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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1327218
審判番号 不服2016-6162  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-26 
確定日 2017-05-02 
事件の表示 特願2014-237385「プログラム,情報処理方法及び情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月16日出願公開、特開2015- 72704、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成16年9月30日(優先権主張平成15年9月30日)に出願した特願2004-286722号の一部を平成22年11月22日に新たな特許出願とした特願2010-259859号の一部をさらに平成25年6月3日に新たな特許出願とした特願2013-116570号の一部をさらに平成26年11月25日に新たな特許出願としたものであって,平成27年1月20日付けで手続補正がされ,平成27年9月4日付けで拒絶理由通知がされ,平成27年11月9日付けで手続補正がされ,平成28年1月18日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,平成28年4月26日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年1月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

『1.(省略)
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

(途中省略)

●理由1(明確性)について
(途中省略)

●理由2(進歩性)について

・請求項 1,4-5
・引用文献等 1-2
・備考
引用文献1には,他のコンピュータとネットワーク接続可能なコンピュータにおいて,自コンピュータにおいて動作しなくなるソフトウェアの一覧を保持するアップグレードポリシーを,自コンピュータから読み出し可能な光ディスクに記録されたアップグレードデータベースから取得し,自コンピュータに既にインストールされたソフトウェアのうち,前記一覧に係るソフトウェアを削除させる発明(引用発明)が記載されている(特に段落[0012]-[0043]を参照されたい。)。
一方,引用文献2には,削除すべきソフトウェアに関する製品名を含む所定の情報をサーバコンピュータからLANを介してダウンロードし,当該ソフトウェアに関する所定の情報と,自クライアントのデータベース部に格納されたソフトウェア情報に含まれる製品名とに基づいて削除の対象のソフトウェアが自クライアントに存在するか否かを判定し,存在すれば当該ソフトウェアを自動的に削除する技術思想が記載されている(特に段落[0020]-[0052]を参照されたい。)。
してみれば,引用発明においてアップグレードポリシー(本願の「コンピュータにインストールすることが不適合なアプリケーションを特定する情報」に対応)を取得することに加えて,「自コンピュータにインストール済みのアプリケーションを特定する情報」も取得させるとともに,不適合なアプリケーションがインストールされていることを検出するために両者を「照合」するようにした構成を想到することは,当業者の通常の創作能力の発揮によって容易になし得た程度のことであるといえる。
また,引用発明において,光ディスク(本願の「記録媒体」に対応)の代わりに,ネットワークに接続された他のコンピュータ(本願の「コンピュータシステム管理装置」に対応)を取得元にすることも,当業者の必要に応じて適宜採用し得る設計変更程度の事項にすぎないといえる。
よって,請求項1,4-5に係る発明は,引用文献1-2に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(途中省略)

<引用文献等一覧>
1.特開2001-229011号公報
2.特開2003-228486号公報
3.特開2000-048078号公報』

第3 本願発明
本願請求項1-5に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は,平成27年11月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ネットワークで接続されるコンピュータシステムに接続可能なコンピュータに,
前記コンピュータにインストールすることが不適合なアプリケーションを特定する情報を,前記ネットワークに接続されたコンピュータシステム管理装置および自コンピュータから読み出し可能な記録媒体の少なくとも1つを含む取得元から取得させ,
自コンピュータにインストール済みのアプリケーションを特定する情報を取得させ,
前記自コンピュータにインストール済みのアプリケーションを特定する情報と自コンピュータに備えられた前記コンピュータにインストールすることが不適合なアプリケーションを特定する情報を記憶した不適合アプリデータベースの前記不適合なアプリケーションを特定する情報とを照合して前記不適合なアプリケーションがインストールされていることを検出させる
ことを特徴とするプログラム。」

なお,本願発明2-5の概要は以下のとおりである。

本願発明2,3は,本願発明1を減縮した発明である。

本願発明4は,本願発明1に対応する「情報処理方法」の発明であり,本願発明5は,本願発明1に対応する「情報処理装置」の発明であるから,本願発明1とはカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第4 引用文献,引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1(特開2001-229011号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は,当審において付したものである。)

