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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  C09J
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C09J
管理番号 1327889
異議申立番号 異議2016-700096  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-02-05 
確定日 2017-03-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5785624号発明「光学部材用粘着剤組成物並びにそれを使用した粘着シート、粘着剤層付き光学部材及びフラットパネルディスプレイ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5785624号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正することを認める。 特許第5785624号の請求項4ないし12に係る発明についての特許を維持する。 特許第5785624号の請求項1及び2に係る発明についての特許に対する両者特許異議申立人からの特許異議の申立てをいずれも却下する。 
理由 第1 手続の経緯・本件異議申立の趣旨

1.本件特許の設定登録までの経緯
本件特許第5785624号(以下、単に「本件特許」という。)に係る出願(特願2013-551623号、以下「本願」という。)は、平成24年12月18日(優先権主張:平成23年12月28日、特願2011-288778号)の国際出願日に出願人綜研化学株式会社によりされたものとみなされる特許出願であり、平成27年7月31日に特許権の設定登録がされたものである。

2.本件異議申立の趣旨

(1)異議申立1
本件特許につき平成28年2月5日付けで特許異議申立人山田宏基(以下「申立人1」という。)により「特許第5785624号の特許請求の範囲の請求項1、2及び4ないし12に記載された発明についての特許は取り消されるべきものである。」という趣旨の本件異議申立1がされた。

(2)異議申立2
本件特許につき平成28年3月25日付けで特許異議申立人齊藤整(以下「申立人2」という。)により「特許第5785624号の特許請求の範囲の請求項1、2及び4ないし12に記載された発明についての特許は取り消されるべきものである。」という趣旨の本件異議申立2がされた。

3.以降の経緯
上記2件の異議申立につき併合審理したが、以降の経緯は以下のとおりである。
平成28年 8月 1日付け 取消理由通知
平成28年10月 3日 意見書(特許権者)・訂正請求書
平成28年10月31日付け 取消理由通知
平成28年12月13日 意見書(特許権者)・訂正請求書
平成29年 1月 4日付け 通知書(両申立人あて)
(なお、上記通知書を両申立人に送付することにより、各人の希望に応じて、期間を指定し意見書を提出する機会を与えたが、両申立人から意見書の提出はなかった。
また、上記平成28年10月3日付けの訂正請求は、後に平成28年12月13日付けの訂正請求がされたことによって、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなされた。)

第2 各申立人が主張する取消理由

1.申立人1が主張する理由
申立人1は、その本件特許異議申立書において、下記甲第1号証を提示し、概略、以下の取消理由1及び2が存するとしている。

・取消理由1:本件の請求項1、2及び4ないし12に係る発明は、いずれも、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができるものではないものであって、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
・取消理由2:本件の請求項1、2及び4ないし12に係る発明は、いずれも、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。

・申立人1提示の甲号証
甲第1号証:特開2011-100095号公報

2.申立人2が主張する理由
申立人2は、その本件特許異議申立書において、下記甲第1号証及び甲第2号証を提示し、概略、以下の取消理由1及び2が存するとしている。

・取消理由1:本件の請求項1、2及び4ないし12に係る発明は、いずれも、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができるものではないものであって、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
・取消理由2:本件の請求項1、2及び4ないし12に係る発明は、いずれも、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。

・申立人2提示の甲号証
甲第1号証:特開2011-100095号公報
甲第2号証:「粘着ハンドブック(第3版)」、2006年7月1日(第2刷)、日本粘着テープ工業会発行、第658?660頁

3.本件異議申立に係る審理対象
上記本件異議申立1及び2において主張された取消理由につき併合・整理すると、本件異議申立の審理にあたり、審理すべき異議申立がされている特許は、請求項1、2及び4ないし12に係る発明についての特許であり、請求項3に係る発明についての特許については、異議申立がされていない。

第3 平成28年12月13日付け訂正請求の適否

1.訂正請求の内容
上記平成28年12月13日付け訂正請求では、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?12について一群の請求項ごとに訂正することを求めるものであり、以下の(ア)ないし(チ)の各訂正事項を含むものである。(下線を付した部分が訂正部である。)

(ア)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の記載を削除する。

(イ)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2の記載を削除する。

(ウ)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を、
「(A):下記(a-1)?(a-4)を下記の割合で共重合して得られる(メタ)アクリル系コポリマーと;
(a-1)ホモポリマーのガラス転移温度が-40℃以下で、芳香環を有さない(メタ)アクリル酸エステル40?77.1重量%
(a-2)t-ブチル(メタ)アクリレート10?40重量%
(a-3)芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル0.1?25重量%
(a-4)2種類以上の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー及び/又は2種以上の異なる、1種類の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー0.1?6重量%
(ただし、(a-2)及び(a-3)の合計は5?59.9重量%であり、
前記極性官能基はカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基およびエポキシ基から選ばれ、
(a-1)?(a-4)の合計は100重量%である)
(B):前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01?3重量部の架橋剤と
を含むことを特徴とする光学部材用粘着剤組成物。」
と訂正する。

(エ)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を、
「 前記(メタ)アクリル酸エステル(a-1)が、n-ブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、イソペンチルアクリレート、へキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシルメタクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート及びエトキシエトキシエチルアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の光学部材用粘着剤組成物。」
と訂正する。

(オ)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を、
「 前記(メタ)アクリル酸エステル(a-3)が、ベンジル(メタ)アクリレート、下記一般式(1)で表されるフェノキシエチル(メタ)アクリル酸エステルおよびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光学部材用粘着剤組成物:
【化3】


(式(1)において、R_(0)は水素又はメチル基であり、R_(1)は(CH_(2)CH_(2)O)_(n)で表される基であり(nは1?20の整数である)、mは1?5の整数であり、R_(2)は水素、炭素数1?9のアルキル基、炭素数6?10のアリール基又は炭素数7?11のアラルキル基であり、mが2以上の場合、複数存在するR_(2)は同一でも異なっていてもよい。)。」
と訂正する。

(カ)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を、
「 前記(メタ)アクリル系モノマー(a-4)の共重合割合が1?6重量%であり、前記(a-2)及び(a-3)の共重合割合の合計が5?50重量%であることを特徴とする請求項3?5のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。」
と訂正する。

(キ)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を、
「 前記光学部材用粘着剤組成物について以下の微少クリープ試験を行った場合において、60℃測定値/23℃測定値の比の値が1.05?2.00であることを特徴とする請求項3?6のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物:
前記光学部材用粘着剤組成物を剥離処理されたポリエステルフィルム上に塗布・乾燥させて、膜厚25μmの粘着剤層を有する粘着シートを作製し;
該粘着シートをTAC(トリアセチルセルロース)-PVA(ポリビニルアルコール)-TAC構成の偏光板と、前記粘着剤層が前記偏光板と接するように貼り合わせて評価用粘着加工偏光板を作製し;
該評価用粘着加工偏光板を幅10mm×長さ100mmにカットし、前記剥離処理されたポリエステルフィルムを剥がしてアルカリ処理ガラス上に、前記粘着剤層が前記ガラスに接するように、かつ10mm×10mmの貼り合わせ面積になるように貼り合わせて評価用粘着加工偏光板試験片とし;
該評価用粘着加工偏光板試験片についてオートクレーブ処理(50℃、5atm)を行い、23℃/50%RH雰囲気下で24時間静置し;
次に前記試験片を、微少クリープ測定機のチャンバーBOX内に固定用チャック部分の長さ15mmにてセットし;
前記チャンバーBOX内を測定温度まで加熱して、測定温度にて40分間静置後に、引張荷重800g、引張時間1000秒にて、前記試験片における前記評価用粘着加工偏光板を、該偏光板と前記ガラスとの接着面に平行にかつ前記偏光板の長さ方向に引っ張り;
前記試験片における前記ガラスと偏光板との貼り合わせ部分のズレの距離(mm)を測定する。」
と訂正する。

(ク)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8を、
「 さらにシランカップリング剤を、前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01?0.5重量部含むことを特徴とする請求項3?7のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。」
と訂正する。

(ケ)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9を、
「 さらに帯電防止剤を、前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01?3重量部含むことを特徴とする請求項3?8のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。」

(コ)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項10を、
「 基材フィルム上に請求項3?9のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物を含む粘着剤層が形成されてなる粘着シート。」
と訂正する。

(サ)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項11を、
「 光学部材の少なくとも片面に粘着剤層が形成された粘着剤層付き光学部材であって、前記粘着剤層が請求項3?9のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物を含むことを特徴とする粘着剤層付き光学部材。」
と訂正する。

(シ)訂正事項12
明細書段落【0017】の「(a-2)ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上で、芳香環を有さない(メタ)アクリル酸エステル0.1?50重量%」を、「(a-2)t-ブチル(メタ)アクリレート10?40重量%」に訂正する。

(ス)訂正事項13
明細書段落【0018】の記載を削除する。

(セ)訂正事項14
明細書段落【0019】の記載を削除する。

(ソ)訂正事項15
明細書段落【0020】の記載を削除する。

(タ)訂正事項16
明細書段落【0152】の「<実施例1?13、参考例1及び2並びに比較例1?8に使用したアクリル系コポリマーの製造例>」を「<実施例1?10、参考例1?5、比較例1?8に使用したアクリル系コポリマーの製造例>」に訂正する。

