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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1329602
審判番号 不服2016-17186  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-17 
確定日 2017-07-11 
事件の表示 特願2014-557201「画面変更装置、画面変更方法および画面変更プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 7月24日国際公開、WO2014/112025、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年12月25日(優先権主張 平成25年1月21日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成28年3月31日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年9月2日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成28年11月17日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1-8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


1.特開2005-216311号公報
2.特開2012-155616号公報(周知技術を示す文献)
3.特開平9-81632号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2012-234228号公報

第3 本願発明
本願の請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、平成28年11月17日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
操作画面に対する操作内容を含む操作ログを種類毎に整理する操作ログ整理部と、
前記操作ログに対応するユーザの感情および当該感情の大きさを表す感情指数を記憶する感情記憶部と、
整理された前記操作ログに、前記感情記憶部に記憶されたユーザの感情および感情指数を割り当てる感情割り当て部と、
前記操作ログの感情への影響度を記憶する影響度記憶部と、
前記操作ログに前記影響度を割り当てる影響度割り当て部と、
前記感情指数および前記影響度に基づいて、影響度を考慮した感情指数を計算する感情指数計算部と、
前記操作ログに割り当てられた前記ユーザの感情および感情指数を示す情報を表示する表示部と、
ユーザの感情に対応する前記操作画面の改善案を記憶する改善案記憶部と、
前記操作ログに割り当てられたユーザの感情に対応する前記操作画面の改善案を、前記改善案記憶部から取得して前記表示部に提示する画面改善部と、
提示された前記改善案のうち、設計者に選択された改善案に基づいて、前記操作画面を変更する画面変更部とを備え、
前記感情指数計算部は、
予め定められた感情の相関を示す数値に基づいて、ある感情の感情指数を、前記感情とは異なる感情であるネガティブの感情の感情指数または前記感情とは異なる感情であるポジティブの感情の感情指数に置き換える
ことを特徴とする画面変更装置。
【請求項2】
改善案記憶部は、
ユーザの感情に対応する複数の改善種類と、当該改善種類に対応する複数の改善案を記憶し、
画面改善部は、
操作ログに割り当てられたユーザの感情に対応する前記改善種類を前記改善案記憶部から取得して表示部に提示し、設計者に選択された改善種類に対応する改善案を、前記改善案記憶部から取得して前記表示部に提示する
請求項1記載の画面変更装置。
【請求項3】
改善案記憶部は、
操作画面の改善案に対応する、当該改善案が採用された理由を記憶し、
画面改善部は、
前記改善案とともに前記理由を表示部に提示する
請求項1または請求項2記載の画面変更装置。
【請求項4】
表示部は、ユーザの感情および感情指数を示す情報を色の違いにより表す
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の画面変更装置。」

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審において付与した。)

