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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1330000
審判番号 不服2016-15403  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-14 
確定日 2017-07-06 
事件の表示 特願2014-144238号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月4日出願公開、特開2014-223436号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年3月12日付けで出願された特願2010-56569号の一部を平成26年7月14日に新たな特許出願としたものであって、平成27年7月9日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対し同年9月10日付けで手続補正がなされたが平成28年2月16日付けで拒絶理由通知がなされ、これ対し同年4月22日付けで手続補正がなされたが同年7月12日付けで補正却下の決定及び拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月14日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。


第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
(補正前:平成27年9月10日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技中に内部抽選が行われると、図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で停止表示させる図柄表示手段と、
前記図柄表示手段により非当選以外の態様で図柄が停止表示されると、特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
所定の表示領域内に遊技の進行状況に応じて実行される進行対応演出を表示する進行対応演出実行領域が区画して形成されるとともに、前記進行対応演出の内容に応じて付加的に実行される付加演出を表示する付加演出実行領域が前記進行対応演出実行領域とは別に前記表示領域内に区画して形成された演出表示手段と、
前記進行対応演出として、前記特別遊技の実行中に大役中演出を前記進行対応演出実行領域内で実行する大役中演出実行手段と、
前記付加演出を実行するか否かを抽選で決定する付加演出抽選手段と、
前記付加演出抽選手段により前記付加演出を実行すると決定された場合、前記付加演出として、前記大役中演出実行手段により実行される前記大役中演出の内容について解説を行う内容の解説演出を前記付加演出実行領域内で行う付加演出実行手段と
を備えたことを特徴とする遊技機。」
から、

(補正後:本件補正である平成28年10月14日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技中に内部抽選が行われると、図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で停止表示させる図柄表示手段と、
前記図柄表示手段により非当選以外の態様で図柄が停止表示されると、特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
所定の表示領域内に遊技の進行状況に応じて実行される進行対応演出を表示する進行対応演出実行領域が前記表示領域の外縁から中央までの範囲を占める状態に区画して形成されるとともに、前記進行対応演出の内容に応じて付加的に実行される付加演出を表示する付加演出実行領域が前記進行対応演出実行領域の形成されていない前記表示領域の一縁部を占める状態に区画して形成され、前記図柄表示手段による図柄の変動表示中及び前記特別遊技実行手段による前記特別遊技の実行中のいずれにおいても前記付加演出を表示する場合は前記進行対応演出実行領域及び前記付加演出実行領域がともに前記表示領域内に形成された演出表示手段と、
前記進行対応演出として、前記特別遊技の実行中に大役中演出を前記進行対応演出実行領域内で実行する大役中演出実行手段と、
前記付加演出を実行するか否かを抽選で決定する付加演出抽選手段と、
前記付加演出抽選手段により前記付加演出を実行すると決定された場合、前記付加演出として、前記大役中演出実行手段により実行される前記大役中演出の内容について解説を行う内容の解説演出を前記付加演出実行領域内で行う付加演出実行手段と
を備えたことを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。)。

2 本件補正の適否
本件補正のうち、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「演出表示手段」に関して、「進行対応演出実行領域が区画して形成され」を「進行対応演出実行領域が前記表示領域の外縁から中央までの範囲を占める状態に区画して形成され」とする補正は、補正前には「進行対応演出実行領域」が「表示領域」をどのような状態に区画して形成されるのかが限定されていなかったところを、「前記表示領域の外縁から中央までの範囲を占める状態に区画して形成され」るとして限定するものである。
また、本件補正のうち、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「演出表示手段」に関して、「付加演出実行領域が前記進行対応演出実行領域とは別に前記表示領域内に区画して形成され」を「付加演出実行領域が前記進行対応演出実行領域の形成されていない前記表示領域の一縁部を占める状態に区画して形成され」とする補正は、補正前には「付加演出実行領域」が「表示領域」をどのような状態に区画して形成されるのかが限定されていなかったところを、補正前の「前記進行対応演出実行領域とは別に」を「前記進行対応演出実行領域の形成されていない」としつつ、補正前の「前記表示領域内に区画して形成され」を「前記表示領域の一縁部を占める状態に区画して形成され」とすることで、当該区画して形成される際の状態について限定するものである。
そして、本件補正のうち、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「演出表示手段」に関して、「前記図柄表示手段による図柄の変動表示中及び前記特別遊技実行手段による前記特別遊技の実行中のいずれにおいても前記付加演出を表示する場合は前記進行対応演出実行領域及び前記付加演出実行領域がともに前記表示領域内に形成され」を付加する補正は、付加演出を表示する場合の演出実行領域について限定するものである。
したがって、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「演出表示手段」に関して、以上のとおりに限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項に違反するところはない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(1) 本願補正発明
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要において示した次のとおりのものである(A?Gは、本願補正発明を分説するため当審で付した。)。
「【請求項1】
A 遊技中に内部抽選が行われると、図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で停止表示させる図柄表示手段と、
B 前記図柄表示手段により非当選以外の態様で図柄が停止表示されると、特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
C 所定の表示領域内に遊技の進行状況に応じて実行される進行対応演出を表示する進行対応演出実行領域が前記表示領域の外縁から中央までの範囲を占める状態に区画して形成されるとともに、前記進行対応演出の内容に応じて付加的に実行される付加演出を表示する付加演出実行領域が前記進行対応演出実行領域の形成されていない前記表示領域の一縁部を占める状態に区画して形成され、前記図柄表示手段による図柄の変動表示中及び前記特別遊技実行手段による前記特別遊技の実行中のいずれにおいても前記付加演出を表示する場合は前記進行対応演出実行領域及び前記付加演出実行領域がともに前記表示領域内に形成された演出表示手段と、
D 前記進行対応演出として、前記特別遊技の実行中に大役中演出を前記進行対応演出実行領域内で実行する大役中演出実行手段と、
E 前記付加演出を実行するか否かを抽選で決定する付加演出抽選手段と、
F 前記付加演出抽選手段により前記付加演出を実行すると決定された場合、前記付加演出として、前記大役中演出実行手段により実行される前記大役中演出の内容について解説を行う内容の解説演出を前記付加演出実行領域内で行う付加演出実行手段と
G を備えたことを特徴とする遊技機。」