(チ)訂正事項17
明細書段落【0157】の表2を、下記のとおりに訂正する。


2.検討
なお、以下の検討において、この訂正請求による訂正を「本件訂正」といい、本件特許時の特許請求の範囲における請求項1ないし12を「旧請求項1」ないし「旧請求項12」、本件訂正後の特許請求の範囲における請求項1ないし12を「新請求項1」ないし「新請求項12」という。

(1)訂正の目的要件について
上記の各訂正事項による訂正の目的につき検討する。
上記訂正事項1及び2は、いずれも旧請求項1及び2を削除するものであるから、各請求項に係る特許請求の範囲を減縮するものと認められる。
上記訂正事項3は、旧請求項3において、旧請求項1を引用して記載されていたものを旧請求項1に記載されていた事項を書き下すことにより、旧請求項1を引用しない請求項、すなわち独立請求項化して新請求項3とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定の「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものと認められる。
また、上記訂正事項4ないし11は、いずれも、旧請求項4ないし12につき、引用していた旧請求項1及び2が上記訂正事項1及び2により削除され、さらに上記訂正事項3により独立請求項化された新請求項3を直接又は間接的に引用するものとしたものであって、各請求項に係る旧請求項1又は2を引用する部分を削除することにより、特許請求の範囲が減縮されているものとであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認められる。
さらに、上記訂正事項12ないし17は、いずれも、上記訂正事項1ないし11による特許請求の範囲の訂正により、訂正後の特許請求の範囲の記載内容と対応関係が不整合となった明細書の記載を単に正したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定の「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものと認められる。
してみると、上記訂正事項1及び2による訂正及び訂正事項4ないし11による訂正は、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、上記訂正事項3による訂正は、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、上記訂正事項12ないし17による訂正は、いずれも明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
したがって、上記訂正事項1ないし17による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号又は第4号に規定のいずれかの目的要件に適合するものである。

(2)新規事項の追加及び特許請求の範囲の実質的拡張・変更について
上記(1)に示したとおり、訂正事項1及び2による訂正により新請求項1及び2はその内容が削除され、特許請求の範囲が減縮されていることが明らかであるとともに、訂正事項3ないし11による訂正により、旧請求項3が独立請求項化されて新請求項3とされ、旧請求項4ないし12は、当該新請求項3を直接又は間接的に引用する新請求項4ないし12とされているから、新請求項3については、請求項に係る特許請求の範囲に変動がないことが明らかであって、新請求項4ないし12については、各請求項に係る旧請求項1又は2を引用する部分を削除することにより、特許請求の範囲が減縮されているものと認められる。
してみると、上記訂正事項1ないし11による訂正は、いずれも新たな技術的事項を導入しないものであり、また、特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものではないことが明らかである。
また、上記訂正事項12ないし17による訂正は、いずれも、訂正後の特許請求の範囲の記載内容と対応関係が不整合となった明細書の記載を単に正したものであるから、いずれも新たな技術的事項を導入しないものであって、さらに、特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものではないことが明らかである。
したがって、上記訂正事項1ないし17による訂正は、いずれも特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定を満たすものである。

(3)独立特許要件
上記第1の2.に示したとおり、本件特許に対する異議申立1及び2は、いずれも旧請求項1、2及び4ないし12につきされたものであるから、本件訂正により訂正された新請求項のうち、異議申立がされていない新請求項は、新請求項3である。
しかるに、上記(1)で説示したとおり、新請求項3に係る訂正事項3による訂正は、「特許請求の範囲の減縮」又は「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものではないから、新請求項3に係る発明につき、特許出願の際、独立して特許を受けることができるものであること(いわゆる独立特許要件(特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項))に係る検討を要するものではない。

(4)一群の請求項
本件訂正においては、訂正前の旧請求項1及びいずれも旧請求項1を直接又は間接的に引用する旧請求項2ないし12からなる一群の請求項につき、訂正後の新請求項3及びいずれも新請求項3を直接又は間接的に引用する新請求項4ないし12からなる一群の請求項に訂正しているから、本件訂正は、一群の請求項ごとに訂正されているものである。

(5)訂正に係る検討のまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正を認める。

第4 本件特許に係る発明
上記第3で説示したとおり、上記本件訂正は適法であるから、本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、訂正された請求項1ないし12にそれぞれ記載された事項で特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(A):下記(a-1)?(a-4)を下記の割合で共重合して得られる(メタ)アクリル系コポリマーと;
(a-1)ホモポリマーのガラス転移温度が-40℃以下で、芳香環を有さない(メタ)アクリル酸エステル40?77.1重量%
(a-2)t-ブチル(メタ)アクリレート10?40重量%
(a-3)芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル0.1?25重量%
(a-4)2種類以上の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー及び/又は2種以上の異なる、1種類の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー0.1?6重量%
(ただし、(a-2)及び(a-3)の合計は5?59.9重量%であり、
前記極性官能基はカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基およびエポキシ基から選ばれ、
(a-1)?(a-4)の合計は100重量%である)
(B):前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01?3重量部の架橋剤と
を含むことを特徴とする光学部材用粘着剤組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル酸エステル(a-1)が、n-ブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、イソペンチルアクリレート、へキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシルメタクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート及びエトキシエトキシエチルアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル酸エステル(a-3)が、ベンジル(メタ)アクリレート、下記一般式(1)で表されるフェノキシエチル(メタ)アクリル酸エステルおよびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光学部材用粘着剤組成物:
【化3】


(式(1)において、R_(0)は水素又はメチル基であり、R_(1)は(CH_(2)CH_(2)O)_(n)で表される基であり(nは1?20の整数である)、mは1?5の整数であり、R_(2)は水素、炭素数1?9のアルキル基、炭素数6?10のアリール基又は炭素数7?11のアラルキル基であり、mが2以上の場合、複数存在するR_(2)は同一でも異なっていてもよい。)。
【請求項6】
前記(メタ)アクリル系モノマー(a-4)の共重合割合が1?6重量%であり、前記(a-2)及び(a-3)の共重合割合の合計が5?50重量%であることを特徴とする請求項3?5のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項7】
前記光学部材用粘着剤組成物について以下の微少クリープ試験を行った場合において、60℃測定値/23℃測定値の比の値が1.05?2.00であることを特徴とする請求項3?6のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物:
前記光学部材用粘着剤組成物を剥離処理されたポリエステルフィルム上に塗布・乾燥させて、膜厚25μmの粘着剤層を有する粘着シートを作製し;
該粘着シートをTAC(トリアセチルセルロース)-PVA(ポリビニルアルコール)-TAC構成の偏光板と、前記粘着剤層が前記偏光板と接するように貼り合わせて評価用粘着加工偏光板を作製し;
該評価用粘着加工偏光板を幅10mm×長さ100mmにカットし、前記剥離処理されたポリエステルフィルムを剥がしてアルカリ処理ガラス上に、前記粘着剤層が前記ガラスに接するように、かつ10mm×10mmの貼り合わせ面積になるように貼り合わせて評価用粘着加工偏光板試験片とし;
該評価用粘着加工偏光板試験片についてオートクレーブ処理(50℃、5atm)を行い、23℃/50%RH雰囲気下で24時間静置し;
次に前記試験片を、微少クリープ測定機のチャンバーBOX内に固定用チャック部分の長さ15mmにてセットし;
前記チャンバーBOX内を測定温度まで加熱して、測定温度にて40分間静置後に、引張荷重800g、引張時間1000秒にて、前記試験片における前記評価用粘着加工偏光板を、該偏光板と前記ガラスとの接着面に平行にかつ前記偏光板の長さ方向に引っ張り;
前記試験片における前記ガラスと偏光板との貼り合わせ部分のズレの距離(mm)を測定する。
【請求項8】
さらにシランカップリング剤を、前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01?0.5重量部含むことを特徴とする請求項3?7のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項9】
さらに帯電防止剤を、前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01?3重量部含むことを特徴とする請求項3?8のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項10】
基材フィルム上に請求項3?9のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物を含む粘着剤層が形成されてなる粘着シート。
【請求項11】
光学部材の少なくとも片面に粘着剤層が形成された粘着剤層付き光学部材であって、前記粘着剤層が請求項3?9のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物を含むことを特徴とする粘着剤層付き光学部材。
【請求項12】
請求項11に記載の粘着剤層付き光学部材を有することを特徴とするフラットパネルディスプレイ。」

第5 当審の判断

1.請求項1及び2に係る異議申立について
本件特許に係る請求項1及び2に対する異議申立1及び2は、上記第3及び第4で示したとおり、適法な訂正によりその各請求項に係る全ての内容が削除され、申立の対象となる請求項1及び2に係る発明についての特許が存しないものとなっているから不適法なものであり、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。

2.請求項4ないし12に係る異議申立について
旧請求項4ないし12は、それぞれ、旧請求項1及び2を含む各請求項以前の請求項を択一的に引用して記載したものである。
そして、本件特許に係る請求項4ないし12に対する異議申立1及び2は、旧請求項1又は2を引用する旧請求項4ないし12に係る発明についての特許に対するものであるところ、上記第3及び第4で示したとおり、適法な訂正によって新請求項1及び2はいずれも全ての内容が削除されたから、新請求項4ないし12に係る発明についての特許は、異議申立の対象となる特許を包含しないものとなった。
すなわち、新請求項4ないし12は、いずれも新請求項3を引用するものであるから、旧請求項3に記載された「前記(メタ)アクリル酸エステル(a-2)がt-ブチル(メタ)アクリレートであること」なる事項をいずれも発明特定事項とするところ、当該事項は、申立人1及び2が提示した甲第1号証及び申立人2が提示した甲第2号証に開示されていないから、併合して審理しても、上記甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、本件の新請求項4ないし12に係る発明についての新規性及び進歩性を否定することはできない。
してみると、訂正後の請求項4ないし12に係る発明についての特許を異議申立1及び2に係る取消理由により、取り消すことはできない。

