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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1327588
審判番号 不服2016-16420  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-02 
確定日 2017-05-19 
事件の表示 特願2014-226193「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月12日出願公開、特開2015- 44041、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年1月29日に出願した特願2013-14070号の一部を平成26年11月6日に新たな特許出願(特願2014-226193号)としたものであって、平成27年4月22日付けで手続補正書が提出され、平成28年3月4日付けで拒絶理由が通知され、平成28年4月28日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成28年5月17日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成28年7月13日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成28年8月1日付けで平成28年7月13日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、平成28年11月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成28年8月1日付けの補正の却下の決定及び原査定の概要
1.平成28年8月1日付けの補正の却下の決定の概要
平成28年7月13日付けの補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるが、当該補正後の本願請求項1に係る発明は、引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、独立特許要件を満たさないから、平成28年7月13日付けの補正は却下すべきものである。

引用文献等一覧
1.特開2009-279274号公報
2.特開2011-135916号公報
3.特開2007-307251号公報

2.原査定(平成28年8月1日付け拒絶査定)の概要
平成28年4月28日付け手続補正書でした補正は、その補正後の請求項1に係る発明が、その補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、特許法第37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものではないから、同法第17条の2第4項に規定する要件を満たしていない。

第3 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年11月2日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である(A?Hは、本願発明を分説するため当審で付した。)。

「【請求項1】
A 遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定し、当該判定の結果に応じて特別遊技を実行する遊技機であって、
B 演出画像を表示する第1の表示画面と、
C 前記第1の表示画面の前側において前記第1の表示画面の一端側に配置される、演出画像を表示する第2の表示画面と、
D 前記第1の表示画面の前側において、前記第1の表示画面を基準とした前記第2の表示画面の反対側となる他端側に前記第2の表示画面から離れて配置される、演出画像を表示する第3の表示画面とを備え、
E 前記第2の表示画面および前記第3の表示画面は、前記第1の表示画面において実行される、演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出の発展と共に、前記第1の表示画面の前記一端側および他端側において離れて配置される第1状態から互いに近づいた第2状態となるように動作することが可能であり、
F 前記第2の表示画面および前記第3の表示画面が前記第1状態から前記第2状態となる動作と共に、前記第1の表示画面における段階演出に用いられる演出画像の表示領域を変更可能であり、
G 前記第2の表示画面および前記第3の表示画面が前記第1状態から前記第2状態となるときに、前記第2の表示画面と前記第3の表示画面に互いに異なる演出画像を表示可能であり、
H 前記第2状態において、前記第1の表示画面における、前記第2の表示画面および前記第3の表示画面よりも外側の領域に演出画像を表示可能である、遊技機。」

第4 引用文献
1.引用文献1
原審の補正の却下の決定において引用された引用文献1(特開2009-279274号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア) 「【請求項1】
遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が抽選の契機となる始動口と、
前記始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、
前記当否抽選の結果を示すための図柄の変動画像を含む所定の演出画像が画面に表示される演出表示装置と、
前記演出表示装置とは別に前記当否抽選の結果を示すための図柄を変動表示可能な表示部を有するとともに、前記演出表示装置の前面側でその演出表示装置の画面の一部を覆い隠すように進退可能に配設された可動表示装置と、
前記可動表示装置を進退させる駆動機構を駆動制御する駆動制御手段と、
前記演出表示装置および前記可動表示装置における図柄の変動表示における変動開始から停止までの変動過程が定められた複数の変動パターンと、前記可動表示装置の動作過程が定められた複数の駆動パターンとが対応付けられた複数の演出パターンを保持するパターン記憶手段と、
遊技状態に応じて前記複数の演出パターンのいずれかを決定する演出決定手段と、
決定された演出パターンにしたがって、前記演出表示装置および前記可動表示装置のいずれか一方を主体的な表示領域として前記図柄を変動表示させる表示制御手段と、
前記当否抽選が前記特別遊技への移行を示す結果となり、前記当否抽選が当たりであることを示す所定の停止態様にて前記図柄の変動表示が停止したときに前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
を備えたことを特徴とする弾球遊技機。」

(イ) 「【0026】
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190(「第1の装飾図柄」として機能する)を含む演出画像の変動を表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。ここで、特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が停止されたときの図柄態様が当たりと定められた図柄であった場合、その停止図柄が表示されたタイミングが大当たり発生タイミングとなる。特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段である。演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイである。」

