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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G11B
管理番号 1328754
審判番号 不服2016-8867  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-15 
確定日 2017-06-20 
事件の表示 特願2012- 79758「サスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンションおよびハードディスクドライブ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月10日出願公開、特開2013-211074、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成24年3月30日の出願であって,平成27年9月18日付けで拒絶理由が通知され,同年11月26日付けで意見書及び手続補正書が提出され,平成28年3月10日付けで拒絶査定され,同年6月15日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。


第2 原査定の理由の概要

原査定の理由の概要は次のとおりである。

理由
(進歩性)この出願の請求項1から7に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等
1.米国特許第7522382号明細書
2.米国特許第6927951号明細書 (周知技術を例示する文献)
3.特開2006-245121号公報 (周知技術を例示する文献)
4.特開2011-198402号公報 (周知技術を例示する文献)
5.特開2011-23063号公報 (周知技術を例示)(本査定で追加)
6.特開2011-81861号公報 (周知技術を例示)(本査定で追加)
7.特開2011-82302号公報 (周知技術を例示)(本査定で追加)
8.国際公開第2011/074422号 (周知技術を例示)(本査定で追加)
9.特開2011-233213号公報 (周知技術を例示)(本査定で追加)
10.特開2012-14756号公報 (周知技術を例示)(本査定で追加)
11.特開2010-272178号公報 (周知技術を例示)(本査定で追加)


第3 本願発明

本願の請求項1から7に係る発明は,平成27年11月26日付け手続補正書における特許請求の範囲の請求項1から7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(請求人の附した下線は省略。)
以下において,請求項に係る発明を,請求項の番号に従って,「本願第1発明」などといい,「本願第1発明」から「本願第7発明」を併せて「本願発明」という。

[本願発明]
【請求項1】
金属支持基板と、
前記金属支持基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された導体層と、
を有するサスペンション用基板であって、
前記導体層が、前記サスペンション用基板のテール部側に配置された接続端子領域内に、前記サスペンション用基板の短手方向に形成されたフライングリード端子部を有し、
複数の前記フライングリード端子部が、前記サスペンション用基板の長手方向に並列的に配置され、
前記金属支持基板が、
前記フライングリード端子部の一端を支持する第一支持部と、
前記フライングリード端子部の前記一端と対向する他端を支持する第二支持部と、
前記第一支持部および第二支持部に挟まれた第一開口部と、
前記第一開口部のテール部側に前記第一開口部と連続するように設けられ、かつ、前記サスペンション用基板の短手方向の全幅にわたって形成された第二開口部と、
を有し、
前記複数のフライングリード端子部間に、平面視上、前記第一開口部を跨ぐように形成された補強部を有し、
前記補強部が、前記金属支持基板を含むことを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
金属支持基板と、
前記金属支持基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された導体層と、
を有するサスペンション用基板であって、
前記導体層が、前記サスペンション用基板のテール部側に配置された接続端子領域内に、前記サスペンション用基板の短手方向に形成されたフライングリード端子部を有し、
複数の前記フライングリード端子部が、前記サスペンション用基板の長手方向に並列的に配置され、
前記金属支持基板が、
前記フライングリード端子部の一端を支持する第一支持部と、
前記フライングリード端子部の前記一端と対向する他端を支持する第二支持部と、
前記第一支持部および第二支持部に挟まれた第一開口部と、
前記第一開口部のテール部側に前記第一開口部と連続するように設けられ、かつ、前記サスペンション用基板の短手方向の全幅にわたって形成された第二開口部と、
を有し、
前記複数のフライングリード端子部間に、平面視上、前記第一開口部を跨ぐように形成された補強部を有し、
前記補強部が、前記導体層を含み、前記導体層の表面が保護めっき層により覆われていることを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項3】
金属支持基板と、
前記金属支持基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された導体層と、
を有するサスペンション用基板であって、
前記導体層が、前記サスペンション用基板のテール部側に配置された接続端子領域内に、前記サスペンション用基板の短手方向に形成されたフライングリード端子部を有し、
複数の前記フライングリード端子部が、前記サスペンション用基板の長手方向に並列的に配置され、
前記金属支持基板が、
前記フライングリード端子部の一端を支持する第一支持部と、
前記フライングリード端子部の前記一端と対向する他端を支持する第二支持部と、
前記第一支持部および第二支持部に挟まれた第一開口部と、
前記第一開口部のテール部側に前記第一開口部と連続するように設けられ、かつ、前記サスペンション用基板の短手方向の全幅にわたって形成された第二開口部と、
を有し、
前記複数のフライングリード端子部間に、平面視上、前記第一開口部を跨ぐように形成された補強部を有し、
前記補強部が、前記金属支持基板および前記絶縁層からなる積層構造、前記金属支持基板、前記絶縁層、前記導体層および保護めっき層からなる積層構造、前記金属支持基板、前記絶縁層、前記導体層およびカバー層からなる積層構造、前記絶縁層、前記導体層およびカバー層からなる積層構造、または、前記絶縁層およびカバー層からなる積層構造を有することを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項4】
前記導体層が、前記第二開口部および前記テール部の端部の間にテスト用端子を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンション。
【請求項6】
請求項5に記載のサスペンションと、前記サスペンションのスライダ実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンション。
【請求項7】
請求項6に記載の素子付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。


