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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1328465
審判番号 不服2016-13724  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-13 
確定日 2017-06-09 
事件の表示 特願2011-280570「半導体装置及び半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 7月 4日出願公開、特開2013-131653、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年12月21日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成27年10月 9日 拒絶理由通知
平成27年12月 1日 意見書・手続補正書
平成28年 6月13日 拒絶査定
平成28年 9月13日 審判請求・手続補正書
平成29年 2月28日 拒絶理由通知(当審)
平成29年 3月30日 意見書・手続補正書

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年3月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載される事項により特定される、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
基板の上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の表面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程と、
前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面に第1の導電膜を形成する工程と、
前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面、及び前記第1の導電膜の側面に第2の導電膜を形成する工程と、
前記第2の導電膜の上に第3の導電膜を形成する工程と、
前記第1の導電膜、前記第2の導電膜及び前記第3の導電膜を形成した後に、熱処理を行なう工程と、
を有し、
前記第1の導電膜は、窒化物又はタングステンを含む材料により形成されており、
前記第2の導電膜は、金属材料により形成され、
前記第3の導電膜は、前記第2の導電膜に含まれる前記金属材料とは異なる金属材料であってAlを含み、
前記熱処理の温度は、400℃以上、700℃以下であり、
前記第1の導電膜を形成する工程は、
前記開口部にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンが形成されている面に、第1の導電膜を成膜する工程と、
前記レジストパターンの上に形成されている第1の導電膜を前記レジストパターンとともにリフトオフにより除去する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。」

第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
原査定の理由の概要は、次のとおりである。
「この出願については、平成27年10月 9日付け拒絶理由通知書に記載した理由1によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

備考
●理由1(特許法第29条第2項)について

・請求項 1
・引用文献等 1,4,5
・備考
上記拒絶理由通知書において引用した引用文献1(第2頁右上欄第13行ないし同頁左下欄第4行、第3頁右上欄第19行ないし第5頁右上欄第4行、第1図参照)には、基板21上に絶縁膜22を形成し、絶縁膜22にコンタクトホール23を形成し、コンタクトホール23内の絶縁膜22側壁に金属層24を形成し、コンタクトホール23内に露出された基板21及び金属層24を覆うようにタングステン層25を形成する半導体装置の製造方法(以下、『引用発明1』という。)が記載されている。引用発明1の『絶縁膜22』、『コンタクトホール23』、『金属層24』及び『タングステン層25』は、それぞれ本発明の『絶縁膜』、『開口』、『第1導電膜』及び『第2導電膜』に相当し、両者は『絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の底面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程と、前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面に第1の導電膜を形成する工程と、前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面、及び前記第1の絶縁膜の側面に第2の導電膜を形成する工程と、』『を有し、前記第1の導電膜は、窒化物又はタングステンを含む材料により形成されており、前記第2の導電膜は、金属材料により形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。』である点で一致する。引用発明1は、基板21の上に半導体層を形成する工程を有さない点(相違点1)、及び、熱処理を行う工程を有さない点(相違点2)で、本発明と相違する。
相違点1について検討する。半導体装置を基板上の半導体層に形成することは、例えば、上記拒絶理由通知書において引用した引用文献4(0030段落ないし0043段落参照)及び引用文献5(0034段落参照)に記載されているように周知慣用技術であり、引用発明1において半導体装置を基板上の半導体層に形成することは、当業者が容易になし得たことである。
相違点2について検討する。引用文献4(0042段落及び0043段落参照)及び引用文献5(0041段落参照)に記載されているように、電極となる金属膜を形成した後に良好なオーミック特性を得るために熱処理を行うことは周知技術であり、引用発明1は電極のコンタクトを良好に行うことを目的とするものであるから、上記周知技術に基づき引用発明1において良好なオーミック特性を得るよう熱処理を行うことは、当業者が容易になし得たことである。
出願人は意見書において、引用文献4及び5に記載された熱処理工程を引用発明1に適用する動機づけはなく、後知恵にすぎない旨主張しているが、上記において相違点2について検討したとおり、引用発明1と、引用文献4及び5に記載された発明とは、いずれもコンタクト特性を得るという共通の課題を持つものであるから、動機づけがないとは認められない。よって、上記出願人の主張を採用することはできない。
したがって、本発明は、引用文献1、4及び5に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

・請求項 2
・引用文献等 1,4,5
・備考
引用文献4及び5には、電極となる金属膜を形成した後、550℃の温度で熱処理を行うことが記載されている。
その他の点については、上記において請求項1について検討したとおりであるから、本発明は、引用文献1、4及び5に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

・請求項 3
・引用文献等 1,4,5
・備考
引用文献1には、『金属層24』を形成した後レジストをマスクとした異方性エッチングによりコンタクトホール内に基板を露出することが記載されている。
その他の点については、上記において請求項1について検討したとおりであるから、本発明は、引用文献1、4及び5に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

<引用文献等一覧>
1.特開平2-166731号公報
4.特開2011-71307号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2011-210751号公報(周知技術を示す文献)」

