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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01L
管理番号 1326661
審判番号 不服2016-9905  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-01 
確定日 2017-04-21 
事件の表示 特願2012- 7465「圧力センサー」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月 1日出願公開、特開2013-148394、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年1月17日の出願であって、平成27年11月20日付けの拒絶理由の通知に対し平成28年1月20日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年4月11日付けで拒絶査定(同年同月13日謄本送達)(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して、同年7月1日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出された。
その後、当審において平成28年12月28日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)を通知したところ、平成29年2月7日付けで意見書及び手続補正書(同手続補正書でした補正を、以下、「本件補正」という。)が提出されたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれを「本願発明1」等という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定された、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
平面視における形状がそれぞれ異なる第1のアクチュエーターと第2のアクチュエーターとが積層された、錐体の形状を有する積層構造体を備え、
前記第1のアクチュエーターおよび前記第2のアクチュエーターのそれぞれは、第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された電解質を含む層と、を有し、
前記第1のアクチュエーターの前記第2の電極が、前記第2のアクチュエーターの前記第1の電極と接するように積層されており、
前記積層構造体の一端であって圧力を検出する前記積層構造体の頭頂面に設けられている電極と、前記積層構造体の他端に設けられている電極と、の間で前記積層構造体の電位差を検出する
ことを特徴とする圧力センサー。
【請求項2】
前記積層構造体の電位差のレベルを増幅可能な増幅回路をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の圧力センサー。
【請求項3】
前記錐体は角錐である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧力センサー。
【請求項4】
前記錐体は円錐である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧力センサー。」


第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、この出願の請求項1?5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された国際公開第2010/095581号(以下、「引用例1」という。)に記載された発明、特開2011-223842号公報(以下、「引用例2」という。)に記載された発明、特開昭61-182284号公報(以下、「引用例3」という。)に記載された周知技術、特開昭63-207185号公報(以下、「引用例4」という。)に記載された周知技術、特開昭63-208734号公報(以下、「引用例5」という。)に記載された周知技術、及び特開2000-2714号公報(以下、「引用例6」という。)に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

2 原査定の理由についての判断
(1)引用例1
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1には、次の(a)及び(b)の記載がある(下線は当審で付与した。)。

(a)
「[0027] 図1は、本発明のマルチ積層変形センサの基本構造の断面を示すものである。変形センサ1は、中央電極2、その中央電極2を挟む第一高分子固体電解質層3a及び第二高分子固体電解質層3b、さらにこれを挟む第一電極4a及び第二電極4bからなる可撓性素子である。その全体構成は、第一電極4a/第一高分子固体電解質層3a/中央電極2/第二高分子固体電解質層3b/第二電極4bとなる。第一電極4a/第一高分子固体電解質層3a/中央電極2は第一積層体11を構成し、中央電極2/第二高分子固体電解質層3b/第二電極4bは第二積層体12を構成している。すなわち、本発明のマルチ積層変形センサは、中央電極を共通の電極とし、対称に複数の高分子固体電解質と電極によって構成されるマルチ変形センサである。
[0028] 第一電極4a、中央電極2、及び第二電極4bには、外部電気回路、例えばデータロガーに接続されるリード体6a、6、及び6bが接続される。リード体6a、6、及び6bの導電率は、第一電極4a、中央電極2、及び第二電極4bの導電率の10倍程度以上高くなっている。
[0029] 第一積層体11、及び第二積層体12は、共通の変形原因によって生じる起電力を、夫々リード体6aと6との間、及びリード体6と6bとの間に生じさせる。リード体6a、6、及び6bを介して外部電気回路に電圧信号が入力する。第一積層体11、及び第二積層体12の変形によって生じる起電力を同時に検出することで、高分子固体電解質層を共有するセンサの二次元的(平面的)広がりによる隣合う電極間でのクロストークがなく、変形位置および圧力分布を安定的に検出することが可能となる。」

(b)


