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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C02F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C02F
管理番号 1330923
審判番号 不服2016-9454  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-24 
確定日 2017-08-02 
事件の表示 特願2012- 22141号「浄水器カートリッジの製造方法および活性炭充填補助具」拒絶査定不服審判事件〔平成25年8月19日出願公開、特開2013-158694号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年2月3日の出願であって、平成27年11月4日付けで拒絶理由通知がなされ、同年12月28日付けで意見書および手続補正書が提出され、平成28年3月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年6月24日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ、これに対して同年9月29日付けで前置報告がなされたものである。

第2 平成28年6月24日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年6月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に係る補正を含むものであり、補正前後の請求項1の記載は次のとおりのものである。
(補正前)
「 【請求項1】
中心部に中空糸膜束が配置され周縁部に活性炭が充填された浄水器カートリッジの製造方法であって、
中心部に中空糸膜束が配置された筒状ケーシングを載置台に載置するステップと、
筒状の枠体を備えた充填補助具を、前記枠体が前記筒状ケーシングと整列するように、前記筒状ケーシングの開口端に載置するステップと、
前記充填補助具を通して前記載置台上の筒状ケーシングに所定量の活性炭を充填する活性炭供給ステップと、を備え、
前記充填補助具が、前記中空糸膜束の外径より大径かつ前記筒状ケーシングの内径より小径の円に沿って延びる弧状開口を下端部に備え、
前記活性炭供給ステップが、前記載置台上の筒状ケーシングに加振しながら行われる、
ことを特徴とする浄水器カートリッジ製造方法。」

(補正後)
「 【請求項1】
中心部に中空糸膜束が配置され周縁部に活性炭が充填された浄水器カートリッジの製造方法であって、
中心部に中空糸膜束が配置された筒状ケーシングを載置台に載置するステップと、
筒状の枠体を備えた充填補助具を、前記枠体が前記筒状ケーシングと整列するように、前記筒状ケーシングの開口端に直接載置するステップと、
前記充填補助具を通して前記載置台上の筒状ケーシングに所定量の活性炭を充填する活性炭供給ステップと、を備え、
前記充填補助具が、前記中空糸膜束の外径より大径かつ前記筒状ケーシングの内径より小径の円に沿って延びる弧状開口を下端部に備え、
前記活性炭供給ステップが、前記載置台上の筒状ケーシングに加振しながら行われる、
ことを特徴とする浄水器カートリッジ製造方法。」(当審注:下線は、補正箇所を示すものであり、請求人が付与した。以下、同じ。)

2.補正の適否
請求項1に係る補正の補正事項は、補正前の「筒状の枠体を備えた充填補助具を、前記枠体が前記筒状ケーシングと整列するように、前記筒状ケーシングの開口端に載置する」を、補正後の「筒状の枠体を備えた充填補助具を、前記枠体が前記筒状ケーシングと整列するように、前記筒状ケーシングの開口端に直接載置する」に補正するものであり、「載置」の形態を「直接」に限定するものである。
また、補正後の請求項1に記載された発明と、補正前の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
よって、請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する限定的減縮を目的とするものに該当する。
そして、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、「【0033】
したがって、活性炭充填補助具20が、枠体22がケーシング12の外周壁と整列するように、ケーシング12上に載置されると、弧状開口26は、ケーシング12の内周面とケーシング12内に配置された中空糸膜モジュール14の外周面との間の環状空間と上下方向に整列することになる。」との記載、および、
「 【図4】



との図示があり、これらからして、当初明細書等には、上記補正事項の「筒状の枠体を備えた充填補助具を、枠体が筒状ケーシングと整列するように、筒状ケーシングの開口端に直接載置する」ことが記載されているといえるので、請求項1に係る補正は、新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3-1)刊行物の記載事項および図示内容
特開平6-122401号公報(以下、「引用例」という。)の記載事項および図示内容
(a)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、活性炭の細粒状粉末のような微細な粉体を、内ケースと外ケースからなる二重構造になっている容器のギャップ部分に充填する方法及び装置に関する。」

