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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  A47K
審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A47K
審判 一部無効 特17条の2、3項新規事項追加の補正  A47K
管理番号 1327206
審判番号 無効2015-800036  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-02-23 
確定日 2017-03-13 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4641313号「臀部拭き取り装置並びにそれを用いた温水洗浄便座及び温水洗浄便座付き便器」の特許無効審判事件についてされた平成27年11月11日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(平成27年(行ケ)第10245号、平成28年 8月24日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 特許第4641313号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項15-30について訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 事案の概要
本件は、請求人が、被請求人が特許権者である特許第4641313号(以下「本件特許」という。平成19年9月6日出願、平成22年12月10日登録、請求項の数は30である。)の請求項1、2、15、23及び25ないし30に係る発明についての特許を無効にすることを求める事案である。


第2 手続の経緯
本件審判の経緯は、以下のとおりである。

平成27年 2月23日 審判請求
平成27年 4月15日 審判事件答弁書
平成27年 7月31日 口頭審理陳述要領書(請求人)
平成27年 8月13日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成27年 9月 4日 口頭審理
平成27年11月11日 一次審決(請求不成立)
平成27年12月12日 審決取消訴訟提起(請求人)
平成28年 8月24日 判決言渡(審決取消)
平成28年10月31日 訂正請求書

なお、平成28年10月31日付け訂正請求書を請求人に送付し、期間を指定して弁駁書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答はなかった。


第3 訂正請求について
1 訂正請求の内容
本件無効審判事件の被請求人より平成28年10月31日に提出された訂正請求(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項15?30について訂正することを求めるものであって、次の事項を訂正内容とするものである。(下線部は訂正個所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項15に「前記拭き取りアーム駆動部は、便器と便座との間隙を介して、前記拭き取りアームを移動させることを特徴とする」と記載されているのを、「前記拭き取りアーム駆動部は、便座昇降装置により便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して、前記拭き取りアームを移動させることを特徴とする」に訂正する。
(2)訂正事項2
明細書の段落【0040】に記載された「拭き取りアーム駆動部は、便器と便座との間隙を介して、前記拭き取りアームを移動させることを特徴とする」と記載されているのを、「拭き取りアーム駆動部は、便座昇降装置により便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して、前記拭き取りアームを移動させることを特徴とする」に訂正する。

2 訂正の適否の判断
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正事項1は、本件訂正前の請求項15に係る発明の発明特定事項である「便器と便座との間隙」について、「便座昇降装置により便座が上昇された際に生じる」ものに限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項について
本件特許明細書の段落【0015】に「本発明は、便座を昇降させる便座昇降装置と一緒に用いられ、……便座昇降部によって便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して」と記載されていることからみて、訂正事項1は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてしたものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張、変更について
訂正事項1は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ 独立特許要件について
本件特許無効審判事件において、請求項15、23及び25ないし30は、無効審判の請求の対象とされているので、請求項15に係る訂正、及び請求項15を直接的又は間接的に引用する請求項23及び25ないし30に係る訂正は、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第7項に掲げる、「特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない」との要件は適用されないものの、請求項15を直接的又は間接的に引用する請求項16ないし22及び24は、無効審判の請求の対象となっておらず、かつ、当該請求項に係る訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、当該要件を満たす必要がある。
この点について検討すると、下記第7において後述するとおり、請求項15に係る発明は、請求人が主張する無効理由によって無効とすることができず、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、請求項15を直接的又は間接的に引用する請求項16ないし22及び24に係る発明についても同様に、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
よって、請求項16ないし22及び24に係る訂正は、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
また、訂正事項2は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてしたものであり、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とし、同法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するから、本件訂正を認める。


第4 本件特許発明
本件訂正は、上記第3のとおり認められたので、本件特許の請求項1、2、15、23及び25ないし30に係る発明(以下各請求項に係る発明を「本件特許発明1」、「本件特許発明2」、「本件特許発明15」などといい、これらを総称して「本件特許発明」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2、15、23及び25ないし30に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
便座を昇降させる便座昇降装置と一緒に用いられ、トイレットペーパーで臀部を拭く臀部拭き取り装置であって、
前記トイレットペーパーを取り付けるための拭き取りアームと、
前記便座昇降部によって前記便座が上昇された際に生じる便器と前記便座との間隙を介して、前記便座の排便用開口から前記拭き取りアームに取り付けられた前記トイレットペーパーが露出するように、前記拭き取りアームを駆動させる拭き取りアーム駆動部とを備える、臀部拭き取り装置。
【請求項2】
トイレットペーパーで臀部を拭く臀部拭き取り装置であって、
便座を昇降させる便座昇降部と、
前記トイレットペーパーを取り付けるための拭き取りアームと、
前記便座昇降部によって前記便座が上昇された際に生じる便器と前記便座との間隙を介して、前記便座の排便用開口から前記拭き取りアームに取り付けられた前記トイレットペーパーが露出するように、前記拭き取りアームを駆動させる拭き取りアーム駆動部とを備える、臀部拭き取り装置。
【請求項15】
トイレットペーパーで臀部を拭く臀部拭き取り装置であって、
前記トイレットペーパーを取り付けるための拭き取りアームと、
前記臀部を拭き取る位置まで前記拭き取りアームを移動させる拭き取りアーム駆動部とを備え、
前記拭き取りアーム駆動部は、便座昇降装置により便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して、前記拭き取りアームを移動させることを特徴とする、臀部拭き取り装置。
【請求項23】
さらに、前記拭き取りアーム駆動部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記拭き取りアーム駆動部に、前記トイレットペーパーが取り付けられている前記拭き取りアームを便座の排便用開口まで移動させ、前記臀部を前記拭き取りアームに拭き取らせ、前記拭き取りアームを元の位置まで戻させることを特徴とする、請求項15に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項25】
さらに、前記拭き取りアーム駆動部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、ユーザからの指示に応じて、前記拭き取りアーム駆動部の動作を制御することを特徴とする、請求項15に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項26】
ユーザからの指示に応じて制御された前記拭き取りアーム駆動部の動作を記憶する記憶部とを備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている情報に従って、前記拭き取りアーム駆動部の動作を制御することを特徴とする、請求項25に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項27】
さらに、前記拭き取りアーム駆動部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記拭き取りアーム駆動部を制御して前記拭き取りアームに前記臀部を拭き取らせた後、再度、前記拭き取りアーム駆動部を制御して前記拭き取りアームに前記臀部を拭き取らせることを特徴とする、請求項15に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項28】
前記制御部は、ユーザの指示に応じて、再度、前記拭き取りアーム駆動部を制御して前記拭き取りアームに前記臀部を拭き取らせることを特徴とする、請求項27に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項29】
さらに、
前記拭き取りアーム駆動部の動作を制御する制御部と、
複数の指示スイッチ部とを備え、
前記制御部は、押下された指示スイッチ部に対応する動作を行うように、前記拭き取りアーム駆動部を制御することを特徴とする、請求項15に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項30】
請求項1?29のいずれかに記載の臀部拭き取り装置を備える、温水洗浄便座又は温水洗浄便座付き便器。」


第5 請求人の主張及び証拠方法
1 請求人の主張の概要
請求人は、本件特許発明の特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、概ね以下のとおり主張し(審判請求書、平成27年7月31日付け口頭審理陳述要領書を参照。)、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出している。

[無効理由1(新規事項の追加)]
本件特許の請求項15、23、25?30に係る発明の特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してなされたものであり、同法第123条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。
[無効理由2(サポート要件違反)]
本件特許の請求項15、23、25?30の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、請求項15、23、25?30に係る発明の特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。
[無効理由3(進歩性欠如)]
(1)本件特許の請求項1、2、15、23、25及び29に係る発明は、甲第5号証と甲第7号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第8号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第9号証に記載された発明、あるいは、甲第5号証と甲第8号証と甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、その特許は無効とすべきである。
(2)本件特許の請求項1、請求項2または請求項15に従属する請求項30に係る発明は、甲第5号証と甲第7号証と甲第9号証に記載された発明、あるいは、甲第5号証と甲第8号証と甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、その特許は無効とすべきである。

2 証拠方法
提出された証拠は、以下のとおりである。

甲第1号証:本件特許出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面の写し
甲第2号証:本件特許出願に係る平成22年9月3日付け手続補正書の写し
甲第3号証:本件特許出願に係る平成22年11月2日付け手続補正書の写し
甲第4号証:本件特許公報(特許第4641313号公報)
甲第5号証:中国実用新案公告第2682113号公報
甲第6号証:欠番
甲第7号証:特開2000-093481号公報
甲第8号証:特開平11-178745号公報
甲第9号証:特開平8-280581号公報
甲第10号証:特許・実用新案審査基準 第III部第I節第1頁ないし第3頁
甲第11号証:特許・実用新案審査基準 第I部第1章第1頁ないし第5頁
甲第12号証:特許第5709177号公報

3 請求人の具体的な主張
(1)無効理由1(新規事項の追加)について
ア 本件特許の願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1に係る発明及び同請求項の従属項に係るその他の発明は、便座を昇降させる便座昇降部を備え、「便器と便座との間隙」は、便座昇降部によって便座が上昇された際に生じるものに限られている。また、本件特許の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された「便器と便座との間隙」も便座昇降部又は便座昇降装置(以下まとめて「便座昇降部」ともいう。)によって便座が上昇された際に生じるものに限られている。すなわち、本件特許出願の出願当初の特許請求の範囲、明細書及び図面の何れにも便座昇降部によって便座が上昇された際に生じる「便器と便座との間隙」以外の「便器と便座との間隙」についての記載はなく、そのことを示唆する記載もない。なお、便座昇降部は、便器の上に設置された便座を上昇させて便器と便座との間隙を形成するという重要な技術上の意義をもつものである。
よって、本件特許出願に対してなされた補正は、請求項の発明特定事項の一部を削除して、これを概念的に上位の事項に補正するものであって、出願当初の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載した事項以外のものが追加されることになる補正であるといえる。
(審判請求書13頁8ないし22行を参照。)

イ 当初明細書等を客観的にみれば、補正により、請求項15には便座昇降部によって便座が上昇された際に生じる「便器と便座との間隙」以外の「便器と便座との間隙」が追加されている。つまり、便座昇降部(便座を昇降させる手段)以外の手段によって設けられる「便器と便座との間隙」が追加されている。
そして、「便器と便座との間隙」を設けるための便座昇降部以外の手段は、便座を昇降させるために必要な構造、機構、駆動部等を必要としないという点で技術上の意義を持つものである。このことから、請求項15に係る発明は、明らかに、補正により新たな技術的事項が導入されたものとなっているといえる。
(平成27年7月31日付け口頭審理陳述要領書12頁15ないし23行を参照。)

(2)無効理由2(サポート要件違反)について
便座昇降部(4)を使用することなく、便器(1)と便座(3)との間に間隙を形成することについては発明の詳細な説明に記載がない。
また、本件特許の出願時において、便座昇降機以外の手段によって、便座と便器との間にトイレットペーパーを取り付けた「拭き取りアーム」を移動させることができる間隙を確保、形成等する技術は一般的に知られていない。このため、本件明細書及び図面の記載のほか、出願時の技術常識を斟酌しても、便座昇降部によって便座を上昇させることなく、どのようにして便器の後部と便座の後部との間に、トイレットペーパーを取り付けた「拭き取りアーム」を移動させることが可能な間隙を確保できるのか全く不明である。
そして、便器と便座との間にトイレットペーパーを取り付けた「拭き取りアーム」が移動できる間隙を確保できなければ、本件明細書の【発明が解決しようとする課題】の欄の【0014】に記載されている「便座に座ったままの状態で、水滴や汚れの拭き取り作業を行うこと」はできないのであるから、便座昇降部は、本件明細書及び図面において発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段として欠くことのできないものであるといえる。
(審判請求書15頁7ないし22行、平成27年7月31日付け口頭審理陳述要領書14頁23行ないし15頁6行を参照。)

(3)無効理由3(進歩性欠如)について
ア 甲第7号証又は甲第9号証に記載された便座及び便座を昇降させる便座昇降装置を甲第5号証に記載された便器に適用するともに、同号証に記載された拭き取りアームを、上記便座昇降装置により便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して移動するように設置すれば、本件特許発明1(及び本件特許発明2、15)をなすことができる。
そして、このように、甲第7号証又は甲第9号証に記載された構成を甲第5号証に記載された構成に適用することは、以下の理由から容易になされるものであるといえる。
……甲第7号証の第5頁【0034】には、便座(12)とは別に設置された水洗便器(9)まで、便座(12)付き便座昇降装置(5)を移動させて、当該便座(12)を水洗便器(9)に重ねることが記載されているが、この水洗便器(9)と甲第5号証に記載された腰掛便器とはその上に便座が直に取り付けられていない便器である点で共通している。このことから、甲第7号証に記載された便座及び便座を昇降させる便座昇降装置を甲第5号証に記載された便器に適用することに特段の困難性は認められないといえる。
……甲第9号証の第5頁【0027】、図1には、便器(1)を跨ぐように取り付けられた便座昇降装置(A)が記載されているが、この便器(1)と甲第5号証に記載された腰掛便器もその上に便座が直に取り付けられていない便器である点で共通している。このことから、甲第9号証に記載された便座及び便座を昇降させる便座昇降装置を甲第5号証に記載された便器に適用することにも特段の困難性は認められないといえる。
甲第7号証及び甲第8号証には、介護者が便器と便座との間隙に介護者のアーム(腕)を差し込み、手に持ったトイレットペーパーで被介護者のお尻を拭くことが記載されているに等しい事項が記載されており、この記載が動機づけとなる……。
(審判請求書25頁10行ないし26頁10行、27頁2行ないし28頁2行、及び28頁17行ないし29頁18行を参照。)

イ 甲第7号証又は甲第9号証に記載された便座及び便座を昇降させる便座昇降装置を甲第5号証に記載された便器に適用するとともに、同号証に記載された拭き取りアームを、上記便座昇降装置により便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して移動するように設置すれば、自ずと「制御部は、拭き取りアーム駆動部に、トイレットペーパーが取り付けられている拭き取りアームを便器の排便用開口まで移動させ」ることとなる。
(審判請求書30頁9ないし15行を参照。)

ウ 甲第5号証の第7頁第4行?第6行(翻訳文の第5頁第8行?第11行)には、「電磁バルブ(9)の動作は使用ニーズに応じて、通常の接続制御方法で、操作スイッチパネル(14)上に設けられているスイッチおよび腰掛便器(1)内に取付けられているリミッタスイッチにより制御される」と記載されている。 このことは、操作スイッチパネル(14)上の複数の指示スイッチのうち、押下された指示スイッチに対応する動作を行うように、拭き取りアーム駆動部を制御することを示唆しているといえる。
(審判請求書31頁20ないし26行を参照。)