(ウ) 「【0036】
可動表示装置150は、比較的厚みが小さい長方形板状のLED表示装置からなり、その前面側に図柄表示部210を有する。図柄表示部210の左右および中央には7セグメントLEDが配置され、それによって装飾図柄211(「第2の装飾図柄」として機能する)を構成する3列の図柄が表示可能となっている。装飾図柄211は、遊技状態に応じて装飾図柄190と連携し、当否抽選の結果を表示する。演出表示装置60が図柄とその背景画像を含む他の演出画像を表示させる表示装置として構成されているのに対し、可動表示装置150は、図柄専用の表示装置として構成されている。図柄表示部210は、その厚みが小さいため、センター飾り64とケース202との隙間に収容されることが可能であり、図柄表示部210を作動させないときには、図1にも示されるように、演出表示装置60の下方に退避できるようになっている。

【0037】
可動表示装置150の左右には一対のアーム212が延出し、各アーム212の先端に柱状の支持部214が設けられている。ケース202の左右には、開口部206を挟むように一対のガイド部216が上下に延びるように配設されており、左右の支持部214がそれぞれ摺動可能に配置されている。アーム212が支持部214からやや前方に延びるように設けられることで、可動表示装置150を前方にやや突出させている。可動表示装置150は、その昇降により下方から表示画面208の前面側に進退可能になっており、表示画面208に進出すると、その一部を覆い隠すようになる。」

(エ) 「【0062】
図5は、演出表示装置と可動表示装置との連携により実行される転換表示演出の一例を表す図である。図中の太線矢印は、可動表示装置150の動作方向を表している。
同図には、演出表示装置60における図柄の変動表示をその変動過程で可動表示装置150に移すようにして継続的に表示させるとともに、演出表示装置60における図柄の変動表示を消滅させて図柄の主体的な表示領域を切り替える転換表示を行う例が示されている。この転換表示演出における装飾図柄190および装飾図柄211の変動パターンと、可動表示装置150の駆動パターンは1つの演出パターンとして対応付けられ、パターン記憶手段130に保持されている。演出決定手段132が、当否抽選の結果に応じてこの演出パターンを選択する。

【0063】
同図(a)においては、演出表示装置60における表示画面208の中央に、装飾図柄190が比較的大きく表示されている。図示の例では、左右に図柄「7」が停止表示されて中央の図柄のみが変動表示されるリーチ状態となっている。一方、可動表示装置150は、その大部分が演出表示装置60の下部に収容される退避位置に待機している。その結果、演出表示装置60の表示画面208に装飾図柄190が主体的に変動表示されている。」

(オ) 「【0067】
図7は、演出表示装置と可動表示装置との連携により実行される転換表示演出のさらに他の例を表す図である。図中の太線矢印は、可動表示装置150の動作方向を表している。 この例では、可動表示装置150に一旦転換された装飾図柄の変動表示が、再度演出表示装置60に転換表示される再転換表示が行われている。

【0068】
同図(a)においては、可動表示装置150が演出表示装置60の下半部に位置し、装飾図柄211の変動表示を継続させている。この状態は、例えば図5や図6に示される演出過程を経て実現される。図示の例では、演出表示装置60の表示画面208において拡大された表示領域に、いわゆるステップアップ予告演出のステップ3が表示されている。なお、ステップアップ予告演出とは、予告演出において当否抽選の結果が当たりである期待度を段階的に示唆する演出であり、図示の例ではその3段階目が示されている。」

(カ) 「【0070】
図8は、演出表示装置と可動表示装置との連携により実行される転換表示演出のさらに他の例を表す図である。図中の太線矢印は、可動表示装置150の動作方向を表している。この例では、可動表示装置150の進退動作と演出表示装置60に表示される演出画像との協働により一つの演出が構成されている。

【0071】
同図(a)には、転換表示によって可動表示装置150の図柄表示部210における左右の領域に装飾図柄211が表示された後、その中央図柄を転換させる過程が示されている。同図(b)および(c)にも示すように、その転換表示の過程で装飾図柄190の中央図柄「8」を図柄表示部210に移そうとしているが、同図柄が抵抗してなかなか転換できないといった演出がなされている。同図(c)に示すように、中央図柄に圧力をかけることで、漸く同図(d)に示すように中央図柄の転換表示が完了している。」

(キ)図8には、図8(a)として、上方向の太線矢印と縦方向の大きさが小さな中央図柄「8」が、図8(b)として、下方向の太線矢印と縦方向の大きさが大きく変更された中央図柄「8」が、図8(c)として、下方向の太線矢印と縦方向の大きさが図8(a)よりもさらに小さく変更された中央図柄「8」が図示されている。