(b)「【0003】浄水器用カートリッジの内部には、複数の中空糸からなる浄水部材と、活性炭等の吸着剤が入っている。図13に浄水器用カートリッジの構造の一例を示す。円筒状のカートリッジの内部では、本体ケース21と内ケース22との間のギャップ部分23に、活性炭が充填される。」

(c)「【0011】
【作用及び実施例】以下は本発明を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】本発明の粉体を充填する第一の装置は、カートリッジ容器の開口部に当接して封止し、粉体を容器に導入する粉体挿入部(図1、2)と、粉体を計量し、粉体挿入部に粉体を投下する粉体計量、運搬部(図3)と、振動を発生し、容器に伝える振動部(図4、5)とから構成される。
【0013】(1)粉体挿入部
粉体挿入部は図1に示すように、粉体Pが通過する開口部10aを有する装置本体の底板10と、底板10の開口部10aと整合する位置に取り付けられた外筒部材11と、外筒部材11の内側に所定のギャップをもって位置し、外筒部材11にネジ11aにより固定された中心部材12とを有する。
【0014】外筒部材11の下端開口部付近の外周部には、環状のフランジ11bが設けられており、フランジ11bの外周に、それを外側から挟むコ字状の断面形状を有する第一封止部材5が設けられている。なお、第一封止部材5は断面L字状の部材5aとドーナツ板状の部材5bとを螺着してなる。
【0015】第一封止部材5はカートリッジの外ケース21を封止する蓋で、上下動自在になっている。スライド幅は容器の振動幅より大きければよい。第一封止部材の材質は金属など重いものが好ましい。
【0016】中心部材12の上部は粉体を落下しやすいように円錐体とし、円錐体の頂点の角度を約60°とするのが好ましい。中心部材12の下部は中空の円筒とし、この中空の円筒にピストン状の第二封止部材6を挿入して、止め具6aで静置させる。外筒部材11の内部における中心部材12の設置位置は、カートリッジ容器における内ケースの位置によって決定される。
【0017】第二封止部材6は中空糸を収める内ケース22を封止する蓋であり、中心部材12内で上下自在にスライドできるようになっている。スライド幅は振動幅より大きければよい。第二封止部材の材質は金属など重いものが好ましい。」

(d)「【0019】(2)粉体計量、運搬部
粉体計量、運搬部は、図3に示すように、円筒状の粉体供給塔25と、粉体供給塔25の底部と接合し、粉体供給塔に整合する円形の開口部を設けている装置本体蓋15と、蓋15及び底板10の間に挟まれた直方体で、所定の位置に円柱形空洞を設け、接続されている駆動装置24によって水平移動可能になっているエスケープ本体9とを有する。
【0020】エスケープ本体9の構造を図6、7、8に示す。エスケープ本体9がスライドし、円柱形空洞部9aと粉体供給塔25とが整合したときに、空洞部9aに粉体Pが自然落下し、充填が行われる。駆動装置24によってエスケープ本体9が移動し、底板10に設けられた開口部10aと空洞部9aとが重なったときに、空洞部9aによって運ばれてきた一定量の粉体が粉体挿入部4に投下される。エスケープ本体9の下部に、図8に示すような凹溝を二本設ける。これにより、粉体の不慮のこぼれによるエスケープの作動トラブルを避けられる。また、図9、10に示すように、エスケープ押さえ蓋15の下部には、凹溝を二本設ける。凹溝を設けることにより、粉体の噛み込みを防止できる。」

