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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  B65D
管理番号 1327797
審判番号 無効2015-800171  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-09-02 
確定日 2016-05-11 
事件の表示 上記当事者間の特許第4143383号発明「飲料用容器」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
平成14年10月31日 本件特許出願(特願2002-318614号 )
平成20年 6月20日 設定登録(特許第4143383号)
平成27年 9月 2日 審判請求書
平成27年12月 3日 答弁書
平成27年12月16日 審理事項通知(1)
平成28年 1月25日 請求人・口頭審理陳述要領書(1)
平成28年 1月25日 被請求人・口頭審理陳述要領書(1)
平成28年 1月26日 審理事項通知(2)
平成28年 2月17日 請求人・口頭審理陳述要領書(2)
平成28年 2月17日 被請求人・口頭審理陳述要領書(2)
平成28年 2月23日 請求人・口頭審理陳述要領書(3)
平成28年 2月23日 口頭審理
平成28年 2月29日 請求人・上申書

以下、口頭審理陳述要領書を、「要領書」と略記する。

第2.本件発明
本件特許の請求項1、2に係る発明(以下、「本件発明1、2」という。)は、特許請求の範囲に記載された以下のとおりである。
なお、請求項1、2の1A、2A等の分説符号は、請求人の審判請求書のものに準じて付した。

「【請求項1】
1A:容器本体の上部に筒状の飲口部を突設し、
1B:この飲口部を閉塞する閉塞蓋を容器本体の上部に枢着部により起伏回動開閉自在に設けると共に、
1C:この閉塞蓋は開放起動する方向に回動付勢されるように構成し、
1D:この閉塞蓋に係止して閉塞蓋を閉塞状態に保持する係止部を、前記容器本体の上部であって前記枢着部の反対側部に設け、
1E:この係止部の閉塞蓋への係止状態を押動することで解除する解除押動部を容器本体に設けて、この解除押動部を押動すると閉塞蓋が自動開放起動するように構成した飲料用容器において、
1F:前記容器本体の上部に取付用凹所を設け、
1G:前記解除押動部に前記係止部を一体に形成すると共に、この解除押動部を前記取付用凹所に配して枢着して、この解除押動部を押動することで係止部が起動回動して前記閉塞蓋への係止状態が解除されるように構成し、
1H:前記解除押動部に対して接離スライド移動するストッパ部を設け、
1I:このストッパ部は、前記容器本体の上下方向にスライド移動するように構成すると共に、前記解除押動部に接近スライド移動することでこの解除押動部に当接して解除押動部の押動作動を阻止する構成とし、
1J:この解除押動部とストッパ部とは前記容器本体の上部位置に設けて、この容器本体を携帯した手の指でストッパ部をスライド操作した後、同じ指で解除押動部を押動操作し得るように構成したことを特徴とする飲料用容器。
【請求項2】
2A:容器本体の上部に筒状の飲口部を突設し、
2B:この飲口部を閉塞する閉塞蓋を容器本体の上部に枢着部により起伏回動開閉自在に設けると共に、
2C:この閉塞蓋は開放起動する方向に回動付勢されるように構成し、
2D:この閉塞蓋に係止して閉塞蓋を閉塞状態に保持する係止部を、前記容器本体の上部であって前記枢着部の反対側部に設け、
2E:この係止部の閉塞蓋への係止状態を押動することで解除する解除押動部を容器本体に設けて、この解除押動部を押動すると閉塞蓋が自動開放起動するように構成した飲料用容器において、
2F:前記容器本体の上部に取付用凹所を設け、
2G:前記解除押動部に前記係止部を一体に形成すると共に、この解除押動部を前記取付用凹所に配して枢着して、この解除押動部を押動することで係止部が起動回動して前記閉塞蓋への係止状態が解除されるように構成し、
2H:この解除押動部に対し前記容器本体の上下方向にスライド移動するストッパ部を設けると共に、
2I:このストッパ部は、解除押動部に対し上方へスライド移動することで解除押動部の下部に接して解除押動部を押動できないように阻止する構成とし、
2J:この解除押動部とストッパ部とは、前記容器本体の上部位置に設けて、この容器本体を携帯した手の指でストッパ部をスライド操作した後、同じ指で解除押動部を押動操作し得るように構成したことを特徴とする飲料用容器。」

第3.請求人の主張
1.主張の要点
無効理由は特許法29条2項についての以下の3つ(請求人要領書(3)の6-2)(証拠については、後記2.参照)
(1)無効理由1:甲3発明及び[甲6又は甲7]に基づいて容易
本件発明1は、甲3発明(甲3に記載された発明)及び甲6に記載された事項又は甲7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、よってその特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。

(2)無効理由2:甲3発明及び甲4(係止部が回動)、甲5(ストッパがスライド)に基づいて容易
本件発明1は、甲3発明、甲4に記載された事項及び甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、よってその特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。

(3)無効理由3:甲3発明及び甲4(係止部が回動)、周知技術(甲5?10ストッパがスライド)に基づいて容易
本件発明1は、甲3発明、甲4に記載された事項及び周知技術(甲5?甲10)に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、よってその特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。

本件発明2についても、本件発明1と同様な無効理由1?3である。

2.証拠
請求人が提出した証拠は、以下のとおりである。
以下、「甲第1号証」を「甲1」のように略記する。また、「甲3」?「甲10」については、それぞれの証拠に記載された事項を指す場合もある。

甲1:特許4143383号公報(本件特許公報)
甲2:甲1の特許登録原簿
甲3:特開2002-87447号公報
甲4:特開2002-209764号公報
甲5:特開2002-65478号公報
甲6:実公昭60-24246号公報
甲7:特開平11-137420号公報
甲8:特開平10-155658号公報
甲9:特開2001-146866号公報
甲10:実願平5-48417号(実開平7-17748号)のCD-ROM
甲1?10は審判請求時に、提出されたものである。

3.主張の概要
請求人の主張の概要は、以下のとおりである。(本件発明1についての主張のみ記載する。本件発明2についても同様である。)

(1)無効理由1?3についての共通の主張
本件発明1と甲3発明は、いずれも解除押動部へのワンタッチ操作で閉塞蓋が自動開放起動し、飲口部にそのまま口をつけて飲料を飲む(ラッパ飲みする)ことができる携帯型の飲料用容器であり、両者の基本的な構成は、同じである。
本件発明1と甲3発明は、以下の相違点1-1?1-3を有する。
相違点1-1:本件発明1の解除押動部は取付用凹所に枢着して、係止部が起動回動するのに対して、甲3の「押しボタン12」は枢着、回動していない点。
相違点1-2:本件発明1のストッパ部は、スライド移動することで解除押動部に当接して押動作動を阻止するのに対して、甲3の「押しボタン隠蔽体13」(ストッパ部)は、スライド移動することで「押しボタン12」(解除押動部)に当接するのか明確ではない点。
相違点1-3:本件発明1は、容器本体を携帯した手の指でストッパ部をスライド操作した後、同じ指で解除押動部を押動操作し得るように構成したのに対して、甲3はそのような操作をし得るのか明示されていない点。

上記相違点のうち、相違点1-3の「容器本体を携帯した手の指でストッパ部をスライド操作した後、同じ指で解除押動部を押動操作し得るように構成した」という事項は、作用を特定したものであり、形状・構造を特定したものではない。本件発明1と同じ飲料用容器である、甲3の押しボタン隠蔽体も上下方向にスライド操作される構成であるから、容器本体を携帯した手の指でストッパ部(押しボタン隠蔽体)をスライド操作した後、同じ指で解除押動部(押しボタン)を押動操作し得るはずである。すなわち、相違点1-3に係る構成は、実質的に甲3に開示されているということができる。
さらに、本件発明1に係るロック構造の技術的意義は、いずれも不意に開放蓋が開放されることを防止する点にある。これらは、甲3発明の飲料容器が既に採用していた構成の作用効果を再現するものでしかない。
なお、本件発明1、甲3?甲10との対比を請求人要領書(1)別紙で整理した。

(2)無効理由1について
甲3発明と甲6、甲7とは、本体に液体及び食品を保存し、密閉性が重要となる、本体と蓋体のロック構造に関するものであり、甲3発明と甲6、甲7とは、技術分野が極めて近接しており、甲3発明に接した当業者において、同じ解決課題及び作用効果を備える甲6、甲7のロック構造の採用を模索することは至極当然といえる。
甲6の蓋体ロックレバー10、甲7のロック解除レバー20は、回転可能に枢支される構成を開示する。
相違点1-1の「解除押動部として枢着して、解除押動部に一体形成された係止部が回動する」に係る構成は、甲6、甲7に例示される周知技術に過ぎないものであり、甲3の押しボタンの係合部と閉塞蓋の係止部の突出方向を逆にして回動させるようなことは、当業者が容易に想到できたものである。
相違点1-2の「ストッパ部がスライド移動することで解除押動部に当接して押動作動を阻止するという構成」は、甲6、甲7に記載されている。
甲3発明の場合、押しボタン12を押して係合部17による係止を解除しても、押している指が邪魔をして蓋体3が開きにくい可能性がある。甲6または甲7の構成の場合、そのような問題がない。この意味でも甲6または甲7の構成を甲3に適用する動機付けがある。
よって、本件発明1は、甲3発明及び甲6に記載された事項又は甲7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものである

(3)無効理由2について
甲3発明と甲4、甲5は、いずれも直飲みタイプの飲料用容器に関する技術分野であるから、技術分野は共通している。
甲4は、ロック部材8は、本件発明1の「解除押動部」に相当する。このロック部材8は回動可能に枢支されており、相違点1-1に係る構成を開示するから、甲3発明に甲4を適用できる。
相違点1-2に係る構成である、ストッパ部がスライド移動することで解除押動部に当接して押動作動を阻止するという構成は、甲5に記載されている。甲5のストッパが容器の天面に設けられているとしても、ストッパ機構自体は適用しうる。
よって、本件発明1は、甲3発明、甲4に記載された事項及び甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。

