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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1330833
審判番号 不服2016-13067  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-31 
確定日 2017-08-22 
事件の表示 特願2015- 1476「半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月23日出願公開、特開2015- 79993、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年6月9日(国内優先権主張 平成22年6月11日)の出願である特願2011-129064号の一部を、平成27年1月7日に新たな出願としたものであって、同年1月13日付で審査請求がなされ、平成28年2月4日付で拒絶理由通知が通知され、同年2月15日付で意見書が提出されるとともに、同日付で手続補正がなされたが、同年5月31日付で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされたものである。
これに対して、平成28年8月31日付けで審判請求がなされ、当審において平成29年4月17日付で拒絶理由が通知され、同年5月26日付で意見書が提出されるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願に記載された発明は、平成29年5月26日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(以下、請求項1および2に係る発明を、それぞれ「本願発明1」および「本願発明2」という。)。
「【請求項1】
絶縁表面上の、第1のゲート電極と、第2のゲート電極と、
前記第1のゲート電極上、及び前記第2のゲート電極上の、ゲート絶縁層と、
前記第1のゲート電極と重なる領域を有する、第1の酸化物半導体層と、
前記第2のゲート電極と重なる領域を有する、第2の酸化物半導体層と、
前記第1の酸化物半導体層と電気的に接続された、第1のソース電極と、
前記第1の酸化物半導体層と電気的に接続された、第1のドレイン電極と、
前記第2の酸化物半導体層と電気的に接続された、第2のソース電極と、
前記第2の酸化物半導体層と電気的に接続された、第2のドレイン電極と、
前記第1の酸化物半導体層と接する領域を有する、第1の絶縁層と、
前記第2の酸化物半導体層と接する領域を有する、第2の絶縁層と、を有し、
前記第1の絶縁層は、前記第2の絶縁層よりも、吸水性が高く、
前記第1のソース電極又は前記第1のドレイン電極の一方は、出力端子と電気的に接続され、
前記第2のソース電極又は前記第2のドレイン電極の一方は、前記出力端子と電気的に接続されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の絶縁層は、前記第2の酸化物半導体層と重なる領域を有することを特徴とする半導体装置。」

第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
原査定の理由の概要は、次のとおりである。
「この出願については、平成28年 2月 4日付け拒絶理由通知書に記載した理由1によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

備考

●理由1(特許法第29条第2項)について

・請求項 1-3
・引用文献等 1-5

出願人は、平成28年2月15日付けの意見書において、
「さらには、引用文献1に記載された発明において、ガスのセンシングのためには、無機半導体層がガスに曝露されることが必要とされます。仮に、無機半導体層を覆って保護層を形成すると、無機半導体層と雰囲気ガスとが接しなくなるため、引用文献1が機能しなくなります。従いまして、そのような適用には阻害要因すら存在するため、当業者があえて試みることはあり得ないものと思料します。」
と、主張している。
出願人の主張について検討する。
引用文献3は、コンデンサの電極間の誘電体に水分子が吸収されることによりセンシングをするセンサであるが、図6のようにその上に「ポリイミドの保護コーティング」を設けても、電極間の誘電体にセンシング対象である水分子が浸透することが記載されている(第8頁右上欄)。
また、引用文献5には、センシング対象である放射線に対して透過性があり、空気等の不純物の侵入を防止する保護層を設けることが記載されている(第9頁)。
引用文献3、5のように、センシング対象以外の不所望の外的要因を排除するために、センサである引用文献1の酸化物半導体層上を保護膜で覆う構成とすることは、当業者が容易になし得たことであり、阻害要因があるとは認められない。
また、そのような保護膜の形成位置は当業者が適宜選択できることであり、本願の補正後の請求項3のように、センシング動作をしないような素子上にも有する構成とすることに、当業者にとって特別な困難性は認められない。
その余の点は、前記拒絶理由通知書に記載のとおりである。
よって、請求項1-3に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2-5に記載された技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであるから、依然として、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2006/0231882号明細書
2.特開昭54-080197号公報
3.特開昭63-261178号公報
4.特開昭62-237347号公報
5.特表2000-516395号公報」

2 原査定の拒絶理由通知の概要
平成28年2月4日付け拒絶理由通知書の概要は、次のとおりである。
「1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(進歩性)について

・請求項 1、2
・引用文献等 1-5
・備考
引用文献1(全文全図、特に図2)には、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、酸化物半導体層と、ソース電極と、ドレイン電極とからなる薄膜トランジスタが記載されており、雰囲気によって当該薄膜トランジスタの特性が変わり、センサとして用いることができると記載されている(段落[0019]-段落[0024])。
引用文献1には具体的なセンシング態様は記載されていないが、センシングに際して、引用文献2(図2)、引用文献3(第8頁、図6、図7)、引用文献4(図4)に記載されているように、センシング素子と比較用の素子とを用いたセンシング態様とすることは、当業者が容易になし得たことである。
引用文献2には、比較用の素子のみを「絶縁被膜7」で覆うことが記載されている。
また、引用文献1のセンシング素子を保護膜で覆うことは、引用文献3(図6)、引用文献5(第9頁、図1)に記載されているように当業者が容易になし得たことであり、引用文献3には当該保護膜をポリイミドから形成することが、引用文献5には当該保護膜と薄膜トランジスタとを接する構造とすることが記載されているため、このような構成とすることにも当業者にとって特別な困難性は認めれない。
そして、引用文献4(図4)のようにセンシング素子と比較用の素子とを出力端子に接続するようなセンシング態様とすることも、引用文献1において当業者が適宜行えることである。

<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2006/0231882号明細書
2.特開昭54-080197号公報
3.特開昭63-261178号公報
4.特開昭62-237347号公報
5.特表2000-516395号公報」

第4 当審の拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
平成29年4月17日付で当審より通知した拒絶理由の概要は、次のとおりである。
「この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



