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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1328632
審判番号 不服2016-15331  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-12 
確定日 2017-06-13 
事件の表示 特願2012-148910「プログラム、情報管理装置および情報管理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月20日出願公開、特開2014- 10782、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年7月2日の出願であって、平成28年1月14日付けで拒絶理由通知がされ、同年3月22日付けで手続補正がされ、同年7月7日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年10月12日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、同年12月1日に前置報告がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年7月7日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由1(特許法第29条第1項第3号)について

・請求項 1-2,5-6
・引用文献等 1

引用文献1(段落[0019]、[0035]-[0043]等参照)には、リンク情報データベースが、リンク情報として貼付先(リンク先)と貼付元(リンク元)のファイル名を格納することや、ファイルが変更又は削除されるとリンク情報データベースに問合せを行い、削除されたファイルが貼付けデータであるか否かを判断し、リンク関係ファイルが削除された場合に警告を表示することが記載されている。
したがって、引用文献1には
「ファイルが変更削除された場合に、リンク元とリンク先のファイル名を記録したリンク情報データベースに問合せを行い、変更、削除されたファイルが貼付けデータであるか否か判断し、
リンク関係ファイルが変更、削除された場合に警告を表示するシステム。」
の発明が記載されている。

また、引用文献1に記載された発明において、変更、削除されたファイルが貼付けデータである場合は、当然、貼付け元のファイルが存在していることは自明であるから、引用文献1に記載された発明の「変更、削除されたファイルが貼付けデータであるか否か判断」するステップは、本願発明の「更新または削除する対象のファイルを参照先のファイルとして対応づけられた参照元ファイルが存在するか否かをチェック」するステップに相当する。
したがって、本願発明と引用文献1に記載された発明に差違はない。
したがって、出願人の主張は採用しない。

●理由2(特許法第29条第2項)について

・請求項 1-2,5-6
・引用文献等 1
引用文献1には、上記理由1で記載した発明が記載されており、本願発明は、引用文献1に記載された発明と、文言上のまたは形式的な相違を認めたとしても、当業者が当然想到しうる程度の事項にすぎない。

・請求項 3
・引用文献等 1-2

・請求項 4
・引用文献等 1,3

・請求項 7-9
・引用文献等 1-2
引用文献2([0079]-[0080]等参照)には、リンクを情報を解析する場合に、再帰的にリンク情報をチェックすることが記載されている。
したがって、引用文献1に記載された発明に、引用文献2に記載の技術を適用して、本願発明の構成とするおとは当業者が容易に想到しうることである。

<引用文献等一覧>
1.特開2001-84247号公報
2.特開2004-139304号公報
3.特開平11-96159号公報

第3 本願発明
本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、平成28年10月12日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
直接的または間接的に関連する複数のファイルの中のいずれかのファイルを更新または削除する場合、参照元ファイルの識別子と参照先ファイルの識別子とを対応付けた対応情報を参照して、対象のファイルを更新または削除すると影響があるファイルを特定し、
該特定したファイルと前記対象のファイルとの間で整合性をチェックし、
前記整合性のチェックが正常であれば、前記対象のファイルを更新または削除する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
直接的または間接的に関連する複数のファイルの中のいずれかのファイルを更新または削除する場合、参照元ファイルの識別子と参照先ファイルの識別子とを対応付けた対応情報を参照して、対象のファイルを更新または削除すると影響があるファイルを特定する特定部と、
前記特定部によって特定されたファイルと前記対象のファイルとの間で整合性をチェックするチェック部と
前記整合性のチェックが正常であれば、前記対象のファイルを更新または削除する更新部と
を有することを特徴とする情報管理装置。
【請求項3】
コンピュータが、
直接的または間接的に関連する複数のファイルの中のいずれかのファイルを更新または削除する場合、参照元ファイルの識別子と参照先ファイルの識別子とを対応付けた対応情報を参照して、対象のファイルを更新または削除すると影響があるファイルを特定し、
該特定したファイルと前記対象のファイルとの間で整合性をチェックし、
前記整合性のチェックが正常であれば、前記対象のファイルを更新または削除する
各処理を実行することを特徴とする情報管理方法。」