(e)「【0024】本発明の粉体を充填する第一の装置を用い、以下のような方法で粉体の充填を行う。
【0025】カートリッジは上昇機械、例えば、油圧シリンダ19で押し上げられ、カートリッジケース21及び内ケース22がそれぞれ第一封止部材5と第二封止部材6に当接する。図2に示すように、両蓋の自重により前記容器を蓋するため、粉体充填時にカートリッジの外や内ケースへの粉体の飛散が遮断される。
【0026】カートリッジ20を粉体挿入部4にセットして、振動を伝える把持バー3をカートリッジにあてがう。振動機が間欠または連続的に作動し、カートリッジに上下方向の振動を与えながら、粉体運搬部のエスケープ本体9により粉体を粉体挿入部に落とす。振動により、容器に均一な粉体充填を行い得る。カートリッジ容器の振幅は0.2?2mmとする。振動頻度は1000?8000回/分とする。振幅が0.2mm未満または頻度が1000回/分以下では、振動による充填の効果が得られないが、振幅2mmまたは頻度が8000回/分を超えると、逆に粉体が舞い上がって、逆効果となる。
【0027】本発明の粉体を充填する第二の装置は、粉体挿入部、粉体計量、運搬部、及び振動部より構成される。そのうち、粉体挿入部及び粉体計量、運搬部は上述の第一の装置と同様であり、以下は振動部についてのみ説明する。」

(f)「【0036】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の粉体を充填する方法及び装置において、粉体のこぼれ、汚れが少なく、故障しにくい等の特徴を持ち、高速な粉体自動充填が可能になる。」

(g)「【符号の説明】
1・・・ 振動機
2・・・ 支持バー
3・・・ 把持部
4・・・ 粉体挿入部
5・・・ 第一封止部材
5a・・・ 第一封止部材の断面L字の部材
5b・・・ 第一封止部材のドーナツ板状の部材
6・・・ 第二封止部材
6a・・・ 第二封止部材の止め具
7a・・・ 連結部材
7b・・・ 連結部材
8・・・ チャック
9・・・ エスケープ本体
9a・・・ エスケープ本体の円柱形空洞部
10・・・ 装置本体の底板
10a・・・ 装置本体の底板の開口部
11・・・ 外筒部材
11a・・・ 外筒部材のネジ
11b・・・ 外筒部材の環状フランジ
12・・・ 中心部材
13・・・ シート
14・・・ 回転軸
15・・・ エスケープ押さえ蓋
16・・・ 吸引管
17・・・ ピストン
18・・・ カートリッジホルダー
19・・・ 油圧シリンダ
20・・・ カートリッジ
21・・・ カートリッジ外ケース
22・・・ カートリッジ内ケース
23・・・ 活性炭を充填するギャップ部
24・・・ 駆動装置
25・・・ 粉体供給塔
26・・・ ベアリング
P・・・ 粉末」

(h)「 【図1】




(i)「 【図2】




(j)「 【図3】




(3-2)引用例に記載された発明
ア 上記(a)で示した「活性炭の細粒状粉末のような微細な粉体を、内ケースと外ケースからなる二重構造になっている容器のギャップ部分に充填する方法」、同(b)で示した「浄水器用カートリッジの内部には、複数の中空糸からなる浄水部材と、活性炭等の吸着剤が入っている。図3に浄水器用カートリッジの構造の一例を示す。円筒状のカートリッジの内部では、本体ケース21と内ケース22との間のギャップ部分23に、活性炭が充填される。」、同(g)で示した「20・・・ カートリッジ」「21・・・ カートリッジ外ケース」「22・・・ カートリッジ内ケース」「23・・・ 活性炭を充填するギャップ部」、同(h)で示した【図1】および同(j)で示した【図3】からして、引用例には、「中心部に『複数の中空糸』が配置され、『カートリッジ外ケース21(本体ケース21)とカートリッジ内ケース22との間のギャップ部23』に活性炭の細粒状粉末が充填されるカートリッジ20のギャップ部23に活性炭の細粒状粉末を充填する方法」が記載されているということができる。

イ 上記(b)で示した「浄水器用カートリッジの内部には、複数の中空糸からなる浄水部材と、活性炭等の吸着剤が入っている。図13に浄水器用カートリッジの構造の一例を示す。円筒状のカートリッジの内部では、本体ケース21と内ケース22との間のギャップ部分23に、活性炭が充填される。」、同(g)で示した「18・・・ カートリッジホルダ」「21・・・ カートリッジ外ケース」および同(j)で示した【図3】からして、引用例には、「中心部に『複数の中空糸』が配置されたカートリッジ外ケース21(本体ケース21)をカートリッジホルダ18に載置する」ことが記載されているということができる。

