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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 B32B 審判 全部申し立て 2項進歩性 B32B |
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管理番号 | 1329093 |
異議申立番号 | 異議2016-701071 |
総通号数 | 211 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-07-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-11-21 |
確定日 | 2017-06-02 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第5926145号発明「積層多孔質フィルム及び非水電解液二次電池」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5926145号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第5926145号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、平成24年7月23日(優先権主張平成23年7月28日)に出願され、平成28年4月28日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人森本晋(以下、「申立人」という。)により本件特許異議の申立てがされ、当審において平成29年1月10日付けで取消理由を通知し、同年3月9日に特許権者より意見書が提出されたものである。 2.本件発明 本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし10に係る発明(以下、「本件特許発明1」等という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載されたとおりのものと認められ、その請求項1ないし10には以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 ポリオレフィンを主成分とする基材多孔質フィルムの片面又は両面にバインダー樹脂及びフィラーを含む耐熱層が積層された積層多孔質フィルムであって、 バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分が、前記基材多孔質フィルム内部に、前記耐熱層と接触するように形成され、かつ、該存在部分の合計厚みが基材多孔質フィルム全体の厚みの4%以上20%以下である積層多孔質フィルム。 【請求項2】 前記バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分の合計厚みが基材多孔質フィルム全体の厚みの4%以上16%以下である請求項1記載の積層多孔質フィルム。 【請求項3】 ポリオレフィンを主成分とする基材多孔質フィルムの片面又は両面にバインダー樹脂及びフィラーを含む耐熱層が積層された積層多孔質フィルムであって、 バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分が、前記基材多孔質フィルム内部に、前記耐熱層と接触するように形成され、かつ、前記基材多孔質フィルムと前記耐熱層との界面を基準とした、前記バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分の厚みが、基材多孔質フィルム全体の厚みの2%以上10%以下である積層多孔質フィルム。 【請求項4】 前記基材多孔質フィルム内部におけるバインダー樹脂及びフィラーが実質的に存在しない部分の厚みが、7μm以上である請求項1から3のいずれかに記載の積層多孔質フィルム。 【請求項5】 前記バインダー樹脂が、水溶性ポリマーである請求項1から4のいずれかに記載の積層多孔質フィルム。 【請求項6】 前記バインダー樹脂が、セルロースエーテルである請求項5記載の積層多孔質フィルム。 【請求項7】 前記フィラーが、無機フィラーである請求項1から6のいずれかに記載の積層多孔質フィルム。 【請求項8】 前記無機フィラーが、アルミナである請求項7記載の積層多孔質フィルム。 【請求項9】 前記耐熱層を構成するバインダー樹脂、フィラー及び溶媒を含み、かつ、ポリエチレンシート(共栄樹脂株式会社製、硬質ポリエチレンシート、1mm厚グレード)との接触角が60°以上である塗工スラリーを、該塗工スラリーとの接触角が0°を超え65°以下になるように表面処理した前記基材多孔質フィルムの表面に塗工し、溶媒を除去する工程を有する請求項1から8のいずれかに記載の積層多孔質フィルムの製造方法。 【請求項10】 請求項1から8のいずれかに記載の積層多孔質フィルムをセパレータとして含む非水電解液二次電池。」 3.取消理由の概要 当審において、本件特許発明1ないし10に対して通知した取消理由の概要は、次のとおりである。当該通知で、本件特許異議申立ての全ての取消理由が通知された。 