第4 引用発明等

1.引用文献及び記載事項
原査定の理由で「文献1」として引用された「米国特許第7522382号明細書」(2009年(平成21年)4月21日米国公開。)には,図面とともに次の記載がある。

(1) 記載事項1
FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates generally to the field of disk drives and more particularly to connecting electrical components of heads to circuitry thereof. (第1欄5行-同欄9行)
(当審訳
発明の分野
本発明は,一般に,ディスクドライブの分野に関し,より詳細には,ヘッドの電気部品をその回路に接続することに関する。)

(2) 記載事項2
BACKGROUND OF THE INVENTION
Magnetic and optical disk drives store and retrieve data for digital electronic apparatuses such as computers. A typical disk drive comprises a head, including a slider and a transducer, in very close proximity to a surface of a rotatable disk. The transducer, in turn, includes a write element and/or a read element. As the disk rotates beneath the head, a very thin air bearing is formed between the surface of the disk and an air bearing surface of the slider. The air bearing causes the head to “fly” above the surface of the disk. As the head flies over the disk, the write element and the read element can be alternately employed to write and read data bits along a data track on the disk.
In order to keep the head properly oriented and at the correct height above the disk while in flight, and to move the head from one track to another, disk drives employ a head gimbal assembly (HGA) and voice coil actuator assembly. The HGA typically comprises the head and a suspension assembly that further includes a load beam, a gimbal that attaches the head to the load beam, and a swage mount. (第1欄11行-同欄31行)
(当審訳
発明の背景
磁気ディスク装置及び光学ディスク装置は,コンピュータなどのデジタル電子装置のためのデータを格納及び引き出しをする。典型的なディスクドライブは,ヘッドを備え,そのヘッドは,スライダとトランスデューサとを含み,回転可能なディスクの表面に非常に接近している。次に,トランスデューサは,書き込み要素及び/又は読み出し要素を含む。ディスクがヘッドの下で回転すると,ディスクの表面とスライダの空気軸受の表面との間に非常に薄い空気軸受が形成される。空気軸受は,ヘッドをディスクの表面の上を「飛行」するようにする。ヘッドがディスク上を飛行すると,ディスク上のデータトラックに沿ってデータビットの書き込みと読み出しをするために,書き込み素子と読み出し素子とを交互に使用することができる。
飛行中,ヘッドを、適切な向きに合わせ,正確な高さに保つために,そして,あるトラックから別のトラックにヘッドを移動するために,ディスクドライブは,ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)及びボイスコイルアクチュエータアセンブリを使用する。HGAは,典型的には,ヘッドとサスペンションアセンブリを備え,そのサスペンションアセンブリは,ロードビーム,ヘッドをロードビームに取り付けるジンバル,スエージマウント(swage mount)を含む。)