ウ 上記(e)で示した「カートリッジは上昇機械、例えば、油圧シリンダ19で押し上げられ、カートリッジケース21及び内ケース22がそれぞれ第一封止部材5と第二封止部材6に当接する。・・・両蓋の自重により前記容器を蓋するため、粉体充填時にカートリッジの外や内ケースへの粉体の飛散が遮断される。」(【0025】)、および、同(g)で示した「4・・・ 粉体挿入部」「5・・・ 第一封止部材」「11・・・ 外筒部材」「21・・・ カートリッジ外ケース」、同(h)で示した【図1】および同(i)で示した【図2】からして、引用例には、「『外筒部材11および第一封止部材5』を備えた粉体挿入部4を、『外筒部材11および第一封止部材5』がカートリッジ外ケース21と整列するように、カートリッジ外ケース21の開口端に当接する」ことが記載されているということができる。

エ 上記(a)で示した「活性炭の細粒状粉末のような微細な粉体を、内ケースと外ケースからなる二重構造になっている容器のギャップ部分に充填する方法」、同(d)で示した「底板10に設けられた開口部10aと空洞部9aとが重なったときに、空洞部9aによって運ばれてきた一定量の粉体が粉体挿入部4に投下される。」(【0020】)、同(e)で示した「カートリッジは上昇機械、例えば、油圧シリンダ19で押し上げられ、カートリッジケース21及び内ケース22がそれぞれ第一封止部材5と第二封止部材6に当接する。・・・両蓋の自重により前記容器を蓋するため、粉体充填時にカートリッジの外や内ケースへの粉体の飛散が遮断される。」(【0025】)、「カートリッジ20を粉体挿入部4にセットして、振動を伝える把持バー3をカートリッジにあてがう。振動機が間欠または連続的に作動し、カートリッジに上下方向の振動を与えながら、粉体運搬部のエスケープ本体9により粉体を粉体挿入部に落とす。」(【0026】)、同(g)で示した「4・・・ 粉体挿入部」「5・・・ 第一封止部材」「6・・・ 第二封止部材」「18・・・ カートリッジホルダ」「21・・・ カートリッジ外ケース」「22・・・ カートリッジ内ケース」、同(i)で示した【図2】および同(j)で示した【図3】からして、引用例には、「カートリッジ外ケース21およびカートリッジ内ケース22がそれぞれ『外筒部材11および第一封止部材5』と第二封止部材6に当接した状態で、粉体挿入部4を通してカートリッジホルダ18上のカートリッジ外ケース21に一定量の活性炭の細粒状粉末を投入する」こと、および、「活性炭の細粒状粉末の投入が、カートリッジホルダ18上のカートリッジ外ケース21に振動を与えながら行う」ことが記載されているということができる。

オ 上記(b)で示した「浄水器用カートリッジの内部には、複数の中空糸からなる浄水部材と、活性炭等の吸着剤が入っている。図13に浄水器用カートリッジの構造の一例を示す。円筒状のカートリッジの内部では、本体ケース21と内ケース22との間のギャップ部分23に、活性炭が充填される。」、同(g)で示した「4・・・ 粉体挿入部」「5・・・ 第一封止部材」「6・・・ 第二封止部材」「11・・・ 外筒部材」「11a・・・ 外筒部材のネジ」「12・・・ 中心部材」「21・・・ カートリッジ外ケース」「22・・・ カートリッジ内ケース」、同(h)で示した【図1】および同(i)で示した【図2】からして、[粉体挿入部4が、『複数の中空糸』が配置されたカートリッジ内ケース22の外径より大径かつカートリッジ外ケース21の内径より小径の円に沿って延びる、「『外筒部材11および第一封止部材5』と『中心部材12および第二封止部材6』とを外筒部材11のネジ11aを用いて連結する部材」を有する環状開口を下端部に備える]ことが記載されているということができる。

