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審決分類 審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 H01R
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01R
管理番号 1331131
審判番号 不服2017-152  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-06 
確定日 2017-09-01 
事件の表示 特願2015-125201「シールドシェルと編組シールドとの接続構造及びワイヤハーネス」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月29日出願公開、特開2015-187996、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成24年5月22日に出願した特願2012-116512号(以下、「もとの出願」という。)の一部を平成27年6月23日に新たな特許出願としたものであって、平成28年3月4日付けで拒絶理由が通知され、同年5月9日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月5日付け(発送日:同年10月7日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対し、平成29年1月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。

第2.原審拒絶査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
1.理由1(進歩性)平成28年5月9日付けの手続補正により補正された本願の請求項1ないし3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(1)請求項1について
引用文献1に記載された「cable 120,122」、「connector shield 116」、「common shield 148」、「front collar 160」、「insulating sheath 402」はそれぞれ、本願の請求項1に係る発明における「電線」、「シールドシェル」、「編組シールド」、「締付部材」、「環状部材」に相当する(引用文献1の第4ページ第7ないし9行、第5ページ第22ないし24行、FIG.6、FIG.7。)。
本願の請求項1に係る発明と、引用文献1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)とを対比すると両者は、以下の点で相違する。
[相違点]
本願の請求項1に係る発明における環状部材は「粘着層」が形成されており、「前記粘着層は、編組シールドに接触しているとともに、環状部材の導電線間に入り込んでいる一部における前記粘着層は、シールドシェルと接触している」のに対し、引用発明におけるinsulating sheat 402には、かかる特定がない点。
以下、上記相違点について検討する。
例えば引用文献4の段落【0003】や、引用文献5の明細書第2ページ第6ないし16行に記載されているように、ワイヤーハーネスの結束等に用いるテープが粘着層を有することは、本願出願前に周知技術である。また、引用文献1の第5ページ第24行には、insulating sheath 402がbraid 156を覆うことが記載されているとともに、引用文献1のFIG.6及びFIG.7にはinsulating sheath 402の上にfront collar 160を設ける態様が示されている。さらに、引用文献1の第4ページ第7ないし9行には、front collar 160がcommon shield 148を加締めることが記載されている。これらの記載と前記周知技術を考慮すれば、引用発明に前記周知技術を付加することにより、粘着層がcommon shield 148に接触するとともに、front collar 160の、common shield 148の導電線間に入り込んでいる一部における粘着層は、connector shield 116と接触することとなるのは、当業者にとって自明である。
したがって、本願の請求項1に係る発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

(2)請求項2及び3について
引用文献1のconnector shield 116の断面形状は全体に亘って凸円弧状と認められる。

2.理由2(拡大先願)平成28年5月9日付けの手続補正により補正された本願の請求項1ないし3に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
(1)請求項1について
引用文献等2の願書に最初に添付された明細書,特許請求の範囲及び図面(以下「先願明細書等」という。)に記載された「電線23」、「シールドシェル22」、「編組線」、「編組導体24」、「シールドリング25」、「絶縁層51」は、それぞれ、本願の請求項1に係る発明における「電線」、「シールドシェル」、「導電線」、「編組シールド」、「締付部材」、「環状部材」に相当する(引用文献等3の段落【0021】ないし【0025】、【0040】、【0041】、【図2】,【図3】,【図9】。)。
本願の請求項1に係る発明における環状部材は「粘着層」が形成されており、「前記粘着層は、編組シールドに接触しているとともに、環状部材の導電線間に入り込んでいる一部における前記粘着層は、シールドシェルと接触している」点で、先願明細書等に記載された発明と相違する。しかし、例えば引用文献4の段落【0003】や、引用文献5の明細書第2ページ第6ないし16行に記載されているように、ワイヤーハーネスの結束等に用いるテープが粘着層を有することは、本願出願前に周知技術である(特に、先願明細書等の段落【0025】の「アセテートテープ」という記載、及び引用文献5の明細書第2ページ第15ないし16行の「アセテートクロス基材粘着テープ」という記載を参照。)。また、先願明細書等の段落【0025】には、編組導体24とシールドリング25との間にアセテートテープからなる絶縁層51を設けること、シールドリング25を加締めることが記載されており、これらの記載と前記周知技術を考慮すれば、先願明細書等に記載された発明に前記周知技術を付加することにより、粘着層が編組導体24に接触するとともに、シールドリング25の、編組導体24の編組線間に入り込んでいる一部における粘着層は、シールドシェル22と接触することとなるのは、当業者にとって自明である。
したがって、本願の請求項1に係る発明は、先願明細書等に記載された発明と実質同一であるから、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