2 原査定の理由についての当審の判断
(1)引用文献1、4及び5の記載事項並びに引用発明
ア 引用文献1の記載事項及び引用発明
(ア)引用文献1の記載事項
原査定の理由に引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開平2-166731号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(当審注.下線は、参考のために、当審において付したものである。以下において同じ。)
a「〔従来の技術〕
以下、従来技術について説明する。
第3図(a)?(e)は従来の半導体装置の製造方法を説明する図である。図示例の半導体装置の製造方法は例えばバイポーラトランジスタ等の半導体装置の製造方法に適用することができる。
この図において、21はSiからなる基板、22は例えばSiO_(2)からなる絶縁膜、23はコンタクトホール、24は例えば(W、TiWや、TiN、WN等の金属窒化膜等でも良い)Tiからなる金属層、25は配線として機能するタングステン(W)層、26はAlからなる配線層である。」(2ページ上右欄13行ないし下左欄4行)
b「〔課題を解決するための手段〕
本発明による半導体装置の製造方法は上記目的達成のため、基板上にコンタクトホールを有するように絶縁膜を形成する工程と、スパッタ法により前記コンタクトホール内及び前記絶縁膜を覆うように金属層を形成する工程と、異方性エッチングにより前記金属層を選択的にエッチングして前記コンタクトホール内に前記基板を露出させるとともに、前記コンタクトホール内の前記絶縁膜側壁に前記金属層を残す工程と、化学気相成長法により前記コンタクトホール内に露出された前記基板及び前記金属層を覆うようにタングステン層を形成する工程と、前記タングステン層をエッチングして前記コンタクトホール内に埋め込む工程と、埋め込まれた前記タングステン層とコンタクトを採るように配線層を形成する工程とを含むものである。」(3ページ上右欄19行ないし下左欄15行)
c「〔作用〕
本発明は、基板上にコンタクトホールを有するように絶縁膜が形成され、スパッタ法によりコンタクトホール内及び絶縁膜が覆われるように金属層が形成された後、異方性エッチングにより金属層が選択的にエッチングされてコンタクトホール内に基板が露出されるとともに、コンタクトホール内の絶縁膜側壁に金属層が残される。次いで、化学気相成長法により露出された基板及び金属層が覆われるようにタングステン層が形成され、タングステン層がエッチングされてコンタクトホール内に埋め込まれた後、埋め込まれたタングステン層とコンタクトを採るように配線層が形成される。
したがって、第1図(d)に示すように、CVD法によりタングステン層25がコンタクトホール23を覆って形成される際、第2図に示すように、タングステンはSiからなる基板21上を成長する成長速度(A部)とスパッタ法により形成した金属層24上を成長する成長速度(B部)とが異なっており、Siからなる基板21上を成長する成長速度の方が速くなっている。このため、コンタクトホール23を覆ってタングステン層25を形成する際、コンタクトホール23内の露出された基板21上の方(第2図に示すA部)がコンタクトホール23内の金属層24横方向(B部)よりも成長速度が大きく厚く形成することができるため、タングステン層25に中空を入り難くすることができ、第1図(e)に示すように、タングステン層25をエッチバックしてコンタクトホール23内に埋め込む際、露出された基板21上にタングステン層25を厚く形成することができるため、コンタクトホール23内の基板21をエッチングされ難くすることができる。そして、コンタクトホール23内に形成される基板拡散層をエッチングされ難くすることができ、コンタクトホール23内のコンタクトを良好に行って素子特性を良好にすることができる。」(3ページ下左欄17行ないし4ページ上左欄13行)
d「〔実施例〕
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
第1図及び第2図は本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施例を説明する図であり、第1図(a)?(f)は一実施例の製造工程を説明する図、第2図は一実施例の効果を説明する図である。
これらの図において、第3図(a)?(e)と同一符号は同一または相当部分を示し、1はレジスト膜である。
なお、金属層24は絶縁膜22とタングステン層25に対して密着膜として機能しうるものである。
次に、その製造工程について説明する。
まず、第1図(a)に示すように、例えばCVD法により基板21上にSiO_(2)を堆積して膜厚が例えば1μmの絶縁膜22を形成した後、例えばRIE法により絶縁膜22を選択的にエッチングして直径が例えば0.5φのコンタクトホール23を形成する。これが本発明の、基板上にコンタクトホールを有するように絶縁膜を形成する工程に該当する。
次に、第1図(b)に示すように、スパッタ法によりコンタクトホール23内及び絶縁膜22を覆うようにTiを堆積して膜厚が例えば500Åの金属層24を形成する。これが本発明の、スパッタ法によりコンタクトホール内及び絶縁膜を覆うように金属層を形成する工程に該当する。
次に、第1図(c)に示すように、金属層24上にレジスト膜1を選択的に形成し、このレジスト膜1をマスクとして異方性エッチングにより金属層24を選択的にエッチングしてコンタクトホール23内に基板21を露出させるとともに、コンタクトホール23内の絶縁膜22側壁に金属層24を残す。これが本発明の、異方性エッチングにより金属層を選択的にエッチングしてコンタクトホール内に基板を露出させるとともに、コンタクトホール内の絶縁膜側壁に金属層を残す工程に該当する。
次に、第1図(d)に示すように、レジスト膜1を除去した後、CVD法によりコンタクトホール内に露出された基板21及び金属層24を覆うようにタングステン層25を形成する。これが本発明の、化学気相成長法によりコンタクトホール内に露出された基板及び金属層を覆うようにタングステン層を形成する工程に該当する。ここでのCVD法に用いられる還元ガスとしてはH_(2)ガスまたはSiH_(4)ガスが挙げられるが、H_(2)ガスを用いると基板21を侵食し易いので基板21を侵食し難いSiH_(4)ガスを用いるのが好ましい。
次に、第1図(e)に示すように、タングステン層25をエッチバックしてコンタクトホール23内に埋め込む。これが本発明の、タングステン層をエッチングしてコンタクトホール内に埋め込む工程に該当する。
そして、第1図(f)に示すように、スパッタ法により埋め込まれたタングステン層25とコトタクトを採るようにAlを堆積して配線層26を形成する。これが本発明の、埋め込まれたタングステン層とコンタクトを採るように配線層を形成する工程に該当する。なお、コンタクトホール23内の基板21には通常、第1図(a)に示すコンタクトホール23形成後、イオン注入しアニール熱処理することにより基板拡散層が形成される。
すなわち、上記実施例では、第1図(c)に示すように、コンタクトホール23内に基板21を露出させるとともに、コンタクトホール23内の絶縁膜22側壁に金属層24を残るようにした後、第1図(d)に示すように、CVD法により、コンタクトホール23内に露出された基板21及び金属層24を覆うようにタングステン層25を形成している。ここで、CVD法によりタングステン層25がコンタクトホール23を覆って形成される際、第2図に示すように、タングステンはSiからなる基板21上を成長する成長速度(A部)とスパッタ法により形成した金属層24上を成長する成長速度(B部)とが異なっており、Siからなる基板21上を成長する成長速度の方が速くなっている。このため、コンタクトホール23を覆ってタングステン層25を形成する際、コンタクトホール23内の露出された基板21上(第2図に示すA部)の方がコンタクトホール23内の金属層24横方向(B部)よりも成長速度が大きく厚く形成することができるため、タングステン層25に中空を入り難くすることができる。そして、タングステン層25をエッチバックしてコンタクトホール23内に埋め込む際、露出された基板21上にタングステン層25を厚く形成することができるため、コンタクトホール23内の基板21をエッチングされ難くすることができる。したがって、コンタク1ホール23内に形成される基板拡散層をエッチングされ難くすることができ、コンタクトホール23内のコンタクトを良好に行って素子特性を良好にすることができる。」(4ページ上左欄15行ないし5ページ上右欄4行)

(イ)引用発明
上記(ア)の引用文献1の記載と当該技術分野における技術常識より、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「Siからなる基板21上にSiO_(2)を堆積して絶縁膜22を形成する工程と、
前記絶縁膜22を選択的にエッチングしてコンタクトホール23を形成する工程と、
スパッタ法により、前記コンタクトホール23内及び前記絶縁膜22を覆うようにTiを堆積して金属層24を形成する工程と、
前記金属層24上にレジスト膜1を選択的に形成し、このレジスト膜1をマスクとして異方性エッチングにより前記金属層24を選択的にエッチングして前記コンタクトホール23内に前記基板21を露出させるとともに、前記コンタクトホール23内の前記絶縁膜22側壁に前記金属層24を残す工程と、
前記レジスト膜1を除去する工程と、
CVD法により、前記コンタクトホール23内に露出された前記基板21及び前記金属層24を覆うように、タングステン層25を形成する工程と、
前記タングステン層25をエッチバックして前記コンタクトホール23内に埋め込む工程と、
埋め込まれた前記タングステン層25とコンタクトを採るようにAlを堆積して配線層26を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。」

イ 引用文献4の記載事項
原査定の理由に引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2011-71307号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0030】
3-3.チャネル層
チャネル層3は、基板1の上に設けられ、ソース電極6とドレイン電極8との間の電流が流れうるものであれば特に限定されない。
・・・
【0037】
また、チャネル層3は、例えば、基板1の上にCVDにより形成することができる。
・・・
【0039】
3-4.バリア層
バリア層4は、チャネル層3の上に設けられ、チャネル層3との界面にヘテロ接合を形成すれば特に限定されない。
・・・
【0041】
また、バリア層4は、例えば、チャネル層3の上にCVDにより形成することができる。
【0042】
3-5.ソース電極
ソース電極6は、バリア層4上にソース電極6、ゲート電極7およびドレイン電極8の順で離間して設けられるように設けられ、第1のn型不純物拡散領域12の直上に設けられる電極であれば、特に限定されない。ソース電極6を形成するのに用いる金属は、例えば、Ti、Zr、Hf、Al、AlSi、W、WN、Au、Ptから選択された少なくとも一種の金属を用いることができる。ソース電極6は例えば、Hf/Al/Au、Ti/Pt/Auからなる電極とすることができる。
・・・
また、ソース電極6は、真空蒸着法、スパッタ法などにより形成した後、熱処理を行うことができる。熱処理は、特に限定されないが、例えば、550℃で1分間行うことができる。このことにより、ソース電極6とチャネル層3は、第1のn型不純物拡散層12を介してオーミック接続することができる。
【0043】
3-6.ドレイン電極
ドレイン電極8は、バリア層4上にソース電極6、ゲート電極7およびドレイン電極8の順で離間して設けられるように設けられ、第2のn型不純物拡散領域13の直上に設けられる電極であれば、特に限定されない。ドレイン電極8を形成するのに用いる金属は、例えば、Ti、Zr、Hf、Al、AlSi、W、WN、Au、Ptから選択された少なくとも一種の金属を用いることができる。ドレイン電極8は例えば、Hf/Al/Au、Ti/Pt/Auからなる電極とすることができる。
・・・
また、ドレイン電極8は、真空蒸着法、スパッタ法などにより形成した後、熱処理を行うことができる。熱処理は、特に限定されないが、例えば、550℃で1分間行うことができる。このことにより、ドレイン電極8とチャネル層3は、第2のn型不純物拡散層12を介してオーミック接続することができる。」

ウ 引用文献5の記載事項
原査定の理由に引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2011-210751号公報(以下「引用文献5」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0034】
まず、基板(図示せず)上に、III族窒化物半導体によりチャネル層901を形成する(チャネル層形成工程)。次に、チャネル層901上に、AlN等により、障壁層909を形成する。さらに、障壁層909上面(チャネル層901上方)に、III族窒化物半導体をヘテロ接合させてもう一層の障壁層902を形成する(障壁層形成工程)。
・・・
【0041】
さらに、前記凹部の側面および底面を介して前記n型導電層領域にオーミック接触するオーミック電極(ソース電極906およびドレイン電極907)を形成する(オーミック電極形成工程)。前記オーミック電極の形成材料は特に制限されないが、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、白金(Pt)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)もしくは金(Au)、それらの酸化物、およびそれらの窒化物からなる群から選択される少なくとも一つから形成することが好ましい。例えば、Ti/Al/Nb/Au構造またはTi/Mo/Au構造など、前記金属の積層体により、オーミック電極を形成しても良い。オーミック・アロイ条件はノンアロイでも比較的良好なオーミック接触特性を得ることができるが、オーミック・アロイを行えば、さらに低抵抗化し、かつ熱安定性に関して信頼性の高いオーミック電極を得ることが出来る。前記オーミック・アロイは、例えば、550℃未満の低温条件で行っても良い。」

