• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01N
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01N
管理番号 1327449
審判番号 不服2015-17389  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-24 
確定日 2017-05-09 
事件の表示 特願2014- 24893「記録材判別装置及び画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月29日出願公開、特開2014- 98930、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成17年11月22日(国内優先権主張 平成16年12月20日)に出願された特願2005-337714号の一部を、平成24年1月10日に新たに出願(特願2012-002386号)し、さらにその一部を、平成26年2月12日に新たに出願したものであって、同年11月28日付けで拒絶理由が通知され、平成27年1月30日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年6月15日付けで拒絶査定されたところ、同年9月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
その後、当審において平成28年8月8日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)が通知され、同年10月11日付けで意見書及び手続補正書が提出され、当審において同年12月19日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由2」という。)が通知され、平成29年2月20日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明

本願請求項1ないし18に係る発明(以下、それぞれの発明を「本願発明1」などという。)は、平成29年2月20日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載の事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明は、請求項1に記載されている事項により特定される次の発明であると認める。

「【請求項1】
記録材に光を照射する第一発光部と、
前記第一発光部に対して記録材を介した反対側から、かつ記録材の表面に対して斜めから記録材に光を照射する第二発光部と、
前記第一発光部に対して記録材を介した反対側に配置され、前記第一発光部から記録材に照射されて記録材を透過した透過光と、前記第二発光部から記録材に照射されて記録材で反射した反射光とを受光する受光部と、を有し、
前記受光部が前記透過光を受光した結果と前記反射光を受光した結果に基づき、記録材の種類が判別される記録材判別装置において、
前記第一発光部と記録材との間で、且つ、前記第一発光部によって光が照射される位置に配置され、前記第一発光部から照射された光を透過しつつ拡散させる光拡散部材を有し、
前記第一発光部が記録材に光を照射していない状態で前記第二発光部が記録材に光を照射するモードを備え、前記モードで動作する際、前記第二発光部から照射され記録材を透過した光が、前記光拡散部材に照射され拡散されることで、前記第二発光部から照射され記録材を透過した光が前記第一発光部で反射して前記受光部へと向かうことが低減されることを特徴とする記録材判別装置。」

第3 原査定の理由の概要

本願の請求項1、3-10、12-18に係る発明は、その出願遡及日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願遡及日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


・引用例A:特開2000-221142号公報
・引用例B:国際公開第2003/086771号
(対応する公表特許公報:特表2005-529313号公報)
・引用例C:特開2000-301805号公報
・引用例D:特開平11-224515号公報
・引用例E:特開平06-156814号公報
・引用例F:特開平09-224127号公報

第4 当審の拒絶理由の概要

1 当審拒絶理由1の概要

当審拒絶理由1の概要は、以下のとおりである。

(1) 拒絶の理由1(特許法第36条第6項第2号違反について)
本願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(2) 拒絶の理由2(特許法第36条第6項第1号違反について)
本願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(3) 拒絶の理由3(特許法第29条第2項違反について)

本願の下記の請求項に係る発明は、その出願遡及日前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願遡及日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない


・請求項10-18について
・引用例A:特開2000-221142号公報

2 当審拒絶理由2の概要

当審拒絶理由2の概要は、以下のとおりである。

この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願遡及日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願遡及日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


・請求項1ないし18について
・引用例1:特開2000-301805号公報(原査定時の引用例C)
・引用例2:特開2000-221142号公報(原査定時の引用例A)

第5 当審の判断

1 進歩性について

(1) 当審拒絶理由2の検討

ア 本願発明

上記「第2」に記載した本願発明1の発明特定事項を分説し、A)ないしF)の符号を付与すると、下記のとおりである。

A) 記録材に光を照射する第一発光部と、
B) 前記第一発光部に対して記録材を介した反対側から、かつ記録材の表面に対して斜めから記録材に光を照射する第二発光部と、
C) 前記第一発光部に対して記録材を介した反対側に配置され、前記第一発光部から記録材に照射されて記録材を透過した透過光と、前記第二発光部から記録材に照射されて記録材で反射した反射光とを受光する受光部と、を有し、
D) 前記受光部が前記透過光を受光した結果と前記反射光を受光した結果に基づき、記録材の種類が判別される記録材判別装置において、
E) 前記第一発光部と記録材との間で、且つ、前記第一発光部によって光が照射される位置に配置され、前記第一発光部から照射された光を透過しつつ拡散させる光拡散部材を有し、
F) 前記第一発光部が記録材に光を照射していない状態で前記第二発光部が記録材に光を照射するモードを備え、前記モードで動作する際、前記第二発光部から照射され記録材を透過した光が、前記光拡散部材に照射され拡散されることで、前記第二発光部から照射され記録材を透過した光が前記第一発光部で反射して前記受光部へと向かうことが低減される
ことを特徴とする記録材判別装置。