(3) 記載事項3
FIG. 1 illustrates an exemplary head stack assembly (HSA) 100 for use in conjunction with a disk stack (not shown) in a high capacity disk drive. The HSA 100 comprises a pivot bearing cartridge, an actuator body, a coil, a coil support, and a number of HGAs 110 attached to a plurality of actuator arms 120 of the actuator body. The HSA 100 also comprises a flex clip and a preamp. Each HGA 110 comprises a suspension assembly, including a load beam 130, and a head 140.
As shown in FIG. 2, electrical components such as the transducer on each head 140 are able to communicate with circuits of the disk drive, or with testing circuits of a component tester for testing purposes prior to assembly, through a set of electrical traces 200 on a support that is sometimes referred to as a flexure tail 210. The flexure tail 210 extends along the length of the load beam 130 and the actuator arm 120 (FIG. 1). A set of bonding pads 220 are disposed at an end 230 of the flexure tail 210 to allow the head 140 to be connected to the circuitry of the disk drive. When multiple HGAs 110 are assembled to form the HSA 100 (FIG. 1), the bonding pads 220 of each flexure tail 210 are soldered to connectors at an end of a flex cable 150 (FIG. 1) to complete the disk drive circuits. An out of plane bend 240 in the flexure tail 210 allows the bonding pads 220 to lie in a plane that is perpendicular to a plane defined by the load beam 130 for assembly to the end of the flex cable 150.
It will be appreciated that the ends 230 of the flexure tails 210 from each of the heads 140 of the HSA 100 are bonded to the same flex cable 150, and a height of the flex cable 150 is limited by at least a height of the interior of the drive enclosure. Effectively, therefore, a height, h, of the end 230 of the flexure tail 210 is essentially limited to about half of the disk-to-disk spacing of the disk stack so that two ends 230 can fit the space between two adjacent disks of the disk stack. Due to the narrowness of the disk-to-disk spacing in current disk drives, the height, h, of the end 230 must be small. Accordingly, the bonding pads 220 on the end 230 of the flexure tail 210 are arranged in a single row.
Increasingly sophisticated disk drives are being designed that require HGAs having additional electrical components beyond just the read and write transducers (e.g. microactuators, heaters for dynamic fly height control, etc.), and each additional electrical component requires further bonding pads on the end of the flexure tail. However, other dimensional limitations of the connector at the end of the flex cable 150 prevent the ends 230 from becoming increasingly long, and soldering and other electrical connection requirements prevent bonding pads 220 from being made smaller and more closely spaced. Accordingly, accommodating additional electrical components poses a problem for joining flexure tails 210 to flex cables 150. (第1欄54行-第2欄36行)
(当審訳
図1は,大容量ディスクドライブ内のディスクスタック(図示せず)とともに使用する例示的なヘッドスタックアセンブリ(HSA)100を示す。HSA100は,ピボット軸受カートリッジと,アクチュエータ本体と,コイルと,コイル支持体と,アクチュエータ本体の複数のアクチュエータアーム120に取り付けられた多数のHGA110とを含む。HSA100はまた,フレックスクリップ及びプリアンプを備える。各HGA110は,ロードビーム130と,ヘッド140とを含むサスペンションアセンブリを備える。
図2に示すように,各ヘッド140上のトランスデューサなどの電気部品は,ディスクドライブの回路と,又は組み立て前のテスト目的のためのコンポーネントテスタのテスト回路とフレキシャテール210と呼ばれることもある支持体上の一組の電気トレース200を介して通信することができる。フレキシャテール210は,ロードビーム130及びアクチュエータアーム120(図1)の長さに沿って延在する。一組のボンディングパッド220が,ヘッド140がディスクドライブの回路に接続されることを可能にするフレキシャテール210の端部230に配置される。複数のHGA110を組み立ててHSA100(図1)を形成する場合,フレキシャテール210のボンディングパッド220を,ディスクドライブ回路を完成させるために,フレックスケーブル150の端部のコネクタにはんだ付けする(図1)。フレキシャテール210内の平面外曲げ240は,ボンディングパッド220が,フレックスケーブル150の端部への組み立てのため,ロードビーム130によって規定される平面に垂直な平面内に位置するのを可能にする。
HSA100のヘッド140の各々からのフレキシャテール210の端部230は,同じフレックスケーブル150に接合され,そして,フレックスケーブル150の高さは,少なくとも駆動エンクロージャの内部の高さによって制限されることが認められる。したがって,効果的には,フレキシャテール210の端部230の高さhを,ディスクスタックのディスク間距離の約半分に本質的に制限し,そのため,2つの端部230は,ディスクスタックの2つの隣接するディスクの間の空間に適合することができる。現在のディスクドライブにおけるディスク間の間隔の狭さのために,端部230の高さhは小さくしなければならない。したがって,フレキシャテール210の端部230のボンディングパッド220は,一列に配置される。
ますます洗練されたディスクドライブが設計され,それは読取り及び書込みトランスデューサを超える追加の電気的構成要素(例えば,マイクロアクチュエータ,動的浮上量制御用のヒータなど)を有するHGAを必要とし,そして,追加の電気部品各々は,フレキシャテールの端部に更なるボンディングパッドを必要とする。しかしながら,フレックスケーブル150の端部におけるコネクタの他の寸法上の制限は,端部230がますます長くなることを妨げ,そして,はんだ付け及び他の電気接続の要件は,ボンディングパッド220がより小さく,より密接にされることを妨げる。したがって,追加の電気部品を収容することは,フレキシブルテール210をフレックスケーブル150に接合する際に問題を提起する。)

