• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1329702
審判番号 不服2016-6204  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-26 
確定日 2017-07-11 
事件の表示 特願2011-182455「表示装置、表示システム、及び表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月 4日出願公開、特開2013- 46202、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年8月24日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

平成27年 5月27日:拒絶理由の通知
平成27年 7月27日:手続補正
平成28年 1月20日:拒絶査定
平成28年 1月26日:拒絶査定の謄本の送達
平成28年 4月26日:拒絶査定不服審判の請求
平成28年 4月26日:手続補正
平成29年 3月 2日:拒絶理由の通知(当審)
平成29年 5月31日:手続補正

第2 原査定の概要
原査定(平成28年1月20日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-4に係る発明は、以下の引用文献A、Bに基づいて、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献A:特開2001-94900号公報
引用文献B:特開2009-164977号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1-4に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2001-61110号公報

第4 本願発明
1 本願発明
本願の請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、平成29年5月31日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載した事項により特定される発明であり、請求項1-4の記載は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
複数の制御機器から送られたコンテンツの選択コマンドを取得するコマンド取得部と、
前記複数の制御機器を使用するユーザの少なくとも一部が同一の前記コンテンツを視聴する場合、前記コンテンツの表示領域を拡大する表示処理部と、
前記選択コマンドによって選択された前記コンテンツに関する権限を演算する権限演算部と、
を備え、
前記表示処理部は、演算された前記権限に基づいて前記コンテンツの表示領域を可変し、
前記権限は、前記コンテンツを選択する前記制御機器の数が多いほど大きな値とされ、
前記権限は、前記複数の制御機器に応じて定められ、
前記権限演算部は、前記コンテンツを選択する前記制御機器の数だけ当該制御機器の権限を加算して前記コンテンツに関する前記権限を演算し、
前記表示処理部は、最も権限の大きい前記コンテンツに対応する関連情報を、前記コンテンツの表示に利用されない空き領域に表示する、制御装置。
【請求項2】
前記表示処理部は、演算された前記権限の値が大きいほど、前記コンテンツの表示領域を大きくする、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
制御機器と、前記制御機器により遠隔操作される制御装置を有し、
前記制御装置は、
複数の前記制御機器から送られたコンテンツの選択コマンドを取得するコマンド取得部と、
前記複数の制御機器を使用するユーザの少なくとも一部が同一の前記コンテンツを視聴する場合、前記コンテンツの表示領域を拡大する表示処理部と、
前記選択コマンドによって選択された前記コンテンツに関する権限を演算する権限演算部と、
を備え、
前記表示処理部は、演算された前記権限に基づいて前記コンテンツの表示領域を可変し、
前記権限は、前記コンテンツを選択する前記制御機器の数が多いほど大きな値とされ、
前記権限は、前記複数の制御機器に応じて定められ、
前記権限演算部は、前記コンテンツを選択する前記制御機器の数だけ当該制御機器の権限を加算して前記コンテンツに関する前記権限を演算し、
前記表示処理部は、最も権限の大きい前記コンテンツに対応する関連情報を、前記コンテンツの表示に利用されない空き領域に表示する、表示システム。
【請求項4】
複数の制御機器がコンテンツの選択コマンドを送信することと、
制御装置が、前記複数の制御機器から送られた前記選択コマンドを取得することと、
前記複数の制御機器を使用するユーザの少なくとも一部が同一の前記コンテンツを視聴する場合、制御装置が、前記コンテンツの表示領域を拡大することと、
前記選択コマンドによって選択された前記コンテンツに関する権限を演算することと、
を備え、
演算された前記権限に基づいて前記コンテンツの表示領域を可変し、前記権限は、前記コンテンツを選択する前記制御機器の数が多いほど大きな値とされ、前記権限は、前記複数の制御機器に応じて定められ、
前記コンテンツを選択する前記制御機器の数だけ当該制御機器の権限を加算して前記コンテンツに関する前記権限を演算し、
最も権限の大きい前記コンテンツに対応する関連情報を、前記コンテンツの表示に利用されない空き領域に表示する、表示方法。」

