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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G08B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G08B
管理番号 1329082
異議申立番号 異議2017-700145  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-02-16 
確定日 2017-05-19 
異議申立件数
事件の表示 特許第5971278号発明「無線通信機能付き自鳴式商品盗難防止システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5971278号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第5971278号の請求項1ないし8に係る特許についての出願(以下「本件出願」という。)は、平成26年5月13日に特許出願され、平成28年7月22日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発行日:同年8月17日)がされ、その特許に対し、平成29年2月16日に特許異議の申立てがされたものである。

2 本件特許発明
特許第5971278号の請求項1ないし8の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明8」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
盗難防止システムにおいて、
盗難防止対象に相当する商品に設けられるものであって、
盗難有無をワイヤ断線またはスイッチアラームによって感知する感知部、
指定された識別コードを保存する保存部、
前記識別コードを受信するため、および売り場出入口感応装置の信号を受信するために無線信号を受信する第1信号受信部、
前記感知部において盗難を感知した場合、または前記第1信号受信部において前記売り場出入口感応装置の信号を受信した場合に、感知信号を外部に送信する第1信号送信部、および
ランプ出力及び音出力を実現する警報表示部、を有するタグ部と、
前記タグ部に設けられた第1信号送信部から送信される信号を受信する第2信号受信部、および
前記第2信号受信部を介して受信された前記タグ部の情報に相当する保存された識別コードを出力する表示部、を有する遠隔警報受信器、とを備え、
前記タグ部において盗難を感知した場合、または前記第1信号受信部において前記売り場出入口感応装置の信号を受信した場合に、感知信号の外部への送信、音出力による警報発信、およびランプ出力による警報発信を所定の間隔をおいて順次実行することを特徴とする無線通信機能付き自鳴式商品盗難防止システム。
【請求項2】
前記盗難防止システムは、
許可されたユーザが手軽に前記タグ部の保存部に保存されるべき識別コードを生成して前記第1信号受信部に送信して当該識別コードがタグ部に保存されるように無線信号として識別コード信号を提供するコード信号発生器をさらに備える請求項1に記載の無線通信機能付き自鳴式商品盗難防止システム。
【請求項3】
前記タグ部は、
タグの生成時に任意的に識別コードを付加されて保存するか、あるいは、前記コード信号発生器を介して受信して前記タグ部の保存部に保存することを特徴とする請求項2に記載の無線通信機能付き自鳴式商品盗難防止システム。
【請求項4】
前記第1信号受信部は、
外部信号装置から信号を受信するときに、EM信号、RF信号、AM信号、LF信号のうちのいずれか一つの信号を受信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信機能付き自鳴式商品盗難防止システム。
【請求項5】
前記遠隔警報受信器は、
任意の前記タグ部が有する識別コードを保存する保存部をさらに備え、前記遠隔警報受信器の保存部に保存された識別コードに対応するタグ部から受信信号が発生する場合に警報信号を出力するように構成される請求項1に記載の無線通信機能付き自鳴式商品盗難防止システム。
【請求項6】
前記遠隔警報受信器は、
前記タグ部から発生された送信信号に基づいて警報信号の種類を決定する警報設定部をさらに備える請求項1または請求項5に記載の無線通信機能付き自鳴式商品盗難防止システム。
【請求項7】
前記遠隔警報受信器は、
外部端末と有線または無線で接続される外部機器通信部をさらに備えて、前記外部機器通信部を介して受信された信号を外部端末に提供することを特徴とする請求項5に記載の無線通信機能付き自鳴式商品盗難防止システム。
【請求項8】
前記タグ部は、
前記保存部に保存された固有の識別コードは固定型識別コードと可動型識別コードとしてそれぞれ保存され、
前記固定型識別コードは、前記タグ部の製作時に最初に入力される識別コードに当該するか、あるいは、前記コード信号発生器を介して入力され、
前記可動型識別コードは、前記固定型識別コードが既に入力された後に前記コード信号発生器によってさらに入力されてそれぞれが別々に識別できるように構成される、請求項2に記載の無線通信機能付き自鳴式商品盗難防止システム。」