(4) 記載事項4
FIG. 3 illustrates a portion of a flexure tail 300 for a HGA according to an exemplary embodiment of the invention. The flexure tail 300 comprises a substrate 305 including a primary row 310 of a first number of bonding pads 315 and a secondary row 320 of a second number of bonding pads 315. The substrate 305 also includes a non-straight edge 325 that defines a protruding portion 330 and a recessed portion 335. The recessed portion 335 includes the primary row 310 while the protruding portion 330 includes the secondary row 320. The second number of bonding pads 315, in some embodiments, is less than the first number of bonding pads 315.
In the embodiment illustrated in FIG. 3, the primary row 310 includes four bonding pads 315 and the secondary row 320 includes two bonding pads 315. In another exemplary embodiment, shown in FIG. 4, a flexure tail 400 having a total of eight bonding pads 315 comprises a primary row 410 including five bonding pads 315 and a secondary row 420 including three bonding pads 315. An exemplary size for the bonding pads 315 in these embodiments is 400 μm×400 μm. In some embodiments, the primary row 310 and the secondary row 320 are substantially parallel.(第3欄35行-同欄55行)
(当審訳
図3は,本発明の例示的な実施形態に従うHGA用のフレキシャテール300の一部を示す。フレキシャテール300は,第1の数のボンディングパッド315の一次列310と,第2の数のボンディングパッド315の二次列320とを含む基板305を備える。基板305は,凸部330及び凹部335を定義する非直線状の縁部325を含む。凹部335は一次列310を含み,凸部330は二次列320を含む。第2の数のボンディングパッド315は,いくつかの実施形態では,第1の数のボンディングパッド315よりも少ない。
図3に示す実施形態では,一次列310は4つのボンディングパッド315を含み,二次列320は2つのボンディングパッド315を含む。別の例示的な実施形態では,図4に示すように,全部で8つのボンディングパッド315を有するフレキシャテール400は,5つのボンディングパッド315を含む一次列410と,3つのボンディングパッド315を含む二次列420とを含む。これらの実施形態におけるボンディングパッド315の例示的なサイズは,400μm×400μmである。いくつかの実施形態では,一次列310と二次列320は実質的に平行である。)