(2) 刊行物に記載された事項
ア 刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2005-176862号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア) 「【0005】
前記目的を達成するため請求項1に係る遊技機は、遊技領域に複数の変動図柄を表示する特別図柄表示装置と、通常時には閉塞される開閉可能な大入賞口を有する特別入賞装置と、を備え、通常遊技状態において前記変動図柄が変動後、所定の態様を構成する特定図柄で停止した後、前記大入賞口が所定回数開放される特別遊技状態が発生する遊技機において、遊技機の動作状態を制御する主制御部と、前記主制御部とは別体に設けられると共に、前記特別図柄表示装置を制御する表示制御部と、を備え、前記通常遊技状態は、前記特別遊技状態の終了後、該特別遊技状態の付与を所定の第1抽選確率で抽選する第1通常遊技状態と、該特別遊技状態の付与を前記第1抽選確率よりも高い所定の第2抽選確率で抽選する第2通常遊技状態とを含み、前記主制御部は、前記特別遊技状態終了後次の通常遊技状態として前記第1通常遊技状態と第2通常遊技状態とのいずれか一方を所定の選択確率で選択する遊技状態選択手段を有し、前記表示制御部は、前記特別遊技状態が発生した場合には、前記大入賞口の複数回の開放に渡って、前記遊技状態選択手段によって第2通常遊技状態が選択されたか否かを表す報知画像を表示する第1獲得報知手段を有することを特徴とする。」

(イ) 「【0025】
次に、図2において、パチンコ機1における遊技盤2上の遊技領域の構成について説明する。・・・
【0026】
・・・特別図柄表示装置18は、遊技盤2の前面側から取り付けられる装飾部材17と、遊技盤2の裏面側から取り付けられる液晶表示器(LCD)19等から構成されている。この液晶表示器19は、左、中、右に3つの変動図柄を表示する液晶パネルであって、左下角部には、左右に2分割された普通図柄を表示する普通図柄表示部20が構成されている。・・・」

(ウ) 「【0050】
・・・大当たり遊技中の第9ラウンド目及び第10ラウンド目に、液晶表示器19の表示画面に表示する確変獲得演出パターンを決定する際に選択される確変抽選パターンテーブル71は、「抽選パターン選択値」と「確変獲得演出パターン」とから構成されている。・・・」

(エ) 「【0058】
次に、S3において、CPU461は「大当たり」か否かを判定する判定処理を実行する。・・・
【0064】
続いて、S16において、CPU461は、「大入賞口開放処理」を実行する。
この「大入賞口開放処理」は、先ず、CPU461は、不図示のソレノイドを介して大入賞口40を閉塞する開閉扉39を開放する。そして、該大入賞口40を開放した旨を通知する開放信号をCPU661に対して送信する。尚、CPU461は、パラメータ記憶エリア463Kからラウンド代数Rを読み出し、該ラウンド代数Rの数値を該開放信号としてCPU661に対して送信する構成にしてもよい。
そして、S17において、CPU461は、大入賞口40に入賞した入賞球が10個に達したか否か、即ち、不図示の大入賞口カウントスイッチにより検出された入賞個数が10個に達したか否か判定する。
また、大入賞口40に入賞した入賞球が10個に達していない場合には(S17:NO)、S18において、大入賞口40を開放してから所定時間(第1実施形態の場合は、29.5秒である。)経過したか否か判定する。そして、大入賞口40を開放してから所定時間経過していない場合には(S18:NO)、再度、S16以降の処理を実行する。
【0065】
一方、大入賞口40に入賞した入賞球が10個に達した場合(S17:YES)、若しくは大入賞口40を開放してから所定時間経過した場合には(S18:YES)、S19
において、CPU461は、「大入賞口閉塞処理」を実行する。
この「大入賞口閉塞処理」は、先ず、CPU461は、不図示のソレノイドを介して、開閉扉39を閉じて大入賞口40を閉塞する。そして、該大入賞口40を閉塞した旨を通知する閉塞信号をCPU661に対して送信する。
続いて、S20において、CPU461は、パラメータ記憶エリア463Kからラウンド代数Rを読み出し、このラウンド代数Rに「1」加算して、再度パラメータ記憶エリア463Kに記憶する。
その後、S21において、CPU461は、大入賞口40の開放中に該大入賞口40内に設けられるVゾーンに入賞したか否か、即ち大入賞口40の開放中に不図示のVスイッチから入賞球の検出信号が入力されているか否か判定する判定処理を実行する。
【0066】
そして、大入賞口40の開放中に該Vスイッチから入賞検出信号が入力されている場合には(S21:YES)、S22において、大入賞口40を継続して開放した回数が所定の最高継続回数(第1実施形態の場合には、「16回」である。)に達したか否か判定する判定処理を実行する。この判定処理は、パラメータ記憶エリア463Kからラウンド代数Rを読み出し、該ラウンド代数Rの数値が「16」以上になった場合に、この大入賞口40を開放した回数が、所定の最高継続回数に達したと判定する。
この大入賞口40を開放した回数が、所定の最高継続回数に達していない場合には(S22:NO)、大入賞口40を閉塞してから所定時間(第1実施形態では、約2秒である。)経過後、再度、S16以降の処理を実行する。
また、大入賞口40の開放中にVスイッチから入賞検出信号が入力されていない場合(S21:NO)、若しくは、この大入賞口40を開放した回数が、所定の最高継続回数に達した場合には(S22:YES)、S23において、CPU461は、当該大当たり遊技の終了を知らせる大当たり遊技終了情報をCPU661に対して送信後、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻る。」

(オ) 「【0071】
ここで、S34において、RAM663に記憶される上記「確変獲得演出パターン」が「獲得演出A」の場合に、液晶表示器19の表示画面に表示される確変獲得演出表示76の一例を図14及び図15に基づいて説明する。
図14(A)に示すように、CPU661は、9回目の開放信号が入力された場合には、液晶表示器19の表示画面の画面左側に当該ラウンドの入賞個数「2」個と当該ラウンド数である「R9」とを表示すると共に、表示画面上辺部に「確変昇格チャンス!」と表示して、3列の変動図柄の変動を開始する。・・・そして、図15(F)に示すように、液晶表示器19の表示画面の画面左側に当該ラウンドの入賞個数「8」個と当該ラウンド数である「R10」を表示すると共に、6回目の再変動開始から約5秒後に表示画面上辺部に「確変昇格!」と表示して、確変を獲得する当たり図柄「5、5、5」を表示する。これにより、遊技者に当該大当たり遊技終了後、「確変モード」になることが報知される。・・・」