<引用文献等一覧>
引用例1:国際公開第2010/061656号
引用例2:特開2010-16072号公報

請求項2
引用例:1,2
備考
引用例1に
「【0059】
ここで、各スイッチ素子SWiは、液晶パネルのガラス基板上に形成され微結晶シリコン(μc-Si)やアモルファスシリコン(a-Si)、または酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物半導体などの半導体層を有する周知の構成の薄膜トランジスタ(TFT)により構成され、図4に示すように、同一組となった6つのスイッチ素子SW(3j-2)a,SW(3j-2)b,SW(3j-1)a,SW(3j-1)b,SW3ja,SW3bは、切換制御信号GS1a?GS3bに応じてオン・オフするように構成されている(j=1,2,3,…)。また、スイッチ素子SW(3j-2)aおよびSW(3j-2)bと、SW(3j-1)aおよびSW(3j-1)bと、SW3jaおよびSW3bとは、それぞれ2つが1対をなして並列に接続されており、2つのうちのいずれかがオンされることによりその両端が導通する。このように、図4に示す各組の6つのスイッチ素子は、3対の切換スイッチを構成し、典型的には液晶パネル上に実装されるLSIチップ内に形成される映像信号線駆動回路300における(LSIチップからの)各出力端子TSjをその出力端子に対応する映像信号線群内の3本の映像信号線に時分割的に接続する。」
と記載されているように、引用例1には、
「酸化物半導体層を有する複数の薄膜トランジスタにより構成されたスイッチ素子が、映像信号線駆動回路における出力端子TSjをその出力端子に対応する映像信号線群内の映像信号線に時分割に接続する、液晶パネル。」
の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されている。

そうすると、請求項2に記載された発明と引用例1発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。

[相違点1]
請求項2に記載された発明のトランジスタは、半導体層を酸化物半導体で構成したボトムゲート型のトランジスタであるのに対して、引用例1発明のトランジスタは、半導体層が酸化物半導体で構成されていることは記載されているものの、具体的な構成が記載されていない点。
[相違点2]
請求項2に記載された発明は、第1の絶縁層がポリイミドを有しているのに対して、引用例1発明はポリイミドについて記載されていない点。

以下、各相違点について検討する。

[相違点1]について
引用例2図1に記載されているように、酸化物半導体ボトムゲートTFTは公知の構成であり、引用例1発明のトランジスタに該公知の構成を採用することは、当業者が容易に想起する事項である。
[相違点2]について
引用例2図1に記載されている酸化物半導体ボトムゲートTFTは、ポリイミド保護膜106が、半導体層104と接する領域を有している。
引用例1発明において、酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタとして、引用例2に記載された公知技術を採用した際に、酸化物半導体層と接する領域を有する絶縁層を備えるようにし、また、絶縁層をポリイミドとすることは、当業者が適宜為し得た事項である。

請求項3
引用例:1,2
備考
保護膜を複数のトランジスタで共有することは周知の技術であるから、引用例1発明に引用例2記載の公知技術を採用した際に、第1のトランジスタのポリイミドからなる絶縁層が、第2のトランジスタの酸化物半導体層と重なる領域を有するようにすることは、当業者が容易に為し得た事項である。