(2)請求項2について
編組シールドを接続するシェルの断面形状として、全体に亘って凸円弧状の態様は周知である(引用文献1のFIG.2、引用文献3の段落【0015】及び【図2】。)。

(3)請求項3について
先願明細書等に記載された発明は、ワイヤハーネスに応用される接続構造である(段落【0002】。)。

引用文献等一覧
1.国際公開第2011/076819号
2.特願2011-090410号(特開2012-226832号公報参照)
3.特開2004-172476号公報(周知技術を示す文献)
4.特開平5-290659号公報(周知技術を示す文献)
5.実願平2-38512号(実開平4-643号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)

第3.審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第5項までの要件に違反しているものとはいえない。
すなわち、審判請求時の補正によって、特許請求の範囲の請求項1に記載された「一方の面に粘着層が形成されたテープからなる環状部材」とあるのを、「帯状体の裏面に粘着層が形成されたテープが前記編組シールドを囲んで複数回巻き回されてなり、前記帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を有する環状部材」とし、また、特許請求の範囲の請求項1に記載された「前記環状部材を介して」とあるのを、「前記環状部材の前記帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を介して」とすることにより、「環状部材」が「帯状体の裏面に粘着層が形成された」ものと限定を付すとともに、「環状部材」が「帯状体と粘着層とが粘着する複数の層」を有するものと限定を付すものであって、かつ、補正前の請求項1に記載された発明とその補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、この補正は、当初明細書に記載された事項の範囲内においてされたものであって、新規事項を追加するものではない。
そして、「第4.本願発明」から「第6.対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1ないし4に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4.本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、平成29年1月6日の手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。

「 【請求項1】
複数の電線の一部を収容するシールドシェルと、前記複数の電線を一括して被覆し金属からなる複数の導電線を編み合わせて形成される編組シールドと、の接続構造であって、
前記シールドシェルの外面との間に前記編組シールドを挟むように配置され、その締付力によって前記編組シールドを前記シールドシェルに押し付ける帯状の締付部材と、
前記編組シールドと前記締付部材との間に配置され、前記締付部材の締付力によって変形する弾性を有し、帯状体の裏面に粘着層が形成されたテープが前記編組シールドを囲んで複数回巻き回されてなり、前記帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を有する環状部材と、
を備え、
前記環状部材の材質は、クロス、ゴム、又は樹脂であり、
前記環状部材の幅は、前記締付部材の幅よりも広く、
前記締付部材は、前記環状部材だけに接触すると共に、前記環状部材の前記帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を介して前記編組シールドを前記シールドシェルに押し付け、
前記環状部材の一部は、前記導電線間に入り込んでおり、
前記粘着層は、前記編組シールドに接触しているとともに、前記環状部材の前記導電線間に入り込んでいる一部における前記粘着層は、前記シールドシェルと接触している
シールドシェルと編組シールドとの接続構造。
【請求項2】
前記シールドシェルの前記環状部材の内側にあたる領域は、前記電線の延伸方向に対して直交する断面における外面形状が、その全体に亘って凸円弧状である、
請求項1に記載のシールドシェルと編組シールドとの接続構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシールドシェルと編組シールドとの接続構造を備える
ワイヤハーネス。」

第5.引用文献等
1.引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用され、もとの出願の出願日前に頒布された刊行物である国際公開第2011/076819号(上記引用文献1)には、「CABLE JUNCTION(当審仮訳:「ケーブル接合」。以下、英文に続く( )内の和文は当審仮訳である。)に関して、図面(特に、FIG.1、FIG.2、FIG.6及びFIG.7を参照。)とともに、次の事項が記載されている。

ア.「The present invention ・・・ in motor vehicles. 」(明細書第1ページ第3及び4行)
(この発明は、電気ケーブル、特に自動車に使われるもののシールドに関する。)

イ.「The electrical connector 102 comprises a front mating face 108 ・・・ a rear projection 118 from the rear face 110. 」 (明細書第3ページ第3ないし9行)
(電気コネクター102は、対応電気コネクタ104と結合する前方結合面108と、後方ケーブル受け入れ面110を備える。
電気コネクター102は、後面110に貫通してケーブル受け入れ空洞112,114を備える。
電気コネクター102は、全ての空洞112,114の周囲を覆うコネクタシールド116を備える。コネクタシールド116は、管状で後面110からの後方突出部118からなる。)

