• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する C09D
管理番号 1327200
審判番号 訂正2016-390139  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-10-28 
確定日 2017-03-24 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5616339号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5616339号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5616339号(以下、「本件特許」という。)は、2009年(平成21年)7月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年7月30日、(FR)フランス共和国)の国際出願であって、平成26年9月19日に特許権の設定登録がされ、平成28年10月28日に本件審判の請求がされた後、同年12月20日付けで訂正拒絶理由が通知され、これに対して、平成29年2月10日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5616339号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正事項は以下のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「ラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応により架橋可能なシリコーン基剤」と記載されているのを、「重付加反応、ラジカル反応、またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2乃至11と請求項13も同様に訂正する)。
また、特許請求の範囲の請求項8に「請求項1乃至8のいずれか1項」と記載されているのを「請求項1乃至7のいずれか1項」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項10に「ラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応による架橋で得られる、」と記載されているのを、「重付加反応、ラジカル反応もしくはカチオン反応による架橋で得られる、」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項12に「前記液体シリコーン組成物は、ラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み」と記載されているのを、「前記液体シリコーン組成物は、重付加反応、ラジカル反応またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み」に訂正する(請求項12の記載を引用する請求項13も同様に訂正する)。

(4)訂正事項4
明細書の段落[0037]に「該組成物がラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み、」と記載されているのを、「該組成物が重付加反応、ラジカル反応またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み、」に訂正する。

(5)訂正事項5
明細書の段落[0039]に「 このシリコーンオイルをベースとしたシリコーン組成物は、好ましくはカチオン経路またはラジカル経路による重付加により架橋され、急速に硬化するものであり、紙(例えば、グラシン紙またはクラフト紙)上または膜上、特にポリエステル製もしくはポリエチレン製の膜上に高い機械的強度を有する剥離性コーティングを形成可能なものである。」と記載されているのを、「 このシリコーンオイルをベースとしたシリコーン組成物は、好ましくは重付加により架橋され、または、カチオン経路により架橋され、或いはラジカル経路により架橋されて、急速に硬化するものであり、紙(例えば、グラシン紙またはクラフト紙)または膜(特にポリエステル製もしくはポリエチレン製の膜)の上に、高い機械的強度を有する剥離性コーティングを形成可能なものである。」に訂正する。

(6)訂正事項6
明細書の段落[0040]に「高速コーティング用の液体シリコーンコーティング組成物のラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応による架橋によって得られる、」と記載されているのを、「高速コーティング用の液体シリコーンコーティング組成物に施された重付加反応、ラジカル反応、またはカチオン反応による架橋によって得られる、」に訂正する。

(7)訂正事項7
明細書の段落[0042]に「高速コーティング用の液体シリコーン組成物が架橋され、該液体シリコーン組成物がラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み、」と記載されているのを、「高速コーティング用の液体シリコーン組成物が架橋される。ここで、液体シリコーン組成物は重付加反応、ラジカル反応またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み、」に訂正する。

第3 当審の判断
1.訂正の目的(特許法第126条第1項)について
まず、上記訂正事項1?7の各訂正事項に係る本件訂正が、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものであるか、検討する。
(1)訂正事項1について
(1-1)訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1における「ラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応により架橋可能なシリコーン基剤」を「重付加反応、ラジカル反応、またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤」に訂正することを含むものである。
これに対し、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1の「シリコーン基剤」の記載箇所に対応する原文は、国際特許出願の特許請求の範囲として国際公開第2010/012787号を援用すると、「une base silicone apte a durcir par des reactions de polyaddition, radicalaires ou cationiques」(フランス語のアクサン記号の付いた「a」及び「e」は、それぞれアクサン記号のない「a」、「e」で代替表記した。以下同様。)である。原文の「une base silicone apte a durcir」の日本語訳は、「架橋可能なシリコーン基剤」に相当し、原文の「reactions」、「polyaddition」、「radicalaires」、「cationiques」の日本語訳は、「反応」、「重付加」、「ラジカル」、「カチオン」に相当し、原文の「ou」は、日本語訳の「または」に相当する。原文からは、シリコーン基剤の架橋反応が、重付加、ラジカル又はカチオンの3つの選択肢から選ばれるものであることが読み取れ、「重付加反応、ラジカル反応、またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤」と訳すべきであったことは明らかであるから、「ラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応により架橋可能なシリコーン基剤」との記載は、「重付加反応、ラジカル反応、またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤」の誤訳であると認められる。
よって、訂正事項1のうち、上記の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものである。
(1-2)また、訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項8における「請求項1乃至8のいずれか1項」を「請求項1乃至7のいずれか1項」に訂正することを含むものである。この訂正は、訂正前の請求項8が、請求項8自身を引用するという明らかな誤記を含むものであるのを、請求項8自身を引用しないように訂正するものであるので、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。

(2)訂正事項2、3について
訂正事項2は特許請求の範囲の請求項10、訂正事項3は特許請求の範囲の請求項12をそれぞれ訂正することを含むものであるが、これらの請求項は、国際特許出願の特許請求の範囲の請求項11、13にそれぞれ由来する請求項と解される。訂正前の請求項10に記載された「ラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応による架橋で得られる、」に対応する原文、及び訂正前の請求項12に記載された「ラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応により架橋可能なシリコーン基剤」に対応する原文は、国際公開第2010/012787号の請求項11及び13をそれぞれ援用すると、「obtenu par reticulation par des reactions de polyaddition, radicalaires ou cationiques」、「une base silicone apte a durcir par des reactions de polyaddition, radicalaires ou cationiques」である。上記1.(1)(1-1)における検討も踏まえると、いずれの原文からも、シリコーン基剤の架橋反応が、重付加、ラジカル又はカチオンの3つの選択肢から選ばれるものであることが読み取れ、それぞれ「重付加反応、ラジカル反応もしくはカチオン反応による架橋で得られる、」、「前記液体シリコーン組成物は、重付加反応、ラジカル反応またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤」と訳すべきであったことは明らかであるから、請求項10の「ラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応による架橋で得られる、」との記載は、「重付加反応、ラジカル反応もしくはカチオン反応による架橋で得られる、」の誤訳であり、また、請求項12の「前記液体シリコーン組成物は、ラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み」との記載は、「前記液体シリコーン組成物は、重付加反応、ラジカル反応またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み」の誤訳であると認められる。
よって、上記訂正事項2、3は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものである。

(3)訂正事項4、6、7について
訂正事項4は明細書の段落[0037]、訂正事項6は明細書の段落[0040]、訂正事項7は明細書の段落[0042]の記載事項をそれぞれ訂正するものであるが、これらは、国際特許出願の明細書として国際公開第2010/012787号の明細書を援用すると、第7頁2?23行、第8頁5?19行、第8頁25行?第9頁12行にそれぞれ対応する。訂正前の段落[0037]に記載された「ラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応により架橋可能なシリコーン基剤」、訂正前の段落[0040]に記載された「液体シリコーンコーティング組成物のラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応による架橋によって得られる」、訂正前の段落[0042]に記載された「高速コーティング用の液体シリコーン組成物が架橋され、該液体シリコーン組成物がラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み」に対応する原文は、国際公開第2010/012787号の明細書を援用すると、「une base silicone apte a durcir par des reactions de polyaddition, radicalaires ou cationiques」、「obtenu par reticulation par des reactions de polyaddition, radicalaires ou cationiques」、「reticule une composition silicone liquide d'enduction a grande vitesse, ladite composition silicone liquid comprenant une base silicone apte a durcir par des reactions de polyaddition, radicalaires ou cationiques」である。上記1.(1)(1-1)における検討も踏まえると、いずれの原文からも、シリコーン基剤の架橋反応が、重付加、ラジカル又はカチオンの3つの選択肢から選ばれるものであることが読み取れ、それぞれ「重付加反応、ラジカル反応またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤」、「液体シリコーンコーティング組成物に施された重付加反応、ラジカル反応、またはカチオン反応による架橋によって得られる」、「高速コーティング用の液体シリコーン組成物が架橋される。ここで、液体シリコーン組成物は重付加反応、ラジカル反応またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み」と訳すべきであったことは明らかであるから、段落[0037]の「該組成物がラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み、」との記載は、「該組成物が重付加反応、ラジカル反応またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み、」の誤訳であり、段落[0040]の「高速コーティング用の液体シリコーンコーティング組成物のラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応による架橋によって得られる、」との記載は、「高速コーティング用の液体シリコーンコーティング組成物に施された重付加反応、ラジカル反応、またはカチオン反応による架橋によって得られる、」の誤訳であり、段落[0042]の「高速コーティング用の液体シリコーン組成物が架橋され、該液体シリコーン組成物がラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み、」との記載は、「高速コーティング用の液体シリコーン組成物が架橋される。ここで、液体シリコーン組成物は重付加反応、ラジカル反応またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み、」の誤訳であると認められる。
よって、上記訂正事項4、6、7は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものである。

(4)訂正事項5について
訂正事項5は明細書の段落[0039]を訂正するものであるが、これは、国際特許出願の明細書として国際公開第2010/012787号の明細書を援用すると、第7頁33行?第8頁4行に対応する。訂正前の段落[0039]に記載された「好ましくはカチオン経路またはラジカル経路による重付加により架橋され」、「紙(例えば、グラシン紙またはクラフト紙)上または膜上、特にポリエステル製もしくはポリエチレン製の膜上に」に対応する原文は、国際公開第2010/012787号の明細書を援用すると、「reticulant de preference par polyaddition, par voie cationique ou radicalaire」、「sur papier (par exemple glassine ou kraft) ou sur un film, notamment en polyester ou polyethylene」である。
まず、前者の訂正については、上記1.(1)(1-1)における検討も踏まえると、原文から、架橋が重付加によるか、カチオン経路によるか、又はラジカル経路によることが読み取れ、「好ましくは重付加により架橋され、または、カチオン経路により架橋され、或いはラジカル経路により架橋されて」と訳すべきであったことは明らかであるから、段落[0039]の前半部分の「 このシリコーンオイルをベースとしたシリコーン組成物は、好ましくはカチオン経路またはラジカル経路による重付加により架橋され、急速に硬化するものであり、」との記載は、「 このシリコーンオイルをベースとしたシリコーン組成物は、好ましくは重付加により架橋され、または、カチオン経路により架橋され、或いはラジカル経路により架橋されて、急速に硬化するものであり、」の誤訳であると認められる。
次に、後者の訂正について検討すると、原文の「sur papier」、「(par exemple glassine ou kraft)」、「sur un film」、「notamment en polyester ou polyethylene」の日本語訳は、それぞれ「紙上」、「(例えば、グラシン紙またはクラフト紙)」、「膜上」、「特にポリエステルもしくはポリエチレン」に相当する。ここで、訂正前の日本語訳では「特にポリエステル製もしくはポリエチレン製の膜」という語句が、「紙」と「膜」の両者を受けて全体の代表として記載されている語句なのか、あるいは「膜」のみを受けて膜の代表として記載されている語句なのかがわかりにくいが、原文の記載に基づくと、「notamment en polyester ou polyethylene(特にポリエステルもしくはポリエチレン)」という語句は、「film(膜)」の直後に置かれていることから、「膜」のみを受けて記載されている語句であることが読み取れる。そうすると、訂正前の「紙(例えば・・・)上または膜上、特にポリエステル製もしくはポリエチレン製の膜上に」という記載を、「紙(例えば・・・)または膜(特にポリエステル製もしくはポリエチレン製の膜)の上に」と訳すべきであったことは明らかであるから、段落[0039]の後半部分の「紙(例えば、グラシン紙またはクラフト紙)上または膜上、特にポリエステル製もしくはポリエチレン製の膜上に高い機械的強度を有する剥離性コーティングを形成可能なものである。」との記載は、「紙(例えば、グラシン紙またはクラフト紙)または膜(特にポリエステル製もしくはポリエチレン製の膜)の上に、高い機械的強度を有する剥離性コーティングを形成可能なものである。」の誤訳であると認められる。
よって、上記訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤訳の訂正を目的とするものである。

(5)小括
以上のとおり、訂正事項1?7は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。

2.新規事項の追加の有無(特許法第126条第5項)について
本件訂正審判に係る訂正事項は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであるところ、同条第5項を適用する際の「外国語書面出願」及び「外国語書面」は,同法第184条の19の規定により、それぞれ「第184条の4第1項の外国語特許出願」及び「第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」となるので、同法第126条第5項に規定する「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」は、「第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」となる。
そこで、訂正事項1?7について検討すると、上記1.(1)?(5)のとおり、訂正事項1?7に係る訂正は誤記又は誤訳の訂正を目的とするものであり、技術的内容を変更するものではないから、いずれの訂正も国際出願日における本件国際出願の明細書、請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。よって、訂正事項1?7に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