(5) 記載事項5
As shown in FIG. 3, electrical traces 340 connect each of the bonding pads 315 to a corresponding electrical component such as a transducer (not shown). In some embodiments, the traces 340 continue from each bonding pad 315 to a detachable test pad set (not shown). In FIG. 3, the transducer is disposed to one side of the illustrated portion of the flexure tail 300 while the detachable test pad set is disposed to a side opposite the one side. The detachable test pad set is used to test the electrical components on the transducer before individual HGAs are assembled into a HSA. During the assembly process, the detachable test pad set is removed.(第3欄66行-第4欄9行)
(当審訳
図3に示すように,電気トレース340は,各ボンディングパッド315をトランスデューサ(図示せず)のような対応する電気部品に接続する。いくつかの実施形態では,トレース340は,各ボンディングパッド315から取り外し可能なテストパッドセット(図示せず)まで続く。図3において,トランスデューサは,フレキシャテール300の図示された部分の一方の側に配置され,一方,取り外し可能なテストパッドセットは,一方の側の反対側に配置される。取り外し可能なテストパッドセットは,個々のHGAがHSAに組み立てられる前に,トランスデューサ上の電気部品をテストするために使用される。組立てプロセスの間,取り外し可能な可能なテストパッドセットが取り外される。)

(6) 記載事項6
FIGS. 8-10 illustrate exemplary layers of an embodiment of a flexure tail 1100 shown in FIG. 11. FIG. 8 shows a semi-rigid support layer 800. The support layer 800 can be made from a thin piece of stainless steel, for example. A dielectric layer 900 is shown in FIG. 9. The dielectric layer is formed, in some embodiments, from polyimide. FIG. 10 shows a trace layer 1000, made of copper in one embodiment.
In the flexure tail 1100 of FIG. 11 the dielectric layer 900 is disposed between, and electrically insulates, the trace layer 1000 and the support layer 800. In some embodiments, copper, polyimide, and stainless steel are laminated together and then masked and etched in multiple steps to create the flexure tail 1100. It will be noted that aligned apertures in both of the support and dielectric layers 800 and 900 allow bonding pads of the flexure tail 1100 to be accessed from either side. Additionally, the traces on one side 1110 of the flexure tail 1100 continue to the transducer of the head, while the traces on the other side 1120 of the flexure tail 1100 continue to a detachable test pad set. (第4欄65行-第5欄16行)
(当審訳
図8-10は図11に示されるフレキシャテール1100の一実施形態の例示的な層を示す。図8は半剛性支持層800を示す。支持層800は,例えば,ステンレス鋼の薄い片から作ることができる。誘電体層900を図9に示す。誘電体層は,いくつかの実施形態では,ポリイミドから形成される。図10はトレース層1000を示し,一実施形態では銅でできている。
図11のフレキシャテール1100において,誘電体層900が,電気的に絶縁し,トレース層1000及び支持層800の間に配置される。いくつかの実施形態では,フレキシャテール1100を作成するために複数のステップで,銅,ポリイミド,ステンレスを積層した後,マスクしてエッチングする。支持層及び誘電層800及び900の両方において位置合わせされた開き口(apertures)は,フレキシャテール1100のボンディングパッドにいずれかの側からアクセスすることを可能にすることに注意する。さらに,フレキシャテール1100の一方の側1110のトレースはヘッドのトランスデューサに続き,他方,フレキシャテール1100の他方の側1120のトレースは取り外し可能なテストパッドセットに続く。)

