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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01S
管理番号 1326691
審判番号 不服2016-7807  
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-30 
確定日 2017-03-30 
事件の表示 特願2012- 19070「ヒト装着用速度測定装置および速度測定方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月15日出願公開、特開2013-156226〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・原査定の拒絶の理由

特許出願: 平成24年1月31日
拒絶理由通知: 平成27年9月30日(発送日:同年10月6日)
手続補正: 平成27年11月30日(以下、「補正1」という。)
意見書: 平成27年11月30日
拒絶査定: 平成28年2月22日(送達日:同年3月1日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成28年5月30日

そして、原査定の拒絶の理由は、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし13に係る発明は、本願出願前に国内又は外国において頒布された刊行物である特表2000-509815号公報(発明の名称:スポーツ速度測定ミニ無線装置、出願人:ディルズ,アルバート,イー,ジュニア、以下「引用例」という。)に記載された発明などに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。


第2 本願発明
本願の請求項1ないし13に係る発明は、補正1によって補正された明細書、特許請求の範囲、及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。

「ヒトがその身体の力を利用して物体に力を加え、該物体の速度を変化させるときの該物体の前記変化後の速度を測定するヒト装着用速度測定装置であって、
所定周波数の波を前記物体に向けて放射して該物体からの前記波の反射波を受信するアンテナを備え、前記反射波よりドップラー信号を検出して出力するドップラーセンサと、前記アンテナの前記ヒトへの装着手段とを有し、
前記ヒトの前記物体に接触する身体部分または前記ヒトと前記物体との間に介在する物から前記物体が離れるとき、該物体に向けて前記波を放射し、その反射波を受信してドップラー信号を検出する
ことを特徴とするヒト装着用速度測定装置。」(以下「本願発明」という。)


第3 引用例記載の事項・引用発明
これに対して引用例には、次の事項(a)ないし(c)が図面とともに記載されている。(下線は当審による。)

(a)
「発明の要約
この発明の主要な目的の一つは、スポーツのような消費者用アプリケーションのために実用的な、対象の速度を測定するための小型で低コストで低電力の装置を提供することである。この発明の特定の目的の一つは、野球のようなスポーツの対象の速さの規模すなわち速度を、測定し表示するためのスポーツレーダーユニットを提供することである。
この発明の原則により、サイズが小さくコストが低く、電力消費と放射エネルギーが小さいCWドップラーレーダー速度センサが供給され、これは野球のような対象の速度を測定し表示し、また測定された速度をユーザに表示する。さらにこの発明の原則により、動いている対象を受け取る道または点において、またはその近くに、または動いている対象が向けられている「目標点」に、装着するのに適した装置が提供される。そうした位置決めは、低電力で短射程の信号の使用と正確な速度測定を容易にする。このユニットは好ましくはRFエネルギーをマイクロ波周波数範囲、好ましくは約2.4GHzの周波数で送信し受信する。
この発明の好ましい実施例による装置は、好ましくは単一のトランジスタに基づく発振器-検出器を有する単一の単純なCWドップラーホモダイン回路を採用するレーダー送信機と受信機を含み、これは自由空間へエネルギーを放射するためのアンテナとして、発振器の共振回路素子を使用している。この放射されたエネルギーの一部分が近辺の動いている対象にあたり、発振器アンテナ回路へ反射されて戻り、ここでそれは発振器信号と混合される。単純なホモダイン回路における送信された信号と受信された信号のコーヒレントな関係が、動いている対象への距離が変化するときドップラー周波数変調を生成する。」(第9頁ページ第24行?第10ページ第16行)