3 申立理由の概要
本件特許発明1ないし8は、甲第1号証に周知技術(甲第2号証や甲第3号証)を考慮すれば、新規性がなく、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、請求項1ないし8に係る特許は、取り消すべきものである。
また、たとえ、新規性があるとしても、本件特許発明1ないし8は、少なくとも、甲第1号証及び甲第2号証又は甲第3号証から容易想到であり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、請求項1ないし8に係る特許は、取り消すべきものである。

〔証拠方法〕
甲第1号証:韓国公開特許第10-2010-0124497号公報(以 下「刊行物1」という。)
甲第2号証:特開平11-353562号公報(以下「刊行物2」という 。)
甲第3号証:特開2007-199967号公報(以下「刊行物3」とい う。)

4 刊行物
(1)刊行物1
本件出願の出願前に頒布された刊行物1には、アクティブセキュリティシステムに関して、図面(特に、図1ないし図5参照)とともに、次の事項が記載されている。なお、仮訳は異議申立人による。下線は当審で付した。

ア 「[0001]
本発明は、アクティブマトリックス盗難防止システムに関するもので、より詳細には、大型小売店や図書館などで物品の盗難をより効果的に防止することができる能動型盗難防止システムに関するものである。」

イ 「[0010]
上記のような問題点を解決するための本発明は、盗難防止用タグを様々な製品に容易に適用することができるタグ装置を提供することにその目的がある。」

ウ 「[0013]
上記のような目的を達成するための本発明は、それぞれに固有のIDを持ち、盗難防止のための製品に固定することができるようにロックの固定部が備えられていてアラームモードでは、上記固定部が解体または断線(切断)、またはアラーム検出エリアに入ったときにアラーム音が発生されるタグ部、上記のタグ部がアラーム検出エリアに進入すると、検出エリアかどうかを自分で判断できるように区分されられた警報信号を提供し、タグ部から警報状況を受信すると、アラーム信号を出力する受信部、上記固定部の解体や上記受信部によりアラーム検出エリアでは、タグ部アラーム状態を検出すると、タグ部と受信部からの警報信号を提供し警報信号を出力する中央受信部と、前記タグ部の警報モードを解除するアラーム解除部を含むことを特徴とする。」

エ 「[0023]
本発明に係る能動型盗難防止システムは、それぞれの固有のIDを持ち、盗難防止のための製品に固定することができるように利用される固定部(110)が備えられていて、固定部の恣意的解体やアラーム検知エリアに入ったときに警報音を発生させるタグ部(100)と前記クグ部がアラーム検出エリアに進入すると、これを検出するための対応にインストールされた検出部(230)によって上記のタグ部を検出してアラーム通知部からビーフ音を発生させる受信部(200)と、前記タグ部に備えられた固定部解体や上記受信部によりアラーム検出エリアでは、タグ部を検出すると、タグ部(100)と受信部(100)からの警報信号を提供し警報音を発生させる中央受信部(300)と、前記タグ部の警報モードを解除するアラーム解除部(400)と構成される。
[0024]
タグ部(100)は、盗難防止の目的の製品に添付されて製品からタグ部を任意に削除したり、アラーム検出エリアに入ったときにアラーム信号を送信し、自主的にアラーム信号を出力する。」

オ 「[0028]
タグ部の構成を詳細に見てみると、前述したように、製品に固定させることができる固定部の一側に備えられ、この固定部が任意に断線(切断)されたり、解体された場合、これを検出するタグ検出部(120)と、アラーム検出ゾーンにタグ部が検出された場合、アラーム信号を受信される無線受信部(140)とタグ部から警報信号を送信する無線送信部(141)と、タグ検出部を通じたアラーム信号の入力やアラーム検知エリアからアラーム信号を受信する場合、タグ部自体に警告音と警報等を発生させるアラーム通知部(130)を含み、タグ部の電源を供給する電源部(160)とタグ部全体に制御する制御部(180)を含んで構成される。
[0029]
上記のタグ検出部(120)は、導電体で構成された固定部であり、微細な電流を供給して断線/解体時に微電流が遮断されるとこれを感知して警報信号を制御部に送信する。
[0030]
一方、前記タグ部は外部端末と接続して、固有IDの入力や確認のためのインターフェイス(150)と、電源部の容量低下時それを検出する電源検出部(170)をさらに含んで構成される。ここでは、タグ部の固有IDはタグ部製作時に入力させることもでき、前記インターフェイス部(150)を介して管理者が任意に入力できるように、別のメモリ部を利用してタグ部に関する様々な情報を直接入力することもできる。」