3.特許請求の範囲の拡張又は変更の有無(特許法第126条第6項)について
(1)訂正事項1について
訂正前の請求項1に記載された「ラジカル重付加反応」及び「カチオン重付加反応」という用語は、いずれも高分子の技術分野において一般的な用語ではなく、特許請求の範囲の記載のみに基づいて用語の意味を一義的に明確に理解することは難しい。そこで、訂正前の明細書の記載を参照すると、明細書中には、「重付加」と「カチオン経路」と「ラジカル経路」の3種類の反応についてそれぞれ詳しく記載されており(例えば、訂正前明細書の[0002]、[0008]、[0050]、[0147]、[0148])、「重付加」はSi-HユニットとSi-EUユニットとが関与する反応に代表される重付加メカニズムによる反応に相当すること、「カチオン経路」はエポキシ官能基及び/又はオキセタン官能基が有効量のカチオン開始系の存在下で開環付加する反応に代表されるカチオンを活性種とする連鎖反応に相当すること、「ラジカル経路」はエチレン性不飽和官能基(例えばアクリレート官能基及び/又はアルケニルエーテル官能基)がラジカル開始系の存在下で付加する反応に代表されるラジカルを活性種とする連鎖反応に相当することが読み取れる。そうすると、訂正前の請求項1に記載された「ラジカル重付加反応またはカチオン重付加反応により架橋可能なシリコーン基剤」という記載は、訂正前の明細書の記載を参酌すると、「重付加」、「カチオン経路」又は「ラジカル経路」のいずれかの反応により架橋可能なシリコーン基剤を意味するものであったと解することができる。
これに対する、訂正後の請求項1に記載された「重付加反応、ラジカル反応、またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤」は、「重付加」、「ラジカル」、「カチオン」という技術用語の意味、及び訂正後の明細書の記載に照らしてみれば、訂正前に記載されていたと解釈されるものと同じものを意味すると解することができる。
よって、訂正事項1のうち上記請求項1についての訂正は、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。
また、訂正事項1のうち、訂正前の請求項8が、請求項8自身を引用するという明らかな誤記を含むものであるのを、請求項8自身を引用しないように訂正する誤記の訂正についても、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではないことは明らかである。

(2)訂正事項2、3について
訂正事項2、3も、上記3.(1)において検討した訂正事項1の請求項1についての訂正と同じ理由により、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。

(3)訂正事項4、6、7について
訂正事項4は明細書の段落[0037]、訂正事項6は明細書の段落[0040]、訂正事項7は明細書の段落[0042]の記載事項をそれぞれ訂正するものであるが、訂正前の明細書の上記段落における「ラジカル重付加反応」や「カチオン重付加反応」の用語は、上記3.(1)において検討したとおり、例えば、訂正前明細書の[0002]、[0008]、[0050]、[0147]、[0148]の記載に基づいて、「重付加」、「カチオン経路」又は「ラジカル経路」のいずれかの反応を意味していたものと解することができるものであるから、訂正後の各段落に記載された技術内容は、訂正前に記載されていたと解釈されるものと同じと解することができ、特許請求の範囲の解釈に影響を与えるものでもない。よって、訂正事項4、6、7の訂正は、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。

(4)訂正事項5について
訂正事項5のうち、訂正前の段落[0039]に記載された「好ましくはカチオン経路またはラジカル経路による重付加により架橋され」という記載の訂正については、上記3.(3)と同様の理由により、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。また、訂正事項5のうち、訂正前の段落[0039]に記載された「紙(例えば、グラシン紙またはクラフト紙)上または膜上、特にポリエステル製もしくはポリエチレン製の膜上に」という記載の訂正についても、訂正前後で意味する内容が実質的に変更されるものではなく、特許請求の範囲の解釈に影響を与えるものでもない。よって、訂正事項5の訂正は、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。

