• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G03B
管理番号 1331154
審判番号 不服2016-16278  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-01 
確定日 2017-08-29 
事件の表示 特願2011-198931「複数のコヒーレント光源からの光を合成する装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月12日出願公開、特開2012- 73611、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年9月13日(パリ条約による優先権主張2010年9月21日、米国)の出願であって、平成27年6月30日付けで拒絶理由通知がされ、同年10月7日付けで手続補正がされ、平成28年3月14日付けで拒絶理由通知がされ、同年6月22日付けで手続補正がされ、同年7月15日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年11月1日に拒絶査定不服審判が請求されものである。

第2 原査定(平成28年7月15日付けで拒絶査定)の概要は次のとおりである。

この出願については、平成28年 3月14日付け拒絶理由通知書に記載した理由1によって、拒絶をすべきものです。

●理由1(特許法第29条第2項)について
・請求項 1
・引用文献等 1,2
先の拒絶理由で提示した引用文献2(特に、段落[0017]、[0033]、[0038]、[0056]、[0057]、図2等参照。)には、光源として、レーザー光源のようなコヒーレンスの高い光源を用いた場合の光の利用効率の高効率化及びスペックルの低減が可能な照明装置を提供するために、光源101と、ロッドインテグレータ105と、開口103aが形成された反射ミラー103と、反射型偏光板107とを設けた照明装置、が記載されている。
また、同段落[0060]には、ロッドインテグレータ長をLとした場合に、再利用光(3L)とそうでない光(L)の光路差(2L)をコヒーレント長以上とすること、すなわち、「2L≧コヒーレント長」、「L≧コヒーレント長/2」とすること、も記載されている。

一方、先の拒絶理由で提示した引用文献1(特に、段落[0066]、[0067]、図11a等参照。)には、光源の輝度を増大させるために光をリサイクルするための構成として、単一の出力ライトパイプ300に結合された複数のLED100を有する照明システム1000であって、複数の入力ライトパイプ350を使用して複数のLED100が一つの出力ライトパイプ300に結合されており、入力ライトパイプ350の出力端は出力ライトパイプ300に接続されており、出力ライトパイプ300の出力端320は、反射性の被覆材によって部分的に被覆されている、照明システム、が記載されている。

そうすると、引用文献2記載の発明においても、光源の輝度を増大させるための構成として、引用文献1記載の発明のように複数の光源からの光を単一の光学部材に集める構成を採用すること、すなわち、引用文献2記載発明の「照明装置」を複数並べて、それらの光の出射側に引用文献1記載の発明の「単一の出力ライトパイプ」を接続することにより、本願の請求項1に係る発明の構成を想到することは、当業者が容易になしえたことである。

・請求項 2?10
・引用文献等 1,2
先の拒絶理由で述べたとおり、本願の請求項2?10に係る発明も、引用文献1,2記載の発明に基づいて、特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特表2010-503004号公報
2.国際公開第2009/118880号

第3 本願発明
本願請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、平成28年6月22日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定された発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】複数のコヒーレント光源からのコヒーレント光を合成する装置であって、
第1のステージに含まれる複数の光ガイドであって、各前記複数の光ガイドのそれぞれの長さは、前記複数のコヒーレント光源のそれぞれ1つのコヒーレント長の少なくとも半分の長さであり、前記複数の光ガイドのそれぞれは、
入口面及び出口面と、
前記入口面における第1のミラーであって、前記複数のコヒーレント光源のうちの1つからの光が入るアパーチャを含む、第1のミラーと、
前記出口面における第2のミラーであって、部分反射し、前記光の第1の部分を透過可能であり、前記第1のミラーへ戻る前記光の第2の部分を反射可能である、第2のミラーと、を含む複数の光ガイドと、
前記複数の光ガイドから出る放出光を合成する第2のステージ光ガイドであって、前記第2のステージ光ガイドは、
第2のステージ入口面及び第2のステージ出口面であって、前記第2のステージ入口面は、前記複数の光ガイドの各出口面からの前記放出光を受け入れる、第2のステージ入口面及び第2のステージ出口面と、
前記光を前記第2のミラーへ戻るように反射する、前記第2のステージ出口面における第3のミラーであって、前記第2のステージ光ガイドから前記光が出る出口アパーチャを含む、第3のミラーと、を含む第2のステージ光ガイドと、
を含む装置。」

