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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
管理番号 1329123
異議申立番号 異議2017-700072  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-01-27 
確定日 2017-06-23 
異議申立件数
事件の表示 特許第5996840号発明「医療情報のグラフ表示のためのシステム及び方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5996840号の請求項に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5996840号の請求項1?14に係る特許についての出願は,平成22年12月24日に特許出願され,平成28年9月2日にその特許権の設定登録がされ,その後,その特許に対し,特許異議申立人トーイツ株式会社により特許異議の申立てがされたものである。

2.本件発明
特許第5996840号の請求項1?14の特許に係る発明は,それぞれ,その特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定されるとおりのものである。

3.申立理由の概要
特許異議申立人トーイツ株式会社は,証拠として(1)特公表2009-504202号公報(以下「甲第1号証」という。),(2)特開2006-223335号公報(以下「甲第2号証」という。),(3)米国特許第5830150号明細書(以下「甲第3号証」という。),(4)矢矧晴一郎著「実践 グラフの作り方・読み方入門」,1990年6月1日,社団法人日本能率協会発行(以下「甲第4号証」という。),(5)伊藤幸作著「統計図表 視覚表現とそのヴァリエーション」,1988年2月15日,株式会社ダヴィッド社発行(以下「甲第5号証」という。),(6)堀口隆彦著「胎児監視の手引き -胎児監視装置を使用する人々のために-〔改訂版〕」,1984年7月20日,諏訪メディカルサービス発行(以下「甲第6号証」という。),(7)2008/2009年版製品カタログ,日本光電工業株式会社発行(以下「甲第7号証」という。)を提出し,請求項1?14に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから,請求項1?14に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。(特に,特許異議申立人は,請求項1に係る特許は,甲第1号証乃至甲第3号証に基づいて,当業者が容易に発明することができたものである旨主張している。)

4.各甲号証の記載
(1)甲第1号証
甲第1号証には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審において付加した。)

「【請求項1】
患者に対して医療処置を行うことができる医療施設における医療情報収集及び処理システムと共に使用するための,前記システム上で実行可能なアプリケーションソフトウェアルーチンであって,該ルーチンは前記処置を前記患者に対して実施する医学的必要性を検証するように動作し,前記ルーチンが,
(a)前記ルーチンの開始に応答して,前記処置を実施する必要性を検証するために満たされねばならない基準により必要とされる前記患者の患者履歴及び生理的パラメータを含むような,前記患者に関して収集された情報を検索及び獲得するステップと,
(b)前記システムのグラフィックユーザインターフェース上で,前記患者に対して収集された情報がどの程度前記基準に従うかの視覚的指示情報を提供するステップと,
(c)前記基準の1以上が満たされていないことを示す前記グラフィックユーザインターフェース上の1以上の視覚的指示情報に応答して,前記患者の前記1以上の基準を満たすために必要な情報を得ることができる情報資源と通信すると共に,該情報資源から前記必要な情報を獲得するステップと,
(d)監査可能な保存ファイルに,前記処置を実施する必要性を検証するために満たされねばならない基準により必要とされる,前記患者及び前記処置に関して収集された全ての情報を記憶するステップと,
を有するアプリケーションソフトウェアルーチン。」

「【0002】
本発明は,広くは,データ記憶及び検索システム並びにそのためのユーザインターフェースに関する。本発明は,特には,所与の医療処置を行う医学的必要性を検証する(該医学的必要性に対する医療保険/医療扶助サービスセンタ(CMS:Center for Medicare/Medicaid Services)により公布されたガイドラインに準拠させる)のに有効な患者及び臨床情報を捕捉(キャプチャ)及び保存するための自動化システムに関するもので,該システムによれば,健康管理サービス提供者は,該処置を行う費用を適切に弁済(償還)されると共に,その施設内で関連する医療員(医師)により行われた処置の医学的必要性のCMS監査を容易にパスすることができる。」