1)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 2)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 甲第1号証:特開2009-76410号公報 甲第2号証:特開2008-186722号公報 甲第3号証:特開2007-125821号公報 <取消理由1 進歩性> 本件特許発明1?8、10は、甲1発明1(特許異議申立書11頁19?25行)、甲第2号証の記載事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件特許発明9は、甲1発明2(特許異議申立書13頁6?14行)、甲第2号証の記載事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 <取消理由2 記載不備> あらゆるポリオレフィンを主成分とする基材多孔質フィルム及び塗工スラリーを含む本件特許発明1?10は、特定のポリオレフィンフィルム及び塗工スラリーを用いた実施例1?3により発明の課題を解決することが確認された範囲以外の、発明の課題を解決していない範囲のものを含むので、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである。 また、「バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分」が薄くアンカー効果が弱いものを含む本件特許発明1?10は、耐熱層の剥離という課題を解決していない範囲のものを含むので、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである。 4.甲各号証の記載 甲第1号証には、以下の甲1発明が記載されている(【請求項1】、段落【0022】、【0030】、【0034】、【0035】、【0039】?【0041】)。 「ポリオレフィンを主成分とする樹脂多孔質膜と、有機バインダ及び耐熱性微粒子を含む耐熱多孔質層とを有する多層多孔質膜であって、 樹脂多孔質膜内部では耐熱性微粒子や有機バインダを含む耐熱多孔質層形成用組成物が塗布面とは反対側の面にまで透過していない多層多孔質膜。」 甲第2号証には、ポリオレフィン樹脂多孔膜と、樹脂製バインダ及び無機フィラーからなる多孔層とを備えた多層多孔膜であって、多層多孔膜は、ポリオレフィン樹脂多孔膜の内部に無機フィラーおよび樹脂製バインダが入り込むことを原因とする透過性の低下が改善されるという技術事項が記載されている(【請求項1】、段落【0003】、【0005】、【0009】、【0011】?【0013】)。 甲第3号証には、多孔質フィルムの凹凸部に、耐熱多孔質の一部が食い込んだ場合にアンカー効果を奏するという周知技術が記載されている(段落【0041】)。 5.判断 事案に鑑み、取消理由2、取消理由1の順で検討する。 (1)取消理由2について 本件特許明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、積層多孔質フィルムに関し、更に詳しくは非水電解液二次電池用セパレータとして好適な積層多孔質フィルムに関する。」 「【0006】 このような積層多孔質フィルムは、無機フィラーとバインダー樹脂とを含む塗工スラリーを、基材多孔質フィルム表面に均一に塗工して製造しているが、この塗工工程において塗工スラリーが基材多孔質フィルムに浸透してしまうと、塗工スラリーの成分であるバインダー樹脂が基材多孔質フィルム内部に入り込むため、基材多孔質フィルムのイオン透過性やシャットダウン性が低下するなど、基材多孔質フィルムの本来の性質が維持できなくなるという問題がある。 また、積層多孔質フィルム用の基材多孔質フィルムは、セパレータとして用いたときにより高いイオン透過性を得るために、高い空隙率(例えば、50%以上)を有することが好適であるが、基材多孔質フィルムでは、上述の塗工工程において、塗工スラリーの基材多孔質フィルム内部への浸透が生じた場合、浸透した塗工スラリー中の溶媒成分が気化するに際して生じる収縮応力によって、基材多孔質フィルムに収縮が生じ、高い空隙率を保持できなくなるために、得られる積層多孔質フィルムの特性は、基材多孔質フィルムの本来の特性から予想されるものよりも低くなるといった課題があった。」 「【0012】 基材多孔質フィルム(以下、「A層」と称す場合がある)は、その内部に連結した細孔を有する構造を持ち、一方の面から他方の面に気体や液体が透過可能である。 A層は、高温になると溶融して無孔化する性質があるため、積層多孔質フィルムをセパレータとして使用したときには、電池の異常発熱時に、溶融して無孔化することにより、積層多孔質フィルムにシャットダウンの機能を付与する。 耐熱層(以下、「B層」と称す場合がある)は、基材多孔質フィルムが無孔化する温度における耐熱性を有しており、積層多孔質フィルムに形状維持性の機能を付与する。B層はバインダー樹脂とフィラーを含む塗工スラリーをA層に塗工し、溶媒を除去して製造することができる。 【0013】 B層を形成する塗工工程において、塗工スラリーがA層の内部に過剰に浸透すると、塗工スラリーの成分であるフィラーやバインダー樹脂がA層に入り込むことにより、A層のイオン透過性が低下したり、シャットダウン機能を阻害したりすることがある。積層多孔質フィルムは、A層内部における、バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分の合計厚みがA層全体の厚みの20%以下、好ましくは16%以下であるため、上述のフィラーやバインダー樹脂に起因するA層のイオン透過性低下を実質的に抑制することができ、さらにシャットダウン性の阻害は生じにくくなる。 