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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1330596
審判番号 不服2016-12403  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-17 
確定日 2017-07-20 
事件の表示 特願2013-111914「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月11日出願公開、特開2014-230585〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年5月28日の出願であって、平成26年11月21日付けで拒絶理由通知がされ、平成27年1月28日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月29日付けで最後の拒絶理由通知がされ、同年7月30日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年1月28日付けで平成27年7月30日付けの手続補正が却下されるとともに最後の拒絶理由通知がされ、平成28年3月31日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月26日付けで同年3月31日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定がされ、これに対して、同年8月17日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、同年10月17日付けの前置報告に対し、同年11月21日に上申書が提出されたものである。

第2 平成28年8月17日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年8月17日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載を含んでおり、平成27年1月28日付けの手続補正による補正後の特許請求の範囲の記載と本件補正後の特許請求の範囲の記載は、それぞれ、以下のとおりである(下線部は、補正箇所を示すために当審で付した。)。
(本件補正前:平成27年1月28日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技の演出にかかる画像を表示する画像表示手段と、
遊技に関する情報を提示する画像である情報提示画像を前記画像表示手段に表示させる情報提示画像表示制御手段と、
遊技の演出のための演出画像を、前記画像表示手段に、前記情報提示画像表示制御手段により前記情報提示画像が表示される画面上に重ねて表示させ、当該画面に当該情報提示画像が表示される際に、当該演出画像における当該情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化する演出表示制御手段と、
を備えることを特徴とする、遊技機。
【請求項2】
前記演出表示制御手段は、前記演出画像における前記情報提示画像の表示位置に対応する部分の透明化を、当該演出画像の当該部分に対してマスク処理を行うことにより実現することを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記演出表示制御手段は、前記演出画像における前記情報提示画像の表示位置に対応する部分の透明化を、当該演出画像の当該部分のαチャンネルに対して透明度の情報を設定することにより実現することを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。」

(補正後:平成28年8月17日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技の演出にかかる画像を表示する画像表示手段と、
遊技に関する情報を提示する画像である情報提示画像を前記画像表示手段に表示させる情報提示画像表示制御手段と、
遊技の演出のための演出画像を、前記画像表示手段の全体に、前記情報提示画像表示制御手段により前記情報提示画像が表示される画面上に重ねて表示させ、当該画面に当該情報提示画像が表示される際に、当該画像表示手段の全体に表示された当該演出画像が当該情報提示画像に被らないように、当該演出画像における当該情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化する演出表示制御手段と、
を備えることを特徴とする、遊技機。」

2 補正の適否
(1)本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、次のとおり補正するものである。
補正前の請求項1に「遊技の演出のための演出画像を、前記画像表示手段に、前記情報提示画像表示制御手段により前記情報提示画像が表示される画面上に重ねて表示させ、当該画面に当該情報提示画像が表示される際に、当該演出画像における当該情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化する演出表示制御手段」と記載されていたのを、
「遊技の演出のための演出画像を、前記画像表示手段の全体に、前記情報提示画像表示制御手段により前記情報提示画像が表示される画面上に重ねて表示させ、当該画面に当該情報提示画像が表示される際に、当該画像表示手段の全体に表示された当該演出画像が当該情報提示画像に被らないように、当該演出画像における当該情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化する演出表示制御手段」とする補正。

(2)補正の目的等についての検討
本件補正は、補正前の請求項1における「演出表示制御手段」が、「遊技の演出のための演出画像」を「前記画像表示手段に、情報提示画像が表示される画面上に重ねて表示させ」るとの事項について、「画像表示手段」に重ねる領域が、「画像表示手段」の「全体」であることを具体的に限定するとともに、補正前の請求項1における「演出表示制御手段」が、「当該演出画像における当該情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化する」との事項について、「当該演出画像」と「当該情報提示画像」との関係が、「画像表示手段の全体に表示された演出画像が情報提示画像に被らない」ものであることを具体的に限定するものである。そして、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が本件補正の前後で同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、本願の出願時の明細書の段落【0157】の「・・・図31は、第2の手法について示した図である。この第2の手法では、演出画像のレイヤー360のαチャンネルに透明度の情報を設定し、特定部分が透明に設定された(表示されない)演出画像のレイヤー363を作成する。そして、情報提示画像において特定の情報を表示する際は、αチャンネルで透明部分が設定された演出画像を用いることで、透明部分の直下の情報提示画像が透過して見えるようになる。ただし、この第2の手法では、画面全体を覆うために透明部分が設定されていない画像と、情報提示画像を透過させるために透明部分が設定された画像の両方を用意する必要がある。(下線は当審で付した。)」との記載、及び、段落【0154】の「・・・この確定時の装飾図柄352等、情報提示画像351において特定の情報が表示されるときは、その情報が表示された部分に演出画像が被らないようにするのが望ましい。(下線は当審で付した。)」との記載に基づくものといえ、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
本件補正後の請求項1に記載された発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記「第2の1」において示したとおりのものである(A?Cは、本願補正発明を分説するために当審で付した。)。
「【請求項1】
A 遊技の演出にかかる画像を表示する画像表示手段と、
B 遊技に関する情報を提示する画像である情報提示画像を前記画像表示手段に表示させる情報提示画像表示制御手段と、
C 遊技の演出のための演出画像を、前記画像表示手段の全体に、前記情報提示画像表示制御手段により前記情報提示画像が表示される画面上に重ねて表示させ、当該画面に当該情報提示画像が表示される際に、当該画像表示手段の全体に表示された当該演出画像が当該情報提示画像に被らないように、当該演出画像における当該情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化する演出表示制御手段と、を備えることを特徴とする、遊技機。」

