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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C08L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C08L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C08L
管理番号 1328295
審判番号 不服2016-1463  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-01 
確定日 2017-05-11 
事件の表示 特願2014- 46618「ゴム組成物及びそのゴム組成物をトレッド用部材に用いてなる空気入りタイヤ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月 7日出願公開、特開2014-141680〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2010年(平成22年)4月21日(優先権主張 2009年4月21日(2件))を国際出願日とする特願2011-510333号(以下、「原出願」という。)の一部を平成26年3月10日に新たな特許出願としたものであって、同日に上申書が提出され、平成27年3月25日付けで拒絶理由が通知され、同年5月27日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月28日付けで拒絶査定がされ、平成28年2月1日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、同年3月17日に審判請求書の請求の理由を補正する手続補正書(方式)が提出されたものである。

第2 平成28年2月1日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年2月1日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 平成28年2月1日付けの手続補正の内容
平成28年2月1日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正により補正される前の(すなわち、平成27年5月27日に提出された手続補正書により補正された)下記(1)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載を下記(2)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載へ補正するものである。なお、下線は、補正箇所を示すためのものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
(A)ゴム成分としての天然ゴム及び(B)熱可塑性樹脂を配合し、バンバリー型ミキサーにてプリブレンドしてなるプリブレンドゴムと、(C)補強用充填材とを配合してなるゴム組成物であって、
該プリブレンドゴムが、(A)ゴム成分100質量部に対して、(B)成分を8?100質量部の割合で含み、
(C)補強用充填材の含有量が、(A)成分100質量部に対して、20?120質量部である、ゴム組成物。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
(A)ゴム成分としての天然ゴム及び(B)熱可塑性樹脂としてのテルペン-フェノール樹脂又はC9系樹脂を配合し、バンバリー型ミキサーにてプリブレンドしてなるプリブレンドゴムと、(C)補強用充填材とを配合してなるゴム組成物であって、
該プリブレンドゴムが、(A)ゴム成分100質量部に対して、(B)成分を8?100質量部の割合で含み、
(C)補強用充填材の含有量が、(A)成分100質量部に対して、20?120質量部である、ゴム組成物。」

2 本件補正の適否
2-1 本件補正の目的
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項である「(B)熱可塑性樹脂」をさらに限定するものであり、しかも、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2-2 独立特許要件の検討
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて、さらに検討する。

(1)本願の出願の時
ア 出願の分割が適法にされたと認められる要件について
本願は、特許法第44条第1項の規定による特許出願であるところ、同法第44条第1項には、次のように規定されている。
「特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
・・・(略)・・・」
また、同条第2項には、次のように規定されている。
「前項の場合は、新たな特許出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなす。・・・(略)・・・」

同法第44条第1項の規定によれば、特許出願の分割は、二以上の発明を包含する特許出願の一部を新たな特許出願とするものであるから、特許出願の分割が適法にされたと認められるためには、以下の(要件1)及び(要件2)を満たす必要がある。
そして、同条第2項に規定する新たな特許出願がもとの特許出願の時にしたものとみなされる(以下、「出願時遡及」という。)という効果が認められるためには、出願時遡及の効果はもとの特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「出願当初の明細書等」という。)に記載した事項に対して与えられるものであり、もとの特許出願の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内でない新規事項について出願時遡及の効果を与えてはならないことは、補正の制限(特許法第17条の2)の趣旨から鑑みて当然であることを踏まえると、以下の(要件3)も満たす必要がある。

(要件1)もとの特許出願の分割直前の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)に記載された発明の全部が新たな特許出願の請求項に係る発明とされたものではないこと。
(要件2)新たな特許出願の明細書等に記載された事項が、もとの特許出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であること。
(要件3)新たな特許出願の明細書等に記載された事項が、もとの特許出願の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内であること。

