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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1331073
審判番号 不服2016-12174  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-10 
確定日 2017-08-29 
事件の表示 特願2012-129037「光半導体装置、その製造方法、その製造に用いる基体およびリフレクタ成型体」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月19日出願公開、特開2013-254823、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年6月6日の出願であって、平成28年1月14日付けで拒絶理由通知がされ、同年3月22日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月2日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年8月10日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年5月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである(審決注:「粘度膜」は「粘土膜」の誤記と認定した。)。
●理由1(明確性)
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

請求項1に記載されている「粘土膜の膜厚が均一であり、前記粘土膜が、前記粘土膜の表面が銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚」の範囲が特定出来ず権利範囲が明確でない。
請求項1に記載されている「追従」というのがどのような構成なのか不明確である。
よって、請求項1?7に係る発明は、明確でない。

●理由2(進歩性)
本願請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献1-5に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.引用文献1:特開2011-228589号公
2.引用文献2:特開2010-239043号公報
3.引用文献3:特開2012-69539号公報
4.引用文献4:特開2006-77237号公報
5.引用文献5:特開2011-157523号公報

第3 本願発明
本願請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、そのうちの本願発明1-本願発明4は、それぞれ以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
表面に銀めっき層が形成された基板と、
前記銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオードと、
前記基板上であって、前記発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタと、
前記リフレクタ内に充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部と、
前記銀めっき層を被覆する粘土膜と
を備え、
前記粘土膜の膜厚が均一であり、前記粘土膜が、前記粘土膜の表面が前記銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚を有する、光半導体装置。」
「【請求項2】
表面に銀めっき層が形成された基板と、
前記銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオードと、
前記基板上であって、前記発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタと、
前記リフレクタ内に充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部と、
前記銀めっき層を被覆する粘土膜と
を備える光半導体装置の製造に用いられる、
表面に形成された前記銀めっき層が前記粘土膜で被覆された基体であって、
前記粘土膜の膜厚が均一であり、前記粘土膜が、前記粘土膜の表面が前記銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚を有する、基体。」
「【請求項3】
表面に銀めっき層が形成された基板と、
前記銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオードと、
前記基板上であって、前記発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタと、
前記リフレクタ内に充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部と、
前記銀めっき層を被覆する粘土膜と
を備える光半導体装置の製造に用いられ、
表面に形成された前記銀めっき層が前記粘土膜で被覆された基板上に、前記リフレクタが配置されたリフレクタ成型体であって、
前記粘土膜の膜厚が均一であり、前記粘土膜が、前記粘土膜の表面が前記銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚を有する、リフレクタ成型体。」
「【請求項4】
表面に銀めっき層が形成された基板と、
前記銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオードと、
前記基板上であって、前記発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタと、
前記リフレクタ内に充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部と、
前記銀めっき層を被覆する粘土膜と
を備える光半導体装置の製造方法であって、
表面に銀めっき層が形成された基板を準備する基板準備工程と、
前記基板準備工程の後に、前記基板上に前記リフレクタを配置するリフレクタ配置工程と、
前記リフレクタ配置工程の後に、前記リフレクタ内の前記銀めっき層上に、前記発光ダイオードをボンディングにより配置する発光ダイオード搭載工程と、
前記発光ダイオード搭載工程の後に、前記発光ダイオードと前記銀めっき層とをワイヤボンディングして電気的に接続する発光ダイオード接続工程と、
前記発光ダイオード接続工程の後に、前記リフレクタ内に透明封止部を充填して前記発光ダイオードを封止する発光ダイオード封止工程と、
前記銀めっき層を粘土膜で被覆する銀めっき層被覆工程とを含み、
前記銀めっき層被覆工程の際、前記粘土膜の膜厚を均一にし、前記粘土膜が、前記粘土膜の表面が前記銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚を有する、光半導体装置の製造方法。」

なお、本願発明5-本願発明7は、本願発明4を減縮した発明である。

第4 原査定の理由1(記載不備)について
原審では、「請求項1には、『粘土膜の表面が銀めっき層の表面の凹凸に追従している』と記載されているが、当該構成がどのような構成を指すのか発明の詳細な説明の記載を参酌しても明確でない。」との拒絶の理由を通知し、拒絶の査定の備考には、以下のように記載されている。

「●理由1(特許法第36条第6項第2号)について
・請求項:1-7
出願人は意見書において、「…(略)…」と主張している。
しかしながら上記記載に従うと、本願明細書には「粘土膜の膜厚に関し、均一であり、かつ、その膜厚が粘土膜の表面が銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚」が何μm以上何μm以下なのか記載されていないことになる。
よって、請求項1に記載されている「粘土膜の膜厚が均一であり、前記粘土膜が、前記粘土膜の表面が銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚」の範囲が特定出来ず権利範囲が明確でない。

また、出願人は意見書において「本願の図7に示した粘土膜(51)の構成は、その膜厚が均一ではないため、請求項1で規定している粘土膜の構成とは明確に相異します。」と主張している。
しかしながら、…(略)…
よって、意見書の主張や発明の詳細な説明の記載を参酌しても依然として、「追従」というのがどのような構成なのか不明確である。」

しかしながら、明細書の段落【0036】、【0040】、【0041】、【0043】、0051】、【0069】の記載、及び以下に示す図4、図7を踏まえれば、請求項1に記載の「粘土膜の膜厚が均一であり、前記粘土膜が、前記粘土膜の表面が銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚」という記載は、粘土膜が、図4(b)に示されるような構成であることを意味し、図7に示されるような構成とは異なるものであることを意味することが明確である。
よって、請求項1?7に係る発明は明確である。
よって、原査定の理由1を維持することができない。



第5 原査定の理由2(進歩性)について
1 引用文献、引用発明等
(1)引用文献1について
ア 引用文献1:特開2011-228589号公報
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付加した。以下同じ。)。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は光半導体装置用リードフレームとその製造方法に関し、特に光半導体装置組立時におけるワイヤーボンディング性の向上と封止樹脂との密着性向上および光源として長期間使用した場合における光半導体装置の劣化を防止する技術に関する。」

(イ)「【背景技術】
【0002】
従来の光半導体装置用リードフレームでは、外囲樹脂に包囲された領域の最表層に、反射被膜として銀被膜が形成されている。この領域はリードフレームの外側に効率よく反射させて発光効率を向上させる役目をなす。銀被膜は長期間の使用により硫化、酸化等の化学変化を生じ、変色して反射率の低下を招く問題がある。この不都合を防止するために、反射被膜を外部から被覆して外気と遮断することで、反射特性を維持する特性維持層を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6(a)は、特性維持層を用いた従来の光半導体装置用リードフレームを示す断面図である。図6(b)は図6(a)のB部拡大図である。
…(略)…さらに外囲樹脂104に包囲される領域の最表層には、所定の波長の光に対して所定の反射率を示す特性を備えた、銀または銀合金からなる反射層105を選択的に形成している。また反射層105の表面には、当該反射層105が硫化や酸化による変色で反射率が低下する問題を防止するため、無機系材料または有機系材料からなる特性維持層106が形成されている。内部空間107には所定の光半導体素子及びワイヤーボンディングを行った後、封止樹脂が充填される。」

