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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01R
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01R
管理番号 1328134
審判番号 不服2016-12945  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-29 
確定日 2017-06-02 
事件の表示 特願2015- 13206「自動感度調整付き磁場センサ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月21日出願公開、特開2015- 96871、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
特許出願: 平成27年1月27日
(パリ条約による優先権主張(外国庁受理2008年2月26日、米国)を伴う国際出願である特願2010-547666号の一部を新たな特許出願としたもの)
拒絶理由通知: 平成27年12月24日(発送日:平成28年1月4日)
拒絶査定: 平成28年6月7日(送達日:同年同月10日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成28年8月29日
手続補正: 平成28年8月29日


第2 原査定の理由等の概要
原審における拒絶理由通知及び原査定の概要は次のとおりである。

(拒絶理由通知)
「1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
3.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(サポート要件),理由2(明確性)について
・請求項 1-8
・備考
(1)請求項1では、
「前記第2の磁場感知素子に結合され、前記第2の磁場に応答する利得調整信号(274)と増幅信号(270)を生成するように構成され、イネーブル信号(248)の第1の所定の状態に応答して前記利得調整信号を生成するために前記増幅信号をサンプルしてホールドするサンプル/ホールド回路(272)を含む、利得演算回路(242)」と記載されている。
しかしながら、前記記載では、「電流導体(252)」と、「第1の電流生成回路(246)」と、「第2の磁場感知素子(254)」と、「第2の電流生成回路(256)」とを備えるものが利得演算回路(図3Bも参照)であるのか否かが明確ではない。
よって、請求項1-8に係る発明は明確でない。

(2)請求項1では「前記第2の磁場に応答する第2の磁場感知素子」と記載しているが、当該記載よりも前に「第2の磁場」に対応する記載がないため、発明が明確ではない。

(3)請求項1では、利得演算回路(242)が含むサンプル/ホールド回路(272)について、「前記第2の磁場感知素子に結合され、前記第2の磁場に応答する利得調整信号(274)と増幅信号(270)を生成するように構成され」ると記載している。
しかしながら、明細書及び図面を参照すると、サンプル/ホールド回路(272)は増幅信号(270)を生成するように構成されていない(図3B)。
よって、請求項1-8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

(4)請求項1では、「前記電流導体は第2の磁場に生じる前記第1の電流信号を受信するために結合され、前記第2の電流信号は前記第2の磁場感知素子を駆動するために結合され、前記サンプル/ホールド回路は前記増幅信号をホールドして前記イネーブル信号の第2の所定の状態に応答して前記利得調整信号を生成する」と記載しているが、「第2の磁場に生じる第1の電流信号」とは、第2の磁場によって第1の電流信号が生じることを意味するのか否かが明確ではない。
また、「ホールド」は、イネーブル信号の「第1の所定の状態」(「イネーブル信号(248)の第1の所定の状態に応答して・・・サンプルしてホールドする」)と「第2の所定の状態」との両方の状態で行われる構成なのか否かが明確ではない。
さらに、前記サンプル/ホールド回路が、増幅信号をサンプルしてホールドするとともに、利得演算を行う回路(「利得調整信号を生成する」)を意味するのか否かも明確ではない。

(5)請求項4において「前記第3の電流生成回路はは前記イネーブル信号に応答しない」(下線は審査官が付与)と記載しているが、当該記載の意味が明確ではない。

(6)請求項6,7では「フィードバック信号の選択された部分」と記載しているが、請求項1-2の記載をみても、どの部分が対応するのか不明である。

●理由3(進歩性)について
・請求項 1-8
・引用文献等 1
・備考
引用文献1、主に第6頁右上欄第14行-第8頁右上欄第6行、第4-8図を参照のこと。
引用文献1には、コイル5(「電流導体」に対応)と、電流発生器(「第1の電流生成回路」に対応)と、磁場センサ1a(「第2の磁場感知素子」に対応)とを備え、サンプリングホールド回路14cの出力(「利得調整信号」に対応)が、磁場センサ1b(「第1の磁場感知素子」に対応)の制御入力端子(「利得調整ノード」に対応)に入力され、それによって磁場センサ1bの変換係数(「感度」に対応)が調節される構成が記載または示唆されている。
そして、各イネーブル信号による回路の動作、ホール効果素子、増幅器及び電流生成回路などによりセンサを構成することは、当業者が適宜なし得る設計的事項である(前記理由1または理由2のとおり、本願請求項1-8に係る発明は、全体的に明確ではなく、発明の詳細な説明に記載したものでもないから、本願発明(各構成要素の技術的意義など)が明確に把握できない)。

