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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1330130
異議申立番号 異議2017-700418  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-04-26 
確定日 2017-07-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第6020684号発明「光波長変換シート、これを備えるバックライト装置、および画像表示装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6020684号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6020684号(請求項の数11。以下「本件特許」という。)に係る特許出願は、平成27年8月20日に出願され、平成28年10月14日に特許の設定登録がされ、同年11月2日に特許掲載公報の発行がされたものであるところ、これに対し、平成29年4月26日に特許異議申立人より請求項1に係る特許について特許異議の申立てがされた。

第2 本件発明
本件特許の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「集光機能および再帰反射機能を有するレンズシートの入光面側に配置される光波長変換シートであって、
ホストマトリクスと、前記ホストマトリクスに分散された量子ドットとからなる光波長変換層を備え、
前記光波長変換シートの外部ヘイズ値が前記光波長変換シートの内部ヘイズ値より小さく、かつ前記内部ヘイズ値に対する前記外部ヘイズ値の割合が、0以上0.1以下であることを特徴とする、光波長変換シート。」(以下、本件特許の請求項1に係る発明を「本件発明」という。)

第3 申立ての理由についての判断
1 申立ての理由の概要
特許異議申立人は、下記の甲第1号証ないし甲第4号証を提出し、本件発明に係る特許が特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、本件発明に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
甲第1号証:特開2009-10013号公報
甲第2号証:特表2013-539916号公報
甲第3号証:特開2011-178062号公報
甲第4号証:本件出願の拒絶理由通知書(起案日:平成28年5月26日)
(以下、甲第1号証ないし甲第4号証をそれぞれ「甲1」ないし「甲4」といい、総称して「甲号証」という。)

2 申立ての理由について
(1)甲号証の記載事項
ア 甲1
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲1には、次の事項が図とともに記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を発する励起光源と、
前記励起光源の前記紫外線が照射される方向に配置され、前記紫外線により励起されて赤色の蛍光を発する蛍光体、前記紫外線により励起されて緑色の蛍光を発する蛍光体及び前記紫外線により励起されて青色の蛍光を発する蛍光体を担持してなる波長変換体とを備える、
ことを特徴とする白色光源。
【請求項2】
前記波長変換体は、前記蛍光体が発する光の進行方向を変えて光の取り出し効率を改善する光学部材を有することを特徴とする請求項1記載の白色光源。
【請求項3】
前記光学部材は、プリズム状レンズまたはブレード状レンズを一定のピッチで配列してなるレンズシートから構成されていることを特徴とする請求項2記載の白色光源。
【請求項4】
前記波長変換体はシート状の波長変換層から構成され、前記各蛍光体は微粒子からなり、前記各蛍光体微粒子は前記波長変換層中に混入されていることを特徴とする請求項1または2記載の白色光源。」
(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は、一般の照明用ライト、または液晶ディスプレイ用バックライト等に用いられる白色光源に関し、さらに詳しくは、近紫外線で蛍光体を励起して白色光を発生する白色光源に関する。」
(ウ)「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
