検出装置を次のように構成した。ハウジング3内にクランプロッド5を軸心方向へ移動可能に挿入し、上記クランプロッド5の軸心とほぼ同心上で上記ハウジング3の一端壁3bに検出孔58を形成し、その検出孔58の周面に圧力流体供給用の入口孔71(72)を開口し、上記の検出孔58に検出具62を軸心方向へ移動可能に嵌入し、その検出具62の外周面に、上記の入口孔71(72)の開口部71a(72a)を閉じる閉止面68と、上記の開口部71a(72a)を外気へ連通させる凹所69を設け、上記クランプロッド5の一端部に操作部5aを設けて、その操作部5aを上記の検出具62に半径方向へ相対移動可能に連結した」

(イ)【図6】


ウ. 「特許文献2」に開示された発明と本件特許の原出願明細書が除外した発明
上記摘記事項ア.及びイ.の記載から、原出願の明細書は、「特許文献2」記載の発明が、「エア通路を開閉する検出具を検出孔に対して摺動自在に移動させる構造であるため、長期間使用した場合にエア通路を閉止する性能が低下する虞がある」との問題点を有することを指摘し、当該問題を解決しようとして、原出願に係る発明は、開閉弁機構として、弁体が摺動しない「ポペット弁」(弁体が弁座に当接する構成)を採用し、特許請求の範囲にも「・・・この弁体が当接可能な弁座・・・」が明記されていた。
しかし、本件特許明細書の当該分割時の特許請求の範囲に記載には、「この弁体が当接可能な弁座」との限定が除かれ、弁体が弁体挿入孔に摺動することによって、弁機構の開閉を切り換える、いわゆる「スプール弁」がその権利範囲に含まれることとなった。しかし、スプール弁は、まさに「エア通路を開閉する部材(弁体)を検出孔(弁体挿入孔)に対して摺動自在に移動させる構造」であり、本発明において、解決する課題とされた上記問題点を内包する構成であるから、本件特許に係る分割出願は、原出願において、明確に除外された発明を取り込むものであり、原出願の明細書に記載されていない新たな技術事項を追加したものである。(請求書84ページ下から8行ないし86ページ9行)

エ. 分割出願の適否と無効理由4
分割後の新出願が、原出願明細書に記載されていない新たな技術事項を付加する場合には、「原出願明細書に記載された発明の範囲内」とは言えず、特許法44条の規定に違反するから、特許法44条2項の適用を受けない。よって、本特許の出願日は、現実に分割出願が行われた平成25年7月5日となるところ、原出願は平成25年5月9日に公開され(特開2013-82025号公報)、そこに記載された実施例は、本特許の実施例と同一である。したがって、本特許の請求項1ないし同7に係る発明は、その出願日前に頒布された甲11(特開2013-82025号公報)に記載された発明と同一であるから、特許法29条1項3号に違反した無効理由がある。(請求書86ページ10ないし21行)

(5) 請求人の証拠方法
請求人は審判請求書において、証拠方法として以下の甲1ないし11を提出している。また、平成27年7月17日付け口頭審理陳述要領書において、甲12ないし16を提出している。さらに、平成27年7月31日付け口頭審理陳述要領書(2)において、甲17を提出し、平成27年8月27日付け上申書において、甲18を提出している。
甲1:米国特許第3530896号明細書
甲2:米国特許第3555966号明細書
甲3:英国特許出願公開第1140216号明細書
甲4:米国特許第4632018号明細書
甲5:米国特許第3348803号明細書
甲6:米国特許第3463055号明細書
甲7:特開平6-15549号公報
甲8:特開2003-305626号公報
甲9:米国特許第6761186号明細書
甲10:特開2009-190137号公報
甲11:特開2013-82025号公報
甲12:実願昭62-158511号(実開平1-65403号)のマイクロフィルム
甲13:実願昭62-102171号(実開昭64-6373号)のマイクロフィルム
甲14:特開昭48-83279号公報
甲15:一次審判(無効2013-800210号)における平成26年11月20日付け補正許否の決定
甲16:一次審判における審判請求書の請求の理由を対象とした平成26年9月17日付け手続補正書
甲17:金子敏夫著、「空圧機器と応用回路」、日刊工業新聞社、昭和43年2月29日3版発行、表紙、234ないし237ページ、奥付
甲18:特開昭59-212503号公報

2. 被請求人の主張する答弁の趣旨
被請求人の答弁の趣旨は、本件審判請求は成り立たない、との審決を求めるもので、その主張は以下のとおりである(なお、この段落の下線は、被請求人が付したものである。)。

(1)「外界」の解釈について(答弁書7ページ2行ないし9ページ6行))
本件特許発明1には、「前記シリンダ本体内に形成され且つ一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路」、「このエア通路を開閉可能な開閉弁機構」及び「前記出力部材により前記弁体を移動させて前記開閉弁機構の開閉状態を切り換え、前記エア通路のエア圧を介して前記出力部材が前記所定の位置に達したことを検知可能に構成した」と規定されている。したがって、本件特許発明1の「外界」とは、単にシリンダ本体の外部を意味するものではなく、開閉弁機構がエア通路を開いたときにエア通路の一端部側のエア圧を低下させるものであり、「加圧エア」よりも低圧の外部空間を意味することが明確に理解できる。
また、本件特許発明2の「前記開閉弁機構は、前記エア通路を外界に開放する開弁状態に切換えられ、当該切換えにより前記開閉弁機構に対して前記一端部側に位置する前記エア通路の圧力を低下させる」との記載から、本件特許発明2の「外界」とは、「加圧エア」よりも低圧の外部空間であって、ここに「エア通路」が連通したときに、「エア通路」の一端側のエア圧が低下するような空間であるという解釈が、請求項の記載のみに基づいて明確に理解できる。

(2) 無効理由1について

ア. 甲1記載発明の認定の誤りについて
請求人の主張する甲1記載発明の認定は、少なくとも以下の点で誤りである。

(ア)
本件発明に係る位置検出装置は、出力部材の所定の位置を確実に検知可能としているものである。請求人は、甲1記載発明においてもパイロット弁Bが出力部材の位置を検知可能に構成されていると主張する。しかし、甲第1記載発明は、「ある装置の油圧パワーアクチュエータの動作と他の装置の油圧パワーアクチュエータの動作とをサイクル動作させることが所望される油圧制御システム」に関するものであり、出力部材の位置を検知することを目的とするものではない。甲第1号証に記載の発明において、パイロット弁Bは、ピストン15がストロークエンド付近に達したときに、三方弁を切り換えて油圧パワーアクチュエータの動作を制御するためのものであり、流体圧シリンダの出力部材の所定の位置を検知するものではない。(答弁書9ページ11ないし下から最下行)

(イ)
請求人は、甲1には「加圧エア」の明記はないが、制御流体に「加圧油」が利用されていれば、パイロット弁内の部品は制御流体で当然潤滑され、これらの部品が「潤滑できない」との甲1記載の問題が生じ得ないから、制御流体は「加圧エア」であると主張する。しかし、当該問題は、「従来から利用されているパイロット弁ユニットと連動カムは、少なくとも可動部分の一部が外部に開放され」、「この開放された可動部分は、汚染物が侵入しやすい」との理由によるものであって、「加圧エア」を用いたからではない。甲1記載発明は、パイロット弁Bによって油圧アクチュエータをサイクル動作させるものであるから、パイロット弁Bの制御流体は加圧油であると理解されるべきである。また、甲1の「本発明の重要な特徴は、アクチュエータ流体がパイロット弁の部品の潤滑剤としても機能することにある」(甲1訳文6/6頁4ないし5行目)との記載からもパイロット弁Bの制御流体が加圧油であることは明らかである。(答弁書10ページ1ないし最下行)

(ウ)
請求人は、甲1記載の「孔延長部33」及び「軸孔路48」が本件特許発明1の「油圧導入室」及び「油圧導入路」に各々相当すると主張する。しかし、甲1に記載された「孔延長部33」に導入された油圧は「弁体29」をバランスさせるものにすぎず、進出させる力はゼロである。本件特許発明1は、「前記油室の油圧によって前記弁体を前記出力部材側に進出させた状態に保持する油圧導入室」と規定しており、油圧によって弁体を出力部材側に進出させる力を発生させなければならないから、甲1記載のパイロット弁Bは、「前記油室の油圧によって前記弁体を前記出力部材側に進出させた状態に保持する油圧導入室」を備えない。(答弁書11ページ1ないし12行)

イ. 一致点、相違点の認定について
上記ア.に示したとおり、本件特許発明1と甲1記載発明とを対比すると、請求人主張の相違点に加え、次の三点において相違する。
甲1には、「一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路」が記載されていない点。
甲1記載の「孔延長部33」に導入された油圧は「弁体29」をバランスさせるものにすぎず、進出させる力はゼロであるから、甲1は、本件特許発明1の「前記油室の油圧によって前記弁体を前記出力部材側に進出させた状態に保持する油圧導入室」、及び「前記油室と前記油圧導入室とを連通させる油圧導入路」を開示するものではない点。
甲1記載のものは、ピストン15の位置検知を示すものではなく、「前記出力部材が所定の位置に達したときに、前記出力部材により前記弁体を移動させて前記開閉弁機構の開閉状態を切り換え、前記エア通路のエア圧を介して前記出力部材が前記所定の位置に達したことを検知可能に構成した」との構成は、甲1には記載も示唆もなされていない点。(答弁書11ページ下から6行ないし12ページ13行))

ウ. 容易想到性について
本件特許発明1は、甲1記載発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たとは、以下の理由によりいうことはできない。

(ア)
甲1記載発明は、パイロット弁Bによって油圧アクチュエータをサイクル動作させるものにすぎず、出力部材(ピストン15)の位置を検知するという発想が生じるはずもなく、ここに位置検知の構成を適用しようとする動機づけもない。よって、本件特許発明1の構成要件は、甲1記載発明を出発点として当業者が容易に想到し得たものではない。(答弁書12ページ17ないし最下行)

(イ)
甲1記載のパイロット弁Bの制御流体が加圧油であることは明らかである。また、甲1の、「本発明の重要な特徴は、アクチュエータ流体がパイロット弁の部品の潤滑剤としても機能することにある」(甲1訳文6/6頁4ないし5行目)との記載から、パイロット弁Bの制御流体を加圧エアにすることは甲1記載発明の上記「重要な特徴」に反することとなるから、これを当業者が容易に想到し得たということは到底できない。
甲1記載発明を改変して本件発明の「エア通路」を得るためには、パイロット弁Bに通じる流路を大気圧の外部空間(外界)に開放しなければならない。しかし、甲1においては、従来の構造においてパイロット弁ユニットの一部が外部に開放されていることを問題としていることから、パイロット弁Bは大気圧の外部空間に開放され得ないものと理解しなければならない。よって、「一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路」との構成を甲1記載発明に適用することはできない
さらに、本件発明の「エア通路」は「シリンダ本体」に形成されたものであるのに対し、甲1記載のパイロット弁Bは、シリンダに組み付けられるバルブ本体21に設けられるものであり、「シリンダ本体」に形成されたものではない。そして、甲1記載のパイロット弁Bの構造をシリンダ本体に形成する動機づけも存在しない。(答弁書13ページ1行ないし14ページ2行)

(ウ)
上記ア.(ウ)に示したとおり、請求人の甲1記載の「孔延長部33」及び「軸孔路48」が本件発明1の「油圧導入室」及び「油圧導入路」に各々相当すると主張は、失当である。したがって、係る点を前提とする甲3、5及び6記載の発明との組み合わせにより、本件特許発明1の「前記開閉弁機構は、前記シリンダ本体に形成した装着孔に進退可能に装着された弁体と、前記油室の油圧によって前記弁体を前記出力部材側に進出させた状態に保持する油圧導入室と、前記油室と前記油圧導入室とを連通させる油圧導入路とを備え、」との構成を、当業者は容易に想到し得る旨の主張も失当であり、甲1記載発明を「油圧によって弁体を出力部材側に進出させる」ものに改変する動機付けはない。(答弁書14ページ3ないし12行)

エ. まとめ
本件特許発明1は、甲1記載発明を出発点として、当業者が容易に発明することができたものではない。そして、本件特許発明1が進歩性を有するのであるから、請求項1の従属請求項に係る発明の本件特許発明2ないし7が進歩性を有すことも明らかである。
したがって、甲1記載発明を主たる引用発明として本件特許発明の進歩性欠如をいう請求人の主張する無効理由1には理由がない。(答弁書14ページ13ないし最下行)

(3) 無効理由2について

ア. 甲2記載発明の認定について

(ア)
甲2記載発明は、「弁操作具44」及び「弁部材46」を「バネ50」の付勢力によって「ピストン24」側に付勢するものであり、「油圧導入室」及び「油圧導入路」を備えるものではない。(答弁書15ページ3ないし14行)

(イ)
甲2記載発明は、圧力入口孔としての「通孔58」と圧力出口孔としての「通孔56」とが「弁部材46」により連通または遮断されるものの、圧力出口孔としての「通孔56」は外界に連通するものではなく、排気用の「通孔64」が別に設けられている。そして、圧力入口孔としての「通孔58」と排気用の「通孔64」とが連通することはない。甲2記載発明は、三方弁による流路の切換えを行なうものであり、「加圧エアが供給される一端部」と「外界に連通する他端部」とは連通することがないから、本件発明でいうところの「エア通路の開閉」を行なうものではない。甲2記載発明は、「前記シリンダ本体内に形成され且つ一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路」及び「このエア通路を開閉可能な開閉弁機構」を備えるものではない。さらに、甲2記載発明では、圧力入口孔としての「通孔58」と排気用の「通孔64」とが連通することはなく。「開閉弁機構に対して一端部側に位置するエア通路」の圧力が、本件特許発明2のように上昇したり低下することはない。(答弁書15ページ17行ないし17ページ7行)

イ. 一致点、相違点の認定について
上記1.(2)ア.の請求人の主張する相違点2-1に加え、甲2記載発明は、圧力出口孔である「通孔56」が外界に連通せず、圧力入口孔である「通孔58」は排気用の「通孔64」に連通することがないため、本件特許発明1の「一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路」及び「このエア通路を開閉可能な開閉弁機構」、ならびに、「出力部材により弁体を移動させて開閉弁機構の開閉状態を切り換え、エア通路のエア圧を介して出力部材が所定の位置に達したことを検知可能」との構成が、甲第2号証には記載も示唆もなされていない。(答弁書17ページ8ないし23行)

ウ. 容易想到性について
本件特許発明1は、甲2記載発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たとは、以下の理由によりいえない。

(ア)
甲2記載発明は、「油圧導入室」及び「油圧導入路」を備えるものではない。そもそも、甲2記載発明においては、「弁部材46」を収納する「弁孔53」に、「弁部材46」により制御される制御流体(加圧エア)の圧力を「通孔58」(圧力入口孔)から導入して、「弁部材46」に進出方向の力を作用させるものであるから、この「弁孔53」に「ピストン24」を駆動するための流体圧力(油圧)を導入しようという発想は生じ得ない。
また、甲1記載の「孔延長部33」に導入された油圧は「弁体29」をバランスさせるものにすぎず、進出させる力はゼロであり、甲1記載の「孔延長部33」及び「軸孔路48」が本件特許発明1の「油圧導入室」及び「油圧導入路」に各々相当するとの請求人主張は失当である。さらに、甲3記載の事項は、油圧と空圧という異なる流体を用いることは想定されていないから、「開閉弁機構」によって「加圧エア」を制御しながら、その「開閉弁機構」に「油圧」を導入するための「油圧導入室」及び「油圧導入路」を設けるという本件発明の思想は、甲第3号証にも記載も示唆もなされていない。よって、甲2記載発明に、甲第1あるいは3記載の事項を組み合わせても、本件特許発明1を得ることはできない。(答弁書17ページ下から3行ないし19ページ3行)

(イ)
甲2記載発明は、圧力出口孔である「通孔56」が外界に連通せず、圧力入口孔である「通孔58」は排気用の「通孔64」に連通することがない。本件特許発明1の特定事項である「一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路」を開閉可能な「開閉弁機構」が甲第2号証に示されているとはいえない。(答弁書19ページ4ないし20行)

エ. まとめ
本件特許発明1は、甲2記載発明を出発点として、当業者が容易に発明をすることができたものではない。そして、本件特許発明1が進歩性を有するのであるから、請求項1の従属請求項に係る発明の本件特許発明2ないし7が進歩性を有すことも明らかである。
したがって、甲2記載発明を主たる引用発明として本件特許発明の進歩性欠如をいう請求人の主張する無効理由2には理由がない。(答弁書19ページ下から6行ないし20ページ最下行)

(4) 無効理由3について

ア. 甲3記載発明の認定について
甲3は、既に審決が確定した本件特許に対する先の一次審判事件(無効2013-800210)における甲12である。また、甲3は、米国特許第3540348号明細書(乙4)と同じく、1965年5月20日にドイツでされた出願(出願番号:St23856)を基礎とする優先権を主張するものであり、乙4と実質的に同じ内容を含むものである。乙4は、一次審判における甲1である。(答弁書21ページ3ないし12行)

(ア)
本件特許発明1は、出力部材の所定の位置を確実に検知可能に構成されているものであるのに対し、甲3記載発明は、ピストンの駆動が停止するのを防止することを目的とするものであり、出力部材の位置を検知することを目的とするものではない。甲3記載のパイロット弁63,100は、ピストン21がストロークエンド付近に達したときに、四方弁36または三方弁37に圧力を与えるためのものであり、流体圧シリンダの出力部材の所定の位置を検知するものではない。(答弁書21ページ13ないし24行)

(イ)
本件特許発明1の位置検出装置では、出力部材の駆動を油圧で行ない、開閉弁機構によりエア圧を制御するものであるのに対し、甲3記載発明は、ピストン21の駆動を油圧で行なう場合は、パイロット弁63、100の制御流体も加圧油となる。(答弁書21ページ下から3行ないし22ページ3行)

イ. 容易想到性について

(ア)
甲3記載発明を「位置検出装置」とするためには、ピストン21の駆動流体を供給する流路と、パイロット弁63、100の制御流体を供給する流路とが互いに独立していることが必要となるところ、甲3記載発明では、ピストン21の駆動動作、パイロット弁63、100の開閉動作及び圧力変化、四方弁36または三方弁37の動作及び当該動作に伴なう流体の圧力変化を、共通の流体を用いることで相互に関連させて動作及び圧力変化を生じさせ、ピストン21の反転動作の制御を行なうように構成されており、制御管路61、93と、分岐路43とを相互関連しないものに改変することはできない。(答弁書22ページ10行ないし23ページ2行)

(イ)
甲3の図1に記載された例(四方弁36を用いるもの)も、甲3の図9に記載された例(三方弁37を用いるもの)も、油圧と空圧という異なる流体を用いることは想定されておらず、甲第3号証に記載の発明においてパイロット弁63,100の制御流体を「加圧エア」とするのを想到することは困難なことである。(答弁書23ページ3ないし15行)