(ク)上記(カ)の【0070】には、図8について、「図中の太線矢印は、可動表示装置150の動作方向を表している。 この例では、可動表示装置150の進退動作と演出表示装置60に表示される演出画像との協働により一つの演出が構成されている。」と記載されているから、上記(カ)の記載事項及び上記(キ)の認定事項より、引用文献1には、可動表示装置150を進退動作させ、その進退動作と共に、中央図柄「8」の縦方向の大きさを変更することが記載されているといえる。

(ケ)図6には、図6(a)として、演出表示装置60の下方に配置された可動表示装置150と上方向の太線矢印が、図6(b)として、演出表示装置60の中央付近に配置された可動表示装置150と下方向の太線矢印が、図6(c)として、演出表示装置60の下方に配置された可動表示装置150と、その上部の「スーパーリーチ」との表示が図示されている。

(コ)上記(オ)の【0068】には、「同図(a)においては、可動表示装置150が演出表示装置60の下半部に位置し、装飾図柄211の変動表示を継続させている。この状態は、例えば図5や図6に示される演出過程を経て実現される。図示の例では、演出表示装置60の表示画面208において拡大された表示領域に、いわゆるステップアップ予告演出のステップ3が表示されている。」との記載があり、上記(ケ)の認定事項より、図6は可動表示装置150が進退動作を行う演出過程を図示しているといえる。そうすると、上記記載より、引用文献1には、可動表示装置150が進退動作を行う演出過程を経て、表示画面208にステップアップ予告演出のステップ3が表示されることが記載されているといえる。

(サ)上記(ア)の【請求項1】には、「前記始動口への入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、」及び、「前記当否抽選が前記特別遊技への移行を示す結果となり、前記当否抽選が当たりであることを示す所定の停止態様にて前記図柄の変動表示が停止したときに前記特別遊技を実行する弾球遊技機」との記載があり、弾球遊技機は、「当否抽選を実行」し、「前記当否抽選が前記特別遊技への移行を示す結果」となると、「前記当否抽選が当たりであることを示す所定の停止態様にて前記図柄の変動表示が停止」した状態を経て、「前記特別遊技を実行する」ものであるから、引用文献1には、弾球遊技機は、遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行し、当否抽選の結果に応じて特別遊技を実行するものであることが記載されているといえる。

(シ)上記(イ)の【0026】には、「演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190(「第1の装飾図柄」として機能する)を含む演出画像の変動を表示する」と記載されており、上記(エ)の【0063】には、「同図(a)においては、演出表示装置60における表示画面208の中央に、装飾図柄190が比較的大きく表示されている。」と記載されているから、引用文献1には、装飾図柄190を含む演出画像の変動は、演出表示装置60の表示画面208に表示されることが記載されているといえる。

以上、(ア)?(カ)の記載事項及び(キ)?(シ)の認定事項から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。(a?fは、本願発明のA?Hに対応させて付した。)

「a 遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行し、当否抽選の結果に応じて特別遊技を実行する弾球遊技機であって、(サ)
b 装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する演出表示装置60の表示画面208と、(シ)
c 装飾図柄211を構成する3列の図柄が表示可能な図柄表示部210を有し、昇降により下方から表示画面208の前面側に進退可能になっており、表示画面208に進出すると、その一部を覆い隠すようになる可動表示装置150と、を備え、(ウ)
e 可動表示装置150が進退動作する演出過程を経て、演出表示装置60の表示画面208には予告演出において当否抽選の結果が当たりである期待度を段階的に示唆するステップアップ予告演出のステップ3が表示され、(オ)、(コ)
f 可動表示装置150を進退動作させ、その進退動作と共に、中央図柄「8」の縦方向の大きさが変更され、可動表示装置150の進退動作と演出表示装置60に表示される演出画像との協働による演出がなされる、弾球遊技機。(ク)」

2.引用文献2
原審の補正の却下の決定において引用された引用文献2(特開2011-135916号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア) 「【0018】
本第1実施例のパチンコ遊技機は、図1ないし図26に示されるように複数の識別可能な装飾図柄を変動表示、停止表示またはおよび停止表示の一形態としての仮停止表示可能な図柄変動装置5と、複数のステップアップ予告演出表示態様を段階的に切り換えて前記図柄変動装置5に表示することにより、遊技者に表示するためのステップアップ予告表示指令を出力するステップアップ予告手段516を備えたパチンコ遊技機において、表示段階記憶手段521が、前記ステップアップ予告表示指令に従い前記図柄変動装置5に表示されたステップアップ予告演出表示態様を記憶して、再開判定手段522が、前記図柄変動装置5において仮停止表示された全ての前記装飾図柄の仮停止態様がステップアップ予告演出表示態様の再開表示の再開契機となる仮停止態様(「↑・↑・↑」)であるかどうかを判定して、再開表示の再開契機となる仮停止態様であった場合に再開指令を出力するとともに、ステップアップ予告再開手段520が、前記再開指令が出力された場合に、前記表示段階記憶手段521によって記憶されているステップアップ予告演出態様のうち最後のステップアップ予告演出態様を再び表示するとともに、さらに当該最後のステップアップ予告演出態様から再びステップアップ予告演出態様を切り換えて表示するためのステップアップ予告再開表示指令を出力するように構成されているものである。」