(4)無効理由3について
甲3と甲4とは、直飲みタイプの飲料用容器に関するものであり、甲4のロック部材8は、本件発明1の「解除押動部」に相当する。このロック部材8は回動可能に枢支されており、相違点1-1に係る構成を開示するから、甲3発明に甲4を適用できる。
甲3と、甲5?甲10は、同じ日用品の蓋体ロック機構に関し、開放方向に付勢される蓋のロック装置という技術分野において関連性があり、甲3発明に、甲5ないし甲10を適用できる動機付けがある。
また、相違点1-2は、甲5?10に例示されるように周知技術に過ぎない。
甲3発明に接した当業者であれば、日用品の本体と蓋体に関するロック構造に係る周知技術を当然に参酌するものである。いかなるロック機構とするかは設計事項であるから、周知技術の適用は容易である。
よって、 本件発明1は、甲3発明、甲4に記載された事項及び周知技術(甲5?甲10)に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。

第4.被請求人の主張
1. 主張の要点
甲3発明にも、甲4ないし甲10にも本件発明の特徴は開示されておらず、本件発明は、これらから容易に想到できる発明ではなく発明の進歩性は欠如していない。

2.証拠
被請求人が提出した証拠は、以下のとおりである。
以下、「乙第1号証」を「乙1」のように略記する。

乙1:特願2002-318614号の拒絶理由通知
乙2:特願2002-318614号の意見書
乙3:特願2002-318614号の手続補正書

3.主張の概要
被請求人の主張の概要は、以下のとおりである。(本件発明1についての主張のみ記載する。本件発明2についても同様である。)

(1)無効理由1?3についての共通の主張
本件発明1は、片手で持ってその片手で持ったその手の指でストッパ部をスライド移動させて(解除スライド操作して)、押せるようになった解除押動部をその指で押すと閉塞蓋が自動開放し、露出した注出口に唇を添えて手で傾けいわゆるラッパ飲みできるハンディボトルにおいて、この解除押動部が押せる場合(ロック解除状態)と押せなくする場合(ロック状態)とにその片手で持ってラッパ飲みするその手の指で切り替え操作(スライド操作)することができ、しかもこの一連の指操作をいかに簡単にしてスピーディーに行えるかというのが本件発明の技術課題であり、これを解決したのが本件発明1である。この本件発明1の技術課題は、甲3、甲4?甲10からも想定できないから、甲3発明と甲4?甲10を組み合わせることは容易ではないし、動機付けもない。
この技術課題を解決した本件発明1の作用効果、すなわち甲3発明との一致点と相違点とをすべて兼ね備えた相乗効果として、ハンディボトルの上部正面位置に枢着して設けた解除押動部に対して上下方向にストッパ部を接離スライド移動させる構成であって、このボトルを持ったその手の指でそのままスライド操作及び押動操作しやすいだけでなく、かかるこの指で操作するストッパ部のスライドストロークが甲3発明に比べてかなり短くなるため、片手で持ったその手の指で簡単にしてスピーディーに注出口(飲口部)を開放露出してラッパ飲みできる画期的な水筒(ハンディボトル)となる独自の優れた作用効果を奏する優れた発明である。
仮に構成が容易であるとしても、本件発明1は相違点1-1、1-2、1-3の組み合わせによる格別の相乗効果を有する。

(2)無効理由1について
甲3発明は液体容器、甲6、甲7は米飯容器(電気炊飯器)である。
いずれも蓋のロック機構ではあるが、甲6、甲7のロック機構は、液体容器(水筒)の閉塞蓋のロック機構ではないし、ラッパ飲みタイプのハンディボトルにおいて、簡単にしてスピーディーに片手で持ったその手の指でのロック解除操作(スライド操作)及び一連に行う押動操作によって閉塞蓋を自動開放させて、瞬時にラッパ飲みできるようにするロック機構ではない。
したがって、本件発明1の予期し得ない格別な作用効果を考慮せずに、甲6、甲7のロック機構について単なる蓋のロック機構ということで技術分野が同じであると判断することは誤りであり、この異なる技術分野のロック機構を主引例(甲3発明)に組み合わせることは容易であるとの判断は誤りである。
甲6、甲7は、炊飯器の取っ手であり分野が異なるし、筒状容器上部に設けたものでもないし、上下動自在に設けたものでもない。

(3)無効理由2について
甲4、甲5については甲3発明と同じ水筒の技術分野であるとしても何ら片手で持ったその手の指で簡単にしてスピーディーには操作できない単なる従来のロック機構にすぎないにもかかわらず、本件発明1が甲3発明とこれらから容易に考えられる発明にすぎないと判断することも誤りである。
甲第3号証に甲4を適用しうるとしても、更に甲5の適用はできない。甲5はストッパが容器天面にあり、容器を持った手の指で一連の操作ができない。

(4)無効理由3について
甲4、甲5は甲3発明と同じ水筒であるが、甲6、甲7は米飯容器(電気炊飯器)、甲8は電気貯湯容器(電気ポット)、甲9はボックス(分電盤の分電箱)、甲10はCDプレーヤである。
甲3発明に甲4を適用しうるとしても、更に周知技術の適用はできない。「周知技術」と称するものは、分野が異なるものの寄せ集めで、スライドストッパという点が共通する程度である。

第5.当審の判断
1.本件発明
本件特許の本件発明1及び本件発明2は、上記第2.のとおりと認められる。

2.証拠記載事項
(1)甲3(特開2002-87447号公報)
甲3には、「液体容器」について図面とともに、以下の事項が記載されている。
(甲3-ア)「【請求項1】 液体を詰入する容器本体の上部に液体を注出する注出口を設け、この注出口を隠蔽するコップ状の蓋体を前記容器本体の上部に被嵌状態で設けた液体容器であって、前記蓋体の内面に、この蓋体を前記容器本体の上部に装着した際に前記注出口を押圧閉塞して液体漏洩不能状態とする注出口閉塞部を設けたことを特徴とする液体容器。
【請求項2】 前記容器本体の上部に筒部を立設し、この筒部の先端に前記注出口を設け、前記蓋体を前記容器本体の上部に装着した際に筒部の先端を覆い且つ一部が注出口から筒部の内部に侵入する形状に前記注出口閉塞部を構成したことを特徴とする請求項1記載の液体容器。
【請求項3】 前記蓋体を前記容器本体の上部側面に枢着し、この枢着部と対向する位置にして蓋体の側壁に前記容器本体と係脱自在に構成された係止部を設けたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の液体容器。
【請求項4】 前記蓋体の前記枢着部と対向する位置に押しボタンを外部に露出する状態に設け、この押しボタンの押動により前記容器本体の上部に被嵌された蓋体の係止部と前記容器本体との係止が解除されるように構成したことを特徴とする請求項3記載の液体容器。
【請求項5】 前記押しボタンを隠蔽して該押しボタンの押動を不能とする押しボタン隠蔽体を前記蓋体の外周面にスライド自在に設け、この押しボタン隠蔽体のスライド移動操作により前記押しボタンを露出せしめて押動可能とするように構成したことを特徴とする請求項4記載の液体容器。
・・・」(特許請求の範囲)

(甲3-イ)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、魔法瓶等の液体容器に関するものである。」

(甲3-ウ)「【0005】本発明は、上記課題に鑑みて達成されたもので、容器本体内部の液体を注出する操作を極めて簡単に行うことができる実用性に秀れた液体容器を提供することを目的としている。」

(甲3-エ)「【0007】液体を詰入する容器本体1の上部に液体を注出する注出口2を設け、この注出口2を隠蔽するコップ状の蓋体3を前記容器本体1の上部に被嵌状態で設けた液体容器であって、前記蓋体3の内面に、この蓋体3を前記容器本体1の上部に装着した際に前記注出口2を押圧閉塞して液体漏洩不能状態とする注出口閉塞部4を設けたことを特徴とする液体容器に係るものである。」

(甲3-オ)「【0009】また、前記蓋体3を前記容器本体1の上部側面に枢着し、この枢着部10と対向する位置にして蓋体3の側壁に前記容器本体1と係脱自在に構成された係止部11を設けたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の液体容器に係るものである。
【0010】また、前記蓋体3の前記枢着部10と対向する位置に押しボタン12を外部に露出する状態に設け、この押しボタン12の押動により前記容器本体1の上部に被嵌された蓋体3の係止部11と前記容器本体1との係止が解除されるように構成したことを特徴とする請求項3記載の液体容器に係るものである。
【0011】また、前記押しボタン12を隠蔽して該押しボタン12の押動を不能とする押しボタン隠蔽体13を前記蓋体3の外周面にスライド自在に設け、この押しボタン隠蔽体13のスライド移動操作により前記押しボタンを露出せしめて押動可能とするように構成したことを特徴とする請求項4記載の液体容器に係るものである。」

(甲3-カ)「【0020】本実施例は、液体を詰入する容器本体1の上部に液体を注出する注出口2を設け、この注出口2を隠蔽するコップ状の蓋体3を前記容器本体1の上部に被嵌状態で設けた液体容器であって、前記蓋体3の内面に、この蓋体3を前記容器本体1の上部に装着した際に前記注出口2を押圧閉塞して液体漏洩不能状態とする注出口閉塞部4を設けたものである。
【0021】容器本体1は、上部に開口部7を有する真空断熱二重容器製の有底容器体8と、この開口部7に着脱自在に設けられ且つ前記注出口2を有する液体注出装置9とを備えた容器本体1を採用している。
【0022】また、液体注出装置9に筒部14を立設し、この筒部14の先端に前記注出口2を設けている。従って、本実施例によれば、筒部14を利用して容器本体1内の液体をラッパ飲みすることができる。」