カ 「[0032]
このように構成されている上記のタグ部は製品にインストールされて盗難者が任意のものを盗まれたために製品に固定されていると固定部が切断または任意の解体(本体から分離)と自主的に警報音と警報などを通じた警報信号を出力するようにされ、後述する中央受信部(300)にアラーム信号を送信し、中央受信部にも警報信号を出力する。また、アラーム検出エリアに進入した場合、上記と同じように動作し、アラーム検出エリアを設定する後述する受信部(200)からアラーム信号を送信することになる。
[0033]
受信部(200)は、アラーム検出ゾーン設定、およびアラーム信号を出力するためのもので、一例を入って流通店のいくつかの出入口にインストールすることができる。
[0034]
上記の受信部(200)は、
アラーム検出ゾーンを設定するためにアラーム信号を出力する検出部(210)と、
前記タグ部がアラーム検出エリアに進入したときにアラーム信号を受信される無線受信部(220)とタグ部の検出時にアラーム信号を出力するアラーム通知部(230)と、
タグ部の情報や製品情報等を出力する表示部(240)と、
前記受信部に電源を供給する電源部(250)を含んでいる。
ここで、前記受信部の表示部(240)は、システムの適用環境に応じて省略することができる。」

キ 「[0037]
本発明では、警報信号をVLF、LF、HF、UFH帯やMicrowave帯の固有の無線信号を出力し、前記タグ部検出信号を提供する。望ましい周波数帯域では、22Khr、37.5Khr、125Khr、137Khr、13.56Mhr、900Mhrと2.4GHz帯を含むように適用することができる。
[0038]
つまり、上記のタグ部(100)は、アラーム検出領域に進入すると、検出部から出力される無線信号をタグ部の無線受信部(140)にて認識し、自主的にアラーム信号を出力し、タグ部の無線送信部(141)において、前記受信部(200)にアラーム信号を送信して受信部で一緒にアラーム信号を出力する。
[0039]
中央受信部(300)は、本発明による能動型セキュリティシステムのメイン受信部に対応することで、上記受信部(200)と構成要素は同じように構成することができる。
[0040]
上記中央受信部(300)は、アラーム信号が発生した場合、表示部(240)を介してタグ部の固有のID情報、それに伴う製品情報や警報発生地域の受信機の位置をLCDなどのディスプレイパネルを介して出力することにより、タグ部場所や製品情報を確認することができる。
[0041]
ここで、前記受信部と中央受信部のインターフェイス(270)を介してネットワークに構成させることで、管理事務所等の所在地から監視されるように実装されることがありますが、管理者のコンピュータ、携帯電話、PDAなどの携帯端末でタグ付け情報を確認する。」

ク 「[0044]
次に、図5を参照して本発明の一実施例で流通店舗に設置されアクティブセキュリティシステムの実施例を説明する。
図示のように店のいくつかの出入口には、受信部(200)と検出部(210)がそれぞれ設置され、様々な製品に対応するようにの固有IDを持つタグの部分が製品に添付されている。
[0045]
また、物品レジには中央受信部(300)が完備されてタグ部が付いた製品の販売状況をリアルタイムで確認することができ、通常の計算を終えた製品の場合には、警報解除部(400)を介してタグ部の警報モードを解除させて製品から削除して回収する。
[0046]
一方、店舗内の盗難者が任意の製品に付けられたタグ部を除去した後の盗難のための固定部を切断したり、解体し、タグ検出部(120)は、これを感知してアラーム信号を中央受信部に送信し、アラーム通知部からアラーム信号を出力させ、タグ部自主的に警告音と警告灯を動作させる。
[0047]
タグ部の無線送信部(141)を介して中央受信部(300)に警告信号を送信すると、アラーム通知部からビープ音と警報灯を出力する。また、表示部(240)は、タグ部固有のIDによってアラーム発生製品の情報を把握することができる。」