(イ) 「【0211】
本第2実施例における4段階のステップアップ予告演出態様は、図27(a)および(b)に示されるように前記可動役物141またはおよび142の作動態様によって、遊技者に対して認識可能に表示されるものであり、ステップアップ予告演出が表示されていない状態においては、前記可動役物141は、前記センター役物4の左方部分に設けられた収容部に収容されて遊技者から認識困難な位置において停止状態が維持されるとともに、前記可動役物142は前記センター役物4の右方上方部分に設けられた配設部に配設されて遊技者から認識容易な位置において停止状態が維持されるように構成される。
・・・

【0213】
略腕形状の前記可動役物142は、ステップアップ予告演出作動態様の最終段階であるSU4の表示態様が表示される状態において、ステップアップ予告作動指令またはステップアップ予告再開作動指令に基づき、前記センター役物4に設けられた配設部から略腕形状の肘部分に相当する位置を支点として、図中反時計方向の下方に揺動駆動されることにより、SU3の段階まで揺動突出駆動された前記可動役物141と連動して接近して、前記可動役物141の作動態様と併せてステップアップ予告演出作動態様のSU4のステップアップ予告演出作動態様を遊技者に対して表示可能に構成される。

【0214】
前記可動役物141および142は、図27(b)中に一例として数字表示して示されるように、ステップアップ予告演出作動態様を表示する時において、遊技者が数字、漢字、その他文字、キャラクタなどを認識出来るように前記発光手段141Lおよび142Lが発光することにより、ステップアップ予告演出作動態様の4つの段階を表示するまたはおよびステップアップ予告演出の演出効果を高めることが可能なように構成される。」

(ウ)第27図には、第27図(a)として、図柄変動装置5の右側に配置された可動役物142が、第27図(b)SU4として、互いに近づいた状態の図柄変動装置5の左側に配置される可動役物141と図柄変動装置5の右方に配置される可動役物142とが図示されている。

(エ)上記(イ)の記載及び(ウ)の認定事項を参酌すると、引用文献2には、図柄変動装置5の一端側に配置される可動役物141と、図柄変動装置5を基準として可動役物141の反対側となる他端側に可動役物141から離れて配置される可動役物142とが、図柄変動装置5の一端側および他端側において離れて配置される第1状態から互いに近づいた第2状態となるように動作すること可能であることが記載されているといえる。

上記の(ア)、(イ)の記載事項及び(ウ)、(エ)の認定事項から、上記引用文献2には次の事項(以下、「引用文献2に記載の事項」という。)が記載されていると認められる。

「図柄変動装置5と、
図柄変動装置5の一端側に配置され、発光手段141Lが発光することにより、ステップアップ予告演出作動態様の段階を表示する可動役物141と、
図柄変動装置5を基準として可動役物141の反対側となる他端側に配置され、発光手段142Lが発光することにより、ステップアップ予告演出作動態様の段階を表示する可動役物142とを備え、
可動役物141及び可動役物142は、図柄変動装置5の一端側および他端側において離れて配置される第1状態から互いに近づいた第2状態となるように動作することが可能である、パチンコ遊技機」

3.引用文献3
原審の補正の却下の決定において引用された引用文献3(特開2007-307251号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア) 「【0123】
センター役物300の開口部301に配置された液晶表示装置115は、図8に示すように、左液晶表示装置115a、右液晶表示装置115bおよび中液晶表示装置115cの三つの液晶表示装置から構成されている。詳細は後述するが、これらの液晶表示装置は、中液晶表示装置115cを正面に固定し、その左右に隣り合って三面の表示領域が形成された三面駆動位置(図13(A)参照)と、中液晶表示装置115cの前方にて左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bが隣り合って二面の表示領域が形成された二面駆動位置(図13(E)参照)と、の駆動位置で表示領域が異なる態様を形成することができる。」