(甲3-キ)「【0024】蓋体3は、前記容器本体1の上部側面に枢着されている。また、この蓋体3の枢着部10と対向する位置にして蓋体3の側壁に前記容器本体1と係脱自在に構成された係止部11を設け、この係止部11と容器本体1との係止を解除することで蓋体3を擺動可能とし、この蓋体3の枢着部10側への擺動により、該蓋体3を容器本体1の上部から取り外す構成を採用している。従って、本実施例によれば、蓋体3の擺動操作という極めて簡易な操作により、注出口2から容器本体1内の液体を注出可能とすることができる。
【0025】また、蓋体3の枢着部10と対向する位置にして液体注出装置9の側面に弾性体収納部15を設け、この弾性体収納部15に弾性体としてバネ体16を配設し、このバネ体16の先端にして外部に露出する位置に押しボタン12を連設し、この押しボタン12に前記蓋体3の係止部11と係脱自在に係合する係合部17を設け、この係合部17は、前記バネ体16の弾圧付勢に抗して押しボタン12を押動した際、該係合部17と前記蓋体3の係止部11との係合が解除されるように構成している。従って、本実施例によれば、容器本体1の上部に被嵌された蓋体3を取り外す際、押しボタン12を押動して押しボタン12の係合部17と蓋体3の係止部11との係合を解除する操作が必須となり、枢着部10を軸に擺動する蓋体3でありながら、押しボタン12を押動しない限り不意に蓋体3の容器本体1の上部への被嵌が解除されたりしない(即ち、不意に注出口2が開放されたりしない。)ことになる。
【0026】尚、蓋体3を常時枢着部10側へ擺動するように付勢する弾性機構を設ければ、前記押しボタン12の押動操作のみにより、蓋体3を取り外せることになる。」

(甲3-ク)「【0027】また、蓋体3の側面には前記押しボタン12を隠蔽する押しボタン隠蔽体13を上下スライド自在に設け、常時は、この押しボタン隠蔽体13により押しボタン12を隠蔽して該押しボタン12の押動を不能とし(即ち、蓋体3の取り外しを不能とし)、容器本体1の上部から蓋体3を取り外す際には、この押しボタン隠蔽体13の上方へスライド移動せしめることにより押しボタン12を露出せしめて該押しボタン12を押動可能とするように構成している。従って、本実施例によれば、押しボタン隠蔽体13をスライド移動しない限り、不意に押しボタン12が押動されることがなく、必然的に、不意に蓋体3の容器本体1の上部への被嵌が解除されたりすること(即ち、不意に注出口2が開放されたりすること。)が確実に防止されることになる。尚、図中、符号19は、押しボタン隠蔽体13のスライド移動を容易にせしめる為の操作凹部、20は押しボタン隠蔽体13と蓋体3とをスライド自在に係合せしめる係合突起である。」

(甲3-ケ)「【0037】
【発明の効果】本発明は上述のように構成したから、蓋体の装着や取り外し操作のみによって蓋体の内面に設けられた注出口閉塞部が注出口を液体注出可能状態としたり液体注出不能状態としたりすることになり、よって、容器本体内部の液体を注出する操作を極めて簡単に行うことができる実用性,操作性に秀れた液体容器となる。
【0038】請求項2記載の発明においては、筒部の先端に注出口が設けられた構成であるから、この筒部を利用して簡単に容器本体内の液体をラッパ飲みすることができ、しかも、蓋体の内面と注出口が近接し、注出口閉塞部による注出口の押圧閉塞がより一層確実に行われる実用性に秀れた液体容器となる。」

(甲3-コ)「【0040】請求項3記載の発明においては、蓋体を枢着部を軸に擺動することで該蓋体の被嵌装着及び取り外し操作を行うことができ、より一層操作性に秀れた液体容器となる。
【0041】請求項4記載の発明においては、押しボタンを押動しない限り蓋体が擺動できず、よって、不意に蓋体が外れて注出口が液体注出可能状態となったりしない実用性に秀れた液体容器となる。
【0042】請求項5記載の発明においては、押しボタン隠蔽体をスライド移動操作しない限り押しボタンを押動できず、よって、より一層確実に不意に蓋体が外れて注出口が液体注出可能状態となったりしない実用性に秀れた液体容器となる。」

上記(甲3-ア)?(甲3-コ)を、本件発明1に照らし整理すると、甲3には、以下の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「A:容器本体1の上部に筒状の注出口2を突設し、
B:この注出口2を押圧閉塞する蓋体3を容器本体1の上部に枢着部10により擺動可能に設けると共に、
C:この蓋体3は常時枢着部10側へ擺動するように付勢するように構成し、
D:この蓋体3に係合して蓋体3を被嵌状態に保持する係合部17を、前記容器本体1の上部であって前記枢着部10の反対側部の押しボタン12に設け、
E:この係合部17の蓋体3との係合を、押動することで解除する押しボタン12を容器本体1に設けて、この押しボタン12を押動すると蓋体3が取り外せるように構成した魔法瓶等の液体容器において、
F' :前記容器本体1の上部に、押しボタン12が連設されているバネ体16が配設される弾性体収納部15を設け、
G' :前記係合部17が設けられた押しボタン12を前記弾性体収納部15に配して、この押しボタン12を押動することで係合部17による前記蓋体3との係合が解除されるように構成し、
H' :前記押しボタン12を遮蔽する押しボタン隠蔽体13を前記蓋体3に上下スライド自在に設け、
I':この押しボタン隠蔽体13は、前記容器本体1の上下方向にスライド移動するように構成すると共に、前記押しボタン12に上方から下方へ接近スライド移動することで押しボタン12の押動を不能とし、
J':この押しボタン12と押しボタン隠蔽体13とは前記容器本体1の上部位置に設けて、押しボタン隠蔽体13をスライド移動しせしめることにより押しボタン12を露出せしめて押しボタン12を押動可能とするように構成した魔法瓶等の液体容器。 」

甲3発明の認定について、両当事者に争いはない(請求人要領書(1)7.7-2、被請求人要領書(1)5(2))。

(2)甲4(特開2002-209764号公報)
甲4には、「飲料用容器の栓体」について図面とともに、以下の事項が記載されている。
(甲4-ア)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蓋をワンタッチで開いて容器本体内の飲料を直接飲むタイプの飲料用容器の栓体に関する。」

(甲4-イ)
「【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を断熱構造の飲料用容器の栓体に適用した実施形態例を図面に基づいて、さらに詳細に説明する。図1乃至図4は本発明の第1実施形態例を示すもので、片手で持てる大きさの飲料用容器1は、金属製二重断熱構造の容器本体2と、該容器本体2の口部に着脱可能に装着される合成樹脂製の栓体3とで構成されている。容器本体2は、上部を開口した金属製の内容器21及び外容器22の上端同士を一体に接合したもので、両容器21,22間に真空断熱構造の断熱部23を有している。また、容器本体2の口部外周に、前記栓体3を螺着するネジ部24が形成されている。
【0007】栓体3は、容器本体2の口部に着脱自在に取り付けられる筒状の肩部材4と、該肩部材4にヒンジ軸6を介して結合されて肩部材4の上部開口部を開閉する蓋部材7とを備えている。
【0008】肩部材4は、容器本体2のネジ部24に螺合する取付部41と、該取付部41に組み付けられて容器本体2の口部内周に挿入される栓体受部42とで構成されている。取付部41は、一側にヒンジ軸支持部43を形成し、該ヒンジ軸支持部43にて前記ヒンジ軸6の中央部を支持している。また、ヒンジ軸支持部43と径方向に対向する位置に前記蓋部材7を閉状態に保持するロック部材8を設けている。栓体受部42は、有底筒状に形成され、ロック部材8側の上部開口周壁を一段高くして飲み口44を形成し、ヒンジ軸支持部43側を高く飲み口44側を低くした底壁45の飲み口44側に液通孔46を、ヒンジ軸支持部43側に空気孔47をそれぞれ形成し、底壁45から上部開口の間を液流路48としている。また、下部外周に、容器本体2の口部内周壁に密着するパッキン49を設けている。」

(甲4-ウ)
「【0012】ロック部材8は、取付部41に設けた水平方向の支軸81にて回動可能に支持され、支軸81上部に係止部82を、支軸81下部に押動部83をそれぞれ有し、支軸81に巻き掛けられたスプリング84にて係止部82を常時閉方向に付勢されている。
【0013】このように構成された栓体3は、ロック部材8の押動部83を押すことで係止部82が外側に開き、係止部82と蓋部材7の係止部76との係合が解除され、蓋部材7は、トーションスプリング9の付勢力によりヒンジ軸6を中心にして上方へ回動して開く。この際に、蓋部材7が開いて直立状態から後方に回動する段階で、蓋部材7の挿入凹部74の内端部75がヒンジ軸支持部43の突起部52に線接触して摺接する。突起部52は、始端側の先端を尖らせた三角形状としているので、蓋部材7の開動作とともに内端部75との接触面積が増加する。これにより、蓋部材7の開方向へのスピードが遅くなり、肩部材4に衝突する前に蓋部材7の回動が停止する。」

(3)甲5(特開2002-65478号公報)
甲5には、「金属製真空二重容器による直飲み保温容器」について図面とともに、以下の事項が記載されている。

(甲5-ア)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直飲みできる保温容器に関し、特に、金属製真空二重容器による直飲み保温容器に関するものである。」

