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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B61L
管理番号 1328301
審判番号 不服2016-7914  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-31 
確定日 2017-05-11 
事件の表示 特願2011-268623「列車制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月17日出願公開、特開2013-119332〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成23年12月8日を出願日とする出願であって、平成28年2月26日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成28年3月1日)、これに対し、平成28年5月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出されたものである。


2.特許請求の範囲
平成28年5月31日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲(以下、本願の請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は以下のように補正された。
「【請求項1】
各組内の区間境界点から列車検知用信号を送信する中央送電方式により各閉そく区間における列車の存在を検知する無絶縁軌道回路に適用する列車制御装置において、
全ての前記閉そく区間において、該閉そく区間の前方端に位置する送信点と、該送信点から後方に所定距離隔てた地点に位置する補助送信点とが設けられ、
各閉そく区間において、前記列車検知用信号を前記送信点のうち前記区間境界点である送信点から送信し、前記無絶縁軌道回路により、一つ前方の閉そく区間における列車の存在が検知されない場合は、前記列車の制御用のATC信号を前記送信点から送信し、前記一つ前方の閉そく区間における列車の存在が検知された場合は、前記ATC信号をその送信先を切替えて前記補助送信点から送信し、先行列車と当該補助送信点との間に無信号の区間を確保する列車制御装置。」

上記補正は、「中央送電方式」を明りょうにするために、「各組内の区間境界点から列車検知用信号を送信する」と特定し、列車検知用信号の送信点を明りょうにするために「前記列車検知用信号を前記送信点のうち前記区間境界点である送信点から送信し」と特定し、ATC信号の補助送信点からの送信を明りょうにするために「その送信先を切替えて」と特定しているから、特許法第17条の2第5項第4号の規定に該当するものである。


3.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された、実願昭54-111539号(実開昭56-30154号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

a「本考案は、無絶縁軌条によって構成される軌道回路へ交流信号を通じ、この交流信号により列車に対する運転情報を与えるATC(Automatic Train Control.)信号送信装置に関するものである。
第1図は、従来の構成例を示すブロック図であり、無絶縁軌条(以下、軌条)1,2により構成される無絶縁軌道回路3を、列車の運転保安上区間1T,2T等に区分し、その境界点A_(1),A_(2)へケーブル4を接続のうえ、これによって進行信号の給電を行なっており、軌条1,2へ通ずる交流信号の進行信号を、列車上へ設けたコイルによる車上子によって検出するものとしている。
たゞし、先行列車が進行信号を受けて区間1Tから区間2Tへ進入し、これを別途の列車検知装置により検知のうえ、進行信号を許容停止信号へ切替えても、先行列車が境界点A_(1),A_(2)の近辺に存在するときには、その車軸によって軌条1,2間が短絡され、車軸へ信号電流の大部分が通じ、区間1Tには送出されないため、後続列車に対し許容停止信号を与えることが不可能となる。
したがって、境界点A_(1),A_(2)から隣接区間1Tの側へ所定距離lを置いた給電点B_(1),B_(2)を定め、境界点A_(1),A_(2)から給電点B_(1),B_(2)までの間に許容停止信号を給電するケーブル5A,5Bを各軌条1,2の側方へ沿わせて添架し、この添架ケーブル5A,5Bを介して許容停止信号の給電を行ない、所定距離lの間は添架ケーブルへ通ずる信号電流によって、後続列車に対する許容停止信号の伝達を確実なものとしている。
また、第1図においては、搬送波発振器OSCcにより発生した搬送波を変調器MODにおいて、許容停止信号発振器OSCoにより発生した許容停止信号または、進行信号発振器OSC_(G)により発生した進行信号によって変調し、これを送信器SXにおいて増幅のうえ、整合変成器MTを介して送出しており、列車検知装置によって制御されるリレー接点Ry_(01),Ry_(G1)により各信号発振器OSCo,OSC_(G)の出力が切替えられると共に、同時に動作するリレー接点Ry_(02),Ry_(G2)によってリレー0-Ry,G-Ryを制御し、そのリレー接点0-Ry_(1),G-Ry_(1)により、整合変成器MTの出力を切替え、許容停止信号により変調された搬送波は給電点B_(1),B_(2)へ、進行信号により変調された搬送波は境界点A_(1),A_(2)送出されるものとなっている。」(明細書第2頁3行-第4頁8行)