「【0007】
本発明によれば,この目的は,監査ファイルにCMSガイドラインにより要求され,これにより所与の医療的処置を行う医学的必要性を適切に証明することを保証された患者及び臨床情報を捕捉及び保存し,かくして健康管理サービス提供者が該処置を行う費用を適切に償還されると共に該提供者の施設及び関連する医療員(医師)の健康保険監査を容易にパスすることができることを保証するような新規且つ改善された自動化システムにより成功裏に対処される。関心の患者及び処置に関する情報の集積が,当該監査ファイルが医学的必要性の要件を満たすための1以上の情報に不足していることがわかった場合,上記システムは,不足の程度を医療員に視覚的に警告すると共に,何が不足しているかを固有に識別する。これは,システム使用者がユーザインターフェースの1以上のオブジェクトを操作して,所要の情報を含む利用可能な資源の検索を開始し,かくして当該監査ファイルが不足している全ての情報により完全に記入されるようにするのを可能にする。該監査ファイルがCMS要件を満たしたら,当該システムは目下の関心処置/患者に対して色付き(例えば,緑の)警報指示子により,医療員に該事実を通知する。」

「【0014】
目下の特定の患者に対する埋込可能型除細動器の埋め込みの医学的必要性を検証するために上記情報の全てが得られたかを判断すべく,本発明の医学的必要性検証ルーチンが当該患者のためにグラフィックユーザインターフェースを用いて呼び出されるが,該ユーザインターフェースは実行されるべき処置(埋込可能型除細動器(ICD))を掲載するウインドウ及び表示された処置(V-fib)の必要性をサポートする診断的徴候を含む。
【0015】
上記ウインドウ内に表示されるものは,監査ファイル内に,どの程度,所要の医療パラメータデータが存在するかの指示情報である。例えば,"ファイル内の書証は?"なる見出しが,黄色の背景で,且つ,掲載された処置が当該識別された患者にとり医学的に必要であることを検証するには更なる情報が必要であることを示すために"部分的"なるラベルで識別されて表示することができる。この見出しの下には,V-fibの診断を確認するために完成されねばならない前記4つの診断支持データ入力のリストが,各データ入力がどの程度完全であるかのテキスト指示情報及びカラーコード化指示情報と一緒に示される。
【0016】
上記グラフィックユーザインターフェースの表示ウインドウの診断リスト及び当該処置の下の入力(エントリ)の色の検査から,医療専門家は,一目で,実施される処置がCMS評価基準により医学的に必要なものとして適切に検証されているかを理解することができる。1以上のデータ入力が部分的にしか完了していない(黄色として表示される)か,又はデータが現在のところ抜けている(赤として表示される)如何なる患者に対しても,当該医学的必要性検証ルーチンによりアクセス可能な一連のユーティリティは,技術者がEKG機器,救急部署の情報システム又は実験室化学分析器等の特定の様式に対して呼び出しを発し,これにより当該特定の患者及び処置に関する全てのリストが緑として表示されるまで,所要の残りのデータを取り込むのを可能にする。かくして,医療員には,当該処置の医学的必要性を証明するためにCMSにより要求されるように書証が提供されねばならない全ての評価基準が得られたかが分かり,従ってCMSが該処置に対して償還を行うのみならず,独立した監査ファイルに記憶された当該患者及び処置の記録が医療保険監査をパスすることが期待される。」