(ウ)「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、前記した従来の光半導体装置用リードフレームでは、リードフレーム素材101の略全面に、下地めっき102、金めっき103、反射層105、特性維持層106をこの順に施した後、反射層105を包囲するように外囲樹脂104を形成している。このため、外囲樹脂104を構成する樹脂材料由来の主に有機成分からなるアウトガスが特性維持層106上に堆積し、アウトガスの塊が付着して黒点変色が発生するという問題がある。これは、特性維持層106の機能低下を招き、反射率の低下を誘発する原因となる。
…(略)…
【0010】
また、パッケージ開口部を拡大してダイパッドエリアを拡大する場合、パッケージ自体が大型化することやパッケージを形成する樹脂と封止樹脂との界面の面積が大きくなり、外部環境から浸入するガスや水分、さらには封止樹脂に含まれる物質により、ダイパッドエリアは硫化、酸化などによる変色が発生し信頼性が低下するという問題がある。
【0011】
本発明は以上の各課題に鑑みてなされたものであって、外囲樹脂を配設する際に生じる当該樹脂材料由来のアウトガスによる悪影響を低減し、ダイパッドエリアとワイヤーボンディングエリアのめっき面積比が極めて大きくなってもワイヤーボンディング性の低下を効果的に防止するとともに、パッケージの大型化を図っても、反射面の変色等の問題による信頼性の低下を抑制することが期待できるリードフレームの提供を目的とする。」

(エ)「【発明の効果】
…(略)…
【0015】
さらに、ダイパッドエリアに形成される第三被膜上には、第二有機被膜が形成され、…(略)…。ここで、ダイパッドエリアには塩化銀や硫化銀の抑制および樹脂密着性の向上を目的に最適化された第二有機被膜を形成し、…(略)…
【0016】
このように、ダイパッドエリア、ワイヤーボンディングエリアそれぞれに最適化された各有機被膜を形成することで、光半導体装置にLED素子を搭載し、実際に長時間点灯させた場合、LED素子搭載部であるシリコーン樹脂で封止されたリードフレーム上の銀めっき層表面の一部が、黒褐色に変色することがない。これは第一有機被膜が、金属硫化物や、塩化白金酸を代表とする金属塩化物等の樹脂硬化触媒が含まれるシリコーン樹脂と銀の反応を抑制し、塩化銀や硫化銀の生成を抑制する為である。発光素子が搭載されるダイパットエリア付近の銀めっき層表面が黒褐色等に変色することがない。従って反射率の高い本来の銀の特性が損なわれず、光半導体装置として十分な発光輝度が得られるという効果が奏される。」

(オ)「【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施の形態を添付の図面を参照しながら説明する。
尚、当然ながら本発明はこれらの実施形式に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
<実施の形態1>
(リードフレームの構成)
図1(a)は、本発明の実施の形態1における半導体装置用リードフレーム2(以下、単に「リードフレーム2」と称する。)の断面図である。図1(b)は、図1(a)のA部拡大図である。
【0019】
図1(a)において、リードフレーム2は、銅または鉄、ニッケルもしくはそれらを含む合金からなる金属基材1をプレスまたはエッチングなどの成型技術により所望の形状に加工し、所定の表面処理および外囲樹脂10の樹脂成形を施すことで構成されている。
【0020】
本発明の構成では、半導体素子(図示せず)を搭載するダイパッドエリア(搭載領域)8には、光の反射率を向上させるための銀または銀を含む合金めっき層(3、4、6)を形成する。また、半導体素子を電気接続するためのワイヤーボンディングエリア(接続領域)9には、金属ワイヤー接続性および樹脂密着性に優れるパラジウムまたはパラジウムを含む合金めっき層(3、4)を形成している。
【0021】
具体的には図1(b)に示すように、ダイパッドエリア8では金属基材1の表面に対し、下地めっき層(第一被膜)3、第一めっき層(第二被膜)4、第二めっき層(第三被膜)6、第二有機被膜7を順次積層している。一方、ワイヤーボンディングエリア9では金属基材1の表面に下地めっき層3、第一めっき層4を順次形成し、その最表面に第一有機被膜5を形成している。このように、ダイパッドエリア8及びワイヤーボンディングエリア9では、それぞれ別々にめっき層の積層構造を形成している。
…(略)…
【0025】
さらに、ダイパッドエリア8に形成される第2めっき被膜6上には、塩化銀や硫化銀の抑制および樹脂密着性の向上を目的とする第二有機被膜7が形成され、ワイヤーボンディングエリア9に形成される第1めっき被膜4上には、ワイヤーボンディングエリア9にはワイヤーボンディング性、電気特性、樹脂密着性の向上を目的とする第一有機被膜5がそれぞれ形成されている。
【0026】
かかる構成によれば、ダイパッドエリア8の銀または銀を含む合金めっきが硫化、酸化による変色を防止し、ワイヤーボンディングエリア9にはワイヤーボンディング性を向上することができる。
【0027】
以下、本発明のリードフレーム2について、その全体的な製造工程とともに具体的に説明する。
金属基材1の表面に、第一被膜3としてニッケルめっきまたはニッケル合金めっきが施され(第一被膜形成工程)、さらに第一被膜3上には第二被膜4であるパラジウムまたはパラジウム合金めっきを施す(第二被膜形成工程)。さらにダイパッドエリア8には、第三被膜6である銀または銀を含む合金めっきを形成する。(第三被膜形成工程)
…(略)…
【0030】
(第一有機被膜形成工程について)
ワイヤーボンディングエリア9では、少なくとも第二被膜4の上面に対し、後述する方法に基ついて第一有機被膜5を形成する。…(略)…また、第一有機被膜5にシリコーン樹脂等の封止樹脂との結合機能を持たせることにより、内部空間12に満たされる封止樹脂(不図示)等との樹脂密着性を向上させる効果も発揮される。
【0031】
(第三被膜形成工程について)
続いて、ダイパッドエリア8の少なくとも第二被膜4上面に、第三被膜6として銀または銀を含む合金めっきを形成する。第三被膜6の膜厚は0.001?5μmであることが好ましい。第三被膜6を設けることで、これにより後に表面に実装する発光素子から発せられる光の反射率が向上する。
…(略)…
【0033】
(第二有機被膜形成工程について)
次に、前記第一有機被膜5と同様の手法により、第三被膜6の表面に第二有機被膜7を形成する。第二有機被膜7を形成することで、第三被膜6のシリコーン樹脂中の硬化触媒による変色や大気中の硫化水素ガス等による銀めっきの変色を抑制する効果が奏される。更に、第二有機被膜7にシリコーン樹脂等の封止樹脂との結合機能を持たせることにより、樹脂密着性向上効果も発揮される。
【0034】
(樹脂外囲形成工程について)
続いて、フォトリソグラフィー等の手法に基づき、ダイパッドエリア8及びワイヤーボンディングエリア9の外周を囲うように外囲樹脂10を形成する。外囲樹脂10を設けることで、ダイパッドエリア8とワイヤーボンディングエリア9との絶縁および、発光素子から発せられる光のリフレクターとしての機能が発揮される。なお、外囲樹脂10は光の反射率の高い白色顔料が含まれている事が好ましく、ポリアミドや液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いる事ができる。
【0035】
以上の各工程を経ると、リードフレーム2が得られる。
次に、有機被膜5、7の構成について具体的に説明する。
(第一有機被膜5および第二有機被膜7の構成について)
図2(a)は機能性有機分子11の模式的な構造図である。当図に示される機能性有機分子11は、第一官能基A1、主鎖部B1、第二官能基C1が同順に結合されてなる。
…(略)…
【0060】
なお、第一有機被膜5については、機能性有機分子11を用いる事が好ましいが、成形樹脂等から発せられるアウトガス等による大気中の汚染物質の付着抑制機能や樹脂密着性機能が必要ない場合は、機能性有機分子11の第二官能基C1または主鎖部B1がなくても良く、第一官能基A1を含む有機化合物であればよい。
【0061】
さらに、第二有機被膜7については、機能性有機分子16を用いる事が好ましく、封止樹脂との優れた密着性を確保すると共に銀の変色を防止して反射率を長期間維持することが可能になる。
<実施の形態2>
以下、本発明の実施の形態2の半導体装置用リードフレームの製造方法について説明する。
【0062】
図4(a)?(g)は半導体装置用リードフレームの製造方法の工程フローに沿った断面図である。図4において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
…(略)…
【0069】
つぎに、ダイパッドエリア8表面に第三被膜6として銀または銀合金めっきを0.001?5μm施す(図4(e)第三被膜形成工程)。…(略)…
つぎに、第三被膜6表面に第二有機被膜7を形成する(図4(f)第二有機被膜形成工程)。…(略)…
【0070】
その後、半導体素子搭載エリアの外周を囲うように外囲樹脂8を成形する。(図4(g)樹脂外囲形成工程)それによりダイパッドエリア8とボンディングエリア9との絶縁や搭載される発光素子から発光される光の集光が可能になる。」