2 本願発明4の分説
本願発明4を分説すると次のとおりである。

(本願発明4)
(A)複数の制御機器がコンテンツの選択コマンドを送信することと、
(B)制御装置が、前記複数の制御機器から送られた前記選択コマンドを取得することと、
(C)前記複数の制御機器を使用するユーザの少なくとも一部が同一の前記コンテンツを視聴する場合、制御装置が、前記コンテンツの表示領域を拡大することと、
(D)前記選択コマンドによって選択された前記コンテンツに関する権限を演算することと、
を備え、
(E)演算された前記権限に基づいて前記コンテンツの表示領域を可変し、前記権限は、前記コンテンツを選択する前記制御機器の数が多いほど大きな値とされ、前記権限は、前記複数の制御機器に応じて定められ、
(F)前記コンテンツを選択する前記制御機器の数だけ当該制御機器の権限を加算して前記コンテンツに関する前記権限を演算し、
(G)最も権限の大きい前記コンテンツに対応する関連情報を、前記コンテンツの表示に利用されない空き領域に表示する、
(H)表示方法。

((A)?(H)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
平成29年3月2日付けの拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。

「【0023】(実施の形態4)次に本発明の実施の形態4におけるテレビジョン受像機について説明する。尚、テレビジョン受像機の構成を図5に示す。本実施の形態のテレビジョン受像機本体10には、図1に示す構成に加えて、子画面分割手段20aが設けられる。子画面分割手段20aはPinPと呼ばれるもので、画像表示手段20に複数チャンネルの画像を同時に表示する場合、画像切替手段12Bから出力された複数チャンネルの映像信号を一時記憶すると共に、指示された表示面積比に基づいて複数の画像を分割表示するものである。表示サイズと表示位置は表示制御手段13によって制御される。
【0024】優先度の判定方法は実施の形態3と同一である。まず、夫々の操作者はリモコン装置22a?22eのいずれかを用いて、リモコン信号をテレビジョン受像機本体10に送信する。続いて、リモコン受光手段14により受信されたリモコンデータはCPU19を介してリモコンデータ記憶手段16に記憶される。夫々のリモコン装置による選局内容は図4(b)のように編集される。そしてCPU19はリモコン優先度を選択されたチャンネル毎に合計する。優先度の合計は、チャンネルch2が13、チャンネルch4が12、チャンネルch8が1となる。得られたデータを元に画面上に表示するチャンネル毎の表示面積比を優先度の合計に応じて図6のように決定し、子画面分割手段20aを介して画像表示手段20に、チャンネルch2,4,8の番組を同時に表示する。この場合、音声は最大画面に対応する音声を選択してもよく、別途選択するようにしてもよい。」

上記記載によると、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。この発明を以下「引用発明」という。

(引用発明)
(a)複数のリモコンがリモコン信号(選局)を送信し、
(b)CPUが、リモコン受光手段により受信されたリモコンデータを記憶手段に記憶し、
(c)CPUが、リモコン優先度を選択されたチャンネル毎に合計し、
(d)得られたデータを元に画面上に表示するチャンネル毎の表示面積比を優先度の合計に応じて決定し、指定された表示面積比に基づいて、番組を同時に表示する
(e)方法。