したがって,甲第1号証には,次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「所与の医療処置を行う医学的必要性を検証するのに有効な患者及び臨床情報を捕捉及び保存するための自動化システムであって(段落【0002】),
前記患者の患者履歴及び生理的パラメータを含むような,前記患者に関して収集された情報を検索及び獲得するステップと(【請求項1】(a)),
情報がどの程度前記基準に従うかの視覚的指示情報を提供するステップと(【請求項1】(b)),
を有し,
医療的処置を行う医学的必要性を適切に証明することを保証された患者及び臨床情報を捕捉及び保存するものであり(段落【0007】),
医学的必要性を検証するために上記情報の全てが得られたかを判断すべく,本発明の医学的必要性検証ルーチンが当該患者のためにグラフィックユーザインターフェースを用いて呼び出されるものであり(段落【0014】),
前記4つの診断支持データ入力のリストが,各データ入力がどの程度完全であるかのテキスト指示情報及びカラーコード化指示情報と一緒に示されるものであり(段落【0015】),
表示ウインドウの診断リスト及び当該処置の下の入力(エントリ)の色の検査から,医療専門家は,一目で,実施される処置がCMS評価基準により医学的に必要なものとして適切に検証されているかを理解することができる。1以上のデータ入力が部分的にしか完了していない(黄色として表示される)か,又はデータが現在のところ抜けている(赤として表示される)如何なる患者に対しても,当該医学的必要性検証ルーチンによりアクセス可能な一連のユーティリティは,技術者がEKG機器,救急部署の情報システム又は実験室化学分析器等の特定の様式に対して呼び出しを発し,これにより当該特定の患者及び処置に関する全てのリストが緑として表示されるまで,所要の残りのデータを取り込むのを可能にするものである(段落【0016】),
自動化システム。」

(2)甲第2号証
甲第2号証には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審において付加した。)

「【請求項1】
胎児心拍数を代表する信号を検出する胎児心拍数検出手段と,
母体の陣痛強度を代表する信号を検出する陣痛強度検出手段と,
前記胎児心拍数を代表する信号に基づいて胎児心拍数を算出する胎児心拍数演算手段と,
前記陣痛強度を代表する信号に基づいて陣痛強度を算出する陣痛強度演算手段と,
前記胎児心拍数に基づいて胎児心拍数の大局的平均値を算出する平均演算手段と,
前記胎児心拍数,陣痛強度および大局的平均値を表示する表示手段と,
前記大局的平均値に基づいて胎児の健康状態に関する警報を発する警報手段と,
を備えた分娩監視装置。」

「【0028】
演算処理部140には表示部(表示手段)142,外部入出力部150,記録部160が接続されており,表示部142において分娩監視に必要な種々の情報が表示される。」

「【0040】
図3において,表示部142には,胎児心拍数表示部410,陣痛強度表示部420,胎児心拍数基線表示部430,一過性徐脈に関する表示部440,442,444,446,心拍数基線細変動に関する表示部450,452,454,456,警報サイン460,462が設けられている。」

したがって,甲第2号証には,次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。
「胎児心拍数を代表する信号を検出する胎児心拍数検出手段と,母体の陣痛強度を代表する信号を検出する陣痛強度検出手段と,前記胎児心拍数,陣痛強度および大局的平均値を表示する表示手段と,を備えた分娩監視装置であって,
前記表示手段には,胎児心拍数表示部,陣痛強度表示部,胎児心拍数基線表示部,一過性徐脈に関する表示部,心拍数基線細変動に関する表示部が設けられている,
分娩監視装置。」

(3)甲第3号証
甲第3号証には,図面とともに次の事項が記載されている。(なお,翻訳文は特許異議申立人のものを使用し,下線は当審において付加した。)

「FIG. 1 illustrates the display system according to the preferred embodiment of the invention in a medical monitoring application. In particular, the illustrated system is employed in an operating room, for example, and is coupled by an array of sensors to an anesthetized patient. These sensors include, for example, electrodes 10 mounted on the patient's chest for determining electrocardiogram and heart rate, an oximetry sensor 12 mounted on the patient's finger for measuring hemoglobin oxygen saturation, a first catheter 14 for measuring hemoglobin oxygen saturation in the vena cava and central venous pressure, an arterial cannula 16 for measuring arterial systolic and diastolic pressures, a flow meter 18 and a pressure sensor 20 in the endotracheal tube 21 for measuring tracheal gas flow, and airway pressure, respectively, and sensors 22 in the patient's mask 23 for measuring the volume percentage of oxygen and CO.sub.2 in the patient's mouth.」(第2コラム「DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION」第1パラグラフ)
(特許異議申立人訳:図1は,本発明の,医療監視システムにおける好適な実施例に基づく表示システムを図示している。図示システムは特に手術室で使用され,麻酔を施した患者に装着した複数のセンサを接続される。これらセンサーには,例えば,患者胸部に装着された心電図と心拍数を測定するための電極10,患者の指に取り付けるヘモグロビン酸素飽和度測定のための酸素飽和度センサー12,大静脈のヘモグロビン酸素飽和度および中心静脈圧を測定するための第1カテーテル14,心拍動動脈圧を測定するための動脈カニューレ21内に設けた流量計18および圧力センサ20,患者マスク23内の口腔内酸素,CO2濃度を測定するためのセンサ22が含まれる。)