(カ)図1は、以下のとおりである。


イ 引用発明1
上記ア(ア)の段落【0001】、エの段落【0034】、【0070】の記載から、引用文献1には、リードフレーム2は、光半導体装置用リードフレームであり、ダイパッドエリア8に搭載する半導体素子は、発光素子であることが開示されている。

したがって、引用文献1には、実施の形態1のリードフレームを備えた光半導体装置として、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「光半導体装置用リードフレーム2を備えた光半導体装置であって、
リードフレーム2は、
金属基材1を所望の形状に加工し、所定の表面処理および外囲樹脂10の樹脂成形を施すことで構成されており、
発光素子を搭載するダイパッドエリア(搭載領域)8には、光の反射率を向上させるための銀または銀を含む合金めっき層(3、4、6)が形成され、
ダイパッドエリア8では金属基材1の表面に対し、下地めっき層(第一被膜)3、第一めっき層(第二被膜)4、第二めっき層(第三被膜)6、第二有機被膜7を順次積層され、
第三被膜6として銀または銀を含む合金めっきが形成され、
第二有機被膜7は、塩化銀や硫化銀の抑制および樹脂密着性の向上を目的とするものであり、
外囲樹脂10は、ダイパッドエリア8及びワイヤーボンディングエリア9の外周を囲うように形成され、発光素子から発せられる光のリフレクターとしての機能を発揮する、
リードフレーム2であり、
内部空間12に、シリコーン樹脂等の封止樹脂が満たされる、光半導体装置。」

(2)引用文献2について
ア 引用文献2:特開2010-239043号公報
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【0016】
LED光源20において、基板30の上には、Ag電極24及び25が配置され、Ag電極24及び25は不図示の外部電極と接続されている。Ag電極24及び25の上には、バリア層50が配置されている。バリア層50の上には、LED素子21が実装され、LED素子21のアノード22とAg電極24はワイヤー26によって電気的に接続され、LED素子21のカソード23とAg電極25はワイヤー28によって電気的に接続されている。…(略)…なお、Ag電極24及び25は、金属電極をAgメッキしたものでも良い。
【0017】
LED光源20のパッケージ枠31内には、LED素子21の周囲を囲むように、蛍光体が均一に練り込まれた封止材40が埋め込まれている。LED素子21として青色光を発光する窒化物系化合物半導体を用い、封止材40に含まれる蛍光体としては、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体を用いた。…(略)…
【0018】
封止材40として、透明性のシリコーン樹脂を用いた。なお、封止材40は、この樹脂に限定されるものではなく、例えば透明性のあるエポキシ樹脂等を利用することも可能である。
【0019】
バリア層50としては、酸化ケイ素膜をスパッタ法によって20nmに成膜したものを利用した。しかしながら、バリア層50としては、これに限定されるものではなく、酸化アルミニウム膜、酸化チタン膜または、これら化合物の酸素の一部を他の元素に置き換えた化合物等のLED素子21からの特定の発光波長を有する出射光を十分に透過することが可能な金属酸化膜を利用することができる。特に、Ag電極との密着性については酸化アルミニウム膜が優れており、硫化ガスの耐透過性については酸化ケイ素膜が優れている。したがって、バリア層50を2層構造とし、Ag電極に直接酸化アルミニウム膜を成膜して中間層とし、その上に酸化ケイ素膜を成膜すると、Ag電極への密着性に優れ、且つAg電極を黒色化させる硫化ガスの耐透過性に優れたより効果的なバリア層50を設けることが可能となる。」

(イ)「【0020】
図3は、LED光源20の製造過程を説明する図である。
…(略)…
【0022】
図3(c)は、次に、バリア層50の上に、LED素子21を実装した状態を示している。このように、LED素子21は、バリア層50によって完全に被服されたAg電極上に実装されているので、LED素子21の長期点灯動作等によって、LED素子21の下部のAg電極24が変成等して、黒色化するのを効果的に防止することが可能となった。」

(ウ)「【0038】
図7に示したように、Ag電極全体を金属酸化膜から構成されるバリア層50で被服するようにしたので、外部からの硫化ガスの進入を防止することができるだけでなく、LED素子21の発熱等によるLED素子21の下部の変成等をも防止することができるので、LED光源のAg電極の黒色化を防止して、長期に渡って良好な輝度を維持することが可能となった。」

イ 引用発明2
したがって、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「LED光源20であって、
基板30の上には、Ag電極24及び25が配置され、
Ag電極24及び25の上には、バリア層50が配置され、
バリア層50の上には、LED素子21が実装され、
LED光源20のパッケージ枠31内には、LED素子21の周囲を囲むように、蛍光体が均一に練り込まれた封止材40が埋め込まれており、
封止材40として、透明性のシリコーン樹脂を用い、
バリア層50としては、酸化ケイ素膜をスパッタ法によって成膜したものを利用したが、バリア層50としては、これに限定されるものではなく、LED素子21からの特定の発光波長を有する出射光を十分に透過することが可能な金属酸化膜を利用することができる、LED光源20。」

(3)引用文献3について
ア 引用文献3:特開2012-69539号公報
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、導電部材上に発光素子が設けられた発光装置の製造方法に関するものである。」

(イ)「【背景技術】
【0002】
発光素子を光源とする発光装置において、発光素子の周囲に銀等を含む反射膜を設けて出力を向上させ、さらに反射膜の上にスパッタ、CVD等により無機材料からなる保護膜を形成して反射膜の変色等を抑制する試みがなされている。」

(ウ)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、反射膜により一旦出力を向上させることができるものの、使用時等において、出力が低下するという問題があった。つまり、スパッタ、CVD等では、材料成分がある程度の直進性をもって目的物に当たることで保護膜が形成されるので、例えば、発光素子の近傍では発光素子自体が障害物となり良質な保護膜を形成することができなかった。そのため、時間の経過に伴いそれらの部分から優先的に反射膜が劣化し変色してしまう等の問題があった。
【0005】
そこで本発明は、反射膜の変色等を抑制し高い出力を維持することができる発光装置の製造方法を提供することを目的とする。」