ウ.「The cable junctioun 106 comprises a flexible common shield 148 for ensuring shielding continuity between the independent shielding means of the cables 120,122 and the connector shield 116.」(明細書第3ページ第28ないし30行)
(ケーブル接合106は、独立したシールド手段のケーブル120,122とコネクタシールド116間の継続的なシールドを確実にするための柔軟な共通シールド148を備える。)

エ.「The common shield 148 comprises ・・・ on the rear projection 118 of the connector shield 116. 」 (明細書第4ページ第5ないし9行)
(共通シールド148は、側部の重複部158で折り重ねられた編組シート157からなる管状の導電性編組156を備える。
ケーブル接合106は、コネクタシールド116の後方突出部118上の共通シールド150(注:148の誤記であると解される。)の前方部位154を狭持するための前方環状部160を備える。)

オ.「Referring to FIG.6 and FIG.7,・・・prevebting unwanted removal.」(明細書第5ページ第22ないし28行)
(図6及び図7は、別の実施例であるが、共通シールドとして、編組156を覆う絶縁シース402をさらに備えていることを除けば、ケーブル接合106は、図3に図示したものと同じである。さらに、ケーブル接合106は、各ケーブル120,122のために、共通のシールドの後端部から後方へ突出させる絶縁管状フィンガー404,406を備え、望ましくない離脱を防いで、ケーブル120,122を把持しておくために各々のケーブル120,122の周囲に引き延ばされている。)

カ.上記イ.の「電気コネクター102は、後面110に貫通してケーブル受け入れ空洞112,114を備える。電気コネクター102は、全ての空洞112,114の周囲を覆うコネクタシールド116を備える。」との記載及び上記エ.の「共通シールド148は、側部の重複部158で折り重ねられた編組シート157からなる管状の導電性編組156を備える。」との記載、並びに、FIG.2とFIG.6とを併せてみると、ケーブル接合106は、複数のケーブル120,122の一部を収容するコネクタシールド116と、前記複数のケーブル120,122を一括して被覆し金属からなる複数の導電線を編み合わせて形成される共通シールド148との接続構造を有することが理解できる。

キ.上記エ.の「ケーブル接合106は、コネクタシールド116の後方突出部118上の共通シールド150(注:148の誤記であると解される。)の前方部位154を狭持するための前方環状部160を備える。」との記載及び上記オ.の「共通シールドとして、編組156を覆う絶縁シース402をさらに備えている」との記載、並びに、FIG.2とFIG.6とを併せてみると、帯状の前方環状部160は、コネクタシールド116の外面との間に前記共通シールド148を挟むように配置されることが理解でき、また、絶縁シース402は、前記共通シールド148と前記前方環状部160との間に配置され、前記絶縁シース402の幅は、前記前方環状部160の幅よりも広いことが理解でき、また、前方環状部160は、前記絶縁シース402だけに接触すること、及び、その締付力によって前記共通シールド148を前記絶縁シース402を介して前記コネクタシールド116に押し付けることは明らかである。

上記記載事項及び認定事項並びに図面の図示事項を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「複数のケーブル120,122の一部を収容するコネクタシールド116と、前記複数のケーブル120,122を一括して被覆し金属からなる複数の導電線を編み合わせて形成される共通シールド148と、の接続構造であって、
前記コネクタシールド116の外面との間に前記共通シールド148を挟むように配置され、その締付力によって前記共通シールド148を前記コネクタシールド116に押し付ける帯状の前方環状部160と、
前記共通シールド148と前記前方環状部160との間に配置される絶縁シース402と、
を備え、
前記絶縁シース402の幅は、前記前方環状部160の幅よりも広く、
前記前方環状部160は、前記絶縁シース402だけに接触すると共に、前記絶縁シース402を介して前記共通シールド148を前記コネクタシールド116に押し付ける
コネクタシールド116と共通シールド148との接続構造。」

2.引用文献等2
原査定の拒絶の理由で引用され、もとの出願日前の特許出願であって、もとの出願後に出願公開された特願2011-090410号(特開2012-226832号公報参照)(上記引用文献等2)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「先願明細書等」という。)には、「シールドコネクタ」に関して、図面(特に【図1】ないし【図3】及び【図9】を参照。)とともに次の事項が記載されている。

ア.「【0001】
本発明は、シールドリングによって編組導体がシールドシェルへ締め付けられて電気的に接続されたシールドコネクタに関する。」

イ.「【0016】
図2及び図3に示すように、雄型シールドコネクタ12は、ハウジング21と、シールドシェル22と、電線23と、編組導体24と、シールドリング25とを備える。」