イ 要件3についての検討
そこで、新たな特許出願である本件補正後の本願が、要件3を満たすものかを以下に検討する。

本件補正後の本願の明細書等ともとの特許出願である原出願の明細書等を比較すると、本件補正後の本願の明細書等の記載は下記aないしcの点が、下記の<理由1>で示した理由により、原出願の出願当初の明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえないから、本件補正後の本願の明細書等に記載された事項は、原出願の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内であるとはいえず、要件3を満たしていない。
したがって、本件補正後の本願は、要件3を満たしておらず、適法な分割出願であるとはいえないので、出願時遡及は認められず、本願の出願日は本願の現実の出願日である平成26年3月10日である。

a 本件補正後の本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された、「(A)ゴム成分としての天然ゴム」100質量部に対して、「(B)熱可塑性樹脂としてのテルペン-フェノール系樹脂又はC9系樹脂」を、8?100質量部の割合で配合し、バンバリー型ミキサーにてプリブレンドしてプリブレンドゴムとする点。

b 本件補正後の本願の特許請求の範囲の請求項5に記載された、(本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された)「プリブレンドゴム」に補強用充填剤としてシリカを20?120質量部含有させる点。

c 本件補正後の本願の明細書に記載された「【0005】本発明は、天然ゴム及び熱可塑性樹脂を配合してなるプリブレンドゴムと、補強用充填材とを配合してなり、破壊特性などを確保し得るゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、天然ゴム及び熱可塑性樹脂を配合してなるプリブレンドゴムと、補強用充填材とを配合してなるゴム組成物によって、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成した。」という点。

<理由1>
原出願の出願当初の明細書等には、次の記載がある。

・「[0005] 前記したように、補強用充填材に関しては、該補強用充填材を含む水系スラリー液と、天然ゴムラテックスを混合して、天然ゴムマスターバッチを製造する方法は知られているが、樹脂を含む水系スラリー液と天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムラテックスとを混合して、該樹脂が高度に分散してなる樹脂伸展イソプレンゴムを製造する技術については、これまで知られていないのが実状である。
本発明は、このような状況下になされたものであり、天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムと樹脂を用い、該樹脂が高度に分散してなる樹脂伸展イソプレンゴムの製造方法、この方法で得られた樹脂伸展ゴムを含む破壊特性などを確保し得るゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。」

・「[0006] 本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂を水に分散させてなるスラリー液と、天然ゴムや合成イソプレンゴムラテックスとを混合したのち、凝固、乾燥処理することにより、前記熱可塑性樹脂が高度に分散してなる樹脂伸展イソプレンゴムが容易に得られ、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。」

・「[0007] すなわち、本発明は、(A)天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムを含むゴム成分と、(B)熱可塑性樹脂を含有する樹脂伸展イソプレンゴムの製造方法であって、前記(B)成分を水に分散させてなる樹脂スラリー液と、前記(A)ゴム成分のラテックスとを混合したのち、凝固、乾燥処理することを特徴とする樹脂伸展イソプレンゴムの製造方法、その製造方法で得られた樹脂伸展イソプレンゴムを含むことを特徴とするゴム組成物、及びそのゴム組成物をトレッド用部材に用いたことを特徴とする空気入りタイヤ、を提供するものである」

・「[0016] 上記方法で測定されるヘイズ値が34%以下の熱可塑性樹脂としては、例えばC5系樹脂、C9以上の成分の少ないC5?C9系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール成分の比率の少ないテルペン-フェノール樹脂などを挙げることができる。
本発明においては、当該(B)成分の熱可塑性樹脂として、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、得られる樹脂伸展イソプレンゴムにおける当該熱可塑性樹脂の含有量は、本発明の方法で得られた樹脂伸展イソプレンゴムを含む本発明のゴム組成物が、所望の破壊特性や耐摩耗性を確保し得るためには、(A)ゴム成分100質量部に対して、好ましくは8?100質量部、より好ましくは10?50質量部、さらに好ましくは15?50質量部、特に好ましくは20?50質量部である。」

・「[0024] 本発明のゴム組成物においては、補強用充填材、好ましくは前記カーボンブラック及び/又はシリカの含有量は、前記(A)ゴム成分100質量部に対して、20?120質量部であることが好ましく、35?100質量部であることがより好ましい。この含有量が20質量部以上であれば、補強効果が発揮され、一方120質量部以下であれば、転がり抵抗が大きくなりすぎることはない。」