(2)刊行物に記載された事項
ア 刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2003-251017号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【0007】【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]複数の識別情報を可変表示可能な可変表示装置(310)と、該可変表示装置(310)の表示制御を行う表示制御手段(100,300)とを備え、所定条件の成立に基づき前記可変表示装置(310)で識別情報を可変表示した後に可変表示を停止して複数の識別情報を停止表示する表示遊技を実行し、該表示遊技の実行結果の表示態様が予め定めた識別情報の組み合わせである特定表示態様になった場合に、遊技者にとって有利な所定の遊技価値を付与可能な特別遊技状態に制御する特別遊技状態制御手段(100)を有する・・・遊技機。
・・・
【0032】【発明の実施の形態】・・・本実施の形態に係る遊技機は、遊技盤2上に球を打ち出す遊技を実行する遊技機本体1と、これに付設され有価価値カードの挿入により球を貸し出すカードユニット(CR球貸機)bから成る。
・・・
【0120】・・・表示器制御基板300・・・は、主に遊技盤2上に設置された可変表示装置310の制御を行う。表示器制御基板300は、所定の画像処理手順(プログラム)や画像制御データを記憶している表示器制御ROM302と、所定の画像処理手順を読み取り実行する表示器制御CPU301を有している。
【0121】また表示器制御基板300は、前記表示器制御CPU301によって画像処理手順を実行することで取得した情報を記憶するための表示器制御RAM303と、・・・表示器制御CPU301によって、入出力インターフェース306を介して制御指示情報を取得し、具体的な画像を生成する画像制御IC304を有している。
【0122】さらに表示器制御基板300は、画像制御IC304に管理され、多種多様な画像をデータ化し記憶している画像データROM305と・・・を有している。
【0123】表示器制御CPU301には、入出力インターフェース306を介して、主基板100から・・・指示情報が入力され・・・入力された指示情報の内容を、表示器制御ROM302に記憶されている画像処理手順に従って実行し、表示器制御RAM303に情報を整理して格納しながら、画像制御IC304へ具体的な指示を行う。
【0124】画像制御IC304は、表示器制御CPU301の指示に従い、画像データROM305を参照して、具体的な映像信号を生成し、可変表示装置310へ出力する。・・・。」

(イ)「【0146】・・・遊技者がハンドル5を操作すると、パチンコ球が1つずつ遊技盤2に形成されている遊技領域17に打ち込まれる。球が始動口21に入賞すると、始動口スイッチ121によってパチンコ球が検出されて・・・、・・・主基板100に検出信号が出力される。・・・
【0147】・・・保留数が最大値でない場合は、表示遊技の結果として特別遊技状態が発生するか否かを決定する大当たり乱数抽選を実行し、その結果を・・・メモリに記憶する・・・。・・・
【0148】・・・続いて、メモリに記憶しておいた表示遊技の実行結果や進行パターン等を表すデータを読み出し、これら読み出した情報に基づく表示データ等を表示器制御基板300へ送り、表示遊技を実行する・・・。
・・・
【0159】次に表示遊技の詳細について説明する。・・・表示遊技が開始すると、図13(a)に示すように、可変表示装置310に3つの表示部が表れ、それぞれの表示部において識別情報が変動し、しばらくすると、いずれかの表示部から順に一つずつ識別情報が停止表示される。
【0160】図13(b)では、3つのうちの左右2つの表示部に「7」の識別情報・・・が停止表示してリーチ態様が形成されている。さらに図13(c)では、中央の表示部に表示された「2」の識別情報・・・もほぼ停止し視認可能になっているが、上下左右にわずかに変位を続けており、最終的にはまだ停止表示していない状態になっている。・・・
【0161】リーチ態様が形成されると、図13(d)に示すように、中央の表示部を覆うように隠蔽図柄1310が出現する。隠蔽図柄1310は、背後の識別情報を全く見ることができない不透明な状態で現れる。その後、図13(e)?(k)に示すように、隠蔽図柄1310の透明度が増減して変動し、最終的には完全な透明になる(同図(k))。
【0162】ここでは、隠蔽図柄1310の透明度が変化している間に、その背後の識別情報もゆっくりと変化している。最後に隠蔽図柄1310そのものが消失し、背後の識別情報1304が現れる。図13(l)に示すように、最終的に「777」の特定表示態様が出現すると、特別遊技状態として各大入賞口装置24A,24Bの開閉動作が最大で15回繰り返される。
【0163】このように、識別情報を隠蔽する隠蔽図柄1310の透明度が隠蔽図柄1310の出現中に変動するので、隠蔽図柄1310の背後に隠れている識別情報が見えそうになったり、全く見えなくなったりして状況が変化し、遊技者に新鮮な意外性を与えて興味を引き付けることができる。また透明度が変化している隠蔽図柄1310の背後で識別情報もゆっくりと変動するので、遊技者の特別遊技状態発生に対する期待感やスリルと興奮をより一層喚起することができる。・・・」

