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審決分類 審判 訂正 2項進歩性 訂正しない B60H
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない B60H
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正しない B60H
管理番号 1328328
審判番号 訂正2016-390140  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-10-31 
確定日 2017-05-15 
事件の表示 特許第3721529号に関する訂正審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件訂正審判の請求に係る特許第3721529号(以下「本件特許」という。)に係る出願は,平成9年3月3日の特許出願であって,平成17年9月22日にその特許権の設定登録がされたものであり,以後の主な手続は以下のとおりである。

平成28年10月31日 本件訂正審判の請求
12月 8日 訂正拒絶理由通知(起案日)
平成29年 1月11日 意見書及び手続補正書の提出
1月23日 訂正拒絶理由通知(起案日)

なお,平成29年1月23日付けの訂正拒絶理由通知に対して,指定期間内に請求人の応答はなかった。


第2 請求の要旨

本件訂正審判の請求の要旨は,本件特許明細書の特許請求の範囲を,手続補正書により補正された審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1?8からなる一群の請求項について訂正することを求めるものである。


第3 手続補正の適否について

平成29年1月11日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は,一部の訂正事項を削除するものであり,審判請求書の要旨を変更するものではないものとして認められる。


第4 訂正拒絶理由の概要

当審が,平成29年1月23日付けで通知した訂正拒絶理由の概要は,次のとおりである。

本件補正により補正された訂正特許請求の範囲の請求項3?8に係る発明は,本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明及び周知の技術事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって,本件審判の請求は,同法第126条第7項の規定に適合しない。


第5 訂正の内容

本件訂正審判の訂正の内容は,本件補正後の審判請求書及びこれに添付された訂正特許請求の範囲のとおりのものであり,本件特許明細書の記載を,以下の訂正事項1?4,6?8のとおりに訂正するというものである。(下線は訂正箇所を示す。)
なお,訂正事項5及び9は,本件補正により削除された。

1 訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1を削除する。

2 訂正事項2

特許請求の範囲の請求項2に,
「前記エバポレータ(32)の傾斜角度が、10°?40°であることを特徴とする請求項1記載の自動車用空調ユニット。」とあるのを,
「エバポレータ(32)およびヒータコア(33)が設けられ、取入空気の入口(40)が車両左右方向の一側壁の下部に形成され、前記エバポレータが下側に前記ヒータコアが上側に配置され、前記エバポレータが空気の通過面(32b)を略上下方向にして配置された自動車用空調ユニット(30)において、
前記エバポレータ(32)が、前記入口(40)に導入される空気の流下方向(A1)に向かって前記エバポレータを見たときに、前記空気通過面(32b)が右肩下がりまたは左肩下がりに傾斜するよう設けられ、
前記エバポレータ(32)の傾斜角度が、10°?40°であることを特徴とする自動車用空調ユニット。」に訂正する。

3 訂正事項3

特許請求の範囲の請求項3に,
「前記取入空気の入口(40)が、前記エバポレータの下側の空気通過面(32b)とケーシング(31)の底面とで形成される空間の一側面に開設されていることを特徴とする請求項2記載の自動車用空調ユニット。」とあるのを,
「前記取入空気の入口(40)が、前記エバポレータの下側の空気通過面(32b)とケーシング(31)の底面とで形成される空間の一側面に開設されており、
前記エバポレータ(32)は、車両のエンジンルーム側が車両後方側と比較して高くなるよう傾斜していることを特徴とする請求項2記載の自動車用空調ユニット。」に訂正する。

4 訂正事項4

特許請求の範囲の請求項4に,
「前記エバポレータの冷媒タンク(32a)が、車両のエンジンルーム側に位置することを特徴とする請求項1?3の何れかに記載の自動車用空調ユニット。」とあるのを,
「前記エバポレータの冷媒タンク(32a)が、車両のエンジンルーム側に位置することを特徴とする請求項2または3の何れかに記載の自動車用空調ユニット。」に訂正する。

5 訂正事項6

特許請求の範囲の請求項6に,
「前記ヒータコア(33)が、空気の通過面(33a)を略上下方向にして配置されていることを特徴とする請求項1?5の何れかに記載の自動車用空調ユニット。」とあるのを,
「前記ヒータコア(33)が、空気の通過面(33a)を略上下方向にして配置されていることを特徴とする請求項2?5の何れかに記載の自動車用空調ユニット。」に訂正する。

6 訂正事項7

特許請求の範囲の請求項7に,
「前記ヒータコア(33)の上側に、ベント吹出口(37)、デフロスト吹出口(38)およびフット吹出口(39)が形成されていることを特徴とする請求項1?6の何れかに記載の自動車用空調ユニット。」とあるのを,
「前記ヒータコア(33)の上側に、ベント吹出口(37)、デフロスト吹出口(38)およびフット吹出口(39)が形成されていることを特徴とする請求項2?6の何れかに記載の自動車用空調ユニット。」に訂正する。