(b)
「この発明の速度測定装置は、小型化と安価な生産が可能であり、現在に至るまで先行技術により扱われていない消費者用アプリケーションに使用できる。それを野球やソフトボールのグローブに組込みまたは取り付けして、捕捉するボールの速度を測定できる。このレーダーは、ボールを「ほうる」人、またはバットで打ち、投げ、キャッチする他の人々が着用でき、別の状況ではスポーツまたは他のレクリエーション用途で動いている対象を処理できる。パウチの中、グローブの親指、指、またはヒールパッドの内に組み込み、または紐、バンド、フック、ループファスナーまたは効果的な手段で、このレーダーを組込むように、グローブを設計できる。グローブ内に直接にレーダーを作り込むことができる。グローブを種々のスポーツアプリケーションに使用できるし、手または他の前腕の衣服または身体結合構造または装置を含むことが考えられる。」(第13ページ第9行?同第19行)

(c)
「ユニット10aの代案の実施例が図1Aに図示され、野球ボール16をキャッチしている人物のキャッチしている腕11の手首、または少なくともキャッチャーの前腕の肘より下13へのアタッチメントに構成され、これによりボールの経路から一定距離にユニットが維持されるようになっている。手首または前腕に装着されるユニット10a、前面ハウジング17aと後面ハウジング18aは、それぞれキャッチャーの手首15の反対側に、手首バンドまたは腕バンド40により取り付けられる別々の囲いであって、これらにより前面ハウジング17aが到着する対象16に対面し、一方後面ハウジング18aがキャッチャーに対面する。別々のハウジング17aと18aは、バンド40内に収納されたリボンケーブル41の導線を通じて電気的に相互接続されている。前面ハウジング17aは、少なくともアンテナ21を収納し、一方後面ハウジング18aは少なくともディスプレイ22とボタン25ないし27を収納する。回路基板30とその上の構成部品とデバイスは、共にハウジング内に収納され得る。好ましくはドップラーセンサ33とドップラー信号プロセッサ34が、アンテナ21の至近にある前面ハウジング17a内に収納され、一方マイクロプロセッサ36と関連回路37および38がディスプレイ22の至近にある後面ハウジング18a内に収納される。
図3のユニット10および同10aの電子装置は、すぐに利用できる部品を使用して制作できる。ドップラーセンサ回路33は好ましくは、動いている対象16を検出する積分アンテナ回路を有するCWレーダホモダイン発振器-検出器50である。この発振器は好ましくは2400から2425MHzの間で動作するが他の周波数、典型的に2000から10,000MHz領域で動作し得る。好ましい実施例では、発振器50が電池31のような2.5V DC電源から約0.6ミリアンペアを引き出す。部分的にユニット10および10aの位置と構成のゆえに、発振器共振素子により自由空間へ10マイクロワット未満を送信する必要がある。」(第15ページ第5行?第16ページ第1行)

上記記載(a)ないし(c)、及び図面の図1?図3の記載から、引用例には、次の発明が記載されていると認められる。

「ボールを「ほうる」人が着用できる速度測定装置であって、
前面ハウジング17aに収納される、アンテナ21と、ドップラーセンサ33と、ドップラー信号プロセッサ34であって、ドップラーセンサ回路33は、動いている対象16を検出する積分アンテナ回路を有するCWレーダホモダイン発振器-検出器50であり、RFエネルギーがマイクロ波周波数範囲で送信し受信されるものであって、放射されたエネルギーの一部分が近辺の動いている対象にあたり、発振器アンテナ回路へ反射されて戻り、ドップラー周波数変調を生成し、また前面ハウジング17aは、手首バンドまたは腕バンド40により取り付けられる
速度測定装置。」(以下「引用発明」という。)