・上記記載(a)より、
(ア)「中央電極2、その中央電極2を挟む第一高分子固体電解質層3a及び第二高分子固体電解質層3b、さらにこれを挟む第一電極4a及び第二電極4bからなり、
第一電極4a/第一高分子固体電解質層3a/中央電極2は第一積層体11を構成し、中央電極2/第二高分子固体電解質層3b/第二電極4bは第二積層体12を構成し、
第一電極4a、中央電極2、及び第二電極4bには、外部電気回路、例えばデータロガーに接続されるリード体6a、6、及び6bが接続され、
第一積層体11、及び第二積層体12は、共通の変形原因によって生じる起電力を、夫々リード体6aと6との間、及びリード体6と6bとの間に生じさせ、
圧力分布を検出する、変形センサ。」との技術的事項が読み取れる。

・上記記載(b)より、
(イ)「第一積層体11と第二積層体12とは積層されている」との技術的事項が見て取れる。

イ 引用発明
以上の技術的事項(ア)及び(イ)を総合勘案すると、引用例1には次の発明が記載されているものと認められる。

「中央電極2、その中央電極2を挟む第一高分子固体電解質層3a及び第二高分子固体電解質層3b、さらにこれを挟む第一電極4a及び第二電極4bからなり、
第一電極4a/第一高分子固体電解質層3a/中央電極2は第一積層体11を構成し、中央電極2/第二高分子固体電解質層3b/第二電極4bは第二積層体12を構成し、
第一積層体11と第二積層体12とは積層され、
第一電極4a、中央電極2、及び第二電極4bには、外部電気回路、例えばデータロガーに接続されるリード体6a、6、及び6bが接続され、
第一積層体11、及び第二積層体12は、共通の変形原因によって生じる起電力を、夫々リード体6aと6との間、及びリード体6と6bとの間に生じさせ、
圧力分布を検出する、変形センサ。」(以下、「引用発明」という。)

(2)引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された引用例2には、図面とともに、次の記載がある。

「【0026】
本願では、この電解質膜に外部から力(外的応力)を加えると電解質膜に電圧(電位差)が発生することに着目している。これは、電解質膜を湾曲すると、電解質膜中に水分(溶媒)の偏りが発生し、これに伴って電解質膜の伸張側と伸縮側との間でイオン密度に差異が生じることによると考えられる。発生した電圧は電解質膜の湾曲(曲がり加減)に関係している。
この電圧をセンサー電極層で検出し、電解質膜上に設けた電気回路チップ(制御回路)によって信号処理する。センサー電極層の検出電圧は駆動電圧に比べてレベルが低いが(例えば、1/1500)、センサー電極の近傍で信号処理することによって信号劣化を最小限に抑えることができ、S/Nを向上することができる。」

「【0037】
同図に示されるように、センサー電極13の検出電圧が増幅器31によってレベル増幅されて比較器(差動増幅器)32の逆相入力に入力される。比較器32には現時点のアクチュエーター1の位置に対応した電圧が供給される。後述するように、センサー電極13の検出電圧が間欠的に検出される場合には、ゲート信号Gによって動作するサンプルホールド回路34を増幅器31と比較器32との間に設けるのが好ましい。比較器32の正相入力にはアクチュエーター1の動作量の目標値が電圧値として入力されている。比較器32はセンサー電極の電圧と目標値との偏差を出力する。駆動回路33はこの偏差出力の極性(正又は負)に応じてアクチュエーター1の動き方向を決定し、出力電圧の極性を決定する。また、偏差出力の絶対値に応じてどの程度アクチュエーター1を湾曲させるかを決定して出力電圧のレベルを設定する。
なお、制御系30は1チップマイクロコンピュータやFPGA(Field Programmable Gate Array)等によってソフトウェア処理あるいは機能ブロックの組み合わせ等によって構成することが可能である。」

(3)引用例3
原査定の拒絶の理由に引用された引用例3には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審で付与した。)。