(甲5-イ)
「【0024】本実施の形態では、さらに、筒口6が図1?図3、図6?図10、図12?図16、図19に示すように付勢手段31によって突出位置側に付勢されている。このようにすると、付勢はどのようにしてもよいが図示する例ではコイルばね31aを用いている。筒口6の格納位置への保持や係止を解くだけで、筒口6は前記付勢によって自動的に突出位置に進出されて直飲みできる状態になるので、格納状態から直飲み状態への切換えを係止手段21による係止を解くなどの1つの一瞬の操作で達成することができ、直飲みしやすいように突出量を多くして筒口6の突出ストロークが大きくなるような場合に好適である。また、筒口6をカバー部材22で覆っているような場合でも、図1?図20に示す本実施の形態のようにこのカバー部材22を筒口6が押し開けるようにしてあると、カバー部材22の開放をも含め直飲み状態への切換えが係止部材21による係止解除とともに自動的に一挙にできる。
【0025】本実施の形態では、また、図1?図20に示すように係止手段21を係止解除状態にして筒口6の付勢手段31による突出を伴い直飲みできる状態となるようにする直飲みキー32を有し、直飲みキー32にはこれを操作できないようにロックするロック手段33が働かされている。これにより、前記格納状態から直飲み状態への1つの一瞬の操作を直飲みキー32による係止解除操作で確保できるようにしながら、直飲みキー32のロック手段33によるロックにて、意味のわからない幼児などによる直飲みキー32の操作で不用意に直飲み状態に切り換わるのを防止し、高温の飲料が流出してこれに触れたり、高温の飲料を直飲みしたりして、熱い思いをさせるようなことを回避することができ、必要に応じ筒口6を飲料が自然流出できる大きな流路6aのものとするのに好適である。
【0026】図示する例では直飲みキー32はカバー部材22に働く係止手段21による係止を解いてカバー部材22が開かれ筒口6が突出されるようにするもので、カバー部材22を開く操作キーでもあるが、いずれにしても直飲み状態への切換操作キーであって、これの操作により一挙に直飲み状態に切り換わる点に特徴があり、どのような構成でこれを満足してもよい。」

(甲5-ウ)
「【0041】ロック部材57は直飲みキー32の下部で前後に進退できるように設けられ、ロック片57bが直飲みキー32の後部壁32dの下に位置して直飲みキー32の押し下げ操作を阻止するロック位置に常時あるよう付勢手段65によって付勢され、この付勢手段65の付勢に抗してロック部材57を内側に押し込むと、ロック片57bが直飲みキー32の後部壁32dから外れて前記ロックを解くので、直飲みキー32を押し下げて直飲み状態への切換えができるようになる。付勢手段65はコイルばね65aとし、上向き突起48aとロック部材57との間に働かせてあるが、どのような構成を採用してもよい。直飲みキー32とロック部材57とは栓5の外カバー51に設けた同じ窓161内に配置してあるが個別に露出する構成としてもよい。
・・・
【0043】図9?図13に示す例では、図6?図8に示す例と同じ係止部材53と直飲みキー32との関係を採用しているが、ロック手段33が栓5の内カバー48と外カバー51との間の図12、図13に示すようなデッドスペース71を利用して直飲みキー32の下に出入りしてロック、ロック解除を行うロック板72で構成し、外カバー51の窓73から栓5の天面上に突出する操作部72aによって進退操作され、ロック、ロック解除を行うようにしてある。」

(甲5-エ)
「【0046】図14?図20に示す例では、ロック板72が窓73に沿って直線方向に進退してロック、ロック解除するようにしてある。また、栓5の流路5aの下端壁5a1には1つの流路5a4のみ中央に設け、筒口6の下端に下端壁6a1を形成し、この下端壁6a1の直系線上両側に設けた2つの流路孔6a3、6a4により、前記吸気口と流出口との使い分けが行われるようにしている。そこで、シール部材12は下端壁6a1の中央部に下向きに一体形成した突起82に装着し、接面部5b、6b間に働くようにしてある。筒口6と保持部34の下部の筒壁34aとの間には独立したシール部材83を設け、筒口6の外周に装着してある。これらの点が図9?図13に示す例の場合と異なるだけで、他の構成および奏する作用は特に変わるところはなく、共通する部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。」

(甲5-オ)
図19には、直飲みキー32が栓5の天面に設けた構成が見てとれる。

(4)甲6(実公昭60-24246号公報)
甲6には、「蓋ロックレバーつき米飯容器」について図面とともに、以下の事項が記載されている。
(甲6-ア)
「本考案は蓋体をロックするための蓋ロックレバーつきの米飯容器に関するものである。」(第1欄第18行?20行)

(甲6-イ)
「第1図ないし第3図に示す本考案第1実施例の蓋体ロック構造では、蓋体ロックレバー10は把手9の前側(反螺番3側)にピン23によって枢着されている。・・・」(第3欄第8行?11行)

(甲6-ウ)
「ロックレバー10は把手9内に設けられたフックバネ24によってロックレバー爪部21がロック受部20に係合する方向に付勢された状態で取付けれている。このロックレバー10は、その上方部に形成したレバー操作部22を押圧することにより爪部21がロック受部20から外れてロック解除されるようになつており、そのときには蓋体2が開放可能となる。
把手9にはロックレバー10の上端10a近傍位置に該ロックレバー10をロックするためのロック装置30が配設されている。・・・」(第3欄第16行?26行)

(甲6-エ)
「また、該ロック装置30は把手上板9aに形成した細溝状の案内溝29にガイドされて把手9の長手方向(A-B方向)にスライド自在に取付けられている。そして、このロック装置30は、そのツマミ部材31をロックレバー10側に移動(A方向)させると係止部材32の先端がロックレバー上端10aの裏面に当接してロックレバー10をロックでき(第1図の状態)、また、ツマミ部材31を反ロックレバー10側に移動(B方向)させると、係止部材32がロックレバー上端10aよりさらに上方に後退して(図3の状態)ロックレバー10がロック解除されるようになつている。」(第3欄第31行?43行)

(甲6-オ)
「蓋体2をロックするためのロックレバー10と把手9との間に該ロックレバー10をロックするためのロック装置30を介設しているので、幼児等が誤って、又は意識的にロックレバー10を押圧してもロック装置を解除しない限りロックレバー10が操作されることなく安全性が一層向上すると共に、転倒又は転落等による衝撃を受けた場合にあっても、ロックレバーの不用意な解除による米飯の飛散を防止する効果がある。」(第6欄第8行?17行)

(5)甲7(特開平11-137420号公報)
甲7には、「電気炊飯器」について図面とともに、以下の事項が記載されている。
(甲7-ア)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、蓋部のロック手段を備えた電気炊飯器に関するものである。」

(甲7-イ)
「【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の電気炊飯器では、ロック解除レバー20のロック解除片20bを下方に押圧操作しさえすれば、ロック状態にある蓋3が自動的に開いてしまう。
【0008】しかし、これは便利である反面、例えば炊飯又は保温中に幼児等が不必要にロックレバー20を解操作する問題がある。
【0009】本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、上記ロック機構のロック状態又はロック機構によるロックとは別に蓋の閉状態を二重にロックするようにすることによって上述のような問題を解消した電気炊飯器を提供することを目的とするものである。」

(甲7-ウ)
「【0027】
【発明の効果】以上の結果、本願発明の電気炊飯器によると、不用意な蓋の開放を防止することができ、安全性、信頼性の高い電気炊飯器を提供することができる。」

(甲7-エ)
「【0028】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)図1および図2は、本願発明の実施の形態1に係る電気炊飯器の蓋ロック機構部分の構成を示している。
【0029】先ず図1は、同電気炊飯器の蓋ロック機構部の平面図、図2は同機構の要部の断面図である。図中、符号3は当該電気炊飯器の蓋であり、この蓋3の外カバー10は、前述の従来例の場合と同様に外ケースおよび内ケースの上部に設けた肩部材5の図示しない後端側に対してヒンジ機構およびバネ部材を介して常時開方向に付勢された状態で上下方向に回動自在に取り付けられており、その開放端側(炊飯器本体前面部側)には、図示のように当該外カバー10の前端側前縁部10a上部のロック片係合凹部11に対して係合して当該蓋3の閉状態を維持するロック解除レバー20を備えたロック機構70が設けられている。」

(甲7-オ)
「【0033】一方、上記肩部材5の外周縁部5b裏側には、サブロック手段として、上記ロック解除レバー20のロック解除片20bによるロック解除操作をできなくするためのレバーロック手段13が前後方向に摺動自由に設けられている。
【0034】すなわち、このレバーロック手段13は、図示のように前後方向に長いスライダー部13aと該スライダー部13aから上方に所定高さ突出して外部操作可能な操作部13bとからなり、該スライダー部13aを上記肩部材5の外周縁部5b裏側に設けた保持部材14により肩部材5側の開口部19を介して前後方向にスライド可能に保持している一方、上記操作部13bを、上記肩部材5の外周縁部5b上端部分に前後方向に長く延設して形成したガイド穴12に遊嵌突出させて外から操作できるように構成されている。そして、同操作部13bを図示b方向に操作して上記ガイド穴12の最前端位置まで移動させた時に上記スライダー部13aの先端が上記ロック解除レバー20のロック解除片20bの下方部に侵入せしめられて、当該ロック解除片20bの下方への押圧操作をできないように係止する一方、図示c方向に操作して上記ガイド穴12の最後端位置まで移動させた時には上記スライダー部13a先端の上記ロック解除片20bとの係合が解かれて、上記ロック解除片20bを下方側ロック解除方向に押圧操作できるようになっている。
【0035】以上のように、この実施の形態の電気炊飯器では、ヒンジ機構側バネ部材等の付勢手段により常時開方向に付勢された蓋3と、この蓋3を閉状態にロックするロック解除レバー20によりロックおよびロック解除可能なロック機構70とを備え、上記蓋3の閉状態におけるロック解除レバー20のロック解除操作をできなくするレバーロック手段13を設けて構成されている。
【0036】したがって、該構成ではレバーロック手段13がロック操作されると、上記ロック機構70のロック解除レバー20のロック解除操作ができなくなり、レバーロック手段13のロック状態を解除しない限り、ロック解除レバー20をロック解除操作して蓋3を開けることができないことになる。
【0037】その結果、蓋3を開けるためには、レバーロック手段13のロック状態の解除操作とロック解除レバー20のロック解除操作との2つの操作が必要となり、幼児等による不必要な蓋の開放に対する安全性、信頼性が向上する。」

(6)甲8(特開平10-155658号公報)
甲8には、「電気貯湯容器」について図面とともに、以下の事項が記載されている。
(甲8-ア)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内容器からの出湯をロックする出湯ロック操作部を備えた電気貯湯容器に関する。」