ア 「【0012】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照してこの発明の一実施形態を説明する。図1は,この発明の一実施形態に係るコンピュータシステムのハードウェア構成を示す図である。」

イ 「【0018】モデム17は,他のコンピュータとの間の通信を司るものであり,このコンピュータシステムは,このモデム17を介してLANやインターネットなどとネットワーク接続される。」

ウ 「【0022】また,このオペレーティングシステム100をアップグレードする場合には,このオペレーティングシステム100の制御下で,オペレーティングシステムバージョンアッププログラム102を起動する。このオペレーティングシステムバージョンアッププログラム102は,通常,セットアップされる新オペレーティングシステムとともに,光ディスク等に記録されて頒布されるものである。そして,この発明の特徴は,このオペレーティングシステムバージョンアッププログラム102によるオペレーティングシステム100のアップグレードに伴うソフトウェア管理を,ユーザがより効率的に行えるようにするために,さらに,アップグレード支援プログラム101を設けて提供するようにした点にあり,以下,この点について詳述する。
【0023】いま,図3に示すように,アップグレード前の旧オペレーティングシステム上でソフトウェア1?ソフトウェア3が動作しており,このうち,ソフトウェア2?ソフトウェア3はアップグレード後の新オペレーティングシステム上では動作しないが,ソフトウェア3については,アップグレード後の新オペレーティングシステムに対応した新ソフトウェア3が提供されているものとする。この場合,従来であれば,ユーザ自らが,アップグレード時にソフトウェア2を削除するとともに,ソフトウェア3を新ソフトウェア3へとアップグレードする。一方,この発明では,アップグレード支援プログラム101が,同じく光ディスク上に記録されたアップグレードデータベース104を用いて,このソフトウェア2の削除とソフトウェア3の新ソフトウェア3へのアップグレードとを自動的に実行する。
【0024】このアップグレードデータベース104は,アップグレードポリシー1041,ソフトウェア削除手順1042,新バージョンのオペレーティングシステムに対応したソフトウェアのセットアップイメージ1043を格納しており,この例では,それぞれ図4に示すような内容を保持している。
【0025】アップグレードポリシー1041は,サポート対象の機種ごとに,プレインストールされたソフトウェアの内,アップグレード後のオペレーティングシステム上では動作しないソフトウェアの一覧を保持する。したがって,ここでは,「ソフトウェア2」と「ソフトウェア3」とを含む一覧が保持される。さらに,このアップグレードポリシー1041には,各ソフトウェアをアップグレード後のオペレーティングシステム上で動作させた場合に,致命的なエラーを起こす蓋然性が高いかどうかを区別するためのデータも保持される。」

エ 「【0032】この判別結果が正しいとき,ユーザは,アップグレードの続行を示すアイコン(図6のb2)上にマウスカーソルを合わせ,かつ,その状態でマウスボタンを押下することにより,オペレーティングシステム100のアップグレードを続行させる。一方,アップグレードの続行を指示されたアップグレード支援プログラム101は,先に判別した機種に対応するアップグレードポリシー1041を参照し,そこで示されるソフトウェアの一覧を図7に示すように表示する。」

オ 図7には,「“互換性のないソフトウェアを検出しました”というメッセージが表示されること」が記載されている。

したがって,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「インターネットとネットワーク接続されるコンピュータシステムに,新オペレーティングシステムが光ディスクに記録されて頒布され,(段落【0012】,【0018】,【0022】)
オペレーティングシステムをアップグレードする場合には,アップグレード支援プログラム101が,光ディスク上に記録されたアップグレードデータベース104のアップグレードポリシー1041を参照し,アップグレードポリシー1041が保持する,プレインストールされたソフトウェアの内,アップグレード後のオペレーティングシステム上では動作しないソフトウェアの一覧を,“互換性のないソフトウェアを検出しました”というメッセージとともに表示する。(段落【0022】,【0023】,【0024】,【0025】,【0032】,【図7】)」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2(特開2003-228486号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は,当審において付したものである。)