(イ) 「【0171】
図13に基づき液晶表示装置の動作について説明する。図13は、液晶表示装置115の構成にて三面の表示領域から二面の表示領域に切替えられる過程を上方から示す平面図である。なお、図中の一点鎖線は、センター役物300の開口部301の横幅(左右方向の幅)を示す。」

(ウ) 「【0320】
また、装飾図柄110a?110cの各々の変動表示は、液晶表示装置115の全域の表示領域にて右方から左方に向けて変動する横スクロールの表示態様で表示制御される。ここで、上装飾図柄110aの変動表示は、図32(A)に示すように「6」から「1」の数字図柄の順序の配列で、液晶表示装置115の全域の表示領域の上方にて横スクロールが行われる。一方、中装飾図柄110bおよび下装飾図柄110cの変動表示は、図32(B)および(C)に示すように「1」から「6」の数字図柄の順序の配列で、液晶表示装置115の全域の表示領域のそれぞれ略中央および下方にて横スクロールが行われる。すなわち、中装飾図柄110bおよび下装飾図柄110cの数字図柄の配列は、上装飾図柄110aの数字図柄の配列と比べて逆の順序に設定されている。」

(エ)図13には、図13(B)として、中液晶表示装置115c、中液晶表示装置115cの左前側の液晶表示装置115a、中液晶表示装置115cの右前側の右液晶表示装置115b、液晶表示装置115aの上側の右方向の矢印、右液晶表示装置115bの上側の左方向の矢印が、図13(E)として、中液晶表示装置115c、中液晶表示装置115cの前側で互いに近づいた左液晶表示装置115a及び右液晶表示装置115bが図示されている。

(オ)上記(イ)の記載及び(エ)の認定事項を参酌すると、引用文献3には、左液晶表示装置115aが、中液晶表示装置115cの前側において中液晶表示装置115cの一端側に配置され、右液晶表示装置115bが、中液晶表示装置115cの前側において、中液晶表示装置115cを基準とした左液晶表示装置115aの反対側となる他端側に左液晶表示装置115aから離れて配置され、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bが、中液晶表示装置115cの一端側および他端側において離れて配置される第13図(B)の第1状態から、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bが、互いに近づいた第13図(E)の第2状態となるように動作することが記載されているといえる。

(カ)上記(ウ)の【0320】には、「また、装飾図柄110a?110cの各々の変動表示は、液晶表示装置115の全域の表示領域にて右方から左方に向けて変動する横スクロールの表示態様で表示制御される。」と記載されているから、引用文献3には、左液晶表示装置115a及び右液晶表示装置115bは、中液晶表示装置115cと協働して装飾図柄110a?110cの変動表示が横スクロールの表示態様で行われることが記載されているといえる。

以上、(ア)?(ウ)の記載事項及び(エ)?(カ)の認定事項から、上記引用文献3には次の事項(以下、「引用文献3に記載の事項」という。)が記載されていると認められる。

「装飾図柄110a?110cの変動表示を行う中液晶表示装置115cと、
中液晶表示装置115cの前側において中液晶表示装置115cの一端側に配置され、中液晶表示装置115cと協働して装飾図柄110a?110cの変動表示を横スクロールの表示態様で行う左液晶表示装置115aと、
中液晶表示装置115cの前側において、中液晶表示装置115cを基準とした左液晶表示装置115aの反対側となる他端側に左液晶表示装置115aから離れて配置され、中液晶表示装置115cと協働して装飾図柄110a?110cの変動表示を横スクロールの表示態様で行う右液晶表示装置115bとを備え、
左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bは、中液晶表示装置115cの一端側および他端側において離れて配置される第1状態から互いに近づいた第2状態となるように動作することが可能な遊技機」

第5 対比・判断
1.本願発明について
(1)対比
本願発明と引用発明1とを対比する(下記の(a)?(f)は、引用発明1の構成に対応している。)。

(a)引用発明1における「遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行」、及び、「弾球遊技機」は、それぞれ本願発明における「遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定」、及び、「遊技機」に相当する。
よって、引用発明1における「遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行し、当否抽選の結果に応じて特別遊技を実行する弾球遊技機」は、本願発明の「遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定し、当該判定の結果に応じて特別遊技を実行する遊技機」に相当する。

(b)引用発明1における「装飾図柄190を含む演出画像」は、本願発明における「演出画像」に相当する。
よって、引用発明1における「装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する演出表示装置60の表示画面208」は、本願発明の「演出画像を表示する第1の表示画面」に相当する。