・「[0035]実施例1?10
第1表に示す性状を有する熱可塑性樹脂(A?D)微粉砕物(乳鉢で粉砕)を、第1表に示す量で用い、水中に投入し、これをシルバーソン社製のハイシェアミキサーにより、4800回転/分の速度で30分間スラリー化処理を行い、濃度5質量%の樹脂スラリー液を調製した。レーザ回折型粒度分布計を用いて測定した樹脂粒子の平均粒子径を第1表に示す。
次いで、この樹脂スラリー液全量と、20質量%に希釈したアンモニアを含む天然ゴムフィールドラテックス3636gを攪拌しながら混合したのち、これにギ酸を添加してpH4.7に調整して凝固させた。この固形物をクレーパー5回、シュレッダーを通してクラム化したのち、熱風式乾燥機にて、110℃、210分間乾燥することで、天然ゴム100質量部当たり、約37.5質量部の樹脂を含む各樹脂伸展天然ゴムを得た。これらの分析結果を第1表に示す。なお、樹脂含有量は、アセトン抽出により分析した、天然ゴム100質量部に対する値である。また、各樹脂伸展天然ゴムについて、Disp-Xを測定し、樹脂分散性を評価した。結果を第3表に示す。
[0036]
[表1]

[0037][注]
C5系:エクソンモービルケミカル社製、商品名「ECR1102」
C5?C9系:エクソンモービルケミカル社製、商品名「ECR213」 テルペン-フェノール樹脂:ヤスハラケミカル社製、商品名「YSポリスターT100」
C9系:新日本石油化学社製、商品名「ネオプリマー140」」

・「[0039]比較例1?7
実施例11?20において、樹脂伸展天然ゴムを用いる代わりに、天然ゴムと熱可塑性樹脂とを第4表に示す配合割合で用い、バンバリーミキサーにてプリブレンドしたものを用いた以外は、実施例11?20と同様にして各ゴム組成物を調製した。なお、プリブレンド物について、Disp-Xを測定し、樹脂分散性を評価した。結果を第4表に示す。さらに各試験用加硫サンプルを作製し、それぞれのサンプルについて、引張り強さ(Tb)及び耐摩耗性を測定した。結果を第4表に示す。」

・「[0040]
[表2]



・「[0043]
[表4]



[0036]、[0037]、[0039]、[0040]及び[0043]によると、原出願の出願当初の明細書等には、比較例3として、天然ゴム100質量部に対して、テルペン-フェノール系樹脂37.5質量部の割合で配合し、バンバリーミキサーにてプリブレンドしたプリブレンドゴムにカーボンブラックを50質量部含有させたゴム組成物、比較例4として、天然ゴム100質量部に対して、C9系樹脂37.5質量部の割合で配合し、バンバリーミキサーにてプリブレンドしたプリブレンドゴムにカーボンブラックを50質量部含有させたゴム組成物、比較例5として、天然ゴム100質量部に対して、テルペン-フェノール系樹脂20質量部の割合で配合し、バンバリーミキサーにてプリブレンドしたプリブレンドゴムにカーボンブラックを50質量部含有させたゴム組成物、比較例6として、天然ゴム100質量部に対して、テルペン-フェノール系樹脂30質量部の割合で配合し、バンバリーミキサーにてプリブレンドしたプリブレンドゴムにカーボンブラックを50質量部含有させたゴム組成物及び比較例7として、天然ゴム100質量部に対して、テルペン-フェノール系樹脂51質量部の割合で配合し、バンバリーミキサーにてプリブレンドしたプリブレンドゴムにカーボンブラックを50質量部含有させたゴム組成物は記載されている。
しかし、これら比較例3ないし7の記載は、あくまでもそれぞれの点における記載にとどまるものであって、それらの最小値と最大値である20?51質量部を含ませることはもとより、8?100質量部含ませることまで開示するものではないし、それが当業者の技術常識でもない。
また、[0016]によると、原出願の出願当初の明細書等には、(A)ゴム成分100質量部に対して、(B)成分を8?100質量部含ませることが記載され、[0024]によると、原出願の出願当初の明細書等には、補強用充填材、好ましくはカーボンブラック及び/又はシリカの含有量は、(A)ゴム成分100質量部に対して20?120質量部含有させることが記載されている。
しかし、[0016]及び[0024]の記載は、[0007]の「(A)天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムを含むゴム成分と、(B)熱可塑性樹脂を含有する樹脂伸展イソプレンゴムの製造方法であって、前記(B)成分を水に分散させてなる樹脂スラリー液と、前記(A)ゴム成分のラテックスとを混合したのち、凝固、乾燥処理することを特徴とする樹脂伸展イソプレンゴムの製造方法、その製造方法で得られた樹脂伸展イソプレンゴムを含むことを特徴とするゴム組成物」という記載を前提とした記載であり、比較例3ないし7に記載されたバンバリーミキサーにてプリブレンドしたゴム組成物に関しての記載ではない。すなわち、[0016]及び[0024]の記載は、調製済みの「樹脂伸展イソプレンゴム」に関しての記載であって、天然ゴムに樹脂を配合しプリブレンドしたゴム組成物に関しての記載ではないので、上記a及びbの点は記載されているとはいえないし、示唆もされていない。
また、[0005]及び[0006]によると、原出願の出願当初の明細書等には、熱可塑性樹脂を水に分散させてなるスラリー液と、天然ゴムや合成イソプレンゴムラテックスとを混合したのち、凝固、乾燥処理することにより、前記熱可塑性樹脂が高度に分散してなる樹脂伸展イソプレンゴムを得ることができることは記載されているが、バンバリーミキサーにてプリブレンドすることによって破壊特性などを確保し得るゴム組成物が得られることは記載も示唆もされていない([0043]の[表4]によると、バンバリーミキサーにてプリブレンドすることによっては、悪い結果しか得られていない。)。してみると、上記cの点の内容は、文言的には、あったものの、cでいう「本発明」が、原出願における「本発明」と全く異なるものとなっているから、実態として記載されていない。すなわち、上記cの点は記載されているとはいえないし、示唆もされていない。
したがって、上記aないしcの点は、原出願の出願当初の明細書等に記載も示唆もされておらず、原出願の出願当初の明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