「After the plot value for each row is determined, the system checks the user input for the desired display format, color and scale. In particular, the system determines whether color coding is requested at 64 and if so, at 65 each of the plot values for each row are compared to a color map to provide at 66 a determination of the color code for each line of data. The color map may, for example, be a plurality of colored areas, such as squares in a grid with each square being a different color and represents a value, determined by scaling set by the user.」(第3コラム第4パラグラフ)
(特許異議申立人訳:各列のプロット値を決定した後に,システムは,ユーザ入力をチェックし,所望の表示フォーマット,カラー,スケールを判断する。システムは,ステップ64で,カラーコード化が要求されたか否か判断し,その要求があったときは,ステップ65で,各列でプロットされた数値をカラーマップと対比して,ステップ66で,各データラインのカラーコードを決定する。カラーマップは例えば複数のカラー領域,例えば,格子で仕切られ,それぞれが異なる数値を代表する矩形を含む。そして,数値とカラーの関係は,ユーザがスケーリング設定する。)

「A typical color map may contain 256 squares which may be any combination of color, shades of a single color or shades of gray. The squares may be defined by the user or the manufacturer. In addition, a single color map may be used for all variables or an individual map may be provided for each variable. For example, the user may wish to indicate a value which is outside the alarm limits by the color red. Thus, red may be high for one variable and low for another with other colors or shades indicating higher or lower values.」(第3コラム第5パラグラフ)
(特許異議申立人訳:代表的なカラーマップは,カラー,単色カラーの陰影,灰色の陰影の組み合わせよりなる256個の矩形を含む。矩形はユーザまたは生産者によって定義される。さらに,1個のカラーマップは全ての変数に対応させ,あるいは個々のマップを各変数に対応させることも可能である。例えば,ユーザーが,警報限界を超える値を赤色で表示してもよい。このとき,赤色は大きな変数に対応し,他の色や,陰影がより高い変数,より低い変数に対応することになる。)

「The screen of FIG. 3 lists the variables being displayed in a column 100 at the right; the current values of each of the variables are displayed in a second column 102; and the data plotted in a colorized code in the window 104 at the left. The current value appearing in column 102 corresponds to the value at the end of the row from which the bar is moving. In the illustrated example, the bars are moving from left to right on the same time base as new data is entered at the left. It will be appreciated, however, that the data can be moved in either direction.」(第4コラム第5パラグラフ)
(特許異議申立人訳:図3のスクリーンは,右側のコラム100に変数の一覧を表示し,各変数の現在値は第2コラム102に表示され,カラーコードでプロットされたデータは,左側のウィンドウ104に表示されている。コラム102の現在値は,列末端の値に対応する。カラーコード列(バー)はこの列末端から移動している。図示例では,新たなデータが左に挿入されると同時に,バーは左から右に移動する。但し,データの移動方向として左右いずれの方向にも移動し得ることはいうまでもない。)

「The variables may be arranged by systems. In the illustrated embodiment, variables relating to the circulation system are listed under that heading in column 100 and variables relating to the respiration system are listed under that heading.」(第4コラム第6パラグラフ)
(特許異議申立人訳:変数はシステムにおいて設定し得る。図示実施例において,循環器系に関する変数が表題とともにコラム100に列記され,呼吸器系に関する変数が表題とともに列記されている。)