エ 甲第7号証に記載された便座及び便座を昇降させる便座昇降装置を甲第5号証に記載された便器に適用するとともに、同号証に記載された拭き取りアームを、上記便座昇降装置により便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して移動するように設置することで成される本件特許発明1、2又は15において、甲第5号証に記載された便器(1)に設置されたシャワー洗浄装置(2)を便座に設置することは、当業者であれば、甲第9号証に記載された「温水洗浄便座」または「温水洗浄便座付き便器」を参酌すること等により容易に想到し得る。
(審判請求書32頁18ないし25行を参照。)

オ 穴Wが設けられた便器は、穴Wが設けられていない汎用の便器と比較して、格段に生産コストが高額となる。当業者は、常に、装置の生産コストの低減を念頭において日々の設計開発・創作活動を行っているところ、穴Wが設けられていない汎用の便器の使用を真っ先に検討するはずである。
そして、常に汎用の便器の使用を念頭において設計開発・創作活動を行っていれば、介護者が便器と便座との間隙に腕(アーム)を入れて被介護者の臀部を拭くことが記載された甲第7号証、甲第8号証に接すれば、甲第5号証に記載されている臀部拭き取り装置に昇降可能な便座を適用したものにおいて、拭き取りアームの位置を便器と便座との間隙を通るような位置に設計変更することを容易に想到するはずである。
(平成27年7月31日付け口頭審理陳述要領書17頁20行ないし18頁1行を参照。)


第6 被請求人の主張及び証拠方法
1 被請求人の主張の概要
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、請求人の主張に対して、概ね以下のとおり反論している(平成27年4月15日付け審判事件答弁書、平成27年8月13日付け口頭審理陳述要領書を参照。)。

2 証拠方法
提出された証拠は、以下のとおりである。

乙第1号証:実開平7-24322号公報写し
乙第2号証:特開平10-174666号公報写し
乙第3号証:特開2005-66001号公報写し
乙第4号証:特開2006-68391号公報写し
乙第5号証:特開2006-122183号公報写し
乙第6号証:特許情報プラットフォーム 特許・実用新案テキスト検索(結果一覧)
乙第7号証:特許第5065467号公報写し
乙第8号証:ロボットがおしりを拭く「ロボットアーム型便座 RB-790」パンフレットの写し
乙第9号証:介護保険情報2007年11月号の表紙、62頁、63頁、裏表紙の写し
乙第10号証:実用新案登録第2546962号公報写し
乙第11号証:登録実用新案第3024055号公報写し
乙第12号証:特開平8-319655号公報写し
乙第13号証:特開2002-219077号公報写し
乙第14号証:登録実用新案第3112872号公報写し
乙第15号証:特開2005-52171号公報写し
乙第16号証:特開昭49-6751号公報写し
乙第17号証:甲第5号証の説明図(拭き取り前)
乙第18号証:甲第5号証の説明図(拭き取り時)
乙第19号証:甲第7号証の説明図(拭き取り時)
乙第20号証:甲第8号証の説明図(拭き取り前)
乙第21号証:甲第8号証の説明図(拭き取り時)
乙第22号証:甲第9号証の説明図(上昇時)
乙第23号証:甲第5号証に、甲第7号証を適用したときの概略図1
乙第24号証:甲第5号証に、甲第7号証を適用したときの概略図2
乙第25号証:甲第5号証及び甲第7号証による構成の不足部分を甲第7及び8号証で補おうとしたときの説明図
乙第26号証:甲第5号証に、甲第9号証を適用したときの概略図1
乙第27号証:甲第5号証に、甲第9号証を適用したときの概略図2
乙第28号証:甲第5号証及び甲第9号証による構成の不足部分を甲第7及び8号証で補おうとしたときの説明図
乙第29号証:技術提携契約書の写し
乙第30号証:トイレの最後の難関はお尻を拭くことです“楽々きれっと”「ロボットアーム型拭き取り装置RB-901」パンフレットの写し
乙第31号証:“楽々きれっと”「ロボットアーム型拭き取り装置RB-1101」パンフレットの写し
乙第32号証:覚書の写し

3 無効理由に対する具体的な反論
(1)無効理由3(進歩性欠如)について
ア 甲第5号証の機械式拭き取り装置5は、腰掛便器1上に穴Wを設けて、穴Wから機械式拭き取り装置5を露出させているため、乙第23号証(乙第26号証)に示すように、お尻までトイレットペーパーは全く届かず、甲第7号証(甲第9号証)に、甲第5号証を適用しても、お尻を拭き取ることは不可能である。このように、お尻を拭き取ることが不可能な装置同士を組み合わせようと考える当業者などいないはずである。当然、甲第5号証に甲第7号証(甲第9号証)と適用したとしても、便器と便座の間隙を介して拭き取りアームが移動していることにはならない。
仮に、善解して、乙第24号証(乙第27号証)のように、甲第7号証(甲第9号証)で、便座12を上昇させなかったとして、拭き取りを行おうとしても、やはり、便座12の厚み分かあるので、機械式拭き取り装置5は、お尻を拭き取ることはできない。この点においても、やはり、お尻を拭き取ることが不可能な装置同士を組み合わせようと考える当業者などいないはずである。当然、この場合も、便器と便座との間隙を介して拭き取りアームが移動していることにはならない。
(平成27年4月15日付け審判事件答弁書17頁33行ないし18頁9行、19頁10ないし22行、21頁末行ないし22頁12行を参照。)

イ 甲第7及び8号証では、容器と座部の間隙に、手を入れて拭き取ることが記載されているが、甲第5号証は、腰掛便器1に設けられた穴Wから拭き取り装置5が出てくるため、そもそも、便座と便器との間隙を設けなくても拭き取ることが可能である。そのような状況であるわけであるから、当業者であれば、そもそも、甲第5号証に甲第7号証(甲第9号証)を適合するということ自体に意味がないと考えるはずである。すなわち、甲第5号証は、臀部の拭き取り装置として、それ単体で機能しているわけであるから、わざわざ、甲第5号証に甲第7号証(甲第9号証)を組み合わせようと考える必要がない。
……仮に、甲第5号証に立ち上がり補助という観点で甲第7号証(甲第9号証)を組み合わせたとしたら、拭き取り装置5がお尻まで届かないので、当業者であれば、拭き取り装置5をもう少し長くして拭き取るようにすればよいと考えるのが自然である。なぜなら、便座が昇降する前の状態で、シャワー洗浄装置2による洗浄後に追加された便座12の厚み分だけ、上方に拭き取り装置5が伸びれば、臀部を拭き取ることができるのは明らかであるからである。それをあえて、甲第5号証の構造を根本から見直し、便座を上昇させた後、便器と便座との間隙を介して臀部を拭き取るというようなより複雑な構成にするようにすればよいと、当業者は考えるはずがない。
(平成27年4月15日付け審判事件答弁書18頁17ないし35行、19頁31行ないし20頁12行、22頁20行ないし23頁2行を参照。)

ウ 甲第5号証の図1に示すように、複数のトイレットペーパー(4)が上下に重ねられた状態で、ペーパーケース(3)に収納されており、ペーパーケース(3)の下面の一部が開口しているのであれば、その開口部分から、収納されているトイレットペーパー(4)がその重力に従って、全て垂れ下がると考えられる。したがって、そもそも、参考図1-2に示すような状態にはならない。すなわち、前提として、1枚だけが都合よく垂れ下がることはあり得ないわけであるから、臀部を拭き取る装置として、該装置(5)は機能していない。
このように、甲第5号証は、臀部拭き取り装置を開示しているものではないから、進歩性を判断するための引用発明としての適格性を欠いており、甲第5号証に基づいて進歩性を判断することは許されない。
(平成27年8月13日付け口頭審理陳述要領書7頁27ないし36行を参照。)


第7 当審の判断
1 無効理由1(新規事項の追加)について
請求人は、無効理由1について、上記「第5 3(1)」のとおり主張するが、本件訂正により、請求項15に係る発明の「便器と便座との隙間」は、請求人が、本件特許の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面で限定されていると主張する「便座昇降装置により便座が上昇された際に生じる」ものに限定された。
よって、便座昇降装置により便座が上昇された際に生じる「便器と便座との隙間」以外の「便器と便座との隙間」が追加されたことによる新規事項の追加を主張する無効理由1は、理由がない。


2 無効理由2(サポート要件違反)について
請求人は、無効理由2について、上記「第5 3(2)」のとおり主張するが、本件訂正により、請求項15に係る発明の「便器と便座との隙間」を、請求人が、本件明細書及び図面において発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段として欠くことのできないものと主張する「便座昇降装置」を使用することにより形成されるものに限定された。
よって、「便座昇降装置により便座が上昇された際に生じる」ことに限定した「便器と便座との隙間」は、発明の詳細な説明に記載されたものとなったので、請求人が主張する無効理由2は理由がない。

3 無効理由3(進歩性欠如)について
(1)証拠について
ア 請求人が無効理由3に係る証拠として提出した、本件特許出願前に頒布された刊行物である甲第5号証には、次の事項が記載されている(翻訳は請求人が提出したものである。下線は審決で付した。以下同じ。)。

(ア)


(4頁2ないし12行)
(翻訳)
「技術分野
本考案は機械式拭き取り腰掛便器に関し、腰掛便器の技術分野に属する。
背景技術
現在、従来技術におけるシャワー洗浄式腰掛便器では、洗浄後に主に人体の水洗浄した部位を温風で乾燥させているが、このような洗浄乾燥の腰掛便器では以下のような欠点がある:消費エネルギーが大きく、乾燥に要する時間が長い上、温風温度が把握しにくく、場合によっては肌にやけどしたような不快感を起こしやすい。よって、従来のシャワー洗浄式腰掛便器の使用効果は理想的とは言えない。
考案の内容
本考案の目的は、省エネで、時間を節約でき、肌をやけどせず、使用しやすい機械式拭き取り腰掛便器を提供することで、従来技術の不足を克服するところにある。」

(イ)


(4頁13行ないし6頁1行)
(翻訳)
「本考案は以下のように構成される:腰掛便器(1)と、腰掛便器(1)に取付けられているシャワー洗浄装置(2)とを備えており、腰掛便器(1)にはペーパーケース(3)が設けられており、しかも腰掛便器(1)内で、ペーパーケース(3)の下方にはペーパーケース(3)内のトイレットペーパー(4)を掴むことができる機械式拭き取り装置(5)が装着されており、機械式拭き取り装置(5)は可動クリップ(a)と、スプリング(b)と、クリップパッド(c)と、中空シャフト(d)と、回転可能なピストンロッド(e)と、可動プルロッド(f)と、シリンダ(g)と、ピストン(h)と、ブレードモータシリンダ(i)と、ブレード付きシャフト(j)と、ソレノイド吸着装置(k)とからなり、しかも可動クリップ(a)、クリップパッド(c)、中空シャフト(d)、回転可能なピストンロッド(e)はいずれも腰掛便器(1)上に設けられている穴(w)を通じて腰掛便器(1)の便器空間内に伸入し、可動プルロッド(f)の一端上には可動クリップ(a)が連結されており、その他端はスプリング(b)、クリップパッド(c)、中空シャフト(d)、回転可能なピストンロッド(e)の貫通穴を貫通した後にソレノイド吸着装置(k)の可動電磁コアに接続されており、ピストン(h)はピストンロッド(e)に固定されるとともにシリンダ(g)内に装着されており、ブレード付きシャフト(j)はブレードモータシリンダ(i)内に装着されるとともにピストンロッド(e)に被せて設けられており、ピストンロッド(e)上にはキースロットが設けられるとともにキースロット内にはブレード付きシャフト(j)に連結されるキー(l)が装着されており、ソレノイド吸着装置(k)はピストンロッド(e)の末端に装着されており、シリンダ(g)とブレードモータシリンダ(i)とが共に固定されるとともに、シリンダ(g)の一端がヒンジ軸(6)を介して腰掛便器(1)内のクレードルに結合されており、シリンダ(g)の他端は制御液圧シリンダ(7)のピストンロッドに連結されており、制御液圧シリンダ(7)のピストンロッド上には更にリターンスプリング(8)が被せて設けられており、シリンダ(g)、ブレードモータシリンダ(i)および制御液圧シリンダ(7)の入口管および回流管には電磁バルブ(9)がそれぞれ接続されており、しかも各入口管はそれぞれ給水管(10)を介して水源接続パイプ(11)に接続されており、……。
……本考案を使用するに際しては、まずその電源プラグをコンセントに差し込んで、用便の後に、操作スイッチパネル(14)のシャワースイッチを押すと、シャワー洗浄装置(2)は加熱した水で人体の対応する部位をシャワー洗浄し、シャワー洗浄の後には、操作スイッチパネル(14)上の拭き取り操作スイッチを押せばよい。このとき可動クリップ(a)が可動プルロッド(f)のソレノイド吸着装置(k)の吸着連動によりペーパーケース(3)内のトイレットペーパー(4)を一枚掴んで、しかもクリップパッド(c)と、中空シャフト(d)とが共に、回転可能なピストンロッド(e)の連動により、腰掛便器(1)に設けられている穴(w)を通じて腰掛便器(1)の腰掛便器空間内に伸入して人体の関連部位を拭き取るものであり、拭き取るときに、回転可能なピストンロッド(e)はトイレットペーパーを掴むクリップパッド(c)を伴ってブレードモータシリンダ(i)中のブレード付きシャフト(j)の連動により180度の角度だけ回転すると同時に、シリンダ(g)が制御液圧シリンダ(7)のピストンロッドおよびリターンスプリング(8)の作用によりトイレットペーパーを掴むクリップパッド(c)を伴って軽く上下スイングして、拭き取りが完了した後、各部材は腰掛便器(1)中に取付けられている対応するリミッタスイッチにぶつかった後に、その対応する電磁バルブ(9)およびソレノイド吸着装置(k)を動作させて、可動クリップ(a)が掴んでいる使用済みのトイレットペーパーを放すとともに、各部材に伴って初期位置に戻り、次回の拭き取りに備える。」

(ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、甲第5号証には、次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。
「腰掛便器(1)内に装着され、ペーパーケース(3)内のトイレットペーパー(4)を掴むことができる機械式拭き取り装置(5)であって、
可動クリップ(a)と、スプリング(b)と、クリップパッド(c)と、中空シャフト(d)と、回転可能なピストンロッド(e)と、可動プルロッド(f)と、シリンダ(g)と、ピストン(h)と、ブレードモータシリンダ(i)と、ブレード付きシャフト(j)と、ソレノイド吸着装置(k)とからなり、
可動クリップ(a)、クリップパッド(c)、中空シャフト(d)、回転可能なピストンロッド(e)はいずれも腰掛便器(1)上に設けられている穴(w)を通じて腰掛便器(1)の便器空間内に伸入し、
可動クリップ(a)が可動プルロッド(f)のソレノイド吸着装置(k)の吸着連動によりペーパーケース(3)内のトイレットペーパー(4)を一枚掴んで、しかもクリップパッド(c)と、中空シャフト(d)とが共に、回転可能なピストンロッド(e)の連動により、腰掛便器(1)に設けられている穴(w)を通じて腰掛便器(1)の腰掛便器空間内に伸入して人体の関連部位を拭き取るものである、機械式拭き取り装置(5)。」