上記(ア)、(イ)の記載事項から以下のことが導かれる。なお、(a)?(c)は、本願補正発明の構成A?Cに対応した事項を示している。

(a)上記(ア)の段落【0007】には、「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示装置(310)」と記載され、上記(ア)の段落【0120】、【0122】、【0124】には、それぞれ、「表示器制御基板300・・・は、主に遊技盤2上に設置された可変表示装置310の制御を行う」、「表示器制御基板300は、画像制御IC304に管理され、多種多様な画像をデータ化し記憶している画像データROM305と・・・を有している」、「画像制御IC304は、表示器制御CPU301の指示に従い、画像データROM305を参照して、具体的な映像信号を生成し、可変表示装置310へ出力する」との記載がある。
したがって、刊行物1には、複数の識別情報を可変表示可能であり、多種多様な画像を表示可能な可変表示装置310が記載されているといえる。

(b)上記(ア)の段落【0120】には、「表示器制御基板300・・・は、主に遊技盤2上に設置された可変表示装置310の制御を行う」と記載され、上記(イ)の段落【0159】には、「表示遊技が開始すると・・・可変表示装置310に3つの表示部が表れ、それぞれの表示部において識別情報が変動し、しばらくすると、いずれかの表示部から順に一つずつ識別情報が停止表示される」と記載されている。
以上の記載から、刊行物1には、表示遊技が開始すると、3つの表示部において識別情報を変動させ、いずれかの表示部から順に一つずつ停止表示させるように可変表示装置310の制御を行う表示器制御基板300が記載されているといえる。

(c)上記(ア)の段落【0120】には、「表示器制御基板300・・・は、主に遊技盤2上に設置された可変表示装置310の制御を行う」と記載されている。上記(イ)の段落【0159】には、「表示遊技が開始すると」と記載され、つづく、上記(イ)の段落【0161】、【0162】には、それぞれ、「リーチ態様が形成されると・・・中央の表示部を覆うように隠蔽図柄1310が出現する。隠蔽図柄1310は、背後の識別情報を全く見ることができない不透明な状態で現れる。その後・・・隠蔽図柄1310の透明度が増減して変動し、最終的には完全な透明になる」、「隠蔽図柄1310の透明度が変化している間に、その背後の識別情報もゆっくりと変化している。最後に隠蔽図柄1310そのものが消失し、背後の識別情報1304が現れる」と記載されている。そして、「識別情報」の表示は、「表示器制御基板300」によって制御されるものであるから、「画面」上でなされるものであることは明らかである。
以上の記載から、刊行物1には、表示遊技が開始すると、識別情報の表示部を含む画面を覆うように隠蔽図柄1310を出現させ、背後の識別情報を見ることができない不透明な状態から最終的には透明になって背後の識別情報1304が現れるように可変表示装置310の制御を行う表示器制御基板300が記載されているといえる。

上記(ア)、(イ)の記載事項及び上記(a)?(c)の認定事項から、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?cは、本願補正発明のA?Cに対応させて当審で付した。)。
「a 複数の識別情報を可変表示可能であり、多種多様な画像を表示可能な可変表示装置310と、
b 表示遊技が開始すると、3つの表示部において識別情報を変動させ、いずれかの表示部から順に一つずつ停止表示させるように可変表示装置310の制御を行う表示器制御基板300と、
c 表示遊技が開始すると、識別情報の表示部を含む画面上を覆うように隠蔽図柄1310を出現させ、背後の識別情報を見ることができない不透明な状態から、最終的には透明になって背後の識別情報1304が現れるように可変表示装置310の制御を行う表示器制御基板300と、
を備える、遊技機(【0032】)。」

イ 刊行物2
原査定の際の補正却下の決定に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-142511号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】この発明は、ぱちんこ遊技機などの遊技機に関し、特に・・・表示画面とリールとを用いて演出をおこなう遊技機の演出方法に関する。」