(エ)「【0010】
[実施の形態1]
図1(a)?(f)に、本実施の形態の発光装置の製造方法の各工程を示す。図2は、図1(f)における破線枠部の拡大模式図である。
【0011】
(導電部材準備工程)
先ず、図1(a)に示すように、母材1a上に反射膜1bが設けられた導電部材1を準備する(導電部材準備工程)。ここでは、母材1aだけでなく反射膜1bも導電性を有している。本実施の形態では、導電部材は母材と反射膜とで構成されている。
【0012】
母材1aは導電性を備えていればよく、その材料は限定されない。母材1aとしては、例えば、銅又は銅合金を使用することができる。
【0013】
反射膜1bは、発光素子3からの光を反射することができればよく、その材料は限定されない。反射膜1bとしては、例えば、銀、アルミニウムを用いることができ、特に反射率の高い銀を含む材料とすることが好ましい。
…(略)…
【0015】
(パッケージ形成工程)
次に、図1(b)に示すように、例えば、導電部材1に基部2a及び側壁2bを有するパッケージ2を形成することができる(パッケージ形成工程)。
【0016】
パッケージの材料について限定はなく、例えば樹脂、セラミックで形成することができる。樹脂からなるパッケージの場合、導電部材1をパッケージ形成金型(図示せず)に配置して、そこにパッケージ材料となる樹脂を流し込み固めることで、パッケージ2を導電部材1と一体に形成することができる。パッケージの凹部底面には導電部材1の一部が露出している。
【0017】
パッケージ2は、導電部材1と一体に形成されるものであり、絶縁性であればその材料は限定されない。パッケージ2の材料としては、耐光性、耐熱性に優れた電気絶縁性のものが好適に用いられ、例えばポリフタルアミドなどの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ガラスエポキシ、セラミックスを用いることができる。また、本実施の形態ではパッケージ2が側壁2bを有する構成としたが、側壁を必ず設ける必要はない。
【0018】
(発光素子配置工程)
次に、図1(c)に示すように、反射膜1b上に発光素子3を配置する(発光素子配置工程)。具体的には、接着部材(図示せず)を介して、発光素子3を反射膜1bに配置することができる。接着部材は導電性であっても良いし、絶縁性であっても良い。
…(略)…
【0020】
発光素子3は公知のものを用いることができ、例えば青色発光や緑色発光が可能な窒化…(略)…からなるLEDとすることができる。
【0021】
(ワイヤー接続工程)
次に、図1(d)に示すように、発光素子3と反射膜1bとを導電性のワイヤー4にて電気的に接続することもできる(ワイヤー接続工程)。ここでは、導電性の反射膜1bを介して、発光素子3と母材1aとが電気的に接続されている。
…(略)…
【0024】
(保護膜形成工程)
次に、図1(e)に示すように、原子層堆積法(以下、単に「ALD」(Atomic Layer Deposition)ともいう))により反射膜1b上に保護膜5を形成する。つまり、発光観測面側から保護膜5を形成する。スパッタ等の従来の方法と異なり、ALDは反応成分の層を1原子層ごと形成する方法である。以下に、TMA(トリメチルアルミニウム)及び水(H_(2)O)を用いて、酸化アルミニウム(Al_(2)O_(3))の保護膜を形成する場合について説明する。
…(略)…
【0026】
スパッタ、CVD等と異なり、ALDでは反応成分の直進性が低いので、障害物近傍であっても、反応成分が同等に供給され反応成分が単分子層ごとに形成される。その結果、障害物近傍の領域も障害物のない他の領域と同様に、より均一な膜厚及び膜質でより良質な保護膜を形成することができる。
…(略)…
【0028】
…(略)…保護膜の質が低下等した部分は他の部分に比較してピンホールが多く発生しており、それが原因となって反射膜が硫化、臭化等してしまい変色するものと考えられる。発光素子の周囲近傍は光出力が強いので、発光素子周囲近傍の反射膜の変色により、発光装置の光出力は大きく低下してしまう。
【0029】
そこで、ALDを採用することにより、発光素子近傍の領域(領域A(図2))であっても、膜質等に優れた保護膜5を形成することができる。これにより、領域Aにおける反射膜1bの変色等を抑制することができる。
…(略)…
【0033】
…(略)…図4(a)に示すように、ALDにより形成した保護膜は、硫化しやすい条件にもかかわらず、ワイヤーから離れた障害物のない領域だけでなくワイヤー直下の領域(図2の領域Bに相当)においても硫化による変色は見られなかった。…(略)…
【0038】
保護膜5としては、例えば、酸化アルミニウム(Al_(2)O_(3))二酸化珪素(SiO_(2))、窒化アルミニウム(AlN)又は窒化珪素(Si_(3)N_(4))を採用することができ、好ましくは酸化アルミニウム又は二酸化珪素、より好ましくは酸化アルミニウムとすることができる。これにより、発光素子からの光の吸収が抑制され、保護力に優れた保護膜とすることができる。
…(略)…
【0041】
(その他の工程)
図1(f)に示すように、必要に応じて、パッケージの側壁2bよりなる凹部の内側に封止部材6を形成することができる(封止部材形成工程)。さらに、それぞれが発光装置として機能するように導電部材1を切断(導電部材切断工程)した後、必要に応じて導電部材1をパッケージ2の裏面に折り曲げて(導電部材折り曲げ工程)個々の発光装置とすることができる。
【0042】
封止部材6は、発光素子3を封止するためのものであり、発光素子3からの光を外部に透過するものであればその材料は限定されない。封止部材6の材料としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。…(略)…」

イ 引用発明3
したがって、引用文献3には、次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「導電部材上にLED素子が設けられた発光装置であって、以下の製造方法で製造された発光装置:
母材1a上に反射膜1bが設けられた導電部材1を準備し(導電部材準備工程)、
導電部材1に基部2a及び側壁2bを有するパッケージ2を形成し(パッケージ形成工程)、
反射膜1b上にLED素子3を配置し(発光素子配置工程)、
LED素子3と反射膜1bとを導電性のワイヤー4にて電気的に接続し(ワイヤー接続工程)、
原子層堆積法(ALD)により反射膜1b上に保護膜5を形成し(保護膜形成工程)、
パッケージの側壁2bよりなる凹部の内側に封止部材6を形成する(封止部材形成工程)ことを含む、発光装置の製造方法であり、
反射膜1bとしては、銀を含む材料とすることが好ましく、
保護膜5としては、例えば、酸化アルミニウム(Al_(2)O_(3))二酸化珪素(SiO_(2))、窒化アルミニウム(AlN)又は窒化珪素(Si_(3)N_(4))を採用することができ、好ましくは酸化アルミニウム又は二酸化珪素、より好ましくは酸化アルミニウムとすることができ、
封止部材6は、発光素子3からの光を外部に透過する、
発光装置。」

(4)引用文献4について
ア 引用文献4:特開2006-77237号公報
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、粘土配向膜からなる保護膜に関するものであり、更に詳しくは、自立膜として利用可能な機械的強度を有し、粘土粒子の積層を高度に配向させた、新規粘土配向膜からなる保護膜に関するものである。本発明は、粘土薄膜の技術分野において、従来、自立膜として利用可能な機械的強度を有する粘土薄膜を製造し、提供することは困難であったことを踏まえ、優れたフレキシビリティーを有し、高熱安定性、高バリアー性で、構造水酸基の脱出による構造変化がしにくい、自立膜として利用可能な機械的強度を有する粘土配向膜からなる保護膜を提供することを可能とするものである。本発明は、例えば、多くの産業分野で各種部材の防食、防汚、耐熱性向上、酸化防止、防錆等に使用可能な新しい保護膜を提供するものであり、特に、250℃を超える高温度条件下で使用することが可能な、高耐熱性、高ガスバリア性能を有する、従来の有機高分子材料に代替し得る新素材として有用な新規粘土配向膜からなる保護膜を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、多くの化学産業分野において、高温条件下での種々の生産プロセスが用いられている。それらの生産ラインの配管連結部などでは、例えば、パッキンや溶接などによって液体や気体のリークを防止する方策がとられている。これまで、例えば、フレキシビリティーに優れたパッキンは、有機高分子材料を用いて作られていた。しかしながら、その耐熱性は、最も高いテフロン(登録商標)で約250℃であり、これ以上の温度では金属製パッキンを用いなければならず、また、それらには、有機高分子材料のものと比較してフレキシビリティーに劣るという問題点があった。」

(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
…(略)…
本発明は、250℃を超える高温条件においてフレキシブリティーに優れ、かつ気体・液体のバリアー性に優れた粘土配向膜からなる新規保護膜を製造し、提供することを目的とするものである。」