イ 各引用例に記載された事項

(ア) 引用例1に記載された事項

引用例1には、以下の記載がある。

(引1-ア) 「【請求項1】(A)記録媒体用媒体経路の近くに設置され、そこからの光が前記記録媒体の表面に当たるようにされた少なくとも1つの照明源と、(B)100μm以下の寸法を有する前記記録媒体の表面上の区域からの放射強度を検出するように、前記少なくとも1つの照明源により発生された前記照明源からの光を受けるよう設置された少なくとも1つのセンサ要素と、(C)前記少なくとも1つのセンサ要素の出力に対応する信号を受けるための処理装置であって、前記信号を処理して前記記録媒体を識別する処理装置と、を備えていることを特徴とする記録媒体の識別装置。
【請求項2】 前記少なくとも1つの照明源は、前記記録媒体の表面に対して鋭角をもって前記記録媒体に導かれる照明源を備えていることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体の識別装置。」

(引1-イ) 「【請求項5】 前記少なくとも1つの照明源は、更に、前記記録媒体を透過して照明する透過照明源を備えていることを特徴とする請求項4に記載の記録媒体の識別装置。」

(引1-ウ) 「【請求項10】(D) 前記処理装置から信号を受けるプリンタ制御装置と、(E) 前記処理装置により識別される記録媒体に応じて、前記プリンタ制御装置により制御されるプリンタと、を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体の識別装置。
【請求項11】 前記処理装置はプリンタ制御装置でもあり、前記処理装置が識別された記録媒体に応じて前記プリンタを制御することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体の識別装置。」

(引1-エ) 「【0022】更に以下に述べるように、特徴の寸法に基づいて区別する他に、色々な媒体を形体の密度、形体の空間周波数、全反射率、コントラスト範囲、及びグレースケール・ヒストグラムのような性質により区別することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態の記録媒体識別装置は、図1に概略的に図示したような1つ以上の照明源12,14及び16を備えている。これら照明源12,14及び16は、媒体経路(図示せず)上に支持された記録媒体10に向けられている。透過照明器12は、光源からの光が照明光学装置13により平行にされて媒体10を通過するように、記録媒体10の下方に設置されている。かすめ照明器14は、かすめ入射角の光を媒体10に与える。かすめ照明器14からの光は、照明光学装置15及び/又はこの照明器14が備えている光学装置により平行にされる。かすめ角は、入射角の補角であるが、約30度以下である。更に高いコントラストを得るには、好適には、かすめ角は約16度以下となされる。
【0024】垂直入射照明(すなわち、媒体10の平面に垂直な入射照明)用の照明器16も図1に示されている。垂直照明器16からの光は、照明光学装置17により平行にされるか又は収束され、振幅ビームスプリッタ18により向け直されて媒体10を垂直入射で照明する。振幅ビームスプリッタ18を通って真っすぐに伝えられる垂直照明器16からの光の部分は、図1に図示してなく、通常は使用されない。
【0025】記録媒体識別装置は更に、図1の最上部に示した光検出器アレイ22を備えている。例えば、媒体により散乱される、かすめ照明器14からの光は、振幅ビームスプリッタ18、小孔21、及び結像光学装置20を通過し、光検出器アレイ22により検出される。光検出器アレイ22は、同様に、垂直照明器16からの反射光、及び透過照明器12からの透過光を検出する。これに代わる何学的構成において、垂直照明器16及び照明光学装置17の光学的能力を適切に修正して、垂直照明器16、照明光学装置17、及び振幅ビームスプリッタ18を媒体10の平面の上方のはるか遠くの位置に設置し、ビームスプリッタ18を光検出器アレイ22と結像光学装置20との間に配置するようにしてもよい。
【0026】光検出器アレイ22は、CCD又はCMOSディバイスのような複数の光電画像検知ディバイスを配列して成るものである。好適な実施形態においては、光検出器は二次元配列にして設置されている。媒体識別に十分な数の形体が像界に確実に入っているようにするためには、実用的な配列として、100×100要素の如く多数の要素を必要とするが、構成、費用、及び信号処理上の考察からは16×16ほどのより少ない要素の配列が好ましい。なお、互いに直交する二つの方向における要素の数を互いに等しくする必要はない。」