請求項1ないし請求項1を引用する請求項3に係る発明については、現時点では、拒絶の理由を発見しない。」

第5 引用文献について
1 引用例1について
(1) 引用例1の記載
原査定の理由に引用された、米国特許出願公開第2006/0231882号明細書(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。(なお、下線は、当審において付与した。以下、同じ。)
ア 「[0021] The semiconductor layer can act as both an active channel and sensing material. The ZnO is n-type transparent oxide semiconductor. When different gases, such as combustible gases, or permanent gases, are exposed to these semiconductor materials, the transistor performance changes depending on the gas, temperature, semiconductor layer, and the catalyst metal used. Moreover, thin catalyst metals can be deposited on top of the organic/inorganic semiconductor layers to increase surface activity with care taken to insure that no conductive pathway is provided via the catalyst metal particles.
[0022] The invention provides an accurate and sustainable way to produce viable CMOS circuits utilizing p-type and n-type TFT materials.
[0023] FIGS. 3A-3B illustrates an embodiment of the invention wherein a p-type and n-type TFT structures 50, 52 are formed in accordance with the invention. In particular, FIG. 3A shows a p-type TFT structure 50 that includes a source 54 and drain 56 that are formed on an active p-channel 58. The active p-channel 58 is formed on a gate oxide 60 a portion of which covers a gate metal 62. Both the gate oxide 60 and the gate metal 62 are formed on a substrate 64. The active p-channel 58 can include pentacene, conjugated polymer such as poly-3-alkykthiophene, poly-3-hexylthiophene (P3HT), poly-thienlylene vinylene or tetracene. The gate oxide 60 can include high-K BZN, Mn/Ni doped (Ba,Sr)TiO_(3) (BST), hybrid structures-Mn/Ni doped BST/BZN or the like. The substrate 64 can include any kind of plastic substrate such as polyimide, PEN, PET, polycarbonate fabrics, Si substrate, glass substrate or the like.
[0024] FIG. 3B shows an n-type TFT 52 that includes a source 66 and drain 68 that are formed on an active n-channel 70. The active n-channel 70 is formed on a gate oxide 72, a portion of which covers a gate metal 74. Both the gate oxide 72 and the gate 74 metal are formed on a substrate 76. The active n-channel 70 can include ZnO, In_(1-x)Ga_(x)ZnO (IGZO), SnO_(2), or the like. The gate oxide 72 can include high-K BZN, Mn/Ni doped (Ba,Sr)TiO_(3), hybrid structures-Mn/Ni doped BST/BZN or the like. The substrate 76 can include any kind of plastic substrate such as polyimide, PEN, PET, polycarbonate fabrics, Si substrate, glass substrate or the like. 」
(当審訳:[0021] 半導体層は、活性チャネル及び検知用材料の両方として機能することができる。ZnOは、n型透明酸化物半導体である。可燃性ガス、又は永久ガスなどの異なるガスが、これらの半導体材料に曝されると、トランジスタの性能は、ガス、温度、半導体層、および使用される触媒金属に依存して変化する。薄い触媒金属を、有機/無機半導体層の上部に堆積させて、導電性経路は、触媒金属粒子を介して設けられていないように注意して、界面活性能を高めることができる。
[0022] 本発明はp型およびn型TFT材料を利用して実行可能なCMOS回路を製造する正確かつ持続可能な方法を提供する。
[0023] 図3A-3Bは、本発明によるp型およびn型TFT構造50,52が形成された、本発明の実施形態を示す図である。具体的には、図3Aは、活性pチャネル58上にソース54およびドレイン56が形成されたp型TFT構造50を示している。活性pチャネル58はその一部が、ゲート金属62を覆っているゲート酸化膜60上に形成されている。ゲート酸化膜60およびゲート金属62の両方は、基板64上に形成されている。活性pチャネル58は、ペンタセンや、ポリ-3-アルキクチオフェン、ポリ-3-ヘキシルチオフェン(P3HT)、ポリチエニレンビニレンまたはテトラセンなどの共役ポリマーを含むことができる。ゲート酸化膜60は、高誘電率BZN、mn/niドープ(Ba,Sr)TiO3(BST)、複合体-mn/niドープBST/BZN等を含むことができる。基板64は、例えばポリイミド、PEN、PET、ポリカーボネート、Si基板やガラス基板等のようなプラスチック基板のいずれかを含むことができる。
[0024] 図3Bは、活性nチャネル70上に形成されたソース66と、ドレイン68とを含むn型TFT52を示している。活性nチャネル70はその一部が、ゲート金属74を覆っているゲート酸化膜72上に形成されている。ゲート酸化膜72及びゲート74金属の両方は、基板76上に形成されている。活性nチャネル70は、ZnO、In_(1-x) Ga _(x) ZnO(IGZO)、SnO_(2)等を含むことができる。ゲート酸化膜72は、高誘電率BZN、Mn/Niドープ(Ba,Sr)TiO3、複合体-Mn/NiドープBST/BZN等を含むことができる。基板76は、例えばポリイミド、PEN、PET、ポリカーボネート、Si基板やガラス基板等を含むことができる任意の種類のプラスチック基板である。 )
イ 引用例1発明について
上記(1)およびFIG.3Bの記載から、引用例1には、実質的に次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されているものと認められる。
「n型TFT52であって、
基板76上にゲート金属74を有し、
ゲート金属74を覆ってゲート酸化膜72を形成し、
ゲート酸化膜72上にZnOを含むことができる活性nチャネル70を形成し、
活性nチャネル70上にソース66およびドレイン68を形成し、
ZnOは、可燃性ガス、又は永久ガスなどの異なるガスに曝されると、トランジスタの性能が変化することを特徴とする
n型TFT52。」
2 引用例2について