3.まとめ
以上のとおりであるから、本件の請求項1及び2に係る発明についての特許に対する上記異議申立1及び2は、いずれも不適法なものであり、却下すべきものである。
また、本件の請求項4ないし12に係る発明についての特許について、上記異議申立1及び2に係る取消理由では、取り消すことができない。

第6 むすび
以上のとおり、上記2件の異議申立に係る取消理由では、併合して審理しても本件の請求項4ないし12に係る発明についての特許について、取り消すことができない。
また、本件の請求項4ないし12に係る発明についての特許について、取り消すべき他の理由も発見しない。
さらに、本件の請求項1及び2に係る発明についての特許に対する2件の異議申立は、いずれも不適法なものであり、却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
光学部材用粘着剤組成物並びにそれを使用した粘着シート、粘着剤層付き光学部材及びフラットパネルディスプレイ
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法安定性および湿熱耐久性に優れ、高温高湿環境下での光漏れや剥がれを有効に防ぐことのできる光学部材用粘着剤組成物並びにそれを使用した粘着シート、粘着剤層付き光学部材及びフラットパネルディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ(FPD)分野向けの粘着剤について、ディスプレイの大型化やLED方式普及に伴い、高画質・高耐久性等の高品質への要求がますます高まっている。
【0003】
例えばFPDに分類される液晶ディスプレイ(LCD)は液晶パネル、バックライト及び周辺回路から形成されており、この液晶パネルは典型的には、偏光板、透明電極を有するガラス基板、カラーフィルタ等の各層から構成され、前記ガラス基板が液晶を挟持した構成を取っている。
【0004】
前記偏光板は、異種材料の多層構造で構成されており、各材料はそれぞれ異なる物理・化学的特性を有しているために、特に高温・高湿環境下では、収縮や膨潤による各層の寸法変化の度合いが異なり、またその異なる程度も大きい。このため、偏光板は全体として寸法安定性に乏しい。
【0005】
そしてこの寸法変化により、偏光板全体としての、光漏れや耐久性に代表される諸性能に様々な影響が生じる。また、偏光板等の光学フィルム同士の接着やガラス基板と偏光板との接着に使用される粘着剤種によっても、前記光漏れや耐久性に影響が生じることが知られている。
【0006】
現状では、偏光板種-粘着剤種の組み合わせにより、前記の光漏れや耐久性等の様々な要求性能に対応しているが、その要求性能は前述の通り、大画面化、LED方式普及に伴い、高画質化、高耐久性といったようにさらなる高度化が求められている。
【0007】
ここで、前記粘着剤種については、偏光板の寸法変化によって生じる光漏れ、高温高湿環境下での剥がれを解決するため、粘着剤を構成するポリマーのハード特性や光学特性等の種々の特性に着目し、良好な光漏れ防止性能発現と高耐久性確保等を実現するための検討がなされている。
【0008】
例えば、ハード特性に着目した粘着剤は、湿熱環境下においても変形しにくく発泡等も起こしにくいので、偏光板収縮時の耐応力性及び耐久性に優れ、比較的良好な光漏れ特性や耐久性が得られやすかった。しかし、FPDが大型化すると、以前のサイズでは問題とならなかったような光漏れやわずかな発泡等も大きく目立つようになるため、問題となる。そのためこのような要求特性の高度化に対しては、従来の粘着剤では十分に対応できていない。
【0009】
そのような粘着剤として例えば、特許文献1は、特定の(メタ)アクリル酸エステル(A-1)、芳香環を有する不飽和単量体(A-2)および極性官能基を有する不飽和単量体(A-3)を共重合してなる(メタ)アクリル系共重合体(A)と、イオン性化合物(B)と、架橋剤(C)とを含有する粘着剤組成物を開示している。
【0010】
当該組成物は例えば偏光板の接着に使用され、前記(A-1)の例としてはアクリル酸n-ブチルが挙げられ、前記(A-2)の例としては2-フェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられ、前記(A-3)の例としてはアクリル酸や(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0011】
また、特許文献2は、ホモポリマーのTgが-30℃未満の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a_(1))、ホモポリマーのTgが-30℃以上のビニル基を有する化合物(a_(2))、及び特定の官能基含有モノマー(a_(3))からなる(メタ)アクリル系共重合体(A)と、架橋構造を形成可能な多官能性化合物(B)とを含む粘着剤からなる粘着層を有する偏光板を開示している。
【0012】
前記(a_(1))の例としてはn-ブチルアクリレートが挙げられ、前記(a_(2))の例としてはt-ブチルアクリレートが挙げられ、前記(a_(3))の例としては(メタ)アクリル酸や2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0013】
しかしながら、これらの文献に開示された粘着剤では、前述の通り、現在要求されている高度な特性に対応することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】 特開2010-66755号公報
【特許文献2】 特開2006-301572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで本発明は、寸法安定性に優れ、湿熱環境下においても優れた光漏れ防止性能や耐久性を発揮する光学部材用粘着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、粘着剤のハード特性及び光学補償機能と架橋系に着目した粘着剤組成物の検討を行ったところ、ポリマーに柔軟性を付与するモノマー及びポリマーの固さの調節に有用なモノマーを特定の割合で使用してポリマーのハード特性を適切な領域に設定し、さらに光学補償機能を付与することのできるモノマー及びポリマーに架橋性を付与するモノマーを特定の割合で使用して得られた(メタ)アクリル系コポリマーを、適度な架橋度設定で架橋することにより、寸法安定性および湿熱耐久性に優れ、高温高湿環境下での光漏れや剥がれを有効に防ぐことのできる光学部材用粘着剤組成物を提供することができることを見出した。
【0017】
すなわち本発明は、(A):下記(a-1)?(a-4)を下記の割合で共重合して得られる(メタ)アクリル系コポリマーと;
(a-1)ホモポリマーのガラス転移温度が-40℃以下で、芳香環を有さない(メタ)アクリル酸エステル40?94.9重量%
(a-2)t-ブチル(メタ)アクリレート10?40重量%
(a-3)芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル0.1?25重量%
(a-4)2種類以上の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー及び/又は2種以上の異なる、1種類の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー0.1?6重量%
(ただし、(a-2)及び(a-3)の合計は5?59.9重量%であり、
前記極性官能基はカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基およびエポキシ基から選ばれ、
(a-1)?(a-4)の合計は100重量%である)
(B):前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01?3重量部の架橋剤とを含むことを特徴とする光学部材用粘着剤組成物である。
【0018】
(削除)
【0019】
(削除)
【0020】
(削除)
【0021】
前記(メタ)アクリル酸エステル(a-1)の共重合割合は、50?90重量%であることが好ましい。
【0022】
前記(メタ)アクリル酸エステル(a-1)は、n-ブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、イソペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシルメタクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート及びエトキシエトキシエチルアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0023】
前記(メタ)アクリル酸エステル(a-3)は、ベンジル(メタ)アクリレート、下記一般式(1)で表されるフェノキシエチル(メタ)アクリル酸エステルおよびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0024】
【化1】