GaN系のLEDチップは2?3インチのサファイア基板上に半導体ドライプロセスによって製造される。ZnO系LEDはZnO単結晶基板上に形成される。いずれの場合も加工後には1mm角程度以下のチップに断裁され、サブマウント基板上に導通をとって接着する。次いでサブマウント基板を、テーパー部分が反射性をもつキャップやキャビチィーの底部にセットする。更に上部下部の電極をワイヤーボンディングにより外部電極と接続する。次いで、エポキシ樹脂に蛍光体を分散させたものをディスペンサーで適量滴下し乾燥させる。最後に、保護層兼封止用のエポキシ樹脂で外形を砲弾状にモールドして1個のLEDを得る。しかし、これらのパッケージング工程は非常に複雑である。特に白色LEDにするための蛍光体皮膜の形成は従来には無い工程でコストアップの一因になる。
【0011】
表面実装型であっても単一もしくは複数のLEDチップをサブマウント基板にワイヤーボンディングやフリップチップ接続してから、周囲を蛍光体皮膜で発光部を覆うように塗布固着する必要がある。いずれにしても微小面積に適量の蛍光体を塗布固着して最適な膜厚を得るのは容易ではない。その結果、塗布量や厚さのばらつきによりLEDごとに発光特性がばらついてしまうという問題がある。
また、パッケージングしたLEDの寿命は蛍光体の劣化とLEDチップ及び電源(交流直流変換)の劣化で決まるが、一般には蛍光体やエポキシ樹脂などの劣化の方が早い。このため、図1及び図2で示した蛍光体がLEDチップ周辺に塗布された構造では、蛍光体が劣化した場合でもLED全体を交換する必要がある。
【0012】
本発明は、上記のような従来の問題を解決するためになされたもので、製品の低コスト化を可能にするとともに蛍光体の劣化に伴う波長変換体の交換を可能にした白色光源を提供することを目的とする。」
(エ)「【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る白色光源は、紫外線を発する励起光源と、前記励起光源の前記紫外線が照射される方向に配置され、前記紫外線により励起されて赤色の蛍光を発する蛍光体、前記紫外線により励起されて緑色の蛍光を発する蛍光体及び前記紫外線により励起されて青色の蛍光を発する蛍光体を担持してなる波長変換体とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1記載の白色光源において、前記波長変換体は、前記蛍光体が発する光の進行方向を変えて光の取り出し効率を改善する光学部材を有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2記載の白色光源において、前記光学部材は、プリズム状レンズまたはブレード状レンズを一定のピッチで配列してなるレンズシートから構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の白色光源において、前記波長変換体はシート状の波長変換層から構成され、前記蛍光体は微粒子からなり、前記蛍光体微粒子は前記波長変換層中に混入されていることを特徴とする。・・・略・・・」
(オ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる白色光源の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図4は本発明にかかる白色光源の第1の実施の形態を示す断面図である。この図4に示す白色光源400は、直下型バックライト方式のもので、紫外線を発する励起光源410と、この励起光源410の紫外線が照射される方向に配置された波長変換体420とを備え、励起光源410は波長変換体420の白色光出射側の面と反対の面である下面側に相対向して設置されている。
【0021】
この第1の実施の形態における励起光源410には、ZnO(酸化亜鉛)系のLEDで使用される385nmの近紫外光励起が望ましいが、LED光源についてはZnO系に限定されものでなく、GaN系の近紫外LEDもしくは青色LEDであっても構わない。しかし、ZnO系のLED方が励起子の結合エネルギーが高く、ホモエピタキシャル成長なので点欠陥、貫通欠陥が少なく、熱伝導性もよい。また、大電流を流しても温度上昇が少なく高温でも安定しているので、発光効率が低下したり、発光波長がシフトすることがない。
【0022】
先ず、励起光源410について説明する。