(ウ)「【0012】
本発明では、上記粘土配向膜は、上記特性を利用して、支持体の保護膜として使用される。この場合、支持体としては、上記粘土配向膜をその表面に形成し得るものであれば特に制限されるものではなく、任意の材料及びその製品が用いられる。本発明では、支持体の表面に粘土配向膜を形成させたのち、粘土配向膜を支持体表面から剥離せずに、乾燥し、支持体と一体的に保護膜として利用する。本発明の保護膜は、例えば、上記粘土配向膜の高耐熱性を利用して、支持体に耐熱性を付与する目的で使用されるが、これに制限されるものではなく、上記粘土配向膜の機能と特性を生かした保護膜として広く使用することができるものである。
【0013】
上記粘土配向膜は、例えば、はさみ、カッター等で容易に円、正方形、長方形などの任意の大きさ、形状に切り取ることができる。本発明の保護膜は、上記粘土配向膜から構成され、好適には、厚さは1mmよりも薄く、面積は1cm^(2)よりも大きい。また、上記粘土配向膜の主要構成成分は、好適には、例えば、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、又はノントロナイトである。また、本発明の上記粘土配向膜からなる保護膜は、粘土粒子の積層が高度に配向し、ピンホールの存在しないことを特徴とし、フレキシビリティーに優れ、250℃以上600℃までの高温においても構造変化しないことを特徴とする。本発明の上記粘土配向膜は、250℃を超える高温条件下で使用が可能であり、フレキシビリティーに優れており、かつピンホールの存在しない緻密な材料であり、かつ気体・液体のバリアー性に優れるといった特徴を有する。したがって、本発明の上記粘土配向膜からなる保護膜は、例えば、250℃を超える高温条件下で耐熱性に優れた保護膜等として使用することができ、多くの産業分野で、各種部材の耐熱性向上、酸化防止等に利用することができる。
【0014】
ヘリウムガス分子は、あらゆるガス種の中で最も小さく、そのため、ヘリウムガスは、その遮蔽が最も困難である。本発明の上記粘土配向膜からなる保護膜は、種々のガス、すなわち空気、酸素ガス、窒素ガス、水素ガスのみならず、ヘリウムガスに対しても高いガスバリア性を示す。したがって、本発明の上記粘土配向膜からなる保護膜は、有機ガスを含むあらゆるガスに対する遮蔽性を有すると考えられる。また、本発明の保護膜は、粘土配向膜を形成させたのち、支持体表面から剥離せずに支持体の保護膜として用いられるが、これによって、支持体の防食、防汚、耐熱性を向上させる効果がある。この保護膜は、特に、酸素ガスを遮断する効果があることから、支持体の酸化を防ぐ効果が期待され、例えば、金属構造材や金属継ぎ手部分の防錆に利用できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、(1)粘土粒子の配向が揃った粘土配向膜からなる保護膜を提供できる、(2)また、従来法では、自立膜として利用可能な機械的強度を有する粘土薄膜を作製することは困難であったが、本発明は、そのような粘土配向膜からなる保護膜を作製し、提供することを可能とするものである、(3)自立膜として利用可能な機械的強度を有し、粘土粒子の積層を高度に配向させた膜からなる保護膜を製造し、提供できる、(4)この保護膜は、250℃を超える高温においても優れたフレキシビリティーを有し、高熱安定性、高バリアー性で、化学的に安定であり、支持体の防食、防汚、耐熱性向上、酸化防止、防錆、電気絶縁性向上、断熱性向上、難燃性向上、等に用いることができる、という格別の効果が奏される。」

(5)引用文献5について
ア 引用文献5:特開2011-157523号公報
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や医薬品などの包装材料、日用品や工業用品に使用されるプラスチックフィルム、シート、容器に関するものであり、さらに詳しくは、特に、高い透明性と高いガスバリア性を要求される分野で利用することができるコーティング液と、それを塗布してなるコーティング膜並びに水蒸気バリア性のある積層フィルムに関するものである。本発明は、透明ハイガスバリア膜用コーティング液及びそれを用いて得られるコーティング膜並びに積層フィルムであって、食品、医薬品、化学薬品、電子部品、精密機械部品などに用いられる包装材料として有用な新技術・新製品を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
食品、医薬品、化学薬品、電子部品、精密機械部品などに用いられる包装材料は、内容物の視認性や美観性、あるいは品質面から、高い透明性が要求されるとともに、内容物の吸湿や酸化などによる変質などを防止するために、高いガスバリア性が必要である。特に、食品については、タンパク質や油脂類の酸化、変質を抑制し、鮮度保持のために、また、医薬品においては、その効能を維持するために、高いガスバリア性が求められている。さらに、電子部品や精密機械部品においても、内容物に影響を及ぼすガスや湿気を遮断するとともに、内容物が確認できる透明性の包装材料が求められており、同時に、表面の汚れ防止、微細な傷防止のために、保護膜としての機能も要求されている。」

(イ)「【0014】
次に、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明は、透明性の高い合成粘土と、透明性の高い水可溶性の高分子を、水あるいは水を主成分とする液に分散させ、ダマを含まない均一なコーティング液を作製すること、このコーティング液を、表面が平坦な基材、例えば、プラスチックフィルムなどに、一般的なコーティング方法により塗布し、粘土粒子を沈積させるとともに、分散媒である液体を加熱蒸発法などにより乾燥除去し、コーティング膜を作製することを特徴とするものであり、それにより、基材との密着性に優れ、透明性があって、基材の透明性を阻害しない、しかも、粘土粒子が配向して積層された状態になっている、ガスバリア性に優れ、耐熱性も優れたコーティング膜を作製し、提供するものである。
【0015】
本発明では、水分散型の粘土分散液として調製される粘土で、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどで示されるスメクタイト系のうちの一種以上からなるものが使用される。このような粘土を使用したときに、製膜性に優れ、ピンホールが存在せず、高いバリア性を得ることができる。また、透明性を向上させるために、好適には合成粘土、さらに好適には合成スメクタイト系が使用される。ここで、製膜性に優れ、とは、フレキシビリティーを有し、加工性に優れ、ロールトゥロールプロセスの適用が可能であることを意味し、ピンホールが存在せず、とは、ガスバリア性を低下させる連続した貫通孔がないこと、高いバリア性、とは、通過するガス量が非常に少ないことを意味する。」

2 対比・判断
(1)本願発明1について
ア 引用発明1との対比・判断について
(ア) 本願発明1と引用発明1との対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。

a 本願の明細書の段落【0069】には、第3の実施形態について、「銅めっき板が配線された基板10の代わりに、リードフレーム等の導電性を有する基板13が用いられる。…(略)…なお、第1の実施形態および第2の実施形態においても、適宜、銅めっき板が配線された基板10を基板13に変更してもよい。」と記載されている。
したがって、引用発明1の「リードフレーム2」は、本願発明1の「基板」に相当する。

b 引用発明1では、リードフレーム2は、「発光素子を搭載するダイパッドエリア(搭載領域)8には、光の反射率を向上させるための銀または銀を含む合金めっき層(3、4、6)が形成され、ダイパッドエリア8では金属基材1の表面に対し、下地めっき層(第一被膜)3、第一めっき層(第二被膜)4、第二めっき層(第三被膜)6、第二有機被膜7を順次積層され、第三被膜6として銀または銀を含む合金めっきが形成され」たものである。
したがって、本願発明1と引用発明1とは、「表面に銀めっき層が形成された基板」を備える点で一致する。

c 引用文献1の段落【0016】を参照すると、イン文献1には、引用発明1の発光素子として、LED素子、すなわち、発光ダイオードが示唆されている。また、引用発明1の「搭載」は本願発明1の「ボンディング」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明1とは、「前記銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオード」を備える点で一致する。