第4 対比
本願発明と引用発明とを、主たる構成要件毎に、順次対比する。

まず、引用発明の「ボールを「ほうる」人が着用できる速度測定装置」と、本願発明の「ヒトがその身体の力を利用して物体に力を加え、該物体の速度を変化させるときの該物体の前記変化後の速度を測定するヒト装着用速度測定装置」とは、「ヒト装着用速度測定装置」である点で共通する。
引用発明における「アンテナ21」は、ドップラーセンサ回路33によって「RFエネルギーがマイクロ波周波数範囲で送信し受信されるものであって、放射されたエネルギーの一部分が近辺の動いている対象にあたり、発振器アンテナ回路へ反射されて戻」るように構成されているのであるから、本願発明における「所定周波数の波を前記物体に向けて放射して該物体からの前記波の反射波を受信するアンテナ」に相当するといえる。また、引用発明における「放射されたエネルギーの一部分が近辺の動いている対象にあたり、発振器アンテナ回路へ反射されて戻り、ドップラー周波数変調を生成」する「ドップラーセンサ回路33」は、本願発明における「前記反射波よりドップラー信号を検出して出力するドップラーセンサ」に相当する。
次に、引用発明において「アンテナ21」を収納する「前面ハウジング17a」を取り付ける「手首バンドまたは腕バンド40」は、本願発明における「前記アンテナの前記ヒトへの装着手段」に相当する。

してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)
「ヒト装着用速度測定装置であって、
所定周波数の波を前記物体に向けて放射して該物体からの前記波の反射波を受信するアンテナを備え、前記反射波よりドップラー信号を検出して出力するドップラーセンサと、前記アンテナの前記ヒトへの装着手段とを有する
ことを特徴とするヒト装着用速度測定装置。」

(相違点)
相違点1
本願発明においては「ヒトがその身体の力を利用して物体に力を加え、該物体の速度を変化させるときの該物体の前記変化後の速度を測定する」とされているのに対し、引用例においてそのような点は明記されていない点で一応相違する。

相違点2
本願発明においては「前記ヒトの前記物体に接触する身体部分または前記ヒトと前記物体との間に介在する物から前記物体が離れるとき、該物体に向けて前記波を放射し、その反射波を受信してドップラー信号を検出する」とされているのに対し、引用発明は「該物体に向けて前記波を放射し、その反射波を受信してドップラー信号を検出する」ものではあるといえるが、その検出が「前記ヒトの前記物体に接触する身体部分または前記ヒトと前記物体との間に介在する物から前記物体が離れるとき」に行われるか否かは不明である点で一応相違する。


第5 判断
上記相違点1及び2について併せて検討する。
引用発明は、「ボールを「ほうる」人が着用できる速度測定装置」であるから、その速度測定対象となるものは、装置を着用した人が投げるボールであるとするのが自然な解釈であるといえる。そして、測定対象となるものが上記ボールであれば、測定速度は「ヒトがその身体の力を利用して物体に力を加え、該物体の速度を変化させるときの該物体の前記変化後の速度」であり、測定のタイミングは「前記ヒトの前記物体に接触する身体部分または前記ヒトと前記物体との間に介在する物から前記物体が離れるとき」となることは明らかであるから、上記相違点1及び2は実質的な相違点ではない。したがって、本願発明は引用発明であり、また、本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえる。
またもし仮に測定対象が上記ボールでないとしても、いわゆるドップラーセンサの測定原理が接近速度のみではなく離間速度の測定も同様に可能なものであること、及び、ボールの初速度が測定対象として一般的なものであることを考慮すると、引用発明の測定対象を装置を着用した人が投げるボールとして、「ヒトがその身体の力を利用して物体に力を加え、該物体の速度を変化させるときの該物体の前記変化後の速度」を、「前記ヒトの前記物体に接触する身体部分または前記ヒトと前記物体との間に介在する物から前記物体が離れるとき」に測定するようになすことは、当業者が容易になし得たものである。


第6 請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書において、概略、以下のように主張しているので、検討する。