(2)独立特許要件1
上記第2 2-2(1)のとおり、本件補正後の本願の出願日は、本願の現実の出願日である平成26年3月10日であるから、原査定の拒絶の理由で引例1として引用された国際公開第2010/123015号(以下、「引用文献1」という。)は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である。
そして、引用文献1は、本願の原出願の国際公開公報であるから、上記第2 2(1)<理由1>に記載したとおりの比較例3ないし7が記載されており、該比較例3ないし7を整理すると、引用文献1には、次の発明が記載されていると認める。

<引用発明1a>
「天然ゴム及びテルペン-フェノール樹脂を配合し、バンバリーミキサーにてプリブレンドしてなるプリブレンドゴムと、カーボンブラックとを配合してなるゴム組成物であって、
該プリブレンドゴムが、天然ゴム100質量部に対して、テルペン-フェノール樹脂を37.5質量部、20質量部、30質量部又は51質量部の割合で含み、
カーボンブラックの含有量が、天然ゴム100質量部に対して、50質量部である、ゴム組成物。」

<引用発明1b>
「天然ゴム及びC9系樹脂を配合し、バンバリーミキサーにてプリブレンドしてなるプリブレンドゴムと、カーボンブラックとを配合してなるゴム組成物であって、
該プリブレンドゴムが、天然ゴム100質量部に対して、C9系樹脂を37.5質量部の割合で含み、
カーボンブラックの含有量が、天然ゴム100質量部に対して、50質量部である、ゴム組成物。」

まず、本願補正発明と引用発明1aを対比する。
引用発明1aにおける「天然ゴム」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願補正発明における「(A)ゴム成分としての天然ゴム」に相当し、以下、同様に、「テルペン-フェノール樹脂」は「(B)熱可塑性樹脂としてのテルペン-フェノール樹脂又はC9系樹脂」に、「バンバリーミキサー」は「バンバリー型ミキサー」に、「カーボンブラック」は「補強用充填剤」に、それぞれ、相当する。
また、引用発明1aにおける「37.5質量部、20質量部、30質量部又は51質量部の割合」は、本願補正発明における「8?100質量部の割合」に包含される。
さらに、引用発明1aにおける「50質量部」は、本願補正発明における「20?120質量部」に包含される。
したがって、本願補正発明と引用発明1aとの間に相違はなく、本願補正発明は引用発明1a、すなわち引用文献1に記載された発明である。