(カ) 図14(A)及び15(F)には、3列の変動図柄の変動を表示する領域が、表示画面の画面左側、及び、画面上辺部を除く、右縁の一部及び下縁の一部から中央までを占める状態で形成された液晶表示器19が図示されている。

上記記載事項(ア)?(オ)及び図面の図示内容(カ)から、以下の事項が導かれる。

(キ) 上記(ア)の【0005】には「変動図柄が変動後、所定の態様を構成する特定図柄で停止した後・・・特別遊技状態が発生する」と記載され、上記(エ)の【0058】には「CPU461は「大当たり」か否かを判定する判定処理を実行する」と記載され、同【0064】には「CPU461は、「大入賞口開放処理」を実行する」と記載されている。
そして、大当たりか否かを判定する判定処理や、大入賞口開放処理はCPU461によって実行されており、「大入賞口開放処理」は、上記(ア)の【0005】及び上記(エ)の【0064】?【0066】の記載事項から、「特別遊技状態」のことであるから、当該CPU461は、これらの処理を実行することで、変動図柄が所定の態様を構成する特定図柄で停止した後、特別遊技状態を発生させていることは明らかである。
したがって、上記(ア)、(エ)には、変動図柄が所定の態様を構成する特定図柄で停止した後、特別遊技状態を発生させるCPU461が記載されている。

(ク) 上記(ウ)の【0050】には、「確変獲得演出パターン」が「大当たり遊技中の第9ラウンド目及び第10ラウンド目に」液晶表示器19の表示画面に表示するものであることが記載され、上記(オ)の【0071】には、「確変獲得演出パターン」が獲得演出Aの場合に、液晶表示器19の表示画面に表示される演出について図14及び図15に基づいて説明することが記載され、さらに、同【0071】には、「図14(A)に示すように、CPU661は・・・液晶表示器19の表示画面の画面左側に・・・ラウンド数である「R9」とを表示すると共に、表示画面上辺部に「確変昇格チャンス!」と表示して、3列の変動図柄の変動を開始する・・・そして、図15(F)に示すように、・・・液晶表示器19の表示画面の画面左側に・・・ラウンド数である「R10」を表示すると共に・・・表示画面上辺部に「確変昇格!」と表示し」と記載されている。これらの記載から、当該CPU661は、大当たり遊技中の第9ラウンド目及び第10ラウンド目に、ラウンド数である「R9」及び「R10」を表示すると共に、3列の変動図柄の変動表示を行う処理や、「確変昇格チャンス!」及び「確変昇格!」の表示を行う処理を実行しているといえる。
したがって、上記(ウ)、(オ)には、大当たり遊技中の第9ラウンド目及び第10ラウンド目に、ラウンド数である「R9」及び「R10」を表示すると共に、3列の変動図柄の変動表示を行い、「確変昇格チャンス!」及び「確変昇格!」の表示を行うCPU661が記載されている。

以上を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明」という。b?d、f、gは引用発明を分説するため当審で付した。)。
「b 変動図柄が所定の態様を構成する特定図柄で停止した後、特別遊技状態を発生させるCPU461と(認定事項(キ))、
c 3列の変動図柄の変動を表示する領域が、表示画面の画面左側、及び、画面上辺部を除く、右縁の一部及び下縁の一部から中央までを占める状態で形成されるとともに、「確変昇格チャンス!」及び「確変昇格!」を表示画面の画面上辺部に表示し、入賞個数とラウンド数を表示画面の画面左側に表示した液晶表示器19と(記載事項(オ)、図示内容(カ))、
d 大当たり遊技中の第9ラウンド目及び第10ラウンド目に、ラウンド数である「R9」及び「R10」を表示すると共に、3列の変動図柄の変動表示を行い(認定事項(ク))、
f 大当たり遊技中の第9ラウンド目及び第10ラウンド目に、ラウンド数である「R9」及び「R10」を表示すると共に、それぞれ「確変昇格チャンス!」、「確変昇格!」の表示を行うCPU661と(認定事項(ク))
g を備えたパチンコ機1(【0025】)。」

イ 刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2006-326215号公報(以下、「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0102】
ここで、ボーナス演出パターン情報が、演出の解説を行うボーナス演出パターン情報であるか否かの判定は、図11に示すように、取得されたボーナス演出パターン情報と、解説のあるなしを対応付けた解説実行テーブルに従ってもよいし、他の方法、例えば、抽選によって解説のあるなしを決定してもよい。・・・また、解説の内容としては、具体的には、実行されている当該演出の発展の仕方(ストーリー)や、当該演出においてボーナス状態に移行するための態様(例えば、画面上から爺が降りてくる、など)などの説明(以下、ボーナス確定演出の説明という)を含むものである。尚、上述したボーナス確定演出の説明は、所定の条件を具備するときだけ、例えば、抽選に当選するなど、に限って実行してもよい。」