【0025】
式(1)において、R_(0)は水素又はメチル基であり、R_(1)は(CH_(2)CH_(2)O)_(n)で表される基であり(nは1?20の整数である)、mは1?5の整数であり、R_(2)は水素、炭素数1?9のアルキル基、炭素数6?10のアリール基又は炭素数7?11のアラルキル基であり、mが2以上の場合、複数存在するR_(2)は同一でも異なっていてもよい。
【0026】
前記(メタ)アクリル系モノマー(a-4)の共重合割合は、1?6重量%であることが好ましい。
【0027】
前記光学部材用粘着剤組成物について以下の微少クリープ試験を行った場合において、60℃測定値/23℃測定値の比の値が1.05?2.00であることが好ましい。
【0028】
(微少クリープ試験)
前記光学部材用粘着剤組成物を剥離処理されたポリエステルフィルム上に塗布・乾燥させて、膜厚25μmの粘着剤層を有する粘着シートを作製する;
該粘着シートをTAC(トリアセチルセルロース)-PVA(ポリビニルアルコール)-TAC構成の偏光板と、前記粘着剤層が前記偏光板と接するように貼り合わせて評価用粘着加工偏光板を作製する;
該評価用粘着加工偏光板を幅10mm×長さ100mmにカットし、前記剥離処理されたポリエステルフィルムを剥がしてアルカリ処理ガラス上に、前記粘着剤層が前記ガラスに接するように、かつ10mm×10mmの貼り合わせ面積になるように貼り合わせて評価用粘着加工偏光板試験片とする;
該評価用粘着加工偏光板試験片についてオートクレーブ処理(50℃、5atm)を行い、23℃/50%RH雰囲気下で24時間静置する;
次に前記試験片を、微少クリープ測定機のチャンバーBOX内に固定用チャック部分の長さ15mmにてセットする;
前記チャンバーBOX内を測定温度まで加熱して、測定温度にて40分間静置後に、引張荷重800g、引張時間1000秒にて、前記試験片における前記評価用粘着加工偏光板を、該偏光板と前記ガラスとの接着面に平行にかつ前記偏光板の長さ方向に引っ張る;
前記試験片における前記ガラスと偏光板との貼り合わせ部分のズレの距離(mm)を測定する。
【0029】
本発明の光学部材用粘着剤組成物は、さらにシランカップリング剤を、前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01?0.5重量部含むことが好ましい。
【0030】
また前記組成物は、さらに帯電防止剤を、前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01?3重量部含むことが好ましい。
【0031】
本発明の光学部材用粘着剤組成物を粘着剤層の成分として使用して、基材フィルム上に粘着剤層が形成されてなる粘着シートを得ることができる。
【0032】
また、光学部材の少なくとも片面に粘着剤層が形成された粘着剤層付き光学部材であって、前記粘着剤層が本発明の光学部材用粘着剤組成物を含むことを特徴とする粘着剤層付き光学部材も、本発明の範囲に含まれる。
【0033】
本発明のフラットパネルディスプレイは、前記粘着剤層付き光学部材を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、寸法安定性および湿熱耐久性に優れ、高温高湿環境下での光漏れや剥がれを有効に防ぐことのできる光学部材用粘着剤組成物、並びに当該組成物を使用した粘着シート、粘着剤層付き光学部材及びFPDが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例における光漏れサイズの測定における、光漏れ発生部分の角からの距離dを示す模式図である。
【図2】実施例における光弾性係数の測定方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の光学部材用粘着剤組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう)並びにそれを使用した粘着シート、粘着剤層付き光学部材及びフラットパネルディスプレイについて、順に詳細に説明する。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとはメタクリルまたはアクリルを意味し、(メタ)アクリレートとはメタクリレートまたはアクリレートを意味する。
【0037】
[光学部材用粘着剤組成物]
〔(A)(メタ)アクリル系コポリマー〕
本発明の組成物の構成成分である(メタ)アクリル系コポリマー(A)は、前述の通り特定のモノマー成分(a-1)?(a-4)を特定の割合で共重合して得られる。以下、これら各モノマーについて説明する。
【0038】
<(a-1)ホモポリマーのガラス転移温度が-40℃以下で、芳香環を有さない(メタ)アクリル酸エステル>
本発明に使用される(メタ)アクリル酸エステル(a-1)については、そのホモポリマーのガラス転移温度(以下、Tgと略すこともある)が-40℃以下である。
【0039】
本明細書において前記Tgは、特に断らない限り、Tgを測定する試験片(ホモポリマー)をN_(2)雰囲気下、-60℃から180℃の範囲にて、10℃/分の割合で昇温させ、DSC(リガク社製 示差走査熱量計DSC8230)にて熱量測定することで求められる。また測定は、JISK7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して行う。
【0040】
ハード特性を高めるだけであると、本発明の光学部材用粘着剤組成物を架橋させて得られる架橋体にタック感の不足などの不具合が起きることがあるので、ホモポリマーのTgが-40℃以下の(メタ)アクリル酸エステル(a-1)を使用することで、(メタ)アクリル系コポリマー(A)に適度な柔軟性を付与してバランスを取っている。
【0041】
また、前記(メタ)アクリル酸エステル(a-1)は、芳香環を有していない。芳香環が存在すると、(メタ)アクリル系コポリマー(A)に柔軟性を付与できなくなることがあり、また後述する(メタ)アクリル酸エステル(a-3)による光学補償機能の調節とのバランスに不具合を生じることがある。
【0042】
本明細書において前記芳香環とは、π電子を持つ原子が環状に並んだ構造であって、ヒュッケル則を満たし、前記π電子が非局在化し、前記環が平面構造をとっているものを指す。
【0043】
このような(メタ)アクリル酸エステル(a-1)としては、n-ブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、イソペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシルメタクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート及びエトキシエトキシエチルアクリレートなどが挙げられる。
【0044】
これらの中でも、ハード特性と柔軟性のバランスを取って優れた耐応力性を達成する観点からは、n-ブチルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
【0045】
以上説明した(メタ)アクリル酸エステル(a-1)は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】
<(a-2)ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上で、芳香環を有さない(メタ)アクリル酸エステル>
本発明に使用される(メタ)アクリル酸エステル(a-2)については、そのホモポリマーのTgが0℃以上である。このようにホモポリマーのTgが高い(メタ)アクリル酸エステル(a-2)は、(メタ)アクリル系コポリマー(A)に優れたハード特性を付与し、本発明の光学部材用粘着剤組成物の高い寸法安定性に寄与する。
【0047】
また(メタ)アクリル酸エステル(a-2)は芳香環を有していない。芳香環が存在すると、後述する(メタ)アクリル酸エステル(a-3)による光学補償機能の調節とのバランスに不具合を生じることがある。
【0048】
このような(メタ)アクリル酸エステル(a-2)としては、メチル(メタ)アクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0049】
これらの中でも、優れたハード特性を達成する観点からは、メチル(メタ)アクリレート、i-ブチルメタクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートが好ましく、t-ブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0050】
以上説明した(メタ)アクリル酸エステル(a-2)は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0051】
<(a-3)芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル>
(メタ)アクリル酸エステル(a-3)は、芳香環を有しており、これに由来する構造単位を(メタ)アクリル系コポリマー(A)中に含ませることによって、前記コポリマー(A)の光学補償機能を適切に制御することができる。これにより、本発明の光学部材用粘着剤組成物を使用して光学部材を接着し、湿熱環境下においてわずかに光漏れが生じたとしても、この光漏れは前記光学補償機能によって抑制される。
【0052】
このような(メタ)アクリル酸エステル(a-3)としては、ベンジル(メタ)アクリレート、下記一般式(1)で表されるフェノキシエチル(メタ)アクリル酸エステルおよびその誘導体が挙げられる。
【0053】
【化2】