(2)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明における「絶縁膜22」は、本願発明における「絶縁膜」に相当するといえる。
そして、引用発明における「Siからなる基板21上にSiO_(2)を堆積して絶縁膜22を形成する工程」と、本願発明における「前記半導体層の上に絶縁膜を形成する工程」とは、「絶縁膜を形成する工程」である点において共通し、下記相違点1-1において相違するといえる。
イ 引用発明における「コンタクトホール23」は、「開口部」であるといえる。
また、引用発明における「前記絶縁膜22を選択的にエッチングしてコンタクトホール23を形成する工程」においては、絶縁膜22の所定の領域にコンタクトホール23を形成しているといえる。
さらに、上記(1)ア(ア)dの引用文献1の記載(4ページ上右欄7行ないし14行)及び引用文献1の第1図(a)の記載より、引用発明における「コンタクトホール23」は、「絶縁膜22」の側面を露出させるものであるといえる。
そうすると、引用発明における「コンタクトホール23」は、下記相違点1-2を除き、本願発明における「開口部」に相当するといえ、引用発明における「前記絶縁膜22を選択的にエッチングしてコンタクトホール23を形成する工程」と、本願発明における「前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の表面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程」とは、「前記絶縁膜の所定の領域に、前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程」である点において共通し、下記相違点1-2において相違するといえる。
ウ 引用発明における「金属層24」が導電性を有することは明らかである。また、上記(1)ア(ア)dの引用文献1の記載(4ページ上右欄15行ないし18行)より、引用発明における「金属層24」は、膜状のものであるといえる。したがって、引用発明における「金属層24」は、「導電膜」であるといえる。
また、上記(1)ア(ア)dの引用文献1の記載(4ページ上右欄15行ないし下左欄10行)及び引用文献1の第1図(a)ないし(c)の記載より、引用発明における「スパッタ法により、前記コンタクトホール23内及び前記絶縁膜22を覆うようにTiを堆積して金属層24を形成する工程と、前記金属層24上にレジスト膜1を選択的に形成し、このレジスト膜1をマスクとして異方性エッチングにより前記金属層24を選択的にエッチングして前記コンタクトホール23内に前記基板21を露出させるとともに、前記コンタクトホール23内の前記絶縁膜22側壁に前記金属層24を残す工程」においては、コンタクトホール23により露出した絶縁膜22の側面に金属膜24を形成しているといえる。
そうすると、引用発明における「金属層24」は、本願発明における「第1の導電膜」に相当するといえ、引用発明における「スパッタ法により、前記コンタクトホール23内及び前記絶縁膜22を覆うようにTiを堆積して金属層24を形成する工程と、前記金属層24上にレジスト膜1を選択的に形成し、このレジスト膜1をマスクとして異方性エッチングにより前記金属層24を選択的にエッチングして前記コンタクトホール23内に前記基板21を露出させるとともに、前記コンタクトホール23内の前記絶縁膜22側壁に前記金属層24を残す工程」と、本願発明における「前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面に第1の導電膜を形成する工程」とは、「前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面に第1の導電膜を形成する工程」である点において共通するといえる。
エ 引用発明における「タングステン層25」が導電性を有することは明らかであるから、引用発明における「タングステン層25」と、本願発明における「第2の導電膜」とは、「導電性物質」である点において共通するといえる。
また、上記(1)ア(ア)dの引用文献1の記載(4ページ下左欄11行ないし下右欄6行)及び引用文献1の第1図(c)ないし(e)の記載より、引用発明における「CVD法により、前記コンタクトホール23内に露出された前記基板21及び前記金属層24を覆うように、タングステン層25を形成する工程と、前記タングステン層25をエッチバックして前記コンタクトホール23内に埋め込む工程」においては、コンタクトホール23により露出した基板21の表面、及び金属層24の側面に、タングステン層25を形成しているといえる。
そうすると、引用発明における「CVD法により、前記コンタクトホール23内に露出された前記基板21及び前記金属層24を覆うように、タングステン層25を形成する工程と、前記タングステン層25をエッチバックして前記コンタクトホール23内に埋め込む工程」と、本願発明における「前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面、及び前記第1の導電膜の側面に第2の導電膜を形成する工程」とは、「前記第1の導電膜の側面に導電性物質を形成する工程」である点において共通し、下記相違点1-2及び1-3において相違するといえる。
オ 引用発明における「配線層26」が導電性を有することは明らかであり、また、上記(1)ア(ア)dの引用文献1の記載(4ページ下右欄7行ないし12行)より、引用発明における「配線層26」は、膜状のものであるといえる。したがって、引用発明における「配線層26」は、「導電膜」であるといえる。
また、上記(1)ア(ア)dの引用文献1の記載(4ページ下右欄7行ないし10行)及び引用文献1の第1図(f)の記載より、引用発明における「埋め込まれた前記タングステン層25とコンタクトを採るようにAlを堆積して配線層26を形成する工程」においては、タングステン層25の上に配線層26を形成しているといえる。
そうすると、引用発明における「配線層26」は、本願発明における「第3の導電膜」に相当するといえ、引用発明における「埋め込まれた前記タングステン層25とコンタクトを採るようにAlを堆積して配線層26を形成する工程」と、本願発明における「前記第2の導電膜の上に第3の導電膜を形成する工程」とは、「前記導電性物質の上に第3の導電膜を形成する工程」である点において共通し、下記相違点1-3において相違するといえる。
カ 引用発明における「タングステン層25」は、金属からなるものであるといえる。
そうすると、本願発明と引用発明とは、「前記導電性物質は、金属材料により形成され」る点において共通し、下記相違点1-3において相違するといえる。
キ 引用発明における「埋め込まれた前記タングステン層25とコンタクトを採るようにAlを堆積して配線層26を形成する工程」においては、Alを堆積することにより配線層26を形成しているのであるから、引用発明における「配線層26」は、Alを含むものであるといえる。
また、引用発明における「タングステン層25」は、タングステンからなるものであり、「配線層26」は、Alを堆積することにより形成されるものであるから、引用発明における「配線層26」は、「タングステン層25」とは異なる金属材料からなるものであるといえる。
そうすると、本願発明と引用発明とは、「前記第3の導電膜は、前記導電性物質に含まれる前記金属材料とは異なる金属材料であってAlを含」む点において共通し、下記相違点1-3において相違するといえる。
ク 本願発明と引用発明とは、「半導体装置の製造方法」である点において共通するといえる。
ケ 以上から、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。
(ア)一致点
「絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の所定の領域に、前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程と、
前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面に第1の導電膜を形成する工程と、
前記第1の導電膜の側面に導電性物質を形成する工程と、
前記導電性物質の上に第3の導電膜を形成する工程と、
を有し、
前記導電性物質は、金属材料により形成され、
前記第3の導電膜は、前記導電性物質に含まれる前記金属材料とは異なる金属材料であってAlを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。」

(イ)相違点
・相違点1-1 本願発明は「基板の上に半導体層を形成する工程」を有し、半導体層の上に絶縁膜を形成するのに対し、引用発明は、「基板の上に半導体層を形成する工程」を有しておらず、基板21の上に絶縁膜(絶縁膜22)を形成する点。
・相違点1-2 本願発明では、半導体層の表面を露出させる開口部を形成し、開口部により露出した半導体層の表面に導電性物質(第2の導電膜)を形成するのに対し、引用発明では、基板21の表面を露出させる開口部(コンタクトホール23)を形成し、開口部(コンタクトホール23)により露出した基板21の表面に導電性物質(タングステン層25)を形成する点。
・相違点1-3 本願発明における導電性物質は「第2の導電膜」であるのに対し、引用発明における導電性物質(タングステン層25)は、コンタクトホール内に埋め込まれたものであり、「膜」と言い得るのか不明である点。
・相違点1-4 本願発明は「前記第1の導電膜、前記第2の導電膜及び前記第3の導電膜を形成した後に、熱処理を行なう工程」を有し、熱処理の温度は、400℃以上、700℃以下であるのに対し、引用発明は、「熱処理を行なう工程」を有しておらず、熱処理の温度を特定しない点。
・相違点1-5 本願発明では、第1の導電膜が、窒化物又はタングステンを含む材料により形成されるのに対し、引用発明では、Tiを堆積することにより第1の導電膜(金属層24)を形成しており、第1の導電膜(金属層24)が窒化物又はタングステンを含む材料により形成されるものではない点。
・相違点1-6 本願発明では、「第1の導電膜を形成する工程」が、「前記開口部にレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンが形成されている面に、第1の導電膜を成膜する工程と、前記レジストパターンの上に形成されている第1の導電膜を前記レジストパターンとともにリフトオフにより除去する工程」とを有するのに対し、引用発明では、開口部(コンタクトホール23)内を覆うようにTiを堆積して第1の導電膜(金属層24)を形成し、第1の導電膜(金属層24)上にレジスト膜1を選択的に形成し、このレジスト膜1をマスクとして異方性エッチングにより第1の導電膜(金属層24)を選択的にエッチングして開口部(コンタクトホール23)内の絶縁膜(絶縁膜22)側壁に第1の導電膜(金属層24)を残すことにより、第1の導電膜(金属層24)を形成しており、「前記開口部にレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンが形成されている面に、第1の導電膜を成膜する工程と、前記レジストパターンの上に形成されている第1の導電膜を前記レジストパターンとともにリフトオフにより除去する工程」を有しない点。