(7) 図面記載事項
図2として次の記載がある。

図3及び4として次の記載がある。

図8から図11として次の記載がある。

2.文献1記載発明
上記(1)から(7)によれば,文献1には次の発明(以下「文献1記載発明」という。)が記載されているといえる。

各ヘッド140上のトランスデューサなどの電気部品は,ディスクドライブの回路と,フレキシャテール210と呼ばれることもある支持体であって,該支持体上の一組の電気トレース200を介して通信することができ,
一組のボンディングパッド220が,ヘッド140がディスクドライブの回路に接続されることを可能にするフレキシャテール210の端部230に配置され,
フレキシャテール210のボンディングパッド220を,ディスクドライブ回路を完成させるために,フレックスケーブル150の端部230のコネクタにはんだ付けし,
ボンディングパッド220は,一列に配置され,
フレキシャテール300は,第1の数のボンディングパッド315の一次列310と,第2の数のボンディングパッド315の二次列320とを含む基板305を備え,
一次列310と二次列320は実質的に平行であり,
電気トレース340は,各ボンディングパッド315から取り外し可能なテストパッドセットまで続き,
半剛性支持層800は、ステンレス鋼の薄い片から作ることができ,
誘電体層900はポリイミドから形成され,
トレース層1000は銅でできており,
フレキシャテール1100において、誘電体層900が、電気的に絶縁し、トレース層1000および半剛性支持層800の間に配置され,
半剛性支持層および誘電層800及び900の両方において位置合わせされた開き口は、フレキシャテール1100のボンディングパッドにいずれかの側からアクセスすることを可能にする
フレキシャテール。


第5 当審の判断

1.本願第1発明について
(1) 対比
本願第1発明と文献1記載発明を比較すると次のことがいえる。

ア 文献1における図2,及び図8から図11を参照すると,文献1記載発明における「フレキシャテール」は,本願第1発明における「サスペンション用基板」に相当するといえ,更には,文献1記載発明における「半剛性支持層(800)」はステンレス鋼から作られていることから,本願第1発明における「金属支持基板」に相当するということができる。

文献1記載発明における「トレース層」は本願第1発明における「導体層」に相当する。
ここで,文献1記載発明における「誘電体層(900)」は,「電気的に絶縁し、「トレース層(1000)」及び「半剛性支持層(800)」の間に配置され」るものである。
このことから,該「誘電体層(900)」は,「半剛性支持層」の上に形成されたものであるということができ,更に,上記「トレース層」は,該「誘電体層」の上に形成されたものであるということができる。
そして,該「誘電体層」は「絶縁層」ということができることは明らかである。

以上によれば,文献1記載発明には,本願第1発明と同様,「金属支持層と,前記金属支持基板上に形成された絶縁層と,前記絶縁層上に形成された導体層と,を有するサスペンション用基板」を開示しているということができる。

イ 文献1記載発明における「端部(230)」の「コネクタ」には,「ボンディングパッド(220)」をはんだ付けするのであるから,該「ボンディングパッド(220)」は「端子部」ということができ,そして,該「端部(230)」は「接続端子領域」ということができ,該「ボンディングパッド(220)」が「複数」あり,これら「ボンディングパッド」が,「フレキシャテール」の「短手方向」にも,「長手方向」にも形成されていることは明らかである。
そして,文献1記載発明においては,「電気トレース(340)」が「各ボンディングパッド(315)から取り外し可能なテストパッドセットまで」続く。

以上によれば,文献1記載発明と本願第1発明はともに,「導体層が、サスペンション用基板のテール部側に配置された接続端子領域内に、前記サスペンション用基板の短手方向に形成された端子部」を有する点で共通するということができる。
そうしてみると,両者は更に,「複数の端子部が、サスペンション用基板の長手方向に並列的に配置され」ている点においても共通するということができる。