7 訂正事項8

特許請求の範囲の請求項8に,
「請求項1?7の何れかに記載の自動車用空調ユニット(30)と、送風機(14,15)が設けられたインテークユニット(10)とが、車両左右方向に沿って配置された自動車用空気調和装置。」とあるのを,
「請求項2?7の何れかに記載の自動車用空調ユニット(30)と、送風機(14,15)が設けられたインテークユニット(10)とが、車両左右方向に沿って配置された自動車用空気調和装置。」に訂正する。


第6 訂正の適否について

1 訂正の目的の適否,新規事項の有無,及び拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について

訂正事項1は,請求項1を削除するものであって,特許法第126条第1項ただし書第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,新規事項の追加に該当せず,特許請求の範囲の拡張・変更にも該当しない。

(2)訂正事項2について

訂正事項2は,請求項2を独立形式に訂正するものであって,特許法第126条第1項ただし書第4号の他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当し,新規事項の追加に該当せず,特許請求の範囲の拡張・変更にも該当しない。

(3)訂正事項3について

訂正事項3は,訂正前の「エバポレータ(32)」について,「車両のエンジンルーム側が車両後方側と比較して高くなるよう傾斜して」という限定を付すものである。よって,訂正事項3は,特許法第126条第1項ただし書第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,新規事項の追加に該当せず,特許請求の範囲の拡張・変更にも該当しない。

(4)訂正事項4,6?8について

訂正事項4,6?8は,訂正事項1(請求項1の削除)に伴って請求項1との引用関係を解消し,引用請求項数を減少するよう訂正するものである。よって,訂正事項4,6?8は,特許法第126条第1項ただし書第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,新規事項の追加に該当せず,特許請求の範囲の拡張・変更にも該当しない。


2 独立特許要件

(1)上記訂正事項3,4,6?8は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,訂正後の請求項3?8に係る発明(以下それぞれ「訂正発明3?8」という。)が,特許出願の際に独立して特許を受けることができるかについて検討する。

(2)引用例1

英国特許出願公告第1490336号明細書は,本件特許出願前に外国において頒布された刊行物である(以下「引用例1」という。)。
引用例1には,以下の事項が記載されている。なお,日本語訳は,審判請求書に添付された引用例1の抄訳を参照して,当審が作成した。

ア「This invention relates to air condisioning means control appara-
tus for ventilation and temperature control in an enclosed space or
compartment of a vehicle and to vehicles, such as cars, lorries or
trucks, having air conditioning means.」(1頁8?13行)
(本発明は,車両の閉鎖された空間又は区画における換気及び温度制御のためのエアコン手段制御装置,並びに自動車,ローリー又はトラックのようなエアコン手段を有する車両に関する。)

イ「Fig. 1 is a perspective view from the rear of the air conditioning
means as installed in the central region of the dashboard or fascia
in the driving compartment of a car,
Fig. 2 is a sectional view of the air conditioning means in Fig. 1」(2頁26?32行)
(図1は,自動車の車室内のダッシュボードや計器板の中央部に取り付けられたエアコン手段を後方から見た透視図である。
図2は,図1のエアコン手段の断面図である。)

ウ「Referring to the drawings, the construction shown comprises a
casing 1 (Fig. 1 and Fig. 2) containing an evaporator 2 forming part
of a refrigeration unit, e.g. operating on a vapour compression cy-
cle, that is of generally known form and that therefore needs no de-
tailed description or illustration. Air is blown by two fans 3 (Fig.
4) through entries 3a in the casing 1, to be cooled as it flows over
the finned tubing of the evaporator. The cooled air leaves the evap-
orator through a condensate trap 5 beyond which a heater 4 is dis-
posed within the casing 1. The heater is operated by any convenient
means, such as the cooling water circuit of the vehicle engine,
which like the refrigeration unit is of conventional design and is
therefore not illustrated or described in detail.」(2頁39?57行)
(図面に関連して示した構造は,例えば蒸気圧縮サイクルで動作する冷房ユニット(これは一般に知られている形態であるから,詳細な説明や図は必要としない)の一部を構成するエバポレータ2を収容するケーシング1(図1及び2)から成り立っている。空気が,二つのファン3(図4)によってケーシング1に設けられた入口3aを通して吹き込まれ,エバポレータのフィンが付いたチューブ上を流れることで冷却される。冷却された空気は,ケーシング1内でヒーター4が上に配置されたコンデンセートトラップ5を通してエバポレータから放出される。ヒーターは,自動車のエンジン冷却水回路のような都合のよい手段によって作動する。これは,冷房装置と同様に従来のデザインであるから,図示や詳細な説明は行なわない。)