(引1-オ) 「【0029】照明源12、14及び16を1つ以上の発光ダイオードとすることができる。その代わりに、照明源12、14及び16を白熱電球、レーザ・ダイオード、又は表面発光ダイオードのような他の光源にしてもよい。媒体10が急速に移動する場合には、光源をより高い駆動レベルでパルス照射させて露光期間中に十分な光子が光検出器に確実に到達するようにして運動のぶれを防止することができる。照明光学装置13,15及び17は、通常のものでよいが、レンズ,フィルタ,及び/又は回折要素若しくはホログラフ要素のうちの単一要素、或いは、これらの組合せから構成して、目標表面に対して適切に平行光にされた及び/又はほぼ一様な照明を達成することができる。」

(引1-カ) 「【0036】以上に説明したように、本発明の媒体識別装置は、1つ以上の照明源を備えている。或る実施形態では、多数の照明源からの情報を、最初に1つの照明源を点灯して1つの信号を得、次に第2の照明源を点灯して第2の信号を得るなどして、測定値を時間順に整理して得ている。・・・」

(引1-キ) 「【0044】・・・レーザ・プリンタでは、通常、媒体送り速度、露出レベル、トナー投入、トナー移転電圧、及びヒューザ温度を調節して異なる媒体に関する性能を最適化できる。
【0045】記録媒体の主要な分類は、普通紙、コート紙、コート光沢紙、透明画フィルム、及び「写真品質」紙である。大様式インクジェット・プリンタは、布、マイラ、ベラム、及びコート・ベラムのような別の媒体を支持する。これら媒体を使用するよう設計されたプリンタでは、適切な別の分類を規定してこれら材料を識別することができる。」

(引1-ク) 「図1



(引1-ケ) 上記(引1-ア)、(引1-イ)、(引1-エ)及び(引1-ク)を参照すると、記録媒体の表面に対して鋭角をもって前記記録媒体に導かれる照明源が、かすめ照明器14であり、また、前記記録媒体を透過して照明する照明源が、透過照明器12である点が理解できる。
また、少なくとも1つのセンサ要素が、光検出器アレイ22であって、該光検出器アレイ22は、かすめ照明器14からの反射光、及び透過照明器12からの透過光を検出するものである点が理解できる。

(引1-コ) さらに、上記(引1-オ)より、「照明光学装置13」が、「目標表面に対して適切に平行光にされた及び/又はほぼ一様な照明を達成するできる」ものであるから、「ほぼ一様な照明を達成する」ものである点が理解できる。

(引1-サ) 上記(引1-カ)に「多数の照明源からの情報を、最初に1つの照明源を点灯して1つの信号を得、次に第2の照明源を点灯して第2の信号を得る」と記載されていることから、透過照明器12が点灯していない状態で、かすめ照明器14が点灯する場合が想定されていることは、当業者にとって明らかである。

よって、上記(引1-ア)ないし(引1-サ)より、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「a) 記録媒体用媒体経路の近くに設置され、そこからの光が前記記録媒体の表面に当たるようにされた少なくとも1つの照明源と、
b) 前記少なくとも1つの照明源により発生された前記照明源からの光を受けるよう設置された少なくとも1つのセンサ要素と、
c) 前記少なくとも1つのセンサ要素の出力に対応する信号を受けるための処理装置であって、前記信号を処理して前記記録媒体を識別する処理装置と、
を備えている記録媒体の識別装置であり、
d) 前記少なくとも1つの照明源は、前記記録媒体の表面に対して鋭角をもって前記記録媒体に導かれる照明源を備え、該照明源は、かすめ照明器14であり、かすめ入射角の光を媒体10に与え、
e) 前記少なくとも1つの照明源は、更に、前記記録媒体を透過して照明する透過照明源を備え、該透過照明源は、透過照明器12であり、透過照明器12は、光源からの光が照明光学装置13により平行光にされて媒体10を通過するように、記録媒体10の下方に設置され、
f) 照明光学装置13は、ほぼ一様な照明を達成するものであり、
g) 透過照明器12が点灯していない状態で、かすめ照明器14が点灯する場合を備え、
h) 少なくとも1つのセンサ要素は、光検出器アレイ22であり、該光検出器アレイ22は、かすめ照明器14からの反射光、及び透過照明器12からの透過光を検出するものである、
記録媒体の識別装置。」