ウ 上記ア及びイに述べたこと,及び文献1の図8から図11の記載を踏まえると,文献1記載発明における「半剛性支持層(800)」が,「ボンディングパッド」の「一端を支持する部分」と,これに対向する「他端を支持する部分」とを有していることは明らかである。
そうしてみると,該「一端を支持する部分」,該「他端を支持する部分」を,本願第1発明と同様に,「第一の支持部」,「第2の支持部」とそれぞれいうことができる。
このことから,文献1記載発明と本願第1発明はともに,次の点で共通するということができる。
「金属支持基板が、
端子部の一端を支持する第一支持部と、
前記端子部の前記一端と対向する他端を支持する第二支持部と、」を有する点。

エ 上記ウに述べたことと,文献1の図8の記載とを踏まえれば,文献1記載発明における「半剛性支持層(800)」が,「第一支持部および第二支持部に挟まれた」「開口部」を有することは明らかである。
そうしてみると,文献1記載発明と本願第1発明はともに,次の点で共通するということができる。
「金属支持基板が,
前記第一支持部および第二支持部に挟まれた開口部と,」を有する点。

オ 上記アからエに述べたことと,文献1の図8から図11の記載とを併せてみると,次の文献1記載発明における「誘電体層(900)」に係る参考図(文献1の図9に「↓」と,「A」及び「B」とを当審が付与。)に記した「A」及び「B」の部分については,「「複数の端子部間」に,平面視上,「金属支持基板」の「開口部」を跨ぐように形成された「跨部」」ということができる。
そうしてみると,文献1記載発明と本願第1発明はともに,「複数の端子部間に、平面視上、開口部を跨ぐように形成された跨部」を有する点において共通するということができる。
[参考図]

カ 上記アからオに述べたことから,本願第1発明と文献1記載発明は次の点で一致し,相違するということができる。

[一致点]
金属支持基板と,
前記金属支持基板上に形成された絶縁層と,
前記絶縁層上に形成された導体層と,
を有するサスペンション用基板であって,
前記導体層が,前記サスペンション用基板のテール部側に配置された接続端子領域内に,前記サスペンション用基板の短手方向に形成された端子部を有し,
複数の前記端子部が,前記サスペンション用基板の長手方向に並列的に配置され,
前記金属支持基板が,
前記端子部の一端を支持する第一支持部と,
前記端子部の前記一端と対向する他端を支持する第二支持部と,
前記第一支持部および第二支持部に挟まれた開口部と,
を有し,
複数の端子部間に,平面視上,前記開口部を跨ぐように形成された跨部を有するサスペンション用基板。

[相違点]
ア 本願第1発明においては,「端子部」が「フライングリード端子部」であるのに対し,文献1記載発明における「端子部」には,そのような特定がない点で相違する。(「相違点1」)
そして,この相違のため,本願第1発明と文献1記載発明に次の(ア)から(エ)の相違がある。
(ア) 「前記サスペンション用基板の短手方向に形成された」「端子部」が,本願第1発明においては「フライングリード端子部」であるのに対し,文献1記載発明にはそのような「端子部」であるとの特定がない点。(「相違点2」)

(イ) 「前記サスペンション用基板の長手方向に並列的に配置され」る「複数の端子部」が,本願第1発明においては「複数のフライングリード端子部」であるのに対し,文献1記載発明にはそのような「端子部」であるとの特定がない点。(「相違点3」)

(ウ) 「第一支持部」及び「第二支持部」が支持する「端子部」が,本願第1発明においては「フライングリード端子部」であるのに対し,文献1記載発明にはそのような「端子部」であるとの特定がない点。(「相違点4」)

(エ) 「平面視上,前記開口部を跨ぐように形成された跨部」を有する「複数の端子部間」が,本願第1発明においては「長手方向に並列的に配置され」た「複数のフライングリード端子部間」であるのに対し,文献1記載発明にはそのような「端子部間」であるとの特定がない点。(「相違点5」)

更に,該「跨部」に関して,本願第1発明においては「補強部」であるのに対し,文献1記載発明においてはそのような「補強部」であるか否かが不明な点。(「相違点6」)
また,該「補強部」が,本願第1発明においては「金属支持基板を含む」ものであるのに対し,文献1記載発明において,「補強部」に対応する「跨部」は「誘電体層(900)」を含むものあって,「金属支持基板を含む」ものではない点。(「相違点7」)