(3)判断
引用文献1、4及び5には、相違点1-6に係る構成について、記載も示唆もされていない。
そして、本願発明は、相違点1-6に係る構成を備えることによって、「開口部41の底面41aにおいて露出している電子供給層22にエッチングによるダメージを与えることなく、第1の導電膜51を開口部40の側面41bに形成することができる。」(本願明細書の段落【0047】)という、引用発明にはない格別の効果を奏するものである。
したがって、相違点1-1ないし1-5について検討するまでもなく、本願発明は、引用文献1、4及び5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 原査定の理由についてのまとめ
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明(本願発明)は、引用文献1、4及び5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
平成29年2月28日付けで当審より通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、次のとおりである。
「1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
3.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

1.理由1(サポート要件)について
(1)請求項1及び2について
ア 本願の請求項1に『前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の底面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程』と記載されている。(当審注.下線は当審において付したもの。以下において同じ。)
しかしながら、本願の発明の詳細な説明には、半導体層の底面を露出させる開口部を形成する工程については、記載されていない。(なお、本願明細書の段落[0034]には、『次に、図8(b)に示すように、絶縁膜40に開口部41を形成する。具体的には、SiNを除去することのできるエッチング液を用いてウェットエッチングを行なうことにより、レジストパターン61が形成されていない領域の絶縁膜40を除去し、この領域において電子供給層22の表面を露出させる。』と記載されている。)
請求項1を引用する請求項2についても上記と同様の点が指摘される。
よって、請求項1及び2に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
イ 本願の請求項1に『前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面、及び前記第1の絶縁膜の側面に第2の導電膜を形成する工程』と記載されている。
しかしながら、本願の発明の詳細な説明には、半導体層の底面、及び第1の絶縁膜の側面に第2の導電膜を形成する工程については、記載されていない。
請求項1を引用する請求項2についても上記と同様の点が指摘される。
よって、請求項1及び2に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

(2)請求項2について
ア 本願の請求項2に『前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面及び前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面に、第1の導電膜を成膜する工程』と記載されている。
しかしながら、本願の発明の詳細な説明には、半導体層の底面に第1の導電膜を成膜する工程については、記載されていない。
よって、請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
イ 本願の請求項2に『前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面の位置に対応して開口を有するレジストパターンを形成する工程』と記載されている。
しかしながら、本願の発明の詳細な説明には、半導体層の底面の位置に対応して開口を有するレジストパターンを形成する工程については、記載されていない。
よって、請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

2.理由2(明確性)について
(1)請求項1及び2について
ア 本願の請求項1の『前記半導体層の上に絶縁膜を形成する工程』との記載より、本願の請求項1に係る発明においては、『半導体層』の上に『絶縁膜』が形成されるものと認められる。
そうすると、当該『絶縁膜』に開口部を形成した場合には、『半導体層』の表面が露出することはあっても、『半導体層』の底面が露出することはないから、請求項1の『前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の底面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程』との記載、及び『前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面、及び前記第1の絶縁膜の側面に第2の導電膜を形成する工程』との記載の意味を理解することができない。
請求項1を引用する請求項2についても上記と同様の点が指摘される。
よって、請求項1及び2に係る発明は明確でない。
イ 本願の請求項1に『前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面、及び前記第1の絶縁膜の側面に第2の導電膜を形成する工程』と記載されているが、当該記載よりも前に『第1の絶縁膜』の記載がなく、『前記第1の絶縁膜』が何を指し示すのかが不明である。
請求項1を引用する請求項2についても上記と同様の点が指摘される。
よって、請求項1及び2に係る発明は明確でない。
ウ 本願の請求項1に『前記熱処理の温度は、前記半導体層と前記第1の導電膜及び前記第2の導電膜とのオーミックコンタクト抵抗、及び前記第3の導電膜に含まれるAlの融点を考慮して設定されている』と記載されている。
しかしながら、上記記載からは、具体的にどのような考慮をするのかが不明であり、上記記載により特定される熱処理の温度の範囲が不明確である。
また、『考慮し』との記載は人間の精神活動を表現したものと認められるところ、『考慮し』たか否かは外形上明らかでないため、どのような行為が請求項1に係る発明の技術的範囲に属することとなるのかが不明確である。
請求項1を引用する請求項2についても上記と同様の点が指摘される。
よって、請求項1及び2に係る発明は明確でない。

(2)請求項2について
ア 本願の請求項1の『前記半導体層の上に絶縁膜を形成する工程』との記載より、請求項1に係る発明においては、『半導体層』の上に『絶縁膜』が形成されるものと認められる。
そうすると、当該『絶縁膜』に開口部を形成した場合には、『半導体層』の表面が露出することはあっても、『半導体層』の底面が露出することはないから、請求項2の『前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面』との記載、及び『前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面の位置に対応して開口を有するレジストパターンを形成する工程』との記載の意味を理解することができない。
よって、請求項2に係る発明は明確でない。

3.理由3(進歩性)について
以下では、本願の請求項1の『前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の底面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程』との記載は『前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の表面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程』の誤記であり、本願の請求項1の『前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面、及び前記第1の絶縁膜の側面に第2の導電膜を形成する工程』との記載は『前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面、及び前記第1の導電膜の側面に第2の導電膜を形成する工程』の誤記であり、本願の請求項2の『前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面及び前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面に、第1の導電膜を成膜する工程』との記載は『前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面及び前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面に、第1の導電膜を成膜する工程』の誤記であり、本願の請求項2の『前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面の位置に対応して開口を有するレジストパターンを形成する工程』との記載は『前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面の位置に対応して開口を有するレジストパターンを形成する工程』の誤記であり、本願の請求項1及び2に係る発明が下記のものであるとして、判断を示す。

『【請求項1】
基板の上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の表面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程と、
前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面に第1の導電膜を形成する工程と、
前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面、及び前記第1の導電膜の側面に第2の導電膜を形成する工程と、
前記第2の導電膜の上に第3の導電膜を形成する工程と、
前記第1の導電膜、前記第2の導電膜及び前記第3の導電膜を形成した後に、熱処理を行なう工程と、
を有し、
前記第1の導電膜は、窒化物又はタングステンを含む材料により形成されており、
前記第2の導電膜は、金属材料により形成され、
前記第3の導電膜は、前記第2の導電膜に含まれる前記金属材料とは異なる金属材料であってAlを含み、
前記熱処理の温度は、前記半導体層と前記第1の導電膜及び前記第2の導電膜とのオーミックコンタクト抵抗、及び前記第3の導電膜に含まれるAlの融点を考慮して設定されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
第1の導電膜を形成する工程は、
前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面及び前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面に、第1の導電膜を成膜する工程と、
前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面の位置に対応して開口を有するレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンの形成されていない領域の前記第1の導電膜をドライエッチング又はウェットエッチングにより除去する工程と、
を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。』