【0054】
式(1)において、R_(0)は水素又はメチル基であり、R_(1)は(CH_(2)CH_(2)O)_(n)で表される基であり(nは1?20の整数である)、mは1?5の整数であり、R_(2)は水素、炭素数1?9のアルキル基、炭素数6?10のアリール基又は炭素数7?11のアラルキル基であり、mが2以上の場合、複数存在するR_(2)は同一でも異なっていてもよい。
【0055】
一般式(1)で示されるフェノキシエチル(メタ)アクリル酸エステルおよびその誘導体の具体的な例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート、エトキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0056】
これらの中でも、優れた光学補償機能を達成する観点からは、ベンジル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0057】
以上説明した(メタ)アクリル酸エステル(a-3)は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
<(a-4)2種類以上の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー及び/又は2種以上の異なる、1種類の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー>
本発明に使用される(メタ)アクリル系モノマー(a-4)は極性官能基を有しており、これと後述する架橋剤(B)との間で架橋反応がおこり、本発明の光学部材用粘着剤組成物について優れた粘着特性が達成される。前記極性官能基は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基及びエポキシ基である。これらの中でも、湿熱環境における良好な耐久性の点から、ヒドロキシル基が好ましい。
【0059】
また、(メタ)アクリル系モノマー(a-4)は極性官能基を2種以上有しており、このように異なる複数の種類の極性官能基が存在することによって、(メタ)アクリル系コポリマー(A)間の架橋が適切に進行し、良好な架橋度が達成されると考えられる。
【0060】
前記の「極性官能基を2種以上有し」とは、複数の分子からなる(メタ)アクリル系モノマー(a-4)全体を見たときに、極性官能基が2種以上存在するという意味である。
【0061】
そのため、(メタ)アクリル系モノマー(a-4)は1種類のモノマーであって、当該モノマー1分子中に極性官能基が2種類以上存在してもよいし、(メタ)アクリル系モノマー(a-4)は2種以上の異なるモノマーから構成されており、そのモノマーのそれぞれが1種類の極性官能基を有していてもよい。なお後者には、構造の異なる2種以上のモノマーがあるが、それらが有する極性官能基は同じである、という場合は含まれないものとする。
【0062】
(メタ)アクリル系コポリマー(A)においては、モノマー(a-4)として、モノマー1分子中に極性官能基が2種類以上存在するモノマーだけが使用されてもよく、そのようなモノマーは使用せず、1種類の極性官能基を有するモノマーが2種以上使用されてもよいし、これらの両者が使用されてもよい。
【0063】
また、本明細書においては、(メタ)アクリル酸エステル(a-1)?(a-3)に該当し、かつ(メタ)アクリル系モノマー(a-4)に該当するものは、(メタ)アクリル系モノマー(a-4)とみなす。
【0064】
以上説明した2種類以上の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、ヒドロキシエチルアクリルアミド及びt-ブチルアクリルアミドスルホン酸等が挙げられる。
【0065】
また、以上説明した1種類の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、以下のようなモノマーが挙げられる。
【0066】
(i)カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー:(メタ)アクリル酸、β-カルボキシルエチル(メタ)アクリレート
【0067】
(ii)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー:2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート)
【0068】
(iii)アミノ基を有する(メタ)アクリル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート
【0069】
(iv)アミド基を有する(メタ)アクリル系モノマー:(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド
【0070】
(v)エポキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマー:グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル。
【0071】
<その他のモノマー>
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の特性の調整のために、上記モノマー成分(a-1)?(a-4)以外のその他のモノマーに由来する構造単位を、(メタ)アクリル系コポリマー(A)に含ませることができる。
【0072】
そのようなその他のモノマーの例としては、スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2-エチルへキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート等が挙げられる.
【0073】
<(メタ)アクリル系コポリマー(A)の製造方法>
(各モノマーの共重合割合)
本発明の光学部材用粘着剤組成物の構成成分である(メタ)アクリル系コポリマー(A)は、以上説明した各モノマー成分(a-1)?(a-4)、及び必要に応じてその他のモノマーを、以下で説明する特定の割合で共重合することによって得られる。
【0074】
上記(メタ)アクリル酸エステル(a-1)の(メタ)アクリル系コポリマー(A)における共重合割合は、ハード特性と柔軟性のバランスの観点から40?94.9重量%であり、好ましくは50?90重量%である。
【0075】
上記(メタ)アクリル酸エステル(a-2)の(メタ)アクリル系コポリマー(A)における共重合割合は、ハード特性の観点から0.1?50重量%であり、好ましくは10?40重量%であり、さらに好ましくは10?25重量%である。
【0076】
上記(メタ)アクリル酸エステル(a-3)の(メタ)アクリル系コポリマー(A)における共重合割合は、光学補償機能の観点から0.1?25重量%であり、好ましくは5?20重量%である。
【0077】
上記(メタ)アクリル系モノマー(a-4)の(メタ)アクリル系コポリマー(A)における共重合割合は、適切な架橋度の観点から0.1?6重量%であり、好ましくは1?6重量%である。
【0078】
なお、各モノマー成分(a-1)?(a-4)の共重合割合の合計は、100重量%である。
【0079】
また、ハード特性と光学補償機能を同時に適切な領域に設定して光漏れを有効に防止するために、(メタ)アクリル酸エステル(a-2)及び(a-3)の共重合割合の合計は、5?59.9重量%であり、好ましくは10?50重量%である。
【0080】
さらに、前記その他のモノマーの共重合割合は、モノマー(a-1)?(a-4)の合計100重量部に対して通常0?5重量部である。
【0081】
((メタ)アクリル系コポリマー(A)の製造方法)
(メタ)アクリル系コポリマー(A)は、各モノマー成分(a-1)?(a-4)、及び必要に応じてその他のモノマーを、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法等の従来公知の重合法により重合させることで製造することができる。これらの方法の中でも、ポリマーの分子量の調整が容易であり、反応系への不純物の混入が少ないため、溶液重合法を採用することが好ましい。
【0082】
溶液重合法においては、有機溶媒を反応溶媒として、この反応溶媒中に上記(メタ)アクリル系コポリマー(A)を形成する各モノマー成分を溶解もしくは分散させて、攪拌下に重合開始剤を添加することで、共重合反応を実施する。
【0083】
前記有機溶媒としては、たとえば酢酸エチルなどのエステル系溶媒;メチルエチルケトン、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドなどのケトン系溶媒;ジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;トルエン及びキシレンなどの芳香族系溶媒;シクロヘキサンなどの脂環族系溶媒;並びにヘキサン及びオクタンなどの脂肪族系溶媒が挙げられる。
これらの溶媒は1種単独で用いても、2種以上の混合溶媒としてもよい。
【0084】
また、前記重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビスシクロヘキサン-1-カルボニトリルなどのアゾ化合物;イソブチリルパーオキサイド、α,α’-ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3,-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド及びtert-ブチル-オキシ-2-エチルヘキサノエートなどを挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0085】
溶液重合法において、これら反応溶媒及び重合開始剤を用いた共重合反応の反応温度は、通常は50?90℃、好ましくは60?85℃の範囲内にあり、反応時間は、通常は1?10時間、好ましくは2?8時間であり、反応圧力は通常常圧?0.5MPaである。
【0086】
<(A)(メタ)アクリル系コポリマー>
(メタ)アクリル系コポリマー(A)は、後述する架橋剤(B)を使用して架橋させることによって、ハード特性及び光学補償機能に優れた架橋体を形成するので、本発明の光学部材用粘着剤組成物を使用すると、優れた寸法安定性、光漏れ防止性能及び湿熱環境下における耐久性を達成することができる。
【0087】
前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)のGPCにより測定した重量平均分子量Mwは、通常50万?200万であり、好ましくは80万?180万であり、優れた粘着力を有している。
【0088】
また、(メタ)アクリル系コポリマー(A)は、ガラス転移温度が0℃以下であることが好ましく、-10℃以下であることがより好ましく、-15?-60℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度が-10℃よりも高いと、得られる粘着剤の被着体への密着性や粘着剤層の可撓性が低下し、被着体からのハガレや浮きが生じる場合がある。なお、(メタ)アクリル系コポリマー(A)のガラス転移温度は、下記のFOXの式によって算出される値である。
【0089】
(FOXの式)
1/Tg=Wa/Tga+Wb/Tgb+・・・
Tg:(メタ)アクリル系コポリマー(A)のガラス転移温度
Tga,Tgb,・・:単量体a,単量体b,・・・のそれぞれのホモポリマーのガラス転移温度
Wa,Wb,・・・・:単量体a,単量体b,・・・のそれぞれに由来する構造単位の(メタ)アクリル系コポリマー(A)における重量分率
*(メタ)アクリル系モノマー(a-1)?(a-4)及びその他のモノマーは、単量体a,単量体b,・・・に任意に割り当てることができる。
【0090】
前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)は、上記各モノマー成分のランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