(イ) 引用例2に記載された事項

(引2-ア) 「【0038】本実施形態においては、図14に示すように、上記第3、第4の実施形態と同様、枚葉印刷物53の案内手段として、一対の筒状案内部材30を用いた場合にあって、識別手段として筒状案内部材30,30間に搬送される枚葉印刷物53を背方から照射する透過照明兼用のランプユニット25が配置され、更に、ランプユニット25と枚葉印刷物53との間にランプユニット25からの光を枚葉印刷物53の撮像領域全体に対してほぼ均一に散乱させる光拡散部材32が備えられている。このランプユニット25は上記第2の実施形態の場合と同様、図9、若しくは図10に示す構成のものを用いることができる。なお、ランプユニット25は実線で示すように枚葉印刷物53の近傍に配置してもよく、または鎖線で示すように枚葉印刷物53から離隔した位置に配置してもよい。その他の構成については上記第1、第2の実施形態と同様である。」

(引2-イ) 「図14



(引2-ウ) 上記(引2-ア)及び(引2-イ)より、引用例2には、下記の事項が記載されていると認められる。
「被検査物の背面を照射するランプユニットが、ランプユニットからの被検査物に対する照射光を撮像手段による上記被検査物の撮像領域全体にほぼ均一に散乱させる光拡散部材を備えた点。」

ウ 対比

引用発明と本願発明1とを対比する。

(ア) 本願発明1のA)ないしC)の特定事項について
a 引用発明の「記録媒体」は、本願発明1の「記録材」に相当する。
b 引用発明の「少なくとも1つの照明源」は、「かすめ照明器14」及び「透過照明器12」を備えるものである。そして、「かすめ照明器14」は「かすめ入射角の光を記録媒体10に与え」るものであり、「透過照明器12」は「記録媒体を透過して照明」し、「光源からの光が」「記録媒体10を通過するように」「設置され」るものである。
c 引用発明の「光検出器アレイ22」は、「かすめ照明器14からの反射光、及び透過照明器12からの透過光を検出するもの」である。したがって、「光検出器アレイ22」は、「かすめ照明器14からの反射光」を「検出するもの」であるから、「記録媒体10」に対して「かすめ照明器14」と同じ側に配置され、かつ、「光検出器アレイ22」は、「透過照明器12からの透過光を検出するもの」でもあるから、「記録媒体10」に対して、「透過照明器12」と反対側に配置されるものであることは当業者にとって明らかである。そして、それらの配置関係から、「かすめ照明器14」は、「記録媒体10」に対して、「透過照明器12」と反対側に配置されることも、同様に、当業者にとって明らかである。
d よって、引用発明の「記録媒体10」「を透過して照明」する「透過照明器12」は、本願発明1の「記録材に光を照射する第一発光部」に相当し、また、引用発明の「かすめ入射角の光を記録媒体10に与え」ることは、本願発明1の「記録材の表面に対して斜めから記録材に光を照射する」ことに相当することから、引用発明の「記録媒体10」に対して「透過照明器12」と反対側に配置される「かすめ入射角の光を記録媒体10に与え」る「かすめ照明器14」は、本願発明1の「前記第一発光部に対して記録材を介した反対側から、かつ記録材の表面に対して斜めから記録材に光を照射する第二発光部」に相当する。
e さらに、引用発明の「記録媒体10」に対して、「透過照明器12」と反対側に配置され「透過照明器12からの透過光」「及び」「かすめ照明器14からの反射光」「を検出する」「光検出器アレイ22」は、本願発明1の「前記第一発光部に対して記録材を介した反対側に配置され、前記第一発光部から記録材に照射されて記録材を透過した透過光と、前記第二発光部から記録材に照射されて記録材で反射した反射光とを受光する受光部」に相当する。