ウ. まとめ
本件特許発明1は、甲3記載発明を出発点として、当業者が容易に発明することができたものではない。そして、本件特許発明1が進歩性を有するのであるから、請求項1の従属請求項に係る発明の本件特許発明2ないし7が進歩性を有すことも明らかである。
したがって、甲3記載発明を主たる引用発明として本件特許発明の進歩性欠如をいう請求人の主張する無効理由3には理由がない。(答弁書23ページ下から4行ないし24ページ7行)

(5) 無効理由4について

請求人の、上記1.(4)ア.における、無効理由4についての主張は、原出願の明細書の段落【0008】の記載内容を、以下のとおり曲解したものであるから失当である。

原出願明細書の段落【0008】の記載は、先行技術文献である特許文献2(特開2003-305626号公報)に示す構造の問題点を説明するものであり、仮に当該段落の記載によって意識的に除外される部分があるとしても、特許文献2に示す構造と同等のものが除外されるにすぎない。
特許文献2に示す構造は、検出具62がクランプロッド5と一体化されたものであるため、クランプロッド5(出力部材)の移動距離がそのまま検出具62(弁体)の移動距離となり、クランプロッド5の往復動に伴なう検出具62の移動距離が大きい。この結果、摺動部の摩耗が進みやすい。原出願明細書の段落【0008】では、これを「長期間使用した場合にエア通路を閉止する性能が低下する虞がある。」と指摘したものである。本件特許発明1は、エア通路を開閉する弁体の移動距離が出力部材のものに比べて小さいので、特許文献2のような問題が生じることはない。
さらに、原出願明細書の段落【0008】の記載から、特許文献2の第一義的な課題は、クランプ本体の外部に検出スペースを有することであり、請求人主張の摺動に係る課題は副次的なものである。本件発明は、第一義的な課題が達成できれば足りるものであり、副次的な課題までも達成されるものに限定する必要もない。
原出願の明細書の【0097】には「4)・・・本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の開閉弁機構を採用することができる。」との記載がある。一方、乙5によれば、原出願の出願時において、「スプール弁」は「ポペット弁」とともによく知られた構造であり、「スプール弁」が明示的に示されていないからといって、原出願の範囲から意識的に除外された発明ということはできない。(請求書25ページ2行ないし27ページ下から9行)

以上のとおりであるから、本件特許発明は、原出願の明細書に記載されたものであり、本件特許に係る分割出願は適法なものであるから、請求人主張の無効理由4には理由がない。

(6) 被請求人の証拠方法
被請求人は答弁書において、乙1ないし5を提出している。
乙1:新村出編、「広辞苑」、(株)岩波書店、2008年1月11日第6版第1刷発行、表紙、452ないし455ページ、奥付
乙2:(財)法曹会編、「最高裁判所判例解説民事篇 平成三年度」、(財)法曹会、平成6年2月25日第1版第1刷発行、表紙、28ないし51ページ、奥付
乙3:無効2013-800210号審判事件審決
乙4:米国特許第3540348号明細書
乙5:(社)日本油空圧学会編、「新版 油空圧便覧」、(株)オーム社、1989年2月25日第1版第1刷発行、表紙、453ないし458ページ

第4 当審の判断

1. 各書証の記載、各書証記載の発明及び記載の事項
(以下、甲○に記載の発明及び事項を、「甲○発明」及び「甲○事項」という。なお、日本語訳は、請求人が付した日本語訳に基づいて当審で付した仮訳である。また、記載箇所を行数により特定するときには、各書証に行数を示す番号が記載されている場合には、その番号により特定し、そのような番号がない場合には、行数により特定した。その際に、空白行は行数に含めない。そして、下線は理解の便のため当審で付した。)

(1) 甲1

ア. 本件遡及出願日前に頒布された刊行物である甲1には以下の記載がある。

(ア)
「The invention relates to a hydraulic power actuator which is combined with a pilot valve to provide a unit assembly for controlling fluid control circuits in timed relation to the operation of the power actuator.」(1欄5ないし8行)
(本発明は、パイロット弁を組み合わせた油圧パワーアクチュエータに関し、そのパワーアクチュエータの動作にタイミングを合わせて流体制御回路を制御するためのユニット組立体を提供するものである。)

(イ)
「The pilot valve unit and associated cam, as heretofore utilized, were more or less openly exposed with respect to at least a portion of their moving parts. These exposed moving parts were easily susceptible of contamination and lacked proper provision for proper protection against the elements, or for lubricating internal parts.
・・・
The above noted problem as well as others inherent in the presently known conventional arrangements have to a great extent been eliminated by the herein described invention by providing a unitized assembly wherein the cycling pilot control valve is intimately associated with the power actuator in order to provide an integrated unit assembly, wherein the operatively associated moving parts of the actuator and pilot valve will be entirely enclosed, and in which the pilot valve means will be lubricated by the pressurized fluid medium utilized for motivating the actuator. 」(1欄26ないし46行)
(従来から利用されているパイロット弁ユニットと連動カムは、少なくとも可動部分の一部が外部に多少開放されていた。これらの開放された可動部分は、汚染物が侵入しやすく、構成要素を適切に保護できず、また、内部の部品を適切に潤滑できない。
・・・
従来の配置が有している、以上に述べた問題点のかなりの範囲は、他の知られた問題点も含めて、パワーアクチュエータと密接に関連するサイクリングパイロット制御弁が、一つの結合された組立体とするために一体化され、作動の際に稼働するアクチュエータやパイロット弁の可動部分が完全に囲まれるようにし、そして、アクチュエータを駆動するために用いられる加圧流体媒体によって、パイロット弁部材が潤滑されるようにしたことで、解消する。)

(ウ)
「Referring more specifically to the drawings, the present invention for illustrative purposes is shown in FIG. 1 as comprising a hydraulic power actuator A and pilot valve B which have been combined according to the present invention into a unit assembly for use in systems utilizing a plurality of fluid actuators, and in which it is desired to cycle the operation of control for certain of the devices in dependence upon the operation of one or more of the hydraulic actuators.
The hydraulic power actuator A is of conventional construction in so far as it comprises a cylinder 10 having its ends mounted in an end cap structure 11 at one end and a power delivery end cap structure 12 at its other end. These end caps are provided with suitable ports adapted for connection with a supply conduit 13 in the case of end cap 11, and conduit 14 in the case of end cap 12. By means of these conduits, suitable actuator fluid pressure may be alternately admitted and exhausted to the cylinder for actuating an operatively associated piston 15 therein for reciprocable movement, this piston being connected with a power delivery piston rod 16 which is carried through a suitable bushing in the end cap 12 where it is provided with appropriate coupling means (not shown) for connecting to the device to be operated thereby. The rods 17 interconnect the end caps and retain them in assembled relation with the cylinder to provide the actuator assembly.」(2欄38ないし61行)
(図面を参照して、より詳しく説明する。説明目的としての図1に示されるように、本発明は、油圧パワーアクチュエータAとパイロット弁Bとからなり、これらは、本発明に基づいてユニット組立体に結合されて、複数の流体アクチュエータを利用するシステムに用いられる。これにより、1つ以上の油圧アクチュエータの動作に応じてサイクル制御できる確実な装置を望める。上記油圧パワーアクチュエータAは、シリンダ10の一端部にエンドキャップ構造11を有すると共に他端部に出力側のエンドキャップ構造12を有する限りにおいて、従来の構造を備えている。これらのエンドキャップには適切なポートが設けられる。即ち、エンドキャップ11には、供給配管13に接続されるポートが設けられ、また、エンドキャップ12には、配管14が接続されるポートが設けられる。これらの配管により、適切なアクチュエータ流体の圧力が上記シリンダに交互に供給および排出され、それに連携して上記シリンダ内のピストン15を往復移動させる。このピストンには出力用ピストンロッド16が接続され、そのピストンロッド16がエンドキャップ12内の適切なブッシュを介して支持され、当該ピストンロッド16には、操作されるべき装置に連結される適切なカップリング手段(図示しない)が設けられる。上記エンドキャップ同士を相互に連結するロッド17は、これらエンドキャップをシリンダに組み付けた状態に保持し、これにより、アクチュエータ組立体を提供する。)

(エ)
「As will be seen, the power delivery end cap may be provided with a suitable attaching flange or flanges 18 for mounting the actuator assembly, as by one or more securing bolts 19 and associated nuts 20. As thus arranged, the end cap 11 will be outwardly disposed and is shown in this case as having the pilot valve B mounted thereon. In this position, the pilot valve will be actuated when the piston rod reaches the end of its retracted stroke. It will be appreciated, however, that a similar pilot valve might also be mounted at the power delivery end cap 12 so as to provide cycling control at the end of the extended position of the power delivery piston rod. Should it be required that the system be so operated, a pilot valve may be positioned at both ends of the cylinder. It is believed that the operation of the pilot valve will be fully comprehended from a description of a valve as mounted in one position only, for example, upon the end cap structure 11.」(2欄62行ないし3欄3行)
(図示されるように、出力側のエンドキャップには、1つ以上の固定ボルト19及びナット20によってアクチュエータ組立体を装着するのに適切な取付けフランジ18を設けてもよい。その配置では、エンドキャップ11は外方へ配置され、そのエンドキャップ11にパイロット弁Bが装着される。この場合、そのパイロット弁は、ピストンロッドが後退ストローク端に到達したときに動作される。しかしながら、出力側のエンドキャップ12に類似のパイロット弁を設けて、出力用ピストンロッドの伸長した端部でサイクル制御してもよいことが明らかである。必要ならば、シリンダの両端部にパイロット弁をそれぞれ配置してシステムを動作させるようにできる。上記パイロット弁の動作は、例えばエンドキャップ構造11の一箇所に配置される弁を説明することによって十分に理解され得る。)

(オ)
「Reciprocably mounted within the bore 22 is a spool valve 29, this valve having end portions 30 and 31 respectively in axially spaced apart relation and being interconnected by a neck portion 32 of reduced diameter.・・・With a valve spool as thus arranged, it is readily apparent that the valve can be moved to an upper position wherein the connection ports 26 and 28 will be connected while the port 26 will be disconnected with respect to the port 27. On the other hand, the valve spool is displaceable to a lower position in which the port 26 will connect with the port 27, but will be disconnected with respect to the port 28. Selectivity of flow is thus controlled between the ports.」(3欄25ないし42行)
(穴22には、スプール弁29が往復動可能に収められている。この弁は、それぞれが軸方向に間隔をおいて縮径された首部32によって接続された端部30及び31を有している。・・・弁スプールをこのような構成とすることで、以下のことが容易に理解される。即ち、上記弁は上方位置へ移動可能であって、その上方位置では、接続ポート26及び28が連通されるのに対し、そのポート26とポート27とが接続解除される。これとは逆に、上記弁スプールは下方位置へ移動可能であって、その下方位置では、ポート26とポート27とが連通されるが、そのポート26とポート28とが接続解除される。ポート同士の間の流れの選択は上記のように制御される。)

(カ)
「In the raised position of the spool valve, as shown in FIG. 1, it will be noted that an edge of the roller extends into the cavity 24, and that when the spool valve is urged by the spring 35 to the limit of its movement, the roller will be in a position within the cavity 24 wherein it will be in the path of movement of a cam member 43 carried by and axially in alignment with the piston 15. When the piston is moved to the right, as shown in FIG. 1, the cam member will be withdrawn from the cavity 24, and the spool valve is then free to be urged downwardly to one of its control positions. However, when the piston is moved in an opposite direction so that the cam member re-enters the cavity 24, a cam surface thereon, as indicated at 44, will engage the roller and move it to its other control position. As thus arranged, it will be clear that the actuation of the valve will be synchronized with movements of the piston of the actuator. As previously mentioned, in some installations it may be desirable to also actuate a pilot valve at the end of the power delivery stroke of the actuator.」(3欄56行ないし4欄1行)
(スプール弁の上昇位置では、図1に示されているように、ローラーの端部が空所24内部に延びているから、スプール弁がバネ35によりスプール弁の移動範囲の端部に向けて付勢されたとき、当該ローラーは、空所24内部に位置し、ピストン15の軸方向に取り付けられたカム部材43の移動経路に位置する。図1において、ピストンが右方へ移動されるときには、カム部材は空所24から引き抜かれ、その後、スプール弁は、解放されて、制御位置のうちの一つの位置へ向けて下方に付勢される。しかしながら、ピストンが反対方向に移動されたときには、カム部材は、空所24に再び挿入されて、44で示すカム面がローラと係合すると共に、スプール弁を他の制御位置へ移動させる。このような構成とすることで、弁の動作がアクチュエータのピストンの移動と同期されることが明らである。前述したように、設備に応じて、アクチュエータの出力ストロークの端部でパイロット弁を動作させるようにしてもよい。)

(キ)
「This fluid being pressurized acts on the lowermost end of the spool valve, and would tend to force the valve against the pressure of the spring 35 and thus produce faulty operation. This is prevented by providing an equalizing pressure of fluid at the opposite end of the spool valve through a passageway which connects the source of fluid pressure with the bore extension 33. For convenience, this is accomplished by providing an axial bore passage 48 which interconnects the spaces at the opposite ends of the valve spool and subjects end areas to fluid pressure which balances the valve spool so that the fluid pressure does not interfere with the spool operation.」(4欄15ないし25行)
(この加圧流体は、上記スプール弁の最下端に作用してバネ35の力に抗するように当該弁に力を加えるので、動作不良を生じさせる。この動作不良を防止するには、流体圧力源を孔延長部33へ接続する通路を介して、スプール弁の反対側の端部に均圧流体を供給すればよい。これを達成するには、好ましくは、弁スプールの両端部の空間同士を連通させる軸孔路48を設けて、その弁スプールをバランスさせる流体圧力を上記の両端面に作用させ、これにより、流体圧力がスプールの動作を妨げないようにする。)

(ク) 図1

(ケ)
上記摘記事項(ウ)の「油圧パワーアクチュエータAは、シリンダ10の一端部にエンドキャップ構造11を有すると共に他端部に出力側のエンドキャップ構造12を有する限りにおいて、従来の構造を備えている。これらのエンドキャップには適切なポートが設けられる。即ち、エンドキャップ11には、供給配管13に接続されるポートが設けられ、また、エンドキャップ12には、配管14が接続されるポートが設けられる。これらの配管により、適切なアクチュエータ流体の圧力が上記シリンダに交互に供給および排出され、それに連携して上記シリンダ内のピストン15を往復移動させる。このピストンには出力用ピストンロッド16が接続され、そのピストンロッド16がエンドキャップ12内の適切なブッシュを介して支持され、当該ピストンロッド16には、操作されるべき装置に連結される適切なカップリング手段・・・が設けられる。」との記載から、甲1記載のシリンダ本体10は、ピストン15及びピストンロッド16を進退可能に装備している。そして、甲1記載のパワーアクチュエータAは、油圧により作動するピストン15及びピストンロッド16を装備するのであるから、ピストン15及びピストンロッド16を進出側と退出側の少なくとも一方に駆動するための油室を備えるものであることは、明らかである。

(コ)
上記摘記事項(オ)の「穴22には、スプール弁29が往復動可能に収められている。・・・上記弁は上方位置へ移動可能であって、その上方位置では、接続ポート26及び28が連通されるのに対し、そのポート26とポート27とが接続解除される。これとは逆に、上記弁スプールは下方位置へ移動可能であって、その下方位置では、ポート26とポート27とが連通されるが、そのポート26とポート28とが接続解除される。ポート同士の間の流れの選択は上記のように制御される。」との記載から、甲1記載のスプール弁29は、流体が流れる流路が接続されたポート26を、ポート27あるいは28との間で切り換えるものであって、かつ当該ポート26、27及び28に接続される流路は、一端部に流体が供給され他端部がパイロット弁Bの外部にある他所に連通したものであることは明らかである。そして、図1には、各ポート26、27及び28は、バルブ本体21に形成された流路であることの図示がある。さらに各ポート26、27、28とのいずれかは、流体が供給されるものであって、他の端部が他所に連通するものであるといえる。さらに、上記摘記の「接続ポート26及び28が連通されるのに対し、そのポート26とポート27とが接続解除される」ことは、それまでポート26とポート27にそれぞれ接続されていた流路間で開通していた流路が、新たにポート26及び28間での連通に伴い閉鎖されるから、パイロット弁Bは、当該流路を開閉可能なものであるといえる。そうすると、甲1記載のスプール弁29は、バルブ本体21に形成されたものであって、一端部に流体が供給され他端部が他所に連通した流路と、この流路を開閉可能なパイロット弁Bが、記載されていることは明らかである。
さらに、上記摘記事項(ウ)の「本発明は、油圧パワーアクチュエータAとパイロット弁Bとからなり、これらは、本発明に基づいてユニット組立体に結合されて、複数の流体アクチュエータを利用するシステムに用いられる。これにより、1つ以上の油圧アクチュエータの動作に応じてサイクル制御できる確実な装置を望める。」との記載、同「エンドキャップ11には、供給配管13に接続されるポートが設けられ、また、エンドキャップ12には、配管14が接続されるポートが設けられる。これらの配管により、適切なアクチュエータ流体の圧力が上記シリンダに交互に供給および排出され、それに連携して上記シリンダ内のピストン15を往復移動させる。」との記載、上記摘記事項(エ)の「そのパイロット弁は、ピストンロッドが後退ストローク端に到達したときに動作される。しかしながら、出力側のエンドキャップ12に類似のパイロット弁を設けて、出力用ピストンロッドの伸長した端部でサイクル制御してもよい」との記載、上記摘記事項(オ)の「上記弁は上方位置へ移動可能であって、その上方位置では、接続ポート26及び28が連通されるのに対し、そのポート26とポート27とが接続解除される。これとは逆に、上記弁スプールは下方位置へ移動可能であって、その下方位置では、ポート26とポート27とが連通されるが、そのポート26とポート28とが接続解除される。ポート同士の間の流れの選択は上記のように制御される。」の記載、並びに、上記摘記事項(カ)の「図1において、ピストンが右方へ移動されるときには、カム部材は空所24から引き抜かれ、その後、スプール弁は、解放されて、制御位置のうちの一つの位置へ向けて下方に付勢される。しかしながら、ピストンが反対方向に移動されたときには、カム部材は、空所24に再び挿入されて、44で示すカム面がローラと係合すると共に、スプール弁を他の制御位置へ移動させる。このような構成とすることで、弁の動作がアクチュエータのピストンの移動と同期されることが明らである。」との記載がある。そうすると、上記パイロット弁Bは、ピストン15に設けられたカム部材43とバネ35によって往復動作するスプール弁29を有し、当該スプール弁29によって、上記流路の開閉を行うことで、油圧パワーアクチュエータAの供給配管13あるいは14に交互に供給あるいは排出される流体の圧力によってピストン15が往復移動するよう制御するものであることが、明らかである。