(甲8-イ)
「【0003】しかし、従来のものにおいては、出湯ロック操作部を操作して出湯操作部をロックしていても、導水路により内容器と外部は連通しているので、器本体を前傾させたり、器本体を持って移動する場合に、内容器内の湯が導水路を通って自然に外部に排出されてしまう問題を生じていた。また、仮に出湯操作部をロック操作して出湯を防ぐようにしていても、乳幼児などにより不意に蓋体が開けられてしまうという問題もある。」

(甲8-ウ)
「【0012】
【発明の実施形態】以下、本発明の一実施例につき、添付図面を参照しながら説明する。同図において、1は器本体であり、この器本体1には外ケース2の底部に脚体3が設けられている。また、外ケース2の上部には上枠4が固定され、この上枠4の前部には突出部5が設けられると共に、突出部5の下側には湯の吐出口6が下向きに開口して設けられている。7は外ケース2内に設けられた有底円筒状の内容器であり、これは例えばステンレス鋼などの金属で形成されている。さらに、8は内容器7の上部開口に設けられた蓋体であり、この蓋体8を開方向に付勢するスプリング(図示せず)を備えたヒンジ9により、蓋体8は器本体1の後方に軸支される。蓋体8の前部には、蓋体8を閉状態に固定する蓋体開閉操作部としての蓋開閉レバー10が設けられており、この蓋開閉レバー10を操作することにより、蓋体8を開閉できるようになっている。なお、11は内容器7内と外部とを連通する蒸気孔である。」

(甲8-エ)
「【0018】前記出湯ロックレバー64は、合成樹脂製で板状のスライド部材71と一体的に形成される。また、このスライド部材71の後部側には、上枠4の内周面4Aに形成した横長の貫通孔72と、蓋体8の外周面8A下部に形成した同じく横長の貫通孔73を貫通して、蓋ロックアーム74が一体的かつ移動可能に設けられる。蓋ロックアーム74は、スライド部材71とともに蓋体8のチャイルドロック機構を構成し、蓋体ロック操作部を兼用する出湯ロックレバー64をロック操作すると、前記蓋開閉レバー10に形成した第1係止片18の近傍下方に移動して、蓋開閉レバー10の動作を規制し、ひいては蓋体8を閉塞状態にロックさせる機能を有する。前記出湯釦62,63は、図3に示してあるように、連結部材75により一体的に形成されており、この連結部材75の途中に設けた一対の取付孔部76が、上枠4の裏面に設けた突起77に嵌合されることで、出湯釦62,63が操作パネル61の所定位置に装着される。」

(甲8-オ)
「【0019】・・・なお、図4は出湯ロックレバー64をB´方向に動かしたロック解除状態を断面図で示しているが、図面上は出湯ロックレバー64をB方向に動かしたロック状態(図5参照)とスライド部材71の位置関係が同一となるため、便宜上二点鎖線にてスライド部材71を示してある。」

(甲8-カ)
「【0022】・・・また、出湯ロックレバー64をB方向に操作すると同時に、蓋ロックアーム74の先端部が蓋開閉レバー10に形成した第1係止片18の近傍下方に移動するので、蓋開閉レバー10の取手部16に手を差し入れても、第1係止片18が蓋ロックアーム74の先端部に突き当たって、蓋開閉レバー10を操作することができなくなる。したがって、乳幼児などが誤って蓋開閉レバー10の取手部16に手を掛けても、出湯ロックレバー64をロック解除方向に操作しない限り、不意に蓋体8を開けることはできない。・・・」

(7)甲9(特開2001-146866号公報)
甲9には、「ボックスのロック機構」について図面とともに、以下の事項が記載されている。
(甲9-ア)
「【解決手段】スライド部22を操作して施錠部21を施錠位置に移動させれば施錠部21がボックス1内側に係合して操作部15の押圧操作が阻止され、操作部15が不用意に押されても係合部材10のロック状態が解除されることがなく、施錠部21とスライド部22から成る施錠部材20を係合部材10に取り付けるだけの簡単な構造でロック状態が不用意に解除されるのを防止することができる。また、施錠部21の施錠位置と解除位置に各々対応する位置を表示する表示手段たる把手22aをスライド部22に設けてあるから、操作部15の収納部15b内における把手22aの位置通りにスライド部22を操作すれば施錠部21を施錠位置及び解除位置に容易に移動可能で操作性の向上が図れ、さらに、把手22aの位置を確認して施錠部21が施錠位置に在るか解除位置に在るかを容易に判別できる。」 (【要約】)

(甲9-イ)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、箱体の側面に配設された係合部材により蓋体を係止するとともに、係合部材を押圧操作することにより蓋体の係止状態を解除するボックスのロック機構に関するものである。」

(甲9-ウ)
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例のロック機構にあっては、操作部が不用意に押圧操作されると係合部材のロック状態が解除されて蓋体が簡単に開いてしまうという問題がある。」

(甲9-エ)
「【0012】
【発明の実施の形態】(実施形態1)本発明の実施形態1を図1?図4を参照して詳細に説明する。本実施形態におけるボックス1は、例えば分電盤の分電箱であって、側面に切欠孔2bを有し前面が開口した箱体2と、箱体2の前面開口2aを開閉自在に塞ぐ蓋体3とから成り、内部には図示しない内器(主幹ブレーカや分岐ブレーカなど)が収納される。但し、ボックス1を分電箱に限定する趣旨ではなく、箱体と蓋体から成る種々のボックスについて本発明の技術思想が適用可能である。」

(甲9-オ)
「【0013】図1に示すようにボックス1の内部には係合部材10が取りつけられる。この係合部材10は、図2に示すように可撓性を有する合成樹脂により短冊形に形成された主片11と、主片11の長手方向に沿った一端部より前方へ突出し且つ主片11の長手方向に沿って延出された延出片12と、延出片12の主片11側の端部略中央より前方へ突設された第1支持片13と、第1の支持片13との間に所定の間隔を空けて主片11の略中央より前方へ突設された第2の支持片14と、第1及び第2の支持片13,14の先端に一体に形成されて支持された略矩形平板状の操作部15とを備えている。
【0014】・・・また、延出片12の長手方向に沿った先端部には図2における上方から下方に向けて前方へ傾斜する傾斜面を有して前方へ突出する係合部12aが設けてあり、後述するように係合部12aを蓋体3の被係合部3bに係止離脱自在に係合することで箱体2と蓋体3がロックされるようになっている。」

(甲9-カ)
「【0039】
【発明の効果】請求項1の発明は、側面に切欠孔を有し前面が開口した箱体、該箱体の前面開口を開閉自在に塞ぐ蓋体から成るボックスと、前記箱体に取着される固定部、前記蓋体に係合する係合部並びに前記固定部と係合部との間に位置して前記切欠孔内に臨ませた操作部を有する係合部材とを備え、前記操作部を内方に押圧操作することにより前記係合部と前記蓋体との係合を解除させるボックスのロック機構において、前記ボックス内側に係合して操作部の押圧操作を阻止する施錠位置と前記ボックス内側との係合を解除して操作部の押圧操作を可能とする解除位置との間で移動自在な施錠部と、前記ボックス外側における操作部内に配設されて前記施錠部が施錠位置と解除位置に移動するように操作されるスライド部とを有し、少なくとも施錠部の施錠位置と解除位置に各々対応する位置を表示する表示手段を前記スライド部に設けた施錠部材を係合部材に配設したので、スライド部を操作して施錠部を施錠位置に移動させれば施錠部がボックス内側に係合して操作部の押圧操作が阻止されるから、操作部が不用意に押されても係合部材のロック状態が解除されることがなく、施錠部とスライド部を有する施錠部材を係合部材に配設するだけの簡単な構造でロック状態が不用意に解除されるのを防止することができるという効果がある。・・・」

(8)甲10(実願平5-48417号(実開平7-17748号)のCD-ROM)
甲10には、「蓋のロック装置」について図面とともに、以下の事項が記載されている。
(甲10-ア)
「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、携帯式コンパクトディスクプレーヤなどの音響機器に適用して好適な蓋のロック装置に関する。」

(甲10-イ)
「【0006】
そこで、図12に示すような、蓋のロック装置20が提案された。この蓋のロック装置20は、図11に示したロック装置20と同様の構成に加えて、さらにキャビネット24にロック部用ストッパ27がスライド可能に取り付けられている。ロック部用ストッパ27には、ロック部25の移動を規制するロック部用固定部28が形成されている。ロック部用ストッパ27は適宜な規制手段で固定できるようになっている。
【0007】
そして上述と同様に蓋21をロックした後に、ロック部用ストッパ27をスライドさせて、ロック部用固定部28がロック部25に当接した位置で保持する。これにより、偶然開蓋ボタン26が押されても、ロック部25がロック部用固定部28によって位置規制されるので、ロック部25がロック片22から外れて蓋21が不用意に開いてしまうことがない。このときには、ロック部25が動かないため、開蓋ボタン26の降下も規制されている。
【0008】
蓋21を開くときには、まずロック部用ストッパ27を図の左側に移動させて、ロック部25からロック部用固定部28を退避させてから、上述と同様に開蓋ボタン26を押し下げればよい。」

(甲10-ウ)
「【0059】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案の蓋のロック装置は、収容体の蓋の閉蓋時に、蓋に設けられたロック片に係合して蓋をロックするロック手段と、蓋の閉蓋状態で、蓋の上下動を規制するためロック片をロック手段との間に挟持する蓋挟持手段とを具備したものである。
【0060】
したがって、本考案によれば、閉蓋時の蓋の不用意な開蓋とがたつきを同時に防止することが可能である。また、閉蓋時にロック手段を固定するロック固定手段に蓋挟持手段を設けることにより、これらを別々に設ける場合に比べて構成が簡単になり、しかも閉蓋状態でこれらを同時に作動させることが可能になるなどの効果がある。」

3.本件発明1について
(1)本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点
ア.本件発明1と甲3発明を対比する。
(ア)甲3発明の「魔法瓶等の液体容器」は、文言の意味、形状又は機能等からみて本件発明1の「飲料用容器」に相当し、以下同様に、「容器本体1」は「容器本体」に、「注出口2」は「飲口部」に、それぞれ相当する。