ケ 上記オの「タグ部の固有IDはタグ部製作時に入力させることもでき、前記インターフェイス部(150)を介して管理者が任意に入力できるように、別のメモリ部を利用してタグ部に関する様々な情報を直接入力することもできる」(段落[0030])との記載からみて、タグ部(100)は、固有IDを記憶するメモリ部を有するといえる。

コ 上記キの「中央受信部(300)は、本発明による能動型セキュリティシステムのメイン受信部に対応することで、上記受信部(200)と構成要素は同じように構成する」(段落[0039])との記載、及び上記カの「上記の受信部(200)は、アラーム検出ゾーンを設定するためにアラーム信号を出力する検出部(210)と、前記タグ部がアラーム検出エリアに進入したときにアラーム信号を受信される無線受信部(220)とタグ部の検出時にアラーム信号を出力するアラーム通知部(230)と、タグ部の情報や製品情報等を出力する表示部(240)と、前記受信部に電源を供給する電源部(250)を含んでいる。」(段落[0034])との記載からみて、中央受信部(300)は、無線受信部と表示部とを有していることが理解できる。
そして、上記クの「タグ部の無線送信部(141)を介して中央受信部(300)に警告信号を送信すると、アラーム通知部からビープ音と警報灯を出力する。また、表示部(240)は、タグ部固有のIDによってアラーム発生製品の情報を把握することができる。」(段落[0047])との記載からみて、中央受信部(300)の無線受信部がタグ部の無線送信部(141)から送信される信号を受信することは明らかである。また、中央受信部(300)の表示部(240)は無線受信部を介して受信されたタグ部の固有のID情報を出力するといえる。

これらの記載事項、認定事項及び図面の図示内容を総合し、本件特許発明1の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されている。

「能動型盗難防止システムにおいて、
盗難防止の目的の製品に固定されるものであって、
盗難を固定部(110)の解体または断線(切断)によって検出するタグ検出部(120)、
固有のID情報を記憶するメモリ部、
前記固有のID情報の入力や確認のためのインターフェイス(150)、
受信部(200)により設定されたアラーム検出ゾーンからの信号を受信する無線受信部(140)、
前記タグ検出部(120)において盗難を検出した場合、または前記無線受信部(140)において前記受信部(200)により設定されたアラーム検出ゾーンから信号を受信した場合に、信号を外部に送信する無線送信部(141)、および
警告音と警報等を発生するアラーム通知部(130)、を有するタグ部(100)と、
前記タグ部(100)に設けられた無線送信部(141)から送信される信号を受信する無線受信部、および
前記無線受信部を介して受信された前記タグ部の固有のID情報を出力する表示部、を有する中央受信部(300)、とを備える、
能動型盗難防止システム。」

(2)刊行物2
本件出願の出願前に頒布された刊行物2には、「盗難防止用タグ」に関して、図面(特に、図1参照)とともに、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、盗難を監視する物品の無断持出しを報知するためのタグに関する。更に詳しくは物品にワイヤを介して取付けられる盗難防止用タグに関するものである。」

イ 「【0008】しかし、上記従来の盗難防止装置及び上記改善された盗難防止装置では、警報を発していないときにも常にワイヤに電流が流れて電力を消費するため、電池の消耗が著しく、短期間で電池を交換しなければならず、多くの費用及び作業工数(電池交換)を要する問題点があった。本発明の目的は、電池交換の頻度を極めて少なくでき、かつワイヤの切断時に確実に警報手段を作動させることができる盗難防止用タグを提供することにある。」