イ. 甲1発明
上記摘記事項(ア)ないし(キ)、(ク)の図示並びに認定事項(ケ)及び(コ)を技術常識を考慮して総合すると、甲1には、以下の甲1発明が記載されている。

「シリンダ本体10と、このシリンダ本体10に進退可能に装備されたピストン15及びピストンロッド16と、このピストン15及びピストンロッド16を進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する為の油室とを有する油圧パワーアクチュエータAにおける前記ピストン15及びピストンロッド16が後退ストローク端に到達したときに動作されるパイロット弁Bであって、
バルブ本体21に形成されポート26と27を接続する流路及び同様に形成されたポート26と28を接続する流路と、これら流路を切り換えることでこれら流路を開閉可能なパイロット弁Bとを備え、
前記パイロット弁Bは、エンドキャップ11に形成した装着孔に進退可能に装着された前記スプール弁29と、バネ35のバネ力によって前記スプール弁29を前記ピストン15及びピストンロッド16側に進出させた状態に保持する孔延長部33と、前記油室と前記孔延長部33とを連通させる軸孔路48とを備え、
前記ピストン15及びピストンロッド16が後退ストローク端に達したときに、前記ピストン15に設けたカム部材43により前記スプール弁29を移動させて前記パイロット弁Bの開閉状態を切り換える、前記流路の開閉状態を切り換えることで前記ピストン15及びピストン16が往復移動するよう制御可能に構成し、
ピストン15及びピストンロッド16が後退ストローク端に到達したときに動作される開閉弁装置」

(2) 甲2
ア. 本件遡及出願日前に頒布された刊行物である甲2には以下の記載がある。

(ア)
「ABSTRACT A fluid control arrangement including a cylinder having a pair of spaced heads joined by a hollow body in which a piston is mounted for reciprocal movement. A valve unit is provided in a valve bore integrally formed within at least one of the heads of the cylinder. The valve unit includes a spring-biased reciprocable valve member having a valve operator integrally formed therewith and extending into the hollow body so as to be in actuatable relation with the piston. A pair of conduit openings extend into the valve bore, and, depending upon the positioning of the valve member in the bore due to the operation of the piston, communicate with or are blocked from each other.」
(要約 流体制御装置はシリンダを含み、そのシリンダは、一対の離間されたヘッドを有し、これらヘッドは、往復移動されるピストンを収容した中空体によって連結される。上記シリンダの上記ヘッドのうちの少なくとも一つに一体形成された弁孔に、弁ユニットが備えられる。上記の弁ユニットは、バネによって付勢された往復弁部材を含み、その弁部材は弁操作具を有し、その弁操作具は、上記ピストンと連携動作可能なように、上記弁部材と一体に形成されて上記の中空体内へ延びている。一対の通孔は上記弁孔内へ延び、上記ピストンの動作に基づく上記の弁操作具の位置に応じて、上記の通孔が互いに連通または遮断される。)
(イ)
「AIR CYLINDER WITH PILOT VALVE IN HEAD
This application is a continuation of application Ser. No. 750,998 filed July 18, 1968, now abandoned, which in turn was, also, a continuation of application Ser. No. 570,075, filed Aug. 3, 1966, now abandoned.
This invention relates generally to pneumatic control circuitry and more particularly to pneumatic control circuitry which incorporates a pneumatic or hydraulic cylinder jack and pneumatic pilot valve.」(1欄1ないし9行)
(ヘッド部にパイロット弁を備えた空圧シリンダ[当審注:クレームにおける発明の名称は、pneumatic control arrangement(空圧制御装置)である。]
本願は、1966年8月3日に出願されると共に現時点では放棄された出願番号570,075の継続出願としての「1968年7月18日に出願されると共に現時点では放棄された出願番号750,998」の継続出願である。
本発明は、一般的には空圧制御回路の構成部分に関し、より詳しくは、空圧または油圧のシリンダ往復機器と空圧パイロット弁とを結合させた空圧制御回路の構成部分に関する。)

(ウ)
「These and other objects and features of the invention will become more apparent from a consideration of the following descriptions.
A pneumatic control arrangement in accord with the invention includes a cylinder having spaced heads and a hollow body connecting the heads. One of the heads of the cylinder is fashioned with a valve bore and with spaced pneumatic conduits opening into the bore. A reciprocable piston is situated in the cylinder, and a valve unit is located in the head having the valve bore. The valve unit itself includes a valve operator that projects from the valve bore through an inner wall portion of the corresponding head into actuatable relationship with the piston, and a reciprocable valve member is arranged in the bore to move with the valve operator (preferably being integral therewith), the valve member being provided with flow control passageway means for selectively connecting the pneumatic conduits.
In order that the principles of the invention may be readily understood, two embodiments thereof, but to which the application is not to be restricted, are shown in the accompanying drawing wherein: 」(1欄28ないし49行)
(本発明における上記目的と他の目的および特徴は、以下の説明により、より明確になる。
本発明に基づく空圧制御装置はシリンダを含む。そのシリンダは、間隔をあけて配置された複数のヘッドと、これらヘッドを連結する中空体とを有する。上記シリンダの一つのヘッドには、弁孔と複数の空圧孔とが形成される。上記の空圧孔は、間隔をあけて配置され、弁孔に開口される。上記シリンダに往復ピストンが配置される。上記弁孔を有する上記ヘッド内に弁ユニットが配置される。その弁ユニットは、弁操作具と往復弁部材とを含む。その弁操作具は、上記弁孔から上記ヘッドの内壁部分を通って突出して上記ピストンと連動する。上記の弁部材は、上記の弁孔内に配置されて上記の弁操作具と同行して移動する(好ましくは、弁操作具が弁部材と一体化される)。その弁部材は、前記の複数の空圧孔を選択的に接続するため、流れ制御の通路手段を備える。 本発明の原理が容易に理解されるようにするため、添付図面で2つの実施例を示しているが、本発明はそれに限定されるものではない。)

(エ)
「In the examples of the invention hereinafter set forth the term “pneumatic” is exemplary; hydraulic mechanisms and circuits are also contemplated. Referring now in detail to the drawing, specifically to FIG. 1, a pneumatic control arrangement indicated generally by the numeral 10 is seen to comprise a pneumatic cylinder 12 and pneumatic pilot valves 14 and 16. The cylinder 12 includes a pair of spaced heads 18 and 20 of blocklike construction which are connected by a hollow cylindrical tube or body 22 in defining a housing for a reciprocable piston 24. The piston 24 is secured on a piston rod 26 by means of a radially projecting flange 28, which may be defined by a washer, and a nut 30 which turns on a threaded inner end 32 of the piston rod 26. On its external end, the piston rod 26 carries a threaded attachment site 34 or other means for coupling the piston rod to an element which it is desired to drive. The introduction and exhaust of pressurized fluid for moving the piston 24 are achieved by pipes 36 and 38 which are threaded into or otherwise suitably connected with the heads 18 and 20 respectively. The pipes 36 and 38 are connected by passageways 40 into the hollow body 22. Radially outwardly of the external wall of the body 22, the heads 18 and 20 are held rigidly against the hollow cylindrical body 22 by cylindrical rods 97.」(1欄63行ないし2欄10行)
(本発明の実施例においては、以下の「空圧」の用語は例示であり、油圧の機構や回路も意図されている。図面に基づいて説明すると、特には図1において、参照数字10で示された空圧制御装置は、空圧シリンダ12と空圧パイロット弁14及び16とからなる。上記シリンダ12は、間隔をあけて配置された一対のブロック状の構造のヘッド18及び20を含む。これらヘッド18及び20が、往復ピストン24のハウジングとしての中空の円形チューブ又は円形体22によって連結される。そのピストン24は、半径方向へ突出するフランジ(ワッシャでもよい)28と、上記ピストンロッド26の内端ネジ部に螺合されたナット30とによって、ピストンロッド26に固定される。そのピストンロッド26の外端部には、当該ピストンロッドを被駆動部材に連結するため、ねじアタッチメント部34又は他の手段が設けられる。ピストン24を移動させるための圧力流体の導入および排出は、パイプ36及び38によってなされる。各パイプ36及び38は、螺合などによって上記ヘッド18及び20に接続される。上記パイプ36及び38は、通路40によって中空体22内に連通される。その中空体22の外壁の半径方向の外側で、前記ヘッド18及び20が円形ロッド97によって中空体22に強固に保持される。)

(オ)
「In compliance with the features of the present invention, the pilot valves 14 and 16 are incorporated directly in the as sociated heads 18 and 20 to be integral therewith; and turning to a consideration of FIGS. 2 and 3, valve unit 16 comprises a valve operator 44 integral with a reciprocable valve member 46, a flow directing arrangement 48 and a biasing spring 50. The valve operator 44 projects through a reduced diameter end portion 52 of a valve bore 53, bore 53 being fashioned in head 20 and operator 44 extending through an inner wall portion 54 of head 20 into actuatable relationship with the piston 24. In addition to the valve bore 53, the head 20 is fashioned with pneumatic conduits 56 and 58 which open radially into the bore 53. It will be apparent from an inspection of FIG. 3, that the pneumatic conduits 56 and 58 are spaced longitudinally of the axis of bore 53. Conveniently, an inlet fitting 60 is mounted in communication with conduit 58, and an outlet fitting 62 is secured in communication with the conduit 56. An exhaust conduit 64 may also be arranged to open into the valve bore 53 at a different longitudinal position than either the conduit 56 or the conduit 58. 」
(2欄11ないし31行)
(本発明の特徴によれば、上記パイロット弁14及び16は、対応するヘッド18及び20に直接に組み込まれて一体化される。また、図2および図3を参照して説明すると、弁ユニット16は、往復弁部材46と一体化された弁操作具44と、流れ指図構造48と、付勢バネ50とを備える。上記の弁操作具44は、ヘッド20に形成された弁孔53の縮径端部52を通って突出し、その弁操作具44は、ヘッド20の内壁部54を通って延びて上記ピストン24と連動関係にある。上記弁孔53については、上記ヘッド20に形成された空圧孔56及び58が上記弁孔53に半径方向へ開口される。図3から明らかなように、上記空圧孔56及び58は、上記弁孔53の軸方向に間隔をあけて配置される。好ましくは、入口継手60が通孔58に連通状に取り付けられ、出口継手62が通孔56に連通状に取り付けられる。排気孔64は、上記通孔56又は通孔58のいずれかとは長手方向の異なる位置で、上記弁孔53に開口されるように配置してもよい。)

(カ)
「Although various means may be employed to provide appropriate connection between the valve operator 44 and the reciprocable valve member 46, it has proved convenient and preferable to form them integrally. The valve member 46 is in the nature of a spool valve member including a cylindrical portion 66 and a spaced follower portion 68 connected thereto by a reduced diameter or necked-down region 70, region 70 forming an annular flow control passageway for selectively connecting the pneumatic conduits 56 and 58. The valve member 46 also blocks fluid communication between the pilot valve and the main cylinder, as will be apparent hereinafter. Advantageously, the valve member 46 is drilled with a bore 72 that defines a retainer for one end of spring 50. Being a compression spring, spring 72 requires an opposing abutment, and this latter function is supplied by a plug 74 which is turned into a threaded bore 76 that is formed coaxially with the valve bore 53. Means of sealing cap 74 and head 20 to prevent fluid from escaping from valve bore 53 is provided.」(2欄32ないし51行)
(上記の弁操作具44と往復弁部材46とに適切な連結を採用することには種々の手段があるけれども、これらを一体化することが便利で好ましい。上記弁部材46は、スプール弁部材の性質を有し、円柱部分66と、離れた従動部分68とを含む。その従動部分68は、縮径領域または首領域70によって円柱部分66に連結される。その首領域70は、空圧孔56及び58を選択的に接続するための流れ制御路を形成している。また、後述するように、上記弁部材46は、前記パイロット弁と前記のメインシリンダとの間の流体連通を遮断している。好ましくは、弁部材46には、バネ50の一端のためのリテーナとしての孔72が孔あけされる。圧縮バネについては、バネ72の反対側が接当する必要があり、これは、ネジ孔76に螺合したプラグ74によって行われる。そのネジ孔76は前記弁孔53と同心に形成されている。上記弁孔53から流体が漏れるのを防止するため、上記キャップ74及びヘッド20を封止する手段が備えられる。)

(キ)
「Cooperating with the annular chamber or groove that is defined by necked-down region 70, the flow directing arrangement 48 comprises a system of alternating resilient sealing means 78, conveniently rubber O-rings, and respectively labeled from left to right as 78b, 78c and 78d, and spacing means or ring spacers 80. Each of the spacing means or ring spacers 80 is formed with a generally U-shaped cross section with the closed end thereof disposed generally radially inwardly. In addition, each of the spacers 80 is perforated with a series of arcuate ports 82 in the floor or inner collar thereof. Thus, each of the spacers defines a radially outwardly opening groove which is communicated in the radially inward direction by means of the ports 82. In order to direct flow between the several conduits 56, 58 and 64, one of the spacers 80 is aligned radially with each of these conduits, as is well shown in FIG. 3. Cooperatively, the axial extent or length of the necked-down region 70 is arranged to span the radial distance between immediately adjacent spacers 80.」(第2欄52ないし69行)
(上記の首領域70によって形成された環状室または環状溝と協働して、流れ指図構造48は、交互に並べられた弾性シール手段78のシステムと、スペース手段またはリングスペーサ80とを含む。その弾性シール手段78のシステムは、好ましくはOリングからなり、左方から右方へ78b,78c,78dの参照数字が付けられている。それぞれのスペース手段またはリングスペーサ80は、ほぼU状断面に形成され、その閉じ端が半径方向の内方に配置される。さらに、各スペーサ80の底または内環には、一連のアーチ形の孔82が貫通される。このため、各スペーサ80は、半径方向の外方へ開口する溝を形成しており、その溝は、上記孔82によって半径方向の内方へ連通している。数個の通孔56,58,64の間の流れを指図するため、図3に示すように、複数のスペーサ80のうちの一つが上記の各通孔56,58,64と半径方向に整列されている。これに合わせて、前記の首領域70の軸方向の大きさ又は長さは、直接に隣り合うスペーサ80の間の半径距離に架かるように配置される。)

(ク)
At one extremity of its travel, piston 24 will forcibly engage the valve operator 44 to drive the same inwardly and against the compression spring 50. As the valve operator 44 moves inwardly, the necked-down region 70 moves from the position shown in FIG. 3 until its axial length spans the radial distance between the conduit 56 and the conduit 58. A fluid path will thus be formed permitting a pressurized fluid to flow, for example, from conduit 58 through the ports 82 in the spacer 80 aligned therewith, into the annular chamber defined by the necked-down region 70 and the resilient seal 78 and thence through the ports 82 in the spacer 80 aligned with conduit 56 and ultimately into the latter conduit. In this position portion 66 of the valve member engages resilient seal 78c which in turn engages bore 53, blocking flow of pressurized fluid to conduit 64. Upon retreat of the piston 24, the valve operator 44 will be released to the action of spring 50 and/or the force exerted by pressurized air on the equivalent area of the follower portion 68 and the valve member 46 will be returned to its normal outward position shown in FIG. 3 where the necked-down region 70 communicates conduit 56 with exhaust conduit 64 and where follower portion 68 engages resilient seal 78d which in turn engages bore 53, blocking flow of pressurized air from conduit 58 to conduits 56 and/or 64. In these movements of the valve member 46, the several resilient seals 78b, 78c and 78d provide a sealing action against both the walls of valve bore 53 and the radially outwardmost surfaces of valve member 46, specifically portions 66 and 68 thereof. Cylindrical portion 66 always engages seal 78b, thereby blocking fluid communication between the pilot valve and the main cylinder. It should be recognized that the movements of piston 24 may thus be employed, through the resultant manipulations of pneumatic valve 16, to control the actuation of some other device, such as for example a related pneumatic cylinder, valve, or other device, or it may be employed in a servomechanism sense to provide information about the position of piston 24.(2欄70行ないし3欄31行)
(ピストン24は、その一つの行程端で弁操作具44に強力に係合し、圧縮バネ50に抗して上記の弁操作具44を内方へ駆動する。その弁操作具44が内方へ動くと、首領域70は、図3の位置から、その首領域70の軸方向の長さが通孔56と通孔58との間の半径距離に架かるように移動する。これにより、圧力流体が流れるのを許容する流体通路が形成され、例えば、通孔58から、スペーサ80内のポート82を通って、首領域70と弾性シール78との間に形成された環状室に入り、そこから、通孔56と同軸のスペーサ80内のポート82へ入り、最終的には、後者の通孔へ入る。この位置では、弁部材の部分66は、孔53に係合する弾性シール78cに係合されて、圧力流体が通孔64へ流れるのを阻止する。上記ピストン24が後退すると、弁操作具44は、バネ50の作用および/又は従動部分68の対応面積に作用する加圧エアの力によってリリースされ、その弁操作具44は、図3のノーマル外方位置へ戻る。その図3の位置では、上記の首領域70は、通孔56を排気用の通孔64へ連通させると共に、従動部分68は、上記孔53に係合する弾性シール78dに係合されて、加圧エアが通孔58から通孔56及び/又は通孔64へ流れるのを阻止する。上記弁部材46の上記移動において、数個の弾性シール78b,78c及び78dは、上記の弁孔53の壁と、弁部材46のうちの特には部分66及び部分68の半径方向の外周面との両者に、封止機能を付与する。円柱部分66は、シール78bに常に係合しており、このため、パイロット弁とメインシリンダとの流体連通を遮断している。上記ピストン24の移動は、上記の空圧バルブ16の操作結果を介して、例えば関連する空圧シリンダやバルブや他の装置のような何らかの装置の動作を制御するのに利用したり、又は、上記ピストン24の位置についての情報を提供するためサーボ機構の検知に利用することが理解され得る。)

(ケ)
「In accordance with a feature of the invention, the conduit 58 comprises a pressure inlet conduit as has been described hereinabove; and in further accord with the invention, the conduit 56 comprises a pressure outlet conduit between the pressure inlet conduit 58 and the inner wall portion 54 of head 20. With the pressure inlets and outlets and the exhaust conduit positioned as shown, fluid pressure from the inlet conduit 58 cooperates with the bias established by spring 50 in resisting pressurized fluid forces imposed on the valve operator 44 and the valve member 46 from within the hollow body of the cylinder 12, thus preventing movement of operator 44 from its outward position by these pressurized fluid forces.」
(3欄32ないし43行)
(本発明の特徴によれば、前記の通孔58は、前述したように圧力入口孔からなり、さらには、前記通孔56は、上記の圧力入口孔58とヘッド20の内壁部分54との間における圧力出口孔からなる。図示のように圧力入口と出口および排気孔が位置されることにより、入口孔58からの流体圧力は、バネ50の付勢力と協働して、シリンダ12の中空体の内部から弁操作具44及び弁部材46に作用する圧力流体の力に抗して上記の操作具44が外方位置へ移動するのを防止する。)