(1) 引用例2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された、特開昭54-80197号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。
ア 「実施例1
第1図は湿度検出に用いるMOS型トランジスタの断面図である。図中の1はシリコン基板、2はシリコン基板1と反対の導電型の拡散層、3はフィールド酸化膜、4はゲート酸化膜、5は二三酸化鉄(ヘマタイト)ゲート電極、6はクロム・金で形成されたソースとドレイン間の引き出し配線である。S、G、Dはそれぞれソース、ゲート、ドレインを意味する。なお本来の意味でのMOSトランジスタは金属ゲートであるが本願では広く酸化物ゲートに対してもMOSトランジスタと称し、ゲート物質を自由に選ぶことができる。
第1図のMOS型湿度センサの原理は湿度=水分子の存主によって二三酸化鉄電極5中に水分が侵入すると、二三酸化鉄とゲート配化膜界面に分極層を形成し、二三酸化鉄とシリコン基板との仕事関数が変化するためしきい値がずれることにより、このしきい値変化を検出するものである。
しかしMOS型トランジスタは、製造時においてそのしきい値を個々の部品で一定とすることは極めて困難であり、実際にはバラツキが大きいためにこの従来方法で湿度を検出することはむつかしい。
そこで本願では上記構造のMOSセンサの欠点を改良するため第2図に示すように、同一基板上に二つのMOS型トランジスタを形成し、一方は湿度検出用、他方はしきい値電圧変化検出用に用いる湿度センサを製作した。
第2図の1?6は第1図における記号と同じであり、大きな特徴は同一基板に二素子を同時形成し片方のトランジスタ表面をCVD-SiO_(2)やPSG、或いは他の絶縁被膜で被うことによりトランジスタの信頼性を上げる所にある。
図中の(A)は湿度検出用トランジスタであり、(B)はしきい値検出を検出するためのダミートランジスタであり、湿度検出の補償を行なうことにより高信頼性の湿度センサを得ることができるものである。」(第2頁左上欄2行乃至右上欄19行)
(2) 引用例2の記載事項
上記(1)および第2図の記載から、引用例2には、実質的に次の事項(以下、「引用例2記載」という。)が記載されているものと認められる。
「湿度センサであって、
シリコン基板にシリコン基板と反対の導電型の拡散層を設け、シリコン基板上にフィールド酸化膜およびゲート酸化膜を設け、ゲート酸化膜上に二三酸化鉄(ヘマタイト)ゲート電極を設けたMOSトランジスタを同一基板上に二つ設け、
一方のMOSトランジスタを湿度検出用トランジスタとし、
他方のMOSトランジスタの表面を絶縁性被膜で覆い、湿度検出の補償を行うダミートランジスタとする、
湿度センサ。」
3 引用例3について
(1)引用例3の記載
原査定の拒絶の理由に引用された、特開昭63-261178号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。
ア 「3.発明の詳細な説明
(産業上の利用分野)
この発明は、可変コンデンサの静電容量(キャパシタンス)を測定する方法と装置、及び相対湿度によって静電容量が変化する容量型センサを用いて相対湿度を測定する方法と装置に関する。またこの発明は、測定すべき変数の大きさと静電容量が関連している容量型センサを用いてその他の変数を測定する方法と装置に関する。」(第3頁左下欄1行乃至9行)
イ 「前述したように、可変コンデンサが容量型湿度センサである場合は、測定回路網内の全てのコンデンサを同一基板上に設け、それらのコンデンサを同一の極板面積及び同一の誘電率で構成するのが望ましい。極板の面積はフォトリソグラフィで慎重に制御できるが、誘電体の厚さ従って誘電率は容易に制御できない。しかし、回路網内の全てのコンデンサについて同一の物質を用いる周知の技術によれば、0.1%以内に整合可能である。尚、コンデンサC_(0)とC_(r)は湿気から完全に密封するよう注意しなければならないが、C_(x)は湿気の変化に対する迅速な応答を得るため、湿気を素早く誘電体へと浸透可能でなければならない。
コンデンサC_(x)は、周知の集積回路技術を用いて、第6図に示すように構成し得る。この構造では、n形シリコンがコンデンサの一方の極板を形成するP+拡散領域を有する。この極板は、フィールド酸化物によって限定されたポリイミド誘電体で覆われている。誘電体上には、コンデンサの第2の極板としてアルミ箔が被着されている。このアルミ箔は、それを覆っているポリイミドの保護コーティングを浸透した後、水分子が周囲の雰囲気から前誘電体へ浸透可能とするように充分に薄くする。
コンデンサC_(0)とC_(r)は第7図に示すように構成でき、第2の電極が第6図に示した薄いアルミ箔に代わる厚いアルミ極板で構成されている。これらのコンデンサは周囲雰囲気の湿度の変化に感応してはならないので、厚いアルミ極板はこれらコンデンサの誘電体へ水分子が浸透するのを防ぐように形成される。第6図に示したポリイミドの保護コーティングは、頂部の極板を汚染から保護する必要がないため省略できる。」(第8頁左上欄9行乃至左下欄1行)
(2)引用例3の記載事項
上記(1)の記載から、引用例3には、実質的に次の事項(以下、「引用例3記載」という。)が記載されているものと認められる。
「相対湿度によって静電容量が変化する容量型センサを用いて相対湿度を測定する装置であって、
測定回路網内の全てのコンデンサを同一基板上に設け、
コンデンサC_(x)は、
n型シリコンがコンデンサの一方の極板を形成するP+拡散領域を有し、
この極板をポリイミド誘電体で覆い、
誘電体上にコンデンサの第2の極板として、自身を覆うポリイミドの保護コーティングを浸透した水分子が誘電体へ浸透可能とするように十分に薄いアルミ箔を被着し、
コンデンサC_(0)とC_(r)は、
n型シリコンがコンデンサの一方の極板を形成するP+拡散領域を有し、
この極板をポリイミド誘電体で覆い、
誘電体上にコンデンサの第2の極板として、誘電体へ水分子が浸透するのを防ぐように形成された厚いアルミ極板を被着する
装置。」
4 引用例4について
(1)引用例4の記載
原査定の拒絶の理由に引用された、特開昭62-237347号公報(以下、「引用例4」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。
ア 「第3図に本発明のFET型ガスセンサーと補償素子とを一体に製造した補償素子付FET型ガスセンサーの垂直方向の断面図を示した。
FET型ガスセンサー(FET1)と補償素子(FET2)とは1枚のp-型Si基板等の半導体3の上に作製されている。ここでFET1のドレイン2及びFET2のドレイン2′は、FET1とFET2に共通のソース1と半導体3を介して接続されており、FET1の半導体3上には電気絶縁体4,固体イオン伝導体6及びVIII族金属7がこの順に積層されており、FET2の半導体3上には、電気絶縁体4,固体イオン伝導体6及び還元性ガスに感応しない金属8がこの順に積層されている。また、FET1及びFET2のソース及びドレインは電気絶縁体上に積層された端子用金属9と電気的に接続されている。
この様に作製した補償素子付FET型ガスセンサーの等価回路を第4図に示した。図中、点線で囲まれた部分が、補償素子付FET型ガスセンサーである。第4図に於いて、FET1及びFET2のドレイン端子12及び22は、それぞれ抵抗16及び26を介して定電圧源18に接続され、FET1及びFET2に共通なソース端子11は、定電流源19を介して定電圧源18に接続され、さらに、ソース端子11は、定電流源19及び定電圧源17,27を介してFET1及びFET2のゲート端子15及び25に夫々接続されている。このような回路とすることによって差動増幅器が形成され、FET1の出力端子30,31からの出力を測定すれば、湿度等による影響がキャンセルされた還元性ガスのみによる電圧変化がドレイン電圧として観測される。」(第4頁右上欄20行乃至右下欄14行)
(2) 引用例4の記載事項
上記(1)の記載から、引用例4には、実質的に次の事項(以下、「引用例4記載」という。)が記載されているものと認められる。
「FET型ガスセンサーと補償素子とを一体に製造した補償素子付FET型ガスセンサーであって、
FET型ガスセンサー(FET1)と補償素子(FET2)とは1枚のp-型Si基板等の半導体3の上に作製され、
FET1のドレイン2及びFET2のドレイン2′は、FET1とFET2に共通のソース1と半導体3を介して接続され、
FET1の半導体3上には電気絶縁体4,固体イオン伝導体6及びVIII族金属7がこの順に積層され、
FET2の半導体3上には、電気絶縁体4,固体イオン伝導体6及び還元性ガスに感応しない金属8がこの順に積層され、
FET1及びFET2のソース及びドレインは電気絶縁体上に積層された端子用金属9と電気的に接続されている、
補償素子付FET型ガスセンサー。」
5 引用例5について
(1) 引用例5の記載
原査定の拒絶の理由に引用された、特表2000-516395号公報(以下、「引用例5」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。