(5)小括
以上のとおり、訂正事項1?7は、いずれも特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

4.独立特許要件(特許法第126条第7項)について
訂正事項1?7による訂正は、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものであるから、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか検討したが、訂正後の本件特許に係る出願につき、拒絶すべき理由を発見することはできない。
よって、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項1?7による訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項乃至第7項に規定する要件に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
フレキシブル基材をコーティングして、高い付着性、機械的強度および反応性を有する架橋コーティングを形成するためのシリコーン組成物
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば紙製や天然ポリマー製または合成ポリマー製などの、繊維状基材または非繊維状基材上に、特に撥水性および剥離性を有するコーティングまたは膜を形成するために使用可能な架橋性シリコーン組成物または架橋シリコーン組成物に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、例えば、以下の成分を含むシリコーン組成物に関する。
・同一分子または非同一分子上に、Si-HユニットとSi-EUユニット(EUは、少なくとも1つのエチレン性不飽和基、好ましくはビニル基を含む基を表す)とを有する官能基を有するポリオルガノシロキサン(POS)(Si-Hユニットは重付加によりSi-EUと反応可能である)
・および/または、少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基(アクリレート官能基および/またはアルケニルエーテル官能基が有利である)および/またはエポキシ官能基および/またはオキセタン官能基を含む架橋性官能基(CFG)を介して、カチオン経路および/またはラジカル経路により架橋可能なPOS
・重付加による架橋に対する適当な金属触媒(好ましくは白金触媒)、ならびに好ましくは架橋に対する熱開始剤および/または光開始剤としてのカチオン開始剤(好ましくはオニウム塩から選択される)
・必要に応じて、例えばQ(SiO_(4/2))ユニットおよび/またはT(RSiO_(3/2))ユニットを含むシリコーン樹脂をベースとする、少なくとも1つの粘着調整系
・必要に応じて、他の添加剤(フィラー、促進剤、阻害剤、顔料、界面活性剤など)
【0003】
本発明はまた、以下のものに関する。
・上記シリコーン組成物の調製
・上記シリコーン組成物から得られるコーティングでコートした基材
・上記シリコーン組成物からの、架橋シリコーン製の製品、特に繊維状フレキシブル基材または非繊維状フレキシブル基材(紙またはポリマー膜)のための、例えば撥水性および/または剥離性を有するコーティングなどのコーティングの製造方法
・上記シリコーン組成物の架橋により得られ、繊維状フレキシブル基材または非繊維状フレキシブル基材上にコートされた剥離性および撥水性を有するシリコーンコーティングの、コーティング機から離れる際の付着性、機械的強度および反応性をともに増大させる方法
【背景技術】
【0004】
例えば、(溶媒を含むもしくは溶媒を含まない、または水性エマルションとしての)上記液体シリコーン組成物は、超高速(例えば、600m/分)で回転するロールを備えた工業用コーティング装置において、基材フィルムに塗布される。
【0005】
本発明に特に関連する液体シリコーンコーティング組成物は、溶媒を含まない。
【0006】
実際には、剥離性シリコーンの被覆度は、0.1g/m^(2)?2g/m^(2)、好ましくは0.3g/m^(2)?1g/m^(2)であり、マイクロメーターオーダーの厚さに相当する。
【0007】
シリコーン組成物は、フレキシブル基材に塗布されると、架橋して剥離性および/また撥水性を有する硬いシリコーン製コーティング(例えば、エラストマー)を形成する。重付加により架橋する、溶媒を含まない液体シリコーン系[Si-H/Si-アルケニル-(Vi)-]の場合は、熱活性化により架橋を行うことができる。
【0008】
重付加による架橋が可能な組成物は、熱活性化によっても架橋されうる。カチオン経路および/またはラジカル経路により架橋可能な組成物は、電子ビームおよび/またはUVタイプの化学線に暴露することによる活性化、および/または熱活性化により架橋されうる。
【0009】
剥離性シリコーン膜でコートされたフレキシブル基材は、例えば、
・内面が感圧粘着剤の層でコートされ、外面が剥離性シリコーンコーティングを含む粘着テープ
・または、自己粘着性成分もしくは感圧粘着剤の粘着面を保護するための紙(例えばグラシン紙)またはポリマー膜
・あるいは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリエチレンテレフタレートタイプのポリマー膜
であってもよい。
【0010】
これらの基材は、特に、接着性ラベル(シリコーン処理済みの紙またはポリマー膜からなるライナー)用の基材であってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第04/054059号
【特許文献2】国際公開第02/18506号
【特許文献3】欧州特許公開公報第0523660号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
剥離性を有する架橋シリコーンコーティングで工業的にコートされたすべての基材の製造者は、常に、シリコーンコーティングがコーティング機から離れる際の付着性、機械的強度および反応性をともに増大させることに関心を持っている。
【0013】
コーティング機から出る際、すなわちコーティングおよび架橋の後の30分間における、基材へのコーティングの付着性または粘着性、およびコーティングの機械的強度または接着性は、例えば、こすり落ちトレード試験により評価される。この試験は、コーティングの表面を指でこすって、コーティングに結果としてダメージを与えるまで指のこすり回数を測定する試験である、機械的強度は、耐摩耗性によって表されることがある。
【0014】
反応性に関していえば、超高速工業用コーティングの速度の観点から、架橋速度が瞬間的である必要があり、架橋が正確である必要がある。すなわち、剥離性シリコーン膜は、その剥離機能を可能な限り発揮できるよう十分に架橋されている必要があり、望ましい機械的性質を有している必要がある。剥離性を有するシリコーン膜の架橋の品質は、具体的には未架橋の抽出性化合物を定量的に測定することにより評価することができ、この抽出性化合物の量は可能な限り少なくなければならない。
【0015】
実際には、付着性、機械的強度および反応性をともに改善することは非常に困難である。
【0016】
上記課題は、以下のすべてまたはいくつかの要求を満たそうとする場合にはさらに大きなものとなる。
・剥離性および/または撥水性を有するシリコーンコーティングをフレキシブル基材(紙またはポリマー膜)に対して施すにあたり、特に白金が含まれる場合に触媒濃度を減らすこと。そのコストのため、触媒濃度は重付加系の原価において主要要素となる。組成物において、白金を100ppm未満、実際には80ppm未満のレベルまで減らした場合、完全に架橋した剥離性および/または撥水性を有するシリコーンコーティングを得ることができないことが知られている。
・経済的理由から架橋温度を下げること。
・被コート基材の前進速度を上げること。
・シリコーンコーティングの外表面において良好な剥離能力を得ること。すなわち、剥離性シリコーン膜でコートされた基材(例えば、ラベルの粘着面または同様なテープの粘着面)上に配置することを目的とした成分に対して、弱くかつ制御された剥離力を得ること。
・架橋性シリコーンコーティング組成物が工業用コーティング装置におけるコーティング浴液の形態である場合、該組成物の周囲温度における寿命を延ばすこと。
【0017】
上記問題を克服するために、Si-Hユニットを含む架橋POSの性質および/またはSi-EUユニットを含む架橋POSの性質を変える、あるいは種々の添加剤を利用するといった、いくつかの方法が研究されてきた。
【0018】
架橋POSの性質に関しては、フレキシブル基材(コート紙または未コート紙、およびポリマー膜など)上に剥離性を有するコーティングを形成するために、重付加(≡Si-H/Si-ビニル)により架橋可能な液体シリコーン組成物に対して、例えばジメチルヒドロシロキシ(M′)ユニット、メチルヒドロシロキシ(D′)ユニット、ジメチルシロキシ(D)ユニット、およびトリメチルシロキシ(M)ユニットなどのシロキシユニットを含む架橋剤を使用することがすでに一般に開示されている。
【0019】
これは特許文献3における例であり、100℃以下の温度で数秒で架橋することができ、(非直線状)ネットワーク≡Si-Vi POS樹脂と、M(D′)_(e)(D)_(e)Mタイプ、M(D′)_(e)Mタイプ、M(D′)_(e)(D)_(e)M′タイプまたはM(D′)_(e)M′タイプ(「e」は互いに同一または異なった整数に相当する)の≡Si-H POS架橋剤とを含み、これらの架橋剤を単独または混合物として使用するシリコーン組成物が記載されている。
【0020】
この種類の架橋系により(しばしば低い触媒濃度で)良好な反応性を得ることが可能となるが、一般にコーティングの粘着性と耐摩耗性とが顕著に低下するという欠点がある。
【0021】
特許文献1には、特に、抽出物レベルの減少および液体シリコーンコーティング組成物浴液の安定性の持続性に関して、架橋コーティングに有利な特性を与える特定≡Si-H
POS架橋剤が記載されている。これらの特定≡Si-H POS架橋剤は、鎖末端と鎖内とが水素化されたPOS、すなわち、0<D/D′≦0.4であり20≦M′/D′×1000≦60である、M_(1.2)D_(6)D′_(30)M′_(0.8)またはM_(0.8)D_(4)D′_(25)M′_(1.2)などのPOSからなる。
【0022】
さらに、連続コーティング装置上のフレキシブル基材板の直線前進速度が上がると、コーティングヘッド周辺でミストまたはエアロゾルが出現する(ミスティング、フォギング)といった問題が生じる。このミストは、消耗品の損失、外観の悪化、機械的性質(こすり落ち)の低下、架橋コーティングの剥離能の低下、工場衛生の低下および操作者の安全の低下、メンテナンスの制約と早期の摩擦とをもたらすロールコーティング装置の急激な汚染といった負の結果をもたらす。
【0023】
このようなミスティングの問題に対処することができる既知の方法の1つは、25℃における粘度が2000mPa.sであるシリコーン相を含む液体シリコーンコーティング組成物であって、シリコーン相中に重付加により架橋可能なPOSと、架橋POSと、触媒と、非セルロース粒子をベースとするミスティング防止剤とを含む組成物を使用することである。この液体シリコーンコーティング組成物は国際公開第02/18506号公報に記載されている。
【0024】
このような状況において、本発明は、特に以下の目的の少なくとも1つを達成するためになされたものである。
【0025】
a.あらゆる種類のフレキシブル基材(グラシン紙などの紙、またはポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステルなどのポリマー)上に、特にコーティング装置から出た時点、すなわちコーティングおよび架橋の後30分以内のタイミングにおいて、優れた付着特性(粘着特性)、および機械的強度または接着特性(こすり落ち特性)を有する架橋シリコーンコーティングを産生するために、熱活性化および/または化学線による活性化および/または電子ビームによる活性化により即時に架橋して、フレキシブル基材上に剥離性および/または撥水性を有するコーティングを形成することができる新規の液体シリコーンコーティング組成物を提供すること。
【0026】
b.あらゆる種類のフレキシブル基材(グラシン紙などの紙、またはポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステルなどのポリマー)上に、特に接着性ラベル(シリコーン処理済みの紙またはポリマー膜からなるライナー)用の基材として使用され、反応性/接着性の悪化が改善され、該反応性が、特に装置の出口において、抽出物レベルとこすり落ちによる接着レベルとが減少していることを特徴とする架橋コーティングを産生するために、熱活性化および/または化学線による活性化および/または電子ビームによる活性化により即時に架橋して、フレキシブル基材上に剥離性および/または撥水性を有するコーティングを形成することができる新規の液体シリコーンコーティング組成物を提供すること。
【0027】
c.高速コーティング装置において、熱活性化および/または化学線による活性化および/または電子ビームによる活性化により架橋して、フレキシブル基材上に剥離性および/または撥水性を有するコーティングを形成することができる新規の液体シリコーンコーティング組成物であって、触媒(例えば白金)の含有量が低い組成物を提供すること。
【0028】
d.高速コーティング装置において、熱活性化および/または化学線による活性化および/または電子ビームによる活性化により即時に架橋して、フレキシブル基材上に剥離性および/または撥水性を有するコーティングを形成することができる新規の液体シリコーンコーティング組成物であって、節約のため架橋温度を下げることが可能な組成物を提供すること。
【0029】
e.高速コーティング装置において、熱活性化および/または化学線による活性化および/または電子ビームによる活性化により即時に架橋して、フレキシブル基材上に剥離性および/または撥水性を有するコーティングを形成することができる新規の液体シリコーンコーティング組成物であって、被コート基材の前進速度を上げることが可能な組成物を提供すること。
【0030】
f.高速コーティング装置において、熱活性化および/または化学線による活性化および/または電子ビームによる活性化により即時に架橋して、フレキシブル基材上に剥離性および/または撥水性を有するコーティングを形成することができる新規の液体シリコーンコーティング組成物であって、シリコーンコーティングの遊離外面における良好な剥離能力、すなわち、剥離性シリコーン膜でコートされた基材(例えば、ラベルの粘着面または同様なテープの粘着面)上に配置することを目的とした成分に対する、弱くかつ制御された剥離力を得ることが可能な組成物を提供すること。
【0031】
g.高速コーティング装置において、熱活性化および/または化学線による活性化および/または電子ビームによる活性化により即時に架橋して、フレキシブル基材上に剥離性および/または撥水性を有するコーティングを形成することができる新規の液体シリコーンコーティング組成物であって、工業用コーティング装置においてコーティング浴液の形態である場合に、該シリコーンコーティング組成物の周囲温度における寿命を延ばすことが可能な組成物を提供すること。
【0032】
h.高速コーティング装置において、熱活性化および/または化学線による活性化および/または電子ビームによる活性化により即時に架橋して、フレキシブル基材上に剥離性および/または撥水性を有するコーティングを形成することができる新規の液体シリコーンコーティング組成物であって、さらに調製が容易であり経済的な組成物を提供すること。
【0033】
i.液体シリコーンコーティング組成物のラジカル高速架橋により得られ、繊維状フレキシブル基材または非繊維状フレキシブル基材上にコートされた剥離性および撥水性を有するシリコーンコーティングの、コーティング装置から出た時点での付着性、機械的強度および反応性をともに増大させるための、シリコーンオイル、好ましくは反応性シリコーンオイル中に、10?50重量%、好ましくは10?45重量%の微粒子フィラーを含むシリコーンスラリー(濃縮懸濁液)の新規な使用を提供すること。
【0034】
j.液体シリコーンコーティング組成物のラジカル高速架橋により得られ繊維状フレキシブル基材または非繊維状フレキシブル基材上にコートされた剥離性および撥水性を有するシリコーンコーティングの、コーティング装置から出た時点での付着性、機械的強度および反応性をともに増大させるための、新規な方法を提供すること。
【0035】
k.a?hの液体シリコーンコーティング組成物から得られるコーティングでコートされた新規な基材を提供すること。
【0036】
l.a?hの液体シリコーンコーティング組成物から、フレキシブル基材上に剥離性および/または撥水性を有する架橋シリコーンコーティングを製造するための新規な方法を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0037】
上記目的を達成するため、本発明は、第一に、繊維状フレキシブル基材または非繊維状フレキシブル基材上に高速コーティングするための、撥水性および剥離性を有するコーティングを形成するために架橋可能な新規な液体シリコーン組成物であって、該組成物が重付加反応、ラジカル反応またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み、該シリコーン基剤がシリコーン基剤100重量部につき、1?40重量部、好ましくは1?30重量部、好ましくは3?20重量部の添加剤を含み、該添加剤は、
I.少なくとも1つの相溶化剤で処理した、1?80重量%、または5?80重量%、あるいは10?50重量%、好ましくは10?45重量%の、好ましくはナノメートルサイズの微粒子シリカフィラーと
II.95?20重量%、好ましくは90?55重量%の、25℃における粘度(ηII)(mPa.s)が、好ましい順に、
8000≦ηII≦2000000
8000≦ηII≦500000
8000≦ηII≦100000
である少なくとも1つのシリコーンオイルと
III.必要に応じて、25℃における粘度(ηIII)が8000mPa.s以下である少なくとも1つのシリコーンオイルと
からなり、
前記微粒子シリカフィラーがシリコーンオイル(II)中に分散され、必要に応じてシリコーンオイル(III)を用いて構成され、
組成物全体としての粘度が、25℃において5000mPa.s以下、好ましくは25℃において2000mPa.s以下である。
【0038】
本発明に係る組成物により、粘着性(例えば、25℃において1000mPa.sより大きい粘度)のある(例えば、ビニルユニットのようなsi-EUユニットを含む)シリコーンオイル中に分散されたHMDZ(ヘキサメチルジシラザン)および/またはVMN(ジビニルテトラメチルジシラザン)でin situで処理された無機(ナノ)フィラー(例えば、焼成シリカ)を含む最適な用量の特定シリコーン添加剤を加えることによって、(特に)コーティング装置から出た時点、すなわち、例えばコーティングおよび架橋の後30分以内における、付着性/接着性/反応性の悪化を飛躍的に改善することが可能となる。
【0039】
このシリコーンオイルをベースとしたシリコーン組成物は、好ましくは重付加により架橋され、または、カチオン経路により架橋され、或いはラジカル経路により架橋されて、急速に硬化するものであり、紙(例えば、グラシン紙またはクラフト紙)または膜(特にポリエステル製もしくはポリエチレン製の膜)の上に、高い機械的強度を有する剥離性コーティングを形成可能なものである。得られるコーティングは、基材上で特に粘着性を有し強固である。このコーティングにより、感圧粘着剤(PSAS)タイプの粘着剤に対する剥離能特性に寄与することが可能となり、基材の劣化が促進された(高い相対温度および高い相対湿度)後、およびアクリル粘着剤を含むこれらの粘着剤との長期の接触時でさえ優れた機械的強度を示す。
【0040】
第二に、本発明は、紙製もしくは板製などのフレキシブル基材、フレキシブル織布基材もしくはフレキシブル不織布基材、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンおよび/またはポリエステル(例えば、、PET)および/またはポリ塩化ビニルから成るフレキシブル基材、および/または感熱印刷可能なフレキシブル基材から選択されることを特徴とする、本発明の組成物から得られるコーティングでコートされた基材に関する。
第三に、本発明は、高速コーティング用の液体シリコーンコーティング組成物に施された重付加反応、ラジカル反応、またはカチオン反応による架橋によって得られる、繊維状フレキシブル基材または非繊維状フレキシブル基材上にコートされた、剥離性および撥水性を有するシリコーンコーティングの、コーティング装置から出た時点での付着性、機械的強度および反応性をともに増大させるため、1?80重量%、または5?80重量%、あるいは10?50重量%、好ましくは10?45重量%の微粒子シリカフィラーをシリコーンオイル、好ましくは反応性シリコーンオイル中に含むシリコーン添加剤(濃縮懸濁液)の使用に関する。好ましくは、該高速コーティング用の液体シリコーンコーティング組成物は上に定義したものである。
【0041】
第四に、本発明は、基本的に本発明のシリコーンコーティング組成物を高速工業用コーティング装置で用いることを特徴とする、フレキシブル基材上へ剥離性および/または撥水性を有する架橋シリコーンコーティングを製造する方法に関する。
【0042】
第五に、本発明は、繊維状フレキシブル基材または非繊維状フレキシブル基材上にコートされた剥離性および撥水性を有するシリコーンコーティングの、コーティング装置から出た時点での付着性、機械的強度および反応性をともに増大させるための方法であって、高速コーティング用の液体シリコーン組成物が架橋される。ここで、液体シリコーン組成物は重付加反応、ラジカル反応またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み、該シリコーン基剤が基剤100重量部につき、1?40重量部、好ましくは1?30重量部、好ましくは3?20重量部の添加剤を含む。
この添加剤は、
I.少なくとも1つの相溶化剤で処理した、1?80重量%、または5?80重量%、あるいは10?50重量%、好ましくは10?45重量%の、好ましくはナノメートルサイズの微粒子シリカフィラーと
II.95?20重量%、好ましくは90?55重量%の、25℃における粘度(ηII)(mPa.s)が、好ましい順に、
8000≦ηII≦2000000
8000≦ηII≦500000
8000≦ηII≦100000
である少なくとも1つのシリコーンオイルと
III.必要に応じて、25℃における粘度(ηIII)が8000mPa.s以下である少なくとも1つのシリコーンオイルとからなり、
前記微粒子シリカフィラーがシリコーンオイル(II)中に分散され、必要に応じてシリコーンオイル(III)を用いて構成され、
組成物全体としての粘度が、25℃において5000mPa.s以下、好ましくは25℃において2000mPa.s以下である方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0044】
(第1実施形態)
『定義』
本発明の組成物の特定添加剤(I)(II)(および必要に応じてIII)は、用語「スラリー」または用語「分散液」による区別をしないで表す場合もある。
【0045】
本明細書中のすべての粘度は、「ニュートン性」といわれる、25℃における動粘度量に相当する。すなわち、それ自体が既知である方法で、速度勾配とは無関係に測定される粘度に対して十分に低いずり速度勾配で測定される動粘度に相当する。この粘度は、例えば、1972年2月の規格AFNOR NFT 76 102に従って、ブルックフィールド粘度計を使用して測定することができる。
【0046】
本明細書における「コーティング装置から出る時点」という表現は、例えば、コーティングと、熱活性化(例えば、オーブン中またはIRランプ下で)および/または化学線による活性化(例えば、UVランプ)および/または電子ビームを使用した活性化の後の30分以内のタイミングを意味する。
【0047】
本明細書で使用する用語「シリコーン」に関しては、
「D」シロキシルユニットは(R_(2))SiO_(2/2)を表し、
「D′」シロキシルユニットはRHSiO_(2/2)を表し、
「D^(Vi)」シロキシルユニットはR(ビニル)SiO_(2/)を表し、
「T」シロキシルユニットはRSiO_(3/2)を表し、
「Q」シロキシルユニットはSiO_(4/2)を表す。
【0048】
これらの式において、R基は互いに同一または異なった一価の基を表し、各々のR基は、好ましくは、
1?5個の炭素原子を有し、1?6の塩素原子を含んでいてもよいアルキル基、
3?8個の炭素原子を有し、1?4個の塩素原子を含んでいてもよいシクロアルキル基、
6?8個の炭素原子を有し、1?4個の塩素原子を含んでいてもよいアリール基またはアルキルアリール基、
3?4個の炭素原子を有するシアノアルキル基であり、
