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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C03C
管理番号 1326679
審判番号 不服2015-19599  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-30 
確定日 2017-03-30 
事件の表示 特願2012-257444「光学ガラス」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月18日出願公開、特開2013- 67558〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成19年10月3日(優先権主張 平成18年10月24日)を国際出願日とする特願2008-540933号の一部を、平成24年11月26日に新たな出願としたものであって、原審にて平成27年7月30日付けの拒絶査定がされ、この査定を不服として同年10月30日に本件審判が請求されると同時に手続補正がされ、前置審査において、同年12月10日付けの拒絶理由が通知されたが、応答がなかったものである。

第2.本願発明の認定

本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、審判請求時の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものであると認められる。

「酸化物基準のモル%で
B_(2)O_(3)を25?60%、
TiO_(2)及び/又はNb_(2)O_(5)の合計量を2?45%、及び
WO_(3)を1?25%、
La_(2)O_(3)を9?35%、
ZnOを1?40%
含有し、
Rn_(2)O(RnはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1種以上を示す)の含有量が4%以下、及び
Ta_(2)O_(5)の含有量が3%以下
であり、
屈折率(nd)が1.78?2.2、アッベ数(νd)が16?40未満であり、ガラス転移点(Tg)が700℃以下である光学ガラス(但し、Gd_(2)O_(3)を1モル%以上含有するものを除く)。」

第3.前置拒絶理由の概要

平成27年12月10日付けの拒絶理由の一つは、
特開2002-362938号公報(以下、「引用例」という。)
を引用し、
「本願発明は、その(優先権の基礎とされた先の)出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。」
というものである。

第4.引用例の記載事項

引用例には、以下の事項が記載されている。

【0036】表1?4に、本発明の精密モールドプレス成形用光学ガラスの実施例(No.1?29)及び比較例(A?E)の組成を示し、各実施例、比較例で得られたガラスの屈折率(nd)、アッベ数(νd)、転移点(Tg)、屈伏点(At)、及び屈伏点と転移点との温度差(At-Tg)を示した。

【表2】


第5.引用発明の認定

引用例【0036】の記載によれば、【表2】には、精密モールドプレス成形用光学ガラスの実施例No.11として、次の発明(以下、「引用発明という。)が記載されていると認められる。

「質量%で、
SiO_(2) 5.0%
B_(2)O_(3) 23.0%
La_(2)O_(3) 27.5%
TiO_(2) 3.5%
ZrO_(2) 1.5%
Nb_(2)O_(5) 8.0%
Ta_(2)O_(5) 5.0%
WO_(3) 6.0%
ZnO 19.0%
Li_(2)O 1.0%
Sb_(2)O_(3) 0.5%
の組成を有し、屈折率(nd)が1.812、アッベ数(νd)が36.6であり、ガラス転移点(Tg)が555℃である精密モールドプレス成形用光学ガラス。」

第6.対比・判断

本願発明と引用発明とを対比するに、引用発明の組成は「質量%」であるので、これを本願発明の「酸化物基準のモル%」に換算すると、
「SiO_(2) 9.35%
B_(2)O_(3) 37.12%
La_(2)O_(3) 9.48%
TiO_(2) 4.92%
ZrO_(2) 1.37%
Nb_(2)O_(5) 3.38%
Ta_(2)O_(5) 1.27%
WO_(3) 2.91%
ZnO 26.23%
Li_(2)O 3.76%
Sb_(2)O_(3) 0.19%」
となる。
してみると、引用発明のB_(2)O_(3)量(37.12%)は本願発明の「B_(2)O_(3)を25?60%」を満足し、以下、TiO_(2)(4.92%)とNb_(2)O_(5)(3.38%)の合計量8.3%は「TiO_(2)及び/又はNb_(2)O_(5)の合計量を2?45%」、WO_(3)量(2.91%)は「WO_(3)を1?25%」、ZnO量(26.23%)は「ZnOを1?40%」、La_(2)O_(3)量(9.48%)は「La_(2)O_(3)を9?35%」、Li_(2)O量(3.76%)は「Rn_(2)O(RnはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1種以上を示す)の含有量が4%以下」、Ta_(2)O_(5)量(1.27%)は「Ta_(2)O_(5)の含有量が3%以下」をそれぞれ満足し、さらに引用発明はGd_(2)O_(3)を含まないから、本願発明の「(但し、Gd_(2)O_(3)を1モル%以上含有するものを除く)」も満足する。なお、本願発明は上記成分以外の含有量は特定していないから、引用発明がSiO_(2)、ZrO_(2)及びSb_(2)O_(3)を含むことは差異にはならない。
さらに、引用発明の屈折率(n_(d))(1.812)は本願発明の「屈折率(nd)が1.78?2.2」を満足し、以下、アッベ数(ν_(d))(36.6)は「アッベ数(νd)が16?40未満であり」、ガラス転移点(Tg)(555℃)は「ガラス転移点(Tg)が700℃以下である」を満足する。
したがって、両者に実質的な差異はない。
すなわち、本願発明は、引用例に記載された発明である。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、その余について検討するまでもなく、本願は、前置拒絶理由により、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-01-30 
結審通知日 2017-01-31 
審決日 2017-02-13 
出願番号 特願2012-257444(P2012-257444)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (C03C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 立木 林大工原 大二  
特許庁審判長 新居田 知生
特許庁審判官 大橋 賢一
瀧口 博史
発明の名称 光学ガラス  
代理人 林 一好  
代理人 正林 真之  
代理人 新山 雄一  

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