【0014】 上記の「A層内部におけるバインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分」(以下、単に「存在部分」と称す場合がある。)は、A層の内部に浸透した塗工スラリーが固化することによって形成されるため、前記存在部分は、A層の内部に耐熱層(B層)と接触するように形成されている。そして、アンカー効果によりA層とB層との接着性を高める作用を有するが、前記存在部分の合計厚みが、A層全体の厚みの1%以上、好ましくは2%以上であると、B層が剥離することを抑制できる。前記存在部分の合計厚みが、1%未満であると、A層とB層の接着性が不足して、B層が剥離し易くなる。」 「【0016】 また、A層とB層との界面を基準とした、上記バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分の厚みが、A層全体の厚みの1%以上10%以下であることが好ましい。…(中略)… 上記A層とB層との界面を基準とした、A層内部におけるバインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分の厚みが、上述の範囲であれば、A層とB層の接着性、およびシャットダウン性能により優れた積層多孔質フィルムが得られる。」 以上の記載から、本件特許発明1?10が解決しようとする課題は、以下のとおりと認められる。 (課題1)非水電解液二次電池用セパレータとしての積層多孔質フィルムにおいて、塗工スラリーの成分であるフィラーやバインダー樹脂が基材多孔質フィルムに入り込むことにより、基材多孔質フィルムのイオン透過性が低下したり、シャットダウン機能を阻害したりすること (課題2)基材多孔質フィルムと耐熱層の接着性が不足して、耐熱層が剥離し易くなること そして、段落【0013】、【0016】の記載から、当業者であれば、バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分が、基材多孔質フィルム内部に、耐熱層と接触するように形成され、かつ、該存在部分の合計厚みが基材多孔質フィルム全体の厚みの20%以下であること(本件特許発明1)、または、バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分が、基材多孔質フィルム内部に、耐熱層と接触するように形成され、かつ、基材多孔質フィルムと耐熱層との界面を基準とした、バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分の厚みが、基材多孔質フィルム全体の厚みの10%以下であること(本件特許発明3)により、上記課題1を解決できることを認識できるといえる。 また、段落【0014】、【0016】の記載から、当業者であれば、バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分が、基材多孔質フィルム内部に、耐熱層と接触するように形成され、かつ、該存在部分の合計厚みが基材多孔質フィルム全体の厚みの4%以上であること(本件特許発明1)、または、バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分が、基材多孔質フィルム内部に、耐熱層と接触するように形成され、かつ、基材多孔質フィルムと耐熱層との界面を基準とした、バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分の厚みが、基材多孔質フィルム全体の厚みの2%以上であること(本件特許発明3)により、上記課題2を解決できることも認識できるといえる。 よって、本件特許発明1?10は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものとはいえない。 申立人は、「本件の実施例には、表1?4に示すように、塗布スラリー1、2及び、特定のポリオレフィンフィルムA1?A3を用いた実施例のみが記載されている。…したがって、上記の実施例をもって、あらゆる基材多孔質フィルムと塗工スラリーにおいて、本件特許発明1、9の目的が達成されるための十分な実施例が示されているとはいえない。」と主張している。 しかし、本件特許の発明の詳細な説明の段落【0027】、【0035】、【0038】?【0040】には、実施例以外の基材多孔質フィルム、フィラー及びバインダー樹脂についても例示している。これらの記載を併せてみると、実施例以外の基材多孔質フィルム、フィラー及びバインダー樹脂であっても、「存在部分」の要件を満たすことで本件の課題1、2を解決できることを当業者であれば認識し得るといえる。 また、申立人は、「また、本件の実施例では、基材多孔質フィルムの膜厚が17.3?20.2μmのものを用いており、多孔質フィルム内部におけるバインダー樹脂及びフィラーが実質的に存在しない部分の厚みが15.1μm以上(存在部分の厚みが0.8?2.8μm)の実施例しか記載されていない。例えば、上記「存在しない部分の厚み」が7μmの場合、存在部分が4?20%であること(請求項1)を考慮すると、用いる基材多孔質フィルムの膜厚は、7.3μm?8.75μmであるといえ、存在部分の厚みは、最小で0.3μm程度となる。このように基材多孔質フィルムの膜厚が薄くなるほどバインダー樹脂またはフィラーが存在し得る部分の膜厚は薄くなる。すると、段落[0014]に記載の「アンカー効果」は弱くなることになる。