これらの基は、必要に応じて置換されており、具体的には、ハロゲン基および/またはアルコキシル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、n‐ペンチル基、t‐ブチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、α‐クロロエチル基、α,β‐ジクロロエチル基、β‐シアノエチル基、γ‐シアノプロピル基、フェニル基、p‐クロロフェニル基、m‐クロロフェニル基、3,5‐ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、テトラクロロフェニル基、o‐トリル基、p‐トリル基、もしくはm‐トリル基、または好ましくは2,3‐ジメチルフェニル基もしくは3,4‐ジメチルフェニル基などのキシリル基で置換されており、メチル基とフェニル基が特に好ましい。
【0049】
用語「高速コーティング」は、例えば、100m/分以上の速度、好ましくは300m/分以上の速度、例えば500m/分?1000m/分の速度を表す。
【0050】
『詳細説明』
《組成物》
本組成物は、
・例えば、Si-HユニットとSi-EUユニット(EUは、少なくとも1つのエチレン性不飽和基、好ましくはビニル基を含む基を表す)とが関与する重付加メカニズムにより架橋可能であり、Si-EUユニットは、1分子あたり少なくとも2つのSi-EUユニットを有するポリオルガノシロキサンA(POS‐A)の少なくとも1つに由来し、POS‐Aは、単独であっても複数であっても、金属触媒(D)の存在下で架橋剤(R)(Si-Hユニットは、少なくとも1つのポリオルガノシロキサンB(POS‐B)に由来する)と反応可能なポリマー基剤(PB)を構成し、
・あるいは、例えば、少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基(アクリレート官能基および/またはアルケニルエーテル官能基が有利である)および/またはエポキシ官能基および/またはオキセタン官能基を含む架橋性官能基(CFG)を介して、有効量のカチオン開始系もしくはラジカル開始系(D^(*))の存在下で、カチオン経路および/またはラジカル経路により架橋可能であることが有利である。これらのCFGは、ポリマー基剤(PB^(*))を形成し1分子あたり少なくとも2つのSi-CFGユニットを有するポリオルガノシロキサンC^(*)(POS‐C^(*))の少なくとも1つに由来する。
【0051】
本発明の注目すべき特徴によれば、該組成物は、添加剤(スラリー)をシリコーン基剤(PBまたはPB^(*))と混合することにより調製され、必要に応じて、この混合は、シリコーン基剤(PB)を形成する液体シリコーンオイル(好ましくは、ビニル化オイルまたはsi-Hオイルなどのアルケニル化オイル)もしくはPB^(*)を形成する液体シリコーンオイル中に予備希釈して、または予備希釈しないで、段階的に行われる。
【0052】
1つまたは複数の反応性シリコーンオイルもしくは非反応性シリコーンオイル中への微粒子フィラーの濃縮懸濁液である添加剤(スラリー)を調製することは困難である。シリコーンマトリックス中に粒子が微細分布した均質分散液であり、レオロジーが取り扱い制約(処理可能性)に見合っており、本発明の組成物に所望の付着特性/機械的特性、接着特性/反応性特性を与えるスラリーを得る試みがなされている。
【0053】
したがって、本発明によれば、第一段階で添加剤(スラリー)を調製し、その後、第二段階において本発明の組成物中に該添加剤を取り込むことが望ましい。
【0054】
このスラリーは、液体リコーンオイル(例えば、ビニル化オイル)、すなわち、例えば25℃において1000mPa.s未満の粘度を有するオイル中に予備分散してもよく、または浴液の形成中(つまりコーティング直前)に直接導入してもよい。
【0055】
ある代替形態によると、好ましくはナノメーターサイズである微粒子フィラーは、添加剤(スラリー)を形成するためのシリコーンオイルとは別々にコーティング用液体シリコーン浴液組成物中に導入してもよい。
【0056】
《添加剤(スラリー)》
好ましくは、添加剤(スラリー)のシリコーンオイル(II)と任意のシリコーンオイル(III)とは、架橋剤(R)と反応可能な少なくとも1つのPOS‐Eおよび/または少なくとも1つのPOS‐C^(*)と反応可能な少なくとも1つのPOS‐E^(*)を含む。
【0057】
好ましくは、添加剤(スラリー)は、
・100重量部のシリコーンオイル(II)、および必要に応じてシリコーンオイル(III)と、
・0重量部?5重量部の水と、
・20重量部?80重量部(好ましくは25重量部?40重量部、より好ましくは30±2重量部程度)の、珪藻土もしくは粉砕石英などのシリカフィラーおよび/または中補強性シリカフィラーからなる微粒子フィラー;カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、アルミニウム水和物、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ベントナイトタイプまたはモンモリロナイトタイプの天然粘土、膨張バーミキュライト、未膨張バーミキュライト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、雲母、タルク、酸化鉄、硫化バリウム、消石灰、珪藻土、粉砕石英および粉砕ジルコニアなどの単独でまたは混合物として使用することができる非珪質フィラー;ポリマー壁(例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートまたはスチレンのモノマー、混合物、またはポリマーから調製されるホモポリマーまたはコポリマー、および/また具体的には例えばアクリロニトリル/メタクリロニトリルコポリマーもしくはアクリロニトリル/塩化ビニリデンコポリマーなどのコポリマー)を有し、該壁が液体または気体(イソブタンまたはイソペンタンなどのアルカン)を含む膨張性有機微小球;または粉砕合成繊維(ポリマー)もしくは粉砕天然繊維(ポリマー))と、
・1重量部?20重量部の相溶化剤であって、
シラザン、好ましくはジシラザン、
二官能性ヒドロキシル化(シクロ)シロキサン、または好ましくは単官能性ヒドロキシル化(シクロ)シロキサン、
アミン(好ましくはアンモニア)および/またはアルキルアミン(特に好ましくはジエチルアミン)、
有機酸(好ましくはギ酸および/または酢酸)、
クロロシラン、
オルガノクロロシラン、ジオルガノシクロポリシロキサン、ヘキサオルガノジシロキサン、ヘキサオルガノジシラザンまたはジオルガノシクロポリシラザンなどの有機ケイ素化合物(仏国特許出願公開第1126884号、同第1136885号および同第1236505号、ならびに英国特許出願公開第1024234号)、
ならびにこれらの混合物から選択され、
特に好ましくはヘキサメチルジシラザン(HMDZ)および/またはオクタメチルシクロテトラシロキサン、あるいはこれらとジビニルテトラメチルジシラザン(VNM)との組み合わせである相溶化剤とを含む。
【0058】
微粒子フィラーは、好ましくはナノメーターサイズであり、上述のように相溶化剤(例えばシラン)で化学的に処理、および/または熱により処理されていることが有利である。
【0059】
フィラー、特にシリカフィラーは、例えば、ヘキサメチルジシラザンまたオクタメチルシクロテトラシロキサンで処理したヒュームドシリカ(比表面積300m^(2)/g)であってもよい。
【0060】
これらのフィラーは無機フィラー(例えば、粉砕合成繊維(ポリマー)または粉砕天然繊維(ポリマー)、炭酸カルシウム、タルク、粘土、酸化チタンなど)であってもよい。最終的に、フィラーはアルカリ金属またはアルキル(好ましくはメチルまたはエチル)ケイ酸塩の加水分解/縮合により形成され、シリコーンオイル中に分散されたコロイダルシリカで構成されていてもよい。
【0061】
本発明によれば、シリカは好ましくはナノメーターサイズの微粒子フィラーであり、具体的にはBET比表面積が50m^(2)/g?400m^(2)/gであり、平均粒径が5nm?500nm、好ましくは5nm?50nm、より好ましくは10nm?20nmである焼成シリカ(ヒュームドシリカシリカ)が好ましい。
【0062】
BET比表面積は、1987年11月の規格NFT 45007に相当する、「The
Journal of the American Chemical Society、Vol.80、309ページ(1938)」記載のBrunauer‐Emmett‐Teller法にしたがって決定される。
【0063】
好ましい代替形態によると、選択されるシリカは、アルカリ金属またはアルキル(好ましくはメチルまたはエチル)ケイ酸塩の加水分解/縮合により調製され、シリコーンオイル、好ましくは官能基を有するシリコーンオイル、より好ましくは≡Si-EU′ユニット(EU′はEUと同じ定義)を有するシリコーンオイル中に非常に微細に分散されたコロイダルシリカであってもよい。
【0064】
用語「シリコーンオイル中に非常に微細に分散された」は、例えば、分散の細かさまたは均一性に関して、Hanse Chemie社の商品Nanocones(商標)と同程度の分散液を意味すると理解される。
【0065】
添加剤(スラリー)の調製に関しては、オイル/フィラー混合物は既知の適切な装置を用いて製造される。例えば、これらの装置は、アームミキサー、インターナルミキサー、プラネタリーミキサー(planetary mixer)、プロシェアミキサー(ploughshare mixer)、共回転二軸ミキサーもしくは逆回転二軸ミキサー、連続混合押出機、またはその他のバッチ式装置もしくは連続式装置であってもよい。詳細は、国際公開第98/58997号、同第02/44259号、および同第02/18506号を参照のこと。
【0066】
とりわけ好ましい実施態様は、粘着性のビニル化シリコーンオイル中に分散され、HMDZおよび/またはVMNでin situで処理された焼成シリカからなるLSRスラリーを用いて得ることができる。LSR「液体シリコーンゴム」は、≡Si-EUユニット(すなわち単数または複数のエチレン性不飽和基および/または単数または複数のアセチレン性不飽和基)を有するポリオルガノシロキサン(この場合は、POS‐E)と、≡Si-Hユニットを有するPOS(この場合は、POS‐E化合物および/またはPOS‐B化合物)との重付加(ヒドロシリル化)反応により、少なくとも1つの金属触媒(好ましくはプラチナをベースとしたもの)と必要に応じて少なくとも1つの阻害剤とを含む触媒の組み合わせの存在下で、加熱すると硬化するシリコーンエラストマー組成物である。これらのLSR組成物は、単一成分タイプのものであっても、二成分タイプのものであってもよい。
【0067】
分散液の水に関しては、相溶化剤と微粒子フィラーと(例えば、シラザンまたはアルコキシシランとシリカ)の相溶化反応に用いられる。残存水は可能な限り少ないことが好ましく、添加剤の調製完了時に残存水が存在しないことがより好ましい。
【0068】
《ポリマーベース(PB)のシリコーン、添加剤(スラリー)のオイルのシリコーン、および架橋剤(R)のシリコーン》
【0069】
[POS‐AおよびPOS‐E]
注目すべき方法においては、PB基剤の1つまたは複数のPOS‐A化合物、および添加剤(スラリー)のシリコーンオイル(II)(実際にはさらにシリコーンオイル(III))の1つまたは複数のPOS‐E化合物は、以下の
・式(1)のシロキシルユニット
R^(1)_(n)SiO_(4-n/2) (1)
・式(2)のシロキシルユニット
Z_(x)R^(1)_(y)SiO_(4-x-y/2) (2)
を含むPOS化合物群から選択される。
上式において、種々の記号は以下の意味を有する。
【0070】
記号R^(1)は、互いに同一または異なっており、それぞれ非加水分解性炭化水素性基を表し、この基は、
1?5個の炭素原子を有し、1?6の塩素原子を含んでいてもよいアルキル基、
3?8個の炭素原子を有し、1?4個の塩素原子を含んでいてもよいシクロアルキル基、
6?8個の炭素原子を有し、1?4個の塩素原子を含んでいてもよいアリール基またはアルキルアリール基、
3?4個の炭素原子を有するシアノアルキル基であってもよく、
これらの基は、必要に応じて置換されており、具体的には、ハロゲン基および/またはアルコキシル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、n‐ペンチル基、t‐ブチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、α‐クロロエチル基、α,β‐ジクロロエチル基、β‐シアノエチル基、γ‐シアノプロピル基、フェニル基、p‐クロロフェニル基、m‐クロロフェニル基、3,5‐ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、テトラクロロフェニル基、o‐トリル基、p‐トリル基、もしくはm‐トリル基、または好ましくは2,3‐ジメチルフェニル基もしくは3,4‐ジメチルフェニル基などのキシリル基で置換されており、メチル基とフェニル基が特に好ましい。
【0071】
記号Zは、C_(2)?C_(6)アルケニル(好ましくはビニル)EU基を表し、
nは、0、1、2または3の整数であり、
xは、0、1、2または3の整数であり、
yは、0、1または2の整数であり、
xとyの合計は1?3の範囲内であり、R^(2)基の少なくとも60%(実際は少なくとも85%)は、好ましくはメチル基を表し、特に好ましいPOS化合物はM^(Vi)(D)_(p)M^(Vi)タイプ、M^(Vi)(D)_(p′)(D^(Vi))_(q′)M^(Vi)タイプ、M(D)_(p″)(D^(Vi))_(q″)Mタイプまたは(D^(Vi))_(q?)Mタイプのランダム(コ)ポリマー(p、p′、p″、q、q′、q″、およびq?は整数に相当し、p、p′およびp″は10?1000であり、q、q′、q″、およびq?は1?50である)であり、これらの(コ)ポリマーは必要に応じて分岐している。
【0072】
(コ)ポリマーが分岐している場合、好ましいPOS(コ)ポリマーは、わずかに分岐していることが有利である。すなわち、これらの(コ)ポリマーは、例えば、平均して1つまたは複数のTユニットおよび/またはQユニットを含む。
【0073】
POSを構成する式(2)のシロキシルユニットの例としては、ビニルジメチルシロキシルユニット、ビニルフェニルメチルシロキシルユニット、ビニルメチルシロキシルユニット、およびビニルシロキシルユニットが挙げられる。
【0074】
POSの式(1)のシロキシルユニットの例には、ジメチルシロキシルユニット、メチルフェニルシロキシルユニット、ジフェニルシロキシルユニット、メチルシロキシルユニット、およびフェニルシロキシルユニットがある。
【0075】
POSの例には、
ジメチルビニルシリル末端を含むジメチルポリシロキサン、
トリメチルシリル末端を含む(メチルビニル)(ジメチル)ポリシロキサンコポリマー、
ジメチルビニルシリル末端を含む(メチルビニル)(ジメチル)ポリシロキサンコポリマー、
または環状メチルビニルポリシロキサン
などの直鎖状化合物および環状化合物がある。
【0076】
POS‐AまたはPOS‐Eは、直鎖状構造、分岐構造、または環状構造を示してもよい。これらの重合度は、好ましくは10?10000である。
【0077】
本発明によれば、上に定義した式(1)のユニットと式(2)のユニットとを含む、(直鎖状および/または環状の)異なったPOS‐A化合物または異なったPOS‐E化合物の混合物の使用を想定することは完全に可能である。
【0078】
シリコーン基剤は、少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(POS)を含み、シリコーン基剤(PB)の1つまたは複数の該POS化合物は、25℃における粘度(η)(mPa.s)が、
50≦η≦100000、
好ましくは100≦η≦100000、
より好ましくは150≦η≦2000
であるポリオルガノシロキサン(POS)から選択されることが有利である。
【0079】
特に、シリコーン基剤(PB)の1つまたは複数のPOS‐A化合物は、好ましくは、25℃における粘度(ηA)(mPa.s)が、
50≦ηA≦100000、
好ましくは100≦ηA≦100000、
より好ましくは150≦ηA≦2000
であるPOSから選択される。
【0080】
添加剤(スラリー)のシリコーンオイルの1つまたは複数のPOS‐E化合物は、25℃における粘度(ηE)(mPa.s)が、好ましい順に、
200≦ηE≦2000000、
1000≦ηE≦500000、
10000≦ηE≦200000、
10000≦ηE≦30000、
15000≦ηE≦30000、
であるオイルから選択されることが有利である。
【0081】
本発明によれば、オイル(II)の粘度ηIIと任意選択のオイル(III)の粘度ηIIIは上に定義したものであることが理解される。
【0082】
POS‐A分子またはPOS‐E分子あたりの≡Si-EUユニット(EUは好ましくはアルケニル、より好ましくはビニル)の数は、好ましくは2以上である。これは、具体的には、POS‐A分子またはPOS‐E分子あたり、0.01?10重量%(好ましくは0.1?2重量%)のEUを表し得る。
【0083】
[POS‐B]
好ましくは、架橋剤(R)の1つまたは複数のPOS‐B化合物は、以下の
・シロキシルユニット
R^(2)_(n)SiO_(4-n/2) (3)
・シロキシルユニット
HR^(2)_(w)SiO_(4-w/2) (4)
を含むPOS化合物群から選択される。
【0084】
上式において、種々の記号は以下の意味を有する。
【0085】
記号R^(2)は、互いに同一または異なっており、上記R^(1)と同じ定義であり、
nは、0、1、2または3の整数であり、
wは、0、1、2または3の整数であり、
R^(2)基の少なくとも60%(実際は少なくとも85%)は、好ましくはメチル基を表し、
M(D^(H))_(u)Mタイプ、M(D)_(v)(D^(H))_(u′)Mタイプ、M^(H)(D)_(w)(D^(H))_(u″)M^(H)タイプ、またはM^(H)(D)_(x)(D^(H))_(u?)Mタイプ(u、v、w、x、u′、u″、u?、v、およびv′は10?60の整数に相当し、u′およびu?は、10?60が特に好ましく、v、w、およびxは10?300が特に好ましい)のPOS化合物が特に好ましい。
【0086】
架橋剤のその他の例としては、具体的には、仏国特許出願公開第2832413号および同第2833963号中の開示を参照することができる。
【0087】
より一般的には、POS‐Bは、好ましくは異なったケイ素原子に結合した水素原子を、1分子につき平均して少なくとも3つ有する直鎖状、環状、またはネットワーク状のホモポリマーおよびコポリマーから選択され、ケイ素原子に結合した有機基はメチル基またはエチル基から選択され、これらの基の少なくとも60モル%(好ましくは、これらの基すべて)はメチル基であることが有利である。
【0088】
POS‐Bを形成するシロキシユニットの例には、H(CH_(3))_(2)SiO_(1/2)、H(CH_(3))SiO_(2/2)、およびH(C_(6)H_(5))SiO_(2/2)がある。
【0089】
POS‐Bの例としては、
・ヒドロジメチルシリル末端を含むジメチルポリシロキサン
・トリメチルシリル末端を含む(ジメチル)(ヒドロメチル)ポリシロキサンユニットを含むコポリマー
・ヒドロジメチルシリル末端を含む(ジメチル)(ヒドロメチル)ポリシロキサンユニットを含むコポリマー
・メチルヒドロメチルオクチルシロキサンコポリマー
・トリメチルシリル末端を含む(ヒドロメチル)ポリシロキサン
・環状(ヒドロメチル)ポリシロキサン
・M^(H)(D)_(u)M^(H)(ヒドロジメチルシリル末端を含むジメチルポリシロキサン)
・M(D)_(v)(D^(H))_(u′)M(トリメチルシリル末端を含むジメチルヒドロメチルポリシロキサンを含むコポリマー)
・M^(H)(D)_(w)(D^(H))_(u″)M^(H)(ヒドロメチルシリル末端を含むジメチルヒドロメチルポリシロキサンユニットを含むコポリマー)
・M(D^(H))_(u)M(トリメチルシリル末端を含むヒドロメチルポリシロキサン)
・D^(H)_(4)(環状ヒドロメチルポリシロキサン)
が挙げられる。
【0090】
ある代替形態によると、添加剤のシリコーンオイル(スラリー)は、好ましくは架橋剤(R)と反応可能であるPOS‐E化合物に加えて、架橋剤(R)のPOS‐Bと同じ定義である化合物POS‐E^(1)化合物を含んでいてもよい。
【0091】
POS‐B分子あたりの≡SiHユニットの数は、好ましくは2以上である。これは、具体的には、POS‐B化合物に対して0.01?5重量%(好ましくは0.05?2重量%)の水素を表し得る。
【0092】
好ましくは、シリコーン基剤(PB)の1つまたは複数のPOS‐B化合物は、25℃における粘度(ηB)(mPa.s)が、
50≦ηB≦100000、
好ましくは100≦ηB≦10000、
より好ましくは150≦ηB≦2000
であるオイルから選択される。
【0093】
本発明の注目すべき特徴によれば、1つまたは複数のPOS‐B化合物の粘度(ηB)は、架橋剤(R)の粘度(ηR)に対応する。
【0094】
架橋剤(R)の1つまたは複数のPOS‐B化合物は、M(D)_(v)(D^(H))_(u′)MタイプのPOS化合物から選択されることが有利であり、
20≦u′≦80、
好ましくは、40≦u′≦60、
20≦v≦50、
好ましくは、30≦v≦40
である。
【0095】
本発明の有利な特徴によれば、架橋剤(R)の1つまたは複数のPOS‐B化合物は、好ましくは、オイルBの100gあたりのSi-Hのモル数が0.30?1、好ましくは0.30?0.95であるPOS化合物から選択される。
【0096】
好ましくは、シリコーン基剤が、≡Si-アルケニル(好ましくは≡Si-ビニル(Vi))ユニットを含む少なくとも1つのシリコーンオイルと重付加により共に反応可能な≡Si-Hユニットを含む少なくとも1つの架橋剤(R)とを含むシリコーン基剤である場合は、≡Si-H/≡Si-アルケニル(Vi)のモル比は、架橋剤(R)を含む添加剤を添加したシリコーン基剤(PB)に対して、
1.0≦≡Si-H/≡Si-アルキル(Vi)≦5、
好ましくは、1.4≦≡Si-H/≡Si-アルキル(Vi)≦4
である。
【0097】
本発明の重付加により架橋可能なシリコーン組成物における、基剤(PB)、POS‐E化合物、および架橋剤(R)は、例えば、米国特許出願公開第3220972号、同第3697473号、および同第4340709号に記載のような、直鎖状POSのみを含んでいてもよい。
【0098】
しかし、上に定義した、式(1)のユニットと式(2)のユニットとを含む、(直鎖状および/または環状の)異なったPOS‐A化合物もしくは異なったPOS‐E化合物の混合物、または式(3)のユニットと式(4)のユニットとを含む、(直鎖状および/または環状の)異なったPOS‐B化合物もしくは異なったPOS‐E^(1)化合物の混合物の使用を想定することも完全に可能である。
【0099】
[重付加金属触媒(D)]
触媒(D)もまた既知である。白金化合物およびロジウム化合物の使用が好ましい。具体的には、米国特許出願公開第3159601号、同第3159602号、および同第3220972号、ならびに欧州特許出願公開第0057459号、同第0188978号、および同第0190530号に記載の白金と有機生成物との複合体、または米国特許出願公開第3419593号、同第3715334号、同第3377432号、および同第3814730号に記載の白金とビニル化オルガノシロキサンとの複合体の使用であってもよい。触媒は、一般に、白金が好ましい。この場合、白金金属の重量として計算される触媒(D)の重量は、ポリオルガノシロキサン(POS‐A、POS‐E、およびPOS‐B)の全重量に対して、一般に2ppm?400ppm、好ましくは5ppm?200ppmである。
【0100】
慎重に選択された≡Si-H POS‐B化合物を含む架橋剤(R)の本発明における使用により、剥離性を有するコーティングを低いレベルの白金で経済的にフレキシブル基材上に作製することが可能となる。本発明によって、例えば、工業用のコーティング条件下(例えば、150℃の熱活性化温度)の場合、80ppm未満、好ましくは60ppm程度、理想的には40ppmの白金のレベルで、コーティングの正確な架橋が保証される。
【0101】
《ポリマー基剤(PB^(*))のシリコーン、および添加剤(スラリー)のオイルのシリコーン》
POS‐C^(*)およびPOS‐E^(*)
注目すべき方法においては、基剤(PB)の1つまたは複数のPOS‐C^(*)化合物、および添加剤(スラリー)のシリコーンオイルの1つまたは複数のPOS‐E^(*)化合物は、エポキシシリコーンおよび/またはビニルエーテルシリコーンからなるPOS化合物群から選択され、これらの化合物は、
以下の、式(3.1)のユニットと式(3.2)のユニットとにより終端となる式(1)のユニットからなる、直鎖状もしくは実質的に直鎖状である化合物、
または、式(3.1)のユニットからなる環状の化合物である。
【化1】