ウ 刊行物3
平成28年7月12日付けの補正却下の決定の際に引用された、本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2001-218930号公報(以下、「刊行物3」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0046】図5に示すように、図柄表示装置40の表示画面部41は、その画面を複数の表示領域に分割し、特別図柄N1?N3を変動表示する第1の表示領域51と、これとは別個に、その第1の表示領域51で表示される特別図柄N1?N3の変動状態を演出表示する第2の表示領域52と、を形成することができる。この画面の2領域への分割時期は、遊技球の始動入賞口23への入賞後、例えば特別図柄N1?N3の変動開始時、あるいはその変動期間中のリーチ発生時であるのが好ましいが、常時であってもよい。また、表示画面部41は、少なくとも特別図柄N1?N3の変動表示に際して、第2の表示領域52を複数の表示部52a、52b、52c、52dに区画するようになっており、そのような画面の区画及び前記領域分割の処理が画面分割手段としての遊技制御装置150及び図柄制御基板172によって実行されるようになっている。
・・・
【0049】第2の表示領域52の複数の表示部52a?52dのうち、表示部52cは、第1の表示領域51で表示される特別図柄N1?N3の変動状態に応じて変化する画像mc(第1の演出表示画像)を表示する第1の演出表示部であり、この表示部52cに表示される画像mcは特別図柄N1?N3の変動状態に応じてリアルタイムに変化しながら所定の物語、例えば大砲を備えた海賊船(図5中のm1)が敵に遭遇し攻撃を仕掛けるといったシナリオに従って、その攻撃の結果が特別図柄N1?N3の変動停止の結果と符合するようになっている。
【0050】また、第2の表示領域52の複数の表示部52a?52dのうち、表示部52a、52b、52dはそれぞれ第2の演出表示部となっており、これら表示部52a、52dは、第1の演出表示部52cの表示画像と関連付けられた画像ma、mb、md(第2の演出画像)によって前記所定の物語を第1の演出表示部52cとは異なる表示態様で展開する画像を表示するようになっている。図5では、例えば表示部52aには海図maが、表示部52bにはセリフmb(文字画像)が、表示部52dには第1の演出表示部52cに表示されているシーンを上方から(別アングルで)とらえた画像が、それぞれ表示されている。なお、表示部52bは文字やグラフ等によって他の演出画像による物語の展開を解説する解説表示画像としてセリフmbが表示されているが、勿論、表示部52bに表示部52a、52dと同様なキャラクターの画像が表示されてもよい。」

(3) 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する(対比の見出しとしての(b)?(d)、(f)、(g)は引用発明の分説構成と対応させた。)。

(b) 引用発明において「特別遊技状態を発生させる」際に「停止」される「所定の態様を構成する特定図柄」は、特別遊技の当選の態様で停止表示される図柄であることは明らかであって、本願補正発明において「非当選以外の態様」(つまり当選の態様)で「停止表示」される「図柄」に相当する。
また、引用発明において「特別遊技状態を発生させる」ことは、本願補正発明において「特別遊技を実行する」ことに相当する。
したがって、引用発明の「変動図柄が所定の態様を構成する特定図柄で停止した後、特別遊技状態を発生させるCPU461」は、本願補正発明の「非当選以外の態様で図柄が停止表示されると、特別遊技を実行する特別遊技実行手段」に相当する。

(c) 引用発明の構成(c)について、以下(c-1)?(c-3)に分けて記載する。

(c-1) 引用発明において「3列の変動図柄の変動を表示する領域」及び「確変昇格チャンス!」及び「確変昇格!」を表示する「画面上辺部」は、液晶表示器19の「表示画面」内に形成されており、「所定の表示領域内」に形成されているといえる。
そして、まず、本願補正発明の「遊技の進行状況に応じて実行される進行対応演出」とは、本願の【0333】?【0336】に記載された「変動表示演出」、「結果表示演出」、「記憶数表示演出」、「滞在モード演出」、「リーチ発生前予告演出」、「リーチ発生後予告演出」、「先読み予告演出」、同【0374】に記載された「大当り遊技中に実行される大役中演出」を含むものである。
そうすると、引用発明において「3列の変動図柄の変動表示」は、「大当たり遊技中の第9ラウンド目及び第10ラウンド目に」表示されており(構成(d))、「大当り遊技中に実行される大役中演出」として行われるものであることは明らかであって、「遊技の進行状況に応じて実行される進行対応演出」であるといえるから、引用発明において「3列の変動図柄の変動を表示する」ことは、本願補正発明において「遊技の進行状況に応じて実行される進行対応演出を表示する」ことに相当するし、引用発明の「3列の変動図柄の変動を表示する領域」は、本願補正発明の「進行対応演出実行領域」に相当する。
また、引用発明の「表示画面」の「右縁の一部及び下縁の一部」は、(一部であったとしても)表示画面の外縁であるから、本願補正発明の「前記表示領域の外縁」に相当する。さらに、引用発明において、「3列の変動図柄の変動を表示する領域」と「確変昇格チャンス!」及び「確変昇格!」を表示する「画面上辺部」は、他の領域と重複することなく、所定の位置にあることは明らかであるから、「区画して形成」されているといえる。
そうすると、引用発明において「3列の変動図柄の変動を表示する領域が、表示画面の画面左側、及び、画面上辺部を除く、右縁の一部及び下縁の一部から中央までを占める状態で形成される」ことは、本願補正発明において「進行対応演出実行領域が前記表示領域の外縁から中央までの範囲を占める状態に区画して形成される」ことに相当する。

(c-2) 次に、引用発明において「確変昇格チャンス!」及び「確変昇格!」の表示は、上記「(2) ア (オ)」で示した【0071】における、「確変昇格!」が表示され「確変モード」になることが「報知される」という記載から、3列の変動図柄の変動表示に応じた「報知」のために付加される付加演出であって、当該変動表示の内容について「解説」する役割を果たしているといえる。そうすると、引用発明において「「確変昇格チャンス!」及び「確変昇格!」を表示画面の画面上辺部に表示」することは、本願補正発明において「前記進行対応演出の内容に応じて付加的に実行される付加演出を表示する」ことに相当するし、引用発明の「確変昇格チャンス!」及び「確変昇格!」を表示する「画面上辺部」は、本願補正発明の「付加演出実行領域」に相当する。
また、引用発明の「確変昇格チャンス!」及び「確変昇格!」を表示する「画面上辺部」は、(一部であったとしても)「3列の変動図柄の変動を表示する領域」が形成されていない表示画面の一縁を含んだ部分を占めた状態にあるといえる。さらに、当該「画面上辺部」が、「区画して形成」されているといえることは上記したとおりである。
そうすると、引用発明において「「確変昇格チャンス!」及び「確変昇格!」を表示画面の画面上辺部に表示し」たことは、本願補正発明において「付加演出実行領域が前記進行対応演出実行領域の形成されていない前記表示領域の一縁部を占める状態に区画して形成され」たことに相当する。