この励起光源410は、GaN系のLED(紫外線発光ダイオード)アレイから構成されている。ここでは、LED自体の製造プロセスは省略するが、水熱合成法で製造した2インチのZnOウエハー上にダブルへテロ構造のLEDをラジカルソースのMBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシー)製膜法で作成する(例えば、非特許文献1参照)。また、LEDのp型電極はNi/Auから形成され、n型電極はZnO基板下部にTi/Auを形成することで構成される。これを図2のような表面実装型とし銅のステム上にワイヤーボンディングで外部電極と接続する。この場合、フリップチップ接続することも可能である。最後にLEDチップ保護のため385nmの透過率が十分な石英ガラスあるいはシラン系樹脂でモールドして1個のLEDを得た。このように構成したLED411を複数個、図4に示すようにプリント基板上412に実装して、LEDアレイ構造の励起光源410を得る(この図4では、給電用電極は省略してある)。
【0023】
次に、波長変換体420について説明する。
この波長変換体420は、図4に示すように、照明用途に応じて設定された所定表面積のシート状の波長変換層421を有し、この波長変換層421中には、励起光源410から照射される紫外線により励起されて赤色の蛍光を発する蛍光体微粒子、紫外線により励起されて緑色の蛍光を発する蛍光体微粒子及び紫外線により励起されて青色の蛍光を発する蛍光体微粒子(これら蛍光体微粒子は図4中に点々で示されている)が混入分散されている。
【0024】
また、この実施の形態においては、近紫外線を白色光に変換するための赤、青、緑の蛍光体微粒子は波長変換機能の他に拡散機能を有しており、この拡散機能が不足する場合は、波長変換層421の励起光源410側と反対の面に拡散フィルム422を接合する。さらに、波長変換層421の励起光源410側と対向する面において、LED411のキャビチィー部と対向する箇所以外の面にはアルミ反射膜423が形成され、LED411のキャビチィー部と対向する箇所には、励起光源410からの紫外線が透過される開口部424が形成されている。これにより、紫外線の有効利用が図れる。
また、波長変換層421の白色光出射側である拡散フィルム422の上面には、一定のピッチで平行に配列されたプリズム形状の複数のレンズとからなるレンズシート425が設けられている。このレンズシート425は、特許請求の範囲に記載した光学部材に相当するもので、拡散フィルム422の内部を全反射しながら導波する白色光の前方への取り出し効率を向上させるためのものである。特に、図4に示すように、励起光源410が波長変換体420の直下に配置された場合に有効となる。
【0025】
(第2の実施の形態)
図5は本発明にかかる白色光源の第2の実施の形態を示す断面図である。この図5に示す白色光源500は、側置型バックライト方式のもので、紫外線を発する励起光源510と、この励起光源510の紫外線が照射される方向に配置された波長変換体520とを備え、励起光源510は波長変換体520の白色光出射側の面と交差する側面に相対向して設置されている。
【0026】
波長変換体520は、照明用途に応じて設定された所定表面積のシート状の波長変換層521を有し、この波長変換層521中には、励起光源510から照射される紫外線により励起されて赤色の蛍光を発する蛍光体微粒子、紫外線により励起されて緑色の蛍光を発する蛍光体微粒子及び紫外線により励起されて青色の蛍光を発する蛍光体微粒子が混入分散されているとともに、波長変換層521中に混入された蛍光体微粒子の励起光源510に近い部分522の混入濃度を他の部分より高くしてある。これは、波長変換層521中に蛍光体微粒子均一に分散するよりも励起光源510に近い部分の濃度を高めることにより、紫外線の透過率が低下するのを防止できる。
また、励起光源510は、上記図4に示す励起光源と同様にGaN系のLEDアレイから構成されている。図4と異なる点は、LED511が波長変換層521の一側面に対して一列に配列されたアレイ構造を呈しているところである。
【0027】
また、波長変換層521の白色光出射側である上面には、一定のピッチで平行に配列されたプリズム形状の複数のレンズとからなるレンズシート523が設けられ、さらに、波長変換層521の下面には、ノコギリ歯形状を呈するレンズシート524が設けられている。このレンズシート524は、特許請求の範囲に記載した光学部材に相当するもので、波長変換層521内を導波する白色光の前方への取り出し効率を向上させるためのものである。特に、図5に示すように、励起光源510が波長変換体520の側面に対向に配置された場合に有効となる。