<引用文献等一覧>
1.特開昭61-48777号公報」

(原査定)
「この出願については、平成27年12月24日付け拒絶理由通知書に記載した理由1-3によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

備考
●理由1(特許法第36条第6項第1号)、理由2(特許法第36条第6項第2号)について
(1)請求項 1
利得演算回路(242)に関し、「イネーブル信号(248)の第1の所定の状態に応答して前記利得調整信号(274)を生成するために前記増幅信号(270)をサンプルしてホールドするサンプル/ホールド回路(272)を含み、前記サンプル/ホールド回路(272)は、前記イネーブル信号(248)の第2の所定の状態に応答して前記利得調整信号(274)を生成する」と記載しているが、前記増幅信号(270)は、何を増幅するために生成(「増幅信号(270)と利得調整信号(274)を生成する」参照)されているのかが明確にされていない。
さらに、前記サンプル/ホールド回路(272)は、前記利得調整信号(274)を生成する構成としている。しかしながら、発明の詳細な説明及び図3Bで開示されるサンプル/ホールド回路272及び利得調整信号274の参酌しても、前記第2の所定の状態(イネーブル信号)に応答及び前記サンプル/ホールドした増幅信号から利得調整信号を生成する構成が意味する構成は明確ではない。例えば、イネーブル信号に応じてサンプル/ホールド(イネーブル信号→パルス発生回路→サンプル/ホールド回路;請求項7)された増幅信号が利得調整信号として出力されていることを意味しているのか等が、明確ではない。
また、サンプル/ホールド回路及びイネーブル信号に関する構成は、発明の詳細な説明等の記載と対応しているともいえない(理由1)。

(2)請求項 1,2
「前記第1の電流生成回路(246)と前記第2の電流生成回路(256)は、前記イネーブル信号の前記第1の所定の状態または前記第2の所定の状態の選択されたひとつに応答してオン」すると記載し、第1の所定の状態(請求項1「第1の所定の状態に応答して・・・前記増幅信号(270)をサンプルしてホールドする」参照)でオフする構成を含むものとしているが、電流信号が出力されていない状態の信号をサンプルホールドして利得調整をすることを意味する構成なのか否かが明確ではない(【0072】参照)。

(3)請求項 4
「制御ノード」と「利得調整ノード」(請求項1)は、ともに利得調整信号を受け取るものであり、両者の違いが不明である。

(4)請求項 5,6
発明の詳細な説明及び図面の記載と対応していない(理由1)。
例えば、「温度イネーブル信号(図1Bの64)」を生成する記載しているが、「温度閾値回路(図1の18、図1Aの40、図1Bの50、図1Cの700」(下線は審査官が付与)等のように、対応しない実施例の構成を含むものとしている。


●理由3(特許法第29条第2項)について
・請求項 1-7
・引用文献等 1
増幅回路、サンプル/ホールド回路等の各回路は周知・慣用されたものであり、格別の技術的意義はないから(前記理由1,2も参照)、当該回路を適用することは、当業者が適宜なし得る設計的事項である。