【0102】
上式において、記号R^(3)は、互いに同一または異なっており、上記R^(1)と同じ定義であり、R^(3)基の少なくとも60%(実際は少なくとも85%)は、好ましくはメチル基を表し、
記号Yは、互いに同一または異なっており、
R^(3)基、
または、二価の基を介してケイ素と結合したエポキシド残基またはビニルエーテル残基(2?20の炭素原子を含むことが有利である)であって、必要に応じてヘテロ原子を含むCFG基のいずれかを表し、
少なくとも1つの記号YはCFG基に相当する。
【0103】
エポキシタイプのCFG有機官能基の例としては、以下の式のものが挙げられる。
【化2】

ビニルエーテルタイプのCFG有機官能基に関しては、例えば、以下の式で表わされる。
【化3】

R^(40)は、
必要に応じて置換されている、直鎖状または分岐C_(1)?C_(12)アルキレン、
または、必要に応じて(好ましくは1?3個のC_(1)?C_(6)アルキル基で)置換されているアリーレン、好ましくはフェニレンであり、
R^(50)は、直鎖状または分岐C_(1)?C_(6)アルキルである。
【0104】
好ましいエポキシ官能性またはビニルオキシ官能性のポリオルガノシロキサンPOS‐C^(*)およびPOS‐E^(*)については、具体的には、独国特許出願公開第4009889号、欧州特許出願公開第0396130号、同第0355381号、同第0105341号、仏国特許出願公開第2110115号、および同第2526800号に記載されている。
【0105】
エポキシ官能性ポリオルガノシロキサンは、Si-Hユニットを含むオイルと4‐ビニルシクロヘキセンオキシドおよびアリルグリシジルエーテルなどのエポキシ官能性化合物との間ヒドロシリル化反応によって調製することができる。
【0106】
ビニルオキシ官能性ポリオルガノシロキサンは、Si-Hユニットを含むオイルとアリルビニルエーテルおよびアリルビニルオキシエトキシベンゼンなどのビニルオキシ官能性化合物との間のヒドロシリル化反応によって調製することができる。
【0107】
より好ましくは、POS‐C^(*)化合物およびPOS‐E^(*)化合物は、以下の式(5)および式(6)のエポキシシリコーンである。
【化4】

Xは、CH_(3)、フェニル、シクロアルキル、C_(1)?C_(8)アルキル、アルケニル、-OH、H、CH_(2)-CH_(2)-CH_(2)-OH、CH_(2)-CH_(2)-CF_(3)、または-(CH_(2))_(n)-CF_(3)(n=1?20)であり、
【化5】

式(5)および式(6)において、a_(1)、a_(2)、およびb_(1)、b_(2)は以下のように定義される。
【0108】
1≦a_(1)、a_(2) 1≦b_(1)、b_(2)
好ましくは、1≦a_(1)、a_(2)≦5000 1≦b_(1)、b_(2)≦500、
より好ましくは、1≦a_(1)、a_(2)≦1000 1≦b_(1)、b_(2)≦100であり、
式(6)においてa_(2)、b_(2)が0のとき、エポキシ化ジシロキサン(7)となる。
【0109】
添加剤(スラリー)のシリコーンオイルの1つまたは複数のPOS‐E^(*)化合物は、25℃における粘度(ηE^(*))(mPa.s)が、好ましい順に、
200≦ηE^(*)≦2000000、
1000≦ηE^(*)≦500000、
10000≦ηE^(*)≦200000、
10000≦ηE^(*)≦30000、
15000≦ηE^(*)≦30000、
であるオイルから選択されることが有利である。
【0110】
本発明によれば、オイル(II)の粘度ηIIと任意選択のオイル(III)の粘度ηIIIは、上に定義したものであることが理解される。
【0111】
《カチオン経路またはラジカル経路による架橋のための開始系(D^(*))》
好ましくは、カチオン開始系は、熱開始剤および/または光開始剤として、周期表15?17族の元素のオニウム塩(Chem.&Eng.News、Vol.63、No.5、26、1985年2月)、または、例えば仏国特許出願第9616237号に記載の特定のファミリーの光開始剤に属する周期表4?10族の元素の有機金属錯体(同一文献)から選択される生成物を含む。このような光開始剤により、ワニスの迅速かつ完全な光架橋が可能となる。
【0112】
本発明の好ましい特徴によれば、開始剤(C)は、例えば、その全体が参照により本出願に組み込まれている、欧州特許出願第0562922号に記載のオニウムホウ酸塩である。より具体的には、実際には以下の式の開始剤を使用してもよい。
【化6】