(イ)甲3発明の「蓋体3」は、文言の意味、形状又は機能等からみて本件発明1の「閉塞蓋」に相当し、以下同様に、「押圧閉塞する」は「閉塞する」に、「枢着部10」は「枢着部」に、「擺動可能に設ける」は「起伏回動開閉自在に設ける」に、「係合して」は「係止して」に、「被嵌状態」は「閉塞状態」に、「反対側部の押しボタン12に設け」は「反対側部に設け」に、「常時枢着部10側へ擺動するように付勢する」は「開放起動する方向に回動付勢される」に、「係合部17」は「係止部」に、「押しボタン12」は「解除押動部」に、「この押しボタン12を押動すると蓋体3が取り外せる」は「この解除押動部を押動すると閉塞蓋が自動開放起動する」に、それぞれ相当する。

(ウ)甲3発明の「押しボタン隠蔽体13」と、本件発明1の「ストッパ部」とは、『解除押動部の操作阻止部材』の点で共通する。

(エ)甲3発明の「F' :前記容器本体1の上部に、押しボタン12が連設されているバネ体16が配設される弾性体収納部15を設け、
G' :前記係合部17が設けられた押しボタン12を前記弾性体収納部15に配して、この押しボタン12を押動することで係合部17による前記蓋体3との係合が解除されるように構成し、
H' :前記押しボタン12を遮蔽する押しボタン隠蔽体13を前記蓋体3に上下スライド自在に設け、
I':この押しボタン隠蔽体13は、前記容器本体1の上下方向にスライド移動するように構成すると共に、前記押しボタン12に上方から下方へ接近スライド移動することで押しボタン12の押動を不能とし、
J':この押しボタン12と押しボタン隠蔽体13とは前記容器本体1の上部位置に設けて、押しボタン隠蔽体13をスライド移動しせしめることにより押しボタン12を露出せしめて押しボタン12を押動可能とするように構成した」と、
本件発明1の「1F:前記容器本体の上部に取付用凹所を設け、
1G :前記解除押動部に前記係止部を一体に形成すると共に、この解除押動部を前記取付用凹所に配して枢着して、この解除押動部を押動することで係止部が起動回動して前記閉塞蓋への係止状態が解除されるように構成し、
1H :前記解除押動部に対して接離スライド移動するストッパ部を設け、
1I:このストッパ部は、前記容器本体の上下方向にスライド移動するように構成すると共に、前記解除押動部に接近スライド移動することでこの解除押動部に当接して解除押動部の押動作動を阻止する構成とし、
1J:この解除押動部とストッパ部とは前記容器本体の上部位置に設けて、この容器本体を携帯した手の指でストッパ部をスライド操作した後、同じ指で解除押動部を押動操作し得るように構成した」とは、
「前記解除押動部に前記係止部を形成すると共に、この解除押動部を押動することで前記閉塞蓋への係止状態が解除されるように構成し、
前記解除押動部に対して接離スライド移動する『解除押動部の操作阻止部材』を設け、
この『解除押動部の操作阻止部材』は、前記容器本体の上下方向にスライド移動するように構成すると共に、
この解除押動部と『解除押動部の操作阻止部材』とは前記容器本体の上部位置に設けて、この『解除押動部の操作阻止部材』をスライド操作した後、解除押動部を押動操作し得るように構成した」点で共通する。

イ.一致点と相違点
本件発明1と甲3発明とは、以下の点で一致する。
「1A:容器本体の上部に筒状の飲口部を突設し、
1B:この飲口部を閉塞する閉塞蓋を容器本体の上部に枢着部により起伏回動開閉自在に設けると共に、
1C:この閉塞蓋は開放起動する方向に回動付勢されるように構成し、
1D:この閉塞蓋に係止して閉塞蓋を閉塞状態に保持する係止部を、前記容器本体の上部であって前記枢着部の反対側部に設け、
1E:この係止部の閉塞蓋への係止状態を押動することで解除する解除押動部を容器本体に設けて、この解除押動部を押動すると閉塞蓋が自動開放起動するように構成した飲料用容器において、
前記解除押動部に前記係止部を形成すると共に、この解除押動部を押動することで前記閉塞蓋への係止状態が解除されるように構成し、
前記解除押動部に対して接離スライド移動する『解除押動部の操作阻止部材』を設け、
この『解除押動部の操作阻止部材』は、前記容器本体の上下方向にスライド移動するように構成すると共に、
この解除押動部と『解除押動部の操作阻止部材』とは前記容器本体の上部位置に設けて、この『解除押動部の操作阻止部材』をスライド操作した後、解除押動部を押動操作し得るように構成した飲料用容器。」

本件発明1と甲3発明とは、以下の点で相違する。(この相違点は、請求人の主張する相違点1-1?1-3を全て含むものである。)
「前記解除押動部に前記係止部を形成すると共に、この解除押動部を押動することで前記閉塞蓋への係止状態が解除されるように構成し、
前記解除押動部に対して接離スライド移動する『解除押動部の操作阻止部材』を設け、
この『解除押動部の操作阻止部材』は、前記容器本体の上下方向にスライド移動するように構成すると共に、
この解除押動部と『解除押動部の操作阻止部材』とは前記容器本体の上部位置に設けて、この『解除押動部の操作阻止部材』をスライド操作した後、解除押動部を押動操作し得るように構成した」点について、
本件発明1は、
「1F:前記容器本体の上部に取付用凹所を設け、
1G :前記解除押動部に前記係止部を一体に形成すると共に、この解除押動部を前記取付用凹所に配して枢着して、この解除押動部を押動することで係止部が起動回動して前記閉塞蓋への係止状態が解除されるように構成し、
1H :前記解除押動部に対して接離スライド移動するストッパ部を設け、
1I:このストッパ部は、前記容器本体の上下方向にスライド移動するように構成すると共に、前記解除押動部に接近スライド移動することでこの解除押動部に当接して解除押動部の押動作動を阻止する構成とし、
1J:この解除押動部とストッパ部とは前記容器本体の上部位置に設けて、この容器本体を携帯した手の指でストッパ部をスライド操作した後、同じ指で解除押動部を押動操作し得るように構成した」のに対して、
甲3発明では、
「F' :前記容器本体1の上部に、押しボタン12が連設されているバネ体16が配設される弾性体収納部15を設け、
G' :前記係合部17が設けられた押しボタン12を前記弾性体収納部15に配して、この押しボタン12を押動することで係合部17による前記蓋体3との係合が解除されるように構成し、
H' :前記押しボタン12を遮蔽する押しボタン隠蔽体13を前記蓋体3に上下スライド自在に設け、
I':この押しボタン隠蔽体13は、前記容器本体1の上下方向にスライド移動するように構成すると共に、前記押しボタン12に上方から下方へ接近スライド移動することで押しボタン12の押動を不能とし、
J':この押しボタン12と押しボタン隠蔽体13とは前記容器本体1の上部位置に設けて、押しボタン隠蔽体13をスライド移動しせしめることにより押しボタン12を露出せしめて押しボタン12を押動可能とするように構成した」点。

本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点の認定について、両当事者に争いはない(請求人要領書(請求人陳述書(3)6.6-1、被請求人陳述書(1)5(2)(3))。

(2)無効理由1(甲3発明及び[甲6又は甲7]に基づいて容易)について
相違点について検討する。
ア(阻止機構の機序)
甲3発明は蓋体3を開放するための押しボタン12の操作を阻止する機構として、蓋体3側に押しボタン隠蔽体13(ストッパ部)を、容器本体1側に押しボタン12(解除押動部)を設けており、いずれも携帯した手の指で操作しうる位置にある。そして、この押しボタン隠蔽体13は、押しボタン12の全体をその上から隠蔽することによって押しボタン12の操作面への手の指等のアクセスを不可能にして、容器本体1側に設けた押しボタン12の押動操作を阻止するものである。
一方、甲6は、上記2.(4)の(甲6-ア)?(甲6-オ)から、米飯容器の開閉する蓋体2の把手9、すなわち蓋体側にロック装置30(ストッパ部)、ロックレバー10(解除押動部)の両方を設け、いずれも把手9を握った手の指で操作しうる位置にある。そして、ロック装置30がスライドしてロックレバー10の裏面に下から接触してロックレバー10を不動の状態にしてロックするものであり、ロックレバー10の操作を物理的に止める機構である。
また、甲7は、上記2.(5)の(甲7-ア)?(甲7-オ)から電気炊飯器の容器本体側に設けた肩部材5にレバーロック手段13(ストッパ部)、押し下げる方向に操作するロック解除レバ-20(解除押動部)の両方を設け、容器本体や蓋を把持することなく操作する。そして、レバーロック手段13をロック解除レバー20の下方部ヘ侵入させて下から接触してロック解除レバ-20を不動の状態にしてロックするものであり、ロック解除レバ-20の操作を物理的に止める機構である。
そうすると、甲3発明と甲6又は甲7は、蓋体の開放操作を阻止する機構としては共通するものの、両者における阻止機構(ストッパ部、解除押動部)の設置位置、操作する指との関係、阻止機構の機序は異なるものである。

イ(追加の設計変更)
甲3発明の阻止機構は蓋体側に押しボタン隠蔽体13(ストッパ部)、容器本体側に押しボタン12(解除押動部)を有する構成となっている。
一方、甲6の阻止機構は蓋体側にロック装置30(ストッパ部)とロックレバー10(解除押動部)の両方が設けられているものであり、仮に甲3発明に甲6の阻止機構の構成を適用するとしても、蓋体側に、ロック装置30とロックレバー10とを配置するため、単に置き換えるだけでなく追加の設計変更を要するものである。また、蓋体側に、ロック装置30とロックレバー10とが配置され、蓋体を握って操作することになり、甲3発明の「容器本体を携帯したまま操作しうる」という利点が失われる。さらに、仮に容器本体側にロック装置30とロックレバー10とを配置すると、甲3発明の押しボタン隠蔽体13は蓋体側に設けられていたことから、やはり単に置き換えるだけでなく追加の設計変更を要するものである。
甲7は容器本体の肩部上面にレバーロック手段13(ストッパ部)とロック解除レバー20(解除押動部)との両方が設けられているものであり、操作する指との関係を考慮したものではない。しかも、レバーロック手段13を前後方向、ロック解除レバー20を下方向に操作することを意図したものであるから、甲3発明に適用すると容器本体に肩部を設けて、その上面にレバーロック手段13とロック解除レバー20とを設けるような形態となり、ここから本件発明1に至るには、単に置き換えるだけでなく追加の設計変更を要する。