(c)引用発明1における「図柄表示部210」、及び、「下方」は、本願発明における「第2の表示画面」、及び、「第1の表示画面の一端側」に相当する。また、「図柄表示部210」を有する「可動表示装置150」は「昇降により下方から表示画面208の前面側に進退可能になっており、表示画面208に進出すると、その一部を覆い隠すようになる」ものであるから、「表示画面208」(第1の表示画面)の前側に配置されていることは、当業者にとって自明である。
よって、引用発明1における「装飾図柄211を構成する3列の図柄が表示可能な図柄表示部210を有し、昇降により下方から表示画面208の前面側に進退可能になっており、表示画面208に進出すると、その一部を覆い隠すようになる可動表示装置150」は、本願発明の「前記第1の表示画面の前側において前記第1の表示画面の一端側に配置される」、「第2の表示画面」に相当する。

(e)引用発明1において、「演出表示装置60の表示画面208には予告演出において当否抽選の結果が当たりである期待度を段階的に示唆するステップアップ予告演出のステップ3」が表示されるから、引用発明1の「表示画面208」(第1の表示画面)において、本願発明における「演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出」が実行されるといえる。
よって、引用発明1における「可動表示装置150が進退動作する演出過程を経て、演出表示装置60の表示画面208には予告演出において当否抽選の結果が当たりである期待度を段階的に示唆するステップアップ予告演出のステップ3が表示され」ることと本願発明の「前記第2の表示画面および前記第3の表示画面は、前記第1の表示画面において実行される、演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出の発展と共に、前記第1の表示画面の前記一端側および他端側において離れて配置される第1状態から互いに近づいた第2状態となるように動作することが可能」であることとは、第1の表示画面において演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出の発展が実行され、また、第3の画面は動作可能である点で共通する。

(f)引用発明1において、「中央図柄「8」」は、本願発明における「演出画像」に相当する。また、引用発明1において、「中央図柄「8」の縦方向の大きさが変更」されることは、本願発明における「演出画像の表示領域を変更可能」とされることに相当する。さらに、引用発明1において、「可動表示装置150を昇降させ、その昇降動作と共に、中央図柄「8」の縦方向の大きさが変更され」ているから、可動表示装置150の動作と共に、表示画面208における段階演出に用いられる演出画像の表示領域を変更可能であるといえる。
よって、引用発明1において、「可動表示装置150を進退動作させ、その進退動作と共に、中央図柄「8」の縦方向の大きさが変更され、可動表示装置150の進退動作と演出表示装置60に表示される演出画像との協働による演出がなされる」ことと、本願発明における「前記第2の表示画面および前記第3の表示画面が前記第1状態から前記第2状態となる動作と共に、前記第1の表示画面における段階演出に用いられる演出画像の表示領域を変更可能」であることとは、第2の表示画面の動作と共に第1の表示画面における演出画像の表示領域を変更可能である点で共通する。

したがって、本願発明と引用発明1とは、

「A 遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定し、当該判定の結果に応じて特別遊技を実行する遊技機であって、
B 演出画像を表示する第1の表示画面と、
C’前記第1の表示画面の前側において前記第1の表示画面の一端側に配置される第2の表示画面と、を備え、
E’第1の表示画面において演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出の発展が実行され、第2の表示画面は動作することが可能であり、
F’第2の表示画面の動作と共に、前記第1の表示画面における演出画像の表示領域を変更可能である、遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)本願発明は「第2の表示画面」が「演出画像を表示する」ものであるのに対し、引用発明1における「図柄表示部210」は、「装飾図柄211を構成する3列の図柄」を表示するものである点。(構成C)

(相違点2)本願発明は「前記第1の表示画面の前側において、前記第1の表示画面を基準とした前記第2の表示画面の反対側となる他端側に前記第2の表示画面から離れて配置される、演出画像を表示する第3の表示画面」を備えるのに対し、引用発明1は、そのような「第3の表示画面」を備えていない点。(構成D)