実際には、本発明の有用な開始剤は、固体(粉末)形状に調製されたオニウムホウ酸塩または有機金属錯体、好ましくはオニウムホウ酸塩を、溶媒に溶解するといった非常に単純な方法により調製される。
【0113】
オニウムホウ酸塩に関する別の方法によれば、後者はカチオン(ヨードニウム)の塩(例えば塩化物)、およびホウ酸塩アニオンの塩(例えばカリウム)から、溶媒中において直接調製することができる。
【0114】
好ましくは、本発明の使用によれば、開始剤(D^(*))は、有機溶媒、好ましくはプロトン供与溶媒から選択される有機溶媒、より好ましくは、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール、乳酸ブチル、エーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒中に溶解して使用することも予定される。仏国特許第272466号に請求されているように、芳香族性のプロトン供与有機溶媒(ベンジルアルコール)は架橋促進剤として作用する。したがって、光開始剤を溶解するためにこれらの有機溶媒を使用することが有利である。
【0115】
用語「D^(*)の有効触媒量」は、本発明の意義の範囲内で、架橋を開始するのに十分な量を意味すると理解されるべきである。
【0116】
実際には、上述の通り、光開始剤を、得られる溶媒中での光開始剤の量が1?50重量%、好ましくは10?30重量%、より好ましくは15?25重量%となる量で極性溶媒に溶解することが有利である。
【0117】
本発明による使用の有利な形態によれば、所与のモル量のCFGを含むPOS‐C^(*)化合物とPOS‐E^(*)化合物とを含む組成物において、D^(*)は、該組成物の最終混合物に対して、溶液の0.1?10重量%、好ましくは0.5?5重量%、より好ましくは1重量%程度の割合で溶液中に取り込まれる。
【0118】
本発明の別の形態によれば、開始系D^(*)に加えて、好ましくはアルカリ生成物、より好ましくはアミノタイプのアルカリ生成物から選択される架橋阻害剤、例えば、少なくとも1つのアミン基、好ましくは三級アミン基がグラフトされたシリコーンを使用してもよい。
【0119】
D^(*)と併用可能な他の任意選択の添加剤に関しては、以下の式のエポキシド化合物、ビニルエーテル化合物、およびオキセタン化合物などの反応性希釈剤が挙げられる。
【化7】

【化8】

必要に応じて、無機顔料または有機顔料をD^(*)に加えてもよい。顔料の例としては、カーボンブラック、酸化チタン、フタロシアニン、ベンズイミダゾロン、ナフトール(BONA顔料レーキ)、ジアゾピラゾロン、またはジアリーリドイエロー顔料もしくはモノアリーリドイエロー顔料が挙げられる。
【0120】
必要に応じて、系を補うための光増感剤が想定される。光増感剤は、必要に応じて金属を含む(多環)芳香族生成物、およびヘテロ環生成物から、好ましくは以下に挙げる生成物、すなわち、フェノチアジン、テトラセン、ペリレン、アントラセン、9,10‐ジフェニルアントラセン、チオキサントン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、キサントン、フルオレノン、アントラキノン、9,10‐ジメチルアントラセン、2‐エチル‐9,10‐ジメチルオキシアントラセン、2,6‐ジメチルナフタレン、2,5‐ジフェニル‐1,3,4‐オキサジアゾール、キサントピナコール、1,2‐ベンズアントラセン、9‐ニトロアントラセン、およびこれらの混合物から選択することができる。
【0121】
より具体的には、光増感剤は、チオキサントンをベースとした以下の生成物であってもよい。
【化9】

調製の容易性、低コスト、潤滑特性の観点から、本発明のシリコーンワニスは多くの応用分野、特に、織布基材または不織布基材のコーティング分野に販路を有することができる。
【0122】
《ポリマー基剤の粘度、添加剤(スラリー)の粘度、および架橋剤(R)の粘度》
粘度は、本発明の組成物において重要なパラメーターである。したがって、本発明のその他の有利な特徴によれば、
ポリマー基剤は、25℃における粘度(ηPB)(mPa.s)が、
50≦ηPB≦100000、
好ましくは、100≦ηPB≦5000、
より好ましくは、100≦ηPB≦100
であり、
および/または添加剤(スラリー)は、25℃における粘度(ηADD)(mPa.s)が、
1000≦ηADD≦1000000、
好ましくは、20000≦ηADD≦500000、
より好ましくは、20000≦ηADD≦100000
である。
【0123】
《その他の成分》
好ましくは、本発明の組成物は、さらに以下の成分の少なくとも1つを含む。
【0124】
F.好ましくはエポキシ化シランもしくはアクリルシランおよび/またはシリコーンから選択される、少なくとも1つの付着性成分
G.好ましくはMQ樹脂、MQOH樹脂、MDViQ樹脂、MMVi樹脂もしくはMMViQ樹脂またはこれらの混合物から選択される少なくとも1つのシリコーン樹脂を含む、少なくとも1つの粘着調整系
H.少なくとも1つのミスティング防止成分
I.少なくとも1つのヒドロキシル化シリコーンゴムまたは非ヒドロキシル化シリコーンゴム
J.少なくとも1つのビニル化シリコーンゴムまたは非ビニル化シリコーンゴム
K.好ましくはアセチレンアルコールおよび/またはマレイン酸ジアリルならびにこれらの誘導体から選択される、少なくとも1つのヒドロシリル化阻害剤
L.殺菌剤、および/またはゲル化防止剤もしくは湿潤剤、消泡剤、あるいはフィラー、および/または合成ラテックス、および/または染料、および/または酸性化剤から選択される少なくとも1つのその他の成分
[付着性成分(F)]
このような添加剤の例としては、例えばエポキシ官能基もしくはアクリル性官能基を含むシリコーンなどの有機化合物またはシリコーン化合物が挙げられる。
【0125】
目安として、使用可能な量は、本発明の組成物(処方浴液であることが有利である)の0.5?5重量%である。
【0126】
[粘着調整系(G)]
粘着調整系(G)は、既知の系から選択することが有利であることがある。これらの既知の系は、仏国特許第2450642号、米国特許第3772247号、または欧州特許出願公開第0601938号に記載のものであってもよい。
【0127】
例として、
96重量部?85重量部の少なくとも1つのMD^(Vi)Qタイプ、MM^(Vi)Qタイプ、MD^(Vi)Tタイプ、MM^(ヘキシニル)QタイプまたはMM^(アリルオキシプロピル)Qタイプの反応性ポリオルガノシロキサン樹脂と、
4重量部?15重量部の少なくとも1つのMD′Qタイプ、MDD′Qタイプ、MDT′タイプ、MQタイプまたはMDQタイプの非反応性樹脂と
をベースとした調整系が挙げられる。
【0128】
目安として、使用可能なGの量は、本発明の組成物(処方浴液であることが有利である)の1?70重量%である。
【0129】
[ミスティング防止成分(H)]
このような成分の例としては、分岐構造であってもよい有機化合物またはシリコーン化合物、あるいはシリカタイプもしくはその他のタイプのフィラーを用いた処方が挙げられる。
【0130】
目安として、使用可能なHの量は、本発明の組成物(処方浴液であることが有利である)の1?20重量%である。
【0131】
ヒドロキシル化シリコーンゴムまたは非ヒドロキシル化シリコーンゴム(I)
このようなゴムの例としては、ヒドロキシル化官能基を含む有機ゴムまたはシリコーンゴムが挙げられる。これらの官能基は鎖中に存在していてもよく、鎖末端に存在していてもよく、鎖中と鎖末端の両方に存在していてもよい。
【0132】
目安として、使用可能なIの量は、本発明の組成物(処方浴液であることが有利である)の5?70重量%である。
【0133】
ビニル化シリコーンゴムまたは非ビニル化シリコーンゴム(J)
このようなゴムの例としては、鎖中もしくは鎖末端、または鎖中と鎖末端の両方にビニル基を含むビニル化シリコーンゴムが挙げられる。
【0134】
目安として、使用可能なJの量は、好ましくは、処方浴液の5?70重量%である。
【0135】
[ヒドロシリル化阻害剤(K)]
(付加反応の遅延剤であり、触媒浴液の寿命の安定化剤である)架橋阻害剤(K)は、一例として、以下の化合物、すなわち、
・少なくとも1つのアルケニルで置換されたポリオルガノシロキサン(環状ポリオルガノシロキサンが有利である)、特に好ましくはテトラメチルビニルテトラシロキサン
・ピリジン
・有機ホスフィンおよび有機ホスファイト
・不飽和アミド
・マレイン酸アルキルまたはマレイン酸アリル
・および、アセチレンアルコール
から選択することができる。
【0136】
ヒドロシリル化反応のための好ましい熱阻害剤であるこれらのアセチレンアルコール(仏国特許第1528464号および仏国特許出願公開第2372874号を参照)は、以下の式である。
【0137】
R^(100)-(R^(200))C(OH)-C≡CH
上式において、
R^(100)は、直鎖状アルキル基もしくは分岐アルキル基、またはフェニル基であり、
R^(200)は、Hまたは直鎖状アルキル基もしくは分岐アルキル基、あるいはフェニル基であり、
R^(100)基、R^(200)基、および炭素原子は、三重結合に対するα位において置換されて必要に応じて環を形成することが可能であり、R^(100)とR^(200)とに存在する全炭素原子の数は、少なくとも5、好ましくは9?20である。
【0138】
前述のアルコールは、好ましくは250℃より高い沸点を示すものから選択される。例としては、
1‐エチニル‐1‐シクロヘキサノール
3‐メチル‐1‐ドデシン‐3‐オール
3,7,11‐トリメチル‐1‐ドデシン‐3‐オール
1,1‐ジフェニル‐2‐プロピン‐1‐オール
3‐エチル‐6‐エチル‐1‐ノニン‐3‐オール
3‐メチル‐1‐ペンタデシン‐3‐オール
が挙げられる。
【0139】
これらα‐アセチレンアルコールは、市販製品である。
【0140】
[その他の成分(L)]
ヒドロシリル化反応の促進剤のうち、このような添加剤の例としては、例えば、有機もしくは無機の酸または塩基が挙げられる。
【0141】
目安として、使用可能なLの量は、本発明の組成物(処方浴液であることが有利である)の0.001?5重量%である。
【0142】
《組成物の物理化学的形態》
本発明の液体コーティング組成物は、溶媒を含んでいても、含まなくてもよく(好ましくは、溶剤を含まない)、水性エマルションであってもよい。
【0143】
組成物は、水性エマルション/分散液の形態である場合、少なくとも1つの界面活性剤と、必要に応じて少なくとも1つのpHを調整するための物質とを含む。
【0144】
pH調整および維持する物質は、好ましくは、HCO_(3)^(-)/CO_(3)^(2-)および/またはH_(2)PO_(4)^(-)/HPO_(4)^(2-)を含む緩衝系である。したがって、所望の緩衝効果を得るためには、本発明に従って、例えばNaHCO_(3)、および/またはNa_(2)CO_(3)、および/または、NaH_(2)PO_(4)、および/またはNa_(2)HPO_(4)などの、HCO_(3)^(-)塩および/またはH_(2)PO_(4)^(-)塩を取り込むことが望ましいことになる。異なる対カチオン(例えばK)を有する他のいかなる塩も適していることは明らかである。特に好ましくは、実際にはエマルションに取り込まれたNaHCO_(3)からなる緩衝系が使用される。
【0145】
本発明のエマルション中に乳化剤として存在する1つまたは複数の界面活性剤は、非イオン性またはイオン性である。
【0146】
有利な構成によれば、エマルション中の水の割合は50重量%以上であり、好ましくは55重量%以上であり、例えば、実際は、55?60重量%程度、または85?90重量%程度である。
【0147】
《コーティング組成物の架橋》
[重付加]
本発明によれば、コーティングの架橋のために、重付加シリコーン組成物でコートされた基材は、110℃以上、好ましくは110℃?250℃、より好ましくは130℃?170℃の温度に、60秒未満、好ましくは10秒未満放置される。
【0148】
[カチオン経路および/またはラジカル経路]
PB^(*)とE^(*)とを含むコーティング組成物は、カチオン経路および/またはラジカル経路によって、電子ビームへの暴露、および/またはUVタイプの化学線照射、および/または熱活性化により、容易にかつ工業的に架橋することができる。
【0149】
《本発明のその他の態様》
[組成物および組成物の使用]
本発明のある態様では、本組成物の架橋により得られる繊維状フレキシブル基材または非繊維状フレキシブル基材上にコートされた剥離性および撥水性を有するシリコーンコーティングの、コーティング装置から出た時点での付着性、機械的強度および反応性をともに増大させるための、上に定義した組成物を保護を求める対象としている。
【0150】
[コーティング浴液の調製方法]
本発明の別の態様では、上に定義した組成物をベースとした高速コーティング装置用のコーティング浴液の調製方法を保護を求める対象としており、この方法は、基本的には上に定義した成分を混合することから成ることを特徴とする。
【0151】
[基材]
本発明の別の態様では、上に定義した組成物から得られるコーティングでコートした基材を保護を求める対象としていおり、この基材は、紙製もしくは板製などのフレキシブル基材、フレキシブル織布基材もしくはフレキシブル不織布基材、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンおよび/またはポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET))および/またはポリ塩化ビニルから成るフレキシブル基材、および/または感熱印刷可能なフレキシブル基材から選択されることを特徴とする。
【0152】
基材の例としては、様々な種類の紙(スーパーカレンダ紙、コート紙、グラシン紙)、板、セルロースシート、金属シート、またはプラスチック膜(ポリエステル膜、ポリエチレン膜、またはポリプロピレン膜など)が挙げられる。
【0153】
[液体コーティング組成物(浴液)におけるシリコーン添加剤(スラリー/分散液)の使用]
本発明の別の態様では、シリコーンオイル、好ましくは反応性シリコーンオイル中に、好ましくはナノメーターサイズの微粒子フィラーを、5?80重量%、特に10?50重量%、好ましくは10?45重量%含むシリコーン添加剤(スラリー/分散液)を、高速コーティング用の液体シリコーン組成物の架橋により得られる繊維状フレキシブル基材または非繊維状フレキシブル基材上にコートされた剥離性および撥水性を有するシリコーンコーティングの、コーティング装置から出た時点での付着性、機械的強度および反応性をともに増大させるために使用することを保護の対象としている。
【0154】
この使用により、反応性を損なうことなくこすり落ちを改善するために、液体コーティング組成物(浴液)を変更することが可能となる。この高速コーティング用の液体シリコーン組成物は、上に定義した本発明のものであることが有利である。
【0155】
[液体コーティング組成物(浴液)の調製]
本発明の別の態様によれば、本発明は、特に剥離性および撥水性を有するコーティングを製造するためのコーティング基剤に使用することができる液体シリコーン組成物を調製するための方法に関し、この組成物は、例えば上に定義したもの、および以下の請求の範囲で定義するものである。この方法によれば、上に定義した組成物が混合される。
【0156】
好ましくは、
a.ポリマー基剤(PB)を形成する、少なくとも≡Si-EU(例えばVi)ユニット(好ましくは直鎖状)を含むPOS‐Aオイル、および/または≡Si-CFGユニットを含む1つまたは複数のPOS‐E^(*)オイルが、機械的攪拌により、好ましくは高せん断で、添加剤(スラリー)と混合され、
b.重付加経路において、M(D)_(v)(D^(H))_(u′)Mタイプの≡Si-Hユニットを含む少なくとも1つのPOS‐Bオイルからなる架橋剤(R)、および/または架橋剤(R)に存在する各々がM(D)_(v)(D^(H))_(u′)Mユニットの一部を有する(好ましくは直鎖状の)POS分子は、続いてPB/スラリー混合物中に取り込まれ、
c.酵素(D)または開始剤(D^(*))もまた、任意選択のその他の成分(F)?(L)とともに、シリコーン相に取り込まれる。
【0157】
溶媒を含む組成物/溶媒を含まない組成物であってもエマルションであっても、混合手段および混合方法は当業者に周知である。
【0158】
[フレキシブル基材上に剥離性および/または撥水性を有する架橋シリコーンコーティングを製造する方法]
本発明はまた、フレキシブル基材上に剥離性および/または撥水性を有する架橋シリコーンコーティングを製造する方法も保護を求める対象とし、基本的には上に定義した本発明の液体シリコーンコーティング組成物を高速コーティング装置において使用する。
【0159】
紙のコーティングのための工業用装置で用いられる機器は5ロール式のコーティングヘッドとエアナイフまたはイコライザバーシステムとを含み、液体組成物をフレキシブル基材またはフレキシブル材料上に被覆することができる。架橋による硬化は、例えば70℃?200℃に加熱された(あるいは電子ビームおよび/またはUVタイプの化学線を産生するシステムを備えた)トンネルオーブン中を移動させることにより行い、これらのオーブン中を通過する時間は、温度、および/またはビームもしくは化学線の強度に依存する。重付加経路用の単純な熱活性化のためには、オーブン中を通過する時間は、一般に、100℃程度の温度において5秒?15秒程度であり、180℃程度の温度において1.5秒?3秒程度である。
【0160】
被覆される組成物の量は、処理される表面1m^(2)あたり0.5g?2gであり、これは0.5μm?2μm程度の層の被覆に相当する。
【0161】
こうしてコートされた材料または基材は、続いて、ゴム特性、アクリル特性またはその他の特性を有する任意の感圧粘着材料と接触させてもよい。その結果、粘着材料は上述の基材または材料から容易に分離可能である。
【0162】
剥離性および撥水性を有する架橋シリコーンコーティングの、コーティング装置から出た時点での付着性、機械的強度および反応性をともに増大させるための方法
上に定義したこの方法は、特に本発明の組成物および基材を対象とする。
【0163】
以下の実施例は、本発明を限定するものではなく、より一層本発明を理解しやすくするためのものである。
《第1実施例》
1.使用したシリコーンの構造および触媒の説明
POS‐Aは、Bluestar Silicones社から販売されている鎖末端でビニル化されているシリコーンオイル(M^(Vi)(D)_(p)M^(Vi))、すなわち、100gあたり0.033モルのViでビニル化され、25℃における粘度が180mPa.sであるポリジメチルシロキサンオイルである。このオイルは0.15%のエチニルシクロヘキサノール阻害剤を含む。
【0164】
架橋剤POS‐Bは、Bluestar Silicones社から販売されている鎖中が水素化されたシリコーンオイル(M(D)_(v)(D^(H))_(u′)M)、すなわち、ポリ(ヒドロメチル)シロキサンオイルPOS‐B(v=35、u′=50、粘度70mPa.s)である。
【0165】
触媒(D)は、Bluestar Silicones社から販売されている、2000ppmのPtを含むKarstedt Ptである。
【0166】
鎖中がビニル化されたコントロール粘着性シリコーンオイル、すなわち、オイルT1およびオイルT2は、100gあたり0.033モルのViでビニル化され、25℃における粘度が20000mPa.s(T1)および4000mPa.s(T2)であるポリジメチルシロキサンであり、Bluestar Silicones社から販売されている。
【0167】
LSR添加剤は、欧州特許出願公開第0305032号および同第0462032号に記載のように調製され、より好ましくは、以下に示すように調製される。
【0168】
LSRをベースとしたタイプの添加剤の入手方法は、いくつかの材料、すなわち、
・ビニル化ポリジメチルシロキサン(II)、つまりVi(Me)_(2)SiO_(1/2)鎖末端を含み、25℃における粘度が20000mPa.sであるPOS‐E(Viはビニルを表し、Meはメチルを表す)
・精製水
・ヘキサメチルジシラザン
・必要に応じて、ビニルジメチルシラザン
・比表面積が50g/m^(2)?400g/m^(2)の沈降シリカまたはフュームドシリカ
を使用する多段式の方法である。
【0169】
本方法の種々の操作は以下に記載する方法である。
・ミキサーを窒素でおよそ15分間、パージおよび不活性化する。
・濃度を1?10重量%とするための精製水を、およそ20分間かけてミキサーに導入する。
・第一回目のビニル化オイル(II)の導入を行う。この第一回目のビニル化オイルの添加は、ビニル化オイル(II)の全添加量の40%?80%の割合に相当し、ビニル化オイル(II)自体の添加剤中での濃度は、およそ60%?70%に相当する。
・ヘキサメチルジシラザンおよび/またはビニルジメチルシラザンを、およそ20分間かけて添加する。このシラザン添加の添加剤中での濃度は、およそ5?10重量%に相当する。
・反応混合物をおよそ20分間攪拌する。
・続いて、およそ60分?120分間かけて攪拌しながらミキサーにシリカを導入する。シリカの添加剤中での濃度は、25?30重量%である。
・反応混合物をおよそ60分?180分間攪拌する。
・続いて、混合物の加熱段階を開始する。混合物を140℃?160℃の温度まで、およそ60分?180分間加熱する。
・第二回目のビニル化オイル(II)の導入を行う。
この第二回目のビニル化オイルの添加は、ビニル化オイル(II)の全添加量の5%?15%の割合に相当する。
・反応混合物をおよそ60分?180分間攪拌および加熱する。
・第三回目のビニル化オイル(II)の導入を行う。この第三回目のビニル化オイルの添加は、ビニル化オイル(II)の全添加量の10%?30%の割合に相当する。
・続いて、反応混合物を攪拌しながらおよそ50℃の温度まで冷却する。
・場合によっては、シリコーン樹脂またはシリコーンゴムなどの添加剤をこの温度において、0.1?5重量%の濃度で導入することができる。
・この添加剤を更に調整してもよい。
添加剤Nanocone VN 10000は、Hanse Chemie社から販売されている。
【0170】
2.浴液の処方
フィラーを含まないコントロール(コントロール試験)
フィラーを含まないが粘着性のオイルT1およびオイルT2を含むコントロール(試験2および試験3)
LSR添加剤(スラリー)を用いた試験(処方A、処方D、処方F、処方G)
【表1】