「【0001】
本発明は、ソフトウェア製品の使用感の評価を支援する製品評価支援方法および製品評価支援装置に関する。」

「【0070】
図17は、第1の実施形態に於ける製品評価支援システムの概略の処理を示す図である。処理の動作主体ごとにフローチャートの各要素は配置されている。処理の動作主体は、ユーザ、Viewer20、製品評価支援サーバ50の製品評価支援サービス60、および、開発元である。
【0071】
《Viewerの動作概要》
ユーザは、処理を開始すると、クライアントPC10からViewer20を起動する。
ステップS10に於いて、ユーザはViewer20を操作し、Viewer20は、製品評価支援サーバ50のユーザ情報DB51を参照し、Viewer20を操作しているユーザ名を特定し、ログイン処理を行う。
【0072】
ステップS11に於いて、ユーザはViewer20を操作し、Viewer20の製品表示部21は、URL入力部201aに入力されたURLに基づき、ソフトウェア製品であるWebアプリケーション70を表示する。このステップS11の処理の完了時点を、ノード1とする。
ステップS12に於いて、ユーザは、Viewer20上で製品を操作する。
ステップS13に於いて、Viewer20の操作情報収集処理部22は、製品評価支援サーバ50の操作情報DB56に操作情報を保存する。
【0073】
ステップS14に於いて、Viewer20の問題点検知処理部23は、製品評価支援サーバ50の設計質問情報DB55を参照し、所定の設計質問の有無を判断する。所定の設計質問が有れば(Yes)、ステップS16の処理を行う。所定の設計質問が無ければ(No)、ステップS15の処理を行う。
【0074】
ステップS15に於いて、Viewer20の問題点検知処理部23は、画面IDに基づいて、製品評価支援サーバ50の閾値情報ファイル52を参照し、無操作時間やマウスカーソルの移動距離である操作要素が閾値を超えているか否かを判断する。操作要素が閾値を超えていたならば(Yes)、ステップS16の処理を行う。操作要素が閾値を超えていなかったならば(No)、ステップS12の処理に戻る。
ステップS16に於いて、Viewer20の評価コメント収集処理部24は、図5に示す評価コメント収集ダイアログ202,202A(ポップアップ)を表示する。
ステップS17に於いて、ユーザは、図5に示す評価コメント収集ダイアログ202,202A(ポップアップ)に評価コメントや改善案選択肢を入力する。
【0075】
ステップS18に於いて、Viewer20の評価コメント収集処理部24は、入力された評価コメントを、製品評価支援サーバ50の評価コメント保存処理部63に送信する。評価コメント保存処理部63は、この評価コメントを評価コメントDB53に保存する。このステップS18の処理の完了時点を、ノード2とする。
【0076】
ステップS19に於いて、Viewer20は、Webアプリケーション70のGUIである操作画面を変更するか否かを確認するため、図6に示すGUI変更方法の選択ダイアログ204を表示する。
ステップS20に於いて、ユーザは、GUI変更方法の選択ダイアログ204に、GUI変更判断を入力する。
【0077】
ステップS21に於いて、Viewer20は、入力されたGUI変更判断に基づき、GUIを変更するか否かを判断する。GUIを変更するならば(Yes)、ステップS22の処理を行う。GUIを変更しないならば(No)、ステップS12の処理に戻る。ステップS21に於いて、GUIを変更しない(No)場合の分岐を、ノード3とする。
【0078】
ステップS22に於いて、Viewer20は、改善案作成処理を行い、製品の操作画面の改善案を作成し、製品評価支援サーバ50の改善案DB54に保存する
ステップS23に於いて、ユーザは、GUIである操作画面のレイアウト変更を行う。
ステップS24に於いて、ユーザは、改善案に基づく修正画面の操作を行う。このとき、Viewer20の修正画面操作処理部27は、修正画面を操作可能に表示する修正画面操作処理を行う。修正画面操作処理部27は、相互変換情報である改善案DB54に基づいて、操作画面の画像情報を修正画面に変換して表示し、修正画面への操作情報を操作画面に変換して操作することにより、修正画面を操作可能に表示する。」

以上の記載の特に下線部及び図17によると、引用文献4には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明]
「ユーザは、クライアントPC10からViewer20を起動し、ソフトウェア製品であるWebアプリケーション70を表示し(S11)、ユーザは、Viewer20上で製品を操作し(S12)、操作情報収集処理部22は、製品評価支援サーバ50の操作情報DB56に操作情報を保存し(S13)、問題点検知処理部23は、製品評価支援サーバ50の閾値情報ファイル52を参照し、無操作時間やマウスカーソルの移動距離である操作要素が閾値を超えているか否かを判断し(S15)、操作要素が閾値を超えていたならば、評価コメント収集ダイアログ202,202Aを表示し(S16)、ユーザは、評価コメント収集ダイアログ202,202Aに評価コメントや改善案選択肢を入力し(S17)、入力された評価コメントを評価コメント保存処理部63に送信して評価コメントDB53に保存し(S18)、GUI変更方法の選択ダイアログ204を表示し(S19)、ユーザは、GUI変更方法の選択ダイアログ204に、GUI変更判断を入力し(S20)、入力されたGUI変更判断に基づき、GUIを変更するか否かを判断し(S21)、GUIを変更するならば(Yes)、改善案作成処理を行い、製品の操作画面の改善案を作成し、製品評価支援サーバ50の改善案DB54に保存し(S22)、GUIである操作画面のレイアウト変更を行い(S23)、改善案に基づく修正画面の操作を行い(S24)、このとき、修正画面操作処理部27は、修正画面を操作可能に表示する修正画面操作処理を行い、修正画面操作処理部27は、相互変換情報である改善案DB54に基づいて、操作画面の画像情報を修正画面に変換して表示し、修正画面への操作情報を操作画面に変換して操作することにより、修正画面を操作可能に表示する、製品評価支援装置。」