ウ.「【0021】
シールドシェル22は、導電性を有する金属材料であるSPC等の鋼板からなるもので、その外周面には錫メッキが施されている。このシールドシェル22は、有底筒状に形成されたシェル本体41を有しており、このシェル本体41の底部42には、電線23が挿通される挿通孔43が形成されている(図1参照)。また、このシールドシェル22は、シェル本体41におけるハウジング21側に、周囲へ突出する固定フランジ部44を有している。また、固定フランジ部44は、シールドシェル22の両側部に張り出した固定片45を有しており、これらの固定片45には、挿通孔46が形成されている。
【0022】
そして、このシールドシェル22のシェル本体41に、ハウジング21の後端側が嵌め込まれて装着される。このとき、ハウジング21のフランジ部35とシールドシェル22の固定フランジ部44との間でパッキン47が挟持され、よって、ハウジング21とシールドシェル22とがシールされる。
【0023】
編組導体24は、錫メッキが施された銅または銅合金からなる複数の編組線を交差状に編み込んで筒状にしたもので、シールドシェル22に電気的に接続されることで、電線23内を通る電気信号に対する外乱等を防止するための接地回路を形成する。編組導体24は、通常、複数の電線23の周囲を覆うように被せられる。この編組導体24は、その端部が広げられ、シールドシェル22のシェル本体41に、その後端側から被せられる。
【0024】
シールドリング25は、強度の高い金属材料であるSUS等のステンレス鋼板からなるもので、環状に形成されている。このシールドリング25は、シールドシェル22のシェル本体41に被せられた編組導体24の外周側に装着された状態で加締められる。これにより、編組導体24は、シールドシェル22のシェル本体41に対して電気的に接続された状態に固定される。
【0025】
ここで、本実施形態では、編組導体24とシールドリング25との間に、絶縁層51が設けられている。これにより、編組導体24とシールドリング25との直接接触が防止されて互いに絶縁されている。具体的には、アセチルセルロースを原料とする半合成繊維であるアセテートテープをシールドシェル22のシェル本体41に被せられた編組導体24の外周側に巻き付けてシールドリング25を加締める。このようにすると、編組導体24とシールドリング25との間に、アセテートテープからなる絶縁層51が設けられ、これらの編組導体24とシールドリング25とが絶縁される。」

エ.「【0040】
これに対して、本実施形態では、編組導体24の外周側に絶縁層51を介してシールドリング25を装着して加締めているので、図9に示すように、錫メッキを施した銅または銅合金からなる編組導体24とステンレス鋼板からなるシールドリング25との間が絶縁層51によって絶縁された状態となる。このため、このシールドリング25による加締め箇所での異種金属接触による電食(ガルバニック腐食)を確実に防止することができ、よって、良好なシールド効果を常に維持することができ、高い性能及び品質を長期的に維持することができる。
【0041】
また、アセチルセルロースを原料とする半合成繊維であるアセテートテープを、シールドシェル22へ被せた編組導体24の外周に巻き付け、その外周側からシールドリング25を加締めることにより、極めて容易に編組導体24とシールドリング25とを良好に絶縁させることができる。」

オ.上記イ.の「図2及び図3に示すように、雄型シールドコネクタ12は、ハウジング21と、シールドシェル22と、電線23と、編組導体24と、シールドリング25とを備える。」及び上記ウ.の段落【0024】の「編組導体24は、錫メッキが施された銅または銅合金からなる複数の編組線を交差状に編み込んで筒状にしたもので、シールドシェル22に電気的に接続されることで、電線23内を通る電気信号に対する外乱等を防止するための接地回路を形成する。編組導体24は、通常、複数の電線23の周囲を覆うように被せられる。」との記載、並びに、【図2】及び【図3】によれば、雄型シールドコネクタ12は、複数の電線23の一部を収容するシールドシェル22と、前記複数の電線23を一括して被覆し金属からなる複数の編組線を編み合わせて形成される編組導体24との接続構造を有することが理解できる。