イ 請求人が無効理由3に係る証拠として提出した、本件特許出願前に頒布された刊行物である甲第7号証には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、介護用入浴システムに関し、詳しくは、ベッドに寝たきりの被介護者の入浴の介護作業を介護者一人で容易に行える様にした介護用入浴システムに関する。」

(イ)「【0032】本発明の介護用入浴システムにおいては、前記サポートボード(4)に代え、水洗便器(9)にセットされる便座(12)がリフト装置(5)のリフター(5A)に着脱可能に構成されている。すなわち、本発明の介護用入浴システムにおいては、被介護者(M)の用便の介護作業のアタッチメントとして、図11に示す様に、略長方形に枠組みされ、かつ、その下端の支持バー(5N)の中央部に便座(12)が強固に固定された支持部(5P)が用意されている。この支持部(5P)の上端の両端部には、前記リフター(5A)を構成するベース部(5F)の両端部付近に突設された連結突起に対して着脱自在に嵌合固定される連結筒が設けられている。そして、この支持部(5P)は、被介護者(M)の用便の介護作業に際し、前記支持部(5G)に代えてベース部(5F)に固定される。
【0033】前記支持部(5P)が固定された手押し式のリフト装置(5)においては、手押しハンドル(5E)に付設された操作ボタン(図示省略)の操作により、便座(12)がリフター(5A)を介して昇降自在に支持される。
……
【0034】
次に、介護者(S)は、操作ボタン(図示省略)の操作により便座(12)を下降させて重心を安定させ、この状態でリフト装置(5)を水洗便器(9)まで移動する。続いて、介護者(S)は、便座(12)を水洗便器(9)上に位置合わせし、便座(12)を下降させて水洗便器(9)に重ねる。この状態で、図10に示す様に、被介護者(M)に排便させる。そして、用便後には、便座(12)と共に被介護者(M)を所定高さまで上昇させ、この状態で被介護者(M)のお尻を拭く。その後、便座(12)に被介護者(M)を座らせたままリフト装置(5)をベッド(1)まで移動し、便座(12)をベッド(1)の高さまで上昇させて被介護者(M)をベッド(1)上に移す。この作業は、被介護者(M)をベッド(1)上に押し上げる必要がないので、介護者(S)一人で容易に行うことが出来る。

ウ 請求人が無効理由3に係る証拠として提出した、本件特許出願前に頒布された刊行物である甲第8号証には、次の事項が記載されている。

(ア)「【請求項1】 介護者が、排便後被介護者を中腰の姿勢にさせることなく、被介護者のおしり及び局部を洗浄または拭けるように、汚物を受ける容器と座部との間に、介護者が手を入れられる隙間を設けたことを特長とするポータブルトイレ。」

(イ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポータブルトイレに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のポータブルトイレは、第6図に示すように「おまる」から発展しており、被介護者が排便を済ませた後、介護者は、被介護者におしりをもちあげさせ、被介護者を中腰の姿勢にさせて、被介護者の後方あるいは側方から被介護者のおしり及び局部を洗浄または拭取りをしていた。……上記従来例では、被介護者は中腰の姿勢を強要され、足にふんばりが利かない人や片マヒの人にはかなりつらい姿勢となる。……
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のポータブルトイレでは、介護者が被介護者のおしり及び局部を洗浄または拭く際に、介護者及び被介護者の双方に負担を強いるものであった。
【0004】本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたもので、介護者が被介護者のおしり及び局部を洗浄または拭く際に、介護者及び被介護者双方の負担を軽減することのできるポータブルトイレを提供することを目的とする。」

(ウ)「【0026】
【実施例2】図5は第二の実施例を示す図であり、図1乃至図4に示す第一の実施例とは逆に座部3が昇降して、介護者が被介護者のおしり及び局部を洗浄または拭く動作を行う際に、汚物を受ける容器6と座部3との間に、介護者が手を入れられる隙間を設けることのできるポータブルトイレ1を示している。なお、図5において第一の実施例と同様の構成部分には図1乃至図4と同一の参照番号を付している。21はリンク、22は油圧ジャッキであり、油圧ジャッキ22に図示しない加圧用ペダルによって圧力を加えることにより、油圧ジャッキ22のシリンダーを伸出させ、リンク21を介して座部3を上昇させる。よって、排便後被介護者を中腰の姿勢にさせることなく、介護者が汚物を受ける容器6と座部3との間に、手を入れて、被介護者のおしり及び局部を洗浄または拭くことができる。なお、油圧ジャッキ22の他に、モーター等を駆動源とすることも可能である。」

エ 請求人が無効理由3に係る証拠として提出した、本件特許出願前に頒布された刊行物である甲第9号証には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は便座の昇降傾動装置に関する。さらに詳しくは、身体障害者や高齢者が便器に腰を下ろしたり、そこから立ち上がったりするときに、それらの動きを補助ないし介助するために便座を動力で昇降し、かつ上下動に応じて便座を水平状態と前傾状態との間で傾動させる装置に関する。」

(イ)「【0017】図1において符号1は便器本体であり、2はその便器本体用の便座(または温水洗浄便座)である。便器本体1の左右の側方には、本発明の装置の一実施例である便座昇降装置Aの右側の昇降ユニット(右ユニット)3および左側の昇降ユニット(左ユニット)4がそれぞれ配置されている。」

(ウ)「【0028】この状態で駆動部10のモータMを回転させ、下降用ケーブル33を引き下ろし、上昇用ケーブル31を引く力を緩めれば、キャリアプレート12がガイドレール11に沿って下降していき、それに固定されているスライドプレート13もガイドフレーム14で案内されながら下降していく。そのとき傾動プレート16はそのカム溝18の傾斜部18bがカムローラ19で案内されるので、軸支点ボルト17を中心としてしだいに直立するように後方へ回動する。そしてカムローラ19が傾斜部18bから垂直部18aに入るときに直立状態となり、便座2がほぼ水平になる。そしてそれ以後は、垂直部18aがカムローラ19と係合するので、その水平状態を維持したまま下降を続け、便器本体1の上面に達する。なお便器本体1の上面で停止させるために、前述のリミットスイッチでキャリアプレート12またはスライドプレート13の下降端を検出させる。」

(2)本件特許発明2について
まず、本件特許発明2の進歩性欠如について検討する。
ア 対比
(ア)甲5発明の「機械式拭き取り装置(5)」は、「ペーパーケース(3)内のトイレットペーパー(4)を一枚掴んで」、「人体の関連部位を拭き取るものであ」るから、本件特許発明2の「トイレットペーパーで臀部を拭く」「臀部拭き取り装置」に相当する。

(イ)甲5発明は、「可動クリップ(a)が可動プルロッド(f)のソレノイド吸着装置(k)の吸着連動によりペーパーケース(3)内のトイレットペーパー(4)を一枚掴んで」、「可動クリップ(a)、クリップパッド(c)、中空シャフト(d)、回転可能なピストンロッド(e)」が「腰掛便器(1)の便器空間内に伸入」するから、甲5発明の「『可動クリップ(a)』、『スプリング(b)』、『クリップパッド(c)』、『中空シャフト(d)』、『ピストンロッド(e)』及び『可動プルロッド(f)』」は、本件特許発明2の「トイレットペーパーを取り付けるための」「拭き取りアーム」に相当する。

(ウ)甲5発明は、「可動クリップ(a)、クリップパッド(c)、中空シャフト(d)、回転可能なピストンロッド(e)」が「回転可能なピストンロッド(e)の連動により」、「腰掛便器(1)の腰掛便器空間内に伸入」するから、甲5発明の「『シリンダ(g)』及び『ピストン(h)』」は、本件特許発明2の「便座の排便用開口から拭き取りアームに取り付けられたトイレットペーパーが露出するように、拭き取りアームを駆動させる拭き取りアーム駆動部」に相当する。

(エ)以上によれば、両者は以下の点で一致する。
<一致点>
「トイレットペーパーで臀部を拭く臀部拭き取り装置であって、
前記トイレットペーパーを取り付けるための拭き取りアームと、
前記便座の排便用開口から前記拭き取りアームに取り付けられた前記トイレットペーパーが露出するように、前記拭き取りアームを駆動させる拭き取りアーム駆動部とを備える、臀部拭き取り装置。」

(オ)他方、両者は以下の点で相違する。
<相違点1>
本件特許発明2は、便座を昇降させる便座昇降部と、便座昇降部によって便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して、拭き取りアームを駆動させる拭き取りアーム駆動部とを備えるのに対し、甲5発明は、便座を昇降させる便座昇降部を備えておらず、そして、拭き取りアーム駆動部が、腰掛便器(1)上に設けられている穴(w)を通じて、拭き取りアームを駆動させる点。

イ 判断
(ア)相違点1について
a 甲第7号証について
上記3(1)イにおいて摘記した事項によれば、甲第7号証には、ベッドに寝たきりの被介護者の入浴の介護作業を介護者一人で容易に行える様にした介護用入浴システムに用いるリフト装置に関し、以下の事項(以下「甲7技術」という。)が記載されていると認められる。
「水洗便器(9)にセットされる便座(12)がリフト装置(5)のリフター(5A)に着脱可能に構成され、リフト装置(5)を水洗便器(9)まで移動し、便座(12)を水洗便器(9)上に位置合わせし、便座(12)を下降させて水洗便器(9)に重ね、被介護者(M)に排便させ、用便後には、便座(12)と共に被介護者(M)を所定高さまで上昇させ、この状態で被介護者(M)のお尻を拭くこと。」

b 甲7技術の適用について
甲7技術は、便座(12)を水洗便器(9)上に位置合わせし、便座(12)を下降させて水洗便器(9)に重ね、被介護者(M)に排便させるものであるから、甲7技術を甲5発明に適用した場合、当業者は、便座(12)を下降させて水洗便器(9)に重ねた状態で、便器上に設けられている穴(w)を通じて便器内に伸入した可動クリップ(a)が掴んだトイレットペーパー(4)により被介護者(M)のお尻を拭くよう構成することを着想すると認められる。
そもそも、甲7技術は、甲5発明のような機械式拭き取り装置の設置を前提とするものではないから、用便後に、便座(12)と共に被介護者(M)を所定高さまで上昇させ、被介護者(M)のお尻を拭く必要があると認められるところ、甲7技術を甲5発明に適用した場合には、上記の如く、便座(12)を下降させて水洗便器(9)に重ねた状態で被介護者(M)のお尻を拭くことができ、用便後に、お尻を拭くために便座(12)を上昇させる必要はなくなる。
また、甲7技術のリフト装置(5)に設けられる便座(12)は、水洗便器(9)に常設されるものでもない。
してみると、甲5発明に甲7技術を適用することにより、腰掛便器(1)上に設けられている穴(w)に代えて、便座昇降部によって便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して、拭き取りアームが移動するよう構成すること、すなわち上記相違点1に係る本件特許発明2の構成とすることが、当業者にとって容易に想到できたとはいえない。

c 甲第8号証について
上記3(1)ウにおいて摘記した事項によれば、甲第8号証には、ポータブルトイレに関し、以下の事項(以下「甲8技術」という。)が記載されていると認められる。
「介護者が、排便後被介護者を中腰の姿勢にさせることなく、被介護者のおしり及び局部を洗浄または拭けるように、座部3が昇降して、汚物を受ける容器6と座部3との間に、介護者が手を入れられる隙間を設けることのできるポータブルトイレ1。」

d 甲8技術の適用について
甲8技術は、介護者が、排便後被介護者を中腰の姿勢にさせることなく、被介護者のおしり及び局部を洗浄または拭けるように、座部3が昇降して、汚物を受ける容器6と座部3との間に、介護者が手を入れられる隙間を設けることのできるようにしたものであって、甲5発明のような機械式拭き取り装置の設置を前提とするものではない。
他方、甲5発明の機械式拭き取り装置(5)は、便器上に設けられている穴(w)を通じて便器内に伸入した可動クリップ(a)が掴んだトイレットペーパー(4)により被介護者(M)のお尻を拭くものであるから、排便後被介護者を中腰の姿勢にさせることなく、被介護者のおしり及び局部を拭けるものであるから、甲5発明において、甲8技術の昇降する座部3を適用する動機付けはなく、仮に適用したとしても腰掛便器(1)上に設けられている穴(w)に代えて、便座昇降部によって便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して、拭き取りアームが移動するよう構成すること、すなわち上記相違点1に係る本件特許発明2の構成とすることが、当業者にとって容易に想到できたとはいえない。

e 甲第9号証について
上記3(1)エにおいて摘記した事項によれば、甲第9号証には、身体障害者や高齢者が便器に腰を下ろしたり、そこから立ち上がったりするときに、それらの動きを補助ないし介助するために便座を動力で昇降し、かつ上下動に応じて便座を水平状態と前傾状態との間で傾動させる装置に関し、以下の事項(以下「甲9技術」という。)が記載されていると認められる。
「便器本体1の左右の側方に、右側の昇降ユニット3および左側の昇降ユニット4がそれぞれ配置され便座昇降装置A。」

f 甲9技術の適用について
甲9技術の便座昇降装置Aは、便座が便器本体の上面に達した状態で排便するものと認められるから(上記3(1)エ(ウ)を参照。)、甲9技術を甲5発明に適用した場合、当業者は、便座が便器本体の上面に達した状態で、便器上に設けられている穴(w)を通じて便器内に伸入した可動クリップ(a)が掴んだトイレットペーパー(4)により臀部を拭き取るよう構成することを着想すると認められる。
他方、甲9技術の便座昇降装置Aは、身体障害者や高齢者が便器に腰を下ろしたり、そこから立ち上がったりするときに、それらの動きを補助ないし介助するためのものであって、甲第9号証には、便座と便器本体の隙間を介して拭き取りアームを移動させることを示唆する記載はない。また、甲7技術及び甲8技術のように、便座を上昇させ、被介護者のお尻を拭く隙間を設けることが公知であることを踏まえても、上記b及びdにおいて検討したように、甲7技術及び甲8技術は、甲5発明のような機械式拭き取り装置の設置を前提とするものではなく、甲5発明に甲9技術を適用した際に、便器と便座との間隙を介して、拭き取りアームが移動するよう構成することの動機付けとなるものとはいえない。
してみると、甲5発明に甲9技術を適用することにより、腰掛便器(1)上に設けられている穴(w)に代えて、便座昇降部によって便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して、拭き取りアームが移動するよう構成すること、すなわち上記相違点1に係る本件特許発明2の構成とすることが、当業者にとって容易に想到できたとはいえない。