(1)請求項1について
ア 引用文献1の段落[0083]及び[図14]には、『SiC基板12』上にn型不純物を含む『SiC層14』を成長させることが記載されており、引用文献1に記載された発明(以下『引用発明』という。)における『SiC層14』は『半導体層』であるといえる。
そうすると、引用発明における『SiC基板12』及び『SiC層14』はそれぞれ、本願の請求項1に係る発明(以下『本願発明1』という。)における『基板』及び『半導体層』に相当するといえ、本願発明1と引用発明とは、『基板の上に半導体層を形成する工程』を有する点において共通するといえる。
イ 引用文献1の段落[0087]には、ゲート電極30上に『層間絶縁膜72』を堆積することが記載されている。引用文献1の段落[0084]ないし[0087]及び[図15]ないし[図17]の記載より、引用発明における『層間絶縁膜72』は『SiC層14』の上に形成されているといえる。
そうすると、引用発明における『層間絶縁膜72』は、本願発明における『絶縁膜』に相当するといえ、本願発明1と引用発明とは、『前記半導体層の上に絶縁膜を形成する工程』を有する点において共通するといえる。
ウ 引用文献1の段落[0087]には、レジスト40fをマスクとして『層間絶縁膜72』をパターニングし、さらに同一のレジストマスクを用いて、ソース領域を貫通し『pウェルコンタクト領域20』に達する『第2のトレンチ82』を形成することが記載されている。
引用文献1の段落[0084]の記載より、引用発明における『pウェルコンタクト領域20』は『SiC層14』に形成されたものであり、『SiC層14』の一部分であるといえるから、引用発明における『第2のトレンチ82』は『『SiC層14』の表面を露出させる開口部』であるといえる。
また、引用文献1の段落[0087]及び[図17]の記載より、引用発明における『第2のトレンチ82』は、『『層間絶縁膜72』の側面を露出させる』ものといえる。
そうすると、引用発明における『第2のトレンチ82』は、本願発明1における『開口部』に相当するといえ、本願発明1と引用発明とは、『前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の表面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程』を有する点において共通するといえる。
エ 引用文献1の段落[0088]には、Niの『金属膜24a』を堆積し、『第2のトレンチ82』底部の『金属膜24a』を除去することが記載されている。引用文献1の段落[0088]及び[図18]の記載より、引用発明における『金属膜24a』は、『第2のトレンチ82』により露出した『層間絶縁膜72』の側面に形成されているといえる。
また、引用文献1の段落[0028]には、『第1の電極24』として、W、TiN又はTaNを包含する材料を用いることが記載されている。引用文献1の段落[0088]ないし[0091]及び[図18]ないし[図20]の記載より、『金属膜24a』は『第1の電極24』の材料となるものであるといえるから、『第1の電極24』として、W、TiN又はTaNを包含する材料を用いる場合には、『金属膜24a』を、W、TiN又はTaNを含む材料により形成することは明らかであるといえる。
そうすると、引用発明における『金属膜24a』は、本願発明1における『第1の導電膜』に相当するといえ、本願発明1と引用発明とは、『前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面に第1の導電膜を形成する工程』を有する点、及び、『前記第1の導電膜は、窒化物又はタングステンを含む材料により形成され』ている点において共通するといえる。
オ 引用文献1の段落[0089]には、TiとAlの『金属膜26a』を堆積することが記載されている。引用文献1の段落[0029]には、『第2の電極26』が『Ti(チタン)/Al(アルミニウム)』を堆積した電極であることが記載されており、引用文献1の段落[0089]ないし[0093]並びに[図19]及び[図20]の記載より、『金属膜26a』は『第2の電極26』の材料となるものであるといえるから、『金属膜26a』は『Ti(チタン)/Al(アルミニウム)』を積層した金属膜であるといえる。
また、引用文献1の段落[0089]及び[図19]の記載より、引用発明における『Ti(チタン)/Al(アルミニウム)』を積層した『金属膜26a』のうち下側のもの(以下『下層金属膜』という。)は、『第2のトレンチ82』により露出した『SiC層14』の表面、及び『金属膜24a』の側面に形成され、『Ti(チタン)/Al(アルミニウム)』を積層した『金属膜26a』のうち上側のもの(以下『上層金属膜』という。)は、『下層金属膜』の上に形成されるといえる。
そうすると、引用発明における『下層金属膜』及び『上層金属膜』は、後述する相違点1を除いて、本願発明1の『第2の導電膜』及び『第3の導電膜』に相当するといえ、本願発明1と引用発明とは、『前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面、及び前記第1の導電膜の側面に第2の導電膜を形成する工程』を有する点、『前記第2の導電膜の上に第3の導電膜を形成する工程』を有する点、『前記第2の導電膜は、金属材料により形成され』る点、及び『前記第3の導電膜は、前記第2の導電膜に含まれる前記金属材料とは異なる金属材料』である点において共通するといえる。
カ 引用文献1の段落[0092]には、熱処理を行うことが記載されている。引用文献1の段落[0087]ないし[0092]及び[図18]ないし[図20]の記載より、引用発明における熱処理は、『金属膜26a』、『下層金属膜』及び『上層金属膜』を形成した後で行われるものといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明とは、『前記第1の導電膜、前記第2の導電膜及び前記第3の導電膜を形成した後に、熱処理を行なう工程』を有する点において共通するといえる。
キ 引用文献1の段落[0093]及び[0094]の記載より、引用発明は『MOSFET』の製造方法であるといえ、本願発明1と引用発明とは、『半導体装置の製造方法』である点において共通するといえる。
ク 以上から、本願発明1と引用発明とは、下記(ア)の点で一致し、下記(イ)の点で相違すると認める。
(ア)一致点
『基板の上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の表面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程と、
前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面に第1の導電膜を形成する工程と、
前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面、及び前記第1の導電膜の側面に第2の導電膜を形成する工程と、
前記第2の導電膜の上に第3の導電膜を形成する工程と、
前記第1の導電膜、前記第2の導電膜及び前記第3の導電膜を形成した後に、熱処理を行なう工程と、
を有し、
前記第1の導電膜は、窒化物又はタングステンを含む材料により形成されており、
前記第2の導電膜は、金属材料により形成され、
前記第3の導電膜は、前記第2の導電膜に含まれる前記金属材料とは異なる金属材料である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。』
(イ)相違点
・相違点1 本願発明1は『第3の導電膜』が『Alを含』むのに対し、引用発明は、『下層金属膜』及び『上層金属膜』が『Ti(チタン)/Al(アルミニウム)』の積層であることは特定するものの、『上層金属膜』が『Alを含』むとは特定しない点。
・相違点2 本願発明1は『前記熱処理の温度は、前記半導体層と前記第1の導電膜及び前記第2の導電膜とのオーミックコンタクト抵抗、及び前記第3の導電膜に含まれるAlの融点を考慮して設定されている』という構成を備えるのに対し、引用発明は当該構成について特定しない点。
ケ 上記相違点1について検討する。引用文献1の段落[0038]及び[0039]の記載より、Alと『層間絶縁膜32』とを離隔すべきことは当業者にとって明らかである。また、引用文献1の段落[0093]には、『第2の電極26』の上にAlの金属膜を成膜することが記載されており、密着性を高めるために『上層金属層』をAlとすることが好適であることは当業者にとっては明らかである。
仮にこれらの点が明らかであるといえないとしても、『Ti(チタン)/Al(アルミニウム)』の積層としては、Alを上層とするかTiを上層とするかの2つの選択肢しか存在しないのであるから、このうち前者を採用することは、当業者であれば適宜なし得たことである。
したがって、引用発明において、『上層金属層』をAlとし『下層金属層』をTiとすることによって上記相違点1に係る構成とすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。
コ 次に、上記相違点2について検討する。引用文献1の段落[0092]の記載及び当該技術分野における技術常識より、引用発明における熱処理は、『金属膜24a』、『金属膜26a』と、『ソース領域18』、『pウェルコンタクト領域20』とのオーミックコンタクトを形成するために行われていることは明らかである。そして、引用文献1の段落[0028]及び[0029]の記載並びに当該技術分野における技術常識より、オーミックコンタクト抵抗を考慮して熱処理における温度条件を設定すべきことは明らかであるといえる。
また、引用発明における『金属膜26a』は『Ti(チタン)/Al(アルミニウム)』の積層であり、熱処理において『金属膜26a』を溶融すべきでないことは明らかであるから、Alの融点を考慮して熱処理における温度条件を設定すべきであることも明らかであるといえる。
そうすると、引用発明における熱処理の際に、『SiC層14』と『金属膜24a』及び『下層金属膜』とのオーミックコンタクト抵抗、及び『Al』の融点を考慮して温度を設定することにより、上記相違点2に係る構成とすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。
サ 以上より、本願発明1は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることが出来ない。