エ「



オ「



(3)引用発明

上記(2)ウ及びエを参照すると,「入口3a」が車両左右方向の一側壁の下部に形成されていること,「エバポレータ2」が下側に「ヒーター4」が上側に配置されること,「エバポレータ2」が空気の通過面を略上下方向にして配置され,「入口3a」に導入される空気の流下方向に向かって「エバポレータ2」を見たときに,空気の通過面が右肩下がりに傾斜するよう設けられること,及び「入口3a」が,「エバポレータ2」の下側の空気の通過面と「ケーシング1」の底面とで形成される空間の一側面に開設されていることが読みとれる。
よって,上記(2)ア?オの記載事項を総合すると,引用例1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「エバポレータ2及びヒーター4が配置され,入口3aが車両左右方向の一側壁の下部に形成され,前記エバポレータ2が下側に前記ヒーター4が上側に配置され,前記エバポレータ2が空気の通過面を略上下方向にして配置された自動車のエアコン手段において,
前記エバポレータ2が,前記入口3aに導入される空気の流下方向に向かって前記エバポレータ2を見たときに,空気の通過面が右肩下がりに傾斜するよう設けられ,
前記入口3aが,前記エバポレータ2の下側の空気の通過面とケーシング1の底面とで形成される空間の一側面に開設されている自動車のエアコン手段。」

(4)引用例2

特開平8-104129号公報は,本件特許出願前に日本国内において頒布された刊行物である(以下「引用例2」という。)。
引用例2には,以下の事項が記載されている。

ア「【0017】さらに、冷却用熱交換器(21)を、前記送風空気の送風方向前方側に向かって下方へ傾斜させるとともに、この冷却用熱交換器(21)の傾斜前進端の下方部位に、この冷却用熱交換器(21)とほぼ接するように排水案内部材(21k、21k′)を配置しているから、冷却用熱交換器(21)の傾斜前進端に集まった凝縮水が排水案内部材(21k、21k′)との間でブリッジを作り、排水案内部材(21k、21k′)の表面上を伝わってほぼ連続的に下方へ落下していく。
【0018】従って、冷却用熱交換器(21)が略水平配置で、その下方から送風されるレイアウトであっても、凝縮水を冷却用熱交換器(21)で大きな塊に成長することなく、スムーズに下方へ落下させることができ、凝縮水の排水性を大幅に改善できる。上記作用効果に加えて、請求項3記載の発明では、冷却用熱交換器(21)における熱交換媒体流通用チューブ(21f)を前記送風方向に配列してあるので、このチューブ(21f)の表面上を凝縮水が送風空気に押圧されて、スムーズに冷却用熱交換器(21)の傾斜前進端(図3、5の右側端)に集まるので、凝縮水の排水性をより一層改善できる。
【0019】請求項4記載の発明では、前記冷却用熱交換器(21)の傾斜角を10°?30°の微少角度にしているから、冷却用熱交換器(21)における保水量を少なくして、凝縮水の排水性を改善できる。請求項5記載の発明では、前記排水案内部材(21k、21k′)を、前記エアコンユニットのケース(29a、29b、29c)の側壁面(29a′)との間に空隙(21m)を確保するように、この側壁面(29a′)から離して配置し、この空隙(21m)部分の下方部位に凝縮水排出口(21c)を開口しているから、排水案内部材(21k、21k′)の表面上を伝わってほぼ連続的に下方へ落下してくる凝縮水を何ら障害なく、スムーズに凝縮水排出口(21c)へ排出できる。」

イ「【0031】図6において、仕切り板Cの配管通し穴(図示せず)はゴム等の弾性材で形成されたシール部材(グロメット)Gにてシールするようになっている。また、エバポレータ21と、前記冷媒配管21aとの間には、冷媒を減圧し膨張させる減圧手段としての温度作動式膨張弁21bが配設されている。図7は、エバポレータ21の概略構成を示すもので、アルミニュウム等の熱伝導性、耐食性に優れた金属の薄板を図示上下方向に積層してチューブ21fを構成するとともに、このチューブ21fの間にコルゲートフィン21gを介在して、コア部21hを構成する積層型のものである。
【0032】そして、このコア部21hの一端側に、多数のチューブ21fへの冷媒の分配、および多数のチューブ21fからの冷媒の集合を行うタンク部21eを配置し、コア部21hの他端側でチューブ21f内の冷媒の流れをUターン(矢印イ参照)させるようになっている。タンク部21eには、膨張弁21bで減圧された気液2相冷媒が流入する冷媒入口21i、およびコア部21hで蒸発したガス冷媒が流出する冷媒出口21jが設けられている。
【0033】図3は本実施例装置の組付構造を示すもので、送風機14のファン15はモータ16の回転軸16aに一体に結合された後、樹脂製の下ケース29aに一体成形されたスクロールケーシング17内に配置され、そしてモータ16はそのフランジ部16bにてスクロールケーシング17に取り付けられ固定されている。エバポレータ21は下ケース29aの取付面の上に載置され、その上方から樹脂製の中ケース29bで挟み込むことによりこの両ケース29a、29bの間に固定されるようになっている。
【0034】中ケース29bに一体成形されたスクロールケーシング17の上蓋部17aには前述したベルマウス状吸入口18が開口しており、そしてこのベルマウス状吸入口18の上方に内外気切替箱11が配置され、一体に取り付けられる。ヒータコア22と温水制御弁24は、中ケース29bの取付面の上に載置され、その上方から樹脂製の上ケース29cで挟み込むことによりこの両ケース29b、29cの間に固定されるようになっている。
【0035】上ケース29cには、前述した吹出モード切替部23、センターフェイス吹出空気通路25およびサイドフェイス吹出空気通路26と、フット吹出空気通路27と、デフロスタ吹出空気通路28が設けられ、さらにロータリドア23aが内蔵されている。前記各ケース29a、29b、29c、および内外気切替箱11の結合は、周知の弾力性を持った金属クリップ、あるいはねじ等を使用して、脱着可能になっている。」