d 引用発明1では、リードフレーム2は、「外囲樹脂10の樹脂成形を施すことで構成され」、「外囲樹脂10は、ダイパッドエリア8及びワイヤーボンディングエリア9の外周を囲うように形成され、発光素子から発せられる光のリフレクターとしての機能を発揮する」ものである。
したがって、引用発明1の「外囲樹脂10」は、本願発明1の「リフレクタ」に相当するといえるから、本願発明1と引用発明1とは、「前記基板上であって、前記発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタ」を備える点で一致する。

e 引用文献1の段落【0030】には、「内部空間12に満たされる封止樹脂(不図示)」、【0033】には、「第二有機被膜7にシリコーン樹脂等の封止樹脂との結合機能を持たせる」と記載されていること、及び、LED素子を備える光半導体装置における技術常識を勘案すると、引用文献1には、当該封止樹脂として、透明封止樹脂が示唆されているといえる。
したがって、本願発明1と引用発明1とは、「前記リフレクタ内に充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部」を備える点で一致する。

f 引用発明1では、リードフレーム2は、「ダイパッドエリア8では金属基材1の表面に対し、下地めっき層(第一被膜)3、第一めっき層(第二被膜)4、第二めっき層(第三被膜)6、第二有機被膜7を順次積層され」るものであるから、本願発明1と引用発明1とは、「前記銀めっき層を被覆する膜」を備える点で一致する。

g 以上をまとめると、本願発明1と引用発明1との、一致点、相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「表面に銀めっき層が形成された基板と、
前記銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオードと、
前記基板上であって、前記発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタと、
前記リフレクタ内に充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部と、
前記銀めっき層を被覆する膜と
を備える、光半導体装置。」

<相違点1>
銀めっき層を被覆する膜が、本願発明1は、「粘土膜」であって、「前記粘土膜の膜厚が均一であり、前記粘土膜が、前記粘土膜の表面が前記銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚を有する」のに対し、引用発明では、「第二有機被膜7」であり、「粘土膜」とは異なる点。

(イ)本願発明1と引用発明1との相違点についての判断
本願発明1と引用発明1との相違点(相違点1)について検討する。

a まず、引用発明1に引用文献4に記載の技術を適用することについて、検討する。
引用発明1は、「光半導体装置用リードフレーム2を備えた光半導体装置」に係る発明であり、第二有機被膜7は、リードフレーム2のダイパッドエリア8において、第三被膜6として形成された銀または銀を含む合金めっきに積層されるものである。
また、引用発明1において、「第二有機被膜7は、塩化銀や硫化銀の抑制および樹脂密着性の向上を目的とするもの」である。
更に、引用文献1には、有機被膜が、封止樹脂のシリコーン樹脂と銀の反応を抑制し、塩化銀や硫化銀の生成を抑制すること(段落【0016】)、第二有機被膜7を形成することで、第三被膜6のシリコーン樹脂(封止樹脂)による変色や大気中の硫化水素ガス等による銀めっきの変色を抑制する効果が奏される(段落【0033】)旨、及び第二有機被膜7にシリコーン樹脂等の封止樹脂との結合機能を持たせることにより、樹脂密着性向上効果も発揮される(段落【0033】)旨が記載されている。

b 一方、引用文献4の段落【0001】には、「本発明は、粘土配向膜からなる保護膜に関するものであり、更に詳しくは、自立膜として利用可能な機械的強度を有し、粘土粒子の積層を高度に配向させた、新規粘土配向膜からなる保護膜に関するものである。」と記載されている。
また、引用文献4には、【背景技術】として、段落【0002】に、化学産業分野において、生産ラインの配管連結部などでの液体や気体のリークを防止する方策について、これまで、例えば、フレキシビティーに優れたパッキンは、有機高分子材料を用いて作られていた旨が記載されている。
更に、引用文献4の段落【0012】、【0013】には、本発明では、上記粘土配向膜は、支持体の保護膜として使用され、保護膜は、例えば、上記粘土配向膜の高耐熱性を利用して、支持体に耐熱性を付与する目的で使用され、上記粘土配向膜は、250℃を超える高温条件下で使用が可能であり、フレキシビリティーに優れており、かつピンホールの存在しない緻密な材料であり、かつ気体・液体のバリアー性に優れるといった特徴を有する。したがって、本発明の上記粘土配向膜からなる保護膜は、例えば、250℃を超える高温条件下で耐熱性に優れた保護膜等として使用することができ、多くの産業分野で、各種部材の耐熱性向上、酸化防止等に利用することができる旨が記載されている。
また、引用文献4の段落【0014】には、上記粘土配向膜からなる保護膜は、あらゆるガスに対する遮蔽性を有する旨が記載されている。
更に、引用文献4には、【発明の効果】として、段落【0015】に、「保護膜は、250℃を超える高温においても優れたフレキシビリティーを有し、高熱安定性、高バリアー性で、化学的に安定であり、支持体の防食、防汚、耐熱性向上、酸化防止、防錆、電気絶縁性向上、断熱性向上、難燃性向上、等に用いることができる、という格別の効果が奏される。」と記載されている。

c 上記aから、引用発明1の技術分野は、「光半導体装置用リードフレーム2を備えた光半導体装置」に係る発明の技術分野であり、一方、上記bから、引用文献4に例示されている技術分野は、化学産業分野における生産ラインの配管連結部に関する技術であり、引用発明1の技術分野と引用文献4に例示されている技術分野とは、関連性があるとまではいえない。

d また、上記aで検討したように、引用文献1には、第二有機被膜7により、大気中の硫化水素ガス等による銀めっきの変色を抑制する効果が奏される旨が記載されており、上記bから、引用文献4に記載の粘土配向膜は、ピンホールの存在しない緻密な材料であり、かつ気体・液体のバリアー性に優れるといった特徴を有し、上記粘土配向膜からなる保護膜は、あらゆるガスに対する遮蔽性を有するので、引用発明1の第二有機被膜7と引用文献4の粘土配向膜は、バリアー性またはガスに対する遮蔽性という点では、機能が共通するといえる。
しかしながら、上記aから、引用文献1には、有機被膜が、封止樹脂のシリコーン樹脂と銀の反応の抑制し、塩化銀や硫化銀の生成を抑制すること(段落【0016】)、第二有機被膜7を形成することで、第三被膜6のシリコーン樹脂(封止樹脂)による変色や大気中の硫化水素ガス等による銀めっきの変色を抑制する効果が奏される(段落【0033】)旨が記載されており、一方、引用文献4には、粘土配向膜からなる保護膜は、支持体の保護膜として使用される旨が記載されているから、引用文献4に記載の技術は、引用発明1のように、銀または銀を含む合金めっきを前提としたものではなく、かつ、シリコーン樹脂による封止を前提とするものでもない。したがって、引用文献4の粘土配向膜は、引用発明1の第二有機被膜7の有する機能である、封止樹脂と銀の反応を抑制するという機能を有するものではない。
更に、引用発明1の第二有機被膜7は、シリコーン樹脂等の封止樹脂と結合機能を持たせることにより、樹脂密着性向上効果も発揮する(段落【0033】)ものの、引用文献4に記載の粘土配向膜は、封止樹脂を前提としていない以上、樹脂密着性向上効果を発揮するものではない。

e したがって、引用発明1に引用文献4に記載の技術を適用することについて、上記a?dで検討したように、技術分野の関連性と、作用、機能の共通性の観点を併せて考慮してみると、当業者に、引用発明1の第二有機被膜7を、引用文献4の粘土配向膜に替える動機付けがあるということはできない。

f 次に、引用発明1に引用文献5に記載の技術を適用することについて、検討する。
引用文献5には、本発明は、食品や医薬品などの包装材料、日用品や工業用品に使用されるプラスチックフィルム、シート、容器に関するものであり、さらに詳しくは、特に、高い透明性と高いガスバリア性を要求される分野で利用することができるコーティング液と、それを塗布してなるコーティング膜並びに水蒸気バリア性のある積層フィルムに関するものであると記載されており(段落【0001】)、引用発明1の技術分野と引用文献5に例示されている技術分野とは、関連性があるとはいえない。