カ「【0033】次に,動作について説明する。図2は,本発明のソフトウェア管理システムによる実施の形態1の動作を説明するためのシーケンス図である。
【0034】まず,システム管理者は,サーバ100におけるDB部120のSW情報格納領域121に対して,ソフトウェアの更新,新規追加又は削除の処理を登録する(ステップS1)。
【0035】
(途中省略)
【0037】さらに,図5に示すように,システム管理者は,DB部120のSW情報格納領域121からソフトウェアDを削除する。このとき,ソフトウェアDの製品名,バージョン情報,削除プログラムなどがSW情報格納領域121にソフトウェアNに対応付けて登録される。
(途中省略)
【0043】サーバ100では,選択/送信部140は,クライアント200,210,220・・・の監視部202からのアクセスがあると,クライアント200,210,220・・・からのトリガに対する応答があったものと認識する(ステップS5)。そして,選択/送信部140は,図3から図5に示すように,更新,新規追加又は削除の処理が実行されたソフトウェア(A2,NまたはD)についての所定の情報を,DB部120のSW情報格納領域121から選択して読み出し(ステップS6),その読み出したソフトウェアに関する所定の情報を各クライアント200,210,220・・・に対して通信部110を通じて送信する(ステップS7)。
【0044】なお,選択/送信部140は,SW管理部131が管理している情報に基づいて,ソフトウェア(A2,NまたはD)についての所定の情報を選択する。ソフトウェアに関する所定の情報は,上記したように,更新,新規追加又は削除の処理が実行されたソフトウェア本体の情報,更新情報,製品名の情報,バージョン情報,更新プログラムなどである。
【0045】各クライアント200,210,220・・・では,通信部201が,サーバ100の選択/送信部140から送信されたソフトウェアに関する所定の情報をLAN300を介して受信して処理実行部203に送る。処理実行部203は,図3から図5に示すように,ソフトウェアに関する所定の情報をダウンロードして受信すると(ステップS8),ソフトウェアに関する所定の情報に含まれる製品名の情報やバージョン情報などに基づいて,ソフトウェアの更新等の処理を実行することができるか否かについて判定する(ステップS9)。
【0046】
(途中省略)
【0048】また,ソフトウェアの削除について判定する場合には,処理実行部203は,ソフトウェアに関する所定の情報に含まれる製品名の情報などに基づいて,ソフトウェアの削除が可能か(削除の対象のソフトウェアが存在するか)否かを判定する。
【0049】処理実行部203は,判定の結果,ソフトウェアの更新等の処理を実行可能であると判断した場合には(ステップS9のYes),ソフトウェアに関する所定の情報に含まれる更新プログラム等をDB部204にコピー(格納)し(ステップS10),その更新プログラム等に従ってソフトウェアの更新等を自動的に実行する(ステップS11)。そして,処理を終了する。
【0050】
(途中省略)
【0052】また,ソフトウェアの削除の場合は,処理実行部203は,削除プログラムをDB部204にコピーして,その削除プログラムに従ってDB部204に格納されているソフトウェアDを自動的に削除する。」

したがって,上記引用文献2には,
「削除すべきソフトウェアに関する製品名を含む所定の情報をサーバコンピュータからLANを介してダウンロードし,当該ソフトウェアに関する所定の情報と,自クライアントのデータベース部に格納されたソフトウェア情報に含まれる製品名とに基づいて削除の対象のソフトウェアが自クライアントに存在するか否かを判定し,存在すれば当該ソフトウェアを自動的に削除する」
という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用文献4について
拒絶査定において周知技術を示す文献4として引用された引用文献4(特開平06-004476号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。