b「なお、区間1T,2Tの反対側にも同様の装置を設ければ、各区間毎の列車に対する運転情報の伝達が可能となる。」(明細書第6頁16-18行)

上記記載及び図面を参照すると、区間1Tから区間2Tに向かって列車が進行するから、境界点A_(1),A_(2)からみて隣接区間1Tの側へ所定距離lを置いた給電点B_(1),B_(2)は後方となる。

上記記載及び図面を参照すると、境界点A_(1),A_(2)から進行信号が供給され、給電点B_(1),B_(2)から許容停止信号が供給されており、その際、進行信号は列車検知装置によって制御されるリレー接点Ry_(G1)に基づいて発せられ、許容停止信号は列車検知装置によって制御されるリレー接点Ry_(01)に基づいて発せられている。線路を一定区間に区切り、それぞれの1区間に1列車以上の進入を許さないことを「閉そく」といい、「閉そく」により列車の衝突を防止するための装置が「軌道回路」であって、軌道回路は、列車の位置検知と情報伝達の機能を有する。そうすると、1区間に1列車以上の進入を許さないのであるから、無絶縁軌道回路は各区間における列車の存在を検知するとともに、給電点B_(1),B_(2)から許容停止信号が供給される場合は一つ前方の区間における列車の存在が検知される場合であり、境界点A_(1),A_(2)から進行信号が供給される場合は一つ前方の区間における列車の存在が検知されない場合である。

上記記載事項からみて、引用例1には、
「各区間における列車の存在を検知する無絶縁軌道回路に適用するATC信号送信装置において、
前記区間において、ケーブルが接続された該区間の境界点と、所定距離の間に添架する添架ケーブルが設けられた該境界点から後方に前記所定距離を置いた給電点とが設けられ、
前記区間において、前記無絶縁軌道回路により、一つ前方の区間における列車の存在が検知されない場合は、前記境界点に接続するケーブルから進行信号を給電し、一つ前方の区間における列車の存在が検知された場合は、前記給電点までの間に添架する添架ケーブルから許容停止信号を給電し、先行列車の車軸によって軌条間が短絡されても後続列車に対する許容停止信号の伝達を確実なものとするために境界点から給電点へ所定距離を置いたATC信号送信装置。」
との発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

同じく、原査定の拒絶の理由で引用された、特開平2-120172号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

c「すなわち、送信器と受信器を一閉そく区間ごとに交互に軌道に接続し、それぞれ隣る二区間の中央より送信し、その二区間の両端でそれぞれ受信して、列車の車軸短絡による受信レベルの低下を検出した場合に当該区間の列車の有無を検知する無絶縁軌道回路を用いるATC装置」(第3頁左下欄18行-右下欄4行)


4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「ATC信号送信装置」、「区間」は、それぞれ本願発明の「列車制御装置」、「閉そく区間」に相当する。