(イ) 本願発明1のD)の特定事項について
a 引用発明の「記録媒体の識別装置」は、本願発明1の「記録材判別装置」に相当し、引用発明の「記録媒体を識別する」ことは、本願発明1の「記録材の種類が判別される」ことに相当する。
b 引用発明は、「少なくとも1つのセンサ要素」である「光検出器アレイ22」の「出力に対応する信号」「を処理して」「記録媒体を識別する」ものであり、前記「光検出器アレイ22」は、「かすめ照明器14からの反射光、及び透過照明器12からの透過光を検出するもの」であるから、「光検出器アレイ22」の「出力に対応する信号」は、前記「反射光」、及び、「透過光」の検出の結果を表すものであることは当業者にとって明らかである。
c そして、「検出」の結果を表す「出力に対応する信号」「を処理して」「記録媒体」を「識別」することは、「検出」の結果に基づく「記録媒体」の「識別」であるといえる。
d よって、引用発明の「光検出器アレイ22」の「かすめ照明器14からの反射光、及び透過照明器12からの透過光」を「検出」した「出力に対応する信号」「を処理して」「記録媒体を識別する」「記録媒体の識別装置」は、本願発明1の「前記受光部が前記透過光を受光した結果と前記反射光を受光した結果に基づき、記録材の種類が判別される記録材判別装置」に相当する。

(ウ) 本願発明1のE)の特定事項について
a 引用発明の「照明光学装置13」は、「ほぼ一様な照明を達成するもの」であり、「透過照明器12」の「光源からの光が照明光学装置13により平行光にされて記録媒体10を通過するように」設置されるものであるから、光が透過する「透光部材」といえ、「透過照明器12」と「記録媒体10」の間に配置されることは明らかであり、また、「光源からの光が」照射される位置に配置されたものであることも明らかである。
b 一方、本願発明1の「光拡散部材」も「光を透過しつつ拡散させる」ものであるから、「透光部材」といえる。
c よって、引用発明の「透過照明器12」の「光源からの光」を「平行光にされて記録媒体10を通過するように」する、「ほぼ一様な照明を達成するものであ」る「照明光学装置13」を有する点と、本願発明1の「前記第一発光部と記録材との間で、且つ、前記第一発光部によって光が照射される位置に配置され、前記第一発光部から照射された光を透過しつつ拡散させる光拡散部材」を有する点は、「前記第一発光部と記録材との間で、且つ、前記第一発光部によって光が照射される位置に配置され、前記第一発光部から照射された光を透過」する「透光部材」を有する点で共通する。

(エ) 本願発明1のF)の特定事項について
a 引用発明は、「透過照明器12」及び「かすめ照明器14」は、「点灯」することによって、記録媒体10に光を照射していることは当業者にとって明らかである。よって、引用発明の「点灯する」ことは、本願発明1の「記録材に光を照射」することに相当する。
b 引用発明の「場合を備え」ることは、本願発明1の「モードを備え」ることに相当する。、
c よって、引用発明の「透過照明器12が点灯していない状態で、かすめ照明器14が点灯する場合を備え」ることは、本願発明1の「前記第一発光部が記録材に光を照射していない状態で前記第二発光部が記録材に光を照射するモードを備え」る点に相当する。

そうすると、本願発明1と引用発明は、以下の点で一致する。

<一致点>
「記録材に光を照射する第一発光部と、
前記第一発光部に対して記録材を介した反対側から、かつ記録材の表面に対して斜めから記録材に光を照射する第二発光部と、
前記第一発光部に対して記録材を介した反対側に配置され、前記第一発光部から記録材に照射されて記録材を透過した透過光と、前記第二発光部から記録材に照射されて記録材で反射した反射光とを受光する受光部と、を有し、
前記受光部が前記透過光を受光した結果と前記反射光を受光した結果に基づき、記録材の種類が判別される記録材判別装置において、
前記第一発光部と記録材との間で、且つ、前記第一発光部によって光が照射される位置に配置され、前記第一発光部から照射された光を透過する透光部材を有し、
前記第一発光部が記録材に光を照射していない状態で前記第二発光部が記録材に光を照射するモードを備える
記録材判別装置。」