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2001-84247号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

a)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はリンク情報管理システム、更に詳しくは電子データ間のリンク情報を管理する部分に特徴のあるリンク情報管理システムに関するものである。」(【0001】の記載。下線は当審で付与。以下、同様。)

b)「【0017】(発明の第1の実施の形態)図1は本発明の第1の実施形態に係るリンク情報管理システムを適用した計算機の一構成例を示すブロック図である。このリンク情報管理システムは、計算機1上に常駐プログラムとして設けられるリンク監視部2及びファイル状態監視部3と、リンク情報データベース4とから構成されている。また、計算機1には、オペレーティングシステム5(OS5),ワープロソフト6,ワープロソフト用の複合データファイル7,表計算ソフト8及び表計算ファイル9が設けられている。
【0018】また、本実施形態では、リンク情報管理システムの各部2,3及び4やワープロソフト等が図1に示す単一の計算機上に配置されているが、これらはLAN等の分散システムにおいて各計算機に分散されて設けられていてもよい。なお、その場合でも常駐プログラムであるリンク監視部2とファイル状態監視部3とはネットワークの各計算機に設けられる必要がある。
【0019】リンク監視部2は、ワープロソフト6や表計算ソフト8等のアプリケーションソフトウェア(以下、アプリケーションという)における複合データ処理動作を監視し、対応するリンク情報(複合文書名及び貼り付けられたデータ名)をリンク情報データベース4に格納する。具体的には、あるアプリケーションがデータ貼付等を行うときに、貼付先と貼付元のファイル名を取得し、リンク情報データベース4に格納する。また、アプリケーションの監視及びリンク情報データベース4のチェックを常に行っており、アプリケーションがリンク関係にあるファイル名を変更し、また削除するときには表示装置10に警告を発して使用者に注意を促す。
【0020】このリンク監視部2は、OS5に対するアプリケーションの処理依頼を監視することにより、アプリケーションの動きを把握し上記処理を行っている。一般にアプリケーションはファイル操作に関する処理をOS5に依頼するためである。
【0021】ファイル状態監視部3は、アプリケーションを介することなく、計算機使用者が入力装置(図示せず)からOS5によって直接にファイル操作を行う場合に、そのファイル名変更やファイル削除を監視するものである。すなわちOS5に対するファイル操作を監視し、かつリンク情報データベース4をチェックしており、他のファイルとリンク関係が存在するファイルが操作される場合には、表示装置10への表示により使用者に警告を発するようになっている。
【0022】リンク情報データベース4は、リンク監視部2が取得したファイル間のリンク情報を格納する。このリンク情報は、複合文書におけるものであり、ファイル名が変更されたりファイル削除されることで、変更削除される。なお、変更削除については、リンク監視部2又はファイル状態監視部3の監視結果によってなされる。また、リンク情報データベースとしては、本実施形態用に専用化されたデータベースを構築してもよいし、一般的に用いられるデータベースをそのまま利用してもよい。
【0023】オペレーティングシステム5は、計算機1を操作する基本ソフトウエアであり、ワープロソフト6や表計算ソフト8等の依頼により、ファイルや表示等の操作を行う。
【0024】ワープロソフト6は、文書作成ソフトウェアであるが、本実施形態においては、複合文書を作成するためのデータ貼付部11を備えている。このデータ貼付部11により他のアプリケーションで作成されたファイルをワープロ文書ファイルに組み込むことができるようになっている。この組込処理を行うために、ワープロソフト6は、そのワープロデータ12と貼付データとのリンク情報13を複合データファイル7に格納させる。
【0025】複合データファイル7は、ワープロソフト6がOS5を介して管理するファイル群であり、ワープロデータ12と必要な場合にリンク情報13を保存する。ここでいうリンク情報13は、リンク情報データベース4に格納されるリンク情報とは別のものであり、ワープロソフト6が複合文書を作成するために用いる情報である。
【0026】すなわち、本実施形態では、ワープロソフト6や表計算ソフト8の機能を変更することなく、OS5の監視及び情報取得によって、別途にリンク情報を取得し、複合文書におけるファイル間の整合を確認し、不整合が生じる場合に警告を出力するものである。したがって、複合文書を作成するための機能や情報(データ貼付部11やリンク情報13等)に変更が加えられることはなく、これらはリンク情報管理システムとは別途に存在する。
【0027】表計算ソフト8は、表計算を行うアプリケーションである。表計算ファイル9は、表計算ソフト8で作成された表やグラフを格納する。本実施形態では複合文書に対する貼付データとなっている。」(【0017】?【0027】の記載。)