(コ)
「In FIG. 1 the main cylinder conduits or pipes 36 and 38 are shown schematically as extending to an external master valve 92 receiving inlet pressure as indicated. The valve is capable of alternately supplying pneumatic pressure to the ends of the main cylinder, and venting to atmosphere the nonpressurized end. The pilot valve outlets 62 also extend to the valve 92 for controlling the position thereof. This arrangement causes the piston 24 to reciprocate continuously. Although this feature is believed to be novel, it is clearly to be understood that pneumatic connections other than through the valve 92 are contemplated.」
(3欄65ないし75行)
(図1においては、メインシリンダ通路またはパイプ36、38は、図示の入口圧力を受け入れる外部マスター弁92へ延びるように概念的に示されている。その弁は、メインシリンダの端部への空気圧の供給と無圧端の大気側への開放とを交互に行う。パイロット弁の出口62も、前記弁92の位置を制御するため、その弁92へ延びる。この構造により、ピストン24が連続的に往復する。この特徴は新規であるが、上記弁92を介在させる空圧連結構造以外の空圧連結構造も想定される。)

(サ) 図1、3及び4

(シ)
上記摘記事項(エ)の「本発明の実施例においては、以下の「空圧」の用語は例示であり、油圧の機構や回路も意図されている。」との記載から、甲2には、油圧で駆動されるピストンロッド26が記載されているといえ、そのための油室が備えられたものであることは、明らかである。

(ス)
上記摘記事項(ク)の「上記ピストン24の移動は、上記の空圧バルブ16の操作結果を介して、・・・上記ピストン24の位置についての情報を提供するためサーボ機構の検知に利用することが理解され得る。」との記載について、ピストンロッド26は、ピストン24に設けられて、一体に移動するものであることを勘案すると、甲2には、ピストンロッド26の位置を検出する位置検出装置が記載されていることは、明らかである。

(セ)
空圧バルブ16の弁操作具44の動作について記載された、上記摘記事項(ク)の「その弁操作具44が内方へ動くと、首領域70は、図3の位置から、その首領域70の軸方向の長さが通孔56と通孔58との間の半径距離に架かるように移動する。これにより、圧力流体が流れるのを許容する流体通路が形成され、例えば、通孔58から、スペーサ80内のポート82を通って、首領域70と弾性シール78との間に形成された環状室に入り、そこから、通孔56と同軸のスペーサ80内のポート82へ入り、最終的には、後者の通孔へ入る。この位置では、弁部材の部分66は、孔53に係合する弾性シール78cに係合されて、圧力流体が通孔64へ流れるのを阻止する。上記ピストン24が後退すると、弁操作具44は、バネ50の作用および/又は従動部分68の対応面積に作用する加圧エアの力によってリリースされ、その弁操作具44は、図3のノーマル外方位置へ戻る。」との記載から、空圧バルブによって、通孔56、58及び64の間の流路通路が形成、すなわち開通したり、遮断、すなわち閉じられたりするから、空圧バルブ16は、通孔56、58及び64を開閉可能であることが明らかである。また、上記摘記事項(ク)の「ピストン24は、その一つの行程端で弁操作具44に強力に係合し、圧縮バネ50に抗して上記の弁操作具44を内方へ駆動する。」との記載から、ピストン24と弁操作具44とは、「一つの工程端」という定められた位置において係合し、弁操作具44に対する移動が開始されるから、ピストンロッド26が所定の位置に達したときに、弁操作具44が形成された弁部材46が移動させられるということがいえる。また、その際に、通孔56が、端部に加圧エアが供給された通孔58と、端部が外界に連通した通孔64との間での開閉状態が切り替えられることは、当業者にとって明らかである。
また、図2から、弁部材46は、ヘッド20に形成された装着のための孔の内部に収められていることが図示されている。

(ソ)
上記摘記事項(ク)の「上記ピストン24が後退すると、弁操作具44は、バネ50の作用および/又は従動部分68の対応面積に作用する加圧エアの力によってリリースされ、その弁操作具44は、図3のノーマル外方位置へ戻る。」との記載、及び、上記摘記事項(ケ)の「入口孔58からの流体圧力は、バネ50の付勢力と協働して、シリンダ12の中空体の内部から弁操作具44及び弁部材46に作用する圧力流体の力に抗して上記の操作具44が外方位置へ移動するのを防止する。」との記載、そして、図3の通孔58が従動部分68の右側の空間に開口していることの図示から、甲2には、加圧エアの圧力が、操作具44がシリンダ12の内部へ移動する方向に作用し続けるように構成されることで、弁部材46をピストンロッド26側に進出させた状態に保持し、ピストン24が後退時には、弁操作具44がリリースされる空間が記載されているといえる。

イ. 甲2発明
上記摘記事項(ア)ないし(コ)、(サ)の図示並びに認定事項(シ)ないし(ソ)を技術常識を考慮して総合すると、甲2には、以下の甲2発明が記載されている。

「シリンダ12と、このシリンダ12に進退可能に装備されたピストンロッド26と、このピストンロッド26を進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する為の油室とを有する油圧シリンダにおける前記ピストンロッド26の位置を検出する位置検出装置であって、
ヘッド20内に形成された通孔56、通孔58及び通孔64が設けられ、通孔58は端部に加圧エアが供給され、通孔64は端部が外界に連通し、そしてこの通孔56と58との間を流れる流路及び通孔56と64との間を流れる流路を開閉可能な空圧バルブ16とを備え、
前記空圧バルブ16は、前記ヘッド20に形成した装着孔に進退可能に装着された弁部材46と、加圧エアの圧力が、操作具44がシリンダ12の内部へ移動する方向に作用し続けるように構成されることで、弁部材46をピストンロッド26側に進出させた状態に保持し、ピストン24が後退時には、弁操作具44がリリースされる空間を備え、
前記ピストンロッド26が所定の位置に達したときに、前記ピストンロッド26により前記弁部材46を移動させて前記空圧バルブ16の通孔56と58との間及び通孔56と64との開閉状態を切り換え、前記通孔56のエア圧を介して前記ピストンロッド26が前記所定の位置に達したことを検知可能に構成した、
位置検出装置。」

(3) 甲3
ア. 本件遡及出願日前に頒布された刊行物である甲3には以下の記載がある。

(ア)
「The present invention relates to improvements in reciprocating fluid pressure devices and particularly to a hydraulic or pneumatic continuously operated piston drive with reciprocatory movement especially a double acting pressure booster in which the movements of the low pressure piston reverse the control pressure in the end positions. Although the invention is not limited to pressure boosters but can be applied in the same way to hydraulically or pneumatically operated motors, reference will be made hereinafter maily only to a double acting pressure booster.」(1頁9ないし22行)
(本発明は、往復する流体圧装置の改良に関し、詳しくいえば、油圧または空圧で連続的に往復移動されるピストンドライブに関し、特には、行程端位置での低圧ピストンの移動によって制御圧力を反転させる複動ブースタに関する。本発明は、圧カブースタに限定されるものではなく、油圧または空圧で駆動される作動器にも適用できるが、以下の記述では、主として複動式の圧カブースタに限定して説明する。)

(イ)
「In the field of double acting air motors it is known to effect reversal by the fact that the movemenets of the work piston reduce the control pressure of an impulse controlled four-way valve in the end positions, that is to say controlled by reducing the pressure, and in which control pipes open on both sides of the control valve connecting the control chambers to the pressure source.
In another type of air motors the otherwise usual three-way pilot valve operated mechanically by the work piston has been replaced by a simple two-way pilot valve for controlling the four-way valve in that constant pressure action in the two control chambers of the four-way valve has been ensured by auxiliary bores in the control valve or in the valve body of the four-way valve, which connect the puressure source to the two control chambers, instead of by the three-way pilot valve.
This arrangement has the disadvantage that it fails with show movement of the work piston. The reason for this is that at very slow operartion the pilot valve also opens very slowly so that the pressure loading of the control chamber is effected slowly in the end positions whereby the control valve commences to shift slowly to its opposite end position and then remains in the mid-position since the pressure difference is not sufficiet to overcome the resistance to further movement. Since in the mid position according to the construction of the slide valve:
(a) the pressure connection and both cylinder connections are cut off, or
(b) the presure connection is cut off and both cylinder connetions are without pressure, the low pressure piston remains stationary and the pilot valve is held in the open position in which it was already located.」(1ページ23ないし62行)
(複動式のエア作動器の分野では、反転動作として次のことが知られている。行程端の位置における作業ピストンの移動が、インパルス制御すなわち減圧制御される四方弁の制御圧力を減らし、制御弁の両側には、制御室を圧力源へ接続する制御管路が連通される。
エア作動器の別のタイプでは、四方弁を制御するため、作業ピストンによって機械的に操作される通常の三方パイロット弁が簡素な二方パイロットに入れ換えられ、上記の四方弁の2つの制御室内における一定圧力の付与が、上記の制御弁内または四方弁の弁本体内の補助孔によって提供される。上記の孔は、三方パイロット弁に代えて、2つの制御室へ圧力源を連通させる。
この構造は、作業ピストンがゆっくりと動く場合に機能しないという不利益がある。その理由は、極めてゆっくりと動く行程では、上記パイロットも極めてゆっくりと開いて、行程端位置での制御室への圧力供給が非常にゆっくりになるからである。このため、前記の制御弁は、反対位置へゆっくりと移動し始め、さらなる移動抵抗を克服するためには圧力差が十分でないので、中間位置でストップする。上記スライド弁の構造に基づく上記の中間位置では、
(a)圧力接続(the pressure connection )と両方のシリンダ接続(both cylinderconnec t ions )とが閉じられ、又は、
(b)上記の圧力接続閉じられ、かつ、上記シリンダ接続が無圧とされる。前記の低圧ピストンは、静止状態に留まり、そのとき前記パイロット弁は既存の開き状態に留まる。)

(ウ)
「Fig. 1, 2, 4 and 5 are circuit diagrams of a first arrangement with a four-way valve,
Fig. 3 is a detail thereof,
Fig. 6 and 8 are sectional views of a four-way valve,
Fig. 7 shows the circuit symbol of the four-way valve,
Fig. 9, 12, 13 and 15 show circuit diagrams with two three-way valves according to the second arrangement,
Fig. 10, 11 and 14 show details thereof,
and
Fig. 16 and 17 are sectional views of the three-way valves in two different control positions.」(3ページ11行ないし25行)
(図1,図2,図4,及び図5は,四方弁を備えた第1配置構造の回路図である。
図3は,上記の詳細である。
図6と図8は,上記の四方弁の断面図である。
図7は,上記の四方弁の回路記号である。
図9,図12,図13,及び図15は,2つの三方弁を備えた第2配置構造の回路図である。
図10,図11,及び図14は,上記の詳細である。
図16及び図17は,2つの異なった制御位置における三方弁の断面図である。)

(エ)
「A continuously operating piston drive, which in the constructional examples are hydraulic double acting pressure boosters, consists according to Fig. 1 of a low pressure cylinder 20 with working or main cylinder spaces 22 and 23 separated by a reciprocatory main or work piston 21, high pressure cylinders 24, 25 as well as high pressure pistons 26, 27 which in the case of a drive motor represent the piston rods. High pressure fluid is supplied through non-return valves 28 and 29 into pipes 30, 21 alternately to the point of use.
The high pressure pistons 26, 27 can draw pressure medium during their return strokes through non-return valves 32, 33 in pipes 34, 35 The pipes 34, 35 are adapted to be connected through a four-way valve36 (Fig. 1, 2, 4 and 5) or two three-way valves 37, 38 (Fig. 9, 12, 13, 15) alternately to a pressure fluid pipe 39 or returning pipe 40 leading to a collecting container 41. The main cylinder spaces 22, 23 of the low pressure cylinder 20 are connected alternately to the pressure pipe 39 and to the return pipe 40 through branch or feed pipes 42 and 43. To this extent all the circuit diagrams shown are the same. Further, In all diagrams the condition of the various spaces is marked p or o to indicate whether the pressure p or zero pressure o is operative.」(3ページ26行ないし55行)
(構造例に示された連続動作ピストンドライブは、油圧複動式の圧カブースタであって、図1に示すように、次のように構成される。低圧シリンダ20は、往復するメイン又は作業ピストン21によって分割された作業空間またはメインシリンダ空間22及び23を備え、高圧シリンダ24,25が設けられると共に、この実施例ではモータ駆動におけるピストンロッドの役割を果たす高圧ピストン26,27が設けられる。高圧流体は、逆止弁28,29と配管30,31とを交互に通って消費ポイントに供給される。
高圧ピストン26,27は、戻りストローク中に、配管34,35内の逆止弁32,33を介して圧力媒体を吸い込む。上記配管34,35は、1つの四方弁36(図1,2,4,5)又は二つの三方弁37,38(図9,12,13,15)によって、圧力流体配管39と回収容器41へ延びる戻し配管40とに、交互に接続される。低圧シリンダ20の前記メインシリンダ空間22,23は、分岐または供給管42,43を通って、圧力配管39と戻し配管40とに、交互に接続される。この点は、全ての回路図で同様である。さらに、これらの回路図の全てにおいて、上記の種々の空間の状態は、参照文字「p」又は「0」によって示され、それらが正圧力「p」又は零圧力「0」であることを示している。)

(オ)
「Two control chambers 50, 51 of the valve 36 are connected constantly to the inlet or pressure fluid pipe 39 through auxiliary ducts or bore 52, 43 (当審注:「53」の誤記と解される。) in the control piston 45 」(3ページ75ないし78行)
(四方弁36の二つの制御室50、51は、いつも導入口を介して圧力パイプ30へ、軸に形成した流路あるいは空洞52,53を通して接続されている。)

(カ)
「 Reverting to Fig. 1, two two-way pilot valves 63, 64 in control pipes 61, 62 are provided for applying the pressure pulse for reversing the four-way valve 36; they are held closed in the position of rest by spring force, and in the terminal positions they are mechanically opened by plungers 65, 66 engaged by the main or work piston 21, whereby the pressure release in the control chambers 50, 51 of the four-way valve is effected to a low pressure zone or to the collecting container 41.」(3ページ128行ないし4ページ10行)
(図1に戻って説明すると、前記の四方弁36を切換えるための圧力パルスを供給するため、2つの二方パイロット弁63,64が制御管路61,62に設けられる。これらパイロット弁63,64は、バネの力によって休止位置で閉じ状態に保持されると共に、終端位置では、メイン又は作業ピストン21に係合されるプランジヤ65,66によって機械的に開かれ、これにより、前記の四方弁の制御室50,51内が、低圧領域または回収容器41へ圧抜きされる。)

(キ)
「・・・This is obtained by the connections 98, 99 (Fig. 9)
The reversal of the pressure booster shortly before reaching its end position can be initiated
(a) by the release of pressure in the control chamber of one of the two three-way valves 37, 28;
(b) by the application of pressure to the control chamber of one of the two three-way valves.
In the first place the circuit of Fig. 9 will be explained to show how use is made of the possibility set out under (a) above. During the stroke of the work piston 21 towards the left the control chamber 96 of the three-way valve 38 is released from pressure through the pipes 94, 99, 43 while the control chamber 96 of the three-way valve 37 is at pressure p through the pipes 93, 98, 42. Since two associated two-way pilot valves 100, 101 remain closed by spring force during the stroke, the pipe 98, 99 ensure that this condition is maintained since they connect the control chambers to the respective feed pipes 42, 43 running to the low pressure cylinder 20 which have the same pressure.
The reversal in the left-hand end position of the work piston 21 is effected by mechanical operation of the pilot valve 100, by which operation the control chamber of the three-way valve 37 is released from pressure and the work chamber 23 receives the pressure p. At the same time the control chamber of the three-way valve 38 is placed under pressure through the pipe 99 whereby the valve is reversed and the work chamber 22 is released from pressure. After reversal of the movement the pilot valve 100 is returned to its rest position by spring pressure, but the control pipe 98 ensures that the control chamber of the three-way valve 37 remains without pressure up to the next reversal. The two-way pilot valves 100 and 101 can be constructed as shown in Fig. 10, but the spring force in each case must be greater than the pressure acting on the opposite side of the piston. Instead of spring force it is also possible to use a slide valve with a return action by a differential piston action as shown in Fig. 11」(5ページ47ないし97行)
(・・・これは、連通部98,99(図9)によって確保される。エンドポジションへ到達する直前における圧カブースタの反転動作は、以下のように開始される。
(a)2つの三方弁38,37のうちの一方の三方弁の制御室からの圧力の放出
(b)上記2つの三方弁のうちの一方の三方弁の上記制御室への圧力の付与
まず、上記(a)項の条件下で如何に動作し得るかを図9の回路で説明する。上記の作業用ピストン21が左方ヘストロークしているときには、三方弁38の制御室96及び管路94,99,43に圧力が無いのに対して、三方弁37の制御室96には管路93,98,42を介して圧力「p」が付与されている。連携された2つの二方パイロット弁100,101は、上記ストローク中にバネの押す力で閉じられたままであり、管路98,99が前記の制御室を低圧シリンダ20へ延びる分岐路42,43へ接続するので、上記の管路98,99が上記の圧力状態を確実に保持する。
上記の作業ピストン21の左端位置における反転動作は、前記パイロット弁100の機械的な操作によってなされ、これにより、前記三方弁37の制御室が圧抜きされると共に作業室23が圧力「p」を受け入れる。これと同時に、前記三方弁38の制御室に管路99を介して圧力が付与され、これにより、その弁が切換えられると共に作業室22が圧抜きされる。上記移動の反転後、前記パイロット弁100がバネの圧力によって休止位置へ復帰されるが、制御管路98は、前記三方弁37の制御室が次の反転までは圧力を受けないようしている。前記の二方パイロット弁100,101は、図10に示すように、バネの押し力が、ピストンの反対側に作用する圧力に基づく力よりも大きくなるように構成すればよい。上記バネの押し力に代えて、図11に示されたような差圧ピストンの作用に基づく復帰動作を備えたスライド弁を使用可能である。)

(ク) 図1、図9、10及び11

(ケ)
上記摘記事項(キ)の「前記の二方パイロット弁100,101は、図10に示すように、バネの押し力が、ピストンの反対側に作用する圧力に基づく力よりも大きくなるように構成すればよい。上記バネの押し力に代えて、図11に示されたような差圧ピストンの作用に基づく復帰動作を備えたスライド弁を使用可能である。」との記載とあわせて図11をみると、図11には、二方パイロット弁100が低圧シリンダ20と一体になって形成されており、該低圧シリンダ20内に、一端部が圧力媒体が供給される管路93に接続され他端部が回収容器に連通した流体通路が形成されている構造が看取できる。
また、二方パイロット弁の差圧ピストン100が、低圧シリンダ20に形成した装着孔に進退可能に装着された構造が、図11から看取できる。
さらに、二方パイロット弁100が、メインシリンダ空間23の油圧によって差圧ピストンをピストン21側に進出させた状態に保持する油圧導入室と、前記メインシリンダ空間23と前記油圧導入室とを連通させる油圧導入路とを備えた構造も看取できる。