なお、(a)?(e)は、構成を識別するために付与した。以下各構成を「構成a」等という。

2 引用文献A
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。

「【0038】実施の形態4.以下、本発明の実施の形態4による画像表示方法について、図面を参照しながら説明する。図8は実施の形態4による画像表示方法における画面の表示動作を説明するための図であり、図8(a)において、800はディスプレイ、804?806は視聴者であり、801?803は視聴者804?806がそれぞれ視聴している画面である。また図8(b)は視聴者810が増えた状態を示しており、807は視聴者804および810が視聴している画面である。
【0039】最初に、図8(a)に示すように、視聴者804?806が、それぞれ画面801?803を視聴しているものとする。ここへ、図8(b)に示すように視聴者810が増え、新規の画面を開かずに、視聴者804が視聴している画面をリモコンで選択した場合、画面807は、視聴者2名が視聴している画面となり、807に示すように、他画面に比べてサイズが大きくなるように、画面が表示される。
【0040】図9は本実施の形態4による画像表示方法の動作フローを示すフローチャート図である。本実施の形態4による画像表示方法における表示処理動作は、新しい画面が開かれたときに開始される(ステップS900)。ステップS901ではその画面の視聴者数が検出される。各視聴者はそれぞれリモコン等を所持しており、ディスプレイ上に新規に画面を開くこともできるし、また既存の画面から視聴したい画面を選択することができる。これらのリモコンの操作により、その画面を視聴している視聴者数がステップS901で検出される。
【0041】そして視聴者数の変化がある場合、ステップS903で他画面のサイズおよび視聴者数を検出し、当該画面のサイズを決定してステップS904で当該画面サイズを、他画面へ通知する。ステップS902で視聴者数の変化がない場合は、他画面からのサイズ変更通知の有無が判断される。変更通知があれば、変更通知を出力した画面のサイズが大きくなることにより自画面とオーバーラップしないかどうかのチェックが行われ、オーバーラップする場合には、ステップS907で自画面の縮小が行われる。ステップS908は終了判定のステップであり、電源がオフされるとステップS909で終了処理される。
【0042】なお、新しい視聴者810は自らのリモコン操作により画面801を選択したと説明したが、各リモコンに視聴者追加を設定するための視聴者追加ボタンを有していれば、新しい視聴者810は視聴者801のリモコンの視聴者追加ボタンを利用して、画面を選択することもできる。
【0043】このように、本実施の形態4による画像表示方法では、ある表示画面の視聴者の数が増えた場合にはこの視聴者の数が増えた表示画面の画面サイズを大きくする、というように、視聴者の数に応じて画面サイズを変更するようにしたから、複数人でディスプレイを視聴する場合、公平な視聴をすることができるような画面表示を実現できる。」

上記記載によると、引用文献Aには、
「リモコンの操作により、その画面を視聴している視聴者数が検出され、
ある表示画面の視聴者の数が増えた場合にはこの視聴者の数が増えた表示画面の画面サイズを大きくする」技術が記載されている。

3 引用文献B
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Bには、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。

「【0096】
次に複数画面表示時の配置やサイズについて説明する。上述した各実施形態では、複数画面表示制御部が複数画面表示を行う際に画面数に応じて、デフォルトの配置やサイズが決まっていることを前提にして説明した。他の例として、このようなデフォルトの配置やサイズは例えば動作設定保存領域19Aに記憶させておき、ユーザ操作により変更可能に構成してもよい。
【0097】
また、テレビ装置1に配置やサイズを自動的に変更する機能を持たせてもよい。画面サイズを自動的に変更するために、複数画面表示制御部は、表示部で複数画面表示を行うに際し、優先度記憶部で記憶された優先度(上述の例では優先度割当データ20a)に応じて、視聴ユーザの視聴対象となる画面間のサイズの比率を変更する制御を行うよう構成してもよい。制御部21が映像処理部17に対し、画面数・配置だけでなく各画面の大きさを指示するとよい。
【0098】
画面間のサイズ比率の優先度に応じた変更制御例を挙げる。特定される視聴ユーザの数毎に、各画面の大きさを優先度の高い方から順に予め定めておき、その情報を不揮発性メモリ18等に記憶しておく。そして、視聴ユーザが特定されたとき、特定された視聴ユーザのIDを優先度順に並べ、優先度が高い順に、記憶しておいた大きさを読み出し、表示部の画面に収まるように各画面の大きさを同じ比率で調整する。これにより、複数画面表示制御部は、視聴ユーザの優先度に応じた大きさをもつ画面で、複数画面を同時表示することができる。例えば、高齢者の優先度を高く設定しておくことで、画面サイズの比率も自動的に大きくなる。また、表示部の画面に収まるような制御を行わない場合、各画面の配置を変えることで対応すればよい。なお、特定される視聴ユーザの数は、基本的に画面数と同じになるが、特定された複数の視聴ユーザの中に、同一ユーザが含まれていたときには、同じ大きさとすればよい。また、このような優先度に応じた画面サイズの変更は、視聴ユーザが特定されたときに実行されるが、上述した設定値として設定されたOFFタイマの時間が到来したときにも実行され、その場合、電源OFFされた画面の領域を解放して、他の視聴ユーザの間で画面サイズを再構成することが好ましい。また、或る画面の映像に視聴制限がかかったときにも、その画面の領域を解放し同様に画面サイズを再構成することが好ましい。」