【0028】
上記実施の形態に示す蛍光体としては、励起波長に於ける蛍光量子効率の高い材料が望ましい。量子効率は励起波長にもよるが、385nm近傍の波長に感度の高い蛍光体としては、例えばEuイオン、Ceイオンで賦活した下記化合物をあげることができる。
赤の蛍光体としては、CaS:Eu^(2+)、La_(2)O_(2)S:Eu^(3+)、CaAlSiN_(3):Eu^(2+)、Y_(2)O_(3):Eu^(3+)
緑の蛍光体として、SrGa_(2)S_(4):Eu^(2+)、β-SiAlON:Eu^(2+)、Ca_(3)Sc_(2)Si_(3)O_(12):Ce3+
青の蛍光体として、BaMgAl_(10)O_(17):Eu^(2+)、(Sr,Ba,Ca,Mg)_(10)(PO_(4))_(6)Cl_(2):Eu^(2+)、CaMgSi_(2)O_(6):Eu^(2+)、等。
これらの蛍光体微粒子の合成はゾルゲル法、錯体重合法、共沈法、固相反応法を用いて行われる。
【0029】
波長変換体420または520のシート化は、サブミクロンオーダーの蛍光体微粒子と多官能アクリルモノマー、反応開始材を混合し、バット上に厚みが1?2mmになるようにキャストし紫外線照射により固体シート化、フィルム化する。あるいは電子線照射により固化させることもできる。別の支持材料としては熱溶融性のEVA(エチレン/酢酸ビニル共重合体)を使い、溶融させた中に蛍光体微粒子を適量分散させ、冷却してシート化しても構わない。
【0030】
更に別の方法としてプラスチックシートの上にゾルゲル法で蛍光体皮膜を形成してもよい。プラスチックシートとしてはポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド、ポリイミド等、あるいはこれら高分子の共重合体が挙げられる。
また、ゾルゲル材料の一例としてはテトラエチルオルソシリケート(Si(OC_(2)H_(5))_(4):TEOSと略記)に3種類の3官能基オルガノシラン(メトキシトリエチルシラン、ビニルトリメキシラン、グリシドオキシプロピルメトキシシラン)をモル比で0.9:0.1になるように混合した後、適量の塩酸を加え攪拌して加水分解溶液を作成する。これに鹸化度98.5%、重合度2400程度のポリビニルアルコールを重量比で70/30になるように加え、更に蛍光体を適量分散させて混合し複合溶液を得る。これを上記のプラスチックシートにコーティングし乾燥機で10?20分乾燥する。厚みは蛍光体の濃度によるが数十ミクロンから1mmが望ましい。
いずれにしても赤、青、緑蛍光体の量を適切に選択し、蛍光体の濃度とシートの厚みを最適化することによって色温度、演色性を任意に設定することが可能である。
【0031】
また、本発明における波長変換体は、紫外線透過性の無機系のガラスもしくは有機物、あるいはそれらの混合物であってもよい。これは、蛍光体を分散混錬する基材となるシート材料を特定するものである。」
(カ)「【図4】


(キ)上記【0024】(上記(オ))には「波長変換層421の白色光出射側である拡散フィルム422の上面には、一定のピッチで平行に配列されたプリズム形状の複数のレンズとからなるレンズシート425が設けられている」と記載されており、当該記載より、波長変換層421はレンズシートの入光面側に配置されているといえる。
(ク)上記(ア)ないし(キ)から、甲1には、第1の実施の形態として次の発明が記載されているものと認められる。
「一定のピッチで平行に配列されたプリズム形状の複数のレンズとからなるレンズシート425の入光面側に配置された、シート状の波長変換層421であって、
励起光源410から照射される紫外線により励起されて赤色の蛍光を発する蛍光体微粒子、紫外線により励起されて緑色の蛍光を発する蛍光体微粒子及び紫外線により励起されて青色の蛍光を発する蛍光体微粒子が混入分散されている、
波長変換層421。」(以下「甲1発明」という。)

イ 甲2
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲2には、次の事項が記載されている。
(ア)「【特許請求の範囲】
・・・略・・・
【請求項16】
少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料の粒子及び光反射材料の粒子の混合物を含む、固体発光装置のための波長変換コンポーネント。