<引用文献等一覧>
1.特開昭61-48777号公報」


第3 本願発明
本願請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、平成28年8月29日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
基板によって支持された第1の磁場感知素子(280)であって、磁場応答信号部分を含む出力信号を生成するものであり、前記磁場応答信号部分は第1の磁場への感度を有する第1の磁場感知素子(280)と、
フィードバック回路と、を備え、
前記フィードバック回路は、
前記基板によって支持された電流導体(252)と、
第1の電流信号(250)が出力される出力ノードを有する第1の電流生成回路(246)であって、前記第1の電流信号(250)が前記電流導体(252)を流れることによって、第2の磁場を生成する第1の電流生成回路(246)と、
前記基板によって支持され且つ前記電流導体(252)に近接して設けられ、前記第2の磁場に応答する第2の磁場感知素子(254)と、
第2の電流信号(258)が出力される出力ノードを有する第2の電流生成回路(256)であって、前記第2の電流信号(258)によって前記第2の磁場感知素子(254)を駆動する第2の電流生成回路(256)と、
前記第2の磁場感知素子(254)に結合され、前記第2の磁場に応答して、前記第2の磁場感知素子(254)の出力を増幅し増幅信号(270)として出力する前置増幅器(268)と、前記増幅信号(270)をサンプルしてホールドし、利得調整信号(274)を生成するサンプル/ホールド回路(272)を含む利得演算回路(242)と、 を備えた磁場センサであって、
前記磁場センサは、更に、
前記基板によって支持され、前記利得調整信号(274)を受信する利得調整ノードを有する利得調整回路(276,286)であって、前記利得調整信号(274)に応じて前記磁場応答信号部分の第1の磁場への感度を調整するように構成されている利得調整回路(276,286)を有する、
磁場センサ。
【請求項2】
前記利得演算回路(242)は、パルス信号(262)を生成して前記サンプル/ホールド回路(272)を制御するパルス発生器回路(260)をさらに備え、前記パルス発生器回路(260)はイネーブル信号(248)によって制御される、請求項1に記載の磁場センサ。
【請求項3】
前記第1の電流生成回路(246)と前記第2の電流生成回路(256)は、前記イネーブル信号(248)がアクティブであるとき、前記第1の電流信号(250)と前記第2の電流信号(258)を生成する、請求項2に記載の磁場センサ。
【請求項4】
温度閾値より上の温度に応答して温度イネーブル信号(図1Bの64)を生成するように構成された温度閾値回路(図1の18、図1Aの40、図1Bの50、図1Cの700)を更に備え、前記イネーブル信号(248)は前記温度イネーブル信号(図1Bの64)に少なくとも基づいて生成される、請求項3に記載の磁場センサ。
【請求項5】
パワーオンする前記磁場センサに応答してパワーオンイネーブル信号を生成するように構成されたパワーオン回路(図1の19、図1Cの700)をさらに備え、前記イネーブル信号(248)は前記パワーオンイネーブル信号に少なくとも基づいて生成される、請求項3又は4に記載の磁場センサ。
【請求項6】
前記第1の磁場感知素子(280)と前記第2の磁場感知素子(254)はホール効果素子であり、前記利得調整回路(276,286)は第3の電流生成回路(276)であって、前記第1の磁場感知素子(280)に接続され、前記第3の電流生成回路(276)は、前記利得調整信号(274)により制御され、前記イネーブル信号(248)によって制御されない、請求項2?5のいずれか一項に記載の磁場センサ。
【請求項7】
前記利得調整回路(276,286)は、前記第1の磁場感知素子(280)から前記出力信号を受け取るために結合される増幅器(286)を備え、前記増幅器(286)は、前記利得調整信号(274)により制御される、請求項1?5のいずれか一項に記載の磁場センサ。」


第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭61-48777号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審による。)

「[産業上の利用分野]
本発明は磁場センサの変換係数変動補償装置に係り、さらに詳しくは電流発生器に接続され、被測定磁場に重畳される補助磁場を発生するコイルを備えた磁場センサの変換係数変動補償装置に関する。」(第2ページ右下欄第13行?第18行)