ア 「本発明の構成によれば、所定の期間にわたってある物体を照射する電離放射線の総量を決定する方法が提供される。該方法は、前記期間中に該物体の付近の少なくとも一つの位置に、それぞれ少なくとも一つの有機半導体素材を含む活性層を有する電界効果トランジスタを設ける段階であって、その単数または複数の電界効果トランジスタの電気的特性が該有機半導体素材を照射する電離放射線の総量に依存していることを特徴とする段階と、その単数または複数の電界効果トランジスタの所定の電気的特性を測定する段階と、前記の電気的特性の測定値から該期間中に前記のそれぞれの位置で該物体を照射する電離放射線の総量を決定する段階とから構成される。」(第6頁28行乃至第7頁8行)
イ 「図1を詳細に参照すると、電界効果トランジスタ(1)は、トランジスタ(1)のゲート層を形成しているとともに、深さ500nm以上にわたって10^(19)cm^(-3)以上のドーパント密度を有している大量にNドープを施された層(3)を設けるようにNタイプのシリコンウェーハ(2)にドープするという方法によってつくられている。次いで、該ゲート層(3)の表面を熱により酸化させ、厚さ150nmのSiO_(2)絶縁層(4)を設ける。接触リソグラフィーにより、ソース電極(5)とドレイン電極(6)をインターディジタル構造につくる(図2に詳細に示されているように)。その際には、先ずクロムを30nmの厚さになるまで堆積させてから、金を50nmの厚さになるまで堆積させる。インターディジタル構造に配置された電極(5,6)には、3mm×3mmの活性領域があり、電極の離隔間距離は10ミクロン、電極の幅は10ミクロン、チャネル幅は約45cmである。各電極(5,6)には接点パッドを取り付ける。
複合ポリマーの層は、以下のようにしてつくられる。「複合ポリマー」とは、少なくともポリマー骨格部に沿って非局在化されたπ電子系を持っているポリマーを意味する。すなわち、非局在化されたπ電子系は、該ポリマーに半導性を与え、ポリマー鎖沿いに高い運動性を備えた正電荷または負電荷のキャリヤを支持する能力を付与する。
ポリ塩化(p-キシレン-α-テトラヒドロチオフェン)というポリマーをメタノールに溶かした溶液数滴を絶縁層(4)上に載せて、基板を高速でスピンさせ、中実の薄膜をつくるという方法により、絶縁層(4)および分離したソース電極(5)とドレイン電極(6)の上に該ポリマーの膜を形成する。次いで、250℃の真空中で10時間加熱し、厚さ110nmの膜(7)をつくるという方法により、その膜を化学的にポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)に転換させる。次いで、該ポリマー膜(7)に厚さ50nmの不導膜(8)を形成し、空気の進入を防止するため該素子をカプセル化する。因みに、空気が入ると、複合ポリマー素材が劣化することが多い。当該技術分野に熟練を有する者なら気づくであろうが、カプセル化層(8)の厚さは、該ポリマー膜(7)の劣化を防止するに足る厚みを備えている一方で、検出しようとする放射線に対してほぼ透過性になるだけの薄さを備えていなければならない。しかし、適当な素材を選べば、カプセル化層(8)は、該カプセル化層(8)から出る二次放射線によってポリマー膜(7)内のエネルギー沈積を増大させることによって、かえってトランジスタ(1)の応答を増大させる可能性があると考えられている。同様にソース電極とドレイン電極も、二次放射線源として作用することによって、トランジスタの応答を増大させると考えられている。」(第11頁13行乃至第12頁17行)
(2)引用例5の記載事項
上記(1)の記載から、引用例5には、実質的に次の事項(以下、「引用例5記載」という。)が記載されているものと認められる。
「所定の期間にわたってある物体を照射する電離放射線の総量を決定する方法であって、
前記期間中に該物体の付近の少なくとも一つの位置に、それぞれ少なくとも一つの有機半導体素材を含む活性層を有する電界効果トランジスタを設け、
該電界効果トランジスタは、
Nタイプのシリコンウェーハ(2)に、10^(19)cm^(-3)以上のドーパント密度を有している大量にNドープを施されたゲート層(3)を設け、
該ゲート層(3)の表面を熱により酸化させSiO_(2)絶縁層(4)を設け、
ソース電極(5)とドレイン電極(6)をインターディジタル構造につくり、
絶縁層(4)および分離したソース電極(5)とドレイン電極(6)の上にポリマーの膜を形成し、
ポリマー膜(7)の空気による劣化を防止するに足る厚みを備えている一方で、検出しようとする放射線に対してほぼ透過性になるだけの薄さを備えたカプセル化層(8)を形成する、
方法。」
6 引用例6(当審の拒絶理由において引用例1として引用した文献)について
(1) 引用例6の記載
当審の拒絶の理由に引用された、国際公開2010/061656号(以下、「引用例6」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。
ア 「[0057] 図2において、各画素形成部Pxに付されている“R”“G”または“B”は、当該画素形成部Pxにより形成される画素の色である赤、緑、または青を表している。なお、これらの色は典型的な3原色であるが、その他の3原色であってもよい。また、一般に液晶表示装置では、液晶の劣化を抑えると共に表示品位を維持するために交流化駆動が行われており、本実施形態では、典型的な交流化駆動方式として、画素を形成する液晶層への印加電圧の正負極性を1走査信号線毎かつ1フレーム毎にも反転させるいわゆるライン反転駆動方式が採用されるものとする。また、このライン反転駆動方式に代えて、画素液晶への印加電圧の正負極性を1フレーム毎にのみ反転させる駆動方式であるフレーム反転駆動方式や、1走査信号線毎かつ1映像信号線毎に反転させる(さらに1フレーム毎にも反転させる)いわゆるドット反転駆動方式が採用されてもよい。
[0058] この液晶パネルには、上記のように、各映像信号線Lsを映像信号線駆動回路300に接続するための部分として、液晶パネル上の映像信号線Lsにそれぞれ対応するスイッチ素子SW1a,SW1b,SW2a,SW2b,SW3a,SW3b,…を含む接続切換回路501が形成されており(図2)、これらのスイッチ素子SW1a,SW1b,SW2a,SW2b,SW3a,SW3b,…は、隣接する6つを1組として複数組(映像信号線Lsの本数の1/6の数)のスイッチ素子群にグループ化されている。そしてこの1組に含まれる6つのスイッチ素子のうち、隣接する2つずつが1対となって同一の映像信号線に接続されている。すなわち、1対となるそれぞれのスイッチ素子SWia,SWib(i=1,2,3,…)の一端は、これらのスイッチ素子SWia,SWib(以下これらを「スイッチ素子SWi」とも総称する)に対応する同一の映像信号線Lsに接続され、他端は、そのスイッチ素子SWiと同一組に属するスイッチ素子の他端と互いに接続されると共に、映像信号線駆動回路300における1つの出力端子TSj(j=1,2,3,…)に接続されている。このようにして、液晶パネルにおける映像信号線Lsは3本を1グループとして複数の映像信号線群にグループ化され、各映像信号線群(同一グループとなった3本の映像信号線Ls)は、同一組となった6つのスイッチ素子を介して映像信号線駆動回路300における1つの出力端子TSjに接続される。このように映像信号線駆動回路300の出力端子TSjは、映像信号線群と1対1に対応付けられており、同一組となった6つのスイッチ素子を介して同一グループの映像信号線群(3本の映像信号線Ls)に接続される。
[0059] ここで、各スイッチ素子SWiは、液晶パネルのガラス基板上に形成され微結晶シリコン(μc-Si)やアモルファスシリコン(a-Si)、または酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物半導体などの半導体層を有する周知の構成の薄膜トランジスタ(TFT)により構成され、図4に示すように、同一組となった6つのスイッチ素子SW(3j-2)a,SW(3j-2)b,SW(3j-1)a,SW(3j-1)b,SW3ja,SW3bは、切換制御信号GS1a?GS3bに応じてオン・オフするように構成されている(j=1,2,3,…)。また、スイッチ素子SW(3j-2)aおよびSW(3j-2)bと、SW(3j-1)aおよびSW(3j-1)bと、SW3jaおよびSW3bとは、それぞれ2つが1対をなして並列に接続されており、2つのうちのいずれかがオンされることによりその両端が導通する。このように、図4に示す各組の6つのスイッチ素子は、3対の切換スイッチを構成し、典型的には液晶パネル上に実装されるLSIチップ内に形成される映像信号線駆動回路300における(LSIチップからの)各出力端子TSjをその出力端子に対応する映像信号線群内の3本の映像信号線に時分割的に接続する。」
イ 図4