上記記載によると、引用文献Bには、
「視聴ユーザの優先度に応じた大きさをもつ画面で、複数画面を同時表示する」技術が記載されている。

第6 対比・判断
1 本願発明4について
(1)対比
本願発明4と引用発明とを対比する。

ア 構成要件Aと構成aとを対比する。
引用発明の「リモコン」は、本願発明4の「制御機器」に相当し、引用発明の「リモコン信号(選局)」は、本願発明4の「コンテンツの選択コマンド」に相当する。
したがって、本願発明4と引用発明とは、「複数の制御機器がコンテンツの選択コマンドを送信すること」を備える点で一致する。

イ 構成要件Bと構成bとを対比する。
引用発明の「CPU」は、本願発明4の「制御装置」に相当する。
引用発明の「リモコン受光手段により受信されたリモコンデータを記憶手段に記憶」することは、本願発明4の「前記複数の制御機器から送られた前記選択コマンドを取得すること」に相当する。
したがって、本願発明4と引用発明とは、「制御装置が、前記複数の制御機器から送られた前記選択コマンドを取得すること」を備える点で一致する。

ウ 構成要件Cと構成c、dとを対比する。
引用発明の「CPUが、リモコン優先度を選択されたチャンネル毎に合計し、得られたデータを元に画面上に表示するチャンネル毎の表示面積比を優先度の合計に応じて決定し、指定された表示面積比に基づいて、番組を同時に表示する」ことは、本願発明4の「前記複数の制御機器を使用するユーザの少なくとも一部が同一の前記コンテンツを視聴する場合、制御装置が、前記コンテンツの表示領域を拡大すること」に相当する。
したがって、本願発明4と引用発明とは「前記複数の制御機器を使用するユーザの少なくとも一部が同一の前記コンテンツを視聴する場合、制御装置が、前記コンテンツの表示領域を拡大すること」を備える点で一致する。

エ 構成要件Dと構成dとを対比する。
引用発明の「リモコン優先度」は、本願発明4の「権限」に相当し、引用発明の「CPUが、リモコン優先度を選択されたチャンネル毎に合計」することは、本願発明4の「前記選択コマンドによって選択された前記コンテンツに関する権限を演算すること」に相当する。
したがって、本願発明4と引用発明とは「前記選択コマンドによって選択された前記コンテンツに関する権限を演算すること」を備える点で一致する。

オ 構成要件Eと構成dとを対比する。
引用発明の「リモコン優先度」は、リモコンの優先度であるから、リモコンに応じて定められているといえるから、本願発明4の「前記複数の制御機器に応じて定められ」るものといえる。
引用発明の「得られたデータを元に画面上に表示するチャンネル毎の表示面積比を優先度の合計に応じて決定し、指定された表示面積比に基づいて、番組を同時に表示する」ことは、本願発明4の「演算された前記権限に基づいて前記コンテンツの表示領域を可変し、前記権限は、前記コンテンツを選択する前記制御機器の数が多いほど大きな値とされ」ることに相当する。
したがって、本願発明4と引用発明とは「演算された前記権限に基づいて前記コンテンツの表示領域を可変し、前記権限は、前記コンテンツを選択する前記制御機器の数が多いほど大きな値とされ、前記権限は、前記複数の制御機器に応じて定められ」る点で一致する。