c)「【0030】(リンク情報の取得)まずリンク情報の取得について説明する。図2はリンク監視部によるリンク情報取得を説明する図である。
【0031】同図に示すように、複合データにおけるワープロデータ12が開かれ(s1)、当該ドキュメントに対して表計算ファイル内の表が張り付けられる(s2)。この貼付処理(貼付イベント)は、ワープロソフト6のデータ貼付部11がOS5から貼付データ(表)のファイル名を取得することにより実行される。
【0032】この貼付イベントの有無は、リンク監視部2により常に監視されており(s3)、貼り付けるイベントが発行された時点でドキュメント名(ワープロデータ名)及び相対パスによるデータ名(貼付データ名)がリンク情報データベース4に登録される。貼り付けの削除あるいはUNDOが実行された場合も同様にそのイベントが感知され、リンク監視部2によってリング情報データベース4が書き換えられる。
【0033】(リンクの変更削除/警告出力)ファイルリンクの変更削除の検知は、リンク監視部2がアプリケーションを監視することにより、又は、ファイル状態監視部3がOS5に対する直接ファイル操作を監視することにより実現される。
【0034】図3はリンクの変更削除が行われるときの動作を示す図である。
【0035】まず、ファイル削除に伴う変更について説明する。図3に示すように、アプリケーションにより、若しくはOS5への直接命令により、例えば複合文書で使用されている貼付データが削除されると(t1)、この削除イベントがリンク監視部2又はファイル状態監視部3により検出される(t2)。
【0036】この時点では、リンク関係にあるファイルが削除されたことがわからないので、リンク監視部2又はファイル状態監視部3からリンク情報データベース4に対する問合せが行われる。そして、貼り付けられたデータ名と照合されることで貼付データが削除されたことが確認される(t3)。なお、ここで、削除ファイルが貼付先や貼付元のデータでない場合には、この時点で処理が終了する。
【0037】ステップt3にてリンク関係ファイルが削除されたことが確認されると、リンク監視部2又はファイル状態監視部3から表示装置10を介して警告(ワーニング)が出力される(t4)。リンク監視部2又はファイル状態監視部3は、直接アプリケーションやそのファイルに対して処理や操作を行うものでないため、計算機使用者に対する警報という形でリンク関係の不整合が防止されるようになっている。なお、警告に応じて、複合データファイル側のリンク情報13が修正された場合には、その修正結果がリンク監視部2又はファイル状態監視部3によりリンク情報データベース4に反映される。
【0038】次に、ファイル名を変更したり、ファイルを移動させた場合の処理について説明する。
【0039】ここでは、ファイル移動を例にとって説明する。すなわちまず、アプリケーションにより、若しくはOS5への直接命令により、複合文書で使用されている貼付データがファイル移動されると(u1)、この移動・名称変更イベントがリンク監視部2又はファイル状態監視部3により検出される(u2)。
【0040】ここで、削除イベントの場合と同様に、リンク監視部2又はファイル状態監視部3からリンク情報データベース4に対する問合せが行われ、貼り付けられたデータ名と照合されることで貼付データがファイル移動されたことが確認される(u3)。
【0041】ステップu3にてリンク関係ファイルが移動されたことが確認されると、リンク監視部2又はファイル状態監視部3から表示装置10を介して警告(ワーニング)が出力される(u4)。この警告によりリンク関係の不整合を使用者に修復させようとするものである。なお、警告に応じて、複合データファイル側のリンク情報13が修正された場合には、その修正結果がリンク監視部2又はファイル状態監視部3によりリンク情報データベース4に反映される(u5)。
【0042】上述したように、本発明の実施の形態に係るリンク情報管理システムは、複合文書にて用いられるファイル情報をリンク情報としてリンク情報データベース4に格納し、リンク関係にあるファイルが削除、移動又は名称変更される場合にこれを検出して警告するようにしたので、リンク関係にあるファイルが変更されたり削除される場合にも複合文書表示における不都合発生を防止することができる。これにより、複合文書の正確な再生を実現することができる。
【0043】このように不都合な操作をした場合には警告が発せられることから、計算機使用者は、データの貼り付けやファイルの移動、削除する際にリンク情報を意識する必要がなくなり、効率的な複合文書の作成を行うことができる。」(【0030】?【0043】の記載。)