(コ)
図1の、二方パイロット弁63,64が、それぞれ制御室50、51内に接続されている流路61の途中に介在していることの図示から、二方パイロット弁63、64には、流路61の途中に接続するための流体通路が形成されていることは当業者にとって明らかである。そして、上記摘記事項(オ)の「四方弁36の二つの制御室50、51は、いつも導入口を介して圧力パイプ30へ、軸に形成した流路あるいは空洞52,53を通して接続されている。」との記載及び上記摘記事項(カ)の「パイロット弁63,64は、バネの力によって休止位置で閉じ状態に保持されると共に、終端位置では、メイン又は作業ピストン21に係合されるプランジヤ65,66によって機械的に開かれ、これにより、前記の四方弁の制御室50,51内が、低圧領域または回収容器41へ圧抜きされる。」との記載から、流路61は、一端部に圧力媒体が供給され他端部に回収容器41が連通したものであるから、当然、二方パイロット弁63、64に形成された流路61に接続するための上記流体通路も、一端部に圧力媒体が供給され他端部に回収容器41が連通したものであることが理解できる。そして、二方パイロット弁63、64は、当該流体通路を開閉可能であることが、明らかである。

イ. 甲3発明及び甲3事項
上記摘記事項(ア)ないし(キ)、(ク)の図示並びに認定事項(ケ)及び(コ)を技術常識を考慮しつつ総合すると、甲3には、以下の甲3発明が記載されている。

「低圧シリンダ20と、この低圧シリンダ20に進退可能に装備されたピストン21及び高圧ピストン26、27と、このピストン21及び高圧ピストン26、27を進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する為のメインシリンダ空間22、23とを有する連続ピストンドライブにおける反転動作する装置であって、
一端部に圧力媒体が供給され他端部が回収容器に連通した流体通路と、この流体通路を開閉可能な二方パイロット弁63、64とを備え、
前記ピストン21が左端又は右端に達したときに、前記ピストン21により前記二方パイロット弁63、64のプランジャ65を移動させて前記二方パイロット弁63、64の開閉状態を切り換え、前記流体通路61の流体圧を介して反転動作する装置」

また、以下の甲3事項が記載されている。
「低圧シリンダ20内に形成され且つ一端部に前記低圧シリンダ20内に形成され且つ一端部に圧力媒体が供給され他端部が回収容器に連通した流体通路と、この流体通路を開閉可能な二方パイロット弁100、101とを備え、
前記二方パイロット弁100、101は、前記低圧シリンダ20に形成した装着孔に進退可能に装着された差圧ピストンと、前記メインシリンダ空間22、23の流体圧によって前記差圧ピストンを前記ピストン21側に進出させた状態に保持する流体圧導入室と、前記メインシリンダ空間22、23と前記流体圧導入室とを連通させる流体圧導入路とを備え、
前記ピストン21が左端又は右端に達したときに、前記ピストン21により前記差圧ピストンを移動させて前記二方パイロット弁100、101の開閉状態を切り換え、前記流体通路の流体圧を介して反転動作する装置。」


(4) 甲4
ア. 本件遡及出願日前に頒布された刊行物である甲4には以下の記載がある。

(ア)
「BACKGROUND OF THE INVENTION
I. Field of the Invention
This invention relates, in general, to fluid operated, expansible chamber cylinders and, more specifically, to position sensors for fluid operated, expansible chamber cylinders.」(1欄8ないし13行)
(発明の背景
I.技術分野
本発明は、一般的には、流体駆動される膨張室シリンダに関し、より詳しくいえば、流体駆動される膨張室シリンダのための位置センサに関する。)

(イ)
「Since it is often necessary to know when the piston has moved to the fully extended or retracted travel position before the next step in the machine sequence can take place, limit switches have been used to contact the external end of the piston rod or the connected work component at the end of piston travel.」(1欄26ないし31行)
(機械の順次動作における次のステップが起こる前に上記ピストンが最伸長または最後退の行程位置へ移動したのを知ることが頻繁に必要になるので、ピストン行程の行程端において上記ピストンロッドの外端または当該ピストンロッドに連結した作業部分にリミットスイッチが接触するように、当該リミットスイッチが使用されてきた。)

(ウ)
「Referring now to the drawing, and to FIG. 1 in particular, there is illustrated a fluid operated, expansible chamber cylinder 10 having a position sensor mounted in a mounting apparatus constructed in accordance with the teachings of the present invention. As is conventional, the fluid operated cylinder 10 includes a hollow cylindrical housing 12, typically having a circular cross section.」(3欄8ないし15行)
(図面・特には図1を参照すると、本発明の教示に従って構成された取付け装置に設置した位置センサを有する流体駆動・膨張室シリンダ10が示されている。従来と同様に、上記の流体駆動シリンダ10は、典型的には円形断面を有する中空円形状のハウジング12を含んでいる。)

(エ)
「Recessed internal cavities 18 and 20 are respectively formed in the first and second end plates 14 and 16 and communicate with the interior of the cylinder housing 12 to form a sealed internal chamber 22.」(3欄18ないし22行)
(凹形の内部空所18及び20は、それぞれ、上記の第1と第2のエンドプレート14及び16に形成されると共に、上記シリンダハウジング12の内部に連通されて、封止された内部室22を形成している。)

(オ)
「A piston 30 is slidingly disposed within the chamber 22 and is axially movable from one end to the other within the chamber 22.」(3欄27ないし29行)
(ピストン30は、上記の室22内に滑動するように配置されると共に、その室22内で一端から他端へ軸方向に移動される。)

(カ)
「In operation, as is well known, a pressurized fluid, such as compressed air or hydraulic oil, may be admitted through the inlet bore 26 into the chamber 22 of the cylinder 10 by means of control valves, not shown. The pressurized fluid acts upon the rear face 42 of the piston 30 to move the cylinder piston 30 to the left, as viewed in FIG. 1. When fluid under pressure is admitted through the bore 24 in the first end plate 14, the fluid acts against the front face 34 of the piston 30 to move the piston 30 toward the end plate 16, thereby retracting the piston rod 36 into the cylinder 10.」(3欄41ないし51行)
(作動においては、周知のとおり、圧縮空気または油圧のような加圧流体が図示しない制御弁によって前記シリンダ10の前記の入口孔26を通って前記の室22へ入れられる。その加圧流体は、上記ピストン30の後面42に作用して、図1に示すように上記シリンダピストン30を左方へ移動させる。加圧流体が前記の第1エンドプレート14内の前記孔24を通って供給されたときには、その流体が上記ピストン30の前面34に作用して当該ピストン30を前記エンドプレート16へ移動させ、これにより、前記ピストンロッド36をシリンダ10内へ後退させる。)

(キ)
「A piston position sensor is provided on the cylinder 10. The position sensor, as shown by way of example by reference number 50 in FIG. 1, is typically mounted in a bore 52 formed in the end plate 14.」(3欄52ないし55行)
(上記シリンダ10にピストン位置センサが設けられる。その位置センサは、図1に参照数字50で例示したように、典型的には、前記エンドプレート14に形成した孔52に取り付けられる。)

(ク)
「Finally, a plunger type switch, such as shown at 100 in FIG. 3, may be mounted within the bore 52 to detect by actual contact the presence of the cushion plug 32 at the end point of piston travel.」(3欄66行ないし4欄2行)
(最後に、図3の100に示すようなプランジャ型スイッチを、ピストン行程の行程端で上記クッションプラグ32に実際に接触させて検出するために、前記孔52内に取り付けてもよい。)

(ケ)
「Referring now to FIG. 3, there is illustrated the plunger-type switch 100. Switch 100 is adapted to utilize an air valve sensor. The switch 100 includes a housing 121 having a step bore 125, the lower end of which is cylindrically shaped and adapted to extend into the cylinder bore 52 in the same manner as the sensor 62 described hereinbefore. The lower portion 127 of the housing 121 slidably supports a plunger 126 which is adapted to engage the cushion 32 and be moved upwardly against the bias of a spring 128 disposed within the interior of the housing 121. The upward movement of the plunger 126 permits communication between air ports, one of which is designated by the numeral 130, in the conventional manner to a suitable sensing device to establish that the piston 30 has moved to a desired position.」(5欄11ないし26行)
(図3についていえば、プランジャ型スイッチ100が記載されている。そのスイッチ100は、エア弁センサを利用するように変更されている。そのスイッチ100は、段付き孔125を有するハウジング121を含み、そのハウジング121の下端が、円筒状に形成されると共に、前述したセンサ62と同様の方法で前記シリンダ孔52内へ延設される。上記ハウジング121の下部127はプランジャ126をスライド可能に支持し、そのプランジャ126は、前記クッション32に係合されると共に、ハウジング121の内部に配置されたバネ128の付勢力に抗して上昇される。上記プランジャ126が上昇すると、その1つが参照数字130で示されている複数の空気ポートの間が連通され、従来の方法により、適切な検出装置が、ピストン30が所望の位置へ移動したことを確認する。)

(コ) 図1及び3

イ. 甲4事項
上記摘記事項(ア)ないし(ケ)、(コ)の図示を、技術常識を考慮して総合すると、甲4には、以下の甲4事項が記載されている。

「シリンダ10と、シリンダ10に進退可能に装備されたピストンロッド36と、このピストンロッド36を進出側と退出側の少なくとも一方に駆動するための圧縮空気または油圧のような加圧流体のための空間とを有するシリンダ10であって、ピストン行程の行程端でピストン30に形成したクッションプラグ32に接触させて検出するためのプランジャ型スイッチ100を設けたシリンダ10。」

(5) 甲5
ア. 本件遡及出願日前に頒布された刊行物である甲5には以下の記載がある。

(ア)
「This invention relates to a novel actuator valve for reversing the travel of a piston in a cylinder, and more particular, to an actuator valve unit adapted for installation at each end of a double acting cylinder for automatically reciprocating a piston thereof by merely supplying the valves with control fluid.」(1欄9ないし14行)
(発明は、シリンダ内のピストンの行程を反転させるための新規な操作弁に関し、より詳しく言えば、制御流体を弁に供給するだけでピストンを自動的に往復動作させるため、複動シリンダの各端部に設置するように適合された操作弁ユニットに関する。)

(イ)
「The valve member 62 is moved between the positions illustrated in FIGURES 2 and 5 of the drawings by a generally cylindrical actuator rod 75 having an end portion 76 slidably received through an opening 77 in the end cap 52 and projecting through a bore 78 in the plate 45 into the interior of the cylinder 10. The rod 75 is slidably received in an axial bore 80 of the valve member 62. A collar 81 having a generally annular spring seat 82 is secured to an opposite end portion (unnumbered) of the rod 75 positioned in a counterbore 83 of the valve member 62. A spring 84 seated against the annular seat 82 of the collar 81 and a seat 85 of the end cap 47 normally urges the actuator rod 75 to the position illustrated in FIGURE 2 of the drawings. The spring 84 likewise urges the valve member 62 to the position illustrated in FIGURE 2 of the drawings by the contact between the collar 81 carried by the rod 75 and an annular wall or surface 86 of the counterbore 83.」(3欄55行ないし72行)
(前記の弁部材62は、ほぼ円筒状の操作ロッド75によって、図2及び図5に示される位置の間を移動される。その操作ロッド75の端部76は、エンドキャップ52の開口部77を貫通して摺動可能に支持されると共に、プレート45内の孔78を通ってシリンダ10の内部へ突出される。そのロッド75は、弁部材62の軸孔80に摺動可能に収容される。その弁部材62の片方の孔83内に位置するロッド75の反対側端部(参照数字なし)に、ほぼ環状のバネ座82を有する鍔81が固定される。バネ84は、鍔81の環状座82とエンドキャップ47の座85とに装着されて、操作ロッド75を図2の位置に付勢する。そのバネ84は、同様に、操作ロッド75に同行する鍔81と片方の孔83の環状の壁または面86との接当により、弁部材62を図2の位置に付勢する。)

(ウ)
「As the piston 34 continues its movement, the abutment means 87 of the rod 75 contacts the annular wall 88 of the valve member 62 and urges the valve member 62 from the position illustrated in FIGURE 2 to the position shown in FIGURE 4 against the biasing force of the spring 84. During this movement of the valve member 62, the O-ring 60 breaks sealing contact with the housing 46 and the first chamber 56 is placed in fluid communication with the second chamber 63 through the passages 64, 65, as shown in FIGURE 4. The fluid in the left chamber 16 of the valve 11 now begins to vent through the conduit 30, the inlet port 31, the groove 55, the passages 57, 58, the first chamber 56, the passages 64, 65 and the second chamber 63. At this point the chamber 63 is not fully open to atmosphere through the passages 67, 68, the groove 70 and the exhaust port 71, as illustrated in FIGURE 4 of the drawings. In this position, the tubular end portion 66 of the valve member 62 occupies an intermediate position in which a portion thereof overlies and is minutely spaced from the housing portion defining the passages 67, 68. Thus, restricted flow occurs outwardly of the second chamber 63, the restriction between the housing 46 and the tubular end portion 66, the passages 67, 68, the groove 70 and the exhaust port 71. This restriction causes a delay in the opening of the second chamber 63 to atmosphere until such time as pressure builds up in the chamber 63 to a sufficient extent to rapidly move the valve member 62 to the second position (FIGURE 5) to fully open the chamber 63 to atmosphere.」(4欄52行ないし5欄6行)
(上記ピストン34が上記移動を続けると、ロッド75の接当手段87は、弁部材62の環状壁88に接触して、バネ84の付勢力に抗して弁部材62を図2の位置から図4の位置へ付勢する。弁部材62の上記移動中には、前記Oリング60は、図4に示すように、ハウジング46との封止係合を解除し、第1室56は、通路64,65を介して第2室63へ連通される。弁11の左室16内の流体は、管路30と入口ポート31と溝55と通路57,58と第1室56と通路64,65と第2室63とを通って排気され始める。この時点では、図4に示されるように、前記の室63は、通路67,68と溝70と排気ポート71とを介して外気へは十分に開放されていない。この位置では、弁部材62の管状端部66は、中間位置で横方向に延在して、通路67,68を区画しているハウジング部分から僅かに離間する。このため、第2室63から外側への流れが絞られる。その絞りは、ハウジング46と、環状端部66と通路67,68と溝70と排気ポート71との間を制限する。上記の絞り効果により、第2室63内の圧力が弁部材62を第2位置(図5)へ急速に移動させるのに十分な程度に高まるまで当該室63の大気開放を遅らせて、その後で上記の室63を大気へ十分に開放させる。)

(エ)
「With the valve member 22 shifting to the left as viewed in FIGURE 1, high pressure from the central chamber 17 of the valve 11 enters the interior of the cylinder 10 to the right of the piston 34 through the port 23 and the conduit 35. This high pressure begins moving the piston 34 to the left (FIGURE 5) and enters the third chamber 94 through the bore 92 in the rod 75. As the high pressure enters the chamber 94 it augments the biasing force of the spring 84 and shifts the valve member 62 from the position shown in FIGURE 5 to the position illustrated in FIGURE 2 to again prevent communication between the first chamber 56 and the second chamber 66 and thus condition the actuator valve 40, as well as the actuator valve 41, for subsequent cycling identical to that just described.」(5欄18ないし32行)
(図1において、上記の弁部材22が左側に切り換わると、弁11の中央室17からの高圧流体が、ポート23と管路35を通ってシリンダ10内のピストン34の右側へ流入する。この高圧流体は、ピストン34を左側へ移動させ始めると共に(図5)、ロッド75内の孔92を通って第3室94に流入する。その室94に高圧流体が流入したことで、前記バネ84の付勢力に上記の高圧流体が加わって、弁部材62を図5の位置から図2の位置に移動させて、第1室56と第2室66(当審注:「63」の誤記であると解される)との連通を再び防止する。これにより、上記の操作弁40及び41を上述の内容と同じ順次サイクルの様態にさせる。)

(オ)図1及び2

イ. 甲5事項
上記摘記事項(ア)ないし(エ)、(オ)の図示を、技術常識を考慮して総合すると、甲5には、以下の甲5事項が記載されている。

「ピストン34が、ロッド75を押すことで、ロッド部材75は、弁部材62を移動することで、弁部材62の開閉状態を切り換えて、第1室56、第2室63、通路57、58、64、65、入口ポート31、排気ポート71との間の流路の開閉をおこなう操作弁ユニット。」

(6) 甲6
ア. 本件遡及出願日前に頒布された刊行物である甲6には以下の記載がある。

(ア)
「ABSTRACT OF THE DISCLOSURE
A double-acting hydraulic actuator having finger locks to restrain the piston in the retracted position, and an internally mounted slider valve for affecting the movement of a locking piston to selectively hold the finger locks in their locking position. 」 (1欄12ないし17行))
(開示の要約
複動油圧アクチュエータは、ピストンを後退位置に拘束する指状ロックと、内蔵されたスライド弁とを有し、そのスライド弁は、ロックピストンの移動に関与して指状ロックをロック位置で選択的に保持する。)

(イ)
「The cylinder formed by the cylindrical housing 22 and the pressure cap 16 is divided into first and second pressure chambers 34 and 36 by a main or actuator piston 32, which can be formed as an integral part of the piston rod 12. An O-ring seal 33 fitted into an outer groove on the periphery of the piston 32 pressure-seals the chambers 34, 36 from each other. The closed end of the cylindrical housing 22 includes a plurality of fluid connecting passages; one passage 31 connects a supply of operating fluid (not shown) to the pressure chamber 34, and a second fluid passage 38 opens into an unloading cylinder 39. Referring additionally to FIGURE 2, the unloading cylinder 39 includes a sleeve 41 and slider valve 42 assembled into a bore at the closed end 84 of the cylindrical housing 22. A hexagon shaped plug 44, threadably inserted into the cylindrical housing 22, holds the sleeve 41 and slider valve 42 in place to align the fluid passage 38 with openings in said sleeve. Two O-ring seals 46, 47 fitted into grooves in the slider valve 42 divide the unloading cylinder 39 into pressure chambers 48, 49 which will be discussed below.」(2欄36ないし56行)
(筒状ハウジング22と圧力キャップ16とから構成されるシリンダは、メインの又は操作ピストン32によって第1圧力室34と第2圧力室36とに分割される。その操作ピストン32は、ピストンロッド12に一体的に形成され得る。ピストン32の外周溝に嵌合するOリングシール33は、上記の室34,36の双方からの圧力を封止する。筒状ハウジング22の閉止端は、複数の流体の接続流路を含む。一つの流路31は、作動流体の供給部(図示せず)を圧力室34に接続し、第2の流路38は、アンロードシリンダ39内に開口している。さらに図2を参照すると、アンロードシリンダ39は、筒状ハウジング22の閉止端84の孔に組み込まれたスリーブ41とスライド弁42とを含む。六角プラグ44は、筒状ハウジング22に螺合されて、スリーブ41及びスライド弁42を適所に保持して上記スリーブ41の孔に流路38を整合させる。1つのOリングシール46,47は、スライド弁42の溝に嵌合され、アンロードシリンダ39を後述の圧力室48と圧力室49とに分割する。)