なお、本願発明2-10は、本願発明1を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は審決で付した。以下同じ。)

(1)「[0017]そこで、本願発明は、上記課題に鑑み、光の利用効率の高効率化及びスペックルの低減が可能な照明装置を提供することを目的とする。」

(2)「[0033]本発明の照明装置は、光源101と、ロッドインテグレータ105と、第1のミラーである反射ミラー103と、拡散板104と、波長板106と、反射型偏光板107と、第2のミラーである曲面ミラー102とを有する。」

(3)「[0038]また、反射ミラー103及び曲面ミラー102には、それぞれ開口103a、102aが形成されている。
[0039] 以下の各部材について詳細に説明する。
[0040] 光源101にはレーザ光源を用いた。レーザ光源からは指向性の非常に高い、すなわち直進性の良い光ビームが得られる。光源101には、光出力が比較的高い赤用半導体レーザを用いることができる。また、光源101には、青用半導体レーザを用いることもできる。青用半導体レーザは、最近では、0.5Wから1W程度の光出力を得ることができる。さらに、緑用半導体レーザを用いることもできる。緑用半導体レーザは、第2高調波を利用した、比較的出力の高いものが入手可能である。この他、光源101としては、半導体レーザだけでなく、固体レーザなどを用いることもできる。」

(4)「[0054]光源101から出射されたレーザビームは直進し、まず曲面ミラー102の開口102aを通って平面ミラー103の開口103aを通過し、その後拡散板104に達する。ここで拡散板104の拡散作用を受けてレーザビームは、所定の拡がりを有する光束になる。使用する拡散板104の特性により拡がり角は任意に選択可能である。
[0055]この光束はロッドインテグレータ105内を進行する。この進行中にロッドインテグレータ105の側面に達する光は全反射により伝播を継続しながら進行することになる。すなわちロッドインテグレータ105の側面より漏れ出す光はほとんど無い。一般にレーザ光源の性質が偏光光であっても、拡散板104での拡散作用によりその偏光は乱れてしまう。また、ロッドインテグレータ105内の内面反射の繰り返しにより偏光軸の回転等があるので、波長板106に到達する光の偏光成分は、その偏光軸が統一されていない光と考えることができる。
[0056]その後、光束は波長板106を通過して反射型偏光板107に達する。ここで、反射型偏光板107を通過可能な直線偏光成分の光は照明装置を射出して、表示パネルの照明光に利用される。一方、反射型偏光板107で反射された直線偏光光(図2、光線12)は、拡散板104側に向けてロッドインテグレータ105内を進行する。
[0057]拡散板104側に向けて進行した光はその後拡散板104に到達し、次いで反射ミラー103に到達するが、ここで、反射ミラー103の開口103a以外の部分で反射した光は、その進路をもう一度反射型偏光板107のある方向に進行することになる。当然ロッドインテグレータ105内の内面反射を繰り返しながら進行する。そして波長板106を通過後に反射型偏光板107に達する。これらの光は行きと帰りで波長板106を2回通過していることで、反射型偏光板107透過可能な偏光成分の光に偏光変換されている。よって、これらの光は反射型偏光板107を射出して表示パネルの照明光に利用される。」

(5)「[0060]このように、ロッドインテグレータ105の射出側の反射型偏光板107で一旦反射した成分の光を、入射側の反射ミラー103および曲面ミラー102で、その大部分を回収し照明に寄与できる光に利用できるので非常に効率の高い照明装置を得ることができる。同時に、ロッドインテグレータ105の入射側に配置される拡散板104の拡散作用と、反射型偏光板107と反射ミラー103および曲面ミラー102による光の再利用の過程において、再利用光とそうでない光を互いにコヒーレント長以上の光路差を与えることが容易にできる。よって、本実施形態の照明装置は、照明光として射出する光同士の干渉が低減されることとなり、スペックル低減効果が高い。」