(イ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0017】(実施の形態)
・・・
【0019】・・・この発明にかかる実施の形態の遊技機は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の下部位置には、遊技領域103内に遊技球を発射する発射部・・・が配置されている。・・・
・・・
【0026】遊技盤101において、遊技領域103の中央部分には、画像表示画面を備えた表示部104が配置されている。・・・液晶ディスプレイによって実現される表示部104は、各種画像をカラー表示可能な画像表示画面を実現する液晶表示パネル201と、液晶表示パネル201の背面に設けられる液晶シャッター202とを備えている。
【0027】表示部104の背面側には、表示部104を照明する、図示を省略する光源が設けられている。液晶シャッター202は、印加された電圧に基づいて、表示領域全域にわたってあるいは一部表示領域において、光源から照射された照明光を遊技機の前面側に透過あるいは遮断するように動作する。
【0028】表示部104の背面側(遊技者から見て遊技機の奥側)には、リール203が配置されている。リール203は、縦3個×横3個の合計9個(9コマ)の小リール203a?203iをマトリクス状に配置することによって構成されている。小リール203a?203iは、表示部104の背面側において、表示部104がなす液晶表示パネル201に平行な面をなすように配置されている。
・・・
【0048】演出制御部302は、遊技中の各種演出の制御をおこなう。演出制御部302の出力側には表示部104およびリール203が接続されており、演出制御部302は表示部104およびリール203の動作を制御することによって遊技中の演出動作を制御する。演出制御部302は、CPU341、ROM342、RAM343などによって構成されている。
・・・
【0054】・・・CPU341は、たとえばリール203がなす図柄がリーチ状態や大当たり状態を示す場合には、リール203の図柄を補助し、遊技者の期待感や興奮を高めるような演出画像の画像データを生成して出力する。
・・・
【0062】・・・演出制御部302は、具体的には、たとえばすべての小リール203a?203iを回転させたのち、当該小リール203a?203iを順次停止させる・・・ことでリール203が所定の出目を示すようにリール203を制御するとともに、リール203の回転および停止動作にあわせた画像が表示部104に表示されるように表示部104を制御する。表示部104は、リール203の動作およびリール203がなす出目に連動した画像を表示する。このように、表示部104における画像の表示動作とリール203の動作とを連動することによって、遊技機がなす演出の演出効果を高めることができる。
・・・
【0064】また、表示部104およびリール203が遊技機の奥行き方向に重ねて配置されているため、表示部104とリール203とが重なる領域において、表示部104による光の透過具合を調整することにより、遊技者にリール203全体を見せたり、リール203の一部(たとえば小リール203a?203iの中の1つのみ)だけを遊技者に見せたりする演出をおこなうことができる。具体的には、たとえば液晶ディスプレイによって表示部104を実現する場合、シャッターの開閉度合いを調整することによって、遊技者にリール203全体を見せたり、リール203の一部だけを遊技者に見せたりする演出をおこなうことができる。
・・・
【0076】表示制御部504は、具体的には、たとえば画像表示画面を覆う幕が引っ掻かれて剥がされたような画像を表示することにより、画像表示画面の所定の領域のみの透過率を制御することができる。このとき、画像表示画面に表示されている画像の内容を遊技者が理解し易いように、画像表示画面を覆う幕が引っ掻くキャラクターの画像をあわせて表示するようにしてもよい。
・・・
【0101】このような演出方法による演出をおこなう遊技機によれば、大当たりかどうかを示す図柄を、各小リール203a?203iにおける図柄の変動順序が定まった実体であるリール203を用いて表現することにより、図柄を変動させる演出を画像表示画面のみでおこなう場合と比較して、大当たりの出目が揃うまでの遊技者の期待感や興奮を高めることができる。
【0102】また、このような演出方法による演出をおこなう遊技機によれば、リール203における各小リール203a?203iを、当該小リール203a?203iが回転している状態で一旦遊技者から見えなくした後に停止させ、その後、既に出目が決定しているリール203を徐々に遊技者に視認させることによって、遊技者に対して、既に出目が決定しているリール203を、画像表示画面を剥がしながら覗き込ませるような感覚を与える演出をおこなうことができる。
【0103】これによって、大当たりかどうかをリール203単体あるいは表示部104における画像表示画面単体で示す演出と比較して、大当たりかどうかが確定するまでの間、遊技者の期待感を高めることができる。そして、これにより、演出の結果のみならず演出自体を遊技者に楽しませ、遊技者に満足感を与えることができる。」

(ウ)「図6-4」、「図6-5」の図示内容を参酌すると、上記(イ)の段落【0054】の「図柄を補助し、遊技者の期待感や興奮を高める・・・演出画像」は、「表示部104の全体に表示され」、「図柄に対応する部分を透明化」するものであるといえる。

(エ)上記(ア)、(イ)の記載事項及び上記(ウ)の認定事項から、刊行物2は、次の技術事項が記載されているといえる。

「遊技者に図柄の全体を見せたり、一部だけを見せたりする演出をおこなう遊技機において、遊技者の期待感や興奮を高める演出画像を、表示部の全体に重ねて表示させ、背面の図柄に対応する部分を透明化する点。」