カ 上記「イ」ないし「エ」で示した、「中心部に『複数の中空糸』が配置されたカートリッジ外ケース21をカートリッジホルダ18に載置する」こと、「『外筒部材11および第一封止部材5』を備えた粉体挿入部4を、『外筒部材11および第一封止部材5』がカートリッジ外ケース21と整列するように、カートリッジ外ケース21の開口端に当接する」こと、および、「カートリッジ外ケース21およびカートリッジ内ケース22がそれぞれ『外筒部材11および第一封止部材5』と第二封止部材6に当接した状態で、粉体挿入部4を通してカートリッジホルダ18上のカートリッジ外ケース21に一定量の活性炭の細粒状粉体を投入する」ことは、上記「ア」で示した「中心部に『複数の中空糸』が配置され、『カートリッジ外ケース21(本体ケース21)とカートリッジ内ケース22との間のギャップ部23』に活性炭の細粒状粉末が充填されるカートリッジ20のギャップ部23に吸着剤を充填する方法」における各ステップであるということができるので、引用例には、「中心部に『複数の中空糸』が配置されたカートリッジ外ケース21をカートリッジホルダ18に載置するステップ」、「『外筒部材11および第一封止部材5』を備えた粉体挿入部4を、『外筒部材11および第一封止部材5』がカートリッジ外ケース21と整列するように、カートリッジ外ケース21の開口端に当接するステップ」および「カートリッジ外ケース21およびカートリッジ内ケース22がそれぞれ『外筒部材11および第一封止部材5』と第二封止部材6に当接した状態で、粉体挿入部4を通してカートリッジホルダ18上のカートリッジ外ケース21に一定量の活性炭の細粒状粉末を投入するステップ」が記載されているということができる。

上記「ア」ないし「カ」より、引用例には、
「中心部に『複数の中空糸』が配置され、『カートリッジ外ケース21とカートリッジ内ケース22との間のギャップ部23』に活性炭の細粒状粉末が充填されるカートリッジ20のギャップ部23に活性炭の細粒状粉末を充填する方法であって、中心部に『複数の中空糸』が配置されたカートリッジ外ケース21をカートリッジホルダ18に載置するステップと、『外筒部材11および第一封止部材5』を備えた粉体挿入部4を、『外筒部材11および第一封止部材5』がカートリッジ外ケース21と整列するように、カートリッジ外ケース21の開口端に当接するステップと、カートリッジ外ケース21およびカートリッジ内ケース22がそれぞれ『外筒部材11および第一封止部材5』と第二封止部材6に当接した状態で、粉体挿入部4を通してカートリッジホルダ18上のカートリッジ外ケース21に一定量の活性炭の細粒状粉末を投入するステップと、を備え、粉体挿入部4が、『複数の中空糸』が配置されたカートリッジ内ケース22の外径より大径かつカートリッジ外ケース21の内径より小径の円に沿って延びる、「『外筒部材11および第一封止部材5』と『中心部材12および第二封止部材6』とを外筒部材11のネジ11aを用いて連結する部材」を有する環状開口を下端部に備え、活性炭の細粒状粉末を投入するステップが、カートリッジホルダ18上のカートリッジ外ケース21に振動を与えながら行う、カートリッジ20のギャップ部23に活性炭の細粒状粉末を充填する方法。」(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されていると認める。

(3-3)対比・判断
引用例記載の発明と、本件補正発明とを対比する。
○引用例記載の発明の「『カートリッジ外ケース21とカートリッジ内ケース22との間のギャップ部23』」、「カートリッジ20」、「カートリッジホルダ18」、「粉体挿入部4」、「カートリッジ外ケース21」、「一定量」、「活性炭の細粒状粉末」および「振動を与えながら」は、本件補正発明の「周縁部」、「浄水器カートリッジ」、「載置台」、「充填補助具」、「筒状ケーシング」、「所定量」、「活性炭」および「加振しながら」にそれぞれ相当する。