(2)請求項2について
ア 引用文献1の段落[0088]、[図17]及び[図18]の記載より、本願の請求項2に係る発明(以下『本願発明2』という。)と引用発明とは、『前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面及び前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面に、第1の導電膜を成膜する工程』を有する点において共通するといえる。
イ 本願発明2と引用発明とを比較すると、上記相違点1及び2に加えて、下記の点において相違する。
・相違点3 本願発明2は『前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面の位置に対応して開口を有するレジストパターンを形成する工程』と『前記レジストパターンの形成されていない領域の前記第1の導電膜をドライエッチング又はウェットエッチングにより除去する工程』という構成を備えるのに対し、引用発明は当該構成について特定しない点。
ウ 上記相違点3について検討する。金属膜をパターニングするために、金属膜の上にレジストパターンを形成し、レジストパターンの形成されていない領域の金属膜をウェットエッチング又はドライエッチングにより除去することは、引例を挙げるまでもなく周知の技術である。そうすると、引用発明において、『第2のトレンチ82』底部の『金属膜24a』を除去するために、RIE法などの異方性エッチングを行う方法に代えて、『金属膜24a』の上に『第2のトレンチ82』底部(『SiC層14』表面)の位置に対応して開口を有するレジストパターンを形成し、レジストパターンの形成されていない領域の『金属膜24a』をウェットエッチング又はドライエッチングにより除去する方法を採用することにより、上記相違点3に係る構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
エ また、相違点1及び2については、上記(1)ケ及びコと同様である。
オ 以上より、本願発明2は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることが出来ない。

引 用 文 献 等 一 覧

1.特開2010-238738号公報」

2 当審拒絶理由についての判断
(1)サポート要件について
ア 当審拒絶理由の1.(1)アにおいて、本願の請求項1に「前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の底面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程」と記載されているが、本願の発明の詳細な説明には、半導体層の底面を露出させる開口部を形成する工程については、記載されていない旨が指摘された。
これに対し、平成29年3月30日付け手続補正により、請求項1の「前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の底面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程」との記載が「前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の表面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程」に補正され、発明の詳細な説明に記載されたものとなったため、上記拒絶理由は解消した。
イ 当審拒絶理由の1.(1)イにおいて、本願の請求項1に「前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面、及び前記第1の絶縁膜の側面に第2の導電膜を形成する工程」と記載されているが、本願の発明の詳細な説明には、半導体層の底面、及び第1の絶縁膜の側面に第2の導電膜を形成する工程については、記載されていない旨が指摘された。
これに対し、平成29年3月30日付け手続補正により、請求項1の「前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面、及び前記第1の絶縁膜の側面に第2の導電膜を形成する工程」との記載が「前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面、及び前記第1の導電膜の側面に第2の導電膜を形成する工程」に補正され、発明の詳細な説明に記載されたものとなったため、上記拒絶理由は解消した。
ウ 当審拒絶理由の1.(2)ア及びイにおいて、請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない旨が指摘された。
これに対し、平成29年3月30日付け手続補正により、請求項2が削除されたため、上記拒絶理由は解消した。
エ 上記アないしウのとおり、当審拒絶理由の「1.理由1(サポート要件)について」に示した拒絶の理由は全て解消している。

(2)明確性について
ア 当審拒絶理由の2.(1)ア及びイにおいて、請求項1の「前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の底面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程」との記載、及び「前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面、及び前記第1の絶縁膜の側面に第2の導電膜を形成する工程」との記載が不明確である旨が指摘された。
これに対し、平成29年3月30日付け手続補正により、請求項1の「前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の底面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程」との記載が「前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の表面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程」に補正され、また、請求項1の「前記開口部により露出した前記半導体層の前記底面、及び前記第1の絶縁膜の側面に第2の導電膜を形成する工程」との記載が「前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面、及び前記第1の導電膜の側面に第2の導電膜を形成する工程」に補正され、記載の意味が明確となったため、上記拒絶理由は解消した。
イ 当審拒絶理由の2.(1)ウにおいて、請求項1の「前記熱処理の温度は、前記半導体層と前記第1の導電膜及び前記第2の導電膜とのオーミックコンタクト抵抗、及び前記第3の導電膜に含まれるAlの融点を考慮して設定されている」との記載が不明確である旨が指摘された。
これに対し、平成29年3月30日付け手続補正により、請求項1の「前記熱処理の温度は、前記半導体層と前記第1の導電膜及び前記第2の導電膜とのオーミックコンタクト抵抗、及び前記第3の導電膜に含まれるAlの融点を考慮して設定されている」との記載が「前記熱処理の温度は、400℃以上、700℃以下であり、」に補正され、記載の意味が明確となったため、上記拒絶理由は解消した。
ウ 当審拒絶理由の2.(2)アにおいて、請求項2に係る発明が明確でない旨が指摘された。
これに対し、平成29年3月30日付け手続補正により、請求項2が削除されたため、上記拒絶理由は解消した。
エ 上記アないしウのとおり、当審拒絶理由の「2.理由2(明確性)について」に示した拒絶の理由は全て解消している。

(3)進歩性について
ア 当審引用文献の記載事項及び当審引用発明
(ア)当審引用文献の記載事項
当審拒絶理由に引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2010-238738号公報(以下「当審引用文献」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
a「【0019】
(第1の実施の形態)
・・・
【0020】
図1は、本実施の形態の半導体装置であるMOSFETの構成を示す断面図である。このMOSFET100は、第1と第2の主面を有するSiC基板(炭化珪素基板)12を備えている。
・・・
【0028】
第1の電極24は、例えば厚さ50nm程度の、Ni、Ti、Ta、MoおよびWからなる群から選択される金属元素を含有する電極である。例えば、NiSi、TiN、TaNである。これらの金属元素を主成分とする電極は、電子に対するショットキー障壁高さが低く、低抵抗を実現できる。
【0029】
また、第2の電極26は、例えば厚さ100nm程度の、Ti(チタン)/Al(アルミニウム)を積層した電極である。第2の電極26はTiとAlを主成分とする電極が、正孔に対するショットキー障壁高さが低く、低抵抗を実現できるため好ましい。しかし、Alのみを主成分とする電極あるいは、AlSi等の電極であっても構わない。」
・・・
【0038】
さらに、本実施の形態のMOSFET100は、Alを含有する第2の電極26と層間絶縁膜32との間に、Ni、Ti、Ta、MoおよびWからなる群から選択される金属元素を含有する第1の電極24が介在するよう構成されている。SiCを用いた半導体装置は、200℃以上の高温での動作が可能である。一方、このような高温の動作環境では、層間絶縁膜と電極との反応が進み、電極間ショート等の信頼性不良が生ずることが懸念される。特に、電極にAlを含む材料を用い、層間絶縁膜にSiを含有するシリコン酸化膜等を用いると、Alのシリサイド化が進行し、信頼性不良の懸念が増長される。
【0039】
MOSFET100は、層間絶縁膜と反応性の高いAlを含む電極が、直接、層間絶縁膜に接することをできるだけ排除するために、層間絶縁膜とAlを含む電極との間に、層間絶縁膜との反応性がAlより低いNi、Ti、Ta、MoおよびWからなる群から選択される金属元素を含む電極を介在させる。これにより、Alと層間絶縁膜との反応を防止し、信頼性不良の発生を抑制する。したがって、信頼性に優れた半導体装置が実現可能となる。具体的には、例えば、ゲート電極30と第1の主電極34間の層間絶縁膜32の耐圧に関する信頼性不良が発生することが抑制される。」
b「【0062】
(第3の実施の形態)
・・・
【0063】
本実施の形態の半導体装置は、トレンチの側面をチャネル領域とするいわゆるトレンチMOSFETである。ソースコンタクト電極とpウェルコンタクト電極をトレンチ内に有する構成については、第1の実施の形態と同様である。したがって、第1の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0064】
図12は、本実施の形態の半導体装置であるMOSFETの構成を示す断面図である。
・・・
【0073】
第1の電極(ソースコンタクト電極)24は、例えば厚さ50nm程度の、Ni、Ti、Ta、MoおよびWからなる群から選択される金属元素を含有する電極である。例えば、NiSi、TiN、TaNである。これらの金属元素を主成分とする金属電極は、電子に対するショットキー障壁高さが低く、低抵抗を実現できる。
【0074】
また、第2の電極26は、例えば厚さ100nm程度の、例えば厚さ100nm程度の、Ti(チタン)/Al(アルミニウム)を積層した電極である。第2の電極(pウェルコンタクト電極)26はTiとAlを主成分とする金属電極が、正孔に対するショットキー障壁高さが低く、低抵抗を実現できるため好ましい。しかし、Alのみを主成分とする電極あるいは、AlSi等の電極であっても構わない。
・・・
【0082】
次に本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。図14?図20は、本実施の形態の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0083】
図14に示すように、n型不純物としてP(リン)またはN(窒素)を不純物濃度1×10^(19)cm^(-3)程度含む、厚さ300μmであり、六方晶系の結晶格子を有する低抵抗のSiC基板12を準備する。そして、SiC基板12上にエピタキシャル成長法により、n型不純物としてPを不純物濃度1×10^(16)cm^(-3)程度含み、厚さが10μm程度の高抵抗のSiC層14を成長させる。
【0084】
次に、図15に示すように、SiC層14の全面に、p型不純物であるAlをイオン注入し、pウェル領域16を形成する。なお、p型SiCをエピタキシャル成長することによって、pウェル領域16を形成することも可能である。次に、SiC層14の上面にSiO_(2)(不図示)をパターニングし、イオン注入マスクを形成する。このイオン注入マスクを用いて、n型不純物であるPをSiC層14にイオン注入し、ソース領域18を形成する。さらに、SiC層14の上面にSiO_(2)40dをパターニングし、イオン注入マスクを形成する。このイオン注入マスクを用いてp型不純物であるAlをSiC層14にイオン注入し、pウェルコンタクト領域20を形成する。この後、例えば1600℃程度の熱処理によりイオン注入した不純物を活性化する。
【0085】
次に、図16に示すように、SiC層14の上面にレジスト40eをパターニングし、トレンチエッチングマスクを形成する。そして、このマスクを用いて、ソース領域18およびpウェル領域16を貫通し、n^(-)層14に達する第1のトレンチ62を、例えばRIE法により形成する。
【0086】
次に、図17に示すようにレジスト40eを剥離する。そして、第1のトレンチ62底部に絶縁物64を形成する。そして、第1のトレンチ62側面の、ソース領域18、pウェル領域16および、n^(-)層14の表面に連続的にゲート絶縁膜68を形成する。ゲート絶縁膜68の形成には、例えば、熱酸化法あるいはCVD法等を用いる。その後、ゲート絶縁膜68上にポリシリコン膜を成膜したのち、CMP等で第1のトレンチ62内にのみポリシリコン膜を残しゲート電極70を形成する。
【0087】
その後、ゲート電極30上に、例えば、シリコン酸化膜の層間絶縁膜72を堆積する。その後、層間絶縁膜72をレジスト40fをマスクにRIE法によりパターニングする。さらに、同一のレジストマスクを用いて、ソース領域18を貫通し、pウェルコンタクト領域20に達する第2のトレンチ82を、例えばRIE法により形成する。
【0088】
次に、図18に示すように、例えば、蒸着法やスパッタ法によりNiの金属膜24aを堆積する。その後、例えば、RIE法などの異方性エッチングを行い、第2のトレンチ82底部の金属膜24aを除去する。
【0089】
その後、図19に示すように、例えば、スパッタ法により、例えば、TiとAlの金属膜26aを堆積する。
【0090】
そして、図20に示すように、レジスト40fを剥離することで、不要な金属膜をリフトオフする。
【0091】
このようにして、第2のトレンチ82側面のソース領域18上および層間絶縁膜72の側面にNi、Ti、Ta、MoおよびWからなる群から選択される金属元素を含有する第1の電極24を形成し、第2のトレンチ82底部のpウェルコンタクト領域20上および第2のトレンチ82側面の第1の電極24上にAlを含有する第1の電極24を形成する。
【0092】
次に、SiC基板12の第2の主面側、すなわち裏面側に、例えば、Niの金属膜を蒸着し、第2の主電極36を形成する。第2の主電極36はドレイン電極である。例えば950℃程度の熱処理を行い、Niの金属膜とSiC基板12を反応させる。同時に、金属膜24a、26aと、ソース領域18、pウェルコンタクト領域20のSiCを反応させる。
【0093】
次に、第1の電極24と第2の電極26上に、例えば、スパッタ法によりAlの金属膜を成膜し第1の主電極34を形成する。第1の主電極34は、ソース・pウェル共通電極である。このようにして、図12に示すMOSFET300が形成される。
【0094】
本実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、超低オン抵抗で、駆動能力が高く、かつ信頼性に優れたMOSFETを、簡易な工程で製造することが可能となる。」