次に、本願補正発明と引用発明1bを対比する。
引用発明1bにおける「天然ゴム」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願補正発明における「(A)ゴム成分としての天然ゴム」に相当し、以下、同様に、「C9系樹脂」は「(B)熱可塑性樹脂としてのテルペン-フェノール樹脂又はC9系樹脂」に、「バンバリーミキサー」は「バンバリー型ミキサー」に、「カーボンブラック」は「補強用充填剤」に、それぞれ、相当する。
また、引用発明1bにおける「37.5質量部の割合」は、本願補正発明における「8?100質量部の割合」に包含される。
さらに、引用発明1bにおける「50質量部」は、本願補正発明における「20?120質量部」に包含される。
したがって、本願補正発明と引用発明1bとの間に相違はなく、本願補正発明は引用発明1b、すなわち引用文献1に記載された発明である。

よって、本願補正発明は特許法第29条第1項第3号に該当し、独立して特許を受けることができるものではない。

(3)独立特許要件2
ア 引用文献2の記載等
(ア)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引例6として引用され、本願の出願前に日本国内において、頒布された刊行物である特開2006-63093号公報(以下、「引用文献2」という。引用文献2は、原出願の出願前に日本国内において、頒布された刊行物でもある。)には、「トレッド用ゴム組成物」に関して、次の記載(以下、「記載2a」のようにいう。)がある。

2a 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴムおよび/またはエポキシ化天然ゴムを80重量%以上含むゴム成分100重量部に対して、
8重量部以上のレジン、および
白色充填剤80重量%以上からなる充填剤を含有するトレッド用ゴム組成物。」

2b 「【0016】
本発明のトレッド用ゴム組成物に使用される充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、セリサイト、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、クレーなどが挙げられる。本発明のトレッド用ゴム組成物としては、シリカ、炭酸カルシウム、セリサイトなどの白色充填剤を用いることが好ましい。これらの白色充填剤を用いることで、カーボンブラックなどの充填剤の場合と異なり、転がり抵抗が低減し、石油外資源の比率が上昇するという効果が得られる。」

2c 「【0022】
レジンとしては、芳香族系石油樹脂(C9留分による樹脂)、クマロンインデン樹脂(石炭クマロンインデン樹脂など)、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂(天然芳香族テルペンなど)、ロジン樹脂、フェノール系樹脂、石油系レジン(C5留分による樹脂)などがあげられる。なかでも、天然芳香族テルペン、石炭クマロンインデン樹脂などの石油以外の天然資源をもとに得られる(天然由来の)レジンが好ましい。」

2d 「【0032】
実施例にもとづいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0033】
以下に実施例において使用した各種薬品を詳細に説明する。
NR:RSS#1
SBR:日本ゼオン(株)製のNipol 1502
ENR-25:GATHRIE POLYMER SDN. BHD社製のエポキシ化天然ゴム(エポキシ化率:25モル%)
カーボンブラック:昭和キャボット(株)製のショウブラックN220
シリカ:テグッサ社製のウルトラシル VN3(BET比表面積:175m^(2)/g)
シランカップリング剤:テグッサ社製のSi-69
アロマチックオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX-140
ミネラルオイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスPA32
植物油:日清製油(株)製の精製パーム油J(S)
石油系レジン:新日本石油化学(株)製のネオポリマー140(軟化点:140℃)
天然芳香族テルペン:ヤスハラケミカル(株)製のTO115(軟化点:115℃)
石炭クマロンインデン樹脂:新日鐵化学(株)製のエスクロンG90(軟化点:90℃)ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
老化防止剤:精工化学(株)製のオゾノン6C
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤TBBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
【0034】
これら薬品のうち石油外資源は、NR、ENR、シリカ、硫黄、シランカップリング剤、植物油、天然芳香族テルペン、石炭クマロンインデン樹脂、ステアリン酸、酸化亜鉛である。
【0035】
実施例1?10および比較例1?4
表1に記載する硫黄および加硫促進剤以外の各種薬品を(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーに充填し、77rpmで145℃に到達するまで混練した。
【0036】
得られた混練物に対して、硫黄および加硫促進剤を表1に示す量配合し、オープンロールで80℃で6分間混練し、未加硫物を得た。
【0037】
前記未加硫物をタイヤ成型機上でトレッド形状に成形し、他のタイヤ部材と貼りあわせて未加硫タイヤを作製した。それを160℃で20分間加硫することにより、タイヤを製造した。得られたタイヤを使用して、以下の試験をおこなった。
【0038】
(制動テスト)
得られたタイヤを車に装着し、ドライアスファルト路面およびウェットアスファルト路面において、時速100kmからの制動停止距離を測定し、その測定値から、摩擦係数μを求めた。比較例1のμを100として指数表示した。指数が大きいほど性能は良好である。
【0039】
結果を表1に示す。なお、表1のアセトン抽出分とは、ゴム組成物中におけるアセトン抽出分(石油系レジン、天然芳香族テルペン、石炭クマロンインデン樹脂、ワックスおよび老化防止剤)の含有率を示し、石油外比率とは、ゴム組成物中における石油外資源の含有率を示す。
【0040】
【表1】