「[第1実施例]
第1図において符号1で示すものは磁場センサであり、この磁場センサは導体2に流れる電流imによって形成される磁場Hmを介して電流imを測定する機能を有する。電流imによって形成される磁場Hmを磁場センサ1に作用させるのは、よく知られているように磁気コアを用いるか、或いは磁気コアを用いず磁場センサ1を平坦な導体として形成された導体2の表面に配置することによって行なわれる。磁場センサ1はその出力端子に磁場Hmに関係した電圧VHを発生し、磁場/電圧変換器として動作する。この磁場センサ1は、例えばホール素子等である。磁場センサ1の変換特性(伝達特性)の傾斜は温度の関数となる他に経時変化に伴う変動を受けるので、何らかの手段を施さないと磁場Hmを正確に測定することは不可能になる。
第1図に図示した回路には、磁場センサ1の他に電圧発生器3、電圧/電流変換器4,コイル5,相関器6,差形成器7a並びに制御器7bが設けられている。制御器7bは例えば積分制御器である。電圧発生器3の出力は電圧/電流変換器4の入力と接続され、変換器4の出力はコイル5の一方の極に、又コイル5の他方の極はアースに接続されている。電圧発生器3と電圧/電流変換器4によって電流発生器3,4が形成される。電流発生器の出力端子,即ち電圧/電流変換器4の出力端子はコイル5に接続される。このコイル5は測定すべき磁場Hmに重畳される補助磁場Hhを発生させる。電流発生器3,4はさらに電圧出力端子を有し、これは同時に電圧発生器3の出力端子でもある。導体2及びコイル5は、それによって発生した磁場Hm,Hhがほぼ同一方向となるように互いに配置される。相関器6は2つの入力端子を有し、その一方の入力端子8は磁場センサ1の出力端子と、又第2の入力端子9は電流発生器3,4の電圧出力端子と接続される。相関器6の出力は差形成器7aのマイナス入力端子と接続され、この差形成器の出力は制御器7bの入力に導かれる。差形成器7aのプラス入力端子には一定の基準電圧VRefが印加される。制御器7bの出力は磁場センサ1の制御入力端子に入力され、それによって磁場センサ1の変換係数(伝達係数)が制御される。磁場センサ1の出力は同時に第1図に図示された回路全体の出力ともなる。・・・」(第3ページ左下欄第15行?第4ページ左上欄第20行)

「[第4実施例]
第4図に図示した回路は第2図に図示した回路と同様に構成される。但し第4図の実施例では差形成器10の出力は差形成器13を介して相関器6の入力端子8と接続される。さらにコイル5に関連して設けられた磁場センサ1aの他に、さらに磁場センサ1bが設けられる。この磁場センサ1bは単に被測定磁場Hmを求めるために設けられたもので、それに関連したコイルは設けられない。磁場センサ1aの出力は差形成器10のプラス入力端子と接続され、又電流発生器3,4の出力と接続された相関器6の入力端子9が減衰器11を介して差形成器10のマイナス入力端子と接続される。差形成器10の出力は差形成器13のプラス入力端子と、磁場センサ1bの出力は差形成器13のマイナス入力端子とそれぞれ接続される。又差形成器13の出力は相関器6の入力端子8と接続される。・・・」(第6ページ右上欄第13行?同左下欄第10行)

引用文献1に記載された発明は、磁場センサの変換係数変動補償装置に係るものであって、磁場センサ1の制御入力端子への入力によって磁場センサ1の変換係数(伝達係数)が制御されているので、全体としてフィードバック回路を構成しているものといえる。また、磁場センサ1aを駆動する第2の電流生成回路を備えることも明らかである。そうすると、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「被測定磁場Hmを求めるために設けられた磁場センサ1bと、
フィードバック回路と、を備え、
前記フィードバック回路は、
コイル5と、
出力端子がコイル5に接続される電流発生器3,4と、
コイル5に関連して設けられた磁場センサ1aと、
磁場センサ1aを駆動する第2の電流生成回路と、
を有する、
磁場センサ。」