キ 「【0023】(2)次に,オンライン業務が終了し,端末コンピュータ2がオフライン業務を行う場合について図3ないし図4を用いて説明する。
【0024】先ず,端末側データベース2Aは,オンライン業務により古い状態になっているため,このオフライン業務の開始に先だってデータベース1Aと端末側データベース2Aの状態を同じにする必要がある。
【0025】オンライン業務が終了すると図3に示されるようにホストコンピュータ1のファイル転送部1C-2は,通信回線3を介してトランザクションファイル1C-1に保存されているデータを端末コンピュータ2に転送する。
【0026】端末コンピュータ2では,端末側ファイル転送部2Eがホストコンピュータ1からのトランザクションデータを端末側トランザクションファイル2C-1に格納する。
【0027】端末側データベース復元部2C-3は,端末側トランザクションファイル2C-1に格納されたデータによって古い状態の端末側データベース2Aをデータベース1Aと同じ状態に復元する。
【0028】続いてオフライン業務が開始され,利用者が,端末コンピュータ2からデータを入力すると,端末側データ処理部2Bは,端末側データベース2Aの更新処理を行うとともにそのデータを端末側トランザクションファイル2C-1に保存する。
【0029】このように,オフライン業務ではホストコンピュータ1を運転せずに端末コンピュータ2のみによって業務処理を行うことができる。」

4.引用文献5について
拒絶査定において周知技術を示す文献5として引用された引用文献5(特開平09-244818号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。

ク 「【要約】
【課題】 電力節約型コンピュータを提供する。
【解決手段】 半導体メモリと,ディスクへのアクセスが不要なときは自動的に低電力消費モードに切り替わるタイプのディスク・データ記憶装置と,アプリケーション・プログラムをアプリケーションが使用可能な複数のデータ・ファイルに関連づける手段とを備えるコンピュータを開示する。このコンピュータは,アプリケーションの使用前にディスク・データ記憶装置から半導体メモリに複数のデータ・ファイルをロードし,アプリケーション使用後,複数のファイルのうち少なくとも変更されたものをディスク・データ記憶装置に保存するように構成される。このようにして,アプリケーション・プログラムの使用中にディスク・データ記憶装置へのアクセスが不要になり,装置の電力消費量が抑えられる。」

5.引用文献6について
拒絶査定において周知技術を示す文献6として引用された引用文献6(特開平10-097582号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。

ケ 「【0037】動作例3
動作例3は動作例2の変形に係る。ここでは,ステップS11における患者IDの選択及びPACS端末に対する画面クリア要求の後に,次のような処理が行なわれる。すなわち,HIS端末22からPACS端末24へ患者IDと,検査リスト要求を送る。一般に,PACSでは,画像は光ディスク等のデータベースに格納されているが,光ディスクはアクセス速度が遅いので,通常,端末装置にハードディスク等のバッファ記憶部が設けられ,一部の画像が端末側に取り込まれ,この中の画像のみ表示される。そのため,HIS端末から画像表示要求を出す時に,PACS端末が持っていない画像に対して要求を出すことが無いように,予めPACS端末が持っている画像の検査IDをHIS端末へ知らせるために,検査リスト要求がHIS端末からPACS端末へ送られる。この要求に応じて,PACS端末からHIS端末へ所有している画像の検査IDリストが送信される。
【0038】これにより,ステップS13においては,選択された患者IDに対応する検査リストの検査の数を減らすことができるようになる。このような動作例3によれば,表示すべき画像がPACS端末に存在しないために光ディスクにアクセスして該画像を取ってくるという作業が生じないので(すなわち,このような作業が生じない画像のみが表示されるようにしたので),ステップS14における画像表示を迅速に行なえるようになる。」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。

ア 引用発明の「インターネット」「コンピュータシステム」は,本願発明1の「ネットワークで接続されるコンピュータシステム」「コンピュータ」に相当するから,引用発明における「インターネットとネットワーク接続されるコンピュータシステム」は,本願発明1における「ネットワークで接続されるコンピュータシステムに接続可能なコンピュータ」に相当する。