(相違点3)本願発明は「第3の表示画面」に関連し、「前記第2の表示画面および前記第3の表示画面は、前記第1の表示画面において実行される、演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出の発展と共に、前記第1の表示画面の前記一端側および他端側において離れて配置される第1状態から互いに近づいた第2状態となるように動作することが可能」(構成E)であり、「前記第2の表示画面および前記第3の表示画面が前記第1状態から前記第2状態となる動作と共に、前記第1の表示画面における段階演出に用いられる演出画像の表示領域を変更可能」(構成F)であり、「前記第2の表示画面および前記第3の表示画面が前記第1状態から前記第2状態となるときに、前記第2の表示画面と前記第3の表示画面に互いに異なる演出画像を表示可能」(構成G)であり、「前記第2状態において、前記第1の表示画面における、前記第2の表示画面および前記第3の表示画面よりも外側の領域に演出画像を表示可能」(構成H)であるのに対して、引用発明1はそのように特定されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、先ず相違点2から検討する。
引用文献2に記載の事項における「可動役物141」及び「可動役物142」は、「ステップアップ予告演出作動態様の段階を表示する」ものであるから、引用発明1における「装飾図柄211を構成する3列の図柄」が表示される「図柄表示部210」とはその機能が異なるものである。
また、引用文献3に記載の事項における「左液晶表示装置115a」及び「右液晶表示装置115b」は、「中液晶表示装置115cと協働して装飾図柄110a?110cの変動表示を横スクロールの表示態様で行う」ものであるから、引用発明1における「装飾図柄211を構成する3列の図柄が表示可能な図柄表示部210」とはその機能が異なるものである。
よって、引用発明1において、引用文献2に記載の事項または引用文献3に記載の事項を適用することの動機付けがあるとはいえない。
さらに、引用発明1における「図柄表示部210」、引用文献2に記載の事項における「可動役物141」及び「可動役物142」、引用文献3に記載の事項における「左液晶表示装置115a」及び「右液晶表示装置115b」は、いずれも演出画像を表示するものではない。
そうすると、引用発明1に引用文献2に記載の事項または引用文献3に記載の事項を適用することは困難であるし、仮に適用できたとしても、「第3の表示画面」に「演出画像を表示する」ことまで、当業者であれば容易に想到し得たこととはいえない。

次に、相違点3について検討する。
引用発明1は、「可動表示装置150を進退動作させ、その進退動作と共に、中央図柄「8」の縦方向の大きさが変更され、可動表示装置150の進退動作と演出表示装置60に表示される演出画像との協働による演出がなされる」ものであり、また、引用文献2に記載の事項は、「可動役物141及び可動役物142は、図柄変動装置5の一端側および他端側において離れて配置される第1状態から互いに近づいた第2状態となるように動作することが可能」とする構成を、引用文献3に記載の事項は「左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bは、中液晶表示装置115cの一端側および他端側において離れて配置される第1状態から互いに近づいた第2状態となるように動作することが可能」とする構成を有しているが、上記相違点2についての検討で述べた通り、引用発明1において、引用文献2に記載の事項または引用文献3に記載の事項を適用することの動機付けがあるとはいえない。
また、仮に引用発明1において引用文献2に記載の事項または引用文献3に記載の事項を適用し、第3の表示画面を第1の表示画面と離れて配置される第1状態から互いに近づいた第2状態となるように動作することが可能に設けることが当業者が容易に想到し得えたことであるとしても、「前記第2の表示画面および前記第3の表示画面」を、「演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出の発展と共に、前記第1の表示画面の前記一端側および他端側において離れて配置される第1状態から互いに近づいた第2状態となるように動作」(構成E)させることまで、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
さらに、「前記第2状態において、前記第1の表示画面における、前記第2の表示画面および前記第3の表示画面よりも外側の領域に演出画像を表示可能」(構成H)とすることは、引用発明1、引用文献2に記載の事項、引用文献3に記載の事項のいずれにも開示されていない。
そうすると、引用発明1に引用文献2に記載の事項または引用文献3に記載の事項を適用することは困難であるし、仮に適用できたとしても、「前記第2の表示画面および前記第3の表示画面」を、「演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出の発展と共に、前記第1の表示画面の前記一端側および他端側において離れて配置される第1状態から互いに近づいた第2状態となるように動作」させること、及び、「前記第2状態において、前記第1の表示画面における、前記第2の表示画面および前記第3の表示画面よりも外側の領域に演出画像を表示可能」とすることまで、当業者であれば容易に想到し得たこととはいえない。

したがって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明は、当業者であっても引用発明1、引用文献2に記載の事項、引用文献3に記載の事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
さらに、引用発明1、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項をどのように組み合わせたとしても、本願発明が当業者が容易に発明できたものとはいえない。

また、本願発明は「表示画面の演出画像が可動体によって邪魔されにくくなるように演出を行うことができる」(【0008】)との効果を奏するものであり、当該効果は、引用発明1、引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載された事項から予測し得るものではない。

第6 原査定について
原査定は、平成28年7月13日付けの手続補正が却下され、平成28年4月28日付けの手続補正書でした補正は、その補正後の請求項1に係る発明が、その補正前に受けた平成28年3月4日付けの拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された平成27年4月22日付けの手続補正書における請求項1に係る発明と、特許法第37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものではないから、同法第17条の2第4項に規定する要件を満たしていないとの理由により、拒絶査定がなされたものである。
そして、平成28年11月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたため、平成28年11月2日付けの手続補正書でした補正後の請求項1に係る発明が、平成28年3月4日付けの拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された平成27年4月22日付けの手続補正書における請求項1に係る発明と、特許法第37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものであるか検討する。