第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
まず、引用発明における「被測定磁場Hmを求めるために設けられた磁場センサ1b」及び「フィードバック回路」は、それぞれ本願発明1の「第1の磁場感知素子(280)であって、磁場応答信号部分を含む出力信号を生成するものであり、前記磁場応答信号部分は第1の磁場への感度を有する第1の磁場感知素子(280)」及び「フィードバック回路」に相当する。
また、引用発明の「コイル5」と、「電流発生器3,4」とは、それぞれ本願発明1の「電流導体(252)」と、「第1の電流信号(250)が出力される出力ノードを有する第1の電流生成回路(246)であって、前記第1の電流信号(250)が前記電流導体(252)を流れることによって、第2の磁場を生成する第1の電流生成回路(246)」に相当する。
次に、引用発明の「コイル5に関連して設けられた磁場センサ1a」と、本願発明1の「前記電流導体(252)に近接して設けられ、前記第2の磁場に応答する第2の磁場感知素子(254)」とは、「前記電流導体に近接して設けられる第2の磁場感知素子」である点で共通する。
さらに、引用発明の「磁場センサ1aを駆動する第2の電流生成回路」は、本願発明1の「第2の電流信号(258)が出力される出力ノードを有する第2の電流生成回路(256)であって、前記第2の電流信号(258)によって前記第2の磁場感知素子(254)を駆動する第2の電流生成回路(256)」に相当する。
してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)
「第1の磁場感知素子であって、磁場応答信号部分を含む出力信号を生成するものであり、前記磁場応答信号部分は第1の磁場への感度を有する第1の磁場感知素子と、
フィードバック回路と、を備え、
前記フィードバック回路は、
電流導体と、
第1の電流信号が出力される出力ノードを有する第1の電流生成回路であって、前記第1の電流信号が前記電流導体を流れることによって、第2の磁場を生成する第1の電流生成回路と、
前記電流導体に近接して設けられる第2の磁場感知素子と、
第2の電流信号が出力される出力ノードを有する第2の電流生成回路であって、前記第2の電流信号によって前記第2の磁場感知素子を駆動する第2の電流生成回路と、
を備えた磁場センサ。」

(相違点)
相違点1:本願発明1においては、「前記電流導体(252)に近接して設けられ」る「第2の磁場感知素子(254)」が「前記第2の磁場に応答する」とされているのに対し、引用発明の「コイル5は測定すべき磁場Hmに重畳される補助磁場Hhを発生させる」ものであるから、引用発明の「コイル5に関連して設けられた磁場センサ1a」は「磁場Hm」及び「補助磁場Hh」(本願発明1の「第1の磁場」及び「第2の磁場」に相当。)に応答するものである点。

相違点2:本願発明1は、「前記第2の磁場感知素子(254)に結合され、前記第2の磁場に応答して、前記第2の磁場感知素子(254)の出力を増幅し増幅信号(270)として出力する前置増幅器(268)と、前記増幅信号(270)をサンプルしてホールドし、利得調整信号(274)を生成するサンプル/ホールド回路(272)を含む利得演算回路(242)」を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

相違点3:本願発明1は、「前記基板によって支持され、前記利得調整信号(274)を受信する利得調整ノードを有する利得調整回路(276,286)であって、前記利得調整信号(274)に応じて前記磁場応答信号部分の第1の磁場への感度を調整するように構成されている利得調整回路(276,286)」を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

相違点4:本願発明1において「第1の磁場感知素子」、「電流導体」、「第2の磁場感知素子」、「利得調整回路」が「基板によって支持され」ているのに対し、引用発明においてはこれらに相当するものが基板によって支持されていると特定されていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討すると、相違点1に係る本願発明1の「前記電流導体に近接して設けられる第2の磁場感知素子」が「前記第2の磁場に応答する」という構成は、本願の優先日前において周知技術であったとはいえない。したがって、上記相違点2-4について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-7について
本願の請求項2-7は同請求項1を直接または間接的に引用しており、本願発明2-7も、上記相違点1に係る本願発明1の「前記電流導体に近接して設けられる第2の磁場感知素子」が「前記第2の磁場に応答する」という構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第6 原査定について
1.理由1(特許法第36条第6項第1号)及び理由2(特許法第36条第6項第2号)について
審判請求時の補正により、請求項1,2,4,5,6は上記「第3 本願発明」に示したように補正されており、原査定の理由1,2を維持することはできない。

2.理由3(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、本願発明1-7は「前記電流導体に近接して設けられる第2の磁場感知素子」が「前記第2の磁場に応答する」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由3を維持することはできない。


第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-05-23 
出願番号 特願2015-13206(P2015-13206)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G01R)
P 1 8・ 121- WY (G01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 越川 康弘  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 関根 洋之
中塚 直樹
発明の名称 自動感度調整付き磁場センサ  
代理人 山本 修  
代理人 小林 泰  
代理人 竹内 茂雄  
代理人 小野 新次郎  
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