(イ)請求人の主張について
請求人は、甲第7号証及び甲第8号証には、介護者が便器と便座との間隙に介護者の腕を差し込み、手に持ったトイレットペーパーで被介護者のお尻を拭くことが記載されており、この記載が、甲5発明に甲9技術を適用した際に、便座と便器本体の隙間を介して拭き取りアームを移動させることの動機づけとなる旨主張するが、上記fにおいて検討したとおりであって、請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、穴Wが設けられた便器は、穴Wが設けられていない汎用の便器と比較して、格段に生産コストが高額となるから、当業者は、穴Wが設けられていない汎用の便器の使用を真っ先に検討するはずである旨主張する。
しかし、穴Wの有無で生産コストが大きく異なるかは不明であるが、仮に便器に穴Wが設けられていない方が生産コストが低いとしても、甲5発明は、そのようなことも踏まえた上で、便器に穴Wを設け、その穴Wを通して拭き取りアームを移動させることにより機械式で臀部を拭き取ることができるようにしたものであるから、便器に穴Wを設けないものとすることは、当業者であっても想起し得ないといえる。よって、請求人の主張は採用できない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明2は、甲第5号証と甲第7号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第8号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第9号証に記載された発明、あるいは、甲第5号証と甲第8号証と甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本件特許発明1について
本件特許発明1は、実質的に、本件特許発明2の発明特定事項を全て備え、さらに、「便座を昇降させる便座昇降装置と一緒に用いられ」ることを限定したものであるといえる。
してみると、上記(2)のとおり、本件特許発明2は、甲第5号証と甲第7号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第8号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第9号証に記載された発明、あるいは、甲第5号証と甲第8号証と甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件特許発明1も同様に、甲第5号証と甲第7号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第8号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第9号証に記載された発明、あるいは、甲第5号証と甲第8号証と甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)本件特許発明15について
続いて、本件特許発明15の進歩性欠如について検討する。
ア 対比
本件特許発明15と甲5発明とを対比すると以下のとおりである。
(ア)甲5発明の「機械式拭き取り装置(5)」は、「ペーパーケース(3)内のトイレットペーパー(4)を一枚掴んで」、「人体の関連部位を拭き取るものであ」るから、本件特許発明15の「トイレットペーパーで臀部を拭く」「臀部拭き取り装置」に相当する。

(イ)甲5発明は、「可動クリップ(a)が可動プルロッド(f)のソレノイド吸着装置(k)の吸着連動によりペーパーケース(3)内のトイレットペーパー(4)を一枚掴んで」、「可動クリップ(a)、クリップパッド(c)、中空シャフト(d)、回転可能なピストンロッド(e)」が「腰掛便器(1)の便器空間内に伸入」するから、甲5発明の「『可動クリップ(a)』、『スプリング(b)』、『クリップパッド(c)』、『中空シャフト(d)』、『ピストンロッド(e)』及び『可動プルロッド(f)』」は、本件特許発明15の「臀部を拭き取る位置まで」「移動させ」られる、「トイレットペーパーを取り付けるための」「拭き取りアーム」に相当する。

(ウ)甲5発明は、「可動クリップ(a)、クリップパッド(c)、中空シャフト(d)、回転可能なピストンロッド(e)」が「回転可能なピストンロッド(e)の連動により」、「腰掛便器(1)の腰掛便器空間内に伸入」するから、甲5発明の「『シリンダ(g)』及び『ピストン(h)』」は、本件特許発明5の「臀部を拭き取る位置まで前記拭き取りアームを移動させる」「拭き取りアーム駆動部」に相当する。

(エ)以上によれば、両者は以下の点で一致する。
<一致点>
「トイレットペーパーで臀部を拭く臀部拭き取り装置であって、
前記トイレットペーパーを取り付けるための拭き取りアームと、
前記臀部を拭き取る位置まで前記拭き取りアームを移動させる拭き取りアーム駆動部とを備えた、臀部拭き取り装置。」

(オ)他方、両者は以下の点で相違する。
<相違点A>
本件特許発明15は、便座昇降装置により便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して、拭き取りアームが移動するのに対し、甲5発明では、腰掛便器(1)上に設けられている穴(w)を通じて、拭き取りアームが移動する点。

イ 判断
上記相違点Aについて検討すると、相違点Aは、実質的に相違点1と同じであって、上記「(2)イ(ア)」のとおり、甲5発明に甲7技術、甲8技術ないし甲9技術を適用することにより、相違点1に係る構成とすることが、当業者にとって容易に想到できたとはいえないから、同様に、相違点Aも、甲5発明に甲7技術、甲8技術ないし甲9技術を適用することにより、相違点Aに係る構成とすることが、当業者にとって容易に想到できたとはいえない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明15は、甲第5号証と甲第7号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第8号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第9号証に記載された発明、あるいは、甲第5号証と甲第8号証と甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(5)本件特許発明23、25及び29について
本件特許発明23、25及び29は、本件特許発明15を引用し、さらに構成を付加したものであって、本件特許発明15の特定事項をすべて含むものである。
してみると、上記(4)のとおり、本件特許発明15は、甲第5号証と甲第7号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第8号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第9号証に記載された発明、あるいは、甲第5号証と甲第8号証と甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件特許発明23、25及び29は、甲第5号証と甲第7号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第8号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第9号証に記載された発明、あるいは、甲第5号証と甲第8号証と甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないことは明らかである。

(6)本件特許発明30について
本件特許発明30は、本件特許発明1、2または15を引用し、さらに構成を付加したものであって、本件特許発明1、2または15の特定事項をすべて含むものである。
してみると、上記(1)、(2)及び(4)のとおり、本件特許発明1、2及び15は、甲第5号証と甲第7号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第8号証に記載された発明、甲第5号証と甲第7号証と甲第9号証に記載された発明、あるいは、甲第5号証と甲第8号証と甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件特許発明30は、甲第5号証と甲第7号証と甲第9号証に記載された発明、あるいは、甲第5号証と甲第8号証と甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないことは明らかである。

(5)無効理由3(進歩性欠如)についてのむすび
よって、本件特許発明1、2、15、23、25、29及び30の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとすることはできない。