(c-3) また、次に、引用発明の「ラウンド数」は、「大当たり遊技中の第9ラウンド目及び第10ラウンド目に」表示されており(構成(d)、(f))、特別遊技の実行中のラウンド数であることは明らかであるから、引用発明において「入賞個数とラウンド数を表示画面の画面左側に表示し」た状態は、特別遊技の実行中であるといえる。
そうすると、引用発明における「入賞個数とラウンド数を表示画面の画面左側に表示した」状態において「3列の変動図柄の変動を表示する領域」と「確変昇格チャンス!」及び「確変昇格!」を表示する「画面上辺部」とが形成された「液晶表示器19」は、本願補正発明における「前記特別遊技実行手段による前記特別遊技の実行中」において「前記付加演出を表示する場合は前記進行対応演出実行領域及び前記付加演出実行領域がともに前記表示領域内に形成された演出表示手段」に相当する。

したがって、引用発明の「液晶表示器19」と、本願補正発明の「演出表示手段」とは、いずれも「所定の表示領域内に遊技の進行状況に応じて実行される進行対応演出を表示する進行対応演出実行領域が前記表示領域の外縁から中央までの範囲を占める状態に区画して形成されるとともに、前記進行対応演出の内容に応じて付加的に実行される付加演出を表示する付加演出実行領域が前記進行対応演出実行領域の形成されていない前記表示領域の一縁部を占める状態に区画して形成され、前記特別遊技実行手段による前記特別遊技の実行中において前記付加演出を表示する場合は前記進行対応演出実行領域及び前記付加演出実行領域がともに前記表示領域内に形成された演出表示手段」である点で共通する。

(d) 引用発明において「大当たり遊技中の第9ラウンド目及び第10ラウンド目に」行われる「3列の変動図柄の変動表示」は、上記(c-1)の第3段落で示したとおり「大当り遊技中に実行される大役中演出」であることは明らかであって、「進行対応演出」であるといえるから、本願補正発明において「前記特別遊技の実行中」に「前記進行対応演出として」実行される「大役中演出」に相当する。
したがって、引用発明の「大当たり遊技中の第9ラウンド目及び第10ラウンド目に、ラウンド数である「R9」及び「R10」を表示すると共に、3列の変動図柄の変動表示を行う」「CPU661」は、本願補正発明の「前記進行対応演出として、前記特別遊技の実行中に大役中演出を前記進行対応演出実行領域内で実行する大役中演出実行手段」に相当する。

(f) 上記(c-2)の第1段落で示したとおり、引用発明において「確変昇格チャンス!」及び「確変昇格!」の表示は、「3列の変動図柄の変動」の表示の内容について解説する付加演出であるといえるし、上記(d)で示したとおり、「3列の変動図柄の変動表示」は、「大役中演出」に相当する。
そうすると、引用発明において「「確変昇格チャンス!」及び「確変昇格!」を表示画面の画面上辺部に表示」することは、本願補正発明において「前記付加演出として、前記大役中演出実行手段により実行される前記大役中演出の内容について解説を行う内容の解説演出」を行うことに相当する。
したがって、引用発明の「大当たり遊技中の第9ラウンド目及び第10ラウンド目に、ラウンド数である「R9」及び「R10」を表示すると共に、それぞれ「確変昇格チャンス!」、「確変昇格!」の表示を行」うCPU661は、本願補正発明の「前記付加演出として、前記大役中演出実行手段により実行される前記大役中演出の内容について解説を行う内容の解説演出を前記付加演出実行領域内で行う付加演出実行手段」としての機能を有する。

(g) 引用発明の「パチンコ機1」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。

以上の検討より、本願補正発明と引用発明とは、
「B’ 非当選以外の態様で図柄が停止表示されると、特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
C’ 所定の表示領域内に遊技の進行状況に応じて実行される進行対応演出を表示する進行対応演出実行領域が前記表示領域の外縁から中央までの範囲を占める状態に区画して形成されるとともに、前記進行対応演出の内容に応じて付加的に実行される付加演出を表示する付加演出実行領域が前記進行対応演出実行領域の形成されていない前記表示領域の一縁部を占める状態に区画して形成され、前記特別遊技実行手段による前記特別遊技の実行中において前記付加演出を表示する場合は前記進行対応演出実行領域及び前記付加演出実行領域がともに前記表示領域内に形成された演出表示手段と、
D 前記進行対応演出として、前記特別遊技の実行中に大役中演出を前記進行対応演出実行領域内で実行する大役中演出実行手段と、
F’ 前記付加演出として、前記大役中演出実行手段により実行される前記大役中演出の内容について解説を行う内容の解説演出を前記付加演出実行領域内で行う付加演出実行手段と
G を備えた遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]:「図柄」の表示に関して、本願補正発明では「遊技中に内部抽選が行われると、図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で停止表示させる図柄表示手段」を備え、非当選以外の態様で図柄が停止表示されると、特別遊技を実行するのに対し、引用発明では、そのような表示手段を備えるか否か不明である点。(A、B、C)

[相違点2]:「演出表示手段」に関して、本願補正発明では「図柄の変動表示中」及び「特別遊技の実行中」において「前記付加演出を表示する場合は前記進行対応演出実行領域及び前記付加演出実行領域がともに前記表示領域内に形成され」るのに対し、引用発明では大当り遊技中においてそのように形成されるが、「図柄の変動表示中」については特定されていない点。(C)

[相違点3]:大役中演出の内容について解説を行う「付加演出」の実行に関して、本願補正発明では「前記付加演出を実行するか否かを抽選で決定する付加演出抽選手段」を備え、「前記付加演出抽選手段により前記付加演出を実行すると決定された場合」に、付加演出を行うのに対し、引用発明では、そのような抽選手段を備えていない点。(E、F)

(4) 判断
ア 相違点1について
パチンコ遊技機において、演出用の表示手段とは別に、例えば、7セグメント発光ダイオードを用いた特別図柄表示手段等の「遊技中に内部抽選が行われると、図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で停止表示させる図柄表示手段」を備え、当該図柄表示手段による図柄の変動表示と、演出用の表示手段おいて遊技の進行状況に応じて実行される演出、つまり進行対応演出とを同期させて行い得ることは、パチンコ遊技機の技術分野における技術常識(以下、「周知技術1」という。)であって(例えば、特開2010-46274号公報(【0027】、【0028】参照)には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置9の表示画面において第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄の可変表示を行い、例えば7セグメントLEDで実現されている第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bにおいて識別情報としての第1特別図柄、第2特別図柄を可変表示することが記載され、特開2010-35698号公報(【0056】、【0059】参照)には、7セグメントLEDで構成された特別図柄表示装置33には、数字図柄や「-」等の図柄が特別図柄として変動表示され、液晶表示装置32の表示領域32aにおいても、例えば数字などを含む演出用の装飾図柄が変動表示され、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて行われる演出用の装飾図柄の変動表示と、特別図柄の変動表示とは同期していることが記載されている。)。
そして、本願の出願遡及日前に、特別図柄表示手段として、演出用の図柄表示手段のみを備えたタイプと、周知技術1のように、演出用の図柄表示手段に加え同期する図柄表示手段を備えたタイプの2種類のタイプが存在していた。これらのことからみて、演出用の図柄表示手段である液晶表示器19を備えた引用発明において、周知技術1の図柄表示手段を適用し、液晶表示器19に加え同期する図柄表示手段を備えることで、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。