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、電子データ間のリンク情報を管理するリンク情報管理システムとして、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「リンク情報管理システムは、計算機1上のリンク監視部2及びファイル状態監視部3と、リンク情報データベース4とから構成され、また、計算機1には、オペレーティングシステム5(OS5),ワープロソフト6,ワープロソフト用の複合データファイル7,表計算ソフト8及び表計算ファイル9が設けられ、
リンク監視部2は、ワープロソフト6や表計算ソフト8等のアプリケーションソフトウェア(以下、アプリケーションという)における複合データ処理動作を監視し、対応するリンク情報(複合文書名及び貼り付けられたデータ名)をリンク情報データベース4に格納するものであり、具体的には、あるアプリケーションがデータ貼付等を行うときに、貼付先と貼付元のファイル名を取得し、リンク情報データベース4に格納し、また、アプリケーションの監視及びリンク情報データベース4のチェックを常に行っており、アプリケーションがリンク関係にあるファイル名を変更し、また削除するときには表示装置10に警告を発して使用者に注意を促し、
ファイル状態監視部3は、入力装置からOS5によって直接にファイル操作を行う場合に、そのファイル名変更やファイル削除を監視し、かつリンク情報データベース4をチェックしており、他のファイルとリンク関係が存在するファイルが操作される場合には、表示装置10への表示により使用者に警告を発するようになっており、
リンク情報データベース4は、リンク監視部2が取得したファイル間のリンク情報を格納し、このリンク情報は、複合文書におけるものであり、ファイル名が変更されたりファイル削除されることで、変更削除され、
ワープロソフト6は、文書作成ソフトウェアで、複合文書を作成するためのデータ貼付部11を備え、このデータ貼付部11により他のアプリケーションで作成されたファイルをワープロ文書ファイルに組み込むことができ、この組込処理を行うために、ワープロソフト6は、そのワープロデータ12と貼付データとのリンク情報13を複合データファイル7に格納させ、複合データファイル7は、ワープロソフト6がOS5を介して管理するファイル群であり、ワープロデータ12と必要な場合にリンク情報13を保存するものであり、
表計算ソフト8は、表計算を行うアプリケーションで、表計算ファイル9は、表計算ソフト8で作成された表やグラフを格納し、複合文書に対する貼付データとなっており、
リンク情報の取得では、
複合データにおけるワープロデータ12が開かれ、当該ドキュメントに対して表計算ファイル内の表が張り付けられ、
この貼付イベントの有無は、リンク監視部2により常に監視され、貼り付けるイベントが発行された時点でドキュメント名(ワープロデータ名)及び相対パスによるデータ名(貼付データ名)がリンク情報データベース4に登録され、
ファイルリンクの変更削除の検知は、リンク監視部2がアプリケーションを監視することにより、又は、ファイル状態監視部3がOS5に対する直接ファイル操作を監視することにより実現され、
ファイル削除に伴う変更では、
アプリケーションにより、若しくはOS5への直接命令により、例えば複合文書で使用されている貼付データが削除されると、この削除イベントがリンク監視部2又はファイル状態監視部3により検出され、
リンク監視部2又はファイル状態監視部3からリンク情報データベース4に対する問合せが行われ、貼り付けられたデータ名と照合されることで貼付データが削除されたことが確認され、
リンク関係ファイルが削除されたことが確認されると、リンク監視部2又はファイル状態監視部3から表示装置10を介して警告(ワーニング)が出力され、
ファイル名を変更したり、ファイルを移動させた場合では、
アプリケーションにより、若しくはOS5への直接命令により、複合文書で使用されている貼付データがファイル移動されると、この移動・名称変更イベントがリンク監視部2又はファイル状態監視部3により検出され、
リンク監視部2又はファイル状態監視部3からリンク情報データベース4に対する問合せが行われ、貼り付けられたデータ名と照合されることで貼付データがファイル移動されたことが確認され、
リンク関係ファイルが移動されたことが確認されると、リンク監視部2又はファイル状態監視部3から表示装置10を介して警告(ワーニング)が出力される
リンク情報管理システム。」