イ 本願第1発明における「金属支持基板」は,「第一開口部のテール部側に前記第一開口部と連続するように設けられ,かつ,サスペンション用基板の短手方向の全幅にわたって形成された第二開口部」を有するとの特定があるのに対し,文献1記載発明においては,「第一開口部のテール部側に前記第一開口部と連続するように設けられ」た「第二開口部」を「金属支持基板」が有することの特定がなく(「相違点8」),かつ,「サスペンション用基板の短手方向の全幅にわたって形成された」「第二開口部」を「金属支持基板」が有することの特定もない(「相違点9」)点。

(2) 検討
事案に鑑み,相違点8及び9について,最初に検討する。

文献1における記載,及び「図8(FIG.8)」から「図11(FIG.11)」の記載等を参照してみると,上記「(1) オ」における[参考図]に示した「誘電体層」の「A」の部分に対応する「半剛性支持層(800)」の「開口部」(以下「検1開口部」という。)に関してみれば,該「検1開口部と連続するように設けられ」,かつ,「全幅にわたって形成された」「開口部」(以下「検2開口部」という。)を有していると解することもできる。
しかし,該「検2開口部」が,文献1記載発明においては,設けられるのが「検1開口部」の「テール部側」でないこと,かつ,形成されるのが「「サスペンション用基板の短手方向」の全幅」でないことは,いずれも明らかである。
また,文献1における記載をみても,上記のような「検2開口部」を,本願第1発明のように,「テール部側」に設けること,かつ,「短手方向」形成することの示唆も発見できず,さらに,そのように構成することを当業者が容易になし得たということができる理由も発見しない

以上のことから,文献1記載発明に対して,相違点8及び9のように「第二開口部」を設けることを,当業者が容易に想到し得たということはできない。

したがって,他の相違点について検討するまでもなく,本願第1発明を,文献1記載発明を基に,当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(3) 「本願第1発明について」のまとめ
以上のとおりであるから,本願第1発明を,原査定のとおりに,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるということはできない。

2.本願第2発明及び本願第3発明について
(1) 対比及び検討
本願第2発明及び本願第3発明も,上記「1.」において対比及び検討したの同じ相違点9を,文献1記載発明に対し有することは明らかである。

そうしてみると,本願第2発明及び本願第3発明を,文献1記載発明を基に,当業者が容易に発明をすることができたということができないことは当然である。

(2) 「本願第2発明及び本願第3発明について」のまとめ
以上のとおりであるから,本願第2発明及び本願第3発明を,原査定のとおりに,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるということはできない。

3.本願第4発明から本願第7発明について
(1) 対比及び検討
本願第4発明から本願第7発明は,本願第1発明から本願第3発明を,直接的若しくは間接的に引用する発明である。
そうすると,本願第4発明から本願第7発明も,上記「1.」及び「2.」において対比及び検討したの同じ相違点9を含む発明であるということができる。

そうしてみると,本願第4発明から本願第7発明を,文献1記載発明を基に,当業者が容易に発明をすることができたということができないのは当然である。

(2) 「本願第4発明から本願第7発明について」のまとめ
以上のとおりであるから,本願第4発明から本願第7発明を,原査定のとおりに,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるということはできない。

4.本願発明についてのまとめ
以上によれば,原査定のとおりに,本願発明を,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるということはできない。

したがって,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。

第6 むすび

以上のとおりであるから,原査定の理由によって,本願を拒絶すべきものであるということはできない。
また,ほかに本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-06-05 
出願番号 特願2012-79758(P2012-79758)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G11B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齊藤 健一  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 近藤 聡
山本 章裕
発明の名称 サスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンションおよびハードディスクドライブ  
代理人 山下 昭彦  

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