ウ 「【0014】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1?図3に示すように、盗難防止用タグ11はケース12に収容された電池13と、ケース12に収容され電池13に電気的に接続されスイッチ部14a及びコイル部14bとを有する継電器14と、ケース12に収容されコイル部14bに並列に接続された警報手段16とを備える。ケース12は凹部17aが形成されたケース本体17と、凹部17aを閉止する蓋18とを有する(図3)。また電池13、継電器14及び警報手段16は回路基板19(図3)上に取付けられ、これらの電気部品は回路基板19上に形成された電気配線19aにより電気的に接続される。また電池13としては乾電池やボタン型電池等が用いられ、スイッチ部14aとしてはリードスイッチが用いられる。ケース12をできるだけ小型化するためボタン型電池を用いることが好ましい。
【0015】スイッチ部14aは常開のスイッチであり、コイル部14bに電流が流れていないときに接点が開いた状態に保たれ、コイル部14bに電流が流れると接点が閉じるように構成される(図1)。また警報手段16はこの実施の形態ではブザーである。蓋18にはブザー16に対向して多数の小孔18aが形成される。(以下略)」

エ 「【0024】このように構成された盗難防止用タグの動作を説明する。物品26からタグ11を外して物品26を店から無断で持出すために、補強部材22で補強されたワイヤ21を金属工具(図示せず)で切断すると、ワイヤ21を形成する2本の未接続の導線21a,21bが金属工具に同時に接触した後、切断される。この接触時に上記2本の導線21a,21b間が金属工具を介して導通するので、コイル部14bに電流が流れてスイッチ部14aの接点が閉じると同時に、ブザー16に電流が流れてブザー16が警報を発する。上記2本の導線21a,21bが完全に切断されると、2本の導線21a,21b間が電気的に遮断されるけれども、スイッチ部14aの接点が閉じた状態にあるので、コイル部14b及びブザー16に電流が流れ続ける。即ち、継電器14により自己保持回路が形成される。この結果、ブザー16が警報を発し続けるので、上記物品26を販売・管理する店員等が物品26の無断持出しを知ることができる。(以下略)」

(3)刊行物3
本件出願の出願前に頒布された刊行物3には、「アクティブRFIDタグおよびセキュリティーシステム」に関して、図面(特に、図1参照)とともに、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
本発明はアクティブRFIDタグおよびセキュリティーシステムに関し、アクティブRFIDタグを利用してセキュリティゲートを制御する技術、およびタグの位置情報等を報知する技術に係るものである。」

イ 「【0012】
本発明は、アクティブRFIDタグを利用してセキュリティーシステムを構築するものであり、タグを鞄等に収納した状態でセキュリティゲートにおける認証を可能とし、タグおよびタグを保持した人の位置を正確に測定して管理者に報知することを可能とするアクティブRFIDタグおよびセキュリティーシステムを提供することを目的とする。」

ウ 「【0030】
また、アクティブRFIDタグが監視区域外に在るときに、スリープモードに遷移し、監視区域内に入るときに、トリガモード、または自発送信モードに遷移することで消費電力量を抑制して電源手段の寿命を延ばすことができる。」

エ 「【0058】
監視装置13は検知したアクティブRFIDタグ1の現在位置を監視者へインターネット網や公衆回線、無線等の報知手段によって報知する。
この間にアクティブRFIDタグ1は、タグを保持する監視対象者30の移動に伴って生じる振動を振動センサ7で検出し、CPU5は、振動センサ7がタグの振動を検出し続ける間において、タグを保持する監視対象者30が移動中であることを移動情報として高周波無線通信回路3により送信する。監視装置13は、この情報を得ることで監視対象者30が移動中であるか留まっているかを認識する。そして、監視装置13は監視対象者30がある地点に留まり動いていない間は、高周波無線通信回路3により送信するタグ識別情報およびゲート識別情報の発信頻度を抑制して電力消費を抑制する。」

オ 「【0060】
また、監視対象者30が不法な侵入者を発見するなど何かの異常を認知したときに、アクティブRFIDタグ1のボタン10を押すと、CPU5はタグを保持する監視対象者に異常事態が生じたとして異常情報を高周波無線通信回路3により送信するとともに、ブザーもしくはランプ9を起動して音または光の警報を発報し、周囲の者に警告を発する。」