(2) 引用例6発明について
ア 上記(1)ア[0059]の記載および上記(1)イ図4の記載から、スイッチ素子SW(3j-2)aおよびSW(3j-2)bは対をなし、それぞれのソースもしくはドレインに対応する端子が映像信号線駆動回路300における出力端子TSjに接続されていることがわかる。
イ してみると、上記(1)の記載から、引用例6には、実質的に次の発明(以下、「引用例6発明」という。)が記載されているものと認められる。
「酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物半導体からなる半導体層を有する薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたスイッチ素子を有する接続切換回路であって、
スイッチ素子は2つで対をなし、そのスイッチ素子のそれぞれのソースもしくはドレインに対応する端子は、映像信号線駆動回路における信号線に時分割に接続する、
接続切換回路。」
7 引用例7(当審の拒絶理由において引用例2として引用した文献)について
(1)引用例7の記載
当審の拒絶の理由に引用された、特開2010-16072号公報(以下、「引用例7」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。
ア 「【0021】
本発明は上記TFTを作製した後に、TFT素子を覆うように保護膜を形成することを特徴としている。
【0022】
本発明の実施形態のひとつとしては、複数の層に分かれた保護膜を形成する際に、チャネル層に直接触れる最内層保護膜として機能する防湿性有機物膜を配置するものである。
【0023】
保護膜の材料としては、ポリイミド系樹脂膜、エポキシ系樹脂膜、パラキシリレン系樹脂膜などを用いるのが望ましい。また、保護膜の成膜法としては塗布又は蒸着が望ましい。これらの膜は、成膜時にチャネル部にダメージを与えることがなく、耐水性、耐薬品性に優れた効果を発揮する。また、これより外側に配置されるスパッター法の保護膜の形成時におけるスパッターダメージを吸収する効果を有する。
【0024】
さらに、上記最内層保護膜よりも外側に位置する所には、Hラジカルを通さない無機膜が形成されている。無機膜は、構成材料として、Al又はTiの少なくとも1種を含む化合物、具体的には、Al、Ti、Al_(2)O_(3)、TiO_(2)等の無機化合物からなる保護膜である。無機膜は二層以上の層よりなる積層膜であってもよい。成膜法としてはスパッター法が望ましい。」
イ 「【実施例1】
【0046】
図1は、本発明の実施例1に係る酸化物半導体ボトムゲートTFTの構造を示す概略図である。図1中、101は基板、102はゲート電極、103はゲート絶縁膜、104は半導体層、105はソース・ドレイン電極、106はポリイミド保護膜、107はAl_(2)O_(3)保護膜をそれぞれ示す。
【0047】
実施例1では、図1に示すように、ガラス基板101上に、20nm厚さのTi膜でゲート電極102を配置した。SiO_(2)を40nm堆積しゲート絶縁膜103とした。InGaO_(3)(ZnO)組成を有する多結晶焼結体をターゲットとしてスパッターし、パターニングしたInGaZnO_(x)膜50nmを半導体層104とした。ソース・ドレイン電極105として、Ti/Au=5/30nmを配置した。
【0048】
このTFT上に、ポリイミドの保護膜106を1μm形成し、さらにAl_(2)O_(3)の保護膜107を200nm堆積した。
【0049】
このTFTの初期特性は、移動度が5.2cm^(2)/Vs、オンオフ比が約10^(6)であった。また、60℃、湿度70%の環境下に3時間放置してから測定しても、電気特性に変化はなかった。」
(2)引用例7の記載事項
上記(1)の記載から、引用例7には、実質的に次の事項(以下、「引用例7記載」という。)が記載されているものと認められる。
「ガラス基板上に、ゲート電極を配置し、SiO_(2)を堆積しゲート絶縁膜とし、InGaZnO_(x)膜からなる半導体層と、ソース・ドレイン電極、ポリイミド保護膜、Al_(2)O_(3)保護膜を有し、
ポリイミド保護膜は、耐水性、耐薬品性に優れた効果を発揮し、
Al_(2)O_(3)保護膜は、Hラジカルを通さない機能を有する
酸化物半導体ボトムゲートTFT。」