(イ)当審引用発明
a 上記(ア)bの当審引用文献の記載(段落【0084】)並びに当審引用文献の【図14】及び【図15】の記載より、当審引用文献には、「SiC層14」内に「pウェル領域16」、「ソース領域18」及び「pウェルコンタクト領域20」を形成することが記載されているといえ、「pウェル領域16」、「ソース領域18」及び「pウェルコンタクト領域20」は、「SiC層14」の一部であるといえる。
b 上記(ア)bの当審引用文献の記載(段落【0087】)及び当審引用文献の【図17】の記載より、当審引用文献には、「ソース領域18」の上に「層間絶縁膜72」を形成することが記載されているといえる。
また、上記aのとおり、「ソース領域18」は「SiC層14」の一部であるといえる。
そうすると、当審引用文献には、「SiC層14」の上に「層間絶縁膜72」を形成することが記載されているといえる。
c 上記(ア)bの当審引用文献の記載(段落【0087】)並びに当審引用文献の【図17】の記載より、当審引用文献には、「pウェルコンタクト領域20」の表面及び「層間絶縁膜72」の側面を露出させる「第2のトレンチ82」を形成することが記載されているといえる。
また、上記aのとおり、「pウェルコンタクト領域20」は「SiC層14」の一部であるといえる。
そうすると、当審引用文献には、「SiC層14」の表面及び「層間絶縁膜72」の側面を露出させる「第2のトレンチ82」を形成することが記載されているといえる。
d 上記(ア)a及びbの当審引用文献の記載(段落【0028】及び【0073】)より、当審引用文献には、「第1の電極24」として、W、TiN又はTaNを包含する材料を用いることが記載されているといえる。
また、上記(ア)bの当審引用文献の記載(段落【0088】ないし【0091】)及び当審引用文献の【図18】ないし【図20】の記載より、当審引用文献には、「金属膜24a」を材料として「第1の電極24」を形成することが記載されているといえ、「第1の電極24」としてW、TiN又はTaNを包含する材料を用いる場合には、「金属膜24a」をW、TiN又はTaNを包含する材料により形成することは明らかであるといえる。
以上より、当審引用文献には、「金属膜24a」がW、TiN又はTaNを包含する材料により形成されることが記載されているといえる。
e 上記(ア)a及びbの当審引用文献の記載(段落【0029】及び【0074】)より、当審引用文献には、「第2の電極26」が「Ti(チタン)/Al(アルミニウム)」を積層した電極であることが記載されているといえる。
また、上記(ア)bの当審引用文献の記載(段落【0089】ないし【0093】)並びに当審引用文献の【図19】及び【図20】の記載より、当審引用文献には、「金属膜26a」を材料として「第2の電極26」を形成することが記載されているといえ、「金属膜26a」が「Ti(チタン)/Al(アルミニウム)」を積層した金属膜であることは明らかである。
以上より、当審引用文献には、「金属膜26a」がTi(チタン)/Al(アルミニウム)を積層した金属膜であることが記載されているといえる。
f 上記(ア)の当審引用文献の記載、上記aないしe、及び当該技術分野における技術常識より、当審引用文献には次の発明(以下「当審引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「SiC基板12上にSiC層14を形成する工程と、
前記SiC層14上に層間絶縁膜72を形成する工程と、
レジストマスクを用いて前記層間絶縁膜72をパターニングし、さらに同一のレジストマスクを用いて、前記SiC層14の表面及び前記層間絶縁膜72の側面を露出させる第2のトレンチ82を形成する工程と、
金属膜24aを形成する工程と、
前記第2のトレンチ82底部の前記金属膜24aを除去する工程と、
金属膜26aを形成する工程と、
950℃程度の熱処理を行う工程と、
を有し、
前記金属膜24aは、W、TiN又はTaNを包含する材料により形成されており、
前記金属膜26aは、Ti(チタン)/Al(アルミニウム)を積層した金属膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。」