引用発明の「進行信号」はケーブルが接続された境界点から給電されるものであって、本願発明の送信点から送信される「列車制御用のATC信号」に相当し、引用発明の「許容停止信号」は境界点から給電点までの間に添架する添架ケーブルから給電されるものであって、本願発明の補助送信点から送信される「ATC信号」に相当する。そうすると、引用発明の「ケーブルが接続された該区間の境界点」は、境界点で進行信号を給電するのであるから、本願発明の「該閉そく区間の前方端に位置する送信点」に相当し、引用発明の「所定距離の間に添架する添架ケーブルが設けられた該境界点から後方に前記所定距離を置いた給電点」は、給電点で許容停止信号を給電するのであるから、本願発明の「該送信点から後方に所定距離隔てた地点に位置する補助送信点」に相当する。
引用発明の「前記境界点に接続するケーブルから進行信号を給電」は、進行信号はATC信号送信装置からの信号であるから、本願発明の「前記列車の制御用のATC信号を前記送信点から送信」に相当し、引用発明の「前記給電点までの間に添架する添架ケーブルから許容停止信号を給電」は、許容停止信号はATC信号送信装置からの信号であるから、本願発明の「前記ATC信号をその送信先を切替えて前記補助送信点から送信」に相当する。
「無信号」とは、本願明細書【0003】によれば「列車在線軌道の一つ外方(列車進行方向に対して後方)の軌道にはATC信号を送信せず、さらに一つ外方の軌道に停止信号を送信することにより、後続列車を列車在線軌道の2軌道外方で停止させる方式」であるから、引用発明の「先行列車車軸によって軌条間が短絡されても後続列車に対する許容停止信号の伝達を確実なものとするために境界点から給電点へ所定距離を置いた」ことは、本願発明の「先行列車と当該補助送信点との間に無信号の区間を確保する」ことに相当する。

したがって、両者は、
「各閉そく区間における列車の存在を検知する無絶縁軌道回路に適用する列車制御装置において、
該閉そく区間の前方端に位置する送信点と、該送信点から後方に所定距離隔てた地点に位置する補助送信点とが設けられ、
前記無絶縁軌道回路により、一つ前方の閉そく区間における列車の存在が検知されない場合は、前記列車の制御用のATC信号を前記送信点から送信し、前記一つ前方の閉そく区間における列車の存在が検知された場合は、前記ATC信号をその送信先を切替えて前記補助送信点から送信し、先行列車と当該補助送信点との間に無信号の区間を確保する列車制御装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点1〕
列車の存在の検知に関し、本願発明は、各組内の区間境界点から列車検知用信号を送信する中央送電方式であるのに対し、引用発明は、この様な特定がない点。
〔相違点2〕
送信点・補助送信点に関し、本願発明は、全ての閉そく区間において設けられるのに対し、引用発明は、この様な特定がない点。
〔相違点3〕
本願発明は、各閉そく区間において、列車検知用信号を送信点のうち区間境界点である送信点から送信するのに対し、引用発明は、この様な特定がない点。


5.判断
相違点1、3について
引用発明は、軌道回路であって別途の列車検知装置を有しているから、列車検知のために何某かの方法を採用しなければならない。列車制御の分野において、各組内の区間境界点から列車検知用信号を送信する中央送電方式、及び、無絶縁軌道回路への中央送電方式の適用は、何れも周知の事項(必要があれば引用例2参照)であるから、引用発明において列車検知を中央送電方式とすることは当業者が適宜なし得ることと認められる。

相違点2について
本願明細書に「ここで、近年、列車の高密度(先行列車と後続列車との距離的密度)輸送が求められている。」(【0003】)とあるように、列車の高密度化は列車制御において従来周知の課題であり、高密度化を図るために使用していない領域を使用することは高密度化の一般的な手段である。また、引用例1の上記bには、各区間毎の列車に対する運転情報の伝達が可能となるよう同様の装置を設ければよいことが記載されている。
そうであれば、引用発明において、列車の高密度化を図るために、送信点・補助送信点を全ての閉そく区間において設けることは当業者が容易に考えられることと認められる。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。


6.むすび
したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-02-21 
結審通知日 2017-02-28 
審決日 2017-03-28 
出願番号 特願2011-268623(P2011-268623)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B61L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 恭司倉橋 紀夫  
特許庁審判長 藤井 昇
特許庁審判官 堀川 一郎
久保 竜一
発明の名称 列車制御装置  
代理人 小川 護晃  
代理人 小川 護晃  
代理人 西山 春之  
代理人 奥山 尚一  
代理人 奥山 尚一  
代理人 西山 春之  
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