第6 原査定の理由についての当審の判断
1 本願発明1と引用例1発明の対比
(1)引用例1発明の「ゲート金属74」は、本願発明1の「第1のゲート電極」又は「第2のゲート電極」に対応する。
(2)引用例1発明の「ゲート酸化膜72」は「ゲート電極74」を覆っているから、本願発明1の「前記第1のゲート電極上、及び前記第2のゲート電極上の、ゲート絶縁層」と、ゲート電極上のゲート絶縁層である点で共通する。
(3)引用例1発明の「ZnOを含むことができる活性nチャネル70」は、本願発明1の「第1の酸化物半導体層」又は「第2の酸化物半導体層」に対応し、また、引用例1発明の「ZnOを含むことができる活性nチャネル70」は、「ゲート金属74」を覆っている「ゲート酸化膜72」上にあるから、「ゲート電極74」と重なる領域を有していると言える。
そうすると、引用例1発明の「ゲート酸化膜72上に」形成された「ZnOを含むことができる活性nチャネル70」と、本願発明1の「前記第1のゲート電極と重なる領域を有する、第1の酸化物半導体層」又は「前記第2のゲート電極と重なる領域を有する、第2の酸化物半導体層」は、ゲート電極と重なる領域を有する、酸化物半導体層である点で共通する。
(4)引用例1発明の「ソース66」は、本願発明1の「第1のソース電極」又は「第2のソース電極」に対応する。
(5)引用例1発明の「ドレイン68」は、本願発明1の「第1のドレイン電極」又は「第2のドレイン電極」に対応する。
(6)引用例1発明の「基板76上にゲート金属74を有」することは、本願発明1の「絶縁表面上の、第1のゲート電極と、第2のゲート電極」と、絶縁表面上にゲート電極を備える点で共通する。
(7)上記(1)ないし(6)から、引用例1発明の「n型TFT52であって、基板76上にゲート金属74を有し、ゲート金属74を覆ってゲート酸化膜72を形成し、ゲート酸化膜72上にZnOを含むことができる活性nチャネル70を形成し、活性nチャネル70上にソース66およびドレイン68を形成」することと、本願発明1の「絶縁表面上の、第1のゲート電極と、第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極上、及び前記第2のゲート電極上の、ゲート絶縁層と、前記第1のゲート電極と重なる領域を有する、第1の酸化物半導体層と、前記第2のゲート電極と重なる領域を有する、第2の酸化物半導体層と、前記第1の酸化物半導体層と電気的に接続された、第1のソース電極と、前記第1の酸化物半導体層と電気的に接続された、第1のドレイン電極と、前記第2の酸化物半導体層と電気的に接続された、第2のソース電極と、前記第2の酸化物半導体層と電気的に接続された、第2のドレイン電極」を有することは、「絶縁表面上のゲート電極と、前記ゲート電極上のゲート絶縁層と、前記ゲート電極と重なる領域を有する、酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層と電気的に接続されたソース電極およびドレイン電極」を有する点で、共通する。
(8)引用例1発明の「n型TFT52」は、本願発明1の「半導体装置」に対応する。
(9)そうすると、本願発明1と引用例1発明とは、以下の点で一致し、また、相違する。
[一致点]
「絶縁表面上のゲート電極と、
前記ゲート電極上のゲート絶縁層と、
前記ゲート電極と重なる領域を有する、酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層と電気的に接続されたソース電極およびドレイン電極と、
を有する半導体装置。」
[相違点1]
本願発明1の「半導体装置」は、「絶縁表面上の、第1のゲート電極と、第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極上、及び前記第2のゲート電極上の、ゲート絶縁層と、前記第1のゲート電極と重なる領域を有する、第1の酸化物半導体層と、前記第2のゲート電極と重なる領域を有する、第2の酸化物半導体層と、前記第1の酸化物半導体層と電気的に接続された、第1のソース電極と、前記第1の酸化物半導体層と電気的に接続された、第1のドレイン電極と、前記第2の酸化物半導体層と電気的に接続された、第2のソース電極と、前記第2の酸化物半導体層と電気的に接続された、第2のドレイン電極」を有することにより、2つのトランジスタを有しているのに対して、引用例1発明の「n型TFT52」は、1つのトランジスタしか有していない点。
[相違点2]
本願発明1は、「前記第1の酸化物半導体層と接する領域を有する、第1の絶縁層と、前記第2の酸化物半導体層と接する領域を有する、第2の絶縁層と、を有し、前記第1の絶縁層は、前記第2の絶縁層よりも、吸水性が高」いのに対して、引用例1発明は、第1もしくは第2の絶縁層に対応する構成を有していない点。
[相違点3]
本願発明1は、「前記第1のソース電極又は前記第1のドレイン電極の一方は、出力端子と電気的に接続され、前記第2のソース電極又は前記第2のドレイン電極の一方は、前記出力端子と電気的に接続される」のに対して、引用例1発明は、ソースもしくはドレインと出力端子との電気的接続について明示されていない点。
2 本願発明1についての当審の判断
[相違点2]について検討する。
引用例1発明は「ZnOは、可燃性ガス、又は永久ガスなどの異なるガスに曝されると、トランジスタの性能が変化すること」を特徴としており、ZnOを含む活性化nチャンネルは、ガスに曝される必要があるから、絶縁層で覆うことを想起できたとは認められない。
また、仮に、ZnOを含む活性化nチャンネルの一部と接する絶縁層を設けたとしても、「前記第1の絶縁層は、前記第2の絶縁層よりも、吸水性が高」くすることが想起できたとは認められない。
さらに、引用例2ないし5には、「前記第1の絶縁層は、前記第2の絶縁層よりも、吸水性が高」くすることは記載されていないから、引用例2ないし5の記載事項から、引用例1発明において、[相違点2]に係る構成を採用することが容易であるとも言えない。
そして、本願発明1は、「前記第1の絶縁層は、前記第2の絶縁層よりも、吸水性が高」いことで、湿度の検知素子となる薄膜トランジスタと、検出回路を構成する薄膜トランジスタを同一基板上に形成することができる(本願明細書【0036】-【0040】)という格別の効果を有するものである。
そうすると、[相違点2]に係る構成は、引用例1ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到したものであるとは言えない。
したがって、本願発明1は、他の相違点については検討するまでもなく、引用例1ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本願発明2についての当審の判断
本願発明2は、本願発明1を引用しており、本願発明2は本願発明1の発明特定事項を全て有する発明である。
してみれば、本願発明1が引用例1ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本願発明2も、引用例1ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 原査定の理由についての当審の判断についてのまとめ