2.引用文献1-3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1-3には、図面とともに次の事項が記載されている。

[引用文献1]
「【0079】
[動作]
従って本実施の形態におけるユーザビリティ評価支援装置1は、例えばWebサイトの評価においては、次のように利用され、動作する。被験者には、生体情報検出装置2を取り付け、さらに評価の対象となったWebサイトへアクセスして、そこでサービスを受けるというタスクを指示する。被験者は、機器4の操作部44を操作して、表示部43に表示される画面を見ながら指示されたタスクを遂行する。このタスク遂行の間、制御部41は被験者からの指示操作に従ってネットワークインタフェース45を介してネットワーク上の評価対象のWebサイトへアクセスして、そこからWebページのデータを取得し、表示部43に表示する処理を行っている。
【0080】
一方、操作履歴情報検出装置3には、被験者の操作内容が少なくとも一つの操作履歴データを含む、操作履歴情報として記録されている。また、制御部11には、生体情報検出装置2から被験者の生体情報(少なくとも一つの生体データが含まれる)と、機器4から利用者の操作に応じて発生したイベント情報とが入力され、制御部11は、これらの情報を図示しない時計によって計時した時刻とともに記憶部12に蓄積する。
【0081】
被験者がタスク遂行を完了(または放棄)すると、制御部11は、被験者に対して図3に示したようなアンケートを提示して、答えさせ、その結果を満足度データとして取得して記憶部12に格納する。さらに制御部11は、操作履歴情報検出装置3から操作履歴情報を取得して記憶部12に格納する。この操作履歴情報に含まれる各操作履歴データにも、操作履歴情報検出装置3が、内蔵している時計(不図示)で計時した時刻の情報がそれぞれ関連づけられているものとする。なお、これら制御部11と、操作履歴情報検出装置3がそれぞれ参照する時計(不図示)は、予めその時刻を一致させてあるものとする(または同一の時計を参照するようにしておいてもよい)。
【0082】
こうして記録される操作履歴情報に含まれる操作履歴データとしては、操作時間、クリック回数、ポインティングデバイスの移動量、ヘルプ機能の利用回数、エラーの発生回数、入力された情報そのもの、入力した情報量、電子マニュアル参照回数等があり、イベント情報に含まれるデータには、画面の遷移状態、画面に表示した情報そのもの、被験者の操作に応答するまでのレスポンス時間等がある。
【0083】
次に、制御部11は、予め定められたサブタスクごとに操作内容と、生体情報と、イベント情報とを分割する。そして、各サブタスクについて、次の処理を行う。
【0084】
すなわち、分割後の操作内容と、生体情報と、イベント情報とを利用して、
(1)サブタスク遂行中のエラーの発生回数、
(2)サブタスク遂行完了(又は放棄)時点のタスク達成度、
(3)サブタスク遂行完了(又は放棄)時点での画面遷移回数と、理想的な場合の遷移回数との比
(4)サブタスク遂行中にしたヘルプ利用回数
を演算し、これらに対する重みづけ加算によって各サブタスクの有効さの指標を演算する。ここで、サブタスク遂行完了(又は放棄)時点のサブタスク達成度は、既に説明した達成条件に基づいて決定される。すなわち、サブタスク遂行完了(又は放棄)時点で、どのWebページを表示していたか等によって予め定められた数値が達成度として決定される。
【0085】
また、制御部11は、
(1)サブタスク達成に要した時間(すなわちレスポンス時間と、表示された内容を解釈するのに要した時間と、操作に要する時間との総和に相当する)、
(2)サブタスク遂行中のクリック回数、
(3)サブタスク遂行中のポインティングデバイスの移動量(画面スクロール量、もしくはポインティングデバイスの移動によるマウスポインタの移動量そのもの)、
(4)サブタスク遂行中の情報入力量(キーボードの打回数)、
(5)サブタスク遂行中の電子マニュアルの参照回数、
(6)サブタスク遂行に要した画面の遷移回数、
(7)サブタスク遂行に要したレスポンス時間の総和、
(8)サブタスク遂行中に表示部43に表示されたコンテンツの量(テキストの量、ページを構成するピクセルの量、色数、画像サイズ、画像枚数)、
(9)サブタスク遂行中に得られた生体情報(視線移動量、発汗量、操作前と操作中の心拍数の差分、まばたきの回数など)
を演算し、これらに対する重みづけ加算によって各サブタスクの効率の指標を演算する。
【0086】
さらに制御部11は、
(1)アンケート情報の分析による、態度の認知的傾向、行動的傾向、感情的傾向、
(2)生体情報の分析による基準値(平常時)とタスク遂行中の生体情報の相違(差分又は比)、例えば脳波のα波量/ESAMによる評価、瞳孔の径、発汗量など)
を演算し、これらに対する統計的演算の結果として満足度の指標を演算する。
【0087】
なお、制御部11は、アンケート情報の分析による、態度の認知的傾向、行動的傾向、感情的傾向に基づいてタスク全体の満足度の指標を別途取得してもよい。
【0088】
さらに制御部11は、各サブタスクについて、そのサブタスク遂行中に表示部13に表示される画面について、利用者の状態を推定する処理を行い、それから得られる状態の情報と評価の情報とを画面ごとに記憶する。さらに、制御部11は、これらの各指標に対応する評価結果を、各指標の少なくとも一部を用いた予め定められた統計ルール(第2ルール)を用いて演算し、当該演算した評価結果を評価者の指示に従って、表示部13に表示する。
【0089】
こうして演算された各指標は被験者と、その遂行したタスクとともに、固有の識別子に関連づけて記憶部12に格納される。そして制御部11は、評価者の指示に従って、これらの指標を表示部13に表示する。
【0090】
これにより、タスク全体の中で評価を下げる要因となるサブタスクを特定でき、さらにそのサブタスク内で利用者がどのような状態となり、情報の視覚的提示状態がどのような評価となるかを文字列として表すことができ、具体的な要因を特定できるようになる。」