したがって、本件特許発明4に規定するように多孔質フィルム内部におけるバインダー樹脂及びフィラーが実質的に存在しない部分の厚みが7μm以上のすべての範囲(例えば、7μm以上15.1μm以下の範囲内)でも課題を解決できると当業者が認識できる程度の具体的に説明がなされているとは言えない。」と主張している。 しかし、本件特許発明1?10は非水電解液二次電池用セパレータとしての積層多孔質フィルムに関するものであって(段落【0001】)、その基材多孔質フィルム、耐熱層の膜厚は薄いものである(段落【0020】、【0031】、【0037】)。そして、段落【0014】、【0016】の記載から、「存在部分」の要件を満たすことで、非水電解液二次電池用セパレータとしての積層多孔質フィルムの薄い基材多孔質フィルム、耐熱層に相応のアンカー効果が奏され、必要な接着性が得られることを当業者であれば認識し得るといえる。 (2)取消理由1について ア.本件特許発明1について 本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。 相違点1.本件特許発明1は「バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分が、基材多孔質フィルム内部に、耐熱層と接触するように形成され、かつ、該存在部分の合計厚みが基材多孔質フィルム全体の厚みの4%以上20%以下である」という事項を有するのに対し、甲1発明は樹脂多孔質膜内部に形成された有機バインダ及び耐熱性微粒子の少なくとも一方の存在部分の厚みについて記載がない点。 この相違点1については、甲第2号証にも記載されておらず、周知技術ともいえない。そして、本件特許発明1は、上記相違点1に係る構成を備えることで、イオン透過性低下やシャットダウン性の阻害の抑制(本件特許明細書、段落【0013】)と、耐熱層の剥離の抑制(本件特許明細書、段落【0014】)という格別な作用効果を奏するものである。 したがって、本件特許発明1は、甲1発明、甲第2号証の記載事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 申立人は、甲第2号証の多層多孔質膜が、本件特許発明1と同程度の透気度、イオン透過性、シャットダウン性を有していると指摘している。しかし、仮にそうだとしても、これらの性能は様々な要素のバランスで決まるものであり、「存在部分」の厚みのみで決まるものとはいえない。したがって、透気度などが類似していることをもって「存在部分」の厚みが本件特許発明1と同程度であるとすることはできない。 また、多孔質フィルムの凹凸部に、耐熱多孔質の一部が食い込んだ場合にアンカー効果を奏するという周知技術に基づき、甲1発明の「存在部分」の合計厚みを4%以上とすることは、耐熱多孔質層形成用組成物を樹脂多孔質膜の内部にできる限り浸透させないという甲1発明の目的に反するから、当業者が容易に想到し得た事項とはいえない。 イ.本件特許発明3について 本件特許発明3と甲1発明とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。 相違点2.本件特許発明3は「バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分が、前記基材多孔質フィルム内部に、前記耐熱層と接触するように形成され、かつ、前記基材多孔質フィルムと前記耐熱層との界面を基準とした、前記バインダー樹脂及びフィラーの少なくとも一方の存在部分の厚みが、基材多孔質フィルム全体の厚みの2%以上10%以下である」という事項を有するのに対し、甲1発明は樹脂多孔質膜内部に形成された有機バインダ及び耐熱性微粒子の少なくとも一方の存在部分の厚みについて記載がない点。 この相違点2については、甲第2号証にも記載されておらず、周知技術ともいえない。したがって、本件特許発明3は、甲1発明、甲第2号証の記載事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ.本件特許発明2、4ないし10について 本件特許発明2、4ないし10は、本件特許発明1または3を引用する請求項であって、本件特許発明1または3の特定事項すべてを包含し、さらに技術的に限定されたものであるから、本件特許発明2、4ないし10も、甲1発明、甲第2号証の記載事項及び周知技術を基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 6.むすび 上記5に示したとおり、本件の請求項1ないし10に係る特許は、通知した取消理由によっては、取り消すことができない。 また、他に請求項1ないし10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2017-05-24 |
出願番号 | 特願2012-162909(P2012-162909) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
Y
(B32B)
P 1 651・ 121- Y (B32B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 増田 亮子 |
特許庁審判長 |
久保 克彦 |
特許庁審判官 |
小野田 達志 蓮井 雅之 |
登録日 | 2016-04-28 |
登録番号 | 特許第5926145号(P5926145) |
権利者 | 住友化学株式会社 |
発明の名称 | 積層多孔質フィルム及び非水電解液二次電池 |
代理人 | 遠坂 啓太 |
代理人 | 南瀬 透 |
代理人 | 加藤 久 |
代理人 | 久保山 隆 |
代理人 | 森 博 |