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第7 当審拒絶理由についての判断
1 本願発明1と引用例6発明との対比
(1)引用例6発明の「接続切換回路」は、本願発明1の「半導体装置」に相当する。
(2)引用例6発明の「2つで対をなす、酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物半導体からなる半導体層を有するスイッチ素子」は、本願発明1の「絶縁表面上の、第1のゲート電極と、第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極上、及び前記第2のゲート電極上の、ゲート絶縁層と、前記第1のゲート電極と重なる領域を有する、第1の酸化物半導体層と、前記第2のゲート電極と重なる領域を有する、第2の酸化物半導体層と、前記第1の酸化物半導体層と電気的に接続された、第1のソース電極と、前記第1の酸化物半導体層と電気的に接続された、第1のドレイン電極と、前記第2の酸化物半導体層と電気的に接続された、第2のソース電極と、前記第2の酸化物半導体層と電気的に接続された、第2のドレイン電極と、前記第1の酸化物半導体層と接する領域を有する、第1の絶縁層と、前記第2の酸化物半導体層と接する領域を有する、第2の絶縁層と、を有し、前記第1の絶縁層は、前記第2の絶縁層よりも、吸水性が高く、」と、酸化物半導体層を有する2つのトランジスタである点で共通する。
(3)引用例6発明の「スイッチ素子のそれぞれのソースもしくはドレインに対応する端子は、映像信号線駆動回路における信号線に時分割に接続する」ことは、本願発明1の「前記第1のソース電極又は前記第1のドレイン電極の一方は、出力端子と電気的に接続され、前記第2のソース電極又は前記第2のドレイン電極の一方は、前記出力端子と電気的に接続されること」に相当する。
(4)そうすると、本願発明1と引用例6発明とは、以下の点で一致し、また、相違する。
[一致点]
酸化物半導体層を有する2つのトランジスタを有し、
一つのトランジスタのソース電極又はドレイン電極の一方は、出力端子と電気的に接続され、
もう一つのソース電極又はドレイン電極の一方は、前記出力端子と電気的に接続されることを特徴とする半導体装置。
[相違点1]
本願発明1は「絶縁表面上の、第1のゲート電極と、第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極上、及び前記第2のゲート電極上の、ゲート絶縁層と、前記第1のゲート電極と重なる領域を有する、第1の酸化物半導体層と、前記第2のゲート電極と重なる領域を有する、第2の酸化物半導体層と、前記第1の酸化物半導体層と電気的に接続された、第1のソース電極と、前記第1の酸化物半導体層と電気的に接続された、第1のドレイン電極と、前記第2の酸化物半導体層と電気的に接続された、第2のソース電極と、前記第2の酸化物半導体層と電気的に接続された、第2のドレイン電極と、前記第1の酸化物半導体層と接する領域を有する、第1の絶縁層と、前記第2の酸化物半導体層と接する領域を有する、第2の絶縁層と、を有し」ているのに対して、引用例6発明は、スイッチ素子が酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物半導体からなる薄膜トランジスタ(TFT)である点は記載されているものの、スイッチング素子の具体的な構成が記載されていない点。
[相違点2]
本願発明1は「前記第1の絶縁層は、前記第2の絶縁層よりも、吸水性が高」いのに対して、引用例6発明は、スイッチング素子を構成する薄膜トランジスタ(TFT)の絶縁層について記載されておらず、また、その吸水性についても記載されていない点。
2 本願発明1についての当審の判断
[相違点2]について検討する。
引用例6発明は「接続切換回路」であるから、「接続切換回路」を構成する薄膜トランジスタ(TFT)の絶縁層は、一般的な保護膜としての機能を想定しており、吸水性について一方を他方と比べ高くすることを想起することができたとは認められない。
また、引用例7には、単体の「酸化物半導体ボトムゲートTFT」に、ポリイミド保護膜を設け、耐水性、耐薬品性に優れた効果を発揮する点は記載されているものの、対となるトランジスタに対して形成される各々の絶縁層について、「前記第1の絶縁層は、前記第2の絶縁層よりも、吸水性が高」くなることは記載されていない。さらに、引用例1ないし5にも、「前記第1の絶縁層は、前記第2の絶縁層よりも、吸水性が高」くなることは記載されていない。
そのため、引用例1ないし5および7の記載事項から、引用例6発明において、[相違点2]に係る構成を採用することが容易であるとも言えない。
そして、本願発明1は、「前記第1の絶縁層は、前記第2の絶縁層よりも、吸水性が高」いことで、湿度の検知素子となる薄膜トランジスタと、検出回路を構成する薄膜トランジスタを同一基板上に形成することができる(本願明細書【0036】-【0040】)という格別の効果を有するものである。
そうすると、[相違点2]に係る構成は、引用例1ないし7に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到したものであるとは言えない。
したがって、本願発明1は、他の相違点については検討するまでもなく、引用例1ないし7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本願発明2についての当審の判断
本願発明2は、本願発明1を引用しており、本願発明2は本願発明1の発明特定事項を全て有する発明である。
してみれば、本願発明1が引用例1ないし7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本願発明2も、引用例1ないし7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 当審拒絶理由についてのまとめ
以上のとおり、当審拒絶理由で示した理由によっては、本願を拒絶することはできない。
そうすると、もはや、当審の拒絶理由によっては本願を拒絶することはできない。

第8 結語
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶するべき理由は発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-07 
出願番号 特願2015-1476(P2015-1476)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 篠原 功一小堺 行彦  
特許庁審判長 深沢 正志
特許庁審判官 小田 浩
大嶋 洋一
発明の名称 半導体装置  
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