カ.上記ウ.の段落【0025】の「編組導体24とシールドリング25との間に、絶縁層51が設けられている。これにより、編組導体24とシールドリング25との直接接触が防止されて互いに絶縁されている。具体的には、アセチルセルロースを原料とする半合成繊維であるアセテートテープをシールドシェル22のシェル本体41に被せられた編組導体24の外周側に巻き付けてシールドリング25を加締める。このようにすると、編組導体24とシールドリング25との間に、アセテートテープからなる絶縁層51が設けられ、これらの編組導体24とシールドリング25とが絶縁される。」との記載、並びに【図2】及び【図3】によれば、帯状のシールドリング25は、シールドシェル22の外面との間に前記編組導体24を挟むように配置され、その加締めによって前記編組導体24を前記シールドシェル22に押し付けることが理解できる。

キ.上記ウ.の段落【0025】の「編組導体24とシールドリング25との間に、絶縁層51が設けられている。これにより、編組導体24とシールドリング25との直接接触が防止されて互いに絶縁されている。具体的には、アセチルセルロースを原料とする半合成繊維であるアセテートテープをシールドシェル22のシェル本体41に被せられた編組導体24の外周側に巻き付けてシールドリング25を加締める。このようにすると、編組導体24とシールドリング25との間に、アセテートテープからなる絶縁層51が設けられ、これらの編組導体24とシールドリング25とが絶縁される。」との記載及び上記エ.の【0041】の「アセチルセルロースを原料とする半合成繊維であるアセテートテープを、シールドシェル22へ被せた編組導体24の外周に巻き付け」との記載、並びに【図2】及び【図3】によれば、絶縁層51は、前記編組導体24と前記シールドリング25との間に配置されることが理解でき、シールドリング25は絶縁層51を介して、編組導体24を前記シールドシェル22に押し付けることが理解でき、また、絶縁層51はアセテートテープからなることから、前記シールドリング25の加締めによって変形する弾性を有し、半合成繊維であるアセテートからなる帯状体の裏面に粘着層が形成されていることは明らかである。

ク.【図1】及び【図2】から、絶縁層51の幅は、シールドリング25の幅よりも広いことが見て取れ、また、前記シールドリング25は、前記絶縁層51だけに接触することは明らかである。

上記記載事項及び認定事項並びに図面の図示事項を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、先願明細書等には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。

「複数の電線23の一部を収容するシールドシェル22と、前記複数の電線23を一括して被覆し金属からなる複数の編組線を編み合わせて形成される編組導体24と、の接続構造であって、
前記シールドシェル22の外面との間に前記編組導体24を挟むように配置され、その加締めによって前記編組導体24を前記シールドシェル22に押し付ける帯状のシールドリング25と、
前記編組導体24と前記シールドリング25との間に配置され、前記シールドリング25の加締めによって変形する弾性を有し、帯状体の裏面に粘着層が形成されたアセテートテープからなる絶縁層51と、
を備え、
前記絶縁層51の材質は、アセテートであり、
前記絶縁層51の幅は、前記シールドリング25の幅よりも広く、
前記シールドリング25は、前記絶縁層51だけに接触すると共に、前記絶縁層51を介して前記編組導体24を前記シールドシェル22に押し付ける
シールドシェル22と編組導体24との接続構造。」

3.引用文献3
原査定の拒絶の理由に周知技術を示す文献として引用され、もとの出願の出願日前に頒布された刊行物である特開2004-172476号公報(上記引用文献3)には、「シールド機能を備えた導電路」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

ア.「【0012】
次に、導電路Aについて説明する。導電路Aは、複数の電線20、電線側端子25、外装体30、シールド部材35、コルゲートチューブ36、シールドシェル40、及びカバー50を備えて構成される。
電線20は、導体21の外周を絶縁被覆22で包囲したものであって、シールド電線とは異なりこの電線20にはシールド層は設けられていない。各電線20の端末部には、電線側端子25が接続されている。」

イ.「【0015】
シールドシェル40は、金属板材に深絞り加工を施すことによって成形した一体部品であり、全体として横長の略楕円形をなす筒部41と、この筒部41の前端縁から全周に亘って外側へ張り出す板状のフランジ部42と、このフランジ部42の左右両端部から斜め上外方へ面一状に延出する一対の取付部43とを有している。フランジ部42と取付部43の前面はシールドケース11の外壁面に対して面当たりするように当接され、取付部43には、シールドケース11の雌ネジ孔(図示せず)に対応するボルト孔44が形成されている。また、シールドシェル40には、フランジ部42及び取付部43の外周縁に沿って後方へほぼ直角に延出した形態の保護壁45が全周に亘って連続して形成されている。」