5 判断
(1)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と刊行物1発明とを対比すると、後者の「能動型盗難防止システム」は前者の「無線通信機能付き自鳴式商品盗難防止システム」に相当し、以下同様に、「タグ部(100)」は「タグ部」に、「盗難防止の目的の製品に固定される」ことは「盗難防止対象に相当する商品に設けられる」ことに、「盗難を固定部(110)の解体または断線(切断)によって検出するタグ検出部(120)」は「盗難有無をワイヤ断線によって感知する感知部」に、「固有のID情報」は「指定された識別コード」に、「メモリ部」は「保存部」に、「受信部(200)により設定されたアラーム検出ゾーンからの信号」は「売り場出入口感応装置の信号」に、「無線受信部(140)」は「無線信号を受信する第1信号受信部」に、「信号を外部に送信する無線送信部(141)」は「感知信号を外部に送信する第1信号送信部」に、「中央受信部(300)」は「遠隔警報受信器」に、「前記タグ部(100)に設けられた無線送信部(141)から送信される信号を受信する無線受信部」は「前記タグ部に設けられた第1信号送信部から送信される信号を受信する第2信号受信部」に、「前記無線受信部を介して受信された前記タグ部の固有のID情報を出力する表示部」はタグ部の固有のID情報を保存し出力することが明らかであるから「前記第2信号受信部を介して受信された前記タグ部の情報に相当する保存された識別コードを出力する表示部」にそれぞれ相当する。

また、後者の「警告音と警報等」は、中央受信部(300)についての「警告音と警告灯を動作させる」(段落[0046])との記載及び「アラート通知部からビープ音と警報灯を出力する」(段落[0047])との記載に照らせば、前者の「ランプ出力及び音出力」に相当するから、後者の「警告音と警報等を発生するアラーム通知部(130)」は前者の「ランプ出力及び音出力を実現する警報表示部」に相当する。

したがって、両者は、
「盗難防止システムにおいて、
盗難防止対象に相当する商品に設けられるものであって、
盗難有無をワイヤ断線によって感知する感知部、
指定された識別コードを保存する保存部、
売り場出入口感応装置の信号を受信するために無線信号を受信する第1信号受信部、
前記感知部において盗難を感知した場合、または前記第1信号受信部において前記売り場出入口感応装置の信号を受信した場合に、感知信号を外部に送信する第1信号送信部、および
ランプ出力及び音出力を実現する警報表示部、を有するタグ部と、
前記タグ部に設けられた第1信号送信部から送信される信号を受信する第2信号受信部、および
前記第2信号受信部を介して受信された前記タグ部の情報に相当する保存された識別コードを出力する表示部、を有する遠隔警報受信器、とを備える無線通信機能付き自鳴式商品盗難防止システム。」
で一致し、次の点で相違する。

〔相違点1〕
本件特許発明1は、第1信号受信部が「前記識別コードを受信するため」に無線信号を受信するのに対し、
刊行物1発明は、無線受信部(140)とは別に「前記固有のID情報の入力や確認のためのインターフェイス(150)」を有する点。

〔相違点2〕
本件特許発明1は、「前記タグ部において盗難を感知した場合、または前記第1信号受信部において前記売り場出入口感応装置の信号を受信した場合に、感知信号の外部への送信、音出力による警報発信、およびランプ出力による警報発信を所定の間隔をおいて順次実行する」のに対し、
刊行物1発明は、無線送信部(141)による信号の外部への送信と、警告音の発生と、警報等の発生とをどのように実行するのか不明である点。

イ 判断
本件特許発明1と刊行物1発明とは、上記の点で実質的に相違するから、同一であるということはできない。

次に、各相違点について検討する。
(ア)相違点1について
刊行物1には、前記「4(1)」の記載事項の他に、背景技術として「RFIDシステムは、基本的にタグ・カードとリーダは、ホストコンピュータ(またはアプリケーション)で構成される。タグは、無線周波数(Radio Frequency :RF)機能とメモリ、アンテナ(または電源)で構成され、タグのメモリ上のID情報を無線周波数を使用してインターフェイスする。」(段落[0006]仮訳)との記載がある。
この記載によれば、タグは、アンテナを備え、無線周波数を使用してタグのメモリ上のID情報をインターフェイスすることが理解できる。