ウ「【0042】本実施例では、前述した構成とすることにより、次のような効果が得られる。
○1(注:原文は丸付き数字。以下同様)エバポレータ21およびヒータコア22をともに略水平方向に配置して、上下方向に重ねるレイアウトにして、下側から送風空気を導入し、上側へ空気を導出するようにしているため、エアコンユニットの車両前後方向に送風ダクト部を必要とせず、エアコンユニットの車両前後方向寸法を大幅に縮小できる。
【0043】また、上下方向の熱交換器部スペースも同時に小さくできるので、エアコンユニットの車両への搭載が容易となる。
○2熱交換器配管21a、22aを直接エンジンルームAへ突出させる構成であるから、車室B内でのサブ配管が不要となり、大幅なコストダウン、配管結合作業の簡略化を実現できる。
【0044】○3図3に示すように、空調装置のほとんどの部品が上下方向組付けの形状となっているので、量産時には下から上へ積み上げる、一方向組付によって空調装置の組付けが可能となり、組付けの工数が低減できる。
○4エバポレータ21をその下方へ送風されてくる送風空気の送風方向の前方側へ向かって下方に傾斜しており、またエバポレータ21のチューブ21fも前記送風方向に配列してあるので、このチューブ21fの表面上を凝縮水が送風空気に押圧されて、スムーズにエバポレータ21の傾斜前進端(図5の右側端)に集まる。
【0045】しかも、エバポレータ21の傾斜前進端の下方部位には、エバポレータ21とほぼ接するようにして、上下方向の排水案内プレート21kを配置しているので、図9(c)に示すように、前記傾斜前進端に集まった凝縮水が排水案内プレート21kとの間でブリッジを作り、排水案内プレート21kの表面上を伝わってほぼ連続的に下方へ落下していく。
【0046】従って、エバポレータ21が略水平配置で、その下方から送風されるレイアウトであっても、凝縮水はエバポレータ21で大きな塊に成長することなく、スムーズに下方へ落下していく。このとき、排水案内プレート21kは下ケース29aの側壁面29a′との間に空隙21mを確保するように側壁面29a′から離して形成されており、この空隙21mの下方に凝縮水排出パイプ21cを配置しているので、多数の排水案内プレート21kに沿って落下した凝縮水はスムーズに前記パイプ21cへ流入し、排出される。 なお、凝縮水が排水案内プレート21kとの間でブリッジを作り、排水案内プレート21kの表面上を伝わってほぼ連続的に下方へ落下していく様子は実験により確認できた。
【0047】○5エバポレータ21の凝縮水が下方の空気上流側へ流れ落ちるので、その落下凝縮水は冷却前の温度の高い送風空気で温められる。従って、下ケース29aの外表面温度はさほど低下しないので、この下ケース29aへの露付きが大幅に減少するか、あるいは露付きがなくなるので、通常はケース内側へ装着されるべきインシュレータ(断熱材)を廃止することができ、一層のコストダウンを図ることができる。
(第2実施例)図10は排水案内プレート21kの形状を十字形状に形成して、排水性をより向上させたものである。すなわち、十字形状の排水案内プレート21kによれば、その鍔部210kにより空気流を遮断して、鍔部210kの裏側に空気流の上昇流が形成されない部分を形成できる。
【0048】そのため、凝縮水は鍔部210kの裏側では一層落下し易くなり、排水性を向上できる。なお、第2実施例の変形例として、排水案内プレート21kをT字形状に形成し、T字形状の鍔部裏側を利用して凝縮水の排水性を向上させるようにしてもよい。図11は、第2実施例による数値的効果を示すもので、縦軸は送風機モータ16(図3参照)への印加電圧が12V時の風量をとり、横軸にエバポレータ21の水平面に対する傾斜角度をとったものである。
【0049】図中、実線は第2実施例の十字形状の排水案内プレート21kを配置した場合であり、破線はこの排水案内プレート21kを配置しない場合であり、十字形状の排水案内プレート21kを配置した場合は、凝縮水の排水性を向上できるので、エバポレータ21に保持されている凝縮水の量が減少して、通風抵抗が減少する。その結果、風量を向上でき、空調性能の向上に貢献できる。
【0050】なお、エバポレータ21の傾斜角度は、図11の実験結果からエバポレータ21での保水量を少なくするために10°?30°の範囲にすることが好ましい。
(第3実施例)図12は平板状の排水案内プレート21kを空気流に対して斜め配置し、その裏面211k側に空気流の上昇流の少ない部分を形成し、これにより排水案内プレート21kの裏面側で凝縮水が落下し易いようにしたものである。
(第4実施例)図13は下ケース29aのうち、エバポレータ21の傾斜前進端の下方部分に、排水案内用波形部21k′を形成して、上記排水案内プレート21kに相当する排水案内作用を発揮できるようにしたものである。
【0051】なお、上述の実施例では、排水性向上のための排水案内プレート21kおよび排水案内用波形部21k′を樹脂製の下ケース29aに一体成形しているので、この部材(21k、21k′)を極めて低コストで製造できる利点を有しているが、これらの部材(21k、21k′)は排水性向上の観点からは一体成形の必要はない。それ故、これらの部材(21k、21k′)を別物の部品で単独に形成して、下ケース29aまたはエバポレータ21に適宜の手段で取り付けるようにしてもよい。
【0052】また、エバポレータ21は前述した積層型のものに限らず、多穴偏平チューブを蛇行状に曲げ形成し、この蛇行状チューブにコルゲートフィンを組み合わせた、いわゆるサーペインタイプのものなど、他の形式であってもよい。また、上述の実施例では、空調温度制御手段として、ヒータコア22への温水量を制御する温水制御弁24を使用する、流調リヒート方式のものについて説明したが、ヒータコア22を通過する温風とヒータコア22を通過しない冷風との風量割合を制御するエアミックスダンパを使用するエアミックス方式のものにも本発明は適用できる。」