「Any color code can be employed to show variations in amplitude. In the example illustrated in FIG. 3, the rainbow colors of red, orange, yellow, green, blue, indigo and violet are employed with red indicating high values, violet indicating low values with the other colors indicating intermediate values in the order shown. Therefore, in the illustrated example, the color of the cardiac output plot 106 changes from red to orange to green indicating a decrease from a relatively high level to an intermediate level. Also, the heart rate plot 108 changes in color from green to yellow to indigo, indicating an increase and then a decrease to a lower steady state. The plot for arterial systolic pressure 110 changes from alternating red and orange to red and then to alternating green and yellow and the arterial diastolic pressure plot 112 changes from green to yellow, red, yellow and finally a steady state blue. The occurrence of each of these changes at approximately the same time indicates the occurrence of an "event" for which some attention may be required or the result of some action such as the administering of a drug. This change in condition would become immediately apparent to the operator through the abrupt color changes. Thus, the operator would become more readily aware of the occurrence of the "event" than would be the case if the data were displayed solely graphically or numerically. In addition to striking events, subtle trends can be detected more easily. Also, if one of a number of variables changes, the eye is immediately attracted to that variable at the time of its change.」(第4コラム第7パラグラフ)
(特許異議申立人訳:変数の大きさを表示するために任意のカラーコードを採用できる。図3に示す実施例では,虹の赤色,橙色,黄色,緑色,青色,藍色,紫色を変数の値,すなわち赤色を高い値,紫色を低い値,他の色をその中間の値に順次対応させる。従って,図示実施例では,心臓の出力プロット106は,赤色から橙色,緑色と変化し,比較的高いレベルから中間のレベルへの低下が示されている。心拍数プロット108においては,緑色から黄色,藍色への変化により,レベル上昇の後に,レベル減少して低い安定状態への変化が示されている。動脈収縮圧のプロット110は赤色と橙色の間で交互に変化して赤色となり,その後,緑色と黄色の間に交互変化に移行し,動脈弛緩期圧プロット112は緑色から黄色,赤色,黄色に変化し,最終的に安定状態の青色となる。このようなそれぞれの変化はほぼ同時に生じ,「事象」の発生を示す。この「事象」は注意の喚起を要求し,医薬投与等の処置を指示する。そして状況の変化は,色の変化によって,直ちにオペレータに明示される。これによって,オペレータは,データを画像や数値のみで表示する場合に比較して,「事象」の発生をより容易に察知し得る。危急の「事象」以外にも,難解な症状もより容易に検出できる。一般に,オペレータの目は,複数の変数のうちの1つ(の色)が変化したときに,その変化を鋭敏に察知する特性を持つ。)

したがって,甲第3号証には,次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。
「医療監視システムにおける好適な実施例に基づく表示システムであって,
前記システムは特に手術室で使用され,麻酔を施した患者に装着した複数のセンサを接続され,これらセンサーには,例えば,患者胸部に装着された心電図と心拍数を測定するための電極10,患者の指に取り付けるヘモグロビン酸素飽和度測定のための酸素飽和度センサー12,大静脈のヘモグロビン酸素飽和度および中心静脈圧を測定するための第1カテーテル14,心拍動動脈圧を測定するための動脈カニューレ21内に設けた流量計18および圧力センサ20,患者マスク23内の口腔内酸素,CO2濃度を測定するためのセンサ22が含まれるものであり(第2コラム「DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION」第1パラグラフ),
前記システムは,ステップ64で,カラーコード化が要求されたか否か判断し,その要求があったときは,ステップ65で,各列でプロットされた数値をカラーマップと対比して,ステップ66で,各データラインのカラーコードを決定し,カラーマップは例えば複数のカラー領域,例えば,格子で仕切られ,それぞれが異なる数値を代表する矩形を含み,数値とカラーの関係は,ユーザがスケーリング設定するものであり(第3コラム第4パラグラフ),
代表的なカラーマップは,カラー,単色カラーの陰影,灰色の陰影の組み合わせよりなる256個の矩形を含み,1個のカラーマップは全ての変数に対応させ,あるいは個々のマップを各変数に対応させることも可能であり(第3コラム第5パラグラフ),
図3のスクリーンは,右側のコラム100に変数の一覧を表示し,各変数の現在値は第2コラム102に表示され,カラーコードでプロットされたデータは,左側のウィンドウ104に表示されており,コラム102の現在値は,列末端の値に対応し,カラーコード列(バー)はこの列末端から移動しているものであり(第4コラム第5パラグラフ),
変数の大きさを表示するために任意のカラーコードを採用でき,虹の赤色,橙色,黄色,緑色,青色,藍色,紫色を変数の値,すなわち赤色を高い値,紫色を低い値,他の色をその中間の値に順次対応させるものである(第4コラム第7パラグラフ),
表示システム。」