ウ.【図2】から、シールドシェル40の電線20の延伸方向に対して直交する断面における外面形状が、その全体に亘って凸円弧状であることが見て取れる。

上記記載事項及び図面の図示内容によれば、引用文献3には、次の事項が記載されている(以下、「引用文献3に記載された事項」という。)。

「シールドシェルの電線の延伸方向に対して直交する断面における外面形状が、その全体に亘って凸円弧状であること。」

4.引用文献4
原査定の拒絶の理由に周知技術を示す文献として引用され、もとの出願の出願日前に頒布された刊行物である特開平5-290659号公報(上記引用文献4)には、「電線束結束用布粘着テープ」に関して、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【0003】そこで、織布テ-プを支持基材とする粘着テ-プをワイヤ-ハ-ネスの結束に使用することが提案され、この場合、上記ポリ塩化ビニル粘着テ-プの手切れ性を保持するために、織布テ-プ単位長さ当りの打ち込み横糸の強度を織布テ-プ単位巾当りの打ち込み縦糸の強度よりも充分に高くした織布テ-プの使用が試みられている。」

イ.上記ア.の「粘着テ-プをワイヤ-ハ-ネスの結束に使用すること」との記載から、ワイヤーハーネスの結束等に用いるテープが粘着層を有することが理解できる。

上記記載事項及び認定事項によれば、引用文献4には、次の事項が記載されている(以下、「引用文献4に記載された事項」という。)。

「ワイヤーハーネスの結束等に用いるテープが粘着層を有すること。」

5.引用文献5
原査定の拒絶の理由に周知技術を示す文献として引用され、もとの出願の出願日前に頒布された刊行物である実願平2-38512号(実開平4-643号)のマイクロフィルム)(上記引用文献5)には、「ワイヤ-ハーネス結束用布粘着テープ」に関して、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「ワイヤーハーネス結束用粘着テープとしては、従来主としてポリ塩化ビニル基材の粘着テープが用いられてきたが、最近、自動車の居住性改善の観点から、ワイヤーハーネスから発生する打音、擦過音などの雑音を低減する目的で、布粘着テープを使用する場合が増えてきている。この理由は、基材の差から、布粘着テープの方がより大きな緩衝効果が得られることによる。現在この目的で使用されている布粘着テープとしては、電気絶縁用の綿布基材粘着テープ、アセテートクロス基材粘着テープなどを挙げることができる。」(明細書第2ページ第6行ないし第16行)

イ.「実施例 1
経糸を綿糸40番手(強度176g/本)、打込本数68本/25.4mm、緯糸を綿糸20番手(強度343g/本)、打込本数68本/25.4mmとした厚さ0.28mmの織布を基材とし、難燃性粘着剤を塗工して粘着テープを作成した。」(明細書第6ページ第14行ないし第19行)

上記記載事項によれば、引用文献5には、次の事項が記載されている(以下、「引用文献5に記載された事項」という。)

「ワイヤーハーネスの結束等に用いるテープが粘着層を有すること。」

第6.対比・判断
1.特許法第29条第2項について
1-1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、その技術的意義、機能又は構造からみて、引用発明における「ケーブル120,122」は、本願発明1における「電線」に相当し、以下同様に、「コネクタシールド116」は「シールドシェル」に、「共通シールド148」は「編組シールド」に、「前方環状部160」は「締付部材」に、「絶縁シース402」は「環状部材」に、それぞれ相当する。
よって、本願発明1と引用発明とは、
「複数の電線の一部を収容するシールドシェルと、前記複数の電線を一括して被覆し金属からなる複数の導電線を編み合わせて形成される編組シールドと、の接続構造であって、
前記シールドシェルの外面との間に前記編組シールドを挟むように配置され、その締付力によって前記編組シールドを前記シールドシェルに押し付ける帯状の締付部材と、
前記編組シールドと前記締付部材との間に配置される環状部材と、
を備え、
前記環状部材の幅は、前記締付部材の幅よりも広く、
前記締付部材は、前記環状部材だけに接触しすると共に、前記編組シールドを前記環状部材を介して前記シールドシェルに押し付ける
シールドシェルと編組シールドとの接続構造。」
である点で一致し、次の各点で相違する。

[相違点1]
本願発明1においては「環状部材」が「前記締付部材の締付力によって変形する弾性を有し、帯状体の裏面に粘着層が形成されたテープが前記編組シールドを囲んで複数回巻き回されてなり、前記帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を有」し、「前記環状部材の材質は、クロス、ゴム、又は樹脂であり」、「前記環状部材の前記帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を介して前記編組シールドを前記シールドシェルに押し付け」るものであるのに対し、引用発明においては「絶縁シース402」が係る構成を有しない点。(以下、「相違点1」という。)。