g また、上記aで検討したように、引用文献1には、第二有機被膜7により、大気中の硫化水素ガス等による銀めっきの変色を抑制する効果が奏される旨が記載されており、引用文献5に記載のコーティング膜は、ガスバリア性に優れたものであるから、引用発明1の第二有機被膜7と引用文献5のコーティング膜は、バリアー性またはガスに対する遮蔽性という点では、機能が共通するといえる。
しかしながら、上記aから、引用文献1には、有機被膜が、封止樹脂のシリコーン樹脂と銀の反応の抑制し、塩化銀や硫化銀の生成を抑制すること(段落【0016】)、第二有機被膜7を形成することで、第三被膜6のシリコーン樹脂(封止樹脂)による変色や大気中の硫化水素ガス等による銀めっきの変色を抑制する効果が奏される(段落【0033】)旨が記載されており、一方、引用文献5に記載のコーティング膜は、引用発明1のように、銀または銀を含む合金めっきへの積層を前提としたものではなく、かつ、シリコーン樹脂による封止を前提とするものでもない。したがって、引用文献5のコーティング膜は、引用発明1の第二有機被膜7の有する機能である、封止樹脂と銀の反応を抑制するという機能を有するものではない。
更に、引用発明1の第二有機被膜7は、シリコーン樹脂等の封止樹脂と結合機能を持たせることにより、樹脂密着性向上効果も発揮する(段落【0033】)ものの、引用文献5に記載のコーティング膜は、封止樹脂を前提としていない以上、樹脂密着性向上効果を発揮するものではない。

h したがって、引用発明1に引用文献5に記載の技術を適用することについて、上記f、gで検討したように、技術分野の関連性と、作用、機能の共通性の観点を併せて考慮してみると、当業者に、引用発明1の第二有機被膜7を、引用文献5のコーティング膜に替える動機付けがあるということはできない。
以上のとおりであるから、引用文献4、5を参照したとしても、引用発明1において、相違点1に係る本願発明1の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たということはできない。

i よって、本願発明1は、引用発明1及び引用文献4、5に記載の技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 引用発明2との対比・判断について
(ア)本願発明1と引用発明2との対比
本願発明1と引用発明2とを対比する。

a 引用発明2の「基板2」、「LED素子21」、「LED光源20」は、それぞれ本願発明1の「基板」、「発光ダイオード」、「光半導体装置」に相当する。

b 引用発明2では、「基板30の上には、Ag電極24及び25が配置され」るものであるから、本願発明1と引用発明2とは、「表面に銀部材が形成された基板」を備える点で共通する。

c 引用発明2では、「LED光源20のパッケージ枠31内には、LED素子21の周囲を囲むように、蛍光体が均一に練り込まれた封止材40が埋め込まれており、封止材40として、透明性のシリコーン樹脂を用い」るから、引用発明2の「封止材40」、「埋め込まれて」は、それぞれ本願発明1の「透明封止部」、「充填されて」に相当する。したがって、本願発明1と引用発明2とは、「充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部」を備える点で共通する。

d 引用発明2は、「Ag電極24及び25の上には、バリア層50が配置され」ているから、本願発明1と引用発明2とは、「前記銀部材を被覆する膜」を備える点で共通する。

e したがって、本願発明1と引用発明2との、一致点、相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「表面に銀部材が形成された基板と、
前記銀部材上にボンディングされた発光ダイオードと、
充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部と、
前記銀部材を被覆する膜と
を備える、光半導体装置。」

<相違点2-1>
基板上に形成された膜について、本願発明1では、「銀めっき層」であるのに対し、引用発明2では、「Ag電極24及び25」であり、これらがめっき層であるかは不明である点。

<相違点2-2>
本願発明1は、「前記基板上であって、前記発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタ」を備えるのに対し、引用発明2は、パッケージ枠31を備えるものの、パッケージ枠31は、「前記発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタ」であるとは特定されておらず、そのため、透明封止部(封止材40)は、「前記リフレクタ内」に充填されて封止するものとは特定されていない点。

<相違点2-3>
本願発明1は、「前記銀めっき層を被覆する粘土膜」を備え、「前記粘土膜の膜厚が均一であり、前記粘土膜が、前記粘土膜の表面が前記銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚を有する」のに対し、引用発明2は、「Ag電極24及び25の上には、バリア層50が配置され」、「バリア層50としては、酸化ケイ素膜をスパッタ法によって成膜したものを利用したが、バリア層50としては、これに限定されるものではなく、LED素子21からの特定の発光波長を有する出射光を十分に透過することが可能な金属酸化膜を利用することができる」ものであり、バリア層50として、粘土膜は特定されていない点。

(イ)本願発明1と引用発明2との相違点についての判断
本願発明1と引用発明2との相違点(相違点2-1?相違点2-3)について検討する。

a まず、相違点2-3について、検討する。
(a)引用発明2に引用文献4に記載の技術を適用することについて、検討する。
引用発明2の技術分野は、「LED光源20」に係る発明の技術分野であり、一方、上記ア(イ)bから、引用文献4に例示されている技術分野は、化学産業分野における生産ラインの配管連結部に関する技術であり、引用発明2の技術分野と引用文献4に例示されている技術分野とは、関連性があるとまではいえない。

(b)引用文献2の段落【0019】には、バリア層50として、硫化ガスの耐透過性について、酸化ケイ素膜が優れている旨が記載されており、上記ア(イ)bから、引用文献4に記載の粘土配向膜は、ピンホールの存在しない緻密な材料であり、かつ気体・液体のバリアー性に優れるといった特徴を有し、上記粘土配向膜からなる保護膜は、あらゆるガスに対する遮蔽性を有するので、引用発明2の酸化ケイ素膜と引用文献4の粘土配向膜は、バリアー性またはガスに対する遮蔽性という点では、機能が共通するといえる。
しかしながら、引用文献2の段落【0019】には、「Ag電極を黒色化させる硫化ガスの耐透過性に優れたより効果的なバリア層50」と記載されており、一方、引用文献4には、粘土配向膜からなる保護膜は、支持体の保護膜として使用される旨が記載されているから、引用文献4に記載の技術は、引用発明2のように、Ag電極を前提としたものではない。したがって、引用文献4の粘土配向膜は、引用発明2のバリア層50ないし酸化ケイ素膜の有する機能である、Ag電極の黒色化の防止という機能を有するものではない。

(c)また、引用発明2において、バリア層50として示唆されているのは、「LED素子21からの特定の発光波長を有する出射光を十分に透過することが可能な金属酸化膜」である。

(d)したがって、引用発明2に引用文献4に記載の技術を適用することについて、上記(a)?(c)で検討したように、技術分野の関連性と、作用、機能の共通性と、引用発明中における示唆との観点を併せて考慮してみると、当業者に、引用発明2のバリア層50を、引用文献4の粘土配向膜に替える動機付けがあるということはできない。

(e)次に、引用発明2に引用文献5に記載の技術を適用することについて、検討する。
引用発明2の技術分野は、「LED光源20」に係る発明の技術分野であるから、上記ア(イ)fにおける検討と同様に、引用発明2の技術分野と引用文献5に例示されている技術分野とは、関連性があるとはいえない。

(f)上記ア(イ)gにおける検討と同様に、引用文献5のコーティング膜は、引用発明2のバリア層50ないし酸化ケイ素膜の有する機能である、Ag電極の黒色化の防止という機能を有するものではない。

(g)また、引用発明2において、バリア層50として示唆されているのは、「LED素子21からの特定の発光波長を有する出射光を十分に透過することが可能な金属酸化膜」である。