(ウ)
「To insure that the actuator piston 32 will be maintained in its fully retracted position, as shown in FIGURE 1, the two pressure chambers 34 and 36 are preferably opened to a reservoir (not shown). The pressure chamber 36 is connected to the reservoir by means of a fluid passage 37 which extends from the capped end of the cylindrical housing 22 to passage 38; passage 38 in turn is in communication with port 88. The pressure chamber 34 is connected to the reservoir by means of a fluid passage 31 which is in communication with port 89. Appropriate return lines (not shown) in turn connect the ports 88, 89 to the reservoir through the aforementioned selector valve. The chamber 59 of locking cylinder 51 is connected to port 88 and in turn to the reservoir by means of passageways in the slider valve 42 when the valve is in its retracted position, said passageways being shown in greater detail in FIGURE 2. Referring to FIGURE 2, with the actuator piston 32 in its fully retracted position, the slider valve 42 is forced to its fully retracted position by direct contact with the actuator piston 32. With the slider valve 42 fully retracted, a small annular chamber 71 in said slider valve is in communication with chambers 72, 73 of the sleeve 41, as shown in FIGURE 3. At the same time, the axial passage 74 remains open into the chamber 49, but the transverse passage 76 is sealed by the sleeve 41 as shown in FIGURE 5. The fluid connection from the locking chamber 59 to the reservoir, when the actuator piston 32 is fully retracted, is by means of passages 40, 73, 71, 72, and 38. Since both sides of the piston 53 are connected to the reservoir, a transient pressure change in the system will not inadvertently unlock the actuator piston 32. 」(3欄39ないし70行)
(操作ピストン32を、図1に示される最も後退した位置に確実に保持させるには、2つの圧力室34及び圧力室36をリザーバ(図示せず)に連通させることが好ましい。その圧力室36は、流路37によってリザーバに接続され、その流路37が筒状ハウジング22の閉止端から通路38まで延び、その通路38がポート88に連通される。上記圧力室34は、ポート89に連通される流路31によってリザーバに接続される。適切な戻り流路(図示せず)が切換弁を介してポート88,89をリザーバに接続する。ロックシリンダ51の室59は、後退位置のスライド弁42の通路によってポート88に接続され、引き続きリザーバに接続される。前記通路は図2によって詳細に示されている。図2を参照すると、操作ピストン32が最も後退した位置にあるときに、スライド弁42が操作ピストン32に直接接触することによって当該スライド弁42が最も後退した位置に移動される。スライド弁42が最も後退されると、図3に示すように、スライド弁内の小さな環状室71がスリーブ41の室72,73に連通される。それと同時に、軸路74が室49内に連通されるのに対して、図5に示すように、横断路76がスリーブ41によって封止される。操作ピストン32が最も後退したときにおけるロック室59からリザーバへの流体の接続は、流路40,73,71,72,38によって行われる。ピストン53の両側はリザーバに接続されるので、システム内の圧力が瞬間的に変化しても操作ピストン32が不意にアンロックしない。)

(エ)
「To move the piston 32 to its fully extended position, the pressure chamber 34 is subjected to pressurized fluid through the aforementioned selector valve, while the pressure chamber 36 remains open to the reservoir return line. With the pressure chamber 34 connected to a source of fluid pressure, the pressure therein will become greater than that in the pressure chamber 36. In spite of the pressure differential initially established across the piston 32, it will be restrained from moving because the locking fingers 66 remain engaged with the annular detent 52. As described above, so long as the piston 32 remains in its fully retracted position, the pressure in the locking chamber 59 will be the same as that existing in chamber 36 and in the reservoir. Thus, by connecting the pressure chamber 34 to a source of operating fluid and chamber 59 to the reservoir, a differential pressure is developed across the piston 53 which eventually overcomes the force of the compression spring 63, and the piston 53 is moved to its retracted position. As the boss 82 on the piston 53 moves to the right past the annular recess 52, the locking fingers 66 are free to be extracted therefrom in response to the force exerted by fluid in chamber 34 acting on piston 32 which tends to pull fingers 66 to the left. Once the fingers 66 are pulled from the recess 52, the differential pressure developed across the piston 32 will cause said piston to continue to move until it reaches its extended position. Movement of the piston 32 to its extended position releases the slider valve 42, and it will be forced from the retracted position by the fluid pressure in the pressure chamber 49. Although both the front and back face of the slider valve 42 are exposed to the same pressure, positive movement of the slider valve is assured since the back of the slider valve has a larger surface area than the front. The fully extended position of the slider valve 42 is determined by the structural configuration of the sleeve 41. 」(3欄71行ないし4欄31行)
(上記ピストン32を最も伸長した位置に移動させるには、圧力室34が前述の切換弁を介して圧力流体の圧力を受けるのに対して、圧力室36がリザーバの戻り路に開放されたままにする。圧力室34を流体圧力の供給源に接続するときには、その圧力が圧力室36の圧力を上回るようにする。ピストン32の両側には当初から差圧が発生するにもかかわらず、指状突起66が環状の戻り止め52(翻訳注記:「環状凹部52」と同義と解される)に係合したままなので、当該ピストン32の移動が制限される。前述のように、ピストン32が最も後退した位置にあり続ける限り、ロック室59の圧力は、室36内及びリザーバ内と同じ圧力である。このように、圧力室34を作動流体の供給源に接続すると共に室59をリザーバに接続することにより、ピストン53の両側に差圧が生じて、その差圧が圧縮バネ63の力に打ち勝って、ピストン53を後退位置へ移動させる。ピストン53のボス83が環状凹部52を越えて右方へ移動すると、ロック用の指状突起66が、その指状突起を左方へ引っ張るように室34からピストン32へ作用する流体力に応じて、前記凹部から引き抜かれて解放される。その指状突起66が凹部52から一旦引き出されると、ピストン32の両側に生じる差圧が当該ピストンを伸長位置に到達するまで移動させ続ける。そのピストン32が伸長位置に移動することで、スライド弁42を拘束解除すると共に、圧力室49内の流体圧力によってスライド弁42が後退位置から移動される。そのスライド弁42の表裏の両面には同じ圧力が作用するけれども、そのスライド弁42の裏面が表面よりも大きい面積を有するので、そのスライド弁が確実に移動し得る。そのスライド弁42の最も伸長した位置は、前記スリーブ41の相対的な配置構造によって決定される。)

(オ)
「Referring to FIGURE 6, the slider valve 42 is shown in its fully extended position. In this position, the pressure in the locking chamber 59 is equal to the pressure in the chamber 34 since the transverse passage 76, of the slider valve 42, lines up with the second passage of the chamber 73, as shown in FIGURE 9. The annular passage 71 that previously provided communication between the locking chamber 59 and the reservoir, when the piston 32 was in its locked position, is now sealed off as shown in FIGURE 7. Also, the chamber 72 is isolated from the chamber 73 by the slider valve 42, as shown in FIGURE 8. 」(4欄32ないし42行)
(図6を参照すると、上記スライド弁42が最も伸長した位置にあることが示されている。この位置では、ロック室59内の圧力が室34内の圧力に等しい。これは、図9に示ように、スライド弁42の横断路76が室73の第2路に連通しているからである。前記ピストン32のロック位置においてロック室59とリザーバとの間を前述のように連通させていた環状流路71は、今度は、図7に示されるように閉止される。図8に示すように、室72もスライド弁42によって室73から遮断される。)

(カ) 図2、3及び6

イ. 甲6事項
上記摘記事項(ア)ないし(オ)、(カ)の図示を、技術常識を考慮して総合すると、甲6には、以下の甲6事項が記載されている。

「操作ピストン32が最も後退した際に、スライド弁42と接触してスライド弁42も最も後退した位置に移動される。そのとき、環状室71、スリーブ41の室72、73、軸路74、室49、横断路76、流路38、40、71ないし73の間の流路の開閉状態や接続が変化する複動油圧アクチュエータ。」

(7) 甲7
ア. 本件遡及出願日前に頒布された刊行物である甲7には以下の記載がある。

(ア)
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パレット上のワーク取付具に固定される被加工物のクランプ、アンクランプ状態を確認するクランプ・アンクランプ確認装置に関する。」

(イ)
「【0046】治具本体51,軸体53,クランプ部材50,ピストン54,バネ55は図3に示す第2実施例と同様であり、シリンダ室51cへの圧力供給とバネ55とによりクランプ部材50が上下動する。この実施例では、ブロック52の前記軸体53軸線上に気密室51gを設け、圧力供給源と気密室51gとを連通させる通孔40gと、大気圧側と気密室51gとを連通させる通孔40hとの結合を、軸体53の上下動で遮断してアンクランプ状態を検出している。
【0047】本発明は上述した実施例に限定されることなく、ワーク取付け治具のクランプ、アンクランプ動作を行うときに生じる可動部分の移動を利用し、圧力供給源側に連通する通孔と、大気圧側に連通する通孔とを、結合、遮断することにより生じる圧力変化を検出する構成であればよい。また、この検出は、クランプ、アンクランプ状態の両方を検出してもよくどちらか一方を検出してもよい。
【0048】
【発明の効果】本発明に係るクランプ・アンクランプ確認装置によれば、ワーク取付け治具の可動部の移動で気密室内のプランジャ部を押圧移動させることにより、気密室内で結合している通孔間を遮断し、それによって生じる圧力流体の圧力変化を検出する簡素な構成であり、クランプ、アンクランプ状態を高い信頼性で確実に検出することができる。」

(ウ) 図6

イ. 甲7事項
上記摘記事項(ア)及び(イ)、(ウ)の図示を、技術常識を考慮して総合すると、甲6には、以下の甲6事項が記載されている。

「圧力供給源と気密室51gとを連通させる通孔40gと、大気圧側と気密室51gとを連通させる通孔40hとの結合を、クランプ、アンプランプ状態の変化に応じて上下する軸体53によって、連通あるいは遮断することでクランプあるいはアンクランプ状態を検出するクランプ・アンクランプ確認装置。」

(8) 甲9
ア. 本件遡及出願日前に頒布された刊行物である甲9には以下の記載がある。

(ア)
「FIG.1 a hydraulic control device of an electric disconnector, partially shown as a block diagram, and partially shown as a longitudinal sectional view, with two different switching positions of a seated-type valve above each other and separated by the central axis,
FIG.2 a longitudinal sectional view corresponding to the longitudinal sectional view of FIG. 1 of a further embodiment of the seated-type valve, showing two different switching positions separated by the central axis, and
FIG.3 a longitudinal view of a further embodiment in both switching positions.」(3欄46ないし56行)
(図1は、電気断路器の油圧制御装置であり、ブロック図として部分的に示されると共に長手方向の断面図として部分的に示され、その断面図では、シート形バルブの2つの異なった切換え位置が中心軸によって上下に分れて示されている。
図2は、シート形バルブの他の実施例を示し、図1の長手方向の断面図に相当する断面図であって、2つの異なった切換え位置が中心軸によって分れて示されている。
図3は、両方の切換え位置における別の実施例の長手方向の図である。)

(イ)
「The chamber 2 is directly connected via a pressure line 4 with a pressure source P, e.g. a charging pump. A pressure line 4 branches off from pressure line 4 and leads to a pump port 5 in a housing G of a seated-type valve V.
In the embodiment shown, the seated-type valve V has an outer housing AG Into which the housing G is screwed in. The housing G is formed e.g. by two sleeve-like housing parts 6, 6‘ set behind each other. The housing parts 6, 6‘ consist at least e.g. partially from hardened steel. A slider closure element 7 is slidably provided in sealed fashion within the housing G and can be displaced between two positions (upper half, left end position, lower half, right end position). A cylinder port 8 is provided in the housing G adjacent to the pump port 5 and separated by a pump valve seat S1 from the pump port 5. A pressure line 9 leads from cylinder port 8 to the chamber 1. A pressure line 39 branches off from pressure line 4‘ and leads via a solenoid actuated pilot control valve V, V1 and a further pressure line 39‘ to a control port 10 extending into the interior of the housing. A guiding section of the slider closure element 7 is located in this area and equipped with two spaced apart sealings 11, 12. The free end at the left side of the slider closure element 7 projects into a chamber 13 connected by a line 14 with a tank T. A tank valve seat S2 separates the cylinder port 8 in the housing G from a tank port 15 Which Is connected to the tank line 14.」(4欄12ないし37行)
(上記室2は、圧力路4を介して、圧力源Pとしての供給ポンプに直接に接続される。別の圧力路4’は、上記圧力路4から分岐して、シート形バルブVのハウジングG内のポンプポート5に通じている。
図示の実施例において、上記シート形バルブVは外ハウジングAGを有し、その外ハウジングAG内に前記ハウジングGがネジ込まれる。そのハウジングGは、互いに裏向きに配置された2つのスリーブ状のハウジング部分6,6’(翻訳注記:図1に示されたように、環状に形成された左ハウジング部分6と、ねじキャップ状に形成された右ハウジング部分6’)によって構成される。上記ハウジング部分6,6’は、少なくも部分的に硬化鋼で構成される。スライド閉じ部材7は、上記ハウジングG内に保密状でスライド可能に設けられ、2つの位置(上半分の左端位置と下半分の右端位置)の間を移動され得る。シリンダポート8は、ポンプポート5に隣接して上記ハウジングGに設けられて、ポンプ側の弁シートS1によって上記ポンプポート5から区画される。シリンダポート8から前記の室1へ圧力路9が導出される。圧力路39は、圧力路4’から分岐されて、電磁操作パイロット制御弁V,V1(翻訳注記:参照符号「V,V1」は、「VV1」の誤記と解される)と別の圧力路39’とを経て、上記ハウジングGの内部へ延びる制御ポート10へ通じている。この空間に配置されている上記スライド閉じ部材7のガイド部分は、離間された2つのシール部材11,12を備える。上記スライド閉じ部材7の左側の自由端は、通路14によってタンクTに接続された室13内へ突出している。タンク側の弁シートS2は、ハウジングG内のシリンダポート8を、上記タンク用の通路14に接続されたタンクポート15から区画する。)

(ウ) 図1

イ. 甲9事項
上記摘記事項(ア)及び(イ)、(ウ)の図示を、技術常識を考慮して総合すると、甲9には、以下の甲9事項が記載されている。

「スライド閉じ部材7を収容するハウジング部分6’は、外ハウジングAGに形成された孔に挿入螺合されたキャップ部材として形成されていて、かつ、流体が流れる通路の一部が形成されている油圧制御装置」

(9) 甲10
ア. 本件遡及出願日前に頒布された刊行物である甲10には以下の記載がある。

「【実施例3】
【0069】
・・・図10に示すように、このクランプ装置CBにおいては、前記弁機構105が省略され、下部本体部材12の上端部には、環状受圧部材5の係止鍔62aに対向する部分に開口する加圧エア噴出孔120と、この加圧エア噴出孔120に接続されたエア通路121とが形成されている。
【0070】
上部本体部材11には着座センサ80の為の前記エア通路82とは異なるエア通路122,123であってエア通路121に接続されたエア通路122,123が形成されている。基部本体部材13にはエア通路123に接続されたエア通路124が形成され、このエア通路124は加圧エア供給源に接続され、エア通路124内の加圧エアのエア圧が設定圧以上になったことを検出する圧力スイッチ125も設けられる。
【0071】
クランプ不良により、環状受圧部材5が下限位置まで下降したとき、係止鍔62aにより加圧エア噴出孔120が閉じられるため、その加圧エアの圧力上昇を圧力スイッチ125によって検出し、クランプ不良を検知することができる。前記弁機構105を省略したため、簡単な構成のクランプ不良検出機構100Aとなる。
【実施例4】
【0072】
・・・図11に示すように、このクランプ装置CCにおいては、前記弁機構105が省略され、上部本体部材11には、円形凹部6の周壁部の下端部に形成された加圧エア噴出孔130と、エア通路131,132とが形成されている。
【0073】
基部本体部材13にはエア通路132に接続されたエア通路133が形成され、このエア通路133は加圧エア供給源に接続され、エア通路133内の加圧エアのエア圧が設定圧以上になったことを検出する圧力スイッチ134も設けられる。クランプ不良により、環状受圧部材5が下限位置まで下降したとき、係止鍔62aにより加圧エア噴出孔130が閉じられるため、その加圧エアの圧力上昇を圧力スイッチ134によって検出し、クランプ不良を検知することができる。前記弁機構105を省略したため、簡単な構成のクランプ不良検出機構100Bとなる。尚、環状受圧部材5が下限位置の近傍位置までに下降したときに、加圧エア噴出孔130が閉じられるように構成してもよい。」

イ. 甲10事項
上記ア.の摘記事項を、技術常識を考慮して総合すると、甲10には、以下の甲10事項が記載されている。

「クランプされていないときは開いているエア通路121、131の加圧エア噴出孔120、130を、環状受圧部材5が下限位置まで降下したときに、環状受圧部材5の係止鍔62aにより閉じるクランプ装置。」

(10) 甲11
甲11は、本件出願日(平成25年7月5日)前であって、本件遡及出願日(平成23年10月7日)後に頒布された刊行物であって、原出願に係る公開公報である。

(11) 甲12
ア. 本件遡及出願日前に頒布された刊行物である甲12には図面とともに以下の往復動ポンプの切替装置についての記載がある。

(ア)
「・・・機械式の代りに作動体の動きを受けて空気圧バルブを作動させ、そのパイロットエアーによって切替弁を切替える第2図の如き方法もとられていた。この場合、空気圧バルブが作動しても切替弁が凍結などにより、中立位置で停止すると、前記同様切替不良が発生し、作業に支障をきたすことになる。」(明細書2ページ下から7ないし最下行)

(イ)
「本考案は、往復動する作動体が、両端での切替位置に達したときに作動片によって開放作動し、離れたときにばねによって閉塞する開閉弁をそれぞれの端部に配し、そのうち一方の開閉弁の入口通路はエアー源と接続、他方の入口通路は大気開放とするとともに、作動体の両側に形成されたそれぞれの駆動室に圧縮空気を導入する切替弁をバネ付きの4ポート2位置切替弁としたもので、この切替弁は、前記開閉弁からの圧縮空気を受けて切替を行うパイロットエアー作動式とし、該パイロットエアー通路と、前記開閉弁の出口通路とを連通させたものである。」(明細書4ページ1ないし12行)