「(作用)
本発明の素子は電気的接続を施す側面を底面に対し傾斜させることにより内部電極間の距離を広げ電気的接続を容易にしようとするものである。
従来の内部電極型電歪効果素子は第9図に示すように直方体である。この構造では駆動電圧を下げるために内部電極間隔を狭めていくと電気的接続を行なうためには微細な絶縁物のパターンを形成することが必要になる。ところが第2図に示すように側面を底面に対して傾斜させると、この面においては実質的に内部電極間の間隔が広がることになる。傾斜の程度を調整すれば、例えば、内部電極の間隔が30μmの素子でも、傾斜面の露出部において60μmの間隔にすることができ第3図に示すように絶縁物パターンの形成が容易になる。」(第2頁左下欄第8行?右下欄第2行)

「また本構造の採用により角錐台形状の素子を作製することもできる。第7図はガラス被膜を形成した電歪材料積層体を示す外観図である。図中破線で示すような位置で切断し最終の素子形状とする。第8図はこのようにして切断し外部電極を形成した電歪効果素子の外観図である。底面を装置に取付けて固定し上面方向の変位を利用すれば座りの良い安定な電歪効果素子となる。図中番号29は外部電極を、30,31は底面および上面をそれぞれ示す。32,33はそれぞれプラス側およびマイナス側の外部接続端子を示す。」(第3頁右下欄第12行?第4頁左上欄第2行)

(4)引用例4
原査定の拒絶の理由に引用された引用例4には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審で付与した。)。

「本発明は、
板状の圧電単体を複数枚積層して形成され該積層方向の一端が固定された積層型圧電体を備え、該積層型圧電体に電圧を印加することにより上記積層型圧電体の他端を移動させて機械的変位を得る圧電アクチュエータにおいて、
上記積層型圧電体の移動可能な端部にある圧電単体底面積を、上記積層型圧電体の固定された端部にある圧電単体の底面積より小ざくすると共に、上記積層型圧電体の各々の圧電単体の底面積を、該圧電単体と上記固定された端部側で隣り合う圧電単体の底面積以下にしてなることを特徴とする圧電アクチュエータを要旨としている。
(略)
[作用]
以上の如く構成した本発明の圧電アクチュエータでは、移動可能な端部側にある圧電単体の底面積が、固定された端部側にある圧電単体の底面積より小さくなる。このため、移動可能な端部側にある圧電単体の重量は、従来例の円筒型の積層型圧電体と較べて小さいから、例え積層型圧電体が高速で駆動されたとしても、固定された端部付近にある圧電単体にかかる慣性荷重は、過大なものとならない。従って、これら固定された端部付近にある圧電単体が損傷することはない。」(第2頁右上欄第6行?右下欄第4行)

「アクチュエータハウジング13の内部には、積層型圧電体21が設けられている。この積層型圧電体21は、PZTよりなる圧電単体23を電極板25を介して複数枚積層して構成されたもので、その積層方向の上端21aはアクチュエータハウジング13の内側端面13aに固定され、またその下端21bは可動部材31を介してシリンダ穴19に収納された可動ピストン33に当接されている。この積層型圧電体21における各々の圧電単体23は、円盤形状をしたもので、上端21a側にある圧電単体23aから下端21b側にある圧電単体23bまでそれぞれの径が連続的に減少するような大きさを有している。一方、圧電単体23の間に挟持された電極板25は、第2図に示すように、円盤形状の電極板25aと電極板25の端面に固着された端面電極25bとから構成されたもので、1つ置きに端面電極25bが180°その位相がずれて揃うように積層されている。
なお、電極板25の大きさも、圧電単体23と同様に上端21a側から連続的にその径が下端21b側まで減少するよう定められている。また各々の端面電極25bは、第2図(b)に示すように、一つ置きにリード線35,37で結線され、リード線35,37を介して夫々電極端子17,18に接続されている。」(第3頁左上欄第1行?右上欄第5行)