イ 相違点2について
刊行物3の【0046】には、「図5に示すように、図柄表示装置40の表示画面部41は・・・少なくとも特別図柄N1?N3の変動表示に際して、第2の表示領域52を複数の表示部52a、52b、52c、52dに区画する」と記載され、同【0049】には、「表示部52cに表示される画像mcは特別図柄N1?N3の変動状態に応じてリアルタイムに変化しながら所定の物語、例えば大砲を備えた海賊船(図5中のm1)が敵に遭遇し攻撃を仕掛けるといったシナリオに従って、その攻撃の結果が特別図柄N1?N3の変動停止の結果と符合するようになっている」と記載され、同【0050】には、「表示部52bは文字やグラフ等によって他の演出画像による物語の展開を解説する解説表示画像としてセリフmbが表示されている」と記載されている。
ここで、当該「セリフmb」による「解説」の対象になっている「他の演出画像による物語の展開」とは、表示部52cに表示される画像mcによる「特別図柄N1?N3の変動状態に応じてリアルタイムに変化しながら所定の物語、例えば大砲を備えた海賊船(図5中のm1)が敵に遭遇し攻撃を仕掛けるといったシナリオに従って、その攻撃の結果が特別図柄N1?N3の変動停止の結果と符合するようになっている」演出のことであって、遊技の進行状況に応じて実行される演出、つまり進行対応演出であることは明らかである。そうすると、当該「セリフmb」による「解説」は、当該進行対応演出の内容を説明するために付加的に実行される演出であって、付加演出であるといえる。
また、刊行物3の図5等から明らかなように、図柄表示装置40の表示画面部41において、当該進行対応演出の実行領域である「表示部52c」は、表示画面部41の右縁の一部から中央までの範囲を占める状態に区画して形成され、当該付加演出の実行領域である「表示部52b」は、当該進行対応演出の実行領域である「表示部52c」の形成されていない表示画面部41の上縁の一部を占める状態に区画して形成されている。
そうすると、刊行物3には、特別図柄N1?N3の変動状態において、表示画面部41の外縁といえる右縁の一部から中央までの範囲を占める状態に区画して形成された進行対応演出の実行領域及び当該進行対応演出の実行領域の形成されていない表示画面部41の一縁部を占める状態といえる上縁の一部を占める状態に区画して形成された付加演出の実行領域を設けることが記載されている。
さらに、引用発明の液晶表示器19における演出について、大当り遊技中の演出と、図柄の変動表示中の演出とは、演出を実行する時期が異なるものである。
そして、引用発明と刊行物3に記載された事項は、遊技の進行状況に応じて実行される進行対応演出の内容に応じて付加的な付加演出を実行する点及び付加演出として進行対応演出の内容を解説する点で共通するから、引用発明において、刊行物3に記載された事項を適用し、大当り遊技中以外にも、図柄の変動表示中の液晶表示器19について、表示領域の外縁から中央までの範囲を占める状態に区画して形成された進行対応演出の実行領域及び当該進行対応演出の実行領域の形成されていない表示領域の一縁部を占める状態に区画して形成された付加演出の実行領域を設けることで、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

ところで、本願補正発明では、「付加演出実行領域」又は「一縁部」が、演出表示手段の全表示領域を形成する四辺の外縁のうちの一辺の全てが接する領域として、図柄の変動表示中及び特別遊技の実行中に区画されていること(本願の図28等に図示された構成であること)などは特定されていないため、引用発明の液晶表示器19の表示領域も「付加演出実行領域」に相当する領域を備えると認定し、上記のとおりに判断した。
しかしながら、仮にそのような特定がされていたとしても、パチンコ遊技機における図柄の変動表示中又は特別遊技の実行中に、付加的に実行される付加演出のための表示領域を、演出表示手段の全表示領域を形成する四辺の外縁のうちの一辺の全てが接する領域となるよう区画して設けることは、本願の出願遡及日前に周知の技術(以下、「周知技術2」という。)である(例えば、刊行物3(【0028】、【0105】?【0107】、図16参照。)には、特別図柄N1?N3の変動表示中に、付加的に実行される実況中継の解説文を表示するための表示部252dを、図柄表示装置40の表示画面部41を形成する四辺の外縁のうちの一辺の全てが接する領域となるよう区画して設けることが記載され、特開2002-66045号公報(【0027】、【0029】、【0060】?【0064】、図2参照。)には、特別図柄の変動表示中に、付加的に実行される予告説明メッセージを表示するためのメッセージ表示部120bを、特別図柄表示装置120(の表示領域)を形成する四辺の外縁のうちの一辺の全てが接する領域となるよう区画して設けることが記載され、特開2000-288193号公報(【0024】、【0048】、図8参照。)には、大当りのラウンド中に、付加的に実行されるメッセージによる演出表示のためメッセージ表示領域202を、特別図柄表示装置4の表示部4aを形成する四辺の外縁のうちの一辺の全てが接する領域となるよう区画して設けることが記載されている。)。
そして、引用発明の液晶表示器19の表示領域について、周知技術2に示されるように、図柄の変動表示中又は特別遊技の実行中に、付加的に実行される付加演出を表示する領域を、液晶表示器19の全表示領域を形成する四辺の外縁のうちの一辺の全てが接する領域となるように設けることで、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることも、当業者であれば適宜なし得たことである。