また、両者は、以下の点で相違している。

<相違点1>
第一発光部と記録材との間に配置された透光部材が、本願発明1では、「第一発光部から照射された光を透過しつつ拡散させる光拡散部材」であるのに対して、引用発明では、該透光部材が、「ほぼ一様な照明を達成するもの」ではあるが、光を拡散させるものではない点。

<相違点2>
第一発光部が記録材に光を照射していない状態で第二発光部が記録材に光を照射するモードで動作する際に、本願発明1では、第二発光部から照射され記録材を透過した光が、光拡散部材に照射され拡散されることで、前記第二発光部から照射され記録材を透過した光が前記第一発光部で反射して前記受光部へと向かうことが低減されるのに対して、引用発明では、その点が不明である点。

相違点の判断

まず、上記相違点1について以下に検討する。

上記(引2-ウ)を参照すると、引用例2には、被検査物の背面を照射するランプユニットが、ランプユニットからの被検査物に対する照射光を撮像手段による上記被検査物の撮像領域全体にほぼ均一に散乱させる光拡散部材を備えた点が記載されている。
一方、引用発明における透光部材である「照明光学装置13」は、透過照明器12からの光を、「ほぼ一様な照明」とするものではあるが、「光源からの光が」「平行光にされて媒体10を通過するように」するものである。
そして、引用発明における透光部材である「照明光学装置13」を引用例2に記載された光拡散部材に置換する動機付け、又は、前記「照明光学装置13」に加えて引用例2に記載された光拡散部材を設置する動機付けの有無について検討すると、引用発明の「照明光学装置13」は、「光源からの光」を「平行光」にするものであるから、光拡散部材に置換した場合、又は、光拡散部材を加えて設置した場合には、「光源からの光」は、拡散光となってしまい、「平行光にされて媒体10を通過する」ことは実現できなくなってしまうことは明らかである。
したがって、引用発明における「照明光学装置13」を光拡散部材に置換、又は、前記「照明光学装置13」に加えて光拡散部材を設置する動機付けは存在せず、その点が当業者にとって容易に想到し得るものであるとすることはできない。

してみると、引用例1及び引用例2に接した当業者といえども、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を想起することができない。

よって、本願発明1は、相違点2について検討するまでもなく、当業者が引用発明及び引用例2に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

また、本願発明2ないし9は、本願発明1の発明特定事項をすべて含み、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同様に、引用発明及び引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

さらに、本願発明10は、記録材判別装置の発明である本願発明1の発明特定事項をすべて含む画像形成装置の発明であるから、本願発明1と同様に、引用発明及び引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

そして、本願発明11ないし18は、本願発明10の発明特定事項をすべて含み、本願発明10をさらに限定したものであるので、本願発明1と同様に、引用発明及び引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

オ 当審拒絶理由2のまとめ

以上のことから、本願発明1ないし18は、引用例1及び引用例2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないことから、当審拒絶理由2によっては、本願を拒絶することはできない。

(2) 当審拒絶理由1の理由3の検討

ア 引用例の記載事項

当審拒絶理由1の理由3において引用した引用例Aは、引用例2に相当することから、引用例Aには、上記「(1) 当審拒絶理由2の検討」「イ 各引用例に記載された事項」「(イ) 引用例2に記載された事項」において指摘した事項が記載されている。

イ 当審拒絶理由1の理由3の判断

上記「オ 当審拒絶理由2のまとめ」のとおり、本願発明1ないし18は、引用例1及び引用例2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないことから、本願発明10ないし18が、引用例2である引用例Aに記載された事項のみから当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないことは明らかである。

ウ 当審拒絶理由1の理由3のまとめ

よって、本願発明10ないし18は、引用例Aに記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないことから、当審拒絶理由1の理由3によっては、本願を拒絶することはできない。

(3) 原査定の理由の検討

ア 各引用例の記載事項

(ア) 引用例Aの記載事項

原査定の理由において引用した引用例Aは、引用例2に相当することから、引用例Aには、上記「(1) 当審拒絶理由2の検討」「イ 各引用例に記載された事項」「(イ) 引用例2に記載された事項」において指摘した事項が記載されており、上記(引2-ウ)において指摘したように、「被検査物の背面を照射するランプユニットが、ランプユニットからの被検査物に対する照射光を撮像手段による上記被検査物の撮像領域全体にほぼ均一に散乱させる光拡散部材を備えた点。」が記載されている。