エ「



オ「



カ「



キ「



ク「



(5)引用例3

特開平6-156049号公報は,本件特許出願前に日本国内において頒布された刊行物である(以下「引用例3」という。)。
引用例3には,以下の事項が記載されている。

ア「【0029】図1は、自動車の車室(12)用の暖房・換気・空調装置(10)を示す。この装置(10)は、自動車の車室(12)とエンジン室(16)とを隔てる垂直な分離隔壁(14)の車室側に取付けられている。防火壁を兼ねる分離隔壁(14)は、自動車の前後方向に対して横断方向を向いている。
【0030】装置(10)は、分離隔壁(14)に垂直方向に装着してあり、必須の物として、自動車の床(20)に近い所に位置する空気ブロワ(18)を備えている。空気ブロワ(18)は、空気分配器(22)の直下方に位置している。
【0031】空気ブロワ(18)のケース(23)は、渦巻形に形成され、分離隔壁(14)斜め上方を向く空気吸入口(24)と、蒸発器(28)を取付けた上向きの空気吐出口(26)とを有している。ケース(23)の中には、後述するモーター駆動のフアンユニット(30)を設置してある。
【0032】また、分離隔壁(14)と分配器(22)との間に、ほぼ垂直方向を向く外気吸入管(32)を設けてある。外気吸入管(32)は、分配器(22)の全高を超えて、ブロワ(18)より高い位置まで延びている。外気吸入管(32)の上端は外気吸入孔(34)に、同じく下端はブロワ(18)の吸入口(24)に接続されている。
【0033】外気吸入孔(34)は、「水分離器」としても作用する。これは、周知のように、風防窓(36)とフード(38)との接続部の近くに設けられている。この構成により、外部からの新鮮な空気は、外気吸入管(32)を通ってブロワ(18)に吸入され、蒸発器(22)を通過して処理された後に、分配器(22)に送られる。
【0034】分配器(22)には、ブロワ(18)の空気吐出口(26)に連通する下向きの空気取入れ口(40)がある。空気取入れ口(40)は、外気導通分岐管(42)と、放熱器と称される熱交換器(46)を取付けた加熱空気分岐管(44)とに連通している。
【0035】制御弁(48)は、2つの分岐管(42)と(44)とに流れる空気を分配して、各部の吹出し口を通して車室(12)内に送られる空気の温度を調節する。
【0036】この実施例では、分配器(22)は、風防窓(36)の下端部に、少なくとも1個の空気吹出し口(50)を有し、風防窓(36)の氷結や曇りを防ぐようにしてある。空気吹出し口(50)の風量は、枢動するフラップ弁(52)によって制御される。
【0037】また、分配器(22)は、車室(12)の低所に向けて開口する少なくとも1個の吹出し口(54)を備え、図示しない適宜の管路を経て、搭乗者の足付近に送風するようにしてある。空気吹出し口(54)の風量は、別のフラップ弁(56)によって制御される。
【0038】さらに分配器(22)は、側面に位置する少なくとも1個の別の空気吹出し口(58)と、中央に位置する1個の空気吹出し口(60)とを備えている。空気吹出し口(58)及び(60)の風量は、別の1個の枢動するフラップ弁(62)によって制御される。
【0039】装置(10)の全体は、自動車の計器板(66)に、ほぼ垂直な姿勢で取付けられたハウジング(64)の中に装着されている。
【0040】モーター駆動のフアンユニット(30)により送られた空気は、蒸発器(28)を通って、必要に応じて冷却及び除湿された後、あるいは同じく必要に応じて熱交換器(46)で加熱された後、各制御弁(52)(56)(62)の設定に基づいて、各吹出し口(50)(54)(58)(60)から車室(12)内に送り出される。
【0041】さらに装置(10)は、蒸発器(28)で凝集した水分を排出する排出管(68)を備えている。この排出管(68)は、蒸発器(28)に連通し、ブロワ(18)のケース(23)に沿って下方に延びている。排出管(68)の下端には、凝集水分を自動車の下に排出するための開口(70)を設けてある。」