ウ(動機付け)
甲3発明は、甲3の段落【0005】(上記2.(1)の(甲3-ウ))の「容器本体内部の液体を注出する操作を極めて簡単に行うことができる実用性に秀れた液体容器を提供すること」を課題とし、甲3の段落【0037】?【0038】(上記2.(1)の(甲3-ケ))、【0040】?【0042】(上記2.(1)の(甲3-コ))の記載によれば、(a)容器本体内部の液体を注出する操作を極めて簡単に行うことができる、(b)簡単に容器本体内の液体をラッパ飲みすることができる、(c)蓋体を枢着部を軸に擺動することで該蓋体の被嵌装着及び取り外し操作を行うことができる、(d)押しボタンを押動しない限り蓋体が擺動できず、不意に蓋体が外れて注出口が液体注出可能状態となったりしない、(e)押しボタン隠蔽体をスライド移動操作しない限り押しボタンを押動できず、より一層確実に不意に蓋体が外れて注出口が液体注出可能状態となったりしない、という効果を奏するものである。
そうすると、甲3発明は、蓋体を有する魔法瓶等の液体容器における阻止機構として、操作性に優れ(効果(a)、(b)、(c))、安全性にも優れ(効果(d)、(e))たものとして、阻止機構に求められる機能を満たすために甲3発明の構成F' ないしJ' を備えた発明であるといえる。したがって、甲3発明の上記効果を奏するための構成F' ないしJ'を、甲6、甲7の阻止機構に変更する動機がない。
また、甲3発明が手に持って使用する(上記2.(1)の(甲3-ケ))液体容器であるところ、甲6又は甲7は米飯容器(電気炊飯器)に係るもので、通常は台上等に据え置いて使用するものであるから、甲6又は甲7の容器を手に持った状態で蓋の開閉を行うことは、安全上、常識として想定し得ないものである。すなわち、甲3発明と甲6又は甲7では、それぞれの使用形態や求められる課題が異なるものである。
よって、甲3発明は、阻止機構に求められる機能を満たした発明であり、甲3発明と甲6、甲7は、使用形態や求められる課題が異なるから、甲3発明に接した当業者が、甲3発明の阻止機構に替えて、甲6又は甲7の阻止機構を採用することは、動機がない。
なお、甲3発明について、押しボタン12を押しボタン隠蔽体13で遮蔽した状態では、正面から見た甲3発明の液体容器は、押しボタン12が隠れており(甲3の図3)、側面から見た甲3発明の液体容器は、押しボタン隠蔽体13が蓋体と一体となって外部に突出した部分がなく(甲3の図1)、デザイン上も配慮されたものと見ることもできる。甲3発明に変更を加えることは、デザイン上の配慮を無視することとなる可能性がある。

エ(効果)
さらに、本件発明1は、相違点(請求人のいう相違点1-1?1-3を全て含む)の構成を全て備えることにより、(a)容器の上部に解除押動部に対して上下方向にストッパ部を接離スライド移動させる構成であるので容器本体を携帯した手の指でそのままスライド操作及び押動操作しやすい、(b)容器本体を携帯した手の指で操作するストッパ部のスライドストロークは、このストッパ部の一端部に当接して押動を阻止すれば良い構成であるので、短くて済む、(c)容器本体を携帯した手の指で簡単にしてスピーディーに注出口(飲口部)を開放露出してラッパ飲みできる、という、手で携帯して飲口部から飲用する飲料容器として格別の効果を奏するものである。

オ(小括)
上記ア?エから、甲3発明に、甲6、甲7を適用することは想定できない。
よって、本件発明1は、甲3発明、及び甲6記載の技術的事項又は甲7記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

カ(請求人の主張について)
カ-1(効果について)
請求人は、効果に関し、甲3発明自体でも奏すると主張する。しかしながら、本件発明1と比較するべきものは、甲3発明に阻止機構の機序の異なる甲6又は甲7を適用したものであり、甲3発明そのものでないから、請求人の主張は採用できない。

カ-2(動機付けについて)
また、請求人は、「甲3発明の場合、押しボタン12を押して係合部17による係止を解除しても、押している指が邪魔をして蓋体3が開きにくい可能性がある。甲6または甲7の構成の場合、そのような問題がない。したがって、この意味でも甲6または甲7の構成を甲3に適用する動機付けがある。」(陳述書(3))と主張している。しかしながら、上記3.(2)ウで述べたとおり、甲3発明は、操作性及び安全性に優れ、阻止機構に求められる機能を満たした発明であるから、甲6又は甲7を適用する動機はなく、仮に、甲3発明に請求人の主張する操作性の課題があったとしても、その課題は、甲3から読み取れる課題でも、一般的な課題でもないので、請求人の主張は採用できない。

(3)無効理由2(甲3発明及び甲4、甲5に基づいて容易)
相違点について検討する。
甲3発明は、上記3.(2)アの甲3発明のとおりである。
甲4は、上記2.(2)の(甲4-ア)?(甲4-ウ)から、蓋をワンタッチで開いて容器本体内の飲料を直接飲むタイプの飲料容器であって、容器本体2の上部に取り付けられる肩部材4に、水平方向の支軸81にて回動するロック部材8(解除押動部)を有し、ロック部材の押動部83を押すことで蓋部材との係合が解除されるものであるが、誤動作防止のための阻止機構(本件発明1のストッパ部に相当する構成)を有していない。
また、甲5は、上記2.(3)の(甲5-ア)?(甲5-オ)から、筒口6を覆うカバー部材22を有する直飲みできる保温容器であって、蓋体側である栓5に、係止を解いてカバー部材22を開く直飲みキー32(解除押動部)とこれを操作できないようにロックするロック板72(ストッパ部)からなり、直飲みキー32の下方にロック板72が進退して、下方から物理的に接触して直飲みキー32の操作を物理的に止める誤動作防止のための阻止機構を有するものである。直飲みキー32は、押し下げ動作されるものであり、栓5の天面に設けられている。
また、上記3.(2)ウで述べたとおり、甲3発明は、阻止機構に求められる機能を満たした発明である。

ア(甲3発明への甲4及び甲5の適用について)
甲4は、蓋をワンタッチで開いて容器本体内の飲料を直接飲むタイプの飲料容器であり、甲3発明と使用形態が共通している。
甲3発明にまず甲4を適用する際には、甲3発明の押しボタン12と押しボタン隠蔽体13の両方を甲4のロック部材8に置き換える場合と、甲3発明の押しボタン12のみを甲4のロック部材8に置き換える場合との二つの場合が想定される。
そこで、それぞれの場合に分けて以下検討する。

ア-1(甲3発明の押しボタン12と押しボタン隠蔽体13の両方を甲4のロック部材8に置き換える場合)
この場合、甲3発明の押しボタン12と押しボタン隠蔽体13を、誤動作防止のための阻止機構を有さないロック部材8に置き換えることとなり、誤動作防止のための阻止機構を排除することを選択するものであるから、さらに甲5の誤動作防止の阻止機構を設けようとする動機は生じない。
したがって、阻止機構が不要であるとして、甲3発明の押しボタン12と押しボタン隠蔽体13の両方を甲4のロック部材8に置き換えることができるとしても、さらに甲5の阻止機構を設けようとする動機はないから、本件発明1には至らない。

ア-2(甲3発明の押しボタン12のみを甲4のロック部材8に置き換える場合)
この場合、甲3発明の押しボタン12は甲4のロック部材8に置き換わるが、甲3発明の押しボタン隠蔽体13はそのまま残る構成となり、押しボタン隠蔽体13が押しボタン12から置き換わったロック部材8を隠蔽することで誤動作防止のための阻止機構として機能するものとなり、蓋体を有する魔法瓶等の液体容器における阻止機構として、操作性に優れ、安全性にも優れたものとして、阻止機構に求められる機能を満たした発明となる。
そうすると、さらに甲5に当業者が接したとしても、甲3発明の押しボタン12のみを甲4のロック部材8に置き換えた構成に変更を加えるためには、甲5の阻止機構が、甲3の押しボタン隠蔽体13よりも優れている等の動機が必要であるが、甲3、甲4、甲5のいずれにも、そのような動機はないから、本件発明1に至らない。

イ.(甲3発明への甲5及び甲4の適用について)
また、甲3発明にまず甲5を適用する場合についても検討する。
甲5は、蓋体側に直飲みキー32とロック板72の両方からなる誤動作防止のための阻止機構を有するものの、甲3発明の阻止機構とは、阻止機構(解除押動部、ストッパ部)の設置位置、阻止機構の機序は異なるものである。
甲3発明の阻止機構を設置位置と阻止機構の機序の異なる甲5の阻止機構に置き換えようとしても、その設置位置と態様において設計変更を要するものである。
甲3発明は、蓋体を有する魔法瓶等の液体容器として、操作性に優れ、安全性にも優れた阻止機構に求められる機能を満たすために構成F' ないしJ' を備えた発明であり、甲5の阻止機構に当業者が接したとしても、甲3発明の構成に変更を加える、すなわち、甲3発明の阻止機構である構成F' ないしJ' に替えて、甲5の阻止機構を採用しようとする動機がない。
甲3発明に甲5を適用したものは、阻止機構に求められる機能を満たした発明である。さらに甲4を適用するには、甲4のロック部材8が、甲3発明の押しボタン12又は甲5の直飲みキー32よりも優れている等の動機が必要であるが、甲3、甲4、甲5のいずれにも、そのような動機はないから、本件発明1に至らない。