[相違点2]
本願発明1においては「前記環状部材の一部は、前記導電線間に入り込んでおり、前記粘着層は、前記編組シールドに接触しているとともに、前記環状部材の前記導電線間に入り込んでいる一部における前記粘着層は、前記シールドシェルと接触している」のに対し、引用発明においては係る構成を有しない点。(以下、「相違点2」という。)。

(2)相違点についての判断
まず、上記相違点1について検討する。
引用文献4及び5に記載された事項から、「ワイヤーハーネスの結束等に用いるテープが粘着層を有すること。」が周知の技術(以下、「周知技術1」という。)であるとしても、当該テープを本願発明1のように2部材間の中間に介在させることを示唆するものではない。また、引用発明における「絶縁シース402」のようなシース(鞘)をテープに置き換える合理的な理由もない。
さらに、相違点1に係る本願発明1の「環状部材」が「前記締付部材の締付力によって変形する弾性を有し、帯状体の裏面に粘着層が形成されたテープが前記編組シールドを囲んで複数回巻き回されてなり、前記帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を有」し、「前記環状部材の材質は、クロス、ゴム、又は樹脂であり、」、「前記環状部材の前記帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を介して前記編組シールドを前記シールドシェルに押し付け」るという構成は、上記引用文献1、4及び5には記載も示唆もされておらず、もとの出願日前において周知の技術であるともいえない。
そして、本願発明1は、かかる構成を備えることにより、明細書の段落【0033】の「(1)環状部材5の弾性によって、編組シールド10を構成する導電線101に締付部材6の締付力が作用する面積が広くなる。これにより、環状部材5がない場合に比較して、編組シールド10をより確実にシールドシェル4に接触させることができ、また編組シールド10の抜け出しが抑制される。」との効果、同段落【0035】の「(3)環状部材5は、編組シールド10を囲むように複数回巻き回されたテープからなるので、その組み付けが容易である。また、環状部材5の内面が編組シールド10に粘着するので、締付部材6を加締める際の環状部材5のずれが抑制され、締付部材6を加締める作業を容易に行うことができる。」との効果、及び同段落【0037】の「(5)環状部材5は、帯状体50の裏面50aに粘着層51を有しているので、環状部材5とシールドシェル4及び編組シールド10との間に粘着力が働く。これにより、環状部材5に締付部材6の締付力を作用させる際に生じる環状部材5のシワを低減することが可能となり、より確実に編組シールド10をシールドシェル4に接触させることが可能となる。つまり、環状部材5にシワが生じると、環状部材5と編組シールド10の導電線101とが適切に接触しない領域が生じる場合があるが、本実施の形態では、粘着層51によってこのシワの発生を抑制し、より確実に編組シールド10をシールドシェル4に接触させることが可能となる。」との効果を奏するものである。
これらの効果は引用発明及び上記周知技術1から、当業者が予測できるものではない。
したがって、相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び上記周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

1-2.本願発明2及び3について
本願発明2及び3は、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び上記周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2.特許法第29条の2について
2-1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と先願発明とを対比すると、その技術的意義、機能又は構造からみて、先願発明における「電線23」は、本願発明1における「電線」に相当し、以下同様に、「シールドシェル22」は「シールドシェル」に、「編組線」は「導電線」に、「編組導体24」は「編組シールド」に、「シールドリング25」は「締付部材」に、「加締め」は「締付力」に、「アセテートテープ」は「テープ」に、「絶縁層51」は「環状部材」に、それぞれ相当する。
また、先願発明における「アセテート」は、アセチルセルロースを原料とする半合成繊維をシート状にしてアセテートテープを構成するためのものであるから、本願発明1における「クロス」に相当する。
よって、本願発明1と先願発明とは、
「複数の電線の一部を収容するシールドシェルと、前記複数の電線を一括して被覆し金属からなる複数の導電線を編み合わせて形成される編組シールドと、の接続構造であって、
前記シールドシェルの外面との間に前記編組シールドを挟むように配置され、その締付力によって前記編組シールドを前記シールドシェルに押し付ける帯状の締付部材と、
前記編組シールドと前記締付部材との間に配置され、前記締付部材の締付力によって変形する弾性を有し、帯状体の裏面に粘着層が形成されたテープからなる環状部材と、
を備え、
前記環状部材の材質は、クロスであり、
前記環状部材の幅は、前記締付部材の幅よりも広く、
前記締付部材は、前記環状部材だけに接触しすると共に、前記環状部材を介して前記編組シールドを前記シールドシェルに押し付ける
シールドシェルと編組シールドとの接続構造。」
である点で一致し、次の点で一応相違する。