・・・略・・・
【請求項21】
光反射材料の粒子が、少なくとも1つの蛍光体材料によって発生する光より励起光を比較的多く粒子が散乱させるような粒子寸法に相当する、請求項16に記載の波長変換コンポーネント。」
(イ)「【技術分野】
【0001】
分野
本発明のいくつかの実施形態は、固体発光素子によって発生した光を所望の光の色に変換するためのフォトルミネッセンス波長変換を使用する固体発光装置及びサイネージ(signage)に関する。」
(ウ)「【0009】
概要
本発明の実施形態は、1つ以上の固体発光素子、通常はLEDを含んだ固体発光装置及びサイネージに関する。この固体発光素子は、青色光励起可能なフォトルミネセント(例えば蛍光体材料)の粒子を含有したフォトルミネッセンス波長変換コンポーネント又はフォトルミネッセンス光放出サイネージ面を励起するために使用される青色光を発生させるために、動作可能である。そして、本発明のいくつかの実施形態によれば、蛍光体材料、波長変換コンポーネント及び/又はサイネージ面によるフォトルミネッセンス発光を増加させることは、蛍光体材料と共に光反射材料(本明細書では「光散乱材料」とも呼ぶ)の粒子を組み込むことを更に含む。強化された発光は、蛍光体材料の粒子とLEDが発生させた光との衝突数を増加させる光反射材料からもたらされ、これが、放出が作る色の選択を発生させるための蛍光体材料の使用量を減少させる。」
(エ)「【0038】
図1は、本発明の実施形態によるLEDに基づく白色光放出装置10の概図を示す。
装置10は、青色光を放出しているLED12及びLEDに対して離れて配置されたフォトルミネッセンス波長変換コンポーネント14を含む。示されるように、波長変換コンポーネント14は、少なくとも1つの面に蛍光体変換層18を有した光透過性窓(基板)16を含むことができる。蛍光体変換層18は、青色光励起可能な蛍光体材料20の粒子、光反射材料22の粒子及び光透過性バインダ材料24の混合物を含む。光透過性窓16は、例えばポリカーボネート、アクリル、シリコーン若しくはエポキシといったポリマー材料、又は、石英ガラスなどのガラスといった、任意の光透過性材料を含むことができる。通常、製造の簡略化のために、光透過性窓16は平面、多くの場合円盤形状であるが、所期の用途に応じて、正方形、長方形又は他の形状とすることができる。光透過性窓が円盤形状の場合には、直径を約1cmと10cmの間、つまり0.8cm^(2)と80cm^(2)の間の面積の光学的開口とすることができる。代替的な実施形態では、光透過性窓16が、例えば凸面又は凹面レンズなどの選択された方向に光を向ける光学コンポーネントを含むことが想定される。LED12から波長変換コンポーネント14までの熱伝達、特に蛍光体材料への熱伝達を減少させるために、波長変換コンポーネントは、LEDに対して離れて配置、つまり、物理的に少なくとも5mmの距離Lで隔てられる。本発明の実施形態は、発光素子から蛍光体材料までの熱伝達を減少するために、波長変換コンポーネント及び、更に重要なことには、蛍光体材料が、LEDに対して離れて提供される装置に関する。本出願に関連して、遠隔とは、例えば空隙又は光透光性媒体によって、物理的に分離されることを意味する。遠隔蛍光体装置では、LED(例えば0.03cm^(2))の光放出面の面積より非常に大きな面積(例えば0.8cm^(2)から80cm^(2))に渡って、蛍光体材料が、分布することが理解される。通常、蛍光体材料は、LEDの光放出面積の少なくとも50倍、通常は少なくとも100倍となる面積に渡って分布する。」
(オ)「【0045】
光反射材料22は、高い反射性、通常は0.9以上の反射率を有した粉末状の材料を含む。光反射材料の粒子サイズは、通常は0.1μmから10μmの範囲で、好ましい実施形態では、0.1μmから10μmの範囲内である。蛍光体材料に対する光反射材料の装填量の重量パーセントは、0.1%から10%の範囲で、好ましい実施形態では、1%から2%の範囲である。光反射材料の例としては、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化チタン(TiO_(2))、硫酸バリウム(BaSO_(4))及びこれらの組み合わせを含む。光反射材料は、また、例えば、高度光反射材料、通常はTiO_(2)、の粒子をすでに備えたNorcote International Incのスーパー白色インクGN-027SAのような、白色インクを含むこともできる。」

ウ 甲3