(イ)引用発明2
記載2aによると、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認める。

「天然ゴムおよび/またはエポキシ化天然ゴムを80重量%以上含むゴム成分100重量部に対して、
8重量部以上のレジン、および
白色充填剤80重量%以上からなる充填剤を含有するトレッド用ゴム組成物。」

イ 対比
本願補正発明と引用発明2を対比する。

引用発明2における「天然ゴムおよび/またはエポキシ化天然ゴム」は、記載2d(特に、【表1】の実施例を参照。)によると、ゴム成分が天然ゴムのみのものを含むことから、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願補正発明における「(A)ゴム成分としての天然ゴム」に相当する。
また、引用発明2における「レジン」は、記載2cによると、C9系樹脂樹脂があげられていることから、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願補正発明における「(B)熱可塑性樹脂としてのテルペン-フェノール樹脂又はC9系樹脂」に相当する。
さらに、引用発明2における「白色充填剤80重量%以上からなる充填剤」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願補正発明における「(C)補強用充填剤」に相当し、以下、同様に、「トレッド用ゴム組成物」は「ゴム組成物」に相当する。
さらにまた、引用発明2における「ゴム成分100重量部」に対する「レジン」の割合である「8重量部以上」は本願補正発明における「(A)ゴム成分100質量部」に対する「(B)成分」の割合である「8?100質量部」に重複一致する。
さらにまた、引用発明2における「ゴム成分100重量部」に対する「充填剤」の割合は、記載2dによると、75又は85重量部であるから、本願補正発明における「(A)ゴム成分100質量部」に対する「(C)充填剤」の割合である「20?120質量部」に包含される。
したがって、両者は、
「(A)ゴム成分としての天然ゴム、(B)熱可塑性樹脂としてのテルペン-フェノール樹脂又はC9系樹脂及び(C)補強用充填材とを配合してなるゴム組成物であって、
(A)ゴム成分100質量部に対して、(B)成分を8?100質量部の割合で含み、
(C)補強用充填材の含有量が、(A)成分100質量部に対して、20?120質量部である、ゴム組成物。」
である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点>
本願補正発明においては、「(A)ゴム成分としての天然ゴム」及び「(B)熱可塑性樹脂としてのテルペン-フェノール樹脂又はC9系樹脂」を「バンバリー型ミキサー」にて「プリブレンドしてなるプリブレンドゴム」とし、その後に、「(C)補強用充填材」とを配合しているのに対し、引用発明2においては、「(A)ゴム成分としての天然ゴム」に相当する「天然ゴムおよび/またはエポキシ化天然ゴム」、「(B)熱可塑性樹脂としてのテルペン-フェノール樹脂又はC9系樹脂」に相当する「レジン」及び「(C)補強用充填材」に相当する「白色充填剤80重量%以上からなる充填剤」を一緒にして「バンバリー型ミキサー」にて配合している点。