2.引用例2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2004-139304号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

a)「【0079】
次に、情報収集手段11は収集した文書のHTML記述を解析し、図9に示すようなリンク情報を抽出して情報記憶部22に格納する(図10のステップS2)。
【0080】
次に、入力手段3から入力された抽出条件に基づき、条件判定手段13が該当するリンクを情報記憶部22からリンク不整合として抽出する(図10のステップS3)。抽出条件の設定画面を図12に示す。図12では、分析対象となるサイトについて、デッドリンク(物理的不整合)、間違いリンク、期限切れ情報へのリンクなど、各種のリンク不整合のうち、どれを抽出するかを指定することができる。また、あらかじめ特定のアドレスへのリンクが不整合であると分かっている場合、そのアドレスをリンク先に持つリンクを抽出することもできる(図12中の「特定URL」)。さらに、抽出されるリンク不整合が多い場合に、何件づつ画面に表示するかも指定可能である。図12の実行ボタンを押すと、リンク不整合の抽出が開始される。各リンク不整合のうち、デッドリンクの抽出は前述した従来技術によって可能であり、本発明とは直接関係しないので説明は省略する。また、特定URLをリンク先に持つリンクの抽出方法は当業者に自明であるためその説明は省略する。残りの各種論理的不整合リンクの抽出方法の詳細は後述する。」(【0079】?【0080】の記載。)

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献2には、デッドリンク(物理的不整合)、間違いリンク、期限切れ情報へのリンクなど、各種のリンク不整合のうち、どれを抽出するかを指定する入力された抽出条件に基づき、該当するリンクを情報記憶部22からリンク不整合として抽出し、また、あらかじめ特定のアドレスへのリンクが不整合であると分かっている場合、そのアドレスをリンク先に持つリンクを抽出するという技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用例3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開平11-96159号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

a)「【0019】階層構造管理手段102はハイパーテキストの各ノードのノード情報とノード間のハイパーリンク関係に親子の序列を導入したハイパーリンク関係情報を管理する部分装置であり、ロック対象決定手段103は特定ノードおよび階層構造管理手段102の管理するハイパーリンク関係情報およびロック対象決定ルールからロック対象とするノード群を決定する部分装置であり、ロック手段101は入力により指定された特定ノードおよびロック対象決定手段103によって決定されるノード群に対してロック情報保持手段201を用いて排他的編集を保証するロックを行い、特定ノード情報を階層構造管理手段102からの参照を行い新規作成および削除および変更した後、その結果を階層構造管理手段に対する登録を行う部分装置であり、ロック情報保持手段201はロック手段101より要求されたノード群の情報を保持する部分装置である。
【0020】本実施の形態での処理の流れを示す.図3(a)は、階層構造管理手段102が扱う構造情報を記述するための文脈自由文法である。すべての構造情報は Whole-Structs の展開系で表現される。図中の SubStructs は一つのノードの親子関係の集合を表す非終端記号、SubStruct は一つのノードの親子関係を表す非終端記号、Parent は親ハイパーリンクを表す非終端記号、node はノードを一意に特定する識別子を表す終端記号、link はハイパーリンクを一意に特定する識別子を表す終端記号、dummy は親ハイパーリンクが存在しないことを示す数を表す終端記号、Children はハイパーリンクの集合を表す非終端記号である。 さらに上記の文法では、括弧開き記号および括弧閉じ記号を終端記号として用いる。構造は上記文法にしたがった終端記号列で表現される。また、特定のノードに対応した SubStruct は一対一で存在するものとする。
【0021】図2は、ノード間の構造の例を表している。図2のノード間の構造を上記の文脈自由文法を用いて図3(b)に示す。親ハイパーリンクが存在しないことを表す数を0としている。
【0022】図22は図2のpage2をノード501とした場合、ロック対象として隣接ノード群を対象とするルールを用いた場合のノード群502の例である。
【0023】ロック手段101は入力により指定されたノード501の情報をロック対象決定手段103に送り、ロック対象ノード群の決定を要求する。要求を受けたロック対象決定手段103は取得したノード501の情報と階層構造管理手段102が管理するハイパーリンク関係情報を参照してロック対象ノード群502を決定する。
【0024】ロック手段101はロック対象決定手段103からロック対象ノード群502の情報を取得し、ノード501とロック対象ノード群502の情報に対して関連付けの情報を生成する。この関連付けの情報に対して編集処理を行う順序を表す優先度の情報を付加し管理単位情報とする。例えば、ノード501とノード群502の情報は管理単位情報601の構成要素であるとする。
【0025】ノード501とノード群502の情報をロック状態保持手段201に登録する。管理単位情報601の保持する優先度が最高優先度を表す状態であるとき、ノード501の編集を行う。ノード501の編集終了とともに管理単位情報601で関連付けられたノード501とノード群502の情報を同時にロック状態保持手段201より取り除き、管理単位情報601を削除する。管理単位情報601の削除に伴い、他の管理単位情報の持つ優先度情報を修正する。なお、ロック対象ノード群として隣接ノード群以外を取得するルールを用いることも可能である。」(【0019】?【0025】の記載。)