【表2】

【0171】
3.浴液の混合の順番および調製条件
段階1.ナノフィラーを最適に分散するために、ナノフィラーをビニル化ポリマーに高せん断(UltraTurraxタイプ)の機械的攪拌により、または高せん断でない機械的攪拌により導入することによって、ビニル化ベースポリマーと添加剤とを混合する。
段階2.機械的に攪拌をしながら前述の混合物に架橋剤(B)を導入する。
段階3.機械的に攪拌をしながら前述の混合物に触媒を導入する。
【0172】
4.コーティング条件および架橋条件、使用基材の性質/適用性
すべてのコーティングは、以下の条件(温度および巻き上げ速度など)の下、Rotomecパイロットコーティングプラント上で実行した。
コートされる基材のタイプ:Raflatac社製のグラシン紙(型番 H65、坪量62)
基材巻き上げ機の速度:100m/分
オーブンの温度:155℃
基材の温度:135℃
滞留時間:3.6秒
基材上へのシリコーンの被覆は、0.1g/m^(2)?5g/m^(2)の範囲にわたって変化してもよい。
【0173】
5.結果/特性
コーティング装置から出た時点でのシリコーン処理済み紙のコーティングの粘着性と耐摩耗性とを以下に記載するこすり落ち試験に従ってモニターし、該紙上に被覆されたシリコーンの厚さと抽出物(未架橋のシリコーン分)の含有量とを測定する(これにより系の反応性を特徴づけることが可能となる)。
【0174】
さらに、シリコーン処理済み紙を、温度と湿度が調節されたオーブンで、50℃、70%の相対湿度(RH)に放置するとからなる劣化試験も行う。
【0175】
抽出物のレベルは、コーティングをメチルイソブチルケトン(MIBK)に浸し、その後、原子吸光分析法でPerkin-Elmer 3100により定量的に測定することからなる試験によって(インラインではコーティング装置の出口において、オフラインでは架橋後4日後に)測定する(シリコーンは溶剤に移動している)。
【0176】
コーティングからのシリコーン抽出物のレベルは、検量によって利用可能となる。
【0177】
基材に対する粘着性とシリコーン層の耐摩耗性とを確認するためのこすり落ち測定は、層に機械的ストレスを与えるためにシリコーン処理済み基材上を人差し指でこすることからなる。シリコーンコーティングを断片に引き裂くことに相当するこすり落ち現象(スクラビング)が起こるまでに指を前後運動した回数を記録する。等級10はシリコーン層の優れた安定性を裏付ける。
【0178】
等級10+は、指のこすりが困難な非常に「硬い」コーティングを表すことになる。
【0179】
実施した種々の試験による以下のような結果について、表3および表4に要約する。
・シリコーンの被覆、すなわち紙の表面積あたりの被覆シリコーン量。
・MIBKにより抽出されるシリコーン分、すなわち未架橋シリコーンのレベル。抽出溶媒におけるシリコーンの量は原子吸光で測定される。
・直後または湿潤オーブン内で長期保存後のシリコーン処理済みライナーのこすり落ち耐性。ナノフィラーの取り込みにより、該処方の反応性が有意に減少することなくシリコーン処理済み紙の強度の改善が観察される。フィラーを含まないコントロール浴液またはLSR添加剤による同量のビニル化シリコーンオイルを添加したコントロール浴液に対して、こすり落ちに対する耐性が顕著に改善されることが分かる。
・付着および抽出物の評価
こすり落ち試験における性能および評価した処方のオーブン出口における抽出物のレベルを、以下の表3および表4にまとめた。ここでは、抽出物(広範囲の重合の兆候である)が低レベルであること、およびこすり落ち試験における耐性が良好であることを見出すことが目標であることを忘れてはならない。
【表3】