第8 むすび
以上のとおりであるから、審判請求人の主張する無効理由によっては、本件特許発明の特許を無効とすることはできない。
審判費用については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
臀部拭き取り装置及びそれを用いた温水洗浄便器
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器周辺の機器に関し、より特定的には、臀部の汚れや水滴を拭き取ることができる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温水洗浄便器は、温水を臀部に噴射して、臀部を自動的に洗浄することができる。温水洗浄便器を用いれば、腰を上げずに、臀部を洗浄することができるので、高齢者や体が不自由な者などにとっては、非常に有用である。ところが、温水洗浄便器を用いた場合、臀部に水滴が残ってしまう。そのため、腰を上げて、臀部と便座との間に間隙を設け、手に持ったトイレットペーパーで、水滴を拭き取る必要がある。しかし、腰を上げて、臀部と便座との間に間隙を設ける作業は、高齢者や体が不自由な者などにとっては、困難である。
【0003】
水滴の拭き取り作業を容易にするための装置として、下記のような装置が提案されている。
【0004】
特許文献1には、和式トイレで使用する装置であるが、肛門についた水滴を筒状操作杆の先端に取り付けられた花弁型拭取紙で拭き取るための装置が提案されている。
【0005】
特許文献2には、洋式トイレで使用する装置が提案されている。特許文献1と同様、特許文献2には、肛門についた水滴を筒状操作杵の先端に取り付けた花弁型拭取紙で拭き取るための装置が提案されている。特許文献2に記載の装置を用いれば、臀部と便座との間にできた狭い空間に、棒状の当該装置を挿入して、臀部に付いた水滴を拭き取ることができる。狭い空間に棒状の当該装置を挿入すれば良いだけであるので、水滴の拭き取り作業が容易となる。
【0006】
特許文献3には、腹痛、膝、腰の弱い人や病人、便器から容易に立ち上がれない人のために、便座本体を傾斜させることによって、容易に立ち上がるようにする装置が提案されている。また、特許文献3の段落0007には、傾斜を作って中腰にすることによって、トイレットペーパーの使用が容易になることが記載されている。
【0007】
なお、便座を傾斜させて、立ち上がりを容易にするための装置は、特許文献4?7にも開示されている。また、水滴の拭き取りとは直接関係はないが、トイレットペーパーを自動で巻き取ることができる装置が、特許文献8に開示されている。
【0008】
【特許文献1】登録実用新案第2546962号公報
【特許文献2】登録実用新案第3024055号公報
【特許文献3】実開平7-24322号公報
【特許文献4】特開平10-174666号公報
【特許文献5】特開2005-66001号公報
【特許文献6】特開2006-68391号公報
【特許文献7】特開2006-122183号公報
【特許文献8】特開平4-367636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の装置は、和式トイレに用いるものであり、洋式トイレに使うことはできない。無理に、洋式トイレに使ったとしても、臀部を便座から上げなければならず、高齢者や体が不自由な者などにとっては、依然、水滴や汚れの拭き取り作業が困難である。
【0010】
特許文献2に記載の装置であったとしても、ある程度は、臀部を便座から上げなければならず、やはり、高齢者や体が不自由な者などにとっては困難である。
【0011】
特許文献3?7に記載の装置のように、便座を斜めに傾ければ、中腰状態となるので、水滴や汚れを拭き取る際、臀部を便座から上げやすくなる。しかし、臀部と便座との間に、巻き取ったトイレットペーパーを手で持ちながら入れて、水滴や汚れを拭き取らなければならいことに変わりはない。この際、臀部を便座から離した状態をある一定時間維持しなければならない。このように離した状態をある一定時間維持することが、高齢者や体が不自由な者などにとっては困難である。
【0012】
温風によって、水滴を乾かすという温水洗浄便器も存在する。しかし、トイレットペーパーで、しっかり水滴や汚れを拭き取りたいというニーズが存在することは否定できない。さらに、温風による乾燥には、時間がかかるという問題も存在する。
【0013】
このように、従来の装置は、いずれも、高齢者や体が不自由な者などにとって、完全に、水滴や汚れの拭き取り作業を容易にしていたとは言い難い。便座に座ったままの状態で、すなわち、臀部と便座とが接したままの状態で、水滴や汚れを拭き取ることができれば、従来に比べ、格段と、水滴や汚れの拭き取り作業が楽になる。
【0014】
それゆえ、本発明の目的は、便座に座ったままの状態で、水滴や汚れの拭き取り作業を行うことができる臀部拭き取り装置及びそれを用いた温水洗浄便器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、便座を昇降させる便座昇降装置と一緒に用いられ、トイレットペーパーで臀部を拭く臀部拭き取り装置であって、トイレットペーパーを取り付けるための拭き取りアームと、便座昇降部によって便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して、便座の排便用開口から拭き取りアームに取り付けられたトイレットペーパーが露出するように、拭き取りアームを駆動させる拭き取りアーム駆動部とを備える。また、本発明は、トイレットペーパーで臀部を拭く臀部拭き取り装置であって、便座を昇降させる便座昇降部と、トイレットペーパーを取り付けるための拭き取りアームと、便座昇降部によって便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して、便座の排便用開口から拭き取りアームに取り付けられたトイレットペーパーが露出するように、拭き取りアームを駆動させる拭き取りアーム駆動部とを備える。
【0016】
本発明に係る臀部拭き取り装置は、便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して、拭き取りアームに取り付けられたトイレットペーパーを露出させることができる。トイレットペーパーが露出した状態で、臀部をユーザ自らが揺すり動かして水滴や汚れを拭き取っても良いし、後述のように自動で拭き取りアームを駆動するようにして水滴や汚れを拭き取っても良い。いずれにせよ、本発明によれば、便座に座ったままの状態で、水滴や汚れの拭き取り作業を行うことが可能となる。
【0017】
好ましくは、トイレットペーパーを巻き取るトイレットペーパー巻き取り部をさらに備え、拭き取りアームは、トイレットペーパー巻き取り部によって巻き取られたトイレットペーパーをつかみ取ることによって、トイレットペーパーを取り付けるとよい。
【0018】
これにより、ユーザがわざわざトイレットペーパーを巻き取って、拭き取りアームに取り付けるといった手間を省くことができ、有用である。
【0019】
好ましくは、トイレットペーパー巻き取り部は、鉛直下方向にトイレットペーパーを送り出すトイレットペーパー送り出し部と、トイレットペーパー送り出し部によって送り出されたトイレットペーパーを筒状に巻き取る筒状巻き取り部とを含み、拭き取りアームは、筒状巻き取り部によって筒状に巻き取られたトイレットペーパーをつかみ取るとよい。
【0020】
これにより、既存のトイレットペーパーを用いて、拭き取りアームに巻き取られたトイレットペーパーを取り付けることができる。
【0021】
好ましくは、拭き取りアームは、トイレットペーパーが巻き取られる前から、筒状巻き取り部の回転中心部に配置されており、筒状巻き取り部は、拭き取りアームの外周をトイレットペーパーが覆うように、トイレットペーパーを筒状に巻き取り、拭き取りアームは、外周に巻き取られた筒状のトイレットペーパーをつかみ取るとよい。
【0022】
これにより、拭き取りアームにおける水滴や汚れの拭き取り面は、トイレットペーパーに覆われることとなり、直接、拭き取りアームに水滴や汚れが付着するのを防止することができるので、衛生的である。
【0023】
好ましくは、拭き取りアームは、少なくとも二つの挟み部材を含み、拭き取りアームは、筒状巻き取り部が筒状に巻き取ったトイレットペーパーの中心部分に、一方の挟み部材を挿入し、他方の挟み部材をトイレットペーパーの外部から挟むことによって、トイレットペーパーをつかみ取るとよい。
【0024】
これにより、拭き取りアームにおける水滴や汚れの拭き取り面は、トイレットペーパーに覆われることとなり、直接、拭き取りアームに水滴や汚れが付着するのを防止することができるので、衛生的である。
【0025】
筒状巻き取り部は、複数の棒状部材を含み、トイレットペーパー送り出し部は、複数の棒状部材の内側に、トイレットペーパーが垂れ下がるように、トイレットペーパーを送り出すとよい。
【0026】
これにより、拭き取りアームにおける水滴や汚れの拭き取り面をトイレットペーパーで覆うための機構が一例として提供される。
【0027】
好ましくは、トイレットペーパー送り出し部は、回転するベルトによって、トイレットペーパーを送り出すとよい。
【0028】
これにより、柔らかいトイレットペーパーであったとしても、適切に送り出されることとなり、様々な種類のトイレットペーパーに対応可能である。
【0029】
好ましくは、拭き取りアーム駆動部は、サーボモータを有する少なくとも1つの関節部を含み、先端に拭き取りアームを取り付けることによって、拭き取りアームの動きを制御するとよい。
【0030】
サーボモータによる駆動によって、拭き取りアームを正確な位置に移動させることができる。臀部は、非常にデリケートである。したがって、拭き取りアームを正確な位置に移動させることは、怪我などの事故を防止するためには、有用である。
【0031】
好ましくは、拭き取りアーム駆動部は、拭き取り時、拭き取りアームが反復運動するように、拭き取りアームを駆動させるとよい。
【0032】
このような反復運動によって、しつこい水滴や汚れを拭き取ることができる。また、たとえ、汚れていなかったとしても、拭き取ったという実感をユーザに与えることができる。
【0033】
好ましくは、拭き取りアーム駆動部は、ユーザからの位置調整指示に応じて、拭き取りアームの位置を調整するように、少なくとも1つの関節部を駆動させるとよい。
【0034】
これにより、ユーザの好みの位置で、水滴や汚れを拭き取ることができ、拭き取ったという実感をユーザに与えることができる。
【0035】
好ましくは、位置調整指示に応じて少なくとも1つの関節部を駆動させたときの回動量に関する情報を記憶するための記憶部をさらに備え、拭き取りアーム駆動部は、記憶部によって記憶されている情報に基づいて、少なくとも1つの関節部を駆動させるとよい。
【0036】
これにより、ユーザの好みの位置での拭き取りを再現することが可能となる。
【0037】
好ましくは、拭き取りアーム駆動部は、拭き取りアームが排便用開口から露出している場合に、位置調整指示による制御を受け付けるとよい。
【0038】
これにより、拭き取りアームが不必要にユーザによって動かされることを防止することができ、結果、誤動作や故障、事故などを防止することができる。
【0039】
好ましくは、便座昇降部は、便座を昇降させるためのジャッキ部と、ジャッキ部の動きによって、便座を持ち上げるための土台となる堅固部材とを含み、堅固部材は、その全部又は一部が着脱可能であるとよい。
【0040】
これにより、堅固部材を容易に掃除することができ、衛生的である。
また、本発明は、トイレットペーパーで臀部を拭く臀部拭き取り装置であって、
トイレットペーパーを取り付けるための拭き取りアームと、
臀部を拭き取る位置まで拭き取りアームを移動させる拭き取りアーム駆動部とを備え、
拭き取りアーム駆動部は、便座昇降装置により便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して、拭き取りアームを移動させることを特徴とする。
好ましくは、拭き取りアームは、巻き取られたトイレットペーパーを取り付けるとよい。
好ましくは、トイレットペーパーを巻き取るトイレットペーパー巻き取り部をさらに備え、
拭き取りアームは、トイレットペーパー巻き取り部によって巻き取られたトイレットペーパーをつかみ取ることによって、トイレットペーパーを取り付けるとよい。
好ましくは、トイレットペーパー巻き取り部は、
鉛直下方向にトイレットペーパーを送り出すトイレットペーパー送り出し部と、
トイレットペーパー送り出し部によって送り出されたトイレットペーパーを筒状に巻き取る筒状巻き取り部とを含み、
拭き取りアームは、筒状巻き取り部によって筒状に巻き取られたトイレットペーパーをつかみ取るとよい。
好ましくは、拭き取りアームは、トイレットペーパーが巻き取られる前から、筒状巻き取り部の回転中心部に配置されており、
筒状巻き取り部は、拭き取りアームの外周をトイレットペーパーが覆うように、トイレットペーパーを筒状に巻き取り、
拭き取りアームは、外周に巻き取られた筒状のトイレットペーパーをつかみ取るとよい。
好ましくは、拭き取りアームは、少なくとも二つの挟み部材を含み、
拭き取りアームは、筒状巻き取り部が筒状に巻き取ったトイレットペーパーの中心部分に、一方の挟み部材を挿入し、他方の挟み部材をトイレットペーパーの外部から挟むことによって、トイレットペーパーをつかみ取るとよい。
好ましくは、筒状巻き取り部は、複数の棒状部材を含み、
トイレットペーパー送り出し部は、複数の棒状部材の内側に、トイレットペーパーが垂れ下がるように、トイレットペーパーを送り出すとよい。
好ましくは、トイレットペーパー送り出し部は、回転するベルト部によって、トイレットペーパーを送り出すとよい。
好ましくは、さらに、拭き取りアーム駆動部の動作を制御する制御部を備え、
制御部は、拭き取りアーム駆動部に、トイレットペーパーが取り付けられている拭き取りアームを便座の排便用開口まで移動させ、臀部を拭き取りアームに拭き取らせ、拭き取りアームを元の位置まで戻させるとよい。
好ましくは、制御部は、ユーザによって無線で制御されるとよい。
好ましくは、さらに、拭き取りアーム駆動部の動作を制御する制御部を備え、
制御部は、ユーザからの指示に応じて、拭き取りアーム駆動部の動作を制御するとよい。
好ましくは、ユーザからの指示に応じて制御された拭き取りアーム駆動部の動作を記憶する記憶部とを備え、
制御部は、記憶部に記憶されている情報に従って、拭き取りアーム駆動部の動作を制御するとよい。
好ましくは、さらに、拭き取りアーム駆動部の動作を制御する制御部を備え、
制御部は、拭き取りアーム駆動部を制御して拭き取りアームに臀部を拭き取らせた後、再度、拭き取りアーム駆動部を制御して拭き取りアームに臀部を拭き取らせるとよい。
好ましくは、制御部は、ユーザの指示に応じて、再度、拭き取りアーム駆動部を制御して拭き取りアームに臀部を拭き取らせるとよい。
好ましくは、さらに、
拭き取りアーム駆動部の動作を制御する制御部と、
複数の指示スイッチ部とを備え、
制御部は、押下された指示スイッチ部に対応する動作を行うように、拭き取りアーム駆動部を制御するとよい。
【0041】
本発明に係る臀部拭き取り装置は、温水洗浄便器に適用可能である。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して、拭き取りアームに取り付けられたトイレットペーパーを露出させることができる。トイレットペーパーが露出した状態で、臀部をユーザ自らが揺すり動かして水滴や汚れを拭き取っても良いし、自動で拭き取りアームを駆動するようにして水滴や汚れを拭き取っても良い。いずれにせよ、本発明によれば、便座に座ったままの状態で、水滴や汚れの拭き取り作業を行うことが可能となる。さらに、トイレットペーパーが拭き取りアームに自動的に巻き取られるので、ユーザがわざわざトイレットペーパーを巻き取って、拭き取りアームに取り付けるといった手間を省くことができる。本発明は、トイレットペーパーを自動で巻き取って、さらに、拭き取りアームを自動で駆動して水滴や汚れを拭き取るようにすることができるので、完全に座ったままの状態で、水滴や汚れを拭き取ることができる。拭き取りアームには、外側からトイレットペーパーが巻き付けられている状態になるので、衛生的である。また、デリケートな動きを実現するために、サーボモータによって、拭き取りアームの動きが制御されているので、事故等を防止することができる。また、本発明によれば、拭き取りアームの位置調整も可能であり、ユーザの好みに応じた拭き取りが実現される。このように、本発明は、高齢者や体の不自由な方にとって、非常に易しく機能するよう、あらゆる面で工夫されており、極めて有用である。
【0043】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
(第1の実施形態)
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係る温水洗浄便器100の構成を示す図である。温水洗浄便器100は、便器1と、堅固部材2と、便座3と、ジャッキ部4と、拭き取りアーム駆動部5と、拭き取りアーム55と、トイレットペーパー6と、ペーパーホルダー7と、タンク部8と、スイッチ部9と、保護ケース10と、温水噴射部11とを備える。
【0045】
図3は、温水洗浄便器100について、便器1、堅固部材2、及び便座3の分解斜視図である。図3に示すように、便器1の上に、金属板等からなる堅固部材2が配置される。堅固部材2は、便座3が開閉可能なように、止め穴2a及び2bを介して、ボルト等で便座3に固定されている。堅固部材2は、図1に示すように、便器1及び便座3に設置された状態において、取付部4bが便器1及び便座3から突出するような大きさを有している。
【0046】
図1及び2に示すように、取付部4bには、ジャッキ部4の先端部分が回動可能に取り付けられている。堅固部材2は、ジャッキ部4が昇降した際に、人の荷重が便座3を介して、加えられていたとしても、それ自身及び便座3を破壊しない程度の強度を有している。ジャッキ部4が昇降した場合、取付部4bに取り付けられた先端部分が回動しながら、堅固部材2及び便座3が傾斜するように昇降する。このように、ジャッキ部4及び堅固部材2は、便座3を昇降させるための便座昇降部として機能する。