(1)請求人の主張の概要
「(2)特許されるべき理由
審査官殿は、拒絶査定において「引用文献1に記載された発明に関し、ボールをほうる人やバットで打つ人等が着用しても、動いているボール等の対象の速度を測定できるように、装着させる身体部位を工夫する等、適宜の設計変更を加えることは、当業者であれば当然に想起しうるものと認められる。そして、引用文献1に記載された発明にそのような設計変更を加えれば、自ずと本願の上記請求項に係る発明が得られることになる。」と認定している。
また、続いて「出願人は、平成27年11月30日付け意見書において、引用文献1に記載された発明では、ボールほうる速度を測定できないことが明らかである、という旨、主張しているが、引用文献1に記載された発明において、ボールをほうる人に着用させた場合にも対象の速度を測定できるようにすることは、前述のとおり当業者が当然に行うことであり、当該出願人の主張は、採用することができない。」と認定している。
しかしながら、これらの認定は、本願発明を見て都合よく引用文献1の内容を解釈したものであっていわゆる後知恵の認定であり到底承服できない。
引用文献1の発明は第12ページ第4?18行に記載のように「・・捕球する人により着用される」ものであって「・・レーダーのグローブ位置はまた、接近中のボールをユニットへの至近距離で、野球ボールがグローブのポケットに入る寸前に検出できる」ものであり、「・・短距離範囲での検出はまた、投げる人の動作または運動による速度の誤った記録(reading)を防止する」ものである。
引用文献1の第13ページ第8?18行の「このレーダーは、ボールを「ほうる」人・・が着用でき」という記載はこのように捕球する人により着用され、接近中のボールを検出する引用文献1に記載の発明の装置をボールを「ほうる」人も着用できるということを示しているにすぎない。
ボールをほうるときには、グローブとは反対の手でほうり、このときグローブを持つ手は体の下側(ふとももの位置など)に位置する一方、ボールをほうる手は頭の上の位置に位置することになるから、引用文献1の発明がボールほうる速度を測定できないことは明らかである。
さらには、審査官殿は拒絶査定において「また、出願人は、同意見書において、引用文献1に記載された発明は、物体の初速を容易に測定できるという目的や、ボールが手足やバット等から離れた直後の最大の速度を計測できるという効果の達成にあたり、阻害要因となりうる、という旨も主張しているが、初速を求める点については、本願の上記請求項に記載されていないからこの主張はそもそも採用しえない。」と認定しているが、これは本願請求項1の認定が不十分な現れですらあり、到底承服できない。本願発明は、「・・前記ヒトの前記物体に接触する身体部分または前記ヒトと前記物体との間に介在する物から前記物体が離れるとき、該物体に向けて前記波を放射し、その反射波を受信してドップラー信号を検出することを特徴とする」ものであるから、物体の初速を容易に測定できるという目的を達成しうることは請求項の記載から明らかである。
引用文献1の捕球する人により着用され、接近中のボールを検出して、投げる人の動作または運動による速度の誤った記録を防止するという思想は、本願の[0009][0010]に記載のような「例えば競技の対象となる物体などの移動を行うヒトに装着でき、その物体の初速を容易に測定できる」という目的や、本願の[0012][0013]に記載のような「ヒトがその身体の力を利用して物体に力を加え、該物体の速度を変化させるときとは、例えば、ボールなどの物体を手に保持して放出する場合や、手足やバット、ラケットなどでボールを打ち返して速度ベクトルを反対向きに変える場合などがあり、変化後の速度とは、例えば、放出直後または打ち返し直後の速度などである。また、物体に接触する身体部分または物体との間に介在する物から前記物体が離れるときとは、例えば、該物体が離れる直前、離れる瞬間または離れた直後である。例えば、反発力の小さいボールを保持して投球するボウリングなどの場合はボールが手から離れる直前または離れる瞬間の速度、野球やハンドボールなどの投球ではボールが手から離れる瞬間または離れた直後の速度、反発力の大きいボールを使用するバレーやサッカーなど競技や身体との間に介在する物として用具を使用する野球やゴルフのバッティング、テニス、卓球などの場合は、ボールが手足やバット、ゴルフクラブ、ラケット等から離れた直後の速度が最大の速度となり、これを計測できる。」という効果が得られる発明に至る阻害要因にすらなり得るものである。
いずれの引用文献にも、本願発明の上述した目的や効果の記載はなく、本願発明は本願固有の課題を発見し、本願固有の効果を奏する特徴的な構成であって、引用文献記載の発明とはその技術思想を異にするものであり、進歩性を有する発明である。