(4)甲第4号証
甲第4号証の第80頁,図4.3には,次の事項が記載されている。
「ます目を5段階の濃淡やしま模様で表したマトリックス図表の例」

(5)甲第5号証
甲第5号証の第111頁,Fig.1には,次の事項が記載されている。
「10段階のパターンで季節ごとの死亡率を表示する棒グラフ」

(6)甲第6号証
甲第6号証の第13,48及び49頁には,次の事項が記載されている。
「胎児心拍数・陣痛図」,「基本的な胎児心拍数パターンの分類」(分類系統に,「胎児心拍数基線」を分類した「頻脈」及び「徐脈」,「胎児心拍数基線細変動」を分類した「STV」及び「LTV」),「胎児心拍数に関する用語とその解読」

(7)甲第7号証
甲第7号証の第104,106及び108頁には,次の事項が記載されている。
「ベッドサイドモニタ(BSM-9101他)」の「主な規格」欄の「波形表示項目」に「心電図」及び「呼吸曲線」,同欄の「数値表示項目」に「心拍数」,「SpO2」,「非観血血圧(最高,最低,平均)」及び「体温」

5.判断
(1)請求項1に係る発明について
甲第1号証乃至甲第3号証のいずれにも,請求項1に係る発明の「第1の部分および第2の部分を含む複数のセクションを含む色分けした画像を表示する表示システム(115)であって,前記第1の部分のそれぞれが,ある期間にわたって,各カテゴリの前記生理学的変数の1つの前記データ値に関連する前記色を表示し,前記第2の部分が,前記ある期間にわたって,患者に対する薬物治療および身体処理のうちの少なくとも1つに関するデータ値に関連づけられた色を表示する,表示システム(115)」が記載されていない。したがって,請求項1に係る発明は,甲1発明乃至甲3発明から当業者が容易になし得るものではない。
特許異議申立人は,上記「表示システム(115)」の構成は,甲第1号証の段落【0014】?【0016】,甲第3号証の第3コラム第4パラグラフ乃至第5パラグラフ及び図3に開示されており,当該開示事項により容易に発明できたものであると主張しているが,甲第1号証及び甲第3号証のいずれにも,「前記第1の部分のそれぞれが,ある期間にわたって,各カテゴリの前記生理学的変数の1つの前記データ値に関連する前記色を表示し,前記第2の部分が,前記ある期間にわたって,患者に対する薬物治療および身体処理のうちの少なくとも1つに関するデータ値に関連づけられた色を表示する」ことは記載されていないから,かかる主張は理由がない。

(2)請求項2?14に係る発明について
請求項2?14に係る発明は,請求項1に係る発明を更に減縮したものであるから,上記請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により,甲1発明乃至甲3発明及び甲第4号証乃至甲第7号証の記載事項から当業者が容易になし得るものではない。

以上のとおり,請求項1?14に係る発明は,甲1発明乃至甲3発明及び甲第4号証乃至甲第7号証の記載事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

6.むすび
したがって,特許異議の申立ての理由及び証拠によっては,請求項1?14に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に請求項1?14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-06-14 
出願番号 特願2010-287117(P2010-287117)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G06Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小原 正信  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 相崎 裕恒
貝塚 涼
登録日 2016-09-02 
登録番号 特許第5996840号(P5996840)
権利者 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
発明の名称 医療情報のグラフ表示のためのシステム及び方法  
代理人 荒川 聡志  
代理人 小倉 博  
代理人 田中 拓人  
代理人 山本 誠  
代理人 黒川 俊久  
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