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲3には、次の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、防眩性ハードコートフィルム及びそれを用いた偏光板に関する。さらに詳しくは、本発明は、金属酸化物微粒子を含む活性エネルギー線感応型組成物と、有機微粒子を含有するハードコート層形成材料を用いて形成されたハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムであって、前記の活性エネルギー線感応型組成物と有機微粒子との比重差を利用することにより、ハードコート層の内部ヘーズ値を容易にコントロールし得る防眩性ハードコートフィルム、及びこの防眩性ハードコートフィルムを用いた偏光板に関するものである。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1及び2が有する問題に対処するために、本発明者らは鋭意研究を重ね、活性エネルギー線感応型組成物と該組成物に対して特定の比重差を有する有機微粒子とを含有するハードコート層形成材料を用いてハードコート層を形成し、かつその厚さを、前記有機微粒子の粒径よりも大きくすることにより、上記問題を解決し得ることを見出し、先に特許を出願した(特願2008-268192号明細書)。
【0006】
この技術は、防眩性の程度及び十分な表面硬度を達成することができる優れた技術であるが、使用微粒子の種類によっては「ぎらつき」とよばれる現象を回避することが困難であることが分かった。ここで、「ぎらつき」とは、防眩性フィルムの表面凹凸それぞれに基づくレンズ効果により、画素に見かけ上の歪みを生じさせ、輝度ばらつきと解像度低下を生じさせる現象である。例えばLCDのブラックマトリックスと防眩性フィルムの表面凹凸が干渉することにより発生する画面のちらつきであり、これを抑制するには、ブラックマトリックスと表面凹凸の間に光拡散層を設けることが有効である。光拡散の程度は内部ヘーズ値に依存し、内部ヘーズは活性エネルギー線感応型組成物と屈折率の異なる微粒子を導入することにより発現可能である。内部ヘーズ値を上昇させるためには、(1)該微粒子の添加量を多くする、(2)使用する該微粒子を変更することにより、該微粒子と活性エネルギー線感応型組成物の屈折率差の大きいものに変更する、(3)活性エネルギー線感応型組成物を変更することにより、該微粒子と活性エネルギー線感応型組成物の屈折率差の大きいものに変更する、の3点が考えられる。しかし、上記(1)の方法を用いた場合、微粒子の分散不足に起因する微粒子の凝集による欠点が発生しやすく、(2)の方法を用いた場合、選定した微粒子が活性エネルギー線感応型組成物との親和性が必ずしも良くない場合があり、やはり分散不良による欠点が発生することが多い。
本発明は、このような状況下になされたもので、前記の特願2008-268192号明細書の技術を利用して、充分な防眩性及び耐擦傷性を達成すると共に、上記(3)の方法を用いて、内部ヘーズの制御を容易に行うことのできる防眩性ハードコートフィルム、及びこの防眩性ハードコートフィルムを用いた偏光板を提供することを目的とするものである。」
(イ)「【0013】
<(a-1)金属酸化物微粒子>
本発明においては、(A)活性エネルギー線感応型組成物の(a-1)成分として、金属酸化物微粒子が用いられる。
本発明における金属酸化物微粒子とは、展性、延性に富み、電気及び熱の良導体で、金属光沢をもつ元素、すなわち周期表(長周期型)において、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ヒ素(As)、テルル(Te)及びアスタチン(At)を結ぶ斜めの線より左に位置する元素の酸化物微粒子を指す。さらに、前記周期表にてアルカリ土類金属類(2族)よりも右に位置する元素の酸化物微粒子であることが好ましい。
このような金属酸化物微粒子としては、ぎらつき防止性などの観点から、高屈折率微粒子、好ましくは屈折率1.6以上の微粒子であるものが好適である。この高屈折率金属酸化物微粒子としては、ZnO(屈折率1.90)、TiO_(2)(屈折率2.3?2.7)、CeO_(2)(屈折率1.95)、Sb_(2)O_(5)(屈折率1.71)、SnO_(2)(屈折率2.00)、インジウムドープ酸化錫(ITO;屈折率1.95)、リンドープ酸化錫(PTO;屈折率1.75?1.85)、Y_(2)O_(3)(屈折率1.87)、La_(2)O_(3)(屈折率1.95)、ZrO_(2)(屈折率2.05)、Al_(2)O_(3)(屈折率1.63)等を例示することができる。これらの金属酸化物微粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらの高屈折率金属酸化物微粒子は、いずれも高比重であり、温度25℃において、(A)成分の比重を、(B)成分の比重よりも0.25以上高くするのに寄与することができる。」