イ 対比
本願発明と当審引用発明とを対比する。
(ア)当審引用発明における「SiC基板12」は、「基板」であるといえる。
また、上記ア(ア)bの当審引用文献の記載(段落【0083】)及び当該技術分野における技術常識より、当審引用発明における「SiC層14」が「半導体層」であることは明らかである。
そうすると、当審引用発明における「SiC基板12」は、本願発明における「基板」に相当するといえ、当審引用発明における「SiC層14」は、本願発明における「半導体層」に相当するといえ、当審引用発明における「SiC基板12上にSiC層14を形成する工程」と、本願発明における「基板の上に半導体層を形成する工程」とは、「基板の上に半導体層を形成する工程」である点において共通するといえる。
(イ)当審引用発明における「層間絶縁膜72」は、「絶縁膜」であるといえる。
そうすると、当審引用発明における「層間絶縁膜72」は、本願発明における「絶縁膜」に相当するといえ、当審引用発明における「前記SiC層14上に層間絶縁膜72を形成する工程」と、本願発明における「前記半導体層の上に絶縁膜を形成する工程」とは、「前記半導体層の上に絶縁膜を形成する工程」である点において共通するといえる。
(ウ)当審引用発明における「第2のトレンチ82」は、「開口部」であるといえる。
また、上記ア(ア)bの当審引用文献の記載(段落【0087】)及び当審引用文献の【図17】の記載より、当審引用発明における「レジストマスクを用いて前記層間絶縁膜72をパターニングし、さらに同一のレジストマスクを用いて、前記SiC層14の表面及び前記層間絶縁膜72の側面を露出させる第2のトレンチ82を形成する工程」においては、層間絶縁膜72の所定の領域に、第2のトレンチ82を形成しているといえる。
そうすると、当審引用発明における「第2のトレンチ82」は、本願発明における「開口部」に相当するといえ、当審引用発明における「レジストマスクを用いて前記層間絶縁膜72をパターニングし、さらに同一のレジストマスクを用いて、前記SiC層14の表面及び前記層間絶縁膜72の側面を露出させる第2のトレンチ82を形成する工程」と、本願発明における「前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の表面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程」とは、「前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の表面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程」である点において共通するといえる。
(エ)当審引用発明における「金属膜24a」は「導電膜」であるといえる。
また、上記ア(ア)bの当審引用文献の記載(段落【0088】)及び当審引用文献の【図18】の記載より、当審引用発明における「金属膜24aを形成する工程と、前記第2のトレンチ82底部の前記金属膜24aを除去する工程」においては、第2のトレンチ82により露出した層間絶縁膜72の側面に金属膜24aを形成しているといえる。
そうすると、当審引用発明における「金属膜24a」は、本願発明における「第1の導電膜」に相当するといえ、当審引用発明における「金属膜24aを形成する工程と、前記第2のトレンチ82底部の前記金属膜24aを除去する工程」と、本願発明における「前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面に第1の導電膜を形成する工程」とは、「前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面に第1の導電膜を形成する工程」である点において共通し、下記相違点2-3において相違するといえる。
(オ)当審引用発明における「金属膜26a」は、「Ti(チタン)/Al(アルミニウム)を積層した金属膜」であり、Tiからなる金属膜と、Alからなる金属膜を積層したものであるといえる。(以下では、当審引用発明における「金属膜26a」のうち下側のものを「下層金属膜」といい、上側のものを「上層金属膜」という。)
また、上記ア(ア)bの当審引用文献の記載(段落【0088】及び【0089】)並びに当審引用文献の【図18】及び【図19】の記載より、当審引用発明における「金属膜26aを形成する工程」においては、第2のトレンチ82により露出したSiC層14の表面と、金属膜24aの側面に、下層金属膜を形成しているといえる。
また、当審引用発明における「金属膜26a」は、下層金属膜と上層金属膜とを積層したものであるから、下層金属膜の上に上層金属膜を形成していることは明らかである。
そうすると、当審引用発明における「下層金属膜」及び「上層金属膜」は、下記相違点2-1を除いて、本願発明の「第2の導電膜」及び「第3の導電膜」に相当するといえ、当審引用発明における「金属膜26aを形成する工程」と、本願発明における「前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面、及び前記第1の導電膜の側面に第2の導電膜を形成する工程と、前記第2の導電膜の上に第3の導電膜を形成する工程」とは、「前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面、及び前記第1の導電膜の側面に第2の導電膜を形成する工程と、前記第2の導電膜の上に第3の導電膜を形成する工程」である点において共通するといえる。
(カ)上記ア(ア)bの当審引用文献の記載(段落【0088】ないし【0092】)より、当審引用発明における「950℃程度の熱処理を行う工程」は、「金属膜24a」、「下層金属膜」及び「上層金属膜」を形成した後で行うものであるといえる。
そうすると、当審引用発明における「950℃程度の熱処理を行う工程」と、本願発明における「前記第1の導電膜、前記第2の導電膜及び前記第3の導電膜を形成した後に、熱処理を行なう工程」とは、「前記第1の導電膜、前記第2の導電膜及び前記第3の導電膜を形成した後に、熱処理を行なう工程」である点において共通し、下記相違点2-2において相違するといえる。
(キ)当審引用発明における「金属膜24a」は、W、TiN又はTaNを包含する材料により形成されているから、窒化物又はタングステンを含む材料により形成されているといえる。
そうすると、本願発明と当審引用発明とは、「前記第1の導電膜は、窒化物又はタングステンを含む材料により形成されており」という点において共通するといえる。
(ク)当審引用発明における「下層金属膜」は、Ti(チタン)/Al(アルミニウム)を積層した金属膜のうち、下側のものであるから、金属材料により形成されているといえる。
そうすると、本願発明と当審引用発明とは、「前記第2の導電膜は、金属材料により形成され」という点において共通するといえる。
(ケ)当審引用発明における「上層金属膜」及び「下層金属膜」は、Ti(チタン)/Al(アルミニウム)を積層した金属膜であるから、「上層金属膜」は、「下層金属膜」と異なる金属材料により形成されているといえる。
そうすると、本願発明と当審引用発明とは、「前記第3の導電膜は、前記第2の導電膜に含まれる前記金属材料とは異なる金属材料である」という点において共通し、下記相違点2-1において相違するといえる。
(コ)当審引用発明と本願発明とは、「半導体装置の製造方法」である点において共通するといえる。
(サ)以上から、本願発明と当審引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。
a 一致点
「基板の上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の所定の領域に、前記半導体層の表面、及び前記絶縁膜の側面を露出させる開口部を形成する工程と、
前記開口部により露出した前記絶縁膜の前記側面に第1の導電膜を形成する工程と、
前記開口部により露出した前記半導体層の前記表面、及び前記第1の導電膜の側面に第2の導電膜を形成する工程と、
前記第2の導電膜の上に第3の導電膜を形成する工程と、
前記第1の導電膜、前記第2の導電膜及び前記第3の導電膜を形成した後に、熱処理を行なう工程と、
を有し、
前記第1の導電膜は、窒化物又はタングステンを含む材料により形成されており、
前記第2の導電膜は、金属材料により形成され、
前記第3の導電膜は、前記第2の導電膜に含まれる前記金属材料とは異なる金属材料であることを特徴とする半導体装置の製造方法。」
b 相違点
・相違点2-1 本願発明における第3の導電膜はAlを含むのに対し、当審引用発明では、第2の導電膜(下層金属膜)及び第3の導電膜(上層金属膜)がTi(チタン)/Al(アルミニウム)の積層であることは特定するものの、第3の導電膜(上層金属膜)がAlを含むとは特定しない点。
・相違点2-2 本願発明における熱処理の温度は400℃以上700℃以下であるのに対し、当審引用発明における熱処理の温度は950℃程度である点。
・相違点2-3 本願発明では、「第1の導電膜を形成する工程」が、「前記開口部にレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンが形成されている面に、第1の導電膜を成膜する工程と、前記レジストパターンの上に形成されている第1の導電膜を前記レジストパターンとともにリフトオフにより除去する工程」とを有するのに対し、当審引用発明では、第1の導電膜(金属膜24a)を形成する工程と、開口部(第2のトレンチ82)底部の第1の導電膜(金属膜24a)を除去する工程とにより、第1の導電膜(金属膜24a)を形成しており、「前記開口部にレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンが形成されている面に、第1の導電膜を成膜する工程と、前記レジストパターンの上に形成されている第1の導電膜を前記レジストパターンとともにリフトオフにより除去する工程」を有しない点。

ウ 判断
当審引用文献には、相違点2-3に係る構成について、記載も示唆もされていない。
そして、本願発明は、相違点2-3に係る構成を備えることによって、「開口部41の底面41aにおいて露出している電子供給層22にエッチングによるダメージを与えることなく、第1の導電膜51を開口部40の側面41bに形成することができる。」(本願明細書の段落【0047】)という、当審引用発明にはない格別の効果を奏するものである。
したがって、相違点2-1及び2-2について検討するまでもなく、本願発明は、当審引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
進歩性についてのまとめ
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明(本願発明)は、当審引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、当審拒絶理由の「理由3」に示した理由によっては、本願を拒絶することはできない。

(4)当審拒絶理由についてのまとめ
以上のとおり、当審拒絶理由の「理由1」ないし「理由3」に示した理由によっては、本願を拒絶することはできない。
そうすると、もはや、当審拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。

第5 結言
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-05-30 
出願番号 特願2011-280570(P2011-280570)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 537- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 棚田 一也  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 河口 雅英
須藤 竜也
発明の名称 半導体装置及び半導体装置の製造方法  
代理人 小澁 高弘  
代理人 大貫 敏史  
代理人 内藤 和彦  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 江口 昭彦  
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