ウ 相違点3について
刊行物2の【0102】には、「抽選によって解説のあるなしを決定してもよい・・・解説の内容としては、具体的には、実行されている当該演出の発展の仕方(ストーリー)や、当該演出においてボーナス状態に移行するための態様(例えば、画面上から爺が降りてくる、など)などの説明・・・を含むものである」と記載されている。ここで、当該「ボーナス状態」とは、遊技者に有利な遊技状態であることは明らかであるし、そのような遊技状態は遊技の進行状況に応じて発生することも明らかであるから、当該「ボーナス状態に移行するための態様」になる当該「演出」は、遊技の進行状況に応じて実行される演出、つまり進行対応演出であるといえる。そうすると、当該「演出においてボーナス状態に移行するための態様」を説明する当該「解説」は、当該進行対応演出の内容を説明するために付加的に実行される演出であって、付加演出であるといえる。
したがって、刊行物2には、「抽選によって解説のあるなしを決定」すること、つまり付加演出を実行するか否かを抽選で決定すること、が記載されている。
また、付加演出を実行する時期及びその際の演出実行領域を定めることと、付加演出を実行するか否かの抽選を行うことは、別々の技術的事項である。
さらに、一般的に、演出内容を決定するに際し、遊技者に対する演出効果を考慮して、抽選により決定することは、当業者が必要に応じてなし得ることである。
そして、引用発明と刊行物2に記載された事項は、遊技の進行状況に応じて実行される進行対応演出の内容に応じて付加的な付加演出を実行する点及び付加演出として進行対応演出の内容を解説する点で共通するから、引用発明において、「確変獲得チャンス!」及び「確変昇格!」の表示(付加演出)を実行する際、刊行物2に記載された事項を適用し、当該付加演出を実行するか否かを抽選で決定することで、相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

ところで、本願補正発明では、「付加演出抽選手段」がいつ実行される付加演出について抽選を行う手段なのかは特定されておらず、また、「付加演出実行手段」は「前記付加演出抽選手段により前記付加演出を実行すると決定された場合」に「大役中演出の内容について解説を行う内容の解説演出」を行うとされているのみで、「付加演出抽選手段」が「図柄の変動表示中」に実行される付加演出について抽選を行い、「前記付加演出抽選手段により前記付加演出を実行すると決定された場合」に「図柄の変動表示中」に実行される付加演出を実行することは特定されていないため、上記のとおりに判断した。
しかしながら、仮に、「付加演出抽選手段」が「図柄の変動表示中」に実行される付加演出について抽選を行い、「前記付加演出抽選手段により前記付加演出を実行すると決定された場合」に「図柄の変動表示中」に実行される付加演出を実行することが特定されていたとしても、パチンコ遊技機において、図柄の変動表示中に付加的に実行される付加演出を実行するか否を、抽選で決定することは、本願の出願遡及日前に周知の技術(以下、「周知技術3」という。)である(例えば、特開2009-119121号公報(【0129】、【0193】、図20参照。)には、図柄変動ゲーム中に付加的に実行されるセリフ演出を実行させるか否かを、非確変用セリフ演出テーブルTE1、確変用セリフ演出テーブルTE2のいずれかに基づく乱数による乱数抽選により決定することが記載され、特開2005-334482号公報(【0131】、【0219】、図15参照。)には、特別図柄92の変動表示中に付加的に実行されるコメント演出を実行するか否かを、コメント演出決定用乱数値に基づいて判断することが記載されている。)。
そして、引用発明において刊行物2に記載された事項を適用するにあたり、図柄の変動表示中及び大当り遊技中に実行される演出に関して、周知技術3に示されるように、図柄の変動表示中においても付加演出を実行し得るようにすること、及び、当該図柄の変動表示中の付加演出及び大当り遊技中の付加演出を実行するか否かを抽選で決定することで、相違点3に係る本願補正発明の構成とすることも、当業者であれば適宜なし得たことである。

エ 請求人の主張及び本願補正発明が奏する効果について
(ア) 本願補正発明の構成について、請求人は、審判請求書(3.〔1〕)において、「(a)引用文献1には開示されていない特徴的な「演出表示手段」の構成を有するものとであり、(b)「進行対応演出」については、これを表示領域の外縁から中央までの範囲を占める状態に区画して形成された「進行対応演出実行領域」内において表示及び実行するものであり、(c)「付加演出」については、これを「進行対応演出実行領域」の形成されていない表示領域の一縁部を占める状態に区画して形成された「付加演出実行領域」内において表示及び実行するものであり、(d)「進行対応演出実行領域」及び「付加演出実行領域」は、図柄の変動中及び特別遊技の実行中のいずれにおいても表示領域内に区画して形成されおり、かつ、「付加演出実行領域」は、付加演出を表示する場合は必ず「進行対応演出実行領域」とともに表示領域内に区画して形成されるものであるという独自の構成を有するものである」と主張する。
また、請求人は、審判請求書(3.〔4〕)において、「進行対応演出実行領域」及び「付加演出実行領域」に相当する構成を備えていない点・・・「演出表示手段」に相当する構成を備えていない点・・・「付加演出実行手段」に相当する構成を有していない点」で引用発明は、本願補正発明と相違すると主張する。
さらに、請求人は、審判請求書(3.〔5〕)において、「(1)主引用発明の認定誤り・・・引用文献1には、「進行対応演出実行領域」、「付加演出実行領域」及び「演出表示手段」に相当するものは開示されていない」、「(2)進歩性判断の誤り・・・「引用文献1には「付加演出実行領域」及び「演出表示手段」に相当するものが開示されている」とする認定は誤り」、「(3)発明困難性・・・引用文献1が示す技術の方向性は、かえって本願請求項1及び2の「演出表示手段」の構成に至る動機付けを否定するものである」、「(4)動機付けの欠如・・・「確変報知演出(確変獲得演出表示76)は大当り中の限られたラウンド内だけでONにすることができる」というのに、そこからいきなり飛躍して、「確変報知演出(確変獲得演出表示76)や『確変昇格チャンス!!』のような表示は、大当り中だけでなく、大当り中ではない図柄の変動表示中にまで適宜拡張してよい」とするような動機付けは、引用文献1の記載からは決して得られるものではない」と主張する。
しかしながら、請求人が主張する本願補正発明の「独自の構成」、つまり本願補正発明の「進行対応演出実行領域」、「付加演出実行領域」及び「演出表示手段」は、上記(3)で示した相違点2に係る構成であって、この点については上記イで検討したとおり、引用発明及び刊行物3に記載された事項、又は、引用発明、刊行物3に記載された事項及び周知技術2に基づいて容易になし得たことである。