イ 引用発明における「プレインストールされたソフトウェアの内,アップグレード後のオペレーティングシステム上では動作しないソフトウェア」は,本願発明1における「コンピュータにインストールすることが不適合なアプリケーション」に相当するから,引用発明における「プレインストールされたソフトウェアの内,アップグレード後のオペレーティングシステム上では動作しないソフトウェアの一覧」は,本願発明1における「コンピュータにインストールすることが不適合なアプリケーションを特定する情報」に相当する。

ウ 引用発明における「光ディスク」は,本願発明1における「自コンピュータから読み出し可能な記録媒体」に相当し,
引用発明では,“コンピュータシステム”に,“プレインストールされたソフトウェアの内,アップグレード後のオペレーティングシステム上では動作しないソフトウェアの一覧”を表示するために,当該“ソフトウェアの一覧”を“光ディスク”から“コンピュータシステム”に“取得させ”ていることは明らかであるから,
上記「イ」の検討を踏まえて,
引用発明の「オペレーティングシステムをアップグレードする場合には,アップグレード支援プログラム101が,光ディスク上に記録されたアップグレードデータベース104のアップグレードポリシー1041を参照し,アップグレードポリシー1041が保持する,プレインストールされたソフトウェアの内,アップグレード後のオペレーティングシステム上では動作しないソフトウェアの一覧を,“互換性のないソフトウェアを検出しました”というメッセージとともに表示する」と
本願発明1の「コンピュータに,前記コンピュータにインストールすることが不適合なアプリケーションを特定する情報を,前記ネットワークに接続されたコンピュータシステム管理装置および自コンピュータから読み出し可能な記録媒体の少なくとも1つを含む取得元から取得させ」とを対比すると,両者は,
「コンピュータに,前記コンピュータにインストールすることが不適合なアプリケーションを特定する情報を,自コンピュータから読み出し可能な記録媒体含む取得元から取得させ」
ている点で一致する。

エ 引用発明では,「互換性のないソフトウェアを検出しました」と表示しているところ,ここでの「互換性のないソフトウェア」とは,「プレインストールされたソフトウェアの内,アップグレード後のオペレーティングシステム上では動作しないソフトウェア」に他ならないから,引用発明では,コンピュータシステムに,“プレインストールされたソフトウェアの内,アップグレード後のオペレーティングシステム上では動作しないソフトウェア”が“インストールされていること”を“検出させ”ていることは明らかであるので,
引用発明の「オペレーティングシステムをアップグレードする場合には,アップグレード支援プログラム101が,光ディスク上に記録されたアップグレードデータベース104のアップグレードポリシー1041を参照し,アップグレードポリシー1041が保持する,プレインストールされたソフトウェアの内,アップグレード後のオペレーティングシステム上では動作しないソフトウェアの一覧を,“互換性のないソフトウェアを検出しました”というメッセージとともに表示する」と
本願発明1の「前記自コンピュータにインストール済みのアプリケーションを特定する情報と自コンピュータに備えられた前記コンピュータにインストールすることが不適合なアプリケーションを特定する情報を記憶した不適合アプリデータベースの前記不適合なアプリケーションを特定する情報とを照合して前記不適合なアプリケーションがインストールされていることを検出させる」とを対比すると,両者は,
「不適合なアプリケーションがインストールされていることを検出させる」
点で共通する。

したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「ネットワークで接続されるコンピュータシステムに接続可能なコンピュータに,
前記コンピュータにインストールすることが不適合なアプリケーションを特定する情報を,自コンピュータから読み出し可能な記録媒体を含む取得元から取得させ,
前記不適合なアプリケーションがインストールされていることを検出させる
方法。」

(相違点)
(相違点1)
不適合なアプリケーションがインストールされていることを検出させるために,
本願発明1は,「自コンピュータにインストール済みのアプリケーションを特定する情報を取得させ,前記自コンピュータにインストール済みのアプリケーションを特定する情報と前記不適合なアプリケーションを特定する情報とを照合して」いるのに対して,
引用発明はそのように動作しているかどうかが明確ではない点。