[引用文献2]
「【0006】
そこで、本発明は、コンテンツに対するユーザの反応を容易に取得でき、ユーザ嗜好に合ったコンテンツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願開示のコンテンツ提供システムは、コンテンツを出力する出力部と、ユーザの挙動を検出するセンサから得られる情報に基づいて、前記ユーザの挙動の種類を判定する判定部と、前記出力部で出力されたコンテンツに対応する前記判定部による判定結果に基づいて、前記出力部がさらに出力するコンテンツを決定する、コンテンツ選択部とを備える。
【0008】
上記構成によれば、センサで検出されたユーザの挙動から、ユーザの挙動の種類が判定され、出力されたコンテンツに対応する判定結果に基づいて、さらに出力するコンテンツが決定される。そのため、センサで検出されたユーザの挙動から、出力コンテンツに対するユーザの反応を判定し、その判定結果をさらに出力するコンテンツの決定に用いることができる。すなわち、ユーザによるコンテンツの評価が得られ、この評価に基づいて、さらに出力されるコンテンツが決定されるので、ユーザの好みに合ったコンテンツを提供することが可能になる。
【0009】
上記コンテンツ提供システムにおいて、前記判定部は、前記センサで検出された前記ユーザの挙動が、予め決められた複数の挙動の種類のいずれに該当するかを判定することができる。これにより、ユーザの挙動の種類を、迅速かつ適切に判定することができる。
【0010】
また、上記コンテンツ提供システムにおいて、前記判定部は、前記ユーザの挙動の種類により、前記ユーザの感情を判定し、前記コンテンツ選択部は、前記出力部で出力されたコンテンツに対応する、前記判定部で判定されたユーザの感情に基づいて、前記出力部がさらに出力するコンテンツを決定してもよい。
【0011】
これにより、ユーザの挙動から、ユーザの感情を読み取ることができ、出力されたコンテンツに対するユーザ感情に応じて、さらなるコンテンツを出力することが可能になる。そのため、ユーザの感情をコンテンツ選定に反映することができる。」