イ 刊行物3
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2008-29364号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】本発明は、遊技盤面に設けられた表示装置の表示領域に遊技中に所定の演出表示を行う画面表示方法に関する。
【背景技術】【0002】 パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機では、遊技盤に備えられた表示装置を用いて、遊技中に種々の演出表示が行われる。この演出表示には、液晶パネルが用いられることが多い。・・・演出表示を制御するためのCPUは、表示コマンドを受け取り、その内容を解析し、予め用意されたスケジュールデータを参照して、表示すべき画面の内容を決定する。そして、このスケジュールデータに基づいて描画コマンドをVDP(Video Display Processor)に出力する。VDPは、この描画コマンドをビットマップ展開して画素単位での表示データを生成し、液晶パネルに出力する。VDPによっては、描画コマンドをレイヤに分けるとともに、レイヤごとに全体の透明度や色調などを調整することで多彩な描画を実現可能とするものもある。
・・・
【0012】表示データ生成部は、上述の生成単位ごとに描画できるのべ画素数に上限値がある。この上限値は、フレームの表示周期および表示データ生成部の処理能力によって定まる値である。描画制御部は、画面内のマスクすべき部位に対しては、マスク図形として所定の不可視の図形を描画させるマスクコマンドを出力する。一般にマスクとは、一部を非表示とすることを意味するが、本明細書では、マスクとは、描画されるべき図形の一部を透明化、つまりその背景の画像を透視できる状態にさせる処理を言う。マスクすべき部位は、表示コマンドによって直接指定してもよいし、表示コマンドに応じて特定される各フレームのデータによって指定してもよい。マスクコマンドの数は、マスクコマンドのみ又は描画コマンドと併せて、表示データ生成部が描画する画素数が上限値を超え得る数とする。
【0013】本発明によれば、上述のマスクコマンドが出力された部位では、表示データ生成部が描画すべき画素数が、その上限値を超える(以下、これを「スプライトオーバー」と呼ぶ)ことが生じ得る。上限値を超えると、更なる描画はできなくなるため、結果として描画コマンドの一部は描画されずに欠落する。この結果、描画コマンドの一部を生成単位で欠落させた表示をすることが可能となり、簡易にマスクを実現することができる。例えば、行単位で表示データを生成する場合には、描画すべき図形を特定の行に対応する部分だけ欠落した状態で表示させることが容易に実現できる。・・・」

(イ)「【0123】F.描画処理: 図6は描画処理のフローチャートである。・・・VDP330はCPU311から出力された描画コマンドを読み込む・・・。この描画コマンドには、多数のスプライトについて、表示/非表示、表示位置などの指定がなされている。VDP330は、これらの中から規定の順序で選択したスプライトが表示対象であれば・・・、そのスプライトを描画する・・・。表示対象でない場合には・・・、スプライトの描画をスキップする。
【0124】VDP330は、全スプライトの処理について終了した場合・・・、またはスプライトオーバーが生じた場合・・・には、描画処理を終了する。スプライトオーバーが生じると、表示対象として指定されたスプライトが残っている場合でも、VDP330は、描画処理を中断してしまうため、そのフレームは、一部のスプライトが欠落した状態で表示される。
・・・
【0127】図8はスプライトオーバーによる効果を示す説明図である。図示する通り3枚のレイヤLA1?LA3で構成される画面を表示する場合を例示する。最前面に全レイヤを重ねた画面PICを示した。最背面のレイヤLA1には、海を表す演出表示と始動記憶が表示される。図中の下部に示したのが始動記憶表示であり、この例では、左右の始動入賞口に入賞した遊技球数をそれぞれハートマーク、スペードマークの数で表している。
【0128】最背面のレイヤには、始動記憶の前面に図示する矩形のスプライトが表示される。このスプライトの高さMHは、始動記憶の高さと同じである。・・・これらの矩形は表示してもしなくても、始動記憶の表示内容に影響を与えない。このようなスプライトを・・・マスクスプライトと呼ぶものとする。・・・
【0129】図の例でVDP330が描画を開始すると、始動記憶よりも上方の部分には、マスクスプライトは存在しないため、スプライトオーバーは生じない。従って、レイヤLA3における魚のスプライトも正常に描画される。これに対し、始動記憶の部分では、上述の通りスプライトオーバーが生じる。このため、レイヤLA3における魚のスプライトは描画されない。つまり、魚のスプライトは、マスクスプライトに対応する領域MSK部分だけ欠落した状態で描画されることになる。この結果、全てのレイヤLA1?LA3を重ね合わせると、画像PICに示すように、最前面に始動記憶を描画したかのような表示を簡易に実現することができる。」

(ウ)上記(ア)の記載事項について、段落【0001】には、「遊技盤面に設けられた表示装置の表示領域に遊技中に所定の演出表示を行う画面表示方法に関する。」と記載され、段落【0012】には、「描画制御部は、画面内のマスクすべき部位に対しては、マスク図形として所定の不可視の図形を描画させるマスクコマンドを出力する。・・・マスクとは、描画されるべき図形の一部を透明化、つまりその背景の画像を透視できる状態にさせる処理を言う。」と記載され、段落【0013】には、「マスクコマンドが出力された部位では、・・・、描画コマンドの一部を生成単位で欠落させた表示をする」と記載されている。
以上から、刊行物3の(ア)には、遊技機における表示装置で行われる所定の演出表示に関し、描画制御部が、画面内のマスク(描画されるべき図形の一部を透明化、つまりその背景の画像を透視できる状態にさせる処理)すべき部位では描画コマンドの一部を欠落させた表示をすることが記載されているといえる。