(h)したがって、引用発明2に引用文献5に記載の技術を適用することについて、上記(e)?(g)で検討したように、技術分野の関連性と、作用、機能の共通性と、引用発明中における示唆との観点を併せて考慮してみると、当業者に、引用発明2のバリア層50を、引用文献5のコーティング膜に替える動機付けがあるということはできない。

(i)以上のとおりであるから、引用文献4、5を参照したとしても、引用発明2において、相違点2-3に係る本願発明1の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たということはできない。

b よって、相違点2-1及び相違点2-2について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明2及び引用文献4、5に記載の技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 引用発明3との対比・判断について
(ア)本願発明1と引用発明3との対比
本願発明1と引用発明3とを対比する。

a 引用発明3の「LED素子」、「発光装置」は、それぞれ本願発明1の「発光ダイオード」、「光半導体装置」に相当する。

b 引用発明3では、発光装置の製造方法として、「母材1a上に反射膜1bが設けられた導電部材1を準備し(導電部材準備工程)、反射膜1bとしては、銀を含む材料とすることが好ましく、導電部材1に基部2a及び側壁2bを有するパッケージ2を形成し(パッケージ形成工程)、反射膜1b上にLED素子3を配置し(発光素子配置工程)」を含む。したがって、本願発明1と引用発明3とは、「銀部材上にボンディングされた発光ダイオード」を備える点で共通する。

c 引用発明3では、発光装置の製造方法として、「パッケージの側壁2bよりなる凹部の内側に封止部材6を形成する(封止部材形成工程)」を含み、発光装置の「封止部材6は、発光素子3からの光を外部に透過する」から、本願発明1と引用発明3とは、「充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部」を備える点で共通する。

d 引用発明3は、発光装置の製造方法として、「原子層堆積法(ALD)により反射膜1b上に保護膜5を形成し(保護膜形成工程)」を含み、発光装置は、「反射膜1bとしては、銀を含む材料とすることが好まし」いから、本願発明1と引用発明3とは、「前記銀部材を被覆する膜」を備える点で共通する。

e 以上をまとめると、本願発明1と引用発明3との、一致点、相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「銀部材上にボンディングされた発光ダイオードと、
充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部と、
前記銀部材を被覆する膜と
を備える、光半導体装置。」

<相違点3-1>
本願発明1は、「表面に銀めっき層が形成された基板」と、「前記基板上であって、前記発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタ」を備えるのに対し、引用発明3の「発光装置」は、その製造方法が、「母材1a上に反射膜1bが設けられた導電部材1を準備し(導電部材準備工程)、導電部材1に基部2a及び側壁2bを有するパッケージ2を形成し(パッケージ形成工程)」を含むものであり、本願発明1のこれらの構成を備えるものではなく、更に、そのため、透明封止部(封止部材6)は、「前記リフレクタ内」に充填されて封止するものとは特定されていない点。

<相違点3-2>
本願発明1は、「前記銀めっき層を被覆する粘土膜」を備え、「前記粘土膜の膜厚が均一であり、前記粘土膜が、前記粘土膜の表面が前記銀めっき層の表面の凹凸に追従する膜厚を有する」のに対し、引用発明3の「発光装置」は、その製造方法が、「原子層堆積法(ALD)により反射膜1b上に保護膜5を形成し(保護膜形成工程)」を含み、発光装置は、「保護膜5としては、例えば、酸化アルミニウム(Al_(2)O_(3))二酸化珪素(SiO_(2))、窒化アルミニウム(AlN)又は窒化珪素(Si_(3)N_(4))を採用することができ、好ましくは酸化アルミニウム又は二酸化珪素、より好ましくは酸化アルミニウムとすることができ」るものであり、保護膜5として、粘土膜は特定されていない点。

(イ)本願発明1と引用発明3との相違点についての判断
本願発明1と引用発明2との相違点(相違点3-1?相違点3-2)について検討する。

a まず、相違点3-2について、検討する。
(a)引用発明3に引用文献4に記載の技術を適用することについて、検討する。
引用発明3の技術分野は、「発光装置」に係る発明の技術分野であり、一方、上記ア(イ)bから、引用文献4に例示されている技術分野は、化学産業分野における生産ラインの配管連結部に関する技術であり、引用発明2の技術分野と引用文献4に例示されている技術分野とは、関連性があるとまではいえない。

(b)引用文献3の段落【0004】、【0028】、【0029】等の記載を参照すると、引用発明3の課題は、反射膜が劣化して変色を抑制することであるものと認められ、一方、引用文献4には、粘土配向膜からなる保護膜は、支持体の保護膜として使用される旨が記載されており、反射膜の開示がないから、引用文献4に記載の技術は、引用発明3のように、反射膜の劣化抑制を課題としたものではない。したがって、引用発明3と引用文献4に記載の技術は、課題が共通するものではない。

(c)また、引用文献3の段落【0026】、【0029】、【0033】等の記載を参照すると、引用発明3において、保護膜5として開示ないし示唆されているのは、「原子層堆積法)ALD法」により形成されたもののみであると認められる。

(d)したがって、引用発明3に引用文献4に記載の技術を適用することについて、上記(a)?(c)で検討したように、技術分野の関連性と、課題の共通性と、引用発明中における示唆との観点を併せて考慮してみると、当業者に、引用発明3の保護膜5を、引用文献4の粘土配向膜に替える動機付けがあるということはできない。

(e)次に、引用発明3に引用文献5に記載の技術を適用することについて、検討する。
引用発明3の技術分野は、「発光装置」に係る発明の技術分野であるから、上記ア(イ)fにおける検討と同様に、引用発明2の技術分野と引用文献5に例示されている技術分野とは、関連性があるとはいえない。

(f)上記bで検討したように、引用発明3の課題は、反射膜が劣化して変色を抑制することであるものと認められ、一方、上記第5の1(5)の引用文献5摘記事項を参照すると、引用文献5には反射膜の開示がない。したがって、引用発明3と引用文献5に記載の技術は、課題が共通するものではない。

(g)したがって、引用発明2に引用文献5に記載の技術を適用することについて、上記(c)、(e)、(f)で検討したように、引用発明中における示唆と、技術分野の関連性と、課題の共通性との観点を併せて考慮してみると、当業者に、引用発明3の保護膜5を、引用文献5のコーティング膜に替える動機付けがあるということはできない。

(h)以上のとおりであるから、引用文献4、5を参照したとしても、引用発明3において、相違点3-2に係る本願発明1の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たということはできない。

b よって、相違点3-1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明3及び引用文献4、5に記載の技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 本願発明1についてのまとめ
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明1、引用発明2、または引用発明3及び引用文献4、5に記載の技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本願発明2-本願発明7について
本願発明2-本願発明4も、本願発明1の
「表面に銀めっき層が形成された基板と、
前記銀めっき層上にボンディングされた発光ダイオードと、
前記基板上であって、前記発光ダイオードを取り囲む位置に配置されるリフレクタと、
前記リフレクタ内に充填されて前記発光ダイオードを封止する透明封止部と、
前記銀めっき層を被覆する粘土膜と
を備え」という同一の構成を備えるものであり、本願発明5-本願発明7は、本願発明4を減縮した発明である。
したがって、本願発明1と同じ理由により、本願発明2-本願発明7は、引用発明1、2、または3及び引用文献4、5に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)原査定の理由2(進歩性)についてのまとめ
以上のとおりであるから、本願発明1-本願発明7は、引用発明1、引用発明2、または引用発明3及び引用文献4、5に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由2によっては、本願を拒絶することはできない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由1、2によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-16 
出願番号 特願2012-129037(P2012-129037)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 537- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小濱 健太  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 恩田 春香
星野 浩一
発明の名称 光半導体装置、その製造方法、その製造に用いる基体およびリフレクタ成型体  
代理人 平野 裕之  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 清水 義憲  
代理人 阿部 寛  
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