[引用文献3]
「【0011】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の情報公開装置には、ユーザの感情を対話の状況に基づいて解析する手段がなかった。このため、ユーザの感情を考慮した応答生成が困難になり、対話がちぐはぐになってユーザの意図が正しく理解できないなど、ユーザに無用な精神的負担を与えていた。
【0012】本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、対話の状況にしたがって発話者の感情を認識し、ユーザの感情を考慮した自然で円滑な対話を実現することにより、ユーザの精神的負担を軽減することを可能する情報公開装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、テキスト、音声、画像およびポインティング位置を含む複数の形態のデータを入力する入力手段と、この入力手段により入力されたデータからユーザの意図および感情情報を抽出する抽出手段と、この抽出手段の抽出結果に基づいて応答プランを作成する応答プラン作成手段と、この作成された応答プランに基づいて前記ユーザへの応答を生成する応答生成手段とを有する情報公開装置において、前記応答プラン作成手段の内部状態、前記抽出されたユーザの意図ならびに感情情報、および前記作成された応答プランの種別を含む対話状況情報の時間軸上の推移から前記ユーザの感情状態を認識する感情認識手段を具備し、前記応答プラン作成手段は、前記感情認識手段の認識結果にしたがって応答戦略を選択または変更し、その応答戦略に合致した応答プランを作成することを特徴とする。
【0014】本発明によれば、音声、テキストおよび画像などの複数形態の入力と、対話の状況とからユーザの感情状態を認識し、適切な応答をすることが可能となる。すなわち、本発明によれば、ユーザが怒っている状態の場合は、「平謝り」、「仲裁」、「喧嘩の買い言葉」など、焦っている場合は、「迅速な対応」、「他の手段の紹介」など、ユーザをプラスやマイナスの感情へ導く応答を生成することができる。これにより、ユーザへの応答のバリエーションを多数生成しうる場面において、従来、画一的あるいはランダムに決定されていた応答を、ユーザの感情を鑑みて決定することができ、より自然な応答生成が実現できる。」

第5 当審の判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明では、「操作情報収集処理部22は、製品評価支援サーバ50の操作情報DB56に(Webアプリケーション70を操作した)操作情報を保存」する。この保存される操作情報には、「無操作時間やマウスカーソルの移動距離」、すなわち、操作の「種類」といえるものが含まれているから、引用発明の「操作情報収集処理部22および操作情報DB56」は、本願発明1における「操作画面に対する操作内容を含む操作ログを種類毎に整理する操作ログ整理部」に相当する。

引用発明では、「製品の操作画面の改善案を作成し、製品評価支援サーバ50の改善案DB54に保存」するから、引用発明の「(操作画面の改善案を保存する)改善案DB54」は、本願発明1の「前記操作画面の改善案を記憶する改善案記憶部」に相当する。