【0047】
堅固部材2及び便座3が上昇したときに生じる便器1と便座3との間隙12から、拭き取りアーム駆動部5によって操作された拭き取りアーム55が出てくる。拭き取りアーム55は、便座3に設けられた排便用開口3aから露出する。拭き取りアーム55には、筒状トイレットペーパー13が取り付けられている。拭き取りアーム55は、拭き取りアーム駆動部5によって、動きが制御される。拭き取りアーム55が動くことにより、筒状トイレットペーパー13は、臀部の水滴や汚れを拭き取る。
【0048】
拭き取りアーム駆動部5及び拭き取りアーム55は、未使用時、保護ケース10に収納されている。堅固部材2及び便座3が上昇したときに生じる便器1と便座3との間隙12を介して、拭き取りアーム55が出ることができるように、保護ケース10は、少なくとも間隙12に対応する部分に開口部12aを有する。
【0049】
図4Aは、便座3が水平の場合の側面概略図である。図4Bは、便座3が斜めに上昇した場合の側面概略図である。ジャッキ部4は、モーター等で駆動する電動式ジャッキや、油圧式ジャッキ等である。ジャッキ部4は、図示しない制御部からの指示に応じて、伸縮棒4aを伸縮させる。伸縮棒4aの先端は、堅固部材2に設けられた取付部4bを介して、回動可能に取り付けられている。図4Bに示すように、伸縮棒4aが伸びると、取付部4bの部分が回動して、便座3及び堅固部材2が傾斜するように上昇する。上昇後、便座3と便器1との間にできた間隙12から、筒状トイレットペーパー13が取り付けられた拭き取りアーム55が便器3の排便用開口3aから露出する。拭き取りアーム55は、拭き取りアーム駆動部5の制御によって、所定の動作を行い、臀部の水滴や汚れを拭き取る。
【0050】
図5は、保護ケース10に収納されている臀部拭き取り装置110の詳細を示す図である。図5において、臀部拭き取り装置110は、拭き取りアーム駆動部5と、拭き取りアーム55と、筒状巻き取り部51と、トイレットペーパー送り出し部52と、保護カバー17とを備える。拭き取りアーム駆動部5は、第1の関節部5aと、第1の腕部5bと、第2の関節部5cと、第2の腕部5dと、第3の関節部5eと、第3の腕部5fと、第4の関節部5gと、第4の腕部5hと、第5の関節部5iと、第5の腕部5jと、第6の関節部5kと、第6の腕部5lとを含む。第1?第6の関節部5a,5c,5e,5g,5i,5kは、それぞれ、制御部(図示せず)からの制御に応じて、回転数を制御することができる第1?第6のサーボモータを含む。図5上、第1?第6のサーボモータの回転軸の回転方向を矢印で示す。
【0051】
第1の関節部5aは、鉛直垂直方向の軸を有する第1のサーボモータを含み、第1の腕部5bを、鉛直水平方向に回動させることができる。第2の関節部5cは、鉛直水平方向の軸を有する第2のサーボモータを含み、第2の腕部5dを、鉛直垂直方向に回動させることができる。第3の関節部5eは、鉛直水平方向の軸を有する第3のサーボモータを含み、第3の腕部5fを、鉛直垂直方向に回動させることができる。第4の関節部5gは、鉛直水平方向の軸を有する第4のサーボモータを含み、第4の腕部5hを、鉛直垂直方向に回動させることができる。第5の関節部5iは、鉛直水平方向の軸を有する第4のサーボモータを含み、第5の腕部5jを、鉛直垂直方向に回動させることができる。第6の関節部5kは、鉛直水平方向の軸を有する第6のサーボモータを含み、第6の腕部5lを、当該軸を中心に回動させることができる。
【0052】
第6の腕部5lの先端には、拭き取りアーム55が取り付けられている。拭き取りアーム55は、第1の挟み部材5mと、第2の挟み部材5pと、第7の関節部5nとを含む。第1の挟み部材5mにおいて、トイレットペーパー6が取り付けられる先端部分は、略円筒状の形状を有している。なお、当該先端部分の形状はどのような形状であってもよいが、好ましくは、臀部へ易しくフィットするような形状が好ましい。第1の挟み部材5mの第6の腕部5l側は、棒状になっている。第1の挟み部材5mは、第6の腕部5lに固定的に取り付けられている。
【0053】
第2の挟み部材5pは、断面が湾曲した棒状部材である。第7の関節部5nは、第2の挟み部材5pの一端を回動可能に取り付ける第7のサーボモータを含む。第7のサーボモータは、鉛直水平方向の軸を有する。第7のサーボモータによって、第2の挟み部材5pは、鉛直垂直方向に回動可能である。
【0054】
トイレットペーパー送り出し部52は、送り出しモータ部18と、ローラー部19と、回転軸22と、支持部23と、挟みモータ部20と、挟み棒21とを含む。なお、図5において、理解しやすくするために、挟みモータ部20及び挟み棒21は、少し紙面上方向にずらして記載している。送り出しモータ部18は、図示しない制御部からの制御に応じて、回転数が制御されるサーボモータを含む。当該サーボモータの軸は、回転軸22と連結されている。回転軸22は、ローラ部19の中心に取り付けられている。回転軸23は、トイレットペーパー6を保護するための保護カバー17に取り付けられた支持部23によって支持されている。
【0055】
挟みモータ部20は、図示しない制御部からの制御に応じて、回転数が制御されるサーボモータを含む。当該サーボモータの軸は、挟み棒21の支持部分と連結されている。挟みモータ部20のサーボモータを回転させることによって、挟み棒21を、ローラー部19側に密着させることができる。ペーパーホルダー7から送り出されたトイレットペーパー6は、挟み棒21と、ローラー部19との間に通される。挟み棒21をローラー部19側に密着させ、ローラ部19を回転させることによって、トイレットペーパー6を保護カバー17内を介して、筒状巻き取り部51側に送り出すことができる。
【0056】
筒状巻き取り部51は、巻き取りモータ部14と、円盤部材15と、第1?第3の棒状部材15a,15b,15cとを含む。巻き取りモータ部14は、図示しない制御部からの制御に応じて、回転数が制御されるサーボモータを含む。当該サーボモータの軸は、円盤部材15の中心に連結されている。第1?第3の棒状部材15a,15b,15cは、円盤部材15の外縁付近に、ほぼ均等に配置されるように、直立して連結されている。なお、第1?第3の棒状部材15a,15b,15cは、堅固な部材であってもよいし、ピアノ線のように弾性部材であってもよい。
【0057】
図6A?図6Cは、筒状巻き取り部51がトイレットペーパー6を巻き取る様子を示す図5におけるA-A断面図である。第1の挟み部材5mは、トイレットペーパー6を巻き取る初期段階において、円盤部材15の略中心部分に位置するように、拭き取りアーム駆動部5によって配置されている。また、第2の挟み部材5pは、開いた状態となっている。開いた状態において、第2の挟み部材5pは、円板部材15の外側に位置している。
【0058】
図6Aに示すように、トイレットペーパー送り出し部52から送り出されたトイレットペーパー6は、第3の棒状部材15cと第1の挟み部材5mとの間に送り込まれる。そのために、トイレットペーパー送り出し部52と筒状巻き取り部51とは、適切な位置に配置されている。図6Aに示すように、トイレットペーパー6が筒状巻き取り部51に送り込まれた後、挟み棒21は、挟みモータ部20によって、開かれ、ローラ部19から離される。
【0059】
次に、巻き取りモータ部14は、サーボモータを回転させる。これによって、円板部材15が回転し、図6Bに示すように、第1?第3の棒状部材15a,15b,15cに、トイレットペーパー6が筒状に巻き取られる。所定の回転量だけ円板部材15が回転した後、再び、挟み棒21が閉じられる。これによって、トイレットペーパー6を引っ張る力が、円板部材15の回転による力とは逆方向にかかることとなる。よって、トイレットペーパー6がちぎれて、図6Bに示すように、筒状に、トイレットペーパー6(13)が巻き取られることとなる。
【0060】
次に、第7の関節部5nは、第7のサーボモータを回転させて、第2の挟み部材5pを閉じる。これによって、図6Cに示すように、第1の挟み部材5mと第2の挟み部材5pとによって、筒状のトイレットペーパー6(13)が挟まれることとなる。
【0061】
図7及び図8は、筒状トイレットペーパー13を、拭き取りアーム駆動部5が間隙12まで運ぶ様子を示す図である。筒状トイレットペーパー13を拭き取りアーム55が挟んだ後、図7に示すように、拭き取りアーム駆動部5は、拭き取りアーム55を筒状巻き取り部51から抜き取るように、各関節部を制御して、拭き取りアーム55を後退させる。このときの各関節部の動作は、特に限定されるものではなく、可能な限りのあらゆる動作であってよい。この際、第1?第3の棒状部材15a,15b,15cを弾性部材とすることによって、筒状トイレットペーパー13の抜き取りが容易となるが、限定されるものではない。
【0062】
拭き取りアーム55を後退させた後、拭き取りアーム駆動部5は、図8に示すように、正面から見たときに拭き取りアーム55が間隙12の高さまで上がっているように、各関節部を制御する。
【0063】
拭き取りアーム55が間隙12の高さまで上がった後、第1の関節部5aが第1の腕部5bを便器1の方向に回動させて、拭き取りアーム55を間隙12から出す。その際、拭き取りアーム55が保護ケース10や便器1などと接触しないように、拭き取りアーム駆動部5は、適宜、各関節部を伸ばす方向に各関節部を制御する。そして、最終的には、拭き取りアーム駆動部5は、筒状トイレットペーパー13が取り付けられた拭き取りアーム55を、排便用開口3aから露出させる。図9は、間隙12を介して筒状トイレットペーパー13が取り付けられた拭き取りアーム55が排便用開口3aから露出している様子を示す図である。
【0064】
図10は、臀部の水滴や汚れを拭き取る様子を示す図である。なお、図10では、動きを分かりやすくするために、筒状トイレットペーパー13の記載は省略されている。拭き取りアーム55の露出後、第5の関節部5iは、拭き取りアーム55を上下に反復させるように回転する。これによって、臀部の水滴や汚れが筒状トイレットペーパーに付着する。次に、第6の関節部5kは、所定量回転して、拭き取りアーム55を少し傾ける。そして、第5の関節部5iは、再び拭き取りアーム55を上下に反復させるように回転する。その後、第6の関節部5kは、逆方向に所定量回転して、拭き取りアーム55を逆方向に少し傾ける。そして、同様に、第5の関節部5iは、再び拭き取りアーム55を上下に反復させるように回転する。これによって、水滴や汚れが付着していない筒状トイレットペーパー13の部分を有効に使いながら、臀部の水滴や汚れを拭き取ることができる。
【0065】
図11は、臀部拭き取り装置110の電気系統における機能的構成を示すブロック図である。図11において、図5に示したハード構成における部分と同一の部分については同一の参照符号を付す。図11において、臀部拭き取り装置110は、スタートスイッチ部9aと、ストップスイッチ部9bと、制御部111と、記憶部112と、ジャッキ部4と、挟みモータ部20と、送り出しモータ部18と、巻き取りモータ部14と、第1の関節部5aと、第2の関節部5cと、第3の関節部5eと、第4の関節部5gと、第5の関節部5iと、第6の関節部5kと、第7の関節部5nとを含む。スタートスイッチ部9a及びストップスイッチ部9bは、スイッチ部9に含まれており、有線又は無線で、制御部111と接続されている。記憶部112には、制御部111による臀部拭き取り装置110の制御に必要な情報が格納されている。
【0066】
図12及び図13は、臀部拭き取り装置110の動作を示すフローチャートである。以下、図12及び図13を参照しながら、臀部拭き取り装置110の動作について説明する。まず、スタートスイッチ部9aが操作され、動作の開始がユーザによって指示される。スタートスイッチ部9aが押下されると、制御部111は、ジャッキ部4を所定量だけ上昇させる(ステップS101)。これによって、便器と便座との間に、所定の間隙12が設けられる。当該所定量は、記憶部112に格納されており、制御部111は、記憶部112を参照して、当該所定量を認識する。当該所定量は、便座3が傾斜を有するように上昇され、かつ、傾斜によって、ユーザが危険を感じない程度の量である。たとえば、ジャッキ部4として、サーボモータを利用した電動式ジャッキが用いられている場合、当該所定量は、当該サーボモータの回転数で管理されている。以下、特に明記しない限り、所定量は、サーボモータの回転数を用いて、記憶部112に格納されているものとする。制御部111は、必要な所定量を記憶部112を参照して認識し、各サーボモータを制御するものとする。
【0067】
制御部111は、挟みモータ部20を所定量だけ回転させる(ステップS102)。これによって、挟み棒21が閉じる。当該所定量は、挟み棒21が閉じた場合に、挟み棒21とローラ部19とが密着する程度に設定されている。
【0068】
制御部111は、送り出しモータ部18を所定量だけ回転させる(ステップS103)。これによって、トイレットペーパー6が、筒状巻き取り部51まで届く。当該所定量は、図6Aに示すように、円板部材15の下部まで届く程度に設定されている。
【0069】
制御部111は、挟みモータ部20をステップS102の場合とは逆の方向に所定量だけ回転させる(ステップS104)。これによって、挟み棒21が開き、トイレットペーパー6のロックが解除された状態となる。当該所定量は、ペーパーホルダー7から垂れ下がるトイレットペーパー6を、挟み棒21とローラ部19との間に容易に挿入することができる程度の量である。
【0070】
制御部111は、巻き取りモータ部14を所定量だけ回転させる(ステップS105)。これによって、トイレットペーパー6が、第1?第3の棒状部材に筒状に巻き取られる。当該所定量は、水滴や汚れを拭き取った際に、水滴や汚れが第1の挟み部材5mにまで浸透しない程度に、筒状トイレットペーパー13がある程度の厚みを有するように、設定されている。
【0071】
制御部111は、挟みモータ部20を所定量だけ回転させる(ステップS106)。これによって、挟み棒21が閉じる。当該所定量は、挟み棒21が閉じた場合に、挟み棒21とローラ部19とが密着する程度に設定されている。
【0072】
制御部111は、巻き取りモータ部14を所定量だけ回転させる(ステップS107)。挟み棒21が閉じた状態となっているので、トイレットペーパー6がちぎれる。これによって、トイレットペーパー6が、筒状巻き取り部51によって筒状に巻き取られ、筒状トイレットペーパー13が得られることとなる。
【0073】
制御部111は、第7の関節部5nに含まれる第7のサーボモータを所定量だけ回転させる(ステップS108)。これにより、第2の挟み部材5pと第1の挟み部材5mとによって、筒状トイレットペーパー13がつかまれることとなる。当該所定量は、第2の挟み部材5pと第1の挟み部材5mとが密着する程度の量に設定されている。
【0074】
制御部111は、第2?第5の関節部5c,5e,5g,5iに含まれる第2?第5のサーボモータを所定量だけ回転させて、筒状トイレットペーパー13を筒状巻き取り部51から抜き取る(ステップS109)。当該所定量は、図5及び図7を比較すれば分かるように、筒状トイレットペーパー13を筒状巻き取り部51から抜き取ることができる程度に設定されている。たとえば、図7に示す例であれば、第2?第5のサーボモータについて、各所定量は、それぞれ、α度、β度、γ度、δ度となる。
【0075】
制御部111は、第2?第5の関節部5c,5e,5g,5iに含まれる第2?第5のサーボモータを所定量だけ回転させて、筒状トイレットペーパー13を間隙12まで運ぶ(ステップS110)。当該所定量は、図7及び図8を比較すれば分かるように、筒状トイレットペーパー13を開口部12aら覗くことができる程度に設定されている。たとえば、図8に示す例であれば、第2?第5のサーボモータについて、それぞれ、A度、B度、C度、D度となる。
【0076】
制御部111は、第1の関節部5aに含まれる第1のサーボモータを所定量だけ回転させて、筒状トイレットペーパー13を開口部12aから露出させる(ステップS111)。当該所定量は、筒状トイレットペーパーが開口部12aから露出する程度に設定されている。
【0077】
制御部111は、第2?第5の関節部5c,5e,5g,5iに含まれる第2?第5のサーボモータを所定量だけ回転させて、筒状トイレットペーパー13を排便用開口3aから露出させる(ステップS112)。当該所定量は、図9に示すように、各腕部が伸び、かつ、筒状トイレットペーパー13が排便用開口3aから露出するように、設定されている。
【0078】
制御部111は、第5の関節部5iに含まれる第5のサーボモータを所定量だけ正逆両方向に回転させることを所定回数だけ繰り返し、筒状トイレットペーパー13と臀部とを繰り返し接触させる(ステップS113)。これによって、臀部の水滴や汚れが拭き取られる。当該所定量は、筒状トイレットペーパー13が露出している位置と臀部の位置とを考慮して、筒状トイレットペーパー13が易しく臀部に接触して臀部を傷つけない程度に設定されている。
【0079】
制御部111は、第6の関節部5kに含まれる第6のサーボモータを所定量だけ回転させ、その後、第5のサーボモータを所定量だけ正逆両方向に回転させることを所定回数だけ繰り返す。制御部111は、第5のサーボモータを所定回数だけ正逆両方向に回転させたら、第6のサーボモータを逆方向に所定量だけ回転させて、同様に、第5のサーボモータを所定量だけ正逆両方向に回転させることを所定回数だけ繰り返す(ステップS114)。これによって、水滴や汚れが付着していない筒状トイレットペーパー13の部分を有効に用いて、水滴や汚れを拭き直すことができる。第6のサーボモータについての当該所定量は、第2の挟み部材5pが臀部に付着して不衛生とならないように設定されている。
【0080】