(エ)上記(イ)の記載事項について、段落【0127】には、「3枚のレイヤLA1?LA3で構成される画面を表示する場合」について、「最背面のレイヤLA1には、海を表す演出表示と始動記憶が表示される」と記載され、段落【0129】には、「VDP330が描画を開始すると、始動記憶よりも上方の部分には、マスクスプライトは存在しないため、スプライトオーバーは生じない。従って、レイヤLA3における魚のスプライトも正常に描画される。これに対し、始動記憶の部分では、上述の通りスプライトオーバーが生じる。このため、レイヤLA3における魚のスプライトは描画されない。つまり、魚のスプライトは、マスクスプライトに対応する領域MSK部分だけ欠落した状態で描画されることになる。この結果、全てのレイヤLA1?LA3を重ね合わせると・・・最前面に始動記憶を描画したかのような表示を・・・実現することができる。」との記載がある。
以上から、刊行物3の(イ)には、海を表す演出表示と始動記憶が表示される最背面のレイヤLA1に、魚が表示されるレイヤLA3を重ね合わせて表示する際、始動記憶の部分で、スプライトオーバーを生じさせ、レイヤLA3における魚のスプライトが描画されないようにし、マスクスプライトが存在しない始動記憶よりも上方の部分では、レイヤLA3における魚のスプライトが描画されるようにすることが記載されているといえる。

(オ)上記(ウ)、(エ)の認定事項、上記(イ)の段落【0127】の「図8はスプライトオーバーによる効果を示す・・・図示する通り3枚のレイヤLA1?LA3で構成される画面を表示する・・・最前面に全レイヤを重ねた画面PICを示した」との記載及び図8の図示内容から、刊行物3には、次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

「“魚が表示されるレイヤLA3”を、表示装置の全体に、“始動記憶が表示される最背面のレイヤLA1”上に重ね合わせて表示させ、始動記憶が表示される際に、表示装置の全体に表示された“魚が表示されるレイヤLA3”における魚のスプライトが、“始動記憶が表示される最背面のレイヤLA1”における始動記憶に被らないように、“魚が表示されるレイヤLA3”における“始動記憶が表示される最背面のレイヤLA1”の始動記憶が表示される部分と重なる部分を透明化する描画制御部を備える遊技機。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを、分説に従って対比する。

(a)引用発明における「可変表示装置310」は、「複数の識別情報を可変表示可能であり、多種多様な画像を表示可能」であり、当該「多種多様な画像」は、本願補正発明における『遊技の演出にかかる画像』に相当するから、引用発明における「可変表示装置310」は、本願補正発明における『画像表示手段』に相当する。
したがって、引用発明における構成aは、本願補正発明における『遊技の演出にかかる画像を表示する画像表示手段』に相当する。

(b)引用発明における「表示遊技が開始すると」「変動させ」る「識別情報」は、本願補正発明における『遊技に関する情報を提示する画像である情報提示画像』に相当するから、引用発明における「可変表示装置310の制御を行う表示器制御基板300」は、本願補正発明における『情報提示画像表示制御手段』の機能を有する。
したがって、引用発明における構成bは、本願補正発明における『遊技に関する情報を提示する画像である情報提示画像を前記画像表示手段に表示させる情報提示画像表示制御手段』に相当する。

(c)引用発明における「隠蔽図柄1310」は、「識別情報の表示部を含む画面上を覆うように」「出現」し、「背後の識別情報を見ることができない不透明な状態から、最終的には透明になって背後の識別情報1304が現れる」ようにすることによって、「背後に隠れている識別情報が見えそうになったり、全く見えなくなったりして状況が変化し、遊技者に新鮮な意外性を与えて興味を引き付ける」(【0163】)から、本願発明における『遊技の演出のための演出画像』に相当する。また、引用発明における「識別情報の表示部を含む画面」は、本願補正発明における『前記情報提示画像表示制御手段により前記情報提示画像が表示される画面』に相当する。そうすると、引用発明における「隠蔽図柄1310」が、「可変表示装置310」において、「識別情報の表示部を含む画面上を覆うように」「出現」することは、本願発明における『遊技の演出のための演出画像』が、『前記画像表示手段』において、『前記情報提示画像表示制御手段により前記情報提示画像が表示される画面』上に『重ねて表示させ』ることに相当する。
そして、引用発明における「識別情報の表示部を含む画面上を覆うように」「出現」した「隠蔽図柄1310」が、「最終的には透明になって背後の識別情報1304が現れる」ことは、本願補正発明における『当該画像表示手段に表示された当該演出画像』が、『当該情報提示画像に被らないように、当該演出画像における当該情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化する』ことに相当する。
また、引用発明における「隠蔽図柄1310」が、「最終的には透明にな」ることによって「背後の識別情報1304が現れる」のであるから、引用発明における「表示器制御基板300」が、「隠蔽図柄1310」が「最終的には透明になって背後の識別情報1304が現れるように可変表示装置310の制御を行う」ことは、本願補正発明における『演出表示制御手段』が、『当該画面に当該情報提示画像が表示される際に』、『当該画像表示手段に表示された当該演出画像が当該情報提示画像に被らないように、当該演出画像における当該情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化する』ことに相当する。
したがって、引用発明における構成cは、本願補正発明における構成Cと『遊技の演出のための演出画像を、前記画像表示手段』『に、前記情報提示画像表示制御手段により前記情報提示画像が表示される画面上に重ねて表示させ、当該画面に当該情報提示画像が表示される際に、当該画像表示手段に表示された当該演出画像が当該情報提示画像に被らないように、当該演出画像における当該情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化する演出表示制御手段』の点で共通する。