1.補正の内容
平成28年3月4日付け拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された、平成27年4月22日付けの手続補正書における請求項1に係る発明(以下、「本願補正前発明」という。)は、

「 【請求項1】
遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定し、当該判定結果に応じて特別遊技を実行する遊技機であって、
演出画像を表示画面に表示させる表示制御手段と、
前記表示画面の前側に配置される可動体の作動を制御する作動制御手段と、
演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出を実行する段階演出実行手段とを備え、
前記作動制御手段は、前記段階演出において演出内容の発展に応じて前記可動体を作動させ、
前記表示制御手段は、前記可動体の作動に応じて前記演出画像の表示領域を変更する、遊技機。」

である。

また、平成28年11月2日付け手続補正書でした補正後の本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、

「【請求項1】
遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定し、当該判定の結果に応じて特別遊技を実行する遊技機であって、
演出画像を表示する第1の表示画面と、
前記第1の表示画面の前側において前記第1の表示画面の一端側に配置される、演出画像を表示する第2の表示画面と、
前記第1の表示画面の前側において、前記第1の表示画面を基準とした前記第2の表示画面の反対側となる他端側に前記第2の表示画面から離れて配置される、演出画像を表示する第3の表示画面とを備え、
前記第2の表示画面および前記第3の表示画面は、前記第1の表示画面において実行される、演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出の発展と共に、前記第1の表示画面の前記一端側および他端側において離れて配置される第1状態から互いに近づいた第2状態となるように動作することが可能であり、
前記第2の表示画面および前記第3の表示画面が前記第1状態から前記第2状態となる動作と共に、前記第1の表示画面における段階演出に用いられる演出画像の表示領域を変更可能であり、前記第2の表示画面および前記第3の表示画面が前記第1状態から前記第2状態となるときに、前記第2の表示画面と前記第3の表示画面に互いに異なる演出画像を表示可能であり、前記第2状態において、前記第1の表示画面における、前記第2の表示画面および前記第3の表示画面よりも外側の領域に演出画像を表示可能である、遊技機。」

である。

2.判断
本願発明には、「演出画像を表示画面に表示させる表示制御手段」を備える点は特定されていないが、「演出画像を表示する第1の表示画面」を備えているので、当該演出画像を表示させるための何らかの「表示制御手段」を有していることは明らかである。
本願発明には、「前記表示画面の前側に配置される可動体の作動を制御する作動制御手段」を備える点は特定されていないが、「前記第2の表示画面および前記第3の表示画面は、前記第1の表示画面において実行される、演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出の発展と共に、前記第1の表示画面の前記一端側および他端側において離れて配置される第1状態から互いに近づいた第2状態となるように動作することが可能」であるから、「前記第2の表示画面および前記第3の表示画面」の作動を制御し、「第1状態から互いに近づいた第2状態となるように動作することが可能」とするための何らかの「作動制御手段」を有していることは明らかである。
本願発明には、「演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出を実行する段階演出実行手段」を備える点は特定されていないが、「演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出の発展」が「前記第1の表示画面において実行される」ものであるから、「演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出の発展」を実行するための何らかの「段階演出実行手段」を有していることは明らかである。

そうすると、本願補正前発明と本願発明とは、
「遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定し、当該判定結果に応じて特別遊技を実行する遊技機であって、
演出画像を表示画面に表示させる表示制御手段と、
前記表示画面の前側に配置される可動体の作動を制御する作動制御手段と、
演出内容が段階的に発展することが可能な段階演出を実行する段階演出実行手段とを備え、
前記作動制御手段は、前記段階演出において演出内容の発展に応じて前記可動体を作動させ、
前記表示制御手段は、前記可動体の作動に応じて前記演出画像の表示領域を変更する、遊技機。」

である点で共通する特別な技術的特徴を有している。
そして、当該特別な技術的特徴は、発明の先行技術に対する貢献をもたらすものではないということもできない。
よって、本願補正前発明と本願発明とは、発明の単一性を満たす一群の発明に該当する。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-05-09 
出願番号 特願2014-226193(P2014-226193)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 秋山 斉昭  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 長井 真一
萩田 裕介
発明の名称 遊技機  
代理人 小沢 昌弘  
代理人 寺本 亮  

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