そうすると、刊行物1発明は無線受信部(140)を有するものであるから、刊行物1の上記記載を参酌して、「固有のID情報の入力や確認のためのインターフェイス(150)」として無線受信部(140)を用い、相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(イ)相違点2について
本件特許発明1の「前記タグ部において盗難を感知した場合、または前記第1信号受信部において前記売り場出入口感応装置の信号を受信した場合に、感知信号の外部への送信、音出力による警報発信、およびランプ出力による警報発信を所定の間隔をおいて順次実行する」との事項に関して、特許明細書には「前記タグ部100は、電力の消耗を極力抑えるために、無線送信-音(ビープ)-ランプ(LED)の順に動作を実現する。このとき、各機能間の間隔は、バッテリの充放電にかかる最小時間以上を使用するために、前記制御部160によって無線送信の手続きを制御する」(段落【0048】)との記載がある。
この記載によれば、本件特許発明1の上記事項は、電力の消耗を極力抑えるためのものである。

他方、刊行物1には、電源検出部(170)が電源部の容量低下時を検出すること(段落[0030])が記載されているが、電力の消耗を抑えるための具体的な手段についての記載はない。

また、刊行物2には、警報を発していないときにも常にワイヤに電流が流れて電力を消費するため、電池の消耗が著しく、短期間で電池を交換しなければならないとの問題点を解決するために(段落【0008】)、スイッチ部14aを常開のスイッチとして、コイル部14bに電流が流れていないときに接点が開いた状態に保たれ、コイル部14bに電流が流れると接点が閉じるように構成することにより(段落【0015】)、ワイヤ21を金属工具(図示せず)で切断すると、ワイヤ21を形成する2本の未接続の導線21a,21bが金属工具に同時に接触し導通するので、スイッチ部14aの接点が閉じると同時にブザー16に電流が流れてブザー16が警報を発すること(段落【0024】)が記載されているが、相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項についての記載はない。

刊行物3には、アクティブRFIDタグが監視区域外に在るときに、スリープモードに遷移して消費電力量を抑制して電源手段の寿命を延ばすこと(段落【0030】)や、監視対象者30がある地点に留まり動いていない間は、送信するタグ識別情報およびゲート識別情報の発信頻度を抑制して電力消費を抑制すること(段落【0058】)が記載されているが、相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項についての記載はない。

そうすると、刊行物1発明に刊行物2,3に記載された事項を適用しても、相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項を導き出すことはできない。
また、相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項は、当業者が容易になし得る程度の設計変更ともいえない。

したがって、本件特許発明1は、刊行物1発明及び刊行物2,3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

(ウ)まとめ
以上のとおり、本件特許発明1は、刊行物1発明とは同一ではなく、又は刊行物1発明及び刊行物2,3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件特許発明2ないし8について
本件特許発明2ないし8は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本件特許発明1についての判断と同様の理由により、本件特許発明2ないし8は刊行物1発明と同一ではなく、又は刊行物1発明及び刊行物2,3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

6 むすび
以上のとおり、本件特許発明1ないし8は、刊行物1発明と同一でなく、又は刊行物1発明及び刊行物2,3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-05-09 
出願番号 特願2014-99467(P2014-99467)
審決分類 P 1 651・ 113- Y (G08B)
P 1 651・ 121- Y (G08B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 安井 雅史白川 瑞樹  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 冨岡 和人
内田 博之
登録日 2016-07-22 
登録番号 特許第5971278号(P5971278)
権利者 株式会社ジーネット
発明の名称 無線通信機能付き自鳴式商品盗難防止システム  
代理人 特許業務法人アイミー国際特許事務所  
代理人 ▲吉▼川 俊雄  
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