○引用例記載の発明の「『外筒部材11および第一封止部材5』」並びに「『外筒部材11および第一封止部材5』を備えた粉体挿入部4を、『外筒部材11および第一封止部材5』がカートリッジ外ケース21と整列するように、カートリッジ外ケース21の開口端に当接する」について、上記(i)で示した【図2】を見ると、カートリッジ外ケース21の開口端に第一封止部材5が当接しているところ、第一封止部材5と外筒部材11とは、一体不可分のものとして「『外筒部材11および第一封止部材5』」になっていることからして、引用例記載の発明の「『外筒部材11および第一封止部材5』」は、一体として、本件補正発明の「筒状の枠体」に相当し、また、引用例記載の発明の「『外筒部材11および第一封止部材5』を備えた粉体挿入部4を、『外筒部材11および第一封止部材5』がカートリッジ外ケース21と整列するように、カートリッジ外ケース21の開口端に当接する」は、本件補正発明の「筒状の枠体を備えた充填補助具を、枠体が筒状ケーシングと整列するように、筒状ケーシングの開口端に直接載置する」に相当する。(当審注:下線は、当審が付与した。以下、同じ。)

○引用例記載の発明の「投入」は、本件補正発明の「充填」又は「供給」に相当する。

○引用例記載の発明の「カートリッジ外ケース21およびカートリッジ内ケース22がそれぞれ『外筒部材11および第一封止部材5』と第二封止部材6に当接した状態で、粉体挿入部4を通してカートリッジホルダ18上のカートリッジ外ケース21に一定量の活性炭の細粒状粉末を投入する」は、本件補正発明の「充填補助具を通して載置台上の筒状ケーシングに所定量の活性炭を充填する」に相当する。

○引用例記載の発明の[円に沿って延びる、「『外筒部材11および第一封止部材5』と『中心部材12および第二封止部材6』とを外筒部材11のネジ11aを用いて連結する部材」を有する環状開口]は、本件補正発明の「円に沿って延びる弧状開口」に相当する。

○引用例記載の発明の「『複数の中空糸』」と、本件補正発明の「中空糸膜束」とは、「複数の中空糸」という点で一致する。

○引用例記載の発明の「中心部に『複数の中空糸』が配置され、『カートリッジ外ケース21とカートリッジ内ケース22との間のギャップ部23』に活性炭の細粒状粉末が充填されるカートリッジ20のギャップ部23に吸着剤を充填する方法」は、ギャップ部23に活性炭の細粒状粉末が充填されることで、活性炭の細粒状粉末が充填されたカートリッジ20が製造されることになるといえるので、「中心部に『複数の中空糸』が配置され、『カートリッジ外ケース21とカートリッジ内ケース22との間のギャップ部23』に活性炭の細粒状粉末が充填されるカートリッジ20の製造方法」に当たり、これと、本件補正発明の「中心部に中空糸膜束が配置され周縁部に活性炭が充填された浄水器カートリッジの製造方法」とは、「中心部に複数の中空糸が配置され周縁部に活性炭が充填された浄水器カートリッジの製造方法」という点で一致する。

○引用例記載の発明の「『複数の中空糸』が配置されたカートリッジ内ケース22の外径」は、浄水を確実に行う観点より、内ケース22の内部全般に『複数の中空糸』が配置されているということができるので、「『複数の中空糸』の外径」に当たり、これと、本件補正発明の「中空糸膜束の外径」とは、「複数の中空糸の外径」という点で一致する。

上記からして、本件補正発明と引用例記載の発明とは、
「中心部に複数の中空糸が配置され周縁部に活性炭が充填された浄水器カートリッジの製造方法であって、中心部に複数の中空糸が配置された筒状ケーシングを載置台に載置するステップと、筒状の枠体を備えた充填補助具を、前記枠体が前記筒状ケーシングと整列するように、前記筒状ケーシングの開口端に直接載置するステップと、前記充填補助具を通して前記載置台上の筒状ケーシングに所定量の活性炭を充填する活性炭供給ステップと、を備え、前記充填補助具が、前記複数の中空糸の外径より大径かつ前記筒状ケーシングの内径より小径の円に沿って延びる弧状開口を下端部に備え、前記活性炭供給ステップが、前記載置台上の筒状ケーシングに加振しながら行われる、浄水器カートリッジ製造方法。」という点で一致し、以下の点で相違している。
<相違点>
本件補正発明は、「中空糸膜束」であるのに対して、引用例記載の発明は、「『複数の中空糸』」である点。