ウ 相違点についての判断
そこで、相違点について、以下に検討する。
3種類以上の材料を配合する際に、2種以上の材料をプリブレンドすることは普通に行われていることであるから(必要であれば、特開2008-180984号公報の【0104】等を参照。)、引用発明2において、天然ゴムと熱可塑性樹脂をバンバリー型ミキサーでプリブレンドをした後に、補強用充填剤を配合するようにして、相違点に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして、本願明細書の【0043】の【表4】の実施例3ないし7の効果は、本願明細書の【0042】の【表3】の参考例1ないし20(天然ゴムと熱可塑性樹脂をバンバリー型ミキサーでプリブレンドをした後に、補強用充填剤を配合するものではない。)と比較して、樹脂分散性は不十分であり、評価(引張り強さや耐摩耗性)も低いことから、本願補正発明を全体としてみても、本願補正発明が引用発明2からみて格別顕著な効果を奏するとはいえない。

エ まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明2、すなわち引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

2-3 むすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないので、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記第2のとおり、本件補正は却下されたため、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし8に係る発明は、願書に最初に添付した明細書及び平成27年5月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)のとおりである。

2 本願の出願の時
新たな特許出願である本件補正前の本願が、上記第2 2-2(1)で示した出願の分割が適法にされたと認められる要件のうちの要件3を満たすものかを以下に検討する。

本件補正前の本願の明細書等と原出願の明細書等を比較すると、本件補正前の本願の明細書等の記載は下記dないしfの点が、下記の<理由2>で示した理由により、原出願の出願当初の明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえないから、本件補正前の本願の明細書等に記載された事項は、原出願の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内であるとはいえず、要件3を満たしていない。
したがって、本件補正前の本願は、要件3を満たしておらず、適法な分割出願であるとはいえないので、出願時遡及は認められず、本願の出願日は本願の現実の出願日である平成26年3月10日である。

d 本件補正前の本願の明細書等の特許請求の範囲の請求項1に記載された、「(A)ゴム成分としての天然ゴム」100質量部に対して、「(B)熱可塑性樹脂」を、8?100質量部の割合で配合し、バンバリー型ミキサーにてプリブレンドしてプリブレンドゴムとする点。

e 本件補正前の本願の明細書等の特許請求の範囲の請求項6に記載された、(本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された)「プリブレンドゴム」に補強用充填剤としてシリカを20?120質量部含有させる点。

f 本件補正前の本願の明細書等の明細書に記載された「【0005】本発明は、天然ゴム及び熱可塑性樹脂を配合してなるプリブレンドゴムと、補強用充填材とを配合してなり、破壊特性などを確保し得るゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、天然ゴム及び熱可塑性樹脂を配合してなるプリブレンドゴムと、補強用充填材とを配合してなるゴム組成物によって、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成した。」という点。