イ「



(6)訂正発明3と引用発明との対比

訂正発明3と引用発明とを対比すると,後者の「エバポレータ2」は前者の「エバポレータ(32)」に相当する。以下同様にして,後者の「ヒーター4」,「配置され」,「入口3a」,「自動車のエアコン手段」及び「ケーシング1」は,それぞれ前者の「ヒータコア(33)」,「設けられ」,「取入空気の入口(40)」,「自動車用空調ユニット(30)」及び「ケーシング(31)」に相当する。

したがって,両者は,
「エバポレータ(32)およびヒータコア(33)が設けられ、取入空気の入口(40)が車両左右方向の一側壁の下部に形成され、前記エバポレータが下側に前記ヒータコアが上側に配置され、前記エバポレータが空気の通過面(32b)を略上下方向にして配置された自動車用空調ユニット(30)において、
前記エバポレータ(32)が、前記入口(40)に導入される空気の流下方向(A1)に向かって前記エバポレータを見たときに、前記空気通過面(32b)が右肩下がりに傾斜するよう設けられ、
前記取入空気の入口(40)が、前記エバポレータの下側の空気通過面(32b)とケーシング(31)の底面とで形成される空間の一側面に開設されている自動車用空調ユニット。」
である点で一致し,次の点で相違する。

相違点3-1 エバポレータの傾斜角度が,訂正発明3では10°?40°であるのに対し,引用発明では特定されていない点

相違点3-2 エバポレータが,訂正発明3では,車両のエンジンルーム側が車両後方側と比較して高くなるよう傾斜しているのに対して,引用発明では,車両前方側が車両後方側と比較して高くなるよう傾斜しているが,車両前方側と車両のエンジンルーム側が同じ側であるかどうか不明な点

(7)訂正発明3についての判断

ア 相違点3-1について
引用例2には,車両用のエアコンユニットにおいて,エバポレータにおける通風抵抗を低減し,空調性能を向上するため,エバポレータの傾斜角度を10°?30°として凝縮水の排水性を促進する技術事項が記載されている(上記(4)アの【0019】,ウの【0048】?【0050】,キ及びク)。
通風抵抗の低減・空調性能の向上は,自動車用空調ユニットの一般的な課題であるから,引用発明におけるエバポレータの傾斜角度として,引用例2に記載された技術事項を参照し,10°?40°の範囲内とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点3-2について
自動車において,車両前方にエンジンルームを配置する構成,すなわち車両前方側をエンジンルーム側とする構成は,FFやFRとして本件特許出願前から広く採用されているレイアウトであって,慣用技術にすぎない。(必要であれば,上記(4)ウの【0043】及びエ参照)

ウ 発明の奏する効果について
訂正発明3では,ケーシング底面の傾斜角度やケーシング底面とエバポレータの間隔についての特定がなく,エバポレータの傾斜角度を10?40°の範囲に特定することが空気通路の通気抵抗抑制という効果に直結するとはいえない。一方,引用例2においては,ケーシング底面の傾斜角度等によらず,エバポレータの傾斜角度自体を特定の範囲に限定することで凝縮水の排出を促して通風抵抗の減少をもたらしており(上記(4)ウの【0048】?【0050】及びク),当該技術事項を,同様に通風抵抗が問題となり得る引用発明に適用することは当業者にとって容易である。
本件特許では主としてエバポレータの傾斜角度に注目して通気抵抗を論じており,引用例2では主としてエバポレータに付着する凝縮水に注目して通風抵抗を論じているが,他の要素として,空気通路のレイアウトも通風抵抗に大きく影響することは技術常識である。そうすると,ケーシング内の部品の配置や空気通路の蛇行の程度をどのように工夫するかは,通風抵抗とコンパクト化のバランス等も考慮して,当業者が適宜決めるべき設計事項ともいえる。
したがって,訂正発明3の全体構成によって奏される作用効果について見ても,引用発明及び引用例2に記載された技術事項から当業者が予測し得る範囲内のものである。