(イ) 引用例Bの記載事項

原査定の理由において引用した引用例Bには、一つまたは複数の方向からの照明によって明らかになる媒体の精密な構造を利用して、さまざまな種類の普通紙、光沢紙等のコート紙、および透明フィルムの間で区別を行う技術事項が記載されている(第1頁右下欄Abstract、第7頁第1行-第23行、FIG.1A参照。)。

(ウ) 引用例Cの記載事項

原査定の理由において引用した引用例Cは、引用例1に相当することから、引用例Cには、上記「(1) 当審拒絶理由2の検討」「イ 各引用例に記載された事項」「(ア) 引用例1に記載された事項」において指摘した事項が記載されている。

(エ) 引用例Dの記載事項

原査定の理由において引用した引用例Dには、ライトガイドにより光を導く点が記載されている(段落【0008】-【0009】参照。)。

(オ) 引用例E及び引用例Fの記載事項

原査定の理由において引用した引用例E及び引用例Fには、透過光の強度と紙葉類の厚さに相関がある点が記載されている(引用例Eの【0003】、引用例Fの【0047】参照。)。

イ 原査定の理由の判断

本願発明1と引用例Cに記載された発明とを対比すると、両者は、上記「(1) 当審拒絶理由2の検討」「ウ 対比」において指摘した、相違点1及び相違点2において相違する。
そして、上記相違点1に対する判断は、上記「(1) 当審拒絶理由2の検討」「エ 相違点の判断」において検討したとおりであり、引用例C及び引用例Aに接した当業者といえども、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を想起することができない。
また、引用例B、DないしFの記載された事項は、上記「ア 各引用例の記載事項」のとおりであり、それらの記載を参照しても、上記「(1) 当審拒絶理由2の検討」「エ 相違点の判断」において検討した、引用例Cに記載された発明(引用発明)における「照明光学装置13」を引用例A(引用例2)に記載された事項における光拡散部材に置換する動機付け、又は、前記「照明光学装置13」に加えて前記光拡散部材を設置する動機付けとなり得る根拠は見出せない。
したがって、引用例Aないし引用例Fに接した当業者といえども、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を想起することができない。

よって、本願発明1は、相違点2について検討するまでもなく、当業者が引用例Aないし引用例Fに記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

また、本願発明3ないし9は、本願発明1の発明特定事項をすべて含み、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同様に、引用例Aないし引用例Fに記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

さらに、本願発明10は、記録材判別装置の発明である本願発明1の発明特定事項をすべて含む画像形成装置の発明であるから、本願発明1と同様に、引用例Aないし引用例Fに記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

そして、本願発明12ないし18は、本願発明10の発明特定事項をすべて含み、本願発明10をさらに限定したものであるので、本願発明1と同様に、引用例Aないし引用例Fに記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 原査定の理由のまとめ

よって、本願発明1、3ないし10、12ないし18は、引用例Aないし引用例Fに記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

2 記載不備について

(1) 当審拒絶理由1の理由1(特許法第36条第6項第2号)について

当審拒絶理由1において、請求項1ないし9に係る発明は、「記録材検出装置」の発明であるが、「検出」とは、「有るか無いか」の判断を行う場合に用いられる用語であるから、請求項1ないし9に係る発明の各構成が、「記録材検出装置」として、記録材の検出のために、どのように機能するのか不明であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成28年10月11日付けの補正において「記録材判別装置」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

(2) 当審拒絶理由1の理由2(特許法第36条第6項第1号)について

当審拒絶理由1において、本願の発明の詳細な説明には、記録材の厚み又は表面状態を判別するための装置のみが記載されており、「記録材検出装置」としての記載は存在しないことから、「記録材検出装置」の発明である請求項1ないし9に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないとの拒絶の理由を通知しているが、平成28年10月11日付けの補正において「記録材判別装置」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第6 結語

以上のとおりであるから、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-04-17 
出願番号 特願2014-24893(P2014-24893)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G01N)
P 1 8・ 121- WY (G01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 横尾 雅一  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
信田 昌男
発明の名称 記録材判別装置及び画像形成装置  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