(相違点2)
本願発明1は,「自コンピュータに備えられた前記コンピュータにインストールすることが不適合なアプリケーションを特定する情報を記憶した不適合アプリデータベース」を備えているのに対して,
引用発明はそのような構成を備えていない点。

(相違点3)
本願発明1は,「プログラム」の発明であるのに対して,
引用発明は,「方法」の発明である点。

(2)相違点についての判断
(相違点1について)
上記相違点1について検討すると,「第4 引用文献,引用発明等」の「2.引用文献2について」に記載のとおり,引用文献2には,「削除すべきソフトウェアに関する製品名を含む所定の情報をサーバコンピュータからLANを介してダウンロードし,当該ソフトウェアに関する所定の情報と,自クライアントのデータベース部に格納されたソフトウェア情報に含まれる製品名とに基づいて削除の対象のソフトウェアが自クライアントに存在するか否かを判定し,存在すれば当該ソフトウェアを自動的に削除する」という技術的事項が記載されている。
また,引用発明においても,削除すべきソフトウェアとして,「アップグレード後のオペレーティングシステム上では動作しないソフトウェア」の一覧を表示していると解される。
そうすると,引用発明において,引用文献2に記載の技術的事項を適用し,アップグレードポリシー(本願の「コンピュータにインストールすることが不適合なアプリケーションを特定する情報」に対応)を取得することに加えて,「自コンピュータにインストール済みのアプリケーションを特定する情報」も取得させるとともに,不適合なアプリケーションがインストールされていることを検出するために両者を「照合」するように構成することは,当業者が容易になし得ることである。

(相違点2について)
上記「第4 引用文献,引用発明等」の「3.引用文献4について」,「4.引用文献5について」,「5.引用文献6について」の上記「キ」,「ク」,「ケ」に記載されているように,「外部から取得した情報を格納して保持しておくことで外部とは独立して処理を行えるようにすること」は,当業者に周知の技術的事項であるものと認められる。
しかしながら,引用発明は,「オペレーティングシステムをアップグレードする場合」に実行される発明であって,オペレーティングシステムのアップグレードが終了した後に,再度,「不適合なアプリケーションがインストールされていることを検出させる」処理を実行することを想定しているものではない。
そうすると,引用発明において,記録媒体から取得した“不適合なアプリケーションを特定する情報”は,「オペレーティングシステムをアップグレードする場合」にだけ使用するものであり,オペレーティングシステムのアップグレードが終了した後に繰り返し使用するものではないから,引用発明に,「外部から取得した情報を格納して保持しておくことで外部とは独立して処理を行えるようにする」という周知の技術的事項を適用しても不適合アプリデータベースを構築する動機付けがない。
したがって,引用発明に上記周知の技術的事項を適用して上記相違点2に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。

(相違点3について)
引用発明の方法は,コンピュータシステムが実行するものであるから,引用発明の「方法」を「プログラム」とすることは,当業者が適宜なし得たことである。

2.本願発明2,3について
本願発明2,3も,本願発明1の「自コンピュータに備えられた前記コンピュータにインストールすることが不適合なアプリケーションを特定する情報を記憶した不適合アプリデータベース」と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2に記載された技術的事項及び周知の技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明4,5について
本願発明4,5は,本願発明1に対応する「情報処理方法」の発明,及び「情報処理装置」の発明であり,本願発明1の「自コンピュータに備えられた前記コンピュータにインストールすることが不適合なアプリケーションを特定する情報を記憶した不適合アプリデータベース」に対応する構成を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2に記載された技術的事項及び周知の技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり,本願発明1-5は,当業者が引用発明,引用文献2に記載された技術的事項及び周知の技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-04-18 
出願番号 特願2014-237385(P2014-237385)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 坂庭 剛史  
特許庁審判長 高木 進
特許庁審判官 辻本 泰隆
須田 勝巳
発明の名称 プログラム,情報処理方法及び情報処理装置  
代理人 渡部 章彦  
代理人 重久 啓子  
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