引用発明では、「修正画面操作処理部27は、相互変換情報である改善案DB54に基づいて、操作画面の画像情報を修正画面に変換して表示し、修正画面への操作情報を操作画面に変換して操作することにより、修正画面を操作可能に表示する」から、引用発明の「(改善案DB54に基づいて、修正画面を表示する)修正画面操作処理部27」は、本願発明1の「改善案に基づいて、前記操作画面を変更する画面変更部」に相当する。

引用発明の「製品評価支援装置」は、「操作画面の画像情報を修正画面に変換して表示」するものであるから、「画面変更装置」といえるものである。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「操作画面に対する操作内容を含む操作ログを種類毎に整理する操作ログ整理部と、
前記操作画面の改善案を記憶する改善案記憶部と、
前記改善案に基づいて、前記操作画面を変更する画面変更部と、
を備える画面変更装置。」

[相違点]
相違点1
本願発明1は、「前記操作ログに対応するユーザの感情および当該感情の大きさを表す感情指数を記憶する感情記憶部と、
整理された前記操作ログに、前記感情記憶部に記憶されたユーザの感情および感情指数を割り当てる感情割り当て部と、
前記操作ログの感情への影響度を記憶する影響度記憶部と、
前記操作ログに前記影響度を割り当てる影響度割り当て部と、
前記感情指数および前記影響度に基づいて、影響度を考慮した感情指数を計算する感情指数計算部と、
前記操作ログに割り当てられた前記ユーザの感情および感情指数を示す情報を表示する表示部と、」を備え、
「前記感情指数計算部は、
予め定められた感情の相関を示す数値に基づいて、ある感情の感情指数を、前記感情とは異なる感情であるネガティブの感情の感情指数または前記感情とは異なる感情であるポジティブの感情の感情指数に置き換える」ものであるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

相違点2
本願発明1は、
「ユーザの感情に対応する前記操作画面の改善案を記憶する改善案記憶部と、
前記操作ログに割り当てられたユーザの感情に対応する前記操作画面の改善案を、前記改善案記憶部から取得して前記表示部に提示する画面改善部と、
提示された前記改善案のうち、設計者に選択された改善案に基づいて、前記操作画面を変更する画面変更部と、」
を備えるのに対し、
引用発明は、
「前記操作画面の改善案を記憶する改善案記憶部と、
前記改善案に基づいて、前記操作画面を変更する画面変更部と、」
を備えるとはいえるものの、
「ユーザの感情に対応する前記操作画面の改善案を記憶する改善案記憶部と、
前記操作ログに割り当てられたユーザの感情に対応する前記操作画面の改善案を、前記改善案記憶部から取得して前記表示部に提示する画面改善部と、
提示された前記改善案のうち、設計者に選択された改善案に基づいて、前記操作画面を変更する画面変更部と、」
を備えるものではない点。

(2)判断
上記相違点1について検討する。
引用発明は、無操作時間やマウスカーソルの移動距離である操作要素が閾値を超えている場合に、GUIを変更するならば、改善案を作成するものであり、上記相違点1に係る本願発明1の「操作ログに対応するユーザの感情および感情指数を割り当て」、「割り当てられた前記ユーザの感情および感情指数を示す情報を表示する」という構成を採用する動機付けはない。
また、原査定で引用された引用文献1-3には、「操作ログに対応するユーザの感情および感情指数を割り当て」、「割り当てられた前記ユーザの感情および感情指数を示す情報を表示する」という構成は記載されておらず、周知技術であるともいえない。(なお、前置報告書で提示された文献にもそのような技術は記載されていない。)
したがって、上記相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、及び、引用文献1-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.請求項2-4について
本願発明2-4は、本願発明1の上記相違点1に係る構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明、及び、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-06-26 
出願番号 特願2014-557201(P2014-557201)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 575- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 菅原 浩二  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 山澤 宏
千葉 輝久
発明の名称 画面変更装置、画面変更方法および画面変更プログラム  
代理人 塩川 誠人  
代理人 岩壁 冬樹  

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