[相違点3]
本願発明1においては「環状部材」が「帯状体の裏面に粘着層が形成されたテープが前記編組シールドを囲んで複数回巻き回されてなり、前記帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を有」し、「前記環状部材の前記帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を介して前記編組シールドを前記シールドシェルに押し付け」るものであって、「前記環状部材の一部は、前記導電線間に入り込んでおり、前記粘着層は、前記編組シールドに接触しているとともに、前記環状部材の前記導電線間に入り込んでいる一部における前記粘着層は、前記シールドシェルと接触している」のに対し、先願発明においては、「絶縁層51」が「帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を有」するかどうか明らかでなく、「前記環状部材の一部は、前記導電線間に入り込んでおり、前記粘着層は、前記編組シールドに接触しているとともに、前記環状部材の前記導電線間に入り込んでいる一部における前記粘着層は、前記シールドシェルと接触している」かどうか明らかでない点。(以下、「相違点3」という。)。

(2)相違点についての判断
上記相違点3が実質的な相違点であるかどうか検討する。
先願発明には、段落【0025】に「アセテートテープをシールドシェル22のシェル本体41に被せられた編組導体24の外周側に巻き付けて」と記載されていることから、「巻き付け」によって、先願発明の絶縁層51は少なくとも部分的には「帯状体と粘着層とが粘着する複数の層」を有することが示唆されていると解されるから、相違点3に係る「環状部材」が「帯状体の裏面に粘着層が形成されたテープが前記編組シールドを囲んで複数回巻き回されてなり、前記帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を有」する点、及び、「前記環状部材の前記帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を介して前記編組シールドを前記シールドシェルに押し付け」る点に関しては、設計上の微差であって、実質的に同一であるといえる。
しかしながら、先願明細書等においては、絶縁層51を構成するアセテートテープが何らかの粘着層を有することは理解できるが、アセテートテープの粘着層の厚みや材質は不明であるから、「前記絶縁層51の一部は、前記導電線間に入り込んで」いるかどうかは明らかでなく、「前記粘着層は、前記編組シールドに接触しているとともに、前記環状部材の前記導電線間に入り込んでいる一部における前記粘着層は、前記シールドシェルと接触している」かどうかも明らかでない。
したがって、相違点3に係る「前記環状部材の一部は、前記導電線間に入り込んでおり、前記粘着層は、前記編組シールドに接触しているとともに、前記環状部材の前記導電線間に入り込んでいる一部における前記粘着層は、前記シールドシェルと接触している」点に関しては、相違点であって、実質的に同一であるとはいえない。
また、相違点3に係る「環状部材」が「帯状体の裏面に粘着層が形成されたテープが前記編組シールドを囲んで複数回巻き回されてなり、前記帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を有」し、「前記環状部材の前記帯状体と前記粘着層とが粘着する複数の層を介して前記編組シールドを前記シールドシェルに押し付け」るものであって、「前記環状部材の一部は、前記導電線間に入り込んでおり、前記粘着層は、前記編組シールドに接触しているとともに、前記環状部材の前記導電線間に入り込んでいる一部における前記粘着層は、前記シールドシェルと接触している」点に関しては、上記引用文献1、3ないし5には記載も示唆もされておらず、もとの出願日前において周知の技術であるともいえない。
そして、本願発明1は、明細書の段落【0033】、段落【0035】及び段落【0037】に記載されるような効果を奏することは前記1-1.(2)で述べたとおりである。
したがって、相違点3は相違点であるから、本願発明1は先願発明と実質同一であるとはいえない。

2-2.本願発明2及び3について
本願発明2及び3は、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同じ理由により、本願発明2及び3は先願発明と実質同一であるとはいえない。

第7.原査定について
上記「第6.1.」及び「第6.2.」のとおり、本願発明1ないし3は、原査定において引用された、引用文献1に記載された発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえないし、また、本願発明1ないし3は、原査定において引用された引用文献等2の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と実質同一でない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8.むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-21 
出願番号 特願2015-125201(P2015-125201)
審決分類 P 1 8・ 161- WY (H01R)
P 1 8・ 121- WY (H01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 楠永 吉孝片岡 弘之  
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 中川 隆司
滝谷 亮一
発明の名称 シールドシェルと編組シールドとの接続構造及びワイヤハーネス  
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