(ウ) 第1図、第2図

イ. 甲12事項
上記摘記事項(ア)及び(イ)並びに(ウ)の図示を、技術常識を考慮して総合すると、甲12には、以下の甲12事項が記載されている。

「往復動ポンプの切替装置において、従来は第2図のようにパイロットエアーによって切替弁を切り換えるものを、第1図に記載されたもののように、往復動する作動体が、両端での切替位置に達したときに作動片によって開放作動し、離れたときにばねによって閉塞する開閉弁をそれぞれの端部に配し、そのうち一方の開閉弁の入口通路はエアー源と接続、他方の入口通路は大気開放とするとともに、作動体の両側に形成されたそれぞれの駆動室に圧縮空気を導入する切替弁をバネ付きの4ポート2位置切替弁としたもので、この切替を行うパイロットエアー作動式とし、該パイロットエアー通路と、前記開閉弁の出口通路とを連通させたものとした点。」

(12) 甲13
ア. 本件遡及出願日前に頒布された刊行物である甲13には図面とともに以下の往復動ポンプの行程端検出装置についての記載がある。

(ア)
「・・・第5図のように、衝合部材101’’,102’’が低圧ピストン1との衝合によって方向切り換え弁103,104を作動させ、該方向切り換え弁103,104の流体をパイロットとして方向制御弁7を作動させるようにしたものもある。」(明細書4ページ下から7ないし3行)

(イ) 第5図

イ. 甲13事項
上記摘記事項(ア)及び(イ)の図示を、技術常識を考慮して総合すると、甲13には、以下の甲13事項が記載されている。

「圧力流体が供給される通路と外界に連通した通路とが方向切り換え弁の開閉により連通する往復動ポンプの行程端検出装置。」

(13) 甲14

ア. 本件遡及出願日前に頒布された刊行物である甲14には図面とともに以下の作動流体の変換・増圧による弁の増力駆動装置についての記載がある。

(ア)
「ピストン15が衡程の終点に達するとパイロット弁14の作動桿に当りパイロット弁14は開かれ管内の空気は外気中に放出される。」(2ページ左上欄13ないし16行)

(イ) 図

イ. 甲14事項
上記摘記事項(ア)及び(イ)の図示を、技術常識を考慮して総合すると、甲14には、以下の甲14事項が記載されている。

「圧力流体が供給される通路と外界に連通した通路とが、パイロット弁14の開閉により連通する作動流体の変換・増圧による弁の増力駆動装置。」

(14) 甲17
本件遡及出願日前に頒布された刊行物である甲17には、油圧機器と応用回路について以下の記載がある。

「9・5・1 サイクリング速度
油圧シリンダのサイクリング速度を円滑にかつより速くさせるには、パイロット圧として空気圧を用いたパイロット操作油圧4方弁を用いるとよい.」(235ページ下から9ないし5行)

(15) 甲18
ア. 本件遡及出願日前に頒布された刊行物である甲18には、シリンダ装置について以下の記載がある。

(ア)
「シリンダ本体12内のピストン10位置を位置検出器16により検出しながらピストンを制御している。」(1ページ右欄9ないし11行)

(イ) 第1図

イ. 甲18事項
上記摘記事項(ア)及び(イ)の図示を、技術常識を考慮して総合すると、甲18には、以下の甲18事項が記載されている。

「シリンダ本体12内のピストン10の位置を位置検出器16により検出している点。」

2. 無効理由についての検討

(1) 無効理由1
ア. 本件特許発明1について

(ア) 甲1発明との対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「シリンダ本体10」及び「油圧パワーアクチュエータA」が、その構成及び機能からみて本件特許発明1の「シリンダ本体」及び「油圧シリンダ」に相当することは明らかである。甲1発明の「ピストン15及びピストンロッド16」は、上記摘記事項(ウ)の「・・・上記シリンダ内のピストン15を往復移動させる。このピストンには出力用ピストンロッド16が接続され、そのピストンロッド16がエンドキャップ12内の適切なブッシュを介して支持され、当該ピストンロッド16には、操作されるべき装置に連結される適切なカップリング手段・・・が設けられる。」との記載から、本件特許発明1の「出力部材」に相当する。
甲1発明の「前記ピストン15及びピストンロッド16が後退ストローク端に到達したときに動作されるパイロット弁B」は、本件特許発明1の「前記出力部材の位置を検出する位置検出装置」と、「出力部材」が所定位置に達したときに動作する装置である点で共通する。
甲1発明の「パイロット弁B」及び「スプール弁29」は、それぞれ本件特許発明1の「開閉弁機構」及び「弁体」にそれぞれ相当する。そして、甲1発明の「バルブ本体21」は本件特許発明1の「シリンダ本体」と、「開閉弁機構」の収容部である点で共通する。そうすると、甲1発明の「バルブ本体21に形成されポート26と27を接続する流路及び同様に形成されたポート26と28を接続する流路と、これら流路を切り換えることでこれら流路を開閉可能なパイロット弁B」は、本件特許発明1の「シリンダ本体内に形成され且つ一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路と、このエア通路を開閉可能な開閉弁機構」とは、「収容部に形成された流体が流れる流路を開閉可能な開閉弁機構」である点で共通する。甲1発明の「エンドキャップ11」は、本件特許発明1の「シリンダ本体」と、「パイロット弁B」が進退可能に装着される装着孔が形成される被装着部材である点で共通する。甲1発明の「孔延長部33」及び「軸孔路48」とは、本件特許発明1の「油圧導入室」及び「油圧導入路」にそれぞれ相当する。
甲1発明の「後退ストローク端」は、予め定まったピストン15及びピストンロッド16が達する範囲内の位置であるから、本件特許発明1の「所定位置」に相当する。甲1発明の「前記ピストン15に設けたカム部材43」と本件特許発明1の「出力部材」とは、弁体を移動させる駆動部材である点で共通する。

そうすると、本件特許発明1と甲1発明とは以下の点で一致し、かつ、相違する。
<一致点>
「シリンダ本体と、このシリンダ本体に進退可能に装備された出力部材と、この出力部材を進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する為の油室とを有する油圧シリンダにおける前記出力部材の位置に達したときに動作する装置であって、
収容部内に形成され流体が流れる流路と、この流路を開閉可能な開閉弁機構を備え、
前記開閉弁機構は、被装着部材に形成した装着孔に進退可能に装着された弁体と、前記弁体を前記出力部材側に進出させた状態に保持する油圧導入室と、前記油室と前記油圧導入室とを連通させる油圧導入路とを備え、
前記出力部材が所定の位置に達したときに、駆動部材により前記弁体を移動させて前記開閉弁機構の開閉状態を切り換える装置。」

<相違点1>
上記一致点の、「流路」及び「開閉弁機構」について、本件特許発明1は流路及び開閉弁機構ともシリンダ本体に設けられたものであるのに対し、甲1発明は流路がバルブ本体21に設けられ、パイロット弁Bがエンドキャップ11に設けられたものである点。

<相違点2>
開閉弁機構の油圧導入室と油圧導入路について、本件特許発明1の油圧導入室は、油室の油圧によって弁体を出力部材側に進出させた状態に保持するものであるのに対し、甲1発明の孔延長部33は、バネ35のバネ力によって、スプール弁29をピストン15及びピストンロッド16側に進出させた状態に保持するものであって、油室の油圧によっても当該進出された状態に保持するものであるかは不明である点。

<相違点3>
本件特許発明1は、油圧シリンダにおける出力部材の位置を検出する検出装置であって、流体がエアであり、そして開閉される流路として、一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路を設け、出力部材が所定の位置に達したときに、出力部材により弁体を移動させて開閉弁機構の開閉状態を切り換えて、エア通路のエア圧を介して出力部材が所定の位置に達したことを検知可能に構成したものであるのに対し、甲1発明は、ピストン15及びピストンロッド16の位置を検出する装置であるか否かが明らかではなく、流体がエアであるか否かも明らかではなく、そして開閉される流路として、接続ポート26及び27を接続する流路と接続ポート26及び28を接続する流路を設け、ピストン15及びピストンロッド16が所定の位置に達したときに、ピストン15に設けたカム部材43によりスプール弁29を移動させてパイロット弁Bの開閉状態を切り換えるものであるが、ピストン15及びピストンロッド16の位置を検出するものであるかが不明である点。

(イ) 相違点に対する検討

a. 相違点1について
甲1には、上記1.(1)ア.の摘記事項(イ)の「従来から利用されているパイロット弁ユニットと連動カムは、少なくとも可動部分の一部が外部に多少開放されていた。これらの開放された可動部分は、汚染物が侵入しやすく、構成要素を適切に保護できず、また、内部の部品を適切に潤滑できない。・・・従来の配置が有している、以上に述べた問題点のかなりの範囲は、他の知られた問題点も含めて、パワーアクチュエータと密接に関連するサイクリングパイロット制御弁が、一つの結合された組立体とするために一体化され、作動の際に稼働するアクチュエータやパイロット弁の可動部分が完全に囲まれるようにし、そして、アクチュエータを駆動するために用いられる加圧流体媒体によって、パイロット弁部材が潤滑されるようにしたことで、解消する。」との記載がある。そうすると、甲1発明は、従来のパイロット弁のユニットと連動カムの可動部分が外部に露出していたために生じた、汚染物が侵入しやすく、部品を適切に潤滑できないとの問題点を解決しようとして、バルブ本体21やエンドキャップ11により当該可動部分を完全に囲むようにしたものである。一方、本件特許発明1は、甲1発明のカム部材43のような、出力部材とは別の弁体を移動させるための構成をピストンとは別途に備えたものではないから、本件特許発明1と甲1発明とは、そもそも前提とする構成において相違し、甲1発明の流路や開閉弁機構をシリンダ本体10に設けることの動機付けがあるとは言えない。
請求人は、第3の1.(1)ア.に記載したように、甲2、甲3、甲5及び甲6には、エア通路をシリンダ本体内あるいは弁ケースに形成する旨が記載されている旨、主張している。しかし、これらの各甲号証記載のものは、いずれも甲1発明のカム部材43のような、ピストン15の位置を検出するための突出部を持たないものばかりである。そうすると、甲1発明のようなピストン15の位置検出のためのカム部材43とそれを覆うエンドキャップ11を有するものにおいて、シリンダ本体10に流路やパイロット弁Bを備える甲号証はない。
したがって、甲1発明に上記相違点1に係る構成を備えることは、当業者が容易になし得たものであるということはできない。

b. 相違点2について
甲1の、上記1.(1)ア.の摘記事項(キ)の「この加圧流体は、上記スプール弁の最下端に作用してバネ35の力に抗するように当該弁に力を加えるので、動作不良を生じさせる。この動作不良を防止するには、流体圧力源を孔延長部33へ接続する通路を介して、スプール弁の反対側の端部に均圧流体を供給すればよい。これを達成するには、好ましくは、弁スプールの両端部の空間同士を連通させる軸孔路48を設けて、その弁スプールをバランスさせる流体圧力を上記の両端面に作用させ、これにより、流体圧力がスプールの動作を妨げないようにする。」との記載、及びスプール弁29が、カム部材43により移動させられることから、甲1発明は、軸孔路48を設けることで、スプール弁29の両側(油室側とエンドキャップ11側)を連通させて、当該両側に作用する油圧を等しくすることで、バネ35とカム部材43によるスプール弁29の動作が油圧によって実質的に妨げられないようにするものであること、そして、当該両側に作用する油圧に差が生じると、スプール弁29に対して当該差に基づく油圧が作用し、スプール弁29の往復動作を妨げることとなることは当業者にとって明らかである。
そうすると、甲1発明において、孔延長部33を、油室の油圧によって、スプール弁29をピストン15及びピストンロッド16側に進出させた状態に保持することは、スプール弁29の両端に作用する油圧において、孔延長部33側のものを相対的に大きくすることであるから、その結果、油室の油圧の影響によりカム部材43によるスプール弁29の図1における上方への移動を妨げることとなるから、甲1発明に上記相違点2に係る構成を備えることの阻害事由があるというべきである。
上記第3の1.(1)ア.に記載したように、請求人は、甲3、甲5及び甲6にはそれぞれ油圧によってのみ弁体を進出させるものが記載されていると主張している。しかし、上記に示したとおり、甲1発明は、油圧によってスプール弁29を進出させることの阻害事由があるというべきであるから、甲3、5及び6に記載された上記事項を適用することが当業者にとって容易であるとは認められない。
そうすると、甲1発明に上記相違点2に係る構成を備えることは、当業者が容易になし得たものであるということはできない。

c. 相違点3について
甲1発明は、ピストン15及びピストンロッド16が後退ストローク端に達したときに、カム部材43によりパイロット弁Bのスプール弁29を移動させて、ポート26と27とを接続する流路とポート26と28とを接続する流路との間で切り換えることで、当該ピストン15及びピストンロッド16が往復移動するよう制御するものであるから、甲1発明のスプール弁29は、ポート26ないし28との間の流路を切り換え、ピストン15及び16が自動的に反転動作をするための動作切替手段の一部である。そうすると、当業者が、自動往復運動をしているピストン15及びピストンロッド16が後退ストローク端に達したことを検知しようとして、動作切替手段の一部にすぎないスプール弁29に、ピストン15及びピストンロッド16が後退ストローク端に達したことの検知機能を持たせようとする合理的理由がない。
上記第3の1.(1)ア.に記載されたように、甲2、甲4、甲13及び甲18には、ピストンで駆動される部材の位置を検出するものが記載されている、と請求人は主張するが、上記で示したように、スプール弁29は、動作切換手段の一部であるに過ぎず、これらの甲号証に位置を検出するための構成が記載されていたとしても、甲1発明にはそれらの構成と組み合わせることの動機付けがあるとはいえない。
したがって、甲1発明を上記相違点3に係る構成を備えたものとすることは、当業者が容易になし得たものであるということはできない。

d. 本件特許発明1についての小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1発明、他の甲号証に記載された事項及び従来周知の事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ. 本件特許発明2ないし7について
本件特許発明2ないし7は、本件特許発明1を直接あるいは間接に引用するものであって、本件特許発明1で特定された事項を全て含み、さらなる限定事項を付加したものである。よって、本件特許発明2ないし7は、本件特許発明1と同様に、当業者が甲1発明、他の甲号証に記載された事項及び従来周知の事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ. 無効理由1についてのむすび
したがって、本件特許発明1ないし7については、請求人が主張する無効理由1は成立しない。

(2) 無効理由2

ア. 本件特許発明1について

(ア) 甲2発明との対比
本件特許発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明の「シリンダ12」及び「ピストンロッド26」とが、その構成及び機能からみて本件特許発明1の「シリンダ本体」及び「出力部材」にそれぞれ相当することは明らかである。
甲2の上記1.(2)ア.の摘記事項(エ)の「シリンダ12は、間隔をあけて配置された一対のブロック状の構造のヘッド18及び20を含む。」との記載から、甲2発明の「ヘッド20内に形成された」は、「シリンダ12内に形成された」ともいえる。また、甲2発明の「空圧バルブ16」及び「弁部材46」は、それぞれ本件特許発明1の「開閉弁機構」及び「弁体」に相当する。よって、甲2発明の「ヘッド20内に形成された通孔56、通孔58及び通孔64が設けられ、通孔58は端部に加圧エアが供給され、通孔64は端部が外界に連通し、そしてこの通孔56と58との間を流れる流路及び通孔56と64との間を流れる流路を開兵可能な空圧バルブ16」は、本件特許発明1の「シリンダ本体内に形成され一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路を開閉可能な開閉弁機構」と、「シリンダ本体内に形成されたエアが流れる流路を開閉可能とした開閉弁機構」である点で共通する。
甲2発明の「空圧バルブ16」が備える「空間」は、本件特許発明1の「油圧導入室」と、「弁体」を「出力部材」側に進出させた状態に保持するための空間である点で共通する。
甲2発明の「ピストンロッド26が所定の位置に達したときに、ピストンロッド26により弁部材46を移動させて前記空圧バルブ16の通孔56と58との間及び通孔56と64との開閉状態を切り換え、」は、本件特許発明1の「出力部材が所定の位置に達したときに、出力部材により弁体を移動させて開閉弁機構の開閉状態を切り換え、」に相当する。


そうすると、本件特許発明1と甲2発明とは以下の点で一致し、かつ、相違する。
<一致点>
「シリンダ本体と、このシリンダ本体に進退可能に装備された出力部材と、この出力部材を進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する為の油室とを有する油圧シリンダにおける前記出力部材の位置を検出する位置検出装置であって、
前記シリンダ本体内に形成されたエアが流れる流路を開閉可能とした開閉弁機構とを備え、
前記開閉弁機構は、前記シリンダ本体に形成した装着孔に進退可能に装着された弁体と、弁体を出力部材側に進出させた状態に保持する空間を備え、
前記出力部材が所定の位置に達したときに、前記出力部材により前記弁体を移動させて前記開閉弁機構の開閉状態を切り換え、前記エア通路のエア圧を介して前記出力部材が前記所定の位置に達したことを検知可能に構成した、
位置検出装置。」
<相違点1>
本件特許発明1の開閉弁機構は、油室と油圧導入室を連通させる油圧導入路を備え、油室の油圧によって弁体を出力部材側に進出させた状態に保持するのに対し、甲2発明の空圧バルブ16は、油圧導入路に相当する構成を備えておらず、バネ力及びエア通路内のエア圧によって進出させた状態に保持する点。
<相違点2>
本件特許発明1は、開閉弁機構が開閉可能な流路は、一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路であるのに対し、甲2発明は、通孔58は端部に加圧エアが供給され、通孔64は端部が外界に連通し、そしてこの通孔56と58との間を流れる流路及び通孔56と64との間を流れる流路である点。