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献3には、ロック対象決定手段103は特定ノードおよび階層構造管理手段102の管理するハイパーリンク関係情報およびロック対象決定ルールからロック対象とするノード群を決定し、ロック手段101は入力により指定された特定ノードおよびロック対象決定手段103によって決定されるノード群に対して排他的編集を保証するロックを行うという技術的事項が記載されていると認められる。

4.その他の文献について
また、前置報告において新たに引用された引用文献である、特開2000-330843号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

a)「【0008】図1(a)を参照すると、本実施の形態は、操作者が、ファイルに対する操作の入力を行うキーボードやポインティングデバイス等の入力装置4と、操作者の入力装置4からの操作を受け付け、その操作内容に従って、記憶装置7に記憶されている操作対象のファイルの移動、削除、名称の変更等を行うデータ処理装置6とから構成されている。
【0009】記憶装置7は、磁気ディスク等の情報記憶媒体からなり、論理的に階層的な木構造(ディレクトリ構造)を用いて、論理的な情報の記憶単位であるファイルを記憶する。図1(a)に示す例では、あらかじめ、記憶装置7が、論理位置12にファイル1を、そして、論理位置22にファイル2を、それぞれ記憶しているものとする。
【0010】ファイル1およびファイル2は、図1(b)に示すように、ともに、ファイルのデータを格納するデータ領域と、データ領域に保持されるデータの属性情報を保持する可変長のファイル属性情報領域とを有して構成されている。この場合、ファイル1がファイル2を参照するファイルであるとすると、ファイル1は、参照先の他ファイル(ファイル2)の階層構造における論理位置(論理位置22)を記憶した参照情報11をファイル属性情報領域内に含み、また、ファイル2は、参照元の他ファイル(ファイル1)の階層構造における論理位置(論理位置12)を記憶した参照情報21をファイル属性情報領域内に含んでいる。なお、ファイル属性情報領域内には複数の参照情報を含ませることができ、この場合には、1つファイルから複数のファイルを参照できるようになる。
【0011】さらに、ファイル1は他ファイルを参照するファイルなので、そのデータ領域内に、間接的に参照先のファイル2を指し示す情報として、ファイル参照情報11を指し示す参照指示情報13が埋め込まれている。この参照指示情報は、例えば、参照元のファイル(ファイル1)が、実行時に他ファイル(ファイル2)を必要とする実行可能な形式のファイルである場合に、従来は、そのデータ領域内の実行可能情報内に参照または更新する他ファイルの論理位置情報を直接保持していたものの代わりとして用いられるものである。あるいは、参照指示情報は、例えば、参照元のファイル(ファイル1)が、データ領域内に文書情報、画像情報等を持つ他ファイルを示す情報を保持する情報ファイルである場合に、従来、そのデータ領域内に参照する他ファイルの論理位置情報を直接保持していたものの代わりとして用いられるものである。
【0012】データ処理装置6は、操作者の入力装置4からの操作を受け付けファイル操作された内容に従って、相互に関連するファイルのそれぞれの参照情報を更新する参照情報更新手段5と、参照情報更新手段5から更にファイル操作の内容が伝達され、ファイルの階層構造における論理位置の移動、複写、論理位置の変化しないファイル名称の変更、あるいは階層構造からの削除を行うファイル操作手段3とから構成されている。」(【0008】?【0012】の記載。)