【表4】

【0180】
《第2実施例》
1.使用したシリコーンの構造および触媒の説明
POS‐Aは、鎖末端でビニル化されているシリコーンオイル(M^(Vi)(D)_(p)M^(Vi))、すなわち、100gあたり0.033モルのViでビニル化され、25℃における粘度が180mPa.sであるポリジメチルシロキサンオイルである。このオイルは0.15%のエチニルシクロヘキサノール阻害剤を含む。
【0181】
架橋剤POS‐B1は、鎖中が水素化されたシリコーンオイル(M(D)_(v)(D^(H))_(u′)M)、すなわち、ポリ(ヒドロメチル)シロキサンオイル(v=35、u′=50、粘度70mPa.s)である。
【0182】
架橋剤POS‐B2は、鎖中が水素化されたシリコーンオイル(M(D)_(v)(D^(H))_(u′)M)、すなわち、ポリ(ヒドロメチル)シロキサンオイル(v=35、u′=50、粘度≦100mPa.s)である。
【0183】
触媒Dは、2000ppmのPtを含むKarstedt Ptである。
【0184】
粘着性のシリコーンオイルであるT1およびT2は、100gあたり0.033モルのViでビニル化され、25℃における粘度が20000mPa.s(T1)および4000mPa.s(T2)ポリジメチルシロキサンである。
【0185】
LSR30ベース添加剤(相溶化剤で処理したシリカのスラリーおよびシリコーンオイル)は、Bluestar Silicones France SAS社から販売されるものであり、以下に示すように調製される。
【0186】
LSRをベースとしたタイプの添加剤の入手方法は、いくつかの材料、すなわち、
・ビニル化ポリジメチルシロキサン(II)、つまりVi(Me)_(2)SiO_(1/2)鎖末端を含み、25℃における粘度が20000mPa.sであるPOS‐E(Viはビニルを表し、Meはメチルを表す)
・精製水
・ヘキサメチルジシラザン
・必要に応じて、ビニルジメチルシラザン
・比表面積が50g/m^(2)?400g/m^(2)の沈降シリカまたはフュームドシリカ
を使用する多段式の方法である。
【0187】
本方法の種々の操作は以下のように行なわれる。
・ミキサーを窒素でおよそ15分間、パージおよび不活性化する。
・濃度を1?10重量%とするための精製水を、およそ20分間かけてミキサーに導入する。
・第一回目のビニル化オイル(II)の導入を行う。
この第一回目のビニル化オイルの添加は、ビニル化オイル(II)の全添加量の40%?80%の割合に相当し、ビニル化オイル(II)自体の添加剤中での濃度は、およそ60%?70%に相当する。
・ヘキサメチルジシラザンおよび/またはビニルジメチルシラザンを、およそ20分間かけて添加する。このシラザン添加の添加剤中での濃度は、およそ5?10重量%に相当する。
・反応混合物をおよそ20分間攪拌する。
・続いて、およそ60分?120分間かけて攪拌しながらミキサーにシリカを導入する。添加剤中でのシリカ濃度は、25?30重量%である。
・反応混合物をおよそ60分?180分間攪拌する。
・続いて、混合物の加熱段階を開始する。混合物は140℃?160℃の温度まで、およそ60分?180分間加熱する。
・第二回目のビニル化オイル(II)の導入を行う。
この第二回目のビニル化オイルの添加は、ビニル化オイル(II)の全添加量の5%?15%の割合に相当する。
・反応混合物をおよそ60分?180分間攪拌および加熱する。
・第三回目のビニル化オイル(II)の導入を行う。この第三回目のビニル化オイルの添加は、ビニル化オイル(II)の全添加量の10%?30%の割合に相当する。
・続いて、反応混合物を攪拌しながらおよそ50℃の温度まで冷却する。
・場合によっては、シリコーン樹脂またはシリコーンゴムなどの添加剤をこの温度において、0.1?5重量%の濃度で導入することができる。
・この添加剤を更に調整してもよい。
添加剤Nanocone VN 10000は、Hanse Chemie社から販売されている。
【0188】
2.浴液の処方
コントロール:フィラーを含まないコントロール、または粘着性のビニル化シリコーンオイルを含まないコントロール
比較例CE1、CE2:フィラーを含まないが粘着性オイルT1、T2を含む
実施例1および実施例2:LSR30添加剤を含む
【表5】

【0189】
実施例1a:実施例1のA‐B1‐D‐LSR 30と同じ処方
比較例CE3:フィラーを含まないがNanocone VN 10000添加剤を含む
【表6】

【0190】
3.実施例1、実施例1a、実施例2の浴液の混合の順番および調製条件
段階1.ナノフィラーを最適に分散するために、ナノフィラーをビニル化ポリマー(POS‐A)に高せん断(UltraTurraxタイプ)の機械的攪拌により、または高せん断でない機械的攪拌により導入することによって、ビニル化ベースポリマー(POS‐A)と添加剤(LSR30)とを混合する。
段階2.機械的に攪拌をしながら前述の混合物に架橋剤(POS‐B)(B1またはB2)を導入する。
段階3.機械的に攪拌をしながら前述の混合物に触媒(D)を導入する。
【0191】
4.コーティング条件および架橋条件、使用基材の性質/適用性
すべてのコーティングは、Rotomecパイロットコーティングプラントにおいて、以下のような条件(温度および巻き上げ速度)で実行した。
【0192】
コートされる基材のタイプ:Raflatac社製のグラシン紙(型番 H65、坪量62)
基材巻き上げ機の速度:100m/分
オーブンの温度:155℃
基材の温度:135℃
滞留時間:3.6秒
基材上へのシリコーンの被覆は、0.1g/m^(2)?5g/m^(2)の範囲にわたって変化してもよい。
【0193】
5.試験
コーティング装置から出た時点でのシリコーン処理済み紙のコーティングの粘着性と耐摩耗性を以下に記載するこすり落ち試験に従ってモニターし、該紙上に被覆されたシリコーンの厚さと抽出物(未架橋のシリコーン分)の含有量とを測定する(これにより系の反応性を特徴づけることが可能となる)。
【0194】
さらに、シリコーン処理済み紙を、温度と湿度が調節されたオーブンで、50℃、70%の相対湿度(RH)に放置することからなる劣化試験も行う。
【0195】
抽出物のレベルは、コーティングをメチルイソブチルケトン(MIBK)に浸し、その後、原子吸光分析法でPerkin-Elmer 3100により定量的に測定することからなる試験によって(インラインではコーティング装置の出口において、オフラインでは架橋後4日後に)測定する(シリコーンは溶剤に移動している)。
コーティングからのシリコーン抽出物のレベルは、検量によって利用可能である。
【0196】
基材に対する粘着性とシリコーン層の耐摩耗性とを確認するためのこすり落ち測定とは、層に機械的ストレスを与えるためにシリコーン処理済み基材上を人差し指でこすることによる測定である。こすり落ち現象(劣化現象:シリコーンコーティングが断片に引き裂かれること)が起こるまでに指で前後にこすった回数を記録する。等級10は、シリコーン層が優れた安定性を有することを裏付けるものである。
等級10+は、指でこすり落とすことが困難な、非常に「硬い」コーティングを表す。
【0197】
6.結果
以下の表7および表8は、実施した種々の試験による以下のような結果を要約して示したものである。
・シリコーンの被覆、すなわち紙の表面積あたりの被覆シリコーン量。
・MIBKにより抽出されるシリコーン分、すなわち未架橋シリコーンのレベル。抽出溶媒におけるシリコーンの量は原子吸光で測定される。
・直後または湿潤オーブン内で長期保存後のシリコーン処理済みライナーのこすり落ち耐性。
ここでは、抽出物(広範囲の重合のサインである)が低レベルであること、およびこすり落ち試験における値が10に近いこと(良好な機械強度のサインである)が目標であることを忘れてはならない。
【0198】
【表7】

上記表7は、本発明の組成物により抽出物が低レベルとなり、その結果、該組成物の反応性が所望の用途を満たすことを示す。さらに、こすり落ち試験の結果は比較組成物およびコントロールに対して顕著に改善されており、このことは、本発明により得られるコーティングの優れた粘着性、機械的強度、および接着性を実証するものである。
【0199】
ナノフィラーの取り込みにより、該処方の反応性が有意に減少することなくシリコーン処理済み紙の強度の改善が観察される。フィラーを含まないコントロール浴液またはLSR30添加剤による同量のビニル化シリコーンオイルを添加したコントロール浴液に対して、こすり耐性が顕著に改善されることが分かる。
【0200】
【表8】

上記表8は、本発明の実施例1aによって得られたコーティングにおいて、添加剤がNanocone VN 10000をベースとしたものである比較例(CE3)と比較して、粘着性、機械的強度、コーティング装置から出た時点の接着性が改善されていることを示す。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状フレキシブル基材または非繊維状フレキシブル基材上に毎分100m以上の速度でコーティングするための液体シリコーン組成物であって、
撥水性および剥離性を有するコーティングを形成するための架橋が可能であり、
重付加反応、ラジカル反応、またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤と、
シリコーン基剤100重量部につき、1?40重量部の添加剤と、
を含み、
前記添加剤は、
I.少なくとも1つの相溶化剤で処理された、1?80重量%の微粒子シリカフィラーと、
II.95?20重量%の、25℃における粘度(ηII)(mPa.s)が、
8000≦ηII≦2000000 である少なくとも1つのシリコーンオイルと、
III.必要に応じて、25℃における粘度(η)が8000mPa.s以下である少なくとも1つのシリコーンオイルと、
のI、II、及びIIIからなり、
前記微粒子シリカフィラー(I)は、必要に応じて前記シリコーンオイル(III)を付加された前記シリコーンオイル(II)中に分散され、
前記液体シリコーン組成物全体としての粘度が、25℃において2000mPa.s以下であることを特徴とする液体シリコーン組成物。
【請求項2】
前記シリコーン基剤を形成する液体シリコーンオイルに対し、予備希釈して、または予備希釈しないで、前記添加剤を段階的に混合することにより調製されたことを特徴とする請求項1に記載の液体シリコーン組成物。
【請求項3】
前記微粒子シリカフィラー(I)は、相溶化剤が添加された、シリカフィラーおよび/または中補強性シリカフィラーから得られた液体シリコーン組成物であって、
前記相溶化剤は、
シラザン、
二官能性ヒドロキシル化(シクロ)シロキサン、または単官能性ヒドロキシル化(シクロ)シロキサン、
アミン、
有機酸、
クロロシラン、
有機ケイ素化合物、
ならびにこれらの混合物から選択されたことを特徴とする請求項1に記載の液体シリコーン組成物。
【請求項4】
前記微粒子シリカフィラー(I)を生成するシリカが焼成シリカであって、BET比表面積が50?400m^(2)/gであり、平均粒径が5?500nmであることを特徴とする請求項3に記載の液体シリコーン組成物。
【請求項5】
前記微粒子シリカフィラー(I)を生成するシリカは、コロイダルシリカであって、
アルカリ金属またはアルキルケイ酸塩の加水分解/縮合により調製され、
シリコーンオイル内に分散されていることを特徴とする請求項3に記載の液体シリコーン組成物。
【請求項6】
前記シリコーン基剤は、
25℃における粘度(η)(mPa.s)が、
50≦η≦100000であるポリオルガノシロキサン(POS)から選択された、少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(POS)、POS化合物、POS化合物群を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液体シリコーン組成物。
【請求項7】
前記シリコーン基剤は、
≡Si-アルケニルユニットを含む少なくとも1つのシリコーンオイルと、
重付加により反応可能な≡Si-Hユニットを含む少なくとも1つの架橋剤(R)と、
を含む少なくとも1つのシリコーンオイルを含み、
前記添加剤が、前記架橋剤(R)を含む前記シリコーン基剤に対して、≡Si-H/≡Si-アルケニル(Vi)のモル比が、
1.0≦≡Si-H/≡Si-アルケニル(Vi)≦5
となるよう添加されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の液体シリコーン組成物。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の成分を混合することを特徴とする、請求項1乃至7の何れか1項に記載の組成物をベースとしたことを特徴とする毎分100m以上の速度でコーティングを行なうためのコーティング装置用のコーティング浴液の調製法。
【請求項9】
紙製もしくは板製のフレキシブル基材、フレキシブル織布基材もしくはフレキシブル不織布基材、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンおよび/またはポリエステルおよび/またはポリ塩化ビニルを含むフレキシブル基材、および/または感熱印刷可能なフレキシブル基材から選択されることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか1項に記載の組成物から得られることを特徴とするコーティングでコートされた基材。
【請求項10】
毎分100m以上の速度でコーティングを行なうための請求項1乃至7の何れか1項に記載の液体シリコーン組成物において、
重付加反応、ラジカル反応もしくはカチオン反応による架橋で得られる、繊維状フレキシブル基材または非繊維状フレキシブル基材上にコートされた剥離性および撥水性を有するシリコーンコーティングにおいて、微粒子フィラーを、シリコーンオイル中に、1?80重量%混合させることにより、コーティング後の30分間で基材上のコーティングの接着強度を高め、コーティングの機械的強度を高め、コーティング架橋強度を高めることを特徴とするシリコーン添加剤の使用方法。
【請求項11】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のシリコーンコーティング組成物を、毎分100m以上の速度でコーティングを行なうための工業用コーティング装置において用いて、フレキシブル基材上へ剥離性および/または撥水性を有する架橋シリコーンコーティングを施すことを特徴とする製造方法。
【請求項12】
コーティング後の30分間で基材上のコーティングの接着強度が高くなり、コーティングの機械的強度が高くなり、コーティング架橋強度が高くなるように、繊維状フレキシブル基材または非繊維状フレキシブル基材上に液体シリコーン組成物を用いて剥離性および撥水性を有するシリコーンコーティングを施す方法であって、
前記液体シリコーン組成物は、重付加反応、ラジカル反応またはカチオン反応により架橋可能なシリコーン基剤を含み、さらにシリコーン基剤100重量部につき、1?40重量部の添加剤を含み、
前記添加剤は、
I.少なくとも1つの相溶化剤で処理した、1?80重量%の微粒子シリカフィラーと
II.95?20重量%の25℃における粘度(ηII)(mPa.s)が、
8000≦ηII≦2000000
である少なくとも1つのシリコーンオイルと
III.必要に応じて、25℃における粘度(ηIII)が8000mPa.s以下である少なくとも1つのシリコーンオイルと、
のI?IIIからなり、
前記微粒子シリカフィラー(I)がシリコーンオイル(II)中に分散され、必要に応じてシリコーンオイル(III)を用いて構成され、
前記液体シリコーン組成物全体としての粘度が、25℃において2000mPa.s以下であり、
毎分100m以上の速度で前記液体シリコーン組成物を前記フレキシブル基材上に塗布した後に、塗布されたその液体シリコーン組成物を架橋することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記液体シリコーン組成物が請求項2乃至7の何れか1項に記載の液体シリコーン組成物であり、前記基材が請求項9に記載の基材であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2017-02-28 
結審通知日 2017-03-03 
審決日 2017-03-14 
出願番号 特願2011-520508(P2011-520508)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (C09D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 牟田 博一  
特許庁審判長 冨士 良宏
特許庁審判官 原 賢一
天野 宏樹
登録日 2014-09-19 
登録番号 特許第5616339号(P5616339)
発明の名称 フレキシブル基材をコーティングして、高い付着性、機械的強度および反応性を有する架橋コーティングを形成するためのシリコーン組成物  
代理人 加藤 卓士  
代理人 加藤 卓士  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