(5)引用例5
原査定において新たに引用された引用例5には、図面とともに、次の記載がある。

「したがって、上記実施例では、圧電型触覚センサの構造が2枚の圧電フィルム(1),(2)の間に導電性薄膜(2)が介在した構造となっているために、第4図に示すように、導電性薄膜層(3)を接地するとともに電位差検出器(6)に信号線で接続して、導電性薄膜層(3)を基準電位とすることができる。そして、表裏面電極(4),(5)を信号線で電位差検出器(6)に接続すれば、他の物体との接触による電位差信号を正確に安定して得ることができる。
すなわち、物体(7)が触覚センサ(A)の一部に接触すると、触覚センサには第4図のように歪みを生じて、圧電変換により、例えば上方が正に分極しているときには接触部(i,j)の表裏面電極(4i),(5j)に正の電位差が生じる。そして、導電性薄膜層(3)が接地されて基準電位となるので、上記表裏面電極(4i),(5j)に生じた正の電位差が電位差検出器(6)により正確に安定して検出されることになる。よって、接触位置および接触圧力を正確に安定して検知することができる。」(第3頁左上欄第10行?右上欄第10行)

(6)引用例6
原査定において新たに引用された引用例6には、図面とともに、次の記載がある。

「【0024】また、横効果型検出部104は、横効果型圧電素子113が、基板105に形成された溝状の凹部105aの上方付近に片持ち支持されるように設けられている。上記横効果型圧電素子113は、それぞれ、両面に金から成る電極113b,113b’,113c,113c’が形成され、分極方向を互いに反転させた圧電体113a,113a’が貼合わされた直列バイモルフ構造を有している。
【0025】上記縦効果型圧電素子111の電極111b,111c、および横効果型圧電素子113の電極113b,113cは、それぞれボンディングワイヤ114を介して、基板105に形成された中継端子115に接続されている。中継端子115は、さらに、基板105の裏面側に設けられ、電界効果トランジスタおよび抵抗等を有する検出回路116に接続されている。
【0026】検出回路116は、例えば図3に示すように、インピーダンス変換回路(バッファアンプ)151,152と、縦効果型検出部103による検出感度と横効果型検出部104による検出感度とを整合させるための乗算回路153と、縦効果型検出部103および横効果型検出部104による検出信号を加減算する加算回路154および減算回路155と、縦効果型検出部103または横効果型検出部104による検出信号を選択する選択回路156とが設けられて構成されている。
【0027】上記のように構成された加速度センサ101においては、図1および図2に示すZ軸方向の加速度成分と、X軸およびY軸方向の加速度成分とを正確に判別して検出することができる。すなわち、横効果型圧電素子113には、Z軸方向の加速度成分だけに応じて横効果による出力電圧が生じるため、これによりZ軸方向の加速度成分が検出される。一方、縦効果型圧電素子111には、Z軸方向の加速度成分に応じて縦効果による出力電圧が生じるとともに、X軸方向およびY軸方向の加速度成分に応じてせん断効果による出力電圧が生じる。そこで、減算回路155によって、縦効果型圧電素子111による検出信号から横効果型圧電素子113による検出信号を差し引くことにより、XY平面内方向の加速度成分が検出される。」

(7)対比・判断
ア 本願発明1について
(ア)本願発明1と引用発明とを対比する。
a 引用発明における「第一電極4a/第一高分子固体電解質層3a/中央電極2」で構成される「第一積層体11」、「中央電極2/第二高分子固体電解質層3b/第二電極4b」で構成される「第二積層体12」は、それぞれ本願発明1における「第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された電解質を含む層と、を有」する「第1のアクチュエーター」、「第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された電解質を含む層と、を有」する「第2のアクチュエーター」に相当する。

b 引用発明において、「第一積層体11と第二積層体12とは積層され」ているから、第一積層体11と第二積層体12とは積層構造体になっているといえる。そして、上記aを踏まえると、引用発明における「第一積層体11と第二積層体12とは積層され」ることと、本願発明1における「平面視における形状がそれぞれ異なる第1のアクチュエーターと第2のアクチュエーターとが積層された、錐体の形状を有する積層構造体を備え」ることは、共に、「第1のアクチュエーターと第2のアクチュエーターとが積層された積層構造体を備え」る点で共通する。