【0091】
また本発明において(メタ)アクリル系コポリマー(A)は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0092】
〔(B)架橋剤〕
本発明の光学部材用粘着剤組成物は、以上説明した(メタ)アクリル系コポリマー(A)とともに、架橋剤(B)を含んでいる。
【0093】
架橋剤(B)は、(メタ)アクリル系コポリマー(A)と架橋反応を起こすことができるものであれば特に限定されないが、その例としてイソシアネート系架橋剤、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を挙げることができる。
【0094】
前記イソシアネート系架橋剤の具体例としては、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマー;これらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどに付加したイソシアネート化合物;イソシアヌレート化合物;ビュレット型化合物;さらには公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどと付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネートを挙げることができる。
【0095】
前記金属キレート系架橋剤としては、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム又はジルコニウム等の多価金属に、イソプロピルアルコール、アセチルアセトン又はアセト酢酸エチル等が配位した化合物等が挙げられる。
【0096】
その具体例としては、アルミニウムイソプロピレート,ジイソプロポキシビスアセチルアセトンチタネート及びアルミニウムトリエチルアセトアセテートが挙げられる。
【0097】
前記エポキシ系架橋剤の具体例としては、エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリジル-m-キシリレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラグリジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、m-N,N-ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N-ジグリシジルトルイジン及びN,N-ジグリシジルアニリンを挙げることができる。
【0098】
以上説明した架橋剤(B)は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような架橋剤(B)は本発明の光学部材用粘着剤組成物において、(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01?3重量部含まれている。
【0099】
このように一定量の架橋剤(B)を含有させることで、適切な架橋度を達成し、優れた粘着性、寸法安定性、湿熱環境下における光漏れ防止性能及び耐久性を実現することができる。このような観点からは、前記架橋剤(B)の含有量は、好ましくは(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.03?2.5重量部である。
【0100】
〔その他の成分〕
本発明の光学部材用粘着剤組成物には、必要に応じてシランカップリング剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、老化防止剤、光安定剤、光開始剤、重合禁止剤、充填剤、有機粒子、無機粒子又は可塑剤などのその他の成分を含有させてもよい。さらに本発明の組成物は、(メタ)アクリル系コポリマー(A)の製造に使用した溶媒その他の溶媒を含有してもよい。以下においては、前記シランカップリング剤及び帯電防止剤について説明する。
【0101】
<シランカップリング剤>
前記シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン及びメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物;3-アミノプロピルトリメトキシシラン,N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物;並びに3-クロロプロピルトリメトキシシラン;オリゴマー型シランカップリング剤等が挙げられる。
【0102】
これらのうち、(メタ)アクリル系コポリマー(A)中に含まれる官能基と反応する官能基を有しているシランカップリング剤を使用すると、湿熱環境下でハガレを生じさせにくいという点で好ましい。
【0103】
本発明の光学部材用粘着剤組成物におけるシランカップリング剤の配合量は、(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して、通常0.01?0.5重量部であり、好ましくは0.05?0.3重量部である。
【0104】
<帯電防止剤>
帯電防止剤は、本発明の光学部材用粘着剤組成物の表面抵抗値を低下させるために使用する。本発明では公知の帯電防止剤を用いることができ、この帯電防止剤は、(i)界面活性剤、(ii)イオン性化合物及び(iii)導電性ポリマーに大別できる。
【0105】
(i)前記界面活性剤としては、以下のようなものを用いることができる。4級アンモニウム塩類、アミド4級アンモニウム塩類、ピリジウム塩類、第1級?第3級アミノ基等のカチオン性基を有するカチオン性界面活性剤;
スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基等のアニオン性基を有するアニオン性界面活性剤;
アルキルベタイン類、アルキルイミダゾリニウムベタイン類、アルキルアミンオキサイド類、アミノ酸硫酸エステル類等の両性界面活性剤、
グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル類、N-ヒドロキシエチル-N-2-ヒドロキシアルキルアミン類、アルキルジエタノールアミド類等の非イオン性界面活性剤。
【0106】
また、界面活性剤として重合性基を有する反応型乳化剤も挙げられ、上記の界面活性剤または反応性乳化剤を含むモノマー成分を高分子量化したポリマー系界面活性剤を用いることもできる。
【0107】
(ii)前記イオン性化合物は、カチオン部とアニオン部とから構成され、室温下(23℃50%RH)では固体状でも液体状のいずれであってもよい。
【0108】
前記カチオン部は無機系カチオンもしくは有機系カチオンのいずれか一方であっても双方であってもよい。
【0109】
前記無機系カチオンとしては、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンが好ましく、帯電防止性が優れたLi^(+)、Na^(+)及びK^(+)がより好ましい。+
【0110】
前記有機系カチオンとしては、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウム系カチオン、ピロリンカチオン、ピロールカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
【0111】
一方、イオン性化合物を構成するアニオン部としては、前記カチオンとイオン結合してイオン性化合物を形成し得るものであれば特に制限されない。具体的には、F^(-)、Cl^(-)、Br^(-)、I^(-)、AlCl_(4)^(-)、Al_(2)Cl_(7)^(-)、BF_(4)^(-)、PF_(6)^(-)、SCN^(-)、ClO_(4)^(-)、NO_(3)^(-)、CH_(3)COO^(-)、CF_(3)COO^(-)、CH_(3)SO_(3)^(-)、CF_(3)SO_(3)^(-)、(CF_(3)SO_(2))_(2)N^(-)、(F_(2)SO_(2))_(2)N^(-)、(CF_(3)SO_(2))_(3)C^(-)、AsF_(6)^(-)、SbF_(6)^(-)、NbF_(6)^(-)、TaF_(6)^(-)、F(HF)_(n)^(-)、(CN)_(2)N^(-)、C_(4)F_(9)SO_(3)^(-)、(C_(2)F_(5)SO_(2))_(2)N^(-)、C_(3)F_(7)COO^(-)及び(CF_(3)SO_(2))(CF_(3)CO)N^(-)などが挙げられる。これらの中では、フッ素原子を含むアニオンは、低融点のイオン性化合物を与えるので好ましく、(F_(2)SO_(2))_(2)N^(-)および(CF_(3)SO_(2))_(2)N^(-)がとりわけ好ましい。
【0112】
本発明において帯電防止剤として用いるイオン性化合物としては、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(ジフルオロスルホニル)イミド、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、カリウムビス(ジフルオロスルホニル)イミド、1-エチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-オクチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-オクチル-4-メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、(N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-オクチルピリジニウムフルオロスホニウムイミド、1-オクチル3-メチルピリジニウム及びトリフルオロスルホニウムイミドなどが好ましい。
【0113】
(iii)上記導電性ポリマーとしては、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
【0114】
本発明の光学部材用粘着剤組成物における帯電防止剤の配合量は、(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して、通常0.01?3重量部、好ましくは0.05?2.5重量部である。
【0115】
〔光学部材用粘着剤組成物〕
本発明の光学部材用粘着剤組成物は、以上説明した(メタ)アクリル系コポリマー(A)及び架橋剤(B)を必須成分とし、任意に上記その他の成分を含んでもよい。
【0116】
そして前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)においては、(メタ)アクリル酸エステル(a-2)及び(a-3)が特定の割合で共重合されていることにより、優れたハード特性及び光学補償機能が両立し、かつ(メタ)アクリル酸エステル(a-1)も共重合されているので、単純にハード特性を強化するだけでなく、(メタ)アクリル系コポリマー(A)に適度な柔軟性を導入することによって優れた寸法安定性が達成されている。
【0117】
さらに(メタ)アクリル系コポリマー(A)においては、(メタ)アクリル系モノマー(a-4)も共重合されており、これと一定量配合された架橋剤(B)とが架橋反応を起こすことで、適度な架橋が起こり、優れた粘着性、湿熱環境下における優れた寸法安定性や耐久性が実現される。
【0118】
本発明の組成物は湿熱環境下における寸法安定性や耐久性に優れているので、湿熱環境におかれても変形が非常に少なく、また発泡等の製品価値を落とす現象も非常に起こりにくい。
【0119】
例えば、本発明の組成物を使用して以下に説明する条件で微少クリープ試験を行った場合において、60℃で実施した測定値と23℃で実施した測定値との比(60℃測定値/23℃測定値)の値が通常1.05?2.00であり、好ましくは1.05?1.95である。
【0120】
・微少クリープ試験