(ウ)「【0026】
[防眩性ハードコートフィルム]
(光学特性)
このようにして形成された本発明の防眩性ハードコートフィルムの光学特性は、次のとおりである。
内部ヘーズ値は、通常1?80%、好ましくは3?60%であり、特に好ましくは15?50%である。内部ヘーズ値が小さすぎるとぎらつき防止性が発揮されない場合があり、一方、内部ヘーズ値が大きすぎるとコントラストが低下する場合があるからである。また、外部ヘーズ値は、通常0.5?30%、好ましくは1?7%であり、特に好ましくは1?4%である。外部ヘーズ値が上記の範囲にあればコントラストと防眩性の両立が可能となるからである。
なお、外部ヘーズ値は、防眩性ハードコートフィルムの全ヘーズ値と内部ヘーズ値を測定し、全ヘーズ値から内部ヘーズ値との差によって得られる値である。
さらに、60°鏡面光沢度は、15?130が好ましく、20?120がさらに好ましく、85?115が特に好ましい。60°鏡面光沢度が130を超えると表面光沢度が大きく(光の反射が大きい)、防眩性に悪影響を及ぼす。60°鏡面光沢度が15未満ではしろ茶けが発生しやすくなる。また、防眩性ハードコートフィルムの全光線透過率は通常85%以上であり、88%以上が好ましく、より好ましくは90%以上である。全光線透過率が85%未満では透明性が不十分となるおそれがある。
なお、前記光学的特性値の測定方法については、後で説明する。」
(エ)「【0062】【表2】



エ 甲4
本件出願の拒絶理由通知書(起案日:平成28年5月26日)である甲4には、次の事項が記載されている。
「●理由3(進歩性)について

・請求項1、5-6
・引用文献等1-3
・備考
引用文献2には、「マトリックス樹脂中に光散乱粒子と波長変換部材と混合した波長変換層」の発明が記載されている(段落[0040]-[0041]、図2)。そして、図2において、散乱粒子は発光素子近傍に配置されているから、請求項1で特定されたヘイズの関係を満たしていると認める。
さらに、段落[0038]には、青色半導体素子と赤色蛍光体、緑色蛍光体を併用することが記載されている。そして、赤色蛍光体、緑色蛍光体として量子ドットを用いることは、周知の技術である。例えば、引用文献1に記載の上記発明、引用文献3の段落[0024]-[0025]を参照。
・・・略・・・
<引用文献等一覧>
1.国際公開第2015/025950号
2.特開2015-96950号公報
3.特開2015-35504号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2008-261962号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2013-47794号公報」

(2)対比
本件発明と甲1発明とを対比する。
ア 引用発明の「レンズシート425」及び「波長変換層421」は、それぞれ本件発明の「レンズシート」及び「光波長変換層」に相当する。
イ 引用発明の「波長変換層421」(本件発明の「光波長変換層」に相当。以下「」に続く()内の用語は、対応する本件発明の用語を表す。)は、シート状であることは明らかであるから、本件発明の「光波長変換層を備える」「光波長変換シート」との構成を具備する。
ウ 引用発明の「波長変換層421」は、一定のピッチで平行に配列されたプリズム形状の複数のレンズとからなる「レンズシート425」(レンズシート)の入光面側に配置されているから、本件発明の「レンズシートの入光面側に配置される」との構成を具備する。
エ 上記アないしウからみて、本件発明と甲1発明とは、
「レンズシートの入光面側に配置される光波長変換シートであって、
光波長変換層を備える、
光波長変換シート。」である点で一致し、次の点で相違する。

・相違点1:
レンズシートが、
本件発明では、「集光機能および再帰反射機能を有する」のに対し、
甲1発明では、集光機能および再帰反射機能を有するかどうかが明らかでない点。

・相違点2:
光波長変換層が、