制御部111は、第5のサーボモータを下方向に所定量だけ回転させて、その後、第7のサーボモータを第2の挟み部材5pが開く方向に所定量だけ回転させて、筒状トイレットペーパー13を振り落とす(ステップS115)。これによって、筒状トイレットペーパー13が拭き取りアーム55からはずれることとなる。第5のサーボモータについての当該所定量は、第2の挟み部材5pが開いた時に、筒状トイレットペーパー13が落下する程度に拭き取りアーム55が傾くように設定されている。なお、ステップS115における回転動作を早く行うことによって、筒状トイレットペーパー13を確実に振り落とすことができる。
【0081】
次に、図13に示す動作に進む。制御部111は、第5のサーボモータを上方向に所定量だけ回転させる(ステップS116)。これによって、拭き取りアーム55が排便用開口3aから露出した状態に戻る。
【0082】
制御部111は、第2?第5のサーボモータを所定量だけ回転させて、拭き取りアーム55を排便用開口3aから縮退させる(ステップS117)。当該所定量は、ステップS112で用いた所定量と逆方向の量である。
【0083】
制御部111は、第1のサーボモータを所定量だけ回転させて、拭き取りアーム55を開口部12aに進入させる(ステップS118)。当該所定量は、ステップS111で用いた所定量と逆方向の量である。
【0084】
制御部111は、第2?第5のサーボモータをそれぞれ所定量だけ回転させて、拭き取りアーム55を筒状巻き取り部51まで運ぶ(ステップS119)。当該各所定量は、ステップS109で用いた所定量と逆方向の量である。
【0085】
制御部111は、ジャッキ部を所定量だけ下降させる(ステップS120)。当該所定量は、ステップS110で用いた所定量と逆方向の量である。これによって、便座3が元通りとなる。なお、ユーザは、便座3が傾斜している状況で起立することができるように、ステップS119とS120との間には、ある程度の待ち時間がある。また、ステップS120の動作の開始は、手動で行われても良い。
【0086】
なお、ステップS114の動作以降において、再度、スタートスイッチ部9aが操作された場合、制御部111は、ステップS119の後、ステップS120の動作に進まず、ステップS102の動作に戻る。これによって、再度の拭き取りが可能となる。
【0087】
なお、動作の途中で、ストップスイッチ部9bが操作された場合、制御部111は、動作を一時停止する。一時停止中に、再び、スタートスイッチ部9aが操作された場合、一時停止した状態から、制御部111は、動作を再開する。
【0088】
このように、第1の実施形態によれば、便座が上昇された際に生じる便器1と便座3との間隙12を介して、排便用開口3aから筒状トイレットペーパー13が露出され、臀部の水滴や汚れが拭かれる。従って、便座3に座ったままの状態で、水滴や汚れの拭き取り作業を行うことができる。
【0089】
また、第1の実施形態によれば、臀部拭き取り装置110は、トイレットペーパー6を自動的に巻き取るために、トイレットペーパー送り出し部52及び筒状巻き取り部51を含む。トイレットペーパー送り出し部52及び筒状巻き取り部51は、トイレットペーパー6を自動で巻き取るためのトイレットペーパー巻き取り部として機能する。第1の実施形態では、巻き取られたトイレットペーパーが、拭き取りアーム55によってつかみ取られる。よって、ユーザがわざわざトイレットペーパーを巻き取って、拭き取りアーム55に取り付けるといった手間を省くことができ、有用である。なお、本発明は、便座3に座ったままの状態で水滴や汚れを拭き取ることを第1目的としているので、拭き取りアーム55に手で巻き取ったトイレットペーパー6を取り付けてもよい。また、トイレットペーパー巻き取り部の構造は、実施形態に限定されるものではない。
【0090】
また、第1の実施形態では、図6A?図6Cに示したように、第1の挟み部材5mの周りにトイレットペーパー6が巻き取られていくので、拭き取り時に、第1の挟み部材5mに水滴や汚れが付着することを防止することができ、衛生的である。第1の挟み部材5mの周りにトイレットペーパー6が巻き取られる構造を実現するために、一例として、円板部材15に、第1?第3の棒状部材15a,15b,15cが直立して取り付けられている。
【0091】
また、図10に示したように、拭き取りアーム55が上下方向に反復して動作するので、水滴や汚れを確実に拭き取ることが期待できる。さらに、拭き取りアーム55が第6の関節部5kを中心に回動するので、余っている綺麗な筒状トイレットペーパー13の面を利用して、水滴や汚れを拭き取ることが期待できる。
【0092】
(第2の実施形態)
図14は、本発明の第2の実施形態に係る臀部拭き取り装置113の電気系統における機能的構成を示すブロック図である。図14において、第1の実施形態と同様の機能を有する部分については同一の参照符号を付し、説明を省略する。第2の実施形態では、前方向位置調整スイッチ部91と、後方向位置調整スイッチ部92と、上方向位置調整スイッチ部93と、下方向位置調整スイッチ部94と、右方向位置調整スイッチ部95と、左方向位置調整スイッチ部96と、記憶指示スイッチ部97とが、追加されている。また、第2の実施形態では、記憶部112aが記憶する情報が第1の実施形態と異なる。
【0093】
図15は、第2の実施形態に係る臀部拭き取り装置113の動作を示すフローチャートである。第2の実施形態において、図15に示す動作以外は、第1の実施形態と同様である。第1の実施形態における図12及び図13に示す動作が実行されている間に、ストップスイッチ部9bが押下されたとする。そのとき、図15に示す動作が開始する。
【0094】
まず、制御部111aは、各サーボモータの移動量に基づいて、すでに、筒状トイレットペーパー13が排便用開口3aから露出している所定の位置に到達しているか否かを判断する(ステップS201)。所定の位置に到達していない場合、制御部111aは、ステップS203以降の位置調整動作を行えないとして、ユーザに、音声・ブザー等で、位置調整ができない旨を通知し(ステップS202)、中断していた図12及び図13の動作を再開する。なお、図14において、音声出力部は図示されていない。
【0095】
ステップS201において、所定の位置に到達している場合、制御部111aは、ステップS203の動作に進む。ステップS203において、制御部111aは、以下のように動作する。
【0096】
下方向位置調整スイッチ部94が押下されている間、制御部111aは、第5の関節部5iに含まれる第5のサーボモータを、拭き取りアーム55が下方向に移動するように駆動し、押下が終わるまでの回転量を記憶部112aに一時記憶させる。なお、一定の回転量を超えたら、制御部111aは、第5のサーボモータの駆動を中止し、当該一定の回転量を記憶部112aに一時記憶させる。
【0097】
上方向位置調整スイッチ部93が押下されている間、制御部111aは、第5の関節部5iに含まれる第5のサーボモータを、拭き取りアーム55が上方向に移動するように駆動し、押下が終わるまでの回転量を記憶部112aに一時記憶させる。なお、一定の回転量を超えたら、制御部111aは、第5のサーボモータの駆動を中止し、当該一定の回転量を記憶部112aに一時記憶させる。
【0098】
前方向位置調整スイッチ部91が押下されている間、制御部111aは、第2の関節部5cに含まれる第2のサーボモータを、拭き取りアーム55が伸長方向に移動するように駆動し、押下が終わるまでの回転量を記憶部112aに一時記憶させる。なお、一定の回転量を超えたら、制御部111aは、第2のサーボモータの駆動を中止し、当該一定の回転量を記憶部112aに一時記憶させる。
【0099】
後方向位置調整スイッチ部92が押下されている間、制御部111aは、第2の関節部5cに含まれる第2のサーボモータを、拭き取りアーム55が縮方向に移動するように駆動し、押下が終わるまでの回転量を記憶部112aに一時記憶させる。なお、一定の回転量を超えたら、制御部111aは、第2のサーボモータの駆動を中止し、当該一定の回転量を記憶部112aに一時記憶させる。
【0100】
右方向位置調整スイッチ部95が押下されている間、制御部111aは、第1の関節部5aに含まれる第1のサーボモータを、拭き取りアーム55が右方向に移動するように駆動し、押下が終わるまでの回転量を記憶部112aに一時記憶させる。なお、一定の回転量を超えたら、制御部111aは、第1のサーボモータの駆動を中止し、当該一定の回転量を記憶部112aに一時記憶させる。
【0101】
左方向位置調整スイッチ部96が押下されている間、制御部111aは、第1の関節部5aに含まれる第1のサーボモータを、拭き取りアーム55が左方向に移動するように駆動し、押下が終わるまでの回転量を記憶部112aに一時記憶させる。なお、一定の回転量を超えたら、制御部111aは、第1のサーボモータの駆動を中止し、当該一定の回転量を記憶部112aに一時記憶させる。
【0102】
上記回転量の記憶時には、制御部111aは、操作された順番も合わせて記憶部112aに一時記憶させることとする。
【0103】
ステップS203の動作によって、前後左右上下方向に、拭き取りアーム55の位置が調整されることとなる。これによって、ユーザは、適切な位置で水滴や汚れを拭き取ることができる。
【0104】
ステップS203の後、何れかのスイッチ部が押下されたとする。このとき、記憶指示スイッチ部97が押下された場合、制御部111aは、ステップS205の動作に進み、ステップS203で一時記憶した回転量及び操作順番を、回転量に関する情報として、記憶部112aに固定的に格納し、中断していた図12及び図13の動作を再開する。
【0105】
一方、スタートスイッチ部9aが押下された場合、記憶部111aは、ステップS206の動作に進み、ステップS203で一時記憶した回転量及び操作順番を削除し、中断していた図12及び図13の動作を再開する。
【0106】
ステップS205によって、所定の位置での拭き取りアーム55の動きが記憶部112aに記憶された場合、制御部111aは、次回以降の図12に示すステップS112?S114の動作を、記憶されている回転量及び操作順番に従って実行する。具体的には、ステップS112において、所定の位置まで拭き取りアーム55を露出させた後、制御部111aは、記憶部112aに記憶されている操作順番及び回転量に従って、第1、第2、及び第5のサーボモータを駆動させ、ユーザ所望の動きを拭き取りアーム55に与えることとする。
【0107】
なお、変形例として、ステップS112で予め決められている所定の位置に拭き取りアーム55を露出した後、制御部111aは、記憶されている回転量及び操作順番に従って、第1、第2、及び第5のサーボモータの駆動させた後、最終的な位置から、ステップS113及びS114の動作を行って、上下左右の拭き取り動作を行っても良い。
【0108】
さらなる変形例として、ステップS112?S114の動作によって、拭き取りアーム55に初期状態の動きを与えた後、制御部111aは、記憶されている回転量及び操作順番に従って、第1、第2、及び第5のサーボモータの駆動させて、ユーザ所望の動きを実現させてもよい。
【0109】
また、さらに、複数のユーザに対応するため、記憶指示スイッチ部95及びスタートスイッチ部9aを、それぞれ複数設けてもよい。具体的には、A,B.Cの3ユーザを想定する場合、記憶指示スイッチ部95について、A,B.Cを設け、スタートスイッチ部9aについても、A,B,Cを設ける。そして、たとえば、Aユーザが動作を開始する場合は、Aのスタートスイッチ部9aを押下する。Aユーザが動作を記憶させる場合は、Aの記憶指示スイッチ部95を押下する。制御部111aは、各ユーザ毎に記憶部112aの記憶領域を割り当てておき、押下されたスイッチがA,B,Cの何れかであるかを認識して、A,B,C何れかの回転量及び操作順番を認識して、各サーボモータを駆動させるとよい。
【0110】
なお、位置調整時に駆動する関節部の数は、1以上であればよい。
【0111】
なお、第2の実施形態では、拭き取りアーム55が排便用開口3aから露出している場合に、制御部111aは、ユーザからの位置調整指示を受け付けることとしたが(図15のステップS201参照)、これに限定されるものではない。ただし、拭き取りアーム55が排便用開口3aから露出している場合に、ユーザからの位置調整指示を受け付けることによって、誤動作が防止される。
【0112】
このように、第2の実施形態では、拭き取りアーム駆動部5は、ユーザからの位置調整指示に応じて、拭き取りアーム55の位置を調整するように、少なくとも1つの関節部を駆動させる。したがって、初期状態の位置では、うまく水滴や汚れを拭き取ることができない場合、ユーザは、好みの位置で水滴や汚れを拭き取ることができる。これにより、ユーザの個体差による拭き取りの不具合を解消することができる。
【0113】
また、第2の実施形態に係る臀部拭き取り装置113は、位置調整指示に応じて少なくとも1つの関節部を駆動させたときの回転量に関する情報を記憶しておく。次回以降、拭き取りアーム駆動部5は、記憶されている当該情報に基づいて、少なくとも1の関節部を駆動させる。これにより、ユーザの好みに応じた位置や動作を再び再現することができるので、利便性がより向上する。
【0114】
(第3の実施形態)
図16は、本発明の第3の実施形態に係る堅固部材2cの構造を示す分解斜視図である。堅固部材2c以外は、第1又は第2の実施形態と同様である。堅固部材2cは、U字状堅固部材2hと、コの字状堅固部材2iとを含む。連結穴2e,2dの内径と連結凸部2f,2gの外径とは、一致している。したがって、U字状堅固部材2hとコの字状堅固部材2iとは、連結穴2e,2dと連結凸部2f,2gとの嵌合によって、着脱可能である。
【0115】
このように、堅固部材2cは、一部が着脱可能である。堅固部材2cは、小便時に露出するので、汚れが付着しやすい。このように一部を着脱可能とすることによって、清掃が容易となる。
【0116】
なお、着脱可能な構造は、図16に示すものに限らず、あらゆる着脱構造を利用することができる。
【0117】
また、堅固部材2cが、全部、便座3から着脱できるような構造であってもよい。
【0118】
(その他の変形例)
堅固部材2及び2cは、O字状になっているが、便座3を持ち上げることができればよいので、O字状に限られない。堅固部材2及び2cは、小便が付着しやすい人の立ち位置側の先端が切り取られたU字状であってもよい。また、便座3を持ち上げることができる構造であれば、図16に示すように、コの字状堅固部材2iのみを堅固部材として用いても良い。
【0119】
また、本発明において、便座昇降部の機構は、ジャッキ部と堅固部材によるものに限られない。エアバックを用いて便座を昇降させてもよい。
【0120】
図17A?図17Cは、筒状トイレットペーパー13のつかみ方の変形例を示す図である。図17A?図17Cにおいて、図6A?図6Cと同様の部分については、同一の参照符号を付す。臀部拭き取り装置は、筒状トイレットペーパー13を作った後(図17A参照)、筒状トイレットペーパー13の中心部分に、第1の挟み部材5mを挿入し(図17B参照)、第2の挟み部材5nを閉じて筒状トイレットペーパー13をつかみ取るようにしてもよい(図17C参照)。
【0121】
なお、筒状巻き取り部51は、たとえば、円盤部材15から立ち上がる複数の棒状部材を有していれば、上記実施形態に示した例に限らない。その場合であっても、トイレットペーパー送り出し部52は、当該複数の棒状部材の内側にトイレットペーパー6が垂れ下がるように、トイレットペーパー6を送り出せばよい。
【0122】
トイレットペーパー送り出し部52の機構は、上記実施形態に示した例に限られない。図18は、トイレットペーパー送り出し部52の他の機構を示す図である。図18において、トイレットペーパー送り出し部52は、挟みモータ部20と、挟み棒21と、第1の回転軸22aと、第2の回転軸22bと、第1の支持部23aと、第2の支持部23bと、送り出しモータ部18と、第1のベルト部19aと、第2のベルト部19bと、裏面板64と、カット用サーボモータ部63と、カット用腕部65と、カット刃部62と、カット台部61とを備える。挟みモータ部20及び挟み棒21は、第1の実施形態と同様、理解しやすくするために、図面上、上方にずらして記載されている。
【0123】
トイレットペーパー6は、挟み棒21と第1及び第2のベルト部19a,19bとの間、並びに、裏面板64と第1及び第2のベルト部19a,19bとの間に挿入される。スタートスイッチ部9aが押下されると、挟みモータ部20は、挟み棒21を閉じる。これによって、挟み棒21と第1及び第2のベルト部19a,19bとが密着する。第1及び第2の回転軸22a,22bは、第1及び第2の支持部23a,23bに回転可能に取り付けられている。挟み棒21が閉じた後、送り出しモータ部18は、第1の回転軸22aを回転させる。これに伴い、第1及び第2のベルト部19a,19bが回転する。第1及び第2のベルト部19a,19bと裏面板64との間に挿入されているトイレットペーパー6は、第1及び第2のベルト部19a,19bの回転に従って、筒状巻き取り部51の方向に送り出される。送り出しモータ部18は、所定の回転量だけ回転すると停止する。その後、挟み棒21は、開かれる。
【0124】
挟み棒21が開いた後、第1の実施形態と同様に、筒状巻き取り部51は、トイレットペーパー6の巻き取りを開始する。トイレットペーパー6の巻き取りが完了すると、挟み棒21は、閉じられる。
【0125】
カット用サーボモータ部63は、第1及び第2の支持部23a,23bに取り付けられたカット台部61に固定されている。カット用サーボモータ部63は、水平方向の回転軸を有する。当該回転軸に、腕部65が取り付けられている。腕部65には、カット刃部62が取り付けられている。トイレットペーパー6の巻き取りが完了し、挟み棒21が閉じられると、カット用サーボモータ部63は、カット刃部62がトイレットペーパー6を切断する方向に、所定の回転量だけ回転軸を回転させる。これによって、トイレットペーパー6が切り取られる。
【0126】
このように、図18に示すようなトイレットペーパー送り出し部52では、ベルトによって、トイレットペーパー6が送り出されている。したがって、柔らかなトイレットペーパー6であったとしても、適切に送り出されることとなる。また、カット刃部62を設けることによって、トイレットペーパー6を無駄なくカットすることができる。なお、挟みモータ部20、送り出しモータ部18、及びカット用サーボモータ部63の動作パターンは、上記の例に限られず、トイレットペーパー6が切り取られるためのあらゆる動作パターンが採用可能である。