c 引用発明においては、「第一積層体11、及び第二積層体12は、共通の変形原因によって生じる起電力を、夫々リード体6aと6との間、及びリード体6と6bとの間に生じさせ」、「第一電極4a、中央電極2、及び第二電極4bには、外部電気回路、例えばデータロガーに接続されるリード体6a、6、及び6bが接続され」ているから、「リード体6aと6との間、及びリード体6と6bとの間に生じ」た「起電力」を「データロガー」で検出しているといえる。そして、上記a及びbを踏まえると、引用発明における「第一電極4a、中央電極2、及び第二電極4bには、外部電気回路、例えばデータロガーに接続されるリード体6a、6、及び6bが接続され、第一積層体11、及び第二積層体12は、共通の変形原因によって生じる起電力を、夫々リード体6aと6との間、及びリード体6と6bとの間に生じさせ」ることと、本願発明1における「前記積層構造体の一端であって圧力を検出する前記積層構造体の頭頂面に設けられている電極と、前記積層構造体の他端に設けられている電極と、の間で前記積層構造体の電位差を検出する」ことは、共に、「前記積層構造体の電極と、前記積層構造体の他の電極と、の間で電位差を検出する」点で共通する。

d 引用発明の「変形センサ」は、「圧力分布を検出する」から、圧力センサであるといえる。そうすると、引用発明における「圧力分布を検出する、変形センサ」は、下記相違点1ないし4を除いて、本願発明1における「圧力センサー」に相当する。

(イ)以上の関係を整理すると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)
「第1のアクチュエーターと第2のアクチュエーターとが積層された積層構造体を備え、
前記第1のアクチュエーターおよび前記第2のアクチュエーターのそれぞれは、第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された電解質を含む層と、を有し、
前記積層構造体の電極と、前記積層構造体の他の電極と、の間の電位差を検出する
ことを特徴とする圧力センサー。」

(相違点1)
本願発明1においては、「第1のアクチュエーターと第2のアクチュエーター」の「平面視における形状がそれぞれ異なる」のに対し、引用発明においては、「第一積層体11」と「第二積層体12」の平面視における形状が異ならない点。

(相違点2)
本願発明1においては、「第1のアクチュエーターと第2のアクチュエーターとが積層された、錐体の形状を有する積層構造体を備え」るのに対し、引用発明においては、「第一積層体11」と「第二積層体12」の積層構造体が錐体の形状を有する積層構造体でない点。

(相違点3)
本願発明1においては、「前記第1のアクチュエーターの前記第2の電極が、前記第2のアクチュエーターの前記第1の電極と接するように積層されて」いるのに対し、引用発明においては、「第一積層体11」の「中央電極2」と「第二積層体12」の「中央電極2」が共通の電極となっていて、接するように積層されていない点。

(相違点4)
本願発明1においては、「前記積層構造体の一端であって圧力を検出する前記積層構造体の頭頂面に設けられている電極と、前記積層構造体の他端に設けられている電極と、の間で前記積層構造体の電位差を検出する」のに対し、引用発明においては、「第一電極4a、中央電極2、及び第二電極4b」に「リード体6a、6、及び6bが接続され」、「リード体6aと6との間、及びリード体6と6bとの間に生じ」た「起電力」を検出する点。