<相違点>について検討する。
一般に、浄水器カートリッジにおける中空糸として、中空糸膜束を用いることは、本願出願前の周知技術(例えば、特開2008-137005号公報の特に【0002】【0017】【図1】参照)であり、また、引用例記載の発明の「『複数の中空糸』」と、上記周知技術の「中空糸膜束」とは、浄水用の複数の中空糸という点で共通するものであるので、引用例記載の発明の「『複数の中空糸』」について、上記の点で共通する上記周知技術を適用することで、「中空糸膜束」とすることは、当業者であれば容易に想起し得ることである。

そして、本願明細書には、「活性炭としては、粉末状活性炭、粒状活性炭等が使用される。また、活性炭に代えて、分子吸着樹脂、ゼオライト、モレキュラーシーブ、キレート樹脂、イオン交換樹脂、亜硫酸カルシウム、コーラルサンド、麦飯石、医王石、トルマリン、これらの混合物を使用してもよい。」(【0036】)、「本発明によれば、中心部に中空糸膜束が配置されている筒状ケーシングの中空糸膜と筒状ケーシングとの間の空間に活性炭を迅速且つ確実に充填することができる浄水器カートリッジの製造方法およびそのような浄水器カートリッジの製造方法において使用される活性炭充填補助具が提供される。」(【発明の効果】【0020】)等の記載があり、これらからして、本件補正発明の効果は、筒状ケーシングの中空糸膜と筒状ケーシングとの間の空間に活性炭(粉末・粒状)を迅速且つ確実に充填できることにあるということができる。
一方、引用例には、上記(f)で示したように、「本発明の粉体を充填する方法及び装置において、粉体のこぼれ、汚れが少なく、故障しにくい等の特徴を持ち、高速な粉体自動充填が可能になる。」との記載があり、これは、「粉体を迅速且つ確実に充填できる」ことを意味するものであるということができる。
そうすると、本件補正発明と引用例記載の発明とは、共に「粉体(粉末)を迅速且つ確実に充填できる」という効果を有するものであり、これからして、本件補正発明の効果を引用例記載の発明に比べて格別顕著なものであるいうことはできない。

したがって、本件補正発明は、引用例記載の発明および本願出願前の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3-4)請求人の主張について
請求人は、審判請求書(審判請求の理由補充)において、「引用文献1(特開平6-122401号公報)の発明は、浄水器カートリッジに粉体(活性炭)を充填することに関する発明である点では、本願発明と共通している。
・・・中略・・・ 引用文献1の発明では、活性炭等の充填時には、外筒部材11の下端は、第一の封止部材5を介して、カートリッジの外ケース21の上端上に載置されることになる。
したがって、引用文献1の発明は、上記補正後の本願発明の構成要件である『筒状の枠体を備えた充填補助具を、前記枠体が前記筒状ケーシングと整列するように、前記筒状ケーシングの開口端に直接載置するステップ』を備えていない。」(主張1)および
「引用文献1の第一および第二の封止部材は、『金属などの重いもの』で構成される(引用文献1 段落0015、0017)ため、振動の伝達は、第一および第二の封止部材によって阻害される。
また、引用文献1の発明においては、浄水器カートリッジの上端と充填装置の外筒部材11との間に、第一および第二の封止部材を配置することは必須である。従って、引用文献1の発明において、充填装置の外筒部材11の下端を浄水器カートリッジの上端に直接載置する構成をとることは、引用文献1の発明の技術思想に逆行するものであり、当業者が通常、行うことではない。」(主張2)との主張をしており、以下、主張1および2について検討する。
まず、主張1について検討する。
主張1は、特開平6-122401号公報(引用例)記載の発明について、カートリッジ外ケース21(筒状ケーシング)の上端に外筒部材11が直接載置されるべきであるにもかかわらず、そのようになっていない(カートリッジ外ケース21の上端に、第一封止部材5が直接載置されている)旨を主張するものであると認める。
これについて、上記「(3-3)」の2つ目の「○」で示したように、引用例記載の発明における第一封止部材5と外筒部材11とは、一体不可分のものとして「『外筒部材11および第一封止部材5』」になっていることからして、外筒部材11のみに着目し、これがカートリッジ外ケース21(筒状ケーシング)に直接載置されるものであるかどうかを見ることに技術的合理性があるとはいえない。
次に、主張2について検討する。
主張2は、第一および第二の封止部材は、「金属などの重いもの」で構成されるため、振動を伝達しないものである旨を主張するものであると認める。
これについて、引用例の「【0009】また、本発明の粉体を充填する第一の装置は、内ケースと外ケースからなる二重構造になっている容器のギャップ部分に粉体を充填する装置において、外筒部材と、前記外筒部材の内側に所定の隙間をもって固定された中心部材と、前記外筒部材の下端開口部付近の外周部に上下動自在に取り付けられた第一封止部材と、前記中心部材に上下動自在に取り付けられた第二封止部材と、前記容器に振動を与える振動装置とを有し、前記容器の外ケースの開口部は前記第一封止部材に当接し、前記容器の内ケースの開口部は前記第二封止部材に当接し、前記容器の振動に応じて前記第一及び第二の封止部材も振動し、前記容器の両開口部を封止し得ることを特徴とする。」との記載からして、第一および第二封止部材は、「金属などの重いもの」で構成されているとしても、振動させられるものである以上、振動を周囲に与えるものであると見るのが妥当である。
したがって、請求人の主張1および2は、引用例の記載事項の的確な把握に基くものであるとは言い難いことからして、この主張を採用することはできない。