したがって、甲3発明に、甲4、甲5を適用することは想定できない。
よって、本件発明1は、甲3発明、甲4記載の技術的事項及び甲5記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(4)無効理由3(甲3発明及び甲4、周知技術(甲5?甲10)に基づいて容易)
まず、甲5?10に例示される周知技術について検討すると、甲5?甲10には、蓋の開放のための阻止機構として、「第5.2.証拠記載事項」に摘記した、阻止機構がそれぞれ記載されている。
それによれば、具体的な阻止機構として、甲5には「直飲み保温容器の栓5の天面(蓋体側)に設けられた、直飲みキー32(解除押動部)とロック板72(ストッパ部)」、甲6には「米飯容器の開閉する蓋体2の把手9(蓋体側)に設けられた、ロックレバー10(解除押動部)とロック装置30(ストッパ部)」、甲7には「電気炊飯器の容器本体側の肩部材5(容器本体側)に設けられた、ロック解除レバー20(解除押動部)とレバーロック手段13(ストッパ部)」、甲8には「電気貯湯容器の蓋体8の前部(蓋体側)に設けられた、蓋開閉レバー10(解除押動部)と出湯ロックレバー64(ストッパ部)」、甲9には「ボックス(分電盤の分電箱)の係合部材10(容器本体側)に取り付けられた、操作部15(解除押動部)と施錠部材20(施錠部21とスライド部22)(ストッパ部)」、甲10には「携帯式コンパクトディスクプレーヤのキャビネット24(容器本体側)に取り付けられた、開蓋ボタン26とロック部25(解除押動部)と、ロック部用ストッパ27(ストッパ部)」が、それぞれ記載されている。
また、甲5は直飲み保温容器、甲6、甲7は米飯容器(電気炊飯器)、甲8は電気貯湯容器(電気ポット)、甲9はボックス(分電盤の分電箱)、甲10は携帯式コンパクトディスクプレーヤに関するものであるので、甲5?甲10に共通する技術分野は、「日用品」という程度である。
そうすると、甲5?甲10に例示される共通の周知技術としては、「日用品において、誤動作防止のための蓋の開放のための阻止機構として、解除押動部と、解除押動部の下方に侵入して物理的に接触して解除押動部の開放操作を阻止するストッパ部を設ける技術」(以下、「周知技術(甲5?甲10)」という。)である。
相違点について検討する。
甲3発明は、上記3.(2)アの甲3発明のとおりである。
また、上記3.(2)ウで述べたとおり、甲3発明は、阻止機構に求められる機能を満たした発明である。

ア.(甲3発明への甲4及び周知技術(甲5?甲10)の阻止機構の適用について)
上記(3)アと同様に、甲3発明に甲4を適用する際には、甲3発明の押しボタン12と押しボタン隠蔽体13の両方を甲4のロック部材8に置き換える場合と、甲3発明の押しボタン12のみを甲4のロック部材8に置き換える場合との二つの場合が想定される。
そこで、それぞれの場合に分けて以下検討する。

ア-1(甲3発明の押しボタン12と押しボタン隠蔽体13の両方を甲4のロック部材8に置き換える場合)
上記(3)ア-1と同様の理由により、本件発明1には至らない。

ア-2(甲3発明の押しボタン12のみを甲4のロック部材8に置き換える場合)
上記(3)ア-2と同様の理由により、本件発明1には至らない。

イ.(甲3発明への周知技術(甲5?甲10)及び甲4の適用について)
また、甲3発明にまず周知技術(甲5?甲10)を適用についても検討する。
周知技術(甲5?甲10)の阻止機構は、「日用品において、誤動作防止のための蓋の開放のための阻止機構として、解除押動部と、解除押動部の下方に侵入して物理的に接触して解除押動部の開放操作を阻止するストッパ部を設ける」阻止機構であって、阻止機構の設置位置、機序は何ら特定されていない。
そうすると、甲3発明の阻止機構と周知技術(甲5?甲10)の阻止機構は、蓋体の開放操作を阻止する機構としては共通するものの、阻止機構の設置位置、機序が特定されない周知技術(甲5?甲10)を甲3発明に具体的に適用するためには追加の設計変更を要するものである。
さらに、甲3発明は、蓋体を有する魔法瓶等の液体容器として、操作性に優れ、安全性にも優れた阻止機構に求められる機能を満たした発明であり、周知技術(甲5?甲10)の阻止機構に当業者が接したとしても、甲3発明の構成に変更を加える、すなわち、甲3発明の阻止機構に替えて、周知技術(甲5?甲10)の阻止機構を採用しようとする動機がない。

したがって、甲3発明に、甲4、周知技術(甲5?甲10)を適用することは想定できない。
よって、本件発明1は、甲3発明、甲4記載の技術的事項、及び周知技術(甲5?甲10)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

4.本件発明2について
(1)本件発明2と甲3発明との一致点及び相違点
本件発明2と甲3発明とは、以下の点で一致する。
「2A:容器本体の上部に筒状の飲口部を突設し、
2B:この飲口部を閉塞する閉塞蓋を容器本体の上部に枢着部により起伏回動開閉自在に設けると共に、
2C:この閉塞蓋は開放起動する方向に回動付勢されるように構成し、
2D:この閉塞蓋に係止して閉塞蓋を閉塞状態に保持する係止部を、前記容器本体の上部であって前記枢着部の反対側部に設け、
2E:この係止部の閉塞蓋への係止状態を押動することで解除する解除押動部を容器本体に設けて、この解除押動部を押動すると閉塞蓋が自動開放起動するように構成した飲料用容器において、
前記解除押動部に前記係止部を形成すると共に、この解除押動部を押動することで前記閉塞蓋への係止状態が解除されるように構成し、
前記解除押動部に対して接離スライド移動する『解除押動部の操作阻止部材』を設け、
この『解除押動部の操作阻止部材』は、前記容器本体の上下方向にスライド移動するように構成すると共に、
この解除押動部と『解除押動部の操作阻止部材』とは前記容器本体の上部位置に設けて、この『解除押動部の操作阻止部材』をスライド操作した後、解除押動部を押動操作し得るように構成した飲料用容器。」

本件発明2と甲3発明とは、以下の点で相違する。
「前記解除押動部に前記係止部を形成すると共に、この解除押動部を押動することで前記閉塞蓋への係止状態が解除されるように構成し、
前記解除押動部に対して接離スライド移動する『解除押動部の操作阻止部材』を設け、
この『解除押動部の操作阻止部材』は、前記容器本体の上下方向にスライド移動するように構成すると共に、
この解除押動部と『解除押動部の操作阻止部材』とは前記容器本体の上部位置に設けて、この『解除押動部の操作阻止部材』をスライド操作した後、解除押動部を押動操作し得るように構成した」点について、
本件発明2は、
「2F:前記容器本体の上部に取付用凹所を設け、
2G:前記解除押動部に前記係止部を一体に形成すると共に、この解除押動部を前記取付用凹所に配して枢着して、この解除押動部を押動することで係止部が起動回動して前記閉塞蓋への係止状態が解除されるように構成し、
2H:この解除押動部に対し前記容器本体の上下方向にスライド移動するストッパ部を設けると共に、
2I:このストッパ部は、解除押動部に対し上方へスライド移動することで解除押動部の下部に接して解除押動部を押動できないように阻止する構成とし、
2J:この解除押動部とストッパ部とは、前記容器本体の上部位置に設けて、この容器本体を携帯した手の指でストッパ部をスライド操作した後、同じ指で解除押動部を押動操作し得るように構成した」のに対して、
甲3発明では、
「F' :前記容器本体1の上部に、押しボタン12が連設されているバネ体16が配設される弾性体収納部15を設け、
G' :前記係合部17が設けられた押しボタン12を前記弾性体収納部15に配して、この押しボタン12を押動することで係合部17による前記蓋体3との係合が解除されるように構成し、
H' :前記押しボタン12を遮蔽する押しボタン隠蔽体13を前記蓋体3に上下スライド自在に設け、
I':この押しボタン隠蔽体13は、前記容器本体1の上下方向にスライド移動するように構成すると共に、前記押しボタン12に上方から下方へ接近スライド移動することで押しボタン12の押動を不能とし、
J':この押しボタン12と押しボタン隠蔽体13とは前記容器本体1の上部位置に設けて、押しボタン隠蔽体13をスライド移動しせしめることにより押しボタン12を露出せしめて押しボタン12を押動可能とするように構成した」点。

(2)相違点についての判断
本件発明2と甲3発明との相違点は、「本件発明1と甲3発明との相違点」を全て含み、さらに、ストッパ部の解除押動部方向へのスライド移動方向が上方であり、解除押動部の下部に接する点の相違点(以下「追加の相違点」という。)を含むものである。
よって、本件発明2と甲3発明との相違点のうち、「本件発明1と甲3発明との相違点」と共通する相違点の判断は、上記「第5.本件発明1について」と同様である。
さらに追加の相違点を有する、本件発明2は、(無効理由1)甲3発明、及び甲6記載の技術的事項又は甲7記載の技術的事項、(無効理由2)甲3発明、甲4記載の技術的事項及び甲5記載の技術的事項、(無効理由3)甲3発明、甲4記載の技術的事項、及び周知技術(甲5?甲10)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

第6.むすび
以上のとおり、本件発明1、2に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当せず、無効理由1?3によっては、無効とすることができない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-04 
結審通知日 2016-03-08 
審決日 2016-03-31 
出願番号 特願2002-318614(P2002-318614)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 楠永 吉孝  
特許庁審判長 千葉 成就
特許庁審判官 見目 省二
蓮井 雅之
登録日 2008-06-20 
登録番号 特許第4143383号(P4143383)
発明の名称 飲料用容器  
代理人 吉井 剛  
代理人 小松 陽一郎  
代理人 山崎 道雄  
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所  
代理人 吉井 雅栄  
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