上記(a)?(c)の対比から、本願補正発明と引用発明とは、
[一致点]
「A 遊技の演出にかかる画像を表示する画像表示手段と、
B 遊技に関する情報を提示する画像である情報提示画像を前記画像表示手段に表示させる情報提示画像表示制御手段と、
C’遊技の演出のための演出画像を、前記画像表示手段に、前記情報提示画像表示制御手段により前記情報提示画像が表示される画面上に重ねて表示させ、当該画面に当該情報提示画像が表示される際に、当該画像表示手段に表示された当該演出画像が当該情報提示画像に被らないように、当該演出画像における当該情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化する演出表示制御手段と、を備えることを特徴とする、遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本願補正発明は、「遊技の演出のための演出画像」を「画像表示手段」の「全体」に「重ねて表示させ」るのに対し(構成C)、引用発明は、そのような特定を有しない点。

(4)判断1
刊行物2には、上記「第2の3」の「(2)イ(エ)」に示したとおり、次の技術事項が記載されているといえる。
「遊技者に図柄の全体を見せたり、一部だけを見せたりする演出をおこなう遊技機において、遊技者の期待感や興奮を高める演出画像を、表示部の全体に重ねて表示させ、背面の図柄に対応する部分を透明化する点。」
そうすると、引用発明及び刊行物2に記載の技術事項は、画像表示手段に表示された演出画像の背後に隠れた遊技に関する情報を透明化により遊技者に見えるようにする演出を行う点で共通しており、演出画像を画像表示手段の全体に重ねて表示するか、一部に重ねて表示するかは、当業者が適宜に決定し得ることであるあから、引用発明に、刊行物2に記載の技術事項を採用し、「遊技の演出のための演出画像」を、「画像表示手段」の全体に「重ねて表示させ」ることで、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、本願補正発明が奏する効果も、引用発明及び刊行物2に記載の技術事項から当業者が予測し得る程度のものである。

(5)判断2
また、刊行物3には、上記「第2の3」の「(2)イ(オ)」に示したとおり、「引用発明3」が記載されているといえる。
「“魚が表示されるレイヤLA3”を、表示装置の全体に、“始動記憶が表示される最背面のレイヤLA1”上に重ね合わせて表示させ、始動記憶が表示される際に、表示装置の全体に表示された“魚が表示されるレイヤLA3”における魚のスプライトが、“始動記憶が表示される最背面のレイヤLA1”における始動記憶に被らないように、“魚が表示されるレイヤLA3”における“始動記憶が表示される最背面のレイヤLA1”の始動記憶が表示される部分と重なる部分を透明化する描画制御部を備える遊技機。」
ここで、本願補正発明と引用発明3とを対比すると、後者における「魚が表示されるレイヤLA3」は、前者における『遊技の演出のための演出画像』に相当し、後者における「始動記憶が表示される最背面のレイヤLA1」は、前者における『前記情報提示画像』に相当する(本願明細書の【0002】には、「情報提示画像」として「装飾図柄」、「保留数」などが例示されている。)から、引用発明3における「描画制御部」は、本願補正発明における『情報提示画像表示制御手段』及び『演出表示制御手段』と同様の機能を備えている。
そうすると、本願補正発明と引用発明3とに相違する点はない。
したがって、本願補正発明は、刊行物3に記載された発明である。