エ 審判請求人の主張について
審判請求人は,平成29年1月11日付け意見書において,「引用例2の傾斜角度は,送風空気の送風方向と同一方向に延びるように配置されていることを前提としたものである。これに対し,訂正発明3の傾斜角度は,送風空気の送風方向とは直行する方向であるから,両者はその前提において相違する。そして,送風空気の送風方向と直行する方向におけるエバポレータの傾斜角度について検討し,エバポレータの傾斜角度を10?40°と特定する技術思想が公知であるという証拠は存在しない。」と主張している(8頁下から2行?9頁6行)。
しかし,エバポレータの下面側から上面側への送風が,上下面間の圧力差によって行なわれる点において,訂正発明3と引用例2のものは共通しており,送風方向が引用例2の傾斜角度にもたらす影響は,限定的なものと認められる。数値的効果を示す図11(上記(4)ク)を参照しても,傾斜角度5°と15°以上では通風抵抗に大きな違いがあることが読み取れるから,通風抵抗の低減には重力が大きく寄与している。そうすると,引用例2に接した当業者が,送風方向と直交するか否かで適切な傾斜角度に顕著な相違があると認識するとはいえない。

審判請求人は,同意見書において,「引用発明は,コンデンセート・トラップ(a condensate trap)5により,エバポレータ2の上面側で凝縮水を捕らえて排水する設計思想であるのに対し,引用例2に記載された技術事項は,エバポレータ21の下端に排水案内プレート21Kを設け,これにより排水するものである。すなわち,両者は,エバポレータでの凝縮水の排水思想が全く異なるものである。」,「引用発明に引用例2に記載された技術事項を適用する動機付けは存在せず,むしろ阻害要因がある。」とも述べている(9頁8?20行)。
しかし,引用例1には,コンデンセートトラップ(a condensate trap)5が排水のために設けられたものである点の記載はなく,排水思想が異なるとまではいえない。当該コンデンセートトラップ5は,例えば送風量が大きいような場合に,エバポレータ2の上面側から下流へ向かって凝縮水が飛沫となって飛んでいくのを阻止するものと認められ,凝縮水の大半は,コンデンセートトラップ5に捕らえられるまでもなく,重力によって適切に排水されることが想定される。引用例2に開示されたもののように,エバポレータの凝縮水を重力で排水することが周知の技術事項であったこと,「送風空気の圧力」によってエバポレータを通して送風が行なわれる点で,引用発明と引用例2のものが共通することを考慮すると,引用例2に開示された傾斜角度10?30°を引用発明に適用する動機付けに欠けるところはなく,引用発明に引用例2に記載された技術事項を適用することに,審判請求人のいうような阻害要因はない。

審判請求人は,同意見書において,「訂正拒絶理由では,図面に基づく訂正が訂正要件を満たすとは認めていない」,「図面の記載から訂正事項3,5の訂正を行うことが訂正要件を満たすことを認めないのであれば,引用発明を,『エバポレータが下側にヒータコアが上側に配置され,エバポレータが空気の通過面を略上下方向にして配置された自動車用空調ユニットにおいて,エバポレータが,取入空気の入口に導入される空気の流下方向に向かってエバポレータを見たときに,空気の通過面が右肩下がりに傾斜し,かつ車両前方側が車両後方側と比較して高くなるよう傾斜して設けられている』と認定することは誤りであ」ると主張している(10頁7行?20行)。
しかし,平成28年12月8日付け訂正拒絶理由において当審が示したのは,単に「図面に基づく訂正」であるという理由によって旧訂正事項3及び5が「訂正要件を満たすとは認め」「ない」という判断を示したものではない。このことは,「【図4】及び【図3】には,取入空気の入口(40)を表す図形が一つ例示されるのみであり,当該例示以外にも様々な形状をとり得る取入空気の入口について,室内側の高さ寸法がエンジンルーム側の高さ寸法よりも小さいという特定の技術的思想が開示されているということはできない。また,当該技術的思想が,明細書及び図面に記載した事項から自明な事項であるとも認められない」(第2 1(1)イ),「【図3】には,膨張弁(EX)が,二つの冷媒タンク(32a)のうち,下方に位置するものと同程度の高さで配置されているものが例示されているが,訂正事項5の『対応した高さ』という記載は,必ずしも【図3】に例示した高さに特定する表現ではない。そうすると,『膨張弁(EX)が』『前記冷媒タンク(32a)に対応した高さで配置されている』点を特定する訂正事項5は,願書に添付した明細書等に記載した事項から導かれる事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであるから,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内でしたものでない。」(第2 1(2)イ)等の記載からも明らかである。
引用例1の図1及び図2(上記(2)エ及びオ)から,各部品の具体的な寸法や傾斜角度等を読み取って引用発明とすることが適切でないとしても,エバポレータとヒータコアの上下関係や,導入空気の流下方向に向かって見たときに,エバポレータの空気の通過面が左右(又は車両の前後)いずれに傾斜するか等の部品配置の概要を読み取ることは,特許出願公告の図面の性格を考慮しても十分可能である。すなわち,上記(3)の引用発明の認定は妥当である。