<理由2>
原出願の出願当初の明細書の記載は、上記第2 2-2(1)<理由1>のとおりである。

そして、[0036]、[0037]、[0039]、[0040]及び[0043]によると、原出願の出願当初の明細書等には、比較例1として、天然ゴム100質量部に対して、C5系樹脂37.5質量部の割合で配合し、バンバリーミキサーにてプリブレンドしたプリブレンドゴムにカーボンブラックを50質量部含有させたゴム組成物、比較例2として、天然ゴム100質量部に対して、C5?C9系樹脂37.5質量部の割合で配合し、バンバリーミキサーにてプリブレンドしたプリブレンドゴムにカーボンブラックを50質量部含有させたゴム組成物、比較例3として、天然ゴム100質量部に対して、テルペン-フェノール系樹脂37.5質量部の割合で配合し、バンバリーミキサーにてプリブレンドしたプリブレンドゴムにカーボンブラックを50質量部含有させたゴム組成物、比較例4として、天然ゴム100質量部に対して、C9系樹脂37.5質量部の割合で配合し、バンバリーミキサーにてプリブレンドしたプリブレンドゴムにカーボンブラックを50質量部含有させたゴム組成物、比較例5として、天然ゴム100質量部に対して、テルペン-フェノール系樹脂20質量部の割合で配合し、バンバリーミキサーにてプリブレンドしたプリブレンドゴムにカーボンブラックを50質量部含有させたゴム組成物、比較例6として、天然ゴム100質量部に対して、テルペン-フェノール系樹脂30質量部の割合で配合し、バンバリーミキサーにてプリブレンドしたプリブレンドゴムにカーボンブラックを50質量部含有させたゴム組成物及び比較例7として、天然ゴム100質量部に対して、テルペン-フェノール系樹脂51質量部の割合で配合し、バンバリーミキサーにてプリブレンドしたプリブレンドゴムにカーボンブラックを50質量部含有させたゴム組成物は記載されている。
しかし、これら比較例1ないし7の記載は、あくまでもそれぞれの点における記載にとどまるものであって、それらの最小値と最大値である20?51質量部を含ませることはもとより、8?100質量部含ませることまで開示するものではないし、それが当業者の技術常識でもない。
また、[0016]によると、原出願の出願当初の明細書等には、(A)ゴム成分100質量部に対して、(B)成分を8?100質量部含ませることが記載され、[0024]によると、原出願の出願当初の明細書等には、補強用充填材、好ましくはカーボンブラック及び/又はシリカの含有量は、(A)ゴム成分100質量部に対して20?120質量部含有させることが記載されている。
しかし、[0016]及び[0024]の記載は、上記[0007]の「(A)天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムを含むゴム成分と、(B)熱可塑性樹脂を含有する樹脂伸展イソプレンゴムの製造方法であって、前記(B)成分を水に分散させてなる樹脂スラリー液と、前記(A)ゴム成分のラテックスとを混合したのち、凝固、乾燥処理することを特徴とする樹脂伸展イソプレンゴムの製造方法、その製造方法で得られた樹脂伸展イソプレンゴムを含むことを特徴とするゴム組成物」という記載を前提とした記載であり、比較例1ないし7に記載されたバンバリーミキサーにてプリブレンドしたゴム組成物に関しての記載ではない。すなわち、[0016]及び[0024]の記載は、調製済みの「樹脂伸展イソプレンゴム」に関しての記載であって、天然ゴムに樹脂を配合しプリブレンドしたゴム組成物に関しての記載ではないので、上記d及びeの点は記載されているとはいえないし、示唆もされていない。
また、[0005]及び[0006]によると、原出願の出願当初の明細書等には、熱可塑性樹脂を水に分散させてなるスラリー液と、天然ゴムや合成イソプレンゴムラテックスとを混合したのち、凝固、乾燥処理することにより、前記熱可塑性樹脂が高度に分散してなる樹脂伸展イソプレンゴムを得ることができることは記載されているが、バンバリー型ミキサーにてプリブレンドすることによって破壊特性などを確保し得るゴム組成物が得られることは記載も示唆もされていない([0043]の[表4]によると、バンバリー型ミキサーにてプリブレンドすることによっては、悪い結果しか得られていない。)。してみると、上記fの点の内容は、文言的には、あったものの、fでいう「本発明」が、原出願における「本発明」と全く異なるものとなっているから、実態として記載されていない。すなわち、上記fの点は記載されているとはいえないし、示唆もされていない。
したがって、上記dないしfの点は、原出願の出願当初の明細書等に記載も示唆もされておらず、原出願の出願当初の明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

3 引用発明
引用文献1には、上記第2[理由]2 2-2(2)のとおりの引用発明1a及び1bが記載されていると認める。
また、引用文献2には、上記第2[理由]2 2-2(3)のとおりの引用発明2が記載されていると認める。

4 対比・判断
上記第2[理由]2 2-1で検討したように、本願補正発明は本願発明の発明特定事項に限定を加えたものである。そして、本願発明の発明特定事項に限定を加えた本願補正発明が、上記第2[理由]2 2-2(2)のとおり、引用発明1a及び1b、すなわち引用文献1に記載された発明であり、また、上記第2[理由]2 2-2(3)のとおり、引用発明2、すなわち引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、本願補正発明と同様に、引用文献1に記載された発明であり、また、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
したがって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4 結語
上記第3のとおりであるから、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-03-13 
結審通知日 2017-03-14 
審決日 2017-03-29 
出願番号 特願2014-46618(P2014-46618)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (C08L)
P 1 8・ 113- Z (C08L)
P 1 8・ 121- Z (C08L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前田 孝泰  
特許庁審判長 小野寺 務
特許庁審判官 大島 祥吾
加藤 友也
発明の名称 ゴム組成物及びそのゴム組成物をトレッド用部材に用いてなる空気入りタイヤ  
代理人 大谷 保  
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