カ 構成要件Fと構成cとを対比する。
引用発明の「CPUが、リモコン優先度を選択されたチャンネル毎に合計」することは、本願発明4の「前記コンテンツを選択する前記制御機器の数だけ当該制御機器の権限を加算して前記コンテンツに関する前記権限を演算」することに相当する。
したがって、本願発明4と引用発明とは「前記コンテンツを選択する前記制御機器の数だけ当該制御機器の権限を加算して前記コンテンツに関する前記権限を演算」する点で一致する。

キ 構成要件Gについて
引用発明は、「最も権限の大きい前記コンテンツに対応する関連情報を、前記コンテンツの表示に利用されない空き領域に表示する」ものではなく、本願発明4と相違する。

ク 構成要件Hと構成eとを対比する。
引用発明は、「・・・表示する方法」であるから、「表示方法」として、本願発明4と一致する。

ケ 一致点、相違点
以上より、本願発明4と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
複数の制御機器がコンテンツの選択コマンドを送信することと、
制御装置が、前記複数の制御機器から送られた前記選択コマンドを取得することと、
前記複数の制御機器を使用するユーザの少なくとも一部が同一の前記コンテンツを視聴する場合、制御装置が、前記コンテンツの表示領域を拡大することと、
前記選択コマンドによって選択された前記コンテンツに関する権限を演算することと、
を備え、
演算された前記権限に基づいて前記コンテンツの表示領域を可変し、前記権限は、前記コンテンツを選択する前記制御機器の数が多いほど大きな値とされ、前記権限は、前記複数の制御機器に応じて定められ、
前記コンテンツを選択する前記制御機器の数だけ当該制御機器の権限を加算して前記コンテンツに関する前記権限を演算する、
表示方法。

(相違点)
本願発明4においては、「最も権限の大きい前記コンテンツに対応する関連情報を、前記コンテンツの表示に利用されない空き領域に表示する」のに対し、
引用発明においては、「最も権限の大きい前記コンテンツに対応する関連情報を、前記コンテンツの表示に利用されない空き領域に表示する」ものではない点

(2)相違点についての判断
相違点に係る本願発明4の「最も権限の大きい前記コンテンツに対応する関連情報を、前記コンテンツの表示に利用されない空き領域に表示する」という構成は、上記引用文献A、Bには記載されておらず、周知技術であるともいえない。
したがって、本願発明4は、当業者であっても、引用発明、引用文献A、Bに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明1、2について
本願発明1は、本願発明4のカテゴリーの異なる発明であって、上記1の相違点と同様の相違点がある。
したがって、本願発明4と同様な理由により、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献A、Bに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
本願発明2は、本願発明1を引用するから、本願発明1と同じ理由で、当業者であっても、引用発明、引用文献A、Bに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明3について
本願発明3は、本願発明1の「制御装置」を含む「表示システム」の発明であるから、本願発明1と同じ理由で、当業者であっても、引用発明、引用文献A、Bに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
平成29年5月31日付けの補正により、補正後の請求項1-4は、「最も権限の大きい前記コンテンツに対応する関連情報を、前記コンテンツの表示に利用されない空き領域に表示する」という技術的事項を有するものとなった。
当該「最も権限の大きい前記コンテンツに対応する関連情報を、前記コンテンツの表示に利用されない空き領域に表示する」は、原査定における引用文献A、Bには記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1-4は、当業者であっても、引用文献A、Bに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-06-27 
出願番号 特願2011-182455(P2011-182455)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 赤穂 州一郎曽我 亮司福西 章人  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 冨田 高史
小池 正彦
発明の名称 表示装置、表示システム、及び表示方法  
代理人 金本 哲男  
代理人 亀谷 美明  
代理人 松本 一騎  
代理人 萩原 康司  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