よって,上記審判請求人の主張には,いずれも理由がない。

オ したがって,訂正発明3は,引用発明及び引用例2に記載された技術事項並びに慣用技術に基いて,当業者が容易に想到し得たものである。

(8)訂正発明4?8について

ア 訂正発明4
自動車用空調ユニットにおいて,エバポレータに冷媒の集合・分配のための冷媒タンクを設けることは,慣用技術にすぎず,引用例2には,エバポレータ(21)を冷媒タンク(タンク部21e)側が高くなるよう傾斜させる技術事項が記載されている(上記(4)イの【0032】及びエ)。
よって,引用発明におけるエバポレータにおいて,車両前方側をエンジンルーム側とする構成を採用する場合に,引用例2に記載された技術事項を参照し,傾斜によって高くなる車両前方側に冷媒タンクを位置させることは,当業者が容易に想到し得たことである。

イ 訂正発明5
自動車用空調ユニットにおいて,冷媒タンクと連通する膨張弁を冷媒タンクに取り付けることは,周知の技術事項である(例えば上記(4)イの【0031】,【0032】及びエ参照)。当該膨張弁を,車両のダッシュパネル及び空調ユニットのケーシングを貫通して取り付けることも,設計事項にすぎない。
よって,訂正発明5は,引用発明及び引用例2に記載された技術事項並びに周知・慣用技術に基いて,当業者が容易に想到し得たものである。

ウ 訂正発明6
例えば上記(4)エ及びオに示されるように,自動車用空調ユニットにおいて,エバポレータだけでなくヒータコアの空気の通過面をも略上下方向にして配置することは,周知の技術事項である。
よって,訂正発明6は,引用発明及び引用例2に記載された技術事項並びに周知・慣用技術に基いて,当業者が容易に想到し得たものである。

エ 訂正発明7
自動車用の空調において,ヒータコアの上側に,ベント吹出口,デフロスト吹出口及びフット吹出口を形成することは,周知の技術事項である(例えば上記(5)アの【0036】?【0038】及びイ参照)。
よって,訂正発明7は,引用発明及び引用例2に記載された技術事項並びに周知・慣用技術に基いて,当業者が容易に想到し得たものである。

オ 訂正発明8
(ア)相違点
訂正発明8と引用発明とを比較すると,両者は次の点において相違する。

相違点8-1 エバポレータの傾斜角度が,訂正発明8では10°?40°であるのに対し,引用発明では特定されていない点

相違点8-2 訂正発明8が自動車用空調ユニットとインテークユニットとが車両左右方向に沿って配置された自動車用空気調和装置であるのに対し,引用発明は自動車用空調ユニットである点

(イ)判断
相違点8-1については,上記相違点3-1と実質的に同じものであり,上記(6)アを参照のこと。
相違点8-2について,自動車用空調ユニットとインテークユニットとを車両左右方向に沿って配置することは,周知の技術事項である(例えば上記(4)ウ参照)。引用発明において,取入空気の入口は車両左方向に開口していることから,当該周知の技術事項を適用することは当業者が容易になし得ることである。
したがって,訂正発明8は,引用発明及び引用例2に記載された技術事項並びに周知・慣用技術に基いて,当業者が容易に想到し得たものである。

(9)小括
上記(6)?(8)から,訂正発明3?8は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができるものでない。


第7 むすび

以上のとおり,訂正事項3,4,6?8は,特許法第126条第7項の規定に適合しない。よって,訂正発明3?8を含む訂正後の請求項1?8からなる一群の請求項についてする,本件訂正審判請求に係る訂正は認められない。

よって,結論のとおり審決する。
 
別掲 (附加期間がある場合は,その日数を附加します。)以内に,特許庁長官
を被告として,提起することができます。
 
審理終結日 2017-03-22 
結審通知日 2017-03-24 
審決日 2017-04-05 
出願番号 特願平9-63871
審決分類 P 1 41・ 121- Z (B60H)
P 1 41・ 856- Z (B60H)
P 1 41・ 851- Z (B60H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 莊司 英史田中 一正神崎 孝之  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 結城 健太郎
窪田 治彦
登録日 2005-09-22 
登録番号 特許第3721529号(P3721529)
発明の名称 自動車用空調ユニットおよび空気調和装置  
代理人 ▼廣▲瀬 文雄  
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