(6)請求人の主張について
なお、請求人は、平成28年11月21日付け上申書の「2(1)(2)」において、次のとおり主張をしている。
「しかしながら、引用文献2(上記刊行物2に相当)の発明は、情報提示画像をわざと見えなくすることで遊技者の興味を引き付けるべく、情報提示画像を隠蔽画像で隠し、その後、情報提示画像が見えるように隠蔽画像における情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化する、というものであり、“画像表示手段の全体に表示された演出画像が情報提示画像に被らないように、演出画像における情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化する”というものでない。
ここで、引用文献2の「隠蔽画像」は、情報提示画像が表示されるとその表示位置に対応する部分を透明化することを予定して、情報提示画像をわざと隠すことで遊技者の興味を引き付けるものであるので、情報提示画像が表示されるとその表示位置に対応する部分を透明化することは自然な流れである。一方、本願発明の「演出画像」は、【0017】の「キャラクタの登場やアイテムの出現による演出画像」のように、情報提示画像を隠蔽するための画像ではなく、情報提示画像とは関係ないとも言える演出画像であるので、画像表示手段の全体に表示されたこのような演出画像が情報提示画像に被らないように、演出画像における情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化することは、自然には出て来ない極めて特異な思想である。
従って、本願発明は、引用文献1、2の発明から容易になし得たものではない。」
これについて検討する。
まず、『本願発明の「演出画像」は、【0017】の「キャラクタの登場やアイテムの出現による演出画像」のように、情報提示画像を隠蔽するための画像ではなく、情報提示画像とは関係ないとも言える演出画像である』との主張について、引用文献2の段落【0062】には、「表示部104は、リール203の動作・・・に連動した画像を表示する。このように、表示部104における画像の表示動作とリール203の動作とを連動することによって、遊技機がなす演出の演出効果を高めることができる。」と記載されており、引用文献2に記載の「隠蔽画像」もリール203の動作とを連動することによって「遊技機がなす演出の演出効果を高めること」に資するものであるから、本願補正発明におけるのと同様、「遊技の演出のための演出画像」に相当するといわざるを得ず、さらに、引用文献2の段落【0076】には、「表示制御部504は、・・・画像表示画面を覆う幕が引っ掻かれて剥がされたような画像を表示することにより、画像表示画面の所定の領域のみの透過率を制御する・・・このとき、画像表示画面に表示されている画像の内容を遊技者が理解し易いように、画像表示画面を覆う幕が引っ掻くキャラクターの画像をあわせて表示する」と記載されているとおり、請求人が本願補正発明における「演出画像」として想定しているのと同様、「キャラクタ」を登場させることも記載されている。そして、引用文献2の段落【0101】、【0102】、【0103】には、それぞれ、「隠蔽画像」を用いた演出によって、「大当たりの出目が揃うまでの遊技者の期待感や興奮を高めることができる」、「遊技者に対して、既に出目が決定しているリール203を、画像表示画面を剥がしながら覗き込ませるような感覚を与える演出をおこなうことができる」、「大当たりかどうかを・・・大当たりかどうかが確定するまでの間、遊技者の期待感を高めることができる」という「演出画像」としての効果を奏することが記載されている。
したがって、引用文献2に記載の「情報提示画像を隠蔽するための画像」が、本願補正発明における「演出画像」に該当しないとの主張は採用できない。
次に、上記主張における『引用文献2の報提示画像・・・の表示位置に対応する部分を・・・わざと隠すことで遊技者の興味を引き付けるものであるので、情報提示画像が表示されるとその表示位置に対応する部分を透明化することは自然な流れである』との部分は、上記「判断1」の容易想到との判断が誤りであることを指摘するのではなく、むしろ、引用文献2の「隠蔽画像」の性質からは「情報提示画像が表示されるとその表示位置に対応する部分を透明化することは自然」とするものであるから、上記「判断1」の容易想到との判断が誤りとする主張は採用できない。
そして、本願補正発明における「遊技の演出のための演出画像」が、「キャラクタの登場やアイテムの出現による演出画像」のようなものに限定して解釈したとしても、上記のとおり、刊行物2の段落【0076】には、「キャラクターの画像」を表示することが記載されており、また、上記引用発明3は、キャラクタに相当する「魚」を表示するものである。
以上から、刊行物2及び刊行物3には、“画像表示手段の全体に表示された演出画像が、遊技に関する情報提示手段に被らないように、演出画像における遊技に関する情報の表示位置に対応する部分を透明化する”構成が記載され、“画像表示手段の全体に表示された演出画像によって遊技に関する情報が見えなくなるのを防止することができる”という本願補正発明が奏するのと同様の効果を奏するから、上申書における上記主張を採用することができない。

また、請求人は、平成28年11月21日付け上申書の「2(3)」において、次の補正を行う用意があるとも言及している(下線は当審で付した。。)
「【請求項1】
遊技の演出にかかる画像を表示する画像表示手段と、
遊技に関する情報を提示する画像である情報提示画像を前記画像表示手段に表示させる
情報提示画像表示制御手段と、
遊技の演出のための演出画像を、前記画像表示手段の全体に、前記情報提示画像表示制御手段により前記情報提示画像が表示される画面上に重ねて表示させ、当該画面に当該情報提示画像が表示される際に、当該画像表示手段の全体に表示された当該演出画像が当該情報提示画像に被らないように、当該演出画像における当該情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化し、当該演出画像における当該情報提示画像の表示位置に対応しない部分を透明化しない演出表示制御手段と、
を備えることを特徴とする、遊技機。」
しかしながら、上記下線に係る点について、刊行物2に記載の技術事項も引用発明3も、演出画像の一部だけを透明化することにかかわるから、上記補正を行ったとしても進歩性は肯定されない。

(7)まとめ
上記(4)で検討したとおり、本願補正発明は、引用発明及び刊行物2に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
また、上記(5)で検討したとおり、本願補正発明は、刊行物3に記載されているから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成27年1月28日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2の1」に、本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

1 刊行物1
原査定の拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物1の記載事項及び引用発明の認定については、上記「第2の3」の「(2)ア」に記載したとおりである。

2 対比・判断
本願発明は、上記「第2の2」で補正の適否について検討したとおり、本願補正発明における「遊技の演出のための演出画像を、前記画像表示手段の全体に、前記情報提示画像表示制御手段により前記情報提示画像が表示される画面上に重ねて表示させ、当該画面に当該情報提示画像が表示される際に、当該画像表示手段の全体に表示された当該演出画像が当該情報提示画像に被らないように、当該演出画像における当該情報提示画像の表示位置に対応する部分を透明化する演出表示制御手段」から、下線に係る限定を省いたものである。
そうすると、本願発明は、上記「第2の3(3)」で示した本願補正発明と引用発明との[一致点]として示したとおりのものとなるから、本願発明は、引用発明と同一のものとなる。
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明である。

3 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-18 
結審通知日 2017-05-23 
審決日 2017-06-05 
出願番号 特願2013-111914(P2013-111914)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤脇 昌也  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 長井 真一
萩田 裕介
発明の名称 遊技機  
代理人 尾形 文雄  
代理人 古部 次郎  
代理人 伊與田 幸穂  
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