(6)「[0068]なお、図6は単一の表示パネルによるプロジェクタの構成例であるが、図7に示すように、赤、緑、青の各々に液晶表示パネルを用いた3板方式の構成とすることもできる。本方式のプロジェクタは、光源101(G)、101(B)、101(R)と照明装置61(G)、61(B)、61(R)と、フィールドレンズ601、液晶表示パネル602(G)、602(B)、602(R)とクロスダイクロプリズム603と投射レンズ604とを備える。各光源101からのビームは各照明装置61に供給され、光利用率が高く、スペックル低減効果のある照明光として液晶表パネルに照射されるので、拡大投射された画像は表示品質の高い画像となる。」

(7)図7の記載から、クロスダイクロプリズム603の入口面は、照明装置61(G)、61(B)、61(R)からの光を受け入れる位置にあり、クロスダイクロプリズム603の出口面は、投射レンズ604側の位置にあるものと見て取れる。よって、引用文献2には、
「光の利用効率の高効率化及びスペックルの低減が可能な照明装置を提供することを目的とし、光源にはレーザ光源を用い、本方式のプロジェクタは、光源101(G)、101(B)、101(R)と照明装置61(G)、61(B)、61(R)と、クロスダイクロプリズムとを備え、クロスダイクロプリズムは照明装置61(G)、61(B)、61(R)からの光を受け入れる位置にある入口面と投射レンズ側の位置にある出口面とを有し、光の再利用の過程において、再利用光とそうでない光を互いにコヒーレント長以上の光路差を与えることが容易にでき、
光源から出射されたレーザビームは、ロッドインテグレータの入射側の反射ミラーの開口を通過し、ロッドインテグレータ内を進行し、波長板を通過して、ロッドインテグレータの射出側の反射型偏光板に達し、反射型偏光板を通過可能な直線偏光成分の光は照明装置を射出して、表示パネルの照明光に利用され、反射型偏光板で反射された直線偏光光は、反射ミラーに到達する、ロッドインテグレータと、反射ミラーと、波長板と、反射型偏光板とを有する照明装置61(G)、61(B)、61(R)とクロスダイクロプリズム」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

2 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0042】ライトパイプ300の出力端320の面積はリフレクタ400によって減少されているので、リフレクタ400によってライトパイプ300内へと再帰反射されるすべての光が光源100から出力されてライトパイプ300から出る光の輝度を増強または増大させ、それによって、本発明の実施例による照明システムの輝度を増大させる。全体の出力パワーはライトパイプ300からは小さくなるが、その光出力の輝度は、光源1000からの光の一部を本発明の光リサイクル装置200によってリサイクルすることによって増大される。」

(2)「【0066】本発明の実施例によれば、照明システム1000は、単一の出力ライトパイプ300に結合された複数のLED100を有する。次に、図11a-bおよび12を参照すると、本発明の実施例により、二つのテーパ型入力ライトパイプ350、好ましくは漸増テーパ型ライトパイプ350を使用して、二つのLED100が1つの出力ライトパイプ300(図11aのようなストレート型ライトパイプか若しくは図11bのようなテーパ型ライトパイプ)に結合される。
【0067】両テーパ型入力ライトパイプ350の入力端はそれぞれ二つのLED100に接続され、これらテーパ型入力ライトパイプ350の出力端は出力ライトパイプ300に接続されている。尚、出力ライトパイプ300の出力端320は、反射性の被覆材または媒体によって部分的に被覆されて、光学リサイクル装置200内でのリサイクリングを促進し、それによって照明システム1000の輝度を増大させている。両テーパ型入力ライトパイプ300の出力端の寸法は、好ましくは、出力ライトパイプ300の入力端の寸法に一致し、それによって、光の高結合を達成するべく両入力ライトパイプ350の出力端間の空隙を最小限にしている。」

(3)「【0070】本発明の実施例によれば、LED100とこのLED100が結合された入力ライトパイプ350(すなわち、LEDとライトパイプとの対)は、実質的に類似の形状を有する。例えば、三角形の入力ライトパイプ350が三角形のLED100に結合される。これにより、出力パワーとサイズの異なる既存の容易に入手可能なLED100を組み合わせることによって、本発明の照明システム1000を特定の出力パワーを提供可能な形に設計可能となる。更に、複数のLED100を利用することによって、出力パワーと波長が平均化されるという別の利点も提供される。」