本件発明では、「ホストマトリクスと、前記ホストマトリクスに分散された量子ドットとからなる」のに対し、
甲1発明では、励起光源410から照射される紫外線により励起されて赤色の蛍光を発する蛍光体微粒子、紫外線により励起されて緑色の蛍光を発する蛍光体微粒子及び紫外線により励起されて青色の蛍光を発する蛍光体微粒子が混入分散されたものであり、ホストマトリクストと該ホストマトリクスに分散された量子ドットとからなるものではない点。

・相違点3
本件発明では、「前記光波長変換シートの外部ヘイズ値が前記光波長変換シートの内部ヘイズ値より小さく、かつ前記内部ヘイズ値に対する前記外部ヘイズ値の割合が、0以上0.1以下である」のに対し、
甲1発明では、波長変換層421(光波長変換シート)の外部ヘイズ値が前記波長変換層421の内部ヘイズ値より小さく、かつ前記内部ヘイズ値に対する前記外部ヘイズ値の割合が、0以上0.1以下であるかどうかが明らかでない点。

(3)判断
上記相違点3について検討する。
ア 甲2(上記(1)イ)には、波長変換材料において、蛍光体粒子とともに、光反射材料(酸化マグネシウム、二酸化チタン)等の光散乱材料を含有させ、強化された発光がもたらされることが記載されている。
イ 甲3(上記(1)ウ)には、防眩性ハードコートフィルムにおいて、ぎらつきを抑制するために、活性エネルギー線感応型組成物と屈折率の異なる微粒子(ZnO、TiO_(2)、Sb_(2)O_(5)等の金属酸化物)を導入して内部ヘーズを発現させ光拡散の程度を調整すること、上記微粒子の添加量を多くすることで内部ヘーズ値が上昇すること、及び、外部ヘーズ値を内部ヘーズ値より小さくすることが記載されている。また、甲3(上記(1)ウ(エ))には、例えば実施例1として、内部ヘーズ値が54.5%、外部ヘーズ値が2.7%、すなわち内部ヘーズ値に対する外部ヘーズ値の割合が約0.05である光学フィルムが記載されている。
ウ 甲1(上記ア(オ))には、蛍光体微粒子が波長変換機能の他に拡散機能を有し、この拡散機能が不足する場合は、波長変換層421の励起光源410側と反対の面に拡散フィルム422を接合していることが記載されているものの、波長変換層421において、表面と内部のそれぞれの拡散の程度、すなわち外部ヘイズ及び内部ヘイズをそれぞれ調整することや、内部ヘイズに対する外部ヘイズの割合を如何にするかについての記載も示唆もない。また、レンズシートの入光面側に配置される一般的な波長変換体において、外部ヘイズ及び内部ヘイズをそれぞれ調整することや、内部ヘイズに対する外部ヘイズの割合を調整することが技術常識であるともいえない。
エ そうすると、上記ウからみて、甲1発明において、当業者は外部ヘイズ及び内部ヘイズを相互に調整しようとする発想にすら到らないといえる。してみると、甲1発明において、甲2の記載事項を適用して、波長変換層421の中に光散乱材料を含有することが容易だとしても、甲3の防眩性ハードコートフィルムのぎらつき防止のための外部ヘーズ値と内部ヘーズ値との関係を適用する動機がない。よって、甲1発明において、光波長変換シートの外部ヘイズ値が前記光波長変換シートの内部ヘイズ値より小さく、かつ前記内部ヘイズ値に対する前記外部ヘイズ値の割合が、0以上0.1以下となすこと、すなわち、上記相違点3に係る本件発明の構成となすことは当業者が容易になし得たものではない。
オ 以上のとおりであるから、相違点1及び2の容易想到性について検討するまでもなく、本件発明は、甲1ないし3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第4 むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-06-26 
出願番号 特願2015-163238(P2015-163238)
審決分類 P 1 652・ 121- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中山 佳美  
特許庁審判長 中田 誠
特許庁審判官 鉄 豊郎
清水 康司
登録日 2016-10-14 
登録番号 特許第6020684号(P6020684)
権利者 大日本印刷株式会社
発明の名称 光波長変換シート、これを備えるバックライト装置、および画像表示装置  
代理人 大森 未知子  
代理人 榎 保孝  
代理人 横田 修孝  
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