本発明の光学部材用粘着剤組成物を剥離処理されたポリエステルフィルム上に塗布・乾燥させて、膜厚25μmの粘着剤層を有する粘着シートを作製する。
【0121】
この粘着シートをTAC(トリアセチルセルロース)-PVA(ポリビニルアルコール)-TACの層構成の偏光板(プレーン偏光板)と、前記粘着剤層が前記偏光板と接するように貼り合わせて評価用粘着加工偏光板を作製する。
【0122】
作製した評価用粘着加工偏光板を幅10mm×長さ100mmにカットし、前記剥離処理されたポリエステルフィルムを剥がし、アルカリ処理ガラス上に粘着剤層が前記ガラスに接するように、かつ10mm×10mmの貼り合わせ面積になるように貼り合わせる。
【0123】
この後に、前記ガラスと貼り合わせた評価用粘着加工偏光板についてオートクレーブ処理(50℃、5atm)を行い、23℃/50%RH雰囲気下で24時間静置し、これを微少クリープ試験用試料とする。
【0124】
微少クリープ測定機のチャンバーBOX内の固定用チャック部分の長さ15mmにて前記試験用試料のセットを行い、チャンバーBOX内を測定温度(23℃又は60℃)まで加熱する。測定温度にて40分間静置後に、引張荷重800g、引張時間1000秒にて、前記試験用試料における評価用粘着加工偏光板を、該偏光板と前記ガラスとの接着面に平行にかつ前記偏光板の長さ方向に引っ張る。
【0125】
引っ張りを行った後にガラスと偏光板との貼り合わせ部分のズレの距離(mm)を測定して、微少クリープ試験結果とする。
【0126】
微少クリープ試験における23℃測定値は、通常0.05?1.00mmであり、好ましくは0.08?0.50mmであり、更に好ましくは0.10?0.30mmであり、微少クリープ試験における60℃測定値は、好ましくは0.15?1.00mmであり、更に好ましくは0.15?0.50mmである。
【0127】
すなわち、本発明の組成物は湿熱環境下においても変形をおこしにくく寸法安定性に優れ、また温度の変化によっては変形の程度があまり変化しない。
【0128】
これら微少クリープ試験における測定値は、主に本発明の組成物のハード特性により規定され、この特性の調整を行うことで、測定値も変化する。一般的には、ハード特性を高める、すなわち(メタ)アクリル系コポリマー(A)中の(メタ)アクリル酸エステル(a-2)の共重合割合を高くしたり、極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a-4)の共重合割合を高くしたり、架橋剤(B)の使用量を大きくすると、前記測定値が小さくなる傾向にある。また、(メタ)アクリル系コポリマー(A)中の(メタ)アクリル酸エステル(a-2)の共重合割合を低くしたり、極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a-4)の共重合割合を低くしたり、架橋剤(B)の使用量を小さくすると、前記測定値が大きくなる傾向にある
【0129】
このように湿熱環境における変形が非常に少ないので、本発明の組成物は、それが貼り合わせられる光学部材が湿熱環境下で収縮・浮き・歪み等の変形を呈する際に耐応力性を発現し、そのような変形を良好に防止することができる。
【0130】
その結果、前記変形により引き起こされる光漏れも良好に防止される。そして光漏れの防止が完全でなかったとしても、上記(メタ)アクリル系コポリマー(A)に由来する光学補償機能により、わずかな光漏れも抑制される。
【0131】
[粘着シート]
本発明の光学部材用粘着剤組成物を粘着剤として使用する場合、基材フィルム上に粘着剤層を形成して粘着シートとすると、取り扱いが簡便で便利である。
【0132】
前記基材フィルムは、前記粘着シートをフラットパネルディスプレイの製造工程において使用する場合等の取扱い性を考慮すると、剥離フィルムであることが好ましく、その材質としては、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリエーテルが挙げられる。
【0133】
本発明の粘着シートは、例えば基材フィルム上に本発明の光学部材用粘着剤組成物を含む塗工液を塗布・乾燥して塗工液に含まれる溶媒などを気化させ、所望の厚みの粘着剤層を形成することによって作製することができる。前記粘着剤層の厚さは特に限定されないが、5?100μmの範囲が好ましく、10?50μmの範囲がより好ましい。この粘着剤層の厚さが5μm未満であると所定の性能(湿熱耐久性など)を発揮できない場合があり、100μmを超えると粘着シートを断裁する際に粘着剤のはみ出しが生じやすくなり加工適性が低下する場合がある。
【0134】
また、本発明の粘着シートにおいては、前記粘着剤層の前記基材フィルム面と接していない面を剥離フィルムで被覆し、使用時に前記剥離フィルムを剥がしてもよい。
【0135】
[粘着剤層付き光学部材]
本発明の光学部材用粘着剤組成物を含有する粘着剤層を光学部材の少なくとも片面に形成することにより、前述のように湿熱環境下においても優れた光漏れ防止性能及び耐久性が達成した粘着剤層付き光学部材が得られる。
【0136】
本発明における光学部材としては、特に限定されることなく、フラットパネルディスプレイに好適に用いられる光学フィルム、例えば、偏光板、位相差板、楕円偏光板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、赤外線/電磁波カットフィルム、前面用反射防止フィルム、表面保護フィルムさらにはこれらが積層されているもの等が挙げられる。
【0137】
そしてこれらの中でも特に偏光板は、湿熱環境下における構成層の変形の程度が異なるために、光学的な歪みや物理的な歪みが生じることで複屈折が発生する。この複屈折が光漏れ発生の原因となり大きな問題となる。本発明の組成物は、ハード特性にて偏光板の変形を抑制し、光学的な歪みの発生つまりは光漏れの抑制が可能であり、ハガレ抑制などの耐久性にも優れる。また、僅かな光学的な歪みが生じても光学補償機能により光漏れを抑制出来るという点から、偏光板とガラス基板との貼り合わせ用途に好適である。
【0138】
また本発明の組成物は、ハード特性により偏光板の変形を抑制出来る点から、比較的サイズが大きいTV用途の液晶パネルへの適用が可能である。特にVAモード用液晶パネルに使用される偏光板とガラス基板の貼り合わせ用途に好適である。
【0139】
<粘着剤層付き光学部材の作製方法>
粘着剤層付き光学部材は、たとえば、以下の(1)?(3)の方法により作製される。
【0140】
(1)本発明の光学部材用粘着剤組成物を含む塗工液を公知の方法(ダイコート法、ナイフコート法など)で剥離フィルムの剥離層に塗布し、熱乾燥により塗工液に含まれる溶媒などを気化させ、所望の厚さを有する粘着剤層を形成し、光学部材と貼り合わせる。
【0141】
(2)本発明の光学部材用粘着剤組成物を含む塗工液を公知の方法(ダイコート法、ナイフコート法など)で光学部材に塗布し、熱乾燥により塗工液に含まれる溶媒などを気化させ、所望の厚さを有する粘着剤層を形成し、剥離フィルムの剥離層と貼り合わせる。
【0142】
(3)本発明の光学部材用粘着剤組成物を含む塗工液を公知の方法(ダイコート法、ナイフコート法など)で第1の剥離フィルムの剥離層に塗布し、熱乾燥により塗工液に含まれる溶媒などを気化させ、所望の厚さを有する粘着剤層を形成し、第2の剥離フィルムの剥離層(通常、第1の剥離フィルムより剥離力が低い)と貼り合わせて、ノンキャリア粘着フィルムを作製する。その後、第2の剥離フィルムを剥がして光学部材と貼り合わせる。
【0143】
本発明の光学部材用粘着剤組成物は、上記粘着剤層の形成後、室温下(23℃50%RH)では3?7日、加熱促進条件下(40℃、90%RH)では、2?5日程度で架橋がなされ、後述するフラットパネルディスプレイの構成層に貼付することができる。
【0144】
また、得られる粘着剤層付き光学部材における粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、5?100μmの範囲が好ましく、10?50μmの範囲がより好ましい。この粘着剤層の厚さが5μm未満であると所定の性能(湿熱耐久性など)を発揮できない場合があり、100μmを超えると粘着剤層付き光学部材を断裁する際に粘着剤のはみ出しが生じやすくなり加工適性が低下する場合がある。
【0145】
さらに、FPDの製造において本発明の組成物を使用した場合、FPDの構成層として当該組成物からなる粘着剤層が形成されている。粘着剤層には光学補償機能を有する(メタ)アクリル系コポリマー(A)の架橋体が含まれており、前記粘着剤層の光弾性係数は好ましくは-320?0(×10^(-12)m^(2)/N)である。光弾性係数の測定方法については[実施例]の項において説明する。
【0146】
[フラットパネルディスプレイ]
本発明の粘着剤層付き光学部材を少なくとも1枚用いてフラットパネルディスプレイを製造することが可能であり、そのようにして製造されたFPDもまた、本発明の範囲に含まれる。
【0147】
FPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)及び電界放出型ディスプレイ(FED)等が挙げられる。
【0148】
LCDは一般的に、液晶層が透明電極を有するガラス基板によって挟まれ、そのガラス基板と液晶層との間に配向膜やカラーフィルタが設けられ、さらにガラス基板の液晶層に近い面とは反対の面上に偏光板が設けられた積層体構造を有する構成となっている。
【0149】
PDPは一般的に、対向するガラス基板の間に蛍光体層が存在し、前記ガラス基板の前記蛍光体層に近い面上に種々の誘電体層や電極、その他の機能層が設けられた積層体構造を有する構成となっている。
【0150】
FEDは一般的に、ガラス基板、当該基板上に形成されたアノード電極(陽極)、当該電極上に形成された蛍光体層、真空のスペース、及び、該スペースを挟んで蛍光体層に対向する、カソード電極(陰極)が設けられたガラス基板の積層体構造を有する構成となっている。
【0151】
本発明の粘着剤層付き光学部材は、これらのFPDの構成層の一部を構成する。また、本発明の粘着シートを使用して、FPDの構成層の少なくとも一部を順次積層していくことも可能である。
【実施例】
【0152】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
<実施例1?10、参考例1?5、比較例1?8に使用したアクリル系コポリマーの製造例>
撹拌機、還流冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた反応装置に、下記表1?3に示すアクリル酸エステル(a-1)?(a-3)およびアクリル系モノマー(a-4)を、表1?3に示された配合比率(重量部)に従って仕込み、次に酢酸エチルをモノマー濃度が50wt%になる配合量にて仕込んだ.
【0153】
次いで、アクリル酸エステル(a-1)?(a-3)およびアクリル系モノマー(a-4)の合計100重量部に対して2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を加え、反応装置内の空気を窒素ガスで置換しながら攪拌を行い60℃に昇温した後、圧力1atmで4時間反応させた。反応終了後、得られたアクリル系コポリマーを酢酸エチルで希釈し、アクリル系コポリマー溶液を得た。
【0154】
<評価用粘着加工偏光板の作製>
製造例により得られたアクリル系コポリマー溶液を用いて、下記表1?3の配合にて各成分を添加して粘着剤組成物の溶液を得た。この粘着剤組成物の溶液を剥離処理したポリエステルフィルムの表面に塗布して乾燥させることにより、厚さ25μmの粘着剤層を有する粘着シートを得た。この粘着シートをTAC-PVA-TACの層構成の偏光フィルムの片面に貼り付けた後に23℃/50%RH暗所の条件で7日間熟成させて、評価用粘着加工偏光板を得た。
【0155】
各評価用粘着加工偏光板について下記表1?3に示す微少クリープ、光漏れ、浮き・発泡、キレツ、剥がれについて評価を行った。
【0156】
【表1】