b)「【0018】そして、図2において、入力されたファイルの操作が、ファイルの削除である場合には(507)、参照情報更新処理4を行う(508)。参照情報更新処理4では(図6)、操作対象が参照される側の参照先ファイル2である場合には(4001)、参照先ファイル2の参照情報21に記憶されているファイルの論理位置12により参照元ファイル1を特定し(4002、4003)、操作者に対して操作対象ファイルが参照元ファイル1により参照されていることを提示し(4004)、操作者に対して操作対象ファイルである参照先ファイル2の削除を確認し(4005)、削除の意志が確認できた場合には参照先ファイル2の論理位置情報を記憶している参照元ファイル1の参照情報11を削除し(4006)、ファイル操作手段3にファイルの削除操作内容を伝達する。また、操作対象が参照する側の参照元ファイル1である場合には(4001)、参照元ファイル1の参照情報11に記憶されているファイルの論理位置22により参照先ファイル2を特定し(4007、4008)、操作者に対して操作対象ファイルが参照先ファイル2を参照していることを提示し(4009)、操作者に対して参照先ファイル2も同時に削除するかを確認し(4010)、参照先ファイル2を削除する場合には、ファイル操作手段3に参照先ファイル2の削除を含めたファイルの削除操作内容を伝達し、参照先ファイル2を削除しない場合には参照元ファイル1の論理位置情報を記憶している参照先ファイル2の参照情報21を削除した後(4011)、ファイル操作手段3にファイルの削除操作内容を伝達する。」(【0018】の記載。)

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献4には、論理位置12にファイル1を、そして、論理位置22にファイル2を、それぞれ記憶し、ファイル1がファイル2を参照するファイルであるとすると、ファイル1は、参照先の他ファイル(ファイル2)の階層構造における論理位置(論理位置22)を記憶した参照情報11をファイル属性情報領域内に含み、また、ファイル2は、参照元の他ファイル(ファイル1)の階層構造における論理位置(論理位置12)を記憶した参照情報21をファイル属性情報領域内に含んでおり、
入力されたファイルの操作が、ファイルの削除である場合、
操作対象が参照される側の参照先ファイル2である場合には、参照先ファイル2の参照情報21に記憶されているファイルの論理位置12により参照元ファイル1を特定し、操作者に対して操作対象ファイルが参照元ファイル1により参照されていることを提示し、削除の意志が確認できた場合には参照先ファイル2の論理位置情報を記憶している参照元ファイル1の参照情報11を削除し、
操作対象が参照する側の参照元ファイル1である場合には、参照元ファイル1の参照情報11に記憶されているファイルの論理位置22により参照先ファイル2を特定し、操作者に対して操作対象ファイルが参照先ファイル2を参照していることを提示し、参照先ファイル2も同時に削除するかを確認し、参照先ファイル2を削除する場合には、ファイル操作手段3に参照先ファイル2の削除を含めたファイルの削除操作内容を伝達し、参照先ファイル2を削除しない場合には参照元ファイル1の論理位置情報を記憶している参照先ファイル2の参照情報21を削除する技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1.本願発明2について
(1)対比
本願発明2と引用発明とを対比する。

ア.引用発明の「複合データファイル7は、ワープロソフト6がOS5を介して管理するファイル群であり、ワープロデータ12と必要な場合にリンク情報13を保存するもの」であり、引用発明の「リンク情報」は「リンク情報データベース4に格納」される「複合文書名及び貼り付けられたデータ名」であり、具体的には、「貼付先と貼付元のファイル名」であるから、引用発明の「複合データファイル7」は、本願発明2の「直接的または間接的に関連する複数のファイル」と「直接的に関連する複数のファイル」である点で一致する。
そして、引用発明の「ファイル削除に伴う変更」と「ファイル名を変更したり、ファイルを移動させた場合」は、「複合データファイル7」に対するファイル削除やファイル名変更、ファイル移動を含むことは明らかであるから、本願発明2の「直接的または間接的に関連する複数のファイルの中のいずれかのファイルを更新または削除する場合」と「直接的に関連する複数のファイルの中のいずれかのファイルを更新または削除する場合」である点で一致するといえる。