(4)上記(1)ないし(3)から、引用文献1には、
「単一の出力ライトパイプに結合された複数のLEDを有する照明システムであって、二つのテーパ型入力ライトパイプを使用して、二つのLEDが1つの出力ライトパイプに結合され、これらテーパ型入力ライトパイプの出力端は出力ライトパイプに接続され、出力ライトパイプの出力端は、反射性の被覆材によって部分的に被覆される。」という技術的事項が記載されているものと認められる。

第5 対比・判断
1 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「照明装置61(G)、61(B)、61(R)」、「『レーザ光源を用い』た『光源101(G)、101(B)、101(R)』」、「ロッドインテグレータの入射側」、「ロッドインテグレータの射出側」、「ロッドインテグレータの入射側の反射ミラー」、「反射ミラーの開口」、「『波長板』、『ロッドインテグレータの射出側の反射型偏光板』」、「反射型偏光板を通過可能な直線偏光成分の光は照明装置を射出して、表示パネルの照明光に利用され、反射型偏光板で反射された直線偏光光は、反射ミラーに到達する」、「クロスダイクロプリズム」、「クロスダイクロプリズムは照明装置61(G)、61(B)、61(R)からの光を受け入れる位置にある入口面」、「『クロスダイクロプリズム』の『出口面』」、「照明装置61(G)、61(B)、61(R)とクロスダイクロプリズム」は、それぞれ、本願発明1の「第1のステージに含まれる複数の光ガイド」、「複数のコヒーレント光源」、「入口面」、「出口面」、「入口面における第1のミラー」、「アパーチャ」、「出口面における第2のミラー」、「第2のミラーであって、部分反射し、前記光の第1の部分を透過可能であり、前記第1のミラーへ戻る前記光の第2の部分を反射可能である」、「第2のステージ光ガイド」、「第2のステージ入口面は、前記複数の光ガイドの各出口面からの前記放出光を受け入れる、第2のステージ入口面」、「第2のステージ出口面」、「装置」に相当する。

(2)引用発明の「光の再利用の過程において、再利用光とそうでない光を互いにコヒーレント長以上の光路差を与えることが容易にでき」の再利用光は反射ミラーと反射型偏光板で反射し再利用する光と認められ、そうでない光は再利用光と光路差を与えることができるので反射していない光と認められる。そして、引用発明では「ロッドインテグレータの入射側の反射ミラー」、「ロッドインテグレータの射出側の反射型偏光板」を設けていること、再利用光とそうでない光を互いにコヒーレント長以上の光路差を与えることが容易にできることから、ロッドインテグレータ、反射ミラー、波長版、反射型偏光板を含んだ長さは、コヒーレント長の少なくとも半分以上の長さと認められる。
したがって、引用発明の「照明装置61(G)、61(B)、61(R)」が「光の再利用の過程において、再利用光とそうでない光を互いにコヒーレント長以上の光路差を与えることが容易にでき」ることは、本願発明1の「各前記複数の光ガイドのそれぞれの長さは、前記複数のコヒーレント光源のそれぞれ1つのコヒーレント長の少なくとも半分の長さ」に相当する。

(3)引用発明の「光源101(G)、101(B)、101(R)と照明装置61(G)、61(B)、61(R)」と、それぞれの光源はそれぞれの照明装置に対応し、「光源から出射されたレーザビームは、ロッドインテグレータの入射側の反射ミラーの開口を通過」している。
したがって、引用発明の「ロッドインテグレータの入射側の反射ミラーの開口」は、本願発明1の「複数のコヒーレント光源のうちの1つからの光が入るアパーチャ」に相当する。

(4)上記(1)ないし(3)からみて、本願発明1と引用発明とは、
「第1のステージに含まれる複数の光ガイドであって、各前記複数の光ガイドのそれぞれの長さは、複数のコヒーレント光源のそれぞれ1つのコヒーレント長の少なくとも半分の長さであり、前記複数の光ガイドのそれぞれは、
入口面及び出口面と、
前記入口面における第1のミラーであって、前記複数のコヒーレント光源のうちの1つからの光が入るアパーチャを含む、第1のミラーと、
前記出口面における第2のミラーであって、部分反射し、前記光の第1の部分を透過可能であり、前記第1のミラーへ戻る前記光の第2の部分を反射可能である、第2のミラーと、を含む複数の光ガイドと、
第2のステージ光ガイドであって、前記第2のステージ光ガイドは、
第2のステージ入口面及び第2のステージ出口面であって、前記第2のステージ入口面は、前記複数の光ガイドの各出口面からの前記放出光を受け入れる、第2のステージ入口面及び第2のステージ出口面と、を含む第2のステージ光ガイドと、
を含む装置。」である点で一致し、
次の相違点で相違する。