(イ) 本願補正発明の効果について、請求人は、審判請求書(3.〔1〕)において、「「進行対応演出」及び「付加演出」をそれぞれ専用の領域内にて表示及び実行することで、各演出が有する性質の違いを明確に区別した上で遊技者に伝達することができるという格別性を有するものである・・・これにより、遊技者が表示領域の中央を占めている「進行対応演出実行領域内」にて表示及び実行されている「進行対応演出」の内容だけでも十分に遊技の進行状況について理解できる場合には、敢えて表示領域の中央を占めない一縁部の「付加演出実行領域」には視線を移動させる必要がなくなり、それだけ遊技に集中しやすくなるという格別性を発揮することができる。また、表示領域の中央で行われている「進行対応演出」の内容について何らかの解説が欲しい場合には、表示領域内の一縁部に区画して形成されている「付加演出実行領域」に視線を移動させれば、そこで表示及び実行されている「付加演出としての解説演出」を確実に見つけることができるため、それによって遊技の進行状況に対する理解を深め、より遊技に集中しやすくなるという別の格別性をも発揮する」と主張する。
しかしながら、上記「(3) (c)」で示したとおり、引用発明においても、表示領域の中央を占める「進行対応演出実行領域」で「進行対応演出」を実行し、表示領域の中央を占めない一縁部の「付加演出実行領域」で「付加演出」を実行しているといえるから、この点において引用発明と本願補正発明は異なるところはなく、請求人が主張する上記「格別性」も、引用発明において発揮し得る程度のものである。
また、請求人が主張する上記効果(格別性)以外で、相違点1?3によって本願補正発明が奏する効果も、当業者が引用発明、刊行物2に記載された事項、刊行物3に記載された事項及び周知技術1、又は、引用発明、刊行物2に記載された事項、刊行物3に記載された事項及び周知技術1?3から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

したがって、請求人の主張は採用することができない。

(5) まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が引用発明、刊行物2に記載された事項、刊行物3に記載された事項及び周知技術1、又は、引用発明、刊行物2に記載された事項、刊行物3に記載された事項及び周知技術1?3に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定についてのむすび
上記3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?3に係る発明は、平成27年9月10日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである(A?Gは本願発明を分説するため当審で付した。)。

「【請求項1】
A 遊技中に内部抽選が行われると、図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で停止表示させる図柄表示手段と、
B 前記図柄表示手段により非当選以外の態様で図柄が停止表示されると、特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
C’’ 所定の表示領域内に遊技の進行状況に応じて実行される進行対応演出を表示する進行対応演出実行領域が区画して形成されるとともに、前記進行対応演出の内容に応じて付加的に実行される付加演出を表示する付加演出実行領域が前記進行対応演出実行領域とは別に前記表示領域内に区画して形成された演出表示手段と、
D 前記進行対応演出として、前記特別遊技の実行中に大役中演出を前記進行対応演出実行領域内で実行する大役中演出実行手段と、
E 前記付加演出を実行するか否かを抽選で決定する付加演出抽選手段と、
F 前記付加演出抽選手段により前記付加演出を実行すると決定された場合、前記付加演出として、前記大役中演出実行手段により実行される前記大役中演出の内容について解説を行う内容の解説演出を前記付加演出実行領域内で行う付加演出実行手段と
G を備えたことを特徴とする遊技機。」

2 刊行物に記載された事項
刊行物1の記載事項、図示内容、認定事項、刊行物1に記載された発明(引用発明)及び刊行物2の記載事項については、上記「第2 3 (2)」で示したとおりである。

3 対比、判断
本願発明は、「演出表示手段」に関して、上記「第2 3 (1)」で示した本願補正発明において、「進行対応演出実行領域」が表示領域を区画して形成される際の状態について、「前記表示領域の外縁から中央までの範囲を占める状態」であるとされていた事項(Cの一部)を省くとともに、「付加演出実行領域」が表示領域を区画して形成される際の状態について、「前記進行対応演出実行領域の形成されていない前記表示領域の一縁部を占める状態」であるとされていた事項(Cの一部)を省き、さらに、「進行対応演出実行領域」及び「付加演出実行領域」が形成される場合について、「前記図柄表示手段による図柄の変動表示中及び前記特別遊技実行手段による前記特別遊技の実行中のいずれにおいても前記付加演出を表示する場合は前記進行対応演出実行領域及び前記付加演出実行領域がともに前記表示領域内に形成され」るとされていた事項(Cの一部)を省いたものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。

[相違点1]:「図柄」の表示に関して、本願発明では「遊技中に内部抽選が行われると、図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果を表す態様で停止表示させる図柄表示手段」を備え、非当選以外の態様で図柄が停止表示されると、特別遊技を実行するのに対し、引用発明では、そのような表示手段を備えるか否か不明である点。(A、B、C)(上記「第2 3 (3)」で示した相違点1と同じ)

[相違点2]:大役中演出の内容について解説を行う「付加演出」の実行に関して、本願発明では「前記付加演出を実行するか否かを抽選で決定する付加演出抽選手段」を備え、「前記付加演出抽選手段により前記付加演出を実行すると決定された場合」に、付加演出を行うのに対し、引用発明では、そのような抽選手段を備えていない点。(E、F)(上記「第2 3 (3)」で示した相違点3と同じ)

しかしながら、これらの相違点については、いずれも上記「第2 3 (4)」で示したとおり、当業者が引用発明、刊行物2に記載された事項及び周知技術1、又は、引用発明、刊行物2に記載された事項及び周知技術1、3に基づいて容易になし得たことである。
したがって、本願発明は、当業者が引用発明、刊行物2に記載された事項及び周知技術1、又は、引用発明、刊行物2に記載された事項及び周知技術1、3に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-08 
結審通知日 2017-05-09 
審決日 2017-05-22 
出願番号 特願2014-144238(P2014-144238)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋山 斉昭  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 石原 徹弥
川崎 優
発明の名称 遊技機  
代理人 山崎 崇裕  
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