以上のように、本願請求項1は、引用文献に基づいて当業者が容易に想到できるものではなく、特許法第29条第2項に該当しない。その従属項である請求項2?13についても、本願固有の上述した効果も増すものであって、かつ、[0019]以降に記載される引用文献とは異質な効果を奏するものであるから、設計事項ではなく、特許法第29条第2項に該当しない。」

(2)検討
ア 審判請求人は、
「引用文献1(引用例)の発明は・・・「・・捕球する人により着用される」ものであって「・・レーダーのグローブ位置はまた、接近中のボールをユニットへの至近距離で、野球ボールがグローブのポケットに入る寸前に検出できる」ものであり、「・・短距離範囲での検出はまた、投げる人の動作または運動による速度の誤った記録(reading)を防止する」ものである。
引用文献1の第13ページ第8?18行の「このレーダーは、ボールを「ほうる」人・・が着用でき」という記載はこのように捕球する人により着用され、接近中のボールを検出する引用文献1に記載の発明の装置をボールを「ほうる」人も着用できるということを示しているにすぎない。
ボールをほうるときには、グローブとは反対の手でほうり、このときグローブを持つ手は体の下側(ふとももの位置など)に位置する一方、ボールをほうる手は頭の上の位置に位置することになるから、引用文献1の発明がボールほうる速度を測定できないことは明らかである。」
と主張しているが、引用例の記載は
「・・・捕捉するボールの速度を測定できる。このレーダーは、ボールを「ほうる」人、またはバットで打ち、投げ、キャッチする他の人々が着用でき、別の状況ではスポーツまたは他のレクリエーション用途で動いている対象を処理できる。」(上記「第3(b)」)
というものであり、引用例の国際公開である、国際公開98/34130号に、「The radar can be worn on throwing arms of persons "tossing" a ball or by others batting, throwing, catching or otherwise dealing with moving objects in sports or other recreational uses」(第4頁第28?29行)(当審訳:レーダーは、ボールを「トスして」いる人々の投げる腕の上に、あるいは打者になって、投げて、キャッチするか、あるいはさもなければ、スポーツあるいは他のレクリエーション用途において、動いているオブジェクトを扱う他の人たちによって、装着され得ます。)と記載されているとおり、「捕捉するボールの速度を測定」するものとは別のバリエーションとして「ボールを「ほうる」人、・・・が着用」し、装置を着用した人が投げるボールを速度測定対象とする例について記載されていると解することが自然である。
また、装置を着用した人が投げるボールを速度測定対象とする場合には、そのボールが測定範囲内になるように着用箇所を選択することは当然であるし、そもそも本願明細書においては
「【0039】
図1は、実施例1に係るヒト装着用速度測定装置100を示す。・・・野球やソフトボールなどの投球の場合は軸足ではなく、前に踏み出す足の足首に装着する。」
と述べられており、足首で測定できるものが、ふとももの位置などでは測定できないとする上記主張を採用することはできない。

イ 審判請求人は、
「引用文献1(引用例)の捕球する人により着用され、接近中のボールを検出して、投げる人の動作または運動による速度の誤った記録を防止するという思想は、本願の・・・という目的や、本願の・・・という効果が得られる発明に至る阻害要因にすらなり得るものである。」
と主張しているが、引用例から上記のような思想が読み取れたとしても、それは「捕捉するボールの速度を測定」する場合に関するものであって、「ボールを「ほうる」人、・・・が着用」した場合に関するものでないことは明らかである。

なお、物体が離れるときの速度(初速)を測定するという点に関しては、上記「第5 判断」で述べたとおりである。

したがって、審判請求人の主張は採用できない。


第7 むすび
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおりであるから、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-01-27 
結審通知日 2017-01-31 
審決日 2017-02-14 
出願番号 特願2012-19070(P2012-19070)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大和田 有軌  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 須原 宏光
中塚 直樹
発明の名称 ヒト装着用速度測定装置および速度測定方法  
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