相違点1:本願発明1では、第2のステージ光ガイドが「光を第2のミラーへ戻るように反射する、第2のステージ出口面における第3のミラーであって、第2のステージ光ガイドから光が出る出口アパーチャを含む、第3のミラーと、を含む」のに対し、引用発明では、クロスダイクロプリズムが出口面にミラー、出口アパーチャを含むのか明らかでない点。

相違点2:本願発明1では、複数の光ガイドから出る放出光を合成する第2のステージ光ガイドであるのに対し、引用発明では、クロスダイクロプリズムが照明装置61(G)、61(B)、61(R)から出る放出光を合成するのか明らかでない点。

2 相違点についての判断
上記相違点1について検討すると、「第4 引用文献、引用発明等」の「2 引用文献1について」に記載のとおり、引用文献1には「単一の出力ライトパイプに結合された複数のLEDを有する照明システムであって、二つのテーパ型入力ライトパイプを使用して、二つのLEDが1つの出力ライトパイプに結合され、これらテーパ型入力ライトパイプの出力端は出力ライトパイプに接続され、出力ライトパイプの出力端は、反射性の被覆材によって部分的に被覆される。」という技術的事項が記載されている。
そして、引用文献1の技術的事項の「『出力ライトパイプ』、『部分的に被覆される』『反射性の被覆材』」、「出力ライトパイプの出力端」、「出力ライトパイプの出力端は、反射性の被覆材によって部分的に被覆される」は、それぞれ、本願発明1の「第2のステージ光ガイド」、「第2のステージ出口面」、「第2のステージ出口面における第3のミラーであって、前記第2のステージ光ガイドから前記光が出る出口アパーチャを含む」に相当する。
したがって、引用文献1には、相違点1に係る本願発明1の「『第2のステージ光ガイドは、』『第2のステージ出口面と、』『第2のステージ出口面における第3のミラーであって、第2のステージ光ガイドから光が出る出口アパーチャを含む、第3のミラーと、を含む』」に相当する構成が記載されているといえる。
しかしながら、引用文献1の技術的事項は、「第4 引用文献、引用発明等」の「2.引用文献1について (3)」に摘記しているように、出力パワーとサイズの異なる既存の容易に入手可能なLEDを組み合わせることによって、照明システムを特定の出力パワーを提供可能な形に設計可能とするため、さらに、複数のLEDを利用することによって、出力パワーと波長が平均化されるという別の利点も提供するためのものであり、引用発明は、光源101(G)、101(B)、101(R)と異なる波長の光源を用いており、特定の出力パワーを提供可能な形に設計可能とすること、又は、複数のLEDを利用することによって、出力パワーと波長が平均化することは想定されていないから、引用発明に引用文献1の技術的事項を採用する動機付けがない。
なお、「第4 引用文献、引用発明等」の「2 引用文献1について (1)」に摘記しているように、引用文献1において光の輝度を増強または増大は、光の一部をリサイクルすることによるものであり、二つのテーパ型入力ライトパイプを使用して、二つのLEDが1つの出力ライトパイプに結合することにより、輝度が増強または増大しているのか不明である。
よって、引用発明において前記相違点1に係る構成を得ることが、当業者に想到容易であるということはできない。

したがって、上記相違点2についての判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明2-10について
本願発明2-10も、本願発明1の「光を第2のミラーへ戻るように反射する、第2のステージ出口面における第3のミラーであって、第2のステージ光ガイドから光が出る出口アパーチャを含む、第3のミラーと、を含む」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおりであるので、本願発明1-10は、当業者が引用発明及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の拒絶の理由によって拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-17 
出願番号 特願2011-198931(P2011-198931)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G03B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 関根 裕  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 小松 徹三
野村 伸雄
発明の名称 複数のコヒーレント光源からの光を合成する装置  
代理人 藤田 和子  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