(ウ)相違点の判断
事案に鑑み、まず上記相違点2について判断する。
引用例1の段落[0061]に「本発明のマルチ積層変形センサの形状については、特に制限はなく、例えば、膜状、フィルム状、シート状、板状、織物状、ロッド状、立方体状又は直方体状などが挙げられ、これらは使用目的に応じ適宜選択すればよい。」とは記載されているものの、「錐体の形状」にすることは記載されていないし、例示されている「膜状、フィルム状、シート状、板状、織物状、ロッド状、立方体状又は直方体状」から「錐体の形状」が示唆されているともいえない。
次に、引用例2、5及び6には、第一積層体と第二積層体とが積層された構造体が錐体の形状を有するようにすることは記載されていない。
また、引用例3には、錐体の形状を有する積層された構造体が記載されているものの、積層された構造体はセンサーではなく電歪効果素子であるし、積層された構造体が錐体の形状を有するようにするのは、「電気的接続を施す側面を底面に対し傾斜させることにより内部電極間の距離を広げ電気的接続を容易にしようとするためのものであ」り、引用発明と課題が共通しているとはいえないから、引用発明において、第一積層体11と第二積層体12とが積層された構造体が錐体の形状を有するようにする動機付けを見出すことはできない。
さらに、引用例4には、錐体の形状を有する積層された構造体が記載されているものの、積層された構造体はセンサーではなく機械的変位を得る圧電アクチュエータであるし、積層された構造体が錐体の形状を有するようにするのは、「移動可能な端部側にある圧電単体の重量は、従来例の円筒型の積層型圧電体と較べて小さいから、例え積層型圧電体が高速で駆動されたとしても、固定された端部付近にある圧電単体にかかる慣性荷重は、過大なものとなら」ず、「固定された端部付近にある圧電単体が損傷することはない」ようにするためであり、引用発明と課題が共通しているとはいえないから、やはり、引用発明において、第一積層体11と第二積層体12とが積層された構造体が錐体の形状を有するようにする動機付けを見出すことはできない。
そうすると、引用発明に対し、引用例2に記載された発明、及び引用例3ないし6に記載された周知技術を適用して、本願発明1の上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

(エ)したがって、上記相違点1、3及び4を検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明、引用例2に記載された発明、及び引用例3ないし6に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本願発明2ないし4について
請求項2ないし4は、いずれも、請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、本願発明2ないし4は、上記アで本願発明1について述べたのと同様の理由により、引用発明、引用例2に記載された発明、及び引用例3ないし6に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(8)小括
以上のとおりであるから、原査定の理由によって本願を拒絶することはできない。


第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、概略、以下のとおりである。

「本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。



(1)請求項1の「異なる大きさを有する第1のアクチュエーターと第2のアクチュエーターとが積層された積層構造体」という記載からすると、請求項1に係る発明には、積層する方向における大きさ(厚さ)だけが異なる第1のアクチュエーターと第2のアクチュエーターとが積層された場合が含まれることになるが、発明の詳細な説明に記載されているのは、「平面視における形状がそれぞれ寸法(サイズ)の異なる」こと(段落【0017】、【0054】、【0064】)、「平面視における形状がそれぞれ直径の長さの異なる」こと(段落【0019】、【0057】、【0065】)であって、上記場合については記載されていない。

(2)本願発明により、課題を解決して、「積層構造体の頂点(頭頂点)部分が細く小さくなり、可動しやすくな」り、「積層構造体の頂点(頭頂点)側を圧力の接触部(印加部)とすることで、微小な圧力を検出しやすくなり、センシング感度を高めることができる」(段落【0015】、【0063】等)ようにするためには、積層構造体が錐体の形状を有する必要があるが、請求項1には積層構造体が錐体の形状を有することが記載されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することになっている。

(3)よって、請求項1及び請求項1を引用する請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。」

2 当審拒絶理由についての判断
本件補正により、請求項1の「異なる大きさを有する第1のアクチュエーターと第2のアクチュエーターとが積層された積層構造体」という記載が「平面視における形状がそれぞれ異なる第1のアクチュエーターと第2のアクチュエーターとが積層された、錐体の形状を有する積層構造体」という記載に補正された(下線は補正箇所。)ため、本件補正後の請求項1、及び請求項1を直接引用する請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものとなった。

3 小括
以上のとおりであるから、当審拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、本願については、原査定の拒絶理由及び当審拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-04-11 
出願番号 特願2012-7465(P2012-7465)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G01L)
P 1 8・ 121- WY (G01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 公文代 康祐  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 関根 洋之
中塚 直樹
発明の名称 圧力センサー  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 田中 克郎  
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