【0157】
【表2】

【0158】
【表3】

【0159】
*表1?3における略号等の内容は以下の通りである。
BA:n-ブチルアクリレート
t-BA:ターシャリーブチルアクリレート
POA:フェノキシエチルアクリレート
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
CHA:シクロヘキシルアクリレート
IBOA:イソボルニルアクリレート
AA:アクリル酸
TD:XDI系イソシアネート化合物(TD-75:綜研化学社製)
L:TDIアダクトタイプイソシアネート化合物(コロネートL:日本ポリウレタン社製)
KBM-403:3-グリシドキプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)
帯電防止剤:1-オクチル-4-メチルピリジニウム・ビス(フルオロスルホニル)イミド
【0160】
[Tg測定]
表1?3に示された各種アクリルモノマー(a-1)?(a-3)のホモポリマーのTgの測定を、以下の通り行った。
【0161】
溶液重合にて、下記表4に示す各種ホモポリマーを準備し、試験片とした。
試験片をN_(2)雰囲気下、-60℃から180℃の範囲にて、10℃/分の割合で昇温させ、DSC(リガク社製 示差走査熱量計DSC8230)にて、JISK7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して熱量測定した。
【0162】
【表4】

【0163】
[Mw、PDI測定]
実施例、参考例および比較例で調製したアクリル系コポリマーについて、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を下記GPC測定条件に従って測定し、多分散性指数(PDI=Mw/Mn)を求めた。
【0164】
<GPC測定条件>
測定装置:HLC-8120GPC(東ソー社製)
GPCカラム構成:以下の5連カラム(すべて東ソー社製)
(1)TSK-GEL HXL-H (ガードカラム)
(2)TSK-GEL G7000HXL
(3)TSK-GEL GMHXL
(4)TSK-GEL GMHXL
(5)TSK-GEL G2500HXL
サンプル濃度:1.0mg/cm^(3)となるように、テトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量: 1ml/min
カラム温度:40℃
【0165】
[各評価方法]
表1?3に示された各種評価は、以下に示す方法によって行った。
【0166】
<微少クリープ>
幅10mm×長さ100mmにカットし、剥離処理されたポリエステルフィルムを剥がした評価用粘着加工偏光板をアルカリ処理ガラス上に、粘着剤層が前記ガラスに接するように、かつ10mm×10mmの貼り合わせ面積になるように貼り合わせ、オートクレーブ処理(50℃、5atm)を行った後に23℃/50%RH雰囲気下で24時間静置した。これを微少クリープ試験用試料とした。微少クリープ測定機(英弘精機(株)社製 機種名:TA.TX.PLUS)のチャンバーBOX内の固定用チャック部分の長さ15mmにて試験用試料のセットを行った。
【0167】
チャンバーBOX内を測定温度まで加熱し、測定温度にて40分間静置した後に、引張荷重800g、引張時間1000秒にて、試験用試料における評価用粘着加工偏光板を、該偏光板と前記ガラスとの接着面に平行にかつ前記偏光板の長さ方向に引っ張った。引っ張った後の前記ガラスと偏光板との貼り合わせ部分のズレの距離(mm)を確認(測定)して微少クリープ試験結果とした。
【0168】
<光漏れ>
19インチサイズのVA型液晶パネル(I・O DATA社製、型式:LCD-A191EWから取り外したもの)に、剥離処理されたポリエステルフィルムを剥がした評価用粘着加工偏光板を、粘着剤層が前記液晶パネルに接するように、かつ前記評価用粘着加工偏光板と前記液晶パネルとがクロスニコルになるように貼り合わせて、80℃雰囲気下240時間放置した後、23℃/50%RH雰囲気下で2時間放置した。
【0169】
その後、前記偏光板を貼り合わせたVA型液晶パネルを暗室でパソコンに接続し全画面黒表示にした。この全画面黒表示のディスプレイモニタについて、各コーナー付近の直径1cmの領域における輝度(La,Lb,Lc,Ld)およびモニタ中央部分の直径1cmの領域における輝度(Lcenter)を輝度計(ハイランド社製 RISA-COLOR/CD8)を用いて測定し、下記式により光漏れ性(ΔL)を求めた。ΔLが小さいほど(バックライトからの)光漏れが少ないことを意味し、通常2.0未満であれば液晶表示用パネルとしての使用が可能である。
【0170】
【数2】
ΔL=(La+Lb+Lc+Ld)/4-Lcenter
【0171】
光漏れサイズは、上記全画面黒表示の状態で、目視にて光漏れの発生している部分を確認し、図1のように光漏れ発生部分の角からの距離を測定した。距離30mm以下であれば、液晶表示用パネルとしての使用が可能である。
【0172】
なお、比較例1及び3?6については、80℃雰囲気下240時間放置後にディスプレイモニタを確認したところ、発泡、剥がれ等の粘着剤層由来の外観不良が発生しており、光漏れ試験の測定が不可能であった。
【0173】
<湿熱耐久性>
剥離処理されたポリエステルフィルムを剥がした評価用粘着加工偏光板を15インチサイズ(233mm×309mm)に裁断し、厚さ0.5mmの無アルカリガラス板の片面に、粘着剤層が前記ガラス板に接するようにして、ラミネータロールを用いて貼り付けた。貼付後、オートクレーブ(栗原製作所製)にて0.5MPa、50℃、20分の条件で加圧処理して試験用プレートを得た。
【0174】
こうして得られた試験用プレートを60℃/90%RHの条件下に500時間放置した。試験終了後、試験用プレートを試験環境より取り出し、23℃/50%RH雰囲気下で2時間静置した後、粘着剤層における発泡、剥がれ、キレツを目視にて観察して下記評価基準にて評価した。
【0175】
発泡-サイズ)
○:発泡が全く見られない
△:発泡の直径が1mm以下
×:発泡の直径が1mmより大きい
【0176】
発泡-発生量)
○:発泡が全く見られない
△:発泡の個数が10コ以下
×:発泡の個数が10コより多い
【0177】
キレツ・剥がれ-サイズ)
○:浮き・剥がれが全く見られない
△:浮き・剥がれの面積が試験用プレートにおける貼り合わせ部分全体(100%)に対して5%未満
×:浮き・剥がれの面積が試験用プレートにおける貼り合わせ部分全体(100%)に対して5%以上
【0178】
キレツ・剥がれ-位置)
○:欠点(浮き、剥がれ)が全くない
△:端部から0.5mm未満の位置のみに欠点がある
×:端部から0.5mm以上の位置に欠点がある。
【0179】
なお、キレツ・剥がれ-位置の評価における「端部」とは、キレツ・剥がれの生じた位置から、試験用プレートの各辺に垂線を下ろしたときの、最も短い垂線と試験用プレートの辺との交点を指す。
【0180】
また、比較例5及び6については、60℃/90%RHの条件下に500時間放置後に試験用プレートを確認したところ、粘着剤層由来の浮き・発泡が多数発生したため、キレツ・剥がれの評価が不可能であった。
【0181】
<光弾性係数測定>
以下の通り、15mm×50mm×1mm厚の粘着剤試験片を用意して測定用試料とした。
【0182】
製造例で得られたアクリル系コポリマー溶液に架橋剤、シランカップリング剤及び帯電防止剤を表1?3に示された割合で添加して粘着剤組成物溶液とした。この粘着剤組成物溶液を乾燥後の厚さが1mmとなるように、剥離処理されたPETフイルム上に塗工・乾燥した。乾燥後に15mm×50mmにカットして粘着剤試験片を得て、これを測定用試料とした。
【0183】
測定用試料を測定用装置(日本分光株式会社製 分光エリプソメーター M-220)にセットして、23℃雰囲気下で測定を行った。
【0184】
図2において、X方向へ試料の引張を行った際に発生する応力を0?0.15Nの範囲で制御して、応力毎の波長-透過光の位相差の関係(*1)を測定した。(*1)から、波長600nmにおける透過光の位相差について、位相差-応力の関係でプロットを行い、その傾きを求めた。更に、傾き=(-1)×光弾性係数(10^(-12)m^(2)/N)の関係から光弾性係数を求めた。
【符号の説明】
【0185】
12 接着剤試験片
14 Sample固定用治具
16 光源
18 スリット
20 検光子
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(A):下記(a-1)?(a-4)を下記の割合で共重合して得られる(メタ)アクリル系コポリマーと;
(a-1)ホモポリマーのガラス転移温度が-40℃以下で、芳香環を有さない(メタ)アクリル酸エステル40?77.1重量%
(a-2)t-ブチル(メタ)アクリレート10?40重量%
(a-3)芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル0.1?25重量%
(a-4)2種以上の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー及び/又は2種以上の異なる、1種類の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー0.1?6重量%
(ただし、(a-2)及び(a-3)の合計は5?59.9重量%であり、
前記極性官能基はカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基およびエポキシ基から選ばれ、
(a-1)?(a-4)の合計は100重量%である)
(B):前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01?3重量部の架橋剤と
を含むことを特徴とする光学部材用粘着剤組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル酸エステル(a-1)が、n-ブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、イソペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシルメタクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート及びエトキシエトキシエチルアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル酸エステル(a-3)が、ベンジル(メタ)アクリレート、下記一般式(1)で表されるフェノキシエチル(メタ)アクリル酸エステルおよびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光学部材用粘着剤組成物:
【化3】

(式(1)において、R_(0)は水素又はメチル基であり、R_(1)は(CH_(2)CH_(2)O)_(n)で表される基であり(nは1?20の整数である)、mは1?5の整数であり、R_(2)は水素、炭素数1?9のアルキル基、炭素数6?10のアリール基又は炭素数7?11のアラルキル基であり、mが2以上の場合、複数存在するR_(2)は同一でも異なっていてもよい。)。
【請求項6】
前記(メタ)アクリル系モノマー(a-4)の共重合割合が1?6重量%であり、前記(a-2)及び(a-3)の共重合割合の合計が5?50重量%であることを特徴とする請求項3?5のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項7】
前記光学部材用粘着剤組成物について以下の微少クリープ試験を行った場合において、60℃測定値/23℃測定値の比の値が1.05?2.00であることを特徴とする請求項3?6のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物:
前記光学部材用粘着剤組成物を剥離処理されたポリエステルフィルム上に塗布・乾燥させて、膜厚25μmの粘着剤層を有する粘着シートを作製し;
該粘着シートをTAC(トリアセチルセルロース)-PVA(ポリビニルアルコール)-TAC構成の偏光板と、前記粘着剤層が前記偏光板と接するように貼り合わせて評価用粘着加工偏光板を作製し;
該評価用粘着加工偏光板を幅10mm×長さ100mmにカットし、前記剥離処理されたポリエステルフィルムを剥がしてアルカリ処理ガラス上に、前記粘着剤層が前記ガラスに接するように、かつ10mm×10mmの貼り合わせ面積になるように貼り合わせて評価用粘着加工偏光板試験片とし;
該評価用粘着加工偏光板試験片についてオートクレーブ処理(50℃、5atm)を行い、23℃/50%RH雰囲気下で24時間静置し;
次に前記試験片を、微少クリープ測定機のチャンバーBOX内に固定用チャック部分の長さ15mmにてセットし;
前記チャンバーBOX内を測定温度まで加熱して、測定温度にて40分間静置後に、引張荷重800g、引張時間1000秒にて、前記試験片における前記評価用粘着加工偏光板を、該偏光板と前記ガラスとの接着面に平行にかつ前記偏光板の長さ方向に引っ張り;
前記試験片における前記ガラスと偏光板との貼り合わせ部分のズレの距離(mm)を測定する。
【請求項8】
さらにシランカップリング剤を、前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01?0.5重量部含むことを特徴とする請求項3?7のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項9】
さらに帯電防止剤を、前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01?3重量部含むことを特徴とする請求項3?8のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項10】
基材フィルム上に請求項3?9のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物を含む粘着剤層が形成されてなる粘着シート。
【請求項11】
光学部材の少なくとも片面に粘着剤層が形成された粘着剤層付き光学部材であって、前記粘着剤層が請求項3?9のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物を含むことを特徴とする粘着剤層付き光学部材。
【請求項12】
請求項11に記載の粘着剤層付き光学部材を有することを特徴とするフラットパネルディスプレイ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-03-16 
出願番号 特願2013-551623(P2013-551623)
審決分類 P 1 652・ 113- YAA (C09J)
P 1 652・ 121- YAA (C09J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 澤村 茂実  
特許庁審判長 國島 明弘
特許庁審判官 冨士 良宏
橋本 栄和
登録日 2015-07-31 
登録番号 特許第5785624号(P5785624)
権利者 綜研化学株式会社
発明の名称 光学部材用粘着剤組成物並びにそれを使用した粘着シート、粘着剤層付き光学部材及びフラットパネルディスプレイ  

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