【0127】
なお、拭き取りアーム駆動部5は、サーボモータを含む複数の関節部によって、上下左右前後に伸縮可能であるとしたが、これに限定されるものではない。所望の方向に拭き取りアーム55を移動させることができる駆動手段であれば、あらゆる方法が拭き取りアーム駆動部5に採用可能である。
【0128】
なお、適宜、あらゆる電気部材には、防水加工が施されているとよい。
【0129】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明に係る臀部拭き取り装置及びそれを用いた温水洗浄便器は、便座に座ったままの状態で、水滴や汚れの拭き取り作業を行うことができ、水回り機器の分野や福祉介護機器の分野などにおいて、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る温水洗浄便器100の構成を示す図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る温水洗浄便器100の構成を示す図
【図3】温水洗浄便器100について、便器1、堅固部材2、及び便座3の分解斜視図
【図4A】便座3が水平の場合の側面概略図
【図4B】便座3が斜めに上昇した場合の側面概略図
【図5】保護ケース10に収納されている臀部拭き取り装置110の詳細を示す図
【図6A】筒状巻き取り部51がトイレットペーパー6を巻き取る様子を示す図5におけるA-A断面図
【図6B】筒状巻き取り部51がトイレットペーパー6を巻き取る様子を示す図5におけるA-A断面図
【図6C】筒状巻き取り部51がトイレットペーパー6を巻き取る様子を示す図5におけるA-A断面図
【図7】筒状トイレットペーパー13を、拭き取りアーム駆動部5が間隙12まで運ぶ様子を示す図
【図8】筒状トイレットペーパー13を、拭き取りアーム駆動部5が間隙12まで運ぶ様子を示す図
【図9】間隙12を介して筒状トイレットペーパー13が取り付けられた拭き取りアーム55が排便用開口3aから露出している様子を示す図
【図10】臀部の水滴や汚れを拭き取る様子を示す図
【図11】臀部拭き取り装置110の電気系統における機能的構成を示すブロック図
【図12】臀部拭き取り装置110の動作を示すフローチャート
【図13】臀部拭き取り装置110の動作を示すフローチャート
【図14】本発明の第2の実施形態に係る臀部拭き取り装置113の電気系統における機能的構成を示すブロック図
【図15】第2の実施形態に係る臀部拭き取り装置113の動作を示すフローチャート
【図16】本発明の第3の実施形態に係る堅固部材2cの構造を示す分解斜視図
【図17A】筒状トイレットペーパー13のつかみ方の変形例を示す図
【図17B】筒状トイレットペーパー13のつかみ方の変形例を示す図
【図17C】筒状トイレットペーパー13のつかみ方の変形例を示す図
【図18】トイレットペーパー送り出し部52の他の機構を示す図
【符号の説明】
【0132】
100 温水洗浄便器
110 臀部拭き取り装置
1 便器
2 堅固部材
3 便座
4 ジャッキ部
5 拭き取りアーム駆動部
55 拭き取りアーム
6 トイレットペーパー
7 ペーパーホルダー
8 タンク部
9 スイッチ部
10 保護ケース
11 温水噴射部
12 間隙
4b 取付部
2a,2b 止め穴2a及び2b
12 間隙
13 筒状トイレットペーパー
12a 開口部
5 拭き取りアーム駆動部
55 拭き取りアーム
51 筒状巻き取り部
52 トイレットペーパー送り出し部
17 保護カバー
5a 第1の関節部
5b 第1の腕部
5c 第2の関節部
5d 第2の腕部
5e 第3の関節部
5f 第3の腕部
5g 第4の関節部
5h 第4の腕部
5i 第5の関節部
5j 第5の腕部
5k 第6の関節部
5l 第6の腕部
5m 第1の挟み部材
5p 第2の挟み部材
5n 第7の関節部
18 送り出しモータ部
19 ローラー部
22 回転軸
23 支持部
20 挟みモータ部
21 挟み棒
51 筒状巻き取り部
14 巻き取りモータ部
15 円盤部材
15a,15b,15c 第1?第3の棒状部材
9a スタートスイッチ部
9b ストップスイッチ部
111 制御部
112 記憶部112
91 前方向位置調整スイッチ部
92 後方向位置調整スイッチ部
93 上方向位置調整スイッチ部
94 下方向位置調整スイッチ部
95 右方向位置調整スイッチ部
96 左方向位置調整スイッチ部
97 記憶指示スイッチ部
2h U字状堅固部材
2i コの字状堅固部材
19a 第1のベルト部
19b 第2のベルト部
22a 第1の回転軸
22b 第2の回転軸
23a 第1の支持部
23b 第2の支持部
62 カット刃部
61 カット台部
63 カット用サーボモータ部
64 裏面板
65 カット用腕部
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座を昇降させる便座昇降装置と一緒に用いられ、トイレットペーパーで臀部を拭く臀部拭き取り装置であって、
前記トイレットペーパーを取り付けるための拭き取りアームと、
前記便座昇降部によって前記便座が上昇された際に生じる便器と前記便座との間隙を介して、前記便座の排便用開口から前記拭き取りアームに取り付けられた前記トイレットペーパーが露出するように、前記拭き取りアームを駆動させる拭き取りアーム駆動部とを備える、臀部拭き取り装置。
【請求項2】
トイレットペーパーで臀部を拭く臀部拭き取り装置であって、
便座を昇降させる便座昇降部と、
前記トイレットペーパーを取り付けるための拭き取りアームと、
前記便座昇降部によって前記便座が上昇された際に生じる便器と前記便座との間隙を介して、前記便座の排便用開口から前記拭き取りアームに取り付けられた前記トイレットペーパーが露出するように、前記拭き取りアームを駆動させる拭き取りアーム駆動部とを備える、臀部拭き取り装置。
【請求項3】
前記トイレットペーパーを巻き取るトイレットペーパー巻き取り部をさらに備え、
前記拭き取りアームは、前記トイレットペーパー巻き取り部によって巻き取られた前記トイレットペーパーをつかみ取ることによって、前記トイレットペーパーを取り付けることを特徴とする、請求項1又は2に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項4】
前記トイレットペーパー巻き取り部は、
鉛直下方向に前記トイレットペーパーを送り出すトイレットペーパー送り出し部と、
前記トイレットペーパー送り出し部によって送り出された前記トイレットペーパーを筒状に巻き取る筒状巻き取り部とを含み、
前記拭き取りアームは、前記筒状巻き取り部によって筒状に巻き取られた前記トイレットペーパーをつかみ取ることを特徴とする、請求項3に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項5】
前記拭き取りアームは、前記トイレットペーパーが巻き取られる前から、前記筒状巻き取り部の回転中心部に配置されており、
前記筒状巻き取り部は、前記拭き取りアームの外周を前記トイレットペーパーが覆うように、前記トイレットペーパーを筒状に巻き取り、
前記拭き取りアームは、外周に巻き取られた筒状の前記トイレットペーパーをつかみ取ることを特徴とする、請求項4に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項6】
前記拭き取りアームは、少なくとも二つの挟み部材を含み、
前記拭き取りアームは、前記筒状巻き取り部が筒状に巻き取った前記トイレットペーパーの中心部分に、一方の前記挟み部材を挿入し、他方の前記挟み部材を前記トイレットペーパーの外部から挟むことによって、前記トイレットペーパーをつかみ取ることを特徴とする、請求項4に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項7】
前記筒状巻き取り部は、複数の棒状部材を含み、
前記トイレットペーパー送り出し部は、前記複数の棒状部材の内側に、前記トイレットペーパーが垂れ下がるように、前記トイレットペーパーを送り出すことを特徴とする、請求項4に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項8】
前記トイレットペーパー送り出し部は、回転するベルト部によって、前記トイレットペーパーを送り出すことを特徴とする、請求項4に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項9】
前記拭き取りアーム駆動部は、サーボモータを有する少なくとも1つの関節部を含み、先端に前記拭き取りアームを取り付けることによって、前記拭き取りアームの動きを制御することを特徴とする、請求項1又は2に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項10】
前記拭き取りアーム駆動部は、拭き取り時、前記拭き取りアームが反復運動するように、前記拭き取りアームを駆動させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項11】
前記拭き取りアーム駆動部は、ユーザからの位置調整指示に応じて、前記拭き取りアームの位置を調整するように駆動させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項12】
前記位置調整指示に応じて前記少なくとも1つの関節部を駆動させたときの回動量に関する情報を記憶するための記憶部をさらに備え、
前記拭き取りアーム駆動部は、前記記憶部によって記憶されている前記情報に基づいて、前記少なくとも1つの関節部を駆動させることを特徴とする、請求項9に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項13】
前記拭き取りアーム駆動部は、前記拭き取りアームが前記排便用開口から露出している場合に、前記位置調整指示による制御を受け付けることを特徴とする、請求項11に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項14】
前記便座昇降部は、
前記便座を昇降させるためのジャッキ部と、
前記ジャッキ部の動きによって、前記便座を持ち上げるための土台となる堅固部材とを含み、
前記堅固部材は、その全部又は一部が着脱可能であることを特徴とする、請求項2に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項15】
トイレットペーパーで臀部を拭く臀部拭き取り装置であって、
前記トイレットペーパーを取り付けるための拭き取りアームと、
前記臀部を拭き取る位置まで前記拭き取りアームを移動させる拭き取りアーム駆動部とを備え、
前記拭き取りアーム駆動部は、便座昇降装置により便座が上昇された際に生じる便器と便座との間隙を介して、前記拭き取りアームを移動させることを特徴とする、臀部拭き取り装置。
【請求項16】
前記拭き取りアームは、巻き取られた前記トイレットペーパーを取り付けることを特徴とする、請求項15に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項17】
前記トイレットペーパーを巻き取るトイレットペーパー巻き取り部をさらに備え、
前記拭き取りアームは、前記トイレットペーパー巻き取り部によって巻き取られた前記トイレットペーパーをつかみ取ることによって、前記トイレットペーパーを取り付けることを特徴とする、請求項15に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項18】
前記トイレットペーパー巻き取り部は、
鉛直下方向に前記トイレットペーパーを送り出すトイレットペーパー送り出し部と、
前記トイレットペーパー送り出し部によって送り出された前記トイレットペーパーを筒状に巻き取る筒状巻き取り部とを含み、
前記拭き取りアームは、前記筒状巻き取り部によって筒状に巻き取られた前記トイレットペーパーをつかみ取ることを特徴とする、請求項17に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項19】
前記拭き取りアームは、前記トイレットペーパーが巻き取られる前から、前記筒状巻き取り部の回転中心部に配置されており、
前記筒状巻き取り部は、前記拭き取りアームの外周を前記トイレットペーパーが覆うように、前記トイレットペーパーを筒状に巻き取り、
前記拭き取りアームは、外周に巻き取られた筒状の前記トイレットペーパーをつかみ取ることを特徴とする、請求項18に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項20】
前記拭き取りアームは、少なくとも二つの挟み部材を含み、
前記拭き取りアームは、前記筒状巻き取り部が筒状に巻き取った前記トイレットペーパーの中心部分に、一方の前記挟み部材を挿入し、他方の前記挟み部材を前記トイレットペーパーの外部から挟むことによって、前記トイレットペーパーをつかみ取ることを特徴とする、請求項18に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項21】
前記筒状巻き取り部は、複数の棒状部材を含み、
前記トイレットペーパー送り出し部は、前記複数の棒状部材の内側に、前記トイレットペーパーが垂れ下がるように、前記トイレットペーパーを送り出すことを特徴とする、請求項18に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項22】
前記トイレットペーパー送り出し部は、回転するベルト部によって、前記トイレットペーパーを送り出すことを特徴とする、請求項18に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項23】
さらに、前記拭き取りアーム駆動部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記拭き取りアーム駆動部に、前記トイレットペーパーが取り付けられている前記拭き取りアームを便座の排便用開口まで移動させ、前記臀部を前記拭き取りアームに拭き取らせ、前記拭き取りアームを元の位置まで戻させることを特徴とする、請求項15に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項24】
前記制御部は、ユーザによって無線で制御されることを特徴とする、請求項23に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項25】
さらに、前記拭き取りアーム駆動部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、ユーザからの指示に応じて、前記拭き取りアーム駆動部の動作を制御することを特徴とする、請求項15に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項26】
ユーザからの指示に応じて制御された前記拭き取りアーム駆動部の動作を記憶する記憶部とを備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている情報に従って、前記拭き取りアーム駆動部の動作を制御することを特徴とする、請求項25に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項27】
さらに、前記拭き取りアーム駆動部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記拭き取りアーム駆動部を制御して前記拭き取りアームに前記臀部を拭き取らせた後、再度、前記拭き取りアーム駆動部を制御して前記拭き取りアームに前記臀部を拭き取らせることを特徴とする、請求項15に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項28】
前記制御部は、ユーザの指示に応じて、再度、前記拭き取りアーム駆動部を制御して前記拭き取りアームに前記臀部を拭き取らせることを特徴とする、請求項27に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項29】
さらに、
前記拭き取りアーム駆動部の動作を制御する制御部と、
複数の指示スイッチ部とを備え、
前記制御部は、押下された指示スイッチ部に対応する動作を行うように、前記拭き取りアーム駆動部を制御することを特徴とする、請求項15に記載の臀部拭き取り装置。
【請求項30】
請求項1?29のいずれかに記載の臀部拭き取り装置を備える、温水洗浄便座又は温水洗浄便座付き便器。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2017-01-12 
結審通知日 2017-01-16 
審決日 2017-02-01 
出願番号 特願2007-232005(P2007-232005)
審決分類 P 1 123・ 121- YAA (A47K)
P 1 123・ 561- YAA (A47K)
P 1 123・ 537- YAA (A47K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 俊久  
特許庁審判長 前川 慎喜
特許庁審判官 住田 秀弘
藤田 都志行
登録日 2010-12-10 
登録番号 特許第4641313号(P4641313)
発明の名称 臀部拭き取り装置並びにそれを用いた温水洗浄便座及び温水洗浄便座付き便器  
代理人 坂本 優  
代理人 松村 信夫  
代理人 草深 充彦  
代理人 ▲高▼山 嘉成  
代理人 山本 健策  
代理人 芦北 智晴  
代理人 冨宅 恵  
代理人 石川 大輔  
代理人 ▲高▼山 嘉成  
代理人 冨宅 恵  
代理人 山本 秀策  
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