(3-5)まとめ
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成27年12月28日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるところ、上記「第2 平成28年6月24日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「1.本件補正の概要」において記載した次のとおりのものである(再掲)。
「 【請求項1】
中心部に中空糸膜束が配置され周縁部に活性炭が充填された浄水器カートリッジの製造方法であって、
中心部に中空糸膜束が配置された筒状ケーシングを載置台に載置するステップと、
筒状の枠体を備えた充填補助具を、前記枠体が前記筒状ケーシングと整列するように、前記筒状ケーシングの開口端に載置するステップと、
前記充填補助具を通して前記載置台上の筒状ケーシングに所定量の活性炭を充填する活性炭供給ステップと、を備え、
前記充填補助具が、前記中空糸膜束の外径より大径かつ前記筒状ケーシングの内径より小径の円に沿って延びる弧状開口を下端部に備え、
前記活性炭供給ステップが、前記載置台上の筒状ケーシングに加振しながら行われる、
ことを特徴とする浄水器カートリッジ製造方法。」

2.原査定の理由
原査定は、「本願発明は、特開平6-122401号公報(引用例)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである」ことを拒絶の理由の一つにするものである。

3.特開平6-122401号公報(引用例)に記載された発明
引用例記載の発明は、上記「第2 平成28年6月24日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3.独立特許要件」の「(3-2)引用例に記載された発明」で示したとおりのものである。

4.対比・判断
本願発明は、本件補正発明における「直接」を削除するものであり、本件補正発明を包含するものである。そして、本願発明と引用例記載の発明について、対比による相違点の認定、および、相違点についての検討(判断)を行うと、上記「第2 平成28年6月24日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3.独立特許要件」の「(3-3)対比・判断」で示した、対比による相違点の認定、および、相違点についての検討(判断)と同じになる。つまり、本願発明も、本件補正発明と同じく、引用例記載の発明および本願出願前の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、これは、上記「2.原査定の理由」で示した「本願発明は、特開平6-122401号公報(引用例)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである」に当たるものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載の発明に基いて当業者が容易に発明することができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-25 
結審通知日 2017-05-29 
審決日 2017-06-15 
出願番号 特願2012-22141(P2012-22141)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (C02F)
P 1 8・ 121- Z (C02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金 公彦  
特許庁審判長 新居田 知生
特許庁審判官 山本 雄一
豊永 茂弘
発明の名称 浄水器カートリッジの製造方法および活性炭充填補助具  
代理人 松下 満  
代理人 西島 孝喜  
代理人 弟子丸 健  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 田中 伸一郎  
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