イ.引用発明は、「貼付先と貼付元のファイル名を取得し、リンク情報データベース4に格納」し、「アプリケーションにより、若しくはOS5への直接命令により、例えば複合文書で使用されている貼付データが削除されると、この削除イベントがリンク監視部2又はファイル状態監視部3により検出され、リンク監視部2又はファイル状態監視部3からリンク情報データベース4に対する問合せが行われ、貼り付けられたデータ名と照合されることで貼付データが削除されたことが確認され」、また、「アプリケーションにより、若しくはOS5への直接命令により、複合文書で使用されている貼付データがファイル移動されると、この移動・名称変更イベントがリンク監視部2又はファイル状態監視部3により検出され、リンク監視部2又はファイル状態監視部3からリンク情報データベース4に対する問合せが行われ、貼り付けられたデータ名と照合されることで貼付データがファイル移動されたことが確認され」るものであり、ファイル名はファイルの識別子ともいい得るものであるから、引用発明の「リンク監視部2又はファイル状態監視部3」は、本願発明2の「参照元ファイルの識別子と参照先ファイルの識別子とを対応付けた対応情報を参照して、対象のファイルを更新または削除すると影響があるファイルを特定する特定部」に相当する。

ウ.上記ア.及びイ.より、引用発明の「リンク監視部2又はファイル状態監視部3」は、本願発明2の「直接的または間接的に関連する複数のファイルの中のいずれかのファイルを更新または削除する場合、参照元ファイルの識別子と参照先ファイルの識別子とを対応付けた対応情報を参照して、対象のファイルを更新または削除すると影響があるファイルを特定する特定部」と「直接的に関連する複数のファイルの中のいずれかのファイルを更新または削除する場合、参照元ファイルの識別子と参照先ファイルの識別子とを対応付けた対応情報を参照して、対象のファイルを更新または削除すると影響があるファイルを特定する特定部」である点で一致するといえる。

エ.引用発明は、「リンク情報管理システム」は、本願発明2の「情報管理装置」に相当する。

したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。

〈一致点〉
「直接的に関連する複数のファイルの中のいずれかのファイルを更新または削除する場合、参照元ファイルの識別子と参照先ファイルの識別子とを対応付けた対応情報を参照して、対象のファイルを更新または削除すると影響があるファイルを特定する特定部
を有することを特徴とする情報管理装置。」

〈相違点1〉
本願発明2の「複数のファイル」は「直接的または間接的に関連する」ものであるのに対し、引用発明の「複合データファイル7」は「ワープロデータ12と貼付データとのリンク情報13」を格納するものであって、「間接的に関連する複数のファイル」ではない点。

〈相違点2〉
本願発明2は、「特定部によって特定されたファイルと前記対象のファイルとの間で整合性をチェックするチェック部と
前記整合性のチェックが正常であれば、前記対象のファイルを更新または削除する更新部」を有するものであるのに対し、引用発明は、そのような構成を有するものではない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討すると、相違点2に係る本願発明2の「特定部によって特定されたファイルと前記対象のファイルとの間で整合性をチェックするチェック部と前記整合性のチェックが正常であれば、前記対象のファイルを更新または削除する更新部」という構成は、上記引用文献1-4には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、本願発明2は、相違点1を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.請求項1及び3について
本願発明1は、本願発明2をプログラムとして、本願発明3は、本願発明2を情報管理方法として記載したものであるから、上記「1.請求項2について」にて述べたのと同様の理由により、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-3は、当業者が引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-05-30 
出願番号 特願2012-148910(P2012-148910)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 漆原 孝治  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 山田 正文
土谷 慎吾
発明の名称 プログラム、情報管理装置および情報管理方法  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
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