(イ) 相違点に対する検討

a. 相違点1について
甲2発明の空圧バルブ16の弁部材46は、加圧エアの圧力が、操作具44がシリンダ12の内部へ移動する方向に作用し続けるように構成されることで、弁部材46をピストンロッド26側に進出させた状態に保持し、ピストン24が後退時には、弁操作具44がリリースされるものである。
また、甲2発明の空圧バルブ16は、通孔58は端部に加圧エアが供給され、通孔64は端部が外界に連通し、そしてこの通孔56と58との間を流れる流路及び通孔56と64との間を流れる流路を開閉可能であって、通孔56と58との間及び通孔56と64との開閉状態を切り換え、前記通孔56のエア圧を介して出力部材が所定の位置に達したことを検知するものであるから、通孔58から供給される加圧エアは、空圧バルブ16によって、通孔56に供給されるか否かによって、出力部材が所定の位置に達したことを検知可能とするものでもある。
したがって、甲2発明の加圧エアは、空圧バルブの弁部材46に対してシリンダ12の内部の方向へ向けて押圧し続けるとの機能と、出力部材が所定の位置に達したことを伝えるための構成の一部であるとの機能を併有するものであることが理解できる。
そうすると、甲2発明の、空圧バルブ16において、油室と空間を連通させる油圧導入路を形成して、油室の油圧によって、弁部材46をピストンロッド26側に進出させた状態に保持することは、上記加圧エアが併有する上記二つの機能のうち、弁部材46に対して押圧するとの機能のみを油圧で置き換えようとするものであって、そのように一部の機能に係る構成部分のみを置き換えることの動機付けが甲2発明に存在するとは認められない。
第3の1.(2)ア.に記載したように、請求人は、甲1及び3のそれぞれには、油圧シリンダの油圧によって弁体が進出するものが記載されている。しかし、上記したとおり、甲2発明には、空圧バルブ16において、油圧によって弁部材46を押圧することの動機付けが存在するとは認められないから、甲2発明に対して、上記甲1あるいは甲3に記載された事項を適用することが当業者にとって容易であるとはいえない。
以上のとおりであるから、甲2発明を、上記相違点1に係る構成を備えたものとすることは、当業者が容易になし得たものであるとすることはできない。

b. 相違点2について
本件特許発明1に特定された事項である、「一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路」は、出力部材が所定の位置に達したときに、出力部材により弁体を移動させて開閉弁機構の開閉状態を切り換え、エア通路のエア圧を介して出力部材が前記所定の位置に達したことを検知可能にするものである。したがって、加圧エアが供給される一端部から外界に連通した他端部までのエア通路全体の圧力が、開閉弁機能の開閉状態を切り換える動作によって、加圧エアの圧力と外界の圧力との間で大きく変化し、当該圧力の変化を検出することで、出力部材が所定の位置に達したことを検知するものであることが理解できる。
一方、上記a.にて示したとおり、甲2発明の通孔58によって供給される加圧エアは、空圧バルブの弁部材46に対してシリンダ12の内部の方向へ向けて押圧し続けるとの機能と、出力部材が所定の位置に達したことを伝えるための構成の一部であるとの機能を併有するものである。そして前者の機能のためには、弁部材46に作用する通路58の加圧エアの圧力が変化しないことが望ましいし、後者の機能のためには、通孔56が通孔58に接続されて加圧エアが供給されたときの通孔56に生じるエア圧と、通孔56が通孔64に接続されて外界に連通した際の通孔56に生じるのエア圧の変化を検出するのであるから、同様に通路58の加圧エアの圧力が変化しないことが望ましいことは当業者にとって明らかである。
そうすると、甲2発明を、相違点2に係る構成を備えたものとすることは、変化しないことが望ましい通路58内の加圧エアの圧力を変化させようとするものであるから、この点、そうした置き換えに対する阻害事項が存在するというべきである。
第3の1.(2)ア.に記載したように、請求人は「加圧エアが供給されるエア通路と外界に連通したエア通路とを「連通」させることは、甲3並びに甲12ないし14の記載から、従来周知である」と主張している。しかし、当該周知の構成を甲2発明に適用することは、上記したとおり、通路58内の加圧エアの圧力が変化することとなり、阻害事由があるから、甲2発明に当該周知の事項を適用することが当業者にとって容易であるということはできない。
したがって、甲2発明を、上記相違点2に係る構成を備えたものとすることは、当業者が容易になし得たものであるとすることはできない。

c. 本件特許発明1についての小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲2発明、他の甲号証に記載された事項及び従来周知の事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ. 本件特許発明2ないし7について
本件特許発明2ないし7は、本件特許発明1を直接あるいは間接に引用するものであって、本件特許発明1で特定された事項を全て含み、さらなる限定事項を付加したものである。よって、本件特許発明2ないし7は、本件特許発明1と同様に、当業者が甲2発明、他の甲号証に記載された事項及び従来周知の事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ. 無効理由2についてのむすび
したがって、本件特許発明1ないし7については、請求人が主張する無効理由2は成立しない。

(3) 無効理由3

ア. 本件特許発明1について

(ア) 甲1発明との対比
本件特許発明1と甲3発明とを対比する。
甲3発明の「低圧シリンダ20」及び「ピストン21及び高圧ピストン26、27」は、それぞれ本件特許発明1の「シリンダ本体」及び「出力部材」に相当する。
甲3発明の「二方パイロット弁63、64」は、それぞれ本件特許発明1の「開閉弁機構」に相当する。
甲3の、上記1.(3)ア.の摘記事項(ア)の「本発明は、圧カブースタに限定されるものではなく、油圧または空圧で駆動される作動器にも適用できる」との記載から、甲3発明油圧又は空圧で用いられるものであるから、甲3発明の「シリンダ室22、23」、「連続ピストンドライブ」、「圧力流体」、「流体通路」、「流体通路の流体圧」、「シリンダ室22、23の流体圧」は、それぞれ本件特許発明1の「油室」、「油圧シリンダ」、「加圧エア」、「エア通路」、「エア通路のエア圧」、「油室の油圧」とは、それぞれ「流体室」、「流体圧シリンダ」、「加圧流体」、「流体通路」、「流体通路の流体圧」、「流体室の流体圧」という限りにおいて共通する。
甲3発明の回収容器41は、回収容器41に至った流体が再び流体通路へ環流し甲3発明の構成に何らかの作用を及ぼすことがないから、本件特許発明1の外界に相当する。
甲3発明の「プランジャ65」は、本件特許発明1の「弁体」と、出力部材が所定の位置に達したときに、出力部材によって移動させられる移動部材である点で共通する。そして、当該移動部材が移動させられて開閉弁機構の開閉状態が切り替わった際に、甲3発明は、ピストン21及び高圧ピストン26,27は反転動作するのに対し、本件特許発明1は、出力部材が所定の位置に達したことを検知可能に構成したものであるが、両者は、出力部材が所定の位置に達した場合に切り替え動作する切換装置である点で共通する。

そうすると、本件特許発明1と甲3発明とは以下の点で一致し、かつ、相違する。
<一致点>
「シリンダ本体と、このシリンダ本体に進退可能に装備された出力部材と、この出力部材を進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する為の油室とを有する油圧シリンダにおける前記出力部材の所定の位置で動作する装置であって、
一端部に加圧流体が供給され他端部が外界に連通した流路と、この流路を開閉可能な開閉弁機構とを備え、
前記出力部材が所定の位置に達したときに、前記出力部材により移動部材を移動させて前記開閉弁機構の開閉状態を切り換え、前記流路の流体圧を介して前記出力部材が前記所定の位置に達した場合に切換動作する
切換装置。」

<相違点1>
本件特許発明は、流路がシリンダ本体内に形成され、開閉弁機構はシリンダ本体に形成した装着孔に進退可能に装着された弁体と、油室の油圧によって前記弁体を出力部材側に進出させた状態に保持する油圧導入室と、前記油室と前記油圧導入室とを連通させる油圧導入路とを備えたものであって、前記出力部材が所定の位置に達したときに前記出力部材が移動させる移動部材は弁体であるのに対し、甲3発明の流体通路は、低圧シリンダ20内に形成されたものであるか不明であり、メインシリンダ空間22,23の流体圧によって弁体がピストン21及び高圧ピストン26,27側に進出させた状態に保持する油圧導入室や、メインシリンダ空間22、23を連通させる流体導入路を備えたものであるかも不明であり、移動部材はプランジャ65である点。

<相違点2>
本件特許発明1は、出力部材が所定の位置に達したときに、出力部材により弁体を移動させて開閉弁機構の開閉状態を切り換えて、エア通路のエア圧を介して出力部材が所定の位置に達したことを検知可能とした位置検出装置であるのに対し、甲3発明は、ピストン21により差圧ピストンを移動させて二方パイロット弁63、64の開閉状態を切り換えて、流体通路の流体圧を介して反転動作する装置である点。

<相違点3>
本件特許発明1では、ピストンを油圧駆動にし、位置検出装置の制御流体を「加圧エア」としているのに対し、甲3発明においては、ピストンを油圧駆動にした場合、反転動作する装置の制御流体が「加圧油」となる点。

(イ) 相違点に対する検討

a. 相違点1について
上記甲3事項の二方パイロット弁100、101が開閉可能な流体通路は、一端部に圧力媒体が供給され他端部が回収容器に連通したものであって、低圧シリンダ内に形成されたものである。そして、本件特許発明1の開閉機構と甲3事項の二方パイロット弁100、101とを対比すると、甲3事項の「ピストン21」と本件特許発明1の「出力部材」が相当することに加え、甲3事項の「メインシリンダ空間22、23」、「流体圧導入室」、及び「流体導入路」は、本件特許発明1の本件特許発明1の「油室」、「油圧導入室」及び「油圧導入路」と、それぞれ「流体室」、「流体導入室」及び「流体圧導入路」である点で共通する。
甲3発明の二方パイロット弁63、64が用いられている反転動作する装置が図示されている図1と、二方パイロット弁100、101が用いられている反転動作する装置が図示されている図9とを対比すると、両パイロット弁とも、一端が反転動作する装置の圧力pの供給原と他端が回収容器との間で接続される流路(図1の流路61、62、図9の流路93,94)の途中に設けられるものであり、両者ともピストン21によって、移動部材(甲3発明のプランジャ65、甲3事項の差圧ピストン)を移動させて開閉状態を切り替えるものである。そうすると、甲3発明の二方パイロット弁63、64は、甲3事項の二方パイロット弁100、101とは、それらを設ける流路は両者とも圧力pと回収容器とを結ぶ流路であり、ピストン21によって移動させられる移動部材を有するのであるから、二方パイロット弁63、64の代わりに二方パイロット弁100、101と置き換えが可能であることは当業者にとって明らかである。
ここで、差動ピストンを備えた二方パイロット弁100、101を設けたならば、復帰動作のためのバネは不要となり、簡単な構造となることは当業者にとって明らかである。そして、構造を簡単にすることは、甲3発明にも内在する課題であることは明らかであるから、当業者が甲3発明が採用している二方パイロット弁63、64に代えて、二方パイロット弁100、101を採用することは、当業者にとって容易に想到し得たものであり、そうしたならば、流体通路を低圧シリンダ20内に形成し、ピストン21により移動する移動部材を差圧ピストンとすることは、当然採用される構成である。
以上のとおりであるから、甲3発明が、上記相違点1に係る構成を備えることは、当業者が容易に想到し得たものである。

b. 相違点2について
甲3発明の二方向パイロット弁63、64は、流体通路を切り換え、ピストン21が自動的に反転動作をするための動作切替手段の一部である。そうすると、当業者が自動往復運動をしているピストン21の行程端を検知しようと試みて、動作切替手段の一部にすぎない二方パイロット弁63,64にピストン21の行程端の検知機能を持たせようとすることの動機付けがあるとはいえない。
請求人は、第3の1.(3)ア.に記載したように、甲2記載の「位置センサ」あるいは甲4記載の「プランジャ型スイッチ100」を適用することは容易である旨主張するが、そもそも、甲3発明は上記に示したとおり、ピストン21が自動的に反転動作するための動作切換手段であるから、ピストン21が行程端に達したことを検知する必要性があるとは認められず、甲2や甲4に記載された上記構成を適用することの動機付けに欠けるというべきである。
そうすると、甲3発明において、上記相違点2に係る構成を備えたものとすることは当業者が容易に想到し得たものであるということはできない。

c. 相違点3について
甲3には、上記1.(3)ア.の摘記事項(イ)に、従来技術の問題点について、「この構造は、作業ピストンがゆっくりと動く場合に機能しないという不利益がある。その理由は、極めてゆっくりと動く行程では、上記パイロットも極めてゆっくりと開いて、行程端位置での制御室への圧力供給が非常にゆっくりになるからである。このため、前記の制御弁は、反対位置へゆっくりと移動し始め、さらなる移動抵抗を克服するためには圧力差が十分でないので、中間位置でストップする。」との記載があり、同摘記事項(オ)に「四方弁36の二つの制御室50、51は、いつも導入口を介して圧力パイプ30へ、軸に形成した流路あるいは空洞52,53を通して接続されている。」との記載、同摘記事項(カ)に「パイロット弁63,64は、バネの力によって休止位置で閉じ状態に保持されると共に、終端位置では、メイン又は作業ピストン21に係合されるプランジヤ65,66によって機械的に開かれ、これにより、前記の四方弁の制御室50,51内が、低圧領域または回収容器41へ圧抜きされる。」との記載、及び、同摘記事項(キ)に「作業用ピストン21が左方ヘストロークしているときには、三方弁38の制御室96及び管路94,99,43に圧力が無いのに対して、三方弁37の制御室96には管路93,98,42を介して圧力「p」が付与されている。連携された2つの二方パイロット弁100,101は、上記ストローク中にバネの押す力で閉じられたままであり、管路98,99が前記の制御室を低圧シリンダ20へ延びる分岐路42,43へ接続するので、上記の管路98,99が上記の圧力状態を確実に保持する。上記の作業ピストン21の左端位置における反転動作は、前記パイロット弁100の機械的な操作によってなされ、これにより、前記三方弁37の制御室が圧抜きされると共に作業室23が圧力「p」を受け入れる。これと同時に、前記三方弁38の制御室に管路99を介して圧力が付与され、これにより、その弁が切換えられると共に作業室22が圧抜きされる。」との記載がある。
そうすると、甲3発明は、従来技術が有する、作業ピストンが行程端位置において、制御弁の制御室への圧力供給がゆっくりとなることによって生じる不利益を解決しようとして、ピストン21により二方パイロット弁63、64、100、101の開閉状態を切り換えて、四方弁三方弁63の制御室50、51や、三方弁37,38の制御室にピストン21に対する流体供給源の圧力「p」が作用するようにして、従来技術ではゆっくりであった制御室における圧力変化を、圧力供給源からの圧力「p」を作用させることで、迅速な圧力変化を達成するものであることが理解できる。
よって、甲3発明においては、ピストン21を駆動するための流体と、反転動作する装置の制御流体の圧力供給源を共通としたことに技術的な意義があるから、前者を油圧とし、後者をエアと異なったものとすることへの動機付けがあるとはいえないし、むしろそうすることの阻害事由があるというべきである。
請求人は、第3の1.(3)ア.に記載したように、甲1には、ピストン10の行程端を検出するためのエア通路を設ける点が記載されており、甲4には、スイッチ100としてエア圧センサを利用することができる点が記載されていて、甲3発明に上記甲1あるいは甲4記載事項を適用することは容易である旨主張している。さらに、甲2、甲4及び甲12の記載から、ピストンの駆動流体と制御流体について、別々の供給源から、別々の加圧流体を供給することは周知技術に過ぎないと主張している。しかし、上記したように、甲3発明は、反転動作する制御流体とピストン21を駆動するための流体の圧力供給原を共通にしたことに技術的な意義があるから、甲1、甲2、甲4及び甲12に、制御のための流体を(ピストンを駆動するための流体とは異なった)エアとすることや、流体の供給源をピストン駆動のための流体と制御のための流体とで別々としたことが記載されていても、甲3発明において、ピストン21を駆動するために油圧を用いた場合において、制御のための流体としてエアを採用することが当業者にとって容易であるということはできない。
したがって、甲3発明に上記相違点3に係る構成を備えることは、当業者が容易になし得たものであるということはできない。

c. 本件特許発明1についての小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲3発明、他の甲号証を記載された事項及び従来周知の事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ. 本件特許発明2ないし7について
本件特許発明2ないし7は、本件特許発明1を直接あるいは間接に引用するものであって、本件特許発明1で特定された事項を全て含み、さらなる限定事項を付加したものである。よって、本件特許発明2ないし7は、本件特許発明1と同様に、当業者が甲3発明、他の甲号証に記載された事項及び従来周知の事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ. 無効理由3についてのむすび
したがって、本件特許発明1ないし7については、請求人が主張する無効理由3は成立しない。

(4) 無効理由4

ア. 本件特許の分割前の原出願の明細書等の記載
本件特許の分割前の原出願の明細書(以下、「原出願明細書」という。)」には、請求人が主張している上記第3の1.(4)ア.の摘記事項(ア)ないし(エ)の記載がある。また、当該摘記事項(イ)に記載の「【特許文献2】特開2003-305626号公報」(甲8)には、上記第3の1.(4)イ.の摘記事項(ア)及び(イ)の図示がある。

イ. 検討
上記甲8の記載から、閉止面68は、クランプロッド5が軸心方向へ移動する際に、開口部71aあるいは72aに対して摺動することで、当該開口部71aあるは72aを開閉するものであること、そして当該摺動部から発生する摩耗等により、長時間使用した場合に開口部71aおよび72aの閉止性能が低下することは当業者にとって技術常識である。また、摺動部の摩耗等は、当該互いに摺動しつつ移動する距離が長いほど激しくなるであろうことは、当業者にとって明らかである。そうすると、当該移動距離が無いか、あるいは短ければ短いほど、上記摺動に伴う閉止性能の低下が緩和されるであろうことも、当業者にとって明らかである。
したがって、仮に閉止面と開口部との間で摺動する部分が残っていたとしても、甲8記載の、クランプロッド5に対して連結された検出具62の外周面に摺動面68を設けたもののように、クランプロッド5の軸方向の移動距離と摺動面68の移動距離が等しくなるような構成ではなく、例えば、本件特許発明1のように、クランプロッド5の軸方向の移動に応答して、それよりも短い移動距離で開閉を行うように摺動面を構成することで、上記従来技術の問題が解決できると、原明細書の記載から当業者は理解できるといえる。
そうすると、本件特許にかかる分割出願の特許請求の範囲において、「弁体が弁座に当接する構成」との限定が省かれたとしても、本件特許に係る分割出願が原出願明細書に記載された事項の範囲内においてしたものではないということはできない。

ウ. 小括
以上のとおりであるから、本件特許に係る分割出願は適法になされたものであり、本件特許に係る出願は、特許法第44条第2項の規定により、原出願に係る出願の時にしたものとみなされる。
よって、本件特許発明1ないし7に係る発明が、原出願に係る公開公報である甲11に記載されているとの請求人の主張は失当である。

エ. 無効理由4についてのむすび
したがって、本件特許発明1ないし7については、請求人が主張する無効理由4は成立しない。

第5 むすび
以上のとおり、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許発明1ないし7に係る特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-02-24 
結審通知日 2016-02-26 
審決日 2016-03-28 
出願番号 特願2013-141658(P2013-141658)
審決分類 P 1 113・ 113- Y (B23Q)
P 1 113・ 121- Y (B23Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 五十嵐 康弘  
特許庁審判長 栗田 雅弘
特許庁審判官 久保 克彦
平岩 正一
登録日 2013-08-09 
登録番号 特許第5337323号(P5337323)
発明の名称 位置検出装置  
代理人 佐合 俊彦  
代理人 別城 信太郎  
代理人 高橋 智洋  
代理人 佐々木 眞人  
代理人 深見 久郎  
代理人 井上 裕史  
代理人 村林 ▲隆▼一  
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